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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-01
(45)【発行日】2024-08-09
(54)【発明の名称】介護用ベッド装置
(51)【国際特許分類】
   A61G 7/015 20060101AFI20240802BHJP
【FI】
A61G7/015
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021065755
(22)【出願日】2021-04-08
(65)【公開番号】P2022161157
(43)【公開日】2022-10-21
【審査請求日】2023-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】390039985
【氏名又は名称】パラマウントベッド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】原田 昌和
(72)【発明者】
【氏名】渋川 翔太
(72)【発明者】
【氏名】塩田 耕己
【審査官】松山 雛子
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-207627(JP,A)
【文献】特開2017-225759(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0027728(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 7/005
A61G 7/015
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと、
前記フレーム上に設けられ、前記フレームに対して回動可能な膝ボトムと、
前記膝ボトムに対して回動可能な足ボトムと、
前記フレームに固定されたステー受けと、
前記足ボトムに対して回動可能に連結されたステーと、
を備え、
前記足ボトムは、枠部材と、前記枠部材上に配置された板部材と、を有し、
前記枠部材は、穴が形成された側面部と、前記枠部材の内部空間の下面を構成する下面部及び前記枠部材の内部空間の上面を構成する上面部のうち少なくとも一方と、を有し、
前記ステーは、
前記ステー受けに係止可能な係止部と、
前記穴に挿通されたヒンジ部と、
前記係止部と前記ヒンジ部とを繋ぐ連結部と、
前記下面部又は前記上面部に当接することによって、前記ステーの回動範囲を規制する当接部と、
を有する介護用ベッド装置。
【請求項2】
前記ステー受けには、下方に向けて凹んだ第1凹部と、下方に向けて凹んだ第2凹部と、前記第2凹部に繋がるスロープと、が設けられており、
前記係止部は、前記第1凹部又は前記第2凹部に係止可能である請求項1に記載の介護用ベッド装置。
【請求項3】
前記足ボトムを持ち上げたときに、前記ステーが前記ステー受けから離隔し、
前記足ボトムを持ち上げて前記ステーを前記ステー受けから離隔させた状態から前記足ボトムを下ろしたときに、前記ステーが前記スロープに接触し、前記ステーと前記スロープとの接触点から前記ステーと前記足ボトムとの連結点に向かう第2方向は、前記接触点を通過する前記スロープの法線を基準として、前記第2凹部から前記スロープに向かう第1方向側に傾斜する請求項2に記載の介護用ベッド装置。
【請求項4】
前記足ボトムに対する前記ステーの回動範囲は、前記ステーが前記スロープに接触したときに、前記第2方向が前記法線を基準として前記第1方向側に傾斜するように規制されている請求項3に記載の介護用ベッド装置。
【請求項5】
前記ステー受けにおいて、前記第1凹部と前記第2凹部との間には、上方に向けて突出した凸部が設けられている請求項2~4のいずれか1つに記載の介護用ベッド装置。
【請求項6】
前記ステー受けは、
前記第1凹部が設けられた第1部材と、
前記第2凹部及び前記スロープが設けられた第2部材と、
を有する請求項2~4のいずれか1つに記載の介護用ベッド装置。
【請求項7】
前記枠部材は、前記膝ボトムから離れる方向に延びる一対の第1部分と、前記一対の第1部分同士を繋ぐ第2部分と、を有し、
前記穴は前記一対の第1部分のそれぞれに設けられており、
前記ステー受け、前記係止部、前記連結部、前記ヒンジ部はそれぞれ一対設けられており、
前記ステーは、前記一対の係止部を繋ぐ継手部をさらに有し、
各前記ステー受けが前記フレームに固定されており、
各前記係止部が各前記ステー受けに係止可能であり、
各前記ヒンジ部が各前記第1部分の前記穴に挿通されており、
前記当接部は、前記ステーの一方の端部のみに設けられており、他方の端部には設けられていない請求項1~6のいずれか1つに記載の介護用ベッド装置。
【請求項8】
前記ステーは、少なくとも前記係止部を覆う樹脂製カバーと、を更に有する請求項1~7のいずれか1つに記載の介護用ベッド装置。
【請求項9】
前記枠部材の形状は、少なくとも一部の角部が丸められた四角形である請求項1~8のいずれか1つに記載の介護用ベッド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、介護用ベッド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
介護用ベッド装置には、使用者の状態に応じて、膝ボトム及び足ボトムを所定の角度に固定できるものがある。ボトムの角度の切り替えは、介護者等が手動で行えることが好ましい。このような場合に、ボトムの角度の切替作業が円滑に行えることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-225762号公報
【文献】特開2009-207626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態の目的は、ボトムの角度の切替作業が円滑である介護用ベッド装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態に係る介護用ベッド装置は、フレームと、前記フレーム上に設けられ、前記フレームに対して回動可能な膝ボトムと、前記膝ボトムに対して回動可能な足ボトムと、前記フレームに固定されたステー受けと、前記足ボトムに対して回動可能に連結されたステーと、を備える。前記足ボトムは、枠部材と、前記枠部材上に配置された板部材と、を有する。前記枠部材は、穴が形成された側面部と、下面部及び上面部のうち少なくとも一方と、を有する。前記ステーは、前記ステー受けに係止可能な係止部と、前記穴に挿通されたヒンジ部と、前記係止部と前記ヒンジ部とを繋ぐ連結部と、前記下面部又は前記上面部に当接することによって、前記ステーの回動範囲を規制する当接部と、有する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の実施形態によれば、ボトムの角度の切替作業が円滑である介護用ベッド装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1の実施形態に係るベッド装置を示す斜め上方から見た斜視図であり、「山上げ」状態を示す。
図2図2は、第1の実施形態に係るベッド装置を示す斜め上方から見た斜視図であり、「水平上げ」状態を示す。
図3図3は、第1の実施形態に係るベッド装置を示す斜め上方から見た部分斜視図であり、「山上げ」状態を示す。
図4図4は、第1の実施形態に係るベッド装置を示す斜め上方から見た部分斜視図であり、「水平上げ」状態を示す。
図5図5は、第1の実施形態に係るベッド装置のステー受けを示す正面図である。
図6図6は、第1の実施形態に係るベッド装置のステーを示す斜視図である。
図7図7は、第1の実施形態における足ボトムの枠部材を示す斜視図である。
図8図8は、第1の実施形態における下フレーム、ステー受け、ステー、足ボトムの位置関係を模式的に示す図である。
図9図9(a)~(c)は、第1の実施形態に係るベッド装置におけるステー受けとステーとの位置関係を模式的に示す図である。
図10図10(a)及び(b)は、第1の実施形態に係るベッド装置におけるステー受けとステーとの位置関係を模式的に示す図である。
図11図11は、比較例に係るベッド装置におけるステー受けとステーとの位置関係を模式的に示す図である。
図12図12は、第2の実施形態に係るベッド装置を示す斜め上方から見た部分斜視図であり、「山上げ」状態を示す。
図13図13は、第2の実施形態に係るベッド装置を示す斜め上方から見た部分斜視図であり、「水平上げ」状態を示す。
図14図14は、第2の実施形態に係るベッド装置のステー受けを示す正面図である。
図15図15は、第2の実施形態に係るベッド装置のステーを示す斜視図である。
図16図16(a)~(c)は、第2の実施形態に係るベッド装置におけるステー受けとステーとの位置関係を模式的に示す図である。
図17図17(a)及び(b)は、第2の実施形態に係るベッド装置におけるステー受けとステーとの位置関係を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
本明細書においては、介護用ベッド装置に使用者が仰臥位で寝たときに、胴体から見て頭がある方向を「頭側」といい、足がある方向を「足側」といい、右手がある方向を「右側」といい、左手がある方向を「左側」といい、部屋の床面がある方向を「下側」といい、天井がある方向を「上側」という。頭側と足側を総称して「長さ方向L」ともいい、右側と左側を総称して「幅方向W」ともいい、上側と下側を総称して「上下方向V」ともいう。幅方向Wのうち、ベッド装置の中央から右側又は左側に向かう方向を「外側」ともいい、右側又は左側からベッド装置の中央に向かう方向を「内側」ともいう。
【0009】
<第1の実施形態>
本実施形態に係る介護用ベッド装置について説明する。
図1は、本実施形態に係るベッド装置を示す斜め上方から見た斜視図であり、「山上げ」状態を示す。
図2は、本実施形態に係るベッド装置を示す斜め上方から見た斜視図であり、「水平上げ」状態を示す。
図1及び図2においては、図示の左側が介護用ベッド装置の頭側である。「山上げ」及び「水平上げ」については、後述する。
【0010】
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る介護用ベッド装置1(以下、単に「ベッド装置1」という)においては、下フレーム11が設けられている。下フレーム11はベッド装置1全体を支える支持体となるものであり、例えば、金属製の筒状部材を組み合わせて矩形状に形成されている。下フレーム11の4つの角部には、キャスター12が設けられている。キャスター12は部屋の床面に接する。
【0011】
下フレーム11には、駆動手段が取り付けられている。駆動手段は複数のアクチュエータ13を含んでいる。下フレーム11上には、上フレーム15が設けられている。上フレーム15も例えば金属製の筒状部材を組み合わせて形成されている。上フレーム15は、アクチュエータ13を含む駆動手段により、上下方向Vに沿って変位可能とされており、また、床面に対して傾斜可能とされている。下フレーム11及び上フレーム15を総称して「フレーム」ともいう。
【0012】
上フレーム15上には、ボトム16が設けられている。ボトム16には、頭側から足側に向かって、背ボトム16a、腰ボトム16b、膝ボトム16c、及び、足ボトム16dがこの順に設けられている。腰ボトム16bは上フレーム15に固定されている。背ボトム16a、膝ボトム16c、及び、足ボトム16dは、アクチュエータ13を含む駆動手段により、角度を変更可能である。また、背ボトム16a、膝ボトム16c、及び、足ボトム16dは、駆動手段を用いずに人力でも角度を変更可能である。
【0013】
より具体的には、背ボトム16aは、腰ボトム16b側の端部を回動軸として上フレーム15に対して回動可能である。膝ボトム16cは、腰ボトム16b側の端部を回動軸として上フレーム15に対して回動可能である。足ボトム16dは、膝ボトム16c側の端部を回動軸として膝ボトム16cに対して回動可能である。
【0014】
本実施形態においては、膝ボトム16cを足側に向かうほど高くなるように傾斜させ、足ボトム16dを足側に向かうほど低くなるように傾斜させた状態を「山上げ」という。「山上げ」状態においては、ベッド装置1の使用者は、胴体に対して膝を上げつつ、膝に対して足首を下げた状態で仰臥することができる。また、膝ボトム16cを足側に向かうほど高くなるように傾斜させ、足ボトム16dをほぼ水平にした状態を「水平上げ」という。「水平上げ」状態においては、ベッド装置1の使用者は、胴体に対して膝を上げつつ、足首を膝と同じ程度まで上げた状態で仰臥することができる。
【0015】
上フレーム15の頭側及び足側には、それぞれ、ベッドボード(図示せず)が取り付けられる。ベッドボードは略矩形の板状の部材であり、上フレーム15に対して着脱可能である。ベッドボードが上フレーム15に装着された状態において、ベッドボードは上フレーム15から主として上側に延びている。
【0016】
上フレーム15の頭側の部分の左右両側には、それぞれ、サイドレール18が取り付けられている。上フレーム15の足側の部分の左右両側には、それぞれ、サイドレール19が取り付けられている。サイドレール18は、背ボトム16aが傾斜すると、共に傾斜する。サイドレール19は、上フレーム15に対して固定されている。
【0017】
次に、ベッド装置1のステー受け、ステー及びそれらの周辺部品について説明する。
図3は、本実施形態に係るベッド装置を示す斜め上方から見た部分斜視図であり、「山上げ」状態を示す。
図4は、本実施形態に係るベッド装置を示す斜め上方から見た部分斜視図であり、「水平上げ」状態を示す。
図3及び図4においては、図を簡略化するために、一部の構成要素を省略している。
図5は、本実施形態に係るベッド装置のステー受けを示す正面図である。
図6は、本実施形態に係るベッド装置のステーを示す斜視図である。
図7は、本実施形態における足ボトムの枠部材を示す斜視図である。
図8は、本実施形態における下フレーム、ステー受け、ステー、足ボトムの位置関係を模式的に示す図である。
【0018】
先ず、ステー受け20について説明する。
図3図4図5に示すように、上フレーム15のうち、長さ方向Lに延びる長手部材15aの外側面には、ステー受け20が固定されている。なお、本実施形態においては、ステー受け20は上フレーム15に固定されているが、着脱可能に取り付けられていてもよい。ステー受け20は一対設けられており、上フレーム15の左右両側にそれぞれ配置されている。ステー受け20は、例えば、1枚の帯状の金属板が曲げ加工されて形成されている。
【0019】
ステー受け20においては、下方に向けて凹んだ第1凹部21と、上方に向けて突出した凸部22と、下方に向けて凹んだ第2凹部23と、第2凹部23に繋がるスロープ24と、が形成されている。第1凹部21、凸部22、第2凹部23、スロープ24は、この順に配列されている。以下、第1凹部21、凸部22、第2凹部23、スロープ24の配列方向を「第1方向D1」という。本実施形態において、第1方向D1は、概ね、頭側から足側に向かう方向である。
【0020】
第1凹部21の頭側の側面は、略上方に向けて起立した垂直面である。第1凹部21の底面は、略平坦な水平面である。第1凹部21の足側の側面、すなわち、凸部22の頭側の側面は、水平面及び垂直面に対して傾斜した略平坦な傾斜面である。凸部22の上面は、円柱の一部をなすように湾曲した曲面である。凸部22の足側の側面、すなわち、第2凹部23の頭側の側面は、略上下方向に延びる垂直面である。第2凹部23の足側の側面はなく、スロープ24に繋がっている。スロープ24は、足側に向かうほど上方に位置する傾斜面である。スロープ24は、例えば、略平坦面である。但し、これには限定されず、スロープ24は例えば凹面であってもよい。ステー受け20には、第1凹部21、凸部22又は第2凹部23を覆う屋根部は設けられていない。
【0021】
次に、ステー30について説明する。
図3図4図6に示すように、足ボトム16dにはステー30が回動可能に連結されている。ステー30においては、金属からなる金属部31と、樹脂からなる一対の樹脂製カバー39が設けられている。金属部31は、例えば、1本の金属棒が曲げ加工されて形成されている。なお、金属部31は複数の部品を組み合わせて形成されていてもよい。
【0022】
金属部31においては、1本の継手部32を中心として、その両側に、一対の第1連結部33、一対の係止部34、一対の第2連結部35、一対のヒンジ部36がこの順に設けられており、一方のヒンジ部36の先端には、当接部37が設けられている。他方のヒンジ部36の先端には、当接部37は設けられていない。すなわち、金属部31においては、一方の端から他方に端に向かって、当接部37、一方のヒンジ部36、一方の第2連結部35、一方の係止部34、一方の第1連結部33、継手部32、他方の第1連結部33、他方の係止部34、他方の第2連結部35、他方のヒンジ部36が、この順に連続的に配列されている。上述の各部は概ね直線状であり、各部間は屈曲している。
【0023】
ステー30は足ボトム16dに対して回動可能であるが、ステー30が足ボトム16dに対してどのような角度になっても、ステー30のうち、ベッド装置1の幅方向Wに延びる部分は常に幅方向Wに延び、それ以外の部分が延びる方向は垂直面内で変化する。すなわち、ステー30の回動軸はベッド装置1の幅方向Wに延びている。
【0024】
継手部32は、ベッド装置1の幅方向Wに直線的に延びている。第1連結部33は、継手部32が延びる方向に対して、略直交する方向に延びている。ステー30の回動に伴い、第1連結部33が延びる方向は垂直面内で変化する。係止部34は幅方向Wに延び、例えば、第1連結部33からベッド装置1の外側に延びている。第2連結部35は係止部34が延びる方向に対して直交する方向に延びている。
【0025】
ヒンジ部36は幅方向Wに延び、例えば、第2連結部35からベッド装置1の外側に延びている。当接部37はヒンジ部36が延びる方向に対して直交する方向に延びており、例えば、ヒンジ部36から係止部34に向かう方向に延びている。このため、係止部34を基準とすると、第2連結部35は係止部34から離れる方向に延びており、当接部37は係止部34に近づく方向に折り返している。
【0026】
樹脂製カバー39は、第1連結部33の表面における上フレーム15に対向する領域と、係止部34の表面におけるステー受け20に対向する領域を覆っている。これにより、金属部31と上フレーム15が接触することを抑止し、金属部31とステー受け20が接触することを抑止する。
【0027】
次に、ステー30が連結される足ボトム16dについて説明する。
図3図4図7図8に示すように、足ボトム16dにおいては、枠部材41と、板部材42が設けられている。枠部材41は膝ボトム16cと回動可能に連結されている。板部材42は枠部材41上に配置され、枠部材41に対して固定されている。板部材42の形状は、角部が丸められた四角形の板状である。
【0028】
枠部材41においては、枠部材41における右側、足側、左側の辺を構成するU字部品43と、U字部品43を補強すると共に板部材42を保持する補強部品40と、枠部材41における頭側の辺を構成するI字部品49と、が設けられている。
【0029】
上側から見て、U字部品43の形状はU字状である。すなわち、U字部品43には、膝ボトム16cから離れる方向に延びる一対の第1部分43aと、幅方向Wに延び一対の第1部分43a同士を繋ぐ1本の第2部分43bと、が設けられている。一対の第1部分43aと1本の第2部分43bは連続的に形成されており、境界部分は湾曲している。一対の第1部分43は、枠部材41の右側の辺及び左側の辺を構成している。第2部分43bは枠部材41の足側の辺を構成している。
【0030】
補強部品40は幅方向Wに延びる直線状の部品であり、その形状は例えば丸棒状である。I字部品49は幅方向Wに延びる直線状の部品であり、その形状は例えば角パイプ状である。I字部品49はU字部品43に例えば溶接により接合されている。このため、I字部品49とU字部品43との接合部分は直交している。このため、枠部材41の形状は、足側の2つの角部が丸められた四角形の枠状である。
【0031】
なお、第1部分43aと第2部分43bとは別の部品であってもよく、第1部品43aと第2部品43bとは機械的手段又は溶接等により結合されていてもよい。この場合は、第1部品43aと第2部品43bとは直交し、枠部材41の形状は4つの角部が直角な四角形であってもよい。
【0032】
U字部品43は、例えば、金属製の筒状部材からなる。すなわち、U字部品43は、ベッド装置1の内側に向いた内側面を構成する内側面部44と、ベッド装置1の外側に向いた外側面を構成する外側面部45と、上面を構成する上面部46と、下面を構成する下面部47と、を有する。内側面部44及び外側面部45を総称して「側面部」ともいう。
【0033】
第1部分43aの内側面部44には、穴48が形成されている。ステー30のヒンジ部36は穴48に挿通されている。このため、ヒンジ部36における第2連結部35側の部分は第1部分43aの外部に配置され、第2連結部35から離れた部分は第1部分43aの内部に配置されている。したがって、ステー30の第2連結部35は第1部分43aの外部に配置され、ステー30の当接部37は第1部分43aの内部に配置されている。これにより、ステー30はU字部品43に回動可能に連結されている。
【0034】
足ボトム16dに対するステー30の角度が変化すると、第1部分43aの内部でステー30の当接部37が延びる方向が変化する。そして、足ボトム16dに対してステー30がある角度になったときに、当接部37の先端が第1部分43aの下面部47に当接し、ステー30はそれ以上の回転を規制される。すなわち、ステー30は第1部分43aに対して自在に回転することはできず、所定の角度範囲内で回動できるだけである。
【0035】
次に、本実施形態に係るベッド装置の動作について説明する。
図9(a)~(c)、図10(a)及び(b)は、本実施形態に係るベッド装置におけるステー受けとステーとの位置関係を模式的に示す図であり、図9(a)はボトム全体が水平な「フラット」状態を示し、図9(b)は「山上げ」状態を示し、図9(c)は「水平上げ」状態を示し、図10(a)はステーがステー受けから離隔した状態を示し、図10(b)は離隔状態からステーがステー受けに再度接触した状態を示す。
【0036】
図9(a)に示すように、ボトム16全体が水平且つフラットであるときは、膝ボトム16c及び足ボトム16dは水平である。このとき、ステー30の係止部34は、ステー受け20の第2凹部23内に配置されている。以下、ステー30の係止部34からヒンジ部36に向かう方向を「第2方向D2」とし、足ボトム16dの第1部分43aが延びる方向を「第3方向D3」とし、第2方向D2と第3方向D3とがなす角度を「角度θ」とする。図9(a)に示す「フラット」状態においては、角度θは角度θ1である。
【0037】
図9(a)に示すボトム16全体がフラットである状態から、図9(b)に示すように、例えば介護者が人力で、膝ボトム16c及び足ボトム16dを持ち上げて、ステー30の係止部34をステー受け20の第1凹部21内に配置する。これにより、膝ボトム16cは腰ボトム16bから離れるほど高い位置になるように傾斜する。また、足ボトム16dは足側に向かうほど低い位置になるように傾斜する。この結果、ボトム16は図1及び図3に示す「山上げ」状態となる。このとき、上述の角度θは、角度θ1よりも大きい角度θ2となる。
【0038】
また、図9(c)に示すように、例えば介護者が人力で、図9(b)に示す「山上げ」状態から足ボトム16dを持ち上げると、足ボトム16dに吊られてステー30も持ち上がる。そして、ステー30の係止部34にステー受け20の凸部22を乗り越えさせて、係止部34をステー受け20の第2凹部23内に配置する。これにより、足ボトム16dの角度が水平に近くなり、「水平上げ」状態となる。このとき、角度θは、角度θ3となる。
【0039】
なお、介護者はボトム16の状態を、図9(a)に示すフラット状態から、膝ボトム16c及び足ボトム16dを持ち上げることにより係止部34を第2凹部23内に配置して、図9(c)に示す「水平上げ」状態に移行させてもよい。また、介護者は「水平上げ」状態から足ボトム16dを持ち上げて、係止部34を第1凹部21内に移動させることにより、「山上げ」状態に移行させてもよい。
【0040】
また、図10(a)に示すように、図9(a)に示すフラット状態、図9(b)に示す「山上げ」状態、又は、図9(c)に示す「水平上げ」状態から、足ボトム16dを大きく持ち上げると、ステー30がステー受け20から離れる。ステー受け20には、第1凹部21、凸部22又は第2凹部23を覆う屋根部は設けられていないため、ステー30が上昇するときに、ステー受け20に引っかかることはない。
【0041】
ステー30がステー受け20から離れると、ステー30は足ボトム16dにぶら下がり、重力によってステー30の重心が穴48の直下に位置するように回転しようとする。しかしながら、ステー30の当接部37が第1部分43aの下面部47に当接するため、ステー30の回転が規制される。このため、ステー30の重心が穴48の直下に位置することはなく、第2方向D2と第3方向D3とがなす角度θは所定の角度θ4より大きくはならない。すなわち、ステー30は足ボトム16dに対して、θ≦θ4の角度範囲で回動可能である。
【0042】
次に、図10(a)に示すステー30がステー受け20から離隔した状態から、例えば介護者が人力で足ボトム16dを下ろすと、図10(b)に示すように、ステー30の係止部34がステー受け20のスロープ24に接触する。このとき、角度θはθ4のままである。また、係止部34、すなわち、ステー30とスロープ24との接触点から、ヒンジ部36、すなわち、ステー30と足ボトム16dとの連結点に向かう第2方向D2は、この接触点を通過するスロープ24の法線24nを基準として第1方向D1側に傾斜する。逆に言えば、第2方向D2が法線24nを基準として第1方向D1側に傾斜するように、ステー30の当接部37と第1部分43aの下面部47との位置関係を設計する。
【0043】
そして、足ボトム16dを更に下ろすと、第2方向D2は法線24nを基準として第1方向D1側に傾斜しているため、係止部34には第2凹部23に向かう力が加わり、係止部34は第2凹部23に向けて摺動する。そして、係止部34は凸部22に当接して停止し、第2凹部23内に配置される。これにより、図9(c)に示す「水平上げ」状態に戻る。本実施形態においては、足ボトム16dをステー30がステー受け20から離隔するような高い位置から下ろすと、常に「水平上げ」状態に戻る。
【0044】
次に、本実施形態の効果について説明する。
図9(a)~図10(b)に示すように、本実施形態に係るベッド装置1においては、ステー受け20に第1凹部21及び第2凹部23が設けられており、凸部22によって区画されている。これにより、膝ボトム16cを傾斜させた状態でステー30の係止部34を第1凹部21内に配置すると、足ボトム16dを膝ボトム16cから離れるほど低い位置になるように傾斜させることができ、「山上げ」状態を実現できる。また、膝ボトム16cを傾斜させた状態で係止部34を第2凹部23内に配置すると、足ボトム16dの角度が水平に近くなり、「水平上げ」状態を実現できる。このように、ボトムの2つの状態を人力で切り替えることができる。この結果、ベッド装置1の使用者、例えば、患者にとって、より好ましい状態を選択できる。また、これらの状態を駆動手段を用いずに機械的な構成で実現できるため、選択した状態を安定して維持することができる。
【0045】
また、本実施形態によれば、ステー受け20に屋根部が設けられていないため、ステー30をステー受け20から離隔させるときに、ステー30が引っかかることがない。これにより、ステー受け20とステー30との位置関係をスムーズに変更することができ、ボトムの角度を円滑に切り替えることができる。
【0046】
更に、本実施形態によれば、図10(a)に示すようにステー30がステー受け20から離隔した状態から、図10(b)に示すようにステー30がステー受け20に再度接触したときに、第2方向D2が法線24nを基準として第1方向D1側に傾斜している。これにより、足ボトム16dを更に下げたときに、係止部34が第2凹部23に向けて摺動するため、係止部34を第2凹部23内に確実に配置することができる。これにより、ステー30がステー受け20から外れて落下する等の不具合を抑制でき、ボトムの角度を円滑に切り替えることができる。
【0047】
更にまた、ステー30においては、一端部のみに当接部37が設けられており、他端部には当接部37が設けられていない。これにより、ステー30を足ボトム16dに取り付ける際に、ステー30全体を回転させて、当接部37及びこの当接部37に続く一方のヒンジ部36を一方の第1部分43aの穴48に挿通させた後、ステー30を弾性変形させて他方のヒンジ部36を他方の第1部分43aの穴48に対向させ、ステー30の弾性変形を解除することにより、他方のヒンジ部36を他方の第1部分43aの穴48に挿通させることができる。この結果、ステー30を足ボトム16dに簡便に取り付けることができる。
【0048】
なお、当接部37は、係止部34から遠ざかる方向に延びていてもよい。この場合は、当接部37を第1部分43aの上面部46に当接させることにより、ステー30の回転を規制できる。また、第1部分43aの形状は必ずしも筒状でなくてもよく、ステー30を軸支するための穴48が形成された内側面部44又は外側面部45のうち少なくとも一方と、当接部37を当接させる上面部46又は下面部47のうち少なくとも一方が設けられていればよい。すなわち、第1部分43aの断面形状は、枠状には限定されず、L字状又はコ字状であってもよい。
【0049】
また、ステー30に当接部37を設けず、ステー30を回転自在とし、ステー30がヒンジ部36を支点として足ボトム16dから自由にぶら下がっても、係止部34がスロープ24に接触し、且つ、第2方向D2がスロープ24の法線24nを基準として第1方向D1側に傾斜していればよい。具体的には、ステー30の形状を工夫することにより、ステー30の重心の位置を調整し、上述の条件を満たすようにしてもよい。また、ステー受け20の形状を工夫することにより、スロープ24が自由にぶら下がったステー30を受け止めて、上述の条件を満たすようにしてもよい。これによっても、係止部34を確実に第2凹部23に移動させることができる。
【0050】
次に、比較例について説明する。
図11は、本比較例に係るベッド装置におけるステー受けとステーとの位置関係を模式的に示す図である。
【0051】
図11に示すように、本比較例においては、ステー30aに当接部37(図8参照)が設けられていない。このため、ステー30aは足ボトム16dのU字部品43に対して自由に回転することができる。したがって、足ボトム16dを持ち上げてステー30aをステー受け20から離隔させると、ステー30aは重力により回転し、ステー30aの重心がヒンジ部36の直下に位置するような角度になる。
【0052】
この場合、足ボトム16dを下げたときに、ステー30aがステー受け20のスロープ24に接触しない場合がある。また、ステー30aがスロープ24に接触したとしても、第2方向D2が法線24nを基準として第1方向D1の反対側に傾斜する可能性がある。この場合は、足ボトム16dを更に下げたときに、係止部34には第2凹部23から離れる方向の力が印加され、ステー30aがステー受け20から外れてしまう可能性がある。
【0053】
これに対して、本実施形態によれば、ステー30の係止部34がスロープ24に接触し、接触したときの第2方向D2が法線24nを基準として第1方向D1側に傾斜している。このため、係止部34に第2凹部23に向かう方向の力を印加することができ、係止部34を第2凹部23に円滑に移動させることができる。
【0054】
<第2の実施形態>
本実施形態に係る介護用ベッド装置2(以下、単に「ベッド装置2」という)におけるステー受け及びステー以外の構成は、第1の実施形態に係るベッド装置1と同様である。
【0055】
以下、ベッド装置2のステー受け、ステー及びそれらの周辺部品について説明する。
図12は、本実施形態に係るベッド装置を示す斜め上方から見た部分斜視図であり、「山上げ」状態を示す。
図13は、本実施形態に係るベッド装置を示す斜め上方から見た部分斜視図であり、「水平上げ」状態を示す。
図12及び図13においては、図を簡略化するために、一部の構成要素を省略している。
図14は、本実施形態に係るベッド装置のステー受けを示す正面図である。
図15は、本実施形態に係るベッド装置のステーを示す斜視図である。
【0056】
図12及び図13に示すように、本実施形態に係るベッド装置2においては、上フレーム15にステー受け50が取り付けられている。ステー受け50は上フレーム15に対して溶接等の手段により固定されていてもよく、着脱可能に連結されていてもよい。ステー受け50は一対設けられており、上フレーム15の左右両側にそれぞれ配置されている。
【0057】
次に、ステー受け50について説明する。
図12図13図14に示すように、ステー受け50は、曲げ加工された2枚の帯状の金属板58及び59により構成されている。金属板58は金属板59の上方に配置されている。また、ベッド装置2の長さ方向Lにおいて、金属板58は金属板59よりも短い。
【0058】
上段の金属板58においては、下方に向けて凹んだ第1凹部51が形成されている。第1凹部51の頭側の側面は、略上方に向けて起立した垂直面である。第1凹部51の底面は、略平坦な水平面である。第1凹部51の足側の側面は、水平面及び垂直面に対して傾斜した略平坦な傾斜面である。
【0059】
下段の金属板59においては、下方に向けて凹んだ第2凹部53と、第2凹部53に繋がるスロープ54と、が形成されている。金属板58は、概ね、第2凹部53の直上域に配置されている。第2凹部53とスロープ54は第1方向D1に沿って配列されている。本実施形態において、第1方向D1は、概ね、頭側から足側に向かう方向である。
【0060】
第2凹部53の頭側の側面は、水平面及び垂直面に対して傾斜した略平坦な傾斜面である。第2凹部53の底面は、略平坦な水平面である。第2凹部53の足側の側面は、水平面及び垂直面に対して傾斜した略平坦な傾斜面である。第2凹部53の足側の側面は、スロープ54に繋がっている。スロープ54は、足側に向かうほど上方に位置する傾斜面である。スロープ54は、例えば、略平坦面である。但し、これには限定されず、スロープ54は例えば凹面であってもよい。
【0061】
次に、ステー60について説明する。
図12図13図15に示すように、足ボトム16dにはステー60が回動可能に連結されている。ステー60においては、金属からなる金属部61と、樹脂からなる一対の樹脂製カバー69が設けられている。金属部61は、例えば、曲げ加工された3本の金属棒が相互に結合されて形成されている。ステー60は足ボトム16dに対して回動可能であり、ステー60の回動軸はベッド装置2の幅方向Wに延びている。
【0062】
金属部61においては、1本の継手部62を中心として、その両側に、一対の第1連結部63、一対の係止部64、一対の第2連結部65、一対のヒンジ部66がこの順に設けられており、一方のヒンジ部66の先端には、当接部67が設けられている。他方のヒンジ部66の先端には、当接部67は設けられていない。すなわち、金属部61においては、一方の端から他方に端に向かって、当接部67、一方のヒンジ部66、一方の第2連結部65、一方の係止部64、一方の第1連結部63、継手部62、他方の第1連結部63、他方の係止部64、他方の第2連結部65、他方のヒンジ部66が、この順に連続的に配列されている。上述の各部は概ね直線状であり、各部間は屈曲又は結合されている。
【0063】
継手部62及びその両側の第1連結部63は、1本の金属棒により形成されている。継手部62は、ベッド装置2の幅方向Wに直線的に延びている。第1連結部63は、継手部62が延びる方向に対して、略直交する方向に延びている。ステー60の回動に伴い、第1連結部63が延びる方向は垂直面内で変化する。
【0064】
一方の係止部64、一方の第2連結部65、一方のヒンジ部66及び当接部67は、1本の金属棒により形成されている。他方の係止部64、他方の第2連結部65及び他方のヒンジ部66は、別の1本の金属棒により形成されている。各第1連結部63における継手部62の反対側の先端が、各係止部64の側面に連結されている。第1連結部63の先端は係止部64の側面に溶接により接合されていてもよく、ネジ止め等の機械的な方法により連結されていてもよい。
【0065】
係止部64は幅方向Wに延びている。係止部64におけるベッド装置2の内側の先端部が、樹脂カバー69を介してステー受け50と係合する。第2連結部65は係止部64におけるベッド装置2の外側の先端部を起点として、係止部64が延びる方向に対して直交する方向に延びている。ヒンジ部66は幅方向Wに延び、例えば、第2連結部65からベッド装置2の外側に延びている。当接部67はヒンジ部66が延びる方向に対して直交する方向に延びており、例えば、ヒンジ部66から係止部64に向かう方向に延びている。
【0066】
樹脂製カバー69は、係止部64におけるベッド装置2の内側の先端部を覆っている。これにより、金属部61と上フレーム15が接触することを抑止し、金属部61とステー受け50が接触することを抑止する。
【0067】
ステー60の当接部67と、足ボトム16dの枠部材41との位置関係は、第1の実施形態と同様である。すなわち、図8に示すように、足ボトム16dに対してステー60(30)がある角度になったときに、当接部67(37)の先端が第1部分43aの下面部47に当接し、ステー60はそれ以上の回転を規制される。
【0068】
次に、本実施形態に係るベッド装置の動作について説明する。
図16(a)~(c)、図17(a)及び(b)は、本実施形態に係るベッド装置におけるステー受けとステーとの位置関係を模式的に示す図であり、図16(a)はボトム全体が水平な「フラット」状態を示し、図16(b)は「山上げ」状態を示し、図16(c)は「水平上げ」状態を示し、図17(a)はステーがステー受けから離隔した状態を示し、図17(b)は離隔状態からステーがステー受けに再度接触した状態を示す。
【0069】
図16(a)に示すように、ボトム16全体が水平且つフラットであるときは、膝ボトム16c及び足ボトム16dは水平である。このとき、ステー60の係止部64は、ステー受け50の第1凹部51内に配置されていてもよく、第2凹部53内に配置されていてもよい。図16(a)においては、係止部64が第2凹部53内に配置されていている例を示している。以下、第1の実施形態と同様に、ステー60の係止部64からヒンジ部66に向かう方向を「第2方向D2」とし、足ボトム16dのU字部品43の第1部分43aが延びる方向を「第3方向D3」とし、第2方向D2と第3方向D3とがなす角度を「角度θ」とする。
【0070】
ボトム16全体がフラットである状態から、例えばアクチュエータ13を含む駆動手段により、膝ボトム16c及び足ボトム16dを持ち上げて、ボトム16を「山上げ」状態とする場合を説明する。例えば、図16(a)に示すように、ステー60の係止部64がステー受け50の第2凹部53内に配置されていた場合、図16(b)に示すように、駆動手段が膝ボトム16c及び足ボトム16dを上昇させると、係止部64は第2凹部53の頭側の側面に沿って頭側に移動する。また、係止部64が第1凹部51内に配置されていた場合は、駆動手段が膝ボトム16c及び足ボトム16dを上昇させると、係止部64は第1凹部51の頭側の側面に当接する。
【0071】
また、図16(c)に示すように、例えば介護者が人力で、図16(b)に示す「山上げ」状態から足ボトム16dを持ち上げて、ステー60の係止部64を金属板59から一旦離隔させて、金属板58の第1凹部51内に配置すると、足ボトム16dの角度が水平に近くなり、「水平上げ」状態となる。
【0072】
なお、介護者はボトム16の状態を、図16(a)に示すフラット状態から、膝ボトム16c及び足ボトム16dを持ち上げることにより係止部64を第1凹部51内に配置して、図16(c)に示す「水平上げ」状態に移行させてもよい。また、介護者は「水平上げ」状態から足ボトム16dを持ち上げて、係止部64を第2凹部53内に移動させることにより、「山上げ」状態に移行させてもよい。
【0073】
また、図17(a)に示すように、図16(a)に示すフラット状態、図16(b)に示す「山上げ」状態、又は、図16(c)に示す「水平上げ」状態から、足ボトム16dを大きく持ち上げると、ステー60がステー受け50から離れる。例えば、係止部64が第2凹部53内に配置された状態から足ボトム16dを大きく持ち上げると、係止部64がスロープ54に沿って足側に移動し、次いで、スロープ54から離れる。
【0074】
ステー60がステー受け50から離れると、ステー60は足ボトム16dにぶら下がり、重力によってステー60の重心が穴48の直下に位置するように回転しようとする。しかしながら、第1の実施形態と同様に、ステー60の当接部67が第1部分43aの下面部47に当接するため、ステー60の回転が規制される。このため、ステー60の重心が穴48の直下に位置することはなく、第2方向D2と第3方向D3とがなす角度θは所定の角度θ4より大きくはならない。すなわち、ステー60は足ボトム16dに対して、θ≦θ4の角度範囲で回動可能である。
【0075】
次に、図17(a)に示すように、ステー60がステー受け50から離隔した状態から、例えば介護者が人力で足ボトム16dを下ろすと、図17(b)に示すように、ステー60の係止部64がステー受け50のスロープ54に接触する。このとき、角度θはθ4のままである。また、第2方向D2は、ステー60とスロープ54との接触点を通過するスロープ54の法線54nを基準として第1方向D1側に傾斜する。
【0076】
そして、足ボトム16dを更に下ろすと、第2方向D2は法線54nを基準として第1方向D1側に傾斜しているため、係止部64には第2凹部53に向かう力が加わり、係止部64は第2凹部53に向けて摺動し、第2凹部53内に配置される。これにより、図16(b)に示す「山上げ」状態に戻る。本実施形態においては、足ボトム16dをステー60がステー受け50から離隔するような高い位置から下ろすと、常に「山上げ」状態に戻る。
【0077】
前述の第1の実施形態においては、足ボトム16dを上昇させた状態で、ステー30の係止部34がステー受け20の第1凹部21内に配置されていると「山上げ」状態となり、第2凹部23内に配置されていると「水平上げ」状態となり、足ボトム16dを高い位置から下ろすと「水平上げ」状態に戻る。これに対して、第2の実施形態においては、足ボトム16dを上昇させた状態で、ステー60の係止部64がステー受け50の第1凹部51内に配置されていると「水平上げ」状態となり、第2凹部53内に配置されていると「山上げ」状態となり、足ボトム16dを高い位置から下ろすと「山上げ」状態に戻る。
【0078】
次に、本実施形態の効果について説明する。
本実施形態によれば、図17(a)に示すようにステー60がステー受け50から離隔した状態から、図17(b)に示すようにステー60がステー受け50に再度接触したときに、第2方向D2が法線54nを基準として第1方向D1側に傾斜している。これにより、足ボトム16dを更に下げたときに、係止部64が第2凹部53に向けて摺動するため、係止部64を第2凹部53内に確実に配置することができる。これにより、ステー60がステー受け50から外れて落下する等の不具合を抑制でき、ボトムの角度を円滑に切り替えることができる。本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0079】
前述の各実施形態及びその変形例は、本発明を具現化した例であり、本発明はこれらの実施形態及び変形例には限定されない。例えば、前述の各実施形態及び変形例において、いくつかの構成要素を追加、削除又は変更したものも本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0080】
1、2:介護用ベッド装置
11:下フレーム
12:キャスター
13:アクチュエータ
15:上フレーム
15a:長手部材
16:ボトム
16a:背ボトム
16b:腰ボトム
16c:膝ボトム
16d:足ボトム
18、19:サイドレール
20:ステー受け
21:第1凹部
22:凸部
23:第2凹部
24:スロープ
24n:法線
30、30a:ステー
31:金属部
32:継手部
33:第1連結部
34:係止部
35:第2連結部
36:ヒンジ部
37:当接部
39:樹脂製カバー
40:補強部品
41:枠部材
42:板部材
43:U字部品
43a:第1部分
43b:第2部分
44:内側面部
45:外側面部
46:上面部
47:下面部
48:穴
49:I字部品
50:ステー受け
51:第1凹部
53:第2凹部
54:スロープ
54n:法線
58、59:金属板
60:ステー
61:金属部
62:継手部
63:第1連結部
64:係止部
65:第2連結部
66:ヒンジ部
67:当接部
69:樹脂製カバー
θ、θ1、θ2、θ3、θ4:角度
D1:第1方向
D2:第2方向
D3:第3方向
L:長さ方向
V:上下方向
W:幅方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17