(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-01
(45)【発行日】2024-08-09
(54)【発明の名称】パワー半導体装置の動作の分析
(51)【国際特許分類】
H02M 1/00 20070101AFI20240802BHJP
H02M 7/48 20070101ALI20240802BHJP
【FI】
H02M1/00 B
H02M7/48 Z
(21)【出願番号】P 2021515555
(86)(22)【出願日】2019-09-19
(86)【国際出願番号】 EP2019075229
(87)【国際公開番号】W WO2020058437
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2022-09-15
(32)【優先日】2018-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】390035459
【氏名又は名称】マシイネンフアブリーク・ラインハウゼン・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100208258
【氏名又は名称】鈴木 友子
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ブライアント・アンガス
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-234162(JP,A)
【文献】特開昭54-095190(JP,A)
【文献】特開2016-171677(JP,A)
【文献】韓国公開特許第2005-0107852(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 1/00
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワー半導体装置(PS1、PS2、PS3)の動作を分析する方法において、
前記パワー半導体装置(PS1、PS2、PS3)の基準電圧(Vn、Vn+1)のセットと、対応する電流(In、In+1)のセットとを提供することと、
計測点(MP)を得る
べく、前記パワー半導体装置(PS1、PS2、PS3)のオン状態の電圧(Vmeas)と対応するオン状態の電流(Imeas)
とを計測することと、
前記基準電圧(Vn、Vn+1)のセットの、計測点(MP)を外挿することにより計測点(MP)に最も近いところにある2つを適合することにより、
前記基準電圧(Vn、Vn+1)のセットを適合することであって、前記外挿は予め定義された基準増分電流(ΔI)及び予め定義された基準増分電圧(ΔV)に基づく、
前記基準電圧(Vn、Vn+1)のセットを適合することと、
前記パワー半導体装置(PS1、PS2、PS3)の動作の分析に適合された
前記基準電圧のセットを使用することと
を備える
、パワー半導体装置(PS1、PS2、PS3)の動作を分析する方法。
【請求項2】
前記分析は、
前記基準電圧の適合されたセットに基づいて
前記パワー半導体装置(PS1、PS2、PS3)の接合部温度(Tj)を推定することを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記外挿することは、
計測されたオン状態の電流(Imeas)と、2つの計測されたオン状態の電流(Imeas)に最も近いところにある基準電流のセットの1つと間の差を決定することと、
前記基準増分電流(ΔI)に対する決定された差の割合を決定することと
を備える、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記外挿することは、
決定された割合に基づいて計測点(MP)に最も近いところにある
前記基準電圧のセットの2つを適合することをさらに備える、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記基準電圧(Vn、Vn+1)のセットと前記基準電流(In、In+1)のセットとを提供することと、
前記計測点(MP)を取得することと、
前記基準電圧(Vn、Vn)のセットを適合することと
を備えるステップが予め決定した時間間隔内に、2以上の整数であるN回実施されて、前記基準電圧の適合されたN個のセットが得られて、
前記分析は、
前記基準電圧の適合されたN個のセットに基づいて平均電圧のセットを決定することと、特に、前記平均電圧のセットに基づい
て前記パワー半導体装置(PS1、PS2、PS3)の接合部温度(Tj)を推定することとを備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記平均電圧のセットを決定することは、
前記基準電圧の適合されたN個のセットの
前記基準電圧に対応するNについて少なくとも1つの重み付けされた時間平均を決定することを備える、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記接合部温度(Tj)を推定するステップは、
前記基準電圧の適合されたN個のセットの各セットの各電圧について、有効係数のN個のセットが得られた結果における
前記有効係数を決定することを備え、
適合された基準電圧についての有効係数は、各計測されたオン状態の電流と適合された基準電圧に対応する基準電流の1つとの間の相対距離により与えられる、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
重み付けされた時間平均についての各重み付け係数は、
前記有効係数のN個のセットにより与えられる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記接合部温度(Tj)を推定するステップは、有効係数のN個のセットに基づいて平均有効係数のセットを決定することと、平均有効係数のセットに基づいて接合部温度(Tj)を推定することとを備える、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記平均有効係数のセットを決定することは、
前記有効係数のN個のセットの対応する有効係数にわたる各時間平均を決定することを備える、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記接合部温度(Tj)を推定するステップは、
前記接合部温度の推定値と平均電圧のセットの1つとの間に仮定される線形関係に基づいて
前記接合部温度の推定値を計算することを備える、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記接合部温度(Tj)を推定するステップは、
前記接合部温度の各推定値と平均電圧のセットの1つとの間に仮定される線形関係のそれぞれに基づいて接合部温度の複数の推定値を計算することと、
複数の推定された接合部温度のそれぞれを、平均有効性のセットの各平均有効性に従って重み付けすることと
を備える、請求項9から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
パワー半導体装置(PS1、PS2、PS3)の動作を分析する回路が
計測点(MP)を取得するため、
前記パワー半導体装置(PS1、PS2、PS3)のオン状態の電圧(Vmeas)とオン状態の電流(Imeas)を計測するように構成されている計測ユニット(MU)と、
前記パワー半導体装置(PS1、PS2、PS3)の基準電圧(Vn、Vn+1)のセット及び
前記パワー半導体装置(PS1、PS2、PS3)の対応する基準電流(In、In+1)のセットと
隣り合う
前記基準電流の各対に対して予め定義された基準増分電流(ΔI)及び隣り合う
前記基準電圧の各対に対して予め定義された基準増分電圧(ΔV)と
を記憶する記憶ユニット(SU)と、
基準電圧のセットの、計測点(MP)を外挿することにより
前記計測点(MP)に最も近いところにある2つを適合することにより、
前記基準電圧(Vn、Vn+1)のセットを適合することであって、前記外挿は各基準増分電流(ΔI)及び各基準増分電圧(ΔV)に基づく、
前記基準電圧(Vn、Vn+1)のセットを適合し、
適合された基準電圧のセットに基づいて
前記パワー半導体装置(PS1、PS2、PS3)の動作を分析するように構成されている評価ユニット(EU)と
を備える、回路。
【請求項14】
請求項13に記載の
前記回路(C)と、
前記パワー半導体装置(PS1、PS2、PS3)とを備える、パワーエレクトロニクスシステム。
【請求項15】
前記パワー半導体装置(PS1、PS2、PS3)を備える電力変換器(PC)を備える、請求項14に記載のパワーエレクトロニクスシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワー半導体装置の動作を分析する方法及び回路、並びにそのような回路を備えるパワーエレクトロニクスシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
パワーエレクトロニクスシステム、例えば電力変換器では、パワー半導体装置の接合部温度は、システム動作の制限を設定する重要な量である。絶対限界を超えると、壊滅的と見なされるであろうし、システムの寿命を通じた熱的挙動は、信頼性と劣化率に影響を与える。しかしながら、装置自体、例えば絶縁ゲートバイポーラトランジスタ、IGBT、MOSFET、サイリスタ、又はダイオードは、電気的に「ライブ」であり、電気的にノイズの多い環境にあるため、接合部温度を直接計測できない場合がある。
【0003】
接合部温度は、しかしながら、半導体装置に関連する温度感受性の電気的変数、TSEPに基づいて推定されるだろう。既存のアプローチでは、非常に低い電流、つまりミリアンペア領域でのTSEPから接合部温度を推定してきた。ミリアンペアの領域は、通常、パワーエレクトロニクスシステムの定格電流の1%未満である。したがって、このような方法は、パワーエレクトロニクスシステムのほとんどの適用には適用できず、特定の実験室設定でのみ役立つだろう。他のアプローチでは、高電流、例えば定格電流の10%から100%での接合部温度を推定していた。この場合、ルックアップテーブル又は方程式を、接合部温度及びオン状態(つまり順方向)の電流の範囲にわたって計測された以前の較正データに適合させてもよい。しかしながら、これには、使用前に各システムの詳細で正確な較正が必要であり、産業上の適用には実用的ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の課題は、少なくとも定格電流までのオン状態の電流で適用可能であり、事前の較正を必要としないパワー半導体装置の動作を分析する改良された概念を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、独立請求項の主題によって達成される。さらなる実装形態及び実施態様は、従属請求項の主題である。
【0006】
改良された概念は、パワー半導体装置のオン状態の電圧をTSEPとして利用し、オン状態の電圧のオン状態の電流への依存性を効果的に除去し、接合部温度への依存性のみを残すという考えに基づく。これは、事前定義されたビンに計測点を割り当て、外挿(推定)によってそれぞれのIV特性の局所勾配に対してビンを修正し、オプションで特定の時間間隔にわたって外挿された値をフィルタリングすることによって実現される。これにより、通常の操作中に実行される効果的なオンライン較正が実現し、使用前に実際の較正を廃止できる。
【0007】
改良された概念によれば、パワー半導体装置の動作を分析する方法が提供される。装置の基準電圧のセットと装置の対応する基準電流セットが提供される。装置のオン状態の電圧とオン状態の電流が計測され、計測された電圧と電流は計測点を表す。基準電圧のセットは、計測点に最も近い基準電圧のセットの、特に隣り合うこれらの2つの基準電圧を適合させることによって適合される。特に、これらの2つの隣り合う基準電圧は、計測されたオン状態の電流に最も近くにあるそれらの2つの隣り合う基準電流に対応するように適合されている。適合には、計測点、特に計測されたオン状態の電圧の外挿が含まれる。ここで外挿は、事前定義された基準増分電流と事前定義された基準増分電圧に基づく。それから、適合された基準電圧のセットを使用して、パワー半導体装置の動作を分析する。
【0008】
基準電圧と基準電流は、それぞれ基準オン状態の電圧と電流である。特に、基準電圧及び基準電流のセットは、特に中間温度において、パワー半導体装置の基準I-V特性上の離散的な点のセットに対応し得る。中間温度は、例えば、50℃から100℃、例えば、70℃から80℃、特に75℃の範囲にあってよい。基準増分電圧と基準増分電流は、それぞれ、計測点に最も近い基準I-V特性上の2つの個別の点間の電圧と電流の差に対応する。
【0009】
計測点に最も近く、したがって適合された基準電圧のセットのうちの2つは、次のように決定される。上記の2つの基準電圧のうちの1つは、計測されたオン状態の電圧に最も近い小さい方の基準電圧である。上記の2つの基準電圧のうちの他方は、計測されたオン状態の電圧に最も近いより大きい基準電圧である。換言すると、計測点に最も近い基準電圧のセットの2つは、計測されたオン状態の電圧に隣接する基準電圧のセットの2つである。
【0010】
この方法のいくつかの実装形態によれば、パワー半導体装置の動作の分析は、適合された基準電圧のセットに基づいて装置の接合部温度を推定することを備える。
【0011】
いくつかの実装形態によれば、パワー半導体装置の動作の分析は、経時的なオン状態の電圧のシフトを決定することを備える。
【0012】
オン状態の電圧のシフトは、パワー半導体装置の電気的劣化を表す。これらの実装形態は、パワー半導体装置の電流-電圧特性に温度不変点が存在し、基準電流の1つが不変点に対応する場合に特に適している。
【0013】
いくつかの実装形態によれば、外挿は、計測されたオン状態の電流と、計測されたオン状態の電流に最も近い基準電流のセットのうちの2つとの間の差を決定することを備える。外挿はさらに、基準増分電流に対する差の比率を決定することを備える。
【0014】
計測されたオン状態の電流に最も近い2つの基準電流セットのどちらを選択するかは、結果にわずかだけ影響する。つまり、比率を1だけシフトする。選択は、方法全体で一貫している必要がある。
【0015】
決定された比率は、計測されたオン状態の電流と2つの最も近い基準電流との間の相対距離を表す。
【0016】
いくつかの実装形態によれば、外挿は、決定された比率に基づいて、計測点に最も近くにある基準電圧のセットのうちのこれらの2つを適合させることをさらに備える。
【0017】
例えば、最も近い基準電圧が計測されたオン状態の電圧よりも小さい場合、適合は、計測されたオン状態の電圧から、決定された比率と基準増分電圧の積を差し引くことを含む。例えば、最も近い位置にある基準電圧が計測されたオン状態の電圧よりも大きい場合、適合は、計測されたオン状態の電圧から、決定された比率と基準増分電圧の積を減算し、基準増分電圧を加算することを含む。
【0018】
いくつかの実装形態によれば、複数の基準電圧及び複数の基準電流を提供し、計測点を取得し、複数の基準電圧を適合させるステップは、所定の時間間隔内にN回実行され、N個の適合された基準電圧のセットをもたらす。ここで、Nは2以上の整数である。
【0019】
N個の適合された基準電圧のセットのそれぞれにおいて、2つの基準電圧のみが上記の方法で適合される。計測点は一般に時間的に厳密に一定ではないため、Nセットの異なるセットは異なる基準電圧に適合している場合がある。
【0020】
いくつかの実装形態によると、分析は、基準電圧のN個の適合されたセットに基づいて平均電圧のセットを決定し、平均電圧のセットに基づいて装置の接合部温度を推定することを備える。
【0021】
いくつかの実装形態によれば、平均電圧のセットの決定は、N個の異なる適合された基準電圧のセットのN個の対応する基準電圧について、少なくとも1つの時間平均、特に加重時間平均の決定を備える。
【0022】
ここで、対応する基準電圧は、基準I-V-特性上の同じ基準電流又はそれぞれの適合された基準電圧に対応するそのような基準電圧である。
【0023】
いくつかの実装形態によれば、接合部温度を推定するステップは、N個の適合された基準電圧のセットのそれぞれの各電圧について、N個の有効係数のセットをもたらす有効係数を決定することを備える。その中で、電圧の有効係数は、それぞれの計測されたオン状態の電流と、有効係数が決定される電圧に対応する基準電流の1つとの間の相対距離によって与えられる。
【0024】
これは、適合された基準電圧の妥当性係数が決定された比率に対応することを意味する。他の基準電圧についても、同様に決定される。したがって、有効係数のNセットの1セット内で、最大の有効係数は、基準電圧の有効係数の1つ、あるいは計測されたオン状態の電圧に最も近いところの、対応する基準電圧の適合されたセットの、適合された基準電圧の有効係数である。
【0025】
いくつかの実装形態によれば、加重時間平均を決定するためのそれぞれの加重係数は、Nセットの有効係数によって与えられる。特に、所与の電圧に対するそれぞれの重み係数は、この所与の電圧に対して決定された有効係数によって与えられる。
【0026】
いくつかの実装形態によれば、接合部温度を推定するステップは、N個の有効性係数のセットに基づいて平均有効係数のセットを決定し、平均有効係数のセットに基づいて接合部温度を推定することを備える。
【0027】
いくつかの実装形態によれば、平均有効係数のセットの決定は、N個の妥当性係数のセットの対応する妥当性係数に対するそれぞれの時間平均の決定を備える。
【0028】
ここで、対応する有効係数は、上で説明した対応する基準電圧の有効係数である。
【0029】
いくつかの実装形態によれば、接合部温度を推定するステップは、接合部温度の推定値と平均電圧のセットの1つとの間の仮定される線形関係に基づいて接合部温度の推定値を計算することを備える。
【0030】
いくつかの実装形態によれば、接合部温度を推定するステップは、接合部の各推定値間のそれぞれの仮定された線形関係に基づいて、接合部温度の複数の推定値を計算することを含む。複数の推定接合部温度のそれぞれは、平均有効性のセットのそれぞれの平均有効性に従って重み付けされる。重み付けされた接合部温度の推定値は、それから加算されて、接合部温度の最終的な推定値を得るため例えば正規化される。
【0031】
改良された概念によれば、パワー半導体装置の動作を分析するための回路も提供される。この回路は、計測ユニット、記憶ユニット、及び評価ユニットで構成されている。計測ユニットは、パワー半導体装置のオン状態の電圧及びオン状態の電流を計測して計測点を取得するように構成されている。記憶ユニットは、装置の基準電圧のセットと装置の対応する基準電流のセットを保存するように構成されている。記憶ユニットはさらに、隣接する基準電流の各ペアに対して事前定義された基準増分電流と、隣接する基準電圧の各対に対して事前定義された基準増分電圧を記憶するように構成されている。
【0032】
評価ユニットは、計測点に最も近い位置にある基準電圧のセットのうちの2つを、計測点の外挿によって適合させることによって、基準電圧のセットを適合させるように構成される。外挿は、それぞれの基準増分電流とそれぞれの基準増分電圧に基づいている。評価ユニットはさらに、適合された基準電圧のセットに基づいてパワー半導体装置の動作を分析するように構成される。
【0033】
改良された概念によれば、パワーエレクトロニクスシステムも提供される。この回路は、改良された概念による回路とパワー半導体装置とを備える。
【0034】
いくつかの実装形態によれば、パワー半導体装置は、ダイオード、特にPINダイオード又はショットキーダイオード又はサイリスタ、あるいは例えば、MOSFET、JFET又はHEMTといった電界効果トランジスタ、あるいは例えば、IGBT又はBJTといったバイポーラトランジスタを備える。
【0035】
パワーエレクトロニクスシステムのいくつかの実装形態によれば、パワーエレクトロニクスシステムは、電力変換器を備える。電力変換器は、パワー半導体装置を備える。
【0036】
改良された概念による回路のさらなる実装形態は、改良された概念による方法の様々な実装形態から容易に続き、逆もまた同様である。改良された概念によるパワーエレクトロニクスシステムのさらなる実装形態は、改良された概念による方法の様々な実装形態から容易に続き、逆もまた同様である。
【0037】
以下では、本発明は、図面を参照することにより、例示的な実装形態に関して詳細に説明される。
【0038】
図面は以下を示す。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1A】
図1Aは、2つの異なる接合部温度でのパワー半導体装置のオン状態の電流とオン状態の電圧を示す。
【
図1B】
図1Bは、異なるオン状態の電流でのパワー半導体装置のオン状態の電圧対接合部温度を示す。
【
図2】
図2は、改良された概念による方法の例示的な実装形態の一部を表すI-Vの図を示す。
【
図3】
図3は、改良された概念による方法のさらに例示的な実装形態の流れ図を示す。
【
図4】
図4は、改良された概念によるパワーエレクトロニクスシステムの例示的な実装形態のブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1Aは、25°C及び125°Cの2つの異なる接合部の接合部温度T
jでのパワー半導体装置のオン状態の電流I
o対オン状態の電圧V
oの例示的な曲線を示す。曲線は交点CPで交差する。T
j=25°Cでの6つの電流II、12...16及び対応する電圧VI(25)、V2(25)...V6(25)の離散セットにしるしが付けられている。もちろん、6つの電流の数は任意の例であり、2以上の任意の数になり得る。
【0041】
図1Bは、電圧VI(25)...V6(25)のT
j依存性を示す。交点CPより下の電圧は負の温度係数を示し、固定電流のT
jが増加すると減少するが、交点CPより上の電圧は正の温度係数を示し、固定電流のT
jが増加すると増加する。
【0042】
交点CPはTj依存性を示していない。一部のパワー半導体装置、例えば一部のPINダイオードでは、交点CPが定格電流に近いかそれを超える場合がある。他のパワー半導体装置、例えば絶縁ゲートバイポーラトランジスタ、IGBTの場合、交点は定格電流の10%未満である可能性がある。さらに他のパワー半導体装置は、例えば、オン状態の電圧の非線形温度依存性のために、単一の交点CPを持たない場合がある。
【0043】
記載した温度依存性のために、順方向電圧に基づくパワー半導体装置の動作の分析は複雑である。改良された概念によると、それにもかかわらず、意味のある分析は、上記及び以下に説明するように、事前の較正なしに、及び適用可能な電流範囲に対する重大な制限なしに実行可能である。
【0044】
次に、改良された概念による方法の例示的な実装形態について、
図2及び
図3に関して説明する。
【0045】
図3のステップ100において、パワー半導体装置の基準電圧のセット、特に基準オン状態の電圧、及び装置の対応する基準電流のセット、特に基準オン状態の電流が決定される。例えば、基準電圧及び電流は、所定の接合部温度でのパワー半導体装置の、事前定義された定格値、例えばデータシートで定義された値であり得るし、あるいは基準電圧及び電流は、定義された接合部温度で計測された所定の値であり得る。
【0046】
ステップ200において、オン状態の電圧Vmeas及び対応するオン状態の電流Imeasが計測される。計測値は計測点MPを表す。
【0047】
図2は、計測点MPと、2つの基準電圧Vn、Vn+1、及び対応する基準電流In、In+1を示す。その中で、Inは、計測されたオン状態の電流Ioの隣にある基準電流であり、これは、計測されたオン状態の電流Io、すなわち、より低い基準電流Inよりも小さい。In+1は、計測されたオン状態の電流Ioの隣にある基準電流であり、計測されたオン状態の電流Io、つまり上限基準電流In+1よりも大きくなる。同じことがそれぞれの電圧に同様に当てはまる。
【0048】
図2は、隣接する基準電流InとIn+1の間の距離によって与えられる基準増分電流ΔIも示す。さらに、隣接する基準電圧VnとVn+1との間の距離によって与えられる基準増分電圧Δnが示されている。
【0049】
さらに、計測されたオン状態の電流Imeasとより低い基準電流Inの間の距離は、b*ΔIで与えられる。下限基準電圧Vnと計測されたオン状態の電圧Vmの間の距離はb*Δnで与えられ、上限基準電圧Vn+1と計測されたオン状態の電圧Vmの間の距離は(1-b)*Δnで与えられる。
【0050】
つまり、bは、計測されたオン状態の電流Imeasと低い基準電流Inの間であるとともに低い基準電圧Vnと計測されたオン状態の電圧Vmの間の、相対距離を表す。
【0051】
ステップ300において、基準電圧のセットは、計測点MPに隣りの2つの隣りの基準電圧Vn、Vn+1を適合させることによって適合される。この目的のために、計測点は基準増分電圧Δnと基準増分電流ΔIに基づいて外挿される。
【0052】
外挿の場合、bは次の式
b=(Imeas-In)/(In+1-In)
=(Imeas-In)/ΔI (1)
に従って計算される。
【0053】
それから、基準電圧Vn、Vn+1が次の規則に従って調整される。
Vn-->Vmeas-b*ΔV (2)
Vn+1-->Vmeas+(1-b)*ΔV (3)
【0054】
適合された基準電圧Vn、Vn+1は、計測されたオン状態の電圧Vmeasの電流に依存しない推定値として使用できる。ある意味で、説明されている手順は、局所的な勾配による補正を伴う、計測されたオン状態の電圧Vmのビニング(隣り合う情報を1つの情報として扱う)を表する。
【0055】
基準増分ΔV、ΔIは一般に特定の接合部温度と一致する装置特性に対してのみ正確であるため、相対距離bはこの推定の精度に影響を与える。bがゼロに近づくと、低いほうの適応基準電圧Vnの精度が向上し、bが1に近づくと、高いほうの適応基準電圧Vn+1の精度が向上する。
【0056】
したがって、精度は、サンプル時間間隔内でステップ100、200、及び300N回を繰り返し、ステップ400で適合された基準電圧を平均化することによって改善されるだろう。平均には、しかしながら、それぞれの有効性又は精度に応じて、個々の適合基準電圧の重み付けが含まれる。
【0057】
与えられた繰り返しkにおいて、低い適応基準電圧Vnの有効性はWn=(1-b)で与えられ、高い適応基準電圧Vn+1の有効性はWn+1=bで与えられる。対応する妥当性は、基準電圧が計測されたオン状態の電圧Vmeasの隣ではなく、したがって与えられた繰り返しkに適合していない場合でも、各基準電圧について同様に計算できる。例えば、隣りあっていない基準電圧の有効性はゼロと定義してもよい。サンプルの時間間隔の終わりに、平均妥当性Wi_avは、下記の式に従って、適合された基準電圧のセットの各電圧Viに対して計算される。
Wi_av=ΣWi(k)/N (4)
【0058】
対応する平均電圧は次の式で与えられる。
Vi_av=(ΣWi(k)*Vi(k))/(Wi_av*N) (5)
【0059】
ここで、合計Σは、サンプルの時間間隔内の全ての繰り返しkにわたって実行される。特定の基準電圧Viの平均有効性Wi_avがゼロに等しい場合、対応する平均電圧Vi_avは、式(5)のゼロ除算を回避するために計算されない。この特定の平均電圧Vi_avは、以降の処理では無視できる。
【0060】
特定の平均電圧Vi_avの平均有効性Wi_avは、電圧推定の精度の信頼性を示す。
【0061】
サンプル時間間隔の持続時間は、例えば、改善を達成するための長い持続時間と、時間間隔全体でほぼ一定の接合部温度が有効とする短い持続時間との間の妥協点として選択してよい。
【0062】
ステップ500では、平均電圧のセットを使用して、パワー半導体装置の動作を分析する。
【0063】
特に、分析は、最大の妥当性係数を有する平均電圧を選択し、接合部温度と選択された平均電圧との間の仮定された線形関係に基づいて接合部温度の推定値を計算することを含んでよい。
【0064】
例えば、分析は、いくつか又は全ての平均化された電圧についての前記仮定された線形関係に基づいて、接合部温度のそれぞれの推定値を計算することを含んでよい。それから、接合部温度の推定値の加重平均が決定されるだろう。重み付けは、それぞれの平均妥当性に従って実行されるだろう。
【0065】
図4は、改良された概念によるパワーエレクトロニクスシステムの例示的な実装のブロック図を示す。特に、パワーエレクトロニクスシステムは、
図2及び
図3に関して説明したように、改良された概念に従って方法を実行するように構成されている。
【0066】
このシステムは、改良された概念による回路Cと、回路Cに結合されたパワーエレクトロニクス装置、例えば、パワーコンバータPCとを備える。パワーコンバータPCは、1つ又は複数のパワー半導体装置PS1、PS2、…、PS6、例えばIGBTを備える。
図4で6に等しいパワー半導体装置の数は、単に説明上の理由で機能するだけで、3とは異なる数であってよい。
図4の例では、装置PS1、...、PS6は、電力変換器の標準適用である6スイッチ三相2レベルインバーターの一部として示されている。しかしながら、これは説明のためにのみ行われ、改良された概念はそのような構造に依存しないため、この例では制限はない。
【0067】
図4には、空乏型のIGBTの回路記号が示されているが、これは、関連する概念に従う方法、回路、又はシステムを制限するものではない。特に、パワー半導体装置PS1、PS2、PS3は、エンハンスメントタイプのIGBT又は他のトランジスタ、サイリスタ又はダイオードを備える場合がある。また、電力変換器PCは例としてのみ使用される。特に、それは、別のパワーエレクトロニクス装置、例えば、ソリッドステート回路ブレーカー、ソリッドステートリレー、静的VAR補償器、又はスイッチモードオーディオアンプと交換してよい。
【0068】
電力変換器PCは、例えば、パワー半導体装置PS1、PS2、PS3を駆動及び/又は制御するための駆動制御ユニットDCUを備え得る。
【0069】
図4に示すように、回路Cは電力変換器PCとは別にしてよい。代替的に、例えば、電力変換器PC又は駆動制御ユニットDCUは、回路Cを備える場合がある。
【0070】
この回路は、半導体装置PS1、PS2、PS3のうちの少なくとも1つのオン状態の電圧及び電流を計測し、電力変換器PCと通信するための計測ユニットMUを備える。計測ユニットMUは、例えば、1つ又は複数のアナログ-デジタル変換器及び/又はフィールドプログラマブルゲートアレイ、FPGAを備える場合がある。代替的に、計測ユニットMUは、マイクロコントローラユニットを備える場合がある。
【0071】
回路Cは、基準電圧、基準電流、及び基準増分電圧及び電流を記憶するための記憶ユニットSUをさらに備える。(記憶ユニット)SUは、適合された基準電圧、有効性、及び平均電圧と平均有効性を保存するためのものでもある。
【0072】
いくつかの実装形態(図示せず)では、記憶ユニットSUは、例えば、計測ユニットMUのFPGA又はマイクロコントローラユニットにおいて、計測ユニットMUと組み合わせる場合がある。
【0073】
回路Cはまた、基準電圧を適合させ、データを記憶ユニットSUに記憶し、任意選択で接合部温度の推定値を決定するための評価ユニットEU、例えばマイクロプロセッサを備える。特に、評価ユニットEUは、
図2及び3に関して説明された全ての計算ステップを実行するように構成され得る。評価ユニットEUはまた、記憶ユニットSU及び/又は計測ユニットMUと組み合わせる場合がある。
【0074】
改良された概念による方法、回路又はシステムによって、パワー半導体装置の動作は、使用前に較正なしで、少なくともその定格電流まで分析され得る。これは、計測されたオン状態の電圧を効果的にビニング(つまり外挿(推定))することで実現され、一選択として、適切な時間間隔、例えば100ミリ秒又は数百ミリ秒のオーダーで結果をフィルタリング(加重平均)する。外挿により、等価電圧を計算できるようになる。これを使用して、オンラインでの較正の効果的な実行、つまりパワー半導体装置又は装置を構成するシステム(例えば、電力変換器)の通常の動作中に効果的に較正を実行できる。
【0075】
改良された概念により、精度と計算負荷とのトレードオフにおける向上が可能になる。例えば、単純なビニングが使用される場合、多くの電流ビンが必要になり、結果のデータを使用する際の計算負荷が増加するか、結果の電圧に大きなエラーが存在する。
【0076】
改良された概念によれば、オン状態の電圧降下の大電流計測は、通常のコンバータ動作への干渉の回避に使用されたり、特別な低電流源のスイッチのオンオフが必要な場合への干渉の回避に使用されるだろう。
【0077】
また、複雑なルックアップテーブルは回避されるだろう。
【0078】
大量のデータセットを使用すると、改良された概念によって計測誤差を大幅に減らすだろう。時間間隔全体で平均化すると、信頼性がさらに向上するだろう。
【0079】
改良された概念に従ったシステム又は回路は、DC電流又は超低周波AC電流に対応可能である。このような場合、オン状態の電流がほぼ一定である特定の時間間隔で、2つの基準電流のみが有効なデータを持つ。
【0080】
改良された概念に従った実装形態には、接合部温度の推定が含まれる場合がある。これにより、動的定格制御(インテリジェントなオーバーレート/ディレート)、最適化された並列インバータスタック電流共有、状況監視(摩耗と異常動作の検出、予知保全の提供)、温度サイクルのカウントと残りの耐用年数の見積もり、開発及びタイプテスト中のインバータスタック設計の検証の改善、過熱検出の改善といったことを含む、次世代の「スマート」電力変換器におけるいくつもの特徴が可能になるだろう。
【0081】
電力変換器の製造業者にもたらされる利益には、例えばマージンの削減による、費用に対する最適化された性能(例えば、電流定格又は効率)が含まれるだろう。電力変換器のエンドユーザーにとっての利点には、異常な動作の早期検出や潜在的な運用費用の削減などがある。
【0082】
説明したアナログの方法で、この方法は、ピークダイオード逆回復電流、ピークオーバーシュート電圧などのスイッチング特性を含む、他の電流依存のTSEPにも適用してよい。また、本質的に全てのパワー半導体装置に普遍的ではないTSEPは、同様の方法で処理できる。例えば、ゲートしきい値電圧や内部ゲート抵抗などである。重要な側面の1つは、動作点と温度の両方に依存する計測値を、温度に依存するだけの個別の計測セットに変換することにより、動作点(電流など)の依存性を取り除くことである。
【0083】
さらに、この概念は、特に過酷な環境のために対象のある種のホットスポット温度を計測することが困難な場合に、パワーエレクトロニクス以外の電気機器の動作を分析するためにも使用してよい。これは、例えば、変圧器のホットスポット温度又は巻線温度が重要となる可能性がある電力変圧器の場合であり得る。
本願は例えば次の観点を提供する。
[観点1]
パワー半導体装置(PS1、PS2、PS3)の動作を分析する方法において、
装置(PS1、PS2、PS3)の基準電圧(Vn、Vn+1)のセットと、対応する電流(In、In+1)のセットとを提供することと、
計測点(MP)を得るため装置(PS1、PS2、PS3)のオン状態の電圧(Vmeas)と対応するオン状態の電流(Imeas)を計測することと、
基準電圧(Vn、Vn+1)のセットの、計測点(MP)を外挿することにより計測点(MP)に最も近いところにある2つを適合することにより、基準電圧(Vn、Vn+1)のセットを適合することであって、前記外挿は予め定義された基準増分電流(ΔI)及び予め定義された基準増分電圧(ΔV)に基づく、基準電圧(Vn、Vn+1)のセットを適合することと、
パワー半導体装置(PS1、PS2、PS3)の動作の分析に適合された基準電圧のセットを使用することと
を備える方法。
[観点2]
前記分析は、基準電圧の適合されたセットに基づいて装置(PS1、PS2、PS3)の接合部温度(Tj)を推定することを備える、観点1に記載の方法。
[観点3]
前記外挿することは、
計測されたオン状態の電流(Imeas)と、2つの計測されたオン状態の電流(Imeas)に最も近いところにある基準電流のセットの1つと間の差を決定することと、
基準増分電流(ΔI)に対する決定された差の割合を決定することと
を備える、観点1又は2に記載の方法。
[観点4]
前記外挿することは、
決定された割合に基づいて計測点(MP)に最も近いところにある基準電圧のセットの2つを適合することをさらに備える、観点3に記載の方法。
[観点5]
基準電圧(Vn、Vn+1)のセットと基準電流(In,、In+1)のセットとを提供することと、
計測点(MP)を取得することと、
基準電圧(Vn、Vn)のセットを適合することと
を備えるステップが予め決定した時間間隔内に、2以上の整数であるN回実施されて、基準電圧の適合されたN個のセットが得られて、
前記分析は、
基準電圧の適合されたN個のセットに基づいて平均電圧のセットを決定することと、特に、平均電圧のセットに基づいて装置(PS1、PS2、PS3)の接合部温度(Tj)を推定することとを備える、観点1から4のいずれか一項に記載の方法。
[観点6]
平均電圧のセットを決定することは、基準電圧の適合されたN個のセットの基準電圧に対応するNについて少なくとも1つの重み付けされた時間平均を決定することを備える、観点5に記載の方法。
[観点7]
接合部温度(Tj)を推定するステップは、
基準電圧の適合されたN個のセットの各セットの各電圧について、有効係数のN個のセットが得られた結果における有効係数を決定することを備え、
適合された基準電圧についての有効係数は、各計測されたオン状態の電流と適合された基準電圧に対応する基準電流の1つとの間の相対距離により与えられる、観点5又は6に記載の方法。
[観点8]
重み付けされた時間平均についての各重み付け係数は、有効係数のN個のセットにより与えられる、観点7に記載の方法。
[観点9]
接合部温度(Tj)を推定するステップは、有効係数のN個のセットに基づいて平均有効係数のセットを決定することと、平均有効係数のセットに基づいて接合部温度(Tj)を推定することとを備える、観点7又は8に記載の方法。
[観点10]
平均有効係数のセットを決定することは、有効係数のN個のセットの対応する有効係数にわたる各時間平均を決定することを備える、観点9に記載の方法。
[観点11]
接合部温度(Tj)を推定するステップは、接合部温度の推定値と平均電圧のセットの1つとの間に仮定される線形関係に基づいて接合部温度の推定値を計算することを備える、観点9又は10に記載の方法。
[観点12]
接合部温度(Tj)を推定するステップは、
接合部温度の各推定値と平均電圧のセットの1つとの間に仮定される線形関係のそれぞれに基づいて接合部温度の複数の推定値を計算することと、
複数の推定された接合部温度のそれぞれを、平均有効性のセットの各平均有効性に従って重み付けすることと
を備える、観点9から11のいずれか一項に記載の方法。
[観点13]
パワー半導体装置(PS1、PS2、PS3)の動作を分析する回路が
計測点(MP)を取得するため、装置(PS1、PS2、PS3)のオン状態の電圧(Vmeas)とオン状態の電流(Imeas)を計測するように構成されている計測ユニット(MU)と、
装置(PS1、PS2、PS3)の基準電圧(Vn、Vn+1)のセット及び装置(PS1、PS2、PS3)の対応する基準電流(In、In+1)のセットと
隣り合う基準電流の各対に対して予め定義された基準増分電流(ΔI)及び隣り合う基準電圧の各対に対して予め定義された基準増分電圧(ΔV)と
を記憶する記憶ユニット(SU)と、
基準電圧のセットの、計測点(MP)を外挿することにより計測点(MP)に最も近いところにある2つを適合することにより、基準電圧(Vn、Vn+1)のセットを適合することであって、前記外挿は各基準増分電流(ΔI)及び各基準増分電圧(ΔV)に基づく、基準電圧(Vn、Vn+1)のセットを適合し、
適合された基準電圧のセットに基づいてパワー半導体装置(PS1、PS2、PS3)の動作を分析するように構成されている評価ユニット(EU)と
を備える、回路。
[観点14]
観点13に記載の回路(C)と、パワー半導体装置(PS1、PS2、PS3)とを備える、パワーエレクトロニクスシステム。
[観点15]
パワー半導体装置(PS1、PS2、PS3)を備える電力変換器(PC)を備える、観点14に記載のパワーエレクトロニクスシステム。
【符号の説明】
【0084】
PC 電力変換器
DCU ドライブ及び制御ユニット
PS1、PS2、PS3 パワー半導体装置
C 回路
EU 評価ユニット
SU 記憶ユニット
MU 計測ユニット
Io オン状態の電流
Vo オン状態の電圧
Tj 接合部温度
Vn、Vn+1 基準電圧、適合基準電圧
In、In+1 基準電流
Imeas オン状態の計測電流
Vmeas オン状態の計測電圧
MP 計測点
b 相対距離
ΔI 基準電圧増分
ΔV 基準電流増分