(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-01
(45)【発行日】2024-08-09
(54)【発明の名称】スケジュール管理装置、超音波診断装置、及び、スケジュール管理プログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 8/00 20060101AFI20240802BHJP
【FI】
A61B8/00
(21)【出願番号】P 2021010685
(22)【出願日】2021-01-26
【審査請求日】2023-12-18
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森川 浩一
【審査官】佐々木 創太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-199449(JP,A)
【文献】特開2013-226258(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0253838(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00- 8/15
G16H 10/00-80/00
G06Q 10/00-10/30
G06Q 50/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波プローブの点検履歴情報から、前記超音波プローブの第1の点検スケジュールを暫定的に決定する暫定決定部と、
被検体の検査予約情報を取得する取得部と、
前記検査予約情報から前記超音波プローブの使用スケジュールを推定する推定部と、
前記第1の点検スケジュールと前記使用スケジュールとに基づいて、前記使用スケジュールにおける前記超音波プローブの使用時期と、前記第1の点検スケジュールにおける前記超音波プローブの点検時期とが重ならないように前記第1の点検スケジュールを調整して、前記超音波プローブの第2の点検スケジュールを決定する決定部と、
を備えるスケジュール管理装置。
【請求項2】
前記暫定決定部は、前記超音波プローブの直近過去の点検時期と、前記超音波プローブの定期点検間隔とから、前記超音波プローブを次に点検すべき時期を前記第1の点検スケジュールとして暫定的に決定する、
請求項1に記載のスケジュール管理装置。
【請求項3】
前記検査予約情報は、被検体の検査予定日と、前記検査予定日に行われる前記被検体の検査目的及び検査部位の少なくとも一方に関する情報を含み、
前記推定部は、前記検査予定日と、前記検査目的及び前記検査部位の少なくとも一方に関する情報とから、前記超音波プローブの使用スケジュールを推定する、
請求項1に記載のスケジュール管理装置。
【請求項4】
前記検査予約情報は、被検体の検査予定日と、前記検査予定日に行われる前記被検体の検査で使用予定の前記超音波プローブの種類及び前記被検体の過去の検査で使用された前記超音波プローブの種類の少なくとも一方に関する情報を含み、
前記推定部は、前記検査予定日と、前記使用予定の前記超音波プローブの種類及び過去の検査で使用された前記超音波プローブの種類の少なくとも一方に関する情報とから、前記超音波プローブの使用スケジュールを推定する、
請求項1に記載のスケジュール管理装置。
【請求項5】
前記暫定決定部は、複数の前記超音波プローブの点検履歴を含む前記点検履歴情報から、前記複数の前記超音波プローブのそれぞれの点検予定時期を前記第1の点検スケジュールとして暫定的に決定し、
前記決定部は、同一種類の前記超音波プローブに関して、前記使用スケジュールにおける前記超音波プローブの使用時期と、前記第1の点検スケジュールにおける前記超音波プローブの点検時期とが重ならないように前記第1の点検スケジュールを調整して、前記超音波プローブの第2の点検スケジュールを決定する、
請求項1に記載のスケジュール管理装置。
【請求項6】
前記暫定決定部は、複数の前記超音波プローブの点検履歴を含む前記点検履歴情報から、前記複数の前記超音波プローブのそれぞれの点検予定時期を前記第1の点検スケジュールとして暫定的に決定し、
前記決定部は、同一種類の前記超音波プローブに関して、前記使用スケジュールにおける前記超音波プローブの使用時期と、前記第1の点検スケジュールにおける前記超音波プローブの点検時期とが重ならないように前記第1の点検スケジュールを調整すると共に、互いに類似する種類の複数の前記超音波プローブの点検時期が重ならないよう前記第1の点検スケジュールを調整して、前記超音波プローブの第2の点検スケジュールを決定する、
請求項1に記載のスケジュール管理装置。
【請求項7】
前記暫定決定部は、複数の前記超音波プローブの点検履歴を含む前記点検履歴情報から、前記複数の前記超音波プローブのそれぞれの点検予定時期を前記第1の点検スケジュールとして暫定的に決定し、
前記決定部は、同一種類の前記超音波プローブに関して、前記使用スケジュールにおける前記超音波プローブの使用時期と、前記第1の点検スケジュールにおける前記超音波プローブの点検時期とが重ならないように前記第1の点検スケジュールを調整して、前記超音波プローブの第2の点検スケジュールを決定すると共に、前記第2の点検スケジュールにおいて、前記使用時期と前記点検時期とが重ならない前記超音波プローブが複数ある場合には、前記使用時期が近い方の超音波プローブの点検時期が早くなるように、前記第2の点検スケジュールを決定する、
請求項1に記載のスケジュール管理装置。
【請求項8】
前記決定部は、前記検査予約情報の変更に伴って前記超音波プローブの使用スケジュールが変更される都度、前記第2の点検スケジュールを更新する、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載のスケジュール管理装置。
【請求項9】
前記暫定決定部は、ネットワークを介して接続される複数の超音波診断装置から、前記超音波プローブの前記点検履歴情報を取得する、
請求項1乃至8のいずれか1項に記載のスケジュール管理装置。
【請求項10】
超音波プローブの点検履歴情報から、前記超音波プローブの第1の点検スケジュールを暫定的に決定する暫定決定部と、
被検体の検査予約情報を取得する取得部と、
前記検査予約情報から前記超音波プローブの使用スケジュールを推定する推定部と、
前記第1の点検スケジュールと前記使用スケジュールとに基づいて、前記使用スケジュールにおける前記超音波プローブの使用時期と、前記第1の点検スケジュールにおける前記超音波プローブの点検時期とが重ならないように前記第1の点検スケジュールを調整して、前記超音波プローブの第2の点検スケジュールを決定する決定部と、
を備える超音波診断装置。
【請求項11】
超音波プローブの点検履歴情報から、前記超音波プローブの第1の点検スケジュールを暫定的に決定するステップと、
被検体の検査予約情報を取得するステップと、
前記検査予約情報から前記超音波プローブの使用スケジュールを推定するステップと、
前記第1の点検スケジュールと前記使用スケジュールとに基づいて、前記使用スケジュールにおける前記超音波プローブの使用時期と、前記第1の点検スケジュールにおける前記超音波プローブの点検時期とが重ならないように前記第1の点検スケジュールを調整して、前記超音波プローブの第2の点検スケジュールを決定するステップと、
をコンピュータに実行させるスケジュール管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書および図面に開示の実施形態は、スケジュール管理装置、超音波診断装置、及び、スケジュール管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置は、超音波プローブに内蔵された振動素子から発生する超音波パルスや超音波連続波を被検体内に放射し、被検体組織の音響インピーダンスの差異によって生じる超音波反射を振動素子により電気信号に変換して、被検体内の情報を非侵襲的に収集するものである。超音波診断装置を用いた医療検査は、超音波プローブを体表に接触させる操作によって、被検体内部の断層画像や3次元画像などの医用画像を容易に生成し、収集することができるため、臓器の形態診断や機能診断に広く用いられている。
【0003】
正しい診断を行うためには、超音波プローブの正常な動作が不可欠であり、このために、超音波プローブの点検が従来から行われている。超音波プローブの典型的な点検には、例えば、1年毎や2年毎のように定期的に行われる定期点検がある。近年では、超音波プローブの定期点検を法令によって義務化しようとする動きもみられる。
【0004】
一方、超音波プローブを点検しているときには、当然ながらこの超音波プローブを使用して患者を検査することはできない。このため、検査に必要な超音波プローブを確保しつつ、超音波プローブの定期点検を予定された時期に実施できるような点検スケジュールを作成することが重要となる。
【0005】
他方、医療機関の規模が大きくなると、使用する超音波プローブの数も多くなる。また、患者の検査部位や検査内容に応じて超音波プローブの種類が異なるため、超音波プローブの種類も多岐にわたる。
【0006】
このため、超音波プローブの点検スケジュールを人手で作成しようとすると非常に煩雑な作業となる。また、超音波プローブの使用予定の変更はしばしば起こり得ることであり、超音波プローブの使用予定の変更に応じて、点検スケジュールを流動的に変更することは容易ではない。
そこで、超音波プローブの点検スケジュールを容易に作成し、管理する手法が要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の1つは、超音波診断装置で用いられる超音波プローブの点検スケジュールを容易に作成し、かつ、効率よく管理できるようにすることである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施形態のスケジュール管理装置は、暫定決定部と、取得部と、推定部と、決定部とを備える。暫定決定部は、超音波プローブの点検履歴情報から、前記超音波プローブの第1の点検スケジュールを暫定的に決定する。取得部は、被検体の検査予約情報を取得する。推定部は、前記検査予約情報から前記超音波プローブの使用スケジュールを推定する。決定部は、前記第1の点検スケジュールと前記使用スケジュールとに基づいて、前記使用スケジュールにおける前記超音波プローブの使用時期と、前記第1の点検スケジュールにおける前記超音波プローブの点検時期とが重ならないように前記第1の点検スケジュールを調整して、前記超音波プローブの第2の点検スケジュールを決定する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1の実施形態のスケジュール管理装置で管理する超音波プローブを備える超音波診断装置の外観例を示す斜視図。
【
図2】複数の超音波診断装置とスケジュール管理装置と検査予約サーバとが、ネットワークに接続されるプローブ点検スケジュール管理システムの構成例を示す図。
【
図3】スケジュール管理装置の構成例を主に示すブロック図。
【
図4】実施形態のスケジュール管理装置の処理例を示すフローチャート。
【
図5】点検履歴情報取得機能及び第1点検スケジュール決定機能の処理概念を説明する図。
【
図6】検査予約情報取得機能及びプローブ使用スケジュール推定機能の処理概念を説明する図。
【
図7】第2点検スケジュール決定機能の処理概念を説明する図。
【
図8】第2の実施形態に係る第2点検スケジュール決定機能の処理概念を説明する図。
【
図9】第3の実施形態に係る第2点検スケジュール決定機能の処理概念を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態のスケジュール管理装置100(
図2参照)で管理する超音波プローブ20(以下、単にプローブ20と言う)を備える超音波診断装置1の外観の一例を示す斜視図である。
装置本体10は、キャスタ付きの本体ケースに収納される各種回路の他、ディスプレイ11及びユーザインタフェース12を備えている。
【0012】
ディスプレイ11は、装置本体10の各種回路で生成された超音波画像や各種データを表示する。ディスプレイ11は、例えば、液晶ディスプレイパネルや、有機EL(Electro Luminescence)パネルを備えて構成される。
【0013】
ユーザインタフェース12は、ユーザ操作によって、ユーザが各種のデータや情報を装置本体10に入力し、或いは、各種の動作モードを装置本体10に設定するデバイスである。
【0014】
超音波診断装置1は、複数のプローブ20を備えており、例えば、
図1に示す例では4つのプローブ20を備えている。プローブ20は、装置本体10に対して着脱可能に構成されている。
【0015】
前述したように、プローブ20の品質を維持するために、従来からプローブ20の点検が行われている。プローブ20の典型的な点検には、例えば、1年毎や2年毎のように定期的に行われる定期点検がある。
【0016】
プローブ20の点検は、例えば、1つ以上のプローブ20が装置本体10に接続された状態で行われる。プローブ20の点検の種類は特に限定するものではないが、例えば、プローブ20が備える振動素子の受信感度を計測することにより、プローブ20を点検することができる。この方法を用いた点検の場合、まず、ユーザが点検すべきプローブ20を、ユーザインタフェース12を用いて選択する。そして、例えば、ユーザインタフェース12から、「点検開始」の指示を入力する。
【0017】
「点検開始」の指示を受けると、例えば、装置本体10の送信回路から点検用の送信パルスがプローブ20に出力され、プローブ20から、点検用の超音波信号が空間に放射される。この放射信号がプローブ20の各振動素子に漏れ込み、この漏れ信号が各振動素子の点検用の超音波入力信号となる。この超音波入力信号に対する電気信号がプローブ20の各振動素子からチャネル信号として、装置本体10の画像生成回路に出力される。
【0018】
画像生成回路では、例えば、このチャネル信号の大きさを計測することにより、各振動素子の感度を計測することができる。そして、各振動素子の感度計測の結果からプローブ20の異常の有無を判定することができる。プローブ20の異常の有無などの点検結果は、例えば、ユーザインタフェース12のタッチパネル等に表示される。
【0019】
この他、例えば、点検すべきプローブ20を用いて点検用のファントムを撮像し、その画像をユーザが観察することにより、プローブ20の正常、異常をユーザが判定する、といった点検方法も考えられる。
【0020】
点検結果は、ユーザインタフェース12への表示の他、超音波診断装置1の内部の適宜のメモリに、点検履歴情報として保存される。点検履歴情報には、少なくともプローブ20の識別情報と、点検の実施日や実施時刻などの実施時期に関する情報が含まれる。
【0021】
ここで、プローブ20の識別情報には、プローブ20の種類を表すプローブ型名と、すべてのプローブ20に対して個別の異なる番号(即ち、各プローブにユニークな番号)として割り当てられるシリアル番号(製造番号と呼ばれる場合もある)とが含まれる。プローブ型名とシリアル番号は、例えば、プローブ20が具備する不揮発性メモリに保存されている。プローブ20が装置本体10に接続されると、プローブ型名とシリアル番号がプローブ20内のメモリから装置本体10に読み出される。
【0022】
そして、上述したプローブ20の点検が実施されると、当該プローブ20のプローブ型名及びシリアル番号と、点検実施時期とが、点検履歴情報として、超音波診断装置1の内部の適宜のメモリに保存される。
【0023】
図2は、複数の超音波診断装置1と、スケジュール管理装置100と、検査予約サーバ200とが、ネットワーク300に接続されるプローブ点検スケジュール管理システムの構成例を示す図である。
【0024】
複数の超音波診断装置1の夫々でプローブ20の点検が行われる、そして、上述した点検履歴情報が、各超音波診断装置1からネットワーク300を介してスケジュール管理装置100に送られる。このような構成により、スケジュール管理装置100は、各超音波診断装置1の点検履歴情報を一元的に管理することができる。スケジュール管理装置100の詳細な構成と動作については後述する。
【0025】
検査予約サーバ200は、患者の検査予約を管理する情報処理装置である。患者が診察を受け、医師等が必要であると判断した場合には、その患者の検査予約が医師等によって行われる。検査の種類は多岐にわたるが、ここでは、超音波診断装置1を用いた検査を想定している。検査予約情報には、検査対象の患者の識別情報、腹部検査や循環器検査等の検査の概要や目的を示す情報、肝臓、心臓、脚部等のプローブ20を用いて検査する検査部位や検査組織に関する情報等が含まれる。
【0026】
図2では、スケジュール管理装置100と検査予約サーバ200とを夫々別の構成として記載しているが、これらを1つの構成とすることもできる。例えば、検査予約サーバ200の機能をスケジュール管理装置100に含ませることもできる。
【0027】
また、スケジュール管理装置100の機能を、複数の超音波診断装置1の中の1つ、例えば、
図2に示すようにホストの超音波診断装置1hで実現することができる。
【0028】
図3は、
図2に例示したプローブ点検スケジュール管理システムの構成例を示すブロック図である。
図3に示すブロック図では、特に、スケジュール管理装置100の構成例を詳しく示している。
【0029】
前述したように、ネットワーク300には、複数の超音波診断装置1の他、検査予約サーバ200と、スケジュール管理装置100が接続されている。
図3では、各超音波診断装置1が1つのプローブ20を有するように記載しているが、プローブ20の数は1つに限定されるものではなく、各超音波診断装置1は複数のプローブ20、例えば、
図1に示すように4つのプローブ20を装着することができる。
【0030】
スケジュール管理装置100は、ネットワーク300を介したデータの授受を行うネットワークI/F(インターフェース)回路110の他、処理回路120、入力I/F回路130、記憶回路140、ディスプレイ150を備えて構成されている。スケジュール管理装置100は、例えば、パーソナルコンピュータやワークステーション等の情報処理装置である。
【0031】
入力I/F回路130は、例えば、マウス、キーボード、トラックボール、タッチパネル等の、各種の情報やデータを操作者が入力するための種々のデバイスであり、これらのデバイスと信号を授受する電子回路を含む。
【0032】
記憶回路140は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)の他、HDD(Hard Disk Drive)や光ディスク装置等の外部記憶装置を含む記憶媒体である。記憶回路140は、各種の情報やデータを記憶する他、処理回路120が具備するプロセッサが実行する各種のプログラムを記憶する。
ディスプレイ150は、液晶ディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネル、有機ELパネル等の表示デバイスである。
【0033】
処理回路120は、例えば、CPUや、専用又は汎用のプロセッサを備える回路である。プロセッサは、記憶回路140に記憶した各種のプログラムを実行することによって、後述する各種の機能を実現する。処理回路120は、FPGAやASIC等のハードウェアで構成してもよい。これらのハードウェアによっても後述する各種の機能を実現することができる。また、処理回路120は、プロセッサとプログラムによるソフトウェア処理と、ハードウェア処理とを組わせて、各種の機能を実現することもできる。
【0034】
スケジュール管理装置100では、検査予約情報取得機能F10、プローブ使用スケジュール推定機能F11、点検履歴情報取得機能F12、第1点検スケジュール決定機能F13、及び、第2点検スケジュール決定機能F14を、処理回路120によって実現する。
【0035】
点検履歴情報取得機能F12は、例えば各超音波診断装置1からプローブ20の点検履歴情報を取得する。第1点検スケジュール決定機能F13は、取得した点検履歴情報から、プローブ20の点検スケジュール(第1の点検スケジュール)を暫定的に決定する。
【0036】
検査予約情報取得機能F10は、例えば検査予約サーバ200から、被検体(例えば、患者)の検査予約情報を取得する。プローブ使用スケジュール推定機能F11は、取得した検査予約情報からプローブ20の使用スケジュールを推定する。
【0037】
第2点検スケジュール決定機能F14は、プローブ20の点検スケジュールと、プローブ20の使用スケジュールとに基づいて、使用スケジュールにおけるプローブ20の使用時期と、点検スケジュールにおけるプローブ20の点検時期とが重ならないように第1の点検スケジュールを調整して、プローブ20の第2の点検スケジュールを決定する。
【0038】
決定された第2の点検スケジュールは、例えばディスプレイ150に表示されて、プローブ20の点検を担当するユーザに通知される。また、決定された第2の点検スケジュールを、ネットワーク300を介して、複数の超音波診断装置1の夫々に配信するようにしてもよい。これにより、超音波診断装置1の夫々のユーザ、例えば医師や検査技師に対して、点検すべきプローブ20とその点検時期を適切に通知することができる。
【0039】
図4は、スケジュール管理装置100の処理例を示すフローチャートである。以下、
図4のフローチャートと、
図5乃至
図9に示す動作説明図を用いて、処理回路120で実現される上述の各機能をより具体的に説明する。
【0040】
まず、
図4のステップST101で、点検履歴情報取得機能F12が、プローブ20の点検履歴情報を取得する。また、ステップST102で、第1点検スケジュール決定機能F13が、プローブ20の第1の点検スケジュールを暫定的に決定する。
【0041】
図5は、ステップST101及びステップST102の処理概念を説明する図である。
図5の左側には、複数の超音波診断装置1(例えば、超音波診断装置#A~超音波診断装置#F)の夫々で生成し保持している点検履歴情報500の一例を示している。前述したように、点検履歴情報500は、プローブ20の種類を表すプローブ型名、プローブ20毎のユニークな番号を表すシリアル番号、及び、このプローブの直近の過去の点検日を表す最新点検日、に関する情報を少なくとも含んでいる。
【0042】
それぞれの超音波診断装置1は、保持しているプローブ20に関する点検履歴情報500を、それぞれの超音波診断装置1が保持する適宜のメモリに保存している。例えば、超音波診断装置#Aは、セクタプローブA(シリアル番号 AAAA)、セクタプローブB(シリアル番号 BBBB)、リニアプローブA(シリアル番号 CCCC)、コンベックスプローブA(シリアル番号 DDDD)の4つのプローブのそれぞれの最新点検日が、2020年6月12日、2020年8月3日、2020年2月28日、2020年5月8日、であるという点検履歴情報500を保有している。
【0043】
各超音波診断装置1が保有している点検履歴情報500は、ネットワーク300を介して、点検履歴情報取得機能F12によって収集される。そして、第1点検スケジュール決定機能F13は、収集した複数の点検履歴情報500から、プローブ20の点検スケジュール(第1の点検スケジュール)を暫定的に決定する。
【0044】
図5の右側に示す表は、第1の点検スケジュール510の一例を示す図である。第1点検スケジュール決定機能F13は、それぞれの超音波診断装置1から取得した点検履歴情報500を集め、プローブごとに、最新点検時期(最新点検日)の早い順に並び替える。その後、各最新点検時期に基づいて、次回の点検時期を暫定的に決定する。ここで、「暫定的」に決定するという意味は、第1の点検スケジュール510における次回点検時期は、最終的に決定されたものではなく、後述するように、プローブ20の使用状況に応じてその点検時期が調整され得るからである。
【0045】
次回点検時期の決定方法は特に限定するものではないが、例えば、プローブ20の点検を定期的に行うものとして、定期点検の間隔と、最新点検時期とから決定することができる。定期点検の間隔は、例えば、1年であったり、2年であったりする。
図5に示した第1の点検スケジュール510の例では、定期点検の間隔を1年としている。したがって、各プローブ20の次回点検時期は、それぞれの最新点検時期に1年を加算した時期となっている。例えば、第1の点検スケジュール510の表の1番目の行にあるセクタプローブA(シリアル番号 EEEE)のプローブ20の最新点検時期は、2020年2月21日であるため、このプローブ20の次回点検時期は、1年後の2021年2月21日となっている。また、第1の点検スケジュール510の表の2番目の行にあるセクタプローブB(シリアル番号 FFFF)のプローブ20の最新点検時期は、2020年2月28日であるため、このプローブ20の次回点検時期は、1年後の2021年2月28日となっている。
このようにして、
図4のステップST102では、プローブの第1の点検スケジュールが暫定的に決定される。
【0046】
一方、
図4のステップST103では、検査予約情報取得機能F10が、例えば検査予約サーバ200から、検査予約情報を取得する。また、ステップST104では、プローブ使用スケジュール推定機能F11が、取得した検査予約情報から、検査で用いられるプローブの使用スケジュールを推定する。
図6は、ステップST103及びステップST104の処理概念を説明する図である。
【0047】
図6の上段は、検査予約情報520の一例を示す表である。検査予約情報520は、例えば、図示しない検査予約システムを用いて医師等が設定する情報であり、設定された検査予約情報520は、例えば、検査予約サーバ200に保存される。
【0048】
検査予約情報520には、検査対象の患者の識別情報、検査日、検査の時間帯(或いは、検査の開始時刻)に加えて、例えば腹部検査や循環器検査等の検査の目的や、肝臓、腎臓、冠動脈等の検査の対象となる検査部位(即ち、解剖学的部位)の臓器名や器官名が含まれ得る。
【0049】
図6の下段は、検査予約情報520から推定されるプローブ使用スケジュール530の一例を示す表である。プローブ使用スケジュール推定機能F11は、検査予約情報520を参照し、検査予約情報520に含まれる検査の目的や、検査部位の情報に基づいて、当該検査で使用が予想されるプローブの種類(或いは、プローブの種類に対応するプローブ型名)を推定する。
【0050】
例えば、腹部の検査では、コンベックス走査対応の種類のプローブが使用されることが多いため、コンベックス走査対応の種類のプローブや、この種類に対応するプローブ型名のプローブを、腹部検査に使用されるプローブとして推定することが可能である。そこで、例えば、2021年2月15日(月)の8時から10時までの時間帯の検査(腹部検査)では、コンベックス走査プローブに対応するプローブ型名である「コンベックスプローブA」を、この時間帯に使用されるプローブとして推定することができる。
【0051】
また、心臓や冠動脈等の循環器系の検査では、セクタ走査対応の種類のプローブが使用されることが多いため、セクタ走査対応の種類のプローブや、この種類に対応するプローブ型名のプローブを、循環器検査に使用されるプローブとして推定することが可能である。例えば、2021年2月15日(月)の13時から15時までの時間帯の検査(胸部検査)や、2021年2月19日(金)の8時から10時までの時間帯の検査(循環器検査)では、セクタ走査プローブに対応するプローブ型名である「セクタプローブA」を、この時間帯に使用されるプローブとして推定することができる。
【0052】
この他、右下肢等の脚部検査や、手指検査などでは、それぞれの検査に適したプローブの種類があるため、それぞれの検査に適したプローブ型名のプローブを、例えば、2021年2月17日(水)の8時から10時までの時間帯や、13時から15時までの時間帯の検査に使用するプローブとして推定できる。
上記のようにして、
図4のステップST104では、検査予約情報520からプローブの使用スケジュール530を推定する。
【0053】
なお、検査予約情報520に、医師或いは検査技師等が、該当する検査で使用予定のプローブ20の型名等を含ませることも考えられる。この場合には、検査予約情報520から、各検査で使用予定のプローブ20の型名を抽出し、抽出したプローブ型名から、プローブ使用スケジュール530を生成することもできる。或いは、検査予約情報520に、同じ患者に対する過去の検査や、類似の種類の過去の検査において使用されたプローブの種類やプローブ型名を含ませても良い。
【0054】
図4に戻り、
図4のステップST105では、第2点検スケジュール決定機能F14が、プローブ使用スケジュール530におけるプローブの使用時期と、第1の点検スケジュール510におけるプローブの点検時期とが重ならないように、第1の点検スケジュール510を調整して、第2の点検スケジュールを決定する。
【0055】
図7は、ステップST105の処理概念を説明する図である。
図7の左下の表は、第1の点検スケジュール510を示す表であり、
図5の右側の表の一部を切り取ったものである。
図7の上段の表は、
図6の下段に示したプローブ使用スケジュール530に、動作説明用のハッチングや太枠等を付したものである。そして、
図7の右下に、ステップST105の処理によって決定される第2の点検スケジュール540の一例を示している。
【0056】
例えば、ステップST105では、同一種類のプローブ20に関して、使用スケジュール530におけるプローブの使用時期と、暫定的に決定されている第1の点検スケジュール510におけるプローブの点検時期とが互いに重ならないように、第1の点検スケジュールを調整して、第2の点検スケジュール540を決定する。
【0057】
例えば、第1の点検スケジュール510では、プローブ型名 セクタプローブA、シリアル番号 EEEEのプローブの次回点検時期が2021年2月21日、であると記載されている。次回点検時期は次回の点検の期限日を示している。つまり、次回点検時期は、当該プローブの次回の点検を、2021年2月21日までに実施すべきであることを意味している。例えば、当該プローブの次回の点検を、2021年2月21日を含む、2021年2月21日から所定の範囲だけ前の期間に点検すべきであることを意味している。
【0058】
一方、プローブ使用スケジュール530からは、2021年2月21日よりも前の1週間の期間(ウィークデイ)において、当該プローブと同じ型名であるプローブ型名 セクタプローブAのプローブが、2021年2月15日(月)、2月16日(火)、及び、2月19日(金)で使用予定であることが判る。
【0059】
そこで、第2点検スケジュール決定機能F14は、ステップST105において、2021年2月21日よりも前の期間において、プローブ型名 セクタプローブAのプローブの使用時期と重ならない、即ち、プローブ型名 セクタプローブAのプローブの使用予定のない時期である、2021年2月17日(水)と2月18日(木)とを、プローブ型名 セクタプローブA、シリアル番号 EEEEのプローブの次回点検時期の候補日であると決定する。例えば、より早いほうの時期の2021年2月17日(水)を第1点検候補日とし、遅い方の2月18日(木)を第2点検候補日として決定する。このようにして、ステップST105では、第1の点検スケジュール510を調整して、第2の点検スケジュール540を決定する。
【0060】
(第2の実施形態)
図8は、第2の実施形態に係るスケジュール管理装置100における、ステップST105(第2点検スケジュール決定機能)の動作概念を説明する図である。第2の実施形態と、前述した第1の実施形態との差異は、ステップST105の処理だけである。第2の実施形態では、同一種類のプローブ20に関して、使用スケジュール530におけるプローブの使用時期と、暫定的に決定されている第1の点検スケジュール510におけるプローブの点検時期とが互いに重ならないようにすると共に、類似種類のプローブの点検時期が重ならないように、第1の点検スケジュール510を調整して、第2の点検スケジュール540を決定する。
【0061】
ある種類のプローブを使用する検査は、この種類に類似する種類のプローブを使用しても実施可能である場合がしばしばある。そして、検査予約の変動により、ある日の検査に使用を予定していた種類のプローブが故障などによって使用不可となったり、同じ検査予定日の検査の数が増加したりする場合も起こり得る。このような場合、同一種類のプローブと、これに類似する種類のプローブが同じ時期に点検することになると、検査予約の変動に柔軟に対応できなくなる可能性がある。
【0062】
そこで、第2の実施形態では、同一種類のプローブだけでなく、類似種類のプローブの点検時期をも重ならないように、第1の点検スケジュールを調整して、第2の点検スケジュールを決定するようにしている。
【0063】
例えば、
図8に示すように、プローブ型名 セクタプローブAのプローブに類似するプローブである、プローブ型名 セクタプローブB、シリアル番号 FFFFのプローブの点検時期を決定するのに際して、2021年2月17日(水)と2月18日(木)は、プローブ型名 セクタプローブBの使用予定はないものの、プローブ型名 セクタプローブBに類似するプローブ型名 セクタプローブAは、2021年2月17日(水)が第1の点検候補日として決定されており、2月18日(木)が第2の点検候補日として決定されている。そこで、第2の実施形態では、プローブ型名 セクタプローブB、シリアル番号 FFFFのプローブと同一種類であるプローブ型名 セクタプローブBの使用予定がなく、かつ、プローブ型名 セクタプローブBに類似する種類のプローブ型名 セクタプローブAのプローブの点検のない、2021年2月15日(月)及び2月16日(火)を、それぞれ第1点検候補日及び第2点検候補日として決定している。
【0064】
(第3の実施形態)
図9は、第3の実施形態に係るスケジュール管理装置100における、ステップST105(第2点検スケジュール決定機能)の動作概念を説明する図である。第3の実施形態と、前述した第1、第2の実施形態との差異は、ステップST105の処理だけである。第3の実施形態では、同一種類のプローブ20に関して、使用スケジュール530におけるプローブの使用時期と、暫定的に決定されている第1の点検スケジュール510におけるプローブの点検時期とが互いに重ならないようにすると共に、上記使用時期と上記点検時期とが重ならないプローブが複数ある場合には、使用時期が近い方(即ち、使用時期が先に来る方)のプローブの点検時期が早くなるように、第1の点検スケジュール510を調整して、第2の点検スケジュール540を決定する。
【0065】
例えば、
図9に示すように、プローブ型名 リニアプローブA、シリアル番号 CCCCのプローブの点検時期を決定するのに際して、2021年2月15日(月)と2月16日(火)は、プローブ型名 リニアプローブAのプローブとプローブ型名 セクタプローブBのプローブのどちらも使用予定はない。しかしながら、プローブ型名 セクタプローブBのプローブの使用予定日が2021年2月19日(金)であるのに対して、プローブ型名 リニアプローブAのプローブの使用予定日は2021年2月17日(火)であり、プローブ型名 リニアプローブAのプローブの使用予定日の方が先に来ることになる。そこで、第3の実施形態では、プローブ型名 リニアプローブA、シリアル番号 CCCCのプローブの点検時期として2021年2月15日(月)を第1点検候補日とし、2月16日(火)を第2点検候補日として決定している。
【0066】
(第4の実施形態)
一方、上述したように、検査予約情報は、検査対象の患者の都合や医師の都合、検査機材の状況等により、日々変化し得る。そこで、第4の実施形態に係るスケジュール管理装置100では、検査予約情報の変更に伴って超音波プローブの使用スケジュールが変更される都度、第2の点検スケジュールを更新するように構成される。例えば、第4の実施形態のプローブ使用スケジュール推定機能F11は、ステップST101で検査予約情報520が取得される都度、検査予約情報520の変更の有無を監視する。そして、変更があったと判断される場合には、その変更に応じて、プローブ使用スケジュール530を更新する。さらに、第4の実施形態の第2点検スケジュール決定機能F14は、検査予約情報520の変更があった場合には、その変更に応じて、第2の点検スケジュール540を更新する。この結果、プローブ20の点検時期が早まることもあるし、逆に、遅くなることもあり得る。
【0067】
第4の実施形態によれば、検査予約の変更に応じて、プローブの点検スケジュール管理を柔軟に行うことができる。
【0068】
なお、各実施形態の検査予約情報取得機能、プローブ使用スケジュール推定機能、第1点検スケジュール決定機能、及び、第2点検スケジュール決定機能は、夫々、特許請求の範囲の記載における、取得部、推定部、暫定決定部、及び、決定部の一例である。
【0069】
以上説明してきたように、各実施形態のスケジュール管理装置、超音波診断装置、及び、スケジュール管理プログラムによれば、超音波診断装置で用いられる超音波プローブの点検スケジュールを容易に作成し、かつ、効率よく管理できる。
【0070】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0071】
1 超音波診断装置
10 装置本体
20 プローブ
100 スケジュール管理装置
120 処理回路
200 検査予約サーバ
F10 検査予約情報取得機能
F11 プローブ使用スケジュール推定機能
F12 点検履歴情報取得機能
F13 第1点検スケジュール決定機能
F14 第2点検スケジュール決定機能