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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-01
(45)【発行日】2024-08-09
(54)【発明の名称】バッテリー装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/284 20210101AFI20240802BHJP
   H01M 10/42 20060101ALI20240802BHJP
   H01M 50/298 20210101ALI20240802BHJP
   H01M 50/569 20210101ALI20240802BHJP
   H01M 50/588 20210101ALI20240802BHJP
   H01M 50/591 20210101ALI20240802BHJP
【FI】
H01M50/284
H01M10/42 P
H01M50/298
H01M50/569
H01M50/588
H01M50/591 101
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022567852
(86)(22)【出願日】2021-08-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-15
(86)【国際出願番号】 KR2021010081
(87)【国際公開番号】W WO2022035108
(87)【国際公開日】2022-02-17
【審査請求日】2022-11-08
(31)【優先権主張番号】10-2020-0100658
(32)【優先日】2020-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジェ・ヒュン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジン・ヒュン・イ
【審査官】上野 文城
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-127418(JP,A)
【文献】特開2009-064919(JP,A)
【文献】特開2009-163932(JP,A)
【文献】特開平11-242950(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/284
H01M 10/42
H01M 50/298
H01M 50/569
H01M 50/584 - 597
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバッテリーセルをそれぞれ備える少なくとも一つのバッテリーパックと、
前記複数のバッテリーセルを管理するバッテリー管理システム(BMS)と、
前記バッテリー管理システム(BMS)が実装され、それぞれ少なくとも一つの絶縁層と導電層が積層された基板と、
前記バッテリーセルから前記基板の上に延びた複数本のワイヤーと、
前記基板に形成され、前記複数本のワイヤーがそれぞれ挿入されている複数の貫通孔と、
前記貫通孔の周りの少なくとも一領域に形成された非導電性領域と、
前記ワイヤーが挿入されている前記貫通孔の上に形成された半田付け部と、を備え、
前記非導電性領域は、前記貫通孔の内側面に形成された非導電層を備える、バッテリー装置。
【請求項2】
前記基板の上に形成されて前記バッテリー管理システム(BMS)と接続され、前記半田付け部により前記ワイヤーと接続される導電パターンをさらに備える請求項1に記載のバッテリー装置。
【請求項3】
前記非導電層は、前記基板の絶縁層とは異種の物質から形成されている、請求項1または2に記載のバッテリー装置。
【請求項4】
複数のバッテリーセルをそれぞれ備える少なくとも一つのバッテリーパックと、
前記複数のバッテリーセルを管理するバッテリー管理システム(BMS)と、
前記バッテリー管理システム(BMS)が実装され、それぞれ少なくとも一つの絶縁層と導電層が積層された基板と、
前記バッテリーセルから前記基板の上に延びた複数本のワイヤーと、
前記基板に形成され、前記複数本のワイヤーがそれぞれ挿入されている複数の貫通孔と、
前記貫通孔の周りの少なくとも一領域に形成された非導電性領域と、
前記ワイヤーが挿入されている前記貫通孔の上に形成された半田付け部と、を備え、
前記基板は、前記貫通孔の外周から所定の間隔だけ離れて形成された導電パターンを備える、バッテリー装置。
【請求項5】
前記導電パターンは、前記貫通孔の外周から0.3mm乃至1mmだけ離れた領域に形成されている、請求項に記載のバッテリー装置。
【請求項6】
少なくとも一つの絶縁層及び導電層が積層されて形成された基板の上に貫通孔を形成する工程と、
前記貫通孔の周りの基板の上に導電パターンを形成する工程と、
前記貫通孔の内側面に非導電層を形成する工程と、
前記貫通孔の非導電層の内側に複数のバッテリーセルから延びたワイヤーを挿入する工程と、
前記貫通孔の上に前記ワイヤーと前記導電パターンとを接続する半田付け部を形成する工程と、を含むバッテリー装置の製造方法。
【請求項7】
前記非導電層を形成してから前記ワイヤーを挿入する前に、前記基板の上にバッテリー管理システム(BMS)を実装する工程をさらに含む請求項に記載のバッテリー装置の製造方法。
【請求項8】
前記導電パターンは、前記貫通孔の外周から前記基板の上に形成される、請求項または7に記載のバッテリー装置の製造方法。
【請求項9】
前記非導電層は、前記基板の絶縁層とは異種の物質から形成される、請求項からのいずれか一項に記載のバッテリー装置の製造方法。
【請求項10】
基板の上に複数の貫通孔を形成する工程と、
前記貫通孔の周りの基板の上に前記貫通孔の外周から所定の間隔だけ離して導電パターンを形成し、前記貫通孔の周りに非導電性領域を形成する工程と、
前記貫通孔の内側に複数のバッテリーセルから延びたワイヤーを挿入する工程と、
前記貫通孔の上にワイヤーと導電パターンとを接続する半田付け部を形成する工程と、を含む、バッテリー装置の製造方法。
【請求項11】
前記導電パターンは、前記貫通孔の外周から0.3mm乃至1mmだけ離れた領域に形成される、請求項10に記載のバッテリー装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリー装置及びその製造方法に係り、特に、バッテリーセルとバッテリー管理システム(BMS:Battery Management System)とを接続するためにバッテリーセルから延びたワイヤーを基板の上に半田付け(soldering)するときにBMSの電気的なダメージを防ぐことのできるバッテリー装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
充放電可能な二次電池、すなわち、バッテリー(battery)は、スマートフォンなどのモバイル機器のエネルギー源として広く用いられている。また、バッテリーは、化石燃料を用いるガソリン車両、ディーゼル車両などによる大気汚染などを解決するための方案として提示される電気自動車、ハイブリッド電気自動車などのエネルギー源としても用いられている。
【0003】
バッテリーを用いる応用の種類は、バッテリーの利点により著しく多様になっており、今後は、今よりもさらに多くの分野と製品にバッテリーが適用される見込みである。
【0004】
バッテリーは、電極と電解液の構成に応じて、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、リチウムポリマー電池などに分類されたりし、これらのうち、電解液の漏液の可能性が低く、しかも、製造し易いリチウムイオンポリマー電池の使用量が増えつつある一方である。
【0005】
このように、バッテリーは、多種多様な製品のエネルギー源として広く用いられているものの、各種の可燃性物質が内蔵されているが故に、過充電、過電流、その他の物理的な外部の衝撃などにより発熱、爆発などが起きるリスクがある。かような不都合を防ぐために、過充電、過放電、過電流が起きたときに電流を遮断する保護回路、温度が上昇したときに抵抗が格段に増加して電流を遮断する正の温度係数素子(Positive Temperature Coefficient Element)、ガスの発生に伴って圧力が上昇したときに電流を遮断したりガスを排気したりする安全ベントなどの安全システムが備えられており、多数の電池モジュールが組み合わせられた構造からなるマルチセル構造の中大型電池パックには、過放電、過充電、過電流などから電池セルを保護するためのヒューズ、バイメタル、バッテリー管理システム(Battery Management System;BMS)などの安全システムが備えられている。
【0006】
安全システムのうち、BMSは、バッテリーパックを構成する複数のバッテリーセルと電気的に接続されている。ここで、少なくとも二つのバッテリーセルが並列に接続されて一つのバッテリーバンクを構成し、少なくとも二つのバッテリーバンクがバッテリーパックを構成し得る。
【0007】
BMSをバッテリーセルと接続するために、バッテリーセルから延びたワイヤーがBMSの実装された基板の上に延び、基板の上に半田付けされてバッテリーセルとBMSとを接続する。基板には貫通孔が形成されてワイヤーが貫通孔に挿入され、貫通孔上のワイヤーが半田付けされることにより、ワイヤーを介して基板に実装されたBMSとバッテリーセルとが接続される。このとき、BMSを構成する複数のIC(集積回路)のうちの少なくとも一つのICに電気的なダメージ(damage)を与えないために、低いバンクのバッテリーセルから高いバンクのバッテリーセルまで順番にBMSに接続することを余儀なくされる。例えば、上から下へと第1番乃至第8番のバッテリーバンクから構成され、各バッテリーバンクが第1番乃至第n番のバッテリーセルが並べられてなる場合を想定すると、第8番のバッテリーバンクの第n番のバッテリーセルから第1番のバッテリーセルまで順番にBMSに接続され、このような方式により第8番のバッテリーバンクから第1番のバッテリーバンクまでのバッテリーセルが順番にBMSに接続されなければならない。
【0008】
しかしながら、低いバッテリーバンクから順番に半田付けされない場合、ランダムにBMSのICにセル電源が供給されてICに電気的なダメージが生じてしまうことが懸念される。すなわち、ICの動作のための電源はバッテリーセルから供給されるが、グランドを先に接続しないか、あるいは、例えば、第1番乃至第n番のバッテリーセルのうち、途中から接続してしまうと、ICの入力ピンに4.2V以上の電圧が印加されてはならないにも拘わらず、二つ以上のバッテリーセルが接続されて許容電圧以上の電圧がICに印加されて電気的なダメージを受けてしまう。電気的なダメージは、電流または電圧が許容値以上に印加されてICに故障を引き起こしてしまう。
【0009】
本発明の背景となる技術は、下記の特許文献に掲載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】韓国登録特許第10-1572650号公報
【文献】韓国公開特許第2018-0118920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、バッテリーセルとBMSとを接続するためにバッテリーセルから延びたワイヤーを基板の上に半田付けするときにBMSの電気的なダメージを防ぐことのできるバッテリー装置及びその製造方法を提供する。
【0012】
本発明は、たとえ低いバッテリーバンクのバッテリーセルからBMSを順番に接続しない場合であっても、BMSに電気的なダメージが生じないバッテリー装置及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様に係るバッテリー装置は、複数のバッテリーセルをそれぞれ備える少なくとも一つのバッテリーパックと、前記複数のバッテリーセルを管理するバッテリー管理システム(BMS)と、前記バッテリー管理システム(BMS)が実装され、それぞれ少なくとも一つの絶縁層と導電層が積層された基板と、前記バッテリーセルから前記基板の上に延びた複数本のワイヤーと、前記基板に形成され、前記複数本のワイヤーがそれぞれ挿入される複数の貫通孔と、前記貫通孔の周りの少なくとも一領域に形成された非導電性領域と、前記ワイヤーが挿入された貫通孔の上に形成された半田付け部と、を備える。
【0014】
前記バッテリー装置は、前記基板の上に形成されて前記バッテリー管理システム(BMS)と接続され、前記半田付け部により前記ワイヤーと接続される導電パターンをさらに備える。
【0015】
前記非導電性領域は、前記貫通孔の内側面に形成された非導電層を備える。
【0016】
前記非導電層は、前記基板の絶縁層とは異種の物質から形成される。
【0017】
前記基板は、前記貫通孔の外周から所定の間隔だけ離れて形成された導電パターンを備える。
【0018】
前記導電パターンは、前記貫通孔の外周から0.3mm乃至1mmだけ離れた領域から形成される。
【0019】
本発明の他の態様に係るバッテリー装置の製造方法は、少なくとも一つの絶縁層及び導電層が積層されて形成された基板の上に貫通孔を形成する工程と、前記貫通孔の周りの基板の上に導電パターンを形成する工程と、前記貫通孔の内側面に非導電層を形成する工程と、前記貫通孔の非導電層の内側に複数のバッテリーセルから延びたワイヤーを挿入する工程と、前記貫通孔の上にワイヤーと導電パターンとを接続する半田付け部を形成する工程と、を含む。
【0020】
前記バッテリー装置の製造方法は、前記非導電層を形成してからワイヤーを挿入する前に、前記基板の上にバッテリー管理システム(BMS)を実装する工程をさらに含む。
【0021】
前記導電パターンは、前記貫通孔の外周から基板の上に形成される。
【0022】
前記非導電層は、前記基板の絶縁層とは異種の物質から形成される。
【0023】
本発明のさらに他の態様に係るバッテリー装置の製造方法は、基板の上に複数の貫通孔を形成する工程と、前記貫通孔の周りの基板の上に導電パターンを形成する工程と、前記貫通孔の内側に複数のバッテリーセルから延びたワイヤーを挿入する工程と、前記貫通孔の上にワイヤーと導電パターンとを接続する半田付け部を形成する工程と、を含み、前記導電パターンは、前記貫通孔の外周から所定の間隔だけ離れて形成される。
【0024】
前記導電パターンは、前記貫通孔の外周から0.3mm乃至1mmだけ離れた領域に形成される。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、貫通孔にワイヤーが挿入され、半田付けされる前にワイヤーが基板上の導電パターンと電気的に接続しないようにすることができる。すなわち、貫通孔の内側面に絶縁層を形成することにより、貫通孔に挿入されるワイヤーが貫通孔の内側に晒された導電パターンまたは基板上の導電パターンと接続しないようにすることができ、基板上の導電パターンを貫通孔から所定の間隔だけ離れるように形成することにより、ワイヤーが貫通孔に挿入されるときに基板上の導電パターンと接続しないようにすることができる。
【0026】
したがって、本発明は、バッテリーセルとBMSとを接続するためにバッテリーセルから延びたワイヤーを基板の上に半田付けするとき、BMSの電気的なダメージを防ぐことができる。すなわち、たとえ低いバッテリーバンクのバッテリーセルからBMSを順番に接続しない場合であっても、BMSに電気的なダメージが生じないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の実施形態に係るバッテリー装置の構成を説明するためのブロック図である。
図2】本発明の一実施形態に係るバッテリー装置の一部の断面図である。
図3】本発明の他の実施形態に係るバッテリー装置の一部の断面図である。
図4】本発明の一実施形態に係るバッテリー装置の製造方法を説明するための断面図である。
図5】本発明の一実施形態に係るバッテリー装置の製造方法を説明するための断面図である。
図6】本発明の一実施形態に係るバッテリー装置の製造方法を説明するための断面図である。
図7】本発明の他の実施形態に係るバッテリー装置の製造方法を説明するための断面図である。
図8】本発明の他の実施形態に係るバッテリー装置の製造方法を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施形態をより詳しく説明する。しかしながら、本発明は以下に開示される実施形態に何ら限定されるものではなく、互いに異なる様々な形態に具体化されるものであり、単にこれらの実施形態は本発明の開示を完全にし、通常の知識を有する者に発明の範囲を完全に知らせるために提供されるものである。図面において、色々な層及び各領域を明確に表現するために厚さを拡大して表現しており、図中、同じ符号は、同じ構成要素を指し示すようにしている。
【0029】
図1は、本発明の実施形態に係るバッテリー装置の構成を説明するためのブロック図である。また、図2及び図3は、本発明の一実施形態及び他の実施形態に係るバッテリー装置の一部の断面図である。すなわち、図2及び図3は、本発明の実施形態に係る基板に形成された貫通孔に挿入されたワイヤーが半田付けされたバッテリー装置の部分断面図である。
【0030】
図1を参照すると、本発明の実施形態に係るバッテリー装置は、複数のバッテリーバンク110~150を備えるバッテリーパック100と、バッテリーパック100を管理するBMS200と、BMSが実装された基板300と、バッテリーパック100から延びて基板300上においてバッテリーパック100のバッテリーセルとBMS200とを接続するワイヤー400と、ワイヤー400を基板100の上に固定し、電気的な接続のための半田付け部500と、を備えていてもよい。このような本発明の一実施形態に係るバッテリー装置の構成についてさらに詳しく説明すれば、次の通りである。
【0031】
バッテリーパック100は、スマートフォン、電気自動車などの応用に電気エネルギーを提供する。このようなバッテリーパック100は、BMS200により管理されて外部の電源により充電されてもよい。ここで、バッテリーパック100は、複数のバッテリーバンク110~150を備えていてもよい。また、バッテリーバンク110~150のそれぞれは、充放電可能な複数のバッテリーセル111、112を備えていてもよい。図面には、一つのバッテリーバンク110~150のそれぞれが二つのバッテリーセル111、112を備える場合を想定して示しているが、バッテリーバンク110~150は、二つ以上のバッテリーセル111、112を備えていてもよい。一方、図1には、一つのバッテリーバンク、すなわち、第1のバッテリーバンク110のバッテリーセル111、112にのみ図面符号を付しているが、残りのバッテリーバンク120~150にも同数で同じ接続関係をもった複数のバッテリーセルがそれぞれ配備されるため、バッテリーバンク120~150のバッテリーセルには図面符号を付していない。以下、たとえバッテリーセル111、112と称したとしても、すべてのバッテリーバンク110~150のバッテリーセルを指し示すということに留意されたい。また、各バッテリーバンク110~150のバッテリーセル111、112は、並列に接続されてもよい。例えば、第1のバッテリーバンク110のバッテリーセル111、112は並列に接続されてもよく、第2乃至第5のバッテリーバンク120~150のそれぞれのバッテリーセル111、112もまた並列に接続されてもよい。しかしながら、バッテリーセル111、112は、並列だけではなく、直列にまたは直並列に接続されてもよい。ここで、バッテリーセル111、112の種類は特に限定されず、例えば、リチウムイオン電池、リチウムポリマー電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池などから構成してもよい。一方、バッテリーセル111、112は、ケースの形状に応じて、電極組み立て体が円筒状または角形状の金属缶に組み込まれている円筒状のセル及び角形状セルと、電極組み立て体がアルミニウムラミネートシートのポーチ状のケースに組み込まれているポーチ状のセルと、に分類される。ここで、本発明の実施形態においては、円筒状のセルを例にとって説明する。
【0032】
BMS200は、バッテリーパック100の状態を推定し、推定した状態情報を用いて、バッテリーパック100を管理する。例えば、バッテリーパック100のSOC(State of Charge,充電状態)、寿命(State of Health;SOH)、最大入出力電力許容量、出力電圧などバッテリーパック100の状態情報を推定しかつ管理する。そして、このような状態情報を用いて、バッテリーパック100の充電または放電を制御する。本発明に係るBMS200は、バッテリーパック100のSOCを推定するためのSOC推定装置を備える。また、BMS200は、各バッテリーセルの充電状態のバランスを取るためのセルバランシングを制御する。すなわち、充電状態が比較的に高いバッテリーセルは放電し、充電状態が比較的に低いバッテリーセル111、112は充電してもよい。一方、BMS200を用いてバッテリーパック100を管理するために、バッテリーパック100の状態をセンシングするセンシング部をさらに備えていてもよい。センシング部はバッテリーパック100電流をセンシングする電流センサー、電圧をセンシングする電圧センサー、温度をセンシングする温度センサーを備えていてもよい。このとき、電流センサー、電圧センサー及び温度センサーは、それぞれ少なくとも一つ設けられてもよい。このように様々な機能を行うBMS200は、様々な部品から構成されて基板300の上に実装されてもよい。すなわち、基板300の上にSOC推定のための複数の部品、セルバランシングのための複数の部品、センシング部を構成する複数の部品、その他に受動素子などが実装されてもよい。一方、図示はしないが、バッテリーパック100の充放電を制御してバッテリーパック100を保護する充放電保護回路がさらに配備されてもよい。すなわち、充放電保護回路がBMS200とは別途の部品として基板300の上に実装されてもよい。
【0033】
基板300は、絶縁層の上に回路パターンが形成されたプリント回路基板(Printed Circuit Board;PCB)を備えていてもよい。プリント回路基板は、一般に、フェノール樹脂絶縁層またはエポキシ樹脂絶縁層などの表面に銅張り薄板を取り付けた後、所定のパターンに従って銅張り薄板をエッチングして所要の回路パターンを構成するが、このようなプリント回路基板を基板300として用いることができる。一方、プリント回路基板としては、回路層及び絶縁層の数に応じて、片面基板、両面基板、多層基板などを用いることができ、層数が多くなれば多くなるほど、電子部品の実装力に優れていて高精細の製品に用いられるため、プリント回路基板の上に実装される部品の数及び集積度に応じて層数が選ばれてもよい。このような基板300の上にBMS200を構成する複数の部品をはじめとしてキャパシター、インダクター、抵抗などの受動素子が実装されてもよい。また、基板300には複数の貫通孔310が形成されてもよい。そして、基板300の上面には、所定の導電パターン320が形成されてもよい。ここで、導電パターン320は、基板300上の貫通孔310の周辺に形成されてもよい。導電パターン320は、基板300の上に実装された少なくとも一つの部品と接続されてもよい。すなわち、導電パターン320は、BMS200の少なくとも一部と接続されてもよい。
【0034】
ワイヤー400は、バッテリーバンク110~150をなすバッテリーセル111、112とBMS200とを接続するために設けられてもよい。すなわち、バッテリーセル111、112からワイヤー400が基板300の上に延びてBMS200と接続されてもよい。ここで、ワイヤー400は、例えば、銅、アルミニウムまたはこれらのうちのいずれか一つの合金から形成されてもよい。ワイヤー400は、バッテリーセル111、112から基板300の上に延びて基板300の貫通孔310に挿入されてもよい。そして、ワイヤー400が貫通孔310に挿入された後、貫通孔310の上側に半田付け(soldering)による半田付け部410が形成されてワイヤー400と基板300上の導電パターン320とが接続することが可能になり、これにより、バッテリーパック100とBMS200とが電気的に接続することが可能になる。
【0035】
ここで、本発明の一実施形態においては、ワイヤー400が挿入される貫通孔310の内側がめっきされないようにすることで、半田付け部410が形成される前にバッテリーセル111、112とBMS200とが電気的に接続しないようにすることができる。すなわち、本発明の一実施形態においては、図2に示すように、貫通孔310の内側面に非導電層330が形成され、非導電層330の内側にワイヤー400が挿入された後、基板300の上側のワイヤー400が半田付けされて半田付け部410が形成されてもよい。貫通孔310の内側面に非導電層330が形成されているため、貫通孔310内にワイヤー400が挿入される工程においてワイヤー400と導電物質、例えば、基板300上の導電パターン320とが接触しないので、半田付け部410が形成される前にバッテリーセルとBMS200とが電気的に接続しないようにすることが可能になる。ここで、非導電層330は、基板300とは異種の物質から形成されてもよい。すなわち、非導電層330は、基板300を構成する絶縁層とは異なる物質から形成されてもよい。勿論、非導電層330は、基板300の絶縁層と同じ物質から形成されてもよいが、非導電層330は、基板300の絶縁層及び導電層を形成した後、後続工程により形成されてもよい。すなわち、貫通孔310内の非導電層330は、基板300が複数の絶縁層及び導電パターンが積層され、貫通孔310が形成されたPCBから作製された後、後続工程により貫通孔310の内側面に形成されてもよい。
【0036】
また、本発明の他の実施形態においては、貫通孔310の上側の周辺部に導電パターン320が形成されないことにより、ワイヤー400が貫通孔310内に挿入され、半田付けされた後、電気的に接続するようにすることができる。すなわち、本発明の他の実施形態においては、図3に示すように、基板300上の導電パターン320が貫通孔310から所定の間隔だけ離れて形成されるため、貫通孔310内にワイヤー400が挿入される工程においてワイヤー400と基板300上の導電パターン320とが接触されないので、半田付け部410が形成される前にバッテリーセルとBMS200とが電気的に接続しないようにすることが可能になる。
【0037】
前述したように、本発明の実施形態においては、貫通孔にワイヤーが挿入され、半田付けされる前にワイヤーが基板上の導電パターンと電気的に接続しないようにすることができる。すなわち、貫通孔の内側面に非導電層を形成することにより、貫通孔に挿入されるワイヤーが貫通孔の内側に晒された導電パターンまたは基板上の導電パターンと接続しないようにすることができ、基板上の導電パターンを貫通孔から所定の間隔だけ離れるように形成することにより、ワイヤーが貫通孔に挿入されるときに基板上の導電パターンと接続しないようにすることができる。したがって、本発明は、バッテリーセルとBMSとを接続するためにバッテリーセルから延びたワイヤーを基板の上に半田付けするとき、BMSの電気的なダメージを防ぐことができる。すなわち、たとえ低いバッテリーバンクのバッテリーセルからBMSを順番に接続しない場合であっても、BMSに電気的なダメージが生じないようにすることができる。
【0038】
このような本発明の実施形態に係るバッテリー装置の製造方法について図面に基づいて説明すれば、下記の通りである。ここで、本発明の実施形態においては、基板に形成された貫通孔に重点をおいて製造方法について説明する。
【0039】
図4乃至図6は、本発明の一実施形態に係るバッテリー装置の製造方法を説明するための断面図である。
【0040】
図4を参照すると、基板300の所定の領域に貫通孔310を形成する。
【0041】
基板300は、所定の導電パターンが形成されたPCBであってもよい。すなわち、基板300は、少なくとも一つの絶縁層が形成され、絶縁層の上に所定の導電パターンが形成されたPCBであってもよい。例えば、基板300は、絶縁層が複数積層され、絶縁層同士の間に所定の導電パターンが形成されてもよい。このような基板300の所定の領域に複数の貫通孔310を形成する。貫通孔310は、様々な方法により形成してもよいが、例えば、プレス機を用いて形成してもよく、バッテリーセルから延びた複数本のワイヤーが挿入される位置に複数形成されてもよい。このとき、貫通孔310は、バッテリーセルから延びるワイヤー400の直径よりも大きな直径を有するように形成されてもよいが、例えば、ワイヤー400の直径よりも2倍~5倍ほど大きな直径に形成されてもよい。また、基板300の上には導電パターン320が形成されてもよい。このとき、導電パターン320は、貫通孔310を除いた領域に所定のパターンに形成されてもよい。すなわち、導電パターン320は、貫通孔310の内側面と垂直に延びる延長線から所定のパターンに形成されてもよい。換言すれば、導電パターン320は、貫通孔310の内側面と垂直方向に一致する領域から貫通孔310の周りに形成されてもよい。
【0042】
図5を参照すると、貫通孔310の内側面に非導電層330を形成する。
【0043】
貫通孔310の内側面に絶縁物質が塗布されて非導電層330が形成され、それにより、貫通孔310の直径は、最初に形成された直径よりも小さく形成されてもよい。すなわち、貫通孔310が第1の直径に形成され、貫通孔310の内側面に非導電層330が形成されるので、非導電層330を形成した後、貫通孔310は、第1の直径よりも小さな第2の直径を有することができる。このとき、非導電層330を形成した後の貫通孔310の直径もまた、ワイヤー400の直径よりも大きくてもよい。例えば、貫通孔310は、ワイヤー400の直径の1.5倍~3倍の直径を有することができる。貫通孔310の内側面に非導電層330を形成するために様々な工程が用いられてもよい。例えば、貫通孔310が埋め込まれるように絶縁物質を塗布した後、基板上の絶縁層を取り除き、貫通孔310を再び貫通するようにして貫通孔310の内側面に絶縁層が残留するようにしてもよい。
【0044】
図6を参照すると、貫通孔310の内側にワイヤー400を挿入された後、ワイヤー400の上側を半田付けして半田付け部410を形成する。したがって、半田付け部410によりワイヤー400と導電パターン320とが電気的に接続することが可能になる。
【0045】
すなわち、本発明の一実施形態に係るバッテリー装置の製造方法は、複数のバッテリーセル111、112を備える少なくとも一つのバッテリーパック100を設ける工程と、複数のバッテリーセル111、112と接続された複数本のワイヤー400を形成する工程と、少なくとも一つの絶縁層及び導電層が積層されて形成された基板300が与えられ、貫通孔310を形成する工程と、貫通孔310の周りの基板300の上に導電パターン320を形成する工程と、貫通孔310の内側面に非導電層330を形成する工程と、貫通孔310の非導電層330の内側にワイヤー400を挿入する工程と、基板300上のワイヤー400を半田付けしてワイヤー400と導電パターン320とを接続する半田付け部410を形成する工程と、をこの順に含んでいてもよい。ここで、BMS200は、貫通孔310の内側に非導電層330を形成してからワイヤー400を挿入する前に基板300の上に実装されてもよい。
【0046】
一方、図4乃至図6を用いて説明された本発明の一実施形態は、様々な方法によりさらに変形されてもよい。例えば、導電パターン320を形成する前に貫通孔310を形成し、貫通孔310の内側面に非導電層330を形成した後、基板300上の貫通孔310の周りに導電パターン320を形成してもよい。すなわち、本発明の一実施形態に係るバッテリー装置の製造方法の変形例は、基板300の上に貫通孔310を形成する工程と、貫通孔310の内側面に非導電層330を形成する工程と、貫通孔310の周りの基板300の上に導電パターン320を形成する工程と、貫通孔310の非導電層330の内側にワイヤー400を挿入する工程と、基板300上のワイヤー400を半田付けしてワイヤー400と導電パターン320とを接続する半田付け部410を形成する工程と、を含んでいてもよい。
【0047】
前述したように、本発明の一実施形態においては、貫通孔310の内側面に非導電層330が形成され、非導電層330の内側にワイヤー400が挿入された後、基板300の上側のワイヤー400が半田付けされて半田付け部410が形成されてもよい。貫通孔310の内側面に非導電層330が形成されているため、貫通孔310内にワイヤー400が挿入される工程においてワイヤー400と基板300上の導電パターン320とが接触しないので、半田付け部410が形成される前にバッテリーセルとBMS200とが電気的に接続しないようにすることが可能になる。すなわち、本発明の一実施形態においては、ワイヤー400が挿入される貫通孔310の内側がめっきされないようにすることで、半田付け部410が形成される前にバッテリーセルとBMS200とが電気的に接続しないようにすることができる。
【0048】
図7及び図8は、本発明の他の実施形態に係るバッテリー装置の製造方法を説明するための断面図である。ここで、本発明の他の実施形態についての説明に際しては、一実施形態の説明と重複する内容は省略し、本発明の他の実施形態についての説明に際して述べていない内容は、本発明の一実施形態と同様である。
【0049】
図7を参照すると、基板300の所定の領域に貫通孔310を形成する。
【0050】
基板300は、所定の導電パターンが形成されたPCBであってもよい。このような基板300の所定の領域に複数の貫通孔310を形成する。貫通孔310は、様々な方法により形成してもよいが、例えば、プレス機を用いて形成してもよく、バッテリーセルから延びた複数本のワイヤーが挿入される位置に複数形成されてもよい。ここで、貫通孔310は、バッテリーセルから延びるワイヤー400の直径よりも大きな直径を有するように形成されてもよい。また、基板300の上には導電パターン320が形成されてもよい。このとき、導電パターン320は、貫通孔310を除いた領域に所定のパターンで形成されてもよい。また、導電パターン320は、貫通孔310と所定の間隔だけ離して形成する。例えば、導電パターン320は、貫通孔310の外周、すなわち、外側に沿った周りから約0.3mmほど離して形成される。ここで、導電パターン320と貫通孔310との離隔間隔は、ワイヤー400が貫通孔310に挿入されるときに導電パターン320と接触されないような間隔を保持することが好ましい。また、導電パターン320と貫通孔310との離隔間隔が大き過ぎると、半田付け部410の大きさが大きくならなければならないため、半田付け部410の大きさが大きくなり過ぎないような間隔を保持することが好ましい。したがって、導電パターン320の貫通孔310との離隔距離は、貫通孔310の孔径、ワイヤー400の太さ、半田付け部410の大きさなどを考慮して、0.3mm~1mmに保持されてもよい。
【0051】
図8を参照すると、貫通孔310の内側にワイヤー400を挿入した後、ワイヤー400の上側を半田付けして半田付け部410を形成する。したがって、半田付け部410によりワイヤー400と導電パターン320とを電気的に接続することが可能になる。
【0052】
すなわち、本発明の一実施形態に係るバッテリー装置の製造方法は、複数のバッテリーセル111、112を備える少なくとも一つのバッテリーパック100を設ける工程と、複数のバッテリーセル111、112と接続された複数本のワイヤー400を形成する工程と、少なくとも一つの絶縁層及び導電層が積層されて形成され、BMS200が実装された基板300を設ける工程と、基板300の上に貫通孔310を形成する工程と、貫通孔310の周りの基板300の上に導電パターン320を形成する工程と、貫通孔310の内側にワイヤー400を挿入する工程と、基板300上のワイヤー400を半田付けしてワイヤー400と導電パターン320とを接続する半田付け部410を形成する工程と、をこの順に含んでいてもよい。
【0053】
一方、本発明の他の実施形態は、様々な方法によりさらに変形されてもよい。例えば、貫通孔310が形成された領域を考慮して導電パターン320を先に形成した後、導電パターン320と離れるように貫通孔310を形成してもよい。すなわち、本発明の他の実施形態に係るバッテリー装置の製造方法の変形例は、基板300の上に導電パターン320を形成する工程と、導電パターン320の内側に貫通孔310を形成する工程と、貫通孔310の内側にワイヤー400を挿入する工程と、基板300上のワイヤー400を半田付けしてワイヤー400と導電パターン320とを接続する半田付け部410を形成する工程と、を含んでいてもよい。
【0054】
前述したように、本発明の他の実施形態においては、貫通孔310と離れるように基板300の上に導電パターン320が形成され、貫通孔310にワイヤー400が挿入された後、基板300の上側のワイヤー400が半田付けされて半田付け部410が形成されてもよい。貫通孔310と離れて基板300の上に導電パターン320が形成されているため、貫通孔310内にワイヤー400が挿入される工程においてワイヤー400と基板300上の導電パターン320とが接触されないので、半田付け部410が形成される前にバッテリーセルとBMS200とが電気的に接続しないようにすることが可能になる。
【0055】
前述したような本発明の技術的思想は、上記の実施形態に基づいて具体的に記述されたが、本発明の技術的思想を開示する上記の実施形態はその説明のためのものであり、その限定のためのものではないということに留意すべきである。なお、本発明の技術分野における当業者は、本発明の技術思想の範囲内において種々の実施形態が可能であるということが理解できるものである。
【符号の説明】
【0056】
100:バッテリーパック
200:BMS
300:基板
400:ワイヤー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8