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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-01
(45)【発行日】2024-08-09
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0585 20100101AFI20240802BHJP
   H01M 50/469 20210101ALI20240802BHJP
   H01M 50/466 20210101ALI20240802BHJP
   H01G 11/06 20130101ALI20240802BHJP
   H01G 11/52 20130101ALI20240802BHJP
   H01M 10/0568 20100101ALI20240802BHJP
【FI】
H01M10/0585
H01M50/469
H01M50/466
H01G11/06
H01G11/52
H01M10/0568
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2022193927
(22)【出願日】2022-12-05
(62)【分割の表示】P 2022035394の分割
【原出願日】2015-10-23
(65)【公開番号】P2023027166
(43)【公開日】2023-03-01
【審査請求日】2022-12-06
(31)【優先権主張番号】P 2014216849
(32)【優先日】2014-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】成田 和平
(72)【発明者】
【氏名】石川 純
(72)【発明者】
【氏名】小國 哲平
(72)【発明者】
【氏名】内田 彩
【審査官】井上 能宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-081594(JP,A)
【文献】特開2020-149980(JP,A)
【文献】特開2016-085976(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M、H01G
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負極と、正極と、第1のセパレータと、第2のセパレータと、イオン液体と、を有し、
前記負極は、第1の集電体と、前記第1の集電体の両面に設けられた第1の活物質と、を有し、
前記正極は、第2の集電体と、前記第2の集電体の両面に設けられた第2の活物質と、を有し、
前記第1のセパレータは、前記負極を囲むように設けられ、
前記第1のセパレータは、前記イオン液体と接しており、
前記第1のセパレータは、複数の第1の開口部を有し、
前記第1の開口部は、前記負極と重なる領域を有し、
前記第1の開口部は、前記第1の集電体の第1の面側から前記第1の集電体の第2の面側に渡って設けられており、
前記第2のセパレータは、前記正極を囲むように設けられ、
前記第2のセパレータは、前記イオン液体と接しており、
前記第2のセパレータは、複数の第2の開口部を有し、
前記第2の開口部は、前記正極と重なる領域を有し、
前記第2の開口部は、前記第2の集電体の第1の面側から前記第2の集電体の第2の面側に渡って設けられており、
前記第1の開口部と、前記第2の開口部とは、重ならないように配置される蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、蓄電装置に関する。なお、蓄電装置とは、蓄電機能を有する素子お
よび装置全般を指すものである。なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されな
い。本明細書等で開示する発明の一態様の技術分野は、物、方法、または、製造方法に関
するものである。または、本発明の一態様は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、ま
たは、組成物(コンポジション・オブ・マター)に関するものである。そのため、より具
体的に本明細書で開示する本発明の一態様の技術分野としては、半導体装置、表示装置、
液晶表示装置、発光装置、照明装置、蓄電装置、記憶装置、撮像装置、それらの駆動方法
、または、それらの製造方法、を一例として挙げることができる。
【背景技術】
【0002】
近年、リチウムイオン電池(LIB)等の非水系二次電池、リチウムイオンキャパシタ
(LIC)、空気電池等、種々の蓄電装置の開発が盛んに行われている。特に高出力、高
エネルギー密度であるリチウムイオン二次電池は、携帯電話やスマートフォン、ノート型
コンピュータ等の携帯情報端末、携帯音楽プレーヤー、デジタルカメラ等の電気機器、あ
るいは医療機器、ハイブリッド車(HEV)、電気自動車(EV)、またはプラグインハ
イブリッド車(PHEV)等の次世代クリーンエネルギー自動車など、半導体産業の発展
と併せて急速にその需要が拡大し、充電可能なエネルギーの供給源として現代の情報化社
会に不可欠なものとなっている。
【0003】
汎用されているリチウムイオン二次電池の多くは、エチレンカーボネート、プロピレン
カーボネート、フッ素化された環状エステル、フッ素化された鎖状エステル、フッ素化さ
れた環状エーテルまたはフッ素化された鎖状エーテルなどの有機溶媒と、リチウムイオン
を有するリチウム塩とを含む非水電解質(非水電解液または単に電解液ともいう)を用い
ている。なお、ここで、フッ素化された環状エステルとは、フッ化アルキルを有する環状
エステルのように、化合物中の水素がフッ素に置換された環状エステルのことをいう。そ
れゆえ、フッ素化された鎖状エステル、フッ素化された環状エーテルまたはフッ素化され
た鎖状エーテルにおいても、化合物中の水素がフッ素に置換されたものをいう。
【0004】
しかし、有機溶媒は揮発性および低引火点を有しており、この有機溶媒をリチウムイオ
ン二次電池に用いた場合、内部短絡や過充電等に起因したリチウムイオン二次電池の内部
温度の上昇によるリチウムイオン二次電池の破裂や発火等が生じる可能性がある。また、
有機溶媒の一部は、加水分解反応によりフッ酸が発生し、このフッ酸は金属を腐食させる
ため、電池の信頼性が懸念される。
【0005】
上記の問題を考慮し、難揮発性および難燃性であるイオン液体をリチウムイオン二次電
池の非水電解質の非水溶媒として用いることが検討されている。例えば、エチルメチルイ
ミダゾリウム(EMI)カチオンを含むイオン液体、またはN-メチル-N-プロピルピ
ペリジニウム(PP13)カチオンを含むイオン液体などがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2003-331918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
イオン液体は、ポリマー固体電解質などとは異なり、セパレータに含浸することができ
る。上記含浸することで、蓄電装置を薄くすることができる。薄い蓄電装置は、曲げやす
く、軽量である。
【0008】
しかしながら、電池反応以外の副反応が生じることがある。この副反応による反応生成
物によって、蓄電装置は劣化を引き起こすことがある。
【0009】
たとえば、セパレータにセルロースを用いると、イオン液体はセルロースに含浸される
。このセパレータを、集電体の表面と接した状態で、充放電を繰り返すと、セパレータが
変色することがわかった。
【0010】
変色したセパレータには、反応生成物があった。これは蓄電装置に対するサイクル測定
の際、セパレータが、イオン液体や正極集電体と反応し、電池反応以外の副反応が生じて
いたためと考えられる。外側に配置される正極集電体には、高い電圧が印加されることも
、副反応を誘発させた理由として考えられる。上記副反応に起因し、サイクル特性での劣
化が促進したと考えられる。
【0011】
また上記副反応は、正極集電体に限ることなく、負極集電体に対しても生じ得ると考え
られる。外側に負極が配置される場合、負極集電体の表面がセパレータと接することとな
り、負極集電体には高電圧が印加される状況が、正極集電体と変わりないためである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記を鑑み、本発明の一態様は、イオン液体と、セパレータとを有する蓄電装置におい
て、反応生成物の生じにくい構造を提供する。
【0013】
本発明の一態様は、セパレータにイオン液体が含浸されている蓄電装置において、反応
生成物の生じにくい構造を提供する。
【0014】
本発明の一態様は、新規な蓄電装置を提供する。
【0015】
本発明の一態様は、セパレータが集電体の表面と接しない構造を有する蓄電装置である
。集電体には、正極集電体、負極集電体がある。
【0016】
上記構造において、セパレータは、活物質と接していても、問題はない。そのため、集
電体の両面に活物質が設けられた構造であれば、集電体の表面と接することなく、セパレ
ータを配置することができる。
【0017】
本発明の一態様は、セパレータが筒状となっており、取り扱いやすく、当該セパレータ
によって、正極と負極間のショートを防止できる。
【0018】
本発明の一態様は、負極と、正極とが順に、複数配置された、積層構造を有する。筒状
のセパレータは、外側以外の電極であれば、いずれの電極でも囲むことができる。外側の
電極に対しては、セパレータを配置しないようにする。
【0019】
本発明の一態様は、セパレータには、電解質が接している構造を有する蓄電装置である
。電解質にイオン液体を用いる場合、セパレータにイオン液体が含浸されている。
【0020】
本発明の一態様は、セパレータとして、セルロースを有する蓄電装置である。
【0021】
本発明の一態様は、集電体と接しない範囲において、セパレータが、多様な形状をとる
ことができる。たとえば、セパレータは開口部を有することができる。開口部を有するセ
パレータは、正極と負極をショートさせないように配置され、かつ集電体と接しないよう
に配置する。
【0022】
本発明の一態様は、曲がる蓄電装置である。曲がる蓄電装置において、セパレータに開
口部を形成すると、曲げやすくなる。なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨
げるものではない。なお、本発明の一態様は、必ずしも、これらの課題の全てを解決する
必要はない。なお、これら以外の課題は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと
明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項などの記載から、これら以外の課題を抽
出することが可能である。
【発明の効果】
【0023】
本発明の一態様によれば、反応生成物が生じにくくなり、蓄電装置の特性劣化を防止す
ることができる。
【0024】
本発明の一態様によれば、イオン液体を用いているため、他の電解質を用いた蓄電装置
と比較して、難揮発性および難燃性を示す蓄電装置を提供することができる。
【0025】
本発明の一態様によれば、新規な蓄電装置を提供することができる。
【0026】
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の
一態様は、必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果
は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図
面、請求項などの記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】一実施の形態に係る蓄電装置の構造を説明する図。
図2】一実施の形態に係る蓄電装置の構造を説明する図。
図3】一実施の形態に係るセパレータの構造を説明する図。
図4】一実施の形態に係る蓄電装置の構造を説明する図。
図5】一実施の形態に係る蓄電装置の構造を説明する図。
図6】一実施の形態に係るセパレータの構造を説明する図。
図7】一実施の形態に係る蓄電装置の構造を説明する図。
図8】一実施の形態に係る蓄電装置のサイクル特性を説明するグラフ。
図9】電気機器を説明する図。
図10】電気機器を説明する図。
図11】電気機器を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定
されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更
し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態
の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成におい
て、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い
、その繰り返しの説明は省略する。
【0029】
(実施の形態1)
本実施の形態では、負極を囲むように、筒状のセパレータを配置した二次電池の構造を
説明する。
【0030】
図1(A)の斜視図では、電極として、複数の負極と、複数の正極等を示す。複数の負
極のうち、一つの負極を101とする。複数の正極のうち、二つの正極を102、103
とする。正極102は、積層構造の外側に配置されるものである。正極103は、積層構
造の内側に配置されるものである。各電極には、タブ116が設けられている。正極のタ
ブ同士が重なり、負極のタブ同士が重なるように配置する。
【0031】
図1(B)には、図1(A)のA1-A2における積層構造の断面対応図を示す。
【0032】
正極は、負極と対向して配置され、これらは互いに重なっている。正極と負極とを重ね
ることで、容量を増すことができる。
【0033】
負極101は、負極集電体111を有し、かつ負極集電体111の両面に活物質122
を有する。その他の負極も同じ構造を有する。これら負極は、積層構造の内側に配置され
ている。
【0034】
正極102は、正極集電体112aを有し、片面に活物質123aを有する。片面に活
物質123aを有する正極102は、図1における積層構造の外側に配置される。よって
、正極集電体112aは、蓄電装置の外側になり、正極集電体112aの表面が露出され
る。内側の正極103は、正極集電体112bを有し、両面に活物質123bを有する。
積層構造の内側に配置されたその他の正極も同じ構造を有する。
【0035】
セパレータ113は、上記負極101を囲むように配置される。露出された正極集電体
112aと接しないように、セパレータ113を配置すればよい。
【0036】
図1(B)に示すように、負極101、正極102、及び正極103は、外装体150
に収納されている。外装体150内は、イオン液体151で満たされている。セパレータ
113は、イオン液体151を含浸することがある。含浸する場合、ポリマー固体電解質
などと比較して、蓄電装置を薄くすることができる。
【0037】
セパレータ113は、負極101を囲んでいればよい。セパレータ113の端部114
では、セパレータ113同士が密着しているとよい。つまりセパレータ113の端部11
4で、セパレータ113同士を密着させて、負極101を固定させることができる。
【0038】
蓄電装置では、正極と、負極とをそれぞれ密着させている。蓄電装置を薄くすることが
できる。正極と負極を固定することができる。
【0039】
正極活物質と、負極活物質とが対向した領域で、一組の電池が形成される。積層構造を
有する蓄電装置は、容量を高めることができる。
【0040】
図1(A)、(B)では、途中を省略しているが、電池容量を300mAhとするため
、蓄電装置は、以下の積層構造を有する。両面に活物質が設けられた正極103が5枚、
片面に活物質が設けられた正極102が2枚、両面に活物質が設けられた負極101が6
枚、およびセパレータ113が6枚とした。なお、セパレータの配置によって、セパレー
タの数を減らすことができる。軽量化された蓄電装置を提供することができる。
【0041】
正極活物質と、負極活物質とが対向した領域で、一組の電池が形成されるため、図1
A)、(B)の蓄電装置は、12組の電池が積層された構造を有する。電池容量に基づき
、積層数を決めることができる。
【0042】
セパレータ113は、負極101を囲むように配置される。従来例の問題点を鑑み、セ
パレータ113は、正極集電体112aの表面と接しないように配置されていればよい。
セパレータ113が囲む電極は、両面に活物質が設けられたものであればよい。
【0043】
図1(A)、(B)には図示しないが、外側で露出している正極集電体112aの表面
に対して、保護膜を形成してもよい。保護膜は、セルロースと比較して、イオン液体を含
浸しないものであって、たとえば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン、ナイロ
ン、ポリエステル、ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、テト
ラフルオロエチレン等の材料を用いることができる。
【0044】
上記構造において、構成材料等を説明する。
【0045】
<セパレータについて>
セパレータとは、正極と負極との接触を防止するために、これらの間に配置される。当
該セパレータは、正極と負極との間のイオンの移動を妨げないため、微細孔を有する。当
該微細孔により、固体以外の電解質の通過も可能となる。当該セパレータは、蓄電装置を
使用する環境に応じて、状態変化の少ないものがよい。高温環境であっても、状態変化が
少ないと好ましい。状態変化する場合であっても、正極と負極が接触しなければよい。
【0046】
セパレータは、たとえば、セルロースを用いることができる。セパレータの厚みは、5
μm以上100μm以下、好ましくは、40μm以上60μm以下とするとよい。セパレ
ータは積層構造を有してもよい。同じセパレータ材料を積層してもよいし、異なるセパレ
ータ材料を積層してもよい。
【0047】
セパレータの形状は、筒状を有すると、取り扱いやすく好ましい。筒状のセパレータ内
に、負極等を封入後、正極等と重なるように配置できるためである。
【0048】
筒状であれば、蓄電装置を曲げる場合であっても、正極と負極とが接触しにくく、好ま
しい。蓄電装置を曲げる際、所定の位置から負極がずれたとしても、筒状のセパレータに
封入された負極であれば、当該セパレータからはみ出ることを防止できる。
【0049】
このような筒状とは、第1の開口と、第2の開口とを有する形状である。第1の開口と
第2の開口とは対向して配置している。筒状は、中空構造を有している。
【0050】
上記中空構造へ、正極又は負極を封入する。薄く、平らな状態となるように、セパレー
タ、正極、及び負極は、密着させる。中空構造は、つぶれることとなる。
【0051】
セパレータの形状は、袋状を有してもよい。袋状は、開口が一つである。袋状は、筒状
と比較すると開口が少ないが、中空構造を有する点は共通している。開口が少ない分、中
空構造内の正極又は負極が露出することが少なくなり、正極と負極との接触が少なくなる
【0052】
セパレータの機能を考慮すれば、薄膜状(シート状)であってもよい。複数の薄膜状の
セパレータの間に、正極又は負極を配置すればよい。
【0053】
<イオン液体について>
イオン液体は、液体状態の塩であり、イオン移動度(伝導度)が高い。また、イオン液
体は、カチオンとアニオンとを含む。イオン液体は、イミダゾリウム系イオン液体、又は
ピリジニウム系イオン液体がある。
【0054】
イオン液体のカチオンとして、複素環カチオン、芳香族カチオン、4級アンモニウムカ
チオン、4級スルホニウムカチオン、4級ホスホニウムカチオン、3級スルホニウムカチ
オン、非環式4級アンモニウムカチオンまたは非環式4級ホスホニウムカチオン、芳香族
カチオン等が挙げられる。なお、当該カチオンはこれらに限るものではない。
【0055】
イオン液体のアニオンとして、1価のアミド系アニオン、1価のメチド系アニオン、フ
ルオロスルホン酸アニオン(SO)、パーフルオロアルキルスルホン酸アニオン、
テトラフルオロボレート(BF )、パーフルオロアルキルボレート、ヘキサフルオロ
ホスフェート(PF )またはパーフルオロアルキルホスフェート等が挙げられる。そ
して、1価のアミド系アニオンとしては、(C2n+1SO(0≦n≦3
)、1価の環状のアミド系アニオンとしては、CF(CFSOなどがある
。1価のメチド系アニオンとしては、(C2n+1SO(0≦n≦3)、
1価の環状のメチド系アニオンとしては、CF(CFSO(CFSO
)などがある。パーフルオロアルキルスルホン酸アニオンとしては、(C2m+1
(0≦m≦4)などがある。パーフルオロアルキルボレートとしては、{BF
(C2m+1-k4-n(0≦n≦3、1≦m≦4、0≦k≦2m)など
がある。パーフルオロアルキルホスフェートとしては、{PF(C2m+1-
6-n(0≦n≦5、1≦m≦4、0≦k≦2m)などがある。なお、アニオン
はこれらに限るものではない。
【0056】
イオン液体として、下記に示す一般式(G1)を用いることができる。
【0057】
【化1】
【0058】
一般式(G1)中のアニオン(A)は、1価のアミド系アニオン、1価のメチド系ア
ニオン、フルオロスルホン酸アニオン(SO)、パーフルオロアルキルスルホン酸
アニオン、テトラフルオロボレート(BF )、パーフルオロアルキルボレート、また
はヘキサフルオロホスフェート(PF )、パーフルオロアルキルホスフェート等を用
いることができる。そして、1価のアミド系アニオンとしては、(C2n+1SO
(0≦n≦3)、1価の環状のアミド系アニオンとしてはCF(CFSO
などがある。1価のメチド系アニオンとしては、(C2n+1SO
(0≦n≦3)、1価の環状のメチド系アニオンとしては、CF(CFSO
(CFSO)などがある。パーフルオロアルキルスルホン酸アニオンとしては、
(C2m+1SO(0≦m≦4)などがある。パーフルオロアルキルボレート
としては、{BF(C2m+1-k4-n(0≦n≦3、1≦m≦4、
0≦k≦2m)などがある。パーフルオロアルキルホスフェートとしては、{PF(C
2m+1-k6-n(0≦n≦5、1≦m≦4、0≦k≦2m)などがあ
る。なお、アニオンはこれらに限るものではない。
【0059】
一般式(G1)中のカチオンにおいて、R乃至Rは、水素原子、炭素数が1以上2
0以下のアルキル基、メトキシ基、メトキシメチル基、またはメトキシエチル基のいずれ
かを表す。R乃至Rのうち一が、炭素数が1以上20以下のアルキル基、メトキシ基
、メトキシメチル基、またはメトキシエチル基のいずれかである場合、他の四は水素原子
である。R乃至Rのうち二が、炭素数が1以上20以下のアルキル基、メトキシ基、
メトキシメチル基、またはメトキシエチル基のいずれかである場合、他の三は水素原子で
ある。R乃至Rのうち三が、炭素数が1以上20以下のアルキル基、メトキシ基、メ
トキシメチル基、またはメトキシエチル基のいずれかである場合、他の二は水素原子であ
る。R乃至Rのうち四が、炭素数が1以上20以下のアルキル基、メトキシ基、メト
キシメチル基、またはメトキシエチル基のいずれかである場合、他の一は水素原子である
【0060】
一般式(G1)として、カチオンの具体的な構造は、たとえば構造式(100)乃至構
造式(116)が挙げられる。なお、一般式(G1)のカチオンのRとRは、ピペリ
ジンのNとRとを結んだ線分を軸にして対称性を有する。また、一般式(G1)のカ
チオンのRとRも同様に対称性を有する。例えば下記構造式(101)、または構造
式(102)ではカチオンのR、またはRにメチル基が導入されたものを示しており
、これらと等価な構造式は図示しない。すなわち、構造式(101)においてRに代え
てRにメチル基を有する構造式、構造式(102)においてRに代えてRにメチル
基を有する構造式はそれぞれ、構造式(101)、構造式(102)と等価であり、同じ
性質を有するため、図示しない。また、下記の他の構造式も同様である。なお、カチオン
はこれらに限るものではない。
【0061】
【化2】
【0062】
【化3】
【0063】
イオン液体として、下記に示す一般式(G2)を用いることができる。
【0064】
【化4】
【0065】
一般式(G2)中のアニオン(A)は、1価のアミド系アニオン、1価のメチド系ア
ニオン、フルオロスルホン酸アニオン、フルオロアルキルスルホン酸アニオン、テトラフ
ルオロボレート、フルオロアルキルボレート、ヘキサフルオロホスフェート、またはフル
オロアルキルホスフェートのいずれか一を表す。なお、アニオンはこれらに限るものでは
ない。
【0066】
一般式(G2)中のカチオンにおいて、Rは、炭素数が1以上4以下のアルキル基を
表し、R乃至Rは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数が1以上4以下のアルキ
ル基を表し、Rは、C、O、Si、N、S、Pの原子から選択された4つ以上で構成さ
れる主鎖を表す。
【0067】
また、Rの主鎖に置換基が導入されていてもよい。導入される置換基としては、たと
えば、アルキル基、アルコシキ基などが挙げられる。
【0068】
なお、一般式(G2)では、C、O、Si、N、S、Pの原子から選択された4つ以上
で構成される主鎖を有している置換基がRであったがこれに限られず、RやRがC
、O、Si、N、S、Pの原子から選択された4つ以上で構成される主鎖を有している置
換基であってもよい。また、C、O、Si、N、S、Pの原子から選択された4つ以上で
構成される主鎖を有している置換基は、複数あってもよい。たとえば、RとR、R
とR、RとR、RとRとRなどの置換基がある。
【0069】
なお、一般式(G2)中のカチオンのアルキル基は、直鎖状または分岐鎖状のどちらで
あってもよい。例えば、エチル基、tert‐ブチル基である。また、一般式(G2)中
のカチオンにおいて、Rは酸素-酸素結合(ペルオキシド)を持たないことが好ましい
。酸素‐酸素間の単結合は非常に壊れやすく、反応性が高いために爆発性を有する可能性
がある。このため、蓄電装置には適さない。
【0070】
上記一般式(G2)中のカチオンの具体例としてたとえば構造式(201)乃至構造式
(243)、構造式(301)乃至構造式(327)、構造式(401)乃至構造式(4
04)、構造式(501)乃至構造式(527)、構造式(601)乃至構造式(604
)、構造式(701)乃至構造式(704)、構造式(801)乃至構造式(804)、
構造式(901)乃至構造式(904)、構造式(911)乃至構造式(923)が挙げ
られる。なお、カチオンはこれらに限るものではない。
【0071】
【化5】
【0072】
【化6】
【0073】
【化7】
【0074】
【化8】
【0075】
【化9】
【0076】
【化10】
【0077】
【化11】
【0078】
【化12】
【0079】
【化13】
【0080】
【化14】
【0081】
【化15】
【0082】
【化16】
【0083】
【化17】
【0084】
【化18】
【0085】
【化19】
【0086】
【化20】
【0087】
【化21】
【0088】
【化22】
【0089】
上記構造式において、N上の置換基が異なる場合、対称性が低下するため、融点が低下
する。そのため、例えば、常温よりも低い環境下でもイオン伝導性の低下を抑制すること
ができる。
【0090】
また、メチル基やメトキシ基のような電子供与性の置換基を複素環に導入することで複
素環の電子密度を減弱し、安定な電位範囲(電位窓ともいう)を広くすることができ、耐
還元性が強くなるため、蓄電装置に用いたときのサイクル特性を向上させることができる
。なお、電子供与性の置換基は、複素環のオルト位に導入した方が効果的である。
【0091】
また、イオン液体として、下記に示す一般式(G3)を用いることができる。
【0092】
【化23】
【0093】
一般式(G3)中のアニオン(A)は、1価のアミド系アニオン、1価のメチド系ア
ニオン、フルオロスルホン酸アニオン(SO)、パーフルオロアルキルスルホン酸
アニオン、テトラフルオロボレート(BF )、パーフルオロアルキルボレート、また
はヘキサフルオロホスフェート(PF )、パーフルオロアルキルホスフェート等を用
いることができる。そして、1価のアミド系アニオンとしては、(C2n+1SO
(0≦n≦3)、1価の環状のアミド系アニオンとしてはCF(CFSO
などがある。1価のメチド系アニオンとしては、(C2n+1SO
(0≦n≦3)、1価の環状のメチド系アニオンとしては、CF(CFSO
(CFSO)などがある。パーフルオロアルキルスルホン酸アニオンとしては、
(C2m+1SO(0≦m≦4)などがある。パーフルオロアルキルボレート
としては、{BF(C2m+1-k4-n(0≦n≦3、1≦m≦4、
0≦k≦2m)などがある。パーフルオロアルキルホスフェートとしては、{PF(C
2m+1-k6-n(0≦n≦5、1≦m≦4、0≦k≦2m)などがあ
る。なお、アニオンはこれらに限るものではない。
【0094】
一般式(G3)中のカチオンにおいて、Rは、炭素数1以上4以下のアルキル基を表
し、R乃至Rのうち、一または二は、炭素数が1以上20以下のアルキル基、メトキ
シ基、メトキシメチル基、またはメトキシエチル基のいずれかを表し、他の三または二は
、水素原子とする。
【0095】
また、一般式(G3)において、カチオンの例として構造式(250)乃至構造式(2
69)が挙げられる。なお、一般式(G3)のカチオンのRとRは、ピロリジンのN
とRおよびRの中間点とを結んだ線分を軸にして対称性を有する。また、一般式(
G3)のカチオンのRとRも同様に対称性を有する。
【0096】
下記構造式(251)、または構造式(252)ではカチオンのR、またはRにメチ
ル基が導入されたものを示しているが、上記対称性に基づき、これらと等価な構造式は図
示しない。すなわち、構造式(251)においてRに代えてRにメチル基を有する構
造式、構造式(252)においてRに代えてRにメチル基を有する構造式はそれぞれ
、構造式(251)、構造式(252)と等価であり、同じ性質を有するため、図示しな
い。また、下記の他の構造式も同様である。なお、カチオンはこれらに限るものではない
【0097】
【化24】
【0098】
また、一般式(G1)のような6員環のイオン液体よりも一般式(G2)、一般式(G
3)のような5員環のイオン液体のほうが粘度は低くなり、イオン伝導度が向上する。
【0099】
また、イオン液体として、スピロ環化合物を含んでいてもよい。例えば、スピロ環とし
て五員環と五員環を組み合わせた、下記に示す一般式(G4)で示す化合物を用いること
ができる。
【0100】
【化25】
【0101】
一般式(G4)中のアニオン(A)は、1価のアミド系アニオン、1価のメチド系ア
ニオン、フルオロスルホン酸アニオン(SO)、パーフルオロアルキルスルホン酸
アニオン、テトラフルオロボレート(BF )、パーフルオロアルキルボレート、また
はヘキサフルオロホスフェート(PF )、パーフルオロアルキルホスフェート等を用
いることができる。そして、1価のアミド系アニオンとしては、(C2n+1SO
(0≦n≦3)、1価の環状のアミド系アニオンとしてはCF(CFSO
などがある。1価のメチド系アニオンとしては、(C2n+1SO
(0≦n≦3)、1価の環状のメチド系アニオンとしては、CF(CFSO
(CFSO)などがある。パーフルオロアルキルスルホン酸アニオンとしては、
(C2m+1SO(0≦m≦4)などがある。パーフルオロアルキルボレート
としては、{BF(C2m+1-k4-n(0≦n≦3、1≦m≦4、
0≦k≦2m)などがある。パーフルオロアルキルホスフェートとしては、{PF(C
2m+1-k6-n(0≦n≦5、1≦m≦4、0≦k≦2m)などがあ
る。なお、アニオンはこれらに限るものではない。
【0102】
一般式(G4)中のカチオンにおいて、R乃至Rは水素原子、炭素数が1以上4以
下の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数が1以上4以下の直鎖状若しくは分岐
鎖状のアルコキシ基、または炭素数が1以上4以下の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルコキ
シアルキル基を表す。
【0103】
また、スピロ環は五員環と六員環の組み合わせでもよい。例えば、下記に示す一般式(
G5)を用いることができる。なお、カチオンはこれらに限るものではない。
【0104】
【化26】
【0105】
一般式(G5)中のアニオン(A)は、1価のアミド系アニオン、1価のメチド系ア
ニオン、フルオロスルホン酸アニオン(SO)、パーフルオロアルキルスルホン酸
アニオン、テトラフルオロボレート(BF )、パーフルオロアルキルボレート、また
はヘキサフルオロホスフェート(PF )、パーフルオロアルキルホスフェート等を用
いることができる。そして、1価のアミド系アニオンとしては、(C2n+1SO
(0≦n≦3)、1価の環状のアミド系アニオンとしてはCF(CFSO
などがある。1価のメチド系アニオンとしては、(C2n+1SO
(0≦n≦3)、1価の環状のメチド系アニオンとしては、CF(CFSO
(CFSO)などがある。パーフルオロアルキルスルホン酸アニオンとしては、
(C2m+1SO(0≦m≦4)などがある。パーフルオロアルキルボレート
としては、{BF(C2m+1-k4-n(0≦n≦3、1≦m≦4、
0≦k≦2m)などがある。パーフルオロアルキルホスフェートとしては、{PF(C
2m+1-k6-n(0≦n≦5、1≦m≦4、0≦k≦2m)などがあ
る。なお、アニオンはこれらに限るものではない。
【0106】
一般式(G5)中のカチオンにおいて、R乃至Rは水素原子、炭素数が1以上4以
下の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数が1以上4以下の直鎖状若しくは分岐
鎖状のアルコキシ基、または炭素数が1以上4以下の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルコキ
シアルキル基を表す。
【0107】
また、上記のスピロ環の他に五員環と七員環の組み合わせや六員環と七員環の組み合わ
せや七員環と七員環の組み合わせなどを用いてもよい。一般式(G4)、一般式(G5)
、五員環と七員環を組み合わせたスピロ環、六員環と七員環を組み合わせたスピロ環およ
び七員環と七員環を組み合わせたスピロ環のカチオンの具体例として例えば構造式(13
00)乃至構造式(1497)が挙げられる。なお、一般式(G3)と同様に、同じ性質
をもち、対称性に基づき、等価である構造式は、重複を避けるように記載している。なお
、カチオンはこれらに限るものではない。
【0108】
【化27】
【0109】
【化28】
【0110】
【化29】
【0111】
【化30】
【0112】
【化31】
【0113】
【化32】
【0114】
【化33】
【0115】
【化34】
【0116】
【化35】
【0117】
【化36】
【0118】
【化37】
【0119】
【化38】
【0120】
【化39】
【0121】
【化40】
【0122】
【化41】
【0123】
【化42】
【0124】
【化43】
【0125】
【化44】
【0126】
また、上記化合物に溶解させる電解質としては、例えば、LiPF、LiClO
LiAsF、LiBF、LiAlCl、LiSCN、LiBr、LiI、Li
、Li10Cl10、Li12Cl12、LiCFSO、LiC
SO、LiC(CFSO、LiC(CSO、LiN(CFSO
、LiN(FSO、LiN(CSO)(CFSO)、LiN(
SO等のリチウム塩を一種、またはこれらのうちの二種以上を任意の組み
合わせおよび比率で用いることができる。
【0127】
<正極集電体について>
正極集電体には、ステンレス、金、白金、亜鉛、鉄、銅、アルミニウム、チタン等の金
属、およびこれらの合金など、導電性の高い材料を用いることができる。また、シリコン
、チタン、ネオジム、スカンジウム、モリブデンなどの耐熱性を向上させる元素が添加さ
れたアルミニウム合金を用いることができる。また、シリコンと反応してシリサイドを形
成する金属元素で形成してもよい。シリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素と
しては、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、
モリブデン、タングステン、コバルト、ニッケル等がある。正極集電体は、箔状、板状(
シート状)、網状、パンチングメタル状、エキスパンドメタル状等の形状を適宜用いるこ
とができる。正極集電体は、厚みが10μm以上30μm以下のものを用いるとよい。
【0128】
<正極活物質について>
正極活物質には、LiFeO、LiCoO、LiNiO、LiMn、V
、Cr、MnO等の化合物を材料として用いることができる。
【0129】
または、リチウム含有複合塩(一般式LiMPO(Mは、Fe(II)、Mn(II
)、Co(II)、Ni(II)の一以上))を用いることができる。一般式LiMPO
の代表例としては、LiFePO、LiNiPO、LiCoPO、LiMnPO
、LiFeNiPO、LiFeCoPO、LiFeMnPO、Li
NiCoPO、LiNiMnPO(a+bは1以下、0<a<1、0<b<
1)、LiFeNiCoPO、LiFeNiMnPO、LiNiCo
MnPO(c+d+eは1以下、0<c<1、0<d<1、0<e<1)、LiF
NiCoMnPO(f+g+h+iは1以下、0<f<1、0<g<1、0
<h<1、0<i<1)等のリチウム化合物を活物質材料として用いることができる。
【0130】
または、一般式LiMSiO(Mは、Fe(II)、Mn(II)、Co(II)
、Ni(II)の一以上)等のリチウム含有複合塩を用いることができる。一般式Li
MSiOの代表例としては、LiFeSiO、LiNiSiO、LiCoS
iO、LiMnSiO、LiFeNiSiO、LiFeCoSiO
、LiFeMnSiO、LiNiCoSiO、LiNiMn
iO(k+lは1以下、0<k<1、0<l<1)、LiFeNiCoSiO
、LiFeNiMnSiO、LiNiCoMnSiO(m+n+
qは1以下、0<m<1、0<n<1、0<q<1)、LiFeNiCoMn
SiO(r+s+t+uは1以下、0<r<1、0<s<1、0<t<1、0<u<1
)等のリチウム化合物を材料として用いることができる。
【0131】
なお、キャリアイオンが、リチウムイオン以外のアルカリ金属イオンや、アルカリ土類
金属イオンの場合、正極活物質層として、上記リチウム化合物およびリチウム含有複合塩
において、リチウムの代わりに、アルカリ金属(例えば、ナトリウムやカリウム等)、ア
ルカリ土類金属(例えば、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ベリリウム、マグネ
シウム等)を用いてもよい。
【0132】
正極活物質層には、正極活物質の他、導電助剤、バインダ(結着剤)を含有させてもよ
い。
【0133】
<負極集電体について>
負極集電体は、リチウム等のキャリアイオンと合金化することがない、導電性の高い材
料を有する。例えば、ステンレス、鉄、銅、ニッケル、またはチタンを用いることができ
る。また、負極集電体は、箔状、板状(シート状)、網状、パンチングメタル状、エキス
パンドメタル状等の形状を適宜用いることができる。負極集電体は、厚みが10μm以上
30μm以下のものを用いるとよい。
【0134】
<負極活物質について>
負極活物質は、キャリアイオンの吸蔵放出が可能であれば特に限定されるものではなく
、例えば、リチウム金属、炭素系材料、シリコン、シリコン合金、スズなどがある。また
、リチウムイオンの挿入および脱離が可能な炭素系材料としては、非晶質若しくは結晶性
を有する炭素材料、例えば、粉末状若しくは繊維状の黒鉛を用いることができる。
【0135】
負極活物質層には、負極活物質の他、導電助剤、バインダ(結着剤)を含有させてもよ
い。
【0136】
本実施の形態では、負極を囲むセパレータを有する蓄電装置の構造を説明したが、セパ
レータが集電体の表面と接しない構造であればよい。
【0137】
上記構造によって、イオン液体と、セパレータとを有する蓄電装置において、反応生成
物の生じにくい構造を提供することができる。
【0138】
なお、本実施の形態において、本発明の一態様について述べた。または、他の実施の形
態において、本発明の一態様について述べる。ただし、本発明の一態様は、これらに限定
されない。つまり、本実施の形態および他の実施の形態では、様々な発明の態様が記載さ
れているため、本発明の一態様は、特定の態様に限定されない。例えば、本発明の一態様
として、リチウムイオン二次電池に適用した場合の例を示したが、本発明の一態様は、こ
れに限定されない。場合によっては、または、状況に応じて、本発明の一態様は、様々な
二次電池、鉛蓄電池、リチウムイオンポリマー二次電池、ニッケル・水素蓄電池、ニッケ
ル・カドミウム蓄電池、ニッケル・鉄蓄電池、ニッケル・亜鉛蓄電池、酸化銀・亜鉛蓄電
池、固体電池、空気電池、一次電池、キャパシタ、または、リチウムイオンキャパシタ、
などに適用してもよい。または例えば、場合によっては、または、状況に応じて、本発明
の一態様は、リチウムイオン二次電池に適用しなくてもよい。また、例えば、本発明の一
態様として、イオン液体を用いた場合の例を示したが、本発明の一態様は、これに限定さ
れない。場合によっては、または、状況に応じて、本発明の一態様では、様々な材料を用
いてもよい。または例えば、場合によっては、または、状況に応じて、本発明の一態様で
は、イオン液体を用いなくてもよい。
【0139】
(実施の形態2)
本実施の形態では、上記実施の形態に記載された正極及び負極の配置が異なる形態につ
いて図2を用いて説明する。具体的には、外側に、負極を配置した構造である。
【0140】
図2に示す斜視図は、電極として、複数の負極と、複数の正極等が記載されている。外
側には、負極101を有し、セパレータ113は、正極102を囲むように配置される。
負極は、正極と対向して配置され、これらは互いに重なっている。
【0141】
負極101は、負極集電体111aを有し、片面に活物質122aを有する。片面に活
物質122aを有する負極101は、図2における積層構造の外側に配置され、負極集電
体111aの表面は露出される。負極104は、負極集電体111bを有し、両面に活物
質122bを有する。積層構造の内側に配置されたその他の負極も同じ構成を有する。
【0142】
上記実施の形態と異なり、セパレータ113は、正極102を囲むように配置される。
セパレータ113は、負極集電体111aの表面と接しないように配置すればよい。セパ
レータ113が囲む電極は、両面に活物質が設けられている。本実施の形態のセパレータ
113も、いずれの集電体の表面とも接しないため好ましい。
【0143】
図2では図示しないが、外側で露出している負極集電体111aに対して、保護膜を形
成してもよい。保護膜は、セルロースと比較して、イオン液体を含浸しないものであって
、たとえば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン、ナイロン、ポリエステル、ポ
リスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン等
の材料を用いることができる。
【0144】
その他は、上記実施の形態と同様であり、正極や負極は、外装体に収納され、外装体内
は、イオン液体で満たされた構造をとることができる。セパレータ113は、イオン液体
を含浸することがある。
【0145】
本実施の形態において、電池容量に基づき、正極及び負極の積層数を決めることができ
る。
【0146】
図2の構造においても、セパレータ113は、集電体の表面と接することがない。本構
造によって、イオン液体と、セパレータとを有する蓄電装置において、反応生成物の生じ
にくい構造を提供することができる。
【0147】
本実施の形態で示していない構成は、上記実施の形態で開示した構成を適宜用いること
ができる。
【0148】
(実施の形態3)
本実施の形態では、上記実施の形態等に記載されたセパレータとは、別の形状のセパレ
ータについて図3を用いて説明する。本実施の形態では、セパレータが開口部を有する。
【0149】
図3(A)の上面図に示すように、第1のセパレータ113aには、第1の開口部14
1が設けられ、第2のセパレータ113bには、第2の開口部142が設けられている。
第1の開口部141からは負極101が露出し、第2の開口部142からは正極103が
露出する。
【0150】
セパレータに開口部があると、正極と負極とがショートしてしまうことが考えられるが
図3(A)に示すように、第1のセパレータ113aは負極を囲み、第2のセパレータ
113bは正極を囲む構造とし、第1の開口部141は、第2の開口部142と重ならな
いように配置すれば、上記ショートを防止できる。
【0151】
第1のセパレータ113aや第2のセパレータ113bは、筒状、袋状、又はシート状
を有してもよい。
【0152】
第1のセパレータ113aや第2のセパレータ113bは、イオン液体を含浸すること
ができる。イオン液体が含浸すると、セパレータが平面方向に膨張するため、第1の開口
部141や第2の開口部142の面積が縮むことがある。
【0153】
第1の開口部141は、三つ設けられ、第2の開口部142は二つ設けられている場合
を例示する。第1の開口部141の数は、第2の開口部142の数と等しくてもよい。
【0154】
第1の開口部141の長さ(t1)は、負極101の幅(t2)に基づいて決められる
。t1<t2を満たすと、第1の開口部141から、負極101の端部が露出しないため
、好ましい。t1>t2を満たすと、負極101の端部が、セパレータ113aと離間し
て、好ましい。
【0155】
第2の開口部142の長さ(t3)は、正極103の幅(t4)に基づいて決められる
。t3<t4を満たすと、第2の開口部142から、正極103の端部が露出しないため
、好ましい。t3>t4を満たすと、正極103の端部が、セパレータ113bと離間し
て、好ましい。
【0156】
第1の開口部141の幅(d1)は、第1の開口部が設けられていない第1の開口部と
第1の開口部との間の幅(d2)に基づいて決められる。第2の開口部142の幅(d3
)は、第1の開口部が設けられていない第1の開口部と第1の開口部との間の幅(d2)
に基づいて決められる。d2>d1を満たし、かつd2>d3を満たすと、第1の開口部
141から露出した負極101と、第2の開口部142から露出した正極103とが接触
することはない。
【0157】
第1の開口部141が、第1のセパレータ113aに複数設けられた場合、互いの形状
は等しくできる。互いの形状を異ならせてもよい。第2の開口部142が、第2のセパレ
ータ113bに複数設けられた場合、互いの形状は等しくできる。互いの形状を異ならせ
てもよい。
【0158】
第1の開口部141は、第2の開口部142と形状が異なっていてもよい。たとえば、
第1の開口部141の形状は円形であり、第2の開口部142は矩形としてもよい。第1
の開口部141は、第2の開口部142と大きさが異なっていてもよい。第1の開口部1
41は、第2の開口部142より幅の小さな開口部でもよい。たとえば、図3(B)に示
すような、スリット状の開口部143としてもよい。開口部143から露出する正極及び
負極の面積が狭くなるため好ましい。
【0159】
上記第1の開口部141と、第2の開口部142との形状等を異ならせることで、正極
及び負極間のショートを防止してもよい。
【0160】
図3(B)に示す、スリット状の開口部を有するセパレータ113aにおいて、開口部
143は、数を多く設けるとよい。スリット状の開口部143から負極101が露出され
るが、ショートしないように、正極側のセパレータを配置する。第2の開口部142をス
リット状としてもよい。
【0161】
図3(C)には、第3の開口部144a、第4の開口部144bを示す。第3の開口部
144aの切込み側を、第4の開口部144bの切込み側と異ならせてもよい。
【0162】
蓄電装置を曲げる際に、上記開口部を有するセパレータを用いると、好ましい。曲げた
状態であっても、セパレータにしわがよることなく、曲げやすくなる。曲げた状態であっ
ても、上記開口部から、正極や負極が突出することがなく、これらのショートを防止でき
る。
【0163】
本実施の形態で示していない構成は、上記実施の形態で開示した構成を適宜用いること
ができる。
【0164】
(実施の形態4)
上記実施の形態に記載されたいずれの蓄電装置は、曲げることができる。本実施の形態
では、蓄電装置を曲げた場合について図4を用いてを説明する。
【0165】
図4には、負極101と、正極102とを曲げた形状を示す。わかりやすくするため、
負極101と、正極102とは、間隔を有して配置しているが、これらは近接して配置さ
れている。すなわち、負極101は、当該負極101を囲うセパレータ113を介して、
正極102と接して配置される。
【0166】
図4には、負極101と、正極102とを一つずつ示しているが、上記実施の形態のよ
うに、複数の正極と、複数の負極とを積層した構造を用いてもよい。
【0167】
負極101は、負極集電体111と、負極の活物質122とを有する。活物質122は
、負極集電体111の両側に設けられている。負極が積層構造の外側に配置される場合、
活物質は、負極集電体111の一方に設けられる。
【0168】
正極102は、正極集電体112と、正極の活物質123とを有する。活物質123は
、正極集電体112の両側に設けられている。正極が積層構造の外側に配置される場合、
活物質は、正極集電体112の一方に設けられる。
【0169】
このように、蓄電装置を曲げることができる。当該蓄電装置が、イオン液体を有する場
合、セパレータがイオン液体を含浸しているため、蓄電装置を曲げる際、しわがよりにく
く、好ましい。蓄電装置を曲げるときであっても、セパレータは集電体の表面と接しない
ため、副反応が生じにくく、好ましい。
【0170】
本実施の形態で示していない構成は、上記実施の形態で開示した構成を適宜用いること
ができる。
【0171】
(実施の形態5)
本実施の形態では、蓄電装置を曲げた場合において、セパレータに開口部を設ける構成
について図5、および図6を用いて説明する。
【0172】
曲げる場合、上記実施の形態等で示したようにセパレータに開口部が設けられていると
よい。蓄電装置を曲げやすくなる。
【0173】
図5(A)には、曲げた状態の蓄電装置の断面図を示す。負極101を囲むセパレータ
113aは、第1の開口部145を有する。第1の開口部145は、セパレータ113a
の両面に設けられている。負極101は、負極集電体111と、負極の活物質122を有
する。負極の活物質122は、負極集電体111の両面に設けられている。
【0174】
正極102を囲むセパレータ113bは、第2の開口部146を有する。第2の開口部
146は、セパレータ113bの両面に設けられている。正極102は、正極集電体11
2と、正極の活物質123を有する。正極の活物質123は、正極集電体112の両面に
設けられている。
【0175】
第1の開口部145は、第2の開口部146と重ならないように配置する。重なると、
正極と負極とがショートしてしまうためである。
【0176】
セパレータ113a、セパレータ113bはそれぞれ、イオン液体を含浸している。曲
げたときに、しわがよりにくい。
【0177】
積層構造のため、各電極で曲率半径が異なる。内側に配置される曲率半径の短い電極は
、外側に配置される曲率半径の長い電極と比較して、セパレータの開口部の数は少ないと
よい。すなわち、蓄電装置を曲げる際、積層構造の電極に対しては、外側に配置される電
極から、内側に配置される電極に向かって、セパレータの開口部の数を少なくするとよい
。内側のセパレータの開口部の数が多いと、曲率半径が短く、当該セパレータが囲んでい
る電極と、セパレータが剥離してしまうことがある。
【0178】
図5(B)には、負極101を上から見た対応図を示す。図5(B)のB1-B2断面
が、図5(A)の負極101に対応する。蓄電装置を曲げる方向は、方向147である。
第1の開口部145は、第1の開口部145a、第2の開口部145bを有する。第1の
開口部145a、第2の開口部145bから、活物質122が露出している。第1の開口
部145aの切込み口の箇所は、第2の開口部145bの切込み口の箇所とは異なってい
る。第1の開口部145aの切込み口のある辺は、第2の開口部145bの切込み口のあ
る辺と対向している。上記実施の形態で示した、図3(C)の構造に対応したセパレータ
の例である。
【0179】
セパレータの開口部は、上記実施の形態で示したいずれの構造を用いてもよい。曲げる
方向147に平行した辺に、切込み口を設けることで、蓄電装置を曲げやすくなる。
【0180】
上記実施の形態で示した、図3(C)の構造のように、複数の切込み口を、曲げる方向
147に平行な辺であって、互いに対向する辺へ設けることで、蓄電装置を曲げやすくな
る。
【0181】
開口部の長辺方向148は、曲げる方向147と交わるように配置するとよい。蓄電装
置を曲げやすくなる。
【0182】
図6に示すように、開口部149の長辺方向152を、曲げる方向147と平行な方向
となるように配置してもよい。
【0183】
正極102を囲むセパレータ113bも同様な開口部を設けることができる。
【0184】
いずれの構造であっても、セパレータに開口部が設けられない構成と比較して、蓄電装
置を曲げやすくなる。
【0185】
本実施の形態で示していない構成は、上記実施の形態で開示した構成を適宜用いること
ができる。
【0186】
(実施の形態6)
本実施の形態では、蓄電装置を曲げた場合において、セパレータに開口部を設ける別の
構成について図7を用いて説明する。
【0187】
図7(A)に示すように、負極101を囲むセパレータ113aは、第1の開口部14
5を有する。負極101は、負極集電体111と、その両面に設けられた活物質122を
有する。正極102を囲むセパレータ113bは、第2の開口部146を有する。正極1
02は、正極集電体112と、その両面に設けられた活物質123を有する。
【0188】
第2の開口部146の数は、第1の開口部145の数よりも多い。内側に配置される曲
率半径の短い電極に対して、セパレータの開口部の数を多くすることで、蓄電装置を曲げ
やすくなる。
【0189】
上記構造に対して、蓄電装置を曲げる際、活物質とセパレータとが剥がれてしまうこと
がある。曲げる際、活物質の伸縮性と、セパレータの伸縮性とに差があることが一要因で
ある。そこで、図7(B)のように、内側に配置された正極102の活物質123に対し
て、第2の開口部146と合わせて、開口部153を設けてもよい。
【0190】
いずれの構成であっても、セパレータに開口部が設けられない構成と比較して、曲げや
すくなる。
【0191】
本実施の形態で示していない構成は、上記実施の形態で開示した構成を適宜用いること
ができる。
【0192】
(実施の形態7)
本発明の一態様である蓄電装置は、電力により駆動する様々な電気機器の電源として用
いることができる。
【0193】
本発明の一態様である蓄電装置を用いた電気機器の具体例として、表示装置、照明装置
、デスクトップ型或いはノート型のパーソナルコンピュータ、ブルーレイディスク(Bl
u-ray Disc)(登録商標)などの記録媒体に記憶された静止画または動画を再
生する画像再生装置、携帯電話、スマートフォン、携帯情報端末、携帯型ゲーム機、電子
書籍端末、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、電子レンジ等の高周波加熱装置、電気
炊飯器、電気洗濯機、エアコンディショナーなどの空調設備、電気冷蔵庫、電気冷凍庫、
電気冷凍冷蔵庫、DNA保存用冷凍庫、透析装置などが挙げられる。また、蓄電装置から
の電力を用いて電動機により推進する移動体なども、電気機器の範疇に含まれるものとす
る。上記移動体として、例えば、電気自動車、内燃機関と電動機を併せ持った複合型自動
車(ハイブリッドカー)、電動アシスト自転車を含む原動機付自転車などが挙げられる。
【0194】
なお、上記電気機器は、消費電力の殆ど全てを賄うための蓄電装置(主電源と呼ぶ)と
して、本発明の一態様である蓄電装置を用いることができる。また、上記電気機器は、上
記主電源や商用電源からの電力の供給が停止した場合に、電気機器への電力の供給を行う
ことができる蓄電装置(無停電電源と呼ぶ)として、本発明の一態様である蓄電装置を用
いることができる。また、上記電気機器は、上記主電源や商用電源からの電気機器への電
力の供給と並行して、電気機器への電力の供給を行うための蓄電装置(補助電源と呼ぶ)
として、本発明の一態様である蓄電装置を用いることができる。
【0195】
図9に上記電気機器の具体的な構成を示す。図9において、表示装置5000は、蓄電
装置5004を用いた電気機器の一例である。具体的に、表示装置5000は、TV放送
受信用の表示装置に相当し、筐体5001、表示部5002、スピーカー部5003、蓄
電装置5004等を有する。蓄電装置5004は、筐体5001の内部に設けられている
。表示装置5000は、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、蓄電装置50
04に蓄積された電力を用いることもできる。よって、停電などにより商用電源から電力
の供給が受けられない時でも、蓄電装置5004を無停電電源として用いることで、表示
装置5000の利用が可能となる。
【0196】
表示部5002には、液晶表示装置、有機EL素子などの発光素子を各画素に備えた発
光装置、電気泳動表示装置、DMD(Digital Micromirror Dev
ice)、PDP(Plasma Display Panel)、FED(Field
Emission Display)などの、半導体表示装置を用いることができる。
【0197】
なお、表示装置には、TV放送受信用の他、パーソナルコンピュータ用、広告表示用な
ど、全ての情報表示用表示装置が含まれる。
【0198】
図9において、据え付け型の照明装置5100は、蓄電装置5103を用いた電気機器
の一例である。具体的に、照明装置5100は、筐体5101、光源5102、蓄電装置
5103等を有する。図9では、蓄電装置5103が、筐体5101および光源5102
が据え付けられた天井5104の内部に設けられている場合を例示しているが、蓄電装置
5103は、筐体5101の内部に設けられていても良い。照明装置5100は、商用電
源から電力の供給を受けることもできるし、蓄電装置5103に蓄積された電力を用いる
こともできる。よって、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時でも、
蓄電装置5103を無停電電源として用いることで、照明装置5100の利用が可能とな
る。
【0199】
なお、図9では天井5104に設けられた据え付け型の照明装置5100を例示してい
るが、本発明の一態様である蓄電装置は、天井5104以外、例えば側壁5105、床5
106、窓5107等に設けられた据え付け型の照明装置に用いることもできるし、卓上
型の照明装置などに用いることもできる。
【0200】
また、光源5102には、電力を利用して人工的に光を得る人工光源を用いることがで
きる。具体的には、白熱電球、蛍光灯などの放電ランプ、LEDや有機EL素子などの発
光素子が、上記人工光源の一例として挙げられる。
【0201】
図9において、室内機5200および室外機5204を有するエアコンディショナーは
、蓄電装置5203を用いた電気機器の一例である。具体的に、室内機5200は、筐体
5201、送風口5202、蓄電装置5203等を有する。図9では、蓄電装置5203
が、室内機5200に設けられている場合を例示しているが、蓄電装置5203は室外機
5204に設けられていてもよい。或いは、室内機5200と室外機5204の両方に、
蓄電装置5203が設けられていてもよい。エアコンディショナーは、商用電源から電力
の供給を受けることもできるし、蓄電装置5203に蓄積された電力を用いることもでき
る。特に、室内機5200と室外機5204の両方に蓄電装置5203が設けられている
場合、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時でも、本発明の一態様で
ある蓄電装置5203を無停電電源として用いることでエアコンディショナーの利用が可
能となる。
【0202】
なお、図9では、室内機と室外機で構成されるセパレート型のエアコンディショナーを
例示しているが、室内機の機能と室外機の機能とを1つの筐体に有する一体型のエアコン
ディショナーに、本発明の一態様である蓄電装置を用いることもできる。
【0203】
図9において、電気冷凍冷蔵庫5300は、蓄電装置5304を用いた電気機器の一例
である。具体的に、電気冷凍冷蔵庫5300は、筐体5301、冷蔵室用扉5302、冷
凍室用扉5303、蓄電装置5304等を有する。図9では、蓄電装置5304が、筐体
5301の内部に設けられている。電気冷凍冷蔵庫5300は、商用電源から電力の供給
を受けることもできるし、蓄電装置5304に蓄積された電力を用いることもできる。よ
って、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時でも、蓄電装置5304
を無停電電源として用いることで電気冷凍冷蔵庫5300の利用が可能となる。
【0204】
なお、上述した電気機器のうち、電子レンジ等の高周波加熱装置、電気炊飯器などの電
気機器は、短時間で高い電力を必要とする。よって、商用電源では賄いきれない電力を補
助するための補助電源として、本発明の一態様である蓄電装置を用いることで電気機器の
使用時に商用電源の規定電力量を超えることを抑制することができる。
【0205】
また、電気機器が使用されない時間帯、特に商用電源の供給元が供給可能な総電力量の
うち、実際に使用される電力量の割合(電力使用率と呼ぶ)が低い時間帯において、蓄電
装置に電力を蓄えておくことで、上記時間帯以外において電力使用率が高まるのを抑える
ことができる。例えば、電気冷凍冷蔵庫5300の場合、気温が低く、冷蔵室用扉530
2、冷凍室用扉5303の開閉が行われない夜間において、蓄電装置5304に電力を蓄
える。そして、気温が高くなり、冷蔵室用扉5302、冷凍室用扉5303の開閉が行わ
れる昼間において、蓄電装置5304を補助電源として用いることで昼間の電力使用率を
低く抑えることができる。
【0206】
また、本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施するこ
とが可能である。
【0207】
(実施の形態8)
次に、本発明の一態様である蓄電装置を備えた電気機器の一例として、携帯情報端末に
ついて説明する。
【0208】
図10(A)に携帯情報端末650の表側の模式図を示す。図10(B)に携帯情報端
末650の裏側の模式図を示す。携帯情報端末650は、筐体651、表示部652(表
示部652aおよび表示部652bを含む。)、電源スイッチ653、光センサ654、
カメラ用レンズ655、スピーカー656、マイクロフォン657および電源658を有
する。
【0209】
表示部652aおよび表示部652bはタッチパネルであり、文字入力を行うためのキ
ーボードボタンは必要に応じて表示させることでき、当該キーボードボタンに指やスタイ
ラスなどでふれることにより文字入力を行うことができる。また、当該キーボードボタン
を表示させず、指やスタイラスなどを用いて表示部652aに直接文字や図をかくことで
表示部652aにその文字や図を表示させることができる。
【0210】
また、表示部652bには携帯情報端末650で行うことができる機能が表示されてお
り、所望の機能を示すマーカーを指やスタイラスでふれることにより、携帯情報端末65
0は当該機能を実行する。例えば、マーカー659にふれることで電話としての機能を行
うことができるようになり、スピーカー656およびマイクロフォン657用いて通話す
ることができる。
【0211】
携帯情報端末650はジャイロ、加速度センサなど傾きを検出する検出装置(図示せず
)を内蔵している。そのため、筐体651を縦または横にすることで、表示部652aお
よび表示部652bにおいて縦表示または横表示などの表示方向を切り替えることができ
る。
【0212】
また、携帯情報端末650には光センサ654が設けられており、携帯情報端末650
は、光センサ654で検出される外光の光量に応じて表示部652aおよび表示部652
bの輝度を最適に制御することができる。
【0213】
携帯情報端末650には電源658が設けられており、電源658は太陽電池660、
および充放電制御回路670を有する。なお、図10(C)では充放電制御回路670の
一例としてバッテリー671、DCDCコンバータ672、コンバータ673を有する構
成について示しており、バッテリー671は、上記実施の形態で説明した蓄電装置を有し
ている。
【0214】
また、携帯情報端末650はこの他に、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など
)を表示する機能、カレンダー、日付または時刻などを表示部に表示する機能、表示部に
表示した情報をタッチ入力操作または編集するタッチ入力機能、様々なソフトウェア(プ
ログラム)によって処理を制御する機能、等を有することができる。
【0215】
携帯情報端末650に装着された太陽電池660によって、電力を表示部または映像信
号処理部等に供給することができる。なお、太陽電池660は、筐体651の片面又は両
面に設けることができ、バッテリー671の充電を効率的に行う構成とすることができる
。なおバッテリー671としては、本発明の一態様に係る蓄電装置を用いると、小型化を
図ることができるなどの利点がある。
【0216】
また、図10(B)に示す充放電制御回路670の構成、および動作について図10
C)に示したブロック図を用いて説明する。図10(C)には、太陽電池660、バッテ
リー671、DCDCコンバータ672、コンバータ673、スイッチSW1乃至SW3
、表示部652について示しており、バッテリー671、DCDCコンバータ672、コ
ンバータ673、スイッチSW1乃至SW3が、図10(B)に示す充放電制御回路67
0に対応する箇所となる。
【0217】
まず、外光により太陽電池660により発電がされる場合の動作の例について説明する
。太陽電池660で発電した電力は、バッテリー671を充電するための電圧となるよう
DCDCコンバータ672で昇圧または降圧がなされる。そして、表示部652の動作に
太陽電池660からの電力が用いられる際にはスイッチSW1をオンにし、コンバータ6
73で表示部652に必要な電圧に昇圧または降圧をすることとなる。また、表示部65
2での表示を行わない際には、SW1をオフにし、SW2をオンにしてバッテリー671
の充電を行う構成とすればよい。
【0218】
なお、太陽電池660については、発電手段の一例として示したが、特に限定されず、
圧電素子(ピエゾ素子)や熱電変換素子(ペルティエ素子)などの他の発電手段によるバ
ッテリー671の充電を行う構成であってもよい。例えば、無線(非接触)で電力を送受
信して充電する無接点電力伝送モジュールや、また他の充電手段を組み合わせて行う構成
としてもよい。
【0219】
また、本発明の一態様は、上記実施の形態で説明した蓄電装置を具備していれば、図1
0に示した携帯情報端末に限定されないことは言うまでもない。なお、本実施の形態は、
他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0220】
(実施の形態9)
さらに、電気機器の一例である移動体の例について、図11を用いて説明する。
【0221】
先の実施の形態で説明した蓄電装置を制御用のバッテリーに用いることができる。制御
用のバッテリーは、プラグイン技術や非接触給電による外部からの電力供給により充電を
することができる。なお、移動体が鉄道用電気車両の場合、架線や導電軌条からの電力供
給により充電をすることができる。
【0222】
図11は、電気自動車の一例を示している。電気自動車680には、バッテリー681
が搭載されている。バッテリー681の電力は、制御回路682により出力が調整されて
、駆動装置683に供給される。制御回路682は、図示しないROM、RAM、CPU
等を有する処理装置684によって制御される。
【0223】
駆動装置683は、直流電動機若しくは交流電動機単体、または電動機と内燃機関と、
を組み合わせて構成される。処理装置684は、電気自動車680の運転者の操作情報(
加速、減速、停止など)や走行時の情報(上り坂や下り坂等の情報、駆動輪にかかる負荷
情報など)の入力情報に基づき、制御回路682に制御信号を出力する。制御回路682
は、処理装置684の制御信号により、バッテリー681から供給される電気エネルギー
を調整して駆動装置683の出力を制御する。交流電動機を搭載している場合は、図示し
ていないが、直流を交流に変換するインバータも内蔵される。
【0224】
バッテリー681は、プラグイン技術による外部からの電力供給により充電することが
できる。例えば、商用電源から電源プラグを通じてバッテリー681に充電する。充電は
、AC/DCコンバータ等の変換装置を介して、一定の電圧値を有する直流定電圧に変換
して行うことができる。バッテリー681として、本発明の一態様に係る蓄電装置を搭載
することで、電池の高容量化などに寄与することができ、利便性を向上させることができ
る。また、バッテリー681の特性の向上により、バッテリー681自体を小型軽量化す
ることができれば、車両の軽量化に寄与するため、燃費を向上させることができる。
【0225】
なお、本発明の一態様は、上記実施の形態で説明した蓄電装置を具備していれば、図1
1で示した電気自動車に限定されないことは言うまでもない。なお、本実施の形態は、他
の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【実施例1】
【0226】
上記実施の形態1の図1に示した蓄電装置の構造を用いて、サイクル特性を得た。図8
には、上記実施の形態1の図1に示した蓄電装置のサイクル特性を示す。
【0227】
図8のサイクル特性を、反応生成物が生じた二次電池に対するサイクル特性を比較する
と、容量の減少が緩やかになった。
【符号の説明】
【0228】
101 負極
102 正極
103 正極
104 負極
111 負極集電体
111a 負極集電体
111b 負極集電体
112 正極集電体
112a 正極集電体
112b 正極集電体
113 セパレータ
113a セパレータ
113b セパレータ
114 端部
116 タブ
122 活物質
122a 活物質
122b 活物質
123 活物質
123a 活物質
123b 活物質
141 開口部
142 開口部
143 開口部
144a 開口部
144b 開口部
145 開口部
145a 開口部
145b 開口部
146 開口部
147 方向
148 長辺方向
149 開口部
150 外装体
151 イオン液体
152 長辺方向
153 開口部
650 携帯情報端末
651 筐体
652 表示部
652a 表示部
652b 表示部
653 電源スイッチ
654 光センサ
655 カメラ用レンズ
656 スピーカー
657 マイクロフォン
658 電源
659 マーカー
660 太陽電池
670 充放電制御回路
671 バッテリー
672 DCDCコンバータ
673 コンバータ
680 電気自動車
681 バッテリー
682 制御回路
683 駆動装置
684 処理装置
5000 表示装置
5001 筐体
5002 表示部
5003 スピーカー部
5004 蓄電装置
5100 照明装置
5101 筐体
5102 光源
5103 蓄電装置
5104 天井
5105 側壁
5106 床
5107 窓
5200 室内機
5201 筐体
5202 送風口
5203 蓄電装置
5204 室外機
5300 電気冷凍冷蔵庫
5301 筐体
5302 冷蔵室用扉
5303 冷凍室用扉
5304 蓄電装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11