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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-01
(45)【発行日】2024-08-09
(54)【発明の名称】連続鋳造用の浸漬入口ノズル
(51)【国際特許分類】
   B22D 11/10 20060101AFI20240802BHJP
   B22D 41/50 20060101ALI20240802BHJP
【FI】
B22D11/10 330E
B22D41/50 520
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020540714
(86)(22)【出願日】2019-01-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-06
(86)【国際出願番号】 US2019014910
(87)【国際公開番号】W WO2019147776
(87)【国際公開日】2019-08-01
【審査請求日】2020-08-07
【審判番号】
【審判請求日】2022-11-14
(31)【優先権主張番号】62/622,363
(32)【優先日】2018-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503404132
【氏名又は名称】クリーブランド-クリフス スティール プロパティーズ、インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】ヒガ、ケン、モラレス
【合議体】
【審判長】渋谷 善弘
【審判官】田々井 正吾
【審判官】堀内 亮吾
(56)【参考文献】
【文献】特許第4583508(JP,B2)
【文献】特開昭60-021171(JP,A)
【文献】特開昭63-016837(JP,A)
【文献】特開2003-181603(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0261131(US,A1)
【文献】特開2006-150434(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 11/00 - 11/22
B22D 41/00 - 41/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続鋳造用の浸漬入口ノズルであって、
前記ノズルの上面から前記ノズルの底部まで延びる内腔を画定する外面および内面を有し、
前記ノズルは前記内腔の底部から前記外面に延びる一対のポートを有し
前記一対のポートの各ポートは、ポートの上面と、底面と、前記ノズルの中央部分から前記外面に延びる三角形の開口部を形成するために前記ポートの上面と前記底面の間に延びる一対の側面を有し、
前記一対のポートの各ポートの前記底面が、前記内腔の長手方向軸に対して直角に配置されているものであり、
前記ポートの上面は前記中央部分から前記外面まで第一の角度で連続的に下向きに延びるものであり、
前記底面は前記ポートの上面と前記底面の間の距離が前記ポートの上面と底面が前記中央部から前記外面まで延びるにつれて小さくなるように前記ポートの上面の前記第一の角度より小さい第二の角度で前記中央部分から前記外面まで連続的に外向きに延びるものであり、
前記三角形の開口部は各ポートを通して流体が流れるときに前記流体の速度を上げるように各ポートが構成されるように、各ポートの上部から各ポートの底部に向かって狭くなるものである、ノズル。
【請求項2】
請求項1記載のノズルにおいて、前記外面は平坦な前面および後面と前記前面と前記後面との間に一対の弓状側面とを含み楕円形の断面形状を形成するものである、ノズル。
【請求項3】
請求項1記載のノズルにおいて、前記内腔が前記ノズルの前記上面から下向きに延びる円筒形の部分を有するものである、ノズル。
【請求項4】
請求項3記載のノズルにおいて、前記内腔が前記円筒形の部分と結合したテーパー部分を有し、前記テーパー部分が円筒形の形状から長方形の形状に移行するものである、ノズル。
【請求項5】
請求項1記載のノズルにおいて、前記内腔が長方形の部分を含み、前記一対のポートが長方形の部分に結合されるものである、ノズル。
【請求項6】
請求項1記載のノズルにおいて、前記一対のポートの各ポートが0度から15度の間の角度で前記内腔から外向きかつ下向きに延びるものである、ノズル。
【請求項7】
請求項1記載のノズルにおいて、前記一対のポートの各ポートが前記上面、底面、および側面の間に丸みを帯びた角を有するものである、ノズル。
【請求項8】
請求項1記載のノズルにおいて、前記ノズルは前記内腔と前記一対のポートの各ポートの前記上面との間にフィレットを備えるものである、ノズル。
【請求項9】
請求項1記載のノズルにおいて、前記一対のポートの各ポートが各ポートの前記底面の長さに沿って延びる溝を含むものである、ノズル。
【請求項10】
ノズル鋳型を有する連続鋳造システムであって、
前記ノズルは前記ノズルの上面から前記ノズルの底部まで延びる内腔を有し、
前記ノズルは前記内腔の底部から前記ノズルの前記底部の開口部へ延びる少なくとも1つのポートを有し、
前記少なくとも1つのポートは、前記ポートの上面と、底面と、前記ノズルの中央部分から外面に延びる前記開口部を形成するために前記上面と前記底面の間に延びる一対の側面を有し、
前記少なくとも1つのポートが前記内腔の長手方向軸に対して直角に配置された底面を有するものであり、
前記上面は前記中央部分から前記外面までの第一の角度で連続的に下向きに延びるものであり、
前記底面は前記ポートの上面と前記底面の間の距離が前記ポートの上面と底面が前記中央部から前記外面まで延びるにつれて小さくなるように前記ポートの上面の前記第一の角度より小さい第二の角度で前記中央部分から前記外面まで連続的に外向きに延びるものであり、
前記ノズルの前記底部は前記鋳型内に浸漬され、前記少なくとも1つのポートの前記開口部は前記開口部の上部から前記開口部の底部へと幅が減少し、前記内腔の中央部分から前記ノズルの外面まで5度以上15度未満の連続した角度で外向きおよび下向きに延びるものである、システム。
【請求項11】
請求項10記載のシステムにおいて、前記少なくとも1つのポートの開口部が逆三角形形状を有するものである、システム。
【請求項12】
請求項10記載のシステムにおいて、前記ノズルが前記内腔と前記少なくとも1つのポートの上面との間にフィレットを有するものである、システム。
【請求項13】
請求項10記載のシステムにおいて、前記少なくとも1つのポートが前記ポートの底面の長さに沿って延びる溝を含むものである、システム。
【請求項14】
連続鋳造システムを操作する方法であって、
ノズルを通って長手方向に延びる内腔と前記内腔から前記ノズルの外面まで延びる一対のポートとを有する前記ノズルを提供する工程であって、前記一対のポートの各ポートは、上部から前記ポートの底部に向かって減少する幅を有し、前記一対のポートの各ポートは前記内腔から前記外面までそれぞれが連続的に下向きに延びる前記ポートの上面と底面を有し、前記底面は前記ポートの上面と前記底面の間の距離が前記ポートの上面と底面が前記内腔から前記外面に延びるにつれて小さくなるように前記ポートの上面の角度より小さい角度で延びるものであ前記一対のポートの各ポートの前記底面が、前記内腔の長手方向軸に対して直角に配置されているものである、提供する工程と、
前記一対のポートの各ポートが鋳型に侵漬されるように前記ノズルを前記鋳型内に配置する工程と、
前記内腔を通して流体を流し、前記一対のポートは前記流体が前記一対のポートを通って流れるときに前記流体の速度を上げるように前記一対のポートを介して前記流体の全量前記鋳型に放出する工程と
を有する方法。
【請求項15】
請求項14記載の方法において、前記一対のポートの各ポートが三角形の形状を有するものである、方法。
【請求項16】
請求項14記載の方法において、前記一対のポートの各ポートはこれが前記内腔から前記外面まで延びるにつれて、下向きに傾斜しているものである、方法。
【請求項17】
請求項1記載のノズルにおいて、前記各ポートの三角形の開口部は前記流体の速度を毎秒3メートル以上に上げるように構成されるものである、ノズル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2018年1月26日に出願された米国特許仮出願第62/622,363号、発明の名称「連続鋳造金型の流体の流れを改善するための円錐形状ポートを備えた浸漬入口ノズル」に優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
連続鋳造を製鋼で使用して、インゴット、スラブ、ブルーム、ビレットなどの半完成鋼形状を製造することができる。典型的な1連続鋳造プロセス(10)において、図1に示すように、溶鋼(2)は、取鍋(12)に移され、そこで取鍋(12)から保持浴、またはタンディッシュ(14)に流れる。次に、溶鋼(2)は、ノズル(20)を介して鋳型型(18)に流れ込む。いくつかのバージョンでは、スライドゲートアセンブリ(16)が選択的に開閉されて、溶鋼(2)の鋳型(18)への流れを選択的に開始および停止する。
【0003】
典型的な連続鋳造ノズル(20)、または浸漬入口ノズル(SEN)は、図2および3にさらに詳細に示される。例えば、ノズル(20)は、中央長手方向軸(A)に沿ってノズル(20)を通って底部(B)の閉じた端(28)まで延びる内腔(26)を含むことができる。図2で最もよく見られるように、底部(B)の内腔(26)は、長手方向軸(A)と実質的に平行なノズル(20)の実質的に真っ直ぐな壁によって規定されて、実質的に円筒形の形状を形成する。次に、一対のポート(24)が、ノズル(20)の閉じた端(28)の上方で近位にあるノズル(20)の対向する側面を通して配置され得る。したがって、溶鋼(2)は、ノズル(20)の内腔(26)を通って流れ、ポート(24)から出て、鋳型(18)に入る。
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、以下のものがある(国際出願日以降国際段階で引用された文献及び他国に国内移行した際に引用された文献を含む)。
(先行技術文献)
(特許文献)
(特許文献1) 米国特許第6,027,051号明細書
(特許文献2) 国際公開第2009/057340号
(特許文献3) 米国特許出願公開第2014/042192号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
定常状態条件または取鍋交換中などに、ノズルを介して鋳型に至る溶鋼のスループットが低い場合がある。これは、ノズル領域の近くで高温鋼の供給が不十分なために付着や架橋の問題を引き起こす可能性があり、鋳型粉末の溶融が不十分になる可能性もある。これにより、鋳鋼の欠陥や鋳造プロセスの停止が発生する可能性がある。したがって、そのような付着および/または架橋の問題を低減させるために、連続鋳造プロセスにおいてSENを通る流体の流れを改善することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
浸漬入口ノズルは、一対の三角形のポートを有し、連続鋳造プロセスで使用するために提供される。これらの三角形のポートは、ノズルから出て鋳型に入る溶鋼の速度を上げることにより、ポートの放出における流体の流れを改善することができる。これにより、定常状態または低スループット条件でのノズルと鋳型の間の付着および/または架橋の問題を減らすことができる。したがって、そのような連続鋳造ノズルは、コストを削減しながら、成形鋼の品質および連続鋳造プロセスの効率を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本発明は、同様の参照番号が同様の要素に付される添付の図面と一緒に特定の例に関する以下の説明からよりよく理解されると考えられる。
図1図1は、連続鋳造プロセスの略図を示す。
図2図2は、図1の連続鋳造プロセスの先行技術の連続鋳造ノズルの断面側面図を示す。
図3図3は、図2の従来技術のノズルの断面正面図を示す。
図4図4は、図1の連続鋳造プロセスで使用するための三角形のポートを含む連続鋳造ノズルの上面斜視図を示す。
図4A図4Aは、図4の線4Aによって囲まれている、図4のノズルの拡大部分斜視図を示す。
図5図5は、図4のノズルの正面図を示す。
図5A図5Aは、図5の線5A-5Aに沿って取られた図5のノズルの断面図を示す。
図5B図5Bは、図5の線5B-5Bに沿って取られた図5のノズルの断面図を示す。
図6図6は、図4のノズルの正面図を示し、ノズルの外壁を省略して、ノズルの内壁を示すものである。
図7図7は、図6のノズルの底部の部分断面図を示す。
図8図8は、図6のノズルの底部の部分斜視図を示す。
図9図9は、図6のノズルの底部の部分側面図を示す。
図10図10は、図1の連続鋳造プロセスで使用するための三角形のポートを含む別の連続鋳造ノズルの底部の部分正面図を示すものであるが、ノズルの内壁を示すためにノズルの外壁が省略されている。
図11図11は、図1の連続鋳造プロセスで使用するための三角形のポートを含む別の連続鋳造ノズルの底部の部分断面図を示すものであるが、ノズルの内壁を示すためにノズルの外壁が省略されている。
図12図12は、図1の連続鋳造プロセスで使用するための別の連続鋳造ノズルの底部の部分斜視図を示すものであるが、ノズルの内壁を示すためにノズルの外壁が省略されている。
図13図13は、図12のノズルの側面図を示す。
図14A-14B】図14Aは、図14のノズルのポートを通る流体の流路の概略斜視図を示す。図14Bは、図2の従来技術のノズルのポートを通る流体の流路の概略斜視図を示す。
図15A-15B】図15Aは、図4のノズルのポートを通る流体の流路の正面概略図を示す。図15Bは、図2の従来技術のノズルのポートを通る流体の流路の正面概略図を示す。
図16A-16B】図16Aは、図4のノズルの一対のポートを通り、鋳型に入る流体の流路の概略斜視図を示す。図16Bは、図2の従来技術のノズルの一対のポートを通り、鋳型に入る流体の流路の概略斜視図を示す。
図17A-17B】図17Aは、図4のノズルのポートを通り、鋳型に入る流体の流路の正面概略図を示す。図17Bは、図2の従来技術のノズルのポートを通り、鋳型に入る流体の流路の正面概略図を示す。
図18A-18B】図18Aは、図4のノズルの一対のポートを通り、鋳型に入る流体の流路の底面概略図を示す。図18Bは、図2の先行技術のノズルの一対のポートを通り、鋳型に入る流体の流路の底面概略図を示す。
【0007】
図面は、決して限定を意図するものではなく、本開示の様々な実施形態は、様々な他の方法で実行され得ることが企図され、これには必ずしも図面に描かれていないものも含む。本明細書に組み込まれ、その一部を形成する添付の図面は、本開示のいくつかの態様を示し、説明とともに、本開示の原理および概念を説明するのに役立つ。しかしながら、本開示は、示された通りの構成に限定されないことが理解される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の以下の説明および実施形態は、本開示の範囲を限定するために使用されるべきではない。本開示の他の例、特徴、観点、実施形態、および利点は、以下の説明から当業者に明らかになるであろう。本開示は、本明細書で具体的に論じられる例示的な実施形態とは別の実施形態を本開示の範囲から逸脱することなく、企図し得ることが理解される。 したがって、図面および説明は、本質的に例示と見なされるべきであり、限定と見なされるべきではない。
【0009】
連続鋳造プロセスにおいてSENを通る流体のスループットは、定常状態や取鍋の交換時などにおいて、低くなる場合がある。このような状態において、ノズルと鋳型の間の溶鋼の付着および/または架橋につながる可能性があり、これにより、ノズル領域近くの高温鋼の供給が不十分になる可能性がある。このような影響は、SENが浅い浸漬深度に配置されている場合に悪化する可能性がある。したがって、連続鋳造プロセスにおいてSENを出る流体の流れを改善することが望ましい。したがって、SENの放出領域での流体速度を増加させるために、上部から底部に先細になる三角形のポートを備えるノズルが提供される。これにより、付着や架橋の問題が軽減され、成形鋼の品質と連続鋳造プロセスの効率が向上する一方で、コストが削減される。
【0010】
図4~9を参照すると、図1に示される連続鋳造プロセス(10)で使用するための浸漬入口ノズル(120)が示されている。ノズル(120)は、外面(121)と、内面(130)によってノズル(120)を通って長手方向に形成された内腔(126)とを備える。図4~5Bに最もよく図示されるように、ノズル(120)の外面(121)は、上面(122)、底面(128)、前面(123)、後面(125)、および一対の対向する側面(127)を含む。図示の実施形態では、前面および後面(123、125)は実質的に平坦であり、対向する側面(127)は弓形であり、概して楕円形の断面プロファイルを形成するが、長円形、円形、長方形、正方形、長円などなどの他の適切な形状を使用することができる。 内腔(126)は、開いた上面(122)から、閉じた底面(128)近くのノズル(120)の底部まで延びる。
【0011】
内面(130)は、図示のために外面(121)が省略されて、図6~9にさらに詳細に示されている。図示の実施形態では、内面(130)は、漏斗部分(131)、円筒形部分(132)、先細り部分(134)、および長方形部分(136)を含み、内面(130)内に内腔(126)を画定する。漏斗部分(131)は、ノズル(120)の上面(122)に隣接して配置され、円筒形部分(132)に向かって内向きに先細になる略円形の形状を含む。円筒形部分(132)は、図2で最もよく分かるように、ほぼ円形の断面輪郭形状を含み、ノズル(120)内でテーパ部分(134)まで延びる。テーパ部分(134)は、内腔(126)を、ほぼ円形の断面輪郭形状からほぼ長方形の断面輪郭形状に移行させる。この一般に長方形の断面輪郭形状は、図5Bで最もよく分かるように、長方形部分(136)を通ってノズル(120)の底部に延在し続ける。
【0012】
次に、ノズル(120)の内腔(126)は、長方形部分(136)の底部で二股になり、内腔(126)からノズル(120)の各側面(127)に延びる一対のポート(124)を形成する。図7に示すように、各ポート(124)は、約5°の角度(α)などの約0°~約15°の角度(α)でノズル(120)内で外向きおよび下向きに延びるが、他の適切な角度も使用可能である。各ポート(124)の形状は、図8~9に最もよく図示されるが、より広い上部からより狭い底部へと先細になる逆三角形の輪郭を含む。例えば、各ポート(124)は、上面(144)と、底面(142)と、上面(144)と底面(142)との間に延びる一対の側面(141)とを含む。図示した実施形態では、上面(144)は底面(142)よりも広く、各側面(141)は上面と底面(144、142)の間で内向きおよび下向きに延びる。上面、下面、および側面(144、142、141)のそれぞれは、実質的に平坦であり、上面と側面(144、141)の間に配置された第1の丸みを帯びた角(143)の一対と、側面と底面(141、142)の間に配置された第2の丸みを帯びた角(145)の一対を有する。ポート(124)の更なる他の適切な形状は、本明細書の教示を考慮すれば、当業者に明らかであろう。
【0013】
たとえば、図10~13は、三角形のポートを含むSENの他の例示的な構成を示す。図10は、ノズル(220)が内面(230)の長方形部分(236)と各ポート(224)の上面(244)との間にフィレット(239)または丸い角を備えることを除いて、上記のノズル(120)と同様のノズル(220)を示す。 フィレット(239)は、約5mm~約20mmの間の半径を有し得るが、他の適切な寸法が使用され得る。
【0014】
図11は、上述したノズル(120)に類似するノズル(320)を示すが、ノズル(320)は、内腔(326)から外向きに延在する1対の対向するポート(324)を有し、ポート(324)の底面(342)が内腔(326)の長手方向軸と実質的に直角(β)を形成する。したがって、各ポート(324)の上面(344)は、内腔(326)から下向きかつ外向きに角度を付けることができ、且つ、ポート(324)の底面(342)は、ポート(324)が内腔(326)からポート(324)の開口部へ狭くなるように実質的に水平である。
【0015】
図12~13は、ノズル(420)が各ポート(424)の底面(442)に溝(447)を有することを除いて、上記のノズル(320)と同様のノズル(420)の別の実施形態を示す。例えば、各ポート(424)は、弓形の上面(444)と、底面(442)まで下向きかつ内向きに延びる先細りの側面(441)とを備えることができる。底面(442)は、底面(442)から下向きに延びる円形溝(447)まで下向きかつ内向きに延びる一対の先細りの底面(445)を含む。これにより、溝(447)は、ポート(424)の各開口部の間に延びることができる。ポート(124、224、324、424)のためのさらに他の適切な構成が使用されてもよい。
【0016】
これにより、三角形のポートを含むSENを連続鋳造プロセス(10)に組み込むことができる。例えば、ノズル(120、220、320、420)のポート(124、224、324、424)が鋳型内(18)に侵漬するように、ノズル(120、220、320、420)を鋳型(18)内に配置することができる。次に、溶鋼(2)は、ノズル(120、220、320、420)の内腔(126、226、326、426)を通り、ポート(124、224、324、424)から外へ流れ、鋳型(18)に流れる。
【0017】
図14A~18Bで示すように、三角形の輪郭を有するポート(124)の開口部で放出される溶鋼の速度は、直線ポート(24)を有する従来技術のノズル(20)のポート(24)の開口部での速度よりも速い。例えば、従来技術のノズル(20)を用いて実行されたシミュレーションは、ポート(24)を出る溶鋼の上部ロールが十分に発達せず、メニスカスでの速度が遅くなることを示している。溶鋼は、SEN(20)領域の近くでも適切に供給されない可能性があり、これにより、鋼の適切な潤滑が妨げられる可能性もある。三角形のポート(124)を用いて実行されたシミュレーションは、先行技術のノズル(20)と比較して増加した速度によるポート(124)からの放出における改善された流体の流れを示す。そのような増加した速度は、浅いまた深い侵漬深さでポート(124)を出る溶鋼の上部ループを完成させるのに役立つ。これにより、ノズル(124)と鋳型(18)との間の凝固した鋼の付着および/または架橋の問題、ならびに予期しないターンアラウンドを低減することもできる。さらに、改善された流体の流れにより、取鍋交換時の取鍋シュラウドの操作及び、長いシーケンスを鋳造する際の鋳型内の適切な流体の流れが確保され、取鍋交換時の鋳造速度を下げる柔軟性が高まり、浸食がより均一になる。三角形形状のポート(124、224、324、424)を備えるノズル(120、220、320、420)のさらに他の適切な構成および方法は、本明細書の教示を考慮すれば、当業者には明らかであろう。
実施例
以下の実施例は、本明細書の教示を組み合わせまたは適用可能なさまざまな非網羅的な方法に関する。以下の実施例は、本出願の請求の範囲または本出願の後続の出願において任意の時に提示される可能性がある請求の範囲を制限することを意図していないことを理解されたい。免責事項は意図されていない。以下の例は、単なる例示を目的として提供されている。本明細書の様々な教示は、他の多くの方法で構成および適用可能であることが想定されている。また、いくつかの変形例では、以下の例で参照される特定の特徴が省略される場合があることも想定されている。したがって、以下で言及される態様または特徴のいずれも、後日、発明者によって、または発明者の権利の後継者によって明示的に示されない限り、重大であると見なされるべきではない。本出願または本出願に関連する後続の出願で、以下に言及するものを超える追加の特徴を含む請求項が提示された場合、それらの追加の特徴は、特許性に関する何らかの理由で追加されたとは見なされるべきではない。
実施例
【実施例1】
【0018】
連続鋳造用の浸漬入口ノズルであって、前記ノズルの上面から前記ノズルの底部まで延びる内腔を画定する外面および内面を有し、前記ノズルは、前記内腔の底部から前記外面に延びる一対のポートを含み、前記一対のポートの各ポートは、各ポートの上部から各ポートの底部に向かって狭くなる三角形の開口部を前記外面に有するものである、ノズル。
【実施例2】
【0019】
実施例1のノズルであって、前記外面は、実質的に平坦な前面および後面と、前記前面と前記後面との間に一対の弓状側面とを含み、略長方形の断面形状を形成するものである、ノズル。
【実施例3】
【0020】
1または2に記載のノズルにおいて、前記内腔が、前記ノズルの前記上面から下向きに延びる実質的に円筒形の部分を有するものである、ノズル。
【実施例4】
【0021】
実施例3に記載のノズルにおいて、前記内腔が、前記実質的に円筒形の部分と結合したテーパー部分を有し、前記テーパー部分が実質的に円筒形の形状から実質的に長方形の形状に移行するものである、ノズル。
【実施例5】
【0022】
前記内腔が実質的に長方形の部分を含み、前記一対のポートが実質的に長方形の部分に結合されるものである、ノズル。
【実施例6】
【0023】
実施例1~5に記載のノズルにおいて、前記一対のポートの各ポートが、約0度から約15度の間の角度で前記内腔から外向きかつ下向きに延びるものである、ノズル。
【実施例7】
【0024】
実施例1~6に記載のノズルにおいて、前記一対のポートの各ポートが、上面と、底面と、前記上面と前記底面との間に延在する一対の側面とを有し、前記上面、前記底面及び、前記側面が実質的に平坦であり、前記側面の各々は、前記上面から前記底面に向かって下向きかつ内向きに先細になっているものである、ノズル。
【実施例8】
【0025】
実施例7に記載のノズルにおいて、前記一対のポートの各ポートが、前記上面、底面、および側面の間に丸みを帯びた角を含むものである、ノズル。
【実施例9】
【0026】
実施例1~8のいずれかに記載のノズルにおいて、前記ノズルは、前記内腔と前記一対のポートの各ポートの上面との間にフィレットを備えるものである、ノズル。
【実施例10】
【0027】
実施例1~9のいずれかに記載のノズルにおいて、前記一対のポートの各ポートが、前記内腔の長手方向軸に対して実質的に直角に配置された底面を有するものである、ノズル。
【実施例11】
【0028】
実施例1~10のいずれかに記載のノズルにおいて、前記一対のポートの各ポートが、各ポートの底面の長さに沿って延びる溝を含むものである、ノズル。
【実施例12】
【0029】
ノズルおよび鋳型を含む連続鋳造システムであって、前記ノズルは、前記ノズルの上面から前記ノズルの底部まで延びる内腔を有し、前記ノズルは、前記内腔の底部から前記ノズルの底部の開口部へ延びる少なくとも1つのポートを有し、前記ノズルの底部は前記鋳型内に浸漬され、前記少なくとも1つのポートの開口部は、前記開口部の上部から底部へと幅が減少するものである、システム。
【実施例13】
【0030】
実施例12に記載のシステムにおいて、前記少なくとも1つのポートの開口部が逆三角形形状を有するものである、システム。
【実施例14】
【0031】
実施例12または13に記載のシステムにおいて、前記少なくとも1つのポートが、約0度から約15度の間の角度で前記内腔から外向きかつ下向きに延びるものである、システム。
【実施例15】
【0032】
実施例12~14のいずれかに記載のシステムにおいて、前記ノズルが、前記内腔と前記少なくとも1つのポートの上面との間にフィレットを有するものである、システム。
【実施例16】
【0033】
実施例12~14のいずれかに記載のシステムにおいて、前記少なくとも1つのポートが、前記内腔の長手方向軸に対して実質的に直角に配置された底面を有するものである、システム。
【実施例17】
【0034】
実施例12~16のいずれかに記載のシステムにおいて、前記少なくとも1つのポートが、前記ポートの底面の長さに沿って延びる溝を含むものである、システム。
【実施例18】
【0035】
連続鋳造システムを操作する方法であって、
ノズルを通って長手方向に延びる内腔と前記内腔から前記ノズルの外面まで延びる少なくとも1つのポートとを含む前記ノズルを提供する工程であって、前記少なくとも1つのポートは、このポートの上部から底部に向かって減少する幅を有する、提供する工程と、
前記少なくとも1つのポートが鋳型に侵漬されるように前記ノズルを前記鋳型内に配置する工程と、
前記内腔を通して流体を流し、前記少なくとも1つのポートを介して前記流体を鋳型に放出する工程と、
を有する方法。
【実施例19】
【0036】
実施例18に記載の方法において、前記少なくとも1つのポートが三角形の形状を有するものである、方法。
【実施例20】
【0037】
実施例18または19に記載の方法において、前記少なくとも1つのポートは、これが前記内腔から前記外面まで延びるにつれて、下向きに傾斜しているものである、方法。
【0038】
本発明の様々な実施形態を示して説明したが、本明細書で説明した方法およびシステムのさらなる適応は、本発明の範囲から逸脱することなく、当業者による適切な修正によって達成可能である。そのような潜在的な変更のいくつかが本明細書で言及されているが、他の変更も当業者には明らかであろう。例えば、上述の実施例、実施形態、形状、材料、寸法、比率、工程などは、例示的なものであり、必須ではない。したがって、本発明の範囲は、提示される任意の請求項に関して考慮されるべきであり、明細書および図面に示され記載される構造および操作の詳細に限定されないことが理解される。
図1
図2
図3
図4
図4A
図5
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A-14B】
図15A-15B】
図16A-16B】
図17A-17B】
図18A-18B】