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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-01
(45)【発行日】2024-08-09
(54)【発明の名称】制御装置、空調システム及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/65 20180101AFI20240802BHJP
   F24F 5/00 20060101ALI20240802BHJP
   F24F 11/74 20180101ALI20240802BHJP
   F24F 11/86 20180101ALI20240802BHJP
【FI】
F24F11/65
F24F5/00 K
F24F5/00 101B
F24F11/74
F24F11/86
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018134029
(22)【出願日】2018-07-17
(65)【公開番号】P2020012577
(43)【公開日】2020-01-23
【審査請求日】2021-07-13
【審判番号】
【審判請求日】2023-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】中村 隆則
(72)【発明者】
【氏名】坪野 正寛
(72)【発明者】
【氏名】大村 峰正
(72)【発明者】
【氏名】中野 学
【合議体】
【審判長】水野 治彦
【審判官】飯星 潤耶
【審判官】鈴木 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-161685(JP,A)
【文献】特開平9-303840(JP,A)
【文献】特開2005-214519(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/00- 1/86
F24F 5/00
F24F 11/00-11/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調対象となる空間の空気を吸入して前記空気の温度を制御する空気調和機と、前記空間に接する面に配置された放射パネルモジュールと、前記空気調和機によって温度制御された前記空気を前記放射パネルモジュールへ送出するファンと、前記放射パネルモジュールを通過した前記空気を前記空間へ吹き出す吹出口と、を含む空調システムの運転において、
前記放射パネルモジュールの放射面の温度制御を優先的に行う放射面重視モードと、前記空間の温度制御を優先的に行う空間重視モードと、前記放射面重視モードでも前記空間重視モードでもない一般的な運転モードである通常運転モードと、の3つの運転モードのうちの何れを実行するかを前記運転における任意のタイミングで受け付ける設定情報取得部と、
前記設定情報取得部が受け付けた前記運転モードが前記放射面重視モードの場合は前記ファンの回転数を所定の第1回転数以下に制御し、前記空間重視モードの場合は前記ファンの回転数を前記第1回転数より大きい所定の第2回転数以上に制御し、前記設定情報取得部が受け付けた前記運転モードが前記通常運転モードの場合、前記ファンの回転数を、ユーザが設定した風量に対応する回転数に設定して運転する制御部と、
を備える制御装置。
【請求項2】
前記設定情報取得部は、さらに前記空間重視モードについて前記空間の温度の目標値である第1の設定温度を取得し、前記放射面重視モードについて前記空間に接する面の温度の目標値である第2の設定温度を取得する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記空間の温度と前記空間の温度の目標値である設定温度の温度差に基づいて前記空気調和機が備える圧縮機の回転数を制御することによって前記設定温度に対する温度制御を行い、
前記放射面重視モードと前記空間重視モードの切り替えを前記ファンの回転数を変更することにより行う、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記空気調和機の暖房運転時に、
前記放射面の温度が、所定の第1閾値以上となると前記ファンの回転数を所定値まで上昇させる放射面温度上昇防止機能、
を備える請求項1から請求項3の何れか1項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記放射面の温度が、前記第1閾値より低い所定の第2閾値以下となると前記ファンの回転数を低下させる、
請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記空気調和機の冷房運転時に、
前記放射面の温度が、所定の第3閾値以下となると前記ファンの回転数を所定値まで上昇させる放射面温度低下防止機能、
を備える請求項1から請求項5の何れか1項に記載の制御装置。
【請求項7】
空調対象となる空間の空気を吸入して、前記空気の温度を制御する空気調和機と、
前記空間に接する面に配置された放射パネルモジュールと、
前記空気調和機によって温度制御された前記空気を前記放射パネルモジュールへ送出するファンと、
前記放射パネルモジュールを通過した前記空気を前記空間へ吹き出す吹出口と、
請求項1から請求項6の何れか1項に記載の制御装置と、
を備える空調システム。
【請求項8】
空調対象となる空間の空気を吸入して前記空気の温度を制御する空気調和機と、前記空間に接する面に配置された放射パネルモジュールと、前記空気調和機によって温度制御された前記空気を前記放射パネルモジュールへ送出するファンと、前記放射パネルモジュールを通過した前記空気を前記空間へ吹き出す吹出口と、を含む空調システムの運転において、
前記放射パネルモジュールの放射面の温度制御を優先的に行う放射面重視モードと、前記空間の温度制御を優先的に行う空間重視モードと、前記放射面重視モードでも前記空間重視モードでもない一般的な運転モードである通常運転モードと、の3つの運転モードのうちの何れを実行するかを前記運転における任意のタイミングで受け付けるステップと、
前記受け付けるステップにて受け付けた前記運転モードが前記放射面重視モードの場合は前記ファンの回転数を所定の第1回転数以下に制御し、前記空間重視モードの場合は前記ファンの回転数を前記第1回転数より大きい所定の第2回転数以上に制御し、前記受け付けるステップにて受け付けた前記運転モードが前記通常運転モードの場合、前記ファンの回転数を、ユーザが設定した風量に対応する回転数に設定して運転するステップと、
を有する制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、空調システム及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、空気調和機により温度制御された空調エアを床面に配置されたパネルボードに送り、パネルボードを冷却または加熱して、該パネルボードからの冷気または暖気を室内に放射する床放射冷暖房システムが開示されている。この床放射冷暖房システムでは、パネルボードを通過した空調エアをパネルボード端部のグリルより室内へ吹き出す。これにより、パネルボードからの熱放射だけでなく、空調エアによっても室内を冷暖房することができる。また、特許文献1には、室内へ吹き出した空調エアが、再び空気調和機に吸引され再利用されることが記載されている。
【0003】
また、特許文献2には、複数の床暖房パネルを床面に配置し、ヒートポンプユニットから床暖房パネルへ温水を供給する暖房装置が開示されている。特許文献2の図12には、複数の床暖房パネルの一部に対して供給する温水の流量を絞る間欠運転において、圧縮機の回転数、室外熱交換器の送風ファン、膨張弁の開度を制御することにより、冷媒回路の高圧の上昇を抑制する制御方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-232989号公報
【文献】特開2010-203749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、特許文献1に記載のような床放射冷暖房システムに対しては、足元を暖かくすることに対するニーズがある反面、足元の温度よりも空間全体の温度を重視して空調を行うニーズが存在する。しかし、ユーザの好みに応じて、それぞれのニーズに適した制御を実行する機能は提供されていない。また、特許文献1、2にもそれぞれのニーズに応じた制御を選択して実行することは開示されていない。
【0006】
そこでこの発明は、上述の課題を解決することのできる制御装置、空調システム及び制御方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、制御装置は、空調対象となる空間の空気を吸入して前記空気の温度を制御する空気調和機と、前記空間に接する面に配置された放射パネルモジュールと、前記空気調和機によって温度制御された前記空気を前記放射パネルモジュールへ送出するファンと、前記放射パネルモジュールを通過した前記空気を前記空間へ吹き出す吹出口と、を含む空調システムの運転において、前記放射パネルモジュールの放射面の温度制御を優先的に行う放射面重視モードと、前記空間の温度制御を優先的に行う空間重視モードと、前記放射面重視モードでも前記空間重視モードでもない一般的な運転モードである通常運転モードと、つの運転モードのうちの何れを実行するかを前記運転における任意のタイミングで受け付ける設定情報取得部と、前記設定情報取得部が受け付けた前記運転モードが前記放射面重視モードの場合、前記ファンの回転数を所定の第1回転数以下に制御し、前記空間重視モードの場合、前記ファンの回転数を前記第1回転数より大きい所定の第2回転数以上に制御し、前記設定情報取得部が受け付けた前記運転モードが前記通常運転モードの場合、前記ファンの回転数を、ユーザが設定した風量に対応する回転数に設定して運転する制御部と、を備える。
【0008】
本発明の一態様によれば、前記設定情報取得部は、さらに前記空間重視モードについて前記空間の温度の目標値である第1の設定温度の設定を取得し、前記放射面重視モードについて前記空間に接する面の温度の目標値である第2の設定温度の設定を取得する。
【0010】
本発明の一態様によれば、前記制御装置は、前記空間の温度と前記空間の温度の目標値である設定温度の温度差に基づいて前記空気調和機が備える圧縮機の回転数を制御することによって前記設定温度に対する温度制御を行い、前記放射面重視モードと前記空間重視モードの切り替えを前記ファンの回転数を変更することにより行う。
【0011】
本発明の一態様によれば、前記制御装置は、前記空気調和機の暖房運転時に、前記放射面の温度が、所定の第1閾値以上となると前記ファンの回転数を所定値まで上昇させる放射面温度上昇防止機能、を備える。
【0012】
本発明の一態様によれば、前記制御装置は、前記放射面の温度が、前記第1閾値より低い所定の第2閾値以下となると前記ファンの回転数を低下させる。
【0013】
本発明の一態様によれば、前記制御装置は、前記空気調和機の冷房運転時に、前記放射面の温度が、所定の第3閾値以下となると前記ファンの回転数を所定値まで上昇させる放射面温度低下防止機能、を備える。
【0014】
本発明の一態様によれば、空調システムは、空調対象となる空間の空気を吸入して、前記空気の温度を制御する空気調和機と、前記空間に接する面に配置された放射パネルモジュールと、前記空気調和機によって温度制御された前記空気を前記放射パネルモジュールへ送出するファンと、前記放射パネルモジュールを通過した前記空気を前記空間へ吹き出す吹出口と、上記の何れかに記載の制御装置と、を備える。
【0015】
本発明の一態様によれば、制御方法は、空調対象となる空間の空気を吸入して前記空気の温度を制御する空気調和機と、前記空間に接する面に配置された放射パネルモジュールと、前記空気調和機によって温度制御された前記空気を前記放射パネルモジュールへ送出するファンと、前記放射パネルモジュールを通過した前記空気を前記空間へ吹き出す吹出口と、を含む空調システムの運転において、前記放射パネルモジュールの放射面の温度制御を優先的に行う放射面重視モードと、前記空間の温度制御を優先的に行う空間重視モードと、前記放射面重視モードでも前記空間重視モードでもない一般的な運転モードである通常運転モードと、つの運転モードのうちの何れを実行するかを前記運転における任意のタイミングで受け付けるステップと、前記受け付けるステップにて受け付けた前記運転モードが前記放射面重視モードの場合、前記ファンの回転数を所定の第1回転数以下に制御し、前記空間重視モードの場合、前記ファンの回転数を前記第1回転数より大きい所定の第2回転数以上に制御し、前記受け付けるステップにて受け付けた前記運転モードが前記通常運転モードの場合、前記ファンの回転数を、ユーザが設定した風量に対応する回転数に設定して運転するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、放射式と対流式を組み合わせた空調システムにおいて、放射パネルの表面温度(放射面)の温度制御を重視する運転モードと空間の温度制御を重視する運転モードと選択して実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態における空調システムの一例を示す概略図である。
図2】本発明の一実施形態における放射パネルとその配置例を示す図である。
図3】本発明の一実施形態における冷媒回路の一例を示す図である。
図4】本発明の一実施形態における制御装置の一例を示すブロック図である。
図5】本発明の一実施形態における運転モード切替制御のフローチャートである。
図6】本発明の一実施形態における暖房時の床面温度上昇防止制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施形態>
以下、本実施形態の空調システムについて図を参照しつつ説明を行う。
図1は、本発明の一実施形態における空調システムの一例を示す概略図である。
空調システム100は、室内機10と、室外機20と、放射パネルモジュール40A,40Bと、ダクト13と、を備える。以下、放射パネルモジュール40A,40B等を総称して放射パネルモジュール40と記載する場合がある。
室内機10は、空調対象となる室内の空間W0の天井裏などに設置され、吸込口W1から空間W0の空気Wを吸入し、この空気Wを適切な温度に調節してダクト13へ送出する。空間W0の床、壁面、天井などには、少なくとも1つの放射パネルモジュール40が配置され、ダクト13へ送出された温度制御済みの空気は、放射パネルモジュール40へ供給される。放射パネルモジュール40は、ふく射熱を空間W0へ放射する放射パネルと、室内機10から供給される空気Wが通過する風路を備える。放射パネルは空間W0と接するように床、壁、天井などの表面にその放射面(放射パネル)が空間W0側を向くように配置され、放射パネルの裏面を通過する温度制御済みの空気Wが放射パネルを冷却または加熱する。放射パネルが冷却または加熱されることにより、放射パネルを介してふく射熱が空間W0へ伝達し、空間W0を冷房または暖房する。なお、放射パネルモジュール40A、放射パネルモジュール40Bは、配管等で接続されていて、放射パネルモジュール40Aを通過した空気Wは、放射パネルモジュール40Bへ供給される。室内機10から供給される空気Wは、放射パネルモジュール40A、放射パネルモジュール40Bを通過し、吹出口W2Aから空間W0へ吹き出され、空間W0を冷却または加熱する。このように空調システム100は、放射式および対流式の2方式による空調を行って空間W0の冷暖房を行う。
【0019】
空調システム100は、放射パネルモジュール40の放射面の温度を計測する温度センサ16を備える。放射面の温度を計測する温度センサ16とは、例えば、赤外線温度センサ14である。あるいは、温度センサ16は、放射パネルモジュール40A、40Bの放射面に設けられた熱電対15A,15Bでもよい。図1の例のように放射パネルモジュール40を床面に配置する場合、温度センサ16は、床面温度を計測する。
【0020】
次に放射パネルモジュール40の構成および配置の一例について説明する。
図2は本発明の一実施形態における放射パネルモジュールとその配置例を示す図である。図2に放射パネルモジュール40の平面図を示す。図2に示す例では、空間W0の床面に4つの放射パネルモジュール40A,40B,40C,40Dが配置されている。放射パネルモジュール40Aを例に放射パネルモジュール40の構成を説明する。放射パネルモジュール40Aは、ダンパー42Aと、流路形成部材41A1,41A2,41A3,41A4,41A5,41A6と、ダンパー制御部43Aと、入口部44Aと、出口部45Aと、を備えている。また、放射パネルモジュール40Aの上側の面(空間W0の床面)は、図示しない放射パネルで形成されている。ダンパー制御部43Aは、制御装置30の指示に基づいてダンパー42Aの開閉動作を制御する。ダンパー42Aが実線で示す位置にあるとき(開状態とする)、入口部44Aから流入した空気Wは、実線矢印が示す方向にバイパス流路46Aを通過し、出口部45Aから送り出される。一方、ダンパー制御部43Aの制御によりダンパー42Aが破線で示す位置にあるとき(閉状態とする)、入口部44Aから流入した空気Wは、破線矢印が示す方向に熱交換流路47A1,47A2,47A3,47A4,47A5,47A6,47A7を通過し、出口部45Aから送り出される。
【0021】
空気Wが、熱交換流路47A1等を通過すると、放射パネルモジュール40Aからのふく射熱が増大し、暖房時には床(放射パネル)が暖かくなる。反対に空気Wがバイパス流路46Aを通過した場合には、放射パネルモジュール40Aが配置された領域の床の温度上昇は抑えられ、暖かい空気Wは対流式の空調で利用される。例えば、ユーザが、放射パネルモジュール40Aが配置された領域で過ごす場合、リモートコントローラ等によって、放射パネルモジュール40Aのダンパー42Aを切り替える指示を行い、空気Wが熱交換流路47A1等を通過するように制御することができる。あるいは、冷房運転時にユーザが、放射パネルモジュール40Aが配置された領域で過ごす場合、足元が冷えるのを抑えるためにリモートコントローラにより、ダンパー42Aを切り替える指示を行い、空気Wがバイパス流路46Aを通過するように制御することができる。放射パネルモジュール40B~40Dについても同様に構成されている。
【0022】
図示するように放射パネルモジュール40Aと放射パネルモジュール40Bは配管50Aで接続されている。同様に放射パネルモジュール40Cと放射パネルモジュール40Dは配管50Cで接続されている。ダクト13は2つに分岐して、入口部44A,44Cと接続している。室内機10からダクト13を介して温度制御済みの空気Wが放射パネルモジュール40Aの入口部44Aと放射パネルモジュール40Cの入口部44Cへ供給される。放射パネルモジュール40Aへ供給された空気Wは、バイパス流路46A又は熱交換流路47A1等を通過して出口部45Aから配管50Aを介して放射パネルモジュール40Bの入口部44Bへ供給される。同様に放射パネルモジュール40Cへ供給された空気Wは、放射パネルモジュール40Cの内部を通過して出口部45Cから配管50Cを介して放射パネルモジュール40Dの入口部44Dへ供給される。放射パネルモジュール40B,40Dについても同様である。放射パネルモジュール40B,40Dがそれぞれ出口部45B,45Dから送り出した空気Wは、吹き出し口W2A~W2Dから空間W0へ吹き出される。
【0023】
放射パネルモジュール40A~40Dのダンパー42A~42Dは、各々独立して制御することができるので、例えば、放射パネルモジュール40Aのみ空気Wが熱交換流路47A1等を流れるようにダンパー42Aを閉状態とし、放射パネルモジュール40B~40Dについては、それぞれダンパー42B~42Dを開状態に制御することができる。
【0024】
吹き出し口W2A~W2Dから空間W0へ吹き出された空気Wは、空間W0を冷房または暖房して、再び吸込口W1から室内機10へ吸入される。図1図2に例示するように、天井の吸入口W1と吹出口W2A~W2Dとを離れた位置に設け、その間に複数の放射パネルモジュール40を並べて配置することができる。例えば、吸入口W1と吹出口W2A等とが、空調対象の部屋の両端に近い位置に設けられていれば、対流式の空調において部屋全体を偏りなく空調することができる。また、複数の放射パネルモジュール40を、配管50を介して任意の方向に接続することで2次元平面状に放射パネルを配置することができる。これにより、放射式の空調によっても部屋全体を空調することができる。
【0025】
なお、ダンパー42Aの切り替えは、完全な開状態と閉状態との間で切り替える制御に限定されない。例えば、ステッピングモータを用いて、開状態と閉状態との間を多段階に切り替えられるように制御してもよい。これにより、熱交換流路47A1等に流入する空気Wの流量とバイパス流路46Aに流入する空気Wの流量とを調整し、より細やかな温度制御を行うことができる。例えば、暖房中に床の温度が高いと感じた場合、ユーザの指示によりダンパー制御部43Aは、ダンパー42Aの位置を開状態と閉状態の中間の位置に制御してもよい。すると、閉状態に制御した場合よりは少ない量の空気Wが熱交換流路47A1等へ流入するため、床の温度上昇を抑えることができる。
【0026】
図1に戻り、吸込口W1から吸入された空気Wは、室内機10が備える室内熱交換器2との間で熱交換を行い、適切な温度に制御され、ファン9によって再びダクト13へ送出される。室内機10は、室内熱交換器2、ファン9、温度センサ11、湿度センサ12、制御装置30を備える。また、制御装置30は、温度センサ16と接続されている。温度センサ11は、吸込口W1から吸入された空気Wの温度を計測する。湿度センサ12は、吸込口W1から吸入された空気Wの湿度(相対湿度)を計測する。制御装置30は、温度センサ11および湿度センサ12の計測値に基づいて、ファン9の回転数を制御し、空気Wをダクト13へ送出する。室内機10は、室外機20と冷媒配管6、図示しない通信線等で接続される。室内機10と室外機20は、冷凍サイクルを構成しており、冷媒を冷凍サイクル内で循環させることによって冷媒の加熱・冷却を行い、室内熱交換器2を通じて空気Wを所望の温度に制御する。
【0027】
ここで、図3を用いて、室内機10と室外機20による冷凍サイクルの運転について説明する。図3は、本発明の一実施形態における冷媒回路の一例を示す図である。
図3に示すように室内機10は、室内熱交換器2、ファン9を備える。室外機20は、圧縮機1、膨張弁3、室外熱交換器4、四方弁5を備える。圧縮機1、室内熱交換器2、膨張弁3、室外熱交換器4、四方弁5は冷媒配管6で接続される。
圧縮機1は、冷媒を圧縮し、圧縮後の高温、高圧の冷媒を吐出する。暖房運転では、冷媒は矢印8の方向に循環する。つまり、圧縮機1が吐出した冷媒は、四方弁5を介して室内熱交換器2に供給される。冷媒は、室内熱交換器2にて、吸込口W1から吸入した空気Wへ放熱し、凝縮して液化する。凝縮した冷媒は、膨張弁3によって減圧され、低圧の冷媒となる。低圧の冷媒は、室外熱交換器4へ供給され、外気からの吸熱により気化する。気化した冷媒は、四方弁5を通過して圧縮機1へ吸入される。圧縮機1は低圧の冷媒を圧縮して高圧の冷媒を吐出する。
【0028】
また、冷房運転では、冷媒は矢印7の方向に循環する。つまり、圧縮機1が吐出した高圧の冷媒は、四方弁5を介して室外熱交換器4に供給され外気へ放熱し凝縮する。凝縮した冷媒は膨張弁3によって減圧される。低圧の冷媒は、室内熱交換器2へ供給され、空気Wから吸熱して空気Wを冷却し、気化する。気化した冷媒は、四方弁5を通過して圧縮機1へ吸入される。圧縮機1は低圧の冷媒を圧縮して高圧の冷媒を吐出する。
【0029】
室外機20の制御装置21は、暖房と冷房に応じた四方弁5の切り替えや、温度センサ11が計測した空気Wの温度と設定温度との差に応じた回転数で圧縮機1を駆動するなどして、空間W0の温度が、ユーザが設定した設定温度となるように冷凍サイクルの運転を行う。空気Wと冷媒は、室内熱交換器2で熱交換する。制御装置30は、所定の回転数でファン9を制御して、所望の温度に制御された熱交換後の空気Wをダクト13へ送出する。また、例えば、制御装置30は、温度センサ16が計測する放射面の温度に基づいてファン9の回転数を制御する。制御装置30は、ファン9の回転数を制御することによって、床面の温度を制御する。
【0030】
図4は、本発明の一実施形態における制御装置の一例を示すブロック図である。
制御装置30は、例えばマイコン等のコンピュータ装置である。図示するように制御装置30は、センサ情報取得部31と、設定情報取得部32と、タイマ33と、記憶部34と、制御部35と、通信部36とを備えている。なお、制御装置30は、室内機10に関して種々の制御を行うが、本明細書では、ファン9の回転数により床面の温度を制御する機能を中心に説明する。
【0031】
センサ情報取得部31は、温度センサ11から空気Wの温度の計測値、湿度センサ12から空気Wの湿度の計測値、温度センサ16から床面温度(放射面の表面温度)を取得する。
設定情報取得部32は、ユーザがリモートコントローラ等から入力した各種設定情報を取得する。例えば、設定情報取得部32は、運転の開始と停止の指示、冷房・暖房の設定、室温の設定、風量の設定、床のどのエリア(放射パネルモジュール40A~40Dの何れか)を温めるか(又は冷却するか)、床面温度(放射パネルモジュール40の放射面の表面温度)を重視する運転モード(放射面重視モード)で運転するか、空間温度(空間重視モード)を重視する運転モードで運転するか等の設定情報を取得する。放射面重視モードとは、暖房であれば床面温度がより暖かくなるよう運転する運転モードであり、冷房であれば床面温度がより冷却されるよう運転する運転モードである。空間重視モードとは、冷暖房ともに空間W0の温度が早く設定温度に達するように制御する運転モードである。例えば、放射面重視モードの場合、設定情報取得部32は、目標とする床面温度や床面温度の上限値、下限値の設定情報を取得してもよい。また、設定情報取得部32は、放射面重視モードでも空間重視モードでもない、一般的な運転モード(通常運転モード)の設定情報を取得してもよい。
タイマ33は、時間を計測する。
記憶部34は、センサ情報取得部31が取得した温度や湿度の計測値、設定情報取得部32が取得した各種設定情報など種々の情報を記憶する。また、記憶部34は、制御装置30の機能を実現する各種プログラムを記憶する。
【0032】
制御部35は、室内機10の制御、室外機20と連携して空調システム100の制御を行う。例えば、設定情報取得部32が、冷房の運転開始指示、冷房時の設定温度を取得すると、制御部35は、通信部36を介して、室外機20の制御装置21へ、温度センサ11の計測値と共にそれらの設定情報を通知する。制御装置21は、温度センサ11の計測値と設定温度の差に基づいて、圧縮機1を駆動し、空気Wが所望の温度となるよう冷凍サイクルを運転する。また、例えば、設定情報取得部32が、所定の風量の設定情報を取得すると、制御部35は、ダクト13へ供給される空気Wの風量が所定の風量となるようファン9の回転数を制御する。例えば、風量が強、中、弱の3段階で設定できる場合、それらの設定ごとにファン9の回転数が定められていて、制御部35は、ユーザが設定した風量の設定に対応する回転数でファン9を駆動する。また、例えば、冷房時にユーザが、放射パネルモジュール40Aのエリアをあまり冷やさないように設定した場合、制御部35は、ダンパー制御部43Aへ、ダンパー42Aを開状態とするよう指示する。
【0033】
制御部35は、ユーザが設定した運転モードに応じてファン9の回転数を制御する。具体的には、運転モードが放射面重視モードの場合、制御部35は、ファン9を低速で運転し、運転モードが空間重視モードの場合には高速で運転する。
例えば、暖房の場合、ファン9の回転数を上昇させると、室内熱交換器2を通過する空気Wの単位時間あたりの風量が増大する。すると、空気Wは十分に昇温されないうちに室内熱交換器2を通過してダクト13へ送出される。つまり、室内機10から送出される空気Wの温度は、風量が少ないときと比べて低温である。反対にファン9の回転数を低下させると、室内熱交換器2を通過する空気Wの単位時間あたりの風量が少なくなり、空気Wは、室内熱交換器2で十分に熱交換されて高温となった状態でダクト13へ送出される。
【0034】
例えば、暖房の場合、ファン9の回転数を低速にし、高温の空気Wがダクト13を介して放射パネルモジュール40へ供給されると、放射パネルの温度は上昇する。従って、ユーザが放射面重視モードを指定した場合、制御部35は、ファン9の回転数を、空間重視モードの場合よりも低速に設定して運転する。反対に空間重視モードの場合は、風量を増大させ、温度制御後の空気Wをより多く空間W0に供給するようにする。これにより、空間W0の温度は早く設定温度に到達する。
【0035】
冷房の場合も同様である。つまり、ファン9の回転数を上昇させると、空気Wは十分に冷却されないまま室内熱交換器2を通過し、比較的高温の状態でダクト13へ送出される。反対にファン9の回転数を低下させると、十分に冷却された空気Wがダクト13へ送出される。従って、冷房運転時にユーザが放射面重視モードを指定した場合、制御部35は、ファン9の回転数を、空間重視モードの場合よりも低速に設定して運転する。これにより、床面はより冷却される。
【0036】
なお、上記の通り、制御部35は、運転モードの切り替えとは別に、ダンパー制御部43A等を介したダンパー42Aの開閉制御により、より温めたい、又は冷却したい領域に配置された放射パネルモジュール40を重点的に温めたり、冷却したりすることができる。
【0037】
通信部36は、制御装置21との間の通信を行う。例えば、設定情報取得部32が、運転停止指示を取得すると、通信部36は、その運転停止指示を室外機20の制御装置21へ送信する。また、通信部36は、ダンパー制御部43A等と通信を行う。例えば、制御部35が、ダンパー42Aを閉状態にするよう指示した場合、通信部36は、その指示情報を、ダンパー制御部43Aへ送信する。
【0038】
次に本実施形態の運転モードの切り替えの処理の流れについて、図1図4の空調システム100の構成を例に説明を行う。
図5は、本発明の一実施形態における運転モード切替制御のフローチャートである。
まず、ユーザの指示により空調システム100が冷房または暖房運転を開始する(ステップS11)。具体的には、ユーザが冷房または暖房運転の開始指示をリモートコントローラ等により入力する。通信部36はその開始指示を室外機20の制御装置21へ送信する。制御装置21は、冷房運転か暖房運転かに応じて四方弁を切り替えたり、圧縮機1を起動したりして冷凍サイクルの運転を開始する。運転中、通信部36は、センサ情報取得部31が取得した温度センサ11による空気Wの温度を所定の時間間隔で室外機20の制御装置21へ送信する。制御装置21は、空気Wの温度が、設定温度に近づくように圧縮機1の回転数を調整する。
【0039】
次にユーザが運転モードをリモートコントローラから設定する。設定情報取得部32は、運転モードの設定情報を取得し、制御部35に出力する。制御部35は、ユーザが設定した運転モードを判定する(ステップS12)。運転モードが空間重視モードの場合(ステップS12;空間)、制御部35は、ファン9の回転数を所定の第2回転数以上に設定して運転する(ステップS13)。運転モードが放射面重視モードの場合(ステップS12;床)、制御部35は、ファン9の回転数を所定の第1回転数以下に設定して運転する(ステップS14)。ここで、第1回転数は、第2回転数よりも低い値である。ファン9の風量を5段階で設定できる場合、例えば、第1回転数とは下から2番目の風量に対応する回転数であり、第2回転数は上から2番目の風量に対応する回転数である。このような設定において、例えば、制御部35は、放射面重視モードの場合、運転の開始からしばらくの間は、最も小さい風量に対応する回転数でファン9を運転して優先的に床を暖房又は冷房し、温度センサ16による床面温度が所定の目標温度に達したら、ファン9の回転数を、下から2番目の風量に対応する回転数に上昇させてもよい。空間重視モードの場合も同様に、運転の開始からしばらくの間は、最も大きな風量に対応する回転数でファン9を運転して、温度センサ11が計測した温度と設定温度との差が所定の範囲内に達したら、ファン9の回転数を、上から2番目の風量に対応する回転数に下降させてもよい。また、放射面重視モードの場合、下から2番目の風量に対応する回転数に上昇させたのち、温度センサ16による床面温度と所定の目標温度の差が所定の範囲外となると、再びファン9の回転数を最も小さい風量に対応する回転数に低下して床の温度制御を強化してもよい。空間重視モードの場合も同様である。
【0040】
また、運転モードが通常運転モードの場合(ステップS12;通常)、制御部35は、ファン9の回転数をユーザが設定した風量に対応する回転数に設定して運転する(ステップS15)。
【0041】
次に制御部35が、冷房または暖房運転を終了するかどうかを判定する(ステップS16)。例えば、制御部35は、設定情報取得部32が運転の停止を指示する情報を取得すると、冷房または暖房運転を終了すると判定する。運転を終了しない場合(ステップS16;No)、ステップS12以降の処理を繰り返す。運転を終了する場合(ステップS16;Yes)、制御装置21、30は、冷房または暖房運転の終了処理を行う。例えば、制御装置21は、圧縮機1を停止する。また、制御部35は、ファン9を停止する。
【0042】
本実施形態によれば、放射パネルモジュール40の放射面の温度を、ファン9の回転数を変更することにより制御することができる。また、利用可能な運転モードとして、放射面重視モードと空間重視モードを設けることで、ユーザの嗜好に応じて、例えば、暖房時に足元が暖かくなることを好むユーザであれば、放射面重視モードを選択することにより所望の空調環境を手に入れることができる。また、例えば、冷房時に足元が冷えることを好まないユーザであれば、空間重視モードを選択することによって、快適な空間とすることができる。
【0043】
ところで、床暖房を利用する際、人体と接触する床面の温度によっては、ユーザが低温やけどを起こす可能性がある。本実施形態では、ファン9の回転数を制御することによって低温やけどのリスクを低減することができる。
図6は、本発明の一実施形態における暖房時の床面温度上昇防止制御のフローチャートである。
前提として制御部35は、低温やけどのおそれがある放射面温度の情報を保持しているものとする。まず、ユーザの指示により空調システム100が暖房運転を開始する(ステップS21)。室外機20は、図5を用いて説明したように温度センサ11の計測値とユーザの設定温度に基づいて冷凍サイクルの運転を行う。室内機10では、制御部35が、温度センサ16の計測値を監視しながら、ファン9の回転数を制御する。
具体的には、制御部35は、温度センサ16が計測する床面温度が、第1閾値以上かどうかを判定する(ステップS22)。第1閾値とは、例えば、低温やけどが起きる可能性がある床面温度に対して余裕をもたせて低く設定された温度である。床面温度が第1閾値に達しない場合(ステップS22;No)、制御部35は、運転モードに応じたあるいはユーザが設定した所定の回転数で、ファン9の運転を継続する。床面温度が第1閾値以上となった場合(ステップS22;Yes)、ファン9の回転数を第3回転数以上に設定してファン9の運転を行う(ステップS23)。第3回転数とは、暖房時、放射パネルモジュール40の放射面の温度上昇を抑えることができる風量に対応する回転数である。上記のとおり、ファン9の回転数を上昇させることにより、暖房運転であれば、比較的低温な空気Wが、放射パネルモジュール40へ供給される。これにより、放射パネルの温度上昇を防止することができる。
【0044】
ファン9の回転数を第3回転数以上に設定した場合、制御部35は、床面温度が第2閾値以下に低下したかどうかを判定する(ステップS24)。第2閾値とは、制御の安定性のために第1閾値よりも低く設定された温度である。床面温度が第2閾値以下に低下しない場合(ステップS24;No)、制御部35は、第3回転数以上でのファン9の運転を継続する。床面温度が第2閾値以下に低下すると(ステップS24;Yes)、制御部35は、例えば、第3回転数以上に上昇させる前の元の回転数に戻してファン9を運転する(ステップS25)。次に制御部35が、暖房運転を終了するかどうかを判定する(ステップS26)。暖房運転を終了しない場合(ステップS26;No)、制御部35は、ステップS22以降の処理を繰り返す。暖房運転を終了する場合(ステップS26;Yes)、制御装置21、30は、暖房運転の終了処理を行う。このような制御により、ユーザを低温やけどから保護することができる。
【0045】
図6で説明した制御は、低温やけどの防止以外にも適用することができる。例えば、放射パネルの材料によっては、ある温度以上の運転が続くと材料の反りや劣化が発生する可能性がある。このような材料の反りや劣化を防止する目的で図6と同様の制御をおこなってもよい。例えば、予め記憶部34に放射面の材料情報とそれに対応する第1閾値、第2閾値の情報を登録しておく。そして、リモートコントローラから放射パネルモジュール40の放射パネルの材料情報を設定できるようにする。そして暖房運転中、制御部35は、設定した材料情報に対応する第1閾値、第2閾値に基づいて図6のフローチャートと同様の制御を行う。これにより、床面の温度上昇による放射パネルの劣化を防止することができる。また、図6のフローチャートでは、床面温度のみによってファン9の回転数を変更することとしたが、さらに連続運転時間や累積運転時間を考慮してファン9の回転数制御を行ってもよい。例えば、ステップS22の判定を「床面温度が第1温度以上の状態がX分継続したか?」といった条件に変更することができる。
【0046】
また、ユーザがリモートコントローラから第1閾値、第2閾値に任意の値を設定し、図6の制御により、床面温度が所望の範囲内に維持されるよう制御してもよい。この場合、第1閾値は床面温度の上限値、第2閾値は下限値である。また、第1閾値、第2閾値の代わりに床面温度の目標値を設定できるようにし、制御部35が設定された目標温度に対して適切な第1閾値、第2閾値を設定することで、暖房中の床面温度が、ユーザが設定した目標温度となるよう制御してもよい。これにより、ユーザは、床面温度を所望の範囲内の温度に制御することができる。
【0047】
また、図6に示す制御は、冷房運転に対しても適用することができる。例えば、ステップS22の判定では、床面温度が第3閾値以下かどうかを判定し、第3温度以下まで低下していれば、ファン9の回転数を上昇させて床面温度の低下を防ぐ(放射面温度低下防止機能)。また、ステップS24の判定では、床面温度が第4閾値(第3閾値<第4閾値)以上かどうかを判定し、ファン9の回転数を上昇させた結果、床面温度が第4閾値以上まで上昇すれば、再びファン9の回転数を低下させる。これにより、冷房運転時に床面温度を所望の範囲に制御できる。
【0048】
本実施形態によれば、空調対象となる空間W0の空気Wを吸入して、空気Wの温度を制御する空気調和機(室内機10、室外機20)と、空間W0に接する面に配置された放射パネルモジュール40と、空気調和機によって温度制御された空気Wを放射パネルモジュール40へ送出するファン9と、放射パネルモジュール40を通過した空気Wを空間W0へ吹き出す吹出口W2A等とを備える空調システム100において、放射パネル表面の温度をファン9の回転数を上下させることにより制御することができる。また、ファン9の回転数を調整することにより、放射パネルモジュール40の放射面の温度制御を優先するか、空間の温度制御を優先するかを選択することができる。
【0049】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。また、この発明の技術範囲は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施例では、放射パネルモジュール40等を床面に配置する例を挙げたが、天井や壁面に配置してもよい。
【符号の説明】
【0050】
1・・・圧縮機
2・・・室内熱交換器
3・・・膨張弁
4・・・室外熱交換器
5・・・四方弁
6・・・冷媒配管
9・・・ファン
10・・・室内機
11・・・温度センサ
12・・・湿度センサ
13・・・ダクト
14・・・赤外線温度センサ
15・・・熱電対
16・・・温度センサ
20・・・室外機
21・・・制御装置
30・・・制御装置
31・・・センサ情報取得部
32・・・設定情報取得部
33・・・タイマ
34・・・記憶部
35・・・制御部
36・・・通信部
40A、40B、40C、40D・・・放射パネルモジュール
41A1,41A2,41A3,41A4,41A5,41A6・・・流路形成部材
42A・・・ダンパー
43A・・・ダンパー制御部
44A・・・入口部
45A・・・出口部
46A・・・バイパス流路
47A1,47A2,47A3,47A4,47A5,47A6,47A7・・・熱交換流路
50A、50C・・・配管
100・・・空調システム
W・・・空気
W0・・・空間
W1・・・吸込口
W2A、W2B、W2C、W2D・・・吹出口
図1
図2
図3
図4
図5
図6