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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-01
(45)【発行日】2024-08-09
(54)【発明の名称】表示パネル及び表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20240802BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20240802BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20240802BHJP
   H10K 50/844 20230101ALI20240802BHJP
   H10K 50/86 20230101ALI20240802BHJP
   H10K 59/121 20230101ALI20240802BHJP
   H10K 59/123 20230101ALI20240802BHJP
   H10K 59/126 20230101ALI20240802BHJP
   H10K 59/131 20230101ALI20240802BHJP
   H10K 59/40 20230101ALI20240802BHJP
   H10K 59/65 20230101ALI20240802BHJP
【FI】
G09F9/30 349Z
G09F9/30 349C
G09F9/30 338
G09F9/30 365
G06F3/041 410
G06F3/041 420
H10K50/10
H10K50/844
H10K50/86
H10K59/121
H10K59/123
H10K59/126
H10K59/131
H10K59/40
H10K59/65
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021564686
(86)(22)【出願日】2020-05-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-30
(86)【国際出願番号】 CN2020093030
(87)【国際公開番号】W WO2021217770
(87)【国際公開日】2021-11-04
【審査請求日】2023-05-22
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2020/087170
(32)【優先日】2020-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.10 Jiuxianqiao Rd.,Chaoyang District,Beijing 100015,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シアオチュエン ハイ
【審査官】川俣 郁子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0105841(US,A1)
【文献】特開2011-070658(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108615746(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109685003(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108598111(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0237521(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第109801946(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110444158(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F3/03
3/041-3/047
G06T1/00
1/60
G09F9/30-9/46
H05B33/00-33/28
44/00
45/60
H10K50/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース基板と、
前記ベース基板の上に位置する複数の発光素子と、
前記ベース基板の上に位置し、前記ベース基板への順投影が、隣接する前記発光素子の前記ベース基板への順投影の隙間に位置する複数の受光素子と、
各前記発光素子の所在する層の前記ベース基板から離れる側に位置し、各前記受光素子と1対1に対応して設けられ、前記ベース基板への順投影と、対応する前記受光素子の前記ベース基板への順投影とは少なくとも一部重なっている複数の遮光部と、
を備え
前記遮光部の前記ベース基板への順投影は、対応する前記受光素子の前記ベース基板への順投影内に位置することを特徴とする表示パネル。
【請求項2】
前記遮光部の前記ベース基板への順投影の形状と、対応する前記受光素子の前記ベース基板への順投影の形状とが類似し、かつ形状の中心が重なっていることを特徴とする請求項に記載の表示パネル。
【請求項3】
前記遮光部の前記ベース基板への順投影の形状は矩形であり、前記遮光部の前記ベース基板への順投影の辺長は、対応する前記受光素子の前記ベース基板への順投影の辺長より1/3短いことを特徴とする請求項に記載の表示パネル。
【請求項4】
前記受光素子の前記ベース基板への順投影の形状は、辺長が10μm以上20μm以下の正方形であることを特徴とする請求項に記載の表示パネル。
【請求項5】
各前記受光素子は、各前記発光素子の所在する層と前記ベース基板との間に位置することを特徴とする請求項1に記載の表示パネル。
【請求項6】
前記ベース基板は、アレイ配列された複数の指紋認識領域を有し、
それぞれの前記指紋認識領域内には、少なくとも2つの前記受光素子を有し、それぞれの前記指紋認識領域内の各前記受光素子は、それが存在する前記指紋認識領域の中心に対して回転対称に分布されていることを特徴とする請求項1に記載の表示パネル。
【請求項7】
同一の前記指紋認識領域内において、各行の前記受光素子の数が同じであり、当該前記指紋認識領域の中心に対して対称な2つの前記受光素子の形状が同じであることを特徴とする請求項に記載の表示パネル。
【請求項8】
各前記発光素子の所在する層と各前記遮光部の所在する層との間に位置するカプセル層をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の表示パネル。
【請求項9】
前記遮光部の所在する層の前記ベース基板から離れる側に位置するタッチ電極層をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の表示パネル。
【請求項10】
前記発光素子は、陽極を有し、
前記表示パネルは、
前記陽極と同層に設けられた複数のバイアス線をさらに備え、
前記バイアス線ごとに対応して、1行の前記指紋認識領域に含まれた前記発光素子が電気的に接続されていることを特徴とする請求項に記載の表示パネル。
【請求項11】
前記ベース基板と各前記受光素子の所在する層との間に位置する複数の第1のトランジスタと複数の第2のトランジスタをさらに備え、
各前記第1のトランジスタは、各前記発光素子に1対1に対応して電気的に接続され、各前記第2のトランジスタは、各前記受光素子に1対1に対応して電気的に接続され、前記第1のトランジスタの各膜層が前記第2のトランジスタの同一膜層と同層に設けられていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の表示パネル。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の表示パネルを備える表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示技術分野に関し、特に、表示パネル及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
端末技術の継続的な進展に伴い、電子機器が益々幅広く適用される。ユーザの情報セキュリティを保護するために、電子機器における指紋認識機能の適用が益々一般的なことになっており、例えば、携帯電話のロック解除、モバイル決済(例えば、支払い、振替)などに用いられている。
【0003】
有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diode,OLED)は、電流型発光素子として、自発光し、応答速度が速く、視野角が広く、フレキシブル製品の作製などの利点を有するため、高性能表示分野に幅広く適用されている。関連技術において、光学的指紋認識機能を有するOLED表示ディスプレイは、有効表示領域(A-A領域)における全領域を用いて光学的指紋認識領域とし、OLED表示ディスプレイ自身からの光を光学的指紋認識の光源とする。具体的には、この自発光は、表示ディスプレイの上方の指で反射されてから表示ディスプレイ内に戻って受光素子に伝送される。受光素子は、指紋隆線と指紋谷線の光反射強度に対する相違を感じすることによって、異なる電気信号を発生させて指紋認識を実現する。
【発明の概要】
【0004】
本開示の実施例は、ベース基板と、前記ベース基板の上に位置する複数の発光素子と、前記ベース基板の上に位置し、前記ベース基板への順投影が、隣接する前記発光素子の前記ベース基板への順投影の隙間に位置する複数の受光素子と、各前記発光素子の所在する層の前記ベース基板から離れる側に位置し、各前記受光素子に1対1に対応して設けられ、前記ベース基板への順投影と、対応する前記受光素子の前記ベース基板への順投影とが少なくとも一部重なっている複数の遮光部と、を備える表示パネルを提供する。
【0005】
あるいは、本開示の実施例が提供する上記表示パネルにおいて、前記遮光部の前記ベース基板上への順投影は、対応する前記受光素子の前記ベース基板上への順投影内に位置する。
【0006】
あるいは、本開示の実施例が提供する上記表示パネルにおいて、前記遮光部の前記ベース基板への順投影の形状と対応する前記受光素子の前記ベース基板への順投影の形状とが類似し、かつ形状の中心が重なっている。
【0007】
あるいは、本開示の実施例が提供する上記表示パネルにおいて、前記遮光部の前記ベース基板への順投影の形状は矩形であり、前記の遮光部の前記ベース基板への順投影の辺長は、対応する前記受光素子の前記ベース基板への順投影の辺長の1/2以下である。
【0008】
あるいは、本開示の実施例が提供する上記表示パネルにおいて、前記遮光部の前記ベース基板への順投影の辺長は、対応する前記受光素子の前記ベース基板への順投影の辺長の1/3である。
【0009】
あるいは、本開示の実施例が提供する上記表示パネルにおいて、前記受光素子の前記ベース基板への順投影の形状は、辺長が10μm以上20μm以下の正方形である。
【0010】
あるいは、本開示の実施例が提供する上記表示パネルにおいて、各前記受光素子は、各前記発光素子の所在する層と前記ベース基板との間に位置する。
【0011】
あるいは、本開示の実施例が提供する上記表示パネルにおいて、前記ベース基板は、アレイ配列された複数の指紋認識領域を有し、それぞれの前記指紋認識領域内には、少なくとも2つの前記受光素子を有し、それぞれの前記指紋認識領域内の各前記受光素子は、それが存在する前記指紋認識領域の中心に対して回転対称に分布されている。
【0012】
あるいは、本開示の実施例が提供する上記表示パネルにおいて、同一の前記指紋認識領域内において、各行の前記受光素子の数が異なり、全ての前記受光素子の長さの合計は、幅の合計の2倍である。
【0013】
あるいは、本開示の実施例が提供する上記表示パネルにおいて、同一の前記指紋認識領域内において、各行の前記受光素子の数が同じであり、この前記指紋認識領域の中心に対して対称な2つの前記受光素子の形状が同じである。
【0014】
あるいは、本開示の実施例が提供する上記表示パネルにおいて、各前記発光素子の所在する層と各前記遮光部の所在する層との間に位置するカプセル層をさらに備える。
【0015】
あるいは、本開示の実施例が提供する上記表示パネルにおいて、前記遮光部の所在する層の前記ベース基板から離れる側に位置するタッチ電極層をさらに備える。
【0016】
あるいは、本開示の実施例が提供する上記表示パネルにおいて、前記発光素子は、陽極を有し、前記表示パネルは、前記陽極と同層に設けられた複数のバイアス線をさらに備え、前記バイアス線ごとに対応して、1行の前記指紋認識領域に含まれた前記発光素子が電気的に接続されている。
【0017】
あるいは、本開示の実施例が提供する上記表示パネルにおいて、前記ベース基板と各前記受光素子の所在する層との間に位置する複数の第1のトランジスタと複数の第2のトランジスタをさらに備え、各前記第1のトランジスタは、各前記発光素子に1対1に対応して電気的に接続され、各前記第2のトランジスタは、各前記受光素子に1対1に対応して電気的に接続され、前記第1のトランジスタの各膜層が前記第2のトランジスタの同一膜層と同層に設けられている。
【0018】
同一発明構想に基づき、本開示の実施例は、上記表示パネルを備える表示装置をさらに提供する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本開示の実施例が提供する表示パネルの平面構成の模式図である。
図2図2は、本開示の実施例が提供する指紋認識領域の断面構成の模式図である。
図3図3は、本開示の実施例が提供する受光素子と遮光部との一の空間位置の模式図である。
図4図4は、本開示の実施例が提供する受光素子と遮光部との別の空間位置の模式図である。
図5図5は、本開示の実施例が提供する受光素子と遮光部とのサイズ関係の設計原理の模式図である。
図6図6は、本開示の実施例が提供する信号光の透過率のグラフである。
図7図7は、本開示の実施例が提供する外界環境光の透過率のグラフである。
図8図8は、本開示の実施例が提供する信号対雑音比のグラフである。
図9図9は、指紋の物体像である。
図10図10は、関連技術における指紋認識結像図である。
図11図11は、本開示の実施例が提供する指紋認識領域の一つの平面構成の模式図である。
図12図12は、本開示の実施例が提供する指紋認識領域の別の平面構成の模式図である。
図13図13は、本開示の実施例の指紋認識結像図である。
図14図14は、本開示の実施例が提供する表示パネルの断面構成の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示の実施例の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下、本開示の実施例の図面を参照しながら、本開示の実施例の技術案を明確かつ完全に説明する。図面の各膜層の厚さと形状は、実比率を表すものではなく、あくまでも本開示の内容を示すためのものである。明らかに、説明された実施例は、本開示の実施例のすべてではなく、本開示の実施例の一部である。説明された本開示の実施例に基づき、創造的な工夫を要することなしに当業者によって得られたあらゆる他の実施例は、いずれも本開示の保護範囲内にある。
【0021】
別途に定義されない限り、ここにて用いられる技術用語又は科学用語は、本開示の属する分野内の当業者に理解される通常の意味とするべきである。本開示の明細書、特許請求の範囲にて用いられる「第1」、「第2」及びこれらに類似した用語は、いかなる順序、数量又は重要性も示さず、あくまでも異なる構成部分を区別するためのものである。「備える」や「含む」など類似した用語は、その用語に先行する素子又は物体が、その用語に後行して挙げられた素子又は物体及びこれらに同等なものを網羅し、他の素子又は物体を除外しないという意味である。「内」、「外」、「上」、「下」などは、相対的な位置関係を示すためにのみ用いられ、説明された対象の絶対的な位置が変化すると、この相対的な位置関係もそれに応じて変化する可能性がある。
【0022】
指紋認識過程において、サブ画素からの信号光が受光素子に感知され得るほか、指などを介して入射した環境光も受光素子に感知される。受光素子がサブ画素からの信号光と環境光とを主導的に区別できず、受動的に受光するため、環境光が受光素子の指紋認識に干渉を与え、縞の結像がボケてしまい、引いては結像できない可能性もある。
【0023】
関連技術における上記課題について、本開示の実施例は、表示パネルを提供する。図1図2に示すように、ベース基板101と、ベース基板101の上に位置する複数の発光素子102と、ベース基板101の上に位置する複数の受光素子103と、各発光素子102の所在する層のベース基板101から離れる側に位置する複数の遮光部104と、を備える。各受光素子103のベース基板101への順投影は、隣接する発光素子102のベース基板101への順投影の隙間に位置する。各遮光部104は、各受光素子103に1対1に対応して設けられる。遮光部104のベース基板101への順投影と、対応する受光素子103のベース基板101への順投影とは少なくとも一部が重なっている。
【0024】
本開示の実施例が提供する上記表示パネルにおいて、受光素子103と少なくとも一部重なっている遮光部104を設けて外界環境光を遮蔽し、環境光が受光素子103に照射されることをある程度で避けることにより、受光素子103により受光された大部分の光線が信号光となるようにし、信号光への環境光の影響を効果的に避け、光信号対雑音比(SNR)を向上させる。
【0025】
遮光部104が発光素子102の出光側に位置するので、遮光部104が画面の表示に影響することを避けるために、遮光部104の所在する層において発光素子102に対応する領域が開口を有するようにしてもよい。また、遮光部104は、例えば、ブラックマトリックス(BM)材料、ブラックフォトレジスト(SU8)材料、黒画素定義層(PDL)材料などのような黒色樹脂を選択してもよく、フォトリソグラフィプロセス又はナノインプリントプロセスで開口を作製してもよい。
【0026】
なお、指紋認識過程において、点光源からの光が異なる角度で指紋押圧界面(例えば、表示ディスプレイの外面)に照射されると、指紋押圧界面の全反射の作用により、これらの光のうち、入射角が全反射臨界角以上(一般的には、表示装置と空気間の全反射臨界角は約42°であり、点光源の最大射出角は約70°である)の部分(即ち、42°~70°)に全反射作用が生じるため、この部分の光線が指紋押圧界面から射出することができず、それにより、全反射の領域が生じる。それに対応して、これらの光のうち、入射角が全反射臨界角42°未満の部分は、指紋押圧界面から射出される。従って、全反射領域で反射された光により縞画像を採集することができる。具体的には、ユーザの指の指紋が全反射領域を押すと、指紋の隆線が全反射領域の表面に触れ、指紋の隆線に対応する位置の全反射条件が破壊されるため、光が当該対応する位置に射出されて元の反射経路が変化し、一方、指紋の谷線が全反射領域の表面に触れず、指紋の谷線に対応する位置の全反射条件が破壊されないため、光が依然として当該対応する位置に全反射されて、元の反射経路が変化しない。このように、全反射領域における光線は、全反射条件に対する指紋の隆線、谷線の異なる影響で、指紋結像界面に入射された光が異なる位置で明暗が交互に入れ替えた縞画像を形成する。
【0027】
任意選択で、本開示の実施例が提供する上記表示基板において、図1に示すように、遮光部104のベース基板101への順投影は、対応する受光素子103のベース基板101への順投影内に位置する。
【0028】
以上から分かるように、点光源の射出光線のうち、射出角度が42°~70°の光線が指紋認識の有効結像範囲内にあるので、当該範囲内の信号光が指で反射されてから遮光部104が大きすぎて受光素子103に照射され得ないことを避けるために、遮光部104のベース基板101への順投影が対応する受光素子103のベース基板101への順投影内に位置するようにする必要がある。
【0029】
具体的には、遮光部104のベース基板101への順投影の形状と受光素子103のベース基板101への順投影の形状は、例えば、矩形(正方形を含む)、台形、多角形などのように様々である。理解されやすくなるように、本開示では、遮光部104のベース基板101への順投影と受光素子103のベース基板101への順投影が正方形であることを例として、受光素子103と遮光部104とのサイズ関係について説明する。
【0030】
図3図5に示すように、点光源からの射出光線のうち、戻り光線角度がθ1~θ2の光線に対応するものが最終的に受光素子103へ射出されることができ、外界環境光がOLEDの内部に進入できる最大光線角度はθ3であり、hは遮光部104の所在する層と受光素子103の所在する層との間の距離であり、受光素子103の形状が辺長dの正方形であり、遮光部104の形状が辺長Dの正方形であるとする。そうすると、論理的にD=d+2h*tan(θ1~θ2)という関係式を満たすべきである。プロセスの厚さ設計能力値に基づき、hの範囲を6μm~14μmとし、dの寸法範囲について、一般的に10μm≦d≦20μmであるように設計する。また、当業者であれば周知のように、点光源結像の有効範囲が42°~70°であり、それに対応して、θ1が40°、θ2が35°である。このように、公式(1)からDの寸法範囲が20μm≦D≦40μmであると求められる。
【0031】
受光素子103の性能及び満たすべき指紋光信号対雑音比に応じて、以下、遮光部104と受光素子103とのサイズ関係を最適化するように設計する。具体的には、表示する際の信号光の透過率を考えると、実際に作製する際に遮光部104を受光素子103よりも小さくする必要があり、本開示は、図5の設計について光効率評価を行い、光信号と環境光との遮蔽状況をそれぞれ分析して、dとDのサイズの対応関係を最適化する。図6は、dが18μmで変わらなく、Dがそれぞれ異なる値とされる場合に、信号光が順に発光層より上の各層から指へ、指で反射されてから受光素子103の上方の各膜層を順に通して受光素子103に照射される際の透過率を示している。具体的には、S1、S2、S3、S4、S5がそれぞれD値6μm、12μm、18μm、24μm、30μmに対応している。S6は、dが18μmであり、遮光部104がない場合の比較実施例を表す。図7は、dが18μmで変わらなく、Dがそれぞれ異なる値とされる場合に、外界環境光が受光素子103の上方の各膜層を順に通して受光素子103に照射される際の透過率を示している。具体的には、N1、N2、N3、N4、N5がそれぞれD値6μm、12μm、18μm、24μm、30μmに対応している。N6は、dが18μmであり、遮光部104がない場合の比較実施例を表す。図8は、dが18μmで変わらなく、Dがそれぞれ異なる値とされる場合の信号対雑音比を示している。具体的には、R1、R2、R3、R4、R5がそれぞれD値6μm、12μm、18μm、24μm、30μmに対応している。R6はdが18μmであり、遮光部104がない場合の比較実施例を表す。図6図8を参照すれば分かるように、光信号対雑音比が点光源結像の有効範囲(42°~70°)において比較的に大きな値となるように確保するために、遮光部104の大きさの最適値を12μmとし、即ち、遮光部104の辺長Dを受光素子103の辺長dより約1/3短くすることが好ましく、それに対応して、遮光部104の面積(D2)が受光素子103の面積(d2)より約1/9小さくすることが好ましい。つまり、信号対雑音比を向上させ、優れた指紋認識効果を得るために、遮光部104のベース基板101への順投影の形状と対応する受光素子103のベース基板101への順投影の形状とが類似し、かつ形状の中心が重なっている場合、遮光部104のベース基板101への順投影の形状を対応する受光素子103のベース基板101への順投影の形状より約1/3、例えば、0より大きく1/2以下、好ましくは1/3短くする必要がある。
【0032】
なお、本開示において、遮光部104のベース基板101への順投影の形状と受光素子103のベース基板101への順投影の形状とが類似することとは、両者の形状が同一または略同一であることをいう。
【0033】
任意選択で、本開示の実施例が提供する上記表示パネルにおいて、各受光素子103は、各発光素子102の所在する層とベース基板101との間に位置する。このようにして、ベース基板101にて受光素子103の作製を完了した後、関連技術により発光素子102を作製することで、従来技術との良好な互換性を実現し、作製プロセスが比較的に簡単になる。
【0034】
関連技術において、ベース基板101にはアレイ配列された複数の指紋認識領域を有するが、各指紋認識領域内の受光素子の分布が均一でないため、最終的には指紋の結像が均一でなくなる。具体的には、図9は、指紋であり、図10は、関連技術の指紋認識結像図を示しており、比較すれば分かるように、指紋認識効果が劣っている。
【0035】
これにより、本開示の実施例が提供する上記表示パネルにおいて、図11図12に示すように、1つの指紋認識領域内には、少なくとも2つの受光素子103を有し、また、それぞれの指紋認識領域内の各受光素子103が、当該指紋認識領域の中心Oに対して回転対称に配列されることで、受光素子103がそれぞれの指紋認識領域内で均一に分布され、それにより、図13に示すように、指紋の正確なる認識を実現させる。具体的には、図11は、1つの指紋認識領域内に5つの受光素子103を有することを具体的に示し、図12は、1つの指紋認識領域内に6つの受光素子103を有することを具体的に示している。勿論、具体的に実施する際に、1つの指紋認識領域内に例えば、4つ、8つなど、いずれの数の受光素子103を有してもよく、ここにて具体的に限定されない。
【0036】
任意選択で、本開示の実施例が提供する上記表示パネルにおいて、以下の2つの方式により、同一指紋認識領域内の各受光素子103の均一化設計を実現することができる。
【0037】
そのうち、一の実現態様として、図11に示すように、同一指紋認識領域内で、各行の受光素子103の数が異なり(図11は、2行の受光素子103を例示し、ここで、一の行は3つの受光素子103を有し、他の行は2つの受光素子103を有する)、全ての受光素子103の長さの和は、幅の和の2倍であり、即ち、2*(LAK+LCK+LBK+LA’K+LC’K)=LAL+LCL+LBL+LA’L+LC’Lであり、ここで、LAK、LALはそれぞれAで示す受光素子103の幅と長さであり、LBK、LBLはそれぞれBで示す受光素子103の幅と長さであり、LCK、LCLはそれぞれCで示す受光素子103の幅と長さであり、LA’K、LA’LはそれぞれA’で示す受光素子103の幅と長さであり、LC’K、LC’LはそれぞれC’で示す受光素子103の幅と長さである。
【0038】
他の実現態様として、図12に示すように、同一指紋認識領域内で、各行の受光素子103の数が同じであり(図12は、2行の受光素子103を例示し、各行は3つの受光素子103を有する)、当該指紋認識領域の中心Oに対して対称な2つの受光素子103の形状が同じである。具体的には、図5において、Aで示す受光素子103の位置とA’で示す受光素子103の位置とは、当該指紋認識領域の中心Oに対して対称であり、このように、Aで示す受光素子103の形状とA’で示す受光素子103の形状とは同じである。Bで示す受光素子103の位置とB’で示す受光素子103の位置とは、当該指紋認識領域の中心Oに対して対称であり、このように、Bで示す受光素子103の形状とB’で示す受光素子103の形状とは同じである。Cで示す受光素子103の位置とC’で示す受光素子103の位置とは、当該指紋認識領域の中心Oに対して対称であり、このように、Cで示す受光素子103の形状とC’で示す受光素子103の形状とは同じである。なお、本開示の「形状が同じである」ことは、面積が同じで寸法が同じであることを意味する。また、図5は、受光素子103の形状が矩形であることを例示しているが、具体的に実施する際に、正方形など他の形状であってもよく、具体的に限定されない。
【0039】
任意選択で、本開示の実施例が提供する上記表示パネルにおいて、図2に示すように、各発光素子102の所在する層と各遮光部104の所在する層との間に位置するカプセル層105をさらに備える。
【0040】
遮光部104がカプセル層105の上に設けられることにより、関連技術によりベース基板101からカプセル層105までの各膜層を完了してから、一のプロセスを追加して遮光部104を作製することに相当し、このように、従来の作製プロセスとの良好な互換性を実現させる。
【0041】
任意選択で、本開示の実施例が提供する上記表示パネルにおいて、図2に示すように、各遮光部104の所在する層のベース基板101から離れる側に位置するタッチ電極層106をさらに備え、タッチ機能と表示機能の集約が実現される。具体的には、タッチ電極層106と遮光部104の所在する層との間を第1の光学用粘着剤107により貼り合わせることができる。具体的に実施する際に、タッチ電極層106は自己容量電極層であってもよく、相互容量電極層であってもよく、ここにて具体的に限定されない。
【0042】
任意選択で、本開示の実施例が提供する上記表示パネルにおいて、図2図14に示すように、発光素子102は陽極1021を有し、表示パネルは、陽極1021と同層に設けられた複数のバイアス線108をさらに備える。
【0043】
それぞれのバイアス線108は、1行分の指紋認識領域に含まれた受光素子103に対応して電気的に接続されている。
【0044】
なお、本開示において、「同層」とは、同じ材料であって、同一成膜プロセスにより特定のパターンを形成するための膜層を得た後、同一のマスクプレートを用いて一次パターニングプロセスにより形成した層構造をいう。即ち、一次パターニングプロセスは1枚のマスクプレート(mask、フォトマスクともいう)に対応する。特定のパターンの相違に応じて、一次パターニングプロセスは、複数回の露光、現像、又はエッチングプロセスを含む可能性があり、形成された層構造における特定のパターンは、連続的なものであってもよいし非連続的なものであってもよく、これら特定のパターンは、異なる高さに位置したり異なる厚さを有したりする可能性もある。それに基づき、バイアス線108が陽極と同層に設けられ、作製プロセスが簡略化される。また、バイアス線108は、指紋認識過程において受光素子103に対してバイアス電圧を印加するためのものである。
【0045】
任意選択で、本開示の実施例が提供する上記表示パネルにおいて、図14に示すように、ベース基板101と各受光素子103の所在する層との間に位置する複数の第1のトランジスタ109と複数の第2のトランジスタ110とをさらに備える。
【0046】
各第1のトランジスタ109が各発光素子102に1対1に対応して電気的に接続され、発光素子102に対する独立な駆動が実現される。各第2のトランジスタ110が各受光素子103に1対1に対応して電気的に接続され、受光素子103の電気信号に対するアドレッシング・読み取りが実現される。第1のトランジスタ109の各膜層と第2のトランジスタ110の同一膜層とが同層に設けられ、作製プロセスが簡略化される。具体的には、第1のトランジスタ109の活性層1091と第2のトランジスタ110の活性層1101とが同層に設けられ、第1のトランジスタ109のゲート1092と第2のトランジスタ110のゲート1102とが同層に設けられ、第1のトランジスタ109のソースドレイン1093と第2のトランジスタ110のソースドレイン1103とが同層に設けられる。
【0047】
一般的には、本開示の実施例が提供する上記表示パネルにおいて、図2図14に示すように、保護カバー111、第2の光学接着剤112、スペーサ113、環境光を遮蔽する作用を有する画素定義層(MCC-PDL)114、平坦層115、バッファ層116、側壁保護層117、絶縁層119、層間誘電体層119、第1のゲート絶縁層120、第2のゲート絶縁層121を備えてもよい。発光素子102は、一般的に、陽極1021、発光機能層1022(少なくともホール注入層、ホール輸送層、電子阻止層、有機EL発光層または量子ドット発光層、ホール阻止層、電子輸送層及び電子注入層を備える)、陰極1023備える。受光素子103は、PIN型フォトダイオードである場合、下部電極1031、P型半導体層1032、真性半導体層1033、N型半導体層1034、上部電極1035を備えてもよい。ここで、バイアス線108と上部電極1035とが平坦層115のバイアホールを介して接続される。図2図3図14を参照すれば分かるように、遮光部104の所在する層と受光素子103の所在する層との間の距離hは、即ち、側壁保護層117、平坦層115、画素定義層114、陰極1023、カプセル層105の厚さの合計である。
【0048】
同一発明構想に基づき、本開示の実施例は、本開示の実施例が提供する上記表示パネルを備える表示装置をさらに提供する。該表示装置は、携帯電話、タブレット、テレビ、ディスプレイ、ノートパソコン、デジタルフォトフレーム、ナビゲータ、スマートウォッチ、フィットネスリストバンド、パーソナルデジタルアシスタントなど任意の表示機能付き製品や部品であってもよい。表示装置の他の不可欠な構成部分については、いずれも、本分野の当業者が理解すべきものであり、ここにて繰り返して説明することなく、また、本開示を制限するものとすべきでもない。また、該表示装置の課題解決の原理と上記表示パネルの課題解決の原理とが類似しているため、該表示装置の実施について、重複箇所を繰り返して説明することなく、上記表示パネルの実施例をご参照ください。
【0049】
本開示の実施例が提供する上記表示パネル及び表示装置は、ベース基板と、ベース基板の上に位置する複数の発光素子と、ベース基板の上に位置する複数の受光素子と、各受光素子の所在する層のベース基板から離れる側に位置する複数の遮光部と、を備え、各受光素子のベース基板への順投影が、隣接する発光素子のベース基板への順投影の隙間に位置し、各遮光部が受光素子に1対1に対応して設けられ、遮光部のベース基板への順投影が、対応する受光素子のベース基板への順投影とが少なくとも一部重なっている。受光素子と少なくとも一部重なっている遮光部を設けて外界環境光を遮蔽し、環境光が受光素子に照射されることをある程度で避けることにより、受光素子により受光された大部分の光線が信号光となるようにし、信号光への環境光の影響を効果的に避け、光信号対雑音比を向上させる。
【0050】
明らかに、当業者は、本開示の実施例に対して、本開示の実施例の範囲から逸脱することなしに、種々の変更や変形を行うことができる。このように、本開示の実施例のこれらの修正及び変形が本開示の特許請求の範囲及びその均等の技術の範囲内に属する場合、本開示は、これらの修正及び変形を含むことを意図する。
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