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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-01
(45)【発行日】2024-08-09
(54)【発明の名称】面発光レーザ装置
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/183 20060101AFI20240802BHJP
   H01S 5/042 20060101ALI20240802BHJP
   H01S 5/062 20060101ALI20240802BHJP
   H01S 5/42 20060101ALI20240802BHJP
【FI】
H01S5/183
H01S5/042 612
H01S5/042 614
H01S5/062
H01S5/42
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021554866
(86)(22)【出願日】2020-10-20
(86)【国際出願番号】 JP2020039329
(87)【国際公開番号】W WO2021090670
(87)【国際公開日】2021-05-14
【審査請求日】2023-09-19
(31)【優先権主張番号】P 2019201616
(32)【優先日】2019-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020064016
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 修
(72)【発明者】
【氏名】高橋 和彦
(72)【発明者】
【氏名】高橋 義彦
(72)【発明者】
【氏名】徳田 耕太
(72)【発明者】
【氏名】御友 重吾
(72)【発明者】
【氏名】荒木田 孝博
【審査官】大和田 有軌
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/171869(WO,A1)
【文献】特開2018-157065(JP,A)
【文献】特開2019-153719(JP,A)
【文献】特表2016-519436(JP,A)
【文献】特表2012-505541(JP,A)
【文献】特開2010-050412(JP,A)
【文献】特開2005-158922(JP,A)
【文献】特開2004-288674(JP,A)
【文献】特表2004-529487(JP,A)
【文献】特開平06-112587(JP,A)
【文献】国際公開第2019/023401(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0233881(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0214218(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0069166(US,A1)
【文献】米国特許第06570905(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00 - 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性層と、前記活性層を挟み込む第1DBR(distributed Bragg reflector)層および第2DBR層とを含む半導体層によって構成された垂直共振器と、
絶縁膜と、
金属層と、
第1コンタクト層と、
第2コンタクト層と、
第1電極層と、
第2電極層と
を備え、
前記半導体層内には、電流注入領域、および前記電流注入領域の周辺領域に形成された電流狭窄領域を有する電流狭窄層と、前記第1DBR層内または前記第1DBR層に接して設けられた第1コンタクト層と、前記第2DBR層に接して設けられた第2コンタクト層とが設けられ、
前記絶縁膜および前記金属層は、前記垂直共振器のうち、前記半導体層の積層方向において前記電流注入領域と対向する位置であって、かつ前記第2DBR層側に設けられ、前記垂直共振器における前記第2DBR層側の光反射機能を補助し、
前記第1電極層は、前記第1コンタクト層に接して設けられ、
前記第2電極層は、前記第2コンタクト層に接するとともに、前記半導体層の積層方向において前記電流注入領域と非対向の位置に設けられ、
前記半導体層には、前記垂直共振器を含むメサ部が形成され、
前記メサ部のうち、前記半導体層の積層方向における前記第2DBR層側の上面に前記第2コンタクト層が形成され、
前記絶縁膜は、前記メサ部の上面であって、かつ前記第2コンタクト層のうち、前記第2電極層に非接触の部分を覆う第1絶縁膜と、前記メサ部の側面を覆う第2絶縁膜とを有し、
前記第1絶縁膜は、前記光反射機能を補助することの可能な積層体を含み、
前記第2絶縁膜は、前記第1絶縁膜と共通の層構造として前記積層体を含む
面発光レーザ装置。
【請求項2】
前記金属層は、非合金によって構成され、
前記第2電極層、合金を含んで構成されている
請求項1に記載の面発光レーザ装置。
【請求項3】
前記金属層は、前記第2電極層に接している
請求項2に記載の面発光レーザ装置。
【請求項4】
前記第2電極層は、前記半導体層の積層方向において前記電流注入領域と対向する位置に開口を有するリング電極層であり、
前記第1絶縁膜は、前記第2電極層の開口内に形成され、
前記金属層は、前記第2電極層の開口を塞ぐように形成されている
請求項3に記載の面発光レーザ装置。
【請求項5】
前記第2DBR層のペア数は、前記第1DBR層のペア数よりも少なくなっている
請求項1に記載の面発光レーザ装置。
【請求項6】
前記第1電極層は、前記第1コンタクト層のうち、前記半導体層の積層方向において前記メサ部と非対向の位置に接している
請求項1に記載の面発光レーザ装置。
【請求項7】
前記第1DBR層または前記第1コンタクト層のうち、前記活性層側とは反対側に接して設けられ、前記メサ部から発せられる光を透過する半絶縁性の半導体基板を更に備え、
前記第1電極層および前記第2電極層は、前記半導体基板の光出射面とは反対側に配置されている
請求項に記載の面発光レーザ装置。
【請求項8】
前記半導体基板の光出射面とは反対側に、前記メサ部と共通の構造を含む台座部と、
前記台座部上に設けられた第3電極層と、
前記第1電極層と前記第3電極層とを互いに電気的に接続する連結層と
を更に備えた
請求項7に記載の面発光レーザ装置。
【請求項9】
前記連結層は、メッキ層である
請求項8に記載の面発光レーザ装置。
【請求項10】
複数のエミッタ、前記台座部、前記第3電極および前記連結層を有するレーザチップと、
前記レーザチップのうち、前記複数のエミッタ側の面と対向して設けられたドライバICを更に備え、
各前記エミッタは、前記活性層、前記第1DBR層、前記第2DBR層、前記絶縁膜、前記金属層、前記第1コンタクト層、前記第2コンタクト層、前記第1電極層および前記第2電極層を有し、
前記ドライバICは、複数のバンプを介して、各前記エミッタの前記第2電極層、および前記第3電極と電気的に接続され、前記複数のバンプ、各前記エミッタの前記第2電極層、および前記第3電極を介して、各前記エミッタの発光・消光を制御する
請求項8に記載の面発光レーザ装置。
【請求項11】
前記第1DBR層は、p型半導体で構成され、
前記第2DBR層は、n型半導体で構成され、
前記ドライバICは、各前記エミッタの発光・消光を制御するNMOSドライバを含んで構成されている
請求項10に記載の面発光レーザ装置。
【請求項12】
前記メサ部の側面に接するSiN層を更に備えた
請求項に記載の面発光レーザ装置。
【請求項13】
前記メサ部内に、前記第1コンタクト層に接するエッチングストップ層を更に備えた
請求項に記載の面発光レーザ装置。
【請求項14】
前記第2DBR層は、前記活性層寄りの位置に、ドープ量が相対的に低い低ドープ層を有しており、前記低ドープ層と比較して前記活性層から離れた位置に、ドープ量が相対的に高い高ドープ層を有している
請求項に記載の面発光レーザ装置。
【請求項15】
前記第1コンタクト層は、前記第1DBR層内であって、かつ光場強度が相対的に低い箇所に設けられている
請求項1に記載の面発光レーザ装置。
【請求項16】
前記絶縁膜は、SiおよびSiOのペアを2組または3組、積層した積層体を含む
請求項に記載の面発光レーザ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、面発光レーザ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
面発光レーザ装置では、DBR(Diffractive Bragg Reflector)が用いられる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-258380号公報
【発明の概要】
【0004】
ところで、面発光レーザ装置の分野では、駆動時の抵抗の低減が求められている。従って、駆動時の抵抗を低減することの可能な面発光レーザ装置を提供することが望ましい。
【0005】
本開示の一実施の形態に係る面発光レーザ装置は、活性層と、活性層を挟み込む第1DBR層および第2DBR層と、活性層の発光領域と対向する位置に設けられ、活性層から見て第2DBR層側の反射ミラーの終端部に相当する絶縁膜および金属層とを備えている。この面発光レーザ装置は、さらに、第1DBR層内または第1DBR層に接して設けられた第1コンタクト層と、第2DBR層に接して設けられた第2コンタクト層と、第1コンタクト層に接して設けられた第1電極層と、第2コンタクト層に接するとともに、活性層の発光領域と非対向の位置に設けられた第2電極層とを備えている。
【0006】
本開示の一実施の形態に係る面発光レーザ装置では、活性層から見て第2DBR層側の反射ミラーの終端部に、絶縁膜および金属層が設けられている。これにより、第1DBR層、第2DBR層、絶縁膜および金属層により、所定の発振波長でレーザ発振が生じる。このとき、第2DBR層のペア数が第1DBR層のペア数よりも少ない場合であっても、所定の発振波長でのレーザ発振を生じさせることができるので、第2DBR層のペア数を少なくした分だけ、駆動時の抵抗が小さくなる。この面発光レーザ装置では、さらに、第1電極層が、第1DBR層内または第1DBR層に接して設けられた第1コンタクト層に接して設けられており、金属層とは別体の第2電極層が、第2コンタクト層に接して設けられている。これにより、第1電極層が、導電性の半導体基板を介して第1コンタクト層に接している場合と比べて、駆動時の抵抗が小さくなる。また、第2電極層の材料として、接触抵抗の低い合金を用いることができるので、第2電極層の材料として、反射ミラーの材料に適した非合金を用いた場合と比べて、駆動時の抵抗が小さくなる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の一実施の形態に係る面発光レーザ装置の平面構成例を表す図である。
図2図1のA-A線での断面構成例を表す図である。
図3図2のエミッタおよびその周囲の断面構成例を表す図である。
図4】(A)図3のエミッタの上面においてバンプを省略したときの平面構成例を表す図である。(B)図4(A)において金属層を省略したときの平面構成例を表す図である。
図5図3のメサ部を覆う絶縁膜の構成例を表す図である。
図6図3のメサ部を覆う絶縁膜の構成例を表す図である。
図7図3のエミッタの断面構成例を拡大して表す図である。
図8図3のエミッタの断面構成例を拡大して表す図である。
図9図3のエミッタの断面構成例を拡大して表す図である。
図10図3のメサ部を覆う絶縁膜の構成例を表す図である。
図11図3のエミッタの断面構成例を拡大して表す図である。
図12図3のエミッタの断面構成例を拡大して表す図である。
図13図3のエミッタの断面構成例を拡大して表す図である。
図14図1のレーザドライバICをプリント配線基板上に実装したときの平面構成例を表す図である。
図15図14のA-A線での断面構成例を表す図である。
図16図3のレーザチップの製造方法の一例を表す断面図である。
図17図16に続く製造過程の一例を表す断面図である。
図18図17に続く製造過程の一例を表す断面図である。
図19図18に続く製造過程の一例を表す断面図である。
図20図19に続く製造過程の一例を表す断面図である。
図21図20に続く製造過程の一例を表す断面図である。
図22図21に続く製造過程の一例を表す断面図である。
図23図22に続く製造過程の一例を表す断面図である。
図24図23に続く製造過程の一例を表す断面図である。
図25図3のエミッタの上面寄りのDBRの断面構成例を表す図である。
図26図2のエミッタおよびその周囲の断面構成の一変形例を表す図である。
図27図26のメサ部内の各層の光場強度およびエネルギー準位の一例を表す図である。
図28】上記実施の形態およびその変形例に係る面発光レーザ装置の距離測定装置への適用例を表す図である。
図29】車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
図30】距離測定装置の設置位置の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。以下の説明は本開示の一具体例であって、本開示は以下の態様に限定されるものではない。また、本開示は、各図に示す各構成要素の配置や寸法、寸法比などについても、それらに限定されるものではない。なお、説明は、以下の順序で行う。

1.実施の形態
GaAs基板とDBR層との間にコンタクト層を設けた例
2.変形例
DBR層内にコンタクト層を設けた例
3.適用例
面発光レーザ装置を距離測定装置に適用した例
4.応用例
距離測定装置を移動体に搭載した例
【0009】
<1.実施の形態>
[構成]
本開示の一実施の形態に係る面発光レーザ装置1について説明する。図1は、面発光レーザ装置1の上面構成例を表したものである。図2は、図1の面発光レーザ装置1のA-A線での断面構成例を表したものである。
【0010】
面発光レーザ装置1は、薄型で低消費電力が要求される用途や、薄型で大面積が要求される用途などに好適に適用可能な裏面出射型のレーザである。面発光レーザ装置1は、レーザチップ10と、レーザドライバIC20とを備えている。本実施の形態では、レーザチップ10は、レーザドライバIC20上に配置されている。レーザチップ10は、例えば、複数のバンプ14を介して、レーザドライバIC20と電気的に接続されている。
【0011】
レーザチップ10は、例えば、基板13と、基板13の、レーザドライバIC20側の面に形成されたエミッタアレイ11と、基板13の、レーザドライバIC20側の面に形成された複数のバンプ14と、基板13の、レーザドライバIC20とは反対側の面(光出射面)に形成されたAR(Anti-reflection)層13Aとを有している。エミッタアレイ11は、基板13の光出射面とは反対側に配置されている。AR層13Aは、例えば、SiO2およびSiNを積層させた積層体で構成されている。
【0012】
エミッタアレイ11は、例えば、図1図2に示したように、同一の基板13上に配置された複数のエミッタ12によって構成されている。複数のエミッタ12は、例えば、基板13上に行方向に等間隔で配置されるとともに、列方向にも等間隔で配置されている。なお、複数のエミッタ12は、同一の基板13上にランダムに配置されていてもよい。各エミッタ12は、積層方向にレーザ光を出射する面発光型の半導体レーザによって構成されている。本実施の形態では、各エミッタ12は、基板13およびAR層13Aを介して、レーザドライバIC20とは反対側にレーザ光を出射する。基板13は、例えば、エミッタ12から発せられる光を透過する半絶縁性の半導体基板(例えば、Si-GaAs基板)によって構成されている。
【0013】
各エミッタ12は、例えば、図3に示したように、エッチングストップ層12B、DBR層12C、スペーサ層12D、活性層12E、スペーサ層12F、DBR層12Gおよびコンタクト層12Hを、基板13側から順に積層してなる柱状の垂直共振器構造(メサ部12x)を有している。各メサ部12xの直径(メサ径)は、各メサ部12xから出射されるレーザ光のビームピッチよりも若干小さな大きさとなっている。例えば、ビームピッチを18μm程度にしようとした場合、各メサ部12xの直径(メサ径)は14μm程度となっている。各メサ部12xにおいて、DBR層12C,12Gは、活性層12Eを挟み込んでいる。各エミッタ12は、エッチングストップ層12Bに接するコンタクト層12Aを有している。コンタクト層12Aは、各メサ部12x(具体的には後述のDBR層12C)と、後述の電極層17とを互いにオーミック接触させるための層である。コンタクト層12Aは、各メサ部12xと、基板13との間に設けられており、各メサ部12xおよび基板13に接している。基板13は、コンタクト層12Aのうち、活性層12Eとは反対側に接して設けられている。コンタクト層12Aは、本開示の「第1コンタクト層」の一具体例に相当する。コンタクト層12Hは、本開示の「第2コンタクト層」の一具体例に相当する。
【0014】
各エミッタ12において、コンタクト層12Aは共有されている。つまり、複数のメサ部12xは、同一のコンタクト層12A上に配置されており、レーザチップ10において、各メサ部12xは、レーザドライバIC20側に突出している。各メサ部12xにおいて、コンタクト層12HがレーザドライバIC20側の端面となっている。以下では、メサ部12xの、レーザドライバIC20側の端面を、便宜的に、メサ部12xの上面と称する場合がある。各エミッタ12において、DBR層12G内には、電流狭窄層12Iが設けられている。なお、図3は、図2に記載のレーザチップ10のうち、破線で囲まれた箇所の断面構成例を表したものである。本実施の形態では、各メサ部12xは、例えば、基板13を、結晶成長基板として形成されたものである。
【0015】
各メサ部12xコンタクト層12Aは、例えば、GaAs系半導体によって構成されている。コンタクト層12Aは、例えばp型Alx1Ga1-x1As(0≦x1<1)からなる。エッチングストップ層12Bは、例えばp型Inx2Ga1-x2P(0<x2<1)からなる。DBR層12Cは、低屈折率層(図示せず)および高屈折率層(図示せず)を交互に積層して構成されたものである。DBR層12Cにおいて、低屈折率層は例えば光学厚さがλ×1/4(λ1は発振波長)のp型Alx3Ga1-x3As(0<x3<1)からなり、高屈折率層は例えば光学厚さがλ×1/4のp型Alx4Ga1-x4As(0≦x4<x3)からなる。スペーサ層12Dは、例えばp型Alx5Ga1-x5As(0≦x5<1)からなる。コンタクト層12A、エッチングストップ層12B、DBR層12Cおよびスペーサ層12Dには、例えばカーボン(C)などのp型不純物が含まれている。つまり、コンタクト層12A、エッチングストップ層12B、DBR層12Cおよびスペーサ層12Dは、p型半導体で構成されている。
【0016】
活性層12Eは、例えば、アンドープのInx6Ga1-x6As(0<x6<1)からなる井戸層(図示せず)およびアンドープのInx7Ga1-x7As(0<x7<x6)からなる障壁層(図示せず)を交互に積層してなる多重量子井戸構造となっている。なお、活性層12Eのうち電流注入領域12I-1(後述)との対向領域が発光領域となる。
【0017】
スペーサ層12Fは、例えばn型Alx8Ga1-x8As(0≦x8<1)からなる。DBR層12Gは、低屈折率層(図示せず)および高屈折率層(図示せず)を交互に積層して構成されたものである。DBR層12Gにおいて、低屈折率層は例えば光学厚さがλ×1/4のn型Alx9Ga1-x9As(0<x9<1)からなり、高屈折率層は例えば光学厚さがλ×1/4のn型Alx10Ga1-x10As(0≦x10<x9)からなる。コンタクト層12Hは、DBR層12Gと、リング電極層12Kとを互いにオーミック接触させるための層である。コンタクト層12Hは、例えばn型Alx11Ga1-x11As(0≦x11<1)からなる。スペーサ層12F、DBR層12Gおよびコンタクト層12Hには、例えばケイ素(Si)などのn型不純物が含まれている。つまり、スペーサ層12F、DBR層12Gおよびコンタクト層12Hは、n型半導体で構成されている。
【0018】
DBR層12Gにおける低屈折率層および高屈折率層のペア数は、例えば、DBR層12Cにおける低屈折率層および高屈折率層のペア数よりも少なくなっている。DBR層12Gのペア数は、後述の絶縁膜15aおよび金属層12Lが設けられていないときにDBR層として必要となるペア数の半分以下の数となっている。これは、絶縁膜15aおよび金属層12Lが、DBR層12Gの光反射機能を補助しているからであり、絶縁膜15aおよび金属層12Lによる光反射の能力の分だけ、DBR層12Gにおける低屈折率層および高屈折率層のペア数を少なくすることができるからである。
【0019】
電流狭窄層12Iは、電流注入領域12I-1および電流狭窄領域12I-2を有する。電流狭窄領域12I-2は、電流注入領域12I-1の周辺領域に形成されている。電流注入領域12I-1は、例えばp型Alx12Ga1-x12As(0<x12≦1)からなる。電流狭窄領域12I-2は、例えば、Al23(酸化アルミニウム)を含んで構成されており、例えば、被酸化層12M(後述)に含まれる高濃度のAlを、側面から酸化することにより得られる。従って、電流狭窄層12Iは電流を狭窄する機能を有している。
【0020】
各エミッタ12は、さらに、例えば、図3図4(B)に示したように、コンタクト層12Hに接するリング電極層12Kを有している。つまり、リング電極層12Kは、基板13の光出射面とは反対側に配置されており、メサ部12xの上面に接して形成されている。リング電極層12Kは、本開示の「第2電極層」の一具体例に相当する。リング電極層12Kは、活性層12Eの発光領域(または電流注入領域12I-1)と非対向の位置に形成されており、活性層12Eの発光領域(または電流注入領域12I-1)と対向する位置に開口を有するリング形状の電極である。リング電極層12Kは、コンタクト層12Hのうち、活性層12Eの発光領域(または電流注入領域12I-1)と非対向の部分に接している。従って、リング電極層12Kは、コンタクト層12Hを介してDBR層12Gと電気的に接続されている。リング電極層12Kは、合金を含んで構成されている。リング電極層12Kは、例えば、コンタクト層12Hに接する合金を含んで構成されおり、例えば、AuGe、Ni、Auをコンタクト層12H側から順に積層して構成された積層体となっている。
【0021】
各エミッタ12は、さらに、例えば、図3図4(A)に示したように、リング電極層12Kに接する金属層12Lを有している。金属層12Lは、本開示の「金属層」の一具体例に相当する。金属層12Lは、リング電極層12Kの開口を塞ぐように形成されており、金属層12Lの外縁部分(電流注入領域12I-1と非対向の部分)が、リング電極層12Kに接している。従って、金属層12Lは、リング電極層12Kおよびコンタクト層12Hを介してDBR層12Gと電気的に接続されている。金属層12Lは、バンプ14にも接しており、バンプ14を介してレーザドライバIC20と電気的に接続されている。金属層12Lは、例えば、レーザドライバIC20内のNMOSと電気的に接続されている。金属層12Lは、非合金によって構成されており、例えば、Ti、Pt、Auをリング電極層12K側から順に積層して構成された積層体となっている。バンプ14は、例えば、Auによって構成されている。
【0022】
金属層12Lは、メサ部12xの上面(コンタクト層12H)には直接、接していない。金属層12Lの中央部分(電流注入領域12I-1と対向する部分)は、後述の絶縁膜15aを介して、メサ部12xの上面(コンタクト層12H)に積層されている。金属層12Lの中央部分、および絶縁膜15aは、活性層12Eの発光領域(または電流注入領域12I-1)と対向する位置に設けられており、活性層12Eから見てDBR層12G側の反射ミラーの終端部に相当する。絶縁膜15aのうち、メサ部12xの上面(コンタクト層12H)に接する部分が、本開示の「絶縁膜」の一具体例に相当する。
【0023】
各エミッタ12は、さらに、例えば、図3に示したように、コンタクト層12Aに接する電極層17を有している。電極層17は、本開示の「第1電極層」の一具体例に相当する。電極層17は、基板13の光出射面とは反対側に配置されており、コンタクト層12Aのうち、メサ部12xと非対向の位置に接している。電極層17は、例えば、コンタクト層12Aのうち、メサ部12xのすそ野に相当する箇所に接している。従って、電極層17は、コンタクト層12Aを介してDBR層12Cと電気的に接続されている。電極層17は、非合金によって構成されており、例えば、Ti、Pt、Auをコンタクト層12A側から順に積層して構成された積層体となっている。
【0024】
各エミッタ12は、さらに、例えば、図3に示したように、メサ部12xを保護する絶縁膜15a,15bを有している。絶縁膜15aは、メサ部12xの側面を覆っており、メサ部12xのうちリング電極層12K(図4(B))と対向する部分に開口を有している。絶縁膜15aは、さらに、メサ部12xのうちリング電極層12Kの開口内に露出する部分(図4(B)の露出部分12H1)を覆っており、後述の電極層18の台座を構成する部分(台座部16)も覆っている。
【0025】
絶縁膜15aは、例えば、図5の実施例1に示したように、メサ部12xの側面側から、SiO2、Si、SiO2の順に積層された積層体で構成されている。なお、絶縁膜15aは、例えば、図5の実施例1に示したように、メサ部12xの側面側から、SiN、Si、SiO2の順に積層された積層体で構成されていてもよい。SiNは、外部からの水分の侵入の抑制に役立つ。このとき、絶縁膜15aに含まれるSiN(SiN層)は、メサ部12xの側面に接している。絶縁膜15aは、さらに、例えば、図5の実施例1に示したように、メサ部12xの上面側から、SiO2、Si、SiO2の順に積層された積層体で構成されている。なお、絶縁膜15aは、例えば、図5の実施例1に示したように、メサ部12xの上面側から、SiN、Si、SiO2の順に積層された積層体で構成されていてもよい。絶縁膜15aは、例えば、メサ部12xの側面および上面において、互いに同じ層構成となっている。
【0026】
絶縁膜15aは、例えば、図5の実施例2に示したように、メサ部12xの側面側から、SiO2、Si、SiO2、Si、SiO2の順に積層された積層体で構成されていてもよい。絶縁膜15aは、例えば、図5の実施例2に示したように、メサ部12xの側面側から、SiN、Si、SiO2、Si、SiO2の順に積層された積層体で構成されていてもよい。このとき、絶縁膜15aに含まれるSiN(SiN層)は、メサ部12xの側面に接している。絶縁膜15aは、さらに、例えば、図5の実施例2に示したように、メサ部12xの上面側から、SiO2、Si、SiO2、Si、SiO2の順に積層された積層体で構成されていてもよい。絶縁膜15aは、例えば、図5の実施例2に示したように、メサ部12xの上面側から、SiN、Si、SiO2、Si、SiO2の順に積層された積層体で構成されていてもよい。絶縁膜15aは、例えば、メサ部12xの側面および上面において、互いに同じ層構成となっている。このように、メサ部12xの上面において、SiおよびSiO2のペアを2組積層することにより、絶縁膜15aが反射ミラーの役割を担うことが可能となり、DBR12Gに含まれる、高屈折率層および低屈折率層のペア数を実施例1と比べて2分の1程度(例えば9ペア)にすることが可能となる。
【0027】
絶縁膜15aは、例えば、図5の実施例3に示したように、メサ部12xの側面側から、SiO2、Si、SiO2、Si、SiO2、Si、SiO2の順に積層された積層体で構成されていてもよい。絶縁膜15aは、例えば、図5の実施例3に示したように、メサ部12xの側面側から、SiN、Si、SiO2、Si、SiO2、Si、SiO2の順に積層された積層体で構成されていてもよい。このとき、絶縁膜15aに含まれるSiN(SiN層)は、メサ部12xの側面に接している。絶縁膜15aは、さらに、例えば、図5の実施例3に示したように、メサ部12xの上面側から、SiO2、Si、SiO2、Si、SiO2、Si、SiO2の順に積層された積層体で構成されていてもよい。絶縁膜15aは、例えば、図5の実施例3に示したように、メサ部12xの上面側から、SiN、Si、SiO2、Si、SiO2、Si、SiO2の順に積層された積層体で構成されていてもよい。絶縁膜15aは、例えば、メサ部12xの側面および上面において、互いに同じ層構成となっている。このように、メサ部12xの上面において、SiおよびSiO2のペアを3組積層することにより、絶縁膜15aが反射ミラーの役割を担うことが可能となり、DBR12Gに含まれる、高屈折率層および低屈折率層のペア数を実施例1と比べて4分の1程度(例えば5ペア)にすることが可能となる。
【0028】
絶縁膜15aは、例えば、図6の実施例4に示したように、メサ部12xの側面側から、SiN、SiO2、Si、SiO2の順に積層された積層体で構成されていてもよい。このとき、絶縁膜15aに含まれるSiN(SiN層)は、メサ部12xの側面に接している。絶縁膜15aは、さらに、例えば、図6の実施例4に示したように、メサ部12xの上面側から、SiO2、Si、SiO2の順に積層された積層体で構成されていてもよい。図6の実施例4において、絶縁膜15aは、例えば、図7に示したように、メサ部12xの側面側において、メサ部12xの側面に接するSiN層15a-1と、SiN層15a-1に接する積層体(SiO2、Si、SiO2の順に積層された積層体)15a-2とによって構成されている。図6の実施例4において、絶縁膜15aは、さらに、例えば、図7に示したように、メサ部12xの上面側において、メサ部12xの上面側に接する積層体(SiO2、Si、SiO2の順に積層された積層体)15a-3によって構成されている。積層体15a-2,15a-3は、例えば、同一のプロセスにおいて一括で形成される。
【0029】
絶縁膜15aは、例えば、図6の実施例5に示したように、メサ部12xの側面側から、SiN、SiO2、Si、SiO2、Si、SiO2の順に積層された積層体で構成されていてもよい。このとき、絶縁膜15aに含まれるSiN(SiN層)は、メサ部12xの側面に接している。絶縁膜15aは、さらに、例えば、図6の実施例5に示したように、メサ部12xの上面側から、SiO2、Si、SiO2、Si、SiO2の順に積層された積層体で構成されていてもよい。図5の実施例5において、絶縁膜15aは、例えば、図8に示したように、メサ部12xの側面側において、メサ部12xの側面に接するSiN層15a-1と、SiN層15a-1に接する積層体(SiO2、Si、SiO2、Si、SiO2の順に積層された積層体)15a-4とによって構成されている。図5の実施例5において、絶縁膜15aは、さらに、例えば、図8に示したように、メサ部12xの上面側において、メサ部12xの上面側に接する積層体(SiO2、Si、SiO2、Si、SiO2の順に積層された積層体)15a-5によって構成されている。積層体15a-4,15a-5は、例えば、同一のプロセスにおいて一括で形成される。このように、メサ部12xの上面において、SiおよびSiO2のペアを2組積層することにより、絶縁膜15aが反射ミラーの役割を担うことが可能となり、DBR12Gに含まれる、高屈折率層および低屈折率層のペア数を実施例1と比べて2分の1程度(例えば9ペア)にすることが可能となる。
【0030】
絶縁膜15aは、例えば、図6の実施例6に示したように、メサ部12xの側面側から、SiN、SiO2、Si、SiO2、Si、SiO2、Si、SiO2の順に積層された積層体で構成されていてもよい。このとき、絶縁膜15aに含まれるSiN(SiN層)は、メサ部12xの側面に接している。絶縁膜15aは、さらに、例えば、図6の実施例6に示したように、メサ部12xの上面側から、SiO2、Si、SiO2、Si、SiO2、Si、SiO2の順に積層された積層体で構成されていてもよい。図5の実施例6にお
いて、絶縁膜15aは、例えば、図9に示したように、メサ部12xの側面側において、メサ部12xの側面に接するSiN層15a-1と、SiN層15a-1に接する積層体(SiO2、Si、SiO2、Si、SiO2、Si、SiO2の順に積層された積層体)15a-6とによって構成されている。図5の実施例6において、絶縁膜15aは、さらに、例えば、図9に示したように、メサ部12xの上面側において、メサ部12xの上面側に接する積層体(SiO2、Si、SiO2、Si、SiO2、Si、SiO2の順に積層された積層体)15a-7によって構成されている。積層体15a-6,15a-7は、例えば、同一のプロセスにおいて一括で形成される。このように、メサ部12xの上面において、SiおよびSiO2のペアを3組積層することにより、絶縁膜15aが反射ミラーの役割を担うことが可能となり、DBR12Gに含まれる、高屈折率層および低屈折率層のペア数を実施例1と比べて4分の1程度(例えば5ペア)にすることが可能となる。
【0031】
絶縁膜15aは、例えば、図10の実施例7に示したように、メサ部12xの側面に接するSiN層で構成されていてもよい。このとき、絶縁膜15aに含まれるSiN(SiN層)は、メサ部12xの側面に接している。絶縁膜15aは、さらに、例えば、図10の実施例7に示したように、メサ部12xの上面側から、SiO2、Si、SiO2の順に積層された積層体で構成されていてもよい。図10の実施例7において、絶縁膜15aは、例えば、図11に示したように、メサ部12xの側面側において、メサ部12xの側面に接するSiN層15a-1によって構成されている。図10の実施例7において、絶縁膜15aは、さらに、例えば、図11に示したように、メサ部12xの上面側において、メサ部12xの上面側に接する積層体(SiO2、Si、SiO2の順に積層された積層体)15a-3によって構成されている。
【0032】
絶縁膜15aは、例えば、図10の実施例8に示したように、メサ部12xの側面に接するSiN層で構成されていてもよい。このとき、絶縁膜15aに含まれるSiN(SiN層)は、メサ部12xの側面に接している。絶縁膜15aは、さらに、例えば、図10の実施例8に示したように、メサ部12xの上面側から、SiO2、Si、SiO2、Si、SiO2の順に積層された積層体で構成されていてもよい。図10の実施例8において、絶縁膜15aは、例えば、図12に示したように、メサ部12xの側面側において、メサ部12xの側面に接するSiN層15a-1によって構成されている。図10の実施例8において、絶縁膜15aは、さらに、例えば、図12に示したように、メサ部12xの上面側において、メサ部12xの上面側に接する積層体(SiO2、Si、SiO2、Si、SiO2の順に積層された積層体)15a-8によって構成されている。
【0033】
絶縁膜15aは、例えば、図10の実施例9に示したように、メサ部12xの側面に接するSiN層で構成されていてもよい。このとき、絶縁膜15aに含まれるSiN(SiN層)は、メサ部12xの側面に接している。絶縁膜15aは、さらに、例えば、図10の実施例9に示したように、メサ部12xの上面側から、SiO2、Si、SiO2、Si、SiO2、Si、SiO2の順に積層された積層体で構成されていてもよい。図10の実施例9において、絶縁膜15aは、例えば、図13に示したように、メサ部12xの側面側において、メサ部12xの側面に接するSiN層15a-1によって構成されている。図10の実施例9において、絶縁膜15aは、さらに、例えば、図13に示したように、メサ部12xの上面側において、メサ部12xの上面側に接する積層体(SiO2、Si、SiO2、Si、SiO2、Si、SiO2の順に積層された積層体)15a-9によって構成されている。
【0034】
絶縁膜15bは、メサ部12xの少なくとも側面の一部において、絶縁膜15aの表面に接しており、メサ部12xのうちリング電極層12Kおよび金属層12Lと対向する部分に開口を有している。絶縁膜15bは、さらに、後述の連結層19を覆っている。絶縁膜15bは、例えば、SiN膜で構成されている。
【0035】
レーザチップ10は、例えば、図2図3に示したように、基板13の光出射面とは反対側であって、かつエミッタアレイ11の周囲に、台座部16および電極層18を有している。電極層18は、メサ部12xの垂直共振器構造と共通の構造を有する台座部16の、レーザドライバIC20側の面上に形成されている。電極層18は、本開示の「第3電極層」の一具体例に相当する。
【0036】
レーザチップ10は、例えば、図3に示したように、電極層17と電極層18とを互いに電気的に接続する連結層19を有している。連結層19は、本開示の「連結層」の一具体例に相当する。連結層19は、台座部16の上面から、台座部16の側面を介して、各エミッタ12のすそ野に渡って延在しており、電極層17および電極層18に接続されている。従って、電極層18は、連結層19,電極層17,コンタクト層12Aを介して、各エミッタのDBR層12Cと電気的に接続されている。電極層18は、バンプ14にも接しており、バンプ14を介してレーザドライバIC20と電気的に接続されている。電極層18は、例えば、レーザドライバIC20の基準電位と同電位となっている。電極層18は、例えば、台座部16の上面側から、Ti,PtおよびAuをこの順に積層して構成された積層体となっている。連結層19は、例えば、Auメッキ層である。
【0037】
レーザドライバIC20は、レーザチップ10のうち、複数のエミッタ12側の面と対向して設けられている。レーザドライバIC20は、複数のバンプ14を介して、各エミッタ12のリング電極層12K、および電極層18と電気的に接続されており、複数のバンプ14、リング電極層12K、および電極層18を介して、各エミッタ12の発光・消光を制御する。レーザドライバIC20は、レーザチップ10に設けられた複数のエミッタ12を独立駆動することにより、複数のエミッタ12のうちの一部、または全部を発光させる。レーザドライバIC20は、例えば、複数のエミッタ12のうち、後述のシステムコントローラ30によって選択された一部、または全部のエミッタ12を駆動する。レーザドライバIC20は、例えば、Si基板21と、Si基板21上に形成された配線層22とを有している。
【0038】
レーザドライバIC20は、レーザチップ10に印加する電圧を制御するNMOSドライバをSi基板21に有している。このNMOSドライバは、レーザチップ10に設けられた複数のエミッタ12の発光・消光を行う駆動パルスを生成する。このNMOSドライバは、配線層22を介して、レーザチップ10と電気的に接続されている。
【0039】
配線層22は、例えば、絶縁層22b内に、複数の金属層22aと、複数の接続パッド22cと、複数の接続パッド22dとを有している。複数の金属層22aは、Si基板21内のNMOSドライバと、複数の接続パッド22dとを互いに電気的に接続している。複数の接続パッド22dは、配線層22のうち、レーザチップ10と対向する位置に配置されており、レーザチップ10に設けられた複数のバンプ14と電気的に接続されている。複数の接続パッド22cは、配線層22のうち、レーザチップ10とは非対向の位置に配置されており、例えば、後述のボンディングワイヤ54と電気的に接続される。なお、レーザチップ10とレーザドライバIC20との電気的な接続態様は、図2の記載に限定されるものではない。
【0040】
図14は、レーザドライバIC20をプリント配線基板40上に実装したときの平面構成例を表したものである。面発光レーザ装置1において、プリント配線基板40には、例えば、レーザドライバIC20の他に、システムコントローラ30が設けられている。図15は、図14のA-A線での断面構成例を表したものである。レーザドライバIC20とプリント配線基板40との間には接合層43が設けられている。接合層43は、レーザドライバIC20とプリント配線基板40とを互いに固定している。接合層43は、例えば、絶縁性を有する樹脂材料によって構成されている。
【0041】
レーザドライバIC20とプリント配線基板40とは、ボンディングワイヤ44によって電気的に接続されている。ボンディングワイヤ44の一端が、レーザドライバIC20の接続パッド22cに対して半田25によって固定されており、ボンディングワイヤ44の他端が、プリント配線基板40の接続パッド41に対して半田42によって固定されている。
【0042】
[製造方法]
次に、本実施の形態に係る面発光レーザ装置1の製造方法について説明する。図16図24は、面発光レーザ装置1におけるレーザチップ10の製造過程の一例を表したものである。
【0043】
レーザチップ10を製造するためには、例えばGaAsからなる基板13上に、化合物半導体を、例えばMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition :有機金属気相成長)法などのエピタキシャル結晶成長法により一括に形成する。この際、化合物半導体の原料としては、例えば、トリメチルアルミニウム(TMAl)、トリメチルガリウム(TMGa)、トリメチルインジウム(TMIn)などのメチル系有機金属ガスと、アルシン(AsH3)ガスを用い、ドナー不純物の原料としては、例えばジシラン(Si26
を用い、アクセプタ不純物の原料としては、例えば四臭化炭素(CBr4)を用いる。
【0044】
まず、基板13の表面上に、例えばMOCVD法などのエピタキシャル結晶成長法により、コンタクト層12A、エッチングストップ層12B、被酸化層12Mを含むDBR層12C、スペーサ層12D、活性層12E、スペーサ層12F、DBR層12Gおよびコンタクト層12Hをこの順に形成する(図16)。次に、例えば、所定のパターンのレジスト層(図示せず)を形成したのち、このレジスト層をマスクとして、コンタクト層12H、DBR層12G、スペーサ層12F、活性層12E、スペーサ層12DおよびDBR層12Cを選択的にエッチングする。このとき、例えばCl系ガスによるRIE(Reactive Ion Etching)を用いることが好ましい。これにより、例えば、図17に示したように、エッチングストップ層12Bの表面にまで達する高さの柱状のメサ部12xおよび台座部16が形成される。このとき、メサ部12xの側面に被酸化層12Mが露出している。その後、レジスト層を除去する。
【0045】
次に、水蒸気雰囲気中において、高温で酸化処理を行い、メサ部12xの側面から被酸化層12Mに含まれるAlを選択的に酸化する。または、ウエット酸化法により、メサ部12xの側面から被酸化層12Mに含まれるAlを選択的に酸化する。これにより、メサ部12x内において、被酸化層12Mの外縁領域が絶縁層(酸化アルミニウム)となり、電流狭窄層12Iが形成される(図18)。
【0046】
次に、メサ部12xの上面にリング電極層12Kを形成する(図19)。続いて、例えば、CVDなどを用いて、リング電極層12Kに対向する部分と、メサ部12xのすそ野部分とに開口を有する絶縁膜15aを形成した後、例えば、蒸着またはスパッタなどを用いて、絶縁膜15aのうち、メサ部12xのすそ野部分に設けた開口内に電極層17を形成する(図20図21)。
【0047】
次に、例えば、蒸着またはスパッタなどを用いて、メサ部12xの上面に、リング電極層12Kの開口を塞ぐように金属層12Lを形成するとともに、台座部16上に電極層18を形成する(図22)。このようにして、コンタクト層12A上に、複数のエミッタ12が形成される。続いて、例えば、メッキ法を用いて、各エミッタ12の電極層17と、台座部16上の電極層18とを接続する連結層19を形成する(図23)。なお、メッキ法を用いる前に、絶縁膜15aのうち、連結層19を形成することとなる箇所に、例えば、蒸着またはスパッタなどを用いて、メッキの種となる下地層を形成しておく。連結層19の厚さは、電圧降下を十分に防ぐことの可能な厚さ(例えば、2μm程度)となっている。
【0048】
次に、絶縁膜15aのうち、ダイシングを行う部分を除去したのち、例えば、CVDなどを用いて、各エミッタ12の側面や、連結層19の表面を覆う絶縁膜15bを形成する(図24)。続いて、例えば、グラインダーなどを用いて、基板13を薄膜化した後、例えば、CVDやスパッタなどを用いて、基板13の裏面にAR層13Aを形成する。最後の、基板13をダイシングする。このようにして、レーザチップ10が製造される。
【0049】
[効果]
次に、本実施の形態に係る面発光レーザ装置1の効果について説明する。
【0050】
本実施の形態では、活性層12Eから見てDBR層12G側の反射ミラーの終端部に、絶縁膜15aおよび金属層12Lが設けられている。これにより、DBR層12C,12G、絶縁膜15aおよび金属層12Lにより、所定の発振波長でレーザ発振が生じる。このとき、DBR層12Gのペア数がDBR層12Cのペア数よりも少ない場合であっても、所定の発振波長でのレーザ発振を生じさせることができるので、DBR層12Gのペア数を少なくした分だけ、駆動時の抵抗が小さくなる。面発光レーザ装置1では、さらに、電極層17が、DBR層12Cに接して設けられたコンタクト層12Aに接して設けられており、金属層12Lとは別体のリング電極層12Kが、コンタクト層12Hに接して設けられている。これにより、電極層17が、導電性の半導体基板を介してコンタクト層12Aに接している場合と比べて、駆動時の抵抗が小さくなる。また、リング電極層12Kの材料として、接触抵抗の低い合金を用いることができるので、リング電極層12Kの材料として、反射ミラーの材料に適した非合金を用いた場合と比べて、駆動時の抵抗が小さくなる。このように、本実施の形態では、駆動時の抵抗を小さくすることができる。また、リング電極層12Kを設けることで、駆動電圧を低くすることができ、I-V特性を改善することができる。
【0051】
また、本実施の形態では、金属層12Lがリング電極層12Kに接している。これにより、金属層12L上にバンプ14を配置することで、金属層12Lを介して、バンプ14とリング電極層12Kとを互いに電気的に接続することができる。その結果、金属層12Lを、バンプ14に対するパッド電極としても利用することができるので、金属層12Lとは別体で、バンプ14に対するパッド電極を設けた場合と比べて、エミッタ12の集積度を高くすることができる。また、エミッタ12の集積度を高くすることで、配線引き回しに起因する抵抗を小さくすることもできる。
【0052】
また、本実施の形態では、絶縁膜15aがリング電極層12Kの開口内に形成され、金属層12Lがリング電極層12Kの開口を塞ぐように形成される。これにより、各エミッタ12において、活性層12Eの発光領域(または電流注入領域12I-1)と対向する箇所に、活性層12Eから見てDBR層12G側の反射ミラーの終端部(絶縁膜15aおよび金属層12L)を設けることができ、活性層12Eの発光領域(または電流注入領域12I-1)と非対向の箇所に、DBR層12Gとの電気的なコンタクトを設けることができる。その結果、各エミッタ12とは異なる箇所に、バンプ14に対するパッド電極を設けた場合と比べて、エミッタ12の集積度を高くすることができる。また、エミッタ12の集積度を高くすることで、配線引き回しに起因する抵抗を小さくすることもできる。
【0053】
また、本実施の形態では、電極層17がコンタクト層12Aのうち、メサ部12xと非対向の位置に接している。これにより、メサ部12x上のリング電極層12Kと、コンタクト層12A上の電極層17とを、基板13の光出射面とは反対側に配置することができる。その結果、リング電極層12Kと電極層17とを基板13を間にして対向配置した場合と比べて、レーザチップ10と、レーザドライバIC20とを電気的に接続する配線のスペースを低減することができ、エミッタ12の集積度を高くすることができる。また、エミッタ12の集積度を高くすることで、配線引き回しに起因する抵抗を小さくすることもできる。
【0054】
また、本実施の形態では、基板13の光出射面とは反対側に、メサ部12xと共通の構造を含む台座部16が設けられ、台座部16上の電極層18と、コンタクト層12A上の電極層17とを互いに電気的に接続する連結層19が設けられている。これにより、バンプ14を介して、レーザチップ10と、レーザドライバIC20とを貼り合わせることで、レーザチップ10と、レーザドライバIC20とを電気的に接続することが容易となる。その結果、ワイヤボンディングなどを用いて、レーザチップ10と、レーザドライバIC20とを電気的に接続する場合と比べて、配線引き回しに起因する抵抗を小さくすることができる。また、連結層19を、メッキ層で厚く形成することにより、連結層19の配線抵抗を小さくすることができる。
【0055】
また、本実施の形態では、レーザチップ10のうち、複数のエミッタ12側の面と対向してレーザドライバIC20が配置され、このレーザドライバIC20によって、複数のバンプ14、各エミッタ12のリング電極層12K、および台座部16上の電極層18を介して、各エミッタ12の発光・消光が制御される。これにより、小さな配線抵抗で、各エミッタ12の発光・消光を制御することができる。
【0056】
また、本実施の形態では、DBR層12Cがp型半導体で構成され、DBR層12Gがn型半導体で構成されている。これにより、レーザドライバIC20を、各エミッタ12の発光・消光を制御するNMOSドライバを含んで構成することができる。これにより、PMOSドライバを用いた場合と比べて、レーザドライバIC20の応答速度を高めることができる。従って、面発光レーザ装置1を、ドライバの高速応答性が要求される用途に好適に用いることができる。
【0057】
また、本実施の形態において、メサ部12xの側面に接するSiN層が設けられている場合には、外部からメサ部12xへの水分の侵入を抑制することができる。その結果、水分に起因するメサ部12xの劣化(例えば高抵抗化)を抑制することができる。
【0058】
<2.変形例>
次に、上記実施の形態に係る面発光レーザ装置1の変形例について説明する。
【0059】
[変形例A]
図25は、各エミッタ12におけるDBR層12Gの断面構成の一変形例を表したものである。上記実施の形態において、DBR層12Gは、例えば、図25に示したように、活性層12E寄りの位置に、ドープ量が相対的に低い低ドープ層12G1を有しており、低ドープ層12G1と比較して活性層12Eから離れた位置に、ドープ量が相対的に高い高ドープ層12G2を有していてもよい。このようにした場合には、DBR層12Gのうち、活性層12E近傍において、ドープされた不純物に起因する光学ロスを低く抑えることができ、DBR層12Gのうち、活性層12Eから離れた位置において、高抵抗化を抑えることができる。このように、本変形例では、光学ロスの抑制と、抵抗低減とを両立させることができる。
【0060】
[変形例B]
図26は、レーザチップ10の断面構成の一変形例を表したものである。上記実施の形態において、コンタクト層12Aの代わりに、複数のコンタクト層12C1が設けられていてもよい。このとき、基板13は、DBR層12Cに接して設けられている。メサ部12xは、DBR層12Cの一部を含んでいる。複数のコンタクト層12C1は、各メサ部12x(具体的にはDBR層12C)と、電極層17とを互いにオーミック接触させるための層である。コンタクト層12C1は、例えばp型Alx1Ga1-x1As(0≦x1<1)からなる。このようにした場合には、複数のコンタクト層12C1が活性層12Eに近づいた分だけ、駆動時の抵抗を小さくすることができる。
【0061】
本変形例において、コンタクト層12C1は、コンタクト層の役割だけでなく、水平方向の電流の導通を促進させる役割も有している。そのため、コンタクト層12C1には、カーボンなどのp型不純物が高濃度(例えば、2×1019 [1/cm3])でドープされていることが好ましい。通常、不純物濃度の高い層は光学ロスを発生させる。しかし、本変形例では、複数のコンタクト層12C1は、例えば、図27に示したように、光場強度(共振中の定在波)が相対的に低い箇所に設けられている。そのため、各コンタクト層12C1に起因する光学ロスは限定的である。このように、本変形例では、低抵抗と高光出力の両立が可能となる。
【0062】
本変形例では、エッチングストップ層12Bの代わりに、エッチングストップ層12C2が設けられていてもよい。エッチングストップ層12C2は、例えば、DBR層12C内に設けられており、複数のコンタクト層12C1のうち、DBR層12Cに最も近い層に接している。これにより、製造過程において、エッチングストップ層12C2による選択エッチングを利用することで、複数のコンタクト層12C1のうち、DBR層12Cに最も近い層を確実に露出させることができ、露出したコンタクト層12C1に対して、電極層17を確実に接触させることができる。
【0063】
なお、DBR層12Cのうち、電極層17と対向する箇所に、不純物が高濃度でドープされた領域(コンタクト領域12N)が設けられていてもよい。コンタクト領域12Nは、例えば、イオンインプランテーションを用いて、DBR層12Cのうち、電極層17と対向する箇所に対して、Znを拡散させることにより形成される。このようにした場合には、電極層17と、コンタクト層12C1とを低抵抗で電気的に接続することができる。これにより、駆動時の抵抗を小さくすることができる。
【0064】
<3.適用例>
以下に、上記各実施の形態およびその変形例に係る面発光レーザ装置1の適用例について説明する。
【0065】
図28は、面発光レーザ装置1を備えた距離測定装置100の概略構成の一例を表したものである。距離測定装置100は、TOF(Time Of Flight)方式により被検体200までの距離を測定するものである。距離測定装置100は、光源として面発光レーザ装置1を備えている。距離測定装置100は、例えば、面発光レーザ装置1、受光装置120、レンズ110,130、信号処理部140、制御部150、表示部160および記憶部170を備えている。
【0066】
受光装置120は、被検体200で反射された光を検出する。レンズ110は、面発光レーザ装置1から出射された光を平行光化するためのレンズであり、コリメートレンズである。レンズ130は、被検体200で反射された光を集光し、受光装置120に導くためのレンズであり、集光レンズである。
【0067】
信号処理部140は、受光装置120から入力された信号と、制御部150から入力された参照信号との差分に対応する信号を生成するための回路である。制御部150は、例えば、Time to Digital Converter (TDC)を含んで構成されている。参照信号は、制御部150から入力される信号であってもよいし、面発光レーザ装置1の出力を直接検出する検出部の出力信号であってもよい。制御部150は、例えば、面発光レーザ装置1、受光装置120、信号処理部140、表示部160および記憶部170を制御するプロセッサである。制御部150は、信号処理部140で生成された信号に基づいて、被検体200までの距離を計測する回路である。制御部150は、被検体200までの距離についての情報を表示するための映像信号を生成し、表示部160に出力する。表示部160は、制御部150から入力された映像信号に基づいて、被検体200までの距離についての情報を表示する。制御部150は、被検体200までの距離についての情報を記憶部170に格納する。
【0068】
本適用例では、面発光レーザ装置1が距離測定装置100に適用される。これにより、距離測定装置100を低消費電力で利用することができる。
【0069】
<4.応用例>
[応用例1]
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0070】
図29は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0071】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。図29に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(interface)12053が図示されている。
【0072】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0073】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0074】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、距離測定装置12031が接続される。距離測定装置12031には、上述の距離測定装置100が含まれる。車外情報検出ユニット12030は、距離測定装置12031に車外の物体(被検体200)との距離を計測させ、それにより得られた距離データを取得する。車外情報検出ユニット12030は、取得した距離データに基づいて、人、車、障害物、標識等の物体検出処理を行ってもよい。
【0075】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0076】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0077】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0078】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0079】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。図29の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0080】
図30は、距離測定装置12031の設置位置の例を示す図である。
【0081】
図30では、車両12100は、距離測定装置12031として、距離測定装置12101,12102,12103,12104,12105を有する。
【0082】
距離測定装置12101,12102,12103,12104,12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる距離測定装置12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる距離測定装置12105は、主として車両12100の前方のデータを取得する。サイドミラーに備えられる距離測定装置12102,12103は、主として車両12100の側方のデータを取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる距離測定装置12104は、主として車両12100の後方のデータを取得する。距離測定装置12101及び12105で取得される前方のデータは、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識等の検出に用いられる。
【0083】
なお、図30には、距離測定装置12101ないし12104の検出範囲の一例が示されている。検出範囲12111は、フロントノーズに設けられた距離測定装置12101の検出範囲を示し、検出範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた距離測定装置12102,12103の検出範囲を示し、検出範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた距離測定装置12104の検出範囲を示す。
【0084】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、距離測定装置12101ないし12104から得られた距離データを基に、検出範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0085】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、距離測定装置12101ないし12104から得られた距離データを元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0086】
以上、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、距離測定装置12031に適用され得る。距離測定装置12031に本開示に係る技術を適用することにより、距離測定装置12031を低消費電力で利用することができる。
【0087】
以上、実施の形態を挙げて本開示を説明したが、本開示は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形が可能である。なお、本明細書中に記載された効果は、あくまで例示である。本開示の効果は、本明細書中に記載された効果に限定されるものではない。本開示が、本明細書中に記載された効果以外の効果を持っていてもよい。
【0088】
また、例えば、本開示は以下のような構成を取ることができる。
(1)
活性層と、
前記活性層を挟み込む第1DBR(distributed Bragg reflector)層および第2DBR層と、
前記活性層の発光領域と対向する位置に設けられ、前記活性層から見て前記第2DBR層側の反射ミラーの終端部に相当する絶縁膜および金属層と、
前記第1DBR層内または前記第1DBR層に接して設けられた第1コンタクト層と、
前記第2DBR層に接して設けられた第2コンタクト層と、
前記第1コンタクト層に接して設けられた第1電極層と、
前記第2コンタクト層に接するとともに、前記活性層の発光領域と非対向の位置に設けられた第2電極層と
を備えた
面発光レーザ装置。
(2)
前記金属層は、非合金によって構成され、
前記第2電極層、合金を含んで構成されている
(1)に記載の面発光レーザ装置。
(3)
前記金属層は、前記第2電極層に接している
(1)または(2)に記載の面発光レーザ装置。
(4)
前記第2電極層は、前記活性層の発光領域と対向する位置に開口を有するリング電極層であり、
前記絶縁膜は、前記第2電極層の開口内に形成され、
前記金属層は、前記第2電極層の開口を塞ぐように形成されている
(1)ないし(3)のいずれか1つに記載の面発光レーザ装置。
(5)
前記第2DBR層のペア数は、前記第1DBR層のペア数よりも少なくなっている
(1)ないし(4)のいずれか1つに記載の面発光レーザ装置。
(6)
前記第1DBR層の全体もしくは一部、および前記第2DBR層を含むメサ部を更に備え、
前記第1電極層は、前記第1コンタクト層のうち、前記メサ部と非対向の位置に接している
(1)ないし(5)のいずれか1つに記載の面発光レーザ装置。
(7)
前記第1DBR層または前記第1コンタクト層のうち、前記活性層側とは反対側に接して設けられ、前記メサ部から発せられる光を透過する半絶縁性の半導体基板を更に備え、
前記第1電極層および前記第2電極層は、前記半導体基板の光出射面とは反対側に配置されている
(6)に記載の面発光レーザ装置。
(8)
前記半導体基板の光出射面とは反対側に、前記メサ部と共通の構造を含む台座部と、
前記台座部上に設けられた第3電極層と、
前記第1電極層と前記第3電極層とを互いに電気的に接続する連結層と
を更に備えた
(7)に記載の面発光レーザ装置。
(9)
前記連結層は、メッキ層である
(8)に記載の面発光レーザ装置。
(10)
複数のエミッタ、前記台座部、前記第3電極および前記連結層を有するレーザチップと、
前記レーザチップのうち、前記複数のエミッタ側の面と対向して設けられたドライバICを更に備え、
各前記エミッタは、前記活性層、前記第1DBR層、前記第2DBR層、前記絶縁膜、前記金属層、前記第1コンタクト層、前記第2コンタクト層、前記第1電極層および前記第2電極層を有し、
前記ドライバICは、複数のバンプを介して、各前記エミッタの前記第2電極層、および前記第3電極と電気的に接続され、前記複数のバンプ、各前記エミッタの前記第2電極層、および前記第3電極を介して、各前記エミッタの発光・消光を制御する
(8)または(9)に記載の面発光レーザ装置。
(11)
前記第1DBR層は、p型半導体で構成され、
前記第2DBR層は、n型半導体で構成され、
前記ドライバICは、各前記エミッタの発光・消光を制御するNMOSドライバを含んで構成されている
(10)に記載の面発光レーザ装置。
(12)
前記メサ部の側面に接するSiN層を更に備えた
(6)ないし(11)のいずれか1つに記載の面発光レーザ装置。
(13)
前記メサ部内に、前記第1コンタクト層に接するエッチングストップ層を更に備えた
(6)ないし(12)のいずれか1つに記載の面発光レーザ装置。
(14)
前記第2DBR層は、前記活性層寄りの位置に、ドープ量が相対的に低い低ドープ層を有しており、前記低ドープ層と比較して前記活性層から離れた位置に、ドープ量が相対的に高い高ドープ層を有している
(6)ないし(13)のいずれか1つに記載の面発光レーザ装置。
(15)
前記第1コンタクト層は、前記第1DBR層内であって、かつ光場強度が相対的に低い箇所に設けられている
(1)ないし(14)のいずれか1つに記載の面発光レーザ装置。
(16)
前記絶縁膜は、SiおよびSiO2のペアを2組または3組、積層した積層体を含む
(6)ないし(15)のいずれか1つに記載の面発光レーザ装置。
【0089】
本開示の一実施の形態に係る面発光レーザ装置によれば、活性層から見て第2DBR層側の反射ミラーの終端部に、絶縁膜および金属層を設け、第1電極層を、第1DBR層内または第1DBR層に接して設けられた第1コンタクト層に接して設け、金属層とは別体で設けられた第2電極層を、第2コンタクト層に接して設けるようにしたので、駆動時の抵抗を小さくすることができる。なお、本開示の効果は、ここに記載された効果に必ずしも限定されず、本明細書中に記載されたいずれの効果であってもよい。
【0090】
本出願は、日本国特許庁において2019年11月6日に出願された日本特許出願番号第2019-201616号および2020年3月31日に出願された日本特許出願番号第2020-064016号を基礎として優先権を主張するものであり、この出願のすべての内容を参照によって本出願に援用する。
【0091】
当業者であれば、設計上の要件や他の要因に応じて、種々の修正、コンビネーション、サブコンビネーション、および変更を想到し得るが、それらは添付の請求の範囲やその均等物の範囲に含まれるものであることが理解される。
図1
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