(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-01
(45)【発行日】2024-08-09
(54)【発明の名称】インスリン分泌性ペプチドの安定な水性非経口医薬組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 38/22 20060101AFI20240802BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240802BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20240802BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20240802BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240802BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20240802BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240802BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20240802BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20240802BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20240802BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20240802BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20240802BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20240802BHJP
C07K 14/575 20060101ALN20240802BHJP
【FI】
A61K38/22 ZNA
A61K9/08
A61K47/10
A61K47/04
A61K47/26
A61K47/22
A61K47/12
A61K47/18
A61K47/34
A61K47/36
A61P3/10
A61P3/04
A61P3/06
C07K14/575
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022173389
(22)【出願日】2022-10-28
(62)【分割の表示】P 2019168093の分割
【原出願日】2014-07-31
【審査請求日】2022-11-25
(31)【優先権主張番号】201310351740.5
(32)【優先日】2013-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513243561
【氏名又は名称】上海仁会生物制▲やく▼股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI BENEMAE PHARMACEUTICAL CORPORATION
【住所又は居所原語表記】No.916 Ziping Road,Zhoupu Town,Pudong New Area,Shanghai 200321,P.R.China
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】100119183
【氏名又は名称】松任谷 優子
(74)【代理人】
【識別番号】100149076
【氏名又は名称】梅田 慎介
(74)【代理人】
【識別番号】100173185
【氏名又は名称】森田 裕
(74)【代理人】
【識別番号】100162503
【氏名又は名称】今野 智介
(74)【代理人】
【識別番号】100144794
【氏名又は名称】大木 信人
(72)【発明者】
【氏名】熊春林
(72)【発明者】
【氏名】賀云霞
(72)【発明者】
【氏名】左▲や▼▲じゅん▼
(72)【発明者】
【氏名】余▲がん▼
【審査官】春田 由香
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-534450(JP,A)
【文献】特表2003-526599(JP,A)
【文献】特表2008-519809(JP,A)
【文献】特表2004-535442(JP,A)
【文献】特表2007-518722(JP,A)
【文献】特表2009-518315(JP,A)
【文献】特表2009-520693(JP,A)
【文献】特表2004-513069(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 38/00-38/58
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長期間貯蔵可能な安定なインスリン分泌性ペプチド水性非経口医薬組成物であって、前記水性非経口医薬組成物が、インスリン分泌性ペプチド、薬剤的に許容可能な等張剤、薬剤的に許容可能な保存剤、薬剤的に許容可能な溶解促進剤、及び薬剤的に許容可能な緩衝塩溶液を含み;保存剤はフェノールであり;
前記水性非経口医薬組成物が、3.0~4.1のpH値を有し;塩化ナトリウム塩濃度が、20mmol/Lより低く;前記インスリン分泌性ペプチドが、0.1mg/mL~20mg/mLの濃度を有し;
前記等張剤が、ポリオール、塩化ナトリウム、糖またはそのいずれかの組み合わせであり;前記ポリオールが、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、キシリトール、グリセリン、またはそのいずれかの組み合わせであり;及び前記糖が、ショ糖、トレハロース、ラクトース、フルクトース、グルコースまたはそのいずれかの組み合わせであり;
前記緩衝塩が、ヒスチジン-塩酸(ヒスチジン-HCl)、クエン酸ナトリウム-クエン酸、リン酸水素二ナトリウム-クエン酸、NaOH-クエン酸、酢酸ナトリウム-酢酸(NaAC-HAC)、コハク酸塩-コハク酸、乳酸塩-乳酸、グルタミン酸塩-グルタミン酸、リンゴ酸塩-リンゴ酸、安息香酸塩-安息香酸、酒石酸塩-酒石酸またはグリシン-塩酸(Gly-HCl)またはそのいずれかの組み合わせであり;前記インスリン分泌性ペプチドが、GLP-1である、
を有する前記水性非経口医薬組成物。
【請求項2】
前記インスリン分泌性ペプチドが、1mg/mL~5mg/mLの濃度を有する、請求項1に記載の水性非経口医薬組成物。
【請求項3】
前記ポリオールが、10mg/mL~100mg/mLの濃度を有し;前記塩化ナトリウムが、1mg/mL~30mg/mLの濃度を有し;前記糖が、10mg/mL~100mg/mLの濃度を有する、請求項1または2に記載の水性非経口医薬組成物。
【請求項4】
前記溶解促進剤が、ポリオキシエチレンソルビタンラウラート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミタート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート、ソルビタンモノラウラート、ソルビタンモノパルミタート、ソルビタンモノオレアート、ポロキサマー188、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロック共重合体、ポリオキシエチレングリコールドデシルエーテル、デキストラン-20、PEG400、PEG1000、PEG1500、PEG2000、プロピレングリコールまたはそのいずれかの組み合わせであり;前記溶解促進剤が、0.01mg/mL~10mg/mLの濃度を有する、請求項1に記載の水性非経口医薬組成物。
【請求項5】
ポリオールがマンニトールであり、溶解促進剤がプロピレングリコールである、請求項1~3のいずれか一項に記載の水性非経口医薬組成物。
【請求項6】
フェノールが、1mg/mL~20mg/mLの濃度を有する、請求項1記載の水性非経口医薬組成物。
【請求項7】
緩衝塩が、2~200mmol/Lの濃度を有する、請求項1記載の水性非経口医薬組成物。
【請求項8】
糖尿病治療用医薬製造のための請求項1~6のいずれか一項に記載の水性非経口医薬組成物の使用。
【請求項9】
脂肪過多症治療用医薬製造のための請求項1~6のいずれか一項に記載の水性非経口医薬組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インスリン分泌性ペプチド反復投与型水性非経口医薬組成物及びその使用に
関する。
【背景技術】
【0002】
グルカゴン様ペプチド1(GLP-1とも呼ばれる)及びエキセンジンは、どちらも、
インスリン分泌性ペプチドであり、そのアミノ酸配列中、53%相同性を有する。薬理学
に基づき、GLP-1及びエキセンジン-4の両方が、インスリン分泌性βTC1細胞の
GLP-1受容体に作用することが証明された。このタイプのホルモンは、インスリン分
泌を促進し、グルコース濃度依存性低血糖作用を発現し得る。
【0003】
インスリンと同様に、GLP-1及びエキセンジンは、食前に注射されたときのみ有効
である。しかしながら、タンパク質またはポリペプチドが不安定なせいで、経口医薬組成
物として開発され得ず、注射により使用されなければならない。たとえ、開発中の薬物が
注射可能な形態であっても、使用に不便な凍結乾燥された注射用粉末になる傾向にある。
【0004】
タンパク質及びポリペプチドの不安定性は、2つの一般的側面、すなわち、物理的及び
化学的側面を含む。物理的不安定性としては、例えば、変性、表面吸着、凝集、沈殿、ゲ
ル化などが挙げられ、化学的不安定性としては、例えば、加水分解、脱アミノ化、酸化、
ラセミ化、異性化、β脱離、ジスルフィド結合交換などが挙げられる。かかる一連の不安
定因子は、全て、該タンパク質またはポリペプチドの構造変化を伴って変化することにな
り、従って、多くのタンパク質またはポリペプチド薬剤は、該処方物の使用が、有効期間
の要求を満たすよう、凍結乾燥方法を利用して製造される。
【0005】
しかしながら、凍結乾燥方法を用いて凍結乾燥された注射用粉末の製造は、多くの不利
益に悩まされている:例えば、高製造コスト、患者にとっての不便(該注射用粉末は、単
回投与であり、毎回使用前に、該患者は、水で該注射用粉末を溶解し、ペニシリンボトル
から混合物を取り出して、該混合物を注射する必要がある)、すなわち、順応性に乏しく
、従って、市場競合性に劣る。従って、反復投与型非経口液剤の開発は、患者に利便性を
提供するだけでなく、製造コストを削減して、市場競争性に対して極めて重要な意義があ
る。
【0006】
インスリン分泌性ペプチド、特に、GLP-1は、これらのポリペプチドの特性、特に
、ゲル形成などの物理的不安定性を有し、従って、反復投与型水性非経口医薬組成物を成
功裏に開発するために、該組成物が薬剤的に利用可能な有効期間を得るように、上記のこ
れらの物理的及び化学的不安定性を解決しなければならない。
【0007】
反復投与型水性非経口医薬組成物の開発では、貯蔵期間及び使用期間中の微生物汚染が
ないことを保証するために、医薬組成物への保存剤の添加が考慮されなければならない。
しかしながら、ほとんどの保存剤は、タンパク質またはポリペプチドに対して有害であり
、該タンパク質と相互作用して、それらを不安定にし、凝集を引き起こす。例えば、メタ
クレゾール及びフェノールなどのフェノール性保存剤は、ヒト成長ホルモンの凝集を引き
起こし(Kirschら、1993)、フェノールは、インスリン型薬剤中のβフォール
ドを増加させ、ベンジルアルコールは、組換え型ヒトインターフェロンγを凝集させる。
従って、医薬組成物のスクリーニングでは、該保存剤の抗菌効果と該タンパク質またはポ
リペプチドの安定性との間の関係性のバランスをとるべきである。非経口液剤の開発の最
も乗り越えづらい困難は、該処方物を、保存剤添加後、4℃において、2年間以上、貯蔵
可能にすることである。多くの原薬またはタンパク質またはポリペプチドの原液は、4℃
で、2年間以上の貯蔵に問題ないが、該保存剤の添加により、該薬物の安定性が激しく影
響を受けるという理由だけで、該保存剤の添加後、有効期間の要求を満足することが困難
となる。
【0008】
ほとんどのタンパク質またはポリペプチド用に選択された溶解促進剤は、界面活性剤及
びPEGである。界面活性剤は、主として、ツイーン、スパン、ポロキサマー、プルロニ
ック、ブリジなどである。これらの物質に加えて、本発明で選択された界面活性剤は、プ
ロピレングリコール及びデキストランをさらに含む。プロピレングリコール及びデキスト
ランは、GLP-1溶解促進剤として使用されるとき、非常に良好な効果を有する。
【0009】
Brader, Mark, L.により出願された特許WO00/37098も、G
LP-1の不安定性について言及している:物理的不安定性は、pH6.8から7.5の
間で劣っており、該処方物は、保存剤添加後、8.0より低いpH値において、濁りが生
じ、化学的安定性は、pH値が8.8より高いとき低下し、従って、安定なpH領域は、
pH8.2~8.8と狭い。その要求される範囲は、0.3mg/mL~0.65mg/
mLであり、特に、安定な濃度は、0.5mg/mLである。彼らは、合成GLP-1を
使用して、該試験を実行して、GLP-1が、実際に不安定であることも示した。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、GLP-1が、より大きな安定性を有することを可能とする水性非経口医薬
組成物を提供し、該水性非経口医薬組成物は、先行技術により得られた薬剤濃度よりずっ
と高いGLP-1濃度を有する。
【発明の具体的説明】
【0011】
1つの態様では、本発明は、長期間貯蔵可能であるインスリン分泌性ペプチド反復投与
型水性非経口医薬組成物を提供し、より優れた安定性を有する。該処方された水性非経口
医薬組成物は、貯蔵期間の要求を満たし得る。該水性非経口医薬組成物は、インスリン分
泌性ペプチド、薬剤的に許容可能な等張剤、薬剤的に許容可能な溶解促進剤、薬剤的に許
容可能な保存剤及び薬剤的に許容可能な緩衝塩を含む。その中で、該水性非経口医薬組成
物は、3~5のpH値を有する。
【0012】
本発明の水性非経口医薬組成物では、該インスリン分泌性ペプチドは、GLP-1、エ
キセンジン-4、GLP-1類似体、エキセンジン-4類似体、GLP-1誘導体または
エキセンジン-4誘導体である。
【0013】
本願では、「類似体」という語は、本ペプチドの1個以上のアミノ酸残基が、他のアミ
ノ酸残基により置換されている、及び/または本ペプチドの1個以上のアミノ酸残基が欠
失している、及び/または1個以上のアミノ酸残基が、本ペプチド中に付加しているペプ
チドを表すために使われている。この付加は、本ペプチドのN末端またはC末端または両
方で起こり得る。一般に、「類似体」は、本ペプチドの6個以下のアミノ酸が、置換及び
/または付加及び/または欠失されたペプチドであり、より好ましくは、本ペプチドの3
個以下のアミノ酸が、置換及び/または付加及び/または欠失されたペプチドであり、最
も好ましくは、本ペプチドの1個のアミノ酸が、置換及び/または付加及び/または欠失
されたペプチドである。
【0014】
本願で、「誘導体」という語は、本ペプチドの1個以上のアミノ酸残基が、その中に導
入置換基を有することを表すために使用されており、該置換基の典型的変化体は、アミド
、糖類、アルキル、アシル、エステル、PEG化などを含む。
【0015】
該インスリン分泌性ペプチドは、GLP-1、GLP-1類似体及びGLP-1誘導体
であり得る。
好ましくは、GLP-1及びGLP-1類似体は:
【化1】
(式中、6位は、Rまたは欠失であり;
8位は:A、GまたはVであり;
22位は:GまたはEであり;
26位は:K、R、QまたはNであり;
34位は:K、R、QまたはNであり;
36位は:R、R-NH
2、KまたはK-NH
2であり;及び
37位は:Gまたは欠失である)
の配列を有する。
【0016】
該インスリン分泌性ペプチドは、選択的に、エキセンジン-4、エキセンジン-4類似
体及びエキセンジン-4誘導体であり得る。
好ましくは、エキセンジン-4及びエキセンジン-4類似体は:
XXXGTXXXXX SKQXEEEAVX LXXXXLKNGG XXXXXX
XXX
(式中、1位は、H、RまたはYであり;
2位は、S、G、AまたはTであり;
3位は、DまたはEであり;
6位は、FまたはYであり;
7位は、T、YまたはSであり;
8位は、SまたはYであり;
9位は、DまたはEであり;
10位は、LまたはIであり;
14位は、L、I、VまたはMであり;
20位は、RまたはKであり;
22位は、FまたはYであり;
23位は、I、V、LまたはMであり;
24位は、EまたはDであり;
25位は、W、FまたはYであり;
31位は、Pまたは欠失であり;
32位は、Sまたは欠失であり;
33位は、Sまたは欠失であり;
34位は、Gまたは欠失であり;
35位は、Aまたは欠失であり;
36位は、Pまたは欠失であり;
37位は、Pまたは欠失であり;
38位は、Pまたは欠失であり;及び
39位は、S、Rまたは欠失である)
の配列を有する。例えば、エキセンジン-4及びエキセンジン-4類似体は:
HGEGTFTSDL SKQMEEEAVR LFIEWLKNGG PSSGAPP
PS
の配列を有し得る。
【0017】
周知の通り、該インスリン分泌性ペプチドは、安定性に乏しく、その水性液剤が、その
貯蔵期間(2~8℃で2年)を乗り越えるのは非常に難しい。しかしながら、本発明は、
該インスリン分泌性ペプチド、類似体及び誘導体が、安定であり、貯蔵期間の要求を満足
させることを可能とする医薬組成物を開発した。例えば、本発明の処方物では、該GLP
-1濃度は、2mg/mLまでであり、保存剤が添加される場合、4℃において、2年間
貯蔵できる。
【0018】
濃度は、安定性に影響する因子である。もし、薬物分子が、良好な安定性を有するなら
ば、その定常濃度は高く、それどころか、その定常濃度は低い。特定の薬物分子について
、該薬剤は、高濃度より、低濃度において、より大きな安定性を有する。
【0019】
本発明の医薬組成物では、該インスリン分泌性ペプチドは、約0.1~20mg/mL
、より好ましくは、約0.2~10mg/mL、より好ましくは、約0.05~0.5m
g/mL、より好ましくは、約1~5mg/mL、より好ましくは、約2~4mg/mL
の濃度を有する。本願では、「約」は、表示された数値からの差が、±10%の範囲であ
ることを表す。
【0020】
安定性に重要な役割を果たす別の因子は、該医薬組成物のpH値の維持であり、特に、
該pH値を、約3.5~4.0に維持することが非常に良好であり、GLP-1は、この
範囲内で良好な安定性を維持し得ることが、本発明において分かっている。安定性が保持
されるpH値は、非常に狭い範囲であることも分かっている。該薬剤は、約4.5から6
.5の間のpH値において、非常に不安定であり、該GLP-1薬物分子が、このpH範
囲中に移動する限り、濁りまたは沈殿が起こるだろう。該pH値が、約3.5より低いと
き、酸加水分解が起こり、同様に不安定である。また、該注射用処方物は、該pH値が、
約3.0より低くてはならない、最も好ましくは、約4.0より低くてはならなく、及び
約3.5以下より低いpH値は、動物及びヒト身体に対して好ましくない。
【0021】
本発明の医薬組成物は、約3.5~5.0、より好ましくは、約3.5~4.5、より
好ましくは、約3.6~4.2、より好ましくは、約3.6~4.0、より好ましくは、
約3.6~3.9のpH値を有する。このpHにおいて、GLP-1の安定性は、期待さ
れるものに達し、2~8℃において、2年間以上貯蔵できる。
【0022】
該GLP-1医薬組成物処方物の処方工程では、一般に、該医薬組成物のpHを維持す
るため、緩衝塩を添加する必要がある。加えて、該緩衝剤の種類も、GLP-1の安定性
に影響するだろう。リン酸塩は、安定性に乏しく、該緩衝塩は、このpH範囲内で、緩衝
塩を提供することができるべきであり、それ故、ヒスチジン-HCl、酢酸ナトリウム-
酢酸、グリシン-HCl、リン酸水素二ナトリウム-クエン酸、コハク酸塩-コハク酸、
乳酸塩-乳酸、グルタミン酸塩-グルタミン酸、リンゴ酸塩-リンゴ酸、安息香酸塩-安
息香酸、酒石酸塩-酒石酸などが使用され得る。この緩衝塩は、薬剤的に許容可能な緩衝
塩でなければならない、すなわち、GLP-1に対して有害な影響を有さず、該要求を満
たす薬効薬理及び毒物性を有する。該緩衝塩は、好ましくは、ヒスチジン及び酢酸ナトリ
ウム-酢酸、最も好ましくは、酢酸ナトリウム-酢酸である。
【0023】
該緩衝塩の濃度は、GLP-1ペプチドに対して、非常に大きな影響を有する。GLP
-1は、該塩に対して、著しく感じられ、高濃度で、該塩に対して極めて不安定である。
本発明で選択された緩衝塩の濃度は、約2~200mmol/L、より好ましくは、約5
~200mmol/L、より好ましくは、約5~50mmol/L、より好ましくは、約
5~20mmol/L、最も好ましくは、約7.5~10mmol/Lである。
【0024】
反復投与型非経口液剤のため、該保存剤は、該医薬組成物処方物の必須成分である。保
存剤は、微生物生育または化学変化が原因による分解を遅らせ、食品、薬剤、顔料、生物
標本などの有効期間を延長するために、食品、薬剤、顔料、生物標本などへの添加用の天
然または合成化学成分を表す。もし、該ポリペプチド薬中に、保存剤を添加しないならば
、反復投与のため、微生物の品質管理要求を満足させるのは、極めて難しくなる。該保存
剤の使用は、保存剤の種類、該医薬組成物のpH値、包装材料及びシーリング材料と非常
に大きな関係がある。ニパジン及び安息香酸などのタイプの保存剤は、酸性条件において
、高い保存効果を有し、アルカリ条件においては、有効性が低下する。様々な保存剤は、
全て、その有効抗菌濃度を有し、使用時の該濃度は、これらの濃度より低くてはならない
。また、該保存剤は、ヒトの身体に対する害を起さないように、過剰でない量で使用され
るべきである。薬剤中で使用され得る保存剤は、該ポリペプチドの安定性に影響し得る。
一般に、保存剤として、該医薬組成物中、フェノール類が使用されるが、フェノール性保
存剤は、同様に、ポリペプチド及びGLP-1の安定性に対して、激しい影響を有する。
従って、保存効果を有するだけでなく、GLP-1の安定性にあまり影響を及ぼさない、
すなわち、使用後、該医薬組成物が、貯蔵期間の要求を満足させることができるGLP-
1薬液用保存剤を注意深く選択することは、解決されなければならない難しい問題である
。本発明は、この難しい問題を、成功裏に解決した。
【0025】
該インスリン分泌性ペプチドが、GLP-1、GLP-1類似体またはGLP-1誘導
体であるとき、該保存剤は、フェノール、ベンジルアルコール、p-ヒドロキシ安息香酸
メチル、p-ヒドロキシ安息香酸エチル、p-ヒドロキシ安息香酸プロピル、p-ヒドロ
キシ安息香酸ブチル、クロロブタノール、2-フェノキシエタノール、2-フェネチルア
ルコール、ベンザルコニウム塩化物(臭化物)、マーシオレートまたはそのいずれかの組
み合わせであり得る。該インスリン分泌性ペプチドが、エキセンジン-4、エキセンジン
-4類似体またはエキセンジン-4誘導体であるとき、該保存剤は、フェノール、メタク
レゾール、ベンジルアルコール、p-ヒドロキシ安息香酸メチル、p-ヒドロキシ安息香
酸エチル、p-ヒドロキシ安息香酸プロピル、p-ヒドロキシ安息香酸ブチル、クロロブ
タノール、2-フェノキシエタノール、2-フェネチルアルコール、ベンザルコニウム塩
化物(臭化物)、マーシオレートまたはそのいずれかの組み合わせであり得る。GLP-
1医薬組成物のため、好ましくは、ベンジルアルコール、p-ヒドロキシ安息香酸メチル
、p-ヒドロキシ安息香酸エチル、p-ヒドロキシ安息香酸プロピル及びフェノールが使
用され、より好ましくは、ベンジルアルコール、フェノール、または上記の2つが併用さ
れる。エキセンジン-4医薬組成物のため、好ましくは、メタクレゾール、ベンジルアル
コール、p-ヒドロキシ安息香酸メチル、p-ヒドロキシ安息香酸エチル、p-ヒドロキ
シ安息香酸プロピル及びフェノールが使用され、より好ましくは、メタクレゾール、ベン
ジルアルコール、フェノール、または上記の2つが、併用される。
【0026】
該保存剤の濃度も、考慮されるべき因子である。異なる種類の保存剤は、異なる使用時
の抗菌濃度を有し得る。もし、メタクレゾールまたはフェノールが選択されるならば、該
使用濃度は、約1mg/mL~10mg/mL、より好ましくは、約1mg/mL~5m
g/mL、最も好ましくは、約1.5mg/mL~3mg/mLである。もし、ベンジル
アルコールが選択されるならば、該使用濃度は、約5mg/mL~20mg/mL、より
好ましくは、約5mg/mL~10mg/mL、最も好ましくは、約7.5mg/mL~
10mg/mLである。
【0027】
該医薬組成物の処方物では、等張剤は、該医薬組成物が、ヒトの張度に近い張度を有す
るように、注意深く選択されるべきである。加えて、多くの等張剤は、同時に安定化剤と
して機能する。該等張剤の固有の張度だけでなく、該組成物の全体的張度に対する該医薬
組成物の他成分の影響も、該等張剤の濃度の選択時に考慮されるべきである。本発明に使
用される等張剤としては、ポリオール類、例えば、マンニトール、ソルビトール、イノシ
トール、キシリトール、グリセリン、プロピレングリコールなど;塩化ナトリウム;糖、
ショ糖、トレハロース、ラクトース、フルクトース及びグルコースなどが挙げられ、マン
ニトール、グリセリン及びソルビトールは、好ましく使用され、最も好ましくはマンニト
ールである。
【0028】
ポリオールまたは糖が、等張剤として使用されるとき、約10mg/mL~100mg
/mL、より好ましくは、約30mg/mL~50mg/mLの濃度で使用される。塩化
ナトリウムが、等張剤として使用されるとき、約1~30mg/mL、より好ましくは、
約1~15mg/mL、より好ましくは、約5mg/mL~15mg/mL、より好まし
くは、約7mg/mL~9mg/mLの濃度で使用される。
【0029】
GLP-1が、強力な疎水性を有し、巨大分子会合体またはゲル生成に自己会合の影響
を受けやすいので、溶解促進剤は、GLP-1の溶解に非常に良好な効果を有する。本発
明で使用される溶解促進剤としては、ツイーン20、ツイーン40、ツイーン80、スパ
ン20、スパン40、スパン80、ポロキサマー188、プルロニックF68、ブリジ3
5、デキストラン、PEG400、PEG1000、PEG1500、PEG2000、
プロピレングリコールなどが挙げられ、プロピレングリコール及びPEG400が、好ま
しく使用され、最も好ましいのは、プロピレングリコールである。該溶解促進剤は、約0
.1mg/mL~10mg/mL、好ましくは、約0.2mg/mL~5mg/mLで使
用される。
【0030】
別の態様では、本発明は、本発明で処方される水性非経口医薬組成物の使用、特に、糖
尿病及び脂肪過多症の治療用薬剤の製剤での使用をさらに提供する。
【0031】
本発明の水性非経口医薬組成物は、保存剤添加後の有効期間の要求を満足するのが困難
であるという先行技術における非経口液剤の問題を克服し、さらに、保存剤が、2mg/
mlまでの濃度で、その中に添加される場合に、4℃で2年間貯蔵可能である。
【0032】
本発明は、特定の実施形態と共に、以下に、さらに記載される。しかしながら、本発明
は、これらの特定の実施形態または実施例に限定されない。
好ましい態様の詳細の説明
【実施例】
【0033】
実施例1
GLP-1の安定性に対するpH値及びイオン性強度の影響
【0034】
GLP-1凍結乾燥粉末を取り、0.01M酢酸ナトリウム-酢酸緩衝液と一緒に溶解
して、10mg/mLにして、GLP-1を、透析法またはG25クロマトグラフィー法
により、様々なpH値において、緩衝剤中に入れた。各緩衝液も、4つの塩濃度になるよ
うにした。集めた試料を、HPLC法により定量して、GLP-1濃度を、4mg/mL
に調節し、次いで、必要な濃度まで、アジュバントを添加した。GLP-1の最終濃度は
、2mg/mLであった。該緩衝液の種類及び医薬組成物のデザインは、表1に示す通り
である。
【表1】
【0035】
試料を、処理のため、2つの温度、すなわち、25℃及び35℃で配置され、8日目に
、検出のため取り出した。
【0036】
物理的安定性についての調査方法:測定前、該試料を、目視で外観を観察した。もし、
明らかな沈殿または濁りがあるならば、測定しなかった。もし、該試料に、目視で観察可
能な異常な現象がないならば、該試料を取り、360nmの吸収値の測定及びHPLC検
出(前者は物理的安定性を調査し、後者は化学的安定性を調査した)を行った。
【0037】
360nmの波長において測定した吸収値を、該試料中の物理的安定性の差を比較する
ために比較した。より高い吸収値ほど、より不良な物理的安定性を示した。
【0038】
化学安定性についての調査方法:テスト試料を取り、C18カラム(3.5μm、30
0Å、Φ4.6x50mm)で分析した。分析方法:移動相Aは、0.1%トリフルオロ
酢酸、Bは、それに80%アセトニトリルを添加したA相であり、検出波長は280nm
であり、60%A及び40%Bを3分間平衡して、該試料量は、2~5μLであった。4
0%~53%のB相及び60%~47%のA相で、8分間、溶離した。正規化方法を用い
て、ピーク面積を算出した。標準試料を、同じ方法で測定した。該試料のペプチド濃度を
、標準試料との比較により算出し、0日目の測定結果と比較して、該試料のペプチド含有
量の残存率を算出した。該ペプチド含有量のより高残存率は、より良好な化学的安定性を
示した。
【0039】
様々なpH値における液剤中のGLP-1の安定性結果は、次の通りであった。
【表2】
【0040】
注:対照バックグラウンド色の吸収値は、0~0.1であり、乳白色または濁りを、0
.12より大きいとき、目視で見ることができた。
【0041】
結論:GLP-1が、pH5.0~6.5であるとき、濁りまたは沈殿が、GLP-1
試料を調製中に起こり、これらのPH値で不安定であることを示した;一方では、pHが
4.5であるとき、調製した該試料は、明澄透明であったが、医薬組成物として処方され
て、熱処理を受けたとき、高塩濃度の場合、濁りが起こった。pH3.5及びpH4.0
において、0.5M NaClの存在下、試料で、濁りが起こり、pH3.0においての
み、濁りも沈殿も見られなかった。360nmで測定した吸収値からも分かるように、該
吸収値は、pH3.0から4.5の間で、pH値の増加と共に増加し、物理的安定性が低
下させることを示した。同じpH値において、該吸収値も、NaCl塩濃度の増加と共に
増加し、該塩が、物理的安定性を低下させることを示した。しかしながら、それから、H
PLC分析は反対であり、該ペプチド含有量の残存率は、pH値の増加と共に増加し、超
強酸条件が、GLP-1の化学的安定性に対して好ましくないことを示した。しかし一方
で、同じpH値において、該ペプチド含有量の残存率は、場合により、GLP-1吸着に
対する該塩の特定阻害効果に起因して、塩濃度の増加と共に増加した。pH7.0及び7
.5において、物理的安定性は、全て正常であったが、該ペプチド含有量の残存率は、p
H3.0~4.5における試料と比較して、有意に低く、従って、化学的安定性は、pH
7.0~7.5において劣っていた。
【0042】
次表は、該GLP-1医薬組成物のpHが、3.6~4.2の範囲にあり、塩化ナトリ
ウム塩濃度が、20mmol/L(1.17mg/mL)より低かったときの該医薬組成
物の物理的安定性及び化学的安定性を示す。該pH値の物理的安定性のモニター方法は、
蛍光値であった、すなわち、チオフラビンTを、5μmol/Lの最終濃度で、該試料に
添加して、該蛍光吸収値を測定した(435nmの励起波長、及び485nmの発光波長
)。該吸収値が高いほど、該試料のゲル化現象は激しく、物理的安定性は不良である。
【表3】
【0043】
表3の結果から分かるように、pH3.6~4.2の範囲の間で、該pH値が低いほど
、物理的安定性は良好であり、化学的安定性は劣っており、これと反対に、該pH値が高
いほど、化学的安定性は良好であり、物理的安定性は劣っている。従って、GLP-1が
安定であるpH範囲は、物理的及び化学的安定性の両方の総合的な考察の結果であるべき
と考えられる。
【0044】
実施例2
処方物医薬組成物の調製
【0045】
20mLの4mg/mLのGLP-1ペプチド(20mmol/L緩衝液中、pH3.
5~4.5)を、20mLの80mg/mLマンニトール-5.2mg/mLフェノール
と混合した。該混合物を、NaOHまたは酢酸で、pH3.5~4.5に調整し、0.2
2μm濾過膜により濾過して、2mLのペニシリンボトル中に分注した。該成分の各々は
:
GLP-1 2mg/mL
マンニトール 40mg/mL
フェノール 2.6mg/mL
NaAC-HAC 10mmol/L
pH 3.5~4.5
であった。
【0046】
分注した試料を、それぞれ、25℃及び35℃で放置した。試料を、物理的及び化学的
安定性を調査するため、検査及び分析用に異なるタイミングで取った。
【0047】
実施例3
GLP-1の物理的安定性に対する緩衝系及び抗菌剤の影響
【0048】
異なる緩衝系(該緩衝液は、最終医薬組成物の2倍の濃度を有した)に置換されたGL
P-1溶液(原液と呼ぶ)を、緩衝液を用いて、4mg/mLまで希釈し、2倍の最終濃
度の濃縮アジュバント原液の等容量を、それに添加した。該溶液を、均一に混合し、0.
22μm濾過膜により濾過し、2mLのペニシリンボトル中に分注して、調査用に異なる
温度で放置した。一連のサンプリング時点を取り決めた。サンプリング後、該試料を、初
めに、外観を目視で観察した。もし、明らかな濁りまたは沈殿が起こっていたならば、該
試料を、物理的安定性用として不適格と見なし、HPLC分析の次工程に供しなかった。
計画及び結果は、表4に示す通りである:
【表4】
【0049】
表4の結果から分かるように、メタクレゾールは、GLP-1の安定性に厳しく影響し
、処方直後に濁った、一方で、GLP-1の該医薬組成物液剤が、明澄透明な状態で維持
したので、フェノール及びベンジルアルコールは良好であった。
【0050】
実施例4
GLP-1の物理的安定性に対するアジュバントの影響
【表5】
【0051】
表5の結果は、カルボキシメチルセルロース及びヘパリンナトリウムが、GLP-1の
アジュバントとして適さないことを示している。
【0052】
実施例5
GLP-1の安定性に対するアジュバント(添加剤)の影響
医薬組成物の処方物:
【0053】
異なる緩衝系(該緩衝液は、最終医薬組成物の2倍の濃度を有した)に置換されたGL
P-1溶液(原液と呼ぶ)を、緩衝液を用いて、4mg/mLまで希釈し、2倍濃度の濃
縮アジュバント原液の等容量を、それに添加した。該溶液を、pH3.5~4.0に調整
し、均一に混合し、0.22μm濾過膜により濾過し、2mLのペニシリンボトル中に分
注して、調査用に異なる温度で放置した。一連のサンプリング時点を取り決めた。該試料
を、初めに、外観を目視で観察した。もし、明らかな濁りもゲル化も起こっていないなら
ば、該試料を、物理的安定性用として適格と見なし、化学的安定性を分析するため、HP
LC検出を行った。
【0054】
HPLC検出方法を、実施例1に従って実施した。
【表6】
【0055】
10mmol/LヒスチジンpH4.0の全医薬組成物を、4℃において、一夜放置し
たところ、乳濁が観察された。該医薬組成物が、室温(約25℃)まで変わったとき、透
明になった。
【0056】
実施例6
該医薬組成物の処方方法及びHPLC検出方法を、実施例5に従って実施した。
【表7】
【0057】
実施例7
該医薬組成物の処方方法及びHPLC検出方法を、実施例5に従って実施した。
【表8】
【0058】
表8の結果から分かるように、2つの医薬組成物、すなわち、3.5%マンニトール+
0.2%プロピレングリコール及び4%マンニトール+0.01%プロピレングリコール
は、25度、42日において、ペプチド含有量の最高の残存率を有した。
【0059】
実施例8
エキセンジン-4の類似体Emは、次の配列:
HGEGTFTSDL SKQLEEEAVK LFIEWLKNGG PSSGAP
PPR
を有した。
(1)Emの合成
【0060】
Emを得るために、該合成を、固相ポリペプチド合成法を用いて行い、逆相C18カラ
ムを用いた精製及び凍結乾燥を実施した。
(2)医薬組成物の処方方法
【0061】
凍結乾燥したEm粉末を計量し、pH3.5NaAC-HAC緩衝液の2倍で溶解した
。加えて、マンニトール結晶粉末及びメタクレゾールを、処方の2倍量に従って計量し、
水に溶解した。それから、上記2つの溶液を混合し、均一に撹拌し、0.22μm膜によ
り濾過し、ペニシリンボトルまたはカールスバーグフラスコ中に分注した。
(3)HPLC検出方法
【0062】
化学的安定性の調査方法:テスト試料を取り、C18カラム(5.0μm、300Å、
Φ4.6x150mm)で分析した。分析方法:移動相Aは、0.1%トリフルオロ酢酸
、Bは、それに80%アセトニトリルを添加したA相であり、検出波長は214nmであ
り、68%A及び32%Bを4分間平衡して、該試料量は、20~40μlであった。3
2%~45%のB相及び68%~55%のA相で、15分間、溶離した。正規化方法を用
いて、ピーク面積を算出した。標準試料を、同じ方法で測定した。該試料のペプチド濃度
を、標準試料との比較により算出し、0日目の測定結果と比較して、該試料のペプチド含
有量の残存率を算出した。該ペプチド含有量のより高残存率は、より良好な化学的安定性
を示した。
【表9】
【0063】
表9の結果から分かるように、50mg/mLマンニトール+2.2mg/mLメタク
レゾール処方物は、25度、30日で、最高純度だけでなく、最も高いペプチド含有量残
存率を有した。すなわち、EDTAもツイーン80も添加しない処方は、良好な安定性を
有し、EDTAまたはツイーン80を添加した処方は、不良な安定性を有した。
【配列表】