(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-01
(45)【発行日】2024-08-09
(54)【発明の名称】振れ補正機能付き光学ユニット
(51)【国際特許分類】
G03B 5/00 20210101AFI20240802BHJP
G03B 30/00 20210101ALI20240802BHJP
H04N 23/55 20230101ALI20240802BHJP
H04N 23/68 20230101ALI20240802BHJP
【FI】
G03B5/00 J
G03B30/00
H04N23/55
H04N23/68
(21)【出願番号】P 2020208881
(22)【出願日】2020-12-17
【審査請求日】2023-11-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】須江 猛
(72)【発明者】
【氏名】笠原 章吾
【審査官】東松 修太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0057659(US,A1)
【文献】国際公開第2006/075545(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第107357114(CN,A)
【文献】特開2020-154296(JP,A)
【文献】特開2020-177067(JP,A)
【文献】特開2014-235188(JP,A)
【文献】特開2020-181039(JP,A)
【文献】中国実用新案第210142222(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 5/00
H04N 23/68
H04N 23/55
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から入射する光を反射する反射面が形成される反射部材と、前記反射部材を回動可能に保持する可動体と、前記可動体を回動可能に保持する固定体と、前記可動体に対して前記反射部材を回動させるとともに前記固定体に対して前記可動体を回動させる駆動機構と、前記固定体に対する前記可動体の回動中心を構成する回動軸部とを備え、
前記可動体は、所定の第1方向を回動の軸方向として前記固定体に対して回動可能となっており、
前記回動軸部は、第1方向における前記可動体の一方側に配置される球状の第1ボールと、第1方向における前記可動体の他方側に配置されるとともに前記固定体に接触する球状の第2ボールと、前記第1ボールを前記第2ボールに向かって付勢する付勢部材とを備えることを特徴とする振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項2】
前記第1ボールは、前記付勢部材に固定され、
前記第2ボールは、前記固定体に固定され、
前記回動軸部は、前記第1ボールが接触する凹曲面状の受け面が形成されるとともに前記可動体に取り付けられる第1受け部と、前記第2ボールが接触する凹曲面状の受け面が形成されるとともに前記可動体に取り付けられる第2受け部とを備えることを特徴とする請求項1記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項3】
前記可動体は、樹脂材料で形成され、
前記第1ボールおよび前記第2ボールは、金属材料で形成され、
前記第1受け部および前記第2受け部は、金属材料で形成されていることを特徴とする請求項2記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項4】
前記回動軸部は、前記第1受け部と前記第2受け部とを繋ぐ平板状の連結部と前記第1受け部と前記第2受け部とから構成される受け部材を備え、
前記可動体には、前記連結部が接触する平面状の第1接触面と、前記第1受け部が接触する第2接触面と、前記第2受け部が接触する第3接触面とが形成されていることを特徴とする請求項2または3記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項5】
前記第1ボールおよび前記第2ボールは、前記可動体に固定され、
前記付勢部材には、前記第1ボールが接触する凹曲面状の受け面が形成され、
前記固定体は、前記第2ボールが接触する凹曲面状の受け面が形成される受け部材を備えることを特徴とする請求項1記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学像の振れを補正するための振れ補正機能を有する振れ補正機能付き光学ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光学要素を揺動させて光学像の振れ補正を行う振れ補正機能を有する撮像装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の撮像装置の撮像光学系は、前方レンズ群と後方レンズ群とを備えている。前方レンズ群は、光の反射面が形成されるプリズムと、プリズムの入射面側に配置される第1レンズと、プリズムの射出面側に配置される第2レンズとから構成されている。特許文献1に記載の撮像装置では、第1レンズを揺動させることで、光学像の振れを補正している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者は、外部から入射する光を撮像素子等に向かって反射する反射面が形成されるプリズム等の反射部材を備える振れ補正機能付き光学ユニットにおいて、光学像の振れを補正するために反射部材を回動させることを検討している。この振れ補正機能付き光学ユニットは、反射部材を回動可能に保持する可動体と、可動体を回動可能に保持する固定体と、可動体に対して反射部材を回動させるとともに固定体に対して可動体を回動させる駆動機構とを備えており、可動体に対する反射部材の回動の軸方向と固定体に対する可動体の回動の軸方向とは、たとえば、直交している。
【0005】
また、本願発明者は、この振れ補正機能付き光学ユニットにおいて、固定体側に支持される円柱状の支持軸を回動中心にして、固定体に対して可動体を回動させることを検討している。この場合には、支持軸が挿通される軸挿通穴が可動体に形成される。しかしながら、この場合には、支持軸の外周面と軸挿通穴の内周面との間に隙間が形成されていると(すなわち、支持軸の径方向において支持軸と軸挿通穴との間に隙間が形成されていると)、支持軸に対して可動体が傾いて、その結果、固定体に対して可動体が傾くおそれがある。
【0006】
そこで、本発明の課題は、外部から入射する光を反射する反射面が形成される反射部材と、反射部材を回動可能に保持する可動体と、可動体を回動可能に保持する固定体とを備える振れ補正機能付き光学ユニットにおいて、固定体に対する可動体の傾きを防止することが可能な振れ補正機能付き光学ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の振れ補正機能付き光学ユニットは、外部から入射する光を反射する反射面が形成される反射部材と、反射部材を回動可能に保持する可動体と、可動体を回動可能に保持する固定体と、可動体に対して反射部材を回動させるとともに固定体に対して可動体を回動させる駆動機構と、固定体に対する可動体の回動中心を構成する回動軸部とを備え、可動体は、所定の第1方向を回動の軸方向として固定体に対して回動可能となっており、回動軸部は、第1方向における可動体の一方側に配置される球状の第1ボールと、第1方向における可動体の他方側に配置されるとともに固定体に接触する球状の第2ボールと、第1ボールを第2ボールに向かって付勢する付勢部材とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の振れ補正機能付き光学ユニットでは、固定体に対する可動体の回動中心を構成する回動軸部は、第1方向における可動体の一方側に配置される球状の第1ボールと、第1方向における可動体の他方側に配置されるとともに固定体に接触する球状の第2ボールと、第1ボールを第2ボールに向かって付勢する付勢部材とを備えている。そのため、本発明では、支持軸の径方向において支持軸と軸挿通穴との間に隙間が形成されるといった上述の問題は生じない。したがって、本発明では、固定体に対する可動体の傾きを防止することが可能になる。
【0009】
本発明において、たとえば、第1ボールは、付勢部材に固定され、第2ボールは、固定体に固定され、回動軸部は、第1ボールが接触する凹曲面状の受け面が形成されるとともに可動体に取り付けられる第1受け部と、第2ボールが接触する凹曲面状の受け面が形成されるとともに可動体に取り付けられる第2受け部とを備えている。この場合には、第1ボールが付勢部材に固定されるとともに、第2ボールが固定体に固定されているため、たとえば、振れ補正機能付き光学ユニットが落下して振れ補正機能付き光学ユニットに衝撃が加わったときの、第1ボールおよび第2ボールの所定位置からのずれを防止することが可能になる。
【0010】
本発明において、たとえば、可動体は、樹脂材料で形成され、第1ボールおよび第2ボールは、金属材料で形成され、第1受け部および第2受け部は、金属材料で形成されている。この場合には、金属製の第1受け部の受け面に第1ボールが接触しているため、第1受け部の受け面に対して金属製の第1ボールが摺動しても、第1受け部の受け面の摩耗を抑制することが可能になる。また、この場合には、金属製の第2受け部の受け面に第2ボールが接触しているため、第2受け部の受け面に対して金属製の第2ボールが摺動しても、第2受け部の受け面の摩耗を抑制することが可能になる。なお、金属製の第1ボールおよび第2ボールが樹脂製の可動体に直接、接触している場合には、可動体に対して第1ボールおよび第2ボールが摺動すると、可動体が摩耗して、第1ボールと可動体との間の摺動抵抗、および、第2ボールと可動体との間の摺動抵抗が高くなるおそれがある。
【0011】
本発明において、回動軸部は、第1受け部と第2受け部とを繋ぐ平板状の連結部と第1受け部と第2受け部とから構成される受け部材を備え、可動体には、連結部が接触する平面状の第1接触面と、第1受け部が接触する第2接触面と、第2受け部が接触する第3接触面とが形成されていることが好ましい。このように構成すると、可動体の、第1接触面と第2接触面と第3接触面との間の寸法精度を確保することで、可動体に取り付けられた状態の第1受け部と第2受け部との間の寸法精度を確保することが可能になる。したがって、比較的容易に、第1受け部と第2受け部との間の寸法精度を確保することが可能になる。
【0012】
本発明において、第1ボールおよび第2ボールは、可動体に固定され、付勢部材には、第1ボールが接触する凹曲面状の受け面が形成され、固定体は、第2ボールが接触する凹曲面状の受け面が形成される受け部材を備えていても良い。この場合でも、第1ボールおよび第2ボールが可動体に固定されているため、たとえば、振れ補正機能付き光学ユニットが落下して振れ補正機能付き光学ユニットに衝撃が加わったときの、第1ボールおよび第2ボールの所定位置からのずれを防止することが可能になる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明では、外部から入射する光を反射する反射面が形成される反射部材と、反射部材を回動可能に保持する可動体と、可動体を回動可能に保持する固定体とを備える振れ補正機能付き光学ユニットにおいて、固定体に対する可動体の傾きを防止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施の形態にかかる振れ補正機能付き光学ユニットの斜視図である。
【
図2】
図1に示す振れ補正機能付き光学ユニットの分解斜視図である。
【
図3】
図1に示す振れ補正機能付き光学ユニットからカバーを取り外した状態の平面図である。
【
図6】
図1に示す振れ補正機能付き光学ユニットが内蔵されるスマートフォンの斜視図である。
【
図7】
図6に示すスマートフォンに内蔵されるカメラの構成を説明するための概略図である。
【
図8】本発明の他の実施の形態にかかる回動軸部の構成を説明するための拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0016】
(振れ補正機能付き光学ユニットの全体構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる振れ補正機能付き光学ユニット1の斜視図である。
図2は、
図1に示す振れ補正機能付き光学ユニット1の分解斜視図である。
図3は、
図1に示す振れ補正機能付き光学ユニット1からカバー29を取り外した状態の平面図である。
図4は、
図3のE-E断面の断面図である。
図5は、
図3のF-F断面の断面図である。
図6は、
図1に示す振れ補正機能付き光学ユニット1が内蔵されるスマートフォン2の斜視図である。
図7は、
図6に示すスマートフォン2に内蔵されるカメラ3の構成を説明するための概略図である。
【0017】
本形態の振れ補正機能付き光学ユニット1(以下、「光学ユニット1」とする。)は、光学像の振れを補正するための振れ補正機能を備えている。光学ユニット1は、たとえば、スマートフォン2(
図6参照)に内蔵されている。また、光学ユニット1は、スマートフォン2に内蔵されるカメラ3(
図7参照)の一部を構成している。なお、光学ユニット1は、スマートフォン2以外の携帯機器等に内蔵されていても良い。
【0018】
図7に示すように、カメラ3は、スマートフォン2の外部からの光が入射するレンズ4と、撮像素子5が実装される基板6とを備えている。レンズ4の光軸L1と撮像素子5の撮像面の中心を通過する法線L2とは直交している。すなわち、レンズ4の光軸Lと撮像素子5の撮像面とは平行になっている。光学ユニット1は、レンズ4から撮像素子5に向かう光路において、レンズ4と撮像素子5との間に配置されている。光学ユニット1と撮像素子5との間には、レンズ7が配置されている。レンズ7の光軸は、法線L2と一致している。
【0019】
光学ユニット1は、外部から入射する光を反射する反射面10aが形成される反射部材としてのプリズム10を備えている。反射面10aは、レンズ4を介して反射面10aに入射する光を撮像素子5に向かって反射する。また、反射面10aは、反射面10aに入射する光の光軸を略90°折り曲げる。なお、
図2では、プリズム10の図示を省略している。
【0020】
以下の説明では、レンズ4の光軸L1の方向(
図1等のZ方向)を上下方向とし、撮像素子5の撮像面の法線L2の方向(
図1等のX方向)を前後方向とし、上下方向と前後方向とに直交する
図1等のY方向を左右方向とする。また、上下方向のうちの、光学ユニット1に対してレンズ4が配置される側(
図1等のZ1方向側)を「上」側とし、その反対側である
図1等のZ2方向側を「下」側とする。また、前後方向のうちの、光学ユニット1に対して撮像素子5が配置される側(
図1等のX1方向側)を「前」側とし、その反対側である
図1等のX2方向側を「後ろ」側とする。
【0021】
光学ユニット1は、プリズム10に加えて、プリズム10が固定されるホルダ11と、プリズム10およびホルダ11を回動可能に保持する可動体12と、可動体12を回動可能に保持する固定体13と、可動体12に対してプリズム10およびホルダ11を回動させるとともに固定体13に対して可動体12を回動させる駆動機構14とを備えている。また、光学ユニット1は、可動体12に対するプリズム10およびホルダ11の回動中心を構成する回動軸部15と、固定体13に対する可動体12の回動中心を構成する回動軸部16とを備えている。
【0022】
可動体12は、固定体13に対して上下方向を回動の軸方向として回動可能になっている。本形態の上下方向(Z方向)は第1方向である。また、プリズム10およびホルダ11は、可動体12に対して上下方向に直交する方向を回動の軸方向として回動可能となっている。可動体12に対するプリズム10およびホルダ11の回動の軸方向は、固定体13に対する可動体12の回動位置によって変動するが、左右方向から若干傾いた方向または左右方向と一致している。光学ユニット1は、固定体13に対する可動体12の回動動作、および、可動体12に対するプリズム10およびホルダ11の回動動作の少なくともいずれか一方を行うことで、光学像の振れを補正する。
【0023】
ホルダ11は、本体部17と、本体部17に固定される2枚のボール固定板18とから構成されている。本体部17は、樹脂材料で形成され、ボール固定板18は、鋼板等の金属材料で形成されている。ボール固定板18は、平板状に形成されている。また、ボール固定板18は、円板状に形成されている。ボール固定板18は、ボール固定板18の厚さ方向と左右方向とが略一致するように配置されている。ボール固定板18は、左右方向における本体部17の外側の面に形成される凹部の中に配置された状態で本体部17に固定されている。また、ボール固定板18は、本体部17に接着されて固定されている。ボール固定板18には、回動軸部15の一部を構成する後述のボール32が固定されている。ボール固定板18の中心には、ボール32の固定状態を安定させるための貫通穴が形成されている。
【0024】
可動体12は、樹脂材料で形成されている。可動体12は、可動体12の左右方向の側面を構成する2個の側面部12aと、可動体12の底面を構成する底面部12bとから構成されている。2個の側面部12aの下端は、底面部12bの左右方向の両端部に繋がっている。左右方向における底面部12bの中心部には、回動軸部16の一部を構成する後述の受け部材39が取り付けられる取付部12cが形成されている。ホルダ11は、左右方向において2個の側面部12aの間に配置されている。また、ホルダ11は、底面部12bの上側に配置されている。
【0025】
固定体13は、本体部19と、本体部19に固定されるボール固定板20とから構成されている。本体部19は、樹脂材料で形成され、ボール固定板20は、鋼板等の金属材料で形成されている。本体部19は、固定体13の左右方向の側面を構成する2個の側面部19aと、固定体13の後面を構成する背面部19bと、固定体13の底面を構成する底面部19cとを備えている。底面部19cには、上下方向で底面部19cを貫通する長方形状の開口部19dが形成されている。
【0026】
可動体12は、左右方向において2個の側面部19aの間に配置されている。また、可動体12は、背面部19bの前側に配置されるとともに、底面部19cよりも上側に配置されている。本体部19は、可動体12の取付部12cを上側から覆う覆部19eを備えている。覆部19eは、本体部19の左右方向の中心部において開口部19dを上側から覆っている。可動体12が開口部19dを通過するように底面部19cの下側から可動体12を移動させることで、2個の側面部19aと背面部19bとによって画定される領域の中に可動体12が配置される。
【0027】
ボール固定板20は、平板状に形成されている。また、ボール固定板20は、円板状に形成されている。ボール固定板20は、ボール固定板20の厚さ方向と上下方向とが一致するように配置されている。ボール固定板20は、覆部19eの下面に形成される凹部の中に配置された状態で覆部19eに固定されている。また、ボール固定板20は、覆部19eに接着されて固定されている。ボール固定板20には、回動軸部16の一部を構成する後述のボール37が固定されている。ボール固定板20の中心には、ボール37の固定状態を安定させるための貫通穴が形成されている。
【0028】
駆動機構14は、可動体12に対してプリズム10およびホルダ11を回動させるための駆動用コイル22および駆動用磁石23と、固定体13に対して可動体12を回動させるための2個の駆動用コイル24および2個の駆動用磁石25とを備えている。駆動用磁石23は、ホルダ11の後面に固定されている。駆動用磁石25は、左右方向における側面部12aの外側の面に固定されている。駆動用磁石23とホルダ11との間には、磁性材料で形成される磁性板26が配置され、駆動用磁石25と側面部12aとの間には、磁性材料で形成される磁性板27が配置されている。
【0029】
駆動用コイル22は、駆動用磁石23の後ろ側に配置されており、前後方向で駆動用磁石23と対向している。駆動用コイル24は、左右方向における駆動用磁石25の外側に配置されており、左右方向で駆動用磁石25と対向している。駆動用コイル22、24は、フレキシブルプリント基板(FPC)28に実装されている。FPC28は、本体部19に固定されている。すなわち、駆動用コイル22、24は、FPC28を介して本体部19に固定されている。本体部19の側面部19aには、駆動用コイル24が配置される貫通穴が形成され、背面部19bの後面には、駆動用コイル22が配置される凹部が形成されている。FPC28は、左右方向の外側、後ろ側および上側からカバー29に覆われている。カバー29は、本体部19に固定されている。
【0030】
回動軸部15は、左右方向におけるホルダ11の外側に配置される球状の2個のボール32と、ボール32を左右方向の内側に向かって付勢する2枚の板バネ33とを備えている。ボール32および板バネ33は、鋼材等の金属材料で形成されている。ボール32は、ボール固定板18に溶接されて固定されている。すなわち、ボール32は、ホルダ11に固定されている。ボール32の一部は、ボール固定板18の貫通穴の中に配置されている。
【0031】
板バネ33の下端部は、左右方向における側面部12aの内側の面に取り付けられている。板バネ33には、ボール32が接触する凹曲面状の受け面33aが形成されている(
図4参照)。2個のボール32は、上下方向において同じ位置に配置されている。また、2個のボール32は、可動体12に対するプリズム10およびホルダ11の回動の軸方向と上下方向とに直交する方向において同じ位置に配置されている。プリズム10およびホルダ11は、2個のボール32の中心を通過する軸線を回動中心にして可動体12に対して回動する。
【0032】
回動軸部16は、可動体12の下側に配置される第1ボールとしての球状のボール36と、可動体12の上側に配置される第2ボールとしての球状のボール37と、ボール36をボール37に向かって付勢する(すなわち、上側に向かってボール36を付勢する)付勢部材としての板バネ38とを備えている。以下、回動軸部16および回動軸部16の周辺部分の具体的な構成を説明する。
【0033】
(回動軸部および回動軸部の周辺部分の構成)
上述のように、回動軸部16は、ボール36、37と板バネ38とを備えている。板バネ38は、鋼板等の金属材料で形成されている。板バネ38は、本体部19の下面側に取り付けられる被取付部38aと、ボール36を付勢するバネ部38bとから構成されている。被取付部38aは、本体部19の底面部19cの下面に接触する平板状の平板部38cと、本体部19の係合片に係合する係合部38dとから構成されている。バネ部38bは、板バネ38の中心部に配置されている。また、バネ部38bは、覆部19eの下側に配置されている。バネ部38bの後端は、平板部38cに繋がっており、バネ部38bは、上下方向に弾性変形可能となっている。
【0034】
ボール36、37は、鋼材等の金属材料で形成されている。ボール36とボール37とは同形状に形成されている。上述のように、ボール36は、可動体12の下側に配置され、ボール37は、可動体12の上側に配置されている。具体的には、ボール36は、取付部12cの下側に配置され、ボール37は、取付部12cの上側に配置されている。
【0035】
ボール36は、バネ部38bに固定されている。すなわち、ボール36は、板バネ38に固定されている。具体的には、ボール36は、バネ部38bの上面側に溶接されて固定されている。バネ部38bには、ボール36の固定状態を安定させるための貫通穴が形成されており、貫通穴の中には、ボール36の下端部が配置されている。ボール37は、ボール固定板20に固定されている。具体的には、ボール37は、ボール固定板20の下面側に溶接されて固定されている。すなわち、ボール37は、固定体13に固定されており、固定体13に接触している。ボール37の上端部は、ボール固定板20の中心に形成される貫通穴の中に配置されている。
【0036】
また、回動軸部16は、可動体12に取り付けられる受け部材39を備えている。受け部材39は、ボール36が接触する凹曲面状の受け面39aが形成される第1受け部としての受け部39bと、ボール37が接触する凹曲面状の受け面39cが形成される第2受け部としての受け部39dと、受け部39bと受け部39dとを繋ぐ平板状の連結部39eとから構成されている。すなわち、回動軸部16は、受け部39b、39dと連結部39eとを備えている。
【0037】
受け部材39は、鋼板等の金属材料で形成されている。すなわち、受け部39b、39dおよび連結部39eは、金属材料で形成されている。また、受け部材39は、金属板を所定形状に折り曲げることで形成されている。連結部39eは、長方形の平板状に形成されており、連結部39eの厚さ方向と前後方向とが一致するように配置されている。受け部39bは、連結部39eの下端から前側に向かって伸びている。受け部39dは、連結部39eの上端から前側に向かって伸びている。すなわち、受け部材39は、角溝状(コの字状)に形成されている。受け面39aは、受け部39bの下面から上側に向かって窪んでいる。受け面39cは、受け部39dの上面から下側に向かって窪んでいる。
【0038】
受け部材39は、可動体12の取付部12cに後ろ側から取り付けられている。また、受け部材39は、受け部材39が有するバネ性を利用して取付部12cに取り付けられている。取付部12cには、連結部39eが接触する第1接触面としての平面状の接触面12dが形成されている。接触面12dは、取付部12cの後面に形成されており、接触面12dには、連結部39eの前面が接触している。
【0039】
また、取付部12cには、受け部39bが接触する第2接触面としての平面状の接触面12eが形成されている。具体的には、取付部12cの下面に、受け部39bの、受け面39aが形成された部分を配置するための凹部が形成されており、この凹部の左右方向の両側部分が接触面12eとなっている。接触面12eには、受け部39bの上面が接触している。具体的には、受け部39bの上面の左右方向の両端部が接触面12eに接触している。
【0040】
また、取付部12cには、受け部39dが接触する第3接触面としての平面状の接触面12fが形成されている。具体的には、取付部12cの上面に、受け部39dの、受け面39cが形成された部分を配置するための凹部が形成されており、この凹部の左右方向の両側部分が接触面12fとなっている。接触面12fには、受け部39dの下面が接触している。具体的には、受け部39dの下面の左右方向の両端部が接触面12fに接触している。
【0041】
ボール36とボール37とは、前後左右方向において同じ位置に配置されている。また、受け面39aと受け面39cとは、前後左右方向において同じ位置に配置されている。可動体12は、ボール36の中心とボール37の中心とを通過する軸線を回動中心にして固定体13に対して回動する。
【0042】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、固定体13に対する可動体12の回動中心を構成する回動軸部16は、可動体12の下側に配置されるボール36と、可動体12の上側に配置されるとともに固定体13に固定されるボール37と、ボール36をボール37に向かって付勢する板バネ38とを備えている。そのため、本形態では、上下方向に直交する回動軸部16の径方向において、回動軸部16に隙間が形成されることはない。したがって、本形態では、固定体13に対する可動体12の傾きを防止することが可能になる。
【0043】
また、本形態では、可動体12の下側に配置されるボール36が、可動体12の上側に配置されるとともに固定体13に固定されるボール37に向かって板バネ38によって付勢されているため、たとえば、スマートフォン2の落下等に起因して、光学ユニット1に衝撃が加わっても、上下方向における回動軸部16の位置ずれを防止することが可能になる。
【0044】
本形態では、ボール36は、板バネ38に固定され、ボール37は、固定体13に固定されている。そのため、本形態では、たとえば、スマートフォン2の落下等に起因して、光学ユニット1に衝撃が加わっても、ボール36、37の位置ずれを防止することが可能になる。
【0045】
本形態では、金属製のボール36は、金属製の受け部39bの受け面39aに接触し、金属製のボール37は、金属製の受け部39dの受け面39cに接触している。そのため、本形態では、受け面39aに対してボール36が摺動しても、受け面39aの摩耗を抑制することが可能になるとともに、受け面39cに対してボール37が摺動しても、受け面39cの摩耗を抑制することが可能になる。
【0046】
本形態では、受け部材39は、受け部39b、39dと連結部39eとを備える角溝状に形成されている。また、本形態では、可動体12に、連結部39eが接触する接触面12dと、受け部39bが接触する接触面12eと、受け部39dが接触する接触面12fとが形成されている。そのため、本形態では、可動体12の、接触面12dと接触面12eと接触面12fとの間の寸法精度を確保することで、可動体12に取り付けられた状態の受け部39bと受け部39dとの間の寸法精度を確保することが可能になる。したがって、本形態では、比較的容易に、受け部39bと受け部39dとの間の寸法精度を確保することが可能になる。
【0047】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0048】
上述した形態では、受け部39bと受け部39dとが連結部39eを介して繋がっているが、受け部39bと受け部39dとが別体で形成されていても良い。この場合には、別体で形成される受け部39b、39dのそれぞれが可動体12の取付部12cに固定されている。また、上述した形態において、回動軸部16は、受け部材39を備えていなくても良い。この場合には、ボール36、37は、取付部12cに直接、接触している。
【0049】
上述した形態において、固定体13は、ボール固定板20を備えていなくても良い。この場合には、ボール37は、覆部19eに直接、接着されて固定されている。ただし、上述した形態のように、貫通穴が形成されるボール固定板20にボール37が溶接されて固定され、かつ、ボール固定板20が本体部19に接着されて固定されている方が、固定体13に対するボール37の固定強度が高くなる。また、上述した形態において、ボール36は、板バネ38に固定されていなくても良い。また、ボール37は、固定体13に固定されていなくても良い。
【0050】
上述した形態において、ボール36およびボール37の少なくともいずれか一方が可動体12に固定されていても良い。たとえば、ボール36、37の両方が可動体12に固定されていても良い。この場合には、回動軸部16は、受け部材39を備えていない。また、この場合には、たとえば、
図8に示すように、可動体12は、ボール36が溶接されて固定されるボール固定板43と、ボール37が溶接されて固定されるボール固定板44とを備えている。ボール固定板43は、取付部12cの下面に形成される凹部の中に配置された状態で取付部12cに接着されて固定され、ボール固定板44は、取付部12cの上面に形成される凹部の中に配置された状態で取付部12cに接着されて固定されている。
【0051】
また、この場合には、板バネ38のバネ部38bに、ボール36が接触する凹曲面状の受け面38fが形成されている。受け面38fは、バネ部38bの上面から下側に向かって窪んでいる。また、固定体13は、ボール固定板20に代えて、ボール37が接触する凹曲面状の受け面45aが形成される受け部材45を備えている。受け部材45は、鋼板等の金属材料で形成されており、覆部19eの下面に固定されている。覆部19eには、受け部材45の、受け面45aが形成された部分を配置するための貫通穴が、上下方向で覆部19eを貫通するように形成されている。
【0052】
図8に示す変形例においても、たとえば、スマートフォン2の落下等に起因して、光学ユニット1に衝撃が加わったときの、ボール36、37の位置ずれを防止することが可能になる。なお、
図8に示す変形例において、ボール36、37が可動体12に直接、接着されて固定されていても良い。また、この変形例において、固定体13は、受け部材45を備えていなくても良い。この場合には、ボール37は、覆部19eの下面に直接、接触する。
【0053】
上述した形態において、光学ユニット1は、プリズム10に代えて、外部から入射する光を反射する反射面が形成される反射ミラーを備えていても良い。また、上述した形態において、ボール36をボール37に向かって付勢する付勢部材は、圧縮コイルバネ等の、板バネ38以外のバネ部材であっても良い。さらに、上述した形態において、可動体12は、板バネ33に相当するバネ部を備えていても良い。この場合には、板バネ33が不要になる。また、上述した形態において、固定体13に対する可動体12の回動の軸方向と、可動体12に対するプリズム10およびホルダ11の回動の軸方向とが互いに直交していなくても良い。
【符号の説明】
【0054】
1 光学ユニット(振れ補正機能付き光学ユニット)
10 プリズム(反射部材)
10a 反射面
12 可動体
12d 接触面(第1接触面)
12e 接触面(第2接触面)
12f 接触面(第3接触面)
13 固定体
14 駆動機構
16 回動軸部
36 ボール(第1ボール)
37 ボール(第2ボール)
38 板バネ(付勢部材)
39 受け部材
39a 受け面
39b 受け部(第1受け部)
39c 受け面
39d 受け部(第2受け部)
39e 連結部
38f 受け面
45 受け部材
45a 受け面
Z 第1方向