(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-01
(45)【発行日】2024-08-09
(54)【発明の名称】フィルム層コーティングを有する発泡プラスチック成形体の製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 44/06 20060101AFI20240802BHJP
B29C 44/00 20060101ALI20240802BHJP
B29C 44/36 20060101ALI20240802BHJP
【FI】
B29C44/06
B29C44/00 G
B29C44/36
(21)【出願番号】P 2022521764
(86)(22)【出願日】2020-10-13
(86)【国際出願番号】 EP2020078784
(87)【国際公開番号】W WO2021074153
(87)【国際公開日】2021-04-22
【審査請求日】2023-04-17
(31)【優先権主張番号】102019127756.6
(32)【優先日】2019-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】593227925
【氏名又は名称】カネカ ベルギー ナムローゼ フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】KANEKA BELGIUM N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル,トーステン
(72)【発明者】
【氏名】ネゲルス,パトリック
【審査官】加賀 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-312248(JP,A)
【文献】特開2006-247868(JP,A)
【文献】特表2011-522724(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 44/06
B29C 44/00
B29C 44/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形キャビティ(22)を形成する少なくとも1つのツールキャビティ(21)を備えた金型(2)を使用し、フィルム層コーティング(11)を有する発泡プラスチック成形体(1)の製造方法であって、前記製造方法は、
A)前記金型(2)の少なくとも1つのツールキャビティ(21)を加熱し、
B)前記少なくとも1つの加熱されたツールキャビティ(21)に粒状体(3)を塗布し、
C)前記加熱されたツールキャビティ(21)で
前記粒状体(3)を溶融して液状フィルム層(31)を形成し、
D)前記液状フィルム層(31)を発泡プラスチック成形体に塗布し、前記液状フィルム層(31)を前記プラスチック成形体の前記表面に融着することにより、前記プラスチック成形体(1)の前記表面上にフィルム層コーティング(11)を形成し、
E)前記少なくとも1つのツールキャビティ(21)を冷却し、前記フィルム層(11)でコーティングされた前記プラスチック成形体(1)を排出する、方法ステップを含
み、
前記少なくとも1つの加熱されたツールキャビティ(21)の温度は、方法ステップB)からD)を実施している全期間中、前記粒状体(3)の溶融温度以上の温度であるように制御される、製造方法。
【請求項2】
方法ステップA)からE)を実施する前に、前記プラスチック成形体(1)は、膨張法によって前記金型(2)で製造され、その後、前記金型(2)が開かれ、前記プラスチック成形体(1)が少なくとも1つの第1のツールキャビティ(21a)に残り、その後、方法ステップA)からE)が少なくとも1つの第2の対向するツールキャビティ(21b)に対して実施されることを特徴とし、前記プラスチック成形体(1)の前記表面に前記液状フィルム層(31)を融着することによる前記液状フィルム層(31)を塗布することは、方法ステップD)に従って、再度金型(2)を閉じることによって実施され、前記少なくとも1つのツールキャビティ(21)の方法ステップE)における前記冷却は、前記閉じられた金型状態で実施される、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つのツールキャビティ(21a、21b)の前記領域において、最初に方法ステップA)からC)までが実施され、その後、金型(2)が閉じられ、第1の膨張性プラスチック粒状体または発泡パールが、それぞれ、金型(2)の成形キャビティ(22)に充填され、成形キャビティ(22)内で膨張されることを特徴とし、方法ステップD)は、前記プラスチック成形体(1)または前記第1の膨張性プラスチック粒状体または前記発泡パールが、それぞれ、前記少なくとも1つのツールキャビティ(21)上に形成された前記液状フィルム層(31)に対して膨張し、融着することによって実施される、請求項1または請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
方法ステップB)において、前記粒状体(3)が前記少なくとも1つのツールキャビティ(21、21b)の前記領域を超えて前記多部品金型(2)に塗布され、前記多部品金型(2)の少なくとも一部はシールリングを含み、前記金型(2)を閉じるとき、前記少なくとも1つの第1および/または第2のツールキャビティ(21a、21b)の前記領域外の前記粒状体(3)を、前記少なくとも1つの第1および/または第2のツールキャビティ(21a、21b)の前記端部領域のビードまで排出することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の製造方法。
【請求項5】
前記膨張性プラスチック粒状体または前記発泡パールをそれぞれ膨張させる前記方法ステップにおいて、前記膨張プロセスは、規定の期間後に終了し、前記最初に膨張したプラスチック粒状体または前記発泡パールの層のみが前記フィルム層(31)に付着するように、まだ溶融していない、または膨張していない前記第1のプラスチック粒状体または前記発泡パールを、それぞれ、成形キャビティ(22)から除去することを特徴とする、請求項3または請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記第1のプラスチック粒状体または前記発泡パールの前記非膨張部分をそれぞれ除去した後、第2の膨張性プラスチック粒状体または発泡パールが、それぞれ、前記成形キャビティ(22)に充填され、その後、膨張して前記プラスチック成形体(1)を形成することを特徴とする、請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
方法ステップB)において、前記粒状体(3)は、スプレーピストル(32)により、前記少なくとも1つのツールキャビティ(21)に塗布されることを特徴とする、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項8】
加熱される前記少なくとも1つのツールキャビティ(21)は、方法ステップA)において、前記少なくとも1つのツールキャビティ(21)中の前記対応する加熱流路(24)を通して加熱媒体を導入することによって加熱されることを特徴とする、請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項9】
方法ステップA)において、加熱される前記少なくとも1つのツールキャビティ(21)は、少なくとも前記粒状体(3)の融点以上の温度、特に、80℃~260℃の範囲の温度に加熱されることを特徴とする、請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項10】
方法ステップB)において、粉末状の熱可塑性プラスチック粒状体(3)が、前記少なくとも1つのツールキャビティに塗布されることを特徴とする、請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項11】
加熱される前記少なくとも1つのツールキャビティは、方法ステップA)において、特に放射ヒータなどの、前記少なくともツールキャビティ(21)から離間されて配置された外部熱源(55)によって加熱されることを特徴とする、請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項12】
方法ステップB)において、粒状体(3)は、前記少なくとも1つのツールキャビティの規定の部分領域に部分的に塗布され、特定の領域に少なくとも1つのフィルム層(31)を形成することを特徴とし、前記少なくとも1つのツールキャビティ(21)のサブ領域は、方法ステップB)における粒状体の塗布を防止するために覆われている、請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項13】
方法ステップB)において、粒状体(3)は、0.05mmから2mmまでの範囲の層厚(33)を有して前記ツールキャビティ(21)に塗布されることを特徴とする、請求項1乃至請求項12のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項14】
方法ステップE)において、冷却される前記少なくとも1つのツールキャビティ(21)は、対流的に、および/または伝導的に冷却されることを特徴とする、請求項1乃至請求項13のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項15】
前記膨張性プラスチック粒状体または前記発泡パールは、それぞれ、少なくとも1つのインジェクタ装置を介して供給され、または排出されることを特徴とする、請求項3乃至請求項13のいずれか一項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形キャビティを形成する少なくとも1つのツールキャビティを備えた金型を使用し、フィルム層コーティングを有する発泡プラスチック成形体を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発泡プラスチックの成形体を製造する一部品金型または多部品金型と同様に、製造方法も従来技術から知られている。既知の方法では、成形キャビティを形成する少なくとも1つのツールキャビティを含む一部品金型または多部品金型内において、膨張性粒子および/または発泡パールが成形キャビティに充填され、粒子および/または発泡パールが膨張して融着するような温度および湿度を有して加圧された蒸気が成形キャビティ内を流れる(本方法は、スチームチャンバ法としても知られている)。また、2つの対向する金型半体および成形キャビティの内部を介して成形キャビティを加熱し、その後、成形キャビティ内に膨張性粒子および/または発泡パールが充填され、加熱された成形キャビティから熱エネルギーを吸収して成形キャビティ内で膨張し、発泡プラスチック成形体を形成しながら互いに融着することが、従来技術から知られている。金型の少なくとも1つのツールキャビティによって画定される成形キャビティは、製造される発泡プラスチック成形体の形状を決定する。冷却後、金型を開くことにより、金型で製造されたプラスチック成形体を金型から排出し、または離型することができる。
【0003】
そのような装置および発泡プラスチック成形体の製造方法は、例えば、DE 10 2009 006 507 B3から知られるようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来から知られている発泡プラスチック成形体は、上述の製造プロセスの完了後、閉曲面または連続面を有しない。膨張法は、むしろ発泡プラスチック成形体の表面に微小な空洞を残し、例えば、そこに液体が入り込む場合がある。また、プラスチック成形体は、前述の空洞によって閉じた平面構造を有さず、したがって、例えば、自動車技術で使用される成形体のラッカー塗装に直接適していないという欠点がある。
【0005】
さらに、従来から知られている発泡プラスチック成形体は、原料として使用される、膨張性または発泡プラスチック粒状体のそれぞれの色しか有しない。特定の応用分野、例えば、食品産業の分野だけでなく、自動車技術の分野においても、例えば、成形体を直接ラッカー塗装し、自動車のバンパーとして使用するためには、粗さの程度が低い閉曲面を有する発泡プラスチック成形体を製造する必要がある。
【0006】
織布成形体のための平坦な閉曲面を得るために、追加のフィルム層によって前述の発泡プラスチック成形体を塗布することが、先行技術から既に知られている。この場合、別の作業ステップで、発泡プラスチック成形体に前述のプラスチックフィルムを塗布する必要があり、この点で従来の製造方法は不利である。
【0007】
上述した先行技術に基づき、本発明の目的の一つは、より費用効果が高く、製造時間を短縮して実施することができ、さらに、プラスチック成形体の特性を意図された用途目的に具体的に調整することができる、フィルム層コーティングを有する発泡プラスチック成形体を製造する簡便な製造方法を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、本発明の目的は、成形キャビティを形成する少なくとも1つのツールキャビティを備えた金型を使用し、フィルム層コーティングを有する発泡プラスチック成形体を製造する方法によって達成され、当該方法は次の方法ステップを含む。
A)金型の少なくとも1つのツールキャビティを加熱し、
B)少なくとも1つの加熱されたツールキャビティに粒状体を塗布し、
C)加熱されたツールキャビティで粒状体を溶融して液状フィルム層を形成し、
D)液状フィルム層を発泡プラスチック成形体に塗布し、液状フィルム層をプラスチック成形体の表面に融着することにより、プラスチック成形体の表面にフィルム層コーティングを形成し、
E)ツールキャビティを冷却し、フィルム層でコーティングされたプラスチック成形体を排出する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】粒状体を塗布中の本発明に係るツールキャビティの断面図を示す。
【
図3】本発明に従って製造された発泡プラスチック成形を有する金型の例示的な実施形態を示す。
【
図4】外部加熱システムを備えた金型のさらなる例示的な実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
方法ステップE)では、金型、特に金型の加熱された少なくとも1つのツールキャビティが離型温度まで冷却され、その後、ツールとして落下するコンポーネントとして、金型からフィルム層コーティングを有するプラスチック成形体が排出され、または離型される。方法ステップB)で塗布される粒状体は、発泡プラスチック成形体に形成されるフィルム層コーティングを形成する所望の材料である。方法ステップA)において、少なくとも1つのツールキャビティを、方法ステップB)で塗布される粒状体の少なくとも溶融温度まで加熱することは、溶融された粒状体から形成される方法ステップC)の液状フィルム層を形成するために実施される。当該方法を実施している間、少なくとも1つのツールキャビティの温度は、少なくとも方法ステップB)からD)を実施している全期間中、実質的に少なくとも塗布された粒状体の溶融温度以上の温度であるように、それぞれ誘導され、または制御されることができる。
【0011】
本発明に係る方法は、既存のツール、特に多部品金型を使用して、プラスチック成形体上に閉じたフィルム層コーティングを製造することができるという利点を有する。一方、プラスチック成形体へのコーティングを実現するため、特にプラスチック層またはプラスチック層を有する繊維層を塗布するために従来技術により以前必要とされた追加の装置は時代遅れになる。本発明に係る方法において特に有利なのは、前記方法を製造方法の既存の製造プロセスに円滑に組み込むことができ、またはそれに直接接続することができ、その結果、それぞれ、時間の大幅な節約および効果の増大をもたらすことができることである。方法ステップC)において粒状体を溶融することにより、加熱されたツールキャビティ内に、規定のフィルム層厚を有する粒状体の連続フィルム層が形成される。方法ステップC)の完了後、連続フィルム層は、加熱されたツールキャビティ内で溶融状態または液体状態である。方法ステップD)では、プラスチック成形体の表面に閉じたフィルム層コーティングを形成するため、溶融されたフィルム層が、液体状態で発泡プラスチック成形体の表面に少なくとも部分的に塗布され、プラスチック成形体の前記表面上で、それぞれ、直接融着または固化する。フィルム層は、発泡プラスチック成形体の全表面を覆うことができ、または代替的に、閉じたフィルム層としてプラスチック成形体の部分的な表面であるサブ領域のみを覆うことができる。また、本発明に係る方法は、製造されたプラスチック成形体にバリが発生しないという利点を有し、そのため、例えば、製造された完成品に対して、スプルーまたは突出したバリを除去するための再加工が不要である。
【0012】
本発明によれば、方法ステップA)からE)を実施する前に、実際のプラスチック成形体が、先行技術から知られているように、発泡法または膨張法によって金型内で最初に製造され、その後、金具が開かれ、発泡プラスチック成形体を少なくとも1つのツールキャビティに残し、その後、方法ステップA)からE)が少なくとも1つの第2の対向するツールキャビティに対して実施される。方法ステップD)によるフィルム層を塗布することは、既に膨張したプラスチック成形体の周りで再び金型を閉じることによって実施され、少なくとも1つのツールキャビティの方法ステップE)における冷却は、閉じた成形状態で実施される。本発明に係る製造方法の前述の実施形態は、フィルム層コーティングの製造が、既知の膨張法を用いて発泡プラスチック成形体を製造するという先行技術から既に知られた方法の直後に実現されるという利点を有する。本発明によれば、既存の金型を使用して、フィルム層の塗布が可能である。プラスチック成形体の製造直後におけるフィルム層の製造および塗布により、プラスチック成形体の接合面の中間汚染が回避されるため、プラスチック成形体へのフィルム層の良好な接合または接着を実現することができる。
【0013】
プラスチック成形体は、EPS(発泡ポリスチロール)、EPP(発泡ポリプロピレン)、EPE(発泡ポリエチレン)、発泡性熱可塑性ポリウレタン(E-TPU)およびグラファイトまたはカーボンを含むポリスチロールなどの全ての発泡性粒子発泡体を使用して、膨張法により金型のキャビティ内で製造することができる。製造方法の代替の実施形態では、第1の金型において膨張法によりプラスチック成形体を製造し、その後、第2の金型で本発明に係る方法ステップを実施することが提供されてもよい。
【0014】
本発明に係る製造方法のさらなる好ましい実施形態では、少なくとも1つのツールキャビティの領域で方法ステップA)からC)が実施され、その後、金型が閉じられ、第1の膨張性プラスチック粒状体または発泡パールが、それぞれ、金型の成形キャビティに充填され、金型内で膨張される。方法ステップD)では、プラスチック成形体が少なくとも1つのツールキャビティ上に形成された液状フィルム層に対して膨張し、直接融着することによって実施される。
【0015】
特に好ましいのは、第1の膨張性プラスチック粒状体の膨張プロセスが、早期にキャンセルされるか、または規定の期間後に早期に停止され、これにより、プラスチック粒状体または発泡パールのそれぞれの一部のみが膨張される。その後、まだ融着していない、または膨張していない第1のプラスチック粒状体の一部が金型から除去され、第1の膨張したプラスチック粒状体の層のみがフィルム層に付着する。得られた中間品は、さらなる処理ステップを実施するために、成形キャビティ内に残すか、または成形キャビティから離型することができる。
【0016】
好ましくは、中間品が成形キャビティ内に残っている場合、第1のプラスチック粒状体の非膨張部分を除去した後、第2の膨張性プラスチック粒状体または発泡パールのそれぞれを成形キャビティに充填し、その後、これを膨張させてプラスチック成形体を形成することができる。説明した方法は、フィルム層を有するプラスチック成形体を製造するために使用することができる。前記フィルム層の下には、それぞれ、第1の材料で形成され、フィルム層と融着され、または接合された第1の膨張性プラスチック粒子または発泡パールの層があり、前記フィルム層の下には、それぞれ、第2の材料から形成され、少なくとも第1の層と接続され、またはそれに接着された第2の膨張性プラスチック粒子またはプラスチックパールの第2の層がある。記載の方法によれば、2つの異なる発泡粒状体からなるプラスチック成形体を製造することができる。
【0017】
好ましくは、異なる材料特性を有する少なくとも2つの異なる膨張性プラスチック粒状体が、製造プロセスに使用される。第1の例示的な実施形態では、第1の膨張性プラスチック粒状体が、低密度で高弾性を有する局所発泡体をもたらし、第2の粒状体が、第1の膨張性プラスチック粒状体と比較してより高密度で低弾性を有する局所発泡体をもたらすように選択することができる。その結果、得られる発砲プラスチック成形体は、表面の領域のフィルム層コーティングの下に柔らかく柔軟な表面を有し、下方の局所発泡領域は、構造的に安定で変形しないものとなる。
【0018】
代替の実施形態では、第1の膨張性プラスチック粒状体は、第2の膨張性プラスチック粒状体よりも高剛性および高密度を有することができ、非常に剛性のある表面を有し、同時に軽量化された物品を得ることができる。高剛性と同時に高密度を有する膨張性プラスチック粒状体で形成された第1の発泡体層を設けることの利点は、薄い膜厚のフィルム層コーティングを実現できることである。
【0019】
第1および第2の膨張性プラスチック粒状体を具体的に選択することにより、結果として、プラスチック成形体を形成する発泡体層の局所的な特性に特に影響を与えることができる。さらに、この方法を繰り返すことにより、2つ以上の異なる膨張性プラスチック粒状体を使用して、プラスチック成形体を形成することが提供されてもよい。したがって、好ましい実施形態では、第1のプラスチック粒状体の非膨張部分を除去した後に成形キャビティ内に中間品を残すとき、少なくとも2つのさらなる膨張性プラスチック粒状体またはプラスチックパールのそれぞれが成形キャビティに充填され、これらを膨張させて、プラスチック成形体を形成することが提供されてもよい。その際、さらなる膨張性プラスチック粒状体の膨張プロセスは、早期にキャンセルされるか、または規定の期間の後に早期に停止され、これにより、それぞれ、さらなるプラスチック粒状体またはプラスチックパールの一部のみが膨張される。その後、また融着していない、または膨張していないさらなるプラスチック粒状体の部分が成形キャビティから除去され、さらなる膨張したプラスチック粒状体の規定の厚さを有する層を製造することができる。説明した方法は、フィルム層を有するプラスチック成形体を製造することを可能にする。前記フィルム層の下には、それぞれ、第1の材料で形成され、フィルム層と融着され、または接合された第1の膨張性プラスチック粒子または発泡パールの層があり、前記フィルム層の下には、それぞれ、さらなる材料から形成され、少なくとも第1の層と接続され、またはそれに接着されたさらなる膨張性プラスチック粒子またはプラスチックパールの任意の数のさらなる層がある。説明した方法によれば、フィルム層とその下の任意の数の膨張性プラスチック粒子の層を有するプラスチック成形体を製造することができる。その結果、特に、3~6層を有する、いわゆる多層成形体を製造することができる。
【0020】
また、方法ステップB)では、粒状体が少なくとも1つのツールキャビティの領域を超えて多部品金型の表面に塗布され、多部品金型の少なくとも1つの部分はシールリングを含むように提供されてもよい。シールリングは、金型を閉じるとき、少なくとも1つのツールキャビティの領域外の粒状体を、少なくとも1つの第1および/または第2のツールキャビティの端部領域のビードまで排出する。シールリングは、金型の第1の部分に配置され、金型を閉じるとき、金型の少なくとも1つの第2の部分の対向するツールキャビティの周囲領域上を掃引する。上記掃引の間、ツールキャビティの外側に塗布された粒状体は、対向するツールキャビティに対するシールリングの動きによって溶融状態で一緒に押され、対向するツールキャビティを制限するビードを形成する。したがって、フィルム層コーティングを塗布するとき、フィルム層コーティングの端に見える端部は、プラスチック成形体の割合の高い表面上でのみ回避される。さらに、フィルム層コーティングの周方向の端部は、ビードによって発泡体によりよく接合され、フィルム層コーティングの端部領域における剥離を回避することができる。シールリングの対向する金型は、シールリングが対向する金型に良好に挿入されるように円錐形に設計されていることが特に好ましい。
【0021】
好ましくは、本発明によれば、方法ステップB)において、フィルム層コーティングの粒状体が、スプレーピストルによって少なくとも1つのツールキャビティに塗布されることが提供されてもよい。
【0022】
本発明に係る製造プロセスのさらなる好ましい実施形態によれば、方法A)において、加熱される少なくとも1つのツールキャビティは、少なくとも1つのツールキャビティ中の対応する加熱流路を通して加熱媒体を導入することによって加熱されることが提供されてもよい。加熱媒体として、例えば、加熱された油、水、または蒸気混合物を供給することができる。
【0023】
あるいは、少なくとも1つのツールキャビティは、少なくとも1つの能動加熱装置、例えば、抵抗加熱素子、抵抗素子または誘導加熱素子などの電子加熱素子によって加熱することができる。
【0024】
好ましくは、また、加熱された空気流などの外部熱源で少なくとも1つのツールキャビティを直接加熱することが提供されてもよい。
【0025】
好ましくは、少なくとも1つのツールキャビティは、赤外線ラジエータなどの放射ヒータによって、または代替として少なくとも1つの加熱バーナーによって加熱することができる。
【0026】
また、方法ステップA)では、加熱される少なくとも1つのツールキャビティは、少なくとも塗布される粒状体の融点よりも高い温度、特に80℃~260℃の範囲の温度に加熱されることが提供されてもよい。
【0027】
好ましい実施形態によれば、方法ステップB)において、粉末状の熱可塑性プラスチック粒状体が少なくとも1つのツールキャビティに塗布されることが提供されてもよい。熱可塑性プラスチック粒状体は、ツールキャビティを加熱することによって溶融することができ、その結果、ツールキャビティは、熱可塑性プラスチックの連続的な溶融層を含む。
【0028】
また、粒状体は、添加剤と混合して、少なくとも1つのツールキャビティに塗布することもできる。特に、ガラス繊維および/または炭素繊維を、粒状添加剤として使用することができる。
【0029】
本発明によれば、方法ステップC)の実施中または実施後に、少なくとも1つのツールキャビティの表面の少なくとも部分的な領域において、不織布もしくは織物または編物などの繊維の層が設けられてもよく、好ましくは液状フィルム層中に埋め込まれるか、または液状フィルム層によって浸される。特に好ましくは、配置された層は、規定の外部輪郭および寸法を含むことができる。
【0030】
特に好ましくは、規定のRAL色を有する熱可塑性プラスチックが少なくとも1つのツールキャビティに塗布され、フィルムコーティングを所望される規定のRAL色で製造することができることである。さらに、散逸性、難燃性、食品への適合性、紫外線への耐性、耐熱性、防水性の向上、絶縁耐性の向上、耐摩耗性の向上などの特定の特性を有するブラスチック粒状体を使用することができる。さらに、フィルム層コーティングには、ブラスチック成形体と物質体物質の接合を形成するプラスチックを使用することができる。これにより、所望の特性を有するプラスチック成形体を具体的に設計し続けることができる。
【0031】
また、本発明によれば、同じ熱可塑性プラスチックによるプラスチック成形体とフィルム層コーティングとを使用して、例えば、プラスチックPPとEPP、またはPSとEPSが組み合わされたモノマテリアル複合体を実現することが提供されてもよい。モノマテリアル複合体により、製造されたフィルム層コーティングを有するプラスチック成形体は、材質が均一となるため、リサイクル性が向上する。
【0032】
さらに、本発明によれば、規定の表面テクスチャを有する少なくとも1つのツールキャビティを使用することができ、これは、フィルム層の規定の表面特性を引き起こす。例えば、フィルム層コーティングの表面は、規定のテクスチャ、規定の粗さを有する極めて滑らかな表面もしくは粗い表面、またはフックアンドループの表面を設けることができる。
【0033】
本発明に係る製造方法の特に好ましい実施形態によれば、方法ステップB)において、粉末状のポリプロピレン(PP)が少なくとも1つのツールキャビティに塗布されることが提供されてもよい。
【0034】
さらに特に好ましい実施形態によれば、方法ステップB)において、粒状体が、特定の領域に少なくとも1つのフィルム層を形成するために、少なくとも1つのツールキャビティの規定のサブ領域にのみ部分的に塗布することが提供されてもよい。方法ステップB)で粒状体の塗布を防ぐために、少なくとも1つのツールキャビティの特定のサブ領域を覆うことができる。
【0035】
好ましくは、発泡プラスチック成形体上に局所的に異なる膜厚を有するフィルム層コーティングを製造することができるように、粒状体がツールキャビティの異なるサブ領域に規定の異なる層厚で塗布されることが提供されてもよい。前述の方法により、強度の異なる表面領域および曲げ剛性の異なる表面領域をフィルム層コーティングに具体的に実現することが初めて可能になる。特に、表面の弱い領域を導入することができ、これは、例えば、自動車分野でプラスチック成形体を使用する場合、例えば、衝撃の場合において規定の変形挙動を引き起こす。
【0036】
特に、方法ステップB)において、0.05mmから2mmの範囲の層厚を有する粒状体がツールキャビティに塗布されることが提供されてもよい。粒状体の層厚は、下にある膨張性プラスチック粒状体に応じて選択することができる。
【0037】
さらに好ましい実施形態によれば、方法ステップE)において、冷却される少なくとも1つのツールキャビティが、対流的および/または伝導的に冷却されることが提供されてもよい。
【0038】
特に好ましい実施形態によれば、方法ステップE)において、冷却される少なくとも1つのツールキャビティが、少なくとも1つのツールキャビティの流路を通して冷却媒体を導入することによって冷却されることが提供されてもよい。供給される冷却媒体は、冷却流体、例えば、特に油、冷却空気または冷却水とすることができる。
【0039】
あるいは、方法ステップE)において、冷却される少なくとも1つのツールキャビティが、少なくとも1つのノズル装置を介して、冷却される少なくとも1つのツールキャビティに冷却媒体を噴霧することによって冷却され、特に、液体状態の水が複数のノズル装置、特に噴霧ノズルを介して、冷却される少なくとも1つのツールキャビティに噴霧されることが提供されてもよい。
【0040】
本発明によれば、方法ステップA)において、加熱される少なくとも1つのツールキャビティの温度が、温度センサによって監視されることがさらに提供されてもよい。好ましくは、温度センサによって、所望のプロセス温度は、製造方法全体の間、または規定の方法ステップにおいて監視することができ、測定値に応じて具体的に制御することができる。
【0041】
また、加熱媒体、または代替としての電気ノズル装置の供給が、温度センサで制御されてもよい。
【0042】
特に、方法ステップA)からC)を実施した後に発泡プラスチック成形体を製造するために、少なくとも1つの粒子発泡粒状体が、少なくとも1つのインジェクタ装置を介して、閉じられた金具内に供給されることが提供されてもよい。金型は、複数のインジェクタ装置を介して、異なる膨張性プラスチック粒状体を局所的に充填することもできる。
【0043】
さらに、本発明によれば、方法ステップA)からC)が、方法ステップD)およびE)における転置によって金型と一緒にされて成形キャビティを形成する少なくとも1つの外部ツールキャビティに対して実施されることが提供されてもよい。例えば、本発明によれば、複数のツールキャビティを備えた回転ディスクツールを使用することができる。
【0044】
以下、本発明に係る製造方法のいくつかの例について説明する。
【0045】
例1、2および3:
寸法370×370×60mmの角型ツールを使用し、EPP-発泡ポリプロピレン発泡粒子(商標エペラン-PP VB45、M30、VB15、Kaneka Belgium N.V.)をベースにしたスチームチャンバ法によるプレートを製造した。プレートは、80℃のオーブンで24時間安定化させ、周囲条件(23℃-相対湿度50%)で保管した。円形の加熱プレートを220℃の温度で電気的に加熱し、粒状体(Axalta Coating Systems GmbH社製の「グレー EX1Y 1876」)を加熱されたプレートに噴霧し、そこに溶融させた。EPPプレートを溶融した粒状体の層に押し付け、プレートを空冷し、その結果、フィルムコーティングされた発泡プラスチック部品が得られた。
【0046】
例4および5:
バリオサーム技術を使用し、ボウル製造用ツールのキャビティ(例4)および車両用Aピラートリム製造用ツールのキャビティ(例5)をそれぞれ、185℃または180℃に加熱した。バリオサーム技術とは、ツールの全ての領域の温度を精密に制御することができる加熱および冷却システムである。ツールキャビティは、必ずしも成形機のスチームチャンバに統合されている必要はない。粒状体(Axalta Coating Systems GmbH社製の「黒 EX1Y 1886」または「EX1Y 1886 青 565」)を加熱されたキャビティに噴霧し、そこに溶融させた。ツールを閉じ、キャビティにEPP-発泡ポリプロピレン発泡粒子(Kaneka Belgium N.V.社製の商標「エペラン-PP MN20」および「エペラン-PP VB 20」)を充填し、スチームチャンバ法を適用した。いずれの場合も、所望の領域において、フィルム層で部分的に100%覆われた発泡プラスチック部品を製造することができた。
【0047】
例6、7、8、9、10および11:
ボウル製造用ツール(例6、7)および車両用Aピラートリム用ツール(例8、9、10、11)を使用して、EPP-発泡ポリプロピレンの発泡粒子(Kaneka Belgium N.V.社製の商標エペラン-PP VB30、M20、M30およびMN20)をベースにしたスチームチャンバ法に従って発泡プラスチック部品を製造した。但し、サイクルの終了時に部品は排出されず、キャビティ内に残した。バリオサーム技術を使用して、もう一方のキャビティを180~185℃に加熱した。加熱されたキャビティの表面に、粒状体(Axalta Coating Systems GmbH社製の「黒 EX1Y 1886」および「EX1Y 1886 青 565」)を噴霧し、そこに溶融させた。再びツールを閉じ、冷却した。いずれの場合も、所望の領域においてフィルム層で部分的に100%覆われた発泡プラスチック部品を製造することができた。
【0048】
例12および13:
EPP-発泡ポリプロピレンの発泡粒子(Kaneka Belgium N.V.社製の商標エペラン-PP VB20およびM30)をベースにしたスチームチャンバ法に従って車両用Aピラートリムを製造した。Aピラートリムは、80℃のオーブンで24時間安定化させ、周囲条件(23℃-相対湿度50%)で保管した。バリオサーム技術を使用し、Aピラートリムのキャビティを180℃で加熱し、粒状体(Axalta GmbH社製のポリプロピレン「黒 EX1Y 1886」)を加熱されたキャビティに噴霧し、そこに溶融させた。発泡性Aピラートリムを溶融した粒状体の層に押し付け、プレートを冷却し、フィルムコーティング層を有する発泡プラスチック部品を製造することができた。この方法は、少量生産の場合、非常に実用的であることが証明されている。
【0049】
例14:
バリオサーム技術を使用し、Aピラートリムのキャビティを180℃に加熱し、粒状体(Axalta GmbH社製のポリプロピレン「黒 EX1Y 1886」)を加熱されたキャビティに噴霧し、そこに溶融させた。高温のキャビティを有するツールを閉じ、タイプXの発泡ポリプロピレン発泡粒子(Kaneka Belgium N.V.社製の商標エペラン-PP M30)をツールに充填し、その後、溶融フィルム層に部分的に接着して、低密度(ソフト)の第1の層を形成した。非接着性の過剰な発泡粒子は、キャビティから吸引された。タイプYの発泡粒子(Kaneka Belgium N.V.社製の商標エペラン-PP VB20)をツールに充填し、スチームチャンバ法を適用した。所望の領域において、フィルム層で部分的に100%覆われた発泡プラスチック部品を製造することができた。また、タイプXおよびタイプYを使用することで、密度の異なる2層(ソフトおよびハード)を実現することができた。
【0050】
例15:
バリオサーム技術を使用し、Aピラートリムのキャビティを180℃に加熱し、粒状体(Axalta Coating Systems GmbH社製のポリプロピレン「黒 EX1Y 1886」)を加熱されたキャビティに噴霧し、そこに溶融させた。高温のキャビティを有するツールを閉じ、タイプXの発泡ポリプロピレン発泡粒子(Kaneka Belgium N.V.社製の商標エペラン-PP M30)をツールに充填し、その後、溶融フィルム層に部分的に接着して、低密度(ソフト)の第1の層を形成した。キャビティを冷却した。非接着性の過剰な発泡ポリプロピレン発泡粒子は、キャビティから吸引され、タイプXの発泡粒子が接着した層が形成されたフィルム層をツールから取り出して保管した。後日、発泡粒子の融着層を有するフィルム層がツールに戻された。タイプYの発泡粒子(Kaneka Belgium N.V.社製の商標エペラン-PP VB20)をツールに充填し、スチームチャンバ法を適用した。所望の領域において、フィルム層で部分的に100%覆われた発泡プラスチック部品を製造することができた。また、タイプXおよびタイプYを使用することで、密度の異なる2層(ソフトおよびハード)を実現することができた。
【0051】
表1は、例1~例15および比較例1を説明する表である。
【0052】
【0053】
表2は、フィルムコーティングを有する発泡プラスチック部品を製造するためのサンプル例1~例15に使用された方法を示す。
【0054】
【0055】
(1)バリオサームは、金型内の全ての領域の温度を正確に制御できる加熱および冷却システムである。ツールキャビティは、必ずしも成形機のスチームチャンバに統合されている必要はない。
【0056】
(2)Nordson Deutschland GmbHのスプレーシステム:高密度相ポンプ技術により、粉末を貯蔵または供給容器から粉末スプレーピストル(Encore HDシステム)に移送し、静電荷を帯びたまたは帯びない粉末を塗布する。
【0057】
また、粒状体はキャビティコピーで、全面または成形機外の表面の一部で溶融することができる。これにより、サイクル時間の短縮が可能となり、また、全面にスチームノズルが必要な場合には、厚みのある発泡プラスチック部品のコーティングも可能となる。
【0058】
(評価方法)
(発泡部品の密度)
表3に記載されている発泡プラスチック部品の成形部品密度MD(g/l)は、発泡プラスチック部品の重量W1(g)を発泡プラスチック部品の体積V1(L)で除すことによって計算された(MD=W1/V1(g/l))。
【0059】
(透水性)
温度25℃で2500mlの水に、25gの食器洗い洗剤(Procter & Gamble社製の商標「Dreft-Original」)を加えて、1%水性せっけん溶液を調製した。
【0060】
円筒形のボウルの形状を持つ発泡部品は、総容量が1600mlである。ボウルの内面はフィルム層で覆われている。開口径Dは190mmであり、底部および壁部の厚さは10mmである。このボウルを周囲条件(23℃-相対湿度50%)で保管し、ボウルの重量W2(g)を測定する。
【0061】
ボウルの全容積の50%に相当する800mlまたは800,000mm3のせっけん分散液の容積V2がボウルに注がれる。ボウル内の水柱は、28,32mm=800,000/((π*1902)/4)の高さを有する。ボウルは、周囲条件(23℃-相対湿度50%)で24時間保管される。
【0062】
その後、ボウル内に残ったせっけん溶液を取り除き、ボウル内面をペーパータオルで乾燥させ、せっけん分散液を取り除いた後5分以内にボウルの「湿潤重量」W3(g)を測定する。
【0063】
透水量WPは、ボウルの重量増加率で表される(WP(%)=(W3-W2)/W2*100)。
【0064】
(硬度)
発泡プラスチック部品の硬度は、ASTM D2240に従って測定される。結果は、「ショアA」値として示される。
【0065】
(色の均一性)
フィルムコーティングされた発泡プラスチック部品とフィルムコーティングされていない発泡プラスチック部品の色を、CIElabカラーシステムに基づくカラーボールシステムを備えたBYK Gardner社製の装置で測定する。
【0066】
色測定の結果は、L、a*、およびb*の値のセットとして表される。
【0067】
L値は、0から100まで、白から黒まで変化する。
【0068】
a*値は、-127から+127まで、緑から赤まで変化する。
【0069】
b*値は、-127から+127まで、青から黄まで変化する。
【0070】
色の測定が実行され、20,000mm2の表面の異なる5点のL、a*、およびb*の平均値を算出する。
【0071】
2回の測定値の色差はΔEとして示され、次のように計算される。
【0072】
【0073】
個々の色の測定値ごとに、L、a*、b*の平均値に対してΔEiを計算し、iは1~5とした。最後に、変化する合計ΔEは、5つのΔEi値の平均値として計算される。
【0074】
【0075】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る方法の好ましい例示的な実施形態を説明する。
【0076】
図1は、閉じた状態の金型2の断面図を示し、金型2は、2つの対向するツールキャビティ21aおよび21bによって形成され、前述の対向するツールキャビティ21aおよび21bは成形キャビティ22を取り囲んでいる。図示された例示的な実施形態において、第1のツールキャビティ21aは、加熱媒体を第1のツールキャビティに供給することができる複数の加熱流路24を備え、第1のツールキャビティ21aは規定の温度に加熱することができる。
【0077】
図2には、金型2のツールキャビティ21の例示的な実施形態が示され、例示されたツールキャビティは、ツールキャビティ21の温度を測定することができる温度センサ4を含む。
図2には、スプレーピストル32における粒状体3を塗布するプロセスが示され、塗布された粒状体は、ツールキャビティ21の領域にフィルム層厚33を有するフィルム層31を形成する。
図2にも見られるように、塗布された粒状体3の層厚33は、スプレーピストル32によって粒状体3の特定の塗布によって、ツールキャビティ21の区域に調整され、または特定の影響を与えることができる。
【0078】
図3は、均一なフィルム層コーティング11を有するプラスチック成形体を示し、発泡成形体は、第1のツールキャビティ21aおよび第2の対向するツール21bから形成される金型2を使用して製造され、第2のツールキャビティ21にプラスチック粒状体3を塗布することにより、本発明に係るプラスチック成形体1にフィルム層コーティング11が塗布される。
【0079】
図4は、温度センサ4と、方向性オリフィスを備えた複数の放射ヒータの形態を有する外部熱源55と、を備えた本発明に係るツールキャビティ21のさらなる例示的な実施形態を示す。ツールキャビティ21は、外部熱源55によって規定の温度に加熱することができ、センサ4を使用して熱源55を制御することができる。