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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-01
(45)【発行日】2024-08-09
(54)【発明の名称】充填装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 37/20 20060101AFI20240802BHJP
【FI】
B65B37/20
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020139267
(22)【出願日】2020-08-20
(65)【公開番号】P2022035149
(43)【公開日】2022-03-04
【審査請求日】2023-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000006127
【氏名又は名称】森永乳業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】592193144
【氏名又は名称】株式会社愛産製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 広之
(72)【発明者】
【氏名】竹内 宏
(72)【発明者】
【氏名】荒木 紀昌
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-531675(JP,A)
【文献】実開平03-120496(JP,U)
【文献】特開2007-055640(JP,A)
【文献】特開昭60-098271(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 37/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロックと、ブロック内の挿入部に挿入されている円柱状の切替ロータと、を備える充填装置であって、
前記切替ロータには、前記切替ロータを軸周りに回動させて充填経路を切り替える複数の充填用切替部と、洗浄状態では充填時の前記充填用切替部の位置に移動する複数の洗浄用切替部とが、軸方向に交互に設けられ、
前記切替ロータの前記洗浄用切替部には前記切替ロータの径方向の内側に凹んだ第1凹部が形成され、
前記ブロックには、充填時に前記第1凹部と対向する位置に、径方向の外側に凹んだ複数の第2凹部が形成され、
前記切替ロータを軸方向に動かし、前記洗浄用切替部を充填時の前記充填用切替部の位置に移動させた状態で、隣り合う前記第1凹部と前記第2凹部が連通する、充填装置。
【請求項2】
前記ブロックに、充填物をブロック内に引き込む第1流路と、充填物をブロック外に排出する第2流路と、前記切替ロータの軸周りの前記第1流路と前記第2流路の間に位置する第3流路とが形成され、
前記切替ロータの充填用切替部に、前記切替ロータの軸方向から見て屈曲した切替流路が形成され、
前記切替ロータの回動によって、前記第1流路、前記切替流路及び前記第3流路が接続された充填経路と、前記第3流路、前記切替流路及び前記第2流路が接続された充填経路とが切り替わる、請求項1に記載の充填装置。
【請求項3】
充填物を貯蔵する貯蔵部と、充填物を定量する定量部と、充填ノズルと、をさらに備え、
前記貯蔵部が前記第1流路と接続され、前記定量部が前記第3流路と接続され、前記充填ノズルが前記第2流路と接続されている、請求項2に記載の充填装置。
【請求項4】
前記第1凹部が、前記切替ロータの軸周りに全周にわたって環状に形成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の充填装置。
【請求項5】
前記第2凹部が、前記切替ロータの軸周りに全周にわたって環状に形成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の充填装置。
【請求項6】
前記切替ロータを軸方向に動かすロータ駆動部をさらに備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の充填装置。
【請求項7】
充填物が充填される容器を搬送する容器搬送部と、前記容器搬送部に容器を供給する容器供給部と、充填物が充填された容器を密封する容器密封部と、をさらに備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の充填装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充填装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、冷菓のような高粘度の充填物を充填する充填装置として、ブロック内に挿入された切替ロータを回動させて充填経路を切り替えながら、充填物を定量して容器に充填する充填装置が知られている(例えば特許文献1、2)。
【0003】
このような充填装置では、充填時にブロックと切替ロータとの隙間に充填物が入り込むため、使用後に洗浄が必要である。しかし、ブロックと切替ロータとの隙間に入り込んだ充填物を除去するには、ブロックから切替ロータを取り外して洗浄しなければならず、洗浄作業が煩雑である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平10-236435号公報
【文献】特開2001-88806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、切替ロータを取り外すことなく簡便に洗浄でき、自動洗浄も可能な充填装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の態様を有する。
[1]ブロックと、ブロック内の挿入部に挿入されている円柱状の切替ロータと、を備える充填装置であって、
前記切替ロータには、前記切替ロータを軸周りに回動させて充填経路を切り替える複数の充填用切替部と、複数の洗浄用切替部とが、軸方向に交互に設けられ、
前記切替ロータの前記洗浄用切替部には前記切替ロータの径方向の内側に凹んだ第1凹部が形成され、
前記ブロックには、充填時に前記第1凹部と対向する位置に、径方向の外側に凹んだ複数の第2凹部が形成され、
前記切替ロータを軸方向に動かし、前記洗浄用切替部を充填時の前記充填用切替部の位置に移動させた状態で、隣り合う前記第1凹部と前記第2凹部が連通する、充填装置。
[2]前記ブロックに、充填物をブロック内に引き込む第1流路と、充填物をブロック外に排出する第2流路と、前記切替ロータの軸周りの前記第1流路と前記第2流路の間に位置する第3流路とが形成され、
前記切替ロータの充填用切替部に、前記切替ロータの軸方向から見て屈曲した切替流路が形成され、
前記切替ロータの回動によって、前記第1流路、前記切替流路及び前記第3流路が接続された充填経路と、前記第3流路、前記切替流路及び前記第2流路が接続された充填経路とが切り替わる、[1]に記載の充填装置。
[3]充填物を貯蔵する貯蔵部と、充填物を定量する定量部と、充填ノズルと、をさらに備え、
前記貯蔵部が前記第1流路と接続され、前記定量部が前記第3流路と接続され、前記充填ノズルが前記第2流路と接続されている、[2]に記載の充填装置。
[4]前記第1凹部が、前記切替ロータの軸周りに全周にわたって環状に形成されている、[1]~[3]のいずれかに記載の充填装置。
[5]前記第2凹部が、前記切替ロータの軸周りに全周にわたって環状に形成されている、[1]~[4]のいずれかに記載の充填装置。
[6]前記切替ロータを軸方向に動かすロータ駆動部をさらに備える、[1]~[5]のいずれかに記載の充填装置。
[7]充填物が充填される容器を搬送する容器搬送部と、前記容器搬送部に容器を供給する容器供給部と、充填物が充填された容器を密封する容器密封部と、をさらに備える、[1]~[6]のいずれかに記載の充填装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、切替ロータを取り外すことなく簡便に洗浄でき、自動洗浄も可能な充填装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態の充填装置を示す概略構成図である。
図2図1の充填装置の充填部の充填時の状態を説明する正面から見た部分断面図である。
図3図1の充填装置の充填部の充填時の状態を説明する側面から見た部分断面図である。
図4図1の充填装置の充填部の充填時の状態を説明する正面から見た部分断面図である。
図5図1の充填装置の充填部の充填時の状態を説明する側面から見た部分断面図である。
図6図1の充填装置の充填部の洗浄時の状態を説明する正面から見た部分断面図である。
図7図1の充填装置の充填操作及び洗浄操作を説明する側面から見た部分断面図である。
図8図1の充填装置の充填操作及び洗浄操作を説明する側面から見た部分断面図である。
図9図1の充填装置の充填操作及び洗浄操作を説明する正面から見た部分断面図である。
図10図1の充填装置の充填操作及び洗浄操作を説明する正面から見た部分断面図である。
図11】他の例の切替ロータを洗浄用切替部で軸方向に垂直に切断したときの断面図である。
図12】他の例の切替ロータを洗浄用切替部で軸方向に垂直に切断したときの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の充填装置の一例を示して説明する。
なお、以下の説明において例示される図の寸法等は一例であって、本発明はそれらに必ずしも限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0010】
図1に示すように、本実施形態の充填装置100は、充填物が充填される容器5を搬送する容器搬送部1と、容器搬送部1に容器5を供給する容器供給部2と、容器5に充填物を充填する充填部3と、充填物が充填された容器5を密封する容器密封部4と、を備えている。
容器搬送部1、容器供給部2及び容器密封部4の態様は、特に限定されず、公知の態様を採用できる。
【0011】
図2及び図3に示すように、充填部3は、ブロック110と、切替ロータ112と、充填物を貯蔵する貯蔵部(ホッパ)114と、を備えている。
ブロック110の上部に貯蔵部114が設けられている。貯蔵部114の形状及び寸法は、特に限定されず、適宜設定できる。
【0012】
ブロック110は、略直方体状であり、内部に長さ方向に延びる断面円形状の空間からなる挿入部111を有している。ブロック110内の挿入部111には、円柱状の切替ロータ112が挿入されている。
【0013】
ブロック110の形状及び寸法は、直方体状には限定されず、円柱状の切替ロータ112を受け入れる挿入部111を有する範囲で適宜設定できる。
ブロック110には、それぞれブロック110の外面から挿入部111まで通じる第1流路116、第2流路118、第3流路120、及び第4流路122が形成されている。
【0014】
第1流路116は、挿入部111から上方に延びている。第2流路118は、挿入部111から下方に延びている。第3流路120は、切替ロータ112の軸周りの第1流路116と第2流路118の間から延びている。この例では、第3流路120は、切替ロータ112の軸周りの第1流路116と第2流路118の中間地点から水平方向に延びている。第4流路122は、ブロック110の内部における挿入部111の第3流路120と反対側から水平方向に延びている。
【0015】
この例では、ブロック110に、第1流路116、第2流路118、第3流路120及び第4流路122が2つずつ形成されている。
第1流路116、第2流路118、第3流路120及び第4流路122の1つずつが、切替ロータ112の軸方向における同じ位置に配置され、一組になっている。二組の第1流路116、第2流路118、第3流路120及び第4流路122は、切替ロータ112の軸方向において間隔をあけて配置されている。
なお、第1流路116、第2流路118、第3流路120及び第4流路122の数は、2つには限定されず、1つであってもよく、3つ以上であってもよい。
【0016】
第1流路116は、充填物をブロック110内に引き込む流路であり、ブロック110の上部に設けられた貯蔵部114の排出部114aと接続されている。第2流路118は、充填物をブロック110外に排出する流路であり、ブロック110の下部に設けられた充填ノズル124と接続されている。第3流路120は、充填物を定量部126へと引き込む流路であり、ブロック110の正面側の充填物を定量する定量部126と接続されている。
第1流路116、第2流路118及び第3流路120の直径は、適宜設定でき、例えば、10.0~32.0mmとすることができる。
【0017】
第4流路122は、ブロック110内に洗浄液を供給する流路であり、ブロック110の定量部126と反対側に設けられた配管128と接続されている。
第4流路122の直径は、適宜設定でき、例えば、10.0~32.0mmとすることができる。
【0018】
切替ロータ112は、円柱状であり、ブロック110の挿入部111内で軸周りに回動し、また軸方向において挿入部111内を前後に移動できるようになっている。切替ロータ112の回動及び軸方向の移動は、ロータ駆動部130によって行われる。
【0019】
切替ロータ112には、切替ロータ112を軸周りに回動させて充填経路を切り替える複数の充填用切替部132と、複数の洗浄用切替部134とが、軸方向に交互に設けられている。
【0020】
充填物の充填状態では、切替ロータ112の軸方向において、充填用切替部132の位置を第1流路116、第2流路118及び第3流路120の位置と一致させる。切替ロータ112における充填用切替部132の外周面132aと、ブロック110の挿入部111における第1流路116、第2流路118及び第3流路120が位置する部分の内周面111aとは互いに摺接している。
【0021】
切替ロータ112の充填用切替部132には、切替ロータ112の軸方向から見て屈曲した切替流路136が形成されている。この例では、切替流路136は切替ロータ112の軸方向から見て90°に屈曲している。
【0022】
充填物の充填状態で切替ロータ112を回動させることによって、図3に示すように、第1流路116、切替流路136及び第3流路120が接続された充填経路と、図5に示すように、第3流路120、切替流路136及び第2流路118が接続された充填経路とが切り替わる。
【0023】
図2に示すように、切替ロータ112の洗浄用切替部134には、切替ロータ112の径方向の内側に凹んだ第1凹部142が形成されている。また、ブロック110の挿入部111における、充填物の充填状態で第1凹部142と対向する位置には、径方向の外側に凹んだ複数の第2凹部144が形成されている。この例では、ブロック110の挿入部111における、充填物の充填状態で最も先端側に位置する充填用切替部132よりも先端側にも、径方向の外側に凹んだ複数の第2凹部144が形成されている。
【0024】
充填物の充填状態から切替ロータ112を軸方向に動かし、洗浄用切替部134を充填時の充填用切替部132の位置に移動させた洗浄状態では、図6に示すように、軸方向に隣り合う第1凹部142と第2凹部144とが連通する。
【0025】
従来では、一般に、充填装置においては、充填時にブロックと切替ロータの摺接している部分に僅かに隙間があり、その隙間に充填物が入り込む。しかし、従来の充填装置では、ブロックと切替ロータの隙間が小さいため、洗浄時に洗浄液が当該隙間に十分に供給されず、隙間に入り込んだ充填物を除去することが難しい。そのため、切替ロータをブロックから取り外して洗浄する必要がある。
【0026】
これに対し、充填装置100では、前記のように充填物の充填状態から切替ロータ112を軸方向に動かして洗浄状態とすると、軸方向に隣り合う第1凹部142と第2凹部144とが連通する。これにより、第1凹部142と第2凹部144とが連通した部分では切替ロータ112とブロック110との隙間が大きくなるため、容易に洗浄液を十分に供給することができる。そのため、切替ロータ112をブロック110から取り外さなくても、切替ロータ112とブロック110の隙間に入り込んだ充填物を洗浄除去することができる。
【0027】
この例では、第1凹部142は、切替ロータ112の軸周りに全周にわたって環状に形成されている。また、第2凹部144は、切替ロータ112の軸周りに全周にわたって環状に形成されている。
本発明では、この例のように、第1凹部及び第2凹部が切替ロータの軸周りに全周にわたって環状に形成されていることが好ましい。これにより、洗浄状態で切替ロータの軸周りの全周にわたって第1凹部と第2凹部とが連通し、挿入部内の切替ロータの周囲全体に容易に洗浄液を行き渡らせることができるため、洗浄がさらに容易になる。
【0028】
なお、本発明では、第1凹部142及び第2凹部144のいずれか一方又は両方が、切替ロータ112の軸周りに部分的又は断続的に形成されていてもよい。このような態様では、第1凹部142と第2凹部144とが連通した部分に洗浄液を供給した状態で、切替ロータ112を軸周りに回動させることで、切替ロータ112とブロック110の隙間に入り込んだ充填物を除去することができる。
【0029】
切替ロータ112における第1凹部142と充填用切替部132との平均の段差は、3.0~10.0mmが好ましく、5.0~10.0mmがより好ましい。第1凹部142と充填用切替部132の平均の段差が前記範囲の下限値以上であれば、切替ロータ112とブロック110の隙間の洗浄が容易になる。
【0030】
2つの充填用切替部132の間に位置する第1凹部142を切替ロータ112の軸線に沿って切断したときの断面形状は、この例では矩形状である。第1凹部142の断面形状は、矩形状には限定されず、例えば、半円形状等であってもよい。
【0031】
第2凹部144の平均深さは、3.0~10.0mmが好ましく、5.0~10.0mmがより好ましい。第2凹部144の平均深さが前記範囲の下限値以上であれば、切替ロータ112とブロック110の隙間の洗浄が容易になる。
【0032】
第2凹部144を切替ロータ112の軸線に沿って切断したときの断面形状は、この例では矩形状である。第2凹部144の断面形状は、矩形状には限定されず、例えば、半円状等であってもよい。
【0033】
切替ロータ112の洗浄用切替部134には、充填用切替部132の切替流路136と同様に、切替ロータ112の軸方向から見て屈曲した切替流路145が形成されている。この例では、切替流路145は切替ロータ112の軸方向から見て90°に屈曲している。洗浄用切替部134に切替流路145が形成されていることにより、洗浄液を容易に切替ロータ112の周囲に行き渡らせることができる。
切替流路145の直径は、適宜設定でき、例えば、10.0~32.0mmとすることができる。
【0034】
この例では、ブロック110の下部における軸方向の両端側の第2凹部144の位置に、排出管146が設けられている。これにより、洗浄時に第1凹部142と第2凹部144とが連通した部分から洗浄液を効率的に排出でき、第2凹部144に洗浄液が残ることを抑制できる。
【0035】
定量部126は、第3流路120と接続されたシリンダ148と、シリンダ148内を前後に移動するピストンロッド150と、充填物及び洗浄液がシリンダ148の下流側に漏れることを抑止する抑止板152とを備えている。シリンダ148における抑止板152よりもブロック110側には配管154が接続されている。
【0036】
以下、充填装置100による充填物の充填操作と洗浄操作の一例について説明する。
充填物を充填する際には、図2に示すように、切替ロータ112の軸方向において、充填用切替部132の位置を第1流路116、第2流路118及び第3流路120の位置と一致させる。図3に示すように、ピストンロッド150の先端部をシリンダ148のブロック110側の先端部に合わせる。
【0037】
切替ロータ112を軸周りに回動させ、第1流路116、切替流路136及び第3流路120が接続された充填経路とする。そして、図7に示すように、ピストンロッド150を引き、貯蔵部114内の充填物Aを、第1流路116、切替流路136及び第3流路120を通じてシリンダ148内に吸引する。次いで、図8に示すように、切替ロータ112を軸周りに回動させ、第3流路120、切替流路136及び第2流路118が接続された充填経路に切り替え、ピストンロッド150を押し込んで充填物Aを充填ノズル124から吐出させる。この操作を繰り返すことにより、充填物Aを定量しつつ、充填ノズル124の下方に供給した容器に充填することができる。
【0038】
充填装置100の洗浄方法としては、例えば、下記の工程(a)~(f)を含む方法を例示できる。
(a)貯蔵部114内と充填経路を水ですすぐ。
(b)ブロック110の内面、切替ロータ112、シリンダ148の内面、及びピストンロッド150を水ですすぐ。
(c)貯蔵部114内と充填経路を洗浄液で洗浄する。
(d)ブロック110の内面、切替ロータ112、シリンダ148の内面、及びピストンロッド150を洗浄液で洗浄する。
(e)ブロック110の内面、切替ロータ112、シリンダ148の内面、及びピストンロッド150を水ですすぐ。
(f)貯蔵部114内と充填経路を水ですすぐ。
【0039】
(工程(a))
切替ロータ112の軸方向において、充填用切替部132の位置が第1流路116、第2流路118及び第3流路120の位置と一致した状態のまま、切替ロータ112を軸周りに回動させ、第1流路116、切替流路136及び第3流路120が接続された充填経路とする。
【0040】
配管156から水Bを供給して貯蔵部114内をすすぐ。そして図7に示すように、ピストンロッド150を引き、配管156から貯蔵部114に供給された水Bを、第1流路116、切替流路136及び第3流路120を通じてシリンダ148内に吸引する。次いで、図8に示すように、切替ロータ112を軸周りに回動させ、第3流路120、切替流路136及び第2流路118が接続された充填経路に切り替え、ピストンロッド150を押し込んで水Bを充填ノズル124から吐出させる。この操作を繰り返して貯蔵部114内の水Bを排出する。
【0041】
(工程(b))
図6に示すように、充填物の充填状態から切替ロータ112を軸方向に動かし、洗浄用切替部134を充填時の充填用切替部132の位置に移動させ、軸方向に隣り合う第1凹部142と第2凹部144とが連通させる。また、第3流路120、切替流路136及び第2流路118が接続された充填経路とした状態でピストンロッド150を押し込み、ピストンロッド150の先端部を切替ロータ112の切替流路136内に位置させる。
【0042】
この状態で、図9及び図10に示すように、配管154を通じてシリンダ148内に水Bを供給し、シリンダ148及びピストンロッド150をすすぐ。同時に、配管128及び第4流路122を通じて水Bを切替ロータ112とブロック110の間の第1凹部142と第2凹部144の連通部分に供給し、切替ロータ112とブロック110の内面をすすぐ。配管154及び配管128から供給された水Bは、ブロック110の下部に設けられた充填ノズル124及び排出管146から排出される。
水Bが排出された後、切替ロータ112を充填物の充填状態の位置に戻す。
【0043】
(工程(c))
切替ロータ112の軸方向において、充填用切替部132の位置が第1流路116、第2流路118及び第3流路120の位置と一致した状態で、配管156から貯蔵部114内に洗浄液Cを供給して洗浄する。そして、図7に示すように、ピストンロッド150を引き、配管156から貯蔵部114に供給された洗浄液Cを、第1流路116、切替流路136及び第3流路120を通じてシリンダ148内に吸引する。次いで、図8に示すように、切替ロータ112を軸周りに回動させ、第3流路120、切替流路136及び第2流路118が接続された充填経路に切り替え、ピストンロッド150を押し込んで洗浄液Cを充填ノズル124から吐出させる。この操作を繰り返して充填経路を洗浄液Cで洗浄する。
洗浄液Cとしては、特に限定されず、例えば、アルカリ洗剤液を例示できる。
【0044】
(工程(d))
図6に示すように、充填物の充填状態から切替ロータ112を軸方向に動かし、洗浄用切替部134を充填時の充填用切替部132の位置に移動させ、軸方向に隣り合う第1凹部142と第2凹部144とが連通させる。また、ピストンロッド150を引き、ピストンロッド150の先端部をシリンダ148における配管154との接続部よりも下流側に位置させる。
【0045】
この状態で、図9及び図10に示すように、配管154を通じてシリンダ148内に洗浄液Cを供給し、シリンダ148及びピストンロッド150を洗浄する。同時に、配管128及び第4流路122を通じて洗浄液Cを切替ロータ112とブロック110の間の第1凹部142と第2凹部144の連通部分に供給し、切替ロータ112とブロック110の内面を洗浄する。配管154及び配管128から供給された洗浄液Cは、ブロック110の下部に設けられた充填ノズル124及び排出管146から排出される。
【0046】
(工程(e))
工程(b)と同様にして、ブロック110の内面、切替ロータ112、シリンダ148の内面、及びピストンロッド150を水Bですすぐ。
【0047】
(工程(f))
工程(a)と同様にして、貯蔵部114内と充填経路を水Bですすぐ。
【0048】
工程(a)~(f)をこの順で実施することで、切替ロータ112からブロック110から取り外すことなく充填装置100を洗浄することができる。
なお、充填装置100の洗浄方法は、工程(a)~(f)をこの順で実施する方法には限定されない。
【0049】
以上説明したように、本発明の充填装置では、切替ロータに充填用切替部と洗浄用切替部とが軸方向に交互に設けられている。そして、切替ロータを軸方向に動かして洗浄用切替部を充填時の充填用切替部の位置に移動させた状態で、洗浄用切替部に形成された第1凹部とブロックに形成された第2凹部が連通する。このように、本発明では、切替ロータを軸方向に動かすことで、軸方向に隣り合う第1凹部と第2凹部が連通し、切替ロータとブロックとの隙間が広がる。そのため、切替ロータをブロックから取り外さなくても、切替ロータとブロックの隙間に洗浄液を十分に供給して容易に洗浄することができる。
【0050】
なお、本発明の技術的範囲は前記した実施形態例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、本発明の充填装置においては、水や洗浄液を供給する経路は最低1つ確保されていればよい。具体的には、充填装置100において、水B及び洗浄液Cを供給する配管128、配管154及び配管156のうちのいずれか1つ以上を有しないか、それらの配置が異なる充填装置であってもよい。
【0051】
切替ロータに設けられる第1凹部は、切替ロータの軸周りに環状に形成されていなくてもよい。例えば、図11に示すように、軸周りに半周分だけ第1凹部142が設けられた切替ロータ112Aを備える充填装置であってもよい。また、図12に示すように、複数の第1凹部142が軸周りに断続的に設けられた切替ロータ112Bを備える充填装置であってもよい。
【0052】
また、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0053】
100…充填装置、110…ブロック、111…挿入部、112,112A,112B…切替ロータ、114…貯蔵部、116…第1流路、118…第2流路、120…第3流路、122…第4流路、124…充填ノズル、126…定量部、132…充填用切替部、134…洗浄用切替部、142…第1凹部、144…第2凹部、148…シリンダ、150…ピストンロッド。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12