(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-01
(45)【発行日】2024-08-09
(54)【発明の名称】電子端末収納用キャビネット
(51)【国際特許分類】
A47B 81/00 20060101AFI20240802BHJP
A47B 96/02 20060101ALI20240802BHJP
A47B 97/00 20060101ALI20240802BHJP
H05K 5/00 20060101ALI20240802BHJP
【FI】
A47B81/00 F
A47B96/02 D
A47B97/00 M
H05K5/00 Z
(21)【出願番号】P 2020186465
(22)【出願日】2020-11-09
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】弁理士法人クスノキ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森田 吉範
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-092145(JP,A)
【文献】特開2014-171912(JP,A)
【文献】特開2020-191066(JP,A)
【文献】特開2022-062953(JP,A)
【文献】特開2006-239030(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 81/00
A47B 96/02
A47B 97/00
H05K 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電子端末を収納可能な電子端末収納部と、電子端末の充電に用いられる充電ケーブルを収納可能な配線収納部と、電子端末へ電気を供給する電源供給部材を載置可能な電源載置部と、がキャビネット本体に備えられた電子端末収納用キャビネットであって、電子端末収納部の上方に配置された配線収納部は、キャビネット本体の正面若しくは側面に設けられた開口面に向かうように摺動可能であり、配線収納部の上方に配置された電源載置部は、キャビネット本体の正面若しくは側面に設けられた開口面に向かうように移動可能である電子端末収納用キャビネット。
【請求項2】
摺動可能な配線収納部に電源載置部が取り付けられた請求項1に記載の電子端末収納用キャビネット。
【請求項3】
摺動可能な配線収納部に対して相対的に移動できるように、配線収納部に電源載置部が取り付けられた請求項1又は2に記載の電子端末収納用キャビネット。
【請求項4】
電源載置部は、配線収納部上を摺動可能である請求項3に記載の電子端末収納用キャビネット。
【請求項5】
摺動可能な配線収納部に取り付けられた電源載置部に、電源載置部の収納時に配線収納部の真上に位置させることが可能な開口部が備えられており、
前記開口部が、電源載置部の移動方向の先端側に配置された請求項1乃至4の何れかに記載の電子端末収納用キャビネット。
【請求項6】
電源載置部の後方端部に充電ケーブルを挿通可能な複数の溝部が備えられた請求項1乃至5の何れかに記載の電子端末収納用キャビネット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子端末収納用キャビネットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、タブレット端末等の電子端末が普及し、学校などの教育現場、病院などの医療機関といった様々な場所で使用されている。これらの電子端末を整理して保管するために、キャビネットが使用されることがある。特許文献1に記載の技術では、電子機器収納部の後方に配線収納部を配置することで、ケーブル類の混在や挟み込みを防ぐようにしている。なお、配線収納部周りの設置作業などは、通常、背面側に設けた背面板などを開くことで行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【0004】
ところで、このようなキャビネットをキャスターなどの可動装置を使用せずに、直接床面に置いて使用する場合、キャビネットの背面側を壁面に合わせて設置することが多い。そのため、設置後にキャビネット内部の後方に配置した配線を交換するために、充電ケーブルと電源タップなどの電源供給部材との取り付け又は取り外し作業をしたい場合には、キャビネットを移動させて背面板を外す必要があり、手間がかかる。場合によっては、転倒防止などのためにキャビネットをアンカー固定するが、その場合、実質的に背面側からの作業が困難となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本件の発明者は、この点について鋭意検討することにより、解決を試みた。本発明が解決しようとする課題は、電子端末収納用キャビネットの正面若しくは側面に設けられた開口側から、充電ケーブルと電源供給部材との取り付け又は取り外し作業をしやすいようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、複数の電子端末を収納可能な電子端末収納部と、電子端末の充電に用いられる充電ケーブルを収納可能な配線収納部と、電子端末へ電気を供給する電源供給部材を載置可能な電源載置部と、がキャビネット本体に備えられた電子端末収納用キャビネットであって、電子端末収納部の上方に配置された配線収納部は、キャビネット本体の正面若しくは側面に設けられた開口面に向かうように摺動可能であり、配線収納部の上方に配置された電源載置部は、キャビネット本体の正面若しくは側面に設けられた開口面に向かうように移動可能である電子端末収納用キャビネットとする。
【0007】
また、摺動可能な配線収納部に電源載置部が取り付けられた構成とすることが好ましい。
【0008】
また、摺動可能な配線収納部に対して相対的に移動できるように、配線収納部に電源載置部が取り付けられた構成とすることが好ましい。
【0009】
また、電源載置部は、配線収納部上を摺動可能であるものとすることが好ましい。
【0010】
また、摺動可能な配線収納部に取り付けられた電源載置部に、電源載置部の収納時に配線収納部の真上に位置させることが可能な開口部が備えられており、前記開口部が、電源載置部の移動方向の先端側に配置された構成とすることが好ましい。
【0011】
また、電源載置部の後方端部に充電ケーブルを挿通可能な複数の溝部が備えられた構成とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、電子端末収納用キャビネットの正面若しくは側面に設けられた開口側から、充電ケーブルと電源供給部材との取り付け又は取り外し作業をしやすいようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態における電子端末収納用キャビネットの斜視図である。ただし、正面に位置する扉を開けた状態である。
【
図2】
図1に示す電子端末収納用キャビネットに備えられた配線収納部の一つを引き出した状態を示す斜視図である。
【
図3】
図1に示す電子端末収納用キャビネットに備えられた配線収納部の一つと、その配線収納部に載置された電源載置部を引き出した状態を示す斜視図である。
【
図4】実施形態における電子端末収納用キャビネットの上部を拡大した斜視図である。ただし、正面に取り付ける扉を外した状態である。
【
図5】
図1に示す電子端末収納用キャビネットの天井面と側面の一つ及び正面側の扉を外した状態を表す斜視図である。
【
図7】配線収納部の斜視図である。ただし、背面側から見ている。
【
図11】
図9に示す状態から配線収納部を引き出した状態としたことを表す図である。
【
図14】
図13とは異なる方向から見た電源載置部の斜視図である。
【
図15】配線収納部に電源載置部を取り付けた状態の斜視図である。
【
図16】配線収納部に取り付けた電源載置部を引き出した状態を表す斜視図である。
【
図17】
図15に示した配線収納部と電源載置部の組立体について、配線収納部と、電源載置部を引き出した状態を示す斜視図である。ただし、背面側から見ている。
【
図18】
図1に示す電子端末収納用キャビネットに備えられた配線収納部の一つと、その配線収納部に載置された電源載置部を引き出した状態を示す断面図である。
【
図19】電源載置部が配線収納部と90度異なる方向に移動する例を示す図である。ただし、配線収納部と電源載置部の組立体の平面図である。
【
図20】電源載置部が回動可能な例を示す図である。ただし、配線収納部と電源載置部の組立体の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に発明を実施するための形態を示す。
図1乃至
図3に示されていることから理解されるように、本実施形態の電子端末収納用キャビネット1は、複数の電子端末91を収納可能な電子端末収納部11と、電子端末91の充電に用いられる充電ケーブル92を収納可能な配線収納部12と、電子端末91へ電気を供給する電源供給部材81を載置可能な電源載置部13と、がキャビネット本体10に備えられたものである。また、この電子端末収納用キャビネット1は、電子端末収納部11の上方に配置された配線収納部12が、キャビネット本体10の正面若しくは側面に設けられた開口面18に向かうように摺動可能である。更には、配線収納部12の上方に配置された電源載置部13が、キャビネット本体10の正面若しくは側面に設けられた開口面18に向かうように移動可能である。このため、電子端末収納用キャビネット1の正面若しくは側面に設けられた開口側から、充電ケーブル92と電源供給部材81との取り付け又は取り外し作業をしやすくできる。
【0015】
ここで、
図1に示す電子端末収納用キャビネット1を例に説明する。なお、
図1乃至
図4に示されていることから理解されるように、実施形態における正面は、電子端末91をキャビネット本体10から出し入れするために用いられる開口が設けられている側の面である。
図5に示されていることから理解されるように、電子端末収納用キャビネット1の背面側には、主に電子端末収納用キャビネット1の設置前に開閉される背面板14が備えられている。上下方向などの各方向は、電子端末91をキャビネット本体10から出し入れするために用いられる開口が設けられている側が前側であり、それを基準に後や左右が定められている。
【0016】
図1に示す電子端末収納用キャビネット1は、外郭を形成するキャビネット本体10の正面に設けられた開口面18側に両開きの扉15を備えている。このキャビネット本体10は、複数の電子端末91を収納可能な電子端末収納部11と、電子端末91の充電ケーブル92を収納可能な配線収納部12と、電子端末91へ電気を供給する電源供給部材81を載置可能な電源載置部13とが、上下2段に配置されている。
【0017】
図4乃至
図6に示されていることから理解されるように、実施形態の電子端末収納部11は、キャビネット本体10の左右側板に取り付けられるL型レール71に電子端末収納棚40を取り付けることで構成されている。実施形態の電子端末収納棚40には、複数の仕切板41が備えられているため、仕切板41間にタブレット端末等の電子端末91を収納することができる。なお、この形態では、電子端末収納棚40がL型レール71に対して固定されているが、電子端末収納棚40を摺動可能に取り付けるなど、異なる態様であっても良い。
【0018】
この電子端末収納部11の上方には電子端末91の充電ケーブル92を収納可能な配線収納部12が設けられているが、摺動可能な配線収納部12に電源載置部13が取り付けられた構成とするのが好ましい。配線収納部12を引き出すことで、電源載置部13を引き出すことができるからである。
【0019】
また、摺動可能な配線収納部12に対して相対的に移動できるように、配線収納部12に電源載置部13が取り付けられた構成とすれば、作業時に配線収納部12と電源載置部13の位置調整ができるため、好ましい。更には、電源載置部13は、配線収納部12上を摺動可能である構成とするのが好ましい。構造を複雑化すること無く電源載置部13を移動可能な構成とできるからである。
【0020】
図2、
図4、
図5、
図7及び
図8に示されていることから理解されるように、実施形態の配線収納部12は、キャビネット本体10の左右側板に取り付けられるL型レール72の配線収納トレー載置面73に配線収納トレー20を載置し、L型レール72上を配線収納トレー20が前後方向に摺動できる構造としたものである。
【0021】
図9に示されていることから理解されるように、実施形態の配線収納トレー20の側面には、前後方向に延びる摺動溝21を備えている。また、配線収納トレー20を支えるL型レール72には、ガイド部材61が取り付けられている。このガイド部材61に設けられた突起状のガイド部62が摺動溝21にはまることで、配線収納トレー20が前後方向に摺動する際のガイドとなる。また、前後方向に延びる摺動溝21にガイド部62がはめられることにより、配線収納トレー20の上下方向への動きが規制される。なお、ガイド部62は、摺動した際に摺動溝21の端部に当たり、ストッパーの役割も果たすことになる。
【0022】
図10に示されていることから理解されるように、実施形態におけるガイド部材61は、配線収納トレー載置面73から垂直方向に延びる面に対して内側に二段階に屈曲させて略U字状となる部分に取り付けている。ガイド部材61は、この略U字状となる部分の内側から差し込んだ雄ねじで取り付けているが、実施形態における取り付け方法では、配線収納トレー載置面73から垂直方向に延びる面に設けた作業具挿入孔74からドライバーを挿入し、ガイド部材取付孔75に挿入した雄ねじを用いてガイド部材61をねじ固定するようにしている。
【0023】
ところで、
図11に示されていることから理解されるように、L型レール72の配線収納トレー載置面73の後方端部に立設した部分には篏合孔76を備えている。
図9、
図12に示されていることから理解されるように、この篏合孔76は、配線収納トレー20の後方端部に設けた篏合突起22を差し込むことができるものである。配線収納トレー20をキャビネット本体10に収納するように後方に配置した際には、篏合突起22が篏合孔76に差し込まれるため、配線収納トレー20の上下方向、左右方向へのガタツキを抑制することができる。
【0024】
ところで、
図8、
図10に示されていることから理解されるように、L型レール72の配線収納トレー載置面73の前方端部に立設した部分には、配線収納トレー20を固定するために用いられる固定部77を備えている。配線収納トレー20をキャビネット本体10に収納するように後方に配置した際には、配線収納トレー20の前面辺24を固定部77と当接させることができ、固定部77と配線収納トレー20の前面辺24をねじ止めすることができる。このため、通常使用時には、配線収納トレー20が動かないようにすることができる。なお、配線収納トレー20をキャビネット本体10に対して動かないようにするのは、ねじ固定で行う必要はない。例えば、スナップラッチなどツールレスで簡単に操作できるものとしてもよい。
【0025】
この電子端末収納用キャビネット1は、配線収納部12だけではなく、配線収納部12の上方に位置する電源載置部13も移動可能としている。
図13、
図14に示されていることから理解されるように、実施形態の電源載置部13は、板状の電源トレーであり、この電源載置部13の左右には、前後方向に延びる摺動溝33を備えている。なお、
図15、
図16に示されていることから理解されるように、実施形態の配線収納部12は、電源載置部13である電源トレーが上方に位置するように取り付けられている。具体的には、配線収納部12の左右側面を折り曲げて形成した電源トレー載置面23に電源トレーが載置するように取り付けられている。
【0026】
実施形態では、電源トレーガイドねじ65が電源載置部13に設けられた摺動溝33に差し込まれるように配線収納部12に取り付けられており、配線収納部12である配線収納トレー20の上を電源載置部13である電源トレーが前後方向に摺動する際に、左右方向の移動を規制することができる。なお、このような構造とすることで、電源トレーの上下方向への動きも規制することができる。また、実施形態の電源トレーガイドねじ65は、摺動した際に摺動溝33の端部に当たり、ストッパーの役割を果たすことができる。
【0027】
図17、
図18に示されていることから理解されるように、実施形態では、前後方向に摺動可能な配線収納部12の上に位置する電源載置部13は、配線収納部12よりも前方に突出することができるように構成されている。このため、配線収納部12上の作業も電源載置部13上の作業もしやすくなる。特に電源載置部13は完全にキャビネット本体10の外に取り出すことができるため、電源載置部13上での作業がしやすくなる。
【0028】
なお、実施形態においては、電源載置部13をキャビネット本体10に収納するように後方に配置した際には、電源載置部13の前面辺34と配線収納トレー20の前面辺24が当接する状態とすることができ、電源載置部13と配線収納トレー20をねじ止めすることができる。
【0029】
実施形態の電源載置部13には、指を入れて作業可能な開口部31である作業窓を備えている。この作業窓は、摺動可能な配線収納部12に取り付けられた電源載置部13に備えられたものであり、電源載置部13の収納時に配線収納部の真上に位置させることが可能な開口部31である。この開口部31は電源載置部13の移動方向の先端側、つまり実施形態では前側に備えられている。このようにすれば、配線収納部12における作業ができる範囲を確保することができる。
【0030】
例えば、
図18に示すように、電源載置部13を引き出しても、配線収納部12の一部に電源載置部13が覆いかぶさった状態が回避できない構造の場合、この状態で電源載置部13に覆われた領域は、電源載置部13を引き出した状態では作業がしにくい領域となりうるが、実施形態では、電源載置部13の移動方向の先端側に開口部31が配置されているため、電源載置部13が収納された際には、この開口部31を介して配線収納部12内の作業をすることができる。
【0031】
ここで、電子端末収納用キャビネット1の使用例について説明する。電子端末収納用キャビネット1の電源載置部13に電源供給部材81となる電源タップなどを設置する。電源タップのケーブルはキャビネット本体10の背面側に寄せ、キャビネット本体10の側面に設けたコンセントケーブル穴19からキャビネット本体10の外側に配索し、設置場所付近のコンセントへつなぐ。
【0032】
なお、実施形態では、配線収納トレー20を載置するL型レール72の後方端部に結束具挿入孔78が設けられている。この結束具挿入孔78に結束バンドなどの結束具を通せば、コンセントケーブルをまとめることができる。ここまでの作業は、コンセントケーブルをまとめたりするため、キャビネットの背面側からのほうが行いやすい。
【0033】
タブレット端末等の電子端末91の充電ケーブル92を収納する際には、配線収納トレー20と電源載置部13を引き出した状態とすればよい。なお、配線収納部12の配線収納トレー20には、底面などに複数の長孔25を備えている。この長孔25に結束具を通してアダプタなどの充電ケーブル92を固定しておくと、よりケーブル類を整理して収納することができる。
【0034】
配線収納トレー20に充電ケーブル92を収納したら、充電ケーブル92のコンセント側を配線収納部12の背面方向から上部の電源載置部13に設置した電源タップにつなげばよい。実施形態では、電源載置部13の後方端部に複数の溝部32を備えている。この溝部32に充電ケーブル92を1本ずつ通して配索することで、充電ケーブル92が絡まることを抑制し整然とならべて配線することができる。
【0035】
ところで、充電ケーブル92の電子端末91との接続側の部分は、配線収納部12の前面に設けられた孔部26に1本ずつ通すことができる。この孔部26は下段に位置する電子端末91ごとに対応するように設けられているため、充電ケーブル92を配線収納部12の前面に設けられた孔部26に通すように配策することで、下段に位置する電子端末91ごとに整理して充電ケーブル92を配策することができるため、充電ケーブル92が絡まることを抑制できる。
【0036】
なお、上記したように、孔部26は下段に位置する電子端末91ごとに対応するように設けられているため、電子端末収納部11に電子端末91を収納した状態にすれば、孔部26を通すように配策された充電ケーブル92が、電子端末91に接続しやすい個所に位置することになる。この充電ケーブル92を電子端末91に差し込めば充電をすることができる。
【0037】
なお、実施形態では、電源供給部材81として電源タップを使用して説明しているが、他にポータブル電源のような蓄電池を設置してもよい。蓄電池であれば、外部電源(コンセント)につなぐ必要がなくキャビネット本体10の前面などに設けた開口面18側から取り出し充電を行えばよい。
【0038】
ここまでは、一つの実施形態を中心に電子端末収納用キャビネット1について説明してきたが、電子端末収納用キャビネット1は、このような態様に限る必要は無い。例えば、
図3に示す実施形態では、前後方向に摺動する配線収納トレー20から、さらに電源載置部13が前後方向に摺動する構造であるが、配線収納トレー20と電源トレーを互いに独立させてもよい。
【0039】
また、
図19に示すことから理解されるように、電源載置部13は配線収納トレー20上で左右方向に摺動するものでもよい。このような構成とすれば、前後方向に電源載置部13を引き出すスペースが確保できない場合でも、左右方向に電源載置部13を摺動させることで、積層された配線収納トレー20のケーブルの抜き差しの作業を行うことができるようになる。
【0040】
また、
図20に示すことから理解されるように、電源載置部13は回動するものでもよい。
図20に示す例では、回動軸を中心に90度まで移動可能な構成であるが、更に大きく回動できるようにしても良い、例えば、180度まで回動できると、より作業がしやすくなる。
【0041】
ところで、
図1に示す実施形態の配線収納トレー20と電源載置部13は、双方とも正面側に設けた開口面18の方向に摺動可能な構造としたが、開口面は正面側である必要は無い。キャビネット本体10の側面側に開口面を設け、配線収納トレー20と電源トレーを、当該開口方向に摺動する構造としてもよい。この場合、キャビネット本体10の側面側に設けた開口面を開閉できるように側面扉を設けておくのが好ましい。
【0042】
充電ケーブル92の交換などのメンテナンス作業は側面側から、電子端末91の収納は前面側から、と分けることができる構成としておくことで、学校等の教育現場において、子供が誤って配線収納トレー20や電源載置部13を引き出すことがなくなるため、安全性を高めることができる。また、充電ケーブル92の交換などのメンテナンス作業は側面側から、電子端末91の収納は前面側から、と分けることができる構成にすると配線収納トレー20や電源トレーの摺動を固定するねじやスナップラッチを設ける必要がなくなる。
【0043】
以上、実施形態を例に挙げて本発明について説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、各種の態様とすることが可能である。例えば、配線収納トレーと電源トレーの摺動構造は、スライドレール等の部材を用いて構成してもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 電子端末収納用キャビネット
10 キャビネット本体
11 電子端末収納部
12 配線収納部
13 電源載置部
18 開口面
31 開口部
32 溝部
81 電源供給部材
91 電子端末
92 充電ケーブル