(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-01
(45)【発行日】2024-08-09
(54)【発明の名称】車両充電システム、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240802BHJP
H02J 3/14 20060101ALI20240802BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20240802BHJP
B60L 53/67 20190101ALI20240802BHJP
B60L 53/63 20190101ALI20240802BHJP
【FI】
H02J7/00 P
H02J3/14
H02J13/00 311T
B60L53/67
B60L53/63
(21)【出願番号】P 2020132489
(22)【出願日】2020-08-04
【審査請求日】2023-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】514105011
【氏名又は名称】株式会社東光高岳
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】奥苑 直昭
【審査官】木村 励
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-82893(JP,A)
【文献】特開2014-73065(JP,A)
【文献】特開2017-46398(JP,A)
【文献】特開2014-192947(JP,A)
【文献】特開2013-118760(JP,A)
【文献】特開2003-333706(JP,A)
【文献】特開2013-85391(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H02J 3/14
H02J 13/00
B60L 53/67
B60L 53/63
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される蓄電池を充電する複数の中速充電器と、
前記複数の中速充電器に通信可能に接続される制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記複数の中速充電器それぞれの出力電力値を制御する制御部を含み、
前記制御部は、
前記複数の中速充電器それぞれに接続される車両の台数に応じて、前記複数の中速充電器それぞれから出力される電力値の合計値が所定の閾値以下となるように前記複数の中速充電器それぞれの出力電力値を制御し、
前記複数の中速充電器には、出力することができる最大の電力値である定格最大電力値が定められており、
前記制御部は、
前記複数の中速充電器それぞれに接続される車両の台数に、前記定格最大電力値を乗算した値が、前記所定の閾値以下である場合、車両が接続される中速充電器の出力電力値を前記定格最大電力値に制御し、
前記複数の中速充電器それぞれに接続される車両の台数に、前記定格最大電力値を乗算した値が、前記所定の閾値よりも大きい場合、車両が接続される中速充電器の出力電力値を前記定格最大電力値未満に制御する
車両充電システム。
【請求項2】
車両に搭載される蓄電池を充電する複数の中速充電器と、
前記複数の中速充電器に通信可能に接続される制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記複数の中速充電器それぞれの出力電力値を制御する制御部を含み、
前記制御部は、
前記複数の中速充電器それぞれに接続される車両の台数に応じて、前記複数の中速充電器それぞれから出力される電力値の合計値が所定の閾値以下となるように前記複数の中速充電器それぞれの出力電力値を制御し、
前記制御装置は、外部サーバと通信するための通信部を備え、
前記制御部は、
前記通信部を介して前記外部サーバから、前記複数の中速充電器それぞれの利用者に関する情報を取得し、
取得した該情報に含まれる利用者の区分に基づき、前記複数の中速充電器それぞれにおける出力電力値の比率を導出し、
導出した前記比率に基づき、前記複数の中速充電器それぞれの出力電力値を制御する
車両充電システム。
【請求項3】
前記利用者の区分は、第1区分と、前記第1区分よりも優先度の低い第2区分を含み、
前記制御部は、前記第1区分の利用者の車両が接続される中速充電器の出力電力値の比率を、前記第2区分の利用者の車両が接続される中速充電器の出力電力値の比率よりも大きくして、前記複数の中速充電器それぞれの出力電力値を制御する
請求項2に記載の車両充電システム。
【請求項4】
車両に搭載される蓄電池を充電する複数の中速充電器と、
前記複数の中速充電器に通信可能に接続される制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記複数の中速充電器それぞれの出力電力値を制御する制御部を含み、
前記制御部は、
前記複数の中速充電器それぞれに接続される車両の台数に応じて、前記複数の中速充電器それぞれから出力される電力値の合計値が所定の閾値以下となるように前記複数の中速充電器それぞれの出力電力値を制御し、
前記制御部は、
前記中速充電器により充電される車両の蓄電池の充電率を取得し、
取得した前記充電率及び該中速充電器の出力電力値に基づき、該中速充電器に充電される車両の充電完了予定時を導出し、
導出した前記充電完了予定時を出力する
車両充電システム。
【請求項5】
前記制御部は、
前記充電完了予定時を導出した後、前記充電完了予定時を導出するために用いた中速充電器の出力電力値を変更した場合、変更後の出力電力値に基づき、該充電完了予定時を補正し、
前記補正した充電完了予定時を出力する
請求項4に記載の車両充電システム。
【請求項6】
車両に搭載される蓄電池を充電する複数の中速充電器と、
前記複数の中速充電器に通信可能に接続される制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記複数の中速充電器それぞれの出力電力値を制御する制御部を含み、
前記制御部は、
前記複数の中速充電器それぞれに接続される車両の台数に応じて、前記複数の中速充電器それぞれから出力される電力値の合計値が所定の閾値以下となるように前記複数の中速充電器それぞれの出力電力値を制御し、
前記制御部は、
前記所定の閾値の変更に関する閾値変更情報を受け付け、
前記閾値変更情報に基づき、前記所定の閾値を変更する
車両充電システム。
【請求項7】
前記所定の閾値は、前記複数の中速充電器を稼働するにあたり許容される契約電力に基づき特定される値である
請求項1
から請求項6のいずれか1項に記載の車両充電システム。
【請求項8】
前記複数の中速充電器には、出力することができる最大の電力値である定格最大電力値が定められており、
前記所定の閾値は、前記定格最大電力値に、前記制御装置に接続される中速充電器の台数を乗算した値よりも、小さい値である
請求項1
から請求項7のいずれか1項に記載の車両充電システム。
【請求項9】
前記制御部は、前記複数の中速充電器それぞれの出力電流値を制御することにより、前記複数の中速充電器それぞれから出力される電力値の合計値が、所定の閾値以下となるように複数の中速充電器それぞれの出力電力値を制御する
請求項1
から請求項8のいずれか1項に記載の車両充電システム。
【請求項10】
前記中速充電器に入力される商用電源は、3相200V又は単相200Vであり、
前記中速充電器が出力することができる最大の電力値である定格最大電力値は、20kWから30kWである
請求項1
から請求項9のいずれか1項に記載の車両充電システム。
【請求項11】
複数の中速充電器のうちの一の中速充電器は、複数台の車両に接続される複数の接続部を備え、
前記一の中速充電器は、前記制御部による制御に基づき、前記複数の接続部を介して複数台の車両に電力を出力する
請求項1
から請求項10のいずれか1項に記載の車両充電システム。
【請求項12】
コンピュータに、
複数の中速充電器それぞれに接続される車両の台数を取得し、
取得した前記車両の台数に基づき、前記複数の中速充電器それぞれから出力される電力値の合計値が所定の閾値以下となるように前記複数の中速充電器それぞれの出力電力値を導出し、
導出した前記出力電力値を前記複数の中速充電器に出力し、
前記複数の中速充電器には、出力することができる最大の電力値である定格最大電力値が定められており、
前記複数の中速充電器それぞれに接続される車両の台数に、前記定格最大電力値を乗算した値が、前記所定の閾値以下である場合、車両が接続される中速充電器の出力電力値を前記定格最大電力値に制御し、
前記複数の中速充電器それぞれに接続される車両の台数に、前記定格最大電力値を乗算した値が、前記所定の閾値よりも大きい場合、車両が接続される中速充電器の出力電力値を前記定格最大電力値未満に制御する
処理を実行させる情報処理方法。
【請求項13】
コンピュータに、
複数の中速充電器それぞれに接続される車両の台数を取得し、
取得した前記車両の台数に基づき、前記複数の中速充電器それぞれから出力される電力値の合計値が所定の閾値以下となるように前記複数の中速充電器それぞれの出力電力値を導出し、
導出した前記出力電力値を前記複数の中速充電器に出力し、
前記コンピュータは、外部サーバと通信するための通信部を備え、
前記通信部を介して前記外部サーバから、前記複数の中速充電器それぞれの利用者に関する情報を取得し、
取得した該情報に含まれる利用者の区分に基づき、前記複数の中速充電器それぞれにおける出力電力値の比率を導出し、
導出した前記比率に基づき、前記複数の中速充電器それぞれの出力電力値を制御する
処理を実行させる情報処理方法。
【請求項14】
コンピュータに、
複数の中速充電器それぞれに接続される車両の台数を取得し、
取得した前記車両の台数に基づき、前記複数の中速充電器それぞれから出力される電力値の合計値が所定の閾値以下となるように前記複数の中速充電器それぞれの出力電力値を導出し、
導出した前記出力電力値を前記複数の中速充電器に出力し、
前記中速充電器により充電される車両の蓄電池の充電率を取得し、
取得した前記充電率及び該中速充電器の出力電力値に基づき、該中速充電器に充電される車両の充電完了予定時を導出し、
導出した前記充電完了予定時を出力する
処理を実行させる情報処理方法。
【請求項15】
コンピュータに、
複数の中速充電器それぞれに接続される車両の台数を取得し、
取得した前記車両の台数に基づき、前記複数の中速充電器それぞれから出力される電力値の合計値が所定の閾値以下となるように前記複数の中速充電器それぞれの出力電力値を導出し、
導出した前記出力電力値を前記複数の中速充電器に出力し、
前記所定の閾値の変更に関する閾値変更情報を受け付け、
前記閾値変更情報に基づき、前記所定の閾値を変更する
処理を実行させる情報処理方法。
【請求項16】
コンピュータに、
複数の中速充電器それぞれに接続される車両の台数を取得し、
取得した前記車両の台数に基づき、前記複数の中速充電器それぞれから出力される電力値の合計値が所定の閾値以下となるように前記複数の中速充電器それぞれの出力電力値を導出し、
導出した前記出力電力値を前記複数の中速充電器に出力し、
前記複数の中速充電器には、出力することができる最大の電力値である定格最大電力値が定められており、
前記複数の中速充電器それぞれに接続される車両の台数に、前記定格最大電力値を乗算した値が、前記所定の閾値以下である場合、車両が接続される中速充電器の出力電力値を前記定格最大電力値に制御し、
前記複数の中速充電器それぞれに接続される車両の台数に、前記定格最大電力値を乗算した値が、前記所定の閾値よりも大きい場合、車両が接続される中速充電器の出力電力値を前記定格最大電力値未満に制御する
処理を実行させるプログラム。
【請求項17】
コンピュータに、
複数の中速充電器それぞれに接続される車両の台数を取得し、
取得した前記車両の台数に基づき、前記複数の中速充電器それぞれから出力される電力値の合計値が所定の閾値以下となるように前記複数の中速充電器それぞれの出力電力値を導出し、
導出した前記出力電力値を前記複数の中速充電器に出力し、
前記コンピュータは、外部サーバと通信するための通信部を備え、
前記通信部を介して前記外部サーバから、前記複数の中速充電器それぞれの利用者に関する情報を取得し、
取得した該情報に含まれる利用者の区分に基づき、前記複数の中速充電器それぞれにおける出力電力値の比率を導出し、
導出した前記比率に基づき、前記複数の中速充電器それぞれの出力電力値を制御する
処理を実行させるプログラム。
【請求項18】
コンピュータに、
複数の中速充電器それぞれに接続される車両の台数を取得し、
取得した前記車両の台数に基づき、前記複数の中速充電器それぞれから出力される電力値の合計値が所定の閾値以下となるように前記複数の中速充電器それぞれの出力電力値を導出し、
導出した前記出力電力値を前記複数の中速充電器に出力し、
前記中速充電器により充電される車両の蓄電池の充電率を取得し、
取得した前記充電率及び該中速充電器の出力電力値に基づき、該中速充電器に充電される車両の充電完了予定時を導出し、
導出した前記充電完了予定時を出力する
処理を実行させるプログラム。
【請求項19】
コンピュータに、
複数の中速充電器それぞれに接続される車両の台数を取得し、
取得した前記車両の台数に基づき、前記複数の中速充電器それぞれから出力される電力値の合計値が所定の閾値以下となるように前記複数の中速充電器それぞれの出力電力値を導出し、
導出した前記出力電力値を前記複数の中速充電器に出力し、
前記所定の閾値の変更に関する閾値変更情報を受け付け、
前記閾値変更情報に基づき、前記所定の閾値を変更する
処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両充電システム、情報処理法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
充電装置、車両、中間装置、及びサーバが互いに関連して車両を充電することができる車両充電システムが知られている(例えば特許文献1)。特許文献1の車両充電システムは、車両が備えるプロセッサによって、バッテリ接続モジュールが充電装置に接続されているか否かを判定し、バッテリ接続モジュールが充電装置に結合されていることに応答して、許可要求をサーバに送信し、サーバから許可要求に対応する充電許可を受信したことに応答して、充電装置が少なくとも1つの充電可能バッテリを充電することを可能にするように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の車両充電システムは、複数の充電装置を連動して稼働させた場合、これら複数の充電装置による出力電力値の合計値に関する制御については、考慮されていない。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、複数の中速充電器を稼働させた場合、これら複数の中速充電器を効率的に制御することができる車両充電システム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る車両充電システムは、車両に搭載される蓄電池を充電する複数の中速充電器と、前記複数の中速充電器に通信可能に接続される制御装置とを備え、前記制御装置は、前記複数の中速充電器それぞれの出力電力値を制御する制御部を含み、前記制御部は、前記複数の中速充電器それぞれに接続される車両の台数に応じて、前記複数の中速充電器それぞれから出力される電力値の合計値が所定の閾値以下となるように前記複数の中速充電器それぞれの出力電力値を制御する。
【0007】
本開示の一態様に係る情報処理方法は、コンピュータに、複数の中速充電器それぞれに接続される車両の台数を取得し、取得した前記車両の台数に基づき、前記複数の中速充電器それぞれから出力される電力値の合計値が所定の閾値以下となるように前記複数の中速充電器それぞれの出力電力値を導出し、導出した前記出力電力値を前記複数の中速充電器に出力する処理を実行させる。
【0008】
本開示の一態様に係るプログラムは、コンピュータに、複数の中速充電器それぞれに接続される車両の台数を取得し、取得した前記車両の台数に基づき、前記複数の中速充電器それぞれから出力される電力値の合計値が所定の閾値以下となるように前記複数の中速充電器それぞれの出力電力値を導出し、導出した前記出力電力値を前記複数の中速充電器に出力する処理を実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一態様によれば、複数の中速充電器を稼働させた場合、これら複数の中速充電器を効率的に制御する車両充電システム等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態1に係る車両充電システムに関するロケーションを例示する説明図である。
【
図2】車両充電システムの概要を示す説明図である。
【
図3】車両充電システムに含まれる制御装置等の構成例を示すブロック図である。
【
図4】利用者マスタテーブルのデータレイアウトを例示する説明図である。
【
図5】充電ステーションマスタテーブルのデータレイアウトを例示する説明図である。
【
図6】利用者による利用履歴テーブルのデータレイアウトを例示する説明図である。
【
図7】制御装置の制御部に含まれる機能部を例示する機能ブロック図である。
【
図8】複数の車両に充電する際の出力電力値を説明する説明図(タイムチャート)である。
【
図9】出力電力値テーブルを例示する説明図である。
【
図10】制御装置の制御部による処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図11】実施形態2(ユーザ区分)に係る車両充電システムの概要を示す説明図である。
【
図12】複数の車両に充電する際の出力電力値を説明する説明図(タイムチャート)である。
【
図13】比率に基づく出力電力値テーブルを例示する説明図である。
【
図14】制御装置の制御部による処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図15】実施形態3(充電完了予定時の補正)に係る複数の車両に充電する際の出力電力値を説明する説明図(タイムチャート)である。
【
図16】制御装置の制御部による処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図17】実施形態4(中速充電器の構成)に係る車両充電システムの概要を示す説明図である。
【
図18】車両充電システムに含まれる中速充電器等の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。本開示の実施形態に係る車両充電システムS等を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0012】
(実施形態1)
以下、本開示に関し、実施の形態を示す図面を参照して具体的に説明する。
図1は、実施形態1に係る車両充電システムに関するロケーションを例示する説明図である。
図2は、実施形態1に係る車両充電システムSの概要を示す説明図である。
図3は、車両充電システムSに含まれる制御装置1等の構成例を示すブロック図である。車両充電システムSは、複数の中速充電器2と、当該複数の中速充電器2の出力電力値を制御する制御装置1と、制御装置1と通信可能に接続され、制御装置1から出力(送信)される中速充電器2の利用実績に関する情報を保存及び管理する外部サーバ3とを含む。
【0013】
車両充電システムSに含まれる中速充電器2それぞれと制御装置1とは、充電ステーションを構成し、当該充電ステーションは、例えば、マンション等の集合住宅の駐車場の敷地内、ホテル又は大型小売店舗の駐車場の敷地内などに設置される。充電ステーションには、充電される車両を駐車するために区分けされた複数の駐車スペースと、当該駐車スペースに対応して設けられる複数の中速充電器2とが、載置される。充電ステーションの出入り口から、充電ステーションに進入した車両Cは、空き状態の駐車スペース又は、予め予約した中速充電器2の駐車スペースに入庫する。
【0014】
図1にて例示するとおり、充電ステーションの出入り口には、ETC路側機G1及び撮像装置G2を含むゲートユニットGが設けられている。ゲートユニットGは、通信機能を有し、メモリ及びMPUを備えたマイコン等により構成され、当該充電ステーションに出入りする車両Cに関する情報を取得し、当該情報を制御装置1に出力(送信)する。当該車両Cに関する情報は、例えば、ETC路側機G1にて取得したETCカード番号、ETC車載器管理番号及び車両番号と、撮像装置G2によって撮像された車両Cの車両番号(ナンバープレート)の画像である。ゲートユニットGは、充電ステーションの出入り口を通過するそれぞれの車両Cに対し、車両番号(ナンバープレート)の画像と、ETCカード番号等とを取得し、これらを関連付けて、制御装置1に出力する。
【0015】
充電ステーションに入庫した車両Cが、いずれかの中速充電器2に接続された場合、中速充電器2は、自器に設けられている撮像部24で撮像した当該車両Cの車両番号(ナンバープレート)の画像を、制御装置1に出力(送信)する。制御装置1は、中速充電器2から出力される画像に基づき、充電が開始される車両Cの存在を把握するものであってもよい。
【0016】
制御装置1は、スマートメータMから、例えば1分毎に検針値を定常的又は周期的に取得する。制御装置1は、スマートメータMから検針値を取得するにあたり、例えば、制御装置1及びスマートメータMを接続するBルートを介して、受電1分値を取得する。又は、制御装置1は、スマートメータMのパルス端子に接続される通信線を介して、サービスパルスを取得し、取得したサービスパルスをカウントすることにより電力量を算出するものであってもよい。サービスパルスを用いることにより、1分周期よりも早い計測を可能とすることができる。制御装置1は、複数の中速充電器2から出力される出力電力値が、例えば、契約電力又は、契約電力の内、中速充電器2に割り振られる電力容量(使ってよい上限値)に基づき決定される所定の閾値を超えないように、中速充電器2それぞれの出力電力値を決定する。制御装置1は、決定した出力電力値に基づき生成した制御信号を、各中速充電器2に出力することにより、中速充電器2それぞれの出力電力値を制御する。複数の中速充電器2は、制御装置1から出力される出力電力値に関する制御信号に基づき、当該出力電力値にて自器に接続される電気自動車等の車両Cに電力を供給し、当該車両Cの蓄電池C2を充電する。制御装置1は、中速充電器2の制御を行うにあたり、ゲートユニットGから取得したETCカード番号等を含む情報と、中速充電器2から取得した車両Cの車両番号を含む情報とに基づき、中速充電器2の利用者又は利用車両Cを特定し、当該利用者による利用実績等に関する情報を外部サーバ3に出力(送信)する。
【0017】
外部サーバ3は、制御装置1から取得した情報に基づき、利用者による充電に対する課金処理を行い、当該課金処理結果である請求額を、例えばETCカードに関する決裁を行うクレジット会社の決済サーバKSに送信する。更に、外部サーバ3は制御装置1から取得した情報に基づき、例えば、充電開始時点にて導出(推定)した充電完了の予定時刻(充電完了予定時)又は、充電が完了した際には充電完了日時及び充電電力量を、利用者に関連付けられた携帯端末KTに送信する。
【0018】
車両Cは、例えば電気自動車(EV)又はプラグインハイブリッド車(PHV)等の外部電源からの充電が可能な車両Cである。当該車両Cには、リチウム電池等の二次電池による蓄電池C2、中速充電器2から供給される電力を受電し、蓄電池C2への充電を制御する受電部C3、及びETC車載器C1が搭載されている。車両Cの受電部C3と、中速充電器2とは、例えば、チャデモ方式による通信を行うことにより、中速充電器2は、受電部C3から蓄電池C2の充電率(SOC:State Of Charge)及び電池容量等、中速充電器2に関する情報を取得する。ETC車載器C1にはETCカードが入っており、充電ステーションに入庫した車両Cは、ゲートユニットGに含まれるETC路側機G1によって、ETCカード及びETC車載器C1の情報(ETCカード番号、ETC車載器管理番号)が読み取られる。このようにETC路側機G1を、ゲートユニットGに設けることにより、比較的に高価なETC路側機G1を、個々の中速充電器2に実装する(設ける)ことを不要とすることができ、中速充電器2の製造コストが増加することを抑制することができる。従って、ゲートユニットGの撮像装置G2と、中速充電器2に実装された比較的に安価な撮像部24とにより、中速充電器2を使用する車両Cを特定し、中速充電器2の利用に対する課金処理のシステム(課金システム)と紐づけることで、システム全体におけるコストを抑制することができる。
【0019】
中速充電器2は、例えば、入力電圧がAC三相200V又はAC単相200V、定格出力電力がDC30KWの充電器であり、当該定格出力電力によって充電した場合、満充電又は電池容量の80%等の充電完了までに要する時間を2時間程度とする充電器である。中速充電器2は、当該充電完了までの所要時間を、普通速充電器の1/4程度とし、急速充電器の4倍程度とし、当該普通速充電器と急速充電器との間に位置づけられる充電器である。当該普通速充電器とは、入力電圧がAC単相100V又は200Vであり、定格出力電力がAC3KW程度の充電器である。急速充電器とは、入力電圧がAC三相200Vであり、定格出力電力がDC50KW程度の充電器である。中速充電器2の入力電圧をAC三相200V又はAC単相200Vとするのは、日本国内仕様であり、例えば、欧州又は米国等の外国においては、これら以外の入力電圧による商用電源を用いるものであってもよい。中速充電器2は、商用電源からの交流電力を直流電力に変換するPCS22(パワーコンディショナー:電力変換装置)、PCS22を制御する制御ユニット21、車両Cと接続するための接続部23、及び撮像部24を含む。中速充電器2に入力されるAC三相200V等の入力電圧は、スマートメータMよりも上流側に設けられた高圧受電設備Kから供給(印加)される。高圧受電設備Kは、トランスを備え、高圧受電設備Kに入力される6KV(6000V)の電圧を200Vに変圧し、個々の中速充電器2に供給する。本実施形態の図示において、トランスは、高圧(6KV)に対応した高圧受電設備Kに設けられるとしたが、これに限定されない。トランスは、20KV、60KV又は140KV等の特別高圧に対応した特別高圧受電設備に設けられるものであってもよい。すなわち、車両充電システムSは、20KV等の特別高圧で受電する特別高圧受電設備を用いた施設にも適用することができる。
【0020】
接続部23は、車両Cに接続するためのコネクタ、当該コネクタが先端に設けられた充電ケーブルを含む。PCS22にて直流電流に変換された電力は、接続部23を介して車両Cに供給され、蓄電池C2を充電する。充電ケーブルは、充電用の電力線と、制御信号の通信用の通信線を含む。又は、電力線を用いたPLC(Power Line Communication)によって通信を行うものであってもよい。
【0021】
制御ユニット21は、制御装置1との通信機能を有し、メモリ及びMPUを備えたマイコン等により構成される。制御ユニット21は、制御装置1から出力(送信された)された出力電力値に関する情報(制御信号)を取得(受信)し、当該出力電力値にて、PCS22から車両Cへ充電する電力を制御する。制御ユニット21は、車両C(受電部C3)から取得した蓄電池C2の充電率及び電池容量等、蓄電池C2に関する情報を制御装置1に送信する。
【0022】
撮像部24は、例えばCOMSカメラであり、中速充電器2に接続される車両Cを動画又は静止画にて撮像する。撮像された画像には、車両Cのナンバープレートが含まれており、当該画像に基づき車両Cの車両番号を特定することができる。
【0023】
中速充電器2の制御ユニット21は、制御装置1と定常的又は周期的に通信し、充電の開始及び完了を含む充電状態に関する情報、蓄電池C2の充電率に関する情報、接続部23のコネクタと車両Cとの接続状態に関する情報、及び車両Cのナンバープレートが含まれている画像等の情報を、当該制御装置1に送信する。制御装置1は、中速充電器2の制御ユニット21から送信されるこれら情報に基づき、当該中速充電器2に対応する駐車スペースに車両Cが入庫又は出庫されたこと(入出庫状態)、及び車両Cに接続部23のコネクタが接続されたこと(接続状態)等、中速充電器2に対する車両Cの状態を把握することができる。
【0024】
制御装置1は、制御部11、記憶部12、Bルート用通信部13、無線通信部14、及び充電器用通信部15を含み、通信機能を有するコンピュータである。制御装置1は、上述のとおり、契約電力又は、契約電力の内、中速充電器2に割り振られる電力容量(使ってよい上限値)に基づき決定される所定の閾値を超えないように、中速充電器2それぞれの出力電力値を決定し、当該出力電力値にて、中速充電器2を制御する。更に、制御装置1は、中速充電器2から取得した情報を、外部サーバ3又はスマートメータM等に出力(送信)する中継装置として機能する。
【0025】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等の計時機能を備えた演算処理装置を有し、記憶部12に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、制御装置1に係る種々の情報処理、制御処理等を行う。
【0026】
記憶部12は、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の揮発性記憶領域及び、EEPROM又はハードディスク等の不揮発性記憶領域を含む。記憶部12には、プログラム及び処理時に参照するデータが予め記憶してある。記憶部12に記憶されたプログラムは、制御装置1が読み取り可能な記録媒体(図示せず)から読み出されたプログラムを記憶したものであってもよい。また、図示しない通信網に接続されている図示しない外部コンピュータからプログラムをダウンロードし、記憶部12に記憶させたものであってもよい。
【0027】
Bルート用通信部13は、スマートメータMの規格によって定められているBEMS又はHEMS向けのデータ通信部である。制御装置1の制御部11は、Bルート用通信部13を介して、スマートメータMと通信し、当該スマートメータMから例えば、1分毎に検針値を取得する。本実施形態において、検針値の取得は、Bルートを介して行うとしてあるがこれに限定されず、制御装置1の制御部11は、スマートメータMのパルス端子に接続される通信線を介して、サービスパルスを取得するものであってもよい。
【0028】
無線通信部14は、無線により外部ネットワークNを介して外部サーバ3及び、ゲートユニットGと通信するための通信モジュールであり、例えばWi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等の狭域無線通信モジュール、又は4G、5G等の広域無線通信モジュールである。制御装置1は、無線通信部14により外部サーバ3と通信としたがこれに限定されず、イーサネット(登録商標)等による有線通信部を有し、当該有線通信部により外部サーバ3と通信するものであってもよい。
【0029】
充電器用通信部15は、例えばシリアルケーブル又は同軸ケーブル等により、複数の中速充電器2と通信するための通信モジュールであり、例えばModbus等の産業設備用の通信プロコトルを用いるものであってもよい。複数の中速充電器2それぞれには、これら中速充電器2を一意に識別するための充電器番号が付与されており、制御装置1の制御部11は、当該充電器番号により、充電器用通信部15を介して、それぞれの中速充電器2と通信するものであってもよい。
【0030】
本実施形態において、制御装置1は、当該制御装置1の接続先に応じた個別の通信部を備えるとしたが、これに限定されない。接続先であるスマートメータM、外部サーバ3及び中速充電器2と通信するための複数のプロトコルに対応した単一の通信部又は、統合的な通信I/Fを備え、当該単一の通信部等を介して、それぞれの通信先に応じたプロトコルで通信するものであってもよい。
【0031】
外部サーバ3は、インターネット等の外部ネットワークNに接続されるクラウドサーバ等のサーバ装置であり、制御装置1と同様に制御部31、記憶部32及び通信部33を備える。外部サーバ3は、中速充電器2(充電ステーション)の利用者の登録又は削除等のユーザ管理、利用者による利用の履歴管理などを行うデータベースサーバとして機能する。
【0032】
更に、外部サーバ3は、中速充電器2の利用により課金処理を行うアカウンティングサーバとして機能する。当該課金処理は、充電した電力量に基づき導出する処理(従量課金制)にて行われるものであってもよい。外部サーバ3は、課金処理結果である請求額を、決済サーバKSに送信する。本実施形態において例示されるように、利用者の特定がETCカードの情報に基づき行われる場合、決済サーバKSは、ETCカードによって課金される料金を決済するクレジット会社等によって管理されるサーバである。
【0033】
更に、外部サーバ3は、利用者からのサインイン等を受け付け、当該利用者専用のページ(Myページ)の表示、電子メール等により利用者へ充電完了予定時又は充電完了通知等の情報の提供等(サービスアプリケーション)を行う、アプリケーションサーバとして機能する。これらサーバ機能は、単一の外部サーバ3によって実装される場合に限定されず、個々のサーバ機能に応じた複数のサーバによって分散処理されるものであってもよい。
【0034】
携帯端末KTは、例えばパーソナルコンピュータ、タブレットPC又はスマートホン等であり、制御装置1と同様に制御部、記憶部及び通信部(図示せず)を備える。携帯端末KTは、ETCカードに関連付けられた電話番号又はメールアドレスに対応する携帯端末KTであってもよい。携帯端末KTと外部サーバ3とは、例えば、外部ネットワークNを介して通信可能に接続され、携帯端末KTは、外部サーバ3から送信された情報を、自端末のディスプレイ等の表示部に表示する。
【0035】
図4は、利用者マスタテーブルのデータレイアウトを例示する説明図である。
図5は、充電ステーションマスタテーブルのデータレイアウトを例示する説明図である。
図6は、利用者による利用履歴テーブルのデータレイアウトを例示する説明図である。外部サーバ3は、利用者の情報を保存及び管理するデータベースサーバとして機能し、当該外部サーバ3の記憶部32には、当該データベースに含まれる各種テーブルが、記憶されている。当該データベースに含まれる各種テーブルは、例えば、利用者マスタテーブル、充電ステーションマスタテーブル、及び利用履歴テーブルを含み、外部サーバ3に実装されているRDBMS(Relational DataBase Management System)等のデータベース管理ソフトウェアにより構成される。
【0036】
利用者マスタテーブルにて管理される項目の種類(メタデータ)は、例えば、ユーザID、パスワード、契約者名、メールアドレス、ETCカード番号、ETC車載器管理番号、車両番号、及びユーザ区分を含む。
【0037】
ユーザIDの項目(フィールド)には、利用者を識別するための識別番号が、格納される。パスワードの項目(フィールド)には、外部サーバ3にサインインする際のパスワードが、格納される。契約者名の項目(フィールド)には、車両充電システムSを利用するための加入契約を行った契約者名が格納され、本実施形態のようにETCカードを用いた課金処理を行う場合、当該契約者名は、ETCカードの所有者又は管理者に相当する。メールアドレスの項目(フィールド)には、外部サーバ3から、利用者の携帯端末KTに情報を送信する際に用いられるメールアドレスが、格納される。
【0038】
ETCカード番号の項目(フィールド)には、対応する契約者名(利用者)のETCカードの番号が、格納される。当該ETCカード番号を用いて、利用者の課金処理及び利用料の請求が、行われる。ETC車載器管理番号の項目(フィールド)には、対応する契約者名(利用者)のETC車載器管理番号が、格納される。車両番号の項目(フィールド)には、対応する契約者名(利用者)の車両番号が、格納される。
【0039】
ユーザ区分の項目(フィールド)には、利用者の優先度を示す区分が格納される。当該ユーザ区分の詳細は、後述する。
【0040】
充電ステーションマスタテーブルにて管理される項目の種類(メタデータ)は、例えば、ステーションID、所在地、所有者名、及び充電器台数を含む。
【0041】
ステーションIDの項目(フィールド)には、各充電ステーションを一意に識別するための識別番号が、格納される。車両充電システムSは、複数の充電ステーションを管理することが想定されるところ、充電ステーションそれぞれに対しステーションIDを付与することにより、複数の充電ステーションにおける稼働状況を一元管理することができる。
【0042】
所在地の項目(フィールド)には、対応する充電ステーションの住所が、格納される。
所有者名の項目(フィールド)には、対応する充電ステーションの所有者又は管理者の法人名等が、格納される。充電器台数の項目(フィールド)には、対応する充電ステーションに設けられている中速充電器2の台数が、格納される。充電ステーションマスタテーブは、中速充電器2の台数に加え、当該中速充電器2の型式又は設置日時等の設備管理情報に関する項目を含むものであってもよい。
【0043】
利用履歴テーブルにて管理される項目の種類(メタデータ)は、例えば、ユーザID、ステーションID、充電器番号、ETC車載器管理番号、車両番号、撮像画像、充電開始日時、充電完了日時、充電開始時の充電率、充電電力量、及び利用料を含む。
【0044】
ユーザIDの項目(フィールド)には、中速充電器2を利用した利用者のユーザIDが格納され、ユーザIDにより利用履歴テーブルは、正規化される。中速充電器2を利用する際、利用者の特定は、ETCカード番号により特定され、特定されたETCカード番号に基づき利用者マスタテーブルを参照することにより、当該ユーザIDを特定することができる。利用履歴テーブルは、ユーザIDの項目と共に、ETCカード番号の項目を含むものであってもよい。ステーションIDには、利用者が利用した中速充電器2を含む充電ステーションのステーションIDが格納され、ステーションIDにより利用履歴テーブルは、正規化される。
【0045】
充電器番号の項目(フィールド)には、利用者が利用した中速充電器2の充電器番号が、格納される。利用者が利用した中速充電器2の充電器番号を保存及び管理することにより、各充電ステーションにおける充電器番号それぞれの稼働率を外部サーバ3にて一元管理し、これら中速充電器2の保全管理における参考情報として活用することができる。
【0046】
ETC車載器管理番号の項目(フィールド)には、利用者の車両Cに搭載されたETC車載器C1のETC車載器管理番号が、格納される。車両番号の項目(フィールド)には、利用者の車両Cの車両番号が、格納される。
【0047】
撮像画像の項目(フィールド)には、利用者の車両Cを撮像した画像が、格納される。当該画像は、ゲートユニットGの撮像装置G2によって撮像された画像と、中速充電器2の撮像部24によって撮像された画像とを含む。
【0048】
充電開始日時の項目(フィールド)には、利用者が利用した中速充電器2における充電開始日時が、格納される。充電完了日時の項目(フィールド)には、利用者が利用した中速充電器2における充電完了日時が、格納される。充電開始時の充電率の項目(フィールド)には、利用者の車両Cにおける充電開始時の蓄電池C2の充電率が、格納される。
【0049】
充電電力量の項目(フィールド)には、利用者が利用した中速充電器2による充電電力量が、格納される。利用料の項目(フィールド)には、充電電力量に基づき、所定の算式にて算出される利用料が、格納される。外部サーバ3の制御部31は、充電電力量(KWh)に所定の単価(1KWhの料金)を乗算する従量制にて、利用者に課金する利用料を導出するものであってもよい。
【0050】
外部サーバ3の制御部31は、通信部を介して制御装置1から取得した情報に基づき、利用履歴テーブルにレコードを追加する。外部サーバ3の制御部31は、制御装置1からの要求に応じて、利用者マスタテーブル、充電ステーションマスタテーブル、又は利用履歴テーブルを検索し、検索結果を当該制御装置1に送信する。
【0051】
図7は、制御装置1の制御部11に含まれる機能部を例示する機能ブロック図である。
図8は、複数の車両Cに充電する際の出力電力値を説明する説明図(タイムチャート)である。
図9は、出力電力値テーブルを例示する説明図である。制御装置1の制御部11は、記憶部12に記憶されているプログラムを実行することにより、取得部111、出力電力値決定部112、充電完了予定時導出部113、利用実績集約部114、及び出力部115として、機能する。
【0052】
取得部111は、制御装置1に接続されるスマートメータM、ゲートユニットG、中速充電器2及び外部サーバ3から出力される各種情報を取得する。取得部111は、スマートメータMからBルート等を介して検針値を取得する。取得部111は、更に、ゲートユニットGから、ETC路側機G1にて取得したETCカード番号、ETC車載器管理番号及び車両番号と、撮像装置G2によって撮像された車両Cの車両番号(ナンバープレート)の画像を取得する。
【0053】
取得部111は、更に、それぞれ中速充電器2から、充電の開始及び完了を含む充電状態に関する情報、蓄電池C2の充電率及び電池容量に関する情報、接続部23のコネクタと車両Cとの接続状態に関する情報、充電した電力量(充電電力量)及び、車両Cのナンバープレートが含まれている画像等の情報を取得する。取得部111は、更に、外部サーバ3から、ETCカード番号に関連付けられた利用者に関する情報を取得する。
【0054】
取得部111は、ゲートユニットGから出力された車両番号の画像と、中速充電器2から出力された車両番号の画像とを照合し、これら画像に含まれる車両番号同士を照合する。取得部111は、これら車両番号が同一である場合は、ゲートユニットGから出力された車両番号の画像に関連付けられている(対応している)ETCカード番号を含む要求(利用者の紹介要求)を外部サーバ3に送信することにより、外部サーバ3から当該ETCカード番号に関連付けられた利用者に関する情報を取得する。
【0055】
取得部111は、ゲートユニットGから取得したETCカード番号に対応する利用者に関する情報を、外部サーバ3から取得できなかった場合、当該ETCカード番号により中速充電器2を利用することができない旨を示すアラート情報を、出力部115を介して中速充電器2又は外部サーバ3に出力するものであってもよい。ETCカード番号に対応する利用者に関する情報を外部サーバ3から取得できなかった場合は、当該ETCカード番号による車両充電システムSへの登録(サブスクライブ)がされていないことが想定されるところ、制御装置1と外部サーバ3との通信による認証系機能を発揮することにより、利用者登録に基づいた適切な運用を図ることができる。
【0056】
出力電力値決定部112は、取得部111が取得した中速充電器2それぞれにおける充電状態に基づき、現時点における充電中の中速充電器2の台数、すなわち充電中の車両Cの台数を特定する。出力電力値決定部112は、特定した充電中の車両Cと、新たに中速充電器2に接続される車両Cとの合計台数に基づき、以降、充電を行う中速充電器2それぞれの出力電力値を決定する。例えば、充電中の車両Cの台数が3台である場合、新たに充電を開始する1台の車両Cがいずれかの中速充電器2に接続された場合、以降、充電を行う中速充電器2の合計台数(充電対象となる車両Cの合計台数)は、4台となる。出力電力値決定部112は、当該合計台数(4台)に基づき、充電を行う中速充電器2それぞれの出力電力値を決定する。
【0057】
出力電力値決定部112は、当該出力電力値を決定するにあたり、記憶部12に記憶されている所定の閾値を用いる。当該所定の閾値は、例えば、充電ステーションの所有者と電力会社との契約による契約電力に基づき決定されるものであってもよい。例えば、契約電力を110KWとした場合、所定の閾値は当該契約電力未満となる値であり、例えば100KWとするものであってもよい。又は、当該所定の閾値は、契約電力の内、中速充電器2に割り振られる電力容量(使ってよい上限値)に基づき決定されるものであってもよい。例えば、契約電力が220KWであり、この契約電力の内、半分となる110KWを中速充電器2に割り振られる電力容量(使ってよい上限値)とした場合、当該所定の閾値は、当該割り振られる電力容量未満となる値であり、例えば100KWとするものであってもよい。又は、当該所定の閾値は、例えば、高圧受電設備K又は特別高圧受電設備に設けられたトランスのトランス容量以下となるように、当該トランス容量に基づき、決定されるものであってもよい。上述のとおり、当該トランスは、例えば、高圧受電設備Kに入力(印加)される6KVの電圧、又は特別高圧受電設備に入力される20KV等の電圧を、複数の中速充電器2に供給するための200Vに変換するものであり、トランス容量は、設備仕様に基づき予め決定されている。トランス容量に基づき所定の閾値を決定することにより、複数の中速充電器2によって消費される電力が、トランス容量を超過することを防止することができる。当該所定の閾値は、充電ステーションの所有者又は管理者の操作に応じて、変更することができる。出力電力値決定部112は、取得部111を介して、充電ステーションの所有者又は管理者の操作による変更要求(閾値変更情報)を受け付け、当該変更要求(閾値変更情報)に基づき、所定の閾値を変更する。
【0058】
出力電力値決定部112は、当該出力電力値を決定するにあたり、本実施形態にて図示される出力電力値テーブルを用いるものであってもよい。出力電力値テーブルは、制御装置1の記憶部12に記憶されており、中速充電器2それぞれにて接続される車両Cの台数、すなわち充電中となる車両Cの台数に対し、決定される出力電力値を示したルックアップテーブルである。本実施形態における図示においては、各台数における出力電力値の合計値、すなわち出力電力値に接続台数を乗算した値(出力電力値×接続台数)を示す情報を含む。例えば、契約電力又は、契約電力の内、中速充電器2に割り振られる電力容量(使ってよい上限値)を110KWであり、所定の閾値を100KWとし、中速充電器2の台数を5台、中速充電器2の定格最大電力値を30KWとした場合、接続台数(充電中の車両C台数)が3台以下であれば、定格最大電力値を用いて充電することができる。4台以上となると、4台の中速充電器2が全て定格最大電力値を用いて充電すると、所定の閾値を超過してしまうため、出力電力値決定部112は、所定の閾値を接続台数(充電中の車両C台数)で除算した値にて、出力電力値を決定する。出力電力値決定部112は、定常的又は周期的に取得部111から出力される充電状態に関する情報に基づき、定常的又は周期的に出力電力値を決定する。出力部115は、出力電力値決定部112が決定した出力電力値、又は当該出力電力値に基づき生成した制御信号をそれぞれの中速充電器2に出力する。所定の閾値は、定格最大電力値に、制御装置1に接続される全ての中速充電器2の台数を乗算した値よりも、小さい値に設定(所定の閾値<定格最大電力値×制御装置1に接続される全ての中速充電器2の台数)してある。本実施形態における図示においては、制御装置1に接続される全ての中速充電器2の台数は5台であり、定格最大電力値は30KWであり、定格最大電力値に中速充電器2の台数を乗算した値は、150KW(30KW×5)である。これに対し、所定の閾値は、110KWであるため、定格最大電力値に中速充電器2の台数を乗算した値である150KWよりも、小さい値である。このように所定の閾値を、定格最大電力値に、制御装置1に接続される全ての中速充電器2の台数を乗算した値よりも小さい値とすることにより、契約電力の増加やトランスの増強等による供給側(中速充電器2を用いて利用者に電力を供給する供給者)への負担を軽減し、車両充電システムSの普及を促進することができる。
【0059】
本実施形態にて図示されるタイムチャート(
図8)において、横軸は時間を示し、縦軸は出力電力値を示し、充電ステーションに設けられている複数の中速充電器2における出力電力値の時間推移を示している。当該タイムチャートに示されるとおり、同時に充電される車両Cの台数に応じて、出力電力値決定部112は、中速充電器2の出力電力値を決定し、当該中速充電器2を制御する。
【0060】
出力電力値決定部112は、例えば、出力電力値テーブルを参照し、充電中の中速充電器2の出力電力値の合計値が、所定の閾値以下となるように出力電力値を決定する。定格最大電力値を用いても充電中の中速充電器2の出力電力値の合計値が、所定の閾値以下となる場合、出力電力値決定部112は、当該定格最大電力値を出力電力値として決定する。従って、係る場合においては、定格最大電力値により充電するため、充電完了までの所要時間を削減することができる。
【0061】
定格最大電力値を用いると充電中の中速充電器2の出力電力値の合計値が、所定の閾値を超過する場合、出力電力値決定部112は、例えば、所定の閾値を所定の閾値を接続台数(充電中の車両C台数)で除算した値にて、出力電力値を決定する。従って、係る場合においては、所定の閾値を超えることなく、充電完了までの所要時間を最小限の時間とすることができる。
【0062】
出力電力値決定部112は、充電ステーションの所有者又は管理者の操作による変更要求(閾値変更情報)を受け付け、当該変更要求(閾値変更情報)に基づき、所定の閾値を変更した場合、変更後の所定の閾値に応じて、出力電力値テーブルを変更するものであってもよい。中速充電器2が一定の電圧(直流定電圧)により車両Cを充電する場合、出力電力値決定部112は、当該定電圧に応じた出力電流値を決定するものであってもよい。
【0063】
充電完了予定時導出部113は、出力電力値決定部112が決定した出力電力値と、中速充電器2に接続された車両Cにおける充電開始時点の充電率等に基づき、充電完了予定時を導出する。中速充電器2と車両Cとは、例えば、チャデモ方式による通信を行うことにより、中速充電器2は、車両Cの蓄電池C2の充電率及び電池容量を取得し、これら充電率及び電池容量を制御装置1に出力する。取得部111は、これら充電率及び電池容量を取得し、充電完了予定時導出部113に出力する。充電完了予定時導出部113は、例えばチャデモ方式等の充電方式によって定められる所定の算式を用いて、出力電力値、充電率及び電池容量に基づき、充電所要時間を算出し、充電開始時点の時刻及び当該充電所要時間により、充電完了予定時を導出する。
【0064】
出力部115は、充電完了予定時導出部113が導出した充電完了予定時と、取得部111から出力される利用者のユーザID又はETCカード番号とを関連付けて、外部サーバ3に出力する。外部サーバ3は、出力部115から出力されたこれら情報に基づき、例えば、利用者マスタテーブルを参照して特定される利用者のメールアドレスに、充電完了予定時に関する情報を送信する。
【0065】
利用実績集約部114は、取得部111から出力される、中速充電器2それぞれにおける充電器番号、充電開始日時、充電完了日時、充電開始時の充電率、充電電力量及び車両Cの画像と、利用者のユーザID又はETCカード番号とを関連付け、当該利用者による利用実績に関する情報を集約する。出力部115は、利用実績集約部114が集約した利用実績に関する情報を外部サーバ3に出力(送信)する。
【0066】
外部サーバ3は、出力部115から出力されたこれら情報に基づき、例えば、利用者マスタテーブルを参照して特定される利用者のメールアドレスに、充電完了を示す情報を送信する。外部サーバ3は、出力部115から出力されたこれら情報に基づき、例えば、利用履歴テーブルにレコードの追加又は更新する処理を行う。
【0067】
出力部115は、出力電力値決定部112、充電完了予定時導出部113、及び利用実績集約部114から取得した情報を、当該情報に応じた接続先(外部サーバ3、中速充電器2)に対し、無線通信部14又は充電器用通信部15を介して出力する。
【0068】
本実施形態において、これら機能部は、制御装置1の制御部11が行うとしたが、これに限定されない。これら機能部のいずれかは、中速充電器2の制御ユニット21が担い、中速充電器2(制御ユニット21)及び制御装置1(制御部11)が協働して連携又は分散処理を行うことにより、これら一連の処理を行うものであってもよい。又は、中速充電器2(制御ユニット21)、制御装置1(制御部11)及び外部サーバ3が分担及び協働して、これら処理を行うものであってもよい。又は、制御装置1は、中速充電器2及びゲートユニットGから取得した各種情報を外部サーバ3に送信し、外部サーバ3にて演算等された一連の処理結果を取得することにより、当該処理結果に基づき中速充電器2を制御するゲートウェイとして、機能するものであってもよい。
【0069】
図10は、制御装置1の制御部11による処理手順の一例を示すフローチャートである。制御装置1の制御部11は、例えば、定常的又は周期的にそれぞれの中速充電器2及びゲートユニットGと通信し、当該フローチャートの処理を開始する。
【0070】
制御装置1の制御部11は、ゲートユニットGから車両Cに関する情報を取得する(S101)。制御装置1の制御部11は、ゲートユニットG(ETC路側機G1、撮像装置G2)から、当該ゲートユニットGを通過して、充電ステーションに入ってきた車両CのETCカード番号、ETC車載器管理番号及び車両番号と、撮像装置G2によって撮像された車両Cの車両番号(ナンバープレート)の画像とを、取得する。
【0071】
制御装置1の制御部11は、中速充電器2から車両Cの撮像画像を取得する(S102)。制御装置1の制御部11は、中速充電器2に設けられている撮像部24によって撮像された車両Cの撮像画像を、当該中速充電器2から取得する。
【0072】
制御装置1の制御部11は、車両Cが接続された中速充電器2及び、当該中速充電器2の利用者を特定する(S103)。制御装置1の制御部11は、中速充電器2及との通信に基づき、撮像画像の送信元である中速充電器2のアドレス又は充電器番号を特定する。
【0073】
中速充電器2に設けられている撮像部24によって撮像された車両Cの撮像画像には、当該車両Cのナンバープレートが含まれており、制御部11は、中速充電器2の撮像部24による画像と、ゲートユニットGの撮像装置G2による画像とに含まれている車両Cのナンバープレートそれぞれを比較し、これらナンバープレートの同一性に基づき、車両Cを特定する。制御装置1の制御部11は、これらナンバープレートの比較等を行うにあたり、例えばパターンマッチング又はCNN(Convolutional Neural Network)を用いて、当該ナンバープレートの数字等の認識を行うものであってもよい。
【0074】
ゲートユニットGの撮像装置G2による画像には、ETCカード番号等が関連付けられている。制御装置1の制御部11は、当該関連付けられたETCカード番号を特定すると共に、当該ETCカード番号を含む要求を外部サーバ3に送信することにより、外部サーバ3から当該ETCカード番号に関連付けられた利用者に関する情報(ユーザID等)を取得するものであってもよい。
【0075】
制御装置1の制御部11は、中速充電器2の出力電力値を導出する(S104)。制御装置1の制御部11は、自装置に接続されるそれぞれの中速充電器2の充電状態を既に取得しおり、例えば制御装置1の記憶部12に、これら中速充電器2それぞれの充電状態を記憶している。制御装置1の制御部11は、当該充電状態に基づき、充電中の中速充電器2の台数(充電中の車両Cの台数)に、今回充電を開始する中速充電器2の台数を加算することにより、以降同時に充電を行う中速充電器2の台数を特定する。制御装置1の制御部11は、特定した中速充電器2の台数に基づき、例えば、記憶部12に記憶されている出力電力値テーブルを参照することにより、これら中速充電器2それぞれに対する出力電力値を導出する。上述のとおり出力電力値テーブルには、中速充電器2それぞれに対する出力電力値の合計値が所定の閾値を超過しないように、中速充電器2の台数に基づく出力電力値が定められている。
【0076】
制御装置1の制御部11は、導出した出力電力値に基づき制御信号を中速充電器2に出力する(S105)。制御装置1の制御部11は、例えば出力電力値テーブルを参照して導出した出力電力値に基づき制御信号を生成し、生成した制御信号を中速充電器2に出力する。車両Cに接続され、当該車両Cを充電する中速充電器2は、制御装置1から出力された制御信号に基づき出力電力値を決定し、当該出力電力値にて自器に接続されている車両Cの充電を行う。
【0077】
制御装置1の制御部11は、出力電力値及び充電率に基づき、充電完了予定時を導出する(S106)。制御装置1の制御部11は、車両Cを充電する中速充電器2それぞれから、当該車両Cの蓄電池C2の充電率及び電池容量を取得し、充電率等及び導出した出力電力値に基づき、例えばチャデモ方式等の充電方式によって定められる所定の算式を用いて、充電所要時間を算出し、充電開始時点の時刻及び当該充電所要時間により、充電完了予定時を導出する。
【0078】
制御装置1の制御部11は、導出した充電完了予定時を外部サーバ3に出力する(S107)。制御装置1の制御部11は、導出した充電完了予定時と、ETCカード番号又はユーザIDとを関連付けて、外部サーバ3に出力(送信)する。外部サーバ3は、制御装置1から取得(受信)した充電完了予定時及びユーザID等に基づき、当該ユーザIDの利用者の携帯端末KTへ、充電完了予定時に関する情報をメール等により送信する。
【0079】
制御装置1の制御部11は、充電が完了したか否かを判定する(S108)。制御装置1の制御部11は、中速充電器2それぞれから出力される充電状態に関する情報に基づき、中速充電器2における充電が完了したか否かを判定する。充電が完了していない場合(S108:NO)、制御装置1の制御部11は、再度S108の処理を実行すべくループ処理を行う。
【0080】
充電が完了した場合(S108:YES)、制御装置1の制御部11は、中速充電器2の利用実績に関する情報を外部サーバ3に出力する(S109)。制御装置1の制御部11は、充電完了日時、充電電力量等を含む中速充電器2の利用実績に関する情報を中速充電器2から取得し、当該利用実績に関する情報とユーザID等とを関連付けて、外部サーバ3に出力(送信)する。外部サーバ3は、制御装置1から取得(受信)した充電完了日時等を含む利用実績に関する情報及びユーザID等に基づき、当該ユーザIDの利用者の携帯端末KTへ、充電完了日時、充電電力量、及び当該充電電力量に基づく課金に関する情報をメール等により送信する。
【0081】
制御装置1の制御部11は、S109の処理の実行後、本フローチャートの一連の処理を終了する。又は、制御装置1の制御部11は、S109の処理の実行後、再度S101からの処理を実行すべき、ループ処理を行うものであってもよい。制御装置1の制御部11は、S102からS109までの処理は、充電ステーションに含まれる中速充電器2の台数に応じた複数のプロセス(例えば、中速充電器2の台数と同数のプロセス)を生成し、これら複数のプロセスを並行処理するものであってもよい。
【0082】
本実施形態において、フローチャートにおける一連の処理は、制御装置1の制御部11が行うとしたが、これに限定されない。当該一連の処理において、中速充電器2(制御ユニット21)及び制御装置1(制御部11)が協働して連携又は分散処理を行うことにより、これら処理を行うものであってもよい。又は、中速充電器2(制御ユニット21)、制御装置1(制御部11)及び外部サーバ3が協働して、これら処理を行うものであってもよい。又は、制御装置1は、中速充電器2及びゲートユニットGから取得した各種情報を外部サーバ3に送信し、外部サーバ3にて演算等された一連の処理結果を取得することにより、当該処理結果に基づき中速充電器2を制御するゲートウェイとして機能するものであってもよい。
【0083】
本実施形態によれば、車両充電システムSの制御装置1は、当該車両充電システムSに含まれる各中速充電器2に接続される車両Cの台数に基づき、個々の中速充電器2から出力される電力の出力電力値の合計値が、所定の閾値以下となるように、複数の中速充電器2それぞれの出力電力値を制御する。所定の閾値以下は、例えば、制御装置1の記憶部12などの所定の記憶領域に記憶されており、又は、制御装置1に通信可能に接続されている外部サーバ3又はスマートメータMから取得するものであってもよい。制御装置1は、当該所定の閾値、すなわち、車両充電システムSとして許容できる最大出力電力値以下となるように、個々の中速充電器2における出力電力値を制御する。従って、例えば、全ての中速充電器2に車両Cが接続され、これら車両Cに対する充電が行われる場合であっても、全ての中速充電器2それぞれの出力電力値の合計値が、所定の閾値以下とすることにより、車両充電システムSの保全性を担保することができる。
【0084】
本実施形態によれば、所定の閾値は、車両充電システムSに含まれる複数の中速充電器2を稼働するにあたり許容される契約電力に基づき特定される値であるため、当該車両充電システムSの管理者等である電力需要者と電力会社とにより決定されている契約電力を遵守した車両充電システムSの運用を担保することができる。所定の閾値を特定するにあたり、例えば、契約電力又は、契約電力の内の中速充電器2に割り振られる電力容量(使ってよい上限値)の90%の値、すなわち0.9の係数を乗算した値を所定の閾値とするものであってもよい。このように契約電力に対し、1未満の係数を乗算した値を所定の閾値することにより、1から当該係数を減算した値(0.1=1-0.9:係数が0.9)による安全率(0.1)をとることができ、出力電力値の合計値が契約電力を超過することを、より効果的に抑制することができる。更に制御装置1は、充電ステーションの所有者又は管理者の操作による変更要求(閾値変更情報)を受け付け、当該変更要求(閾値変更情報)に基づき、所定の閾値を変更する。従って、例えば、契約電力が変更された場合、又は車両充電システムSの稼働率又は稼働状態に応じて、所定の閾値を柔軟に変更でき、車両充電システムSの可用性を向上させることができる。
【0085】
本実施形態によれば、制御装置1は、複数の中速充電器2それぞれの出力電流値を制御することにより、複数の中速充電器2それぞれから出力される電力値の合計値が、所定の閾値以下となるように複数の中速充電器2それぞれの出力電力値を制御する。従って、例えば、中速充電器2それぞれからの出力電圧値を一定としつつ、制御装置1は、複数の中速充電器2それぞれの出力電流値を制御することにより、中速充電器2それぞれの出力電力値を効率的に制御することができる。
【0086】
本実施形態によれば、制御装置1は、複数の中速充電器2それぞれに接続される車両Cの台数に、定格最大電力値を乗算した値が、所定の閾値以下である場合、車両Cが接続される中速充電器2の出力電力値を定格最大電力値に制御し、所定の閾値よりも大きい場合、車両Cが接続される中速充電器2の出力電力値を定格最大電力値未満に制御する。従って、複数の中速充電器2それぞれに接続される車両Cの台数、すなわち単位時間において車両充電システムSにより充電される車両Cの台数が比較的少なく、中速充電器2に接続されている車両C(充電中の車両C)の台数に、中速充電器2の定格最大電力値を乗算した値が所定の閾値以下である場合、中速充電器2は定格最大電力値にて、車両Cを充電する。これにより、車両Cの充電時間を短縮することができる。複数の中速充電器2それぞれに接続される車両Cの台数、すなわち単位時間において車両充電システムSにより充電される車両Cの台数が比較的多く、中速充電器2に接続されている車両C(充電が行われる車両C)の台数に、中速充電器2の定格最大電力値を乗算した値が所定の閾値よりも大きい場合、中速充電器2は定格最大電力値よりも小さい出力電力値にて、車両Cを充電する。これにより、電力値の合計値が、所定の閾値以下となるように複数の中速充電器2それぞれの出力電力値を、効率的に制御することができる。
【0087】
本実施形態によれば、制御装置1は、取得した充電率、電池容量及び中速充電器2の出力電力値に基づき、該中速充電器2に充電される車両Cの充電完了予定時を導出し、導出した充電完了予定時を、例えば、外部サーバ3等を介して、当該中速充電器2の利用者の携帯端末KTに出力する。従って、車両充電システムSの利用者に対する利便性を向上させることができる。
【0088】
本実施形態によれば、中速充電器2は、3相200Vを商用電源とし、最大の電力値である定格最大電力値を20kWから30kWとすることにより、定格最大電力値が50kW程度である急速充電器よりも比較的に簡易に導入することができる。急速充電器とは、例えば、30分で車両搭載バッテリー(蓄電池)の80%程度を充電可能であり、緊急充電用の充電器であり、比較的に高額である。すなわち、従来の急速充電器は比較的に高額であり、それ故に、例えばマンション等の集合住宅への設置が困難等であるため十分に普及していないという状況がある。また、当該急速充電器よりも安価な充電器としては、普通速充電器があるが、当該普通速充電器は、10時間で車両搭載バッテリー(蓄電池C2)の80%程度を充電可能な家庭充電用の充電器である。現状において、充電器の主流は、急速充電器又は普通速充電器のいずれかの充電器となっており、ビル、ホテル又はショッピングセンター等の商業施設、及び、マンション等の集合住宅においては、当該いずれかの充電器を採用せざるを得ないケースが多い。これら商業施設又は集合住宅においては、特定の利用者が充電器を占有するのでなく、複数の利用者により個々の充電器をシェアリングする運用形態が想定されるところ、普通速充電器においては充電に要する時間が長いこと、急速充電器においては設置費用の高額化、契約電力の増加、及び関連設備(高圧受電設備のトランス容量)の増設等が、これら充電器を導入する際の懸念事項となる。これに対し、本実施形態の車両充電システムSを用いることにより、普通速充電器よりも短時間で充電することができ、かつ急速充電器よりも安価な中速充電器2の導入を促進し、特にシェアリングが想定される運用形態においてユーザビリティの高い充電器(中速充電器2)を普及させることが期待される。更にシェアリングの観点からは、2時間から4時間程度の充電時間で車両搭載バッテリー(蓄電池C2)の80%程度を充電可能な中速充電器2を複数台設置し、これら全台の中速充電器2にて定格充電(定格最大電力値を用いた充電)を行う場合、契約電力の増加、及び関連設備(高圧受電設備のトランス容量)の増設等によって、供給側(中速充電器を用いて利用者に電力を供給する供給者)への負担が大きくなることが懸念される。これに対し、本実施形態の車両充電システムを用いることにより、制御装置は複数の中速充電器それぞれから出力される電力値の合計値が所定の閾値以下となるように出力電力値を制御するため、効果的かつ低コストの充電インフラを提供することができる。
【0089】
(実施形態2)
図11は、実施形態2(ユーザ区分)に係る車両充電システムSの概要を示す説明図である。実施形態2の車両充電システムSは、当該車両充電システムSを利用するにあたり登録される利用者のユーザ区分に基づき、出力電力値の比率を異ならせる点で、実施形態1と異なる。
【0090】
ユーザ区分は、利用者マスタテーブル(
図4)にて示されるとおり、登録されている利用者(ユーザID)に対し、当該利用者の優先度を示す値が格納されている。本実施形態においては、ユーザ区分として第1区分(プレミアムユーザ)と、第2区分(通常ユーザ)として定義しており、第1区分(プレミアムユーザ)の優先度は、第2区分(通常ユーザ)よりも高い。本実施形態において、ユーザ区分は2種類としているが、これに限定されず、ユーザ区分は3種類以上であってもよい。
【0091】
本実施形態にて図示するとおり、5台の中速充電器2において、4台の中速充電器2には、第2区分(通常ユーザ)の利用者の車両Cが、接続されて充電されている。1台の中速充電器2には、第1区分(プレミアムユーザ)の利用者の車両Cが、接続されて充電されている。この場合、第1区分の車両Cには、第2区分の車両Cよりも、大きい出力電力値にて、充電が行われる。
【0092】
図12は、複数の車両Cに充電する際の出力電力値を説明する説明図(タイムチャート)である。
図13は、比率に基づく出力電力値テーブルを例示する説明図である。実施形態1と同様に、取得部111は、中速充電器2から出力される情報を取得する。取得部111は、外部サーバ3と通信し、ETCカード番号に対応する利用者(ユーザID)のユーザ区分を取得し、当該ユーザ区分を含む利用者に関する情報を出力電力値決定部112に出力する。
【0093】
実施形態1と同様に、出力電力値決定部112は、取得部111が取得した中速充電器2から出力される情報に基づき、出力電力値を決定する。出力電力値決定部112は、出力電力値を決定するあたり、それぞれの中速充電器2の利用者のユーザ区分を特定し、第1区分の利用者の車両C(第1区分の車両C)が接続されている中速充電器2と、第2区分の利用者の車両C(第2区分の車両C)が接続されている中速充電器2とを峻別する。
【0094】
出力電力値決定部112は、第1区分の利用者の車両Cが接続されている中速充電器2への出力電力値と、第2区分の利用者の車両Cが接続されている中速充電器2への出力電力値とを決定する。出力電力値決定部112は、これら出力電力値を決定するにあたり、本実施形態にて図示される比率に基づく出力電力値テーブルを用いるものであってもよい。比率に基づく出力電力値テーブルは、制御装置1の記憶部12に記憶されており、第1区分の車両Cと、第2区分の車両Cとの台数に基づき、決定される出力電力値を示したルックアップテーブルである。第1区分の車両Cと第2区分の車両Cとが混在して、同時に充電される場合、第1区分の車両Cを充電する中速充電器2の出力電力値は、第2区分の車両Cを充電する中速充電器2の出力電力値よりも、大きい値となるように設定してある。
【0095】
出力電力値決定部112は、第1区分の車両Cと第2区分の車両Cとが混在する場合であっても、比率に基づき、第1区分の車両Cを充電する中速充電器2の出力電力値を、第2区分の車両Cを充電する中速充電器2の出力電力値よりも、大きい値となるように設定するのは、接続される車両Cの合計台数(第1区分及び第2区分の車両Cの合計台数)に、定格最大電力値を乗算した値が、所定の閾値を超える場合のみであってもよい。すなわち、第1区分の車両Cと第2区分の車両Cとが混在する場合であっても、接続される車両Cの合計台数(第1区分及び第2区分の車両Cの合計台数)に、定格最大電力値を乗算した値が、所定の閾値以下の場合、出力電力値決定部112は、実施形態1と同様に、第1区分及び第2区分の車両Cが接続される中速充電器2の出力電力値を定格最大電力値に制御するものであってもよい。この場合、第1区分の車両Cを充電する中速充電器2の出力電力値と、第2区分の車両Cを充電する中速充電器2の出力電力値とは、共に、定格最大電力値となる。
【0096】
第1区分の車両Cの出力電力値の比率は、第2区分の車両Cの出力電力値の比率よりも、大きくしてある。これら比率を例えば出力電力値テーブルにより定義することにより、出力電力値決定部112は、それぞれの中速充電器2に接続される第1区分の車両Cと、第2区分の車両Cとの台数に基づき、これら車両Cを受電するための出力電力値の比率を決定することができる。本実施形態における図示において、比率に基づく出力電力値テーブルにて定義されている値(比率)は、出力電力値としての実際の値としているが、これに限定されない。比率に基づく出力電力値テーブルにて定義されている値(比率)は、例えば、中速充電器2の定格最大電力値(例えば、30KW)に対し乗算する1以下の係数にて定められるものであってもよい。
【0097】
本実施形態にて図示されるタイムチャート(
図12)において、実施形態1と同様に横軸は時間を示し、縦軸は出力電力値を示し、充電ステーションに設けられている複数の中速充電器2における出力電力値の時間推移を示している。当該タイムチャートに示されるとおり、4台の第2区分の車両Cの充電が開始される際、実施形態1と同様に出力電力値は、所定の閾値を充電される車両Cの台数で除算した値(25KW=100/4)にて、決定される。
【0098】
5台目として第1区分の車両Cの充電を開始する場合、第1区分の車両Cが接続される中速充電器2は、定格最大電力値による出力電力値により、受電が行われる。第2区分の車両Cが接続される中速充電器2の出力電力値は、所定の閾値から第1区分の車両Cの出力電力値(定格最大電力値:30KW)を減算した値(70KW=100-30)を、第2区分の車両Cの台数で除算した値(17KW≒70/4)による決定される。従って、第2区分の車両Cが接続される中速充電器2の出力電力値は、所定の閾値を、充電中の車両C(第1区分の車両C及び第2区分の車両C)の台数で除算した値(20KW=100/5)よりも、小さい値として決定される。このように第1区分の車両Cには、優先的に大きい値となる出力電力値によって充電することにより、第1区分の車両Cの充電完了までの所要時間を削減し、当該第1区分の利用者の満足度を向上させることができる。
【0099】
図14は、制御装置1の制御部11による処理手順の一例を示すフローチャートである。制御装置1の制御部11は、例えば、定常的又は周期的にそれぞれの中速充電器2及びゲートユニットGと通信し、当該フローチャートの処理を開始する。制御装置1の制御部11は、ゲートユニットGから車両Cに関する情報を取得する(S201)。制御装置1の制御部11は、中速充電器2から車両Cの撮像画像を取得する(S202)。装置の制御部11は、実施形態1の処理S101からS102と同様に、S201からS202の処理を行う。
【0100】
制御装置1の制御部11は、車両Cが接続された中速充電器2及び、当該中速充電器2の利用者を特定する(S203)。制御装置1の制御部11は、実施形態1の処理S103と同様に、外部サーバ3との通信を行い、中速充電器2の利用者を特定する。当該利用者の特定を行うにあたり、制御装置1の制御部11は、利用者のユーザIDに加え、当該利用者の優先度を示すユーザ区分に関する情報を、外部サーバ3から取得する。
【0101】
制御装置1の制御部11は、利用者の区分に応じた比率に基づき、中速充電器2の出力電力値を導出する(S204)。制御装置1の制御部11は、実施形態1の処理S104と同様に、以降充電を行う中速充電器2の台数に応じて、これら中速充電器2の出力電力値を導出する。更に、制御装置1の制御部11は、例えば、記憶部12に記憶されている比率に基づく出力電力値テーブルを参照し、利用者の区分による比率に応じた出力電力値を導出する。利用者の区分は、例えば、第1区分と、当該第1区分よりも優先度が低い第2区分とを含み、第2区分の利用者の車両Cが接続される中速充電器2の出力電力値は、第1区分の利用者の車両Cが接続される中速充電器2の出力電力値よりも、小さい値となるように設定されている。
【0102】
制御装置1の制御部11は、導出した出力電力値に基づき制御信号を中速充電器2に出力する(S205)。制御装置1の制御部11は、出力電力値及び充電率に基づき、充電完了予定時を導出する(S206)。制御装置1の制御部11は、導出した充電完了予定時を外部サーバ3に出力する(S207)。制御装置1の制御部11は、充電が完了したか否かを判定する(S208)。制御装置1の制御部11は、中速充電器2の利用実績に関する情報を外部サーバ3に出力する(S209)。制御装置1の制御部11は、実施形態1の処理S105からS109と同様に、S205からS209の処理を行う。
【0103】
本実施形態によれば、制御装置1は、通信部を介して外部サーバ3から、複数の中速充電器2それぞれの利用者に関する情報を取得する。取得した情報には、当該利用者の区分が含まれており、制御装置1は、当該区分に基づき導出した比率に応じて複数の中速充電器2それぞれの出力電力値を制御する。従って、複数の中速充電器2が用いられて複数台の車両Cが充電される場合、各中速充電器2の利用者の区分に基づき導出される比率に応じて、各利用者が利用する中速充電器2それぞれの出力電力値を制御するため、当該利用者の区分に応じて中速充電器2の出力電力値を異ならせることができる。その上で、制御装置1は、第1区分の利用者の車両Cが接続される中速充電器2の出力電力値の比率を、第1区分よりも優先度の低い第2区分の利用者の比率よりも大きくして、複数の中速充電器2それぞれの出力電力値を制御する。従って、優先度が高い利用者(第1区分の利用者)には、優先度が低い利用者(第2区分の利用者)よりも大きい出力電力値による充電を提供し、当該優先度が高い利用者(第1区分の利用者)の充電時間を短縮することができる。
【0104】
(実施形態3)
図15は、実施形態3(充電完了予定時の補正)に係る複数の車両Cに充電する際の出力電力値を説明する説明図(タイムチャート)である。実施形態1と同様に、出力電力値決定部112は、取得部111が取得した中速充電器2から出力される情報に基づき、出力電力値を決定する。実施形態1と同様に、充電完了予定時導出部113は、出力電力値、充電率及び電池容量に基づき、充電所要時間を算出し、充電開始時点の時刻及び当該充電所要時間により、充電完了予定時を導出する。
【0105】
充電完了予定時導出部113は、更に、充電完了予定時を導出する際に用いた出力電力値が、例えば充電中の車両Cの台数の変動に伴い変更された場合、変更された出力電力値と、変更された時点における充電率に基づき、充電完了予定時を再度算出して、当該充電完了予定時を補正する。すなわち、充電完了予定時導出部113は、変更された出力電力値、変更された時点における充電率、及び電池容量に基づき、充電完了までの充電所要時間を再度算出し、出力電力値が変更された時刻及び当該充電所要時間により、充電完了予定時を再度導出する。充電完了予定時導出部113が補正(再度導出)した充電完了予定時は、出力部115により外部サーバ3に出力される。外部サーバ3は、実施形態1と同様に、出力部115から出力されたこれら情報に基づき、例えば、利用者マスタテーブルを参照して特定される利用者のメールアドレスに、充電完了予定時に関する情報を送信する。
【0106】
図16は、制御装置1の制御部11による処理手順の一例を示すフローチャートである。制御装置1の制御部11は、例えば、定常的又は周期的にそれぞれの中速充電器2及びゲートユニットGと通信し、当該フローチャートの処理を開始する。
【0107】
制御装置1の制御部11は、ゲートユニットGから車両Cに関する情報を取得する(S301)。制御装置1の制御部11は、中速充電器2から車両Cの撮像画像を取得する(S302)。制御装置1の制御部11は、車両Cが接続された中速充電器2及び、当該中速充電器2の利用者を特定する(S303)。制御装置1の制御部11は、中速充電器2の出力電力値を導出する(S304)。制御装置1の制御部11は、導出した出力電力値を記憶部12に記憶する。制御装置1の制御部11は、導出した出力電力値に基づき制御信号を中速充電器2に出力する(S305)。制御装置1の制御部11は、実施形態1の処理S101からS105と同様に、S301からS305の処理を行う。
【0108】
制御装置1の制御部11は、出力電力値は、初回の導出によるものか否かを判定する(S306)。制御装置1の制御部11は、自装置に接続されるそれぞれの中速充電器2において、当該中速充電器2が充電を開始する際の出力電力値を、初回の導出による出力電力値(最初に導出した出力電力値)として、制御装置1の記憶部12に記憶してある。制御装置1の制御部11は、記憶部12を参照することにより、S304で出力した出力電力値が初回の導出によるものか否かを判定する。
【0109】
出力電力値は、初回の導出によるものである場合(S306:YES)、制御装置1の制御部11は、出力電力値及び充電率に基づき、充電完了予定時を導出する(S307)。制御装置1の制御部11は、導出した充電完了予定時を外部サーバ3に出力する(S308)。制御装置1の制御部11は、実施形態1の処理S106からS107と同様に、S307からS308の処理を行う。
【0110】
出力電力値は、初回の導出によるものでない場合(S306:NO)、制御装置1の制御部11は、今回導出した出力電力値と、前回導出した出力電力値とは、同じであるか否かを判定する(S3061)。制御装置1の制御部11は、今回導出した出力電力値と、記憶部12に記憶されている前回導出した出力電力値とは、同じであるか否かを判定する。
【0111】
今回導出した出力電力値と、前回導出した出力電力値とは、同じでない場合(S3061:NO)、すなわち今回導出した出力電力値と、前回導出した出力電力値とが異なる場合、制御装置1の制御部11は、今回導出した出力電力値及び充電率に基づき、充電完了予定時を導出する(S3062)。制御装置1の制御部11は、中速充電器2の制御ユニット21から、現時点における当該中速充電器2によって充電中の車両Cの蓄電池C2の充電率を取得し、取得した現時点の充電率と、今回導出した出力電力値に基づき、充電完了予定時を導出する。
【0112】
制御装置1の制御部11は、補正した充電完了予定時を外部サーバ3に出力する(S3063)。制御装置1の制御部11は、補正した充電完了予定時を、S308の処理と同様に外部サーバ3に出力する。
【0113】
S308の処理後、今回導出した出力電力値と前回導出した出力電力値とが同じである場合(S3061:YES)、又はS3063の処理後、制御装置1の制御部11は、充電が完了したか否かを判定する(S309)。制御装置1の制御部11は、実施形態1の処理S108と同様に、S309の処理を行う。
【0114】
充電が完了していない場合(S309:NO)、制御装置1の制御部11は、再度S304からの処理を実行すべくループ処理を行う。充電が完了した場合(S309:YES)、制御装置1の制御部11は、中速充電器2の利用実績に関する情報を外部サーバ3に出力する(S310)。制御装置1の制御部11は、実施形態1の処理S109と同様に、S310の処理を行う。
【0115】
本実施形態によれば、制御装置1は、充電完了予定時の導出及び利用者への出力後、例えば、車両充電システムSにて充電される車両Cの台数が変動することにより、当該充電完了予定時を導出するために用いた中速充電器2の出力電力値を変更した場合、変更後の出力電力値に基づき補正した充電完了予定時を、再度、外部サーバ3等を介して利用者に出力する。従って、車両充電システムSにて充電される車両Cの台数に応じて変動される出力電力値に追従して、充電完了予定時を補正し、当該補正した充電完了予定時を出力することができ、車両充電システムSの利用者に対する利便性を向上させることができる。
【0116】
(実施形態4)
図17は、実施形態4(中速充電器2の構成)に係る車両充電システムSの概要を示す説明図である。
図18は、車両充電システムSに含まれる中速充電器2等の構成例を示すブロック図である。実施形態1と同様に、複数の中速充電器2は、制御装置1に接続され、制御装置1から出力される出力電力値に関する制御信号に基づき、当該出力電力値にて自器に接続される電気自動車等の車両Cに電力を供給し、当該車両Cの蓄電池C2を充電する。
【0117】
単一の中速充電器2は、例えば、4台の車両Cに対し、同時に充電ができるように構成されており、接続される複数の車両Cそれぞれに対応した複数のPCS22、接続部23及び撮像部24を備えている。実施形態1と同様に、これら複数のPCS22及び撮像部24それぞれは、制御ユニット21と例えば内部バス等により通信可能に接続されている。
【0118】
複数のPCS22には、商用電源から接続される電力線が分岐された電力線(分岐電力線)が、接続される。中速充電器2は、制御装置1と通信することにより、これらPCS22それぞれに接続される車両Cを充電するにあたり、制御装置1からPCS22それぞれに対する出力電力値を取得し、当該出力電力値に基づき、それぞれのPCS22から車両Cに供給される出力電力値を制御する。
【0119】
充電ステーションに含まれるそれぞれの中速充電器2には、これら中速充電器2を一意に識別するための充電器番号が付与されている。更に本実施形態のように単一の中速充電器2が複数のPCS22及び接続部23を備える場合、これらPCS22及び接続部23に対応して、充電器番号に枝番号を付与した番号(1(充電器番号)-1(枝番号)~4(枝番号))により、PCS22及び接続部23それぞれにおける接続状態又は充電状態を管理するものであってもよい。
【0120】
接続部23それぞれに対し、接続部23の個数(本実施形態では4個)と同数の撮像部24が、中速充電器2に設けられている。中速充電器2の外殻となる筐体は、例えば、平面視にて矩形状を成し、それぞれの撮像部24は、当該矩形状の筐体の角部に設けられている。それぞれの撮像部24を矩形状の筐体の角部に設けることにより、中速充電器2に接続部23を介して接続される車両Cのナンバープレーを含む画像を精度良く撮像することができる。
【0121】
中速充電器2は、それぞれの撮像部24によって撮像される画像に車両Cのナンバープレートが含まれること、それぞれの接続部23に車両Cが接続されたこと、又は、これら事象が共に確認されたことに基づき、いずれの接続部23に対応する駐車スペースに車両Cが駐車されたかを把握することができる。中速充電器2は、いずれの接続部23に対応する駐車スペースに車両Cが駐車された場合、その旨を制御装置1に出力(送信)することにより、制御装置1から当該車両Cを充電するための電力出力値を取得(受信)するものであってもよい。
【0122】
本実施形態によれば、単一の中速充電器2が例えば4個等の複数の接続部23を備えるため、車両充電システムSに含まれる中速充電器2による設置面積を小さくし、省スペース化を図ることができる。
【0123】
本実施形態及び他の実施形態において、制御装置1に接続される充電器は中速充電器2であるとしたが、これに限定されない。制御装置1に接続され、充電ステーションを構成する充電器は、中速充電器2及び急速充電器が混在したものであってもよく、又は制御装置1に接続される複数の充電器は、急速充電器のみからなる構成であってもよい。中速充電器2及び急速充電器が混在して制御装置1に接続される場合、制御装置1は、中速充電器2よりも、急速充電器を優先して、充電器それぞれにおける出力電力値を導出するものであってもよい。このような構成とすることにより、車両充電システムSの可用性を向上させることができる。
【0124】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0125】
S 車両充電システム
C 車両
C1 ETC車載器
C2 蓄電池
C3 受電部
KT 携帯端末
N 外部ネットワーク
3 外部サーバ
31 制御部
32 記憶部
33 通信部
KS 決済サーバ
G ゲートユニット
G1 ETC路側機
G2 撮像装置
K 高圧受電設備
M スマートメータ
1 制御装置
11 制御部
111 取得部
112 出力電力値決定部
113 充電完了予定時導出部
114 利用実績集約部
115 出力部
12 記憶部
13 Bルート用通信部
14 無線通信部
15 充電器用通信部
2 中速充電器
21 制御ユニット
22 PCS
23 接続部
24 撮像部