(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-01
(45)【発行日】2024-08-09
(54)【発明の名称】空間評価支援装置、空間評価支援システム、及び空間評価支援プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240802BHJP
【FI】
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2020162606
(22)【出願日】2020-09-28
【審査請求日】2023-06-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安藤 邦明
(72)【発明者】
【氏名】藤原 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】国本 陸斗
(72)【発明者】
【氏名】畔上 泰彦
【審査官】佐藤 光起
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-088059(JP,A)
【文献】特開2002-149785(JP,A)
【文献】特開2017-016550(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
評価対象とする空間に対する評価の高さを示す、互いに異なる複数種類の評価値を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された複数種類の評価値のうちの2種類の
相反しない評価値の組み合わせ毎の差分を、前記空間における、その時点では顕在化されていない潜在的な価値の高さを示す潜在評価値として導出する導出部と、
を備えた空間評価支援装置。
【請求項2】
前記導出部によって導出された潜在評価値に関する情報を提示する提示部、
を更に備えた請求項1に記載の空間評価支援装置。
【請求項3】
前記提示部は、前記潜在評価値に関する情報を地図画像に合成して提示する、
請求項2に記載の空間評価支援装置。
【請求項4】
前記地図画像は、ソーシャルヒートマップ画像である、
請求項3に記載の空間評価支援装置。
【請求項5】
前記取得部は、前記複数種類の評価値を、前記空間の予め定められた区分領域毎に取得し、
前記導出部は、前記潜在評価値を前記区分領域毎に導出し、
前記提示部は、前記区分領域毎の潜在評価値に関する情報を、前記地図画像の対応する位置に合成して提示する、
請求項3又は請求項4に記載の空間評価支援装置。
【請求項6】
前記提示部は、前記潜在評価値の導出に用いた大きい方の評価値が、予め定められた許容閾値以上である前記潜在評価値のみを対象として、前記潜在評価値に関する情報を提示する、
請求項2~請求項5の何れか1項に記載の空間評価支援装置。
【請求項7】
前記提示部は、提示対象とする前記潜在評価値の導出に用いた小さい方の評価値が、改善すべき種類の評価値であることを示す情報を、前記潜在評価値に関する情報に含めて提示する、
請求項2~請求項6の何れか1項に記載の空間評価支援装置。
【請求項8】
前記提示部は、予め定められた差分閾値以上である前記潜在評価値のみを対象として、前記潜在評価値に関する情報を提示する、
請求項2~請求項7の何れか1項に記載の空間評価支援装置。
【請求項9】
前記複数種類の評価値は、前記空間における人の滞留の度合いを示す滞留度、前記空間において人が抱いた感情的な評価の度合いを示す感情度、及び前記空間において人が使った金額の多さを示す経済活動活性度の少なくとも複数種類を含む、
請求項1~請求項8の何れか1項に記載の空間評価支援装置。
【請求項10】
請求項1~請求項9の何れか1項に記載の空間評価支援装置と、
前記空間評価支援装置の前記導出部によって導出された潜在評価値を当該空間評価支援装置から受信する受信部と、前記受信部によって受信された潜在評価値に関する情報を表示部に表示させる制御を行う表示制御部と、を備えた端末と、
を含む空間評価支援システム。
【請求項11】
評価対象とする空間に対する評価の高さを示す、互いに異なる複数種類の評価値を取得し、
取得した複数種類の評価値のうちの2種類の
相反しない評価値の組み合わせ毎の差分を、前記空間における、その時点では顕在化されていない潜在的な価値の高さを示す潜在評価値として導出する、
処理をコンピュータに実行させるための空間評価支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空間評価支援装置、空間評価支援システム、及び空間評価支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、利用者による、都市、街並み、観光地等のインフラ・ストラクチャの評価に寄与することのできる技術として、以下の技術があった。
【0003】
特許文献1には、地域活動に関する評価指標を処理するための地域評価指標処理システムが開示されている。この地域評価指標処理システムは、評価指標を処理する複数の地域のそれぞれについて、それぞれの地域において行われ短期的に変動する活動を表す複数の項目及びその項目の値と、それぞれの地域に関する固定的な属性を表す複数の項目及びその項目の値とを取得する項目取得部を備える。また、この地域評価指標処理システムは、前記取得した前記活動を表す項目と、前記取得した前記属性を表す項目との組み合わせを生成する組み合わせ生成部と、前記生成した組み合わせのそれぞれについて、前記活動を表す前記項目の値と前記属性を表す前記項目の値との間の相関度を算出する相関分析部と、を備える。更に、この地域評価指標処理システムは、前記算出した相関度のうち、所定の閾値以上の前記相関度を有する前記組み合わせを取得し、取得した前記組み合わせにおける、前記属性を表す前記項目の値に基づき、前記複数の地域を複数のグループに分類する分類実行部と、前記分類したグループに属する前記地域のそれぞれについて、それぞれの地域の前記活動を表す前記項目の値を点数に変換する点数化部とを備える。
【0004】
また、特許文献2には、地域指標の履歴値と、センサデータ履歴値と、の相関係数を算出する相関係数算出部と、センサデータと、前記相関係数と、に基づいて、前記地域指標の推計値を算出する地域指標算出部と、を備えることを特徴とする地域指標算出装置が開示されている。
【0005】
更に、特許文献3には、評価装置であって、利用者から、地域に関する情報である地域情報を取得する情報取得部と、取得した前記地域情報を、前記地域情報を提供した前記利用者の活動地域を示す日常圏を用いて評価する評価部と、を備える評価装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-206772号公報
【文献】特開2014-241088号公報
【文献】特開2014-16870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に開示されている技術は、2種類の項目間の相関を分析する必要があり、複雑な処理を伴う、という問題点があった。
【0008】
また、特許文献3に開示されている技術は、その地域を良く知る人から提供された情報を評価するための技術であり、空間の潜在的な価値の高さの評価に寄与することができるものではない、という問題点があった。
【0009】
本発明は、以上の事情に鑑みて成されたものであり、複雑な処理を伴うことなく、空間の潜在的な価値の高さの評価に寄与することができる空間評価支援装置、空間評価支援システム、及び空間評価支援プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の本発明に係る空間評価支援装置は、評価対象とする空間に対する評価の高さを示す、互いに異なる複数種類の評価値を取得する取得部と、前記取得部によって取得された複数種類の評価値のうちの2種類の相反しない評価値の組み合わせ毎の差分を、前記空間における、その時点では顕在化されていない潜在的な価値の高さを示す潜在評価値として導出する導出部と、を備える。
【0011】
請求項1に記載の本発明に係る空間評価支援装置によれば、評価対象とする空間に対する評価の高さを示す、互いに異なる複数種類の評価値を取得し、取得した複数種類の評価値のうちの2種類の相反しない評価値の組み合わせ毎の差分を、上記空間における、その時点では顕在化されていない潜在的な価値の高さを示す潜在評価値として導出することで、複雑な処理を伴うことなく、空間の潜在的な価値の高さの評価に寄与することができる。
【0012】
請求項2に記載の本発明に係る空間評価支援装置は、請求項1に記載の空間評価支援装置であって、前記導出部によって導出された潜在評価値に関する情報を提示する提示部、を更に備える。
【0013】
請求項2に記載の本発明に係る空間評価支援装置によれば、導出された潜在評価値に関する情報を提示することで、より効果的に、空間の潜在的な価値の高さの評価に寄与することができる。
【0014】
請求項3に記載の本発明に係る空間評価支援装置は、請求項2に記載の空間評価支援装置であって、前記提示部が、前記潜在評価値に関する情報を地図画像に合成して提示する。
【0015】
請求項3に記載の本発明に係る空間評価支援装置によれば、潜在評価値に関する情報を地図画像に合成して提示することで、より効果的に、空間の潜在的な価値の高さの評価に寄与することができる。
【0016】
請求項4に記載の本発明に係る空間評価支援装置は、請求項3に記載の空間評価支援装置であって、前記地図画像が、ソーシャルヒートマップ画像であるものである。
【0017】
請求項4に記載の本発明に係る空間評価支援装置によれば、上記地図画像を、ソーシャルヒートマップ画像とすることで、より効果的に、空間の潜在的な価値の高さの評価に寄与することができる。
【0018】
請求項5に記載の本発明に係る空間評価支援装置は、請求項3又は請求項4に記載の空間評価支援装置であって、前記取得部が、前記複数種類の評価値を、前記空間の予め定められた区分領域毎に取得し、前記導出部が、前記潜在評価値を前記区分領域毎に導出し、前記提示部が、前記区分領域毎の潜在評価値に関する情報を、前記地図画像の対応する位置に合成して提示するものである。
【0019】
請求項5に記載の本発明に係る空間評価支援装置によれば、区分領域毎の潜在評価値に関する情報を、地図画像の対応する位置に合成して提示することで、より効果的に、空間の潜在的な価値の高さの評価に寄与することができる。
【0020】
請求項6に記載の本発明に係る空間評価支援装置は、請求項2~請求項5の何れか1項に記載の空間評価支援装置であって、前記提示部が、前記潜在評価値の導出に用いた大きい方の評価値が、予め定められた許容閾値以上である前記潜在評価値のみを対象として、前記潜在評価値に関する情報を提示する。
【0021】
請求項6に記載の本発明に係る空間評価支援装置によれば、潜在評価値の導出に用いた大きい方の評価値が、予め定められた許容閾値以上である潜在評価値のみを対象として、潜在評価値に関する情報を提示することで、潜在的な価値が比較的低い評価値に関する潜在評価値を提示対象から外すことができる結果、より価値の高い潜在評価値を把握することができる。
【0022】
請求項7に記載の本発明に係る空間評価支援装置は、請求項2~請求項6の何れか1項に記載の空間評価支援装置であって、前記提示部が、提示対象とする前記潜在評価値の導出に用いた小さい方の評価値が、改善すべき種類の評価値であることを示す情報を、前記潜在評価値に関する情報に含めて提示する。
【0023】
請求項7に記載の本発明に係る空間評価支援装置によれば、提示対象とする潜在評価値の導出に用いた小さい方の評価値が、改善すべき種類の評価値であることを示す情報を、潜在評価値に関する情報に含めて提示することで、より効果的に、空間の潜在的な価値の高さの評価に寄与することができる。
【0024】
請求項8に記載の本発明に係る空間評価支援装置は、請求項2~請求項7の何れか1項に記載の空間評価支援装置であって、前記提示部が、予め定められた差分閾値以上である前記潜在評価値のみを対象として、前記潜在評価値に関する情報を提示する。
【0025】
請求項8に記載の本発明に係る空間評価支援装置によれば、予め定められた差分閾値以上である潜在評価値のみを対象として、潜在評価値に関する情報を提示することで、より効果的に、空間の潜在的な価値の高さの評価に寄与することができる。
【0026】
請求項9に記載の本発明に係る空間評価支援装置は、請求項1~請求項8の何れか1項に記載の空間評価支援装置であって、前記複数種類の評価値が、前記空間における人の滞留の度合いを示す滞留度、前記空間において人が抱いた感情的な評価の度合いを示す感情度、及び前記空間において人が使った金額の多さを示す経済活動活性度の少なくとも複数種類を含む。
【0027】
請求項9に記載の本発明に係る空間評価支援装置によれば、上記複数種類の評価値が、上記空間における人の滞留の度合いを示す滞留度、上記空間において人が抱いた感情的な評価の度合いを示す感情度、及び上記空間において人が使った金額の多さを示す経済活動活性度の少なくとも複数種類を含むことで、含めた種類の評価値に応じた潜在評価値を得ることができる。
【0028】
請求項10に記載の本発明に係る空間評価支援システムは、請求項1~請求項9の何れか1項に記載の空間評価支援装置と、前記空間評価支援装置の前記導出部によって導出された潜在評価値を当該空間評価支援装置から受信する受信部と、前記受信部によって受信された潜在評価値に関する情報を表示部に表示させる制御を行う表示制御部と、を備えた端末と、を含む。
【0029】
請求項10に記載の本発明に係る空間評価支援システムによれば、本発明の空間評価支援装置によって導出された潜在評価値に関する情報を表示させることで、複雑な処理を伴うことなく、空間の潜在的な価値の高さの評価に寄与することができる。
【0030】
請求項11に記載の本発明に係る空間評価支援プログラムは、評価対象とする空間に対する評価の高さを示す、互いに異なる複数種類の評価値を取得し、取得した複数種類の評価値のうちの2種類の相反しない評価値の組み合わせ毎の差分を、前記空間における、その時点では顕在化されていない潜在的な価値の高さを示す潜在評価値として導出する、処理をコンピュータに実行させる。
【0031】
請求項11に記載の本発明に係る空間評価支援プログラムによれば、評価対象とする空間に対する評価の高さを示す、互いに異なる複数種類の評価値を取得し、取得した複数種類の評価値のうちの2種類の相反しない評価値の組み合わせ毎の差分を、上記空間における、その時点では顕在化されていない潜在的な価値の高さを示す潜在評価値として導出することで、複雑な処理を伴うことなく、空間の潜在的な価値の高さの評価に寄与することができる。
【発明の効果】
【0032】
以上説明したように、本発明によれば、複雑な処理を伴うことなく、空間の潜在的な価値の高さの評価に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】実施形態に係る空間評価支援システムのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】実施形態に係る空間評価支援システムの機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】実施形態に係る空間評価支援システムの潜在評価値の説明に供するグラフ(レーダーチャート)である。
【
図4】実施形態に係る対象領域情報データベースの構成の一例を示す模式図である。
【
図5】実施形態に係る評価基礎情報データベースの構成の一例を示す模式図である。
【
図6】実施形態に係る潜在評価情報データベースの構成の一例を示す模式図である。
【
図7】実施形態に係る空間評価支援処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】実施形態に係る評価値提示処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】実施形態に係る評価値表示処理の一例を示すフローチャートである。
【
図10】実施形態に係る初期画面の構成の一例を示す正面図である。
【
図11】実施形態に係る評価結果画面の構成の一例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態例を詳細に説明する。なお、本実施形態では、本発明を、サーバコンピュータ等により構成された空間評価支援装置と、各々対象者が個別に用いる端末である複数の対象者端末と、を含む空間評価支援システムに適用した場合について説明する。
【0035】
まず、
図1~
図3を参照して、本実施形態に係る空間評価支援システム90の構成を説明する。
図1は、本実施形態に係る空間評価支援システム90のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。また、
図2は、本実施形態に係る空間評価支援システム90の機能的な構成の一例を示すブロック図である。更に、
図3は、本実施形態に係る空間評価支援システム90の潜在評価値の説明に供するグラフ(レーダーチャート)である。
【0036】
図1に示すように、本実施形態に係る空間評価支援システム90は、ネットワーク80に各々アクセス可能とされた、空間評価支援装置10と、複数の対象者端末30と、を含む。なお、空間評価支援装置10の例としては、パーソナルコンピュータ及びサーバコンピュータ等の情報処理装置が挙げられる。また、対象者端末30の例としては、スマートフォン、タブレット端末、PDA(Personal Digital Assistant、携帯情報端末)等の携帯型の端末が挙げられる。
【0037】
本実施形態に係る対象者端末30は、空間評価支援システム90の利用対象となる複数の対象者が各々所持する端末である。対象者端末30は、CPU(Central Processing Unit)31、一時記憶領域としてのメモリ32、不揮発性の記憶部33、タッチパネル等の入力部34、液晶ディスプレイ等の表示部35及び媒体読み書き装置(R/W)36を備えている。また、対象者端末30は、カメラ38、マイク39、GPS(Global Positioning Systems)40、及び無線通信部42を備えている。CPU31、メモリ32、記憶部33、入力部34、表示部35、媒体読み書き装置36、カメラ38、マイク39、GPS40、及び無線通信部42はバスB1を介して互いに接続されている。媒体読み書き装置36は、記録媒体37に書き込まれている情報の読み出し及び記録媒体37への情報の書き込みを行う。
【0038】
記憶部33は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等によって実現される。記憶媒体としての記憶部33には、評価値表示プログラム33Aが記憶されている。評価値表示プログラム33Aは、評価値表示プログラム33Aが書き込まれた記録媒体37が媒体読み書き装置36にセットされ、媒体読み書き装置36が記録媒体37からの評価値表示プログラム33Aの読み出しを行うことで、記憶部33へ記憶される。CPU31は、評価値表示プログラム33Aを記憶部33から読み出してメモリ32に展開し、評価値表示プログラム33Aが有するプロセスを順次実行する。
【0039】
一方、空間評価支援装置10は、空間評価支援システム90で取り扱う各種情報を統括的に保管して管理する装置である。空間評価支援装置10は、CPU11、一時記憶領域としてのメモリ12、不揮発性の記憶部13、キーボードとマウス等の入力部14、液晶ディスプレイ等の表示部15、媒体読み書き装置16及び通信インタフェース(I/F)部18を備えている。CPU11、メモリ12、記憶部13、入力部14、表示部15、媒体読み書き装置16及び通信I/F部18はバスB2を介して互いに接続されている。媒体読み書き装置16は、記録媒体17に書き込まれている情報の読み出し及び記録媒体17への情報の書き込みを行う。
【0040】
記憶部13はHDD、SSD、フラッシュメモリ等によって実現される。記憶媒体としての記憶部13には、空間評価支援プログラム13A及び評価値提示プログラム13Bが記憶されている。空間評価支援プログラム13Aは、空間評価支援プログラム13Aが書き込まれた記録媒体17が媒体読み書き装置16にセットされ、媒体読み書き装置16が記録媒体17からの空間評価支援プログラム13Aの読み出しを行うことで、記憶部13へ記憶される。また、評価値提示プログラム13Bは、評価値提示プログラム13Bが書き込まれた記録媒体17が媒体読み書き装置16にセットされ、媒体読み書き装置16が記録媒体17からの評価値提示プログラム13Bの読み出しを行うことで、記憶部13へ記憶される。CPU11は、空間評価支援プログラム13A及び評価値提示プログラム13Bを記憶部13から読み出してメモリ12に展開し、空間評価支援プログラム13A及び評価値提示プログラム13Bが各々有するプロセスを順次実行する。
【0041】
また、記憶部13には、対象領域情報データベース13C、評価基礎情報データベース13D、及び潜在評価情報データベース13Eが記憶される。対象領域情報データベース13C、評価基礎情報データベース13D、及び潜在評価情報データベース13Eについては、詳細を後述する。
【0042】
次に、
図2を参照して、本実施形態に係る空間評価支援装置10及び対象者端末30の機能的な構成について説明する。
【0043】
図2に示すように、空間評価支援装置10は、取得部11A、導出部11B、及び提示部11Cを含む。空間評価支援装置10のCPU11が空間評価支援プログラム13A及び評価値提示プログラム13Bを実行することで、取得部11A、導出部11B、及び提示部11Cとして機能する。
【0044】
本実施形態に係る取得部11Aは、評価対象とする空間(以下、「評価対象空間」という。)に対する評価の高さを示す、互いに異なる複数種類の評価値を取得する。本実施形態では、上記複数種類の評価値が、評価対象空間における人の滞留の度合いを示す滞留度、評価対象空間において人が抱いた感情的な評価の度合いを示す感情度、及び評価対象空間において人が使った金額の多さを示す経済活動活性度の全てを含むものとされている。但し、この形態に限らず、上述した滞留度、感情度、及び経済活動活性度のうちの何れか2種類の組み合わせを上記複数種類の評価値として適用する形態としてもよい。
【0045】
また、本実施形態に係る導出部11Bは、取得部11Aによって取得された複数種類の評価値のうちの2種類の評価値の組み合わせ毎の差分を、評価対象空間における、その時点では顕在化されていない潜在的な価値の高さを示す潜在評価値として導出する。
【0046】
そして、本実施形態に係る提示部11Cは、導出部11Bによって導出された潜在評価値に関する情報を提示する。本実施形態に係る提示部11Cは、上記潜在評価値に関する情報の提示を、要求された対象者端末30に当該潜在評価値に関する情報を送信して、当該対象者端末30の表示部35により表示させることで行っているが、これに限るものではない。例えば、空間評価支援装置10の表示部15により表示させることにより、上記潜在評価値に関する情報の提示を行う形態としてもよい。また、提示部11Cによる潜在評価値に関する情報の提示は表示部による表示による提示に限らず、音声による提示や、画像形成装置(所謂プリンタ)による印刷による提示を適用する形態としてもよい。
【0047】
即ち、一例として
図3に示すように、共通の空間における複数種類の評価値は、全ての種類の評価値が高評価値であれば、その空間は特に問題がなく、改善の余地はないことになる。これに対し、種類毎の評価値にばらつきがあり、かつ、2種類の評価値の組み合わせ毎の差分が大きいほど、当該組み合わせにおける小値側の評価値の評価対象に改善の余地が多く存在することになる。そこで、本実施形態に係る空間評価支援システム90では、上述したように、複数種類の評価値のうちの2種類の評価値の組み合わせ毎の差分を、評価対象空間における、その時点では顕在化されていない潜在的な価値の高さを示す潜在評価値とするものとしている。
【0048】
一方、本実施形態に係る提示部11Cは、導出部11Bによって導出された潜在評価値に関する情報を地図画像に合成して提示する。特に、本実施形態では、上記地図画像として、ソーシャルヒートマップ画像を適用している。ソーシャルヒートマップ画像は、対応する領域の通常表示される地図画像に重ねて濃度や色が異なる領域を表示することで、対象者のカテゴリーに適合した情報が多い場所を強調した地図を示す画像である。即ち、本実施形態では、各対象者に対して予め複数の設問に回答してもらい、回答結果を分析して分類することにより各対象者のカテゴリーを事前に決定する。そして、本実施形態に係るソーシャルヒートマップ画像は、利用する対象者のカテゴリーに適合した情報(本実施形態では、SNS(Social Networking Service)において投稿された情報。)が多い場所ほど濃度が高くなるように地図画像に重ねて表示する。但し、この濃度を変える形態に限らず、高い濃度から低い濃度の順に、赤色→黄色→緑色といったように色を変える形態としてもよい。
【0049】
本実施形態では、空間評価支援装置10がネットワーク80等を介して、空間評価支援システム90が取り扱い対象としている領域(以下、「対象領域」という。)の各々のソーシャルヒートマップ画像の最新版を提供するサーバに接続されている。そして、空間評価支援装置10は、このサーバからソーシャルヒートマップ画像の最新版を取得して、後述する対象領域情報データベース13C(
図4も参照。)に記憶されているソーシャルヒートマップ画像を逐次更新するものとしている。但し、この形態に限らず、空間評価支援装置10自身により、各対象者に対応するソーシャルヒートマップ画像を逐次更新する形態としてもよい。
【0050】
また、本実施形態に係る取得部11Aは、上記複数種類の評価値を、評価対象空間の予め定められた区分領域毎に取得し、導出部11Bは、上記潜在評価値を当該区分領域毎に導出し、提示部11Cは、当該区分領域毎の潜在評価値に関する情報を、上記地図画像の対応する位置に合成して提示する。
【0051】
また、本実施形態に係る提示部11Cは、上記潜在評価値の導出に用いた大きい方の評価値が、予め定められた許容閾値以上である潜在評価値のみを対象として、当該潜在評価値に関する情報を提示する。特に、本実施形態に係る提示部11Cは、提示対象とする潜在評価値の導出に用いた小さい方の評価値が、改善すべき種類の評価値であることを示す情報を、当該潜在評価値に関する情報に含めて提示する。更に、本実施形態に係る提示部11Cは、予め定められた差分閾値以上である潜在評価値のみを対象として、潜在評価値に関する情報を提示する。
【0052】
一方、本実施形態に係る対象者端末30は、受信部31A及び表示制御部31Bを含む。対象者端末30のCPU31が評価値表示プログラム33Aを実行することで、受信部31A及び表示制御部31Bとして機能する。
【0053】
本実施形態に係る受信部31Aは、空間評価支援装置10の導出部11Bによって導出された上記潜在評価値を空間評価支援装置10から受信する。また、表示制御部31Bは、受信部31Aによって受信された潜在評価値に関する情報を表示部35に表示する制御を行う。
【0054】
次に、
図4を参照して、本実施形態に係る対象領域情報データベース13Cについて説明する。
図4は、本実施形態に係る対象領域情報データベース13Cの構成の一例を示す模式図である。
【0055】
本実施形態に係る対象領域情報データベース13Cは、上述した対象領域に関する情報が登録されたデータベースである。
図4に示すように、本実施形態に係る対象領域情報データベース13Cは、対象領域名、ソーシャルヒートマップ画像、対象地区名、対象地区位置、及び対象地区ID(Identification)の各情報が記憶される。
【0056】
上記対象領域名は、上記対象領域の各々の名称を示す情報であり、上記ソーシャルヒートマップ画像は、対応する対象領域名が示す対象領域における対象者別の上述したソーシャルヒートマップ画像を示す情報である。また、上記対象地区名は、対応する対象領域の内部に存在する地区の名称を示す情報であり、上記対象地区位置は、対応する対象地区が存在する位置を示す情報である。
【0057】
本実施形態では、上記対象地区として、対応する対象領域に存在する各町における丁目で区分される領域を適用しており、当該対象地区が、上述した評価対象空間に相当する。また、本実施形態では、上記対象地区位置として、対応する対象地区の外接矩形枠の一対の対角の2次元座標系における座標位置として規定している。但し、これらの形態に限らず、例えば、上記対象地区として、対応する対象領域に存在する各町における番地で区分される領域を適用する形態としてもよいし、上記対象地区位置として、上記外接矩形枠の中心点の上記2次元座標系における座標位置を適用する形態としてもよく、更に上記2次元座標系における座標位置に代えて、緯度及び経度を適用する形態としてもよい。
【0058】
更に、上記対象地区IDは、対応する対象地区を個別に識別するために、対象地区毎に異なるものとして予め付与された情報である。
【0059】
次に、
図5を参照して、本実施形態に係る評価基礎情報データベース13Dについて説明する。
図5は、本実施形態に係る評価基礎情報データベース13Dの構成の一例を示す模式図である。
【0060】
本実施形態に係る評価基礎情報データベース13Dは、上述した潜在評価値を導出する際に用いられる情報が登録されたものである。
図5に示すように、本実施形態に係る評価基礎情報データベース13Dは、対象領域名、対象地区名、及び評価基礎情報の各情報が記憶される。
【0061】
上記対象領域名及び対象地区名は、各々、対象領域情報データベース13Cの対象領域名及び対象地区名と同一の情報である。また、上記評価基礎情報は、対応する対象地区に対する、上述した滞留度、感情度、及び経済活動活性度の各値を示す情報である。
【0062】
本実施形態では、各対象者の了解のもとで当該各対象者が所持する対象者端末30のGPS40によって得られる位置情報を逐次取得し、当該位置情報を用いて得られる、対象地区毎の各利用者の滞在時間を元に、対象地区毎に上記滞留度を導出する。具体的には、対象地区別に各対象者の滞在時間の平均値を導出し、当該平均値の全ての対象地区の最大値を予め定められた段階数(本実施形態では、10段階)の段階の最大値として、各対象地区の上記平均値に相当する段階を当該対象地区の滞留度とする。但し、この形態に限るものではなく、例えば、上記GPS40を用いて導出する滞在時間に代えて、自治体等によって対象地区毎に既に統計的に得られている訪問者の滞在時間を適用して滞留度を導出する形態としてもよい。また、各対象者の滞在時間のみならず、対象地区別の訪問者数も加味して滞留度を導出する形態としてもよい。要は、対象地区毎の人の滞留の度合を示す情報であれば、上記滞留度として適用することができる。
【0063】
また、本実施形態では、何れかの対象地区に訪れた対象者から当該対象地区に関する感情的な評価の高さを示す値(以下、「感情的評価値」という。)を取得し、当該感情的評価値を用いて、対象地区毎に上記感情度を導出する。具体的には、対象地区別に各対象者の感情的評価値の平均値を導出し、当該平均値の全ての対象地区の最大値を上記予め定められた段階数の段階の最大値として、各対象地区の上記平均値に相当する段階を当該対象地区の感情度とする。但し、この形態に限るものではなく、例えば、上記感情的評価値に代えて、SNSにおいて投稿されている、当該感情的評価値に相当する情報を適用して感情度を導出する形態としてもよい。要は、対象地区毎の人の感情的な評価の高さを示す情報であれば、上記感情度として適用することができる。
【0064】
更に、本実施形態では、各対象地区に存在する各種店舗で用いられているPOS(Point Of Sale)システムから取得した、対象者毎の利用金額を取得し、当該利用金額を用いて、対象地区毎に上記経済活動活性度を導出する。具体的には、対象地区別に各対象者の利用金額の平均値を導出し、当該平均値の全ての対象地区の最大値を上記予め定められた段階数の段階の最大値として、各対象地区の上記平均値に相当する段階を当該対象地区の経済活動活性度とする。但し、この形態に限るものではなく、例えば、上記利用金額に代えて、自治体等によって対象地区毎に既に統計的に得られている訪問者の消費金額を適用して経済活動活性度を導出する形態としてもよい。また、各利用者の利用金額のみならず、対象地区別の訪問者数も加味して経済活動活性度を導出する形態としてもよい。要は、対象地区毎の人の消費金額の度合を示す情報であれば、上記経済活動活性度として適用することができる。
【0065】
このように、本実施形態では、滞留度、感情度、及び経済活動活性度の各評価値を同一の段階数(本実施形態では、10段階)で統一して表しているが、これに限るものではない。例えば、重要度に応じて、評価値毎に段階数を変える形態としてもよい。
【0066】
次に、
図6を参照して、本実施形態に係る潜在評価情報データベース13Eについて説明する。
図6は、本実施形態に係る潜在評価情報データベース13Eの構成の一例を示す模式図である。
【0067】
本実施形態に係る潜在評価情報データベース13Eは、空間評価支援プログラム13Aの実行によって得られた潜在評価値が登録されるものである。
図6に示すように、本実施形態に係る潜在評価情報データベース13Eは、対象領域名、対象地区ID、潜在評価値、及び改善対象評価値の各情報が記憶される。
【0068】
上記対象領域名及び上記対象地区IDは、各々、対象領域情報データベース13Cの対象領域名及び対象地区IDと同一の情報である。また、上記潜在評価値は、対応する対象地区の潜在評価値を示す情報であり、上記改善対象評価値は、対応する対象地区における改善すべき評価値の種類を示す情報である。
【0069】
本実施形態に係る空間評価支援システム90では、上記潜在評価値を次の(1)式によって算出することにより導出する。(1)式において、DDは潜在評価値を表し、SDは滞留度を表し、EDは感情度を表し、MDは経済活動活性度を表し、max(A,B,C)はA、B、Cのうちの最大値を表す。
【0070】
DD=max(|SD-ED|,|ED-MD|,|SD-MD|) (1)
【0071】
(1)式に示すように、本実施形態に係る空間評価支援システム90では、潜在評価値DDとして、滞留度SD、感情度ED、及び経済活動活性度MDのうちの2種類の評価値間の差分の最大値を適用している。但し、この形態に限らず、潜在評価値DDとして、例えば、上記2種類の評価値間の差分の各々を適用する形態としてもよいし、上記2種類の評価値間の差分の最大値及び2番目に大きな値の平均値を適用する形態としてもよい。
【0072】
また、本実施形態に係る空間評価支援システム90では、上記改善対象評価値として、(1)式により潜在評価値DDを算出する際に差分が最大値となった2種類の評価値のうち、値が小さい方の評価値の種類を適用している。この評価値の種類が、対応する対象地区において、改善する余地がある評価値の種類となる。
【0073】
次に、
図7~
図11を参照して、本実施形態に係る空間評価支援システム90の作用を説明する。
図7は、本実施形態に係る空間評価支援処理の一例を示すフローチャートである。また、
図8は、本実施形態に係る評価値提示処理の一例を示すフローチャートである。また、
図9は、本実施形態に係る評価値表示処理の一例を示すフローチャートである。また、
図10は、本実施形態に係る初期画面の構成の一例を示す正面図である。更に、
図11は、本実施形態に係る評価結果画面の構成の一例を示す正面図である。
【0074】
まず、
図7を参照して、空間評価支援処理を実行する場合の本実施形態に係る空間評価支援装置10の作用を説明する。空間評価支援装置10のユーザ(例えば、空間評価支援システム90の管理者)により、入力部14を介して空間評価支援処理の実行を開始する指示入力が行われた場合に、空間評価支援装置10のCPU11が空間評価支援プログラム13Aを実行することで、
図7に示す空間評価支援処理が実行される。なお、ここでは、錯綜を回避するために、対象領域情報データベース13C及び評価基礎情報データベース13Dが既に構築されている場合について説明する。
【0075】
図7のステップ100で、CPU11は、何れか1箇所の対象地区(以下、「処理対象地区」という。)の滞留度SD、感情度ED、及び経済活動活性度MDの各評価値を評価基礎情報データベース13Dから読み出すことにより取得する。また、ステップ100で、CPU11は、処理対象地区に対応する対象地区IDを対象領域情報データベース13Cから読み出すことにより取得する。ステップ102で、CPU11は、取得した評価値を(1)式に代入することによって潜在評価値DDを導出する。
【0076】
ステップ104で、CPU11は、潜在評価値DDを算出する際に差分が最大値となった2種類の評価値のうち、値が大きい方の評価値が予め定められた許容閾値以上であるか否かを判定し、否定判定となった場合はステップ110に移行する一方、肯定判定となった場合はステップ106に移行する。
【0077】
ステップ106で、CPU11は、導出した潜在評価値DDが予め定められた差分閾値以上であるか否かを判定し、否定判定となった場合はステップ110に移行する一方、肯定判定となった場合はステップ108に移行する。
【0078】
ステップ108で、CPU11は、導出した潜在評価値DD、及び上述した改善対象評価値を、ステップ100の処理で読み出した対象地区IDと共に潜在評価情報データベース13Eに記憶する。
【0079】
ステップ110で、CPU11は、全ての対象地区について、以上の処理が終了したか否か判定し、否定判定となった場合はステップ100に戻る一方、肯定判定となった場合は本空間評価支援処理を終了する。なお、ステップ100~ステップ110の処理を繰り返し実行する際には、ステップ100において、それまで処理対象としなかった対象地区を処理対象地区とする。
【0080】
以上の空間評価支援処理により、一例として
図6に示す潜在評価情報データベース13Eが構築されることになる。
【0081】
次に、
図8を参照して、評価値提示処理を実行する場合の本実施形態に係る空間評価支援装置10の作用を説明する。
【0082】
本実施形態に係る空間評価支援システム90では、何れかの対象者が、何れかの対象領域における各地の上述した潜在評価値を参照したい場合、自身が所持する対象者端末30を用いて、後述する評価値表示処理が実行される。この評価値表示処理では、対象者が潜在評価値を参照したい対象領域を示す情報(以下、「指定対象領域情報」という。)を含む参照要求情報を空間評価支援装置10に送信する。この参照要求情報が受信された場合に、空間評価支援装置10のCPU11が評価値提示プログラム13Bを実行することで、
図8に示す評価値提示処理が実行される。なお、ここでは、錯綜を回避するために、潜在評価情報データベース13Eが既に構築されている場合について説明する。
【0083】
図8のステップ150で、CPU11は、受信した参照要求情報から指定対象領域情報を抽出する。ステップ152で、CPU11は、指定対象領域情報が示す対象領域(以下、「処理対象領域」という。)に含まれる全ての対象地区の対象地区ID、潜在評価値DD及び改善対象評価値を潜在評価情報データベース13Eから読み出す。
【0084】
ステップ154で、CPU11は、読み出した対象地区IDに対応する対象地区位置、及び処理対象領域に対応し、かつ、アクセス元の対象者に対応するソーシャルヒートマップ画像を対象領域情報データベース13Cから読み出す。
【0085】
ステップ156で、CPU11は、読み出したソーシャルヒートマップ画像、各対象地区の潜在評価値DDと改善対象評価値、及び対象地区位置の各情報を用いて、予め定められた構成とされた評価結果画面を示す情報(以下、「評価結果画面情報」という。)を作成する。ステップ158で、CPU11は、作成した評価結果画面情報をアクセス元の対象者端末30に送信し、その後に本評価値提示処理を終了する。
【0086】
次に、
図9を参照して、上述した評価値表示処理を実行する場合の本実施形態に係る対象者端末30の作用を説明する。何れかの対象者端末30のCPU31が評価値表示プログラム33Aを実行することにより、
図9に示す評価値表示処理が実行される。
図9に示す評価値表示処理は、例えば、何れかの対象者(以下、「実施対象者」という。)から自身の対象者端末30の入力部34を介して、評価値表示処理の実行指示が入力された場合に実行される。
【0087】
図9のステップ200で、CPU31は、予め定められた構成とされた初期画面を表示するように表示部35を制御し、ステップ202で、CPU31は、所定情報が入力されるまで待機する。
【0088】
一例として
図10に示すように、本実施形態に係る初期画面は、対象領域名の入力を促すメッセージが表示されると共に、潜在評価値DDを参照したい対象領域の対象領域名を入力する入力領域35Aが表示される。
図10に示す初期画面が表示部35により表示されると、実施対象者は、入力部34を用いて、潜在評価値DDを参照したい対象領域の名称を入力領域35Aに入力した後に、終了ボタン35Bを指定する。これに応じてステップ202が肯定判定となってステップ204に移行する。なお、本実施形態では、初期画面での対象領域名の入力を、当該対象領域名を直接入力する形態としているが、これに限るものではなく、潜在評価値DDを参照可能な全ての対象領域名をプルダウン形式に表示する一方、表示された対象領域名から所望の対象領域名を指定する形態としてもよい。
【0089】
ステップ204で、CPU31は、上述した参照要求情報を空間評価支援装置10に送信する。これに応じて空間評価支援装置10は、上述したように評価値提示処理を実行し、評価結果画面情報をアクセス元の対象者端末30に送信する。
【0090】
そこで、ステップ206で、CPU31は、空間評価支援装置10から評価結果画面情報が受信されるまで待機する。ステップ208で、CPU31は、受信した評価結果画面情報が示す評価結果画面を表示するように表示部35を制御し、ステップ210で、CPU31は、所定情報が入力されるまで待機した後、本評価値表示処理を終了する。
【0091】
一例として
図11に示すように、本実施形態に係る評価結果画面は、処理対象領域のソーシャルヒートマップ画像に対して、処理対象領域に含まれる対象地区の潜在評価値DD及び改善対象評価値が対応する位置に表示される。なお、当該対応する位置は、上述した対象地区位置によって示される位置である。
【0092】
従って、実施対象者は、評価結果画面を参照することで、処理対象地域内における各地の潜在評価値DD及び改善対象評価値を、ソーシャルヒートマップ画像と共に把握することができる。
【0093】
以上説明したように、本実施形態によれば、評価対象とする空間に対する評価の高さを示す、互いに異なる複数種類の評価値を取得する取得部11Aと、取得部11Aによって取得された複数種類の評価値のうちの2種類の評価値の組み合わせ毎の差分を、上記空間における、その時点では顕在化されていない潜在的な価値の高さを示す潜在評価値として導出する導出部11Bと、を備えている。従って、複雑な処理を伴うことなく、空間の潜在的な価値の高さの評価に寄与することができる。
【0094】
また、本実施形態によれば、導出した潜在評価値に関する情報を提示している。従って、より効果的に、空間の潜在的な価値の高さの評価に寄与することができる。
【0095】
また、本実施形態によれば、潜在評価値に関する情報を地図画像に合成して提示している。従って、より効果的に、空間の潜在的な価値の高さの評価に寄与することができる。
【0096】
また、本実施形態によれば、上記地図画像を、ソーシャルヒートマップ画像としている。従って、より効果的に、空間の潜在的な価値の高さの評価に寄与することができる。
【0097】
また、本実施形態によれば、区分領域毎の潜在評価値に関する情報を、地図画像の対応する位置に合成して提示している。従って、より効果的に、空間の潜在的な価値の高さの評価に寄与することができる。
【0098】
また、本実施形態によれば、潜在評価値の導出に用いた大きい方の評価値が、予め定められた許容閾値以上である潜在評価値のみを対象として、潜在評価値に関する情報を提示している。従って、潜在的な価値が比較的低い評価値に関する潜在評価値を提示対象から外すことができる結果、より価値の高い潜在評価値を把握することができる。
【0099】
また、本実施形態によれば、提示対象とする潜在評価値の導出に用いた小さい方の評価値が、改善すべき種類の評価値であることを示す情報を、潜在評価値に関する情報に含めて提示している。従って、より効果的に、空間の潜在的な価値の高さの評価に寄与することができる。
【0100】
また、本実施形態によれば、予め定められた差分閾値以上である潜在評価値のみを対象として、潜在評価値に関する情報を提示している。従って、より効果的に、空間の潜在的な価値の高さの評価に寄与することができる。
【0101】
更に、本実施形態によれば、上記複数種類の評価値が、上記空間における人の滞留の度合いを示す滞留度、上記空間において人が抱いた感情的な評価の度合いを示す感情度、及び上記空間において人が使った金額の多さを示す経済活動活性度を含む。従って、これらの評価値に応じた潜在評価値を得ることができる。
【0102】
なお、上記実施形態では、評価結果画面に対して、ソーシャルヒートマップ画像に処理対象領域における対象地区の潜在評価値DD及び改善対象評価値のみを重ね合わせて表示する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、これらの情報に加えて、滞留度SD、感情度ED、及び経済活動活性度MDの各評価値を、当該情報の近傍に表示する形態としてもよいし、(1)式における2種類の評価値間の差分を示す情報を同様に表示する形態としてもよい。
【0103】
また、上記実施形態では、処理対象領域を対象者自身が指定する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、対象者が所持する対象者端末30に内蔵されたGPS40を用いて、当該対象者端末30が存在する位置を含む領域を処理対象領域として自動的に適用する形態としてもよい。また、対象者の嗜好の傾向を示す情報を空間評価支援装置10で予め取得しておき、対象者に対して、当該対象者の嗜好に応じた対象領域の情報を随時提供する形態としてもよい。
【0104】
また、上記実施形態では、評価値として、滞留度SD、感情度ED、及び経済活動活性度MDの3種類の評価値を適用した場合について説明したが、これに限定されない。例えば、上述したように、これらのうちの2種類の組み合わせのみを評価値として適用する形態としてもよいし、空間特徴度、歴史度等の他の評価値を新たに加えて適用する形態としてもよい。ここで、空間特徴度は、グーグル社による、グーグル・ストリート・ビュー(Google Street View)用に収集された全方位画像等から得られる、対象地区における特徴的な物体や風景等に対する評価値であり、歴史度は、対象地区において発生した歴史的な出来事に対する評価値である。
【0105】
また、上記実施形態では、空間評価支援装置10において空間評価支援処理を実行する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、各対象者端末30によって空間評価支援処理を実行する形態としてもよい。この形態の場合、本発明の空間評価支援装置10が対象者端末30に含まれることになる。
【0106】
また、上記実施形態では、ソーシャルヒートマップ画像として、対象者のカテゴリーに適合した情報が多い場所を強調した地図を示す画像を適用した場合について説明したが、これに限定されない。例えば、潜在評価値DDが高い地区ほど赤味が濃い画像をソーシャルヒートマップ画像として適用する形態としてもよい。
【0107】
また、上記実施形態では、処理対象領域の入力を、入力部34を用いて初期画面上で行う場合について説明したが、これに限定されない。例えば、処理対象領域を、マイク39を用いて音声情報として入力する形態としてもよい。
【0108】
また、上記実施形態では、対象者が評価結果画面を参照した後については特に言及しなかったが、当該評価結果画面に表示されている潜在評価値が自身の主観とは異なるものであった場合、対象者端末30を用いて、対象者自身の主観による評価を潜在評価情報データベース13Eに反映させる形態としてもよい。
【0109】
その他、(1)式は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において、適宜変更して適用することができることは言うまでもない。
【0110】
また、上記実施形態において、例えば、取得部11A、導出部11B、及び提示部11Cの各処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造としては、次に示す各種のプロセッサ(processor)を用いることができる。上記各種のプロセッサには、前述したように、ソフトウェア(プログラム)を実行して処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPUに加えて、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
【0111】
処理部は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせや、CPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。
【0112】
処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアント及びサーバ等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)等に代表されるように、処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて構成される。
【0113】
更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)を用いることができる。
【符号の説明】
【0114】
10 空間評価支援装置
11 CPU
11A 取得部
11B 導出部
11C 提示部
12 メモリ
13 記憶部
13A 空間評価支援プログラム
13B 評価値提示プログラム
13C 対象領域情報データベース
13D 評価基礎情報データベース
13E 潜在評価情報データベース
14 入力部
15 表示部
16 媒体読み書き装置
17 記録媒体
18 通信I/F部
30 対象者端末
31 CPU
31A 受信部
31B 表示制御部
32 メモリ
33 記憶部
33A 評価値表示プログラム
34 入力部
35 表示部
36 媒体読み書き装置
37 記録媒体
38 カメラ
39 マイク
40 GPS
42 無線通信部
80 ネットワーク
90 空間評価支援システム