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特許7531407粒子を濃縮するためのマイクロ流体デバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-01
(45)【発行日】2024-08-09
(54)【発明の名称】粒子を濃縮するためのマイクロ流体デバイス
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/04 20060101AFI20240802BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20240802BHJP
   G01N 1/10 20060101ALI20240802BHJP
【FI】
G01N1/04 H
G01N37/00 101
G01N1/10 B
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020567822
(86)(22)【出願日】2019-06-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-27
(86)【国際出願番号】 IB2019054683
(87)【国際公開番号】W WO2019234657
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2022-04-12
(31)【優先権主張番号】102018000006089
(32)【優先日】2018-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】518314084
【氏名又は名称】エルテック・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】ELTEK S.P.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】マルコ・ピッツィ
(72)【発明者】
【氏名】ジョヴァンニ・メリオーリ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァレンティーナ・ガッロ
(72)【発明者】
【氏名】マッシモ・ザニン
【審査官】高田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0273470(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0241878(US,A1)
【文献】特表2017-522573(JP,A)
【文献】特表2016-500008(JP,A)
【文献】特表2003-533681(JP,A)
【文献】特開2016-070827(JP,A)
【文献】特開2006-055809(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00 - 1/44
G01N 35/00 -37/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体サンプル(FS)に含まれる粒子を濃縮するためのマイクロ流体デバイスであって、少なくとも1つのマイクロ流体装置(M)が規定される表面(11b)を有する基板(11)を備え、前記マイクロ流体デバイスは、
-流体サンプル(FS)を少なくとも1つのマイクロ流体装置(M)に装填するための装填チャンバ(14)と、
-装填チャンバ(14)から延在するそれぞれの入口端部(13a)を有する複数のマイクロチャネル(13)であって、複数のマイクロチャネル(13)は、前記チャンバ(14)に対して平行に流体的に接続されている、複数のマイクロチャネル(13)と、
-流体サンプル(FS)に対して実質的に不浸透性であり、少なくとも部分的に複数のマイクロチャネル(13)に亘って延在するカバー要素(12)と、を備え、
前記装填チャンバ(14)および前記複数のマイクロチャネル(13)は、基板(11)によって識別される平面に従って実質的に延在し、
-前記装填チャンバ(14)および前記複数のマイクロチャネル(13)は、空洞または基板(11)の表面エッチィングの形態であり、
-前記複数のマイクロチャネル(13)のそれぞれは、入口端部(13a)とは反対側の長手方向端部で閉じられており、
-前記複数のマイクロチャネル(13)は、少なくともそれぞれの入口端部(13a)とほぼ反対のその蓄積領域(CA)において、少なくとも空気に対して透過性であり、前記複数のマイクロチャネル(13)の少なくとも一部の上に設置され、前記複数のマイクロチャネル(13)のそれぞれの内に流体サンプル(FS)に存在する可能性のある粒子を引き留めるように構成されている、フィルタ要素(17)によって部分的に区切られ、
各マイクロチャネル(13)に浸透する流体サンプル(FS)の流体の体積に含まれる可能性のある粒子が、回転中心(5a)を中心とした基板(11)の回転によって引き起こされる遠心力、または装填チャンバ(14)で流体サンプル(FS)に加えられる正圧、またはマイクロチャネル(13)の蓄積領域(CA)で流体サンプル(FS)に加えられる負圧を含む、マイクロ流体デバイス(10)および装填チャンバ(14)に装填された流体サンプル(FS)の少なくとも1つに加えられる力の結果として、それぞれの蓄積領域(CA)に濃縮する傾向があるような方法による、マイクロ流体デバイス。
【請求項2】
前記カバー要素(12)は、
-流体サンプル(FS)を装填チャンバ(14)に導入するための通路(15)と、
-フィルタ要素(17)を通して複数のマイクロチャネル(13)から空気を排出するための通路(16)と、
-複数のマイクロチャネル(13)から液体を排出するための通路(16)と、フィルタ要素(17)は、液体に対して透過性である、
のうちの少なくとも1つを規定するようなサイズまたは形状である、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項3】
-前記基板(11)および前記カバー要素(12)の少なくとも1つは、フィルタ要素(17)のためのシート(18)の少なくとも一部を規定するように構成され、および/または
-前記カバー要素(12)は、フィルタ要素(17)を対応する動作位置に維持するように構成される、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項4】
複数のマイクロチャネルのうちの終端部のみ上方に設定されている、請求項1ないし3のうちいずれか1項に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項5】
複数のマイクロチャネル(13)のそれぞれは、
-幅が、5~200μmを有し、および/または
-深さまたは高さが、2~100μmを有し、および/または
-長さが、5~50mmを有し、および/または
-実質的に一定の通路セクションを有する、
請求項1ないし4のうちいずれか1項に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項6】
-複数のマイクロチャネル(13)のそれぞれは、親水性材料および疎水性材料のうちの少なくとも1つによって規定される少なくとも1つの表面部分を有し、前記親水性材料および/または前記疎水性材料は、基板(11)、カバー要素(12)、およびフィルタ要素(17)のうちの少なくとも1つに属し、および/または
-前記デバイス(10)は、少なくとも部分的に透明材料から作られ、前記透明材料は、基板(11)、カバー要素(12)、およびフィルタ要素(17)のうちの少なくとも1つに属する、
請求項1ないし5のうちいずれか1項に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項7】
前記基板(11)は、
-遠心分離および/または検出デバイス(1)の回転部材(5a)に、特に、アダプタ支持体(30、40)を介して取り付けるように構成されており、および/または
-実質的にディスク形状である、
請求項1ないし6のうちいずれか1項に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項8】
基板(11)の前記表面(11b)において、複数の前記マイクロ流体装置()は、規定され、および/または
複数のマイクロチャネル(13)は、並んで設定されるか、または少なくとも部分的に互いに実質的に平行または等距離に延在するか、あるいは回転中心(11a)に対して半径方向に設定された第1のマイクロチャネル(13)、および前記第1のマイクロチャネル(13)に対して平行または等距離に設定された第2のマイクロチャネル(13)を備える、および/または
前記フィルタ要素(17)は、0.02~0.45μmの間の多孔性またはメッシュサイズを有する膜を備える、
請求項1ないし7のうちいずれか1項に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項9】
前記膜は、少なくとも一部がセラミック材料のフィルム、特に、多孔性アルミナのフィルムで作られている、
請求項8に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項10】
遠心分離デバイスおよび請求項1ないし9のうちいずれか1項に記載のマイクロ流体デバイスを備え、流体サンプル(FS)に含まれる粒子を濃縮するためのシステムであって、前記遠心分離デバイスは、前記マイクロ流体デバイス(10)を回転させるために構成された回転部材(5a)を有する、システム。
【請求項11】
検出デバイス(1)および請求項1ないし9のうちいずれか1項に記載のマイクロ流体デバイス(10)を備え、流体サンプル(FS)に含まれる粒子を検出するためのシステムであって、前記検出デバイス(1)は、前記マイクロ流体デバイス(10)に角運動を与えるように構成された回転部材(5a)と、マイクロ流体デバイス(10)に対する光学的検出を実行する、および/またはマイクロ流体デバイス(10)の蓄積領域(CA)に蓄積した粒子を検出するために構成された光学センサ手段(20)と、を有し、
前記光学センサ手段(20)は、マイクロ流体デバイス(10)の1つまたは複数の蓄積領域(CA)の光信号または画像を取得するように構成され、
前記検出デバイス(1)は、前記光信号または画像に基づいて、蓄積領域または複数の領域(CA)に蓄積された粒子の量を表す情報を処理するために事前に準備される、
システム。
【請求項12】
流体サンプル(FS)に存在する可能性のある粒子を検出するための方法であって、
a)請求項1ないし9のうちいずれか1項に記載のマイクロ流体デバイス(10)を提供するステップと、
b)ある量の流体サンプル(FS)を、マイクロ流体デバイス(10)の少なくとも1つのマイクロ流体装置(M)の装填チャンバ(14)に導入するステップと、
c)マイクロ流体デバイス(10)を遠心分離にかけるか、または対応する流体サンプル(FS)を、それぞれ装填チャンバ(14)またはマイクロチャネル(13)の蓄積領域(CA)で正圧または負圧に曝すステップと、
d)特に、光学的および/または電気的方法で、各マイクロチャネル(13)の蓄積領域(CA)に蓄積された可能性のある粒子を検出するステップと、
を含む方法。
【請求項13】
-ステップb)は、微生物、病原菌、または少なくとも1つの細菌株のバクテリアを含む液体媒体を提供するステップを含み、
-ステップd)は、各マイクロチャネル(13)の蓄積領域(CA)に蓄積した微生物、病原菌、またはバクテリアの数を定量化するステップを含む、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
i)第1のマイクロチャネル(13)を少なくとも1つの第1の抗生物質で前処理するステップと、
ii)微生物、病原菌、またはバクテリアの塊を取得するステップと、
iii)前記塊の少なくとも一部を液体媒体に接種するステップと、
iv)ある量の液体媒体を前記第1のマイクロチャネル(13)に導入するステップと、
iv)10分~6時間の期間待機するステップと、
v)マイクロ流体デバイス(10)を遠心分離にかけるか、または対応する流体サンプル(FS)を、それぞれ装填チャンバ(14)またはマイクロチャネル(13)の蓄積領域(CA)で正圧または負圧に曝すステップと、
vi)少なくとも1つの第1の抗生物質に対する前記微生物、病原菌、またはバクテリアの感受性プロファイルを得るために、特に、少なくとも1つの第1の抗生物質で前処理されていないマイクロ流体デバイス(10)の前記第1のマイクロチャネル(13)と第2のマイクロチャネル(13)との間の相対的定量化を実施することによって、前記第1のマイクロチャネル(13)の蓄積領域(CA)に蓄積した微生物、病原菌、またはバクテリアの数を定量化するステップと、
の操作を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
操作ii)の前記塊は、培養皿から採取されるか、あるいは宿主生物から採取されたサンプルから得られ、特に、遠心分離によって、またはサンプルの濾過および遠心分離によって得られる、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、流体サンプル中に存在する粒子、特に、低濃度および少量の粒子の量を検出または推定するための技術に関する。
【0002】
本発明は、遠心分離に供されるように設計されたマイクロ流体デバイス、並びに流体サンプル、好ましくは、有機または生物学的粒子またはバクテリアまたは微生物を含む、例えば、抗生物質の迅速な実行のための検査または分析を実施するためのデバイスおよび方法を特に参照して開発された。
【0003】
本発明は、いかなる場合でも、必ずしも有機または生物学的流体または粒子ではなく、必ずしも遠心分離を介してではなく、流体サンプル中に存在し得る他のタイプの粒子の検出に適用され得る。
【背景技術】
【0004】
流体、例えば、生物学的流体のサンプル中に存在する粒子、例えば、細胞を数えるための様々な技術が知られている。最も一般的に使用されるシステムは、光学タイプ(蛍光ありまたはなし)、インピーダンス測定タイプ、または画像認識による静的タイプである。これらの既知のシステムは、一般に、比較的大量のサンプルを必要とし、同時に実行される多数の測定など、測定の効率的な並列化を可能にしない。すなわち、それらは、かなりの量の開始サンプルが並行しておよび/または同時に多くの測定を実行できることを前提としている。
【0005】
画像認識技術に基づく既知のシステムは、小さな流体サンプルの分析に使用できるが、投資が行われない限り、多数のサンプルの並列化を可能にせず、結果として、測定時間が長くなるが、これは、しばしば反経済的であることが証明される。
【発明の概要】
【0006】
その一般的な用語で、本発明は、流体サンプル中に低濃度および/または少量で存在する粒子の定量化および/または識別を、簡単、迅速、および安価な方法で実行することを可能にするデバイスおよび方法を示すことを目的としている。時間とコストの点で、また感度と再現性の点で効率の点で利点を備えた、多数のサンプル間の同様に簡単かつ安価な方法での並列化を可能にする。
【0007】
本発明のさらなる目的は、アンチバイオグラムを実行することを可能にする方法論を示すことであり(微生物が測定されているとき)、すなわち、少なくとも1つの微生物、または病原菌、またはバクテリアの抗生物質に対する感受性プロファイルを比較的短時間で、数時間を示すように取得することである。本発明の補助的な目的は、複数の抗生物質の同時実行を可能にする方法論を示すことである。
【0008】
上記の目的は、本発明によれば、粒子を濃縮するためのマイクロ流体デバイスによって、および添付の請求の範囲に指定された特性を提示する対応する支持体および方法によって達成される。本発明は、同様に、前述のマイクロ流体デバイスと組み合わせて使用することができる遠心分離および/または検出デバイス、並びにそのようなデバイスの使用に基づく分析の方法論に関する。
【0009】
以下に明らかになるように、本発明は、関心のある流体の比較的適度な量のサンプル中の粒子の量の効果的な検出を簡単かつ迅速な方法で実行することを可能にする。
【0010】
本発明のさらなる目的、特徴、および利点は、純粋に非限定的な例として提供され、以下の添付の図面を参照して、以下の詳細な説明から明らかに現れるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の可能な実施形態に係る、遠心分離および/または検出デバイス並びにマイクロ流体デバイスの概略斜視図である。
図2】本発明の可能な実施形態に係る、遠心分離および/または検出デバイス並びにマイクロ流体デバイスの概略斜視図である。
図3】本発明の可能な実施形態に係るマイクロ流体デバイスの概略斜視図である。
図4】本発明の可能な実施形態に係るマイクロ流体デバイスの分解概略図である。
図5図4を拡大した詳細図である。
図6】本発明の可能な実施形態に係るマイクロ流体デバイスの一部の部分的かつ概略的な斜視図である。
図7】本発明の可能な実施形態に係るマイクロ流体装置の端部の拡大詳細である。
図8】本発明の可能な実施形態に係る、流体サンプルをマイクロ流体装置に装填する可能なステップを例示することを目的とした概略斜視図である。
図9】本発明の可能な実施形態に係るマイクロ流体装置の部分的に断面化された概略斜視図である。
図10図9を拡大した詳細図である。
図11】本発明の可能な実施形態に係るマイクロ流体デバイスの分解概略図である。
図12】本発明の可能な実施形態に係るマイクロ流体装置の部分的に断面化された概略斜視図である。
図13】本発明の可能な実施形態に係るマイクロ流体装置の部分的に断面化された概略斜視図である。
図14図13を拡大した詳細図である。
図15】本発明の可能な実施形態に係るマイクロ流体装置の端部領域の拡大詳細図である。
図16】動作状態にある対応するマイクロ流体デバイスを備えた、図1図2のデバイスの部分断面斜視図である。
図17図16を拡大した詳細図である。
図18】本発明の可能な実施形態に係る、遠心分離および/または検出デバイス、並びにいくつかのマイクロ流体デバイスの概略斜視図である。
図19図18を拡大した詳細図である。
図20】動作状態にある対応するマイクロ流体デバイスを備えた、図18の遠心分離デバイスの部分的に断面化された概略斜視図である。
図21】本発明の可能な実施形態に係るマイクロ流体デバイスの概略斜視図である。
図22】本発明の可能な実施形態に係るマイクロ流体デバイスの分解概略図である。
図23】本発明の可能な実施形態に係るマイクロ流体デバイスの分解概略図である。
図24図21に示されているタイプのマイクロ流体デバイスに流体サンプルを装填する可能なステップを例示することを目的とした概略斜視図である。
図25】本発明の可能な実施形態に係るマイクロ流体デバイスの部分的に断面化された概略斜視図である。
図26】本発明の可能な実施形態に係るマイクロ流体デバイスの部分的に断面化された概略斜視図である。
図26a】本発明の他の可能な実施形態に係るマイクロ流体デバイスの部分的に断面化された概略斜視図である。
図27】本発明の可能な実施形態に係るマイクロ流体デバイスの可能な使用モードを例示することを目的とした概略斜視図である。
図28】本発明の可能な実施形態に係るマイクロ流体デバイスの可能な使用モードを例示することを目的とした概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書の枠組みにおける「実施形態」または「一実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明される特定の構成、構造、または特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを示すことを意図する。したがって、本明細書の様々な点に存在し得る「一実施形態では」、「一実施形態では」、「様々な実施形態では」などの句は、必ずしも1つの同じ実施形態を指すとは限らない。さらに、本明細書の枠組みで定義された特定の形態、構造、または特性は、表されたものとは異なっていても、1つまたは複数の実施形態において任意の適切な方法で組み合わせることができる。本明細書で使用される参照番号および空間参照(「上」、「下」、「上」、「下」など)は、単に便宜のために提供され、したがって、保護の範囲または実施形態の範囲を定義するものではない。図では同じ参照番号を使用して、互いに類似または技術的に同等の要素を示している。
【0013】
図1および図2を最初に参照して、全体として1で示されるのは、処理および/または検出チャンバ3を規定する構造2を有する遠心分離および/または検出デバイスである。
【0014】
様々な実施形態では、デバイス1は、チャンバ3を閉じるために、好ましくは構造2にヒンジで取り付けられた蓋またはドア4を含む。デバイス1は、図2において全体として5で示される駆動または移動システムを有し、これは、1つまたは複数のマイクロ流体デバイス、好ましくは遠心可能なタイプのデバイスを回転させるように設計されたチャンバ3内の回転部材5aを含む。
【0015】
おそらく、蓋4は、遠心可能なマイクロ流体デバイスの位置決めおよび/またはガイドシステム、あるいは複数の遠心可能なマイクロ流体デバイスを支持するように構成された支持体の対応する部分4aを備え得る。例では、部分4aは、5bによって示される遮断および誘導要素のためのシートを含み、これは、言及される部分間の回転の相互固定を確実にするために、前述の遠心可能デバイスまたは前述の支持体が間に設定されて部材5aに結合することができる。
【0016】
作動システム5は、好ましくは、モータ減速機および/または電子制御回路を備えている可能性のある電気モータ(図16図17に部分的に表示され、5cで示されている)を備える。遠心分離速度は、好ましくは、3~30秒の間、非常に好ましくは、5~15秒で構成される時間の間、200~1200rpm、好ましくは、400~1000rpmの間で示され得る。
【0017】
様々な実施形態では、デバイス1は、処理チャンバ3内の温度および/または湿度を制御するためのシステムを備える。様々な実施形態では、このシステムは、25℃より高い温度、好ましくは、36℃~38℃の間、および/または好ましくは、95%より高い湿度を維持するように構成される。様々な好ましい実施形態では、デバイス1は、遠心分離領域を維持するために事前に準備された、吸引システムおよび/または圧力を調節するためのシステムを備えるか、または周囲圧力よりも低い圧力で、および/または前述の領域またはチャンバからの出力で、潜在的に汚染されたエアロゾルの環境への拡散を防止するように構成された濾過システムへの空気の流れを強制するためのチャンバ3を備える。
【0018】
様々な実施形態において、デバイス1は、遠心分離、および/または調整、および/または圧力調整、および/または検出のプロセスを開始および/または停止するための、そしておそらくは前述のプロセス(例えば、遠心分離速度および/または時間、および/または温度、および/または湿度、および/またはチャンバ3内の圧力)、および可能な表示および/または警告要素のパラメータを設定するための適切な制御要素6aが配置された、図1および図2にのみ表されるものなど、6によって示される制御パネルを含む。前述の制御要素は、任意の適切なタイプ(押しボタン、ノブ、スライダ、タッチディスプレイなど)であり得る。
【0019】
図3も参照すると、10で示されるのは、本発明の可能な実施形態に係るマイクロ流体デバイスである。例示されたものなどの様々な実施形態では、デバイス10は、流体物質のサンプルに含まれる粒子を遠心分離によって濃縮するように設計された少なくとも1つの装置を統合または収容するように構成される。この目的のために、デバイス10は、図3においてMによって示される少なくとも1つのマイクロ流体装置、好ましくは、複数のマイクロ流体装置を含むか、または統合する。以下では、簡単にするために、複数のマイクロ流体装置Mを備えたデバイス10の場合を最初に参照するが、以下に説明する他の実施形態では、本発明に係るマイクロ流体デバイス10は、1つのマイクロ流体装置のみを含み得る。
【0020】
様々な実施形態では、および図4に例示されるように、マイクロ流体デバイスは、マイクロ流体装置Mまたは各マイクロ流体装置Mのそれぞれの部分を規定する基板11およびカバー要素12を備える。
【0021】
様々な実施形態では、デバイス10は、回転中心に対して回転するように設定され、ここでは、図1および図2のデバイス1の部材5aによって識別されると想定される。この目的のために、様々な優先的な実施形態では、デバイス10は、ディスク形状であり、対応する遠心分離デバイスの作動システムに結合するための、例えば、図1および図2のデバイス1の部材5aに結合するための手段11aを優先的に含む。例示された場合、前述の結合手段11aは、ディスク形状の基板11に中央通路または穴を備える。他方、見られるように、基板11のディスク形状は、本質的な特性を構成せず、これは、様々な実施形態において、基板が回転中心に対して回転して設定されるべきであるという事実を軽視しない。
【0022】
様々な実施形態では、基板11は、比較的薄い厚さ、例えば、0.5~4mmの間で構成される。基板は、例えば、ガラスまたはプラスチック(例えば、ポリカーボネート、またはポリエチレン、またはシクロオレフィンコポリマーまたはCOC)から作られていて、直径が10~30cmの間で示され、したがって、おそらく古典的なコンパクトディスクに類似している。使用される材料は、優先的に電気絶縁材料であり、非常に好ましくは、少なくとも部分的に透明である材料である。
【0023】
様々な実施形態では、カバー要素12もまた、比較的薄い厚さ、例えば、0.1~0.5mmの間で構成される。カバー要素12は、例えば、ポリカーボネートまたはCOCまたはポリエチレンまたはガラスから作られていて、基板11の直径と同様の直径を有し、例えば、示されるように10~30cmの間で構成される。
【0024】
カバー要素に使用される1つまたは複数の材料は、空気および液体に対して優先的に実質的に不浸透性である。また、カバー要素12は、ディスク形状であってもよく、好ましくは、基板11の通路11aに対して同心の位置を占める中央通路12aを備えていてもよい(例えば、図3を参照)。カバー要素12は、例えば、基板11上に接着または接着された可撓性シート材料から作られ得る。
【0025】
図4および図5を参照すると、様々な実施形態では、本発明に係るデバイスの少なくとも1つのマイクロ流体装置は、カバー要素12が適用される基板11の表面11b(ここでは従来も上面として規定される)に規定されるマイクロチャネル13のそれぞれのセットを備える。
【0026】
様々な優先的な実施形態では、デバイス10は、必ずしも互いに同じではない複数のマイクロ流体装置を有する。この目的のために、基板11上に、マイクロチャネル13のいくつかのセットが提供され得、各セットは、それぞれのマイクロ流体装置に属する。異なるセットのマイクロチャネル13は、これが本質的な特性を構成しないとしても、好ましくは、実質的に同じ長さを有する。
【0027】
様々な実施形態では、様々な長さのマイクロチャネル13のいくつかのセットが提供される。例えば、図4および図5では、13で示されるのは、マイクロチャネルの最大の長のセットであり、13で示されるのはマイクロチャネルの最小の長さのセットであり、13で示されるのはマイクロチャネルの中間の長さのセットである。異なる長さを有するマイクロチャネルのセットは、例えば、特に、円形を有する基板および/または基板11上で多数のマイクロ流体装置を利用可能にするために実質的に半径方向の位置にあるマイクロ流体装置またはチャネル13のセットを備え、基板11上で利用可能な空間の占有を最適化するのに有用であり得、したがって、便利な方法で多数のサンプルの並列化を実行することができる。
【0028】
例示されたものなどの様々な実施形態では、各セットのマイクロチャネル13は、デバイス10の回転中心に対して、すなわち、基板11の中央通路11aに対して、それぞれ実質的に半径方向に延びる。各セットのマイクロチャネル13は、好ましくは並んで、好ましくは互いに平行に配置され、および/または優先的に実質的に直線である。各セットのマイクロチャネル13は、基板11によって識別される平面に従って優先的に延在し、この目的のために、それらは、適切な技術、例えば、マイクロエッチング、成形、またはUVによる樹脂の重合を介して、表面11b上に規定することができる。いずれの場合でも、本発明の範囲から除外されないのは、基板11上への材料の堆積によるマイクロチャネルの形成である。
【0029】
示される優先的な実施形態によれば、各セットのマイクロチャネル13は、基板11の通路11aの中心に対して半径方向の位置にある少なくとも1つの中間マイクロチャネルセットを備え、一方、同じセットの他のマイクロチャネルは、いずれの場合も放射状配置に近い構成で、好ましくは、放射状マイクロチャネルの両側に沿って平行である、前記中間マイクロチャネルに平行である。
【0030】
示されていないさらなる実施形態によれば、各セットのマイクロチャネル13は、基板11の中央通路11aの中心に対して放射状にセットされた全てのマイクロチャネルを備える。すなわち、各セットのマイクロチャネル13は、互いに対してわずかに角度が付けられており、好ましくは、中央通路11からさらに離れた端部で相互に発散する、すなわち、中央通路11aに近い端部で収束する。
【0031】
各マイクロチャネル13は、入口端部を有し、流体サンプルを受け入れるように事前に準備されている。この目的のために、優先的に、しかし必ずしもではないが、各マイクロ流体装置Mはまた、対応するセット13の各マイクロチャネルの入口端部である流体連絡で接続された、少なくとも1つの装填チャンバ(これは、ダクトまたはチャネルの形態であり得る)を備える。
【0032】
このような装填チャンバは、例えば、14で示されている図6および図7に示されている詳細にはっきりと表示される。図7から、マイクロチャネル13が、好ましくは、端部13aの接続または配置が平行に、またはそれらが並んで配置されている場合、それぞれのチャンバ14と流体連絡しているそれらの入口端部(そのいくつかは13aによって示される)をどのように有し、これらの入口端部l3aがどのようにチャンバ14自体に接続されるかが明確に注目され得る。したがって、マイクロチャネル13は、チャンバ14から直接延びる。
【0033】
様々な実施形態では、特に、遠心分離のために提供されるマイクロ流体デバイスに関するものでは、所与のセットのマイクロチャネル13のチャンバ14および入口端部13aは、基板11の回転中心に近い位置に設定され、マイクロチャネルの反対側の端部は、代わりに、回転の中心からさらに離れた位置を占めるように設計されている。
【0034】
各セットのマイクロチャネル13は、好ましくは、少なくとも部分的に互いに同一であり、および/または少なくとも部分的に互いに実質的に平行または等距離に、例えば、実質的に基板11の半径方向に互いに平行または等距離に延びる。様々な実施形態では、1つの同じセットのマイクロチャネルは、形状およびサイズに関して互いに実質的に同じである。他の実施形態(図示せず)によれば、代わりに、セットは、そのマイクロチャネルが実質的に1つの同じパターンを有するが、互いに異なる長さを有するように提供され得る。
【0035】
図7から、様々な優先的な実施形態では、チャンバ14およびマイクロチャネル13の両方が、基板11に作られた空洞または表面エッチングからどのように得られるか、マイクロチャネル13が特にマイクログルーブの形態であることに留意されたい。一般的に、各マイクロチャネル13は、幅が5~200μmの間、好ましくは、15~50μmの間、および/または深さまたは高さが2~100μmの間、好ましくは、5~40μmの間であり得る。各マイクロチャネル13の長さ(その両端の間の距離として理解される)は、示されるように5~50mmの間であり得る。分析の均一性のために、同一のセットのマイクロチャネル13が一定の通過セクションを有することが好ましい。示されるように、マイクロチャネル13を互いに分離する浮き彫りの壁または部分(図7のlldによって示されるこれらの壁または部分のいくつか)は、5~200μmの間、好ましくは、15~100μmの間の幅を有し得る。
【0036】
様々な優先的な実施形態では、チャンバ14は、マイクロチャネル13の深さに等しいかまたはそれに近い深さ、例えば、2~100μmの間、好ましくは、5~40μmの間の深さを有する。
【0037】
既に述べたように、各マイクロ流体装置は、対応するマイクロチャネルのセットのマイクロチャネル13を少なくとも部分的にカバーするカバー要素12を備える。カバー要素12は、例えば、光学的検出または照明の目的で、下にあるマイクロチャネル13の観察を可能にするために、透明材料、例えば、ガラスまたはプラスチック材料の少なくとも一部で作られ得る。しかしながら、これは、例えば、基板11が透明材料で作られている場合、少なくともその一部においてマイクロチャネル13のセットを規定するか、またはその一部において所与のセットのマイクロチャネル13の端部領域を規定する場合、本発明の本質的な特徴を構成しない。
【0038】
これまでに説明したものなどの様々な実施形態では、1つの同じカバー要素が、少なくとも部分的に複数のマイクロチャネル13のセットをカバーするように構成される。例えば、図3および図4の場合を参照すると、基板11上に提供されるのは、36セットのマイクロチャネル13であり、それぞれは、並んでまたは互いに平行に設定され、異なる長さを有し、それぞれ実質的に半径方向に配向され、全て少なくとも部分的に1つの同じカバー要素12によって覆われる複数のマイクロチャネルセットを備える。
【0039】
他の実施形態によれば、各マイクロ流体装置は、1つまたは複数の個別のカバー要素を含み得、要素または各要素は、マイクロチャネル13の単一のセットを少なくとも部分的にカバーする。
【0040】
カバー要素12(または各カバー要素)は、各マイクロ流体装置Mの少なくとも一部、特に、チャンバ14の少なくとも一部を露出したままにするように構成またはサイズ設定されている。この目的のために、様々な実施形態では、カバー要素12は、デバイス10の組み立てられた状態において、実質的に対応するチャンバ14にある少なくとも1つの装填開口部または通路を有する。この特性は、例えば、図8~10で十分に理解できる。ここでは、装填通路のいくつかは、15で示されている。この例では、各装填通路15は円形のプロファイルを有するが、この形状は明らかに必須ではない。同様に、チャンバ14の一般的に湾曲したプロファイルは、本質的な特性を構成しない。
【0041】
様々な実施形態では、カバー要素12が作られる材料は、親水性であり、チャンバ14からマイクロチャネル自体の入口端部13aまで、1セットの各マイクロチャネル13への毛細管による流体の流入を容易にする。マイクロチャネル13が作られる材料、または基板11の材料もまた、この場合、疎水性であり得る。
【0042】
マイクロチャネル13の全長にわたって延びる少なくとも1つの表面が親水性材料から作られることも可能である。例えば、長方形または台形の断面を有するマイクロチャネル13において、マイクロチャネルの断面を規定する4つの壁のうちの少なくとも1つは、好ましくは、親水性材料、例えば、カバー要素12によって規定される壁から作られている。
【0043】
既に述べたように、基板11とカバー要素12の両方が透明であり得る。例えば、基板11は、マイクロチャネル13の観察を可能にするために少なくとも部分的に透明な材料で作られ得、カバー要素12は、マイクロチャネル自体のバックライトを可能にするために透明であり得る。
【0044】
様々な実施形態では、各マイクロチャネル13は、その全範囲にわたって、親水性特性を有する内面の少なくとも連続部分を有する。マイクロチャネル13の内壁に沿った親水性部分の連続性は、充填中に有用であり得、これは、例えば、チャンバ14内のサンプル液体の液滴の堆積を想定する(図8に概略的に示される)。親水性部分との接触は、毛細管現象によるマイクロチャネル13の充填を引き起こす。この目的のために、様々な実施形態では、マイクロチャネル13の底壁および側壁、並びに対応するチャンバ14は、単一の疎水性材料から作られているが、マイクロチャネルの上部壁の一般的な部分(例えば、カバー要素12によって形成されるそれらの部分)は、親水性材料から作られている。反対側では、見られるように、各マイクロ流体装置は、応力がない場合に液体の出口に対抗するために、マイクロチャネル13の入口端部13aと反対のその端部領域に優先的に構成される。その結果、各マイクロチャネル13が完全に満たされると、以下で説明するように、外力を受けない限り、マイクロチャネル13は、その中の液体の流れの影響を受けなくなる。
【0045】
前述のように、デバイス10の基板11は、必ずしもディスク形状である必要はない。そのような場合は、実質的に平行六面体、好ましくは、平面の形態で切断された形状を有する基板11と、同じく平行六面体である箔の形態のカバー要素12とを有するマイクロ流体装置Mを示す図8から理解され得る。
【0046】
見られるように、この種の基板、すなわち、ディスク形状を有するものではない基板は、有利には、例えば、市販のタイプの遠心分離装置の適切な支持体またはアダプタ要素を介して、または図1のデバイス1の回転部材5aに結合される一般的なディスク形状の支持体上で処理されるように事前に配置され得る。いずれにせよ、図8(同様に後続の図9図12、および図13)は、いずれの場合も、より大きなマイクロ流体デバイスの部分、例えば、図3のデバイス10のMによって示される長方形の部分を表すと理解され得ることに留意されたい。
【0047】
本発明に係るデバイスのマイクロ流体装置は、その端部領域において、マイクロチャネルの入口端部とほぼ反対側に、マイクロチャネル自体からの空気の少なくとも出口を可能にするための通路を備える。本発明によれば、この通路とマイクロチャネルとの間に提供されるのは、少なくとも空気を透過するフィルタ要素であり、これは、流体サンプル中に存在する目的の粒子をマイクロチャネル自体の中に保留するように構成される。
【0048】
したがって、フィルタ要素のメッシュまたは多孔性は、分析される粒子のサイズに従って、マイクロ流体デバイスの製造中に選択され得る。様々な実施形態では、フィルタ要素はまた、例えば、遠心分離中にマイクロチャネルからの液体部分の出口を可能にするために、サンプル流体の液体部分に対して透過性である。
【0049】
様々な実施形態では、カバー要素はまた、フィルタ要素のためのハウジングシートの少なくとも一部を規定するように構成され得る。あるいは、フィルタ要素のためのハウジングシートを基板11内に得ることができる。
【0050】
様々な実施形態において、フィルタ要素の位置は、一般に、特に、流体がマイクロチャネルに入る端部と反対の端部に実質的にある位置において、頂端部のものである。マイクロチャネルは、フィルタ要素の一部で終了するか、または連続する領域まで延びることができ、液体と気体の両方に対して不浸透性のカバー要素によってさらに閉じられる。
【0051】
前者の場合、各マイクロチャネルは毛細管現象によって完全に満たされる可能性があるが、後者の場合、フィルタ要素を超えて延びるチャネルの領域は、最初は空気で満たされたままになる(真空または負圧の条件下で充填が実行されない限り、またはマイクロチャネルには、最初は少なくとも部分的に中性流体が含まれている)。遠心分離中、遠心力が空気(または他の流体)を圧縮し、それによって、フィルタ要素からのその部分的または全体的な流出を引き起こす。遠心分離の終わりに、粒子は、チャネルの端部、フィルタ要素で覆われていない領域に集中する。この構成は、フィルタ要素が透明でない場合、またはペレットの表示を悪化させる可能性のある光学的歪み、すなわち、粒子塊または濃縮されたものを導入する可能性がある場合に有利である。このように、表示は、透明で平らな表面を通して行うことができる。
【0052】
前述のように、少なくとも1つのマイクロ流体装置のマイクロチャネルを少なくとも部分的にカバーするように構成されるカバー要素は、前述の通路を規定するためにサイズ設定または構成することができる。例えば、図3図4図8図9、および図11を参照すると、様々な実施形態では、カバー要素12は、対応するマイクロ流体装置Mの通路16を規定し、通路16は、例えば、要素12の貫通開口部によって提供される。図3図4、および図11に例示される場合、基板11上に36セットのマイクロチャネル13が提供されるとすると、カバー要素12は、対応する数の通路16を規定する。他の実施形態では、単一の通路16が、マイクロチャネル13の複数のセットに対応する位置に提供され得る。
【0053】
もう一度、上記の図の例を参照すると、様々なセットのマイクロチャネル13が実質的に直線であるとすると、1つの同じマイクロ流体装置の通路16および装填通路15は、対応するマイクロチャネル13の延長方向に互いに実質的に整列している。
【0054】
図3図4図8図9、および図11では、17と指定されているのは、少なくとも空気を透過する前述のフィルタ要素のいくつかであり、これらは、様々なセットのマイクロチャネル13と対応する通路16との間に配置されるべきである。特に、図11および図12に見られるように、様々な実施形態では、カバー要素12は、対応するフィルタ要素17の少なくとも部分的なハウジングのために構成されたシート18を有利に規定し得る。例示されるように(例えば、図11を参照)、そのようなシート18は、対応する通路16、特に、基板11に面するカバー要素12の側に規定され得る。
【0055】
したがって、様々な実施形態では、マイクロ流体装置は、対応するフィルタ要素が、対応するマイクロチャネルを少なくとも部分的にカバーする同じカバー要素によって動作位置に保持されるように構成される。
【0056】
フィルタ要素17、または各フィルタ要素は、優先的に膜のような形状であり、多孔度またはメッシュサイズは0.02~0.45μm、好ましくは、約0.2μmである。この意味で好まれる材料のクラスは、制御された多孔性で得ることができるセラミック材料、例えば、アルミナである。特に、アルミナは、細胞のマーキングに通常使用される色素または蛍光色素と非特異的に結合する傾向が非常に低い。プラスチック材料など、一般にコストの点で利点があるが、前述のマーキング色素または蛍光色素に結合する傾向に関連して、および高分子材料の蛍光自体に基づいてケースバイケースで評価されなければならない目的に適した他の多孔質材料を使用することは明らかに可能である。一般に、分析される微生物または細胞が以前に蛍光色素でマークされている場合、フィルタ要素17は、使用される蛍光色素に非特異的な方法で結合せず、信号対雑音比の低下を引き起こすであろう自家蛍光を示さない材料で優先的に作られる。
【0057】
様々な実施形態では、使用されるフィルタ要素の厚さは、20~1000μmの間、好ましくは、100~600μmの間で構成される。フィルタ要素は、好ましくは、光学的に透明である。多孔質アルミナは、光を散乱する傾向があるため、不透明に見え、光学品質の基板としては適していないが、特定のケースでは、そのナノポアが水(屈折率約1.33)またはアルミナの屈折率(550nmで測定した屈折率約1.63)に近い屈折率を有する他の流体で満たされている場合、散乱の影響は大幅に減少し、ウェットアルミナ膜を通して取得できる画像の品質は、明視野または蛍光で粒子または細胞を検出するのに十分である。
【0058】
例示された場合、要素17は、四角形の形状を有するが、この形状は、必須であると見なされるべきではない。フィルタ要素17の形状は、実際、必要性または得られるマイクロ流体デバイスのタイプに応じて異なる可能性がある。
【0059】
図8は、本発明の可能な実施形態に係る、デバイスのマイクロ流体装置Mへの流体サンプルの可能な導入モードを概略的に示している。例示された場合、適切なツールT(マイクロリットルまたは数十マイクロリットルのオーダを示す、制御された量の流体を分配するように設計されたピペットなど)を介して、検査を受ける流体のサンプルFSが、好ましくは、少なくとも部分的にカバー要素12に規定された対応する装填通路15を通ってチャンバ14に堆積される。
【0060】
サンプルFSは、例示された場合のように、流体の単純な液滴であり得るか、またはより大きな体積を有し得る。
【0061】
チャンバ14および通路15は、流体サンプルのマイクロ流体装置Mへの導入を容易にする。さらに、装置Mが複数のマイクロチャネル13を含むとすると、チャンバ14は、基本的に、流体と並行していくつかのマイクロチャネルに導入するためのコレクタとして機能する。言い換えれば、いくつかのマイクロチャネル13の相同末端部13aが並列に接続されたチャンバ14の提供は、サンプルのそれぞれの画分を単一のマイクロチャネルに個別に導入する必要性を回避するという利点を提示する。
【0062】
前述のように、チャンバ14は、流体サンプルがマイクロチャネルの入口端部13aに送達されることを介して、ダクトまたはチャネルによって提供され得ることに留意されたい。
【0063】
多数のマイクロチャネルを1つの同じ入口に接続する可能性(チャンバ、通路、ダクトのいずれであっても)により、検出の統計的基礎を増やすこと、すなわち、同じ公称条件の繰り返しを何度も利用できるようになる。
【0064】
同じ公称条件で使用されるマイクロチャネルの数は、デバイスの使用のタイプと各マイクロチャネルの体積に依存する。例えば、マイクロチャネル13の長さが2cm、幅が50μm、深さが5μmの場合、総量は、5・10μmになる。10バクテリア/mLの濃度では、1立方マイクロメートル当たり10-7バクテリアになる。これは、各マイクロチャネルに平均0.5個のバクテリアが存在することを意味する。これはまた、少なくとも1つのバクテリアを含むマイクロチャネルでは、増殖の場合、信号は非常に短い時間(約20~40分)後に2倍になり、増殖がない場合は一定のままになる可能性があることも意味する。
【0065】
このタイプの使用は、「デジタル薬剤感受性」と呼ばれることがある。マイクロチャネルは、非常に小さく、同様のパターンで互いに非常に近い位置に規定できるため、非常に限られた領域(単一の顕微鏡スライドの領域など)に、例えば、250~500マイクロチャネルなどの多数のチャネルを有することができる。
【0066】
今言及したような濃度では、十分な統計的根拠を得るために、同じ公称濃度で各n-タプリケート(すなわち、同じ公称条件で使用されるn個のマイクロチャネルのセット)に、100~200個のマイクロチャネルの数を割り当てることが好都合である。したがって、単一の遠心分離可能なデバイス、例えば、ディスク型のデバイスでは、それぞれがn-タプリケートになっている、多数(様々な数十)の異なる条件をテストすることが可能であり、ここで、nは、100~200の間に含まれる。代わりに、濃度が高い場合は、名目上同じ条件を少数のマイクロチャネルにグループ化することが可能になる。例えば、1ミリリットル当たり100万個のバクテリアのオーダの濃度の場合、名目上同一の条件毎に10~20マイクロチャネルのn-タプルを使用することが可能になる。
【0067】
様々な実施形態では、各マイクロチャネル13は、例えば、図15に示されるように、入口端部13aとは反対側のその長手方向端部で閉じられ、対応するフィルタ要素17が切断された一組のマイクロチャネル13の端部領域CAを示している。この種の実施形態は、例えば、図13図15に見られるように、マイクロチャネル13の少なくとも末端ストレッチの上にフィルタ要素17が設置されている場合に使用することができる。したがって、流体は、マイクロチャネル13の入口端部(13a、図10)から浸透することができる。これは、マイクロチャネル13に含まれる空気がフィルタ要素17を通って徐々に排出できるという事実のおかげである。マイクロチャネル13を最初に少なくとも部分的に満たす流体は、空気以外のものであり得ることに留意されたい(例えば、中性の液体または気体、すなわち、その後の操作を変更せず、この最初の流体は、分析の対象となる可能性のある粒子を含む液体に置き換えられる)。
【0068】
図13図15から、1つの同じフィルタ要素17が、複数のマイクロチャネル13にどのように重ね合わされ得るか、好ましくは、しかし必ずしもそうではないが、これらは、互いに平行であり、入口端部13aの反対側の端部で閉じられている、その端部領域CAに対応する位置にどのように重ね合わされ得るかはよく注目され得る。
【0069】
述べられたように、様々な実施形態において、各マイクロチャネル13は、好ましくは、毛細管現象によって、またはマイクロチャネル自体を区切る壁または表面の少なくとも1つの親水性を利用することによって満たされる。他方、見られるように、他の実施形態(図示せず)では、流体サンプルは、例えば、入口での正圧または過圧、または出口での負圧(常に周囲圧力に対して)を使用して、圧力下でマイクロチャネルに押し込むことができる。述べられたように、マイクロチャネル13の充填の過程で、元々そこに含まれていた空気は、対応するフィルタ要素17および対応する通路16を通って排出することができ、ここでは、カバー要素12で規定されている。
【0070】
例えば、図3のデバイス10を参照すると、対応する流体サンプルを少なくとも1つの装置Mのチャンバ14に導入した後(例えば、図8に示されるように)、マイクロ流体デバイスは、例えば、図1および図2に示されているものと同じタイプのデバイス1を用いて遠心分離にかけられる。図16は、遠心分離および/または検出デバイス1における、図3のデバイスなどのディスク形状タイプのデバイス10の設置の状態を示しており、後者のドア4は閉じた状態にある。
【0071】
デバイス10の回転に続いて、そして遠心力の結果として、マイクロチャネル13を占める液体の体積に存在する粒子は、その端部領域CAに蓄積する傾向があり、主にチャネル自体の中に留まる。特に、粒子は、対応するマイクロチャネルの閉じた端部に、またはその近くに、および/またはその底壁に、および/またはフィルタ要素17の近くの端部領域CAのその側壁に蓄積する傾向がある。
【0072】
フィルタ要素17も液体に対して透過性である場合、サンプル流体の同じ液体が、遠心力の結果として、要素17および対応する通路16を通過して、マイクロチャネル13から出ることができる。しかしながら、いずれにせよ、マイクロチャネルの端部領域CAで対象の粒子を引き留める。
【0073】
様々な実施形態によれば、特に、液体を透過するフィルタ要素17の場合、各マイクロチャネル13に含まれる液体の体積に存在する粒子の少なくとも一部は、それぞれのマイクロチャネル13の端部領域CAに位置するフィルタ要素17の少なくとも一部、またはフィルタ要素17の前記部分によって区切られるマイクロチャネルの壁の部分に蓄積する傾向がある。
【0074】
もちろん、マイクロチャネル13の寸法は、そこに対象の粒子が入ることを可能にするのに十分でなければならない。一般的に、比較的浅いマイクロチャネル、すなわち、対象の粒子のサイズのオーダの高さまたは深さ、またはわずかに大きいマイクロチャネルが好ましい。この理由は、同じ数とサイズの粒子が与えられた場合、浅いマイクロチャネル13の端部領域CAで、互いに並んで蓄積された粒子の量が、粒子が互いに重なり合う可能性があるより深いマイクロチャネルよりも大きな面積を有する平面内に画像を形成し、したがって、粒子の量および/またはそのタイプの検出をある程度偽造するためである。したがって、好ましくは、ほぼ長方形の断面を有する浅いマイクロチャネルの使用は、光学システムを使用する量および/またはタイプの読み取りの品質を容易にし、改善する。
【0075】
例えば、デバイス10が異なるタイプの全血球の分離に使用されなければならない場合、マイクロチャネル13の高さ(深さ)が10~40μmの間、好ましくは、10~20μmの間であることが好ましい。代わりに、分析の対象がバクテリアである場合、マイクロチャネルは、3~10μmの間、好ましくは、4~8μmの間の高さ(深さ)を有し得る。この場合も、酵母を測定する場合、マイクロチャネルの高さ(深さ)は、好ましくは、5~20μmの間、最も好ましくは、8~12μmの間である。
【0076】
いずれにせよ、言及された装置のおかげで、マイクロチャネル13に浸透する流体の体積に含まれる可能性のある粒子は、粒子が直接受ける遠心力の結果として、回転中心5aの周りのデバイス10の回転によって引き起こされ、そしておそらく流体の流れおよび/またはそれに伴って懸濁液中の粒子を同伴するマイクロチャネルが空になる結果として、対応する端部領域CAに集中する傾向がある。
【0077】
検出または読み取りは、遠心分離の結果として、各端部蓄積領域CAに形成される粒子の塊のサイズを光学的方法で定量化することによって実施することができる。粒子が以前に蛍光色素でマークされている場合、蛍光の強度を測定することによって、そのような量および/またはタイプの検出を実行することも可能である。
【0078】
様々な実施形態では、デバイス1自体は、光学的検出装置を統合することができる。光学的装置は、単一のセンサまたはセンサのアレイ(例えば、光学スキャナの場合のように)、あるいは例えば、マイクロチャネルの端部領域CAの画像を捕捉し、粒子をカウントするための自動処理プログラムなど様々な方法で分析することが可能である、例えば、CCDまたはCMOSセンサのような長方形のセンサのアレイを含み得る。したがって、一般に、同一のデバイス1は、特に、光学的検出装置を使用する前述の読み取りのための前述の遠心分離の両方のために支持体10の回転を利用することによって、遠心分離の機能と検出または読み取りの機能を統合することができる。
【0079】
例えば、図16および図17は、好ましくは、それ自体が光学センサのアレイによって構成される、少なくとも1つの光学センサ20を含む検出装置を有する遠心分離デバイス1を例示している。この例では、センサ20は、特に、処理チャンバ3の底壁3aに静止して取り付けられている。センサ20は、デバイス10の回転中心5aから距離を置いており、センサ自体の前に、ディスク形状のデバイス10上に存在する全てのマイクロ流体装置の端部領域CA(図6および図15)を通過させることができる。例示された場合、センサ20は、カバー要素12の反対側の基板11の側面に面し、基板11は、少なくとも様々なマイクロ流体装置Mの前述の端部領域CAにおいて、透明な材料から作られている。このようにして、センサ20は、いかなる場合でも、必要な光学的検出を実行することができる。光学センサは、対象の領域に焦点を合わせて拡大するように設計された適切な光学系を備えていてもよい。
【0080】
おそらく、光学センサ20のほぼ反対側の部分に、光学的検出を容易にするために光源、あるいは他の光学的検出センサを提供することができる。例示された場合、光源21は、デバイス1のドア3の内側に、図16図17に示されるようにドアが閉じられた状態で、センサ20に曝されるたびに光源21が少なくとも端部領域CAを照らすような位置に関連付けられている。また、この目的のために、フィルタ要素17は、透明な材料、または液体と接触したときに透明である材料から作られていてもよい。フィルタ要素17を提供するための好ましい材料は、前述のように、多孔質アルミナである。
【0081】
デバイス1の制御システムは、毎回実行される光学的検出に従って、マイクロ流体デバイス10の角度位置を制御するように事前に構成され得る。この制御システムはまた、遠心分離ステップの終了後に様々な角度読み取り位置で支持体10を毎回駆動および停止することによって、光学的検出を実行するように、あるいは光学的検出が、支持体10を移動させて、好ましくは、低速で、例えば、検出中の速度または遠心分離速度よりも遅い読み取りによって、または回転を読み取りと同期させることによって実行されるように事前に構成され得る。
【0082】
他の実施形態では、例えば、図1図3を参照して先に例示した場合とは異なる方向に向けられたマイクロ流体装置を備えたマイクロ流体デバイスを用いて、光学センサ20は、例えば、それ自体のアクチュエータを介して、対応するガイド上に移動可動に取り付けることができるので、例えば、デバイス10に対して半径方向に変位することができ、いくつかのマイクロ流体装置で必要な光学的検出を実行することができる。そのような場合、デバイス1の制御システムは、毎回実行される光学的検出に従ってセンサ21の位置を制御するように事前に準備される。
【0083】
本発明の様々な実施形態では、言及されるタイプの遠心分離および/または検出デバイスの光学センサ手段20は、マイクロ流体デバイスの複数の蓄積領域の累積光信号または累積画像、すなわち、対応するマイクロ流体装置Mのマイクロチャネル13の全ての蓄積領域CAに関する信号または画像を取得するように構成される。次に、遠心分離および/または検出デバイスは、例えば、適切なソフトウェアを介して、前述の光信号または画像に基づいて、処理のために、特に、個々のマイクロチャネル13の粒子数の推定を可能にする処理を伴う、1つの同じマイクロ流体装置の様々なマイクロチャネルの個々の蓄積領域CAのそれぞれに蓄積された粒子の量を表す情報が事前に準備される。
【0084】
他の実施形態では、例えば、光センサ20が、光スキャナなどのセンサのアレイを含む場合、センサ自体は、対応するマイクロ流体装置Mの個々のマイクロチャネル13の蓄積領域CAの個々の光信号または個々の画像を取得するように構成され得る。また、この場合、遠心分離および/または検出デバイスは、前述の光信号または画像に基づいて、マイクロ流体装置の様々なマイクロチャネルの個々の蓄積領域CAのそれぞれに蓄積された粒子の量を表す情報を処理するために事前に準備される。
【0085】
もちろん、言及された光学的検出の技術(すなわち、集合的および個別的)の両方を使用することができるようにするために、デバイス1も提供され得る。
【0086】
図18図20は、遠心分離および/または検出デバイス1およびマイクロ流体デバイス10の可能な変形の実施形態を示している。
【0087】
例示された場合、デバイス10は、概して四角形のプロファイルを有し、優先的に、それぞれが単一のマイクロ流体装置を含む。しかしながら、この形状のデバイスは、一般に互いに平行ないくつかのマイクロ流体装置も含み得る。
【0088】
特に、図18に見られるように、様々な実施形態では、デバイス1は、それぞれが少なくとも1つのマイクロ流体デバイス10を受け入れるための1つまたは複数のシート31(好ましくは、回転中心5aに対して実質的に半径方向に向けられる)を規定する遠心分離支持体30を備え得る。様々な実施形態では、支持体30は、図19に例示されるように、対応するデバイス10が支持体自体に取り付けられたときに、マイクロチャネルの端部検出領域CAによって想定される位置に対応する位置に配置される通路32(開口部または窓または光学的に透明な領域など)を各シート31に有する。支持体上の通路32の前述の位置は、同様に、半径方向において、デバイス1のセンサ20の位置に対応し、その結果、センサは、必要な光学的検出を実行することができる。通路32は、不透明な材料の遠心分離支持体30を作ることを可能にするが、少なくとも部分的に透明な材料で作られた遠心分離支持体30に存在する可能性がある。
【0089】
示される非限定的な例では、4つのシート31が提供され、各デバイス10に1つずつ、各シート31は、光センサ20による検出を可能にするための対応する通路を備えている。
【0090】
様々な実施形態では、遠心分離支持体30上のマイクロ流体デバイス10の位置決めを確実にするために、遠心分離支持体30は、図18の40によって示される上部要素を備え、シート31を上から閉じて、マイクロ流体デバイス10による位置の維持を確実にする。また、上部要素40は、光源21によるその照明を可能にするために、デバイス10のマイクロ流体装置の端部領域に実質的に対応する位置に、開口部または窓または光学的に透明な領域などの通路41を備えてもよい。
【0091】
図20は、対応する上部要素40を備え、その間にマイクロ流体デバイス10が設定された支持体30の取り付け状態を概略的に示しており、そのうちの1つのみが上部要素40の断面部分に見える。図18図20のデバイス1の操作は、遠心分離および/または検出の機能に関して、図1図2および図16図17を参照して説明したデバイス1の操作と同様である。
【0092】
図21は、例えば、図18図20に示されるタイプの遠心分離および/または検出デバイス1での使用に適した、すなわち、対応する遠心分離支持体30に設置するように設計された、四角形のプロファイルを有するマイクロ流体デバイス10を示している。この場合、デバイスは、図22または図23から理解され得るように、次に、基板11上に規定された一組のマイクロチャネル13、並びにチャンバ14、カバー要素12およびフィルタ要素17を含む単一のマイクロ流体装置Mを含む。
【0093】
図22に例示される場合、実質的に長方形のプロファイルを有するフィルタ要素17は、マイクロチャネル13を完全にまたは実質的に完全にコーティングし、チャンバ14の少なくとも一部を露出させたままにするようなサイズである。フィルタ素子17を構成する材料は、先に説明したことに基づいて、必要に応じて、有利には、親水性材料または疎水性材料であり得る。フィルタ要素17は、例えば、接着または結合を介して、基板11上の所定の位置に固定することができる。次に、フィルタ要素17上に、そしておそらく部分的に基板11上に、ここでも実質的に長方形のプロファイルを有するカバー要素12が固定される。
【0094】
図23に例示される場合、実質的に長方形のプロファイルを有するフィルタ要素17は、チャンバ14の反対側にあるマイクロチャネル13の端部領域のみをコーティングするようなサイズになっている。また、この場合、フィルタ要素17は、例えば、接着または結合を介して、基板11上の所定の位置に固定することができる。次に、フィルタ要素17の少なくとも一部、場合によっては部分的に基板11上に、カバー要素12が固定され、ここでも実質的に長方形のプロファイルを有し、この場合、少なくとも、フィルタ要素17とチャンバ14との間に延びるその実質的なストレッチについて、マイクロチャネル13をその上部で直接区切る。
【0095】
図22の場合および図23の場合の両方において、要素12は、通路16が、いずれにせよ、既に前に説明されたことに従って、空気および場合によっては流体サンプルの液体の流出のために規定されるような方法で、いずれの場合にも、チャンバ14の少なくとも一部、並びにフィルタ要素17の少なくとも1つの端部が露出したままになるようなサイズである。
【0096】
また、図22および図23に示されるタイプの実施形態では、カバー要素12は、マイクロチャネル13上に少なくとも部分的に延びるが、マイクロチャネル13とカバー要素12との間に少なくとも部分的に設定されたフィルタ要素17を有する。要素12は、流体に対して実質的に不浸透性であるため、このようにして、流体自体をマイクロチャネル13内に、少なくともそれらの入口端部13a(すなわち、チャンバ14)とそれらの蓄積部分CAとの間に閉じ込めることが可能であり、そこでは、フィルタ要素17がカバー要素12によって覆われない。しかしながら、図23に示されるタイプの実施形態を参照すると、カバー要素12は、必ずしも少なくとも部分的にフィルタ要素17上に重ねられる必要はなく、これらの2つの要素が基板上の隣接する位置に固定されることが可能であることに留意されたい。
【0097】
図24図25は、図8を参照して既に説明したように、適切なツールTを使用して、図21図22に従ってマイクロ流体デバイスに流体サンプルFSを導入する可能なモードを例示している。図24から、例示された場合のように、上部がフィルタ要素17によって覆われ得るマイクロチャネル13の入口端部13aが特に理解され得る。次の図26から、代わりに、遠心分離後の粒子の蓄積の端部領域CAを規定するために、それらの長手方向端部が閉じられた、マイクロチャネル13の反対側の端部が見られ得る。
【0098】
理解され得るように、この場合にも、マイクロチャネル13の端部領域CAでの対象の粒子の濃度は、例えば、図18図20に示されているタイプのデバイス1を使用して、回転中心に対してデバイス10を回転させることによって得られる。
【0099】
既に述べたように、様々な実施形態では、マイクロチャネル13は、いずれにせよカバー要素12によって閉じられている領域において、フィルタ要素17を超えて延びることができる。そのような場合の1つが図26aに例示されており、マイクロチャネル13の端部領域CAが強調表示されており、フィルタ要素17を超えて延びるが、通路16を備えたカバー要素12によってとにかく覆われている。したがって、この場合、フィルタ要素17および通路16は、マイクロチャネルの中間領域、すなわち、対応する閉端領域CAの上流にある。領域CAは、最初は空気(または他の気体または中性液体)で満たされ、遠心分離中に圧縮され、フィルタ要素17および通路16を通って部分的または完全に出ることができる。遠心分離の終わりに、粒子は、マイクロチャネル13の下端、すなわち、フィルタ要素17によって覆われていない領域CAに集中する。したがって、このタイプの実施形態では、必要な検出を可能にするために、フィルタ要素は、透明ではなく、基板11およびカバー要素12の少なくとも1つは透明であり得る。
【0100】
前述のように、他の実施形態では、流体サンプルは、例えば、周囲圧力に関して、入口での過圧または出口での負圧を使用して、したがって、遠心分離がない場合でも、本発明に係るマイクロ流体デバイスのマイクロチャネルを通して圧力下で強制することができる。この種の例は、図21のようにデバイス10に関連して、図27および図28に示されている。
【0101】
図27の場合、この目的のために圧力発生器システムが提供され、これは部分的にしか見えず、60で示され、処理される液体の加圧流、あるいは空気または他の気体Aの加圧流を生成し、それを流体のサンプルが以前に設定されたチャンバ14に向けるために事前に準備されている。このようにして、チャンバ14内の流体サンプルは、最初にマイクロチャネル13に浸透し、次にそれらをそれらの閉端部まで通過し、次におそらくフィルタ要素17の対応する部分を通って通路16から出るように強制される。この場合、液体にも浸透する。このようにして、加圧された気体または流体は、マイクロチャネル13からのサンプルの液体画分の出口をもたらし、その端部領域には、前述のことに従って、分析されるべき可能性のある粒子が代わりに蓄積される。
【0102】
代わりに、図28は、負圧または真空を生成するためのシステムの場合、部分的にしか見えず、70で示され、例えば、フィルタ要素17の末端ストレッチによって規定された通路16で真空または吸引圧力Vを生成するために事前に準備された吸引シリンジまたはポンプなどを例示している。この場合、液体を透過する。
【0103】
このようにして、チャンバ14に以前に設定された流体サンプルは、生成された負圧または真空のおかげで引き込まれ、最初にマイクロチャネル13に浸透し、次にそれらを閉端部まで通過し、最後にこの場合も通路16からフィルタ要素17の対応する部分を通って出る。このようにして、マイクロチャネルの端部領域には、代わりに、分析されるべき可能な粒子が蓄積され、一方、液体部分は、デバイス10から排出される。
【0104】
図3に示されるタイプのマイクロ流体デバイス10の場合にも、圧力発生器システム60および/または吸引システム70を使用できることが理解されよう。
【0105】
様々な実施形態では、マイクロ流体装置Mのマイクロチャネルは、流体サンプルに含まれる対象の粒子の検出にのみ使用されるが、他の実施形態では、マイクロチャネルは、特に、検出される粒子が繁殖可能な微生物である場合、培養ウェルとしても利用することができる。あるいは、いくつかのマイクロチャネルは、デバイスがデバイスの外側で増殖するように誘導されたか、または抗生物質によって阻害された生物学的材料(例えば、バクテリア)を「装填」され得る。
【0106】
様々な実施形態では、少なくとも1つのマイクロチャネル、または各マイクロチャネルに、少なくとも2つの電極、特に、少なくともそれぞれの端部領域CAに関連付けることができる。これらの電極は、検出用の電極であっても、粒子の操作用の電極であってもよい。
【0107】
例えば、様々な実施形態では、端部領域CAにある少なくとも1対の電極を使用して、電気インピーダンスの検出を介して粒子の量の読み取りを実行することができる。粒子によって表される電気インピーダンスへの寄与をサンプルの流体によって表される寄与から区別することを可能にするために、対応する端部の間に含まれるマイクロチャネルの部分にさらなる1対の電極を配置することによって差動読み取りを実行することも可能である。液体サンプルが培地または生理的溶液である場合、液体に溶解しているイオンのために電気伝導率は比較的高い。
【0108】
対の電極が、対応する入口端部13aに近いマイクロチャネルの部分に対応する位置にあり、対の他方の電極が端部領域の近くにあるように配置された電極の対も、マイクロチャネルがカウントされる粒子を含む流体で適切に満たされているかの検証を可能にする(流体は、一般に絶縁体である空気よりもはるかに高い導電率を有することを考えると、この検証は、比較的簡単である)。好ましくは、電極もまた、想定される場合、少なくとも部分的に導電性の透明な材料から作られている。
【0109】
本発明に係るデバイス10が、正確な位置(すなわち、端部蓄積領域CA)に細胞を蓄積するために使用できることを考えると、言及されるタイプの電極はまた、細胞自体に対して操作、例えば、エレクトロポレーションを実行するために、あるいは誘電泳動によってそれらを所定の位置に維持するために使用することができる。
【0110】
既に述べたように、本発明に係るマイクロ流体デバイス10は、流体サンプルに含まれる粒子のタイプの単純なカウントおよび/または検出の目的のために、またはまた、分析のより複雑な機能、例えば、アンチバイオグラムを実施するために使用され得る(この場合、マイクロチャネルは、例えば、抗生物質を導入することによって前処理することもできる)。
【0111】
本発明に係るマイクロ流体デバイス並びに遠心分離および/または検出デバイスは、バクテリアおよび病原菌の増殖能力の評価の目的のために、そして従属的に、抗生物質に対するそれらの感受性のプロファイル(アンチバイオグラム)を短時間で少量のサンプル液で決定する目的のために有利に使用され得る。
【0112】
この目的のために知られている方法論は、病原菌またはバクテリアがその増殖に適した培地でコロニーを形成する能力の評価、または病原菌の増殖後の培養ブロスの濁度の評価に基づいている。病原菌またはバクテリアの増殖を阻害する抗生物質の能力は、抗生物質に対する病原菌またはバクテリアの感受性の関数として変化する特性である、対応するコロニーを数えることによって、または対応する培養ブロスの濁度のレベルで古典的に評価される。
【0113】
この感受性は、細菌株の効率的な増殖を阻害する抗生物質の能力に関連しており、このタイプの分析に関連する時間は、病原菌またはバクテリアが増殖する速度に依存することは明らかである。従来の技術に従って行われるアプローチは、本質的に、バクテリアまたは病原菌の「二次元」層(コロニー)が肉眼で見えるようになるまで成長できるという事実、または液体中のバクテリアまたは病原菌の増殖が、統計的に有意な方法で、液体自体の濁度を変更するようなものであり得、この濁度は、濁度範囲の測光によって測定可能であるという事実に基づいている(読み取りは、通常、500~600nmの間の波長で行われる)。
【0114】
前述のマイクロ流体デバイスを利用する本明細書で提案される技術は、代わりに、バクテリアまたは病原菌の層の二次元成長または液体中の成長のいずれも考慮しないいくつかのパラメータに基づいており、これは、濁度の増加として読み取られる。
【0115】
より具体的には、本明細書で提案される方法論は、以下を想定している。
【0116】
i)成長因子(例えば、BHなどのバクテリア培養ブロス)の添加の有無にかかわらず、生物学的材料(例えば、患者によって直接収集された尿)の短期間の成長を得るステップ;
【0117】
ii)前のステップで得られた培養物を、同じ濃度の生物学的材料および/または培地が播種されたマイクロチャネル13に導入するステップ(この目的のために、マイクロチャネル13にマイクロウェルを提供することが特に有利である可能性がある);
【0118】
iii)マイクロチャネル13内のバクテリアの増殖を測定するステップ;
【0119】
iv)1つまたは複数の「陰性」マイクロチャネル13、すなわち、培地のみが添加されるもの(例えば、PBS緩衝液または生理学的溶液で50%)を特定するステップ;
【0120】
v)1つまたは複数の「陽性」マイクロチャネル13、すなわち、マイクロチャネル13のシステムに存在するバクテリアまたは菌株の増殖能力を検証することができるものを特定するステップ;
【0121】
vi)抗生物質に対する播種された生物学的材料に存在するバクテリアまたは菌株の耐性または感受性を検証するような方法で、抗生物質を含む一連のマイクロチャネル13を特定するステップ。
【0122】
抗生物質に対する感受性の測定は、マイクロチャネル13の蓄積領域CAでの増殖後のバクテリアまたは病原菌の堆積から開始するさまざまな戦略を使用して実行できる。これは、デバイス10の遠心分離を介して、または図26図27に関連して説明されているように過圧および/または負圧を介して取得できる。このアプローチは、以下の間で必要な比較を実行することを有利に可能にする。
【0123】
-出発材料に存在するバクテリアまたは病原菌の量;
【0124】
-インキュベーションの終わりに存在するバクテリアまたは病原菌の量;
【0125】
-抗生物質で処理されたマイクロチャネル13に存在するバクテリアまたは病原菌の量;適切な蛍光色素を使用すると、生きたバクテリアと死んだバクテリアを選択的に識別できる場合がある。
【0126】
この種の分析にとって、特に有利なのは、図3の支持体のような、いくつかのマイクロ流体装置を備えた支持体10であり得る。これらのマイクロ流体技術は、外部応力(遠心分離、過圧、負圧)により微生物を小さな空間に「濃縮」させることができるため、他の技術(濁度など)と比較して感度が高くなり、したがって、透過と反射の両方で可視光を伴う明視野で、またはマークされた細胞の蛍光でそれらを可視化する。提案された濃縮技術と、センサの線形アレイまたはセンサの長方形アレイ(例えば、CCDまたはCMOSカメラまたは画像取得に使用される他の技術)のいずれかによる画像の適切な分析により、セル数の+/-20%の変化が信頼性の高い正確な方法で測定される。提案された方法論を使用して検出でき、代わりに古典的な濁度技術を使用して検出できないこの程度の変動は、例えば、20~40分の短い成長時間の後でも決定できる。定量化または推定は、前述のように、少なくとも対象の様々なマイクロチャネル13の蓄積領域CAにおける光学的検出を介して行うことができる。
【0127】
加えて、または代替として、バクテリアまたは病原菌の「増殖」集団を含む電界のインピーダンスの変化を検出するために、蓄積領域CAに設定された電極を使用してバクテリア体のカウントを実行することができる。この変化は、検査中の細菌株の感受性(または耐性)のシグナルとして使用することができる。この場合も、検出時間が極端に短くなることがある。
【0128】
上記の方法論は、臨床的見地から極端に異なる状況で有益に使用することができる。
【0129】
例えば、比較的一般的な生物学的材料(例えば、尿培養用の尿)のサンプル中のバクテリアまたは病原菌の「絶対」数を測定することが可能である。例えば、100000バクテリア/mLを超えるカウントが尿路の感染を示している場合、バクテリアの電荷の単なる「数値」証拠資料は、病理学的状況を非常に正確に示す。
【0130】
また、バクテリアまたは病原菌の識別がない場合(必要に応じて標準的な技術で実行できる)、抗生物質パネルに対する感受性/耐性のプロファイルを簡単に評価でき、患者に「非経験的」治療を受ける機会を提供するが、実際の抗生物質感受性の研究に基づいている。この場合、陽性の尿培養の大部分は、単一の分離された病原菌によって特徴付けられるのに対し、複数細菌感染症は、入院患者、または分析前の原因により、サンプリング手法に関連する理由で複雑な患者でより頻繁に起こることを思い出すことが重要である。
【0131】
より複雑な状況(例えば、入院患者)では、バクテリアの識別は、患者だけでなく、それに関連する可能性のある院内感染の治療戦略の改善につながる。一方、既に述べたように、尿などの「ノーブル」でない物質の場合、病原体の識別は、様々な経路をたどることができるが、抗生物質に対する感受性のプロファイルが、非常に短時間で実行されない場合、命を救う抗生物質療法の設定が遅れる可能性がある。このため、デバイス10(特に、既に述べたように、マイクロウェルを備えた)は、まだ識別されていないが、即時の治療アプローチが必要となる単一のコロニー(例えば、血液培養から分離された)を装填することができる。この後者の場合、複雑な材料から分離されたバクテリアが播種される可能性があり、アンチバイオグラムは、数十分以内に利用可能になる可能性がある。
【0132】
前述の説明から、本発明の特徴は明らかであり、同様にその利点も明らかである。
【0133】
提案されたデバイスと方法論により、例えば、0.05~1mLの比較的少量の開始サンプルでの操作が可能になる。例えば、小児科、小動物で行われる研究、および(生物学的および試薬)材料の量を減らすことが有用である場合には、経済的理由からも、比較的少量を使用できることが有利である。再現性の問題が事実上存在しないようにするなど、粒子の数がカウントされると、粒子化された成分の測定は終了する。一般に、16000個の粒子をカウントして、全体の1~5%で表される部分母集団の正確な推定値を取得する。したがって、例えば、ミリリットルあたり10万個の粒子の濃度から開始すると仮定した場合、本発明によれば、0.2~0.4mLの間に含まれる開始サンプルの量で十分であるが、例えば、より高い濃度の場合、1ミリリットル当たり100万個の粒子の場合、開始サンプルの量は、例えば、0.02~0.06mLに低下する可能性がある。
【0134】
本発明に係るデバイスは、アンチバイオグラムを実施するために特に有利である。
【0135】
一般的に言えば、この目的のために、バクテリア培養物は、デバイス10の少なくとも1つの装置Mのマイクロチャネル13に接種され得る。次に、デバイス10は、前述のように、遠心分離、または過圧、または負圧に曝され、次に、マイクロチャネル13の領域CAに蓄積したバクテリアの数が定量化または推定される。この種の用途では、マイクロ流体デバイス10は、通常の実験装置およびデバイスを使用して、比較される異なる条件での増殖が以前に得られ得る限り、微生物、例えば、バクテリアの定量化のために排他的に使用され得る。
【0136】
他の用途では、固形支持体上でのバクテリアの二次元培養から開始して、アンチバイオグラムを実施することができる。この場合、方法論は、次のステップを想定することができる。
【0137】
i)固形培養皿からバクテリアのコロニーを採取するステップ;、
【0138】
ii)コロニーまたはその一部を液体媒体、例えば、培養ブロスに接種して、好ましくは、均一な分散液を形成するステップ;、
【0139】
iii)バクテリアを含む液体媒体を、以前に抗生物質、好ましくは、異なるタイプおよび/または異なる濃度の凍結乾燥抗生物質が提供された前述のマイクロチャネル、および抗生物質が提供されていない他のマイクロチャネルの少なくともいくつかを備えた、デバイス10の少なくとも1つの装置Mのマイクロチャネル13に装填するステップ;、
【0140】
iv)10分~6時間、好ましくは、1~2時間の範囲の期間インキュベートするステップ;、
【0141】
v)遠心分離、または過圧、または負圧を介してデバイス10を処理するステップ;
【0142】
vi)使用される抗生物質(1つまたは複数)に対する問題のバクテリアの感受性のプロファイルを得るために、特に、抗生物質で前処理されたマイクロチャネル13と前処理されていないマイクロチャネル13との間の相対的定量化を実施することによって、マイクロチャネル13の領域CAに蓄積したバクテリアを定量化するステップ。
【0143】
さらに他の用途では、本発明に係るデバイスは、一次サンプル、すなわち、対象または宿主生物(ヒトまたは動物)から直接採取されたサンプルから開始するアンチバイオグラムを実施するために有利に使用することができる。この場合、方法論は次のステップを想定することができる。
【0144】
i)一次サンプルからバクテリアの濃縮物または塊(またはペレット)、例えば、尿を得るステップ;この目的のために、例えば、一次サンプルは、前述のバクテリア塊を界面活性物質から分離するために、通常の実験装置およびデバイスを使用して遠心分離にかけられ得る。遠心分離は、好ましくは、2つのステップで実施される。細胞を排除するための低速での第1のステップ;バクテリアを濃縮するための高速での第2ステップ;あるいは、第1の遠心分離ステップを濾過に置き換えて細胞を排除することもできる。
【0145】
ii)得られたバクテリア塊またはその一部を液体媒体、例えば、培養ブロスに接種して、好ましくは、均一な分散液を形成するステップ;
【0146】
iii)バクテリアを含む液体媒体を、以前に抗生物質、好ましくは、異なるタイプおよび/または異なる濃度の凍結乾燥抗生物質が提供された前述のマイクロチャネル、および抗生物質が提供されていない他のマイクロチャネルの少なくともいくつかを備えた、支持体10の少なくとも1つの装置Mのマイクロチャネル13に装填するステップ;
【0147】
iv)10分~6時間、好ましくは、1~2時間の範囲の期間インキュベートするステップ;
【0148】
v)遠心分離、または過圧、または負圧を介してデバイス10を処理するステップ;
【0149】
vi)使用される抗生物質(1つまたは複数)に対する問題のバクテリアの感受性のプロファイルを得るために、特に、抗生物質で前処理されたマイクロチャネル13と前処理されていないマイクロチャネル13との間の相対的定量化を実施することによって、マイクロチャネル13の端部領域CAに蓄積したバクテリアを定量化するステップ。
【0150】
当業者によって、本発明の範囲から逸脱することなく、例示として本明細書に記載の支持体および基板、デバイス、および方法に対して多数の変形を行うことができることは明らかである。同様に、一実施形態に関連して説明された個々の特性が、前の例とは異なっていても、本明細書に記載された他の実施形態で使用され得ることは、当業者には明らかであろう。
【0151】
本発明の適用は、医療または獣医部門に限定されず、任意のタイプの流体、例えば、産業または農業の分野においても存在する粒子の濃縮および/または定量化のために記載された支持体およびデバイスを使用することが可能である。
図1
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図5
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図9
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図11
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図17
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