(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-01
(45)【発行日】2024-08-09
(54)【発明の名称】車両誘導方法、車両誘導装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/14 20060101AFI20240802BHJP
B60W 30/06 20060101ALI20240802BHJP
B60W 60/00 20200101ALI20240802BHJP
【FI】
G08G1/14 A
B60W30/06
B60W60/00
(21)【出願番号】P 2020208958
(22)【出願日】2020-12-17
【審査請求日】2023-08-28
(73)【特許権者】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】西川 雅清
(72)【発明者】
【氏名】小沼 知浩
【審査官】貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-502357(JP,A)
【文献】特開2018-60450(JP,A)
【文献】特開2018-188027(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 1/16
B60W 10/00 - 10/30
B60W 30/00 - 60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車場における車両誘導方法であって、
開始位置から目標位置に至る駐車場における走行ルートを車両外部で決定し、
前記走行ルートのうち少なくとも1つの区間を、通信ネットワークを介して車両に送信し、
前記区間における前記車両の自律走行中の逸脱について、車両外部の監視システムによって前記車両を監視し、
逸脱が発生した場合、前記逸脱を解消するための解消ルートを決定し、
前記解消ルートを、前記通信ネットワークを介して前記車両に送信し、
前記車両が前記解消ルートを辿る走行が出来ていないと判断した場合には、前記車両の現在位置を開始位置とし、所定の地点を目標位置とした退避ルートを決定し、
前記退避ルートを、前記通信ネットワークを介して前記車両に送信し、
前記車両が前記退避ルートを辿る走行を
し、
前記解消ルートを走行できない前記車両の問題を示す要因情報を前記車両から受信した場合、前記要因情報に基づいて退避ルートを決定する
車両誘導方法。
【請求項2】
前記解消ルートにおいて発生した逸脱の大きさを判断し、前記逸脱が所定の大きさより大きい場合には、前記車両が前記解消ルートを辿る走行が出来ていないと判断する、請求項1記載の車両誘導方法。
【請求項3】
前記解消ルートにおいて前記逸脱の発生回数を計測し、前記逸脱の発生回数が所定回数と一致した場合は、前記車両が前記解消ルートを辿る走行が出来ていないと判断する、請求項1記載の車両誘導方法。
【請求項4】
前記所定の地点は前記区間において他の車両が駐車しない駐車スペースである、請求項1~3のいずれか1項に記載の車両誘導方法。
【請求項5】
前記所定の地点は前記区間において車両が駐車可能な広さを有する駐車場内の空きスペースである請求項1~3のいずれか1項に記載の車両誘導方法。
【請求項6】
前記退避ルートにおいて、逸脱が発生した場合には、前記車両に停止命令を、前記通信ネットワークを介して送信する請求項1~5のいずれか1項に記載の車両誘導方法。
【請求項7】
前記要因情報により前記車両が、自律走行ができない状態にあると判断した場合には、前記車両を停止させる請求項
1記載の車両誘導方法。
【請求項8】
前記要因情報は、タイヤの空気圧が適正値より下がっていること、または、ステアリングの切れ角が適正値より小さいことを示す請求項1記載の車両誘導方法。
【請求項9】
駐車場における車両誘導装置であって、
開始位置から目標位置に至る駐車場における走行ルートを車両外部で決定し、
前記走行ルートのうち少なくとも1つの区間を、通信ネットワークを介して車両に送信する制御部と、
前記区間における前記車両の自律走行中の逸脱について、車両外部の監視システムによって前記車両を監視する監視部と、
を備え、
前記制御部は、逸脱が発生した場合、前記逸脱を解消するための解消ルートを決定し、
前記解消ルートを、前記通信ネットワークを介して前記車両に送信し、
前記車両が前記解消ルートを辿る走行が出来ていないと判断した場合には、前記車両の現在位置を開始位置、所定の地点を目標位置とした退避ルートを決定し、
前記退避ルートを、前記通信ネットワークを介して前記車両に送信し、
前記車両に前記退避ルートを辿る走行をさせ
、
前記解消ルートを走行できない前記車両の問題を示す要因情報を前記車両から受信した場合、前記要因情報に基づいて退避ルートを決定する
車両誘導装置。
【請求項10】
請求項1~
7のいずれか1項に記載の車両誘導方法をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、駐車場において自動運転モードで走行する車両を誘導する車両誘導方法及び車両誘導装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、逸脱を解消可能な車両の誘導方法が開示されている。具体的には、上記誘導方法では、開始位置から目標位置に至る駐車場におけるルートを車両外部で特定し、ルートのうち少なくとも1つの区間を、通信ネットワークを介して車両に送信し、区間を辿る車両の自律走行中の逸脱について、車両外部の監視システムによって車両を監視する。逸脱が発生すると、逸脱を解消するための解消ルートを特定し、解消ルートを、通信ネットワークを介して車両に送信し、それによって、車両は、解消ルートを辿る走行をする。このようにして、上記誘導方法では、逸脱を解消可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、駐車場において自動運転モードで走行する車両の走行を支援する車両誘導方法及び車両誘導装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る車両誘導方法は、駐車場における車両誘導方法であって、開始位置から目標位置に至る駐車場における走行ルートを車両外部で決定し、走行ルートのうち少なくとも1つの区間を、通信ネットワークを介して車両に送信し、区間における前記車両の自律走行中の逸脱について、車両外部の監視システムによって車両を監視する。また、逸脱が発生した場合、逸脱を解消するための解消ルートを決定し、解消ルートを、通信ネットワークを介して前記車両に送信する。また、車両が解消ルートを辿る走行が出来ていないと判断した場合には、車両の現在位置を開始位置とし、所定の地点を目標位置とした退避ルートを決定し、退避ルートを、通信ネットワークを介して車両に送信し、車両が前記退避ルートを辿る走行をする。
【0006】
本開示の一態様に係る車両誘導装置は、駐車場における車両誘導装置であって、開始位置から目標位置に至る駐車場における走行ルートを車両外部で決定し、走行ルートのうち少なくとも1つの区間を、通信ネットワークを介して車両に送信する制御部と、区間における前記車両の自律走行中の逸脱について、車両外部の監視システムによって前記車両を監視する監視部と、を備える。制御部は、逸脱が発生した場合、逸脱を解消するための解消ルートを決定し、解消ルートを、通信ネットワークを介して車両に送信し、車両が前記解消ルートを辿る走行が出来ていないと判断した場合には、車両の現在位置を開始位置とし、所定の地点を目標位置とした退避ルートを決定し、退避ルートを、通信ネットワークを介して車両に送信し、車両に前記退避ルートを辿る走行をさせる。
【0007】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本開示の車両誘導方法及び車両誘導装置によれば、自動運転モードで駐車場を自律走行している車両がルートを逸脱している場合に、車両の走行を支援し、駐車場の運営を円滑に行うことを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態における駐車場管理システムの一構成例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施の形態における車両誘導装置の一構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施の形態における車両誘導装置の動作を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、実施の形態における駐車場システムを示す図である。
【
図5】
図5は、開始位置と目標位置を示す図である。
【
図9】
図9は、退避ルートの他の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
自動化された(自律的な)駐車場、いわゆるバレーパーキングでは、運転者が引き渡し場所にて車両を渡すと、車両は引き渡し場所から駐車位置まで自動運転モードで自律的に走行する。そして、再び自動運転モードで受け取り位置まで自律的に戻ってくる。駐車場管理システムは開始位置から目標位置までのルートを車両に提供し、車両は提供されたルートを辿って走行する。ところが、車両の周辺センサ、アルゴリズム、または、アクチュエータの不確かさに起因して、車両はルート通りの走行ができず逸脱が生じる場合がある。
【0011】
上述したように、特許文献1では、ルートを自動運転で走行している車両の逸脱を監視し、車両がルートを逸脱した場合には、解消ルートを提供する。これにより、車両は逸脱を回避可能となる。
【0012】
しかしながら、逸脱の原因によっては、解消ルートを辿る走行を行っても逸脱を解消できない場合がある。例えば、車両のタイヤの空気圧が下がっている場合、または、ステアリングの切れ角が小さい場合などがこれにあたる。この場合、駐車場管理システムが想定している車両の動作が実際の車両と異なるので、車両は解消ルートを辿る走行が出来ず、再度解消ルートが提供されることとなる。ところが、車両に問題があることに起因した逸脱であるため、車両は逸脱を解消できず、この過程を繰り返すおそれがある。車両が同じ位置に停滞することで、後続の車両の自律走行を妨げるおそれがある。
【0013】
そこで、本開示の一態様に係る車両誘導方法は、駐車場における車両誘導方法であって、開始位置から目標位置に至る駐車場における走行ルートを車両外部で決定し、走行ルートのうち少なくとも1つの区間を、通信ネットワークを介して車両に送信し、区間における車両の自律走行中の逸脱について、車両外部の監視システムによって車両を監視する。逸脱が発生した場合、逸脱を解消するための解消ルートを決定し、解消ルートを、通信ネットワークを介して車両に送信する。また、車両が解消ルートを辿る走行が出来ていないと判断した場合には、車両の現在位置を開始位置、所定の地点を目標位置とした退避ルートを決定し、退避ルートを、通信ネットワークを介して車両に送信し、車両が退避ルートを辿る走行をする。
【0014】
これにより、車両が解消ルートを辿る走行が出来ない場合に、車両を退避させることで、後続の車両の走行を妨げることを回避することが可能となる場合がある。従って、駐車場の運営を円滑に行えることが可能となる場合がある。
【0015】
本開示の一態様に係る車両誘導装置は、駐車場における車両誘導装置であって、開始位置から目標位置に至る駐車場における走行ルートを車両外部で決定し、走行ルートのうち少なくとも1つの区間を、通信ネットワークを介して車両に送信する制御部と、区間における車両の自律走行中の逸脱について、車両外部の監視システムによって車両を監視する監視部と、を備える。制御部は、逸脱が発生した場合、逸脱を解消するための解消ルートを決定し、解消ルートを、通信ネットワークを介して車両に送信し、車両が解消ルートを辿る走行が出来ていないと判断した場合には、車両の現在位置を開始位置、所定の地点を目標位置とした退避ルートを決定し、退避ルートを、通信ネットワークを介して車両に送信し、車両に退避ルートを辿る走行をさせる。
【0016】
この車両誘導装置においても、上述と同様の作用効果を奏する。
【0017】
また、例えば、解消ルートにおいて発生した逸脱の大きさを判断し、逸脱が所定の大きさより大きい場合には、車両が解消ルートを辿る走行が出来ていないと判断する。これにより、車両側の要因で逸脱が発生していることを判断することが出来る場合がある。従って、車両が解消ルートを辿る走行を繰り返すことを回避出来る場合がある。
【0018】
また、例えば、解消ルートにおいて逸脱の発生回数を計測し、逸脱の発生回数が所定回数と一致した場合は、車両が解消ルートを辿る走行が出来ていないと判断する。これにより、車両が解消ルートを辿る走行を繰り返すのを回避出来る場合がある。従って、後続の車両の走行を妨げることを回避出来る場合がある。
【0019】
また、例えば、所定の地点は区間において車両が駐車しない駐車スペースである。また、例えば、所定の地点は区間において車両が駐車可能な広さを有する駐車場内の空きスペースである。これにより、車両が別の位置に退避しても、他の車両の駐車を妨げることを回避出来る場合がある。従って、駐車場の運営を円滑に行えることが可能となる場合がある。
【0020】
また、例えば、退避ルートにおいて、逸脱が発生した場合には、車両に停止命令を、通信ネットワークを介して送信する。これにより、車両が自律走行することが出来ない場合に、退避動作を繰り返すことを防止できる場合がある。従って、駐車場の運営を円滑に行えることが可能となる場合がある。
【0021】
また、例えば、車両から解消ルートを走行できない要因情報を受信した場合、要因情報に基づいて退避ルートを決定する。これにより、車両の状態に応じた回避ルートを決定することが可能となる場合がある。従って、車両が自律走行可能なルートを提供出来る場合がある。
【0022】
また、例えば、要因情報により車両が、自律走行ができない状態にあると判断した場合には、車両を停止させる。これにより、車両が解消ルートを辿る走行を繰り返すことを回避できる場合がある。従って、後続の車両の走行を妨げることを回避出来る場合がある。
【0023】
(実施の形態)
以下、実施の形態に係る車両誘導装置について、図面を参照しながら説明する。
【0024】
[1.構成]
図1は、実施の形態に係る駐車場管理システムの一構成例を示すブロック図である。駐車場管理システム10は少なくとも車両誘導装置100と、駐車場管理サーバ11と、を備える。なお、駐車場管理システム10は車両を監視する車両監視システム12を備えてもよい。駐車場管理サーバ11と、車両誘導装置100と、車両監視システム12とは、通信ネットワークを介して通信を行う。通信ネットワークは、移動体通信ネットワーク(Radio Access Network)を含んでもよい。また、通信ネットワークは、WLAN(Wireless LAN)を含んでもよい。
【0025】
駐車場管理サーバ11は、複数の駐車スペースを有する駐車場、駐車場に引き渡された1台以上の車両20~2n(nは1以上の整数)の駐車位置、及び、駐車場内における車両の動作等を管理する。車両誘導装置100は、車両20~2n及び車両20~2nの走行動作を誘導する。
【0026】
車両20~2nは自動運転モードで自律走行可能な車両である。車両20~2nは通信機能を備え、駐車場管理サーバ11及び車両誘導装置100と通信ネットワークを介して接続される。自動運転モードとは、車両が自律的に走行する、または遠隔操作により走行することを意味し、すなわち、運転者の介在なく走行することを表す。
【0027】
本開示は、駐車場において自動運転モードにある車両を対象としている。そのため、自動運転モードではない、すなわち手動運転モードにある車両は対象としていない。本開示は、自動駐車過程に実施される。ここで、自動駐車過程とは、引き渡し位置から駐車位置までの自律走行を含む。また、自動駐車過程とは、駐車位置への自律的入庫動作、駐車位置からの自律的出庫動作を含む。また、自動駐車過程とは、駐車位置から受け取り位置への自律走行を含む。
【0028】
引き渡し位置とは、車両の運転者が自身の車両を自動運転モードに切り替え、車両から降りるために止めることができる位置である。引き渡し位置は、例えば、駐車場の入り口付近にある。受け取り位置とは、車両の運転者が車両を自動駐車過程の後で受け取ることが出来る位置である。受け取り位置は、例えば、駐車場の出口付近にある。引き渡し位置と受け取り位置は同じ位置でもよいし、異なる位置でもよい。
【0029】
駐車場は、車両を止めておくための領域であり、複数の駐車スペースまたは、駐車区画を備えたエリアである。駐車場はパーキングビルのような立体構造のものであってもよい。駐車場は屋外型であってもよいし、屋内型であってもよい。
【0030】
車両監視システム12は、駐車場内に複数のカメラを配置し、カメラで撮像した映像より車両20及び車両20の走行動作を監視する構成でもよい。車両監視システム12は撮像した映像より、車両20の走行状態または走行速度などを監視する。また、車両監視システム12は、車両に搭載された各種センサを用いてセンシングにより車両の状態を検出するための車両センサシステム(図示せず)から車両の状態を取得してもよい。すなわち、車両20は車両監視システム12を搭載してもよい。
【0031】
車両誘導装置100は車両に駐車場における走行ルートを提供し、車両が走行ルートから逸脱していないかを監視し、逸脱している場合には、逸脱を解消するための解消ルートを提供する。車両誘導装置100は解消ルートでも車両が逸脱を解消できない場合は、車両を退避させる。
【0032】
図2は、実施の形態における車両誘導装置100の構成を示すブロック図である。
図2に示すように、車両誘導装置100は、制御部101と、監視部102とを備える。制御部101及び監視部102は実体のある構成を示しているわけではなく、車両誘導装置100によって実現される機能を示している。制御部101及び監視部102は、より具体的には、車両誘導装置100が備えるプロセッサ(CPU(Central Processing Unit)など)(不図示)が、メモリ(不図示)を用いて所定のプログラムを実行することで実現され得る。
【0033】
以下、監視対象車両が車両20である場合を例にとって説明する。なお、車両誘導装置100は同時に複数の車両を監視対象としてもよい。
【0034】
制御部101は、開始位置から目標位置までの駐車場における走行ルートを算出または決定する。制御部101は決定したルートを車両20に通信ネットワークを介して車両20に送信する。制御部101は、ルートを複数の区間に分割し、少なくとも1つの区間を車両20に送信するとしてもよい。制御部101は区間毎のルートを順次送信し、車両20は、各々の区間を順次受信したルートを辿って走行する。これは、車両20は自身の位置、ルート全体、または駐車場内の状況を知る必要がないからである。また、ルートを複数の区間に分割することにより送信データ量を低減することが可能となり、車両は全ルートを受信しなくても走行を開始することが可能となる。車両は受信した走行ルートを辿って走行する。制御部101は、監視部102の監視結果より、車両20が逸脱している場合には解消ルートを算出または決定し、通信ネットワークを介して車両20に送信する。また、制御部101は、監視部102の監視結果より、車両20が解消ルートにおいて逸脱している場合は、退避ルートを算出または決定し、車両20に通信ネットワークを介して送信する。
【0035】
監視部102は車両20の逸脱を検出する。監視部102は、自動運転モードで駐車場に存在している車両20の走行状態を車両監視システム12より取得し、車両20の逸脱を検出する。また監視部102は、車両センサシステムから車両20の状態を取得する。なお、監視部102は車両監視システム12を備えてもよい。
【0036】
[2.動作]
図3は、実施の形態における車両誘導装置100の動作を示すフローチャートである。
【0037】
制御部101は、開始位置から目標位置までの駐車場における走行ルートを決定する。制御部101は走行ルートのうち、少なくとも1つの区間を、通信ネットワークを介して車両20に送信する(ステップS301)。監視部102は上記区間を自律走行している車両20の逸脱を車両監視システム12により監視する(ステップS302)。監視部102は、車両20が逸脱しているか否かを判断する。監視部102は、車両20が逸脱していると判断した場合は、制御部101に車両20が走行しているルートにおいて逸脱が発生していることを通知する。この時、監視部102は制御部101に逸脱の大きさを通知してもよい。監視部102は、逸脱の大きさを車両監視システム12から取得してもよいし、車両監視システム12から取得した情報を用いて算出してもよい(ステップS303)。監視部102は車両が自律走行を完了するまでステップS302及びS303の動作を繰り返す。
【0038】
制御部101は、車両20が走行ルートにおいて逸脱しているか否かを判断する(ステップS304)。制御部101は、車両20が走行ルートで逸脱していると判断した場合(ステップS304でYesの場合)は、逸脱を解消するための解消ルートを決定し、解消ルートのうち少なくとも1つの区間を、車両20に通信ネットワークを介して送信する(ステップS305)。制御部101は、車両20が走行ルートで逸脱していないと判断した場合は(ステップS304でNoの場合)、車両20が解消ルートで逸脱しているか否かを判断する(ステップS306)。制御部101は、車両が解消ルートで逸脱していると判断した場合(ステップS306でYesの場合)は、車両20の目標位置を変更し、変更した目標位置までの駐車場における退避ルートを決定する。制御部101は、解消ルートにおいて発生した逸脱の大きさを判断し、逸脱が所定の大きさより大きい場合には、車両が解消ルートを辿る走行が出来ていないと判断してもよい。また、解消ルートにおいて逸脱の発生回数を計測し、逸脱の発生回数が所定回数と一致した場合は、車両が解消ルートを辿る走行が出来ていないと判断してもよい。所定の回数は例えば3回である。制御部101は、退避ルートのうち少なくとも1つの区間を、通信ネットワークを介して車両20に送信する(ステップS307)。
【0039】
制御部101は、車両20が退避ルートにおいて逸脱していると判断した場合(ステップS306でNoの場合)は、車両20が自律走行を行うのが困難と判断し、車両20に停止信号を送信し、車両20を停止させる。制御部101は、退避ルートにおいて所定回数逸脱が発生した場合に車両20を停止させると判断してもよい(ステップS308)。この場合、制御部101は、車両が退避ルート途中で停止していることを駐車場の管理者へ通知してもよい。
【0040】
[3.動作例]
以下、図面を用いて、具体的な動作を説明する。ここでは、車両20が入庫動作を行う自動駐車過程を例にとり説明する。
【0041】
図4に駐車場の一例を示す。駐車場401は、駐車エリアに対応する複数の駐車スペース402を含む。駐車スペース402には、車両20を駐車することが可能である。駐車場401には、車両誘導装置100が設定されている。車両誘導装置100には車両監視システム12が含まれていてもよい。車両監視システム12には1つまたは複数のカメラ、またはビデオカメラが含まれている。また、車両監視システム12には、1つ以上の複数のレーダーセンサが含まれている。
【0042】
車両誘導装置100と車両20とは通信ネットワークを介して通信を行う。車両20は車両誘導装置100から受信するルートに従って、自律走行する。ここでは、
図5に示すように、駐車スペース501に車両20が駐車するよう誘導する場合について説明する。駐車場401には、車両21~車両23が駐車している。この場合、現在の車両20の位置500を開始位置とし、駐車スペース501を目標位置とする。制御部101は、開始位置から目標位置までの走行ルートを決定する。
【0043】
図6に走行ルートを示す。制御部101は走行ルート601の少なくとも一部の区間を、通信ネットワークを介して車両20に送信する。車両は受信した走行ルート601を辿って自律走行する。監視部102は車両20が走行ルート601を逸脱しているか否かを監視する。監視部102は、車両20が走行ルート601を逸脱していることを車両監視システム12が検出した場合、制御部101に車両20が逸脱していることを通知する。制御部101は、監視部102の監視結果より、車両20が走行ルート601を逸脱していると判断し、解消ルートを決定する。
【0044】
図7に解消ルートを示す。制御部101は車両21の走行状態を考慮して、解消ルート701を決定する。制御部101は、解消ルート701の少なくとも一部の区間を、通信ネットワークを介して車両21に送信する。車両は受信した解消ルート701を辿って自律走行する。監視部102は車両21が解消ルート701を逸脱しているか否かを監視する。監視部102は、車両20が解消ルート701を逸脱していることを車両監視システム12が検出した場合、制御部101に車両20が逸脱していることを通知する。制御部101は、車両20が解消ルート701を辿る走行が出来ていないと判断した場合には、車両20の現在位置を開始位置とし、所定の地点を目標位置とした退避ルートを決定する。制御部101は、現在位置を開始位置とし、目標位置を所定の地点に変更した退避ルートを決定する。
【0045】
制御部101は、監視部102の監視結果より、逸脱の大きさが所定の大きさより大きい場合は、車両20が解消ルート701を自律走行できないと判断する。また、制御部101は逸脱が所定の回数発生した場合、車両20が解消ルート701を自律走行できないと判断してもよい。制御部101は、逸脱の大きさが所定の大きさより小さい、または逸脱回数が所定の回数と一致しない場合は、再度解消ルートを計算し、車両20に送信する。車両20は受信した解消ルートを辿って自律走行を行う。ここで、監視部102は、逸脱の大きさを車両監視システム12より取得してもよい。また、監視部102は、車両監視システム12より取得した情報より逸脱の大きさを算出してもよい。
【0046】
制御部101は、開始位置と目標位置とを現在位置としてもよい。すなわち、車両20に停止信号を送信し、車両を停止させてもよい。ここで車両20を停止させることで、車両周囲の他の車両、物体又は障害物との衝突の可能性を低減することが可能となる。また、制御部101は、退避ルートを辿る自律走行を行わせる前に車両20を一旦停止させてもよい。
【0047】
図8に退避ルートの一例を示す。制御部101は目標位置として駐車場401内の空きスペース502を設定する。制御部101は車両21の現在位置を開始位置、空きスペース502を目標位置として退避ルート801を決定する。車両21は退避ルート801を辿り空きスペース502に駐車する。空きスペース502は駐車スペース501より広く、車両20が退避ルート801を逸脱しながら自律走行しても空きスペース502に駐車可能と想定される広さを有している。また、制御部101は、退避ルート801を決定する場合に、車両が駐車していない駐車スペース402に面した通路を優先して選択してもよい。これにより、車両20が駐車スペース402の一部に侵入しても駐車している車両と衝突することを回避できる場合がある。
【0048】
図9に退避ルートの他の一例を示す。制御部101は目標位置として車両が駐車していない駐車スペース503を設定する。制御部101は車両20の現在位置を開始位置とし、駐車スペース503を目標位置として退避ルート802を決定する。車両20は退避ルート802を辿り駐車スペース503に駐車する。制御部101は駐車スペース503として、車両が駐車しておらず、周囲の駐車スペース402にも車両が駐車していない駐車スペースを優先して選択してもよい。これにより、車両21が退避ルート802を逸脱しながら走行し他の駐車スペース402の一部に侵入しても他の車両と衝突することを回避出来る場合がある。
【0049】
[4.効果等]
以上のように、本実施の形態において、制御部101は、開始位置から目標位置に至る駐車場における走行ルートを決定し、走行ルートのうち少なくとも1つの区間を、通信ネットワークを介して車両に送信し、監視部102は、区間における車両の自律走行中の逸脱について、車両外部の車両監視システム12によって車両を監視する。制御部101は、逸脱が発生した場合、逸脱を解消するための解消ルートを決定し、解消ルートを、通信ネットワークを介して車両に送信する。制御部101は、車両が解消ルートを辿る走行が出来ていないと判断した場合には、車両の現在位置を開始位置とし、所定の地点を目標位置とした退避ルートを決定し、退避ルートを、通信ネットワークを介して車両に送信し、車両が退避ルートを辿る走行をする。
【0050】
これにより、車両が解消ルートを辿る走行が出来ない場合に、車両を退避させ、後続の車両の走行を妨げることを回避することが可能となる場合がある。従って、駐車場の運営を円滑に行えることが可能となる場合がある。
【0051】
また、制御部101は、解消ルートにおいて発生した逸脱の大きさを判断し、逸脱が所定の大きさより大きい場合には、車両が解消ルートを辿る走行が出来ていないと判断する。これにより、車両側の要因で逸脱が発生していることを判断することが出来る場合がある。従って、車両が解消ルートを辿る走行を繰り返すことを回避出来る場合がある。
【0052】
また、制御部101は、解消ルートにおいて車両が逸脱を繰り返し、逸脱の発生回数が所定回数と一致した場合は、車両が解消ルートを辿る走行が出来ていないと判断する。これにより、車両が解消ルートを辿る走行を繰り返すのを回避出来る場合がある。従って、後続の車両の走行を妨げることを回避出来る場合がある。
【0053】
また、所定の地点は区間において車両が駐車しない駐車スペースである。また、所定の地点は区間において車両が駐車可能な広さを有する駐車場内の空きスペースである。これにより、車両が駐車スペースに退避しても、他の車両の駐車を妨げることを回避出来る場合がある。従って、駐車場の運営を円滑に行えることが可能となる場合がある。
【0054】
また、制御部101は、退避ルートにおいて、逸脱が発生した場合には、車両に停止命令を、通信ネットワークを介して送信する。これにより、車両20が自律走行することが出来ない場合に、退避動作を繰り返すことを防止できる場合がある。従って、駐車場の運営を円滑に行えることが可能となる場合がある。
【0055】
また、制御部101は、車両から解消ルートを走行できない阻害要因情報を受信した場合、阻害要因情報に基づいて退避ルートを決定する。これにより、車両の状態に応じた回避ルートを決定することが可能となる場合がある。従って、車両が自律走行可能なルートを提供出来る場合がある。
【0056】
また、制御部101は、要因情報により車両が、自律走行ができない状態にあると判断した場合には、車両を停止させる。これにより、車両が解消ルートを辿る走行を繰り返すことを回避できる場合がある。従って、後続の車両の走行を妨げることを回避出来る場合がある。
【0057】
また、本実施の形態では、車両20が自律的入庫動作を例に説明したが、これに限定するものではなく、自律的出庫動作、自律走行中においても車両20の逸脱が発生した場合に同様の動作を行い、他の車両などとの衝突を低減することが可能となる場合がある。これにより、駐車場内の運営を円滑に行うことが出来る場合がある。
【0058】
(その他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態を説明した。しかしながら、本開示における技術はこれに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、上記実施の形態及び下記の他の実施形態で説明する各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
【0059】
そこで、以下、他の実施の形態を例示する。
【0060】
実施の形態では、監視部102は車両の逸脱を検知したが、前方に発生した障害物により車両が緊急停止し、復帰した場合、受信済みの走行ルートで走行できない場合がある。監視部102は車両が走行ルートより逸脱していないので、制御部101へ通知しない。この場合、車両が現在位置を開始位置としたルートを車両誘導装置へ要求してもよい。制御部101は車両からのルート要求を受信し、現在位置から目標位置までのルートを決定し、車両に送信する。新たなルートは最初の走行ルートと同じでも構わない。
【0061】
また、監視部102は車両監視システム12より車両の状況を示す情報を取得してもよい。例えば、障害物を検知したセンサの方向(前方、後方、または、左右など)の情報、撮影したカメラ映像情報、バンパーなどの圧力情報等を取得する。制御部101は、これらの情報も用いて、新たなルートを決定してもよい。制御部101は、車両の状況によっては、車両を停止させたままにしてもよい。この場合、車両がルート途中で停止していることを駐車場の管理者へ通知してもよい。これにより、管理者が停止した車両を移動させる対応を行うことが出来る場合がある。
【0062】
また、退避ルートを決定する際の目標位置として、引き渡し位置を設定してもよい。
【0063】
以上、車両誘導装置の態様を実施の形態に従って説明したが、車両誘導装置の態様は、実施の形態に限定されない。実施の形態に対して当業者が思いつく変形が施されてもよいし、実施の形態における複数の構成要素が任意に組み合わされてもよい。
【0064】
例えば、実施の形態において特定の構成要素によって実行される処理を特定の構成要素の代わりに別の構成要素が実行してもよい。また、複数の処理の順序が変更されてもよいし、複数の処理が並行して実行されてもよい。
【0065】
また、車両誘導装置の各構成要素が行うステップを含む車両監視方法が任意の装置又はシステムによって実行されてもよい。例えば、車両誘導方法の一部又は全部が、プロセッサ、メモリ及び入出力回路等を備えるコンピュータ(例えば情報処理回路)によって実行されてもよい。その際、コンピュータに車両誘導方法を実行させるためのプログラムがコンピュータによって実行されることにより、車両誘導方法が実行されてもよい。
【0066】
また、非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体に、上記のプログラムが記録されていてもよい。
【0067】
また、車両誘導装置の各構成要素は、専用のハードウェアで構成されてもよいし、上記のプログラム等を実行する汎用のハードウェアで構成されてもよいし、これらの組み合わせで構成されてもよい。また、汎用のハードウェアは、プログラムが記録されたメモリ、及び、メモリからプログラムを読み出して実行する汎用のプロセッサ等で構成されてもよい。ここで、メモリは、半導体メモリ又はハードディスク等でもよいし、汎用のプロセッサは、CPU等でもよい。
【0068】
また、専用のハードウェアが、メモリ及び専用のプロセッサ等で構成されてもよい。例えば、専用のプロセッサが、データを記録するためのメモリを参照して、上記の車両誘導装置を実行してもよい。
【0069】
また、車両誘導装置の各構成要素は、電気回路であってもよい。これらの電気回路は、全体として1つの電気回路を構成してもよいし、それぞれ別々の電気回路であってもよい。また、これらの電気回路は、専用のハードウェアに対応していてもよいし、上記のプログラム等を実行する汎用のハードウェアに対応していてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本開示は、駐車場において、自動運転モードで走行する車両を誘導する車両誘導方法に利用可能である。
【符号の説明】
【0071】
10 駐車場管理システム
11 駐車場管理サーバ
12 車両監視システム
20、・・・、2n 車両
100 車両誘導装置
101 制御部
102 監視部
401 駐車場
402、501、503 駐車スペース
500 位置
502 空きスペース
601 走行ルート
701 解消ルート
801、802 退避ルート