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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-01
(45)【発行日】2024-08-09
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 25/771 20230101AFI20240802BHJP
   H04N 25/77 20230101ALI20240802BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20240802BHJP
【FI】
H04N25/771
H04N25/77
H01L27/146 A
H01L27/146 F
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2019207287
(22)【出願日】2019-11-15
(65)【公開番号】P2021082897
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】椎原 由宇
(72)【発明者】
【氏名】町田 貴志
(72)【発明者】
【氏名】大池 祐輔
【審査官】鈴木 明
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-220896(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 25/00-25/79
H01L 27/146
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面と、前記第1の面と反対側の第2の面とを含む、第1導電型の第1の半導体基板と、
前記第1の半導体基板の第1の面側に埋設され、受光量に応じた電荷を光電変換により生成する、第2導電型の光電変換部と、
前記第1の半導体基板の第2の面側に並列に埋設され、前記光電変換部において生成された前記電荷を蓄積する、前記第2導電型の第1の電荷蓄積部および第2の電荷蓄積部と、
前記電荷を前記光電変換部から前記第1の電荷蓄積部へ転送する第1の電荷転送部と、
前記電荷を前記光電変換部から前記第2の電荷蓄積部へ転送する第2の電荷転送部とを備え、
前記第1の電荷蓄積部および前記第2の電荷蓄積部の第1の方向のピッチは、前記光電変換部の第1の方向のピッチの略半分のピッチを有する
撮像装置。
【請求項2】
前記光電変換部から前記第1の電荷蓄積部への前記電荷の転送方向は、前記光電変換部から前記第2の電荷蓄積部への前記電荷の転送方向と逆方向である、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記第1の電荷蓄積部から前記電荷が転送される第1の電荷電圧変換部と、前記第2の電荷蓄積部から前記電荷が転送される第2の電荷電圧変換部とをさらに有する、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記第1の電荷蓄積部から前記電荷が転送される第1の電荷電圧変換部と、前記第2の電荷蓄積部から前記電荷が転送される第2の電荷電圧変換部とをさらに有し、
前記第1の方向と直交する第2の方向に、前記光電変換部が複数配置され、
複数の前記光電変換部として、順に配置された第1の光電変換部、第2の光電変換部、第3の光電変換部および第4の光電変換部を有し、
前記第1の電荷電圧変換部は、前記第1の光電変換部と前記第3の光電変換部と共有され、前記第2の電荷電圧変換部は、前記第2の光電変換部と前記第4の光電変換部と共有されている、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記第1の光電変換部および前記第2の光電変換部は、前記第1の電荷電圧変換部および前記第2の電荷電圧変換部を互いに共有している、請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記第1の電荷蓄積部および前記第2の電荷蓄積部の前記第1の方向のピッチは、前記光電変換部の前記第1の方向のピッチと同じピッチを有している、請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記光電変換部は、一部が前記第2の面に向かって延在している、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記第1の半導体基板は、前記第1の面に設けられ、前記光電変換部まで達する1または複数の縦型トランジスタをさらに有する、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記第1の半導体基板は、前記複数の縦型トランジスタとして第1の縦型トランジスタおよび第2の縦型トランジスタを有し、
前記第1の縦型トランジスタと前記第2の縦型トランジスタとを結ぶ線は、前記第1の電荷蓄積部および前記第2の電荷蓄積部の配列方向と直交している、請求項8に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記第1の半導体基板は、前記第1の面に、前記光電変換部まで達する複数の縦型トランジスタをさらに有し、
前記複数の縦型トランジスタが、前記第1の電荷転送部および前記第2の電荷転送部の一部を兼ねている、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記光電変換部をリセットする排出トランジスタをさらに有する、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記光電変換部から前記第1の電荷蓄積部および前記第2の電荷蓄積部へ前記電荷の転送方向と、前記光電変換部から前記排出トランジスタへの前記電荷の転送方向は、互いに直交する、請求項11に記載の撮像装置。
【請求項13】
前記第1の電荷蓄積部と前記第2の電荷蓄積部とは、互いに異なる大きさを有する、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項14】
前記第1の電荷電圧変換部が前記第1の電荷蓄積部を兼ねている、請求項3に記載の撮像装置。
【請求項15】
前記第1の半導体基板は、前記第1の電荷電圧変換部および前記第2の電荷電圧変換部から出力される信号の読み出しを行う読出回路をさらに有する、請求項3に記載の撮像装置。
【請求項16】
前記第1の電荷電圧変換部および前記第2の電荷電圧変換部から出力される信号の読み出しを行う画素回路が設けられた第2の半導体基板をさらに有し、
前記第2の半導体基板は、層間絶縁層を間に、前記第1の半導体基板の前記第2の面側に積層されている、請求項3に記載の撮像装置。
【請求項17】
第1の面と、前記第1の面と反対側の第2の面とを含む、第1導電型の第1の半導体基板と、
前記第1の半導体基板の第1の面側に埋設され、受光量に応じた電荷を光電変換により生成する、第2導電型の光電変換部と、
前記第1の半導体基板の第2の面側に並列に埋設され、前記光電変換部において生成された前記電荷を蓄積する、前記第2導電型の第1の電荷蓄積部および第2の電荷蓄積部と、
前記電荷を前記光電変換部から前記第1の電荷蓄積部へ転送する第1の電荷転送部と、
前記電荷を前記光電変換部から前記第2の電荷蓄積部へ転送する第2の電荷転送部と、
前記第1の電荷蓄積部から前記電荷が転送される第1の電荷電圧変換部と、
前記第2の電荷蓄積部から前記電荷が転送される第2の電荷電圧変換部と
を備えた撮像装置。
【請求項18】
前記第1の電荷電圧変換部および前記第2の電荷電圧変換部から出力される信号の読み出しを行う画素回路が設けられた第2の半導体基板をさらに有し、
前記第2の半導体基板は、層間絶縁層を間に、前記第1の半導体基板の前記第2の面側に積層されている、請求項17に記載の撮像装置。
【請求項19】
第1の面と、前記第1の面と反対側の第2の面とを含む、第1導電型の第1の半導体基板と、
前記第1の半導体基板の第1の面側に埋設され、受光量に応じた電荷を光電変換により生成する、第2導電型の光電変換部と、
前記第1の半導体基板の第2の面側に並列に埋設され、前記光電変換部において生成された前記電荷を蓄積する、前記第2導電型の第1の電荷蓄積部および第2の電荷蓄積部と、
前記電荷を前記光電変換部から前記第1の電荷蓄積部へ転送する第1の電荷転送部と、
前記電荷を前記光電変換部から前記第2の電荷蓄積部へ転送する第2の電荷転送部と、
前記第1の半導体基板の前記第1の面に設けられ、前記光電変換部まで達する1または複数の縦型トランジスタと
を備えた撮像装置。
【請求項20】
前記第1の電荷蓄積部から前記電荷が転送される第1の電荷電圧変換部と、
前記第2の電荷蓄積部から前記電荷が転送される第2の電荷電圧変換部と、
前記第1の電荷電圧変換部および前記第2の電荷電圧変換部から出力される信号の読み出しを行う画素回路が設けられた第2の半導体基板とをさらに有し、
前記第2の半導体基板は、層間絶縁層を間に、前記第1の半導体基板の前記第2の面側に積層されている、請求項19に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光電変換を行うことで撮像を行う撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
これまでに、光電変換部とフローティングディフージョンとの間に電荷保持部(メモリ部)を設けることでグローバルシャッタを実現した固体撮像素子が提案されている。例えば、特許文献1では、単位画素に2つの保持部を設け、露光期間中に光電変換部から保持部への電荷の転送をそれぞれ保持部に対して複数回行うことで、長時間の信号電荷の蓄積を実現した撮像装置が開示されている。例えば、特許文献2では、1つの光電変換部に対して2つ以上の電荷蓄積部を設け、異なる露光時間での電荷の転送を繰り返し行うことで高ダイナミックレンジな画像の撮像を実現した撮像素子が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-220896号公報
【文献】特開2016-574723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、撮像装置では、より大きな飽和電荷量および感度の向上が求められている。
【0005】
より大きな飽和電荷量を有すると共に、感度を向上させることが可能な撮像装置を提供することが望ましい。
【0006】
本開示の一実施形態としての第1の撮像装置は、第第1の面と、第1の面と反対側の第2の面とを含む、第1導電型の第1の半導体基板と、第1の半導体基板の第1の面側に埋設され、受光量に応じた電荷を光電変換により生成する、第2導電型の光電変換部と、第1の半導体基板の第2の面側に並列に埋設され、光電変換部において生成された電荷を蓄積する、第2導電型の第1の電荷蓄積部および第2の電荷蓄積部と、電荷を光電変換部から第1の電荷蓄積部へ転送する第1の電荷転送部と、電荷を光電変換部から第2の電荷蓄積部へ転送する第2の電荷転送部とを備えたものであり、第1の電荷蓄積部および第2の電荷蓄積部の第1の方向のピッチは、光電変換部の第1の方向のピッチの略半分のピッチを有する本開示の一実施形態としての第2の撮像装置は、第1の面と、第1の面と反対側の第2の面とを含む、第1導電型の第1の半導体基板と、第1の半導体基板の第1の面側に埋設され、受光量に応じた電荷を光電変換により生成する、第2導電型の光電変換部と、第1の半導体基板の第2の面側に並列に埋設され、光電変換部において生成された電荷を蓄積する、第2導電型の第1の電荷蓄積部および第2の電荷蓄積部と、電荷を光電変換部から第1の電荷蓄積部へ転送する第1の電荷転送部と、電荷を光電変換部から第2の電荷蓄積部へ転送する第2の電荷転送部と、第1の電荷蓄積部から電荷が転送される第1の電荷電圧変換部と、第2の電荷蓄積部から電荷が転送される第2の電荷電圧変換部とを備えたものである。本開示の一実施形態としての第3の撮像装置は、第1の面と、第1の面と反対側の第2の面とを含む、第1導電型の第1の半導体基板と、第1の半導体基板の第1の面側に埋設され、受光量に応じた電荷を光電変換により生成する、第2導電型の光電変換部と、第1の半導体基板の第2の面側に並列に埋設され、光電変換部において生成された電荷を蓄積する、第2導電型の第1の電荷蓄積部および第2の電荷蓄積部と、電荷を光電変換部から第1の電荷蓄積部へ転送する第1の電荷転送部と、電荷を光電変換部から第2の電荷蓄積部へ転送する第2の電荷転送部と、第1の半導体基板の第1の面に設けられ、光電変換部まで達する1または複数の縦型トランジスタとを備えたものである。
【0007】
本開示の一実施形態としての第1~第3の撮像装置では、1つの光電変換部に対して2つの電荷蓄積部(第1の電荷蓄積部および第2の電荷蓄積部)を設け、光電変換部を半導体基板の第1の面側に、2つの電荷蓄積部を半導体基板の第2面側に配置するようにした。これにより、センサ画素内における光電変換部および2つの電荷蓄積部の面積が拡大する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】本開示の第1の実施の形態に係る撮像装置の機能の構成例を示すブロック図である。
図1B】第1の実施の形態の第1の変形例としての撮像装置の機能の構成例を示すブロック図である。
図1C】第1の実施の形態の第2の変形例としての撮像装置の機能の構成例を示すブロック図である。
図2図1Aに示した撮像装置の構成の一例を表す断面模式図である。
図3図1Aに示した撮像装置におけるセンサ画素の構成の一例を表す平面模式図である。
図4】1Aに示した撮像装置の回路構成を表す回路図である。
図5図1Aに示した撮像装置の一動作例を表すタイミング図である。
図6】本開示の第2の実施の形態に係る撮像装置の構成の一例を表す断面模式図である。
図7図6に示した撮像装置におけるセンサ画素の構成の一例を表す平面模式図である。
図8】本開示の変形例1に係る撮像装置の構成の一例を表す断面模式図である。
図9図8に示した撮像装置における撮像装置におけるセンサ画素の構成の一例を表す平面模式図である。
図10】本開示の変形例2に係る撮像装置の構成の一例を表す断面模式図である。
図11図10に示した撮像装置におけるセンサ画素の構成の一例を表す平面模式図である。
図12図10に示した撮像装置の回路構成を表す回路図である。
図13図10に示した撮像装置の一動作例を表すタイミング図である。
図14】本開示の変形例3に係る撮像装置の構成の一例を表す断面模式図である。
図15図14に示したる撮像装置におけるセンサ画素の構成の一例を表す平面模式図である。
図16】本開示の変形例4に係る撮像装置におけるセンサ画素の構成の一例を表す平面模式図である。
図17図16に示した撮像装置の回路構成を表す回路図である。
図18図16に示した撮像装置の一動作例を表すタイミング図である。
図19】本開示の変形例4に係る撮像装置の構成の他の例を表す断面模式図である。
図20図19に示した撮像装置におけるセンサ画素の構成の一例を表す平面模式図である。
図21】本開示の変形例5に係る撮像装置におけるセンサ画素の構成の一例を表す平面模式図である。
図22図21に示した撮像装置の回路構成を表す回路図である。
図23図21に示した撮像装置の一動作例を表すタイミング図である。
図24】本開示の変形例6に係る撮像装置におけるセンサ画素の構成の一例を表す平面模式図である。
図25図24に示した撮像装置の回路構成を表す回路図である。
図26】本開示の変形例7に係る撮像装置におけるセンサ画素の構成の一例を表す平面模式図である。
図27】本開示の変形例8に係る撮像装置におけるセンサ画素の構成の一例を表す平面模式図である。
図28図26等に示した撮像装置の回路構成を表す回路図である。
図29図26等に示した撮像装置の一動作例を表すタイミング図である。
図30】本開示の変形例9に係る撮像装置におけるセンサ画素の構成の一例を表す平面模式図である。
図31図30に示した撮像装置の回路構成を表す回路図である。
図32】本開示の変形例9に係る撮像装置におけるセンサ画素の構成の他の例を表す平面模式図である。
図33図32に示した撮像装置の回路構成を表す回路図である。
図34】電子機器(カメラ)の全体構成例を表す概略図である。
図35】電子機器(測距装置)の全体構成例を表す概略図である。
図36図35に示した測距装置のセンサ部における回路構成を表す回路図である。
図37図35に示した測距装置の一動作例を表すタイミング図である。
図38】車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
図39】車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示における一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。以下の説明は本開示の一具体例であって、本開示は以下の態様に限定されるものではない。また、本開示は、各図に示す各構成要素の配置や寸法、寸法比等についても、それらに限定されるものではない。なお、説明する順序は、下記の通りである。
1.第1の実施の形態
(半導体基板内において1つの光電変換部と2つの電荷蓄積部とが積層された半導体装置の例)
1-1.撮像装置の概略構成
1-2.撮像装置の具体的な構成
1-3.撮像装置の動作
1-4.作用・効果
2.第2の実施の形態
(転送トランジスタを除く画素トランジスタを別基板に形成し、積層した導体装置の例)
3.変形例
3-1.変形例1(2つの半導体基板をフェイストゥーバックで貼り合わせた例)
3-2.変形例2(縦型トランジスタからなる第3の転送トランジスタを設けた例)
3-3.変形例3(第1の転送トランジスタを縦型トランジスタとして形成した例)
3-4.変形例4(排出トランジスタをさらに設けた例)
3-5.変形例5(第4の転送トランジスタをさらに設けた例)
3-6.変形例6(隣り合うセンサ画素間で2つのFDを共有した例)
3-7.変形例7(互いに異なる面積の2つのMEMを設けた例)
3-8.変形例8(MEMの一方をFDで形成した例)
3-9.変形例9(1つのPDに4つのMEMを設けた例)
4.適用例
5.応用例
【0010】
<1.第1の実施の形態>
(1-1.撮像装置の概略構成)
図1Aは、本開示の第1の実施の形態に係る撮像装置100Aの機能の構成例を示すブロック図である。
【0011】
撮像装置100Aは、例えばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の、いわゆるグローバルシャッタ方式の裏面照射型イメージセンサである。撮像装置100Aは、被写体からの光を受光して光電変換し、画像信号を生成することで画像を撮像するものである。
【0012】
グローバルシャッタ方式とは、基本的には全画素同時に露光を開始し、全画素同時に露光を終了するグローバル露光を行う方式である。ここで、全画素とは、画像に現れる部分の画素の全てということであり、ダミー画素等は除外される。また、時間差や画像の歪みが問題にならない程度に十分小さければ、全画素同時ではなく、複数行(例えば、数十行)単位でグローバル露光を行いながら、グローバル露光を行う領域を移動する方式もグローバルシャッタ方式に含まれる。また、画像に表れる部分の画素の全てでなく、所定領域の画素に対してグローバル露光を行う方式もグローバルシャッタ方式に含まれる。
【0013】
裏面照射型イメージセンサとは、被写体からの光を受光して電気信号に変換するフォトダイオード等の光電変換部が、被写体からの光が入射する受光面と、各画素を駆動させるトランジスタ等の配線が設けられた配線層との間に設けられている構成のイメージセンサをいう。
【0014】
撮像装置100Aは、例えば、画素アレイ部111、垂直駆動部112、カラム信号処理部113、データ格納部119、水平駆動部114、システム制御部115および信号処理部118を備えている。
【0015】
撮像装置100Aでは、半導体基板10(後出)上に画素アレイ部111が形成される。垂直駆動部112、カラム信号処理部113、データ格納部119、水平駆動部114、システム制御部115および信号処理部118等の周辺回路は、例えば、画素アレイ部111と同じ半導体基板10上に形成される。
【0016】
画素アレイ部111は、被写体から入射した光の量に応じた電荷を生成して蓄積する光電変換部11(後出)を含むセンサ画素110を複数有する。センサ画素110は、図1に示したように、横方向(行方向)および縦方向(列方向)のそれぞれに配列される。画素アレイ部111では、行方向に一列に配列されたセンサ画素110からなる画素行ごとに、画素駆動線116が行方向に沿って配線され、列方向に一列に配列されたセンサ画素110からなる画素列ごとに、垂直信号線(VSL)117が列方向に沿って配線されている。
【0017】
垂直駆動部112は、シフトレジスタやアドレスデコーダ等からなる。垂直駆動部112は、複数の画素駆動線116を介して複数のセンサ画素110に対し信号等をそれぞれ供給することにより、画素アレイ部111における複数のセンサ画素110の全てを同時に駆動させ、または画素行単位で駆動させる。
【0018】
垂直駆動部112によって選択走査された画素行の各単位画素から出力される信号は、VSL117の各々を通してカラム信号処理部113に供給されるようになっている。カラム信号処理部113は、画素アレイ部111の画素列ごとに、選択行の各単位画素からVSL117を通して出力される信号に対して所定の信号処理を行うとともに、信号処理後の画素信号を一時的に保持するようになっている。
【0019】
具体的には、カラム信号処理部113は、例えばシフトレジスタやアドレスデコーダ等からなり、ノイズ除去処理、相関二重サンプリング処理、アナログ画素信号のA/D(Analog/Digital)変換A/D変換処理等を行い、ディジタル画素信号を生成する。カラム信号処理部113は、生成した画素信号を信号処理部118に供給する。
【0020】
水平駆動部114は、シフトレジスタやアドレスデコーダ等によって構成され、カラム信号処理部113の画素列に対応する単位回路を順番に選択するようになっている。この水平駆動部114による選択走査により、カラム信号処理部113において単位回路ごとに信号処理された画素信号が順番に信号処理部118に出力されるようになっている。
【0021】
システム制御部115は、各種のタイミング信号を生成するタイミングジェネレータ等からなる。システム制御部115は、タイミングジェネレータで生成されたタイミング信号に基づいて、垂直駆動部112、カラム信号処理部113、および水平駆動部114の駆動制御を行なうものである。
【0022】
信号処理部118は、必要に応じてデータ格納部119にデータを一時的に格納しながら、カラム信号処理部113から供給された画素信号に対して演算処理等の信号処理を行ない、各画素信号からなる画像信号を出力するものである。
【0023】
データ格納部119は、信号処理部118での信号処理にあたり、その信号処理に必要なデータを一時的に格納するようになっている。
【0024】
なお、本開示の撮像装置は図1Aに示した撮像装置100Aに限定されるものではなく、例えば図1Bに示した撮像装置100Bや図1Cに示した撮像装置100Cのような構成を有していてもよい。図1Bは、本開示の第1の実施の形態に係る第1の変形例としての撮像装置100Bの機能の構成例を示すブロック図である。図1Cは、本開示の第1の実施の形態に係る第2の変形例としての撮像装置100Cの機能の構成例を示すブロック図である
【0025】
図1Bの撮像装置100Bでは、カラム信号処理部113と水平駆動部114との間にデータ格納部119が配設され、カラム信号処理部113から出力される画素信号が、データ格納部119を経由して信号処理部118に供給されるようになっている。
【0026】
また、図1Cの撮像装置100Cは、カラム信号処理部113と水平駆動部114との間にデータ格納部119と信号処理部118とを並列に配設するようにしたものである。撮像装置100Cでは、カラム信号処理部113が画素アレイ部111の列ごと、あるいは画素アレイ部111の複数列ごとにアナログ画素信号をディジタル画素信号に変換するA/D変換を行うようになっている。
【0027】
(1-2.撮像装置の具体的な構成)
図2は、例えば図1Aに示した撮像装置100Aにおける画素アレイ部111の断面構成の一例を模式的に表したものである。図3は、例えば図1Aに示した撮像装置100Aの画素アレイ部111の、例えば図2に示したSec1(図3の(A))およびSec2(図3の(B))における4つのセンサ画素110(センサ画素1100,1101,1102,1103)の平面構成の一例を模式的に表したものである。なお、図2の断面図は、図3に示したI-I’線およびII-II’線に対応している。図4は、例えば図1Aに示した撮像装置100Aにおけるセンサ画素110の回路構成の一例を表したものであり、図3に示したセンサ画素1100およびセンサ画素1102の回路構成例を示している。
【0028】
画素アレイ部111におけるセンサ画素110は、メモリ保持型のグローバルシャッタを実現している。本実施の形態のセンサ画素110は、1つの光電変換部(PD)11に対して2つの電荷蓄積部(MEM)12A,12Bを有しており、半導体基板10内において積層されている。具体的には、光電変換部11は、半導体基板10の第1面(裏面:面S1)側に、電荷蓄積部12A,12Bは、半導体基板10の第2面(表面:面S2)側に、それぞれ埋め込み形成されている。電荷蓄積部12A,12Bは、図3に示したI-I’線方向に並列配置されている。
【0029】
本実施の形態では、詳細は後述するが、図3に示したII-II’線方向における光電変換部11および電荷蓄積部12A,12Bのピッチは、光電変換部11のピッチ(W)に対して電荷蓄積部12A,12Bは、略半分のピッチ(1/2W)で形成されている。半導体基板10の第2面(面S2)側には、後述する画素トランジスタが電荷蓄積部12A,12Bと同様に、光電変換部11の略半分のピッチで一方向(II-II’線方向)に沿って、例えば、隣り合う2つのセンサ画素に亘って並列配置されている。このため、図3および図4では、各センサ画素110の構成要素を互いに区別するために、各センサ画素110の構成要素の符号の末尾に識別番号(0,1,2,3)を付与している。なお、例外として、転送トランジスタ(第1の転送トランジスタTRYおよび第2のトランジスタTRG)に関しては、各センサ画素110に対して2つずつ設けられているため、符号の筆頭に識別番号(0,1,2,3)を付与している。以下では、各センサ画素110の構成要素を互いに区別する必要がある場合には、各センサ画素110の構成要素の符号の末尾または筆頭に識別番号を付与するが、各センサ画素110の構成要素を互いに区別する必要がない場合には、各センサ画素110の構成要素の符号の末尾の識別番号を省略するものとする。
【0030】
まず、図4を参照して画素アレイ部111に設けられたセンサ画素110の回路(画素回路)の構成例について説明する。センサ画素110は、例えば、電源線VDD1,VDD2と、光電変換部(PD)と、2つの電荷蓄積部(MEM1、MEM2)と、2つの電荷電圧変換部(フローティングディフュージョンFD)と、画素トランジスタとを含んでいる。画素トランジスタは、フローティングディフュージョンFDから出力される信号の読み出しを行う読出回路を構成するものであり、例えば、第1の転送トランジスタTRY1,TRY2、第2の転送トランジスタTRG1、TRG2、リセットトランジスタRST、選択トランジスタSELおよび増幅トランジスタAMPを含んでいる。
【0031】
この例では、第1の転送トランジスタTRY1,TRY2、第2の転送トランジスタTRG1、TRG2、増幅トランジスタAMP、選択トランジスタSELおよびリセットトランジスタRSTは、いずれもN型のMOSトランジスタであり、各ゲート電極は、例えばポリシリコン(polySi)によって形成されている。これら第1の転送トランジスタTRY1,TRY2、第2の転送トランジスタTRG1、TRG2、増幅トランジスタAMP、選択トランジスタSELおよびリセットトランジスタRSTの各ゲート電極には、駆動信号がそれぞれシステム制御部115の駆動制御に基づき垂直駆動部112および水平駆動部114により供給される。駆動信号は、高レベルの状態がアクティブ状態(オンの状態)となり、低レベルの状態が非アクティブ状態(オフの状態)となるパルス信号である。
【0032】
PD(光電変換部11)は、例えばPN接合のフォトダイオードからなる光電変換素子であり、被写体からの光を受光して、その受光量に応じた電荷を光電変換により生成し、蓄積するように構成されている。PDは、上記のように半導体基板10の第1面(面S1)側に埋め込み形成されているが、一部(凸部11X)が第2面(面S2)に向かって延在している。
【0033】
MEM1(電荷蓄積部12A),MEM2(電荷蓄積部12B)は、それぞれ、PDの凸部11Xと2つのFDの一方(例えば、フローティングディフュージョンFD13)との間およびPDの凸部11Xと2つのFDの他方(例えば、フローティングディフュージョンFD14)との間に設けられており、グローバルシャッタ機能を実現するため、PDにおいて生成されて蓄積された電荷を2つのFDに転送するまでの間、一時的にその電荷を保持するものである。このMEM1が本開示の「第1の電荷蓄積部」の一具体例に相当し、MEM2が本開示の「第2の電荷蓄積部」の一具体例に相当する。また、2つのFDが、本開示の「第1の電荷電圧変換部」および「第2の電荷電圧変換部」の一具体例に相当する。
【0034】
第1の転送トランジスタTRY1はPDの凸部11XとMEM1との間に配置されており、第2の転送トランジスタTRG1はMEM1と一方のフローティングディフュージョンFDとの間に配置されている。第1の転送トランジスタTRY2はPDの凸部11XとMEM2との間に配置されており、第2の転送トランジスタTRG2はMEM2と他方のFDとの間に配置されている。第1の転送トランジスタTRY1,TRY2は、第1の転送トランジスタTRY1,TRY2のゲート電極に印加される駆動信号に応じてPDに蓄積されている電荷を、それぞれ、MEM1,MEM2へ転送するように構成されている。第2の転送トランジスタTRG1,TRG2は、第2の転送トランジスタTRG1,TRG2のゲート電極に印加される駆動信号に応じて、MEM1,MEM2に一時的に保持された電荷をそれぞれに接続されたFDに転送するように構成されている。これら第1の転送トランジスタTRY1および第2の転送トランジスタTYG1が本開示の「第1の電荷転送部」の一具体例に相当し、これら第1の転送トランジスタTRY2および第2の転送トランジスタTYG2が本開示の「第2の電荷転送部」の一具体例に相当する。センサ画素110では、例えば、第1の転送トランジスタTRY1,TRY2がオフし、第2の転送トランジスタTRG1,TRG2がオンすると、MEM1,MEM2に蓄積されている電荷が第2の転送トランジスタTRG1,TRG2を介して、それぞれのFDへ転送されるようになっている。
【0035】
2つのFDは、第1の転送トランジスタTRY1、MEM1および第2の転送トランジスタTRG1を介してPDから転送されてきた電荷、または第1の転送トランジスタTRY2、MEM2および第2の転送トランジスタTRG2を介してPDから転送されてきた電荷を、それぞれ、電気信号(例えば、電圧信号)に変換して出力する浮遊拡散領域である。
【0036】
本実施の形態では、2つのFDは、それぞれ、2つ隣のセンサ画素110に共有されている。これについて、図3に示したセンサ画素1100およびセンサ画素1102を用いて説明する。センサ画素1100のPD0のカソードは、第1の転送トランジスタTRY01,TRY02のソースにそれぞれ電気的に接続されており、PD0のアノードは、基準電位線(例えば、グラウンド)に電気的に接続されている。第1の転送トランジスタTRY01,TRY02のドレインは、それぞれ、第2の転送トランジスタTRG01,TRG02のソースに電気的に接続されている。第2の転送トランジスタTRG01のドレインは、FD0に電気的に接続され、第2の転送トランジスタTRG02のドレインは、FD1に電気的に接続されている。センサ画素1102のPD2のカソードは、第1の転送トランジスタTRY21,TRY22のソースにそれぞれ電気的に接続されており、PD2のアノードは、基準電位線(例えば、グラウンド)に電気的に接続されている。第1の転送トランジスタTRY21,TRY22のドレインは、それぞれ、第2の転送トランジスタTRG21,TRG22のソースに電気的に接続されている。第2の転送トランジスタTRG21のドレインは、FD1に電気的に接続され、第2の転送トランジスタTRG02のドレインは、FD2に電気的に接続されている。即ち、FD1は、センサ画素1100と、センサ画素1102とに共有されている。また、図4には示していないが、FD0は、センサ画素1100と、センサ画素1102とは反対側の2つ隣のセンサ画素(便宜上センサ画素-1102と称す)とに共有されている。FD2は、センサ画素1101と、センサ画素1100とは反対側の2つ隣のセンサ画素(便宜上センサ画素1104と称す)と共有されている。
【0037】
2つのFDには、それぞれ、リセットトランジスタRSTが接続されると共に、増幅トランジスタAMPおよび選択トランジスタSELを介してVSL(VSL117)が接続されている。
【0038】
リセットトランジスタRSTは、電源線VDD1に接続されたドレインと、FDに接続されたソースとを有している。リセットトランジスタRSTは、そのゲート電極に印加される駆動信号に応じて、FDを初期化、即ちリセットする。例えば、リセットトランジスタRSTがオンすると、FDの電位が電源線VDD1の電圧レベルにリセットされる。即ち、FDの初期化が行われる。
【0039】
増幅トランジスタAMPは、FDの電位に応じた電気信号を出力する。増幅トランジスタAMPは、例えばカラム信号処理部113に設けられた定電流源とソースフォロワ回路を構成している。
【0040】
選択トランジスタSELは、当該センサ画素110が選択されたときにオンされ、FDから増幅トランジスタAMPを経由した電気信号を、VSL117を通してカラム信号処理部113へ出力するようになっている。
【0041】
次に、図2および図3を用いて、図1Aの画素アレイ部111に設けられたセンサ画素110の断面構成および平面構成について説明する。
【0042】
センサ画素110は、例えばシリコン(Si)等の半導体材料により形成された半導体基板10と、光電変換部11と、2つの電荷蓄積部12A、12Bとを有する。半導体基板10は、例えば、例えばP型(第1導電型)であり、光電変換部11および電荷蓄積部12A,12BはN型(第2導電型)である。光電変換部11は、半導体基板10の第1面(面S1)側に埋め込み形成されており、2つの電荷蓄積部12A、12Bは、例えば、図3に示したI-I’線方向に沿って並列配置され、半導体基板10の第2面(面S2)側に埋め込み形成されている。即ち、光電変換部11と、2つの電荷蓄積部12A、12Bとは、半導体基板10内において積層されている。具体的には、電荷蓄積部12A,12Bは、光電変換部11の凸部11Xを間にして、例えばI-I’線に沿って並列に埋め込み形成されている。光電変換部11で生成された電荷は、電位勾配によって凸部11Xを伝って半導体基板40の第2面(面S2)側に移動し、電荷蓄積部12A,12Bに振り分けられる。即ち、光電変換部11で生成された電荷は、光電変換部11の凸部11Xを間にして互いに逆方向に転送されるようになっている。
【0043】
また、半導体基板10の第2面(面S2)には、フローティングディフュージョンFD13,14、電源線VDDと接続されるVDDコンタクト領域15A、電源線VSSと接続されるVSSコンタクト領域15BおよびVSLと接続されるVSLコンタクト領域16が設けられている。
【0044】
センサ画素110は、さらに、第2面(面S2)側に画素トランジスタとして、例えば、第1の転送トランジスタ22A(TRY1),23A(TRY2)、第2の転送トランジスタ22B(TRG1)、23B(TRG2)、リセットトランジスタ24(RST)、選択トランジスタ25(SEL)および増幅トランジスタ26(AMP)を有している。これら第1の転送トランジスタ22A,23A、第2の転送トランジスタ22B、23B、リセットトランジスタ24、選択トランジスタ25および増幅トランジスタ26は、電荷蓄積部12A,12Bと同様に、II-II’線に沿って、例えば、隣り合う2つのセンサ画素に亘って配置されている。
【0045】
具体的には、第1の転送トランジスタ22Aは、光電変換部11の凸部11Xと電荷蓄積部12Aとの間に配置されており、第2の転送トランジスタ22Bは電荷蓄積部12AとフローティングディフュージョンFD13との間に配置されている。第1の転送トランジスタ23Aは光電変換部11の凸部11Xと電荷蓄積部12Bとの間に配置されており、第2の転送トランジスタ23Bは電荷蓄積部12BとフローティングディフュージョンFD14との間に配置されている。リセットトランジスタ24は、フローティングディフュージョンFD14を間にして第2の転送トランジスタ23Bの隣に配置されている。増幅トランジスタ26および選択トランジスタ25は、VDDコンタクト領域15Aを間にリセットトランジスタ24の隣にこの順に配置されている。
【0046】
本実施の形態では、上記のように、電荷蓄積部12A,12Bおよび画素トランジスタは、光電変換部11のピッチ(W)の略半分のピッチ(1/2W)で形成されており、画素トランジスタは、隣り合う2つのセンサ画素に亘って配置されている。具体的には、例えば、図3に示したように、センサ画素1100の画素トランジスタ(TRY01,TRY02,TRG01,TRG02,RST01,AMP01,SEL01)は、複数のセンサ画素110をI-I’線方向に2分割した領域X1において、センサ画素1100およびセンサ画素1101に亘って設けられており、センサ画素1101の画素トランジスタ(TRY11,TRY12,TRG11,TRG12,RST11,AMP11,SEL11)は、複数のセンサ画素110をI-I’線方向に2分割した領域X2において、センサ画素1100およびセンサ画素1101に亘って設けられている。また、センサ画素1102の画素トランジスタ(TRY21,TRY22,TRG21,TRG22,RST21,AMP21,SEL21)は、複数のセンサ画素110をI-I’線方向に2分割した領域X1において、センサ画素1101およびセンサ画素1102に亘って設けられている。即ち、I-I’線方向に隣り合うセンサ画素110の画素トランジスタは、それぞれ、1センサ画素分ずれた状態で、複数のセンサ画素110をI-I’線方向に2分割された一方の領域および他方の領域に、それぞれ、交互に配置されている。
【0047】
半導体基板10と画素トランジスタとの間には、例えば、酸化物等からなる絶縁膜21が設けられている。絶縁膜21上には、画素トランジスタのゲート電極等を含む配線層(例えば、後述の配線層20、図6参照)が設けられており、配線層内には、画素トランジスタのゲート電極の他に、例えば、ゲート電極に駆動信号を印加するための配線M1が設けられている。半導体基板10には、さらに、例えば、光電変換部11を取り囲む画素分離部17と、光電変換部11と電荷蓄積部12A,12Bとの間を遮光する分離膜18とが設けられている。
【0048】
画素分離部17は、隣り合うセンサ画素110の間を光学的且つ電気的に分離するためのものであり、半導体基板10の第1面(面S1)から第2面(面S2)に向かって、隣り合う光電変換部11の間に設けられている。画素分離部17には、例えば、タングステン(W)等の金属膜と、その周囲に設けられた酸化ケイ素(SiO)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化チタン(TiO)および酸化タンタル(Ta)等の酸化膜とから形成されている。これにより、隣接する画素Pから入射する虞のある斜め入射光が金属膜によって遮光されて光学的に分離されると共に、隣接するセンサ画素間が酸化膜によって電気的に絶縁される。
【0049】
分離膜18は、光電変換部11と電荷蓄積部12A,12Bとの間を電気的且つ光学的に分離するためのものである。分離膜18は、例えば画素分離部17と同様に、例えばタングステン(W)等の金属膜によって形成され、その周囲には、例えば酸化ケイ素(SiO)等の酸化膜が形成されている。光電変換部11と電荷蓄積部12A,12Bとの間に分離膜18を設けることにより、電荷蓄積部12A,12Bへの光の入射が抑制され、ノイズの発生を低減することができる。これにより、PLS(Parasitic Light Sensitivity)特性が向上する。
【0050】
センサ画素110は、さらに、半導体基板10の第1面(面S1)側、即ち、光入射面側に、カラーフィルタ31およびオンチップレンズ32を有していてもよい。
【0051】
カラーフィルタ31は、例えば赤色波長域の光を透過させる赤色フィルタ、緑色波長域の光を透過させる緑色フィルタおよび青色波長域の光を透過させる青色フィルタを有し、例えば画素アレイ部111内において、規則的な色配列(例えばベイヤ配列)で設けられている。カラーフィルタ31の隣接する画素間には、例えば遮光部を設けるようにしてもよい。
【0052】
オンチップレンズ32は、半導体基板10の第1面(面S1)側から入射する光を光電変換部11に集光させるものである。オンチップレンズ32は高屈折率材料を用いて形成されており、具体的には、例えば化シリコン(SiO)や窒化シリコン(SiN)等の無機材料により形成されている。この他、エピスルフィド系樹脂、チエタン化合物やその樹脂等の高屈折率の有機材料を用いてもよい。オンチップレンズ32の形状は、特に限定されるものではなく、半球形状や半円筒状等の各種レンズ形状を用いることができる。オンチップレンズ32は、図2に示したように、センサ画素110ごとに設けられていてもよいし、例えば、複数のセンサ画素110に1つのオンチップレンズを設けるようにしてもよい。
【0053】
(1-3.撮像装置の動作)
図5は、撮像装置100Aの、センサ画素110を駆動するためのタイミングチャートの一例を表したものである。
【0054】
本実施の形態の撮像装置110Aでは、PDのリセットは、例えば、MEM2を経由して行われる。まず、第1の転送トランジスタTRY2がオフされた後、センサ画素1100において露光が開始され、PDにおいて電荷の生成および蓄積が開始される。続いて、t1秒後に第1の転送トランジスタTRY1がオンされることで、PDからMEM1に電荷が転送される。次に、第1の転送トランジスタTRY1オフされた後、センサ画素1100において露光が開始され、PDにおいて電荷の生成および蓄積が再開される。続いて、t2秒後に第1の転送トランジスタTRY2がオンされることで、PDからMEM2に電荷が転送される。グローバル転送期間中にはこれら一連の駆動が繰り返し行われる。
【0055】
グローバル転送期間終了後、それぞれのMEM1およびMEM2に蓄積された電荷は、ローリング読み出しによって順次、それぞれのFDに転送され、電圧信号としてVSLに出力される。このとき、t1とt2の時間差によって2つのMEM1およびMEM2に疑似的な感度比を付けることができる。これにより、異なる感度の信号を同時に蓄積して別々に読み出すことができる。
【0056】
(1-4.作用・効果)
本実施の形態の撮像装置100Aでは、1つのPD(光電変換部11)に対して2つのMEM1(電荷蓄積部12A),MEM2(電荷蓄積部12B)を設け、PDを半導体基板10の第1面(面S1)側に、2つのMEM1,MEM2を半導体基板10の第2面(面S2)側に配置するようにした。これにより、センサ画素110内におけるPDおよび2つのMEM1,MEM2の面積効率が拡大する。以下、これについて説明する。
【0057】
前述したように、グローバルシャッタを実現したイメージセンサでは、1つの光電変換部(PD)に対して2つ以上の電荷蓄積部(MEM)を設けた構造が提案されている。このイメージセンサでは、露光期間中に、それぞれのMEMに対して複数回の電荷の転送を行うことで長時間の電荷の蓄積、即ち、高ダイナミックレンジな画像の撮像を実現している。
【0058】
ところが、上記イメージセンサでは、同一平面上にPDと2つのMEMを配置するため、1画素内におけるPDおよびMEMの面積が減少する。このため、飽和電荷量(Qs)、感度およびレイアウトの自由度が低下するという課題がある。
【0059】
これに対して、本実施の形態では、半導体基板10の第1面(面S1)側にPDを埋め込み形成し、半導体基板10の第2面(面S2)側に2つのMEM1,MEM2を埋め込み形成するようにした。即ち、1つのPDと2つのMEM1,MEM2とを、半導体基板10内において積層するようにした。これにより、センサ画素110内におけるPDおよび2つのMEM1,MEM2の面積を拡大することが可能となる。
【0060】
以上により、本実施の形態の撮像装置100Aでは、飽和電荷量(Qs)および感度を向上させることができる。よって、より大きな飽和電荷量を有すると共に、高い感度を有する撮像装置を提供することが可能となる。
【0061】
加えて、本実施の形態の撮像装置100Aでは、レイアウトの自由度も向上させることが可能となる。
【0062】
また、本実施の形態の撮像装置100Aでは、半導体基板10内において積層されたPD(光電変換部11)と2つのMEM1(電荷蓄積部12A),MEM2(電荷蓄積部12B)との間に、遮光性を有する分離膜18を設けるようにしたので、PDを透過した光のMEM1,MEM2への入射が低減される。よって、MEM1,MEM2における偽信号の発生を低減することが可能となる。
【0063】
次に、本開示の第2の実施の形態および変形例1~9について説明する。以下では、上記第1の実施の形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、適宜その説明を省略する。
【0064】
<2.第2の実施の形態>
図6は、本開示の第2の実施の形態に係る撮像装置100Dにおける画素アレイ部111の断面構成の一例を模式的に表したものである。図7は、図6に示した撮像装置100Dの画素アレイ部111の、例えば、図6に示したSec2(図7の(A))およびSec3(図7の(B))における4つのセンサ画素110(センサ画素1100,1101,1102,1103)の平面構成の一例を模式的に表したものである。なお、図6の断面図は、図7に示したI-I’線およびII-II’線に対応している。
【0065】
上記第1の実施の形態の撮像装置100Aでは、半導体基板10の第2面(面S2)に画素トランジスタ、即ち、第1の転送トランジスタ22A(TRY1),23A(TRY2)、第2の転送トランジスタ22B(TRG1),23B(TRG2)、リセットトランジスタ24(RST)、選択トランジスタ25(SEL)および増幅トランジスタ26(AMP)を設けるようにした。これに対して、本実施の形態の撮像装置100Dでは、上記画素トランジスタのうち、リセットトランジスタ24(RST)、選択トランジスタ25(SEL)および増幅トランジスタ26(AMP)を半導体基板10とは別の基板、例えば、半導体基板40に設け、これを、例えばCu-Cu接合によって貼り合わせるようにした。
【0066】
具体的には、半導体基板10の第1面(面S1)側には、上記第1の実施の形態と同様に光電変換部11を、半導体基板10の第2面(面S2)側には、電荷蓄積部12A,12Bを、それぞれ埋め込み形成した。半導体基板10の第2面(面S2)には、さらに、絶縁膜21が設けられている。半導体基板の第2面(面S2)には、この絶縁膜21を介して、第1の転送トランジスタ22A(TRY1),23A(TRY2)、第2の転送トランジスタ22B(TRG1)、23B(TRG2)が設けられている。
【0067】
半導体基板10の第2面(面S2)上には、絶縁膜21および第1の転送トランジスタ22A(TRY1),23A(TRY2)、第2の転送トランジスタ22B(TRG1)、23B(TRG2)のゲート電極の他に、複数の配線を有する配線層20が設けられている。配線層20は、複数の配線として配線M1,M2,M3が層間絶縁膜27の膜内に形成されている。層間絶縁膜27の表面には、例えば銅(Cu)からなる複数のパッド電極28が露出している。
【0068】
半導体基板40は、例えばシリコン(Si)等の半導体材料により形成されており、対向する第1面(表面:面S3)および第2面(裏面:面S4)を有している。半導体基板の第1面(面S3)には、リセットトランジスタ24(RST)、選択トランジスタ25(SEL)および増幅トランジスタ26(AMP)が、例えば、酸化物等からなる絶縁膜51を介して設けられている。
【0069】
半導体基板40の第1面(面S3)上には、絶縁膜51およびリセットトランジスタ24(RST)、選択トランジスタ25(SEL)および増幅トランジスタ26(AMP)のゲート電極の他に、複数の配線を有する配線層50が設けられている。配線層50は、複数の配線として配線M4,M5,M6が層間絶縁膜52の膜内に形成されている。層間絶縁膜52の表面には、例えば銅(Cu)からなる複数のパッド電極53が露出している。
【0070】
半導体基板10と半導体基板40とは、半導体基板10の第2面(表面:面S2)と半導体基板40の第1面(表面:面S3)とを対向させ、それぞれの面上に設けられた配線層20および配線層50の表面に露出した、複数のパッド電極28およびパッド電極を接合することで貼り合わされている。即ち、半導体基板10と半導体基板40とは、所謂フェイストゥーフェイスで貼り合わされている。
【0071】
電荷蓄積部12A,12Bおよび画素トランジスタは、上記第1の実施の形態と同様に、光電変換部11のピッチ(W)の略半分のピッチ(1/2W)で形成されている。また、本実施の形態では、半導体基板10に形成された第1の転送トランジスタ22A(TRY1),23A(TRY2)、第2の転送トランジスタ22B(TRG1)、23B(TRG2)は、隣り合う2つのセンサ画素に亘って並列配置されている。同様に、半導体基板40に形成されたリセットトランジスタ24(RST)、選択トランジスタ25(SEL)および増幅トランジスタ26(AMP)も隣り合う2つのセンサ画素に亘って並列配置されている。即ち、第1の転送トランジスタ22A(TRY1),23A(TRY2)、第2の転送トランジスタ22B(TRG1)、23B(TRG2)の面積を拡大することができる。これにより、電荷蓄積部12A,12Bの面積を最大化することが可能となる。
【0072】
このように、本実施の形態の撮像装置100Dでは、画素トランジスタのうち、第1の転送トランジスタ22A(TRY1),23A(TRY2)、第2の転送トランジスタ22B(TRG1)、23B(TRG2)を除く、リセットトランジスタ24(RST)、選択トランジスタ25(SEL)および増幅トランジスタ26(AMP)を、別基板(半導体基板40)に設けるようにしたので、2つのMEM1(電荷蓄積部12A),MEM2(12B)の面積をさらに拡大することが可能となる。よって、上記第1の実施の形態の撮像装置100Aと比較して、さらに、飽和電荷量(Qs)および感度を向上させることが可能となる。また、レイアウトの自由度もさらに向上させることが可能となる。
【0073】
<3.変形例>
(3-1.変形例1)
図8は、本開示の変形例1に係る撮像装置100Eにおける画素アレイ部111の断面構成の一例を模式的に表したものである。図9は、図8に示した撮像装置100Dの画素アレイ部111の、例えば、図8に示したSec2(図9の(A))およびSec3(図9の(B))における4つのセンサ画素110(センサ画素1100,1101,1102,1103)の平面構成の一例を模式的に表したものである。なお、図8の断面図は、図9に示したI-I’線およびII-II’線に対応している。
【0074】
本変形例の撮像装置100Eは、上記第2の実施の形態の撮像装置100Dと同様に、画素トランジスタのうち、リセットトランジスタ24(RST)、選択トランジスタ25(SEL)および増幅トランジスタ26(AMP)が、光電変換部11(PD)、電荷蓄積部12A(MEM1),12B(MEM2)および第1の転送トランジスタ22A(TRY1),23A(TRY2)、第2の転送トランジスタ22B(TRG1)、23B(TRG2)が設けられた半導体基板10とは別基板(半導体基板40)に設けられている。画素トランジスタのうち、リセットトランジスタ24(RST)、選択トランジスタ25(SEL)および増幅トランジスタ26(AMP)は、上記第2の実施の形態と同様に、半導体基板40の第1面(表面:面S3)に形成されている。本変形例の撮像装置100Eでは、半導体基板10と半導体基板40とが、半導体基板10の第2面(表面:面S2)と半導体基板40の第2面(裏面:面S4)とを対向させて貼り合わせた、所謂フェイストゥーバックで貼り合わされている点が、上記第2の実施の形態とは異なっている。
【0075】
撮像装置100Eは、例えば、以下のようにして形成することができる。まず、半導体基板10の第2面(面S2)側に第1の転送トランジスタ22A(TRY1),23A(TRY2)および第2の転送トランジスタ22B(TRG1)、23B(TRG2)のゲート電極を形成する。続いて、上記ゲート電極を層間絶縁膜27で覆うことで配線層20を形成する。次に、この配線層20の表面を平坦化した後、半導体基板40を、第2面(面S4)を半導体基板10側との接合面として貼り合わせ、半導体基板40を薄肉化する。続いて、半導体基板の第1面(面S3)にリセットトランジスタ24(RST)、選択トランジスタ25(SEL)および増幅トランジスタ26(AMP)等を形成する。なお、半導体基板10と半導体基板40との電気的な接続は、例えば、貫通配線54を用いて行う。これにより、図8に示した撮像装置100Eが完成する。
【0076】
このように、本変形例では、半導体基板10と半導体基板40とを、所謂フェイストゥーバックで貼り合わせるようにしたので、上記第2の実施の形態の撮像装置100Dと比較して、例えば、フローティングディフュージョンFDの配線引き回しを短縮することができる。よって、上記第1,第2の実施の形態の効果に加えて、FD変換効率を向上させることが可能となる。
【0077】
(3-2.変形例2)
図10は、本開示の変形例2に係る撮像装置100Fにおける画素アレイ部111の断面構成の一例を模式的に表したものである。図11は、図10に示した撮像装置100Fの画素アレイ部111の、例えば、図10に示したSec1(図11の(A))およびSec2(図11の(B))における4つのセンサ画素110(センサ画素1100,1101,1102,1103)の平面構成の一例を模式的に表したものである。なお、図10の断面図は、図1に示したI-I’線およびII-II’線に対応している。図12は、図10に示した撮像装置100Fにおけるセンサ画素110の回路構成の一例を表したものである。
【0078】
本変形例の撮像装置100Fでは、第1の転送トランジスタ22A(TRY1)と第1の転送トランジスタ23A(TRY2)との間に、所謂縦型の第3の転送トランジスタ(TRZ)を設けた点が上記第2の実施の形態とは異なっている。
【0079】
撮像装置100Fでは、第3の転送トランジスタ29(TRZ)のゲート電極(転送ゲート電極19A,19B)が、半導体基板10の第1面(面S1)側に埋め込み形成された光電変換部11まで延在している。光電変換部11で生成された電荷は、例えば、転送ゲート電極19Aを介して電荷蓄積部12A(MEM1)に、転送ゲート電極19Bを介して電荷蓄積部12B(MEM2)に振り分けられるようになっている。即ち、光電変換部11内に、半導体基板10の第1面(面S1)から第2面(面S2)に向かって変化する電位勾配を形成することなく、電荷の転送を行うことができるようになる。よって、光電変換部11のポテンシャルをより深くすることができるため、飽和電荷量(Qs)を拡大させることが可能となる。
【0080】
なお、転送ゲート電極19A,19Bは、例えば、互いを結ぶ線が、2つの電荷蓄積部12A(MEM1),12B(MEM2)の配列方向と直交するように形成されている。
【0081】
図13は、撮像装置100Fの、例えばセンサ画素110を駆動するためのタイミングチャートの一例を表したものである。光電変換部PDからの電荷の読み出しは、第3の転送トランジスタTRZによって行われるため、光電変換部PDの露光期間は、第3の転送トランジスタTRZのオフ期間と同義である。よって、露光期間t2は、第3の転送トランジスタTRZの駆動パルスが完全に立ち下がってから再び立ち上がりきるまでの期間以上に短くすることはできない。
【0082】
このように、本変形例の撮像装置100Fでは、光電変換部11で生成された電荷の電荷蓄積部12A,12Bへの振り分けを、縦型トランジスタ(第3の転送トランジスタ29(TRZ))を用いて行うようにしたので、光電変換部11のポテンシャルをより深くすることができる。よって、上記第1,第2の実施の形態の効果に加えて、飽和電荷量(Qs)をさらに拡大させることが可能となる。
【0083】
(3-3.変形例3)
図14は、本開示の変形例3に係る撮像装置100Gにおける画素アレイ部111の断面構成の一例を模式的に表したものである。図15は、図14に示した撮像装置100Gの画素アレイ部111の、例えば、図14に示したSec1(図15の(A))およびSec2(図15の(B))における4つのセンサ画素110(センサ画素1100,1101,1102,1103)の平面構成の一例を模式的に表したものである。なお、図14の断面図は、図15に示したI-I’線およびII-II’線に対応している。
【0084】
上記変形例2では、第1の転送トランジスタ22A(TRY1)と第1の転送トランジスタ23A(TRY2)との間に、所謂縦型の第3の転送トランジスタ(TRZ)を設けることで、光電変換部11で生成された電荷の電荷蓄積部12A,12Bへの振り分ける例を示したが、第1の転送トランジスタ22A(TRY1),23A(TRY2)が、この第3の転送トランジスタ(TRZ)を兼ねるようにしてもよい。本変形例では、第1の転送トランジスタ22A(TRY1),23A(TRY2)を縦型トランジスタとして形成した点が、上記変形例2とは異なっている。
【0085】
撮像装置100Gでは、第1の転送トランジスタ22A(TRY1)および第1の転送トランジスタ23A(TRY2)のゲート電極(転送ゲート電極19C(19Ca,19Cb),19D(19Da,19Db))が、半導体基板10の第1面(面S1)側に埋め込み形成された光電変換部11まで延在している。
【0086】
なお、本変形例の撮像装置100Gにおいてセンサ画素110を駆動するためのタイミングチャートは、上記第1の実施の形態(図5)と同様である。即ち、露光期間t1,t2は、第1の転送トランジスタ22A(TRY1),23A(TRY2)のオン間隔によって決定される。
【0087】
以上、本変形例の撮像装置100Gでは、第1の転送トランジスタ22A(TRY1),23A(TRY2)を縦型トランジスタとして形成するようにしたので、露光期間t1,t2は、第1の転送トランジスタ22A(TRY1),23A(TRY2)のオン間隔によって決定できるようになる。よって、上記第1,第2の実施の形態の効果に加えて、飽和電荷量(Qs)をさらに拡大させつつ、第1の転送トランジスタ22A(TRY1),23A(TRY2)のそれぞれのオン間隔を短くすることで、より短時間の蓄積で、電荷を振り分けることが可能となる。
【0088】
(3-4.変形例4)
図16は、本開示の変形例4に係る撮像装置100Hにおける画素アレイ部111の4つのセンサ画素110(センサ画素1100,1101,1102,1103)の平面構成の一例を模式的に表したものである。図17は、図16に示した撮像装置100Hにおけるセンサ画素110の回路構成の一例を表したものである。図18は、撮像装置100Hのセンサ画素110を駆動するためのタイミングチャートの一例を表したものである。
【0089】
本変形例の撮像装置100Hでは、画素トランジスタとして、PDを初期化、即ち、リセットする排出トランジスタOFG(排出トランジスタ33)をさらに設けた点が上記第2の実施の形態とは異なっている。なお、PDをリセットするとは、PDを空乏化するという意味である。
【0090】
排出トランジスタOFGは、第1の転送トランジスタTRY1と第1の転送トランジスタTRY2との間に設けられ、例えば電源線VDDに接続されたドレインと、第1の転送トランジスタTRY1,TRY2と接続されたソースとを有している。排出トランジスタOFGは、そのゲート電極に印加される駆動信号に応じてPDをリセットする。
【0091】
このように、本変形例の撮像装置100Hでは、PDをリセットする排出トランジスタOFGを設けるようにしたの、MEM1,MEM2を経由せずにPDをリセットすることが可能となる。よって、上記第1,第2の実施の形態の効果に加えて、2つのMEM1,MEM2が電荷蓄積した状態でのパイプライン露光が可能となる。
【0092】
また、本変形例の撮像装置100Hでは、グローバル転送期間以外では、排出トランジスタOFGをオンにしておくことにより、PDから溢れた電荷がMEM1,MEM2にブルーミングせずに選択的に排出トランジスタOFGのドレインに捨てられるようになる。よって、擬信号の発生を低減することが可能となる。
【0093】
なお、本変形例の撮像装置100Hでは、上記変形例2のように、縦型トランジスタによって形成される第3の転送トランジスタTRZを形成してもよいし、あるいは、変形例3のように、第1の転送トランジスタTRY1,TRY2を縦型で形成するようにしてもよい。例えば、第1の転送トランジスタTRY1,TRY2を縦型で形成する場合には、例えば、図19および図20に示したように、排出トランジスタOFGも、第1の転送トランジスタTRY1,TRY2と同様に、縦型トランジスタとしてPDまで達する排出ゲート電極19Eを形成する。
【0094】
(3-5.変形例5)
図21は、本開示の変形例5に係る撮像装置100Iにおける画素アレイ部111の4つのセンサ画素110(センサ画素1100,1101,1102,1103)の平面構成の一例を模式的に表したものである。図22は、図21に示した撮像装置100Iにおけるセンサ画素110の回路構成の一例を表したものである。図23は、撮像装置100Iのセンサ画素110を駆動するためのタイミングチャートの一例を表したものである。
【0095】
本変形例の撮像装置100Iでは、第1の転送トランジスタTRY1と第2の転送トランジスタTRG1との間、および第1の転送トランジスタTRY2と第2の転送トランジスタTRG2との間に、それぞれ、第4の転送トランジスタTRX1、TRX2を設けた点が上記第2の実施の形態とは異なっている。
【0096】
第4の転送トランジスタTRX1、TRX2は、それぞれ、MEM1,MEM2内に電荷を保持すると共に、第2の転送トランジスタTRG1,TRG2への電荷の転送を行うためのものである。
【0097】
このように、本変形例の撮像装置100Iでは、第1の転送トランジスタTRY1と第2の転送トランジスタTRG1との間、および第1の転送トランジスタTRY2と第2の転送トランジスタTRG2との間に、それぞれ、第4の転送トランジスタTRX1、TRX2を設けるようにしたので、それぞれのFD(例えば、FD0,FD1)から離れたMEM1,MEM2のポテンシャルを深くすることができるようになる。よって、上記第1,第2の実施の形態の効果に加えて、MEMの飽和電荷量(Qs)を拡大させることが可能となる。
【0098】
なお、本変形例では、第4の転送トランジスタTRX1、TRX2をそれぞれ1つずつ設けた例を示したが、第4の転送トランジスタTRX1、TRX2として2個以上のトランジスタを形成するようにしてもよい。
【0099】
(3-6.変形例6)
図24は、本開示の変形例6に係る撮像装置100Jにおける画素アレイ部111の4つのセンサ画素110(センサ画素1100,1101,1102,1103)の平面構成の一例を模式的に表したものである。図25は、図24に示した撮像装置100Jにおけるセンサ画素110の回路構成の一例を表したものである。
【0100】
上記第1,第2の実施の形態では、光電変換部11で生成された電荷は、互いに逆方向に転送されるようになっており、それぞれの電荷が転送される2つのFDは、それぞれ、2つ隣のセンサ画素110と共有されている。これに対して、本変形例の撮像装置100Jでは、2つのFD(例えば、FD0,FD1)を隣り合う2つのセンサ画素110(例えば、センサ画素1100,1101)との間で共有するようにした。この点が上記第2の実施の形態とは異なっている。
【0101】
本変形例では、2つのMEM1,MEM2は、センサ画素110内に並列に配置されており、PDで生成された電荷は、互いに同一方向に転送されるようになっている。また、本変形例では、上記のように、2つのFD(例えば、FD0,FD1)を隣り合う2つのセンサ画素110(例えば、センサ画素1100,1101)との間で共有するようにした。これにより、隣り合うセンサ画素110(例えば、センサ画素1100とセンサ画素1101)では、それぞれのPD(例えば、PD0,PD1)で生成された電荷は、互いに対向する方向に転送されるようになっている。また、本変形例では、2つのMEM1,MEM2は、センサ画素110内に並列に配置するようにしたので、2つのMEM1,MEM2のピッチとPDのピッチとは同じピッチとなっている。
【0102】
このように、2つのMEM1,MEM2を、PDのピッチ内に並列に配置した場合でも、上記第2の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0103】
(3-7.変形例7)
図26は、本開示の変形例7に係る撮像装置100Kにおける画素アレイ部111の4つのセンサ画素110(センサ画素1100,1101,1102,1103)の平面構成の一例を模式的に表したものである。
【0104】
上記第1,第2の実施の形態等では、2つのMEM1,MEM2が互いに同じ面積を有する例を示したが、2つのMEM1,MEM2は互いに異なる大きさとしてもよい。
【0105】
これにより、本変形例の撮像装置100Kでは、2つのMEM1,MEM2に容量比を付加することができようになる。即ち、例えば、それぞれのMEM1,MEM2に感度差(例えば、露光時間の差)がある場合に、感度差に応じてMEMの飽和電荷量(Qs)を変化させることが可能となる。よって、上記第1,第2の実施の形態の効果に加えて、より高感度の信号を保持することが可能となる。
【0106】
(3-8.変形例8)
図27は、本開示の変形例8に係る撮像装置100Lにおける画素アレイ部111の4つのセンサ画素110(センサ画素1100,1101,1102,1103)の平面構成の一例を模式的に表したものである。図28は、図27に示した撮像装置100Lにおけるセンサ画素110の回路構成の一例を表したものである。図29は、撮像装置100Lのセンサ画素110を駆動するためのタイミングチャートの一例を表したものである。
【0107】
上記第1,第2の実施の形態等では、2つのMEM1,MEM2を設けた例を示したが、例えば、一方のMEM(例えば、MEM2)をFD(例えば、FD1)が兼ねるようにしてもよい。即ち、本変形例の撮像装置100Lでは、光電変換部11で生成された電荷の一部は、フローティングディフュージョンFDに直接転送されるようになっている。
【0108】
また、本変形例の撮像装置100Lでは、例えば、センサ画素1100においてPD0から電荷が直接転送されるFD1は、隣り合うセンサ画素1101においてPD1からMEM(例えば、MEM12)を介した電荷の転送先となっている。この場合、例えば、PD0およびPD1で生成された電荷は、それぞれ、MEM01とFD1に蓄積される。ローリング読み出し期間には、まず、PD1からの電荷をFD0に蓄積した状態で、FD0の電位を出力する。続いて、リセットした後の電位を出力した後、最後にMEM01に蓄積された電荷を転送した後の電位を出力する。
【0109】
このように、本変形例の撮像装置100Lでは、2つのMEM1,MEM2のうちの一方をフローティングディフュージョンFDが兼ねるようにしたので、他方のMEMの面積を最大化することが可能となる。これにより、上記第1,第2の実施の形態の効果に加えて、異なる感度の信号を同時に蓄積して別々に読み出すことが可能となる。
【0110】
(3-9.変形例9)
図30は、本開示の変形例9に係る撮像装置100Mにおける画素アレイ部111の4つのセンサ画素110(センサ画素1100,1101,1102,1103)の平面構成の一例を模式的に表したものである。図31は、図30に示した撮像装置100Mにおけるセンサ画素110の回路構成の一例を表したものである。
【0111】
上記第1,第2の実施の形態では、1つのPDに対して2つのMEM1,MEM2を設けた例を示したが、MEMの数はこれに限定されない。例えば、図30に示したように、1つの光電変換部PDに対して4つのMEM1,MEM2,MEM3,MEM4を設けるようにしてもよい。
【0112】
図32は、本開示の変形例9に係る撮像装置100Mにおける画素アレイ部111の4つのセンサ画素110(センサ画素1100,1101,1102,1103)の平面構成の他の例を模式的に表したものである。図33は、図32に示した撮像装置100Mにおけるセンサ画素110の回路構成の一例を表したものである。
【0113】
本変形例の撮像装置100Mは、図32に示したように、隣り合う2つのFD(例えば、FD0とFD1、FD2とFD3)を、例えば、垂直信号線VSLで互いに短絡させるようにしてもよい。また、図32および図33では、隣り合う2つのFDを短絡させた例を示したが、例えば4つのFDを短絡させるようにしてもよい。これにより、1画素当たりの垂直信号線VSLの本数を減らすことができるため、配線レイアウトの自由度を向上させることが可能となる。加えて、配線間の短絡不良の発生を低減することができるため、製造歩留まりを向上させることが可能となる。
【0114】
<4.適用例>
図34は、本技術を適用した電子機器としてのカメラ2000の構成例を示すブロック図である。
【0115】
カメラ2000は、レンズ群等からなる光学部2001、上述の撮像装置(例えば、100A等))が適用される撮像装置(撮像デバイス)100Aおよびカメラ信号処理回路であるDSP(Digital Signal Processor)回路2002を備える。また、カメラ2000は、フレームメモリ2003、表示部2004、記録部2005、操作部2006、および電源部2007も備える。DSP回路2002、フレームメモリ2003、表示部2004、記録部2005、操作部2006および電源部2007は、バスライン2008を介して相互に接続されている。
【0116】
光学部2001は、被写体からの入射光(像光)を取り込んで撮像装置100Aの撮像面上に結像する。撮像装置100Aは、光学部2001によって撮像面上に結像された入射光の光量を画素単位で電気信号に変換して画素信号として出力する。
【0117】
表示部2004は、例えば、液晶パネルや有機ELパネル等のパネル型表示装置からなり、撮像装置100Aで撮像された動画または静止画を表示する。記録部2005は、撮像装置100Aで撮像された動画または静止画を、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体に記録する。
【0118】
操作部2006は、ユーザによる操作の下に、カメラ2000が持つ様々な機能について操作指令を発する。電源部2007は、DSP回路2002、フレームメモリ2003、表示部2004、記録部2005および操作部2006の動作電源となる各種の電源を、これら供給対象に対して適宜供給する。
【0119】
上述したように、撮像装置として、上述した撮像装置100A等を用いることで、良好な画像の取得が期待できる。
【0120】
図35は、本技術を適用した電子機器としての測距装置3000の構成例を示すブロック図である。
【0121】
測距装置3000は、光の空間伝搬時間計測(Time of Flight;TOF)方式により距離を測定するものである。測距装置3000は、光源部3001と、センサ部3002と、信号処理部3003と、タイミング調整回路3004と、コントローラ3005とを有している。
【0122】
光源部3001は、例えば、光源3011および駆動回路3012を含んでいる。センサ部3002は、例えば、受光部3021および駆動回路3022を含んでいる。信号処理部3003は、例えば、制御部3031、タイミング発生部3032および距離画像出力部3033を含んでいる。制御部3031は、距離計算部3131および距離補正部3132を含んでいる。
【0123】
測距装置3000では、光源部3001およびセンサ部3002の駆動は、タイミング発生部3032によって同期されている。光源部3001では、タイミング調整回路3004からのトリガーに基づいて、対象物4000に照明光を照射する。センサ部3002では、対象物4000に対して照明光を照射した際に、対象物4000から反射された反射光の強度を受光部3021で受光する。この反射光の強度は、センサ部3002の駆動タイミングと対象物4000との距離に対して相関関係を有する。センサ部3002は、センサ部3002に入射した反射光の強度に応じた信号電圧を出力信号として制御部3031に出力する。制御部3031では、この出力信号と駆動タイミングとから対象物4000までの距離を、距離計算部3131において計算し、距離補正部3132において補正して距離画像データを出力する。距離画像出力部3033は、制御部3031から得られた距離画像データをコントローラ3005に出力する。
【0124】
図36は、測距装置3000のセンサ部3002に含まれるセンサ画素の回路構成の一例を表したものである。図37は、センサ部3002に含まれるセンサ画素を駆動するためのタイミングチャートを表したものである。光源部3001から照射された照明光は、対象物4000において反射される。対象物4000から反射した反射光は、t1だけ遅れてセンサ部3002に入射する。このとき、例えば、PD0で生成された電荷は、t2、t3に応じた割合でMEM01およびMEM02に割り振られる。このMEM01およびMEM02の出力と、第1の転送トランジスタTRE01および第1の転送トランジスタTYR02の駆動タイミングとから、対象物4000までの距離を計算することができる。
【0125】
<5.応用例>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0126】
図38は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0127】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。図21に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(Interface)120
53が図示されている。
【0128】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0129】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0130】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0131】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0132】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0133】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の
機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0134】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0135】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0136】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。図38の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0137】
図39は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0138】
図39では、撮像部12031として、撮像部12101、12102、12103、12104、12105を有する。
【0139】
撮像部12101、12102、12103、12104、12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102、12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0140】
なお、図39には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0141】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0142】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0143】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0144】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0145】
以上、本開示に係る技術が適用され得る車両制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、撮像部12031に適用され得る。具体的には、図1などに示した撮像装置100A等を撮像部12031に適用することができる。撮像部12031に本開示に係る技術を適用することにより、車両制御システムの優れた動作が期待できる。
【0146】
以上、第1,第2の実施の形態および変形例1~9ならびに適用例および応用例を挙げて本開示を説明したが、本開示は上記実施の形態等に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば第1の実施の形態等では、グローバルシャッタ方式の裏面照射型イメージセンサを例示して説明したが、本開示の撮像装置は裏面照射型イメージセンサに限定されるものではなく、表面照射型イメージセンサにも適用可能である。
【0147】
また、本開示の撮像装置は、撮像部と信号処理部または光学系とがまとめてパッケージングされたモジュールの形態をなしていてもよい。
【0148】
なお、本明細書中に記載された効果はあくまで例示であってその記載に限定されるものではなく、他の効果があってもよい。
【0149】
なお、本開示は以下のような構成をとることも可能である。以下の構成の本技術によれば、光電変換部を半導体基板の第1の面側に、2つの電荷蓄積部を半導体基板の第2面側に配置するようにしたので、センサ画素内における光電変換部および2つの電荷蓄積部の面積が拡大する。よって、より大きな飽和電荷量を有すると共に、高い感度を有する撮像装置を実現することが可能となる。
(1)
第1の面と、前記第1の面と反対側の第2の面とを含む、第1導電型の第1の半導体基板と、
前記第1の半導体基板の第1の面側に埋設され、受光量に応じた電荷を光電変換により生成する、第2導電型の光電変換部と、
前記第1の半導体基板の第2の面側に並列に埋設され、前記光電変換部において生成された前記電荷を蓄積する、前記第2導電型の第1の電荷蓄積部および第2の電荷蓄積部と、
前記電荷を前記光電変換部から前記第1の電荷蓄積部へ転送する第1の電荷転送部と、
前記電荷を前記光電変換部から前記第2の電荷蓄積部へ転送する第2の電荷転送部とを備え、
前記第1の電荷蓄積部および前記第2の電荷蓄積部の第1の方向のピッチは、前記光電変換部の第1の方向のピッチの略半分のピッチを有する
撮像装置。
(2
記光電変換部から前記第1の電荷蓄積部への前記電荷の転送方向は、前記光電変換部から前記第2の電荷蓄積部への前記電荷の転送方向と逆方向である、前記(1)に記載の撮像装置。
(3)
前記第1の電荷蓄積部から前記電荷が転送される第1の電荷電圧変換部と、前記第2の電荷蓄積部から前記電荷が転送される第2の電荷電圧変換部とをさらに有する、前記(1)または(2)に記載の撮像装置。
(4)
前記第1の電荷蓄積部から前記電荷が転送される第1の電荷電圧変換部と、前記第2の電荷蓄積部から前記電荷が転送される第2の電荷電圧変換部とをさらに有し、
前記第1の方向と直交する第2の方向に、前記光電変換部が複数配置され、
複数の前記光電変換部として、順に配置された第1の光電変換部、第2の光電変換部、第3の光電変換部および第4の光電変換部を有し、
前記第1の電荷電圧変換部は、前記第1の光電変換部と前記第3の光電変換部と共有され、前記第2の電荷電圧変換部は、前記第2の光電変換部と前記第4の光電変換部と共有されている、前記(1)または(2)に記載の撮像装置。
(5)
前記第1の光電変換部および前記第2の光電変換部は、前記第1の電荷電圧変換部および前記第2の電荷電圧変換部を互いに共有している、前記(4)に記載の撮像装置。
(6)
前記第1の電荷蓄積部および前記第2の電荷蓄積部の前記第1の方向のピッチは、前記光電変換部の前記第1の方向のピッチと同じピッチを有している、前記(5)に記載の撮像装置。
(7)
前記光電変換部は、一部が前記第2の面に向かって延在している、前記(1)乃至(6)のうちのいずれか1つに記載の撮像装置。
(8)
前記第1の半導体基板は、前記第1の面に設けられ、前記光電変換部まで達する1または複数の縦型トランジスタをさらに有する、前記(1)乃至(7)のうちのいずれか1つに記載の撮像装置。
(9)
前記第1の半導体基板は、前記複数の縦型トランジスタとして第1の縦型トランジスタおよび第2の縦型トランジスタを有し、
前記第1の縦型トランジスタと前記第2の縦型トランジスタとを結ぶ線は、前記第1の電荷蓄積部および前記第2の電荷蓄積部の配列方向と直交している、前記(8)に記載の撮像装置。
(10)
前記第1の半導体基板は、前記第1の面に、前記光電変換部まで達する複数の縦型トランジスタをさらに有し、
前記複数の縦型トランジスタが、前記第1の電荷転送部および前記第2の電荷転送部の一部を兼ねている、前記(1)乃至(9)のうちのいずれか1つに記載の撮像装置。
(11)
前記光電変換部をリセットする排出トランジスタをさらに有する、前記(1)乃至(10)のうちのいずれか1つに記載の撮像装置。
(12)
前記光電変換部から前記第1の電荷蓄積部および前記第2の電荷蓄積部へ前記電荷の転送方向と、前記光電変換部から前記排出トランジスタへの前記電荷の転送方向は、互いに直交する、前記(11)に記載の撮像装置。
(13)
前記第1の電荷蓄積部と前記第2の電荷蓄積部とは、互いに異なる大きさを有する、前記(1)乃至(12)のうちのいずれか1つに記載の撮像装置。
(14)
前記第1の電荷電圧変換部が前記第1の電荷蓄積部を兼ねている、前記(3)乃至(13)のうちのいずれか1つに記載の撮像装置。
(15)
前記第1の半導体基板は、前記第1の電荷電圧変換部および前記第2の電荷電圧変換部から出力される信号の読み出しを行う読出回路をさらに有する、前記(3)乃至(14)のうちのいずれか1つに記載の撮像装置。
(16)
前記第1の電荷電圧変換部および前記第2の電荷電圧変換部から出力される信号の読み出しを行う画素回路が設けられた第2の半導体基板をさらに有し、
前記第2の半導体基板は、層間絶縁層を間に、前記第1の半導体基板の前記第2の面側に積層されている、前記(3)乃至(15)のうちのいずれか1つに記載の撮像装置。
(17)
第1の面と、前記第1の面と反対側の第2の面とを含む、第1導電型の第1の半導体基板と、
前記第1の半導体基板の第1の面側に埋設され、受光量に応じた電荷を光電変換により生成する、第2導電型の光電変換部と、
前記第1の半導体基板の第2の面側に並列に埋設され、前記光電変換部において生成された前記電荷を蓄積する、前記第2導電型の第1の電荷蓄積部および第2の電荷蓄積部と、
前記電荷を前記光電変換部から前記第1の電荷蓄積部へ転送する第1の電荷転送部と、
前記電荷を前記光電変換部から前記第2の電荷蓄積部へ転送する第2の電荷転送部と、
前記第1の電荷蓄積部から前記電荷が転送される第1の電荷電圧変換部と、
前記第2の電荷蓄積部から前記電荷が転送される第2の電荷電圧変換部と
を備えた撮像装置。
(18)
前記第1の電荷電圧変換部および前記第2の電荷電圧変換部から出力される信号の読み出しを行う画素回路が設けられた第2の半導体基板をさらに有し、
前記第2の半導体基板は、層間絶縁層を間に、前記第1の半導体基板の前記第2の面側に積層されている、前記(17)に記載の撮像装置。
(19)
第1の面と、前記第1の面と反対側の第2の面とを含む、第1導電型の第1の半導体基板と、
前記第1の半導体基板の第1の面側に埋設され、受光量に応じた電荷を光電変換により生成する、第2導電型の光電変換部と、
前記第1の半導体基板の第2の面側に並列に埋設され、前記光電変換部において生成された前記電荷を蓄積する、前記第2導電型の第1の電荷蓄積部および第2の電荷蓄積部と、
前記電荷を前記光電変換部から前記第1の電荷蓄積部へ転送する第1の電荷転送部と、
前記電荷を前記光電変換部から前記第2の電荷蓄積部へ転送する第2の電荷転送部と、
前記第1の半導体基板の前記第1の面に設けられ、前記光電変換部まで達する1または複数の縦型トランジスタと
を備えた撮像装置。
(20)
前記第1の電荷蓄積部から前記電荷が転送される第1の電荷電圧変換部と、
前記第2の電荷蓄積部から前記電荷が転送される第2の電荷電圧変換部と、
前記第1の電荷電圧変換部および前記第2の電荷電圧変換部から出力される信号の読み出しを行う画素回路が設けられた第2の半導体基板とをさらに有し、
前記第2の半導体基板は、層間絶縁層を間に、前記第1の半導体基板の前記第2の面側に積層されている、前記(19)に記載の撮像装置。
【符号の説明】
【0150】
10,40…半導体基板、11…光電変換部(PD)、12A,12B…電荷蓄積部(MEM)、13,14…フローティングディフュージョン(FD)、15…VDDコンタクト領域、16…VSLコンタクト領域、17…画素分離部、18…分離膜、19A,19B,19C,19D…転送ゲート電極、19E…排出ゲート電極、20,50…配線層、21,51…絶縁膜、22A,23A…第1の転送トランジスタ(TRY)、22B,23B…第2の転送トランジスタ(TRG)、24…リセットトランジスタ(RST)、25…選択トランジスタ(SEL)、26…増幅トランジスタ(AMP)、27,52…層間絶縁膜、28,53…パッド電極、54…貫通配線、31…カラーフィルタ、32…オンチップレンズ、100A~100M…撮像装置、110,1100,1101,1102,1103…センサ画素、111…画素アレイ部、112…垂直駆動部、113…カラム信号処理部、114…水平駆動部、115…システム制御部、116…画素駆動線、117…垂直信号線(VSL)、118…信号処理部、119…データ格納部。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39