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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-01
(45)【発行日】2024-08-09
(54)【発明の名称】粉体混合機
(51)【国際特許分類】
   B01F 23/60 20220101AFI20240802BHJP
   B01F 29/81 20220101ALI20240802BHJP
【FI】
B01F23/60
B01F29/81
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021111803
(22)【出願日】2021-07-05
(65)【公開番号】P2023008327
(43)【公開日】2023-01-19
【審査請求日】2023-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】593209080
【氏名又は名称】中央可鍛工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100188765
【弁理士】
【氏名又は名称】赤座 泰輔
(74)【代理人】
【識別番号】100112900
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 路子
(74)【代理人】
【識別番号】100136995
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 千織
(74)【代理人】
【識別番号】100163164
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 敏之
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 達也
(72)【発明者】
【氏名】河内 僚
【審査官】小久保 勝伊
(56)【参考文献】
【文献】特開昭64-015125(JP,A)
【文献】特開2011-218309(JP,A)
【文献】特開2019-130456(JP,A)
【文献】特公昭52-048512(JP,B1)
【文献】特開2003-009796(JP,A)
【文献】特公昭44-020707(JP,B1)
【文献】特開2016-209856(JP,A)
【文献】国際公開第2011/161841(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 29/81
B01F 23/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体を収容し、周方向に回転し、上下方向を軸方向とする回転軸を有する、円筒状の回転容器を備える粉体混合機であって、
該回転容器の下方が閉塞され、該回転容器の内側の底壁面に、該底壁面の中心近傍から半径方向に形成された、傾斜角度の異なる2種以上の誘導面を備え、
誘導面と回転容器の内側の側壁面との交線を形成する角部が丸く面取りされて、面取り部が形成されていることを特徴とする粉体混合機。
【請求項2】
粉体を収容し、周方向に回転し、上下方向を軸方向とする回転軸を有する、円筒状の回転容器を備える粉体混合機であって、
該回転容器の下方が閉塞され、該回転容器の内側の底壁面に、該底壁面の中心近傍から半径方向に形成された、傾斜角度の異なる2種以上の誘導面を備え、
傾斜角度が、水平面に対し、半径方向上側に0~25°の範囲にあることを特徴とする粉体混合機。
【請求項3】
粉体を収容し、周方向に回転し、上下方向を軸方向とする回転軸を有する、円筒状の回転容器を備える粉体混合機であって、
該回転容器の下方が閉塞され、該回転容器の内側の底壁面に、該底壁面の中心近傍から半径方向に形成された、傾斜角度の異なる2種以上の誘導面を備え、
底壁面の中心の回転軸上に、回転容器の内側に突出した、円錐形状の中央突起物が形成されていることを特徴とする粉体混合機。
【請求項4】
粉体を収容し、周方向に回転し、上下方向を軸方向とする回転軸を有する、円筒状の回転容器を備える粉体混合機であって、
該回転容器の下方が閉塞され、該回転容器の内側の底壁面に、該底壁面の中心近傍から半径方向に形成された、傾斜角度の異なる2種以上の誘導面を備え、
傾斜角度の異なる2種以上の誘導面を連接する連接面が備えられ、該誘導面と該連接面との交線を形成する角部が丸く面取りされて、面取り部が形成されていることを特徴とする粉体混合機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の技術分野は、回転容器を備え、回転容器内で複数種類の粉体を混合する、粉体混合機に関する。
【背景技術】
【0002】
回転容器を備え、回転容器内で複数種類の粉体を混合する、粉体混合機として、従来、下記特許文献1において、回転容器の内周壁面に当接する撹拌翼を備える粉体混合機が知られている。この粉体混合機は、回転容器を回転させるとともに、回転容器に対して相対的に撹拌翼を回転させることによって、複数種類の粉体を均一に混合撹拌することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-187566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の従来の回転容器を備える粉体混合機は、清掃する際に、回転容器と撹拌翼の両方を清掃する必要があり、さらに、清掃前後に、回転容器から撹拌翼を脱着する必要があり、清掃が煩雑であるという問題点があった。
【0005】
本明細書の技術が解決しようとする課題は、上述の点に鑑みてなされたものであり、複数種類の粉体を均一に混合撹拌することができ、かつ、簡便に清掃することができる粉体混合機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書の実施形態に係る粉体混合機は、粉体を収容し、周方向に回転し、上下方向を軸方向とする回転軸を有する、円筒状の回転容器を備える粉体混合機であって、
該回転容器の下方が閉塞され、該回転容器の内側の底壁面に、該底壁面の中心近傍から半径方向に形成された、傾斜角度の異なる2種以上の誘導面、を備えることを特徴とする。
【0007】
本明細書の実施形態に係る粉体混合機によれば、円筒状の回転容器が上下方向を軸方向とする回転軸を有しているため、混合撹拌の際に、回転容器を回転させることによって、回転容器内の粉体は、遠心力によって半径方向に移動する。このとき、回転容器の底壁面に、傾斜した誘導面が備えられているため、混合撹拌される粉体は、誘導面に沿って半径方向に移動し、回転容器の側壁面を誘導面の傾斜方向に移動する。次々に移動する粉体によって、混合撹拌される粉体は、底壁面に押しやられるように、回転容器内を循環する。誘導面は傾斜角度の異なる2種以上が底壁面に備えられているため、混合撹拌される粉体は、傾斜角度の異なりによって、2以上の異なる撹拌によって撹拌される。2以上の異なる撹拌によって撹拌されるため、実施形態の粉体混合機は、粉体を複雑に撹拌することができ、結果、粉体を均一に混合撹拌することができる。また、実施形態の粉体混合機は、回転容器の回転によって、複数種類の粉体を均一に混合撹拌するものであり、粉体が接触する部位が回転容器の内壁のみであるため、簡便に清掃することができる。
【0008】
ここで、上記粉体混合機において、前記誘導面と前記回転容器の内側の側壁面との交線を形成する角部が丸く面取りされて、面取り部が形成されているものとすることができる。
【0009】
これによれば、半径方向に移動する粉体を面取り部によって誘導面から側壁面にスムーズに移動させることができるため、粉体をより均一に混合撹拌することができる。
【0010】
また、上記粉体混合機において、前記傾斜角度が、水平面に対し、半径方向上側に0~25°の範囲にあるものとすることができる。
【0011】
これによれば、混合撹拌される粉体は、誘導面に沿って半径方向に移動するとともに上側にも移動し、回転容器の側壁面又は天壁面まで移動して底壁面に落下する循環を繰り返す。このため、より効率よく、複数種類の粉体を均一に混合撹拌することができる。
【0012】
また、上記粉体混合機において、前記底壁面の中心の前記回転軸上に、前記回転容器の内側に突出した、円錐形状の中央突起物が形成されているものとすることができる。
【0013】
これによれば、円錐形状の中央突起物によって、回転による遠心力が小さい回転軸周辺の粉体を半径方向に移動させることができるため、より効率よく、粉体を均一に混合撹拌することができる。
【0014】
また、上記粉体混合機において、前記傾斜角度の異なる2種以上の前記誘導面を連接する連接面が備えられ、該誘導面と該連接面との交線を形成する角部が丸く面取りされて、面取り部が形成されているものとすることができる。
【0015】
これによれば、混合撹拌時の粉体の動きを滑らかにするとともに、粉体混合機の清掃の際の作業性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本明細書の実施形態に係る粉体混合機によれば、粉体を均一に混合撹拌することができ、かつ、簡便に清掃することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態の粉体混合機の上側からの斜視図である。
図2図1のII-II線位置の断面図である。
図3図1のIII-III線位置の断面図であり、撹拌時の粉体の軌跡のイメージを共に示す図である。
図4】(A)は図1のIVA-IVA線位置の断面斜視図、(B)は図4(A)のIVB-IVB線位置の断面図である。
図5図2のV-V線位置の断面図である。
図6図2のVI-VI線位置の断面図である。
図7図2のVII-VII線位置の断面図である。
図8図2のVIII-VIII線位置の断面図である。
図9図5~8を重ね合わせたイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本明細書の実施形態に係る粉体混合機を図面に基づいて説明する。しかし、本明細書の技術は、これら実施形態に限定されるものではない。実施形態の粉体混合機は、図1に示すように、円筒状の回転容器1を備え、上下方向を軸方向とする回転軸RAを有し、回転軸RAを中心に回転することによって、粉体P(図3)を混合する。なお、本明細書において、粉体混合機の向きは、図1に示すように、天壁面27を有する側を上とし、底壁面21を有する側を下とする。図示で使用する、Uは上、Dは下を示す。回転方向は、粉体混合機を上から見た際の回転方向とする。また、粉体混合機の回転容器1の中を基準に、内側又は外側と表現することがある。
【0019】
粉体混合機を形成する回転容器1は、ステンレス鋼で形成され、円筒状であり、下側は容器壁2によって閉塞され、上側は容器壁2によって開口部3を除いて閉塞され、内部が粉体Pを撹拌する場となる容器である。回転容器1の容器内側の直径と高さの比は、粉体Pの混合性に優れる、直径:高さ=10:7とした。具体的な大きさとしては、回転容器1の容器内側の直径は30cm、高さは21cmとした。
【0020】
回転容器1の底壁の容器壁2の中心の下側(外側)には、回転容器1を回転させる動力機(図示せず)と連結する基台(図示せず)が設けられている。回転容器1の天壁の容器壁2の中心周辺には、粉体を出し入れするための開口部3が設けられ、開口部3には、図示しない蓋が開口部3を開閉可能に取り付けられている。
【0021】
回転容器1の内側の底壁面21には、図2~4に示すように、回転軸RA上に、上側に突出し、回転軸RA上に頂部251を有する円錐形状の中央突起物25と、中央突起物25から半径方向に、異なる傾斜角度αを有する4種類の誘導面22とが形成されている。また、底壁面21には、隣り合う誘導面22と誘導面22とを連接する平面状の連接面23と、誘導面22と連接面23との交線を形成する角部が丸く面取りされた面取り部236とが形成されている。角部が面取り部236によって丸く面取りされていることにより、混合撹拌時の粉体Pの動きを滑らかにするとともに、粉体混合機の清掃の際の作業性を向上させることができる。
【0022】
図4~8に示すように、誘導面22は半径方向外側の端部が側壁面26と交差し、誘導面22と側壁面26との交線を形成する角部が角部の外側に丸く面取りされて、面取り部226が形成されている。これにより、遠心力によって半径方向外側に移動する粉体Pを誘導面22から側壁面26にスムーズに移動させることができる。
【0023】
誘導面22は、図5~9に示すように、4種類の傾斜角度αが設けられている。誘導面22の傾斜角度αは、水平面(回転軸RAに直交する面)から半径方向の上側への仰角であり、0°の誘導面221(図5)、5°の誘導面222(図6)、10°の誘導面223(図7)、15°の誘導面224(図8)、の4種類が設けられている。誘導面22は、傾斜角度が異なることで、側壁面までの距離Lが異なり(図9、距離L1~L4)、0°の誘導面221の距離L1が最も短く、15°の誘導面224の距離L4が最も長い。誘導面22は、図2に示すように、底壁面21に対して、周方向に30°ごと、角度の異なる誘導面22が設けられ、底壁面21に、0°の誘導面221と、0°を超える傾斜角度(5°、10°又は15°)の誘導面(222、223又は224)とが交互に配置されている。具体的には、図2のV-V線から時計回り方向に、0°の誘導面221(図5)、10°の誘導面223(図7)、0°の誘導面221(図5)、5°の誘導面222(図6)、0°の誘導面221(図5)、15°の誘導面224(図8)、の順の半周分が設けられ、残りの半周分も同じ順序で設けられている。周方向に隣り合う誘導面22に、傾斜角度α順などの規則性を持たせないことにより、粉体Pを複雑に撹拌させて、撹拌効率を上げるものである。
【0024】
中央突起物25は、円錐形状であり、底壁面21の回転軸RA上に設けられ、上側に頂部251が突出している。中央突起物25の裾部252の直径は、回転容器1の容器内側の直径の0.25倍の長さであり、中央突起物25の高さは、回転容器1の容器内側の高さの0.4倍の長さである。中央突起物25は、回転による遠心力が小さい回転軸周辺の粉体Pを、半径方向に移動させることができるため、より効率よく、粉体を均一に混合撹拌することができる。中央突起物25の裾部252と底壁面21との交線を形成する角部は、丸く面取りされた面取り部256が形成されている。
【0025】
次に、実施形態の粉体混合機を用いた粉体Pの混合方法について説明する。粉体Pには、紫外線反応硬化型樹脂の原材料粉末(紫外線反応硬化型樹脂A、紫外線反応硬化型樹脂B、紫外線吸収剤、シリカ、着色顔料)を使用した。
【0026】
紫外線反応硬化型樹脂の原材料粉末は、原材料粉末ごとに、開口部3から回転容器1内に投入させた。投入量は、ゆるく充填したかさ体積の量で、回転容器1の内容積の0.25倍の容積の量(約3.5リットル(約1.7kg))とした。投入された原材料粉末(粉体P)は、回転容器1内の中央突起物25によって、半径方向に移動させられ、回転による遠心力が小さい回転軸周辺に留まることが抑制される。
【0027】
粉体Pの投入後に、回転容器1の開口部3を、図示しない蓋によって閉塞する。次に、動力機によって、回転容器1を回転させる。回転数は、600rpm(10Hz)とした。
【0028】
回転容器1が回転軸RAを中心に回転することによって、回転容器1内の粉体Pは、遠心力により半径方向に飛ばされる。このとき、粉体Pは、4種類の傾斜角度αが設けられている誘導面22の傾斜角度αの違い(0°の誘導面221(図5)、5°の誘導面222(図6)、10°の誘導面223(図7)、15°の誘導面224(図8))によって、側壁面26を異なる高さまで上昇し、異なる撹拌によって撹拌される。側壁面26までの距離Lが短い0°の誘導面221上を移動した粉体Pは、短い時間で側壁面26に達して側壁面26上を少し上方に移動して容器中央に向けて落下する。一方、側壁面26までの距離Lが長い15°の誘導面224上を移動した粉体Pは、少し長い時間で側壁面26に達して側壁面26上をより上まで移動して容器中央に向けて落下する(図3)。粉体Pは、異なる撹拌によって撹拌されながら、周方向に隣り合う誘導面22の粉体Pと混ざりながら撹拌される。隣り合う誘導面22の傾斜角度αが規則性を有していないため、粉体Pは、ランダムに混ざり、撹拌効率が高められる。
【0029】
なお、実施形態の粉体混合機は、その構成を以下のような形態に変更しても実施することができる。
【0030】
実施形態の粉体混合機では、回転容器1の材質にステンレス鋼を用いたが、回転容器1の材質は、粉体混合することによって摩耗が少ない材料であれば使用することができ、炭素工具鋼鋼材(JIS G 4401:2009)などの鋼材、焼成セラミックス材、なども使用することができる。
【0031】
実施形態の粉体混合機では、回転容器1の容器内側の直径と高さの比は、粉体Pの混合性に優れる、直径:高さ=10:7としたが、回転容器1の容器内側の直径と高さの比は、直径:高さ=10:4~10であれば、粉体Pの混合性に優れるものとすることができる。高さが直径10に対して4未満である場合には、直径に対して高さが低く、効率よく粉体Pを混合することができないおそれがある。一方、高さが直径10に対して10を超える場合には、混合時に、粉体Pが側壁面26の上側まで届かず、高さが過剰なものとなり、設備として無駄なものとなるおそれがある。別の実施形態として、回転容器1の容器内側の直径と高さの比は、直径:高さ=10:5~9とすることができ、さらに別の実施形態として、直径:高さ=10:6~8とすることができる。
【0032】
実施形態の粉体混合機では、回転容器1の容器内側の直径は、30cmとしたが、回転容器1の容器内側の直径は、10~100cmであれば、粉体Pの混合性に優れるものとすることができる。
【0033】
実施形態の粉体混合機では、誘導面22には傾斜角度αを4種類設けたが、傾斜角度αは2~8種類設けることにより、撹拌効率に優れるものとすることができる。傾斜角度αが2種類未満(つまり1種類)である場合には、十分な撹拌効率が得られないおそれがある。一方、8種類を超えると、誘導面22を備える底壁面21の加工が困難になり、粉体混合機の製造が困難になるおそれがある。別の実施形態として、誘導面22の傾斜角度αは、3~5種類とすることができる。なお、誘導面22は、底壁面21の周方向に、連続的に変化する波型形状とすることもできる。
【0034】
実施形態の粉体混合機では、誘導面22の傾斜角度αは、0~15°としたが、誘導面22の傾斜角度αは、0~25°であれば、撹拌効率に優れるものとすることができる。誘導面22の傾斜角度αが0°未満である場合には、誘導面22が半径方向に下側の俯角となり、撹拌時に、誘導面の外側端部に粉体Pが吹き溜まり、撹拌効率が劣るおそれがある。一方、誘導面22の傾斜角度αが25°を超えると、撹拌の遠心力によって、粉体Pが上方に十分に上昇しないおそれがある。別の実施形態として、誘導面22の傾斜角度αは、0~20°とすることができる。
【0035】
実施形態の粉体混合機では、中央突起物25の裾部252の直径は、回転容器1の容器内側の直径の0.25倍の長さとしたが、回転容器1の容器内側の直径の0.05~0.5倍の長さであれば、効率よく、粉体を均一に混合撹拌することができる。中央突起物25の裾部252の直径が、回転容器1の容器内側の直径の0.05倍未満である場合には、回転容器1の容器内側の直径に対して小さく、混合撹拌の効率を上げる効果が確認できないおそれがある。一方、0.5倍を超えると、相対的に底壁面21の粉体Pの混合面積(誘導面22の面積)が小さくなり、混合撹拌の効率が劣るおそれがある。別の実施形態として、中央突起物25の裾部252の直径は、回転容器1の容器内側の直径の0.15~0.3倍の長さとすることができる。
【0036】
実施形態の粉体混合機では、中央突起物25の高さは、回転容器1の容器内側の高さの0.4倍の長さとしたが、回転容器1の容器内側の高さの0.1~0.6倍の長さであれば、効率よく、粉体を均一に混合撹拌することができる。中央突起物25の高さが、回転容器1の容器内側の高さの0.1倍未満である場合には、回転容器1の容器内側の高さに対して小さく、混合撹拌の効率を上げる効果が確認できないおそれがある。一方、0.6倍を超えると、回転容器1の容器内側の高さに対して大きく、清掃などのメンテナンス性が劣るおそれがある。別の実施形態として、中央突起物25の高さは、回転容器1の容器内側の高さの0.2~0.5倍の長さとすることができる。
【0037】
実施形態の粉体混合機では、混合する粉体Pとして、紫外線反応硬化型樹脂の原材料粉末を使用したが、粉体Pは、これに限定されるものではなく、積層造形や粉末冶金などに用いられる金属粉末、グラウト材などのセメント系材料、ファンデーションなどの化粧品、混合調味料やホットケーキミックスなどの食料品、粉末薬剤などの医薬品、などであっても使用することができる。
【0038】
実施形態の粉体混合機では、粉体Pを混合する際の回転数は、600rpm(10Hz)としたが、回転数は180~1800rpm(3~30Hz)であれば、効率よく、粉体を均一に混合撹拌することができる。回転数が180rpm(3Hz)未満である場合には、遠心力が弱く、十分に混合撹拌することができないおそれがある。一方、1800rpm(30Hz)を超えると、十分に混合撹拌することができるものの、粉体混合機に対する負荷が過剰なものとなるおそれがある。別の実施形態として、粉体Pを混合する際の回転数は、300~900rpm(5~15Hz)とすることができる。
【符号の説明】
【0039】
1…回転容器、2…容器壁、3…開口部、21…底壁面、22…誘導面、23…連接面、25…中央突起物、26…側壁面、27…天壁面、221…誘導面、222…誘導面、223…誘導面、224…誘導面、226…面取り部、236…面取り部、251…頂部、252…裾部、256…面取り部、L…距離、P…粉体、RA…回動軸、α…傾斜角度。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9