(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-01
(45)【発行日】2024-08-09
(54)【発明の名称】通行料金再計算システム、通行料金再計算装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/40 20240101AFI20240802BHJP
G07B 15/00 20110101ALI20240802BHJP
【FI】
G06Q50/40
G07B15/00 P
G07B15/00 M
(21)【出願番号】P 2021062258
(22)【出願日】2021-03-31
【審査請求日】2023-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】山中 隆幸
(72)【発明者】
【氏名】古賀 貴
(72)【発明者】
【氏名】中石 和彦
(72)【発明者】
【氏名】春名 秀和
【審査官】小山 和俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-346464(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G07B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有料道路を通行するための通行料金を事前精算するための事前精算装置と、通行料金再計算装置と、を備える通行料金再計算システムであって、
前記事前精算装置は、
前記事前精算を行う車両を識別する第1車両識別情報を取得する車両識別情報取得部と、
前記車両が、前記有料道路の第1出口を通過する予定の時刻である通過予定時刻の情報を取得する通過予定情報取得部と、
前記
通過予定情報取得部が取得した前記
通過予定時刻の情報に基づいて、前記車両が
前記第1出口まで前記有料道路を走行する場合に生じる事前精算料金を算出する事前精算料金算出部と、
前記車両識別情報取得部が取得した前記第1車両識別情報について、前記事前精算料金算出部が算出した前記事前精算料金を取得する事前精算料金取得部と、
を備え、
前記通行料金再計算装置は、
前記事前精算装置から、前記第1車両識別情報と、前記事前精算で支払われた前記事前精算料金の情報と、を含む事前精算情報を受信する事前精算情報受信部と、
前記有料道路の前記
第1出口
を識別する情報と、前記第1出口を通過する車両を識別する第2車両識別情報
とを含む車両通過情報を受信する車両通過情報受信部と、
前記第1出口までの前記有料道路で通行止めが発生した場合に、前記第1出口とは異なる出口であって、前記通行止めを回避するための第2出口を識別する情報と、前記第2出口を通過する車両を識別する第3車両識別情報とを含む通行止め情報を受信する通行止め情報受信部と、
前記第1出口までの前記有料道路で通行止めが発生していない場合に、前記事前精算情報受信部が受信した前記事前精算情
報と、前記車両通過情報受信部が受信した前記車両通過情
報とに基づき、前記通行料金を再計算
し、
前記第1出口までの前記有料道路で通行止めが発生した場合に、前記事前精算情報受信部が受信した前記事前精算情報と、前記通行止め情報受信部が受信した前記通行止め情報とに基づき、前記通行料金を再計算する通行料金再計算部と、
を備える通行料金再計算システム。
【請求項2】
有料道路を通行するための通行料金を事前精算するための事前精算装置から、前記事前精算を行った車両を識別する第1車両識別情報と、前記事前精算で支払われた事前精算料金の情報と、を含む事前精算情報を受信する事前精算情報受信部と、
前記有料道路の
第1出口
を識別する情報と、前記第1出口を通過する車両を識別する第2車両識別情報を含む車両通過情報を受信する車両通過情報受信部と、
前記第1出口までの前記有料道路で通行止めが発生した場合に、前記第1出口とは異なる出口であって、前記通行止めを回避するための第2出口を識別する情報と、前記第2出口を通過する車両を識別する第3車両識別情報を含む通行止め情報を受信する通行止め情報受信部と、
前記第1出口までの前記有料道路で通行止めが発生していない場合に、前記事前精算情報受信部が受信した前記事前精算情
報と、前記車両通過情報受信部が受信した前記車両通過情
報とに基づき、前記通行料金を再計算
し、
前記第1出口までの前記有料道路で通行止めが発生した場合に、前記事前精算情報受信部が受信した前記事前精算情報と、前記通行止め情報受信部が受信した前記通行止め情報とに基づき、前記通行料金を再計算する通行料金再計算部と、
を備える通行料金再計算装置。
【請求項3】
前記事前精算情報受信部が受信した前記事前精算情報で特定される前記事前精算料金と、前記通行料金再計算部が再計算した前記通行料金と、が一致しているか否かを判定する判定部と、
前記判定部が、前記事前精算料金と前記通行料金とが一致していないと判定した場合に、前記事前精算料金と前記通行料金との差額の精算処理を行う精算処理部と、
を更に備える請求項2に記載の通行料金再計算装置。
【請求項4】
前記車両通過情報受信部は、前記車両が前記有料道路の前記
第1出口を実際に通過する通過時刻の情報を、更に受信し、
前記通行料金再計算部は
、前記事前精算情報受信部が受信した前記事前精算情報と、前記車両通過情報受信部が受信した前記車両通過情報と、前記車両通過情報受信部が受信した前記通過時刻と、に基づいて、前記通行料金を再計算する
請求項2又は3に記載の通行料金再計算装置。
【請求項5】
通行料金再計算装置のコンピュータに、
有料道路を通行するための通行料金を事前精算するための事前精算装置から、前記事前精算を行った車両を識別する第1車両識別情報と、前記事前精算で支払われた事前精算料金の情報と、を含む事前精算情報を受信する事前精算情報受信ステップと、
前記有料道路の
第1出口
を識別する情報と、前記第1出口を通過する車両を識別する第2車両識別情報を含む車両通過情報を受信する車両通過情報受信ステップと、
前記第1出口までの前記有料道路で通行止めが発生した場合に、前記第1出口とは異なる出口であって、前記通行止めを回避するための第2出口を識別する情報と、前記第2出口を通過する車両を識別する第3車両識別情報を含む通行止め情報を受信する通行止め情報受信ステップと、
前記第1出口までの前記有料道路で通行止めが発生していない場合に、前記事前精算情報受信ステップで受信した前記事前精算情
報と、前記車両通過情報受信ステップで受信した前記車両通過情
報とに基づき、前記通行料金を再計算
し、
前記第1出口までの前記有料道路で通行止めが発生した場合に、前記事前精算情報受信ステップで受信した前記事前精算情報と、前記通行止め情報受信ステップで受信した前記通行止め情報とに基づき、前記通行料金を再計算する通行料金再計算ステップと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通行料金再計算システム、通行料金再計算装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
日本では、有料道路の通行料金の支払い方法として、電子式料金収受システム(Electronic Toll Collection System;ETC(登録商標)、「自動料金収受システム」とも言う)を用いて電子的に支払う方法と、有料道路の入口で発行される通行券を用いて、車両を料金所で停車させて、通行料金を係員に手渡しで支払う方法がある。つまり、現在は、有料道路の通行料金の支払いは、電子的に行うことも可能であり、手渡しで行うことも可能である。しかし、将来、たとえば都心部等一部の地域では、電子的な支払い方法でしか、有料道路の通行料金を支払えなくなる可能性がある。
【0003】
都心部で、有料道路の通行料金が電子的にしか支払えなくなった場合であっても、地方部では、引き続き、手渡しで、料金所の係員に通行料金を支払うことは可能である。しかし、地方部と都心部を結ぶ有料道路を、地方部から都心部に向けて走行してきた場合に、電子的な通行料金の支払いを行うことができない車両は、都心部で、有料道路の通行料金を支払うことができなくなる。
【0004】
このような場合において、特許文献1は、高速道路などの有料道路で、地方部から都心部に入る前に、車両の運転手が自己申告した出口までの料金を事前に支払い、都心部の有料道路では、電子的な通行料金の支払いを行う必要のない技術について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、(i)運転手が自己申告した出口とは異なる出口から有料道路を降りた場合や、(ii)有料道路の通行料金が、時間帯に応じて割引される場合や、(iii)有料道路上で通行止めが発生した際に、通行止めが発生した区間の手前の出口で有料道路を降り、その区間の先の入口から有料道路に入り直して、当初目的としていた出口に向かう場合には、事前に支払った通行料金と、実際にかかる通行料金とに差が生じる。このような場合に、特許文献1で開示されている技術では、有料道路などの有料道路で事前精算を行った後は、車両を停車させて、有料道路の係員と直接やりとりをしなければ、適切な通行料金の精算を行うことはできない。
【0007】
本開示は上記課題を解決するためになされたものであって、有料道路の通行料金を事前精算した後でも、車両を停車させることなく、適切な通行料金の精算を行うことができる通行料金再計算システム、通行料金再計算装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本開示に係る通行料金再計算システムは、有料道路を通行するための通行料金を事前精算するための事前精算装置と、通行料金再計算装置と、を備える通行料金再計算システムであって、前記事前精算装置は、前記事前精算を行う車両を識別する第1車両識別情報を取得する車両識別情報取得部と、前記車両識別情報取得部が取得した前記第1車両識別情報に基づいて、前記車両が出口まで前記有料道路を走行する場合に生じる事前精算料金を算出する事前精算料金算出部と、前記事前精算料金算出部が算出した前記事前精算料金を取得する事前精算料金取得部と、を備え、前記通行料金再計算装置は、前記事前精算装置から、前記第1車両識別情報と、前記事前精算で支払われた前記事前精算料金の情報と、を含む事前精算情報を受信する事前精算情報受信部と、前記有料道路の前記出口を通過する車両を識別する第2車両識別情報を含む車両通過情報を受信する車両通過情報受信部と、前記事前精算情報受信部が受信した前記事前精算情報に含まれる前記第1車両識別情報と、前記車両通過情報受信部が受信した前記車両通過情報に含まれる前記第2車両識別情報と、を照合する照合部と、前記照合部による前記照合の結果に基づき、前記通行料金を再計算する通行料金再計算部と、を備える。
【0009】
また、上記課題を解決するために、本開示に係る通行料金再計算装置は、有料道路を通行するための通行料金を事前精算するための事前精算装置から、前記事前精算を行った車両を識別する第1車両識別情報と、前記事前精算で支払われた事前精算料金の情報と、を含む事前精算情報を受信する事前精算情報受信部と、前記有料道路の出口を通過する車両を識別する第2車両識別情報を含む車両通過情報を受信する車両通過情報受信部と、前記事前精算情報受信部が受信した前記事前精算情報に含まれる前記第1車両識別情報と、前記車両通過情報受信部が受信した前記車両通過情報に含まれる前記第2車両識別情報と、を照合する照合部と、前記照合部による前記照合の結果に基づき、前記通行料金を再計算する通行料金再計算部と、を備える。
【0010】
また、上記課題を解決するために、本開示に係る事前精算装置は、有料道路を通行するための通行料金を事前精算する車両を識別する車両識別情報を取得する車両識別情報取得部と、前記車両が、前記有料道路の出口を通過する予定の時刻である通過予定時刻の情報を取得する通過予定情報取得部と、前記車両識別情報取得部が取得した前記車両識別情報と、前記通過予定情報取得部が取得した前記通過予定時刻と、に基づいて、事前精算料金を算出する事前精算料金算出部と、前記事前精算料金算出部が算出した前記事前精算料金を取得する事前精算料金取得部と、を備える。
【0011】
また、上記課題を解決するために、本開示に係るプログラムは、通行料金再計算装置のコンピュータに、有料道路を通行するための通行料金を事前精算するための事前精算装置から、前記事前精算を行った車両を識別する第1車両識別情報と、前記事前精算で支払われた事前精算料金の情報と、を含む事前精算情報を受信する事前精算情報受信ステップと、前記有料道路の出口を通過する車両を識別する第2車両識別情報を含む車両通過情報を受信する車両通過情報受信ステップと、前記事前精算情報受信ステップで受信した前記事前精算情報に含まれる前記第1車両識別情報と、前記車両通過情報受信ステップで受信した前記車両通過情報に含まれる前記第2車両識別情報と、を照合する照合ステップと、前記照合ステップでの前記照合の結果に基づき、前記通行料金を再計算する通行料金再計算ステップと、を実行させる。
【0012】
また、上記課題を解決するために、本開示に係るプログラムは、事前精算装置のコンピュータに、有料道路を通行するための通行料金を事前精算する車両を識別する車両識別情報を取得する車両識別情報取得ステップと、前記車両識別情報取得ステップで取得した前記車両識別情報に基づいて、前記車両が出口まで前記有料道路を走行する場合に生じる事前精算料金を算出する事前精算料金算出ステップと、前記事前精算料金算出ステップで算出した前記事前精算料金を取得する事前精算料金取得ステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、有料道路の通行料金を事前精算した後でも、車両を停車させることなく、適切な通行料金の精算を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本開示の通行料金再計算システムが適用される対象を説明する図である。
【
図2】本開示の通行料金再計算システムの構成を示す概略図である。
【
図3】本開示の第1実施形態に係る通行料金再計算システムの構成を示す概略図である。
【
図4】本開示の第1実施形態に係る事前精算装置の構成を示す概略ブロック図である。
【
図5】本開示の第1実施形態で用いられる入口情報の一例を示す図である。
【
図6】本開示の第1実施形態で用いられる事前精算情報の一例を示す図である。
【
図7】本開示の第1実施形態に係る通行料金再計算装置の構成を示す概略ブロック図である。
【
図8】本開示の第1実施形態で用いられる車両通過情報の一例を示す図である。
【
図9】本開示の第1実施形態に係る事前精算装置の処理を示すフローチャートである。
【
図10】本開示の第1実施形態に係る通行料金再計算装置により行われる逐次処理を示すフローチャートである。
【
図11】本開示の第1実施形態に係る通行料金再計算装置により行われる通行料金精算処理を示すフローチャートである。
【
図12】本開示の第1実施形態に係る通行料金再計算システムの構成を示す概略図である。
【
図13】本開示の第2実施形態に係る通行料金再計算装置の構成を示す概略ブロック図である。
【
図14】本開示の第2実施形態で用いられる車両通過情報の一例を示す図である。
【
図15】本開示の第2実施形態に係る通行料金再計算装置により行われる逐次処理を示すフローチャートである。
【
図16】本開示の第2実施形態に係る通行料金再計算装置により行われる通行料金精算処理を示すフローチャートである。
【
図17】本開示の第2実施形態に係る通行料金再計算装置により行われる通行止めが発生している場合の通行料金確定処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示に係る通行料金再計算システムについて、
図1から
図17を参照して説明する。
【0016】
図1は、本開示の通行料金再計算システムが適用される対象を説明する図である。
図1では、都心部A1と、その都心部A1に隣接する地方部とを結ぶ高速道路などの有料道路R1~R8の道路マップを模式的に示している。
図1では、都心部A1に環状の有料道路R1が存在し、地方部に環状の有料道路R2が存在する場合を示している。また、
図1では、地方部から、都心部A1の環状の有料道路R1までを結ぶ有料道路R3~R8が存在する場合を示している。
【0017】
なお、地方部の有料道路R5を利用して、都心部A1に向かう際には、地方部に存在する有料道路R5の入口B1などから有料道路R5に入る。本開示では、地方部では、有料道路の通行料金の支払いを電子的および手渡しのどちらでも行うことができるものの、都心部A1では、有料道路の通行料金の支払いを電子的にしか行うことができない場合について説明する。
【0018】
そのため、
図1では、地方部から都心部A1に向かう車両の運転手が、都心部A1の有料道路に入る前に、都心部A1の有料道路を走行する場合に生じる必要な通行料金を事前に支払うことができるように、有料道路が地方部から都心部A1に入る直前に、事前精算装置が設置されたスペースC1~C6が設けられる。なお、地方部の有料道路のサービスエリアやパーキングエリアなどの所定のスペースD1に、事前精算装置を設けるようにしてもよい。
【0019】
図2は、本開示の通行料金再計算システム100の構成を示す概略図である。通行料金再計算システム100は、都心部A1の有料道路の出口から車両が出るときに、出口や出口通過時刻に基づいて、通行料金を再計算する通行料金再計算装置400を備える。通行料金再計算装置400は、地方部の有料道路の入口B1に設置される発券機やカメラと、LAN(Local Area Network)などのネットワークN1を介して接続される。カメラは、入口B1から有料道路R5に入る車両の車両識別情報(ここでは、ナンバープレート)を撮影する。発券機は、車両が、入口B1から有料道路R5に入る際に、カメラが撮影した車両識別情報と、車両が入口B1を通過する時刻とを記載した通行券を発行する。
【0020】
また、通行料金再計算装置400は、有料道路R5が地方部から都心部A1に入る直前のスペースC3に設置される事前精算装置や、地方部の有料道路R3のサービスエリアやパーキングエリアなどの所定のスペースD1に設置される事前精算装置と、ネットワークN1を介して接続される。事前精算装置は、電子式料金収受システムによる電子的な通行料金の支払いを行う車載器を備えていない車両の運転手が、地方の有料道路から、都心部A1の有料道路に入る前に、都心部A1の有料道路で必要と見込まれる通行料金を事前精算するために用いられる。
【0021】
また、通行料金再計算装置400は、有料道路R1の入口E2、出口E1に設けられるカメラや無線通信装置と、ネットワークN1を介して接続される。カメラは、有料道路の入口E2や出口E1を通過する車両の車両識別情報を撮影する。無線通信装置は、電子式料金収受システムにより、電子的に通行料金を徴収するために、入口E2、出口E1を通過する車両の車載器と、無線で通信する。
【0022】
次に、本開示に係る通行料金再計算システムを、より具体的に説明する。
【0023】
<第1実施形態>
図3は、本開示の第1実施形態に係る通行料金再計算システム100aの構成を示す概略図である。通行料金再計算システム100aは、事前精算装置200、入口装置300a、出口装置300b、300c、通行料金再計算装置400aを備える。ここでは、地方部の入口から有料道路に入った車両Cの運転手が、地方部の有料道路に設置されている事前精算装置200で事前精算を行い、入口装置300aが設置されている都心部A1と地方部の境界のゲートを通過して、都心部A1の有料道路10aに入る場合について説明する。
【0024】
図4は、本開示の第1実施形態に係る事前精算装置200(
図3)の構成を示す概略ブロック図である。事前精算装置200は、制御部201、事前精算情報記憶部202、表示部203、通信インタフェース204を備える。制御部201は、CPU(Central Processing Unit)などにより実現され、車両識別情報取得部2011、通過予定情報取得部2012、事前精算料金算出部2013、事前精算料金取得部2014、事前精算情報送信部2015を備える。
【0025】
車両識別情報取得部2011は、車両Cの運転手が、有料道路に入る時に、発券機から取得した通行券に記載されている情報を読み取ることにより、有料道路10aを通行するための通行料金を事前精算する車両Cを識別する車両識別情報(つまり、ナンバープレートに記載されている番号)を取得する。
【0026】
図5は、本開示の第1実施形態で用いられる入口情報Z1の一例を示す図である。入口情報Z1は、車両Cの運転手が、事前精算装置200に挿入する通行券に記載されている情報である。入口情報Z1では、車両識別情報(例えば、1000001)と、車両Cが有料道路に入った入口を識別する入口識別情報(例えば、20001)と、その車両Cが、入口を通過した時刻である入口通過時刻(例えば、2021年02月01日22時00分)とが対応付けて記憶される。
【0027】
図4の説明に戻り、通過予定情報取得部2012は、車両Cの運転手が、有料道路10aを降りることを予定している出口と、その出口を通過する予定の時刻である通過予定時刻の情報を取得する。通過予定情報取得部2012は、表示部203に、都心部A1の有料道路の地図を表示させるとともに、都心部A1の有料道路の出口を表示させることにより、車両Cの運転手が、有料道路10aを降りることを予定している出口を選択させるようにしてもよい。また、通過予定情報取得部2012は、出口を通過する予定の時刻である通過予定時刻を、車両Cの運転手に直接入力させることにより取得したり、現在の有料道路10aの交通状況に基づいて定まる平均車速と、目的地までの距離とから、事前精算装置200側で通過予定時刻を算出したりする。
【0028】
事前精算料金算出部2013は、車両識別情報取得部2011が取得した車両識別情報と、通過予定情報取得部2012が取得した出口の情報と、通過予定時刻と、に基づいて、事前精算料金を算出する。有料道路の通行料金は、入口を通過した時刻、出口を通過した時刻、それらの時刻が、割引対象となる時間帯に含まれているかなどにより決定することができるため、事前精算料金算出部2013は、通行券に記載されている入場時刻と、通過予定時刻と、割引対象となる時間帯とに基づいて、事前精算料金を算出する。
【0029】
事前精算料金取得部2014は、事前精算料金算出部2013が算出した事前精算料金を、表示部203に表示させ、その表示を見た車両Cの運転手が、クレジットカードを事前精算装置200に挿入させることにより、あるいは、現金を事前精算装置200に投入させることにより、事前精算料金を取得する。事前精算情報送信部2015は、事前精算情報記憶部202が記憶している事前精算情報を、通信インタフェース204を介して、通行料金再計算装置400aに送信する。
【0030】
事前精算情報記憶部202は、RAM(Random Access Memory)などにより実現され、事前精算情報を記憶する。
【0031】
本開示の第1実施形態で用いられる事前精算情報Z2の一例を示す図である。事前精算情報Z2では、車両識別情報取得部2011が取得した車両識別情報(例えば、1000001)と、車両識別情報取得部2011が車両Cの通行券を読み取った際に取得される有料道路の入口を識別する入口識別情報(例えば、2001)と、通過予定情報取得部2012が取得した出口の情報を識別するための通過予定出口識別情報(例えば、3001)と、事前精算料金算出部2013が算出した事前精算料金(例えば、700円)と、通過予定情報取得部2012が取得した出口の通過予定時刻(例えば、2021年02月02日00時15分)とが対応付けて記憶される。
【0032】
図4の説明に戻り、表示部203は、モニタなどにより構成され、車両Cの運転手に支払いを要求する事前精算料金の金額などを表示する。通信インタフェース204は、無線アンテナなどにより構成され、事前精算装置200が、通行料金再計算装置400aと通信する際に、無線信号を送受信する。
【0033】
図7は、本開示の第1実施形態に係る通行料金再計算装置400aの構成を示す概略ブロック図である。通行料金再計算装置400aは、制御部401、車両情報記憶部402、通行料金情報記憶部403、割引時間情報記憶部404、通信インタフェース405を備える。制御部401は、CPUなどにより実現され、事前精算情報受信部4011、車両通過情報受信部4012、照合部4013、通行料金再計算部4014、判定部4015、精算処理部4016を備える。
【0034】
事前精算情報受信部4011は、有料道路10aを通行するための通行料金を事前精算するための事前精算装置200から、通信インタフェース405を介して、事前精算を行った車両Cを識別する車両識別情報と、事前精算で支払われた事前精算料金の情報と、を含む事前精算情報(
図6)を受信する。車両通過情報受信部4012は、有料道路10aの出口を通過する車両Cを識別する車両識別情報を含む車両通過情報を、車両Cが通過した出口付近に設置されている出口装置300b又は300c(
図3)から受信する。
【0035】
図8は、本開示の第1実施形態で用いられる車両通過情報Z3の一例を示す図である。車両通過情報Z3では、出口を通過した車両Cを識別する車両識別情報(例えば、1000002)、車両Cが通過した出口を識別する出口識別情報(例えば、3002)、車両Cが出口を通過した時刻を示す出口通過時刻(例えば、2021年02月01日23時45分)とが対応付けて記憶される。
【0036】
図7の説明に戻り、通行料金再計算装置400aの照合部4013は、事前精算情報受信部4011が受信した事前精算情報Z2(
図6)に含まれる車両識別情報と、車両通過情報受信部4012が受信した車両通過情報Z3(
図8)に含まれる車両識別情報と、を照合する。具体的には、車両通過情報受信部4012が受信した車両通過情報Z3(
図8)に含まれる車両識別情報と同じ車両識別情報を含む事前精算情報Z2(
図6)が、車両情報記憶部402に記憶されているか否かに基づいて照合を行う。
【0037】
通行料金再計算部4014は、照合部4013による照合の結果と、事前精算情報受信部4011が受信した事前精算情報Z2(
図6)と、車両通過情報受信部4012が受信した車両通過情報Z3(
図8)に含まれる出口及び出口通過時刻に基づいて、通行料金を再計算する。具体的には、通行料金再計算部4014は、照合が成功した場合には、有料道路の各区間の料金表を参照して、事前精算情報Z2(
図6)で特定される入口から、車両通過情報Z3(
図8)で特定される出口までの区間の実際の通行料金を算出する。また、通行料金再計算部4014は、有料道路で通行料金が割引される割引時間帯の情報を参照して、事前精算情報Z2(
図6)で特定される入口通過時刻と、車両通過情報Z3(
図8)で特定される出口通過時刻のいずれかが、所定の割引時間帯(例えば、00時00分~04時00分)に含まれるかを判定する。通行料金再計算部4014は、割引時間帯に含まれる場合には、入口から出口までの通行料金に、所定の割合(例えば、70%)を乗算して、実際の通行料金を算出する。一方、通行料金再計算部4014は、割引時間帯に含まれない場合には、入口から出口までの通行料金を、実際の通行料金とする。
【0038】
判定部4015は、事前精算情報受信部4011が受信した事前精算情報Z2(
図6)で特定される事前精算料金と、通行料金再計算部4014が再計算した通行料金と、が一致しているか否かを判定する。具体的には、判定部4015は、事前精算料金が、再計算した通行料金よりも多い場合には、事前精算料金と、再計算した通行料金との差額を、車両Cの運転手に返金すると判定する。また、判定部4015は、事前精算料金が、再計算した通行料金よりも少ない場合には、事前精算料金と、再計算した通行料金との差額を、車両Cの運転手から追加徴収すると判定する。一方、判定部4015は、事前精算料金が、再計算した通行料金が等しい場合には、適切な通行料金が支払われていたことになるため、返金や追加徴収の処理は不要と判定する。
【0039】
精算処理部4016は、判定部4015が、事前精算料金と、実際の通行料金とが一致していないと判定した場合に、事前精算料金と、実際の通行料金との差額の精算処理を行う。例えば、精算処理部4016は、事前精算料金と実際の通行料金との差額の情報と、差額を返金する必要があるのか追加徴収する必要があるのかに関する情報と、車両識別情報とを、通行料金再計算装置400aの管理者などに通知する。これに基づき、通行料金再計算装置400aの管理者は、返金又は追加徴収を行う対象となる対象者を、車両識別情報に基づいて特定し、その対象者に対応付けられた支払い方法がある場合には、その支払い方法により、返金又は追加徴収を行う。一方、その対象者に対応付けられた支払い方法がない場合には、車両識別情報を、運輸局で調べることにより、車両Cの保有者を特定し、その保有者宛てに、返金又は追加徴収の処理を行う。
【0040】
車両情報記憶部402は、RAMなどにより構成され、事前精算情報受信部4011が受信した事前精算情報Z2(
図6)や、車両通過情報受信部4012が受信する車両通過情報Z3(
図8)や、入口装置300a及び出口装置300b及び300cから送信される情報を記憶する。
【0041】
通行料金情報記憶部403は、RAMなどにより構成され、有料道路の各区間の通行料金を特定するための料金表の情報を記憶する。割引時間情報記憶部404は、RAMなどにより構成され、通行料金の割引が適用される所定の時間帯に関する情報を記憶する。通信インタフェース405は、無線アンテナなどにより構成され、通行料金再計算装置400aが、事前精算装置200、入口装置300a、出口装置300b、300cと通信する際に、無線信号の送受信を行う。
【0042】
入口装置300a(
図3)は、有料道路10aの入口付近に設置され、入口を通過する車両のナンバープレートをカメラで撮影することにより、その車両の車両識別情報と、その入口を識別する入口識別情報と、撮影時刻である入口通過時刻の情報を取得し、無線通信を用いて、通行料金再計算装置400aに送信する。出口装置300b、300c(
図3)は、有料道路10aの出口付近に設置され、出口を通過する車両のナンバープレートをカメラで撮影することにより、その車両の車両識別情報と、その出口を識別する出口識別情報と、撮影時刻である出口通過時刻の情報を取得し、無線通信を用いて、車両通過情報Z3(
図8)として、通行料金再計算装置400aに送信する。
【0043】
図9は、本開示の第1実施形態に係る事前精算装置200(
図4)の処理を示すフローチャートである。始めに、車両識別情報取得部2011は、車両Cの運転手により、事前精算装置200に、通行券が挿入されたか否かを判定する(ステップS101)。通行券が挿入されていないと判定した場合(ステップS101でNO)、車両識別情報取得部2011は、所定時間(例えば、1秒)経過後に、再度、ステップS101の処理を行う。通行券が挿入さたと判定した場合(ステップS101でYES)、車両識別情報取得部2011は、通行券から、入口情報Z1(
図5)を読み取り、事前精算情報記憶部202に記憶させる。
【0044】
次に、通過予定情報取得部2012は、車両Cの運転手により、事前精算装置200に、車両Cが通過する予定の出口の情報が入力されたか否かについて判定する(ステップS102)。出口の情報が入力されていないと判定した場合には(ステップS102でNO)、ステップS101の処理が、再度行われる。出口の情報が入力されたと判定した場合には(ステップS102でYES)、通過予定情報取得部2012は、車両Cが出口を通過する予定の時刻を、車両Cの運転手が事前精算装置200に、直接入力するか否かについて問合せる(ステップS103)。車両Cの運転手が直接入力する入力する場合には(ステップS103でYES)、通過予定情報取得部2012は、運転手が直接入力する出口通過予定時刻の情報を取得し(ステップS105)、ステップS106の処理に進む。一方、車両Cの運転手が直接入力する入力しない場合には(ステップS103でNO)、通過予定情報取得部2012は、現在の交通状況から、通過を予定している出口までにかかる時間を算出する(ステップS104)。例えば、通過予定情報取得部2012は、有料道路に渋滞が発生していない場合には、通過を予定している出口までの距離を、有料道路の制限速度で除算し、現在時刻に加えることで、出口通過予定時刻を算出する。また例えば、有料道路に渋滞が発生している場合には、通過を予定している出口までに発生している交通情報を用いて出口通過予定時刻を算出する。このとき交通情報は、公知の交通管制システム等の技術により生成されるものを利用可能であり、前述の渋滞が発生していない場合の方法に加え、渋滞が発生している区間を通過する際にかかると予測される所要時間を交通情報から取得し、現在時刻に加えることで算出できる。
【0045】
その後、事前精算料金算出部2013は、事前精算料金を算出する(ステップS106)。具体的には、事前精算料金算出部2013は、入口情報Z1(
図5)に記載されている入口識別情報と、ステップS102で入力された通過予定出口との区間の通行料金を特定することにより仮通行料金を求める。また、事前精算料金算出部2013は、入口情報Z1(
図5)に記載されている入口通過時刻と、ステップS104又はステップS105で得られた出口通過予定時刻のいずれかが、割引対象時間帯(例えば、00時00分~04時00分)に含まれているか否かを判定し、含まれている場合には、仮通行料金に所定の割合(例えば、0.7)を乗算して事前精算料金とし、含まれている場合には、仮通行料金を事前精算料金とする。
【0046】
次に、表示部203は、ステップS106で算出した事前精算料金を表示する(ステップS107)。次に、事前精算料金取得部2014は、表示部203に表示した料金が、車両Cの運転手により支払われたか否かについて判定する(ステップS108)。支払われていない場合には(ステップS108でNO)、所定時間(例えば、1秒)経過後に、再度、ステップS108の処理が行われる。一方、支払いが行われた場合には(ステップS108でYES)、ステップS109の処理が行われる。
【0047】
事前精算情報送信部2015は、ステップS101、S102、S104又はS105、S106で取得された情報に基づき、事前精算情報Z2(
図6)を作成し、通信インタフェース204を介して、通行料金再計算装置400aに送信する(ステップS109)。その後、ステップS101の処理が再度行われる。
【0048】
図10は、本開示の第1実施形態に係る通行料金再計算装置400a(
図7)により行われる逐次処理を示すフローチャートである。車両通過情報受信部4012は、入口情報Z1(
図5)を、入口装置300a(
図1)から受信した場合には、車両情報記憶部402に記憶させる(ステップS201)。また、事前精算情報受信部4011は、事前精算情報Z2(
図6)を、事前精算装置200から受信した場合には、車両情報記憶部402に記憶させる(ステップS202)。また、車両通過情報受信部4012は、車両通過情報Z3(
図8)を、出口装置300b及び300c(
図1)から受信した場合には、車両情報記憶部402に記憶させる(ステップS203)。その後、ステップS201の処理が再度行われる。
【0049】
図11は、本開示の第1実施形態に係る通行料金再計算装置400a(
図7)により行われる通行料金精算処理を示すフローチャートである。始めに、車両通過情報受信部4012が、車両通過情報Z3(
図8)を受信した場合に、照合部4013は、車両通過情報Z3に含まれる車両識別情報に対応する車両識別情報を有する入口情報Z1(
図5)や事前精算情報Z2(
図6)が、車両情報記憶部402に記憶されているか検索する(ステップS301)。通行料金再計算部4014は、車両通過情報Z3に含まれる出口通過時刻の情報を用いて、実際の通行料金を算出する(ステップS302)。
【0050】
判定部4015は、ステップS302で算出した実際の通行料金と、車両情報記憶部402に記憶されている事前精算情報Z2(
図6)で特定される事前精算料金に差があるか否かを判定する(ステップS303)。差がない場合には(ステップS303でNO)、ステップS301の処理に戻る。一方、差がある場合には(ステップS303でYES)、精算処理部4016は、ステップS301で検索した車両識別情報の車両Cに対して差額の返金又は追加徴収を行う精算処理を行う(ステップS304)。その後、ステップS301の処理が再度行われる。
【0051】
上述した第1実施形態によれば、有料道路10aの通行料金を、有料道路10aに入る前に事前精算装置200で事前精算した後でも、車両Cを停車させることなく、適切な通行料金の精算を行うことができる。つまり、車両Cの運転手が事前精算装置200に入力した通過予定出口とは異なる出口を通過したり、事前精算装置200に入力した出口通過予定時刻とは異なる時刻に出口を通過したりした場合であって、事前精算料金と実際の通行料金に差が生じた場合であっても、事前精算料金と実際の通行料金の差額と、車両識別番号を特定することができ、別途、差額の精算を行うことができるので、車両Cの運転手は、有料道路10aで車両Cを停車させて、差額の精算を行う必要がなくなる。なお、第1実施形態では、事前精算装置200が、通過予定出口と出口通過予定時刻を取得し、それらの情報に基づいて、通行料金を精算する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、通行時間帯に応じた割引制度を設けていない有料道路については、事前精算装置200が、通過予定出口を取得し、その情報に基づいて、通行料金を精算するようにしてもよい。
【0052】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態の通行料金再計算システムが、第1実施形態の通行料金再計算システムと同様の構成をとり、又は同様の処理を行う部分については、それらの説明を省略する。
【0053】
図12は、本開示の第2実施形態に係る通行料金再計算システム100bの構成を示す概略図である。通行料金再計算システム100bは、事前精算装置200、入口装置300d、300i、出口装置300f、300j、中間点装置300e、300g、300h、通行料金再計算装置400bを備える。ここでは、地方部の入口から有料道路に入った車両Cの運転手が、地方部の有料道路に設置されている事前精算装置200で事前精算を行い、入口装置300dが設置されている都心部A1と地方部の境界のゲートを通過して、都心部A1の有料道路10bに入る場合について説明する。
【0054】
また、第2実施形態では、中間点装置300gが設置されている料金所と、中間点装置300hが設置されている料金所の間の区間で事故X1が発生し、その区間が通行止めになっている場合について説明する。そのため、車両Cは、入口装置300dが設置されている入口を通過し、中間点装置300eが設置されている料金所を通過した後、出口装置300fが設置されている出口から有料道路10bを降りる必要がある。その後、車両Cは、一般道を経由して、入口装置300iが設置されている入口から、再度、有料道路10bに入り、出口装置300jが設置されている出口を通過することになる。
【0055】
第2実施形態における事前精算装置200(
図12)の機能は、第1実施形態における事前精算装置200(
図4)の機能と同じである。第2実施形態における入口装置300d、中間点装置300e、300g、300h(
図12)の機能は、第1実施形態における入口装置300a(
図3)の機能と同じである。第2実施形態における出口装置300j(
図12)の機能は、第1実施形態における出口装置300b、300c(
図3)の機能と同じである。
【0056】
図13は、本開示の第2実施形態に係る通行料金再計算装置400bの構成を示す概略ブロック図である。第2実施形態に係る通行料金再計算装置400b(
図13)は、通行止め情報受信部4200を備えている点で、第1実施形態に係る通行料金再計算装置400a(
図7)と異なる。通行止め情報受信部4200は、有料道路10bで通行止めが発生した場合であって、その通行止めの手前に設置されている出口装置300fを車両Cが通過した場合に、出口装置300fから
図14に示す車両通過情報を取得する。
【0057】
図14は、本開示の第2実施形態で用いられる車両通過情報Z4の一例を示す図である。
車両通過情報Z4では、
図8に示す車両通過情報Z3が記憶する車両識別情報、出口識別情報、出口通過時刻の情報に加えて、通行止め情報(つまり、通行止めが発生しているか否かを示す情報)を含んでいる。通行止め情報受信部4200が受信した車両通過情報Z3は、車両情報記憶部402(
図13)に記憶される。
【0058】
図15は、本開示の第2実施形態に係る通行料金再計算装置400bにより行われる逐次処理を示すフローチャートである。車両通過情報受信部4012(
図13)は、入口情報Z1(
図5)を、入口装置300d(
図12)から受信した場合には、車両情報記憶部402(
図13)に記憶させる(ステップS401)。また、事前精算情報受信部4011(
図13)は、事前精算情報Z2(
図6)を、事前精算装置200から受信した場合には、車両情報記憶部402(
図13)に記憶させる(ステップS402)。また、車両通過情報受信部4012(
図13)は、車両通過情報Z4(
図14)を、出口装置300j(
図12)から受信した場合には、車両情報記憶部402(
図13)に記憶させる(ステップS403)。
【0059】
通行止め情報受信部4200は、ステップS403で受信した車両通過情報Z4(
図14)に基づいて、有料道路10bに通行止めが発生しているか否かについて判定する(ステップS404)。通行止めが発生していない場合には(S404でNO)、再度、ステップS401の処理が行われる。ここでは、出口装置300fから受信する車両通過情報Z4(
図14)では、通行止め情報が有となるのに対して、出口装置300jから受信する車両通過情報Z4では、通行止め情報が無となるため、通行止め情報受信部4200は、出口装置300jが設けられている出口の先の区間で通行止めが発生していると判定する。
【0060】
通行止めが発生している場合には(S404でYES)、照合部4013(
図13)は、車両Cが通過した出口は、事前精算情報Z2で特定される出口と同じか否かについて判定する(ステップS405)。出口が同じである場合には(ステップS405でYES)、車両Cの運転手が当初通過することを予定していた出口と、実際に通過した出口が同じであり、通行止めの影響は受けていないと考えられるので、通行止めによる通行料金の調整を行わない。一方、出口が異なる場合には(ステップS405でNO)、車両Cは、通行止めの影響を受けて、出口装置300fが設置されている出口から出たと判定して、車両Cの車両識別情報に、通行止め影響を受けたことを示す通行止め情報を付与して、車両情報記憶部402に記憶する(ステップS406)。その後、ステップS401の処理が行われる。
【0061】
図16は、本開示の第2実施形態に係る通行料金再計算装置400b(
図13)により行われる通行料金精算処理を示すフローチャートである。始めに、照合部4013(
図13)は、出口装置300jから受信した車両通過情報Z4で特定される車両識別情報に対応する車両識別情報が、車両情報記憶部402に記憶されているか検索する(ステップS501)。応する車両識別情報が、車両情報記憶部402に記憶されていた場合には、照合部4013は、その車両識別情報に、通行止め情報が付与されているか否かについて判定する(ステップS502)。
【0062】
車両識別情報に、通行止め情報が付与されていない場合には(ステップS502でNO)、車両Cは通行止めの影響を受けることなく、有料道路10bを利用したことになるので、第1実施形態で説明した方法と同様に、車両通過情報Z4で特定される出口通過時刻を用いて実際の通行料金を算出する(ステップS503)。一方、車両識別情報に、通行止め情報が付与されている場合には(ステップS502でYES)、車両Cは通行止めの影響を受けて、有料道路10bを利用したことになるので、通行料金再計算部4014は、通行止め発生時の通行料金算出処理を行う(ステップS504)。なお、このステップS504の処理の詳細については、
図17を参照して後述する。
【0063】
その後、判定部4015(
図13)は、ステップS503又はステップS504で算出される通行料金と、事前精算情報Z2で特定される事前精算料金とに差が有るか否かを判定する(ステップS505)。差が無い場合には(ステップS505でNO)、再度、ステップS501の処理を行う。一方、差がある場合には(ステップS505でYES)、第1実施形態で説明した方法と同様の方法により、差額の精算処理を行う(ステップS506)。
【0064】
図17は、本開示の第2実施形態に係る通行料金再計算装置400bにより行われる通行止めが発生している場合の通行料金確定処理を示すフローチャートである。
図17で示す処理は、
図16のステップS504の処理に対応している。
【0065】
始めに、通行料金再計算部4014は、出口装置300jから受信する車両通過情報Z4に基づいて、出口を通過した車両Cの車両識別情報が、車両情報記憶部402に記憶されているか検索する(ステップS601)。通行料金再計算部4014は、出口を通過した車両Cの車両識別情報が、車両情報記憶部402に記憶されている場合には、その車両に、他の走行情報が存在するか否かを判定する(ステップS602)。他の走行情報が存在しない場合には(ステップS602でNO)、再度、ステップS601の処理を行う。
【0066】
一方、車両Cによる他の走行情報が存在する場合には(ステップS602YES)、例えば、出口装置300j(
図12)が設置されている出口を車両Cが通過したという走行情報の他に、出口装置300f(
図12)が設置されている出口を車両Cが通過したとの走行情報が存在する場合、通行料金再計算部4014は、その車両Cは、通行止め発生時に設定された入口を通過しているか否かを判定する(ステップS603)。例えば、
図12において、中間点装置300gが設置される料金所と、中間点装置300hが設置される料金所との間で通行止めが発生した場合には、通行止めを避けるための出口として、出口装置300fが設置された出口が設定され、通行止めを避けるための入口として、入口装置300iが設置された入口が設定される。ここでは、通行料金再計算部4014は、車両Cが、入口装置300iが設置された入口を通過したか否かを判定する。
【0067】
設定された入口を、車両Cが通過していない場合には(ステップS603でNO)、ステップS601の処理に戻る。一方、設定された入口を、車両Cが通過していた場合には(ステップS603でYES)、通行料金再計算部4014は、車両通行止め発生時に設定された出口(ここでは、出口装置300fが設置されている出口)を車両Cが通過した時刻と、車両通行止め発生時に設定された出口(ここでは、入口装置300iが設置されている入口)を車両Cが通過した時刻の差は、所定時間(例えば、8時間)以内か否かについて判定する(ステップS604)。
【0068】
差が所定時間以内ではない場合には(ステップS604でNO)、ステップS601の処理に戻る。一方、差が所定時間以内である場合には(ステップS604でYES)、通行料金再計算部4014は、有料道路10bへの再入場後に通過した出口の出口通過時刻と、通行止め情報とを用いて、通行料金を算出する(ステップS605)。例えば、通行料金再計算部4014は、有料道路10bで通行止めが発生した場合であって、車両Cが通行止めを避けるために一度有料道路を降り、その後、再入場した場合には、通行料金として、最初に通過した入口から、最後に通過した出口までの区間の料金から、通行止めが発生した区間分の料金を引いた金額を、通行料金として算出する。また、通行料金再計算部4014は、最初に通過した入口の入口通過時刻と、最後に通過した出口の出口通過時刻と、事前精算情報で特定される出口通過予定時刻の少なくともいずれかが、割引時間帯に含まれる場合には、算出した通行料金に所定の割合(例えば、0.7)を乗算して、実際の通行料金とする。
【0069】
また、有料道路10bでは、所定距離(例えば、100km)以上、連続して走行した場合には、通常の通行料金に所定の割合(例えば、0.75)を乗算した金額が請求されるという長距離割引の制度がある。しかし、通行止めを避けるために、一度、有料道路を降りてしまうと、車両Cの運転手の責任ではないにもかかわらず、この長距離割引が受けられなくなってしまうことがある。そのため、通行料金再計算部4014は、
図17のステップS605で、通行料金を算出する際には、一度、有料道路を降りていてしまっていた場合であっても、最初に有料道路に乗った入口から、最後に有料道路から降りた出口までの距離が、所定距離以上であるならば、長距離割引を適用する。
【0070】
上述した第2実施形態によれば、有料道路10bの通行料金を、有料道路10bに入る前に事前精算装置200で事前精算した後であって、有料道路10bで通行止めが発生した場合であっても、車両Cを停車させることなく、適切な通行料金の精算を行うことができる。つまり、有料道路10bで通行止めが発生した場合に、通行止めを避けるために通過する出口で証明書を受け取ったり、通行止めを避けるために通過する入口で証明書を提示したりすることなく、通行料金の精算を行うことができる。
【0071】
なお、事前精算装置200(
図4)、通行料金再計算装置400a、400b(
図7、
図13における各部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより
図4、
図7、
図13における各部の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0072】
<付記>
各実施形態に記載の通行料金再計算システム100a、100b、事前精算装置200、通行料金再計算装置400a、400bは、例えば以下のように把握される。
【0073】
(1)第1態様に係る通行料金再計算システム100a、100bは、有料道路10a、10bを通行するための通行料金を事前精算するための事前精算装置200と、通行料金再計算装置400a、400bと、を備える通行料金再計算システム100a、100bであって、事前精算装置200は、事前精算を行う車両Cを識別する第1車両識別情報を取得する車両識別情報取得部2011と、車両識別情報取得部2011が取得した第1車両識別情報に基づいて、車両Cが出口まで有料道路10aを走行する場合に生じる事前精算料金を算出する事前精算料金算出部2013と、事前精算料金算出部2013が算出した事前精算料金を取得する事前精算料金取得部2014と、を備え、通行料金再計算装置400a、400bは、事前精算装置200から、第1車両識別情報と、事前精算で支払われた事前精算料金の情報と、を含む事前精算情報Z2を受信する事前精算情報受信部4011と、有料道路10a、10bの出口を通過する車両Cを識別する第2車両識別情報を含む車両通過情報を受信する車両通過情報受信部4012と、事前精算情報受信部4011が受信した事前精算情報Z2に含まれる第1車両識別情報と、車両通過情報受信部が受信した車両通過情報に含まれる第2車両識別情報と、を照合する照合部4013と、照合部4013による照合の結果に基づき、通行料金を再計算する通行料金再計算部4014と、を備える。
【0074】
(2)第2態様に係る通行料金再計算装置400a、400bは、有料道路10a、10bを通行するための通行料金を事前精算するための事前精算装置200から、事前精算を行った車両Cを識別する第1車両識別情報と、事前精算で支払われた事前精算料金の情報と、を含む事前精算情報Z2を受信する事前精算情報受信部4011と、有料道路10a、10bの出口を通過する車両Cを識別する第2車両識別情報を含む車両通過情報を受信する車両通過情報受信部4012と、事前精算情報受信部4011が受信した事前精算情報に含まれる第1車両識別情報と、車両通過情報受信部4012が受信した車両通過情報に含まれる第2車両識別情報と、を照合する照合部4013と、照合部4013による照合の結果に基づき、通行料金を再計算する通行料金再計算部4014と、を備える。
【0075】
(3)第3態様に係る通行料金再計算装置400a、400bは、事前精算情報受信部4011が受信した事前精算情報Z2で特定される事前精算料金と、通行料金再計算部4014が再計算した通行料金と、が一致しているか否かを判定する判定部4015と、判定部4015が、事前精算料金と通行料金とが一致していないと判定した場合に、事前精算料金と通行料金との差額の精算処理を行う精算処理部4016と、を更に備える。
【0076】
(4)第4態様に係る通行料金再計算装置400a、400bでは、車両通過情報受信部4012は、車両Cが有料道路10a、10bの出口を実際に通過する通過時刻の情報を、更に受信し、通行料金再計算部4014は、照合部4013による照合の結果と、車両通過情報受信部4012が受信した通過時刻と、に基づいて、通行料金を再計算する。
【0077】
(5)第5態様に係る通行料金再計算装置400bは、出口までの有料道路10bで通行止めが発生した場合に、その出口とは異なる出口であって、通行止めを回避するための出口を通過する車両Cを識別する第3車両識別情報を含む通行止め情報を受信する通行止め情報受信部4200を更に備え、通行料金再計算部4014は、通行止め情報受信部4200が受信した通行止め情報に基づき、通行料金を再計算する。
【0078】
(6)第6態様に係る事前精算装置200は、有料道路10a、10bを通行するための通行料金を事前精算する車両Cを識別する車両識別情報を取得する車両識別情報取得部2011と、車両Cが、有料道路10a、10bの出口を通過する予定の時刻である通過予定時刻の情報を取得する通過予定情報取得部2012と、車両識別情報取得部2011が取得した車両識別情報と、通過予定情報取得部2012が取得した通過予定時刻と、に基づいて、事前精算料金を算出する事前精算料金算出部2013と、事前精算料金算出部2013が算出した事前精算料金を取得する事前精算料金取得部2014と、を備える。
【0079】
(7)第7態様に係るプログラムは、通行料金再計算装置400a、400bのコンピュータに、有料道路10a、10bを通行するための通行料金を事前精算するための事前精算装置200から、事前精算を行った車両を識別する第1車両識別情報と、事前精算で支払われた事前精算料金の情報と、を含む事前精算情報Z2を受信する事前精算情報受信ステップと、有料道路10a、10bの出口を通過する車両Cを識別する第2車両識別情報を含む車両通過情報を受信する車両通過情報受信ステップと、事前精算情報受信ステップで受信した事前精算情報に含まれる第1車両識別情報と、車両通過情報受信ステップで受信した車両通過情報に含まれる第2車両識別情報と、を照合する照合ステップと、照合ステップでの照合の結果に基づき、通行料金を再計算する通行料金再計算ステップと、を実行させる。
【0080】
(8)第8態様に係るプログラムは、事前精算装置200のコンピュータに、有料道路10a、10bを通行するための通行料金を事前精算する車両Cを識別する車両識別情報を取得する車両識別情報取得ステップと、車両識別情報取得ステップで取得した車両識別情報に基づいて、車両Cが出口まで有料道路10a、10bを走行する場合に生じる事前精算料金を算出する事前精算料金算出ステップと、事前精算料金算出ステップで算出した事前精算料金を取得する事前精算料金取得ステップと、を実行させる。
【符号の説明】
【0081】
100、100a、100b 通行料金再計算システム
200 事前精算装置
201 制御部
202 事前精算情報記憶部
203 表示部
204 通信インタフェース
400a、400b 通行料金再計算装置
401 制御部
402 車両情報記憶部
403 通行料金情報記憶部
404 割引時間情報記憶部
405 通信インタフェース
2011 車両識別情報取得部
2012 通過予定情報取得部
2013 事前精算料金算出部
2014 事前精算料金取得部
2015 事前精算情報送信部
4011 事前精算情報受信部
4012 車両通過情報受信部
4013 照合部
4014 通行料金再計算部
4015 判定部
4016 精算処理部
4020 通行止め情報受信部