(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-01
(45)【発行日】2024-08-09
(54)【発明の名称】ベンゾチオフェン化合物、その調製方法およびその使用
(51)【国際特許分類】
C07D 333/70 20060101AFI20240802BHJP
C07D 409/14 20060101ALI20240802BHJP
A61K 31/381 20060101ALI20240802BHJP
A61K 31/4155 20060101ALI20240802BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240802BHJP
【FI】
C07D333/70 CSP
C07D409/14
A61K31/381
A61K31/4155
A61P35/00
(21)【出願番号】P 2021551542
(86)(22)【出願日】2020-04-20
(86)【国際出願番号】 CN2020085525
(87)【国際公開番号】W WO2020221038
(87)【国際公開日】2020-11-05
【審査請求日】2023-03-20
(31)【優先権主張番号】201910359616.0
(32)【優先日】2019-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517273308
【氏名又は名称】シチュアン ケルン-バイオテック バイオファーマシューティカル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】リュー, ジンミン
(72)【発明者】
【氏名】レン, ユン
(72)【発明者】
【氏名】ティエン, チアン
(72)【発明者】
【氏名】ソン, ホンメイ
(72)【発明者】
【氏名】シュエ, トントン
(72)【発明者】
【氏名】ワン, ジンイー
【審査官】早川 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特表2021-520345(JP,A)
【文献】国際公開第2018/067423(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/027857(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/069275(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K 31/
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、立体異性体、互変異性体
、溶媒和物、N-オキシド、
もしくは同位体標識化合
物。
【化1】
[式中、X
1およびX
3は同一または異なり、それぞれ共有結合、-O-、-S-、-NR
a-からなる群から独立して選択され、
X
2は、C
1-6アルキレン、C
2-6アルケニレン、C
2-6アルキニレン、C
3-6シクロアルキル、3~6員ヘテロシクリル、C
1-6アルキレン-X
4およびC
1-6アルキレン-X
4-C
1-6アルキレンからなる群から選択され、前記C
1-6アルキレン、C
2-6アルケニレン、C
2-6アルキニレン、C
3-6シクロアルキルおよび3~6員ヘテロシクリルは、それぞれ任意にハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、C
1-6アルキルおよびC
1-6アルコキシからなる群から独立して選択される1以上の置換基で置換されており、
X
4は、-O-、-S-、-NR
a-、-C(O)-、-C(O)-NR
a-、-S(O)-、-S(O)
2-、-S(O)
2-NR
a-、-O-C(O)-NR
a-、-NR
a-C(O)-NR
a-および-NR
a-S(O)
2-NR
a-からなる群から選択され、
L
1は、共有結合および-(C(R
8)
2)
p-からなる群から選択され、
L
2は、共有結合および-C(O)-からなる群から選択され、
L
3は、共有結合および-(C(R
9)
2)
q-からなる群から選択され、
A
1は、H、シアノ、-OR
a、-SR
a、-S(O)R
a、-S(O)
2R
a、-NR
aR
b、-C(O)-OR
a、-O-C(O)-R
a、-C(O)-NR
aR
b、-NR
a-C(O)-R
a、-S(O)
2-NR
aR
b、-NR
a-S(O)
2-R
a、-O-C(O)-NR
aR
b、-NR
a-C(O)-OR
a、-NR
a-C(O)-NR
aR
b、-NR
a-S(O)
2-NR
aR
b、C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
3-6シクロアルキル、3~6員ヘテロシクリル、C
6-10アリールおよび5~10員ヘテロアリールからなる群から選択され、前記C
3-6シクロアルキル、3-6員ヘテロシクリル、C
6-10アリールおよび5~10員ヘテロアリールは、それぞれ任意にハロゲン、C
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキル、シアノ、ヒドロキシおよびC
1-6アルコキシからなる群から独立して選択される1以上の置換基で置換されており、
R
1およびR
4は同一または異なり、H、ハロゲン、シアノ、-OR
a、-NR
aR
b、C
1-6アルキル、C
3-6シクロアルキル、および3~6員ヘテロシクリルからなる群からそれぞれ独立して選択され、C
1-6アルキル、C
3-6シクロアルキル、および3~6員ヘテロシクリルは、それぞれ任意にハロゲン、C
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキル、シアノ、ヒドロキシ、およびC
1-6アルコキシからなる群から独立して選択される1以上の置換基で任意に置換されており、
R
2およびR
3は同一または異なり、H、ハロゲン、シアノ、-OR
a、-SR
a、-S(O)R
a、-S(O)
2R
a、-NR
aR
b、-C(O)-NR
aR
b、-NR
a-C(O)-R
a、C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
3-6シクロアルキル、3~6員ヘテロシクリル、C
6-10アリールおよび5~10員ヘテロアリールからなる群からそれぞれ独立して選択され、C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
3-6シクロアルキル、3-6員ヘテロシクリル、C
6-10アリール、および5~10員ヘテロアリールは、それぞれ任意にハロゲン、C
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキル、シアノ、ヒドロキシおよびC
1-6アルコキシからなる群から選択される1以上の置換基で置換されており、
R
5は、H、C
1-6アルキル、C
3-10シクロアルキルおよび3~10員ヘテロシクリルからなる群から選択され、C
1-6アルキル、C
3-10シクロアルキルおよび3~10員ヘテロシクリルは、それぞれ任意にハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、C
1-6アルキル、C
3-10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル、C
1-6ハロアルキル、C
1-6アルコキシ、C
1-6ハロアルコキシ、-NR
aR
b、-CO
2R
aおよび-S(O)
2R
aからなる群から選択される1以上の置換基で置換されており、
R
6は、H、C
1-6アルキル、C
3-10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル、C
6-10アリール、5~10員ヘテロアリール、-OR
aおよび-C(O)
2R
7からなる群から選択され、前記C
1-6アルキル、C
3-10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル、C
6-10アリール、および5~10員ヘテロアリールは、任意に1以上のR
Cで置換されており、
R
Cはそれぞれ、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、-NR
aR
b、-C(O)
2-R
a、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシおよびC
1-6ハロアルコキシからなる群から独立して選択され、前記C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシおよびC
1-6ハロアルコキシは、それぞれ任意にシアノ、-OR
a、-NR
aR
b、-C(O)
2-R
a、C
1-6アルコキシおよび-SO
2R
aからなる群から独立して選択される1以上の置換基で置換されており、
R
7は、H、C
1-6アルキル、C
3-10シクロアルキルおよび3~10員ヘテロシクリルからなる群から選択され、前記C
1-6アルキル、C
3-10シクロアルキルおよび3~10員ヘテロシクリルは、それぞれ任意にハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、3~10員ヘテロシクリル、-NR
aR
b、-C(O)
2-R
a、C
1-6アルコキシおよび-SO
2R
aからなる群から独立して選択される1以上の置換基で置換されており、
R
8はそれぞれ、H、ハロゲン、シアノ、-OR
a、-SR
a、-NR
aR
b、C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
3-6シクロアルキル、3~6員ヘテロシクリル、C
6-10アリールおよび5~10員ヘテロアリールからなる群から独立して選択され、前記C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
3-6シクロアルキル、3-6員ヘテロシクリル、C
6-10アリールおよび5-10員ヘテロアリールは、それぞれ任意にハロゲン、C
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキル、シアノ、ヒドロキシ、C
3-6シクロアルキル、3~6員ヘテロシクリル、C
6-10アリール、5~10員ヘテロアリール、C
1-6アルコキシおよび-OR
aからなる群から選択される1以上に置換基で置換されており、または異なる炭素原子上の2つのR
8は、それらの間の炭素原子と一緒になってC
3-6シクロアルキルまたは3~6員ヘテロシクリルを形成し、または同一の炭素原子上の2つのR
8は、それらが結合している炭素原子と一緒になってC
3-6シクロアルキルまたは3~6員ヘテロシクリルを形成し、
R
9は、それぞれH、ハロゲン、シアノ、OR
a、-SR
a、-NR
aR
b、C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
3-6シクロアルキル、3~6員ヘテロシクリル、C
6-10アリールおよび5~10員ヘテロアリールからなる群から独立して選択され、前記C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
3-6シクロアルキル、3~6員ヘテロシクリル、C
6-10アリール、および5~10員ヘテロアリールは、それぞれ任意にハロゲン、C
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキル、シアノ、ヒドロキシ、C
3-6シクロアルキル、3~6員ヘテロシクリル、C
6-10アリール、5~10員ヘテロアリール、C
1-6アルコキシおよび-OR
aからなる群から独立して選択される1以上の置換基で置換されており、または2つのR
9は、それらが結合している炭素原子と一緒になってC
3-10シクロアルキル、または3~10員ヘテロシクリルを形成し、または任意のR
9およびR
5は、それらの間の原子と一緒になって3~10員ヘテロシクリルを形成し、
R
aおよびR
bは、それぞれH、C
1-6アルキル、C
3-6シクロアルキルおよびC
1-6アルコキシからなる群から独立して選択され、前記C
1-6アルキル、C
3-6シクロアルキル、およびC
1-6アルコキシは、それぞれ任意にヒドロキシ、ハロゲンおよびC
1-6アルキルからなる群から独立して選択される1以上の置換基で置換されており、またはR
aおよびR
bは、それらが結合している窒素原子と一緒になって3~7員ヘテロシクリルを形成し、
mおよびnは、それぞれ0、1、2および3からなる群から独立して選択され、
pおよびqは、それぞれ1、2および3からなる群から独立して選択される。]
【請求項2】
X
1およびX
3が同一または異なり、それぞれ共有結合、-O-、-S-、-NH-、-N(C
1-6アルキル)-、-N(C
1-6ハロアルキル)-、-N(C
3-6シクロアルキル)-および-N(C
1-6アルコキシ)-からなる群から独立して選択され
る、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、立体異性体、互変異性体、溶媒和物、N-オキシド、もしくは同位体標識化合物。
【請求項3】
X
1およびX
3が同一であり、-O-、-S-、-NH-および-N(C
1-6アルキル)-からなる群から選択され
る、請求項2に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、立体異性体、互変異性体、溶媒和物、N-オキシド、もしくは同位体標識化合物。
【請求項4】
X
1およびX
3が同一であり、-O-および-S-からなる群から選択され
る、請求項3に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、立体異性体、互変異性体、溶媒和物、N-オキシド、もしくは同位体標識化合物。
【請求項5】
X
1およびX
3がいずれも-O-である、請求項
4に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、立体異性体、互変異性体
、溶媒和物、N-オキシド、
もしくは同位体標識化合
物。
【請求項6】
X
2が、C
1-4アルキレン、C
2-4アルケニレン、C
2-4アルキニレン、C
3-6シクロアルキル、3~6員ヘテロシクリル、C
1-4アルキレン-X
4およびC
1-4アルキレン-X
4-C
1-4アルキレンからなる群から選択され、前記C
1-4アルキレン、C
2-4アルケニレン、C
2-4アルキニレン、C
3-6シクロアルキルおよび3~6員ヘテロシクリルが、それぞれ任意にハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、C
1-6アルキル、およびC
1-6アルコキシからなる群から選択される1以上の置換基で置換されて
いる、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、立体異性体、互変異性体、溶媒和物、N-オキシド、もしくは同位体標識化合物。
【請求項7】
X
2が、任意にヒドロキシおよびC
1-4アルキルからなる群から選択される1以上の置換基で置換されているC
1-4アルキレンであ
る、請求項6に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、立体異性体、互変異性体、溶媒和物、N-オキシド、もしくは同位体標識化合物。
【請求項8】
X
2が非置換C
1-4アルキレンであ
る、請求項7に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、立体異性体、互変異性体、溶媒和物、N-オキシド、もしくは同位体標識化合物。
【請求項9】
X
2がプロピレンである、請求項
8に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、立体異性体、互変異性体
、溶媒和物、N-オキシド、
もしくは同位体標識化合
物。
【請求項10】
L
1が-(C(R
8)
2)
p-であ
る、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、立体異性体、互変異性体、溶媒和物、N-オキシド、もしくは同位体標識化合物。
【請求項11】
L
1が、-(CH
2)
p-または-(C(C
1-6アルキル)
2)
p-であ
る、請求項10に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、立体異性体、互変異性体、溶媒和物、N-オキシド、もしくは同位体標識化合物。
【請求項12】
L
1が-(CH
2)
2-である、請求項11に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、立体異性体、互変異性体
、溶媒和物、N-オキシド、
もしくは同位体標識化合物
。
【請求項13】
L
2が-C(O)-である、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、立体異性体、互変異性体
、溶媒和物、N-オキシド、
もしくは同位体標識化合
物。
【請求項14】
L
3が-(C(R
9)
2)
q-であ
る、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、立体異性体、互変異性体、溶媒和物、N-オキシド、もしくは同位体標識化合物。
【請求項15】
L
3が、-(CH
2)
q-または-(C(C
1-6アルキル)
2)
q-であ
る、請求項14に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、立体異性体、互変異性体、溶媒和物、N-オキシド、もしくは同位体標識化合物。
【請求項16】
L
3が-CH
2、-(CH
2)
2-または-(CH
2)
3-である、請求項
15に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、立体異性体、互変異性体
、溶媒和物、N-オキシド、
もしくは同位体標識化合
物。
【請求項17】
A
1が-C(O)-OR
aであ
る、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、立体異性体、互変異性体、溶媒和物、N-オキシド、もしくは同位体標識化合物。
【請求項18】
A
1が、-C(O)-OHおよび-C(O)-O(C
1-6アルキル)からなる群から選択され
る、請求項17に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、立体異性体、互変異性体、溶媒和物、N-オキシド、もしくは同位体標識化合物。
【請求項19】
A
1が、-C(O)-OHおよび-C(O)-O-(CH
2CH
3)からなる群から選択される、請求項
18に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、立体異性体、互変異性体
、溶媒和物、N-オキシド、
もしくは同位体標識化合
物。
【請求項20】
R
1およびR
4が同一または異なり、それぞれH、ハロゲン、C
1-6アルキルおよびC
3-6シクロアルキルからなる群から独立して選択され、前記C
1-6アルキルおよびC
3-6シクロアルキルは、それぞれ任意にハロゲン、C
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキル、シアノ、ヒドロキシおよびC
1-6アルコキシからなる群から独立して選択される1以上の置換基で置換されて
いる、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、立体異性体、互変異性体、溶媒和物、N-オキシド、もしくは同位体標識化合物。
【請求項21】
R
1および/またはR
4がHであり、
請求項20に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、立体異性体、互変異性体、溶媒和物、N-オキシド、もしくは同位体標識化合物。
【請求項22】
R
1およびR
4がいずれもHである、請求項
21に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、立体異性体、互変異性体
、溶媒和物、N-オキシド、
もしくは同位体標識化合
物。
【請求項23】
R
2およびR
3が同一または異なり、それぞれH、ハロゲンおよび-OR
aからなる群から独立して選択され
る、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、立体異性体、互変異性体、溶媒和物、N-オキシド、もしくは同位体標識化合物。
【請求項24】
R
2およびR
3が同一または異なり、それぞれ-OHおよび-O(C
1-6アルキル)からなる群から独立して選択され、前記-O(C
1-6アルキル)中のC
1-6アルキルが、任意にハロゲン、ヒドロキシおよびC
1-6アルキルからなる群から選択される1以上の置換基で置換されて
いる、請求項23に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、立体異性体、互変異性体、溶媒和物、N-オキシド、もしくは同位体標識化合物。
【請求項25】
R
2およびR
3が同一または異なり、それぞれメトキシ、2-ヒドロキシ-2-メチルプロポキシおよび3-ヒドロキシ-3-メチルブトキシからなる群から独立して選択される、請求項
24に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、立体異性体、互変異性体
、溶媒和物、N-オキシド、
もしくは同位体標識化合
物。
【請求項26】
R
5が、H、C
1-6アルキルおよびC
3-6シクロアルキルからなる群から選択され
る、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、立体異性体、互変異性体、溶媒和物、N-オキシド、もしくは同位体標識化合物。
【請求項27】
R
5がC
1-6アルキルであ
る、請求項26に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、立体異性体、互変異性体、溶媒和物、N-オキシド、もしくは同位体標識化合物。
【請求項28】
R
5がメチルである、請求項
27に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、立体異性体、互変異性体
、溶媒和物、N-オキシド、
もしくは同位体標識化合
物。
【請求項29】
R
6が、5~6員ヘテロアリール、-OR
aおよび-C(O)
2R
7からなる群から選択され、前記5~6員ヘテロアリールは、任意に1つ以上のC
1~6アルキルで置換されて
いる、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、立体異性体、互変異性体、溶媒和物、N-オキシド、もしくは同位体標識化合物。
【請求項30】
R
6が、ピラゾリル、-O(C
1-6アルキル)、-C(O)
2Hおよび-C(O)
2-(C
1-6アルキル)からなる群から選択され、前記ピラゾリルが、任意に1つ以上のC
1-6アルキルで置換されて
いる、請求項29に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、立体異性体、互変異性体、溶媒和物、N-オキシド、もしくは同位体標識化合物。
【請求項31】
R
6が、N-メチルピラゾリル、メトキシ、-C(O)
2Hおよび-C(O)
2-(CH
2CH
3)からなる群から選択される、請求項
30に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、立体異性体、互変異性体
、溶媒和物、N-オキシド、
もしくは同位体標識化合
物。
【請求項32】
mおよびnが、それぞれ0および1からなる群から独立して選択され
る、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、立体異性体、互変異性体、溶媒和物、N-オキシド、もしくは同位体標識化合物。
【請求項33】
mおよびnがいずれも1である、請求項
32に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、立体異性体、互変異性体
、溶媒和物、N-オキシド、
もしくは同位体標識化合
物。
【請求項34】
式(II)の構造を有する、請求項1~
33のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、立体異性体、互変異性体
、溶媒和物、N-オキシド、
もしくは同位体標識化合
物。
【化2】
[式中、X
2
、X
4
、L
1
、L
2
、L
3
、A
1
、R
2
、R
3
、R
5
、R
6
、R
7
、R
8
、R
9
、R
a
、R
b
、R
C
、m、n、pおよびqは、請求項1に定義されるとおりである。]
【請求項35】
式(III)の構造を有する、請求項
34に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、立体異性体、互変異性体
、溶媒和物、N-オキシド、
もしくは同位体標識化合
物。
【化3】
[式中、X
2
、X
4
、L
3
、R
2
、R
3
、R
5
、R
6
、R
7
、R
9
、R
a
、R
b
、R
C
、m、nおよびqは、請求項1に定義されるとおりである。]
【請求項36】
式(III-1)の構造を有する、請求項
35に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、立体異性体、互変異性体
、溶媒和物、N-オキシド、
もしくは同位体標識化合
物。
【化4】
[式中、X
2
、X
4
、L
3
、R
2
、R
3
、R
5
、R
6
、R
7
、R
9
、R
a
、R
b
、R
C
、m、nおよびqは、請求項1に定義されるとおりである。]
【請求項37】
式(IV)の構造を有する、請求項
35に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、立体異性体、互変異性体
、溶媒和物、N-オキシド、
もしくは同位体標識化合
物。
【化5】
[式中、X
2
、X
4
、R
2
、R
3
、R
5
、R
6
、R
7
、R
a
、R
b
、R
C
、m、nおよびqは、請求項1に定義されるとおりである。]
【請求項38】
前記化合物が、
【化6】
【化7】
からなる群から選択される構造を有する、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、立体異性体、互変異性体
、溶媒和物、N-オキシド、
もしくは同位体標識化合
物。
【請求項39】
予防的または治療的に有効な量の、請求項1~
38のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、立体異性体、互変異性体
、溶媒和物、N-オキシド、
もしくは同位体標識化合
物と、1種以上の薬学的に許容され得る担体と、を含む医薬組成物。
【請求項40】
請求項1~
38のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、立体異性体、互変異性体
、溶媒和物、N-オキシド、
もしくは同位体標識化合
物、あるいは請求項
39に記載の医薬組成物を含む、キット。
【請求項41】
STING介在性疾患を予防または治療するための医薬の製造における、請求項1~
38のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、立体異性体、互変異性体
、溶媒和物、N-オキシド、
もしくは同位体標識化合
物、あるいは請求項
39に記載の医薬組成物の使用
。
【請求項42】
前記医薬
が、経口、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内、筋肉内または経皮経路を介して投与されるためのものであ
る、請求項41に記載の使用。
【請求項43】
前記STING介在性疾患
が腫瘍である、
請求項41に記載の使用。
【請求項44】
以下の工程を含む、請求項
35に記載の化合物を調製する方法。
【化8】
[式中、L
3、R
2、R
3、R
5、R
6、X
2、mおよびnは、請求項
35に定義されるとおりであり、
R
aは、C
1-6アルキルおよびC
3-6シクロアルキルからなる群から選択され、前記C
1-6アルキルおよびC
3-6シクロアルキルは、それぞれ任意にハロゲン、ヒドロキシおよびC
1-6アルキルからなる群から独立して選択される1以上の置換基で置換されており、
LGは脱離基を表し、脱離基としては、ハロゲン原子、メタンスルホニルオキシ、p-トルエンスルホニルオキシなどが挙げられるが、これらに限定されない。]
【請求項45】
以下の工程を含む、請求項
36に記載の化合物を調製する方法。
【化9】
[式中、L
3、R
2、R
3、R
5、R
6、X
2、mおよびnは、請求項
36に定義されるとおりであり、
R
aは、C
1-6アルキルおよびC
3-6シクロアルキルからなる群から選択され、前記C
1-6アルキルおよびC
3-6シクロアルキルは、それぞれ任意にハロゲン、ヒドロキシおよびC
1-6アルキルからなる群から独立して選択される1以上の置換基で置換されている。]
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の分野]
本発明は、ベンゾチオフェン化合物、それを含む医薬組成物およびキット、その調製方法、ならびにSTING介在性疾患を処置するための医薬の製造におけるその使用に関する。
【0002】
[発明の背景]
TMEM173、MPYS、MITAまたはERISとも呼ばれるSTING(インターフェロン遺伝子の刺激因子)は、免疫応答における重要なシグナル伝達分子である。STINGがリガンド(例えば、細菌に由来する環状ジヌクレオチド(CDN)など)によって刺激され、活性化されると、STINGはIRF3およびNF-κBシグナル伝達経路をアップレギュレートするであろう。具体的には、活性化されたSTINGは、細胞質にTANK結合キナーゼ(TBK1)を漸増し、TBK1によるIRF3のリン酸化を媒介し、インターフェロンおよび他のサイトカインを生成する。インターフェロンは、免疫機能の調節、ワクチン効果の増強、ウイルスに対する作用、腫瘍細胞の増殖の阻害、腫瘍細胞のアポトーシスの誘導などを含む、複数の機能を有する一連の活性タンパク質である(Nature,2008,455,674-678、Science Signaling,2012,5,ra20)。さらに、STINGタンパク質は、腫瘍免疫、自己免疫性炎症、オートファジーなどの様々な病理学的および生理学的プロセスにも関与する。STING媒介性のI型インターフェロンシグナル伝達経路は、腫瘍特異的T細胞の活性化および腫瘍浸潤リンパ球の浸潤のための重要なステップである。肝細胞癌、胃癌および結腸直腸癌などの多くの腫瘍組織におけるSTINGの発現が低いと、腫瘍免疫寛容および/または免疫回避が起こるようになる。多くの研究により、STINGアゴニストが有意な抗腫瘍活性を有することが示されている。例えば、マウスモデルにおいて、STINGアゴニスト(ADU-S100)は、二次接種腫瘍および移植腫瘍の成長を阻害し、腫瘍に対する免疫寛容を長時間逆転させ、腫瘍の再発を阻害し得る。
【0003】
現在、開示されているSTINGアゴニストは、主に環状ジヌクレオチドアナログ構造を有する化合物である。例えば、MIW815(ADU-S100)は第1相臨床試験に入っている。
【化1】
【0004】
さらに、いくつかの研究機関により、非環状ジヌクレオチド構造を有するSTINGアゴニストが続々と開示されている。国際公開第2018067423号は、細胞増殖に関連する疾患(癌など)を処置するためのSTINGアゴニストとしての一連のベンゾチオフェン化合物を開示している。国際公開第2018234805号、国際公開第2018234807号および国際公開第2018234808号はまた、様々な疾患(癌を含む)の処置のためにヒトSTINGタンパク質を調節または活性化することができる、一連の複素環式化合物を開示している。
【0005】
したがって、STINGアゴニストは、医薬品産業における薬物としての良好な応用が見込まれる。腫瘍に対するより良好な治療効果を達成し、市場の需要をより良好に満たすために、新規かつ有効なSTINGアゴニストを開発することが急務である。
【0006】
[発明の概要]
本発明の一態様は、STINGシグナル伝達経路に対して強いアゴニスト作用を有し、その結果腫瘍に対するより良好な治療効果を有する、一連のベンゾチオフェン化合物を提供する。本発明化合物はまた、良好な物理化学的特性(例えば、溶解性、物理的および/または化学的安定性)および良好な安全性などの様々な優れた特性を有する。
【0007】
前記化合物は、式Iの化合物、その薬学的に許容され得る塩、立体異性体、互変異性体、多形、溶媒和物、N-オキシド、同位体標識化合物、代謝産物もしくはプロドラッグである。
【化2】
[式中、X
1およびX
3は同一または異なり、それぞれ共有結合、-O-、-S-、-NR
a-からなる群から独立して選択され、
X
2は、C
1-6アルキレン、C
2-6アルケニレン、C
2-6アルキニレン、C
3-6シクロアルキル、3~6員ヘテロシクリル、C
1-6アルキレン-X
4およびC
1-6アルキレン-X
4-C
1-6アルキレンからなる群から選択され、前記C
1-6アルキレン、C
2-6アルケニレン、C
2-6アルキニレン、C
3-6シクロアルキルおよび3~6員ヘテロシクリルは、それぞれ任意にハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、C
1-6アルキルおよびC
1-6アルコキシからなる群から独立して選択される1以上の置換基で置換されており、
X
4は、-O-、-S-、-NR
a-、-C(O)-、-C(O)-NR
a-、-S(O)-、-S(O)
2-、-S(O)
2-NR
a-、-O-C(O)-NR
a-、-NR
a-C(O)-NR
a-および-NR
a-S(O)
2-NR
a-からなる群から選択され、
L
1は、共有結合および-(C(R
8)
2)
p-からなる群から選択され、
L
2は、共有結合および-C(O)-からなる群から選択され、
L
3は、共有結合および-(C(R
9)
2)
q-からなる群から選択され、
A
1は、H、シアノ、-OR
a、-SR
a、-S(O)R
a、-S(O)
2R
a、-NR
aR
b、-C(O)-OR
a、-O-C(O)-R
a、-C(O)-NR
aR
b、-NR
a-C(O)-R
a、-S(O)
2-NR
aR
b、-NR
a-S(O)
2-R
a、-O-C(O)-NR
aR
b、-NR
a-C(O)-OR
a、-NR
a-C(O)-NR
aR
b、-NR
a-S(O)
2-NR
aR
b、C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
3-6シクロアルキル、3~6員ヘテロシクリル、C
6-10アリールおよび5~10員ヘテロアリールからなる群から選択され、前記C
3-6シクロアルキル、3~6員ヘテロシクリル、C
6-10アリールおよび5~10員ヘテロアリールは、それぞれ任意にハロゲン、C
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキル、シアノ、ヒドロキシおよびC
1-6アルコキシからなる群から独立して選択される1以上の置換基で置換されており、
R
1およびR
4は同一または異なり、H、ハロゲン、シアノ、-OR
a、-NR
aR
b、C
1-6アルキル、C
3-6シクロアルキル、および3~6員ヘテロシクリルからなる群からそれぞれ独立して選択され、C
1-6アルキル、C
3-6シクロアルキル、および3~6員ヘテロシクリルは、それぞれ任意にハロゲン、C
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキル、シアノ、ヒドロキシ、およびC
1-6アルコキシからなる群から独立して選択される1以上の置換基で任意に置換されており、
R
2およびR
3は同一または異なり、H、ハロゲン、シアノ、-OR
a、-SR
a、-S(O)R
a、-S(O)
2R
a、-NR
aR
b、-C(O)-NR
aR
b、-NR
a-C(O)-R
a、C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
3-6シクロアルキル、3~6員ヘテロシクリル、C
6-10アリールおよび5~10員ヘテロアリールからなる群からそれぞれ独立して選択され、C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
3-6シクロアルキル、3~6員ヘテロシクリル、C
6-10アリール、および5~10員ヘテロアリールは、それぞれ任意に、ハロゲン、C
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキル、シアノ、ヒドロキシおよびC
1-6アルコキシからなる群から選択される1以上の置換基で置換されており、
R
5は、H、C
1-6アルキル、C
3-10シクロアルキルおよび3~10員ヘテロシクリルからなる群から選択され、C
1-6アルキル、C
3-10シクロアルキルおよび3~10員ヘテロシクリルは、それぞれ任意にハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、C
1-6アルキル、C
3-10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル、C
1-6ハロアルキル、C
1-6アルコキシ、C
1-6ハロアルコキシ、-NR
aR
b、-CO
2R
aおよび-S(O)
2R
aからなる群から選択される1以上の置換基で置換されており、
R
6は、H、C
1-6アルキル、C
3-10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル、C
6-10アリール、5~10員ヘテロアリール、-OR
aおよび-C(O)
2R
7からなる群から選択され、前記C
1-6アルキル、C
3-10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル、C
6-10アリール、および5~10員ヘテロアリールは、任意に1以上のR
cで置換されており、
R
cはそれぞれ、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、-NR
aR
b、-C(O)
2-R
a、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシおよびC
1-6ハロアルコキシからなる群から独立して選択され、前記C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシおよびC
1-6ハロアルコキシは、それぞれ任意にシアノ、-OR
a、-NR
aR
b、-C(O)
2-R
a、C
1-6アルコキシおよび-SO
2R
aからなる群から独立して選択される1以上の置換基で置換されており、
R
7は、H、C
1-6アルキル、C
3-10シクロアルキルおよび3~10員ヘテロシクリルからなる群から選択され、前記C
1-6アルキル、C
3-10シクロアルキルおよび3~10員ヘテロシクリルは、それぞれ任意にハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、3~10員ヘテロシクリル、-NR
aR
b、-C(O)
2-R
a、C
1-6アルコキシおよび-SO
2R
aからなる群から独立して選択される1以上の置換基で置換されており、
R
8はそれぞれ、H、ハロゲン、シアノ、-OR
a、-SR
a、-NR
aR
b、C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
3-6シクロアルキル、3~6員ヘテロシクリル、C
6-10アリールおよび5~10員ヘテロアリールからなる群から独立して選択され、前記C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
3-6シクロアルキル、3~6員ヘテロシクリル、C
6-10アリールおよび5-10員ヘテロアリールは、それぞれ任意にハロゲン、C
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキル、シアノ、ヒドロキシ、C
3-6シクロアルキル、3~6員ヘテロシクリル、C
6-10アリール、5~10員ヘテロアリール、C
1-6アルコキシおよび-OR
aからなる群から選択される1以上の置換基で置換されており、または異なる炭素原子上の2つのR
8は、それらの間の炭素原子と一緒になってC
3-6シクロアルキルまたは3~6員ヘテロシクリルを形成し、または同一の炭素原子上の2つのR
8は、それらが結合している炭素原子と一緒になってC
3-6シクロアルキルまたは3~6員ヘテロシクリルを形成し、
R
9は、それぞれH、ハロゲン、シアノ、OR
a、-SR
a、-NR
aR
b、C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
3-6シクロアルキル、3~6員ヘテロシクリル、C
6-10アリールおよび5~10員ヘテロアリールからなる群から独立して選択され、前記C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
3-6シクロアルキル、3~6員ヘテロシクリル、C
6-10アリール、および5~10員ヘテロアリールは、それぞれ任意にハロゲン、C
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキル、シアノ、ヒドロキシ、C
3-6シクロアルキル、3~6員ヘテロシクリル、C
6-10アリール、5~10員ヘテロアリール、C
1-6アルコキシおよび-OR
aからなる群から独立して選択される1以上の置換基で置換されており、または2つのR
9は、それらが結合している炭素原子と一緒になってC
3-10シクロアルキル、または3~10員ヘテロシクリルを形成し、または任意のR
9およびR
5は、それらの間の原子と一緒になって3~10員ヘテロシクリルを形成し、
R
aおよびR
bは、それぞれH、C
1-6アルキル、C
3-6シクロアルキルおよびC
1-6アルコキシからなる群から独立して選択され、前記C
1-6アルキル、C
3-6シクロアルキル、およびC
1-6アルコキシは、それぞれ任意にヒドロキシ、ハロゲンおよびC
1-6アルキルからなる群から独立して選択される1以上の置換基で置換されており、またはR
aおよびR
bは、それらが結合している窒素原子と一緒になって3~7員ヘテロシクリルを形成し、
mおよびnは、それぞれ0、1、2および3からなる群から独立して選択され、
pおよびqは、それぞれ1、2および3からなる群から独立して選択される。]
【0008】
本発明の別の態様は、予防的または治療的に有効な量の本発明の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、立体異性体、互変異性体、多形、溶媒和物、N-オキシド、同位体標識化合物、代謝産物もしくはプロドラッグと、1種以上の薬学的に許容され得る担体と、を含む医薬組成物を提供する。
【0009】
本発明の別の態様は、本発明の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、立体異性体、互変異性体、多形、溶媒和物、N-オキシド、同位体標識化合物、代謝産物もしくはプロドラッグ、または本発明の医薬組成物を含むキットを提供する。
【0010】
本発明の別の態様は、STINGシグナル伝達経路を活性化するための本発明の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、立体異性体、互変異性体、多形、溶媒和物、N-オキシド、同位体標識化合物、代謝産物もしくはプロドラッグの使用を提供する。
【0011】
本発明の別の態様は、STING介在性疾患を予防または処置するための、本発明の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、立体異性体、互変異性体、多形、溶媒和物、N-オキシド、同位体標識化合物、代謝産物もしくはプロドラッグ、または本発明の医薬組成物の使用を提供する。
【0012】
本発明の別の態様は、STING介在性疾患を予防または処置するための医薬の調製における本発明の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、立体異性体、互変異性体、多形、溶媒和物、N-オキシド、同位体標識化合物、代謝産物もしくはプロドラッグ、または本発明の医薬組成物の使用を提供する。
【0013】
本発明の別の態様は、STING介在性疾患の予防または処置のための方法であって、予防的または治療的に有効な量の本発明の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、立体異性体、互変異性体、多形、溶媒和物、N-オキシド、同位体標識化合物、代謝産物もしくはプロドラッグ、または本発明の医薬組成物を、予防または処置を必要とする対象に投与することを含む方法を提供する。
【0014】
本発明の別の態様は、本発明の化合物を調製する方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、化合物1および6を使用したヒトTHP-1細胞におけるSTINGシグナル伝達経路タンパク質のウエスタンブロッティングの実験結果を示すグラフである。
【
図2】
図2は、化合物2を使用したヒトTHP-1細胞におけるSTINGシグナル伝達経路タンパク質のウエスタンブロッティングの実験結果を示すグラフである。
【
図3】
図3は、化合物3を使用したヒトTHP-1細胞におけるSTINGシグナル伝達経路タンパク質のウエスタンブロッティングの実験結果を示すグラフである。
【
図4】
図4は、化合物4を使用したヒトTHP-1細胞におけるSTINGシグナル伝達経路タンパク質のウエスタンブロッティングの実験結果を示すグラフである。
【
図5】
図5は、化合物8を使用したヒトTHP-1細胞におけるSTINGシグナル伝達経路タンパク質のウエスタンブロッティングの実験結果を示すグラフである
【
図6】
図6は、化合物2を使用したマウスRaw264.7細胞におけるSTINGシグナル伝達経路タンパク質のウエスタンブロッティングの実験結果を示すグラフである。
【
図7】
図7は、化合物4、6および8を使用したマウスRaw264.7細胞におけるSTINGシグナル伝達経路タンパク質のウエスタンブロッティングの実験結果を示すグラフである。
【0016】
[発明の詳細な説明]
定義
以下で他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有することが意図される。本明細書で使用される技術への言及は、当業者には明らかであろうそれらの技術の変形または同等の技術の置換を含む、当技術分野で一般的に理解されている技術を指すことを意図している。以下の用語の大部分は当業者によって容易に理解されると考えられるが、本発明をよりよく説明するために以下の定義が提示される。
【0017】
「含める」、「含む」、「有する」、「含有する」、または「関与する」という用語、ならびに本明細書で使用される他の変形は、包括的または変更可能であり、列挙されていない要素または方法ステップを除外しない。
【0018】
本明細書で使用される場合、「アルキル」という用語は、直鎖または分岐の飽和脂肪族炭化水素残基を指す。例えば、本明細書で使用される場合、「C1-6アルキル」という用語は、任意にハロゲンなどの1個以上(例えば、1~3個)の適切な置換基で置換されている、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチルまたはn-ヘキシルなどの1~6個の炭素原子を含む直鎖または分岐アルキル基を指す。
【0019】
本明細書で使用される場合、「アルキレン」という用語は、直鎖または分枝鎖の二価アルキルを指す。
【0020】
本明細書で使用される場合、「シクロアルキル」という用語は、任意に1個以上(例えば、1~3個)の適切な置換基で置換された、飽和または部分不飽和、非芳香族、単環式または多環式(例えば二環式)炭化水素環(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルまたはシクロノニルなどの単環式炭化水素環、またはスピロ、縮合または架橋環系(例えば、ビシクロ[1.1.1]ペンチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[3.2.1]オクチル、ビシクロ[5.2.0]ノニル、デカヒドロナフチルなど)を含む二環式炭化水素環)を指す。例えば、「C3-6シクロアルキル」という用語は、任意にメチル置換シクロプロピルなどの1個以上(例えば、1~3個)の適切な置換基で置換された、3~6個の環形成炭素原子を含む飽和または部分不飽和、非芳香族、単環式または多環式(例えば二環式)炭化水素環(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル)を指す。
【0021】
本明細書で使用される場合、「アルコキシ」という用語は、C1-8アルコキシ、C1-6アルコキシ、C1-4アルコキシまたはC1-3アルコキシなどのアルキル基(前記で定義したとおり)の任意の適切な位置に酸素原子を挿入することによって得られる基を意味する。C1-6アルコキシ基の代表的な例としては、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、t-ブトキシ、ペントキシ、ヘキシルオキシなどが挙げられるが、これらに限定されず、アルコキシ基は、任意に1個以上(例えば、1~3個)の同一または異なる置換基で置換されている。
【0022】
本明細書で使用される場合、「ハロ」または「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を含むと定義される。
【0023】
本明細書で使用される場合、「ハロアルキル」という用語は、1個以上(例えば、1~3個)の同一または異なるハロゲン原子で置換されたアルキルを指す。例えば、「C1-6ハロアルキル」という用語は、-CF3、-C2F5、-CHF2、-CH2F、-CH2CF3、-CH2Clまたは-CH2CH2CF3などの1~6個の炭素原子を有するハロアルキルを指す。
【0024】
本明細書で使用される場合、「ヘテロシクリル」という用語は、例えば3~10員ヘテロシクリル、3~7員ヘテロシクリル、3~6員ヘテロシクリル、5~6員ヘテロシクリルなどの、環内に2、3、4、5、6、7、8または9個の炭素原子と、N、OおよびS(O)p(式中、pは0、1または2である)からなる群から独立して選択される1個以上(例えば、1、2、3または4個)のヘテロ原子とを有する飽和または部分的に不飽和の単環式または多環式基を指す。ヘテロシクリルの代表的な例としては、オキシラニル、アジリジニル(azetidinyl)、アゼチジニル(oxetanyl)、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、ピロリジノニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、モルホリニル、ジチアニル(dithianyl)、チオモルホリニル、ピペラジニル、トリチアニル(trithianyl)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
本明細書で使用される場合、「アリール」または「芳香環」という用語は、共役π電子系を有する全炭素単環式または縮合多環式芳香族基を指す。例えば、「C6-10アリール」または「C6-10芳香族環」という用語は、6~10個の炭素原子を含む芳香族基、例えばフェニル(環)またはナフチル(環)を指す。アリール基は、任意に1個以上(例えば、1~3個)の適切な置換基(例えば、ハロゲン、-OH、-CN、-NO2、C1-6アルキルなど)で置換されている。
【0026】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアリール」または「ヘテロ芳香環」という用語は、例えば5、6、8、9、10、11、12、13または14個の環原子を有する、特に1または2または3または4または5または6または9または10個の炭素原子と、N、OおよびSからなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子とを有する、単環式、二環式または三環式芳香環系を指し、いずれの場合もベンゾ縮合していてもよい。例えば、ヘテロアリール環またはヘテロ芳香環は、チエニル(環)、フリル(環)、ピロリル(環)、オキサゾリル(環)、チアゾリル(環)、イミダゾリル(環)、ピラゾリル(環)、イソキサゾリル(環)、イソチアゾリル(環)、オキサジアゾリル(環)、トリアゾリル(環)、チアジアゾリル(環)、およびそれらのベンゾ誘導体、ピリジル(環)、ピリダジニル(環)、ピリミジニル(環)、ピラジニル(環)、トリアジニル(環)およびそれらのベンゾ誘導体からなる群から選択することができる。
【0027】
「置換された」という用語は、既存の状況下での指定された原子の通常の原子価を超えず、置換が安定な化合物をもたらすことを条件として、指定された原子上の1個以上(例えば、1、2、3、または4個)の水素が、示された群からの選択で置き換えられることを意味する。置換基および/または変数の組み合わせは、そのような組み合わせが安定な化合物をもたらす場合にのみ許容される。
【0028】
置換基が「任意に・・・で置換されている」と記載されている場合、その置換基は、(1)置換されなくてもよいし、(2)置換されてもよい。置換基の炭素が置換基のリストの1以上で任意に置換されていると記載されている場合、炭素上の1個以上の水素(存在する限り)は、別々におよび/または一緒に独立して選択された任意の置換基で置換されてもよく、されなくてもよい。置換基の窒素が置換基のリストの1以上任意に置換されていると記載されている場合、窒素上の1個以上の水素(存在する限り)は、それぞれ独立して選択された任意の置換基で置換されてもよく、されなくてもよい。
【0029】
置換基が群から「独立して選択される」と記載されている場合、各置換基は他と無関係に選択される。したがって、各置換基は、他の置換基と同一であっても異なっていてもよい。
【0030】
本明細書で使用される場合、「1以上」という用語は、合理的な1以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9または10)を意味する。
【0031】
本明細書で使用される場合、指定されない限り、置換基の結合点は、置換基の任意の適切な位置からのものであり得る。
【0032】
置換基への結合が環内の2個の原子を連結する結合を横切って示されている場合、そのような置換基は、置換可能なその環内の環形成原子のいずれかに結合していてもよい。
【0033】
本発明はまた、1個以上の原子が同じ原子番号を有するが、自然界で優勢である原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する原子によって置き換えられていることを除いて、本発明のものと同一である全ての薬学的に許容される同位体標識化合物を含む。本発明の化合物に含めるのに適した同位体の例としては、2H(D)および3H(T)などの水素、11C、13C、および14Cなどの炭素、37Clなどの塩素、18Fなどのフッ素、123Iおよび125Iなどのヨウ素、13Nおよび15Nなどの窒素、15O、17O、および18Oなどの酸素、32Pなどのリン、ならびに35Sなどのイオウの同位体が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の特定の同位体標識化合物、例えば放射性同位体を組み込んだ化合物は、薬物および/または基質組織分布研究(例えば、アッセイ)に有用である。放射性同位体トリチウム、すなわち3H、および炭素-14、すなわち14Cは、導入の容易さおよび検出手段が容易であるとの観点から、この目的に特に有用である。11C、18F、15Oおよび13Nなどの陽電子放出同位体による置換は、基質受容体占有率を調べるための陽電子放射断層撮影(PET)研究において有用であり得る。本発明の同位体標識化合物は、一般に、先に使用された非標識試薬に代え、適切な同位体標識試薬を使用することによって、添付のスキームおよび/または実施例、ならびに調製物に記載されているものと同様の方法によって調製することができる。本発明による薬学的に許容され得る溶媒和物としては、結晶化溶媒が同位体置換されてもよいもの、例えば、D2O、アセトン-d6またはDMSO-d6が挙げられる。
【0034】
「立体異性体」という用語は、少なくとも1個の不斉中心の存在により形成される異性体を指す。1個以上(例えば、1、2、3または4個)の不斉中心を有する化合物については、ラセミ混合物、単一エナンチオマー、ジアステレオマー混合物および個々のジアステレオマーを形成し得る。特定の分子はまた、幾何異性体(シス/トランス)を有し得る。同様に、本発明の化合物は、急速平衡で異なる構造を有する2個以上の形態(互変異性体と呼ばれることもある)の混合物として存在し得る。互変異性体の代表例としては、ケトン-エノール互変異性体、フェノール-ケトン互変異性体、ニトロソ-オキシム互変異性体、イミン-エナミン互変異性体などが挙げられる。本出願は、任意の割合(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%)の全ての異性体またはそれらの混合物を網羅することが理解される。
【0035】
本発明は、本発明の化合物の全ての可能な結晶形態または多形を、単一の多形として、または任意の比の2種以上の多形の混合物として含む。
【0036】
本発明の特定の化合物は、遊離形態で、または適切な場合には薬学的に許容される誘導体の形態で治療に使用し得ることも理解されるべきである。本発明において、薬学的に許容され得る誘導体としては、それを必要とする患者に投与した後に本発明の化合物またはその代謝産物もしくは残基を直接的または間接的に提供することができる薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、代謝産物またはプロドラッグが挙げられるが、これらに限定されない。したがって、本明細書で言及される「本発明の化合物」は、前記のような化合物の種々の誘導体形態も包含することを意味する。
【0037】
本発明の化合物の薬学的に許容され得る塩は、酸付加塩および塩基付加塩を含む。適切な酸付加塩は、薬学的に許容され得る塩を形成する酸から形成される。適切な塩基付加塩は、薬学的に許容され得る塩を形成する塩基から形成される。適切な塩に関する総説については、StahlおよびWermuthによる「Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use(薬学的塩のハンドブック:特性、選択、および使用)」(Wiley-VCH、2002)を参照されたい。本発明の化合物の薬学的に許容され得る塩を調製するための方法は、当業者に公知である。
【0038】
本発明の化合物は溶媒和物(好ましくは水和物)として存在することができ、本発明の化合物は、化合物の結晶格子の構造要素として極性溶媒、特に例えば水、メタノールまたはエタノールを含む。極性溶媒、特に水の量は、化学量論比または非化学量論比で存在し得る。
【0039】
当業者によって理解され得るように、窒素は酸化物への酸化に利用可能な孤立電子対を必要とするので、全ての窒素含有複素環がN-オキシドを形成できるわけではない。当業者は、N-オキシドを形成し得る窒素含有複素環を認識するであろう。当業者はまた、第三級アミンがN-オキシドを形成し得ることを認識するであろう。複素環のN-オキシドおよび第三級アミンを調製するための合成方法は当業者に周知であり、これらには、過酢酸およびm-クロロ過安息香酸(MCPBA)などのペルオキシ酸、過酸化水素、tert-ブチルヒドロペルオキシドなどのアルキルヒドロペルオキシド、過ホウ酸ナトリウム、およびジメチルジオキシランなどのジオキシランによる複素環および第三アミンの酸化が挙げられるが、これらに限定されない。N-オキシドを調製するためのこれらの方法は、文献に広く記載され、概説されており、例えば、T.L.Gilchrist,Comprehensive Organic Synthesis,vol.7,pp 748-750、A.R.KatritzkyおよびA.J.Boulton,Eds.,Academic Press、ならびにG.W.H.CheesemanおよびE.S.G.Werstiuk,Advances in Heterocyclic Chemistry,vol.22,pp 390-392,A.R.KatritzkyおよびA.J.Boulton,編集.,Academic Pressを参照されたい。
【0040】
本発明の化合物の代謝産物、すなわち本発明の化合物を投与することによりインビボで生成される物質も本発明の範囲に含まれる。そのような生成物は、例えば、投与された化合物の酸化、還元、加水分解、アミド化、脱アミド化、エステル化、酵素分解などから生じ得る。したがって、本発明は、本発明の化合物を哺乳動物とその代謝産物をもたらすのに十分な期間接触させることを含む方法によって産生される化合物を含む、本発明の化合物の代謝産物を包含する。
【0041】
また、本発明の化合物のプロドラッグも本発明の範囲内であり、本発明の化合物の特定の誘導体は、それ自体薬理活性をほとんどまたは全く有さないものもあるが、体内または身体に投与されると、例えば加水分解的開裂によって所望の活性を有する本発明の化合物に変換することができる。一般的に、そのようなプロドラッグは、インビボで所望の治療活性を有する化合物に容易に変換される化合物の機能性誘導体である。プロドラッグの使用に関するさらなる情報は、「Pro-drugs as Novel Delivery Systems」、Vol.14,ACS Symposium Series(T.HiguchiおよびV.Stella)、ならびに「Bioreversible Carriers in Drug Design」、Pergamon Press,1987(E.B.Roche編、American Pharmaceutical Association)に見出すことができる。本発明によるプロドラッグは、例えば、本発明の化合物中に存在する適切な官能基を、例えば、H.Bundgaard(Elsevier、1985年)による「Design of Prodrugs」に記載されるような「プロ部分」として当業者に公知の特定の部分で置き換えることによって製造することができる。
【0042】
本発明はさらに、保護基を有する本発明の化合物を包含する。本発明の化合物を調製するためのプロセスのいずれかの間に、関連する分子のいずれかの感受性基または反応性基を保護することが必要および/または望ましい場合があり、それにより、本発明の化合物の化学的に保護された形態が得られる。これは、従来の保護基、例えば、Protective Groups in Organic Chemistry,編集、J.F.W.McOmie,Plenum Press,1973およびT.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley&Sons,1991(これらは参照によって本明細書中に組み込まれる)に開示されている、従来の保護基により達成される。保護基は、当技術分野で公知の方法を使用して、好都合な後の段階で除去することができる。
【0043】
「約」という用語は、指定された値の±10%以内、好ましくは±5%以内、より好ましくは±2%以内の範囲を指す。
【0044】
化合物
本発明の1つの目的は、式(I)の化合物、その薬学的に許容され得る塩、立体異性体、互変異性体、多形、溶媒和物、N-オキシド、同位体標識化合物、代謝産物もしくはプロドラッグを提供することである。
【化3】
[式中、X
1およびX
3は同一または異なり、それぞれ共有結合、-O-、-S-、-NR
a-からなる群から独立して選択され、
X
2は、C
1-6アルキレン、C
2-6アルケニレン、C
2-6アルキニレン、C
3-6シクロアルキル、3~6員ヘテロシクリル、C
1-6アルキレン-X
4およびC
1-6アルキレン-X
4-C
1-6アルキレンからなる群から選択され、前記C
1-6アルキレン、C
2-6アルケニレン、C
2-6アルキニレン、C
3-6シクロアルキルおよび3~6員ヘテロシクリルは、それぞれ任意にハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、C
1-6アルキルおよびC
1-6アルコキシからなる群から独立して選択される1以上の置換基で置換されており、
X
4は、-O-、-S-、-NR
a-、-C(O)-、-C(O)-NR
a-、-S(O)-、-S(O)
2-、-S(O)
2-NR
a-、-O-C(O)-NR
a-、-NR
a-C(O)-NR
a-および-NR
a-S(O)
2-NR
a-からなる群から選択され、
L
1は、共有結合および-(C(R
8)
2)
p-からなる群から選択され、
L
2は、共有結合および-C(O)-からなる群から選択され、
L
3は、共有結合および-(C(R
9)
2)
q-からなる群から選択され、
A
1は、H、シアノ、-OR
a、-SR
a、-S(O)R
a、-S(O)
2R
a、-NR
aR
b、-C(O)-OR
a、-O-C(O)-R
a、-C(O)-NR
aR
b、-NR
a-C(O)-R
a、-S(O)
2-NR
aR
b、-NR
a-S(O)
2-R
a、-O-C(O)-NR
aR
b、-NR
a-C(O)-OR
a、-NR
a-C(O)-NR
aR
b、-NR
a-S(O)
2-NR
aR
b、C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
3-6シクロアルキル、3~6員ヘテロシクリル、C
6-10アリールおよび5~10員ヘテロアリールからなる群から選択され、前記C
3-6シクロアルキル、3~6員ヘテロシクリル、C
6-10アリールおよび5~10員ヘテロアリールは、それぞれ任意にハロゲン、C
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキル、シアノ、ヒドロキシおよびC
1-6アルコキシからなる群から独立して選択される1以上の置換基で置換されており、
R
1およびR
4は同一または異なり、H、ハロゲン、シアノ、-OR
a、-NR
aR
b、C
1-6アルキル、C
3-6シクロアルキル、および3~6員ヘテロシクリルからなる群からそれぞれ独立して選択され、C
1-6アルキル、C
3-6シクロアルキル、および3~6員ヘテロシクリルは、それぞれ任意にハロゲン、C
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキル、シアノ、ヒドロキシ、およびC
1-6アルコキシからなる群から独立して選択される1以上の置換基で任意に置換されており、
R
2およびR
3は同一または異なり、H、ハロゲン、シアノ、-OR
a、-SR
a、-S(O)R
a、-S(O)
2R
a、-NR
aR
b、-C(O)-NR
aR
b、-NR
a-C(O)-R
a、C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
3-6シクロアルキル、3~6員ヘテロシクリル、C
6-10アリールおよび5~10員ヘテロアリールからなる群からそれぞれ独立して選択され、C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
3-6シクロアルキル、3~6員ヘテロシクリル、C
6-10アリール、および5~10員ヘテロアリールは、それぞれ任意に、ハロゲン、C
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキル、シアノ、ヒドロキシおよびC
1-6アルコキシからなる群から選択される1以上の置換基で置換されており、
R
5は、H、C
1-6アルキル、C
3-10シクロアルキルおよび3~10員ヘテロシクリルからなる群から選択され、C
1-6アルキル、C
3-10シクロアルキルおよび3~10員ヘテロシクリルは、それぞれ任意にハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、C
1-6アルキル、C
3-10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル、C
1-6ハロアルキル、C
1-6アルコキシ、C
1-6ハロアルコキシ、-NR
aR
b、-CO
2R
aおよび-S(O)
2R
aからなる群から選択される1以上の置換基で置換されており、
R
6は、H、C
1-6アルキル、C
3-10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル、C
6-10アリール、5~10員ヘテロアリール、-OR
aおよび-C(O)
2R
7からなる群から選択され、前記C
1-6アルキル、C
3-10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル、C
6-10アリール、および5~10員ヘテロアリールは、任意に1以上のR
cで置換されており、
R
cはそれぞれ、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、-NR
aR
b、-C(O)
2-R
a、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシおよびC
1-6ハロアルコキシからなる群から独立して選択され、前記C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシおよびC
1-6ハロアルコキシは、それぞれ任意にシアノ、-OR
a、-NR
aR
b、-C(O)
2-R
a、C
1-6アルコキシおよび-SO
2R
aからなる群から独立して選択される1以上の置換基で置換されており、
R
7は、H、C
1-6アルキル、C
3-10シクロアルキルおよび3~10員ヘテロシクリルからなる群から選択され、前記C
1-6アルキル、C
3-10シクロアルキルおよび3~10員ヘテロシクリルは、それぞれ任意にハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、3~10員ヘテロシクリル、-NR
aR
b、-C(O)
2-R
a、C
1-6アルコキシおよび-SO
2R
aからなる群から独立して選択される1以上の置換基で置換されており、
R
8はそれぞれ、H、ハロゲン、シアノ、-OR
a、-SR
a、-NR
aR
b、C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
3-6シクロアルキル、3~6員ヘテロシクリル、C
6-10アリールおよび5~10員ヘテロアリールからなる群から独立して選択され、前記C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
3-6シクロアルキル、3~6員ヘテロシクリル、C
6-10アリールおよび5-10員ヘテロアリールは、それぞれ任意にハロゲン、C
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキル、シアノ、ヒドロキシ、C
3-6シクロアルキル、3~6員ヘテロシクリル、C
6-10アリール、5~10員ヘテロアリール、C
1-6アルコキシおよび-OR
aからなる群から選択される1以上の置換基で置換されており、または異なる炭素原子上の2つのR
8は、それらの間の炭素原子と一緒になってC
3-6シクロアルキルまたは3~6員ヘテロシクリルを形成し、または同一の炭素原子上の2つのR
8は、それらが結合している炭素原子と一緒になってC
3-6シクロアルキルまたは3~6員ヘテロシクリルを形成し、
R
9は、それぞれH、ハロゲン、シアノ、OR
a、-SR
a、-NR
aR
b、C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
3-6シクロアルキル、3~6員ヘテロシクリル、C
6-10アリールおよび5~10員ヘテロアリールからなる群から独立して選択され、前記C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
3-6シクロアルキル、3~6員ヘテロシクリル、C
6-10アリール、および5~10員ヘテロアリールは、それぞれ任意にハロゲン、C
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキル、シアノ、ヒドロキシ、C
3-6シクロアルキル、3~6員ヘテロシクリル、C
6-10アリール、5~10員ヘテロアリール、C
1-6アルコキシおよび-OR
aからなる群から独立して選択される1以上の置換基で置換されており、または2つのR
9は、それらが結合している炭素原子と一緒になってC
3-10シクロアルキル、または3~10員ヘテロシクリルを形成し、または任意のR
9およびR
5は、それらの間の原子と一緒になって3~10員ヘテロシクリルを形成し、
R
aおよびR
bは、それぞれH、C
1-6アルキル、C
3-6シクロアルキルおよびC
1-6アルコキシからなる群から独立して選択され、前記C
1-6アルキル、C
3-6シクロアルキル、およびC
1-6アルコキシは、それぞれ任意にヒドロキシ、ハロゲンおよびC
1-6アルキルからなる群から独立して選択される1以上の置換基で置換されており、またはR
aおよびR
bは、それらが結合している窒素原子と一緒になって3~7員ヘテロシクリルを形成し、
mおよびnは、それぞれ0、1、2および3からなる群から独立して選択され、
pおよびqは、それぞれ1、2および3からなる群から独立して選択される。]
【0045】
本発明のいくつかの実施形態によれば、RaおよびRbは、それぞれHおよびC1-6アルキルからなる群から独立して選択され、C1-6アルキルは、任意にハロゲン、ヒドロキシおよびC1-6アルキルからなる群から選択される1以上の置換基で置換されている。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態によれば、X1およびX3は、同一または異なり、それぞれ共有結合、-O-、-S-、-NH-、-N(C1-6アルキル)-、-N(C1-6ハロアルキル)-、-N(C3-6シクロアルキル)-および-N(C1-6アルコキシ)-からなる群から独立して選択される。好ましい実施形態では、X1およびX3は同一であり、-O-、-S-、-NH-および-N(C1-6アルキル)-からなる群から選択される。より好ましい実施形態では、X1およびX3は同一であり、-O-および-S-からなる群から選択される。特に好ましい実施形態では、X1およびX3はいずれも-O-である。
【0047】
本発明のいくつかの実施形態によれば、X2は、C1-4アルキレン、C2-4アルケニレン、C2-4アルキニレン、C3-6シクロアルキル、3~6員ヘテロシクリル、C1-4アルキレン-X4-およびC1-4アルキレン-X4-C1-4アルキレンからなる群から選択され、C1-4アルキレン、C2-4アルケニレン、C2-4アルキニレン、C3-6シクロアルキルおよび3~6員ヘテロシクリルは、任意にハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、C1-6アルキルおよびC1-6アルコキシからなる群から選択される1以上の置換基で置換されている。好ましい実施形態では、X2は、C1-4アルキレン、C2-4アルケニレン、C1-4アルキレン-O-C1-4アルキレン、C1-4アルキレン-S-C1-4アルキレンおよびC1-4アルキレン-NRa-C1-4アルキレンからなる群から選択され、C1-4アルキレンおよびC2-4アルケニレンは、任意にハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、C1-6アルキルおよびC1-6アルコキシからなる群から選択される1以上の置換基で置換されている。より好ましい実施形態では、X2は、任意にヒドロキシおよびC1-4アルキルからなる群から選択される1以上の置換基で置換されているC1-4アルキレンである。より好ましい実施形態では、X2は非置換C1-4アルキレンである。特に好ましい実施形態では、X2はプロピレンである。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態によれば、R8は、それぞれHおよびC1-6アルキルからなる群から独立して選択される。好ましい実施形態では、R8はHである。
【0049】
本発明のいくつかの実施形態によれば、pは2である。
【0050】
本発明のいくつかの実施形態によれば、L1は、-(C(R8)2)p-である。好ましい実施形態では、L1は、-(CH2)p-または-(C(C1-6アルキル)2)p-である。特に好ましい実施形態では、L1は-(CH2)2-である。
【0051】
本発明のいくつかの実施形態によれば、L2は、-C(O)-である。
【0052】
本発明のいくつかの実施形態によれば、R9は、それぞれHおよびC1-6アルキルからなる群から独立して選択される。好ましい実施形態では、R9はHである。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態によれば、qは1、2または3である。
【0054】
本発明のいくつかの実施形態によれば、L3は、-C(R9)2)q-である。好ましい実施形態では、L3は、-(CH2)q-または-(C(C1-6アルキル)2)q-である。特に好ましい実施形態では、L3は、-CH2、-(CH2)2-または-(CH2)3-である。
【0055】
本発明のいくつかの実施形態によれば、A1は、-C(O)-ORaである。好ましい実施形態では、A1は、-C(O)-OHおよび-C(O)-O(C1-6アルキル)からなる群から選択される。より好ましい実施形態では、A1は、-C(O)-OHおよび-C(O)-O(C1-3アルキル)からなる群から選択される。特に好ましい実施形態では、A1は、-C(O)-OHおよび-C(O)-O-(CH2CH3)からなる群から選択される。
【0056】
本発明のいくつかの実施形態によれば、R1およびR4は、同一または異なり、それぞれH、ハロゲン、C1-6アルキルおよびC3-6シクロアルキルからなる群から独立して選択され、C1-6アルキルおよびC3-6シクロアルキルは、それぞれ任意にハロゲン、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、シアノ、ヒドロキシおよびC1-6アルコキシからなる群から独立して選択される1以上の置換基で置換されている。好ましい実施形態では、R1および/またはR4はHである。特に好ましい実施形態では、R1およびR4はいずれもHである。
【0057】
本発明のいくつかの実施形態によれば、R2およびR3は、同一または異なり、それぞれH、ハロゲンおよび-ORaからなる群から独立して選択される。好ましい実施形態では、R2およびR3は同一または異なり、それぞれ-OHおよび-O(C1-6アルキル)からなる群から独立して選択され、-O(C1-6アルキル)中のC1-6アルキルは、任意にハロゲン、ヒドロキシおよびC1-6アルキルからなる群から選択される1以上の置換基で置換されている。特に好ましい実施形態ではR2およびR3は同一または異なり、それぞれメトキシ、2-ヒドロキシ-2-メチルプロポキシおよび3-ヒドロキシ-3-メチルブトキシからなる群から独立して選択される。
【0058】
本発明のいくつかの実施形態によれば、R5は、H、C1-6アルキルおよびC3-6シクロアルキルからなる群から選択される。好ましい実施形態では、R5はC1-6アルキルである。特に好ましい実施形態では、R5はメチルである。
【0059】
本発明のいくつかの実施形態によれば、R6は、5~6員ヘテロアリール(例えば、5~6員窒素含有ヘテロアリール)、-ORaおよび-C(O)2R7からなる群から選択され、5~6員ヘテロアリールは、任意に1以上のC1~6アルキルで置換されている。好ましい実施形態では、R6は、ピラゾリル、-O(C1-6アルキル)、-C(O)2Hおよび-C(O)2-(C1-6アルキル)からなる群から選択され、ピラゾリルは、任意に1以上のC1-6アルキルで置換されている。特に好ましい実施形態では、R6は、N-メチルピラゾリル、メトキシ、-C(O)2Hおよび-C(O)2-(CH2CH3)からなる群から選択される。
【0060】
本発明のいくつかの実施形態によれば、mおよびnは、それぞれ0および1からなる群から独立して選択される。好ましい実施形態では、mおよびnはいずれも1である。
【0061】
本発明は、置換基の上記の好ましい定義の任意の組み合わせによって得られる式(I)の化合物を包含する。
【0062】
本発明のいくつかの実施形態によれば本発明の化合物は、式(II)の構造を有する。
【化4】
[式中、A
1、L
1、L
2、L
3、R
2、R
3、R
5、R
6、X
2、mおよびnは上記に定義されるとおりである。]
【0063】
本発明のいくつかの実施形態によれば、本発明の化合物は、式(III)の構造を有する。
【化5】
[式中、L
3、R
2、R
3、R
5、R
6、R
a、X
2、mおよびnは上記に定義されるとおりである。]
【0064】
本発明のいくつかの実施形態によれば、本発明の化合物は、式(III-1)の構造を有する。
【化6】
[式中、L
3、R
2、R
3、R
5、R
6、X
2、mおよびnは上記に定義されるとおりである。]
【0065】
本発明のいくつかの実施形態によれば、本発明の化合物は、式(IV)の構造を有する。
【化7】
[式中、R
2、R
3、R
5、R
6、R
a、X
2、m、nおよびqは上記に定義されるとおりである。]
【0066】
好ましくは、式(IV)の化合物において、
R2およびR3は同一または異なり、それぞれ-ORaから独立して選択され、
R5はC1-6アルキルであり、
R6は、5~6ヘテロアリール、-ORaおよび-C(O)2R7からなる群から選択され、5~6員ヘテロアリールは、任意に1以上のC1~6アルキルで置換されており、
Raは、HおよびC1-6アルキルからなる群から選択され、C1-6アルキルは、任意にヒドロキシおよびC1-6アルキルからなる群から選択される1以上の置換基で置換されており、
X2はC1-6アルキレンであり、
qは1、2または3であり、
mおよびnはいずれも1である。
【0067】
本発明のいくつかの実施形態によれば、本発明の化合物は、
【化8】
【化9】
からなる群から選択される。
【0068】
調製方法
本発明の別の目的は、本発明の化合物を調製する方法を提供することである。例えば、本発明は、式(III)の化合物を調製する方法であって、下記の工程を含む:
【化10】
【化11】
[式中、L
3、R
2、R
3、R
5、R
6、X
2、mおよびnは上記に定義されるとおりであり、
R
aは、C
1-6アルキルおよびC
3-6シクロアルキルからなる群から選択され、C
1-6アルキルおよびC
3-6シクロアルキルは、それぞれ任意にハロゲン、ヒドロキシおよびC
1-6アルキルからなる群から独立して選択される1以上の置換基で置換されており、
LGは脱離基を表し、脱離基としては、ハロゲン原子、メタンスルホニルオキシ、p-トルエンスルホニルオキシなどが挙げられるが、これらに限定されない。]
【0069】
工程(1):化合物IN-1をチオグリコール酸メチルと反応させて化合物IN-2を得る。
反応は、適切な有機溶媒中で行うことが好ましい。有機溶媒は、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択することができ、好ましくはN,N-ジメチルホルムアミドである。
【0070】
反応は、適切な塩基の存在下で行うことが好ましい。塩基は、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムおよび重炭酸ナトリウムから選択することができ、好ましくは炭酸カリウムである。
【0071】
反応は、適切な温度、好ましくは25~100℃で行われる。
【0072】
反応は、適切な期間、例えば2~8時間継続する。
【0073】
工程(2):化合物IN-2を加水分解して化合物IN-3を得る。
反応は、適切な溶媒中で行うことが好ましい。溶媒は、水、または水と、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノールおよびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される溶媒との混合溶媒であり、好ましくはメタノールと水との混合溶媒である。
【0074】
反応は、適切な塩基の存在下で行うことが好ましい。塩基は、水酸化リチウムおよび水酸化ナトリウムからなる群から選択することができ、好ましくは水酸化ナトリウムである。
【0075】
反応は、適切な温度、好ましくは25℃~60℃で行われる。
【0076】
反応は、適切な期間、例えば2~8時間継続する。
【0077】
工程(3):化合物IN-3をジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩と反応させ、化合物IN-4を得る。
反応は、適切な有機溶媒中で行うことが好ましい。有機溶媒は、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジクロロメタン、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択することができ、好ましくはジクロロメタンである。
【0078】
反応は、適切な縮合剤の存在下で行うことが好ましい。縮合剤は、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド、HATU、ベンゾトリアゾール-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートおよび1H-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェートからなる群から選択することができ、好ましくはHATUである。
【0079】
反応は、好ましくは有機塩基の存在下で行われる。有機塩基は、トリエチルアミン、ピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、ジイソプロピルエチルアミンからなる群から選択することができ、好ましくはジイソプロピルエチルアミンである。
【0080】
反応は、適切な温度、好ましくは25℃~60℃で行われる。
【0081】
反応は、適切な期間、例えば2~8時間継続する。
【0082】
工程(4):化合物IN-4を臭化メチルマグネシウムと反応させ、化合物IN-5を得る。
反応は、適切な有機溶媒中で行うことが好ましい。有機溶媒は、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択することができ、好ましくはテトラヒドロフランである。
【0083】
反応は、適切な温度、好ましくは-10℃~50℃で行われる。
【0084】
反応は、適切な期間、例えば2~8時間継続する。
【0085】
工程(5):化合物IN-5を適切な臭素化剤と反応させて、化合物IN-6を得る。
反応は、適切な有機溶媒中で行うことが好ましい。有機溶媒は、酢酸エチル、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択することができ、好ましくは酢酸エチルである。
【0086】
臭素化剤は、N-ブロモスクシンイミド、トリメチルフェニルアンモニウムトリブロミド、ピリジニウムトリブロミドおよび臭化銅からなる群から選択することができ、好ましくは臭化銅である。
【0087】
反応は、適切な温度、好ましくは25~100℃で行われる。
【0088】
反応は、適切な期間、例えば2~8時間継続する。
【0089】
工程(6):化合物IN-6をマロン酸ジ-tert-ブチルと反応させて化合物IN-7を得る。
反応は、適切な有機溶媒中で行うことが好ましい。有機溶媒は、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択することができ、好ましくはテトラヒドロフランである。
【0090】
反応は、適切な塩基の存在下で行うことが好ましい。塩基は、水素化ナトリウム、カリウムtert-ブトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド、ナトリウムメトキシド、炭酸カリウムなどからなる群から選択することができ、好ましくは水素化ナトリウムである。
【0091】
反応は、適切な温度、好ましくは-10℃~40℃で行われる。
【0092】
反応は、適切な期間、例えば2~8時間継続する。
【0093】
工程(7):化合物IN-7を反応させ、化合物IN-8を得る。
反応は、適切な溶媒中で行うことが好ましい。溶媒は、1,4-ジオキサン、酢酸エチル、水、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択することができ、好ましくは1,4-ジオキサンである。
【0094】
反応は、適切な酸の存在下で行うことが好ましい。酸は、塩酸、硫酸およびトリフルオロ酢酸からなる群から選択することができ、好ましくは塩酸である。
【0095】
反応は、適切な温度、好ましくは60℃~150℃で行われる。
【0096】
反応は、適切な期間、例えば12~36時間継続する。
【0097】
工程(8):化合物IN-8をHO-Raとエステル化反応させ、化合物IN-9を得る。
反応は、適切な有機溶媒中で行う。有機溶媒は、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、トルエン、アルコール溶媒(メタノールおよびエタノールなど)、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択することができる。Raがエチルである場合、反応は好ましくはエタノール中で行われる。
【0098】
反応は、適切な触媒の存在下で行うことが好ましい。触媒は、塩酸、硫酸および塩化チオニルからなる群から選択することができ、好ましくは硫酸である。
【0099】
反応は、適切な温度、好ましくは60℃~150℃で行われる。
【0100】
反応は、適切な期間、例えば2~6時間継続する。
【0101】
工程(9):化合物IN-9を脱メチル化反応に供して化合物IN-10を得る。
反応は、適切な有機溶媒中で行うことが好ましい。有機溶媒は、ジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択することができ、好ましくはジクロロメタンである。
【0102】
反応は、好適なルイス酸の存在下で行うことが好ましい。ルイス酸は、三臭化ホウ素、三塩化アルミニウムなどからなる群から選択することができ、好ましくは三塩化アルミニウムである。
【0103】
反応は、適切な温度、好ましくは25~100℃で行われる。
【0104】
反応は、適切な期間、例えば15~36時間継続する。
【0105】
工程(10):化合物IN-10をHO-X2-LGと反応させ、化合物IN-11を得る。
反応は、適切な有機溶媒中で行うことが好ましい。有機溶媒は、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、アセトンなど、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択することができ、好ましくはアセトンである。
【0106】
反応は、適切な塩基の存在下で行うことが好ましい。塩基は、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水素化ナトリウム、カリウムtert-ブトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド、ナトリウムメトキシドなどからなる群から選択することができ、好ましくは炭酸カリウムである。
【0107】
反応は、適切な触媒の存在下で行うことが好ましい。触媒は、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウムなどからなる群から選択することができ、好ましくはヨウ化カリウムである。
【0108】
反応は、好適な温度、好ましくは20℃~100℃で行われる。
【0109】
反応は、適切な期間、例えば2~8時間継続する。
【0110】
工程(11):化合物IN-1-1をチオグリコール酸メチルと反応させ、化合物IN-2-1を得る。
反応は、適切な有機溶媒中で行うことが好ましい。有機溶媒は、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択することができ、好ましくはN,N-ジメチルホルムアミドである
【0111】
反応は、適切な塩基の存在下で行うことが好ましい。塩基は、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムおよび重炭酸ナトリウムからなる群から選択することができ、好ましくは炭酸カリウムである。
【0112】
反応は、適切な温度、好ましくは25℃~100℃で行われる。
【0113】
反応は、適切な期間、例えば2~8時間継続する。
【0114】
工程(12):化合物IN-2-1を加水分解し、化合物IN-3-1を得る。
反応は、適切な溶媒中で行うことが好ましい。溶媒は、水、または水と、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノールおよびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される溶媒との混合溶媒であり、好ましくはメタノールと水との混合溶媒である。
【0115】
反応は、適切な塩基の存在下で行うことが好ましい。塩基は、水酸化リチウムおよび水酸化ナトリウムからなる群から選択することができ、好ましくは水酸化ナトリウムである。
【0116】
反応は、適切な温度、好ましくは25℃~60℃で行われる。
【0117】
反応は、適切な期間、例えば2~8時間継続する。
【0118】
工程(13):化合物IN-3-1を化合物IN-4-1と反応させ、化合物IN-5-1を得る。
反応は、適切な有機溶媒中で行うことが好ましい。有機溶媒は、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジクロロメタン、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択することができ、好ましくはジクロロメタンである。
【0119】
反応は、適切な縮合剤の存在下で行うことが好ましい。縮合剤は、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド、HATU、ベンゾトリアゾール-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートおよび1H-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェートからなる群から選択することができ、好ましくはHATUである。
【0120】
反応は、好ましくは有機塩基の存在下で行われる。有機塩基は、トリエチルアミン、ピリジン、4-ジメチルアミノピリジンおよびジイソプロピルエチルアミンからなる群から選択することができ、好ましくはジイソプロピルエチルアミンである。
【0121】
反応は、適切な温度、好ましくは25℃~60℃で行われる。
【0122】
反応は、適切な期間、例えば2~8時間継続する。
【0123】
工程(14):化合物IN-5-1を脱メチル化反応に供して化合物IN-6-1を得る。
反応は、適切な有機溶媒中で行うことが好ましい。有機溶媒は、ジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択することができ、好ましくはジクロロメタンである。
【0124】
反応は、好適なルイス酸の存在下で行うことが好ましい。ルイス酸は、三臭化ホウ素、三塩化アルミニウムなどからなる群から選択することができ、好ましくは三塩化アルミニウムである。
【0125】
反応は、適切な温度、好ましくは25~100℃で行われる。
【0126】
反応は、適切な期間、例えば15~36時間継続する。
【0127】
工程(15):化合物IN-6-1を化合物IN-11と反応させて式IIIの化合物を得る。
反応は、適切な有機溶媒中で行うことが好ましい。有機溶媒は、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、トルエン、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択することができ、好ましくはテトラヒドロフランである。
【0128】
反応は、適切なホスフィン試薬の存在下で行うことが好ましい。ホスフィン試薬は、トリ-n-ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィンなどからなる群から選択することができ、好ましくはトリフェニルホスフィンである。
【0129】
反応は、適切なアゾ試薬の存在下で行うことが好ましい。アゾ試薬は、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート、ジエチルアゾジカルボキシレート、アゾジカルボン酸ジピペリジドなどからなる群から選択することができ、好ましくはジイソプロピルアゾジカルボキシレートである。
【0130】
反応は、適切な温度、好ましくは20℃~60℃で行われる。
【0131】
反応は、適切な期間、例えば2~8時間継続する。
【0132】
本発明はさらに、以下の工程を含む、式(III-1)の化合物を調製する方法を提供する。
【化12】
[式中、L
3、R
2、R
3、R
a、R
5、R
6、X
2、mおよびnは、式(III)の化合物を調製する方法において上記に定義したとおりである。]
【0133】
反応は、適切な溶媒中で行うことが好ましい。溶媒は、水、または水と、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノールおよびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される溶媒との混合溶媒であり、好ましくはエタノールと水との混合溶媒である。
【0134】
反応は、適切な塩基の存在下で行うことが好ましい。塩基は、水酸化リチウムおよび水酸化ナトリウムからなる群から選択することができ、好ましくは水酸化ナトリウムである。
【0135】
反応は、適切な温度、好ましくは25℃~100℃で行われる。
【0136】
反応は、適切な期間、例えば2~8時間継続する。
【0137】
医薬組成物およびキット
本発明の別の目的は、予防的または治療的に有効な量の、本発明の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、立体異性体、互変異性体、多形、溶媒和物、N-オキシド、同位体標識化合物、代謝産物もしくはプロドラッグと、1種以上の薬学的に許容され得る担体と、を含有する医薬組成物を提供することである。
【0138】
本発明の別の目的は、本発明の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、立体異性体、互変異性体、多形、溶媒和物、N-オキシド、同位体標識化合物、代謝産物もしくはプロドラッグ、または本発明の医薬組成物を含むキットを提供することである。
【0139】
本発明で使用される「薬学的に許容され得る担体」という用語は、治療剤と共に投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤、または溶媒を指し、健全な医学的判断によれば、合理的なベネフィット/リスク比を超える不当な毒性、刺激、アレルギー反応または他の問題もしくは合併症を生じず、ヒトおよび/または他の動物の組織と接触させるのに適している。
【0140】
本発明の医薬組成物に使用することができる薬学的に許容され得る担体としては、水および油などの滅菌液体、例えば石油、動物、植物または合成起源のもの、例えば落花生油、大豆油、鉱油、ゴマ油などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0141】
医薬組成物は、例えば、固形製剤、半固形製剤、液体製剤または気体製剤の形態であってもよい。固形製剤は、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、坐剤等であり、液体製剤は、例えば、液剤、懸濁剤、注射剤等である。組成物はまた、リポソーム、ミクロスフェアなどの形態であってもよい。特に、医薬組成物は、経口投与に適した剤形である。
【0142】
医薬組成物が静脈内投与用である場合、水は例示的な担体である。生理食塩水ならびに水溶性デキストロースおよびグリセロール水溶液もまた、特に注射用溶液のための液体担体として使用することができる。適切な薬学的賦形剤としては、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、マルトース、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセリル、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノールなどが挙げられる。組成物は、所望であれば、少量の湿潤剤、乳化剤またはpH緩衝剤も含有できる。経口製剤は、医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどの標準的な担体を含み得る。適切な薬学的に許容され得る担体の例は、例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences(1990)に記載されている。
【0143】
本発明の医薬組成物は、全身的および/または局所的に作用し得る。この目的のために、本発明の医薬組成物は適切な経路を介して投与することができ、例えば、注射(例えば、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内または筋肉内注射(注入を含む))を介して、または経皮経路を介して、または経口、頬側、鼻、経粘膜もしくは局所経路を介して、または眼科用製剤として、または吸入を介して投与することができる。
【0144】
これらの投与経路のために、本発明の医薬組成物は、適切な剤形で投与され得る。そのような剤形としては、錠剤、カプセル剤、トローチ剤、ハードキャンディ、散剤、スプレー、クリーム、膏薬、坐剤、ゲル、ペースト、ローション、軟膏、水性懸濁液、注射液、エリキシル剤、シロップなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0145】
医薬組成物中の本発明の化合物の含有量または量は、約0.001mg~約1000mg、適切には0.01~800mg、好ましくは0.05~500mg、より好ましくは0.1~350mg、特に好ましくは0.5~100mgであり得る。
【0146】
いくつかの実施形態では、本発明は、本発明の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、立体異性体、互変異性体、多形、溶媒和物、N-オキシド、同位体標識化合物、代謝産物もしくはプロドラッグを、1種以上の薬学的に許容され得る担体と組み合わせるステップを含む、本発明の医薬組成物を調製する方法を提供する。
【0147】
治療方法および使用
本発明の別の目的は、STINGシグナル経路を活性化するための本発明の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、立体異性体、互変異性体、多形、溶媒和物、N-オキシド、同位体標識化合物、代謝産物もしくはプロドラッグ、または本発明の医薬組成物の使用を提供することである。
【0148】
本発明の別の目的は、STING介在性疾患を予防または治療するための本発明の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、立体異性体、互変異性体、多形、溶媒和物、N-オキシド、同位体標識化合物、代謝産物もしくはプロドラッグ、または本発明の医薬組成物の使用を提供することである。
【0149】
本発明の別の目的は、STING介在性疾患を予防または治療するための医薬の製造における、本発明の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、立体異性体、互変異性体、多形、溶媒和物、N-オキシド、同位体標識化合物、代謝産物もしくはプロドラッグ、または本発明の医薬組成物の使用を提供することである。
【0150】
本発明の別の目的は、STING介在性疾患の予防または処置のための方法であって、予防的または治療的に有効な量の本発明の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、立体異性体、互変異性体、多形、溶媒和物、N-オキシド、同位体標識化合物、代謝産物もしくはプロドラッグ、または本発明の医薬組成物を、予防または処置を必要とする対象に投与することを含む方法を提供する。
【0151】
本発明のいくつかの実施形態によれば、上記STING介在性疾患は腫瘍である。好ましくは、疾患は癌である。
【0152】
本明細書で使用される「有効な量」という用語は、所望の予防または治療効果を達成するのに十分な量、例えば、治療される疾患に関連する1以上の症状の緩和を達成する量を指す。
【0153】
用量レジメンは、最適な反応を達成するように調整することができる。例えば、薬物は、単回ボーラスで投与してもよく、または数回の小用量で時間をかけて投与してもよく、または用量は、治療の実際の要件に従って比例的に減少または増加させてもよい。用量は、軽減されるべき状態の種類および重症度に応じて変化し得、単回用量または複数回用量を含み得ることに留意されたい。任意の特定の対象について、詳細な用量レジメンは、対象の要件、および医薬組成物の投与または投与の管理を担当する熟練した医師の専門的判断に従って調整されるべきであることがさらに理解されよう。
【0154】
投与すべき本発明の化合物の量は、処置すべき対象、障害または状態の重症度、投与速度、化合物の形態および処方医師の判断に依存する。一般に、有効投与量は、約0.0001~約50mg/kg体重/日、例えば約0.01~約10mg/kg/日(単回投与または複数回投与)の範囲である。70kgの人の場合、有効用量は、合計で約0.007mg/日~約3,500mg/日、例えば合計で約0.7mg/日~約700mg/日である。いくつかの例では、前述の範囲の下限を下回る投与量レベルは十分以上であり得るが、他の例では、有害な副作用を引き起こすことなく、さらにより多い用量を使用することができるが、このようなより多い用量は、1日を通して投与するために最初にいくつかの少量に分割される。
【0155】
特に明記しない限り、本明細書で使用される「処置する」または「処置」という用語は、そのような用語が適用される障害もしくは状態、またはそのような障害もしくは状態の1以上の症状を逆転させる、緩和する、進行を阻害する、または予防することを意味する。
【0156】
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、ヒトまたは非ヒト動物を含む。例示的なヒト被験体は、疾患(本明細書に記載のものなど)を有するヒト被験体(患者と呼ばれる)または正常な被験体を含む。本明細書で使用される「非ヒト動物」という用語は、非哺乳動物(例えば、鳥類、両生類、爬虫類)などの全ての脊椎動物、ならびに非ヒト霊長類、家畜および/または家畜(例えば、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウシ、ブタなど)などの哺乳動物を含む。
【実施例】
【0157】
本発明は、本発明の目的および技術的解決策を明らかにするために、以下の実施例を参照してさらに詳細に説明されている。これらの実施例は、本発明の例示のために提供されているにすぎず、本発明の範囲を限定することを意図するものではないことを当業者は理解すべきである。特定の条件が実施例に示されていない場合、実験は、従来の条件または製造業者によって推奨される条件に従って行われるものとする。製造業者を示さずに使用される試薬または機器は全て、市販されている従来の製品である。
【0158】
化合物の構造は、核磁気共鳴(1H NMR)または質量分析(MS)によって同定した。1H NMRは、JEOL Eclipse 400 NMR分光計を用いて、溶媒として重水素化メタノール(CD3OD)、重水素化クロロホルム(CDCl3)または六重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO-d6)を用いて、内部標準としてテトラメチルシラン(TMS)を用いて測定し、化学シフト(δ)をppmで示した。
【0159】
MSはAgilent(ESI)質量分析計(製造業者:Agilent、機種:Agilent 6120B)で測定した。
【0160】
調製用高速液体クロマトグラフィーのパラメータは以下のように示される。
【0161】
機器モデル:Agilent 1260、クロマトグラフィーカラム:Waters SunFire Prep C18 OBD(19mm×150mm×5.0μm)、クロマトグラフィーカラム温度:25℃、流速:20.0mL/min、検出波長:214nm、溶出勾配:(0分:10% A、90% B、16.0分:90% A、10% B)、移動相A:アセトニトリル、移動相B:0.05%ギ酸水溶液。
【0162】
薄層クロマトグラフィー(TLC)シリカゲルプレートとしてMerck社のアルミニウムプレート(20×20cm)を使用し、薄層クロマトグラフィー分離精製にはYantai社のGF 254(1mm)を使用した。
【0163】
反応を薄層クロマトグラフィー(TLC)またはLC-MSによってモニタリングした。使用される展開溶媒系は、ジクロロメタン-メタノール系、n-ヘキサン-酢酸エチル系、ならびに石油エーテル-酢酸エチル系を含む。溶媒の体積比は、化合物の極性に応じて、またはトリエチルアミンを添加することによって調整した。
【0164】
マイクロ波反応は、Biotage Initiator+(400W、室温~300℃)マイクロ波反応器を用いて行った。
【0165】
カラムクロマトグラフィーの固定相として、200~300メッシュのシリカゲルを通常使用した。溶離剤系は、ジクロロメタン-メタノール系および石油エーテル-酢酸エチル系を含む。溶媒の体積比は、化合物の極性に応じて、または少量のトリエチルアミンを添加することによって調整した。
【0166】
特に明記しない限り、以下の実施例における反応温度は室温(20℃~35℃)であった。
【0167】
本発明で使用される試薬は、Acros Organics、Aldrich Chemical Company、Topbiochemなどから購入した。
【0168】
本発明の従来の合成方法、実施例および中間調製例では、本明細書で使用される略語は以下の意味を有する。
【表1】
【0169】
中間体調製例1:エチル4-(6-ヒドロキシ-5-メトキシベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-4-オキソブチレート(中間体A)およびエチル4-(5-ヒドロキシ-6-メトキシベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-4-オキソブチレート(中間体B)の調製
【化13】
【0170】
工程1:メチル5,6-ジメトキシベンゾ[b]チオフェン-2-ホルメートの調製
6-フルオロベラトルアルデヒド(10.0g、54.3mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(200mL)に溶解し、チオグリコール酸メチル(6.9g、65.2mmol)および炭酸カリウム(22.5g、162.9mmol)を添加した。反応混合物を60℃に加熱し、15時間反応させた。反応溶液を水(1000mL)にゆっくり注いだ。混合物を2時間撹拌し、濾過した。得られた固体を水(500mL)で洗浄し、真空下60℃で乾燥させて、この工程の表題化合物を得た(12.0g、収率:87.6%)。
【0171】
MS m/z(ESI):253.0[M+H]+.
【0172】
工程2:5,6-ジメトキシベンゾ[b]チオフェン-2-ギ酸の調製
メチル5,6-ジメトキシベンゾ[b]チオフェン-2-ホルメート(12.0g、47.6mmol)をメタノール(100mL)および水(20mL)に溶解し、水酸化ナトリウム(3.8g、95.1mmol)を添加した。反応混合物を室温で4時間反応させた。反応溶液を40℃で減圧濃縮し、メタノールの一部を除去した。残渣を水(500mL)に添加した。得られた混合物を希塩酸でpH=3に調整し、濾過した。得られた固体を水(500mL)で洗浄し、真空下60℃で乾燥させて、表題化合物を得た(8.0g、収率:70.6%)。
【0173】
MS m/z(ESI):239.0[M+H]+.
【0174】
工程3:N,5,6-トリメトキシ-N-メチルベンゾ[b]チオフェン-2-ホルムアミドの調製
5,6-ジメトキシベンゾ[b]チオフェン-2-ギ酸(8.2g、34.4mmol)およびジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(4.1g、41.3mmol)をジクロロメタン(100mL)に加えた後、HATU(13.1g、34.4mmol)およびDIPEA(8.9g、68.8mmol)を順次加えた。次いで、混合物を室温で4時間反応させた。反応溶液を水(300mL)に注ぎ、ジクロロメタン(50mL)で3回抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した。濾液を減圧下で濃縮して、この工程の表題化合物を得た(9.5g、収率:98.1%)。
【0175】
MS m/z(ESI):282.1[M+H]+.
【0176】
工程4:1-(5,6-ジメトキシベンゾ[b]チオフェン-2-イル)エタノンの調製
N,5,6-トリメトキシ-N-メチルベンゾ[b]チオフェン-2-ホルムアミド(10.0g、35.6mmol)をテトラヒドロフラン(200mL)に溶解した。臭化メチルマグネシウム(106.6mmol)のテトラヒドロフラン(35.6mL)溶液を0℃でゆっくり添加した。反応混合物をゆっくりと室温まで加温し、4時間反応させた。反応溶液を飽和塩化アンモニウム水溶液(600mL)に注ぎ、酢酸エチル(100mL)で3回抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した。濾液を減圧下で濃縮して、この工程の表題化合物を得た(7.9g、収率:94.1%)。
【0177】
MS m/z(ESI):237.1[M+H]+.
【0178】
工程5:2-ブロモ-1-(5,6-ジメトキシベンゾ[b]チオフェン-2-イル)エタノンの調製
1-(5,6-ジメトキシベンゾ[b]チオフェン-2-イル)エタノン(2.0g、8.5mmol)および臭化銅(5.7g、25.4mmol)を酢酸エチル(60mL)に添加した。混合物を80℃まで加熱し、8時間反応させた。反応混合物を濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残渣に亜硫酸ナトリウム(1.8g、14.2mmol)、アセトニトリル(15mL)、水(15mL)および酢酸(8mL)を添加し、室温で2時間撹拌した。反応溶液を水(150mL)に注ぎ、酢酸エチル(30mL)で3回抽出した。有機相を合わせ、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した。濾液を減圧下で濃縮して、この工程の表題化合物を得た(1.5g、収率:67.0%)。
【0179】
MS m/z(ESI):315.0[M+H]+.
【0180】
工程6:ジ-tert-ブチル2-(2-(5,6-ジメトキシベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-2-オキソエチル)マロネートの調製
マロン酸ジ-tert-ブチル(23.8g、110.4mmol)をテトラヒドロフラン(200mL)に溶解した。その後、60%水素化ナトリウム(4.2g、110.4mmol)を0℃でゆっくり添加し、反応混合物を0℃で1時間撹拌した。2-ブロモ-1-(5,6-ジメトキシベンゾ[b]チオフェン-2-イル)エタノン(17.4g、55.2mmol)のテトラヒドロフラン(20mL)中の溶液をゆっくり添加した。その後、混合物をゆっくり室温まで加温し、2時間反応させた。反応溶液を飽和塩化アンモニウム水溶液(500mL)に注ぎ、酢酸エチル(100mL)で3回抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、濃縮物を調製用高速液体クロマトグラフィーを介して精製し、この工程の表題化合物を得た(22.5g、収率:90.5%)。
【0181】
工程7:4-(5,6-ジメトキシベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-4-オキソブタン酸の調製
ジ-tert-ブチル2-(2-(5,6-ジメトキシベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-2-オキソエチル)マロネート(8.0g、17.8mmol)を、塩化水素の1,4-ジオキサン溶液(80mL、4mol/L)に溶解した。反応混合物を撹拌下、120℃で18時間反応させた。反応溶液を水(200mL)に注ぎ、酢酸エチル(50mL)で3回抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム水溶液で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した。濾液を減圧下で濃縮して、この工程の表題化合物を得た(4.7g、収率:89.9%)。
【0182】
MS m/z(ESI):295.1[M+H]+.
【0183】
工程8:エチル4-(5,6-ジメトキシベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-4-オキソブチレートの調製
4-(5,6-ジメトキシベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-4-オキソブタン酸(4.0g、13.6mmol)をエタノール(80mL)に溶解した。室温で撹拌しながら濃硫酸(1mL)を添加した。反応混合物を80℃に加熱し、3時間反応させた。反応溶液を水(200mL)に注ぎ、酢酸エチル(50mL)で3回抽出した。有機相を合わせ、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した。濾液を減圧下で濃縮して、この工程の表題化合物を得た(3.9g、収率:89.0%)。
【0184】
MS m/z(ESI):323.1[M+H]+.
【0185】
工程9:エチル4-(6-ヒドロキシ-5-メトキシベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-4-オキソブチレート(中間体A)およびエチル4-(5-ヒドロキシ-6-メトキシベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-4-オキソブチレート(中間体B)の調製
エチル4-(5,6-ジメトキシベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-4-オキソブチレート(0.73g、2.3mmol)をジクロロメタン(8mL)に溶解した。三塩化アルミニウム(4.2g、22.7mmol)を氷浴中でゆっくり添加し、混合物を室温まで加熱し、24時間撹拌した。反応溶液を水(100mL)に注いだ。得られた混合物を希塩酸でpH=2に調整し、酢酸エチル(30mL)で3回抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した。濾液を減圧下で濃縮した。その濃縮物を調製用高速液体クロマトグラフィーによって精製することにより、エチル4-(6-ヒドロキシ-5-メトキシベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-4-オキソブチレート(中間体A:493mg、収率71.4%)およびエチル4-(5-ヒドロキシ-6-メトキシベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-4-オキソブチレート(中間体B:170mg、収率24.3%)を得た。
【0186】
中間体A:
MS m/z(ESI):309.1[M+H]、
1H-NMR(400 MHz,CDCl3)δ:7.87(s,1H),7.33(s,1H),7.22(s,1H),6.08(s,1H),4.17(q,J=8.0 Hz,2H),3.97(s,3H),3.32-3.29(m,2H),2.80-2.76(m,2H),1.27(t,J=8.0 Hz,3H).
【0187】
中間体B:
MS m/z(ESI):309.1[M+H]、
1H-NMR(400 MHz,CDCl3)δ:7.84(s,1H),7.32(s,1H),7.22(s,1H),5.85(s,1H),4.17(q,J=8.0 Hz,2H),3.98(s,3H),3.33-3.30(m,2H),2.79-2.76(m,2H),1.27(t,J=8.0 Hz,3H).
【0188】
中間体調製例2:エチル4-(6-(3-ヒドロキシプロポキシ)-5-メトキシベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-4-オキソブチレート(中間体C)の調製
【化14】
エチル4-(6-ヒドロキシ-5-メトキシベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-4-オキソブチレート(中間体A、500.0mg、1.6mmol)をアセトン(10mL)に溶解した。次いで、炭酸カリウム(447.0mg、3.2mmol)、ヨウ化カリウム(43.0mg、0.32mmol)および3-ブロモ-1-プロパノール(338.0mg、2.4mmol)を添加した。反応混合物を60℃に加熱し、5時間反応させた。反応溶液を濃縮し、水(50mL)に注ぎ、混合物を酢酸エチル(25mL)で3回抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した。濾液を減圧下で濃縮して、この工程の表題化合物を得た(中間体C、485.0mg、収率:81.6%)。
【0189】
MS m/z(ESI):367.1[M+H]+.
【0190】
中間体調製例3:エチル4-(5-(3-ヒドロキシプロポキシ)-6-メトキシベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-4-オキソブチレート(中間体D)の調製
【化15】
エチル4-(6-ヒドロキシ-5-メトキシベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-4-オキソブチレート(中間体A)を4-(5-ヒドロキシ-6-メトキシベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-4-オキソエチルブチレート(中間体B)に置き換えた以外は、中間体調製例2の合成経路を使用して表題化合物を得た(中間体D、380mg、収率:79.8%)。
【0191】
MS m/z(ESI):367.1[M+H]+.
【0192】
中間体調製例4:エチル3-(N-メチル-6-ヒドロキシ-5-メトキシベンゾ[b]チオフェン-2-ホルムアミド)プロピオネート(中間体E)およびエチル3-(N-メチル-5-ヒドロキシ-6-メトキシベンゾ[b]チオフェン-2-ホルムアミド)プロピオネート(中間体F)の調製
【化16】
【0193】
工程1:エチル3-(N-メチル-5,6-ジメトキシベンゾ[b]チオフェン-2-ホルムアミド)プロピオネートの調製
5,6-ジメトキシベンゾ[b]チオフェン-2-ギ酸(500mg、2.10mmol)およびエチル3-(メチルアミノ)プロピオネート(389mg、2.32mmol)をテトラヒドロフラン(15mL)に溶解した。次いで、HATU(1.6g、4.2mmol)およびDIPEA(814mg、6.3mmol)を添加した。反応混合物を60℃に加熱した後、4時間反応させた。反応溶液を水(100mL)に注ぎ、酢酸エチル(30mL)で3回抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、濃縮物を調製用高速液体クロマトグラフィーによって精製し、本工程の表題化合物を得た(492mg、収率:66.8%)。
【0194】
MS m/z(ESI):352.1[M+H]+.
1H-NMR(400 MHz,CDCl3)δ:7.47(s,1H),7.25(s,1H),7.21(s,1H),4.16(q,J=7.2 Hz,2H),3.97(s,3H),3.95(s,3H),3.88-3.85(m,2H),3.28(s,3H),2.74-2.71(m,2H),1.27(t,J=7.2 Hz,3H).
【0195】
工程2:エチル3-(N-メチル-6-ヒドロキシ-5-メトキシベンゾ[b]チオフェン-2-ホルムアミド)プロピオネート(中間体E)およびエチル3-(N-メチル-5-ヒドロキシ-6-メトキシベンゾ[b]チオフェン-2-ホルムアミド)プロピオネート(中間体F)の調製
エチル3-(N-メチル-5,6-ジメトキシベンゾ[b]チオフェン-2-ホルムアミド)プロピオネート(520mg、1.48mmol)をジクロロメタン(25mL)に溶解した。次いで、氷浴中で三塩化アルミニウム(1.97g、14.80mmol)を添加した。反応混合物を室温まで加温し、24時間撹拌した。反応溶液を水(100mL)に注いだ。得られた混合物を希塩酸でpH=2に調整し、酢酸エチル(30mL)で3回抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した。濾液を減圧下で濃縮した。その濃縮物を調製用高速液体クロマトグラフィーで精製し、エチル3-(N-メチル-6-ヒドロキシ-5-メトキシベンゾ[b]チオフェン-2-ホルムアミド)プロピオネート(中間体E、305mg、収率:61.2%)およびエチル3-(N-メチル-5-ヒドロキシ-6-メトキシベンゾ[b]チオフェン-2-ホルムアミド)プロピオネート(中間体F、174mg、収率:34.9%)を得た。
【0196】
中間体E:
MS m/z(ESI):338.1[M+H]+、
1H-NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ:9.55(s,1H),7.62(s,1H),7.38(s,1H),7.27(s,1H),4.07(q,J=8.0 Hz,2H),3.85-3.83(m,3H),3.73-3.65(m,2H),3.21-3.18(m,3H),2.68-2.65(m,2H),1.17(t,J=8.0 Hz,3H).
【0197】
中間体F:
MS m/z(ESI):338.1[M+H]+、
1H-NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ:9.25(s,1H),7.58(s,1H),7.50(s,1H),7.23(s,1H),4.07(q,J=8.0 Hz,2H),3.85-3.82(m,3H),3.73-3.68(m,2H),3.21-3.18(m,3H),2.68-2.65(m,2H),1.17(t,J=8.0 Hz,3H).
【0198】
実施例1:エチル4-(6-(3-((2-((3-エトキシ-3-オキソプロピル)(メチル)カルバモイル)-5-メトキシベンゾ[b]チオフェン-6-イル)オキシ)プロポキシ)-5-メトキシベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-4-オキソブチレート(化合物1)の調製
【化17】
エチル4-(6-(3-ヒドロキシプロポキシ)-5-メトキシベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-4-オキソブチレート(中間体C、100mg、272.9μmol)、エチル3-(N-メチル-6-ヒドロキシ-5-メトキシベンゾ[b]チオフェン-2-ホルムアミド)プロピオネート(中間体E、96mg、272.9μmol)およびトリフェニルホスフィン(143mg、545.9μmol)をテトラヒドロフラン(10mL)に溶解し、窒素保護下でアゾジカルボン酸ジイソプロピル(110mg、545.9μmol)を添加した。次いで、混合物を室温で12時間撹拌した。反応溶液を40℃にて減圧濃縮し、テトラヒドロフランを除去し、調製用高速液体クロマトグラフィーにて精製し、表題化合物を得た(98mg、収率:52.4%)。
【0199】
MS m/z(ESI):686.2[M+H]+.
1H-NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ:8.21(s,1H),7.66-7.64(m,2H),7.62(s,1H),7.49(s,1H),7.42(s,1H),4.27-4.21(m,4H),4.08-4.03(m,4H),3.84(s,3H),3.82(s,3H),3.74(s,2H),3.32-3.29(m,2H),3.18(s,3H),2.68-2.65(m,4H),2.29-2.26(m,2H),1.23-1.16(m,6H).
【0200】
実施例2:4-(6-(3-((2-((2-カルボキシエチル)(メチル)カルバモイル)-5-メトキシベンゾ[b]チオフェン-6-イル)オキシ)プロポキシ)-5-メトキシベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-4-オキソブタン酸(化合物2)の調製
【化18】
エチル4-(6-(3-((2-((3-エトキシ-3-オキソプロピル)(メチル)カルバモイル)-5-メトキシベンゾ[b]チオフェン-6-イル)オキシ)プロポキシ)-5-メトキシベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-4-オキソブチレート(化合物1、80.0mg、116.6μmol)をエタノール(10mL)および水(5mL)に溶解した。水酸化ナトリウム(23mg、583.26μmol)を添加した。混合物を80℃まで昇温した後、3時間反応させた。室温まで冷却した後、反応溶液を水(50mL)に注いだ。得られた混合物を希塩酸でpH=2に調整し、酢酸エチル(15mL)で3回抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、濃縮物を調製用高速液体クロマトグラフィーによって精製し、表題化合物を得た(55mg、収率:75.1%)。
【0201】
MS m/z(ESI):630.1[M+H]+.
1H-NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ:12.26(s,2H),8.20(s,1H),7.66-7.61(m,3H),7.49(s,1H),7.42(s,1H),4.27-4.21(m,4H),3.84(s,3H),3.82(s,3H),3.71(s,2H),3.27-3.24(m,2H),3.17(s,3H),2.61-2.58(m,4H),2.29-2.26(m,2H).
【0202】
実施例3:エチル4-(6-(3-((2-((3-エトキシ-3-オキソプロピル)(メチル)カルバモイル)-6-メトキシベンゾ[b]チオフェン-5-イル)オキシ)プロポキシ)-5-メトキシベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-4-オキソブチレート(化合物3)の調製
【化19】
出発物質エチル3-(N-メチル-6-ヒドロキシ-5-メトキシベンゾ[b]チオフェン-2-ホルムアミド)プロピオネート(中間体E)をエチル3-(N-メチル-5-ヒドロキシ-6-メトキシベンゾ[b]チオフェン-2-ホルムアミド)プロピオネート(中間体F)に置き換えた以外は、実施例1の合成経路を使用して表題化合物を得た(67mg、収率:60.4%)。
【0203】
MS m/z(ESI):686.2[M+H]+.
1H-NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ:8.21(s,1H),7.67-7.62(m,2H),7.57-7.55(m,1H),7.49-7.42(m,2H),4.26-4.03(m,8H),3.85-3.82(m,6H),3.77-3.74(m,2H),3.33(s,3H),3.31-3.29(m,2H),2.68-2.65(m,4H),2.30-2.23(m,2H),1.28-1.20(m,6H).
【0204】
実施例4:4-(6-(3-((2-((2-カルボキシエチル)(メチル)カルバモイル)-6-メトキシベンゾ[b]チオフェン-5-イル)オキシ)プロポキシ)-5-メトキシベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-4-オキソブタン酸(化合物4)の調製
【化20】
出発物質エチル4-(6-(3-((2-((3-エトキシ-3-オキソプロピル)(メチル)カルバモイル)-5-メトキシベンゾ[b]チオフェン-6-イル)オキシ)プロポキシ)-5-メトキシベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-4-オキソブチレート(化合物1)をエチル4-(6-(3-((2-((3-エトキシ-3-オキソプロピル)(メチル)カルバモイル)-6-メトキシベンゾ[b]チオフェン-5-イル)オキシ)プロポキシ)-5-メトキシベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-4-オキソブチレート(化合物3)に置き換えた以外は、実施例2の合成経路を使用して表題化合物を得た(29mg、収率:68.3%)。
【0205】
MS m/z(ESI):630.1[M+H]+.
1H-NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ:12.29(s,2H),8.20(s,1H),7.66(s,1H),7.62(s,1H),7.56(s,1H),7.49-7.47(m,2H),4.28-4.25(m,2H),4.21-4.18(m,2H),3.84(s,6H),3.70-3.65(m,2H),3.27-3.24(m,2H),3.18(s,3H),2.61-2.58(m,4H),2.33-2.26(m,2H).
【0206】
実施例5:エチル4-(5-(3-((2-((3-エトキシ-3-オキソプロピル)(メチル)カルバモイル)-5-メトキシベンゾ[b]チオフェン-6-イル)オキシ)プロポキシ)-6-メトキシベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-4-オキソブチレート(化合物5)の調製
【化21】
出発物質エチル4-(6-(3-ヒドロキシプロポキシ)-5-メトキシベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-4-オキソブチレート(中間体C)をエチル4-(5-(3-ヒドロキシプロポキシ)-6-メトキシベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-4-オキソブチレート(中間体D)に置き換えた以外は、実施例1の合成経路を使用して表題化合物を得た(56mg、収率:59.3%)。
【0207】
MS m/z(ESI):686.2[M+H]+.
1H-NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ:8.21-8.15(m,1H),7.66-7.65(m,1H),7.62-7.60(m,2H),7.56-7.48(m,1H),7.42(s,1H),4.27-4.20(m,4H),4.09-4.03(m,4H),3.86-3.82(m,6H),3.77-3.74(m,2H),3.30-3.26(m,2H),3.33(s,3H),2.68-2.65(m,4H),2.30-2.27(m,2H),1.24-1.10(m,6H).
【0208】
実施例6:4-(5-(3-((2-((2-カルボキシエチル)(メチル)カルバモイル)-5-メトキシベンゾ[b]チオフェン-6-イル)オキシ)プロポキシ)-6-メトキシベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-4-オキソブタン酸(化合物6)の調製
【化22】
出発物質エチル4-(6-(3-((2-((3-エトキシ-3-オキソプロピル)(メチル)カルバモイル)-5-メトキシベンゾ[b]チオフェン-6-イル)オキシ)プロポキシ)-5-メトキシベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-4-オキソブチレート(化合物1)をエチル4-(5-(3-((2-((3-エトキシ-3-オキソプロピル)(メチル)カルバモイル)-5-メトキシベンゾ[b]チオフェン-6-イル)オキシ)プロポキシ)-6-メトキシベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-4-オキソブチレート(化合物5)に置き換えた以外は、実施例2の合成経路を使用して表題化合物を得た(26mg、収率:66.7%)。
【0209】
MS m/z(ESI):630.1[M+H]+.
1H-NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ:12.28(s,2H),8.20-8.14(m,1H),7.66-7.60(m,3H),7.56-7.48(m,1H),7.42(s,1H),4.27-4.17(m,4H),3.92-3.80(m,6H),3.71(s,2H),3.27-3.24(m,2H),3.18(s,3H),2.62-2.59(m,4H),2.30-2.27(m,2H).
【0210】
実施例7:4-(5-(3-((2-((2-カルボキシエチル)(メチル)カルバモイル)-6-メトキシベンゾ[b]チオフェン-5-イル)オキシ)プロポキシ)-6-メトキシベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-4-オキソブタン酸(化合物8)の調製
【化23】
【0211】
工程1:エチル4-(5-(3-((2-((3-エトキシ-3-オキソプロピル)(メチル)カルバモイル)-6-メトキシベンゾ[b]チオフェン-5-イル)オキシ)プロポキシ)-6-メトキシベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-4-オキソブチレートの調製
出発物質エチル4-(6-(3-ヒドロキシプロポキシ)-5-メトキシベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-4-オキソブチレート(中間体C)をエチル4-(5-(3-ヒドロキシプロポキシ)-6-メトキシベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-4-オキソブチレート(中間体D)に置き換え、出発物質エチル3-(N-メチル-6-ヒドロキシ-5-メトキシベンゾ[b]チオフェン-2-ホルムアミド)プロピオネート(中間体E)をエチル3-(N-メチル-5-ヒドロキシ-6-メトキシベンゾ[b]チオフェン-2-ホルムアミド)プロピオネート(中間体F)に置き換えた以外は実施例1の合成経路を使用して表題化合物を得た(43mg、収率:63.6%)。
【0212】
MS m/z(ESI):686.2[M+H]+.
【0213】
工程2:4-(5-(3-((2-((2-カルボキシエチル)(メチル)カルバモイル)-6-メトキシベンゾ[b]チオフェン-5-イル)オキシ)プロポキシ)-6-メトキシベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-4-オキソブタン酸(化合物8)の調製
出発物質エチル4-(6-(3-((2-((3-エトキシ-3-オキソプロピル)(メチル)カルバモイル)-5-メトキシベンゾ[b]チオフェン-6-イル)オキシ)プロポキシ)-5-メトキシベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-4-オキソブチレート(化合物1)をエチル4-(5-(3-((2-((3-エトキシ-3-オキソプロピル)(メチル)カルバモイル)-6-メトキシベンゾ[b]チオフェン-5-イル)オキシ)プロポキシ)-6-メトキシベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-4-オキソブチレートに置き換えた以外は、実施例2の合成経路を使用して表題化合物を得た(26mg、収率:67.2%)。
【0214】
MS m/z(ESI):630.1[M+H]+.
1H-NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ:12.26(s,2H),8.17(s,1H),7.66-7.60(m,2H),7.56-7.54(m,2H),7.49-7.47(m,1H),4.26-4.20(m,4H),3.86-3.84(m,6H),3.73-3.69(m,2H),3.27-3.24(m,2H),3.19(s,3H),2.61-2.58(m,4H),2.30-2.27(m,2H).
【0215】
実施例8:エチル4-(6-メトキシ-5-(3-((6-メトキシ-2-((3-メトキシプロピル)(メチル)カルバモイル)ベンゾ[b]チオフェン-5-イル)オキシ)プロポキシ)ベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-4-オキソブチレート(化合物23)の調製
【化24】
【0216】
工程1:5,6-ジメトキシ-N-(3-メトキシプロピル)-N-メチルベンゾ[b]チオフェン-2-ホルムアミドの調製
出発物質エチル3-(メチルアミノ)プロピオネートを3-メトキシ-N-メチル-1-プロピルアミンに置き換えた以外は、中間体調製例4の工程1の合成方法を用いて表題化合物を得た(823mg、収率:72.6%)。
【0217】
MS m/z(ESI):324.1[M+H]+.
【0218】
工程2:5-ヒドロキシ-6-メトキシ-N-(3-メトキシプロピル)-N-メチルベンゾ[b]チオフェン-2-ホルムアミドの調製
出発物質エチル3-(N-メチル-5,6-ジメトキシベンゾ[b]チオフェン-2-ホルムアミド)プロピオネートを5,6-ジメトキシ-N-(3-メトキシプロピル)-N-メチルベンゾ[b]チオフェン-2-ホルムアミドに置き換えた以外は、中間体調製例4の工程2の合成方法を用いて表題化合物を得た(126mg、収率:37.5%)。
【0219】
MS m/z(ESI):310.1[M+H]+.
【0220】
工程3:エチル4-(6-メトキシ-5-(3-((6-メトキシ-2-((3-メトキシプロピル)(メチル)カルバモイル)ベンゾ[b]チオフェン-5-イル)オキシ)プロポキシ)ベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-4-オキソブチレート(化合物23)の調製
出発物質エチル4-(6-(3-ヒドロキシプロポキシ)-5-メトキシベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-4-オキソブチレート(中間体C)をエチル4-(5-(3-ヒドロキシプロポキシ)-6-メトキシベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-4-オキソブチレート(中間体D)に置き換え、出発物質エチル3-(N-メチル-6-ヒドロキシ-5-メトキシベンゾ[b]チオフェン-2-ホルムアミド)プロピオネート(中間体E)を5-ヒドロキシ-6-メトキシ-N-(3-メトキシプロピル)-N-メチルベンゾ[b]チオフェン-2-ホルムアミドに置き換えた以外は実施例1の合成経路を使用して表題化合物を得た(39mg、収率:58.3%)。
【0221】
MS m/z(ESI):658.2[M+H]+.
1H-NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ:8.18(s,1H),7.62-7.61(m,2H),7.56-7.53(m,2H),7.47(s,1H),4.24-4.16(m,4H),4.08-4.03(m,2H),3.87-3.82(m,6H),3.55-3.51(m,4H),3.33(s,3H),2.68-2.65(m,5H),2.30-2.27(m,2H),2.02-1.97(m,2H),1.19-1.16(m,3H).
【0222】
生物学的アッセイ
以下の実験例で使用される対照化合物1、ADU-S 100(1638750-96-5)はMCEから購入し、対照化合物2、
【化25】
は従来技術の方法に従って合成した。
【0223】
実験例1.THP1-Blue(商標)ISG細胞におけるSTING介在性インターフェロン(IFN)シグナルレポーター遺伝子に対する化合物のアゴニスト作用
この実験では、IFN調節因子(インターフェロン調節因子)によって調節されるSEAP(分泌型胚性アルカリホスファターゼ)レポーター遺伝子の活性をTHP 1-Blue(商標)ISG細胞(InvivoGen)において検出して、細胞レベルでのSTING介在性IFNシグナル経路に対する試験対象化合物のアゴニスト作用を評価した。
【0224】
対数増殖期のTHP1-Blue(商標)ISG細胞(InvivoGen)を遠心分離し、2×106細胞/mLの密度になるように細胞培養液に再懸濁した。細胞懸濁液を96ウェル細胞培養プレート(Corning)に50μL/ウェルになるように接種した。被検化合物の母液を細胞培養液で勾配希釈し、2倍作業濃度希釈溶液(対照化合物1および2を3倍勾配で希釈した:200、66.67、22.22、7.41、2.47、0.82、0.27および0μM、化合物1、2、4、6、8および23を8倍の勾配で希釈した:60、7.5、0.94、0.12、0.015、0.0018、0.00023および0μM、化合物3および5を10倍の勾配で希釈した:10、1、0.1、0.01、0.001、0.0001、0.00001および0μM)を得た。化合物の2倍作業濃度希釈溶液を96ウェルプレート(2% DMSOを含む培養液50μlを陰性対照用ウェルに添加)に50μL/ウェル加えた。次いで、培養プレートを細胞インキュベーターに入れ、16時間インキュベートした。細胞をインキュベートした後、10μLの細胞培養上清を96ウェルプレートに移し、QUANTI-Blue(InvivoGen)溶液を90μL/ウェル添加した。細胞を37℃で3時間インキュベートした。620nmでの吸光度(OD620nm)をマイクロプレートリーダーで読み取った。EC50をGraphpad Prismソフトウェアによるフィッティングによって計算し、実験結果を表1に示す。
【0225】
表1.STING介在性インターフェロン(IFN)シグナルレポーター遺伝子に対する試験化合物のアゴニスト作用
【表2】
表中、EC
50は、化合物の刺激によって生成されたOD
620nm値がE
maxの半分に達したときの化合物の濃度を指す。E
maxは、化合物の刺激によって生成されたOD
620nmの最大値を指す。
【0226】
結果は、化合物1、2、3、4、5、6、8および23が、THP1-Blue(商標)ISG細胞におけるSTING介在性インターフェロン(IFN)シグナル伝達経路に対して強いアゴニスト作用を有することを示した。
【0227】
実験例2.ヒトTHP-1細胞におけるSTINGシグナル伝達経路タンパク質のリン酸化に対する化合物のアゴニスト作用
この実験では、STINGならびにその下流タンパク質TBK1(TANK結合キナーゼ1)およびIRF 3(インターフェロン調節因子3)のリン酸化レベルの変化をタンパク質ブロッティングによって検出して、細胞レベルでのSTINGシグナル伝達経路に対する試験化合物のアゴニスト作用を評価した。
【0228】
対数増殖期のTHP-1細胞を遠心分離し、細胞培養液に4×10
6細胞/mLの密度になるように再懸濁した。細胞懸濁液を12ウェル細胞培養プレート(Corning)に0.5mL/ウェルになるように接種した。被検化合物を細胞培養液で希釈して、2倍濃度の作業溶液(対照化合物1および2:60μM、化合物1および3:0.6μM、6μM、および60μM、化合物2、4、6および8:6μM、20μMおよび60μM)にした。0.5mLの化合物の希釈液を12ウェルプレートに添加し(2% DMSOを含む培養液500μlを陰性対照用ウェルに添加)、細胞インキュベーター内で3時間インキュベートした。インキュベートした後、遠心分離により細胞を回収し、60μLの細胞溶解緩衝液(CST)で30分間溶解し、12,000rpmで15分間遠心分離した。上清を回収してタンパク質濃度を測定した後、適量の5倍濃度のタンパク質ローディング緩衝液を加えた。95℃で10分間加熱し、タンパク質電気泳動試料を調製した。最後に、タンパク質ブロッティングを行って、対応するタンパク質のリン酸化レベルを検出した。実験結果を
図1~
図5に示す。タンパク質ブロッティングに使用した一次抗体は、STING(D2P2F)ウサギmAb、ホスホ-STING(Ser366)ウサギmAb、ホスホ-IRF3(Ser396)(D601M)ウサギmAb、IRF3(D83B9)ウサギmAb、TBK1/NAK(D1B4)ウサギmAb、ホスホ-TBK1/NAK(Ser172)(D52C2)XP(登録商標)ウサギmAbおよびGAPDH(D16H11)ウサギmAbであり、CSTから購入した、二次抗体西洋ワサビペルオキシダーゼ結合ヤギ抗ウサギIgG(H+L)はZsgb-bioから購入した。
【0229】
図1~
図5に示すように、化合物1、2、3、4、6および8は、THP-1細胞において、STINGならびにその下流タンパク質TBK1およびIRF3のリン酸化レベルに対して強いアゴニスト作用を示す。
【0230】
実験例3.ヒトTHP-1細胞におけるSTINGシグナル伝達経路サイトカインhIFN-βの発現に対する化合物のアゴニスト作用
この実験では、細胞レベルでのSTING経路サイトカインhIFN-βの発現に対する試験対象化合物のアゴニスト効果を評価するために、STINGシグナル伝達経路サイトカインhIFN-βの発現を、ELISA法によってTHP1細胞(Nanjing Cobioer)において検出した。
【0231】
対数増殖期のTHP1細胞(Nanjing Cobioer)を遠心分離し、細胞培養液に8×10
6細胞/mLの密度になるように再懸濁した。細胞懸濁液を24ウェル細胞培養プレート(Corning)に250μL/ウェルになるように接種した。被検化合物の母液を細胞培養液で希釈し、2倍作業濃度希釈液(対照化合物1および2を2倍の勾配で希釈した:200、100、50、25、12.5、6.25、3.125、1.5625および0μM、ならびに化合物4、6および8を3倍勾配で希釈した:200、66.67、22.22、7.41、2.47、0.82、0.27、0.091および0μM)を得た。化合物の2倍作業濃度希釈液を24ウェルプレート(2% DMSOを含む培養250μlを陰性対照用ウェルに添加)に250μL/ウェルになるように添加した。培養プレートを細胞培養インキュベーターに入れ、8時間インキュベートした。細胞をインキュベートした後、上清を300g×5分での遠心分離によって回収し、細胞培養上清中のhIFN-β含有量(pg/ml)を、PBLからのVeriKine Human IFN-βELISAキットの操作説明書に従って検出した(OD
450nm吸光度-hIFN-β標準濃度標準曲線およびマイクロプレートリーダーによって読み取られたOD
450nm吸光度値の変換によって得た)。EC
50を、Graphpad Prismソフトウェアによるlog(アゴニスト)対応答-可変勾配当てはめによって計算し、実験結果を表2に示す。
【表3】
【0232】
表中、EC50は、化合物の刺激によって生じたhIFN-βの発現がEmaxの半分に達したときの化合物の濃度を指す。Emaxは、化合物の刺激によって生じるhIFN-βの最も高い発現を指す。
【0233】
結果は、化合物4、6および8が、ヒトTHP-1細胞におけるSTING経路サイトカインhIFN-βの発現に対して強いアゴニスト作用を有することを示す。
【0234】
実験例4.マウスRaw264.7細胞におけるSTINGシグナル経路タンパク質のリン酸化に対する化合物のアゴニスト作用
この実験では、STINGならびにその下流タンパク質TBK1(TANK結合キナーゼ1)およびIRF 3(インターフェロン調節因子3)のリン酸化レベルの変化をタンパク質ブロッティングによって検出して、細胞レベルでのSTINGシグナル伝達経路に対する試験化合物のアゴニスト作用を評価した。
【0235】
対数増殖期のRaw264.7細胞を遠心分離し、細胞培養液に1.6×10
6細胞/mLの密度になるように再懸濁した。細胞懸濁液を6ウェル細胞培養プレート(Corning)に1mL/ウェルになるように接種した。被検化合物を細胞培養液で希釈して、2倍の作業溶液濃度(対照化合物1および2:60μM、化合物8:0.6μM、6μM、60μM、化合物2、4および6:6μM、20μMおよび60μM)にした。1mLの化合物の希釈溶液を6ウェルプレートに添加した(2% DMSOを含有する培養液1mLを陰性対照ウェルに添加した)。プレートを細胞インキュベーターに入れ、3時間インキュベートした。インキュベートした後、遠心分離により細胞を回収し、60μLの細胞溶解緩衝液(CST)で30分間溶解し、12000rpmで15分間遠心分離した。上清を回収してタンパク質濃度を測定した後、適量の5倍濃度のタンパク質ローディング緩衝液を加えた。95℃で10分間加熱し、タンパク質電気泳動試料を調製した。最後に、タンパク質ブロッティングを行って、対応するタンパク質のリン酸化レベルを検出した。実験結果を
図6~
図7に示す。タンパク質ブロッティングに使用した一次抗体は、STING(D2P2F)ウサギmAb、ホスホ-STING(Ser365)ウサギmAb、ホスホ-IRF3(Ser396)(D601M)ウサギmAb、IRF3(D83B9)ウサギmAb、TBK1/NAK(D1B4)ウサギmAb、ホスホ-TBK1/NAK(Ser172)(D52C2)XP(登録商標)ウサギmAb、GAPDH(D16H11)ウサギmAbであり、CSTから購入した。二次抗体西洋ワサビペルオキシダーゼ結合ヤギ抗ウサギIgG(H+L)はZsgb-bioから購入した。
【0236】
図6~
図7に示すように、化合物2、4、6および8は、Raw264.7細胞において、STINGならびにその下流タンパク質TBK1およびIRF3のリン酸化レベルに対して強いアゴニスト作用を有する。
【0237】
実験例5.マウスRaw264.7細胞におけるSTING経路サイトカインmIFN-βの発現に対する化合物のアゴニスト作用
この実験では、STING経路サイトカインmIFN-βの発現に対する被検化合物のアゴニスト作用を細胞レベルで評価するために、ELISA法によってRaw264.7細胞(Nanjing Cobioer)におけるSTINGシグナル伝達経路サイトカインmIFN-βの発現を検出した。
【0238】
対数増殖期のRaw264.7細胞(Nanjing Cobioer)を遠心分離し、細胞培養液に1.6×10
6細胞/mLの密度になるように再懸濁した。細胞懸濁液を24ウェル細胞培養プレート(Corning)に250μL/ウェルになるように接種した。被検化合物の母液を細胞培養液で傾斜希釈し、2倍作業濃度希釈液(対照化合物1を3倍の勾配で希釈した:200、66.67、22.22、7.41、2.47、0.82、0.27および0μM、対照化合物2を2倍の勾配で希釈した:200、100、50、25、12.5、6.25、3.125および0μM、ならびに化合物4、6および8を4倍の勾配で希釈した:200、50、12.5、3.13、0.78、0.20、0.049および0μM)を得た。化合物の2倍作業濃度希釈液を24ウェルプレート(2% DMSOを含む培養液250μlを陰性対照用ウェルに添加)に250μL/ウェルになるように添加した。次いで、培養プレートを細胞インキュベーターに入れ、6時間インキュベートした。細胞をインキュベートした後、上清を300g×5分での遠心分離によって回収し、細胞培養上清中のmIFN-β含有量(pg/ml)を、PBLからのVeriKine(商標)マウスIFNβELISAキットの操作説明書に従って検出した(OD
450nm吸光度-mIFN-β標準濃度標準曲線およびマイクロプレートリーダーによって読み取られたOD
450nm吸光度値の変換によって得た)。EC
50を、Graphpad Prismソフトウェアによるlog(アゴニスト)対応答-可変勾配当てはめによって計算し、実験結果を表3に示す。
【表4】
【0239】
表中、EC50は、化合物の刺激によって生じたmIFN-βの発現がEmaxの半分に達したときの化合物の濃度を指す。Emaxは、化合物の刺激によって生じたmIFN-βの最も高い発現を指す。
【0240】
結果は、化合物4、6および8が、マウスRaw264.7細胞におけるSTING経路サイトカインmIFN-βの発現に対して強いアゴニスト作用を有することを示す。
【0241】
実験例6.化合物とhSTINGタンパク質との間の結合親和性を検出するアッセイ
この実験では、被検化合物とhSTINGタンパク質との間の結合親和性を評価するために、6×His-hSTINGタンパク質に競合的に結合するためのCisbio製のHuman STING結合キットにおける化合物および特異的リガンド(d2-STING-リガンド)の能力を、Human STING結合キット(HTRF法)を使用して検出した。
【0242】
化合物をHuman STING binding kit(希釈バッファー試薬)中の希釈バッファーで勾配希釈し、4倍作業濃度希釈液を得た。5μlの希釈溶液を384ウェルプレートに添加して、反応系中のDMSOの最終濃度が≦2.5%になるようにした。6倍His-hSTINGタンパク質(母液中50倍)を、Human STING結合キット(検出緩衝試薬)中の検出緩衝液で1倍に希釈した。5μlの希釈溶液を384ウェルプレートの対応するウェルに添加し、タンパク質および化合物を含まないウェルを陰性対照ウェル(分)とし、タンパク質を含むが化合物を含まないウェルを陽性対照ウェル(最大)とした。d2-STING-リガンドおよびTb
3+-抗-6×His-抗体(いずれも母液中50倍)をHuman STING結合キット(検出緩衝試薬)中の検出緩衝液で1倍に希釈し、混合液を1:1の割合で均一に混合した。10μlの混合溶液を、384ウェルプレートの対応するウェルに添加した。プレートを密封し、室温(25℃)で3時間インキュベートした。BMGマイクロプレートリーダーを使用してHTRFを読み取り、以下の式に従って比を計算した:比=シグナル
665nm/シグナル
620nm×10000 化合物の阻害率を以下の式に従って計算した:IR(%)=(R
max-R
t)/(R
max-R
min)*100%、(式中、R
maxは陽性対照ウェルのHTRF読み取り比であり、R
minは陰性対照ウェルのHTRF読み取り比であり、R
tは対応する化合物処理ウェルのHTRF読み取り比である)。IC
50は、Graphpad Prismソフトウェアによるlog(阻害剤)対応答-可変勾配当てはめによって計算した。K
iは、ヒトSTING結合キットの説明書に提供されたパラメータ式(K
i=1/2*IC
50)に従って計算した。実験結果を表4に示す。
【表5】
【0243】
結果は、化合物4、6および8がhSTINGタンパク質に対して強い結合親和性を有することを示す。
【0244】
実験例7:MC38マウス結腸癌同種移植腫瘍モデルにおける化合物のインビボ有効性
この実験例では、各試験化合物の有効性を試験するために、化合物6または化合物8の腫瘍内注射(i.t.)後に、MC38マウス結腸癌移植腫瘍モデルの腫瘍体積および腫瘍重量の変化を測定し、記録した。
【0245】
1.実験細胞株および実験動物
実験細胞株:マウス結腸癌MC38細胞(Nanjing Cobioer)を37℃、5% CO2インキュベーター(培地:10%ウシ胎児血清(Gibco)含有RPMI-1640(Hyclone))で培養した。日常的な消化および継代のためにトリプシン-EDTA(Hyclone)を使用した。細胞が80%~90%の飽和を有する指数期にあるときに、細胞を回収して計数した。
【0246】
実験動物:C57BL/6Jマウス、6~8週齢、オス、体重18~20グラム。全てのマウスをBeijing Vital River Laboratory Animal Technology Co.,Ltd.から購入し、特定の病原体を含まない(SPF)動物室で飼育した。
【0247】
2.腫瘍細胞の播種およびグループ分け
MC38細胞を、5×106細胞/mLの密度になるようにリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に再懸濁した。0.1mLのPBS(5×105個のMC38細胞を含む)を各マウスの左右背部の肩甲骨の位置に皮下接種した。左右の腫瘍の平均体積が約100mm3に達したとき、マウスを左右の腫瘍の体積に従ってランダムにグループ分けした。
【0248】
3.実験方法
皮下移植した腫瘍の平均体積が約100mm3に達したとき、マウスを左右の腫瘍の体積に従って、各グループ8匹になるように無作為にグループ分けした 右側の腫瘍には週2回の投与頻度で合計2週間腫瘍内注射により投与し、左側の腫瘍には投与しなかった。具体的な投薬レジメンを表5に示す。投与後、左右の腫瘍体積を週2回測定し、動物が死亡しているかを毎日観察した。
【0249】
4.実験指標および統計分析
試験化合物の抗腫瘍効果を腫瘍体積阻害率TGI体積(%)によって評価した。腫瘍体積をノギスで測定した。腫瘍体積は、式:V=0.5×a×b2に従って計算した。式中、「a」および「b」はそれぞれ腫瘍の長径および短径を表す。腫瘍体積阻害率TGI体積(%)=[(1-(投与群への投与終了時の平均腫瘍体積-投与群への投与開始時の平均腫瘍体積)/(溶媒対照群への投与終了時の平均腫瘍体積-溶媒対照群への投与開始時の平均腫瘍体積)]×100%。投与終了時の腫瘍体積が投与開始時の腫瘍体積よりも小さい場合(すなわち、腫瘍退縮)、TGI体積(%)=[1-(投与群への投与終了時の平均腫瘍体積-投与群への投与開始時の平均腫瘍体積)/投与群への投与開始時の平均腫瘍体積]×100%。
【0250】
Graphpad Prismソフトウェアを使用して、実験終了時の腫瘍体積に基づいて統計分析を行った。2つのグループ間の比較をスチューデントのt検定によって分析した。P<0.05の場合、有意差ありとした。
【表6】
【0251】
5.試験結果
投与2週間後、各投与群の動物の体重は増加し、死亡した動物はいなかった。マウスにおける腫瘍体積および腫瘍阻害効果の試験結果については表6を参照されたい。
【0252】
実験結果は、化合物6を10μgの単位用量(i.t.週2回投与×2)で腫瘍内注射した場合、モデルの投与側の腫瘍に対して有意な腫瘍阻害効果を示し(投与後18日目のTGIは106.24%(P=0.0007))、非投与側の腫瘍に対しても腫瘍阻害効果を有する(TGIは51.09%(P=0.055))ことを示した。化合物8を10μgの単位用量(i.t.週2回投与×2)で腫瘍内注射した場合、モデルの投与側および非投与側の両方で腫瘍に対して有意な腫瘍阻害効果を示した。投与後18日目において、投与側のTGIは200.00%(P=0.0006)であり、非投与側のTGIは58.09%(P=0.025)であった。
【表7】
【0253】
注釈:
a.腫瘍体積(mm3)=平均±標準誤差(SEM)、n=8。
b.腫瘍体積阻害率TGI体積(%)=[(1-(投与群への投与終了時の平均腫瘍体積-投与群への投与開始時の平均腫瘍体積)/(溶媒対照群への投与終了時の平均腫瘍体積-溶媒対照群への投与開始時の平均腫瘍体積)]×100%。腫瘍退縮が起こった場合(すなわち、投与終了時の腫瘍体積が、投与開始時の腫瘍体積よりも小さかった場合)、TGI体積(%)=[1-(投与群への投与終了時の平均腫瘍体積-投与群への投与開始時の平均腫瘍体積)/投与群への投与開始時の平均腫瘍体積]×100%。