(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-01
(45)【発行日】2024-08-09
(54)【発明の名称】エレベータ意匠決定支援システム、エレベータ意匠決定支援システムの操作端末、エレベータ意匠決定支援システムの携帯端末、エレベータ意匠決定支援方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
B66B 3/00 20060101AFI20240802BHJP
【FI】
B66B3/00 Z
(21)【出願番号】P 2020057935
(22)【出願日】2020-03-27
【審査請求日】2022-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591036457
【氏名又は名称】三菱電機エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100131152
【氏名又は名称】八島 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【氏名又は名称】美恵 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148149
【氏名又は名称】渡邉 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100181618
【氏名又は名称】宮脇 良平
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(72)【発明者】
【氏名】中野 智晴
(72)【発明者】
【氏名】向山 弘記
(72)【発明者】
【氏名】伊達 信太郎
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/207285(WO,A1)
【文献】特開2019-121072(JP,A)
【文献】特開2010-218107(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して接続された操作端末と仮想視点から視界方向を観察したエレベータの意匠の3次元画像を表示する携帯端末とを具備し、
前記操作端末は、
エレベータの部
分毎に意匠を特定する意匠情報を表示する意匠情報表示部と、
前記携帯端末の傾き情報を受信して視界方向を表示する視界方向表示部と、
前記携帯端末に表示する3次元画像
について変更したい前記エレベータの部分の意匠を特定する意匠情報を選択して前記携帯端末に送信する意匠変更指示部と、
を備え、
前記携帯端末は、
仮想視点から視界方向を観察した3次元画像を作成する3次元画像作成部と、
前記携帯端末の傾きを検出し、視界方向の3次元画像を変更する視界変更部と、
検出された前記携帯端末の傾きに基づいて前記携帯端末の傾き情報を前記操作端末に送信する視点角度送信部と、
前記操作端末から受信された
変更したい前記エレベータの部分の意匠を特定する意匠情報により特定される意匠に3次元画像を変更表示する意匠変更表示部と、
を備えるエレベータ意匠決定支援システム。
【請求項2】
ネットワークを介して接続された操作端末と仮想視点から視界方向を観察したエレベータの意匠の3次元画像を表示する携帯端末とを具備し、
前記操作端末は、
エレベータの各部の意匠を特定する意匠情報を表示する意匠情報表示部と、
前記携帯端末の傾き情報を受信して視界方向を表示する視界方向表示部と、
前記携帯端末に拡大表示する意匠の意匠情報を選択して前記携帯端末に送信する拡大指示部と、
を備え、
前記携帯端末は、
仮想視点から視界方向を観察した3次元画像を作成する3 次元画像作成部と、
前記携帯端末の傾きを検出し、視界方向の3次元画像を変更する視界変更部と、
検出された前記携帯端末の傾きに基づいて前記携帯端末の傾き情報を前記操作端末に送
信する視点角度送信部と、
前記操作端末から受信された意匠情報により特定される意匠を拡大表示する拡大表示部と、
を備えるエレベータ意匠決定支援システム。
【請求項3】
ネットワークを介して接続された操作端末と仮想視点から視界方向を観察したエレベータの意匠の3次元画像を表示する携帯端末とを具備し、
前記操作端末は、
エレベータの部
分毎に意匠を特定する意匠情報を表示する意匠情報表示部と、
前記携帯端末の傾き情報を受信して視界方向を表示する視界方向表示部と、
前記携帯端末に表示される視界方向を誘導
したい前記エレベータの部分の意匠を特定する意匠情報を選択して前記携帯端末に送信する視点誘導指示部と、
を備え、
前記携帯端末は、
仮想視点から視界方向を観察した3次元画像を作成する3次元画像作成部と、
前記携帯端末の傾きを検出し、視界方向の3次元画像を変更する視界変更部と、
検出された前記携帯端末の傾きに基づいて前記携帯端末の傾き情報を前記操作端末に送
信する視点角度送信部と、
前記操作端末から受信された
誘導したい前記エレベータの部分の意匠を特定する意匠情報により特定される意匠に視界方向を誘導する表示を実行する視点誘導表示部と、
を備えるエレベータ意匠決定支援システム。
【請求項4】
前記操作端末の意匠情報表示部は、エレベータの意匠の透視図と意匠情報の一覧とを表示し、
前記視界方向表示部は、前記透視図に視界方向を表示する、
請求項1から3のいずれか1項に記載のエレベータ意匠決定支援システム。
【請求項5】
仮想視点から視界方向を観察したエレベータの意匠の3次元画像を表示する携帯端末とネットワークを介して接続される操作端末であって、
エレベータの部
分毎に意匠を特定する意匠情報を表示する意匠情報表示部と、
前記携帯端末の傾き情報を受信して視界方向を表示する視界方向表示部と、
前記携帯端末に表示する3次元画像
について変更したい前記エレベータの部分の意匠を特定する意匠情報を選択して前記携帯端末に送信する意匠変更指示部と、
を備えるエレベータ意匠決定支援システムの操作端末。
【請求項6】
仮想視点から視界方向を観察したエレベータの意匠の3次元画像を表示する携帯端末とネットワークを介して接続される操作端末であって、
エレベータの各部の意匠を特定する意匠情報を表示する意匠情報表示部と、
前記携帯端末の傾き情報を受信して視界方向を表示する視界方向表示部と、
前記携帯端末に拡大表示する意匠の意匠情報を選択して前記携帯端末に送信する拡大指
示部と、
を備えるエレベータ意匠決定支援システムの操作端末。
【請求項7】
仮想視点から視界方向を観察したエレベータの意匠の3次元画像を表示する携帯端末と
ネットワークを介して接続される操作端末であって、
エレベータの部
分毎に意匠を特定する意匠情報を表示する意匠情報表示部と、
前記携帯端末の傾き情報を受信して視界方向を表示する視界方向表示部と、
前記携帯端末に表示される視界方向を誘導
したい前記エレベータの部分の意匠を特定する意匠情報を選択して前記携帯端末に送信する視点誘導指示部と、
を備えるエレベータ意匠決定支援システムの操作端末。
【請求項8】
操作端末とネットワークを介して接続される仮想視点から視界方向を観察したエレベータの意匠の3次元画像を表示する携帯端末であって、
仮想視点から視界方向を観察した3次元画像を作成する3次元画像作成部と、
前記携帯端末の傾きを検出し、視界方向の3次元画像を変更する視界変更部と、
検出された前記携帯端末の傾きに基づいて前記携帯端末の傾き情報を前記操作端末に送信する視点角度送信部と、
前記操作端末から受信された
変更したい前記エレベータの部分の意匠を特定する意匠情報により特定される意匠に3次元画像を変更表示する意匠変更表示部と、
を備えるエレベータ意匠決定支援システムの携帯端末。
【請求項9】
操作端末とネットワークを介して接続される仮想視点から視界方向を観察したエレベータの意匠の3次元画像を表示する携帯端末であって、
仮想視点から視界方向を観察した3次元画像を作成する3次元画像作成部と、
前記携帯端末の傾きを検出し、視界方向の3次元画像を変更する視界変更部と、
検出された前記携帯端末の傾きに基づいて前記携帯端末の傾き情報を前記操作端末に送信する視点角度送信部と、
前記操作端末から受信された意匠情報により特定される意匠を拡大表示する拡大表示部
と、
を備えるエレベータ意匠決定支援システムの携帯端末。
【請求項10】
操作端末とネットワークを介して接続される仮想視点から視界方向を観察したエレベータの意匠の3次元画像を表示する携帯端末であって、
仮想視点から視界方向を観察した3次元画像を作成する3次元画像作成部と、
前記携帯端末の傾きを検出し、視界方向の3次元画像を変更する視界変更部と、
検出された前記携帯端末の傾きに基づいて前記携帯端末の傾き情報を前記操作端末に送信する視点角度送信部と、
前記操作端末から受信された
誘導したい前記エレベータの部分の意匠を特定する意匠情報により特定される意匠に視界方向を誘導する表示を実行する視点誘導表示部と、
を備えるエレベータ意匠決定支援システムの携帯端末。
【請求項11】
エレベータの部
分毎に意匠を特定する意匠情報を表示するステップと、
仮想視点から視界方向を観察したエレベータの意匠の3次元画像を表示する携帯端末の傾き情報を受信して前記視界方向を表示するステップと、
前記携帯端末に表示する3次元画像
について変更したい前記エレベータの部分の意匠を特定する意匠情報を選択して前記携帯端末に送信するステップと、
を備えるエレベータ意匠決定支援方法。
【請求項12】
仮想視点から視界方向を観察したエレベータの意匠の3次元画像を作成するステップと、
携帯端末の傾きを検出し、視界方向の3次元画像を変更するステップと、
検出された前記携帯端末の傾きに基づいて前記携帯端末の傾き情報を操作端末に送信するステップと、
前記操作端末から受信された
変更したい前記エレベータの部分の意匠を特定する意匠情報により特定される意匠に3次元画像を変更表示するステップと、
を備えるエレベータ意匠決定支援方法。
【請求項13】
コンピュータに
エレベータの部
分毎に意匠を特定する意匠情報を表示するステップと、
仮想視点から視界方向を観察したエレベータの意匠の3次元画像を表示する携帯端末の傾き情報を受信して前記視界方向を表示するステップと、
前記携帯端末に表示する3次元画像
について変更したい前記エレベータの部分の意匠を特定する意匠情報を選択して前記携帯端末に送信するステップと、
を実行させるプログラム。
【請求項14】
コンピュータに
仮想視点から視界方向を観察したエレベータの意匠の3次元画像を作成するステップと、
携帯端末の傾きを検出し、視界方向の3次元画像を変更するステップと、
検出された前記携帯端末の傾きに基づいて前記携帯端末の傾き情報を操作端末に送信するステップと、
前記操作端末から受信された
変更したい前記エレベータの部分の意匠を特定する意匠情報により特定される意匠に3次元画像を変更表示するステップと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エレベータ意匠決定支援システム、エレベータ意匠決定支援システムの操作端末、エレベータ意匠決定支援システムの携帯端末、エレベータ意匠決定支援方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータの商談において、業者が提供するカタログに現されたエレベータの意匠にリアリティがなく、完成したエレベータの意匠との相違により、顧客が失望してしまうことがある。そこで、顧客が自身で選択した仕様の意匠を、実際に現場で視覚を通じて認識する視覚映像で確認できる技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1では、意匠仕様記入画面をユーザ端末に提供し、ユーザが記入した意匠仕様に基づきユーザが実際に視覚を通じて認識する視覚映像を生成してユーザ端末に表示し、ユーザ端末に仕様の良否を問い合わせ、良とする回答の場合はその仕様を登録し、否とする回答の場合は記入仕様の変更を求める。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この場合、顧客が自分で端末を操作して意匠仕様を決定するため、業者は自社の戦略に沿った意匠を顧客に十分に提案することができない。
【0006】
本開示は上記事情に鑑みてなされたものであり、顧客がよりリアリティのある様々なパターンのエレベータの意匠を確認することができるとともに、業者が自社の戦略に沿ったエレベータの意匠を顧客に提案できることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本開示のエレベータ意匠決定支援システムは、ネットワークを介して接続された操作端末と仮想視点から視界方向を観察したエレベータの意匠の3次元画像を表示する携帯端末とを具備する。操作端末は、エレベータの部分毎に意匠を特定する意匠情報を表示する意匠情報表示部と、携帯端末の傾き情報を受信して視界方向を表示する視界方向表示部と、携帯端末に表示する3次元画像について変更したいエレベータの部分の意匠を特定する意匠情報を選択して携帯端末に送信する意匠変更指示部と、を備える。携帯端末は、仮想視点から視界方向を観察した3次元画像を作成する3次元画像作成部と、携帯端末の傾きを検出し、視界方向の3次元画像を変更する視界変更部と、検出された携帯端末の傾きに基づいて携帯端末の傾き情報を操作端末に送信する視点角度送信部と、操作端末から受信された変更したいエレベータの部分の意匠を特定する意匠情報により特定される意匠に3次元画像を変更表示する意匠変更表示部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、操作端末で携帯端末に表示される視界方向を確認して、携帯端末に表示される意匠の3次元画像を変更できることから、顧客がよりリアリティのある様々なパターンのエレベータの意匠を確認することができるとともに、業者が自社の戦略に沿った意匠を顧客に提案できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施の形態に係るエレベータ意匠決定支援システムの全体図
【
図2】エレベータ意匠決定支援システムの操作端末の機能的構成を示す図
【
図3】エレベータ意匠決定支援システムの携帯端末の機能的構成を示す図
【
図8】エレベータ意匠決定支援システムの操作端末のハードウェア構成を示す図
【
図9】エレベータ意匠決定支援システムの携帯端末のハードウェア構成を示す図
【
図10】(a)は、操作端末の画面初期化処理動作を示すフローチャート、(b)は、携帯端末の画面初期化処理動作を示すフローチャート
【
図12】携帯端末の視界変更処理動作を示すフローチャート
【
図13】(a)は、携帯端末の視点角度送信処理動作を示すフローチャート、(b)は、操作端末の視界表示処理動作を示すフローチャート
【
図14】(a)は、操作端末の意匠情報選択送信処理動作を示すフローチャート、(b)は、携帯端末の意匠情報受信再現処理動作を示すフローチャート
【
図15】操作端末に表示される視界表示画像を示す図
【
図16】(a)は、操作端末の拡大箇所指示送信処理動作を示すフローチャート、(b)は、携帯端末の拡大箇所受信再現処理動作を示すフローチャート
【
図17】操作端末に表示される拡大表示指示画像を示す図
【
図18】(a)は、操作端末の視点誘導箇所指示送信処理動作を示すフローチャート、(b)は、携帯端末の視点誘導箇所受信再現処理動作を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
(システムの構成)
以下、本開示の実施の形態に係るエレベータ意匠決定支援システムについて説明する。
本実施の形態に係るエレベータ意匠決定支援システム1は、
図1に示すように、操作端末10と、携帯端末20と、操作端末10と携帯端末20の間で情報の送受信をするために必要となるネットワーク30を備える。
【0011】
操作端末10は業者の営業担当者が保持する装置であり、少なくとも携帯端末20とネットワーク30を通じて通信を行うためのネットワーク接続部11を備える。操作端末10は、例えばタブレット端末、パーソナルコンピュータ等が該当する。
【0012】
携帯端末20は顧客が装着する装置であり、少なくとも操作端末10とネットワーク30を通じて通信を行うためのネットワーク接続部21と、角加速度を常に計算する加速度センサ22と、を備える。携帯端末20は、透過あるいは非透過型の液晶パネルを備えるヘッドマウント装置(HMD:Head Mounted Display)、スマートフォンが該当する。スマートフォンはプラスチック、段ボール等の素材で作成されたゴーグルにセットされ、顧客がゴーグルを頭部に装着することで、ディスプレイに表示されるエレベータかご室の映像を視認できる。なお、加速度センサ22は、携帯端末20とは別に設けられてもよい。この場合、加速度センサ22は頭部に装着され、携帯端末20は、加速度センサ22からのセンサ信号を取得する。
【0013】
ネットワーク30は、無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)、インターネット等が該当し、営業担当者が、例えば客先に出向いて商談を進める場合の他、営業担当者と顧客が遠隔地に存在して商談を進める場合も含まれる。
顧客が装着する携帯端末20はエレベータかご室の中心を仮想視点として視界方向を観察したVR(Virtual Reality)画像をディスプレイ上に表示する。顧客の視界は加速度センサ22で取得した角加速度に応じた携帯端末20の傾きと同期する。携帯端末20は自らの傾きを操作端末10に送信することで、営業担当者は顧客がかご室のどこを観察しているのかを把握する。営業担当者は、顧客に示したい情報、例えば後述する顧客の視界を誘導する情報を操作端末10に入力して携帯端末20へ送信し、携帯端末20のディスプレイに表示する。
【0014】
(操作端末10の機能的構成)
次に、操作端末10の機能的構成について、
図2を参照しながら説明する。
操作端末10は、ディスプレイの画面上にエレベータの意匠を特定する意匠情報を表示する意匠情報表示部110と、携帯端末20に表示されるエレベータの意匠の変更を指示する意匠変更指示部120と、携帯端末20から携帯端末20の傾き情報を受信して携帯端末20を装着する顧客の視界をディスプレイに表示する視界方向表示部130と、携帯端末20のディスプレイに表示される画像の特定箇所の拡大を指示する拡大指示部140と、顧客の視点を携帯端末20のディスプレイに表示される映像の特定箇所に誘導する指示を携帯端末に送信する視点誘導指示部150と、エレベータの各部分を示す意匠項目について複数種類の意匠の意匠情報が記憶されている意匠情報記憶部D111と、を備える。
【0015】
意匠情報表示部110は、意匠情報記憶部D111から意匠情報を取得する意匠情報取得部111と、意匠情報取得部111によって取得された意匠情報のうち、エレベータのかご室のサイズの情報からエレベータのかご室の簡単な内観を描画する内観描画部112と、意匠情報取得部111によって取得された意匠情報のうち、エレベータの各部を示す意匠項目のデフォルトの意匠の意匠情報を取得する意匠情報展開部113と、を備える。内観描画部112で描画されたエレベータのかご室の簡易的な内観および意匠情報展開部113によって取得された各意匠項目のデフォルトの意匠の意匠情報は、操作端末10のディスプレイ上に初期画面として表示される。
【0016】
意匠変更指示部120は、意匠情報記憶部D111から、指定された意匠項目について意匠情報を検索する意匠情報検索部121と、意匠情報検索部121で検索された意匠情報を画面上の指定エリアに表示する検索結果表示部122と、画面上に表示された意匠情報の中から営業担当者が任意の意匠情報を選択する意匠情報選定部123と、意匠情報選定部123で選択された意匠情報を携帯端末20に送信する意匠情報送信部124と、を備える。意匠情報検索部121で検索された意匠項目の複数の意匠の意匠情報が、検索結果表示部122により画面上に表示され、これらの中から営業担当者が意匠情報選定部123を通じて選択した意匠情報が意匠情報送信部124により携帯端末20に送信される。
【0017】
視界方向表示部130は、携帯端末20から受信した顧客が装着している携帯端末20の傾き(例えば、起動時のx、y、z軸の各角度に対する現在のx、y、z軸の各角度)の情報を受信する視点角度受信部131と、視点角度受信部131によって受信された携帯端末20の傾き情報から顧客の視界を算出する視界情報算出部132と、視界情報算出部132で算出した顧客の視界を内観描画部112で描画した内観に重畳表示する視界情報再現部133と、を備える。
【0018】
拡大指示部140は、営業担当者が顧客に対して注視してほしい意匠の意匠情報を選択する拡大箇所選択部141と、拡大箇所選択部141で選択された意匠について拡大表示する指示を携帯端末20に送信する拡大箇所送信部142と、を備える。
視点誘導指示部150は、営業担当者が顧客に対して観察してほしい意匠の意匠情報を選択する視点誘導箇所選択部151と、視点誘導箇所選択部151で選択された意匠に顧客の視点を誘導する指示を携帯端末20に送信する視点誘導箇所送信部152と、を備える。
【0019】
意匠情報記憶部D111は、エレベータの意匠情報が記憶される。記憶される意匠情報の一例を
図4に示す。意匠情報は、意匠を特定する識別コードである「意匠ID」、意匠の名前を示す「意匠名」、エレベータの各部を示す意匠項目を特定する識別コードである「意匠項目ID」、意匠項目の名前を示す「意匠項目名」、初期画面において表示される意匠を示す「デフォルト表示」等の項目を含む。さらに、意匠情報記憶部D111は、かご室のサイズを示す情報、各意匠の3次元形状を描画するための情報を示す3次元形状データを含む。
図4の例において、エレベータのインジケータ部分の意匠項目として、「意匠項目名」が「インジケータ」と示された2種類の意匠が存在している。これらの意匠のうち、「意匠ID」が「AA101」である意匠にデフォルト表示されることを示すフラグが付されている。
【0020】
(携帯端末20の機能的構成)
次に、携帯端末20の機能的構成について、
図3を参照しながら説明する。
携帯端末20は、ディスプレイに初期画面を表示する3次元画像作成部210と、携帯端末20の傾きに応じてディスプレイの画面に表示される画像を変更する視界変更部220と、操作端末10から送信される意匠変更指示を受信して画面に表示される意匠の3次元画像を変更する意匠変更表示部230と、携帯端末20の傾き情報を操作端末10に送信する視点角度送信部240と、操作端末10から送信される拡大指示を受信して指示された箇所を画面上に拡大表示する拡大表示部250と、操作端末10から送信される視点誘導指示を受信して指示された箇所に視点を誘導する画面上の表示を行う視点誘導表示部260と、ディスプレイの画面に表示するエレベータかご室の各部の意匠の3次元画像として3DCG(Three-Dimensional Computer Graphics)を記憶する3DCG記憶部D211と、エレベータかご室の各部の意匠の3DCGを画面上に配置する位置情報を記憶する3DCG位置情報記憶部D212と、視点角度を保存する視点角度保管部D221と、を備える。
【0021】
3次元画像作成部210は、3DCG記憶部D211から3DCGを取得するとともに3DCG位置情報記憶部D212から3DCGをエレベータかご室に配置する位置情報を取得する3DCG取得部211と、3DCG取得部211で取得した3DCGと3DCGの位置情報に基づきエレベータかご室の意匠の3DCGを描画する3DCG描画部212と、エレベータかご室の天井に設けられた光源による各意匠の光の反射、エレベータかご室に設けられた鏡に映る像を計算するための光源・鏡面計算部213を備える。
【0022】
視界変更部220は、加速度センサ22から3軸(x、y、z)の角加速度を取得する角加速度取得部221と、角加速度取得部221から取得した角加速度に基づいて携帯端末20の傾きを算出し、視点角度保管部D221に記憶する視点角度算出部222と、視点角度算出部222で算出された傾き情報に基づき携帯端末20のディスプレイの画面に表示するエレベータのかご室の画像の範囲を変更する描画範囲変更部223と、を備える。
【0023】
意匠変更表示部230は、操作端末10から送信された意匠情報を受信する意匠情報受信部231と、受信した意匠情報に基づいて意匠の3DCGおよび3DCG位置情報を、それぞれ3DCG記憶部D211および3DCG位置情報記憶部D212から検索する意匠情報検索部232と、意匠情報検索部232で検索した意匠の3DCGを3DCG位置情報に基づき配置しなおす意匠情報再現部233と、を備える。
【0024】
視点角度送信部240は、視点角度を視点角度保管部D221から取得する視点角度取得部241と、視点角度取得部241で取得した視点角度の情報を操作端末10に送信する視点角度情報送信部242と、を備える。
【0025】
拡大表示部250は、操作端末10から送信された拡大表示箇所の指示を受信する拡大箇所受信部251と、拡大表示指示を受けた箇所を拡大してディスプレイの画面に表示する拡大箇所再現部252と、を備える。
【0026】
視点誘導表示部260は、操作端末10から送信された視点誘導箇所の指示を受信する視点誘導箇所受信部261と、視点誘導の指示を受けた箇所に向けて誘導する表示を実行する視点誘導箇所再現部262と、を備える。
【0027】
3DCG記憶部D211は、ディスプレイの画面に表示するエレベータかご室の各部の意匠の3DCGに関するデータを記憶する。記憶される3DCGに関するデータの一例を
図5に示す。
3DCGに関するデータは、意匠を特定する識別コードである「意匠ID」と、意匠の名前を示す「意匠名」と、エレベータの各部を示す意匠項目を特定する識別コードである「意匠項目ID」と、意匠項目の名前を示す「意匠項目名」と、初期画面において表示される意匠を示す「デフォルト表示」と、意匠の3DCGデータが保管されている携帯端末20のURL(Uniform Resource Locator)を示す「意匠CGURL」等の項目を含む。
【0028】
3DCG位置情報記憶部D212は、エレベータかご室の各部の意匠の3DCGを画面上に配置する位置情報を記憶する。記憶される位置情報の一例を
図6に示す。
位置情報は、前述した「意匠ID」、「意匠名」、「意匠項目ID」、「意匠項目名」に加えて、意匠の3DCGを配置するかご室のサイズ情報を示す「かご室サイズ」と、意匠の3DCGを配置するときの位置座標を表す「x座標」と、「y座標」と、「z座標」と、意匠の3DCGを配置するときの角度を指定する「x軸回転角度」と、「y軸回転角度」と、「z軸回転角度」等の項目を含む。
【0029】
視点角度保管部D221は、視点角度の情報を記憶する。記憶される視点角度の情報の一例を
図7に示す。
視点角度の情報は、かご室の中央を視点としてかご室ドアをかご室の床面に対して水平に観察したときの平面内における角度を0°としたときの視点を中心とした平面内における回転角度を示す「視点角度x」と、かご室の中央を視点としてかごドアをかご室の床面に対して水平に観察したときの視点を中心とした平面に対する上下方向への傾きを0°としたときの現在の上下方向への傾きを示す「視点角度z」と、そのときの時刻を示す「タイムスタンプ」の項目を含む。
【0030】
次に操作端末10のハードウェア構成について、
図8を参照して説明する。
【0031】
操作端末10は、制御部31と、記憶部32と、通信部33と、表示部34と、操作部35と、を備える。記憶部32、通信部33、表示部34および操作部35はいずれも、内部バス36を介して制御部31に接続される。
制御部31は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を備える。CPUはROMに格納されたプログラムおよびデータを読み出して、RAMを作業領域として用いる。制御部31は、プログラムを実行することにより、操作端末10の意匠情報表示部110、意匠変更指示部120、視界方向表示部130、拡大指示部140、視点誘導指示部150の各処理を実行する。
記憶部32は、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)といった不揮発性の半導体メモリ、HDD(Hard Disk Drive)を含む。記憶部32は、プログラムの他に、制御部31の処理に用いられる種々のデータを記憶する。記憶部32は、制御部31の指示に従って、制御部31によって利用されるデータを制御部31に供給し、制御部31から供給されたデータを記憶する。なお、記憶部32は、複数のプログラムを記憶してもよいし、記憶部32には、複数のプログラムがロードされてもよい。操作端末10の意匠情報記憶部D111は、記憶部32に記憶される。
通信部33は、Wi-Fi、Bluetooth(登録商標)等の無線通信インタフェースを備え、携帯端末20と通信する。
表示部34は、各種処理の実行結果の画面、操作画面等を表示し、液晶ディスプレイに代表される表示デバイスを含む。
操作部35は、制御部31に種々の指示を入力する装置であり、タッチパネル、入力キーおよびポインティングデバイスに代表される入力デバイスを含む。操作部35は、エレベータ意匠決定支援システム1の営業担当者によって入力された情報を取得して、取得した情報を制御部31に通知する。
【0032】
次に、携帯端末20のハードウェア構成について説明する。
図9に示すように、携帯端末20は、制御部41と、記憶部42と、通信部43と、表示部44と、操作部45と、角加速度センサ部46を備え、これらは内部バス47を介して接続される。
制御部41は、CPU、ROM、RAMを備える。制御部41は、プログラムを実行することにより、携帯端末20の3次元画像作成部210、視界変更部220、意匠変更表示部230、視点角度送信部240、拡大表示部250、視点誘導表示部260の各処理を実行する。
記憶部42は、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROMといった不揮発性の半導体メモリ、HDDを含む。記憶部42は、プログラムの他に、制御部41の処理に用いられる種々のデータを記憶する。携帯端末20の3DCG記憶部D211、3DCG位置情報記憶部D212、視点角度保管部D221は、記憶部42に記憶される。
通信部43は、Wi-Fi、Bluetooth(登録商標)等の無線通信インタフェースを備え、操作端末10と通信する。
表示部44は、各種処理の実行結果の画面、操作画面等を表示し、液晶ディスプレイに代表される表示デバイスを含む。
操作部45は、制御部41に種々の指示を入力する装置であり、キーボード、操作ボタン等を備える。操作部45は、エレベータ意匠決定支援システム1の顧客によって入力された情報を取得して、取得した情報を制御部41に通知する。
角加速度センサ部46は、携帯端末20の傾きにより生じる角加速度を検出する加速度センサ22を備える。角加速度センサ部46は、制御部41による制御のもと、角加速度を検出し、検出した角加速度のデータを制御部41に出力する。
【0033】
次に、エレベータ意匠決定支援システム1を用いて、営業担当者と顧客がエレベータの意匠の検討を行う動作について説明する。
(操作端末10の意匠情報表示部110の画面初期化処理)
まず、
図10(a)を参照して、エレベータ意匠決定支援システム1における操作端末10の画面初期化処理について説明する。
最初に、営業担当者は、操作端末10および携帯端末20の電源を入れ、ネットワーク30を介して両端末を接続する。
続いて、操作端末10のエレベータ意匠決定支援システム1を起動する。エレベータ意匠決定支援システム1が起動すると、意匠情報表示部110が動作し、意匠情報取得部111が意匠情報記憶部D111からディスプレイに表示する初期画像を生成するために必要な意匠情報を取得する(ステップS101)。意匠情報取得部111は、最初にエレベータのかご室のサイズの情報を取得する。かご室のサイズの情報は、かご室の横幅、奥行および高さのサイズ情報である。意匠情報の「デフォルト表示」の項目には、初期画像として表示する意匠項目について、フラグが付されている。同一の意匠項目のうち、最大1つだけフラグが付されている。「かご室サイズ」、「かご室ドア」等、エレベータのかご室を構成する必要最低限の意匠項目には必ずフラグが付されている。これに対して、「手すり」、「鏡」等のかご室への設置が任意である意匠項目には必ずしもフラグは付されない。意匠情報取得部111は、「意匠項目」のうち、「デフォルト表示」にフラグが付されている意匠情報を読取る。
【0034】
内観描画部112は、意匠情報取得部111によって取得された意匠情報に基づきエレベータのかご室の透視図をディスプレイの画面上に描画する(ステップS102)。まず、内観描画部112は、意匠情報のうち、「かご室サイズ」の情報から、横幅、奥行および高さのかご室サイズの比率を維持した状態の立方体の透視図を描画して操作端末10のディスプレイの画面上に表示する。
図11は、操作端末10のディスプレイの画面上に表示される初期画像を示している。描画された立方体は、かご室を示している。続いて、内観描画部112は、「デフォルト表示」にフラグが付されている意匠項目の意匠を立方体に描画する。最後に、簡易的な人の画像をかご室の中央に配置する。
図11において、描画されたエレベータのかご室の簡易的な透視図は、画面の左半分に表示されている。ここで、操作端末10のディスプレイの画面上に表示されるかご室の透視図を簡易的なものとしたのは、かご室の意匠を観察することが目的ではないからである。操作端末10を操作するのは営業担当者であり、営業担当者は、顧客がかご室の意匠のどの部分を観察しているかを把握できればよい。営業担当者は、顧客が観察している箇所を把握することにより、意匠に対する提案をして、顧客とのコミュニケーションを図ることができる。本画面構成は一つの例であり、画面のどこに内観描画部112で描画してもよいものとする。
【0035】
意匠情報展開部113は、意匠情報取得部111によって取得された意匠情報のうち、「デフォルト表示」にフラグが付されている意匠項目の意匠情報の一覧をディスプレイの画面上に表示する(ステップS103)。
図11において、かご室の透視図の右側にエレベータ各部の意匠項目名が列記されている。意匠項目名は、デフォルト表示の有無にかかわらずすべて表示される。意匠項目名の右側には、その意匠項目に属する意匠の意匠名を表示する欄が設けられている。意匠名表示欄には、「デフォルト表示」にフラグが付されている意匠名が表示される。その意匠項目に「デフォルト表示」にフラグが付されている意匠名がない場合、意匠名の表示欄は空白の状態とする。
【0036】
(携帯端末20の画面初期化処理)
次に
図10(b)を参照して、エレベータ意匠決定支援システム1における携帯端末20の画面初期化処理について説明する。営業担当者は、顧客に携帯端末20を装着するために携帯端末20のエレベータ意匠決定支援システム1を起動する。エレベータ意匠決定支援システム1が起動すると、3次元画像作成部210が動作し、3DCG取得部211が3DCG記憶部D211からディスプレイに表示する初期画像を生成するために必要な意匠情報を取得する(ステップS201)。
図5に示すように、3DCG記憶部D211には、操作端末10の意匠情報記憶部D111に記憶された内容と同様の内容の意匠情報が記憶されている。意匠情報記憶部D111と3DCG記憶部D211が異なる点は、意匠情報記憶部D111が意匠の簡易的な3次元形状を描画するためのデータを記憶しているのに対して、3DCG記憶部D211は意匠の3DCGを記憶している点である。3DCG取得部211は3DCG記憶部D211から「デフォルト表示」にフラグが付されている意匠情報を抽出する。さらに3DCG取得部211は、3DCG記憶部D211から抽出した意匠IDおよびかご室サイズをキー情報として3DCG位置情報記憶部D212を検索し、その意匠IDの意匠の3DCGが配置される位置および角度の情報を得る。位置情報として、x座標、y座標、z座標の情報、角度情報として、x軸回転角度、y軸回転角度、z軸回転角度の情報を抽出する。
【0037】
3DCG描画部212は、3DCG取得部211によって取得された意匠IDの3DCGが格納されたURLにアクセスして3DCGを読み出す。読み出された3DCGは、原点から3DCG位置情報記憶部D212によって抽出されたx座標、y座標、z座標の距離だけ各軸方向に移動されることによってかご室内に配置される(ステップS202)。また、配置の際に、意匠3DCGは、3DCG位置情報記憶部D212で抽出したx軸回転角度、y軸回転角度、z軸回転角度の分だけ各軸方向に回転され、かご室内に配置される。このとき、x座標、y座標、z座標の原点はかご室のある1点を基準にすることとする。3DCG描画部212は、配置された3DCGに対し、かご室の床の中心点から170cm程度の高さの箇所であって、かご室ドア方向もしくはかご室ドア方向の逆側の向きを仮想視点として設定する。3DCG描画部212は、設定された仮想視点から観察可能な範囲のエレベータかご室の内観パースの3DCGを携帯端末20のディスプレイの画面上に表示する。
配置が完了すると、光源・鏡面計算部213は、意匠3DCG描画部212で描画したエレベータかご室の内観の3DCGに対して天井の光源からの光の当たり具合を計算して3DCGに光沢をつける。また、視点と鏡の位置関係から鏡に映る内観の3DCGを計算し、鏡面に描画する(ステップS203)。
【0038】
(携帯端末20の視界変更処理)
次に
図12を参照して、携帯端末20にVR画像を表示する際の視界変更処理について説明する。
携帯端末20の画面初期化が完了すると、携帯端末20はVR用のゴーグルに設置され、顧客はゴーグルを頭部に装着する。
顧客がゴーグルを装着した状態で、頭を動かすと、携帯端末に内蔵された加速度センサ22が角加速度を検出し、視界変更部220において角加速度取得部221が角加速度を取得する(ステップS301)。視点角度算出部222は、携帯端末20が直前の状態からどれだけ傾いたかを視点角度として算出し、算出された視点角度をタイムスタンプとともに視点角度保管部D221に記憶する(ステップS302)。記憶された視点角度およびタイムスタンプは、後述する視点角度送信部240によって操作端末10に送信される。なお、直前の状態は、初期状態において、携帯端末20を横向きにし、かつ垂直に立てた状態とする。描画範囲変更部223は、視点角度算出部222にて算出された直前の状態からの携帯端末20の傾きに応じて携帯端末20のディスプレイの画面に表示される3DCG内の視界方向を変更し、画面に表示される3DCGの描画範囲が変更される(ステップS303)。携帯端末20が設置されたVR用ゴーグルを装着した顧客は、頭を動かすことで、視界変更部220を通して3DCG描画部212で設定された仮想視点から、携帯端末20の傾き状態に応じた内観パースを閲覧することができる。視界変更部220は、顧客がゴーグルを装着してVR体験をしている間、常に動作し、顧客の動き、すなわち携帯端末の傾きに応じて、リアルタイムで3DCGを変更し続ける。ただし、視点角度算出部222で算出された視点角度を視点角度保管部D221に保管する処理はリアルタイムに実行し続けるのでなく、携帯端末20のメモリおよびネットワークの負荷軽減のため、例えば1秒、2秒等の決められた間隔で動作する。
【0039】
営業担当者と顧客が双方向コミュニケーションをとるためには、営業担当者が、顧客の閲覧している視界を把握する必要がある。そこで、携帯端末20から視点角度の情報を操作端末10に送信することにより、視界を共有する。これについて
図13を参照して説明する。
【0040】
(携帯端末20の視点角度送信処理)
図13(a)に示すように、携帯端末20は、算出した視点角度を操作端末10に送信する処理を実行する。
携帯端末20の視点角度送信部240において、視点角度取得部241は、視点角度保管部D221に記憶された視点角度の情報を取得する(ステップS401)。視点角度情報送信部242は取得された視点角度情報を操作端末10に送信する(ステップS402)。視点角度送信部240は視点角度保管部D221に1レコードが溜まった時点で送信を行う。視点角度保管部D221には、例えば1秒、2秒等、決められた間隔で記憶されることから、操作端末10への送信は1秒、2秒等の決められた間隔で実行される。
【0041】
(操作端末10の視界表示処理)
携帯端末20から送信された視点角度情報は、
図13(b)に示すように、操作端末10によって受信され、操作端末10は視界を表示する処理を実行する。
操作端末10の視界方向表示部130において、視点角度受信部131は、携帯端末20の視点角度送信部240から送信された視点角度の情報を受信する(ステップS501)。視界情報算出部132は、受信された視点角度の情報と直前の携帯端末20の傾き状態とを用いて、携帯端末20が現在どの向きであるか、すなわち顧客が仮想視点からどの方向を向いてかご室の3DCGを観察しているかを示す視界方向を算出する(ステップS502)。直前の携帯端末20の傾き状態は、初期状態において、携帯端末20を横向きにし、垂直に立てた状態であり、かご室の3DCGにおいて、かご室ドアもしくはかご室ドアの反対側を向いて観察している状態である。視界情報再現部133は、ステップS502で算出された視界方向に基づいて画面に表示されるかご室の透視図内に顧客の視界を表示する(ステップS503)。
図15は、かご室の透視図内に顧客の視界が表示された状態の例を示している。
図15において、仮想視点からステップS502で算出された視界方向に突き当たった壁面天井、ないしは床の1点を中心とした縦横比1:3の楕円が表示されている。表示された楕円が顧客の視界である。なお、楕円が複数の壁面、例えば天井とかご室ドアが設置されている壁面にまたがる場合、そのまま複数の壁面にまたがった状態で楕円は表示される。操作端末10の操作者である営業担当者は、視界が表示された画像を確認することにより、顧客がかご室の意匠のどの部分に現在注目しているかを把握することができる。
【0042】
(操作端末10の意匠情報選択送信処理)
営業担当者は、顧客に様々なパターンの意匠を体験してもらうため、操作端末10を通じて顧客が観察している意匠を変更する。これについて
図14を参照して説明する。
操作端末10は、
図14(a)に示すように、変更する意匠を選択して携帯端末20に送信する処理を実行する。
図15を参照して、営業担当者は、画面の右側に表示される意匠項目が列記された意匠情報表示部分から意匠を変更したい意匠項目を選択する。初期状態において、意匠情報展開部113で抽出されたデフォルトの意匠が選択されている。変更したい意匠項目を選択する操作として、操作端末10の画面上に表示されている変更したい意匠項目の意匠名をタップすることで意匠変更指示部120の意匠情報検索部121が動作する。意匠情報検索部121は、タップされた意匠項目の意匠項目名をキー情報として意匠情報記憶部D111からその意匠項目に属する意匠の意匠名一覧を取得する(ステップS601)。検索結果表示部122は、意匠情報検索部121によって取得された意匠名一覧を、例えば、タップした意匠名が表示された欄にプルダウン表示する(ステップS602)。営業担当者は、表示された意匠名一覧から表示させたい意匠名を選択すると、意匠情報選定部123が選択された意匠の意匠IDを記憶し(ステップS603)、意匠情報送信部124は携帯端末20に選択された意匠IDを送信する(ステップS604)。
【0043】
(携帯端末20の意匠情報受信再現処理)
携帯端末20は意匠変更表示部230にて、
図14(b)に示すように、操作端末10から送信された意匠情報を受信し、携帯端末20の3DCGに反映する処理を実行する。
意匠変更表示部230の意匠情報受信部231は、操作端末10から送信された意匠IDを受信する(ステップS701)。意匠情報検索部232は、3DCG記憶部D211からかご室サイズを求めるとともに、受信した意匠IDをキー情報として対応する意匠の3DCGを抽出する(ステップS702)。意匠情報検索部232は、意匠IDおよびかご室サイズをキー情報として、3DCG位置情報記憶部D212内を検索し、その意匠IDの意匠が配置される位置および角度の情報として、x座標、y座標、z座標、x軸回転角度、y軸回転角度、z軸回転角度の情報を抽出する(ステップS703)。意匠情報再現部233は、変更前の意匠項目の意匠の3DCGを、既に描画しているエレベータかご室の3DCGから削除し、新たに抽出した意匠IDの意匠の3DCGに変更する(ステップS704)。ただし、顧客が意匠3DCGの削除、再描画を観察することで、急に閲覧する内容が変わり、脳に過負荷を掛けてしまうリスクがあるため、削除と再描画はディスプレイを一度暗転してから行い、再描画後の3DCGをディスプレイに表示するものとする。
以上により、営業担当者が、顧客がかご室の意匠のどの部分に現在注目しているかを操作端末10の視界が表示された画像を確認することにより、注目している部分の意匠を変更して顧客に別の意匠を提案することができる。
【0044】
(操作端末10の拡大指示部140の拡大箇所指示送信処理)
営業担当者は、企業の販売戦略に基づいて特定の意匠を顧客にアピールするため、当該特定の意匠を顧客に注目させたい場合がある。そこで操作端末10から注目させたい意匠を拡大表示する指示を携帯端末20に送信し、これを受けて携帯端末20のディスプレイに指示された意匠を拡大表示する機能を設ける。これについて
図16を参照して説明する。
操作端末10は、
図16(a)に示すように、拡大表示したい意匠を携帯端末20に送信する処理を実行する。
図17を参照して、営業担当者が、画面の右側に表示される意匠項目が列記された意匠情報表示部分から意匠を拡大表示させたい意匠項目の意匠項目名をタップすると、拡大表示、あるいは後述する誘導表示を選択する選択画面が表示される。選択画面において拡大表示を選択すると、拡大指示部140の拡大箇所選択部141が拡大する意匠項目の意匠を特定する(ステップS801)。拡大箇所送信部142は、特定された意匠の意匠情報を携帯端末20に送信する(ステップS802)。
【0045】
(携帯端末20の拡大表示部250の拡大箇所受信再現処理)
携帯端末20の拡大表示部250は、
図16(b)に示すように、操作端末10から拡大箇所指示を受信して拡大箇所指示により特定された意匠について画面上に拡大表示する処理を実行する。拡大表示部250の拡大箇所受信部251は、操作端末10の拡大箇所送信部142から送信された拡大箇所指示を受信し、拡大する意匠項目を特定する(ステップS901)。拡大箇所再現部252は、特定された意匠項目の場所を拡大して携帯端末20のディスプレイ上に表示する(ステップS902)。
【0046】
(操作端末10の視点誘導指示部150の視点誘導箇所指示送信処理)
前記の拡大表示同様、営業担当者は、企業の販売戦略に基づいて特定の意匠を顧客にアピールするため、当該特定の意匠を顧客に注目させたい場合がある。そこで操作端末10から注目させたい意匠の表示箇所まで誘導する指示を携帯端末20に送信し、これを受けて携帯端末20のディスプレイに誘導指示を表示する機能を設ける。これについて
図18を参照して説明する。
操作端末10は、
図18(a)に示すように、誘導表示したい意匠を携帯端末20に送信する処理を実行する。
図11を参照して、営業担当者が、画面の右側に表示される意匠項目が列記された意匠情報表示部分から意匠を誘導指示させたい意匠項目の意匠項目名をタップすると、誘導表示、あるいは前述した拡大表示を選択する選択画面が表示される。選択画面において誘導表示を選択すると、視点誘導指示部150の視点誘導箇所選択部151が誘導する意匠項目の意匠を特定する(ステップS1001)。視点誘導箇所送信部152は、特定された意匠の意匠情報を携帯端末20に送信する(ステップS1002)。
【0047】
(携帯端末20の視点誘導表示部260の視点誘導箇所受信再現処理)
携帯端末20の視点誘導表示部260は、
図18(b)に示すように、操作端末10から視点誘導箇所指示を受信して視点誘導箇所指示により特定された意匠について画面上に誘導表示する処理を実行する。視点誘導表示部260の視点誘導箇所受信部261は、操作端末10の視点誘導箇所送信部152から送信された視点誘導箇所指示を受信し、視点誘導する意匠項目を特定する(ステップS1101)。視点誘導箇所再現部262は、特定された意匠項目の場所に誘導する画像を携帯端末20のディスプレイ上で表示する(ステップS1102)。例えば、特定された意匠項目の場所を示す矢印を画面上に表示し、顧客が視点誘導箇所受信部261で受信した意匠を視界に入れるまで矢印を表示し続ける。また、特定された意匠項目の意匠を枠線により囲む表示を行う、特定された意匠項目の意匠を強調表示する等、種々の表示が可能である。また、3DCGが移動して特定された意匠が視界の中心に表示されることにより誘導してもよい。
【0048】
本開示のエレベータ意匠決定支援システム1の機能は、専用のハードウェアによっても、また、通常のコンピュータシステムによっても実現することができる。
【0049】
例えば、制御部31および制御部41によって実行されるプログラムを、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体に格納して配布し、そのプログラムをコンピュータにインストールすることにより、上述の処理を実行する装置を構成することができる。このような記録媒体としては、例えばフレキシブルディスク、CD-ROM(Compact Disc Read-Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)、MO(Magneto-Optical Disc)が考えられる。
【0050】
また、プログラムをインターネットに代表される通信ネットワーク上のサーバ装置が有するディスク装置に格納しておき、例えば、搬送波に重畳させて、コンピュータにダウンロードしてもよい。
【0051】
また、通信ネットワークを介してプログラムを転送しながら起動実行することによっても、上述の処理を達成することができる。
【0052】
さらに、プログラムの全部又は一部をサーバ装置上で実行させ、その処理に関する情報をコンピュータが通信ネットワークを介して送受信しながらプログラムを実行することによっても、上述の処理を達成することができる。
【0053】
なお、上述の機能を、OS(Operating System)が分担して実現する場合又はOSとアプリケーションとの協働により実現する場合等には、OS以外の部分のみを媒体に格納して配布してもよく、また、コンピュータにダウンロードしてもよい。
【0054】
また、エレベータ意匠決定支援システム1の機能を実現する手段は、ソフトウェアに限られず、その一部又は全部を、回路を含む専用のハードウェアによって実現してもよい。
【0055】
本開示は、本開示の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態および変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、本開示を説明するためのものであり、本開示の範囲を限定するものではない。つまり、本開示の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内およびそれと同等の開示の意義の範囲内で施される様々な変形が、本開示の範囲内とみなされる。
【符号の説明】
【0056】
1 エレベータ意匠決定支援システム、10 操作端末、11,21 ネットワーク接続部、20 携帯端末、22 加速度センサ、30 ネットワーク、31,41 制御部、32,42 記憶部、33,43 通信部、34,44 表示部、35,45 操作部、36,47 内部バス、46 角加速度センサ部、110 意匠情報表示部、111 意匠情報取得部、112 内観描画部、113 意匠情報展開部、120 意匠変更指示部、121 意匠情報検索部、122 検索結果表示部、123 意匠情報選定部、124 意匠情報送信部、130 視界方向表示部、131 視点角度受信部、132 視界情報算出部、133 視界情報再現部、140 拡大指示部、141 拡大箇所選択部、142 拡大箇所送信部、150 視点誘導指示部、151 視点誘導箇所選択部、152 視点誘導箇所送信部、210 3次元画像作成部、211 3DCG取得部、212 3DCG描画部、213 光源・鏡面計算部、220 視界変更部、221 角加速度取得部、222 視点角度算出部、223 描画範囲変更部、230 意匠変更表示部、231 意匠情報受信部、232 意匠情報検索部、233 意匠情報再現部、240 視点角度送信部、241 視点角度取得部、242 視点角度情報送信部、250 拡大表示部、251 拡大箇所受信部、252 拡大箇所再現部、260 視点誘導表示部、261 視点誘導箇所受信部、262 視点誘導箇所再現部、D111 意匠情報記憶部、D211 3DCG記憶部、D212 3DCG位置情報記憶部、D221 視点角度保管部。