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特許7531482プリフォームの温度調整装置及び温度調整方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-01
(45)【発行日】2024-08-09
(54)【発明の名称】プリフォームの温度調整装置及び温度調整方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 49/64 20060101AFI20240802BHJP
   B29C 49/06 20060101ALI20240802BHJP
【FI】
B29C49/64
B29C49/06
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021513698
(86)(22)【出願日】2020-04-09
(86)【国際出願番号】 JP2020015950
(87)【国際公開番号】W WO2020209328
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】P 2019073875
(32)【優先日】2019-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000227032
【氏名又は名称】日精エー・エス・ビー機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100210398
【弁理士】
【氏名又は名称】横尾 太郎
(72)【発明者】
【氏名】土屋 知朗
(72)【発明者】
【氏名】比田井 健
【審査官】田村 佳孝
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-521662(JP,A)
【文献】特開2003-011238(JP,A)
【文献】特開平11-063840(JP,A)
【文献】特開2019-001111(JP,A)
【文献】特表2000-508593(JP,A)
【文献】特開2004-105185(JP,A)
【文献】特開2014-024273(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 49/64
B29C 49/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出成形されたプリフォームを加熱してプリフォーム温度又はその雰囲気温度を上昇させる加熱装置と、前記プリフォーム又はその雰囲気を冷却してプリフォーム温度又はその雰囲気温度を減少させる冷却装置とにより温度処理して温度調整を行い、温度調整後のプリフォームをブロー成形工程へ送る、プリフォームの温度調整装置において、
前記冷却装置及び加熱装置は夫々、供給電源から所定電圧の電気を供給されて駆動され、
前記冷却装置及び加熱装置は、
前記所定電圧の変動を常時監視する監視装置と、
前記監視装置により監視された所定電圧が正規範囲を超えて変動した場合に、前記加熱装置及び冷却装置の少なくとも一方の出力を自動的に変動させて一定範囲に納めることによりプリフォームの温度又は雰囲気温度の少なくとも一方が正規温度範囲内に納まるよう調整する出力自動制御機構と
を備え、
前記所定電圧の値と、前記プリフォームの温度の値との組をリアルタイムでグラフ表示する、
ことを特徴とする、プリフォームの温度調整装置。
【請求項2】
請求項1に記載のプリフォームの温度調整装置において、
前記出力自動制御機構が、前記加熱装置及び冷却装置の両方を同時に出力変更させることを特徴とする、
プリフォームの温度調整装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のプリフォームの温度調整装置において、
前記冷却装置は、前記プリフォーム温度を比較的長期にわたって制御するブロワーであることを特徴とする、
プリフォームの温度調整装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のプリフォームの温度調整装置において、
前記加熱装置は前記プリフォーム温度を比較的短期にわたって制御する赤外線ヒーターであることを特徴とする、
プリフォームの温度調整装置。
【請求項5】
射出成形された、カップ状のプリフォームを、該プリフォームを加熱してプリフォーム温度を上昇させる加熱装置と、該プリフォームを冷却してプリフォーム温度を減少させる冷却装置とにより温度処理して温度調整を行い、温度調整後のプリフォームをブロー成形工程へ送る、プリフォームの温度調整装置において、
前記冷却装置及び加熱装置は夫々、供給電源から所定電圧の電気を供給されて駆動され、
前記冷却装置及び加熱装置は、
前記所定電圧の変動、プリフォーム温度、及び雰囲気温度の少なくとも一つを常時監視する監視装置と、
前記監視装置により監視された所定電圧が正規範囲を超えて変動した場合、また前記プリフォーム温度及び雰囲気温度の少なくとも一つの値の変動によりプリフォームのブロー成形に異常を生じた場合に、前記冷却装置及び加熱装置の少なくとも一方の出力を自動的に変動させて一定範囲に納めることにより、プリフォームの温度又は雰囲気温度の少なくとも一方が正規温度範囲内に納まるように調整する出力自動制御機構と
を備え
前記所定電圧の値と、前記プリフォームの温度の値との組をリアルタイムでグラフ表示する、
ことを特徴とする、プリフォームの温度調整装置。
【請求項6】
請求項5に記載のプリフォームの温度調整装置において、
前記プリフォーム温度は、ブロー成形時のプリフォームの温度であり、前記雰囲気温度は前記加熱装置内部の温度であることを特徴とする、
プリフォームの温度調整装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載のプリフォームの温度調整装置において、
前記出力自動制御機構(6)が、前記加熱装置及び冷却装置の両方を同時に出力変更させることを特徴とする、
プリフォームの温度調整装置。
【請求項8】
請求項5又は6に記載のプリフォームの温度調整装置において、
前記冷却装置は、前記プリフォーム温度を比較的長期にわたって制御するブロワーであることを特徴とする、
プリフォームの温度調整装置。
【請求項9】
請求項5又は6に記載のプリフォームの温度調整装置において、
前記加熱装置は前記プリフォーム温度を比較的短期にわたって制御する赤外線ヒーターであることを特徴とする、
プリフォームの温度調整装置。
【請求項10】
請求項乃至9の何れかに記載のプリフォームの温度調整装置において、
前記プリフォームの温度の値と、前記雰囲気温度との値との組をリアルタイムでグラフ表示することをさらに含む、
プリフォームの温度調整装置。
【請求項11】
射出成形された、カップ状のプリフォームを、プリフォームを加熱する加熱装置と、プリフォームを冷却する冷却装置とにより温度処理して温度調整を行い、温度調整後のプリフォームをブロー成形工程へ送る、プリフォームの温度調整方法において、
前記冷却装置及び加熱装置に対して供給電源から所定電圧の駆動電気を供給してプリフォーム又はその雰囲気の温度調整を行う工程と、
前記供給電源からの所定電圧を常時監視する工程と、
前記監視された所定電圧が正規範囲を超えて変動した場合に、前記冷却装置及び加熱装置の少なくとも一方の出力を一定範囲内に納まるように自動的に変動させてプリフォームの温度又は雰囲気温度の少なくとも一方が正規温度範囲内に納まるように調整する工程と
を備え
前記所定電圧の値と、前記プリフォームの温度の値との組をリアルタイムでグラフ表示する、
ことを特徴とする、プリフォームの温度調整方法。
【請求項12】
射出成形された、カップ状のプリフォームを、プリフォームを加熱する加熱装置と、プリフォームを冷却する冷却装置とにより温度処理して温度調整を行い、温度調整後のプリフォームをブロー成形工程へ送る、プリフォームの温度調整方法において、
前記冷却装置及び加熱装置に対して供給電源から所定電圧の駆動電気を供給してプリフォーム又はその雰囲気の温度調整を行う工程と、
前記供給電源からの所定電圧の変動、ブロー成形時のプリフォーム温度、及び前記温度調整時のプリフォームの雰囲気温度の少なくとも一つを常時監視する工程と、
前記監視された所定電圧が正規範囲を超えて変動した場合、また前記プリフォーム温度及び雰囲気温度の少なくとも一つの値の変動によりプリフォームのブロー成形に異常を生じた場合に、前記冷却装置及び加熱装置の少なくとも一方の出力を一定範囲内に納まるように自動的に変動させてプリフォームの温度又は雰囲気温度の少なくとも一方が正規温度範囲内に納まるように調整する工程と
を備え
前記所定電圧の値と、前記プリフォームの温度の値との組をリアルタイムでグラフ表示する、
ことを特徴とする、プリフォームの温度調整方法。
【請求項13】
前記プリフォームの温度の値と、前記雰囲気温度との値との組をリアルタイムでグラフ表示することをさらに含む、
請求項11または12に記載のプリフォームの温度調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホットパリソン式のブロー成形装置におけるプリフォームの温度調整装置及び温度調整方法等に関する。具体的には、供給電源の電圧変動に応じてプリフォームを加熱する加熱装置及びプリフォームを冷却する冷却装置の少なくとも一方の出力を自動的に変更してプリフォームの温度調整を達成し得るプリフォームの温度調整装置及び温度調整方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、射出延伸ブロー成形機として、複数のプリフォームを、バッチ式(例えばプリフォームが8個×3列=24個のバッチ)で射出成形した後に、これを一時的に冷却する冷却部と、バッチ式を連続式に切り換えてプリフォームを搬送させて加熱装置により加熱すると共に冷却装置により過加熱を防止して均温化の温度調整を行う温度調整部と、温度調整されたプリフォームをブロー成形するブロー成形部とを備えたブロー成形装置が知られている(詳細は後述する図1に示される)。
【0003】
ここで、ホットパリソン式ブロー成形法において、射出成形時間(特に冷却時間)を著しく短縮化しても、透明なプリフォームや容器が良好に製造できる成形法が開発されるに伴い、上記の射出延伸ブロー成形機においても、高品質な容器を従来よりも短い成形サイクル時間で(ハイサイクルで)製造することが可能になった。
しかしながら、ブロー成形機をハイサイクル下で稼働させると、容器を一定品質で連続的に成形・生産することは従来より困難になる。即ち、成形・生産の安定性を高めるには、ブロー成形機をより一層、正確かつ精密に制御する必要があり、特に、プリフォームの上記温度調整部の制御方法の更なる改良が求められる。
【0004】
一例として、上記加熱部の加熱装置は、プリフォーム搬送ライン上に設けられ、例えば、赤外線ヒーターにより、装置内を通過するプリフォームを加熱する。
ただし、加熱装置内の雰囲気が過度または徐々に上昇してしまうと、プリフォームの温度分布が不均一になるので、冷却装置であるブロワー(送風機)からの冷却風をプリフォームに吹き付けて冷却すると共に、加熱装置内の空気を外部に逃がして、装置内の温度上昇を抑制するようにしたものがある。
【0005】
例えば、吹き出し口から加熱炉内に吹き出される冷却エアーによってプリフォームを冷却すると共に、加熱炉の天面(上部)に加熱炉のエアーを炉外に逃がして加熱炉内の温度を調整するための金網を設けたものがある(特許文献1参照)。また例えば、送風機によって、プリフォームが搬送されるトンネル内を送風機で減圧することで、トンネル内に冷却風を引き込むと共に、トンネル内で加熱された空気を排出するようにしたものがある(特許文献2参照)。
【0006】
更に、加熱装置のケーシング内に赤外線ヒーター及びブロワーを設けて、赤外線ヒーターによりプリフォームを加熱すると共に、ブロワーからの冷却風により加熱装置の雰囲気温度の過度の上昇を抑制するものもある。(特許文献3参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2012-245753号公報
【文献】特公平04-12212号
【文献】WO2014/208693号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の加熱装置では、赤外線ヒーター及びブロワーはこれらに対する供給電源の電圧が大きく変動したときこれらの出力も追随的に大きく変動してしまう傾向があった。例えば、赤外線ヒーターの出力が低下して加熱が不十分であるとプリフォームが低温状態になって温度分布が不均一になる。すると、プリフォーム(特に薄肉・軽量容器用で、大きい延伸倍率が及ぼされるプリフォーム)がブロー成形されるときに破裂しやすくなる。また、プリフォーム破裂時のブローエアにより成形装置やブロー型の表面に結露した付近の水滴(湿気)が後続のプリフォームへ飛散付着してプリフォーム温度を一層低下させて、後続のプリフォームもブロー成形時に破裂しやすくなってしまう。すなわち従来の加熱装置(ブロー成形装置)では、電圧変動が原因で、破裂等の成形不良が連続して生じやすいという問題点があった。
【0009】
また、加熱装置内の温度分布が不均一になると、個々のプリフォーム同士の温度分布も不均一になって、後のブロー成形工程でプリフォームを連続的にブロー成形しても一定品質の容器を得ることはできなくなってしまう。特に、薄肉・軽量容器をハイサイクル下でブロー成形して得る場合は、各プリフォームの微小な温度差により不良率が増大する。
【0010】
本発明は、供給電源の電圧変動に関係なく、加熱装置及び冷却装置の出力を自動的に変更して一定範囲に納まるようにすることにより、供給電源の電圧変動に拘わらず、各プリフォームの温度分布が均一になるように加熱できるようにし、ブロー成形において良好な成形性や生産性を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のプリフォームの温度調整装置は、射出成形されたプリフォームを加熱してプリフォーム温度又はその雰囲気温度を上昇させる加熱装置と、前記プリフォーム又はその雰囲気を冷却してプリフォーム温度又はその雰囲気温度を減少させる冷却装置とにより温度処理して温度調整を行い、温度調整後のプリフォームをブロー成形工程へ送る、プリフォームの温度調整装置において、
前記冷却装置及び加熱装置は夫々、供給電源から所定電圧の電気を供給されて駆動され、
前記冷却装置及び加熱装置は、前記所定電圧の変動を常時監視する監視装置と、前記監視装置により監視された所定電圧が正規範囲を超えて変動した場合に、前記加熱装置及び冷却装置の少なくとも一方の出力を自動的に変動させて一定範囲に納めることによりプリフォームの温度又は雰囲気温度の少なくとも一方が正規温度範囲内に納まるよう調整する出力自動制御機構とを備えることを特徴とする。
【0012】
好ましくは、前記出力自動制御機構が、前記加熱装置及び冷却装置の両方を同時に出力変更させる。
【0013】
また、好ましくは、前記冷却装置は、前記プリフォーム温度を比較的長期にわたって制御するブロワーである。
【0014】
また、好ましくは、前記加熱装置は前記プリフォーム温度を比較的短期にわたって制御する赤外線ヒーターであることを特徴とする、装置。
【0015】
また、本発明は、射出成形された、カップ状のプリフォームを、該プリフォームを加熱してプリフォーム温度を上昇させる加熱装置と、該プリフォームを冷却してプリフォーム温度を減少させる冷却装置とにより温度処理して温度調整を行い、温度調整後のプリフォームをブロー成形工程へ送る、プリフォームの温度調整装置において、
前記冷却装置及び加熱装置は夫々、供給電源から所定電圧の電気を供給されて駆動され、
前記冷却装置及び加熱装置は、前記所定電圧の変動、プリフォーム温度、及び雰囲気温度の少なくとも一つを常時監視する監視装置と、前記監視装置により監視された所定電圧が正規範囲を超えて変動した場合、また前記プリフォーム温度及び雰囲気温度の少なくとも一つの値の変動によりプリフォームのブロー成形に異常を生じた場合に、前記冷却装置及び加熱装置の少なくとも一方の出力を自動的に変動させて一定範囲に納めることにより、プリフォームの温度又は雰囲気温度の少なくとも一方が正規温度範囲内に納まるよう調整する出力自動制御機構とを備えることを特徴とする。
【0016】
好ましくは、前記プリフォーム温度は、ブロー成形時のプリフォームの温度であり、前記雰囲気温度は前記加熱装置内部の温度である。
【0017】
また、好ましくは、前記出力自動制御機構が、前記加熱装置及び冷却装置の両方を同時に出力変更させる。
【0018】
更に、好ましくは、前記冷却装置は、前記プリフォーム温度を比較的長期にわたって制御するブロワーである。
【0019】
更に好ましくは、前記加熱装置は前記プリフォーム温度を比較的短期にわたって制御する赤外線ヒーターである。
【0020】
更に好ましくは、前記所定電圧、プリフォーム温度、及び雰囲気温度の少なくとも一つの値をグラフ表示する。
【0021】
また、本発明は、射出成形された、カップ状のプリフォームを、プリフォームを加熱する加熱装置と、プリフォームを冷却する冷却装置とにより温度処理して温度調整を行い、温度調整後のプリフォーム(200)をブロー成形工程へ送る、プリフォームの温度調整方法において、
前記冷却装置及び加熱装置に対して供給電源から所定電圧の駆動電気を供給してプリフォーム又はその雰囲気の温度調整を行う工程と、
前記供給電源からの所定電圧を常時監視する工程と、
前記監視された所定電圧が正規範囲を超えて変動した場合に、前記冷却装置及び加熱装置の少なくとも一方の出力を一定範囲内に納まるように自動的に変動させてプリフォームの温度又は雰囲気温度の少なくとも一方が正規温度範囲内に納まるように調整する工程とを備えることを特徴とする。
【0022】
更に本発明は、射出成形された、カップ状のプリフォームを、プリフォームを加熱する加熱装置と、プリフォームを冷却する冷却装置とにより温度処理して温度調整を行い、温度調整後のプリフォームをブロー成形工程へ送る、プリフォームの温度調整方法において、
前記冷却装置及び加熱装置に対して供給電源から所定電圧の駆動電気を供給してプリフォーム又はその雰囲気の温度調整を行う工程と、
前記供給電源からの所定電圧の変動、ブロー成形時のプリフォーム温度、及び前記温度調整時のプリフォームの雰囲気温度の少なくとも一つを常時監視する工程と、
前記監視された所定電圧が正規範囲を超えて変動した場合、また前記プリフォーム温度及び雰囲気温度の少なくとも一つの値の変動によりプリフォームのブロー成形に異常を生じた場合に、前記冷却装置及び加熱装置の少なくとも一方の出力を一定範囲内に納まるように自動的に変動させてプリフォームの温度又は雰囲気温度の少なくとも一方が正規温度範囲内に納まるように調整する工程とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、供給電源の電圧が過度に変動した場合でも、プリフォームの加熱装置及び冷却装置の出力を自動的に変更して一定範囲に納めることにより、供給電源の電圧変動に拘わらず、プリフォームの温度分布を均一にして、プリフォームの良好なブロー成形を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態に係るプリフォームの温度調整装置の一例を適用したブロー成形装置の平面図を示す。
図2】前記ブロー成形装置の加熱装置の平面断面図である。
図3】前記ブロー成形装置の加熱装置の側面断面図である。
図4】前記ブロー成形装置の加熱装置の正面断面図である。
図5】前記ブロー成形装置により成形されるプリフォーム及び完成容器を示す断面図である。
図6】前記温度調整装置の動作を制御する制御パネルを示す図である。
図7図7の制御パネルの第1の切替画面(第1のプリフォーム温度監視画面)を示す図である。
図8図7の制御パネルの第2の切替画面(第2のプリフォーム温度監視画面)を示す図である。
図9図7の制御パネルの第3の切替画面(自動ブロワー出力設定画面)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施の形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るプリフォームの温度調整装置の一例を適用したブロー成形装置の平面図であり、また図2乃至図4は夫々、前記ブロー成形装置の加熱装置の平面断面図、側面断面図及び正面断面図である。
【0026】
図1に示すように、本実施形態に係るブロー成形装置100は、プリフォーム200を複数個(例えば24個(図1中、3列200a、200b、200cが各8個のプリフォーム200からなる))同時に射出成形する射出成形部120と、射出成形部120で成形されたプリフォーム200を冷却する冷却部140と、プリフォーム200を加熱する加熱部(温度調整部、加熱装置)160と、プリフォーム200をブロー成形して容器を得るブロー成形部180と、を機台31上に設けられる。なお、各プリフォーム200の詳細は図5に示すとおり、軸線Zを有する有底カップ形状で、壁部(胴部)202、壁部202内の貯留部203、ネック部204、ゲート部205及び底部206を有し、上記ブロー成形部180において、貯留部203内に空気を吹き込まれ膨張されてペットボトル等の容器200Aとなる。
【0027】
またブロー成形装置100は、冷却部140から加熱装置160及びブロー成形部180を複数のスプロケット193により駆動されて循環するループ状の搬送ライン191を備えている。プリフォーム200は、搬送ライン191により、冷却部140から加熱装置160に搬送されると共に、加熱装置160で加熱されたプリフォーム200はブロー成形部180に搬送される。
【0028】
そして本発明は、このようなブロー成形装置100が備える加熱装置160の構成に特徴を有するものである。この加熱装置160の構成の一部として、供給電源の電圧変動を検出する電圧検出器199および制御パネル(監視装置)1も、ブロー成形装置100に設けられている。なお射出成形部120、冷却部140、ブロー成形部180等のその他の構成は、公知のものであるため、ここでは簡単に説明する。
【0029】
射出成形部120は、射出装置125(図1参照)により、上述の如く、第1のバッチ数、例えば24個(3列200a~200c×8個)のプリフォーム200を同時に成形することができる。なお、24個に限らず、36個(3列×12個)又はその他の個数のバッチでも良いし、また3列以外の列数でも良い。
【0030】
冷却部140は、射出成形された第1のバッチ数のプリフォーム200を強制冷却する。
なおプリフォーム200は、射出成形部120にてネック部を上向きとした正立状態に成形されて搬送されるが、冷却部140においてネック部を下向きとした倒立状態に反転させられ、この状態で搬送部190が備える搬送治具192により保持される。
【0031】
搬送ライン191は、複数の搬送治具192が夫々、プリフォーム200を保持した状態で順次連続的に繰り出されるので、プリフォーム200は、この搬送ライン191に沿って搬送されて加熱装置160に搬入される。
【0032】
加熱装置160では、プリフォーム200を、搬送ライン191に沿って搬送させながら、延伸適正温度まで加熱する。なおプリフォーム200は、搬送ライン191上で自転しながら搬送されるので、プリフォーム全周に亘って略均一な温度に加熱することができる。
【0033】
ここで、搬送ライン191の加熱装置160が設けられる部分は、図1中矢印A方向に直線的に搬送治具192を搬送する第1の直線部194と、第1の直線部194と同一水平面内に位置して、矢印A方向とは逆の矢印B方向へ直線的に搬送治具192を搬送する第2の直線部195と、略円弧状に形成されて両直線部194及び195を繋ぐ湾曲部196と、で構成されている。
【0034】
また、ブロー成形部180では、図1に示す如く、プリフォーム200が第2のバッチ数、例えば一組8個ずつブロー成形されて容器200Aが得られる。第2のバッチ数は第1のバッチ数の1/2~1/4の範囲で設定されるのが好ましく、特に1/3に設定されるのが望ましい。
【0035】
次に、上記加熱装置160の詳細について説明する。加熱装置160は、図2に示す如く、内部に加熱ユニット162が収容された複数(例えば5つ)の加熱ボックス161(161A~161E)が2列に配置されている。具体的には、第1及び第2の加熱ボックス161A,161Bが第1の直線部194に並設されて第1加熱装置160aを構成し、第3~第5の加熱ボックス161C~161Eが第2の直線部195に並設され第2加熱装置160bを構成している。また加熱装置160は、湾曲部196に対応する位置に排気部163を備え、第1加熱装置160aの第2の加熱ボックス161Bと第2加熱装置160bの第3の加熱ボックス161Cとは、この排気部163を介して接続されている。
【0036】
図4に示すように、164はカバー部材で、各加熱ボックス161(161A~161E)内において、搬送ライン191の両側面及び上面の三方を覆って伸びて、プリフォーム200が搬送される搬送空間165が画成される。加熱ユニット162は、このカバー部材164の搬送空間165内において、2列の搬送プリフォーム200間に設置されている。また、カバー部材164には加熱装置160内の雰囲気(空気)を外部に排出するための排出管171が設けられている。
【0037】
各加熱ユニット162は、プリフォーム200の搬送方向に沿って延び、上下方向で複数(例えば8つ)段に配置されたヒーター(赤外線ヒーター、加熱ヒーター)166を備える(図3参照)。また、各加熱ボックス161内の搬送空間165には、ヒーター166により所定温度に加熱された雰囲気(空気)が存在する。
そして各プリフォーム200は、これら加熱装置160内を自転しながら搬送空間165内を順次搬送されることで、複数の加熱ユニット162(ヒーター166)および加熱ボックス161の搬送空間165内の雰囲気(空気)によって延伸適正温度まで加熱されて、その軸方向に適切な温度分布を付与される。
【0038】
図3及び図4中、167及び172は第1及び第2のブロワー(送風機、冷却装置、冷却用ブロワー)で、加熱装置160に連なって設けられる。第1のブロワー167は、供給管168及び送風空間169(特に図4参照)を介して各加熱ボックス161の搬送空間165に冷却風を供給して、プリフォーム200及び赤外線ヒーター166を冷却する。第2のブロワー172は排出管171に連接しており、排気部163(図2図3参照)と同様、加熱ユニット162内の雰囲気(空気)や加熱された冷却風(温風)を外部に排出して、加熱ボックス161内の昇温を抑制 する。
【0039】
本実施形態の構成では、送風空間169に供給された冷却風が、図4に示す如く、加熱ユニット162の内面側から該加熱ユニット162の各ヒーター166の隙間を外側方へ通過して搬送空間165内のプリフォーム200の表面に達する。すなわち、本実施形態に係る加熱装置160では、プリフォーム200を延伸適正温度まで加熱する際、冷却風によってプリフォーム200を冷却すると共に、各ヒーターの表面も併せて冷却している。
【0040】
プリフォーム200等を冷却することで昇温した冷却風(温風)は加熱ボックス161内の雰囲気(空気)と一緒になり、その後、排出管171から第2のブロワー172により外部に排出される。これにより、加熱ボックス161内の雰囲気(空気)の過度な昇温が抑制され、所定の温度に保たれる。
なお、上記ヒーター166による加熱に基づく雰囲気の温度上昇変化は比較的短期間に可能であるが、第1及び第2のブロワー167、172による冷却に基づく雰囲気の温度下降変化は比較的長期を有するという特性がある。
【0041】
ここで、上記加熱装置160の加熱ヒーター166及び冷却用の第1及び第2のブロワー167、172は、工場の供給電源からの供給電圧が大きく変動すると、加熱ヒーター166及び冷却用ブロワー167、172の出力も大きく変動してしまう。例えば、供給電圧が過度にマイナス方向へ変動(電圧が過度に下降)すると加熱ヒーター166の加熱出力が減少し、且つ冷却用ブロワー167、172の流量出力も減少して冷却能力も減少して、電圧変動がない場合と比較してプリフォーム温度が低下してしまい、プリフォームが延伸適正温度に届かなくなってしまう。このため、搬送されるプリフォーム200の温度分布が不均一(不揃い)またはブロー成形に適さないものになり、後続のブロー成形工程において良好なブロー成形ができなくなる。
【0042】
例えば、上記の如くプリフォーム温度が低下してプリフォーム温度分布が不均一になると、プリフォームが後続工程でブロー成形されるときに破裂しやすくなる。さらに、プリフォーム破裂時のブローエアにより成形装置やブロー型の表面に結露した付近の水滴(湿気)が後続のプリフォームへと飛散付着してプリフォーム温度を一層下げて、破裂等の成形不良が連続して生じやすいという問題点があった。本発明は、この問題点を解決するものであり、以下その構成及び動作について説明する。
【0043】
図6乃至図9は、本発明の構成及び動作を説明するための制御パネルの画面である。以下の記述中、「プリフォ-ム温度」とは、図1中、温度センサ198により計測したブロー成形直前のプリフォ-ムの温度であり、また「雰囲気温度(又は、ヒータゾーン温度)」とは、図1中、温度センサ197により計測した加熱装置160内部の雰囲気温度を意味する。
【0044】
図1及び図6に示す制御パネル(監視装置)1中、2はプリフォーム温度設定領域、3はブロワー動作表示設定領域、4はヒーターゾーン温度表示領域(加熱雰囲気温度の表示領域、加熱装置160(加熱ボックス161)内の雰囲気温度の表示領域)、5はプリフォームの各部位に応じたヒーター166の出力を個別に設定するためのヒーター出力設定領域であり、プリフォーム温度設定領域2の後述する自動ヒーター出力制御ボタン6をOFFとした場合に使用するものである。6は自動ヒーター出力制御ボタン(ヒーター出力自動制御機構:加熱装置の出力自動制御機構)で、これをONにすると、赤外線ヒーター166の出力が、供給電源の電圧変動に応じて自動的に変更される。また、7はプリフォーム温度確認ボタンで、これを押すと図7の画面(第1のプリフォーム温度監視画面)に切り替わる。また、図6中のブロワー動作設定表示領域3には、ブロワー167、172の個別出力設定欄と、8のブロワー自動制御ボタン(ブロワー出力自動制御機構:冷却装置の出力自動制御機構)を備える。ブロワー自動制御ボタン8を押すと図9の画面(自動ブロワー出力設定画面)に切り替わる。21は、射出成形部120、加熱ヒーター166等における各種設定値の入力画面および実測値の表示画面を切り換える、成形条件選択ボタンである。この成形条件選択ボタン12中の「ヒーター2」ボタンを選択することで、制御パネル1に、図6の加熱装置制御画面が表示される。
【0045】
次に、図7(第1のプリフォーム温度監視画面)について説明する。図7中、9はヒーターゾーン温度詳細表示領域(加熱雰囲気温度の詳細表示領域、加熱装置160(加熱ボックス161)内の雰囲気温度の詳細表示領域)で、温度表示部10に、射出成形1回(射出成形サイクル)にかかる時間を1単位として、加熱装置160におけるその単位中の平均の雰囲気温度(縦軸)の変化が、時間(横軸、より具体的には1射出成形サイクル単位)の変化に応じて示される。このヒーターゾーン温度詳細表示領域9の温度(即ち、加熱装置160内の雰囲気温度)は、加熱装置160の内部所定位置の温度を計測する温度センサ197(図1参照)により計測される。また、11はプリフォーム温度表示領域であり、第1の温度表示部12aと第2の温度表示部12bとで構成される。第1の温度表示部12aには、射出成形部120で射出されたバッチ数24個(8個×3列)のプリフォームの平均温度(縦軸)の変化が、射出成形1回(射出成形サイクル)を1単位として時間(横軸、より具体的には1射出成形サイクル単位)の変化に応じて示される。また、第2の温度表示部12bには、ブロー成形部180でブロー成形される8個のプリフォームの平均温度(縦軸)が、ブロー成形1回(ブロー成形サイクル)を1単位として時間(横軸、より具体的には1ブロー成形サイクル単位)の変化に応じて示される。このプリフォーム温度は、ブロー成形時におけるプリフォームの温度を計測する温度センサ198(図1参照、ブロー成形部180の直前に配置されている)により計測される。従って、図7の画面では、ブロー成形に不良が生じた時に、加熱装置160の雰囲気によるプリフォームの加熱が適正か又は異常かが把握可能である。なお、13は、制御パネル1を図8の画面(第2のプリフォーム温度監視画面)へ切り替えるボタンである。
【0046】
次に、図8(第2のプリフォーム温度監視画面)について説明する。図8中、14は電圧表示領域で、電圧変動表示部15に、射出成形1回(射出成形サイクル)を1単位として、射出成形時の電圧(縦軸)の変化が、時間(横軸、より具体的には1射出成形サイクル単位)の変化に応じて示される。また、16はプリフォーム温度表示領域で、第3の温度表示部17に、射出バッチ数24個(8個×3列)のプリフォームの平均温度(縦軸)の変化が射出成形1回(射出成形サイクル)を1単位として時間(横軸、より具体的には1射出成形サイクル単位)の変化に応じて示される。従って、図8の画面では、電圧変動とプリフォームの温度とを比較して、ブロー成形不良の要因を推測し得る。
【0047】
次に、図9の自動ブロワー出力定画面について説明する。図9は、図6のブロワー動作設定表示領域3のブロワー自動制御ボタン8を押すと、同図の右側半分領域に表示される。図9中、左半分は図6と同一構成で有り、右半分の22はブロワーの自動制御領域で、タッチパネルボタン23により各種パラメーターを変更可能である。ブロワー自動制御表示領域22では、例えば、加熱装置160(加熱ボックス161)内の雰囲気温度の目標値、ブロワーの自動運転を開始する際の目標値との温度差(または、ブロワーの自動運転を開始する際の雰囲気の上限温度または下限温度)、加熱装置160(加熱ボックス161)内の雰囲気温度を測定する時間間隔、等が設定される。なお、ブロワー167、172は、図9の設定条件に従い、雰囲気温度を監視して出力が自動制御されるため、ブロワー167、172の個別出力設定欄は入力不要となる。
【0048】
次に、図6乃至図9の操作について説明する。
最初に、図6の制御パネル1のプリフォーム温度設定領域2において、プリフォーム200のブロー成形直前の温度(目標値)、ヒーター166の出力を自動的に開始するときのプリフォーム200の温度(開始値)、ブロー成形直前のプリフォーム200の温度の上限値及び下限値を設定する。なお、実測値は目標値の左側に表示される。
【0049】
上記の如く、ヒーター出力自動制御機構により、供給電源からの供給電圧が正規範囲内(図8の15で表示される、供給電圧の上限値および下限値の範囲内)を超えて大きく変動するときには、図6の自動ヒーター出力制御ボタン6を押す。すると、加熱ヒーター166の加熱出力が、上記供給電圧の変動に応じて自動的に変動(低電圧時は加熱出力上昇、高電圧時は加熱出力下降)され、プリフォーム200の温度が正規範囲内(即ち、図7の11または図8の16で表示される加熱済プリフォーム温度の上限値と下限値の範囲内)に収まるように加熱される。よって、たとえ電圧変動を生ずる時でも、電圧変動が無い場合と同じ加熱量(ヒーター166の消費電力量)をプリフォーム200に与えることが可能になり、搬送される複数のプリフォーム200の温度分布の均一化が図られる。なお、電圧変動時における加熱ヒーター166の出力変動の処理(ヒーター出力自動制御機構の処理)は、比較的短期的に実施される(数回の射出成形サイクル内、または、電圧変動が起きた場合に即座に(例えば1分以内)、実施される)。
【0050】
さらに、ブロワー出力自動制御機構により、長期的な電圧変動が生ずる場合等、加熱装置160の雰囲気温度が正規範囲内(即ち、図7の9で表示されるヒーターゾーン温度の上限値と下限値の範囲内)を超えて変動するときには、図6のブロワー自動制御ボタン8を押す。すると、ブロワー167、172の出力が自動的に変動され、加熱装置160の雰囲気温度が上記正規範囲内に収まるように調整される。これにより、たとえ電圧変動が生じたり又は長引いた場合でも、加熱装置160の雰囲気温度を略一定に保つことができ、プリフォーム200の加熱条件の一層の均一化が図れる。なお、長期的な電圧変動におけるブロワー167、172の出力変動の処理(ブロワー出力自動制御機構の動作)は、比較的長期的に実施される。即ち、連続した成形サイクル(例えば10回以上の射出成形サイクル)、または、数時間(例えば8時間以上)の連続稼働時において、実施される。
【0051】
なお、上記実施例では、加熱ヒーター166がプリフォーム温度の調整を行い、またブロワー167、172が雰囲気温度の調整を行っているが、逆に、加熱ヒーター166が雰囲気温度の調整を行い、且つブロワー167、172がプリフォーム温度の調整を行っても良く、又は加熱ヒーター166及びブロワー167、172の夫々が、プリフォーム温度の調整及び雰囲気温度の調整の両方を行っても良いことは勿論である。
【0052】
これにより、プリフォーム200がブロー成形されるときに破裂したり、後続のプリフォーム200に水滴が飛散付着したりするおそれはなくなり、良好な容器を得ることができる。
【0053】
また、このとき図6中のプリフォーム温度確認ボタン7を押すと、パネル1は図7の画面に切り替わる。これにより、ヒーターゾーン温度表示領域9により、加熱装置160内の雰囲気温度の推移をグラフ表示で確認でき、またプリフォーム温度表示領域11の表示部12a及び12bにより、射出バッチ数24個のプリフォーム200の温度及びブローバッチ数8個のプリフォーム温度を監視して、雰囲気温度によるプリフォーム200の加熱の適性度を把握できる。よって、長期的な電圧変動による加熱装置160内の雰囲気温度の変動がプリフォーム200の加熱条件(例えば加熱不足)に及ぼす影響を継続的かつリアルタイムで確認でき、ブロー成形不良の要因を推測し得る。
【0054】
次に、図7中の切替ボタン13を押すと、パネル1は図8画面に切り替わる。これにより、電圧表示領域14の電圧変動表示部15に射出成形時の電圧の変動を表示でき、またプリフォーム温度表示領域16の温度表示部17に射出バッチ数24個のプリフォームの平均温度の推移を監視できる。これにより、電圧変動時における加熱ヒーター166によるプリフォームの加熱の適正度を把握できる。よって、電圧変動による加熱ヒーター166の出力変動がプリフォームの加熱条件(例えば加熱不足)に及ぼす影響を継続的かつリアルタイムで確認でき、ブロー成形不良の要因を推測し得る。尚、図8中の画面切替ボタン18を押すと図7の画面へ復帰する。
【0055】
これにより、上述した供給電源の所定電圧が変動した場合の対策に加えて、プリフォーム温度及び雰囲気温度の一方又は両方の値の変動を、プリフォームのブロー成形の製品精度と関連して常時監視することにより、一層プリフォームのブロー成形の精度を向上し得る。
【0056】
以上本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所等は、本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0057】
例えば、自動ヒーター出力制御ボタン6(ヒーター出力自動制御機構)は図7又は図8の画面に設けられても良いし、ブロワー自動制御ボタン8(ブロワー出力自動制御機構)も図7又は図8の画面に設けられても構わない。
【符号の説明】
【0058】
1 制御パネル(監視装置)
2 プリフォーム温度設定領域
3 ブロワー動作表示設定領域
4 ヒーターゾーン温度表示領域(加熱雰囲気温度の表示領域)
5 プリフォーム自動制御表示領域
6 自動ヒーター出力制御ボタン
7 プリフォーム温度確認ボタン
8 ブロワー自動制御ボタン
9 ヒーターゾーン温度詳細表示領域(加熱雰囲気温度の詳細表示領域)
10、12a、12b、17 温度表示部
11、16 プリフォーム温度表示領域
15 電圧変動表示部
13、18、21 切替ボタン
14 電圧表示領域
21 成形条件選択ボタン
22 ブロワー自動制御領域
23 タッチパネルボタン
31 機台
100 ブロー成形装置
120 射出成形部
125 射出装置
140 プリフォーム冷却部
160(160a、160b) 加熱部(加熱装置)
161(161A~161E) 加熱ボックス
162 加熱ユニット
163 排気部
164 カバー部材
165 搬送空間
166 加熱ヒーター
167、172 ブロワー
168 供給管
169(169A~169C) 送風空間
171 排気管
180 ブロー成形部
191 搬送ライン
192 搬送治具
193 スプロケット
194 第1の直線部
195 第2の直線部
196 湾曲部
197、198 温度センサ
199 電圧検出器
200 プリフォーム
200a、200b、200c プリフォーム列
200A 容器
202 壁部(胴部)
203 貯留部
204 ネック部
205 ゲート部
206 底部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9