(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-01
(45)【発行日】2024-08-09
(54)【発明の名称】新規なオキソピリダジニル-フェニル-カルボノヒドラゾノイルジシアニド化合物及びその用途
(51)【国際特許分類】
C07D 237/14 20060101AFI20240802BHJP
C07D 237/04 20060101ALI20240802BHJP
A61K 31/50 20060101ALI20240802BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20240802BHJP
A61P 17/02 20060101ALI20240802BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20240802BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20240802BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20240802BHJP
A61P 27/04 20060101ALI20240802BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240802BHJP
【FI】
C07D237/14 CSP
C07D237/04
A61K31/50
A61P9/00
A61P17/02
A61P25/16
A61P25/28
A61P27/02
A61P27/04
A61P43/00 105
(21)【出願番号】P 2022577313
(86)(22)【出願日】2021-06-18
(86)【国際出願番号】 KR2021007692
(87)【国際公開番号】W WO2021256900
(87)【国際公開日】2021-12-23
【審査請求日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】10-2020-0075040
(32)【優先日】2020-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】304039548
【氏名又は名称】コリア・インスティテュート・オブ・サイエンス・アンド・テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ベ,エ ニム
(72)【発明者】
【氏名】キム,ユン キョン
(72)【発明者】
【氏名】イム,サン ミン
(72)【発明者】
【氏名】イム,ソンス
(72)【発明者】
【氏名】イ,ハウン
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ウ スン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ヘ ヨン
【審査官】増永 淳司
(56)【参考文献】
【文献】特表2022-515787(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0107125(US,A1)
【文献】米国特許第09962384(US,B1)
【文献】韓国公開特許第2018-0050130(KR,A)
【文献】Sandra E. pineda-Sanabria et al.,Journal of Molecular and Cellular Cardiology,Probing the mechanism of cardiovascular drugs using a covalent levosimendan analog,2016年,92巻,174-184頁
【文献】Alex Crowe et al.,Compound screening in cell-based models of tau inclusion formation: Comparison of primary neuron and HEK293 cell assays,Journal of Biological Chemistry,2020年,295巻,4001-4013頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 237/14
C07D 237/04
A61K 31/50
A61P 43/00
A61P 25/28
A61P 25/16
A61P 17/02
A61P 27/04
A61P 27/02
A61P 9/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式(1)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【化1】
前記化学式(1)において、
【化2】
R
1は水素又はハロゲンであり、
R
2は水素又はC
1-6アルキルであり、
R
3はC
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ-C
0-6アルキル、C
1-6ハロアルキル、C
3-6シクロアルキル又はC
1-6アルコキシ-C
6-10アリールである。
【請求項2】
R
1は水素、クロロ又はフルオロであり、
R
2は水素又はメチルであり、
R
3はメチル、エチル、イソプロピル、シクロプロピル、ジフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、メトキシフェニル又はメトキシエチルである、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
下記化学式(2)又は(3)で表される、請求項1又は2に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【化3】
【化4】
【請求項4】
前記化合物は、
1.(4-(1-イソプロピル-6-オキソ-1,4,5,6-テトラヒドロピリダジン-3-イル)フェニル)カルボノヒドラゾノイルジシアニド((4-(1-isopropyl-6-oxo-1,4,5,6-tetrahydropyridazin-3-yl)phenyl)carbonohydrazonoyl dicyanide)、
2.(4-(1-イソプロピル-4-メチル-6-オキソ-1,4,5,6-テトラヒドロピリダジン-3-イル)フェニル)カルボノヒドラゾノイルジシアニド((4-(1-isopropyl-4-methyl-6-oxo-1,4,5,6-tetrahydropyridazin-3-yl)phenyl)carbonohydrazonoyl dicyanide)、
3.(4-(1-エチル-4-メチル-6-オキソ-1,4,5,6-テトラヒドロピリダジン-3-イル)フェニル)カルボノヒドラゾノイルジシアニド((4-(1-ethyl-4-methyl-6-oxo-1,4,5,6-tetrahydropyridazin-3-yl)phenyl)carbonohydrazonoyl dicyanide)、
4.(4-(4-メチル-6-オキソ-1-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1,4,5,6-テトラヒドロピリダジン-3-イル)フェニル)カルボノヒドラゾノイルジシアニド((4-(4-methyl-6-oxo-1-(2,2,2-trifluoroethyl)-1,4,5,6-tetrahydropyridazin-3-yl)phenyl)carbonohydrazonoyl dicyanide)、
5.(4-(1-(2-メトキシエチル)-4-メチル-6-オキソ-1,4,5,6-テトラヒドロピリダジン-3-イル)フェニル)カルボノヒドラゾノイルジシアニド((4-(1-(2-methoxyethyl)-4-methyl-6-oxo-1,4,5,6-tetrahydropyridazin-3-yl)phenyl)carbonohydrazonoyl dicyanide)、
6.(4-(1-シクロプロピル-4-メチル-6-オキソ-1,4,5,6-テトラヒドロピリダジン-3-イル)フェニル)カルボノヒドラゾノイルジシアニド((4-(1-cyclopropyl-4-methyl-6-oxo-1,4,5,6-tetrahydropyridazin-3-yl)phenyl)carbonohydrazonoyl dicyanide)、
7.(4-(1-(4-メトキシフェニル)-4-メチル-6-オキソ-1,4,5,6-テトラヒドロピリダジン-3-イル)フェニル)カルボノヒドラゾノイルジシアニド((4-(1-(4-methoxyphenyl)-4-methyl-6-oxo-1,4,5,6-tetrahydropyridazin-3-yl)phenyl)carbonohydrazonoyl dicyanide)、
8.(4-(1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)フェニル)カルボノヒドラゾノイルジシアニド((4-(1-methyl-6-oxo-1,6-dihydropyridazin-3-yl)phenyl)carbonohydrazonoyl dicyanide)、
9.(4-(1-イソプロピル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)フェニル)カルボノヒドラゾノイルジシアニド((4-(1-isopropyl-6-oxo-1,6-dihydropyridazin-3-yl)phenyl)carbonohydrazonoyl dicyanide)、
10.(4-(1-(ジフルオロメチル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)フェニル)カルボノヒドラゾノイルジシアニド((4-(1-(difluoromethyl)-6-oxo-1,6-dihydropyridazin-3-yl)phenyl)carbonohydrazonoyl dicyanide)、
11.(4-(1,4-ジメチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)フェニル)カルボノヒドラゾノイルジシアニド((4-(1,4-dimethyl-6-oxo-1,6-dihydropyridazin-3-yl)phenyl)carbonohydrazonoyl dicyanide)、
12.(4-(1-イソプロピル-4-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)フェニル)カルボノヒドラゾノイルジシアニド((4-(1-isopropyl-4-methyl-6-oxo-1,6-dihydropyridazin-3-yl)phenyl)carbonohydrazonoyl dicyanide)、
13.(3-クロロ-4-(1,4-ジメチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)フェニル)カルボノヒドラゾノイルジシアニド((3-chloro-4-(1,4-dimethyl-6-oxo-1,6-dihydropyridazin-3-yl)phenyl)carbonohydrazonoyl dicyanide)、又は
14.(4-(1,4-ジメチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)-3-フルオロフェニル)カルボノヒドラゾノイルジシアニド((4-(1,4-dimethyl-6-oxo-1,6-dihydropyridazin-3-yl)-3-fluorophenyl)carbonohydrazonoyl dicyanide)である、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
酸存在下で、一末端に反応性アミノ基を含む、下記化学式(4)で表される化合物を亜硝酸ナトリウム及びマロノニトリル(malononitrile)と反応させてイミン結合を形成するステップを含む、請求項1の化合物の製造方法。
【化5】
前記化学式(4)において、R
1~R
3は請求項1において定義した通りである。
【請求項6】
C
1-4の低級アルコール溶媒に化学式(4)の化合物と亜硝酸ナトリウムを溶解させ、-5~5℃で酸水溶液を添加してジアゾニウム塩を形成する第1ステップと、
前記第1ステップで得られたジアゾニウム塩を含む反応溶液にマロノニトリルを添加して15~40℃で反応させる第2ステップと、
前記第2ステップの反応溶液に塩基水溶液を添加して中和する第3ステップとを含む一連の過程により行われる、請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
前記化学式(4)の化合物は、下記化学式(4-a)又は(4-b)で表される化合物である、請求項5に記載の製造方法。
【化6】
【化7】
【請求項8】
前記化学式(4-a)で表される化合物は、
4-(4-アセトアミドフェニル)-4-オキソ-(3-非置換もしくはR
2で置換された)-酪酸をヒドラジンと反応させる第a-1ステップと、
前のステップで得られた(N-(6-オキソ-(4-非置換もしくはR
2で置換された)-1,4,5,6-テトラヒドロピリダジン-3-イル)フェニル)アセトアミドを酸と反応させる第a-2ステップと、
R
3が水素以外の置換基であれば、選択的に、前のステップで得られた6-(4-アミノフェニル)-(4-非置換もしくはR
2で置換された)-4,5-ジヒドロピリダジン-3(2H)-オンをR
3X(Xはハロゲン)と塩基条件下で反応させる第a-3ステップとを含む一連の過程により、又は
4-(4-アミノフェニル)-4-オキソ-(3-非置換もしくはR
2で置換された)-酪酸を非置換もしくはR
3で置換されたヒドラジンと反応させる第a-1’ステップにより準備される、請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記化学式(4-b)で表される化合物は、
3,6-ジハロ(4-非置換又はR
2で置換された)ピリダジンを酸に溶解して反応させ、その後塩基を添加して固体化する第b-1ステップと、
R
3が水素以外の置換基であれば、選択的に、前のステップで得られた6-ハロ-(5-非置換又はR
2で置換された)ピリダジン-3(2H)-オンをR
3X(Xはハロゲン)と塩基条件下で反応させる第b-2ステップと、
前のステップで得られた6-ハロ
-(2-非置換又はR
3で置換された)-(5-非置換又はR
2で置換された)ピリダジン-3(2H)-オンを4-アミノ又はニトロ-(2-非置換又はR
1で置換されたフェニル)ボロン酸ピナコールエステルとPd(PPh
3)
2触媒下で反応させる第b-3ステップと、
前記第b-3ステップで4-ニトロ-(2-非置換又はR
1で置換されたフェニル)ボロン酸ピナコールエステルと反応させたものであれば、選択的に、前のステップで得られた一末端にニトロ置換基を有する化合物を水素雰囲気にてPd/C触媒下で反応させて前記ニトロ基をアミノ基に還元する第b-4ステップとを含む一連の過程により準備される、請求項7に記載の製造方法。
【請求項10】
請求項1に記載の化合物を有効成分として含むタウタンパク質(tau protein)凝集阻害用組成物。
【請求項11】
請求項1に記載の化合物を有効成分として含むタウタンパク質過剰リン酸化阻害用組成物。
【請求項12】
請求項1に記載の化合物を有効成分として含む、タウタンパク質の凝集又は過剰リン酸化により誘発される疾患の予防又は治療用薬学的組成物。
【請求項13】
前記タウタンパク質の凝集又は過剰リン酸化により誘発される疾患は、アルツハイマー疾患、パーキンソン疾患、血管性認知症、急性脳卒中、外傷、脳血管疾患、脳コード外傷、脊髄外傷、末梢神経障害、網膜症、緑内障及びタウオパチー(tauopathies)からなる群から選択されるものである、請求項12に記載の薬学的組成物。
【請求項14】
前記タウオパチーは、慢性外傷性脳症(chronic traumatic encephalopathy; CTE)、原発性年齢関連タウオパチー(primary age-related tauopathy)、進行性核上性麻痺(progressive supranuclear palsy)、大脳皮質基底核変性症(corticobasal degeneration)、ピック病(Pick's disease)、嗜銀顆粒病(argyrophilic grain disease; AGD)、前頭側頭型認知症(frontotemporal dementia; FTD)、17番染色体に連鎖するパーキンソニズム(Parkinsonism linked to chromosome 17)、リティコ・ボディグ病(Lytico-Bodig disease, Parkinson-dementia complex of Guam)、神経節膠腫(ganglioglioma)、神経節細胞腫(gangliocytoma)、髄膜血管腫症(meningioangiomatosis)、脳炎後パーキンソニズム(postencephalitic parkinsonism)、亜急性硬化性全脳炎(subacute sclerosing panencephalitis)、鉛脳症(lead encephalopathy)、結節性硬化症(tuberous sclerosis)、パントテン酸キナーゼ関連神経変性症(Pantothenate kinase-associated neurodegeneration)、リポフスチン症(lipofuscinosis)及び外傷性脳損傷(traumatic brain injury)からなる群から選択されるものである、請求項13に記載の薬学的組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なオキソピリダジニル-フェニル-カルボノヒドラゾノイルジシアニド化合物及びその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
タウタンパク質(tau(τ) protein)は、分子量50,000~70,000の神経細胞の軸索突起において主に発現する微小管結合タンパク質(microtubule-associated protein; MAP)であり、微小管を安定化する役割を果たし、リン酸化により分子多様性を示す。ヒトの場合、タウは、N末端部分の29又は58アミノ酸残基の挿入、C末端の3つ又は4つの反復構造(微小管結合部位という)のmRNA選択的スプライシング(alternative splicing)により6つの同型が生成される。
【0003】
健康な神経において、タウは、軸索突起(axon)からの成長及び神経細胞の極性化(polarization)を促進することにより微小管を安定化する。病理学的には、過剰リン酸化(hyperphosphorylation)されると、タウは、微小管から分離されて不溶性凝集を誘導する。また、タウ凝集を誘導する構造的骨格が提案されており、10個の可溶性モノマーから不溶性フィラメントが形成され、そのフィラメントが神経原線維変化(neurofibrillary tangles, NFTs)と呼ばれる高次構造に結合する証拠が提示されている。ヒトの全長タウは、4つの保存された配列反復により構成される微小管結合ドメインを含む。このような反復配列のうち、正に帯電した残基は、高度に負に帯電した微小管(αβ-チューブリンダイマー当たり20~30個の電子)に結合する上で重要な機能を有する。タウ微小管に対する結合親和性もタウのリン酸化により能動的に制御されるが、そのリン酸化により微小管ネットワークの動的再配列が生じる。タウが異常に過剰リン酸化されると、その動的再配列のバランスが取れず、微小管に対する親和性も急激に減少する。
【0004】
前記タウタンパク質の過剰リン酸化及び/又は凝集は、神経細胞におけるこれらタウタンパク質の異常な蓄積を誘発し、それは退行性神経疾患などの原因になるものと考えられる。タウタンパク質凝集体は、主に神経細胞の細胞体及び樹状突起において観察され、それらを神経原線維変化(neurofibrillary tangles; NFT)及び神経絨毛糸(neuropil threads)と呼ぶ。神経原線維変化の微細構造を見ると、それはタウタンパク質が細い糸のように絡まった対らせん状細線維(paired helical filaments; PHFs)からなり、正常なタウタンパク質とは異なり、凝集して過剰リン酸化されている。タウオパチーにおいても異常なタウタンパク質の凝集現象が現れるが、そのタウタンパク質の凝集がタウオパチーの疾患進行段階においていかなる役割を果たすかは明確に示されておらず、一般的な退行性脳疾患において共通して現れる凝集現象と同様に現れる。
【0005】
このように、タウタンパク質の過剰リン酸化及び/又は凝集がアルツハイマー疾患及びタウオパチーをはじめとする様々な退行性脳疾患を誘発することが知られているが、それらタウタンパク質により媒介される疾患が具体的にいかなる機序によりシグナルを伝達し、毒性を示すかは、いまだ解明されておらず、それらの疾患を治療することのできる明確な治療法や治療剤もいまだ存在しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは、タウタンパク質の凝集及び/又は過剰リン酸化を阻害する新規な小分子化合物を見出すべく鋭意研究を重ねた結果、一連の新規なオキソピリダジニル-フェニル-カルボノヒドラゾノイルジシアニド化合物がタウタンパク質の凝集を効率的に阻害すると共に活性濃度において細胞毒性を示さないことを確認し、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、化学式(1)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩を提供することを目的とする。
【0008】
【0009】
化学式(1)において、
【0010】
【0011】
R1は水素又はハロゲンであり、R2は水素又はC1-6アルキルであり、R3はC1-6アルキル、C1-6アルコキシ-C0-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C3-6シクロアルキル又はC1-6アルコキシ-C6-10アリールである。
【0012】
また、本発明は、前記化合物の製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
さらに、本発明は、前記化合物を有効成分として含むタウタンパク質(tau protein)凝集阻害用組成物を提供することを目的とする。
【0014】
さらに、本発明は、前記化合物を有効成分として含むタウタンパク質過剰リン酸化阻害用組成物を提供することを目的とする。
【0015】
さらに、本発明は、前記化合物を有効成分として含む、タウタンパク質の凝集又は過剰リン酸化により誘発される疾患の予防又は治療用薬学的組成物を提供することを目的とする。
【0016】
さらに、本発明は、前記薬学的組成物を必要とする個体に前記薬学的組成物を投与するステップを含む、タウタンパク質の凝集又は過剰リン酸化により誘発される疾患を予防又は治療する方法を提供することを目的とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の新規なオキソピリダジニル-フェニル-カルボノヒドラゾノイルジシアニド化合物は、タウタンパク質の凝集及び/又は過剰リン酸化を効率的に阻害するので、それにより誘発される疾患、例えばアルツハイマー疾患やタウオパチーなどの予防又は治療に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の第1態様は、化学式(1)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0019】
【0020】
化学式(1)において、
【0021】
【0022】
R1は水素又はハロゲンであり、R2は水素又はC1-6アルキルであり、R3はC1-6アルキル、C1-6アルコキシ-C0-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C3-6シクロアルキル又はC1-6アルコキシ-C6-10アリールである。
【0023】
具体的には、本発明の化合物において、R1は水素、クロロ又はフルオロであり、R2は水素又はメチルであり、R3はメチル、エチル、イソプロピル、シクロプロピル、ジフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、メトキシフェニル又はメトキシエチルであるが、これらに限定されるものではない。
【0024】
例えば、本発明の化合物は、化学式(2)又は(3)で表される。
【0025】
【0026】
【0027】
化学式(2)又は(3)において、各置換基は前記定義の通りである。
【0028】
より具体的には、前記化合物は、1.(4-(1-イソプロピル-6-オキソ-1,4,5,6-テトラヒドロピリダジン-3-イル)フェニル)カルボノヒドラゾノイルジシアニド((4-(1-isopropyl-6-oxo-1,4,5,6-tetrahydropyridazin-3-yl)phenyl)carbonohydrazonoyl dicyanide)、2.(4-(1-イソプロピル-4-メチル-6-オキソ-1,4,5,6-テトラヒドロピリダジン-3-イル)フェニル)カルボノヒドラゾノイルジシアニド((4-(1-isopropyl-4-methyl-6-oxo-1,4,5,6-tetrahydropyridazin-3-yl)phenyl)carbonohydrazonoyl dicyanide)、3.(4-(1-エチル-4-メチル-6-オキソ-1,4,5,6-テトラヒドロピリダジン-3-イル)フェニル)カルボノヒドラゾノイルジシアニド((4-(1-ethyl-4-methyl-6-oxo-1,4,5,6-tetrahydropyridazin-3-yl)phenyl)carbonohydrazonoyl dicyanide)、4.(4-(4-メチル-6-オキソ-1-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1,4,5,6-テトラヒドロピリダジン-3-イル)フェニル)カルボノヒドラゾノイルジシアニド((4-(4-methyl-6-oxo-1-(2,2,2-trifluoroethyl)-1,4,5,6-tetrahydropyridazin-3-yl)phenyl)carbonohydrazonoyl dicyanide)、5.(4-(1-(2-メトキシエチル)-4-メチル-6-オキソ-1,4,5,6-テトラヒドロピリダジン-3-イル)フェニル)カルボノヒドラゾノイルジシアニド((4-(1-(2-methoxyethyl)-4-methyl-6-oxo-1,4,5,6-tetrahydropyridazin-3-yl)phenyl)carbonohydrazonoyl dicyanide)、6.(4-(1-シクロプロピル-4-メチル-6-オキソ-1,4,5,6-テトラヒドロピリダジン-3-イル)フェニル)カルボノヒドラゾノイルジシアニド((4-(1-cyclopropyl-4-methyl-6-oxo-1,4,5,6-tetrahydropyridazin-3-yl)phenyl)carbonohydrazonoyl dicyanide)、7.(4-(1-(4-メトキシフェニル)-4-メチル-6-オキソ-1,4,5,6-テトラヒドロピリダジン-3-イル)フェニル)カルボノヒドラゾノイルジシアニド((4-(1-(4-methoxyphenyl)-4-methyl-6-oxo-1,4,5,6-tetrahydropyridazin-3-yl)phenyl)carbonohydrazonoyl dicyanide)、8.(4-(1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)フェニル)カルボノヒドラゾノイルジシアニド((4-(1-methyl-6-oxo-1,6-dihydropyridazin-3-yl)phenyl)carbonohydrazonoyl dicyanide)、9.(4-(1-イソプロピル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)フェニル)カルボノヒドラゾノイルジシアニド((4-(1-isopropyl-6-oxo-1,6-dihydropyridazin-3-yl)phenyl)carbonohydrazonoyl dicyanide)、10.(4-(1-(ジフルオロメチル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)フェニル)カルボノヒドラゾノイルジシアニド((4-(1-(difluoromethyl)-6-oxo-1,6-dihydropyridazin-3-yl)phenyl)carbonohydrazonoyl dicyanide)、11.(4-(1,4-ジメチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)フェニル)カルボノヒドラゾノイルジシアニド((4-(1,4-dimethyl-6-oxo-1,6-dihydropyridazin-3-yl)phenyl)carbonohydrazonoyl dicyanide)、12.(4-(1-イソプロピル-4-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)フェニル)カルボノヒドラゾノイルジシアニド((4-(1-isopropyl-4-methyl-6-oxo-1,6-dihydropyridazin-3-yl)phenyl)carbonohydrazonoyl dicyanide)、13.(3-クロロ-4-(1,4-ジメチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)フェニル)カルボノヒドラゾノイルジシアニド((3-chloro-4-(1,4-dimethyl-6-oxo-1,6-dihydropyridazin-3-yl)phenyl)carbonohydrazonoyl dicyanide)、又は14.(4-(1,4-ジメチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)-3-フルオロフェニル)カルボノヒドラゾノイルジシアニド((4-(1,4-dimethyl-6-oxo-1,6-dihydropyridazin-3-yl)-3-fluorophenyl)carbonohydrazonoyl dicyanide)であってもよい。
【0029】
さらに、これらの化合物は、表1の化学式で表される化合物であってもよい。
【0030】
【0031】
なお、本発明の化合物は、薬学的に許容される塩の形態で存在してもよい。前記塩としては、薬学的に許容される遊離酸(free acid)により形成された酸付加塩が有用である。本発明における「薬学的に許容される塩」とは、患者に比較的非毒性かつ無害な有効作用を示す濃度において、その塩による副作用が化学式(1)で表される化合物の有利な効能を低下させない前記化合物の任意のあらゆる有機又は無機付加塩を意味する。
【0032】
酸付加塩は、通常の方法、例えば化合物を過剰量の酸水溶液に溶解し、その塩を水混和性有機溶媒、例えばメタノール、エタノール、アセトン又はアセトニトリルを用いて沈殿させて作製する。等モル量の化合物及び水中の酸又はアルコール(例えば、グリコールモノメチルエーテル)を加熱し、次に前記混合物を蒸発させて乾燥させるか、又は析出した塩を吸引濾過してもよい。
【0033】
ここで、遊離酸としては有機酸と無機酸を用いることができ、無機酸としては塩酸、リン酸、硫酸、硝酸、スズ酸などを用いることができ、有機酸としては、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、マレイン酸(maleic acid)、コハク酸、シュウ酸、安息香酸、酒石酸、フマル酸(fumaric acid)、マンデル酸、プロピオン酸(propionic acid)、クエン酸(citric acid)、乳酸(lactic acid)、グリコール酸(glycollic acid)、グルコン酸(gluconic acid)、ガラクツロン酸、グルタミン酸、グルタル酸(glutaric acid)、グルクロン酸(glucuronic acid)、アスパラギン酸、アスコルビン酸、カルボン酸、バニリン酸、ヨウ化水素酸(hydroiodic acid)などを用いることができるが、これらに限定されるものではない。
【0034】
また、塩基を用いて薬学的に許容される金属塩を形成することができる。アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩は、例えば化合物を過剰量のアルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物溶液に溶解し、溶解しない化合物の塩を濾過して濾液を蒸発、乾燥させて得る。ここで、金属塩としては、特にナトリウム、カリウム又はカルシウム塩を用いることが製薬上好ましいが、これらに限定されるものではない。また、これに相当する銀塩は、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩を好適な銀塩(例えば、硝酸銀)と反応させて得ることができる。
【0035】
本発明の化合物の薬学的に許容される塩には、特に断らない限り、化学式(1)~(3)の化合物に存在する酸性基又は塩基性基の塩が含まれる。例えば、薬学的に許容される塩としては、ヒドロキシ基のナトリウム塩、カルシウム塩、カリウム塩などが挙げられ、アミノ基のその他の薬学的に許容される塩としては、臭化水素酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、酢酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩(メシル酸塩)、p-トルエンスルホン酸塩(トシル酸塩)などが挙げられ、当該技術分野で公知の塩の作製方法で作製することができる。
【0036】
本発明の化学式(1)~(3)の化合物の塩としては、薬学的に許容される塩であって、化学式(1)の化合物と同等の薬理活性を示す、例えばタウタンパク質の凝集及び/又は過剰リン酸化を阻害する化学式(1)~(3)の化合物の塩であれば、いかなるものを用いてもよい。
【0037】
また、本発明による化学式(1)~(3)で表される化合物には、その薬学的に許容される塩だけでなく、それから作製できる水和物などの溶媒和物及び立体異性体が全て含まれる。化学式(1)~(3)で表される化合物の溶媒和物及び立体異性体は、当該技術分野で公知の方法を用いて化学式(1)~(3)で表される化合物から製造することができる。
【0038】
さらに、本発明による化学式(1)~(3)で表される化合物は、結晶形態又は非結晶形態に製造することができ、結晶形態に製造される場合、任意に水和又は溶媒和することができる。本発明においては、化学式(1)~(3)で表される化合物の化学量論的水和物だけでなく、様々な量の水を含有する化合物が含まれる。本発明による化学式(1)~(3)で表される化合物の溶媒和物には、化学量論的溶媒和物及び非化学量論的溶媒和物の両方が含まれる。
【0039】
本発明の第2態様は、化学式(1)で表される化合物の製造方法を提供する。
【0040】
例えば、本発明の化合物は、酸存在下で、一末端に反応性アミノ基を含む、化学式(4)で表される化合物を亜硝酸ナトリウム及びマロノニトリル(malononitrile)と反応させてイミン結合を形成するステップを含む工程で製造することができる。
【0041】
【0042】
化学式(4)において、R1~R3は前記定義の通りである。
【0043】
具体的には、前記工程は、C1-4の低級アルコール溶媒に化学式(4)の化合物と亜硝酸ナトリウムを溶解させ、-5~5℃で酸水溶液を添加してジアゾニウム塩を形成する第1ステップと、前記第1ステップで得られたジアゾニウム塩を含む反応溶液にマロノニトリルを添加して15~40℃で反応させる第2ステップと、前記第2ステップの反応溶液に塩基水溶液を添加して中和する第3ステップとを含む一連の過程により行われるが、これらに限定されるものではない。
【0044】
具体的には、本発明の化合物の製造に用いられる化学式(4)の化合物は、化学式(4-a)又は(4-b)で表される化合物であってもよい。
【0045】
【0046】
【0047】
より具体的には、化学式(4-a)で表される化合物は、4-(4-アセトアミドフェニル-4-オキソ-(非置換もしくはR2で置換された)-酪酸をヒドラジンと反応させる第a-1ステップと、前のステップで得られたN-(6-オキソ-(非置換もしくはR2で置換された)-1,4,5,6-テトラヒドロピリダジン-3-イル)フェニル)アセトアミドを酸と反応させる第a-2ステップと、R3が水素以外の置換基であれば、選択的に、前のステップで得られた6-(4-アミノフェニル)-(非置換もしくはR2で置換された)-4,5-ジヒドロピリダジン-3(2H)-オンをR3X(Xはハロゲン)と塩基条件下で反応させる第a-3ステップとを含む一連の過程により、又は4-(4-アミノフェニル)-4-オキソ-(非置換もしくはR2で置換された)-酪酸を非置換もしくはR3で置換されたヒドラジンと反応させる第a-1’ステップにより準備されるが、これらに限定されるものではない。
【0048】
例えば、化学式(4-a)で表される化合物は、市販の化合物を購入して用いてもよく、前記各ステップの反応物又は中間体を購入して当該技術分野で公知の単一反応により又は数種の反応を組み合わせて合成してもよいが、これらに限定されるものではない。
【0049】
また、各反応の後に、必要に応じて生成物を分離及び/又は精製する過程をさらに含んでもよく、それは当該技術分野で公知の様々な方法により行うことができる。
【0050】
例えば、第a-1ステップの反応は、C1-4の低級アルコール、例えばエタノールやプロパノールを溶媒として用いて、70~130℃で1~12時間行うが、これらに限定されるものではない。
【0051】
また、第a-2ステップの反応は、溶媒として水を含有する水溶液相で90~130℃にて30分~6時間行い、次に塩基を添加して中和する過程をさらに含むが、これに限定されるものではない。
【0052】
さらに、第a-3ステップの反応は、塩基性物質としてNaH又はK2CO3を用い、溶媒として有機溶媒、例えばジメチルホルムアミド(dimethylformamide; DMF)又はメチルピロリドン(methylpyrrolidone; NMP)を用いて行うが、これらに限定されるものではない。例えば、前記反応は、0℃付近の低温で5~24時間攪拌しながら行うが、これに限定されるものではない。
【0053】
一方、第a-1’ステップの反応は、有機溶媒としてC1-4の低級アルコール、例えばプロパノールを用いて、80~120℃にてマイクロ波で30分~6時間攪拌して行うが、これに限定されるものではない。
【0054】
より具体的には、化学式(4-b)で表される化合物は、3,6-ジハロ(非置換又はR2で置換された)ピリダジンを酸に溶解して反応させ、その後塩基を添加して固体化する第b-1ステップと、R3が水素以外の置換基であれば、選択的に、前のステップで得られた6-ハロ-(非置換又はR2で置換された)ピリダジン-3(2H)-オンをR3X(Xはハロゲン)と塩基条件下で反応させる第b-2ステップと、前のステップで得られた6-ハロ-2-(非置換又はR3で置換された)-(非置換又はR2で置換された)ピリダジン-3(2H)-オンを4-アミノ又はニトロ-(非置換又はR1で置換されたフェニル)ボロン酸ピナコールエステルとPd(PPh3)2触媒下で反応させる第b-3ステップと、第b-3ステップで4-ニトロ-(非置換又はR1で置換されたフェニル)ボロン酸ピナコールエステルと反応させたものであれば、選択的に、前のステップで得られた一末端にニトロ置換基を有する化合物を水素雰囲気にてPd/C触媒下で反応させて前記ニトロ基をアミノ基に還元する第b-4ステップとを含む一連の過程により準備されるが、これらに限定されるものではない。
【0055】
例えば、化学式(4-b)で表される化合物は、市販の化合物を購入して用いてもよく、前記各ステップの反応物又は中間体を購入して当該技術分野で公知の単一反応により又は数種の反応を組み合わせて合成してもよいが、これらに限定されるものではない。
【0056】
また、各反応の後に、必要に応じて生成物を分離及び/又は精製する過程をさらに含んでもよく、それは当該技術分野で公知の様々な方法により行うことができる。
【0057】
例えば、第b-1ステップの反応は、酸溶液を100~115℃で攪拌しながら6~24時間反応させ、水溶液の形態で塩基を添加して常温で攪拌して行うが、これに限定されるものではない。ここで、前記酸としては、酢酸又は塩酸を用いるが、これらに限定されるものではない。一方、前記塩基としては、炭酸水素ナトリウム、酢酸カリウム又は水酸化ナトリウムを用いるが、これらに限定されるものではなく、前述した酸の添加により酸性化した溶液を中和することにより、中和した反応生成物が得られるものであれば、いかなる種類であってもよい。
【0058】
また、第b-2ステップの反応は、有機溶媒、例えばDMFに溶解した溶液において、塩基として炭酸カリウムを用いて、常温で30分~10時間攪拌しながら行うが、これに限定されるものではない。
【0059】
さらに、第b-3ステップの反応は、有機溶媒、例えば1,4-ジオキサンにおいて、リン酸カリウム水溶液存在下で130~180℃に加熱してマイクロ波で10分~5時間攪拌して行うが、これに限定されるものではない。例えば、前記反応は、0℃付近の低温で5~24時間攪拌しながら行うが、これに限定されるものではない。
【0060】
さらに、第b-4ステップの反応は、有機溶媒、例えば1,4-ジオキサン溶液相で行うが、これに限定されるものではない。
【0061】
本発明の第3態様は、本発明の化合物を有効成分として含むタウタンパク質(tau protein)凝集阻害用組成物を提供する。
【0062】
本発明の第4態様は、本発明の化合物を有効成分として含むタウタンパク質過剰リン酸化阻害用組成物を提供する。
【0063】
本発明の第5態様は、本発明の化合物を有効成分として含む、タウタンパク質の凝集又は過剰リン酸化により誘発される疾患の予防又は治療用薬学的組成物を提供する。
【0064】
本発明の具体的な実施例においては、化学式(1)で表される化合物1~14の計14種の化合物を新たに合成し、そのタウタンパク質凝集及び過剰リン酸化阻害効果を確認した。さらに、薬学的組成物としての活用可能性を検証するために、細胞に対して毒性を示さないことを確認した。
【0065】
本発明における「予防」とは、本発明の薬学的組成物の投与によりタウタンパク質の凝集又は過剰リン酸化により誘導される疾患の発生、拡散及び再発を抑制又は遅延させるあらゆる行為を意味し、「治療」とは、本発明の薬学的組成物の投与により前記疾患の症状を好転又は有利に変化させるあらゆる行為を意味する。
【0066】
前述したように、本発明の化合物は、タウタンパク質の凝集又は過剰リン酸化を阻害するだけでなく、細胞に対する毒性を示さないので、それを有効成分として含む薬学的組成物は、タウタンパク質の凝集又は過剰リン酸化により誘発される疾患の予防又は治療に用いられる。前記本発明の薬学的組成物を適用することのできる、タウタンパク質の凝集又は過剰リン酸化により誘発される疾患は、アルツハイマー疾患、パーキンソン疾患、血管性認知症、急性脳卒中、外傷、脳血管疾患、脳コード外傷、脊髄外傷、末梢神経障害、網膜症、緑内障又はタウオパチー(tauopathies)であってもよい。前記タウオパチーの例としては、慢性外傷性脳症(chronic traumatic encephalopathy; CTE)、原発性年齢関連タウオパチー(primary age-related tauopathy)、進行性核上性麻痺(progressive supranuclear palsy)、大脳皮質基底核変性症(corticobasal degeneration)、ピック病(Pick's disease)、嗜銀顆粒病(argyrophilic grain disease; AGD)、前頭側頭型認知症(frontotemporal dementia; FTD)、17番染色体に連鎖するパーキンソニズム(Parkinsonism linked to chromosome 17)、リティコ・ボディグ病(Lytico-Bodig disease, Parkinson-dementia complex of Guam)、神経節膠腫(ganglioglioma)、神経節細胞腫(gangliocytoma)、髄膜血管腫症(meningioangiomatosis)、脳炎後パーキンソニズム(postencephalitic parkinsonism)、亜急性硬化性全脳炎(subacute sclerosing panencephalitis)、鉛脳症(lead encephalopathy)、結節性硬化症(tuberous sclerosis)、パントテン酸キナーゼ関連神経変性症(Pantothenate kinase-associated neurodegeneration)、リポフスチン症(lipofuscinosis)及び外傷性脳損傷(traumatic brain injury)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0067】
例えば、本発明の組成物は、薬学的に許容される担体、希釈剤又は賦形剤をさらに含んでもよく、それぞれの使用目的に応じて、通常の方法で散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁剤、エマルジョン剤、シロップ剤、エアゾール剤などの経口剤形、滅菌注射溶液の注射剤など、様々な形態に剤形化して用いることができ、経口投与することもでき、静脈内、腹腔内、皮下、直腸、局所投与などの様々な経路で投与することもできる。これらの組成物に含まれるのに適した担体、賦形剤又は希釈剤の例としては、ラクトース、グルコース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリトリトール、マルチトール、デンプン、アカシアゴム、アルギン酸塩、ゼラチン、リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、セルロース、メチルセルロース、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸プロピル、タルク、ステアリン酸マグネシウム、鉱油などが挙げられる。また、本発明の組成物は、充填剤、抗凝集剤、滑沢剤、湿潤剤、香料、乳化剤、防腐剤などをさらに含んでもよい。
【0068】
経口用固形製剤としては、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤などが挙げられ、これらの固形製剤は、前記組成物に少なくとも1つの賦形剤、例えばデンプン、炭酸カルシウム、スクロース、ラクトース、ゼラチンなどを混合して剤形化する。また、通常の賦形剤以外に、ステアリン酸マグネシウム、タルクなどの滑沢剤も用いられる。
【0069】
経口用液体製剤としては、懸濁剤、内用液剤、乳剤、シロップ剤などが挙げられ、通常用いられる通常の希釈剤である水、液体パラフィン以外にも種々の賦形剤、例えば湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などが用いられる。
【0070】
非経口投与製剤としては、滅菌水溶液剤、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤、坐剤が挙げられる。非水性溶剤、懸濁剤としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油などの植物性油、オレイン酸エチルなどの注射可能なエステルなどが用いられる。坐剤の基剤としては、ウィテップゾール、マクロゴール、ツイーン61、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロゼラテンなどが用いられる。一方、注射剤には、溶解剤、等張化剤、懸濁化剤、乳化剤、安定化剤、防腐剤などの従来の添加剤が含まれてもよい。
【0071】
前記剤形は、通常の混合、顆粒化又はコーティング法により製造することができ、活性成分を約0.1~75重量%、好ましくは約1~50重量%の範囲で含有する。約50~70kgの哺乳動物に対する単位剤形は、約10~200mgの活性成分を含有する。
【0072】
ここで、本発明の組成物は、薬学的に有効な量で投与する。本発明における「薬学的に有効な量」とは、医学的治療に適用できる合理的な利益/リスク比で疾患を治療するのに十分であり、副作用を起こさない程度の量を意味し、有効用量レベルは、患者の健康状態、疾患の種類、重症度、薬物の活性、薬物に対する感受性、投与方法、投与時間、投与経路及び排出率、治療期間、配合又は同時に用いられる薬物が含まれる要素、並びにその他医学分野で公知の要素により決定される。本発明の組成物は、単独で又は他の治療剤と併用して投与してもよく、従来の治療剤と順次又は同時に投与してもよく、単一又は多重投与してもよい。前記要素を全て考慮して副作用なく最小限の量で最大限の効果が得られる量を投与することが重要であり、これは当業者により容易に決定される。
【0073】
例えば、投与経路、疾患の重症度、性別、体重、年齢などにより増減するので、前記投与量はいかなる方法であれ本発明を限定するものではない。
【0074】
本発明の化合物の好ましい投与量は、患者の状態及び体重、疾患の程度、薬物の形態、投与経路及び期間によって異なるが、当業者により適宜選択される。しかし、望ましい効果を得るために、本発明の化合物を1日0.0001~100mg/kg(体重)、好ましくは0.001~100mg/kg(体重)で投与するとよい。1日1回又は分割して経口又は非経口経路で投与してもよい。
【0075】
本発明の第6態様は、本発明の前記薬学的組成物を必要とする個体に前記薬学的組成物を投与するステップを含む、タウタンパク質の凝集や過剰リン酸化により誘発される疾患を予防又は治療する方法を提供する。
【0076】
本発明における「個体」とは、タウタンパク質の凝集又は過剰リン酸化により誘発される疾患が発症したか、発症するリスクのある、ヒトをはじめとして、サル、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ニワトリ、シチメンチョウ、ウズラ、ネコ、イヌ、マウス、ラット、ウサギ、モルモットを含むあらゆる動物を意味し、本発明の薬学的組成物を個体に投与することにより、前記疾患を効果的に予防又は治療することができる。また、本発明の薬学的組成物は、タウタンパク質の凝集又は過剰リン酸化を阻害することにより治療効果を発揮するので、従来の治療剤と並行して投与することによりシナジー的な効果を発揮する。
【0077】
本発明における「投与」とは、任意の適切な方法で患者に所定の物質を提供することを意味し、本発明の組成物の投与経路は、標的組織に送達できるものであれば、いかなる一般的な経路で投与してもよい。腹腔内投与、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、皮内投与、経口投与、局所投与、鼻腔内投与、肺内投与、直腸内投与が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、本発明の薬学的組成物は、活性物質を標的細胞に送達することのできる任意の装置により投与することができる。好ましい投与方法及び製剤は、静脈注射剤、皮下注射剤、皮内注射剤、筋肉注射剤、点滴注射剤などである。注射剤は、生理食塩液、リンゲル液などの水性溶剤や、植物油、高級脂肪酸エステル(例えば、オレイン酸エチルなど)、アルコール類(例えば、エタノール、ベンジルアルコール、プロピレングリコール、グリセリンなど)などの非水性溶剤などを用いて作製することができ、変質を防止する安定化剤(例えば、アスコルビン酸、亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、BHA、トコフェロール、EDTAなど)、乳化剤、pHを調節する緩衝剤、微生物の発育を阻止する保存剤(例えば、硝酸フェニル水銀、チメロサール、塩化ベンザルコニウム、フェノール、クレゾール、ベンジルアルコールなど)などの薬学的担体を含んでもよい。
【実施例】
【0078】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。これらの実施例は本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明がこれらの実施例に限定されるものではない。
【0079】
[実施例1]
(4-(1-イソプロピル-6-オキソ-1,4,5,6-テトラヒドロピリダジン-3-イル)フェニル)カルボノヒドラゾノイルジシアニド(化合物1)の製造
ステップ1-1:6-(4-アミノフェニル)-2-イソプロピル-4,5-ジヒドロピリダジン-3(2H)-オンの作製
6-(4-アミノフェニル)-4,5-ジヒドロピリダジン-3(2H)-オン(105mg,0.55mmol)と60%水素化ナトリウム(24mg,0.61mmol)をジメチルホルムアミド(dimethylformamide; DMF)に溶解し、その後2-ヨウ化プロパン(58μL,0.58mmol)を添加して0℃で12時間攪拌した。反応終了後に、蒸留水と酢酸エチルを用いて抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、次いで濾過した。濾過液を減圧濃縮し、その後濃縮液をカラムクロマトグラフィーで精製して表題化合物121mg(収率99%)を得た。
【0080】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.51 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 6.58 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 5.51 (s, 2H), 4.84 (p, J = 6.6 Hz, 1H), 2.79 (dd, J = 8.9, 7.3 Hz, 2H), 2.39 (dd, J = 8.9, 7.2 Hz, 2H), 1.17 (d, J = 6.6 Hz, 6H).
ステップ1-2:(4-(1-イソプロピル-6-オキソ-1,4,5,6-テトラヒドロピリダジン-3-イル)フェニル)カルボノヒドラゾノイルジシアニドの作製
窒素下にて、ステップ1-1で得られた6-(4-アミノフェニル)-2-イソプロピル-4,5-ジヒドロピリダジン-3(2H)-オン(110mg,0.47mmol)と亜硝酸ナトリウム(15mg,0.23mmol)をエタノールに溶解し、その後0℃で1.0M塩酸水溶液(0.3mL,0.30mmol)を添加した。その反応混合物を0℃で10分間攪拌してジアゾニウム塩を形成した。前記ジアゾニウム塩を含む反応混合物にマロノニトリル(19mg,0.28mmol)を添加し、常温で10分間攪拌した。その後、水酸化ナトリウム水溶液を用いて反応混合物のpHを6.0に調整し、次いで常温でさらに1時間攪拌した。反応終了後に、蒸留水と酢酸エチルで抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、次いで濾過した。濾過液を減圧濃縮し、濃縮液をカラムクロマトグラフィーで精製して表題化合物140mg(収率95%)を得た。
【0081】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 13.11 (s, 1H), 7.87 (d, J = 8.9 Hz, 2H), 7.53 (d, J = 8.9 Hz, 2H), 4.88 (p, J = 6.6 Hz, 1H), 2.92 (dd, J = 8.9, 7.5 Hz, 2H), 2.49 (m, 2H), 1.20 (d, J = 6.7 Hz, 6H).
[実施例2]
(4-(1-イソプロピル-4-メチル-6-オキソ-1,4,5,6-テトラヒドロピリダジン-3-イル)フェニル)カルボノヒドラゾノイルジシアニド(化合物2)の製造
ステップ2-1:6-(4-アミノフェニル)-2-イソプロピル-5-メチル-4,5-ジヒドロピリダジン-3(2H)-オンの作製
6-(4-アミノフェニル)-4,5-ジヒドロピリダジン-3(2H)-オンに代えて6-(4-アミノフェニル)-5-メチル-4,5-ジヒドロピリダジン-3(2H)-オン(200mg,0.98mmol)を用いることを除いて、実施例1のステップ1-1と同様に反応させ、表題化合物194mg(収率75%)を得た。
【0082】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.53 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 6.59 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 5.53 (s, 2H), 4.88 (p, J = 6.7 Hz, 1H), 3.31 - 3.19 (m, 1H), 2.59 (dd, J = 16.5, 6.6 Hz, 1H), 2.23 (dd, J = 16.5, 1.6 Hz, 1H), 1.22 (d, J = 6.6 Hz, 3H), 1.12 (d, J = 6.7 Hz, 3H), 1.00 (d, J = 7.3 Hz, 3H).
ステップ2-2:(4-(1-イソプロピル-4-メチル-6-オキソ-1,4,5,6-テトラヒドロピリダジン-3-イル)フェニル)カルボノヒドラゾノイルジシアニドの作製
6-(4-アミノフェニル)-2-イソプロピル-4,5-ジヒドロピリダジン-3(2H)-オンに代えてステップ2-1で得られた6-(4-アミノフェニル)-2-イソプロピル-5-メチル-4,5-ジヒドロピリダジン-3(2H)-オン(180mg,0.73mmol)を用いることを除いて、実施例1のステップ1-2と同様に反応させ、表題化合物229mg(収率97%)を得た。
【0083】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 13.14 (s, 1H), 7.90 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 7.54 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 4.91 (p, J = 6.6 Hz, 1H), 2.71 (dd, J = 16.6, 6.8 Hz, 1H), 2.32 (dd, J = 16.6, 1.5 Hz, 1H), 1.25 (d, J = 6.6 Hz, 3H), 1.16 (d, J = 6.7 Hz, 3H), 1.04 (d, J = 7.2 Hz, 3H).
[実施例3]
(4-(1-エチル-4-メチル-6-オキソ-1,4,5,6-テトラヒドロピリダジン-3-イル)フェニル)カルボノヒドラゾノイルジシアニド(化合物3)の製造
ステップ3-1:6-(4-アミノフェニル)-2-エチル-5-メチル-4,5-ジヒドロピリダジン-3(2H)-オンの作製
6-(4-アミノフェニル)-4,5-ジヒドロピリダジン-3(2H)-オンに代えて6-(4-アミノフェニル)-5-メチル-4,5-ジヒドロピリダジン-3(2H)-オン(100mg,0.53mmol)を用い、ヨウ化プロパンに代えて2-ヨウ化エタン(47μL,0.58mmol)を用いることを除いて、実施例1のステップ1-1と同様に反応させ、表題化合物79mg(収率65%)を得た。
【0084】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.51 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 6.58 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 5.53 (s, 2H), 3.73 (ddq, J = 51.9, 13.8, 7.1 Hz, 2H), 3.30 - 3.24 (m, 1H), 2.89 (s, 1H), 2.73 (s, 1H), 2.61 (dd, J = 16.5, 6.6 Hz, 1H), 2.23 (d, J = 16.6 Hz, 1H), 1.13 (t, J = 7.1 Hz, 3H), 1.02 (d, J = 7.3 Hz, 3H).
ステップ3-2:(4-(1-エチル-4-メチル-6-オキソ-1,4,5,6-テトラヒドロピリダジン-3-イル)フェニル)カルボノヒドラゾノイルジシアニドの作製
6-(4-アミノフェニル)-2-イソプロピル-4,5-ジヒドロピリダジン-3(2H)-オンに代えてステップ3-1で得られた6-(4-アミノフェニル)-2-エチル-5-メチル-4,5-ジヒドロピリダジン-3(2H)-オン(70mg,0.30mmol)を用いることを除いて、実施例1のステップ1-2と同様に反応させ、表題化合物33mg(収率35%)を得た。
【0085】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 13.13 (s, 1H), 7.88 (d, J = 8.9 Hz, 2H), 7.53 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 3.79 (ddt, J = 32.0, 13.5, 6.8 Hz, 2H), 2.73 (dd, J = 16.6, 6.7 Hz, 1H), 2.35 - 2.23 (m, 1H), 1.16 (t, J = 7.1 Hz, 3H), 1.07 (d, J = 7.2 Hz, 3H).
[実施例4]
(4-(4-メチル-6-オキソ-1-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1,4,5,6-テトラヒドロピリダジン-3-イル)フェニル)カルボノヒドラゾノイルジシアニド(化合物4)の製造
ステップ4-1:6-(4-アミノフェニル)-5-メチル-2-(2,2,2-トリフルオロエチル)-4,5-ジヒドロピリダジン-3(2H)-オンの作製
4-(4-アミノフェニル)-3-メチル-4-オキソ酪酸塩酸塩(100mg,0.41mmol)及び65%(2,2,2-トリフルオロエチル)ヒドラジン(83μL,0.61mmol)をプロパノールに溶解し、その後反応混合物を100℃のマイクロ波で3時間攪拌した。反応終了後に、蒸留水と酢酸エチルを用いて抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、次いで濾過した。その後、濾過液を減圧濃縮し、次いでカラムクロマトグラフィーで精製して表題化合物52mg(収率45%)を得た。
【0086】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.52 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 6.59 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 5.61 (s, 2H), 4.81 (dq, J = 15.1, 9.3 Hz, 1H), 4.25 (dq, J = 15.1, 9.2 Hz, 1H), 3.41 - 3.35 (m, 1H), 2.75 (dd, J = 16.7, 6.4 Hz, 1H), 2.38 (dd, J = 16.7, 1.6 Hz, 1H), 1.04 (d, J = 7.2 Hz, 3H).
ステップ4-2:(4-(4-メチル-6-オキソ-1-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1,4,5,6-テトラヒドロピリダジン-3-イル)フェニル)カルボノヒドラゾノイルジシアニドの作製
6-(4-アミノフェニル)-2-イソプロピル-4,5-ジヒドロピリダジン-3(2H)-オンに代えてステップ4-1で得られた6-(4-アミノフェニル)-5-メチル-2-(2,2,2-トリフルオロエチル)-4,5-ジヒドロピリダジン-3(2H)-オン(50mg,0.17mmol)を用いることを除いて、実施例1のステップ1-2と同様に反応させ、表題化合物45mg(収率70%)を得た。
【0087】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 13.14 (s, 1H), 7.88 (d, J = 8.9 Hz, 2H), 7.55 (d, J = 8.9 Hz, 2H), 4.86 (dq, J = 15.2, 9.3 Hz, 1H), 4.34 (dq, J = 15.1, 9.1 Hz, 1H), 3.49 (td, J = 7.1, 1.7 Hz, 1H), 2.86 (dd, J = 16.8, 6.6 Hz, 1H), 2.49 - 2.44 (m, 1H), 1.09 (d, J = 7.2 Hz, 3H).
[実施例5]
(4-(1-(2-メトキシエチル)-4-メチル-6-オキソ-1,4,5,6-テトラヒドロピリダジン-3-イル)フェニル)カルボノヒドラゾノイルジシアニド(化合物5)の製造
ステップ5-1:6-(4-アミノフェニル)-2-(2-メトキシエチル)-5-メチル-4,5-ジヒドロピリダジン-3(2H)-オンの作製
6-(4-アミノフェニル)-4,5-ジヒドロピリダジン-3(2H)-オンに代えて6-(4-アミノフェニル)-5-メチル-4,5-ジヒドロピリダジン-3(2H)-オン(100mg,0.53mmol)を用い、ヨウ化プロパンに代えて1-ブロモ-2-メトキシエタン(55μL,0.58mmol)を用いることを除いて、実施例1のステップ1-1と同様に反応させ、表題化合物84mg(収率61%)を得た。
【0088】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.52 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 6.58 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 5.56 (s, 2H), 4.11 - 4.05 (m, 1H), 3.74 - 3.63 (m, 1H), 3.58 - 3.49 (m, 2H), 3.29 (t, J = 7.0 Hz, 1H), 3.24 (s, 3H), 2.63 (dd, J = 16.5, 6.5 Hz, 1H), 2.25 (dd, J = 16.5, 1.5 Hz, 1H), 1.03 (d, J = 7.3 Hz, 3H).
ステップ5-2:(4-(1-(2-メトキシエチル)-4-メチル-6-オキソ-1,4,5,6-テトラヒドロピリダジン-3-イル)フェニル)カルボノヒドラゾノイルジシアニドの作製
6-(4-アミノフェニル)-2-イソプロピル-4,5-ジヒドロピリダジン-3(2H)-オンに代えてステップ5-1で得られた6-(4-アミノフェニル)-2-(2-メトキシエチル)-5-メチル-4,5-ジヒドロピリダジン-3(2H)-オン(80mg,0.31mmol)を用いることを除いて、実施例1のステップ1-2と同様に反応させ、表題化合物35mg(収率34%)を得た。
【0089】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 13.14 (s, 1H), 7.88 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 7.54 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 4.10 (dt, J = 12.8, 6.0 Hz, 1H), 3.75 (dt, J = 13.6, 5.6 Hz, 1H), 3.62 - 3.52 (m, 2H), 3.24 (s, 3H), 2.74 (dd, J = 16.6, 6.7 Hz, 1H), 2.33 (d, J = 16.6 Hz, 1H), 1.07 (d, J = 7.2 Hz, 3H).
[実施例6]
(4-(1-シクロプロピル-4-メチル-6-オキソ-1,4,5,6-テトラヒドロピリダジン-3-イル)フェニル)カルボノヒドラゾノイルジシアニド(化合物6)の製造
ステップ6-1:6-(4-アミノフェニル)-2-シクロプロピル-5-メチル-4,5-ジヒドロピリダジン-3(2H)-オンの作製
6-(4-アミノフェニル)-5-メチル-4,5-ジヒドロピリダジン-3(2H)-オン(100mg,0.53mmol)と60%水素化ナトリウム(25mg,0.63mmol)をメチルピロリドン(methylpyrrolidone; NMP)に溶解し、その後臭化シクロプロパン(46μL,0.58mmol)を添加し、反応混合物を180℃のマイクロ波で12時間攪拌した。反応終了後に、蒸留水と酢酸エチルを用いて抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、次いで濾過した。濾過液を減圧濃縮し、その後濃縮液をエーテルで固体化して表題化合物41mg(収率30%)を得た。
【0090】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.48 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 6.57 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 5.54 (s, 2H), 3.50 (tt, J = 7.5, 4.2 Hz, 1H), 3.26 (dd, J = 7.9, 6.1 Hz, 1H), 2.63 (dd, J = 16.6, 6.6 Hz, 1H), 2.26 (d, J = 16.6 Hz, 1H), 0.98 (d, J = 7.3 Hz, 3H), 0.92 - 0.82 (m, 1H), 0.79 - 0.68 (m, 3H).
ステップ6-2:(4-(1-シクロプロピル-4-メチル-6-オキソ-1,4,5,6-テトラヒドロピリダジン-3-イル)フェニル)カルボノヒドラゾノイルジシアニドの作製
6-(4-アミノフェニル)-2-イソプロピル-4,5-ジヒドロピリダジン-3(2H)-オンに代えてステップ6-1で得られた6-(4-アミノフェニル)-2-シクロプロピル-5-メチル-4,5-ジヒドロピリダジン-3(2H)-オン(30mg,0.12mmol)を用いることを除いて、実施例1のステップ1-2と同様に反応させ、表題化合物36mg(収率96%)を得た。
【0091】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 13.11 (s, 1H), 7.85 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 7.52 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 3.50 (p, J = 6.4 Hz, 1H), 3.39-3.35 (m, 1H), 2.74 (dd, J = 16.7, 6.8 Hz, 1H), 2.34 (d, J = 16.6 Hz, 1H), 1.03 (d, J = 7.2 Hz, 3H), 0.96 - 0.85 (m, 1H), 0.83 - 0.70 (m, 3H).
[実施例7]
(4-(1-(4-メトキシフェニル)-4-メチル-6-オキソ-1,4,5,6-テトラヒドロピリダジン-3-イル)フェニル)カルボノヒドラゾノイルジシアニド(化合物7)の製造
ステップ7-1:6-(4-アミノフェニル)-2-(4-メトキシフェニル)-5-メチル-4,5-ジヒドロピリダジン-3(2H)-オンの作製
(2,2,2-トリフルオロエチル)ヒドラジンに代えて(4-メトキシフェニル)ヒドラジン塩酸塩(107mg,0.61mmol)を用いることを除いて、実施例4のステップ4-1と同様に反応させ、表題化合物34mg(収率27%)を得た。
【0092】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.54 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 7.39 (d, J = 9.0 Hz, 2H), 6.96 (d, J = 9.0 Hz, 2H), 6.58 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 5.58 (s, 2H), 3.78 (s, 3H), 3.46 - 3.37 (m, 1H), 2.86 (dd, J = 16.5, 6.5 Hz, 1H), 2.40 (dd, J = 16.5, 1.6 Hz, 1H), 1.15 (d, J = 7.3 Hz, 3H).
ステップ7-2:(4-(1-(4-メトキシフェニル)-4-メチル-6-オキソ-1,4,5,6-テトラヒドロピリダジン-3-イル)フェニル)カルボノヒドラゾノイルジシアニドの作製
6-(4-アミノフェニル)-2-イソプロピル-4,5-ジヒドロピリダジン-3(2H)-オンに代えてステップ7-1で得られた6-(4-アミノフェニル)-2-(4-メトキシフェニル)-5-メチル-4,5-ジヒドロピリダジン-3(2H)-オン(30mg,0.29mmol)を用いることを除いて、実施例1のステップ1-2と同様に反応させ、表題化合物29mg(収率77%)を得た。
【0093】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 13.15 (s, 1H), 7.90 (d, J = 8.9 Hz, 2H), 7.54 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 7.39 (d, J = 8.9 Hz, 2H), 6.98 (d, J = 9.0 Hz, 2H), 3.79 (s, 3H), 3.59 - 3.46 (m, 1H), 2.97 (dd, J = 16.6, 6.6 Hz, 1H), 2.45 (s, 1H), 1.20 (d, J = 7.3 Hz, 3H).
[実施例8]
(4-(1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)フェニル)カルボノヒドラゾノイルジシアニド(化合物8)の製造
ステップ8-1:6-クロロピリダジン-3(2H)-オンの作製
3,6-ジクロロピリダジン(1g,6.71mmol)を酢酸(26mL)に溶解し、その後反応混合物を110℃で12時間攪拌した。反応終了後に、反応混合物を濃縮し、次いで炭酸水素ナトリウム水溶液を添加し、常温で攪拌して反応物を固体化し、減圧濃縮して表題化合物420mg(収率48%)を得た。
【0094】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 13.18 (s, 1H), 7.52 (d, J = 9.8 Hz, 1H), 6.98 (d, J = 9.9 Hz, 1H).
ステップ8-2:6-クロロ-2-メチルピリダジン-3(2H)-オンの作製
実施例8のステップ8-1で得られた6-クロロピリダジン-3(2H)-オン(100mg,0.77mmol)とヨウ化メタン(95μL,1.53mmol)及び炭酸カリウム(212mg,1.53mmol)をDMFに溶解し、その後反応混合物を常温で4時間攪拌した。反応終了後に、蒸留水と酢酸エチルを用いて抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、次いで濾過した。濾過液を減圧濃縮し、その後濃縮液をカラムクロマトグラフィーで精製して表題化合物82mg(収率74%)を得た。
【0095】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 13.05 (s, 1H), 7.45 (d, J = 1.3 Hz, 1H), 2.06 (d, J = 1.4 Hz, 3H).
ステップ8-3:6-(4-アミノフェニル)-2-メチルピリダジン-3(2H)-オンの作製
実施例8のステップ8-2で得られた6-クロロ-2-メチルピリダジン-3(2H)-オン(65mg,0.45mmol)及び4-アミノフェニルボロン酸ピナコールエステル(98mg,0.45mmol)を1,4-ジオキサン溶液に溶解し、その後Pd(PPh3)2(52mg,0.04mmol)と2.0Mリン酸カリウム水溶液(0.9mL,1.80mmol)を添加した。その反応混合物を160℃にてマイクロ波で1.5時間攪拌した。反応終了後に、蒸留水と酢酸エチルを用いて抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、次いで濾過した。濾過液を減圧濃縮し、濃縮液をカラムクロマトグラフィーで精製して表題化合物86mg(収率95%)を得た。
【0096】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.90 (d, J = 9.7 Hz, 1H), 7.57 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 6.94 (d, J = 9.7 Hz, 1H), 6.62 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 5.50 (s, 2H), 3.68 (s, 3H).
ステップ8-4:(4-(1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)フェニル)カルボノヒドラゾノイルジシアニドの作製
6-(4-アミノフェニル)-2-イソプロピル-4,5-ジヒドロピリダジン-3(2H)-オンに代えてステップ8-3で得られた6-(4-アミノフェニル)-2-メチルピリダジン-3(2H)-オン(50mg,0.25mmol)を用いることを除いて、実施例1のステップ1-2と同様に反応させ、表題化合物41mg(収率59%)を得た。
【0097】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 13.14 (s, 1H), 8.06 (d, J = 9.8 Hz, 1H), 7.95 (d, J = 8.9 Hz, 2H), 7.57 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 7.05 (d, J = 9.7 Hz, 1H), 3.74 (s, 3H).
[実施例9]
(4-(1-イソプロピル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)フェニル)カルボノヒドラゾノイルジシアニド(化合物9)の製造
ステップ9-1:6-クロロ-2-イソプロピルピリダジン-3(2H)-オンの作製
ヨウ化メタンに代えて2-ヨウ化プロパン(153μL,1.53mmol)を用いることを除いて、実施例8のステップ8-2と同様に反応させ、表題化合物107mg(収率81%)を得た。
【0098】
1H NMR (400 MHz, Chloroform-d) δ 7.14 (d, J = 9.6 Hz, 1H), 6.89 (d, J = 9.6 Hz, 1H), 5.23 (pd, J = 6.7, 0.8 Hz, 1H), 1.36 (dd, J = 6.6, 0.9 Hz, 6H).
ステップ9-2:6-(4-アミノフェニル)-2-イソプロピルピリダジン-3(2H)-オンの作製
6-クロロ-2-メチルピリダジン-3(2H)-オンに代えてステップ9-1で得られた6-クロロ-2-イソプロピルピリダジン-3(2H)-オン(100mg,0.58mmol)を用いることを除いて、実施例8のステップ8-3と同様に反応させ、表題化合物77mg(収率58%)を得た。
【0099】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.86 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 7.61 (d, J = 3.6 Hz, 2H), 6.90 (d, J = 10.2 Hz, 1H), 6.64 (d, J = 3.8 Hz, 2H), 5.49 (s, 2H), 5.18 (q, J = 6.4 Hz, 1H), 1.33 (s, 6H).
ステップ9-3:(4-(1-イソプロピル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)フェニル)カルボノヒドラゾノイルジシアニドの作製
6-(4-アミノフェニル)-2-イソプロピル-4,5-ジヒドロピリダジン-3(2H)-オンに代えてステップ9-2で得られた6-(4-アミノフェニル)-2-イソプロピルピリダジン-3(2H)-オン(60mg,0.26mmol)を用いることを除いて、実施例1のステップ1-2と同様に反応させ、表題化合物74mg(収率92%)を得た。
【0100】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 13.14 (s, 1H), 8.03 (d, J = 9.8 Hz, 1H), 7.99 (d, J = 8.9 Hz, 2H), 7.57 (d, J = 8.9 Hz, 2H), 7.02 (d, J = 9.7 Hz, 1H), 5.21 (p, J = 6.6 Hz, 1H), 1.35 (d, J = 6.7 Hz, 6H).
[実施例10]
(4-(1-(ジフルオロメチル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)フェニル)カルボノヒドラゾノイルジシアニド(化合物10)の製造
ステップ10-1:6-クロロ-2-(ジフルオロメチル)ピリダジン-3(2H)-オン及び3-クロロ-6-(ジフルオロメトキシ)ピリダジンの作製
ヨウ化メタンに代えてナトリウム2-クロロ-2,2-ジフルオロアセテート(234mg,1.53mmol)を用いることを除いて、実施例8のステップ8-2と同様に反応させ、表題化合物を混合物として得て、溶媒を除去してさらに精製することなく次のステップに用いた。
【0101】
ステップ10-2:6-(4-アミノフェニル)-2-(ジフルオロメチル)ピリダジン-3(2H)-オン及び4-(6-(ジフルオロメトキシ)ピリダジン-3-イル)アニリンの作製
6-クロロ-2-メチルピリダジン-3(2H)-オンに代えてステップ10-1で得られた6-クロロ-2-(ジフルオロメチル)ピリダジン-3(2H)-オン及び3-クロロ-6-(ジフルオロメトキシ)ピリダジン混合物(100mg,0.55mmol)を用いることを除いて、実施例8のステップ8-3と同様に反応させ、表題化合物6-(4-アミノフェニル)-2-(ジフルオロメチル)ピリダジン-3(2H)-オン35mg(収率27%)及び4-(6-(ジフルオロメトキシ)ピリダジン-3-イル)アニリン41mg(収率31%)を得た。
【0102】
6-(4-アミノフェニル)-2-(ジフルオロメチル)ピリダジン-3(2H)-オン
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.06 (d, J = 10.2 Hz, 1H), 7.93 (t, J = 60.0 Hz, 1H), 7.63 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 7.07 (d, J = 9.9 Hz, 1H), 6.65 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 5.68 (s, 2H);
4-(6-(ジフルオロメトキシ)ピリダジン-3-イル)アニリン
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.19 (d, J = 9.3 Hz, 1H), 7.89 (t, J = 72.1 Hz, 1H), 7.82 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 7.47 (d, J = 9.3 Hz, 1H), 6.67 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 5.61 (s, 2H).
ステップ10-3:(4-(1-(ジフルオロメチル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)フェニル)カルボノヒドラゾノイルジシアニドの作製
6-(4-アミノフェニル)-2-イソプロピル-4,5-ジヒドロピリダジン-3(2H)-オンに代えてステップ10-2で得られた6-(4-アミノフェニル)-2-(ジフルオロメチル)ピリダジン-3(2H)-オン(26mg,0.11mmol)を用いることを除いて、実施例1のステップ1-2と同様に反応させ、表題化合物20mg(収率59%)を得た。
【0103】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 13.12 (s, 1H), 8.19 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 7.99 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 7.98 (t, J = 58.2 Hz, 1H), 7.59 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 7.20 (d, J = 10.0 Hz, 1H).
[実施例11]
(4-(1,4-ジメチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)フェニル)カルボノヒドラゾノイルジシアニド(化合物11)の製造
ステップ11-1:6-クロロ-2,5-ジメチルピリダジン-3(2H)-オンの作製
6-クロロピリダジン-3(2H)-オンに代えて6-クロロ-5-メチルピリダジン-3(2H)-オン(100mg,0.69mmol)を用いることを除いて、実施例8のステップ8-2と同様に反応させ、表題化合物53mg(収率49%)を得た。
【0104】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 6.79 (d, J = 1.3 Hz, 1H), 3.73 (s, 3H), 2.26 (d, J = 1.3 Hz, 3H).
ステップ11-2:6-(4-アミノフェニル)-2,5-ジメチルピリダジン-3(2H)-オンの作製
6-クロロ-2-メチルピリダジン-3(2H)-オンに代えてステップ11-1で得られた6-クロロ-2,5-ジメチルピリダジン-3(2H)-オン(50mg,0.31mmol)を用いることを除いて、実施例8のステップ8-3と同様に反応させ、表題化合物51mg(収率76%)を得た。
【0105】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.82 (d, J = 1.4 Hz, 1H), 7.56 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 6.61 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 5.47 (s, 2H), 3.68 (s, 3H), 2.13 (d, J = 1.2 Hz, 3H).
ステップ11-3:(4-(1,4-ジメチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)フェニル)カルボノヒドラゾノイルジシアニドの作製
6-(4-アミノフェニル)-2-イソプロピル-4,5-ジヒドロピリダジン-3(2H)-オンに代えてステップ11-2で得られた6-(4-アミノフェニル)-2,5-ジメチルピリダジン-3(2H)-オン(35mg,0.16mmol)を用いることを除いて、実施例1のステップ1-2と同様に反応させ、表題化合物37mg(収率77%)を得た。
【0106】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 13.14 (s, 1H), 7.98 (s, 1H), 7.94 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 7.56 (d, J = 8.9 Hz, 2H), 3.74 (s, 3H), 2.16 (d, J = 1.2 Hz, 3H).
[実施例12]
(4-(1-イソプロピル-4-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)フェニル)カルボノヒドラゾノイルジシアニド(化合物12)の製造
ステップ12-1:6-クロロ-2-イソプロピル-5-メチルピリダジン-3(2H)-オンの作製
6-クロロピリダジン-3(2H)-オンに代えて6-クロロ-5-メチルピリダジン-3(2H)-オン(200mg,1.38mmol)を用い、ヨウ化メタンに代えて2-ヨウ化プロパン(166μL,1.66mmol)を用いることを除いて、実施例8のステップ8-2と同様に反応させ、表題化合物112mg(収率43%)を得た。
【0107】
1H NMR (400 MHz, Chloroform-d) δ 7.03 (d, J = 1.2 Hz, 1H), 5.26 (p, J = 6.6 Hz, 1H), 2.21 (d, J = 1.3 Hz, 4H), 1.35 (d, J = 6.7 Hz, 6H).
ステップ12-2:6-(4-アミノフェニル)-2-イソプロピル-5-メチルピリダジン-3(2H)-オンの作製
6-クロロ-2-メチルピリダジン-3(2H)-オンに代えてステップ12-1で得られた6-クロロ-2-イソプロピル-5-メチルピリダジン-3(2H)-オン(100mg,0.53mmol)を用いることを除いて、実施例8のステップ8-3と同様に反応させ、表題化合物84mg(収率64%)を得た。
【0108】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.78 (d, J = 1.3 Hz, 1H), 7.59 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 6.62 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 5.45 (s, 2H), 5.20 (p, J = 6.6 Hz, 1H), 2.13 (s, 2H), 1.32 (d, J = 6.6 Hz, 6H).
ステップ12-3:(4-(1-イソプロピル-4-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)フェニル)カルボノヒドラゾノイルジシアニドの作製
6-(4-アミノフェニル)-2-イソプロピル-4,5-ジヒドロピリダジン-3(2H)-オンに代えてステップ12-2で得られた6-(4-アミノフェニル)-2-イソプロピル-5-メチルピリダジン-3(2H)-オン(70mg,0.29mmol)を用いることを除いて、実施例1のステップ1-2と同様に反応させ、表題化合物88mg(収率95%)を得た。
【0109】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 13.13 (s, 1H), 8.03 - 7.93 (m, 3H), 7.57 (d, J = 8.9 Hz, 2H), 5.24 (p, J = 6.6 Hz, 1H), 2.16 (d, J = 1.2 Hz, 3H), 1.35 (d, J = 6.6 Hz, 6H).
[実施例13]
(3-クロロ-4-(1,4-ジメチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)フェニル)カルボノヒドラゾノイルジシアニド(化合物13)の製造
ステップ13-1:6-(4-アミノ-2-クロロフェニル)-2,5-ジメチルピリダジン-3(2H)-オンの作製
4-アミノフェニルボロン酸ピナコールエステルに代えて4-アミノ-2-クロロフェニルボロン酸ピナコールエステル(164mg,1.04mmol)を用い、6-クロロ-2-メチルピリダジン-3(2H)-オンに代えて実施例11のステップ11-1で得られた6-クロロ-2,5-ジメチルピリダジン-3(2H)-オン(150mg,0.95mmol)を用いることを除いて、実施例8のステップ8-3と同様に反応させ、表題化合物181mg(収率77%)を得た。
【0110】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.49 (d, J = 1.3 Hz, 1H), 7.16 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 6.68 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 6.57 (dd, J = 8.4, 2.2 Hz, 1H), 3.68 (s, 3H), 2.11 (d, J = 1.2 Hz, 3H).
ステップ13-2:(4-(1,4-ジメチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)-3-クロロフェニル)カルボノヒドラゾノイルジシアニドの作製
6-(4-アミノフェニル)-2-イソプロピル-4,5-ジヒドロピリダジン-3(2H)-オンに代えてステップ13-1で得られた6-(4-アミノ-2-クロロフェニル)-2,5-ジメチルピリダジン-3(2H)-オン(150mg,0.60mmol)を用いることを除いて、実施例1のステップ1-2と同様に反応させ、表題化合物115mg(収率59%)を得た。
【0111】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.61 - 7.55 (m, 3H), 7.51 (dd, J = 8.5, 2.1 Hz, 1H), 3.72 (s, 3H), 2.14 (d, J = 1.2 Hz, 3H).
[実施例14]
(4-(1,4-ジメチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)-3-フルオロフェニル)カルボノヒドラゾノイルジシアニド(化合物14)の製造
ステップ14-1:6-(4-アミノ-2-フルオロフェニル)-2,5-ジメチルピリダジン-3(2H)-オンの作製
4-アミノフェニルボロン酸ピナコールエステルに代えて4-アミノ-2-フルオロフェニルボロン酸ピナコールエステル(197mg,0.83mmol)を用い、6-クロロ-2-メチルピリダジン-3(2H)-オンに代えて実施例11のステップ11-1で得られた6-クロロ-2,5-ジメチルピリダジン-3(2H)-オン(120mg,0.76mmol)を用いることを除いて、実施例8のステップ8-3と同様に反応させ、表題化合物146mg(収率83%)を得た。
【0112】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.55 (s, 1H), 7.34 (t, J = 8.9 Hz, 1H), 6.45 (dd, J = 8.4, 2.1 Hz, 1H), 6.38 (dd, J = 14.3, 2.1 Hz, 1H), 5.77 (s, 2H), 3.69 (s, 3H), 2.12 (d, J = 1.2 Hz, 3H).
ステップ14-2:(4-(1,4-ジメチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)-3-フルオロフェニル)カルボノヒドラゾノイルジシアニドの作製
6-(4-アミノフェニル)-2-イソプロピル-4,5-ジヒドロピリダジン-3(2H)-オンに代えてステップ14-1で得られた6-(4-アミノ-2-フルオロフェニル)-2,5-ジメチルピリダジン-3(2H)-オン(100mg,0.43mmol)を用いることを除いて、実施例1のステップ1-2と同様に反応させ、表題化合物88mg(収率66%)を得た。
【0113】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.73 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 7.67 (s, 1H), 7.42 - 7.33 (m, 3H), 3.74 (s, 3H), 2.15 (s, 3H).
[製剤例]
一方、本発明による化学式(1)で表される新規化合物は、目的に応じて様々な形態に製剤化することができる。以下、本発明による化学式(1)で表される化合物を活性成分として含有するいくつかの製剤化方法を例示するが、本発明がこれらに限定されるものではない。
【0114】
製剤例1:直接加圧による錠剤の製造
実施例1~14で作製した活性成分5.0mgを篩にかけ、その後ラクトース14.1mg、クロスポビドンUSNF 0.8mg及びステアリン酸マグネシウム0.1mgを混合し、加圧して錠剤として製造した。
【0115】
製剤例2:湿式造粒による錠剤の製造
実施例1~14で作製した活性成分5.0mgを篩にかけ、その後ラクトース16.0mg及びデンプン4.0mgと混合した。ポリソルベート80 0.3mgを純水に溶解し、その後前記混合物にこの溶液を適量添加して微粒化した。乾燥後に微粒を篩にかけ、コロイド性二酸化ケイ素(silicon dioxide)2.7mg及びステアリン酸マグネシウム2.0mgと混合し、微粒を加圧して錠剤として製造した。
【0116】
製剤例3:粉末及びカプセル剤の製造
実施例1~14で作製した活性成分5.0mgを篩にかけ、その後ラクトース14.8mg、ポリビニルピロリドン10.0mg及びステアリン酸マグネシウム0.2mgと共に混合した。混合物を適切な装置にてNo.5硬質ゼラチンカプセルに充填し、カプセル剤として製造した。
【0117】
製剤例4:注射剤の製造
実施例1~14で作製した活性成分100mgを含有し、その他にマンニトール180mg、Na2HPO4・12H2O 26mg及び蒸留水2974mgをさらに含有する注射剤として製造した。
【0118】
実験例1:細胞モデルを用いたタウ凝集阻害物質の選択
新たなタウ凝集阻害物質を選択するために、生きた細胞内におけるタウオリゴマー形成の観察が容易なタウ-BiFC細胞モデルを用いた。タウ-BiFC細胞を384ウェルプレートに分注し、翌日、タウキナーゼPKAを活性化してタウ凝集を誘導する化合物であるForskolin(処理濃度30μM)と共に、実施例1~14で作製した化合物を用いて、それぞれ1、3及び10μMの濃度で処理した。48時間後に、Hoechst(処理濃度2μg/mL)を用いて細胞内の核を染色し、Operetta(PerkinElmer)を用いて自動でBiFC蛍光強度を数値化し、全プレートにおいて各ウェル内の染色された核を計数した。タウ凝集を誘導するForskolinでのみ処理したグループを100%のタウ凝集状態の基準とし、「本発明の実施例で合成した化合物によるBiFC蛍光強度/(タウ凝集を誘導するForskolinでのみ処理した対照群の蛍光強度-未処理対照群の蛍光強度)×100」の式によりその効果を確認した。また、新たに合成された化合物により誘導された細胞毒性の程度も、Forskolinでのみ処理したグループを100%の生存率の基準とし、「(化合物で処理したグループの染色された核の数/Forskolinで処理したグループの染色された核の数)×100」の式により化合物の細胞毒性値を算出した。処理結果から、化合物処理濃度10μMにおける70%以上のタウ凝集抑制及び100%の細胞生存率をボーダーラインとし、細胞内のタウ凝集を阻害する物質を一連の候補群から選択した。
【0119】
実験例2:新規化合物の濃度依存的タウ凝集阻害効果の確認
実験例1で選択した化合物の各濃度におけるタウ凝集阻害効果を確認するために、タウ凝集誘導物質であるForskolin(処理濃度30μM)と共に、選択した化合物を用いてそれぞれ0.0.03、.0.01、0.3、1、3、10及び30μMの濃度でタウ-BiFC細胞を処理した。48時間後に、細胞イメージを確認してタウ凝集反応及び細胞毒性の程度を分析した。化合物のIC50及び毒性(toxicity)は、Prismソフトウェア(GraphPad)の非線形回帰分析(nonlinear regression analysis)法で分析した。代表的な化合物の算出結果を表2に示す。共に比較した比較例の化合物の構造式を表3に示す。
【0120】
【0121】
【0122】
表2及び表3に示すように、本発明の化合物は、公知の物質であるレボシメンダンに比べて優れたタウ凝集阻害効果を発揮するのに対して、本発明の化合物に類似した骨格を母核とすると共に、ピリダジノン及び4,5-ジヒドロピリダジノンの2番目の窒素上の置換基の有無及びそれらのフェニル基との結合位置を変えて準備した比較例においては、基準物質であるレボシメンダンに比べてタウ凝集阻害効果が低いことが確認された。
【0123】
実験例3:新規化合物のCYP同酵素活性抑制効果
実施例1~14で作製した化合物によるCYP同酵素活性抑制効果を確認した。具体的には、ヒト肝ミクロソーム(0.25mg/mL)、0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4)、5種の薬物代謝酵素の基質薬物カクテル(Phenacetin 50μM、Diclofenac 10μM、S-mephenytoin 100μM、Dextromethorphan 5μM、及びMidazolam 2.5μM)、並びに化合物をそれぞれ0又は10μMの濃度で添加し、37℃で予め5分間培養し、その後NADPH generation system溶液を添加し、37℃でさらに15分間培養した。その後、内部標準物質(Terfenadine)を含むアセトニトリル溶液を添加して反応を終結し、5分間遠心分離(14,000rpm,4℃)し、次いで上清をLC-MS/MSシステムに注入して基質薬物の代謝物を同時に分析することにより、薬物代謝酵素阻害能を評価した。
【0124】
前記反応により生成された各CYP同酵素指標薬物の代謝物は、Shimadzu Nexera XRシステム及びTSQ vantage(Thermo)を用いて分析した。HPLCカラムとしては、Kinetex C18(2.1×100mm,2.6μm,粒子サイズ;Phenomenex, USA)を用い、移動相としては、(A)0.1%ギ酸含有蒸留水、及び(B)0.1%ギ酸含有アセトニトリルを用い、表4に示す勾配プログラムを用いた。
【0125】
【0126】
生成された代謝物はMRM(multiple Reaction Monitoring)定量モードを用いて定量し、データ分析にはXcalibur(version 1.6.1)を用いた。本発明の実施例で作製した新規化合物のCYP同酵素活性抑制効果を確認するために、化合物を添加していない対照群(control)におけるCYP同酵素の活性率を表5に示す。
【0127】
【0128】
実験例4:新規化合物の肝ミクロソーム安定性の確認
実施例1~14で作製した化合物による肝ミクロソーム安定性を確認した。具体的には、4種の肝ミクロソーム(ヒト、イヌ、ラット及びマウス,それぞれ0.5mg,mL)、0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4)、化合物を1μMの濃度で添加し、37℃で予め5分間培養し、その後NADPH generation system溶液を添加し、37℃でさらに30分間培養した。その後、内部標準物質(chloropropamide)を含むアセトニトリル溶液を添加して反応を終結し、5分間遠心分離(14,000rpm,4℃)し、次いで上清をLC-MS/MSシステムに注入して基質薬物を分析することにより、8種の化合物における代謝安定性を評価した。
【0129】
前記反応で残った基質の量は、Shimadzu Nexera XRシステム及びTSQ vantage(Thermo)を用いて分析した。HPLCカラムとしては、Kinetex XB-C18(2.1×100mm,2.6μm,粒子サイズ;Phenomenex, USA)を用い、移動相としては、(A)0.1%ギ酸含有蒸留水、及び(B)0.1%ギ酸含有アセトニトリルを用いた。データ分析には、Analyst software(version 1.6.3)及びXcalibur(version 1.6.1)を用いた。算出結果を表6に示す。
【0130】
【0131】
以上の説明から、本発明の属する技術分野の当業者であれば、本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態で実施できることを理解するであろう。なお、前記実施例はあくまで例示的なものであり、限定的なものでないことを理解すべきである。本発明には、明細書ではなく請求の範囲の意味及び範囲とその等価概念から導かれるあらゆる変更や変形された形態が含まれるものと解釈すべきである。