IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヒタチ・エナジー・リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許-適応モジュールおよびガス絶縁開閉装置 図1
  • 特許-適応モジュールおよびガス絶縁開閉装置 図2
  • 特許-適応モジュールおよびガス絶縁開閉装置 図3
  • 特許-適応モジュールおよびガス絶縁開閉装置 図4
  • 特許-適応モジュールおよびガス絶縁開閉装置 図5
  • 特許-適応モジュールおよびガス絶縁開閉装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-01
(45)【発行日】2024-08-09
(54)【発明の名称】適応モジュールおよびガス絶縁開閉装置
(51)【国際特許分類】
   H02B 13/035 20060101AFI20240802BHJP
【FI】
H02B13/035 301Z
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023013951
(22)【出願日】2023-02-01
(65)【公開番号】P2023113138
(43)【公開日】2023-08-15
【審査請求日】2023-05-31
(31)【優先権主張番号】22154809
(32)【優先日】2022-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】523380173
【氏名又は名称】ヒタチ・エナジー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HITACHI ENERGY LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハウケ・ペーテルス
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】実開平02-129105(JP,U)
【文献】特開平07-163036(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 13/035
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3相カプセル化ガス絶縁開閉装置の2つのモジュールおよび/またはベイの3つの導体(5、6、7)を接続するように構成された適応モジュールであって、前記適応モジュールは、
向かい合って配置された2つの絶縁体(1)を備え、前記2つの絶縁体(1)の各々は、放射状に離れている3つの導体接続インレット(2、3、4)を備え、且つ前記3つの導体接続インレット(2、3、4)を前記2つのモジュールおよび/またはベイの一方に電気的に接続するように構成されており、前記適応モジュールはさらに、
同心円状に配置され軸方向に延在する3つの導体(5、6、7)を備え、前記3つの導体(5、6、7)の各々は、向かい合って配置されている2つの導体接続インレット(2、3、4)に接続されており、互いに離れており、且つ軸(11)に対して回転可能である、適応モジュール。
【請求項2】
前記3つの導体(5、6、7)の少なくとも1つは、向かい合って配置され且つ放射状に延びている2つの接続ピース(8a、8b、9a、9b、10a、10b)を備え、前記2つの接続ピース(8a、8b、9a、9b、10a、10b)は、それぞれの前記3つの導体(5、6、7)を、双方のそれぞれの導体接続インレット(2、3、4)に接続している、請求項に記載の適応モジュール。
【請求項3】
前記2つの接続ピース(8a、8b、9a、9b、10a、10b)は、それぞれの前記3つの導体(5、6、7)に回転可能に取り付けられている、請求項に記載の適応モジュール。
【請求項4】
それぞれの前記2つの接続ピース(8a、8b、9a、9b、10a、10b)は、それぞれの前記3つの導体(5、6、7)と一体物として設けられている、請求項2または3に記載の適応モジュール。
【請求項5】
前記一体物は、鋳物として設けられている、請求項4に記載の適応モジュール。
【請求項6】
前記3つの導体(5、6、7)のうち少なくとも2つは、前記3つの導体(5、6、7)のうち他の少なくとも1つを、径方向において取り囲んでいる、請求項1に記載の適応モジュール。
【請求項7】
3つの導体(5、6、7)のうち少なくとも2つ、好ましくは全ては、管として設けられている、請求項1に記載の適応モジュール。
【請求項8】
前記3つの導体(5、6、7)は、2つの部品として設けられており、且つ一方の部品は、他方の部品に対して回転可能である、請求項1に記載の適応モジュール。
【請求項9】
少なくとも一方の部品は、他方の部品と電気的に接触するように構成されたスライド接点を備えている、請求項に記載の適応モジュール。
【請求項10】
前記他方の部品は、前記スライド接点を受けるように構成された輪状の接点素子および/または輪状の溝を備えている、請求項に記載の適応モジュール。
【請求項11】
前記3つの導体(5、6、7)は、前記軸(11)に対して、0°以上360°以下の回転角αで回転可能である、請求項に記載の適応モジュール。
【請求項12】
前記3つの導体(5、6、7)は、少なくとも0.1m、0.2m、0.5m、1m、2mまたは5m以上にわたって軸方向に延在している、請求項1に記載の適応モジュール。
【請求項13】
前記3つの導体(5、6、7)は、0°以上180°以下の曲げ角度βで、前記3つの導体(5、6、7)の前記軸に沿って曲がっている、請求項1に記載の適応モジュール。
【請求項14】
前記3つの導体接続インレット(2、3、4)は、正三角形のように、放射状に離れている、請求項1に記載の適応モジュール。
【請求項15】
少なくとも2つのモジュールおよび/またはベイと、請求項1に記載の適応モジュールとを備え、
前記適応モジュールは、2つのモジュールおよび/またはベイの前記3つの導体(5、6、7)を接続する、ガス絶縁開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本発明は、3相カプセル化ガス絶縁開閉装置の2つのモジュールおよび/またはベイの3つの導体を接続するように構成されている適応モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
(背景技術)
電力システムにおいて、開閉装置は、電子機器の制御、保護および隔離に用いられる、電力切断スイッチ、ヒューズ、または回路遮断器で構成されている。開閉装置は、行われるべき作業を行えるようにするための機器の電源の切断と、下流の障害の除去との両方に用いられる。ガス絶縁開閉装置(GIS:Gas-Insulated Switchgear)は、開閉装置の一形態であって、GISにおいて、導体と接点とは加圧されたガス、主には六フッ化硫黄ガス(SF6)によって絶縁されている。環境面の理由のため、SF6に取って代わる代替絶縁ガスが開発されている。
【0003】
変電所における開閉装置は、典型的には、大電力変圧器の高圧側と低圧側との両方に配置される。このような開閉装置は、異なるモジュールおよび/またはベイを通常備えており、モジュールおよび/またはベイは、たとえば回路遮断器、断路器および接地開閉器、ガス絶縁変圧器、キャストレジン変流器、空気絶縁サージアレスタまたはガス絶縁サージアレスタなどである。
【0004】
このような変電所において、入力線および出力線、または入力ケーブルおよび出力ケーブルは、異なる位相の向きを有していることがあり、異なる位相の向きは、モジュールの回転または導体の切り替えを用いた角の回転または完全な位相の切り替えによって、3相カプセル化GISにおいてモジュールの間またはベイの間で、導体接続を適応させることが必要になる。異なる配置は、この回転角の異なるバリエーションが必要であるため、GIS全体を通して正しい位相の向きを得るために、異なる位相のシフトと切り替えられた導体を有するいくつかのモジュールが求められる。従って、異なる数の導体の組を有するTモジュールまたはXモジュールのように、異なるバスダクトおよびアングルピースの構成である多数のバリエーションが存在する。今日において、アングルピースは、36のバリエーションが存在する。加えて、回路遮断器およびバスダクトには、さらなるバリエーションが存在する。このような多数のバリエーションは、より大きな設計努力、在庫および製造コストを招く。さらに、設計中に、間違った回転が計画された場合、その間違いを正すために、新しい材料が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
(発明の概要)
それゆえに、本発明の目的は、3相カプセル化ガス絶縁開閉装置(GIS)のモジュールおよび/またはベイの間における接続の適応における向上された実現性を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、独立請求項の特徴によって解決される。好ましい実装形態は、従属請求項において詳述される。
【0007】
このように、目的は、3相カプセル化ガス絶縁開閉装置の2つのモジュールおよび/またはベイの3つの導体を接続するように構成された適応モジュールによって解決され、適応モジュールは、
向かい合って配置された2つの絶縁体を備え、2つの絶縁体の各々は、放射状に離れている3つの導体接続インレットを備え、且つ導体接続インレットを2つのモジュールおよび/またはベイの1つに電気的に接続するように構成されており、適応モジュールはさらに、
同心円状に配置され軸方向に延在する3つの導体を備え、3つの導体の各々は、向かい合って配置されている2つの導体接続インレットに接続されており、互いに離れており、且つ軸に対して回転可能である。
【0008】
提案する解決方法は、好ましくは絶縁体への3つの異なる接続ピースとともに、好ましくはモジュールの中央において、同心円状の導体から有利な効果を得る。このような解決方法は、1つのモジュールの中で、全ての可能な位相角シフト、または位相の切り替え、または両方の組み合わせを提供することを可能にする。絶縁体における導体接続インレットは、移動し任意の角度に位置することができる。配置は、組み立てる際に調整され得る。計画が間違っている場合に、正しい配置を得るために、同じ部品が用いられ得る。このように、提案する解決方法は、より少ない設計努力、在庫および製品コストを導く。
【0009】
適応モジュールは、たとえばネジを用いて2つのモジュールおよび/またはベイの間に堅く固定されるように構成されていてもよく、上記ネジは、絶縁体上において導体接続インレットの周囲に輪状に配置されていてもよい。モジュールおよび/またはベイは、たとえば、ガス絶縁開閉装置の回路遮断器、断路器および接地開閉器、ガス絶縁変圧器、キャストレジン変流器、空気絶縁サージアレスタ、またはガス絶縁サージアレスタ等として設けられていてもよい。絶縁体は、好ましくは、導体接続インレットが取り付けられるための円盤状および/または丸く平坦な形状を備えている。
【0010】
導体接続インレットは、好ましくは、モジュールおよび/またはベイのそれぞれの電極と電気的に接触するための電極として設けられている。導体接続インレットは、好ましくは、均一な距離で軸に対して径方向に離れている。導体に対して互いに離れているということは、導体は、隣接する導体と電気的に接触することなく、互いに距離を置いて配置されるということである。軸に対して回転可能であるということは、回転によって、向かい合って配置されているそれぞれの導体接続インレットが、互いに対して異なる角度の位置に回転できるように、導体は、導体の軸に対して回転できるということである。
【0011】
好ましい実装形態によれば、導体のうち少なくとも1つは、向かい合って配置され径方向に延在する2つの接続ピースを備え、2つの接続ピースは、それぞれの導体をそれぞれの導体接続インレットの両方に接続する。好ましくは、全ての導体は、それぞれの接続ピースを備えている。接続ピースは、好ましくは、コネクタと絶縁体との間に、径方向および/または軸方向において、オフセットを提供する。このように、接続ピースは、導体接続インレットへの電気的接続を提供するための、コネクタの径方向および/または軸方向の延長部として理解され得る。接続ピースは、バスバーまたは金属ロッドとして設けられていてもよい。それぞれの導体に接続されている2つの向かい合っている接続ピースは、方向性が異なっていてもよく、たとえば、一方の接続ピースは、径方向において軸に対して上向きであってもよく、一方で、他方の接続ピースは、径方向において軸に対して下向きであってもよい。向かい合って配置されているということは、軸方向において、それぞれの導体は、それぞれの2つの接続ピースの間に配置されるということである。
【0012】
さらに好ましい実装形態において、接続ピースは、それぞれの導体に回転可能に取り付けられている。接続ピースは、好ましくは、たとえば挟むことによって、分離不可能であるが回転可能に導体に取り付けられている。軸方向における導体の端および/または軸方向における接続ピースの端は、特に、径方向に延在する円周状の溝が設けられていてもよく、上記溝に、たとえばスライド接点を用いて、接続ピースおよび/または導体が接続される。
【0013】
別の好ましい実装形態において、それぞれの接続ピースは、それぞれの導体または少なくともその一部と、一体物として設けられている。これは、接続ピースは、たとえば、それぞれの導体または少なくともその一部と、一体物として一緒に製造され得るということである。さらに好ましい実装形態によれば、一体物は、鋳物として設けられている。このため、それぞれの導体および接続ピースは、それぞれの鋳型に液体の素材を注ぐことによって製造され、それぞれの鋳型は、それぞれの導体および接続ピースの所望の形状の空洞を含む。
【0014】
別の好ましい実装形態において、導体のうち少なくとも2つは、他の導体のうち少なくとも1つを、径方向において取り囲んでいる。たとえば、最外周の導体は、中央の導体と最内周の導体との両方を径方向において取り囲んでおり、一方で、中央の導体も同様に、最内周の導体を径方向において取り囲んでいる。
【0015】
さらに好ましい実装形態によれば、導体のうち少なくとも2つ、好ましくは全てが、管として設けられている。好ましくは、導体は、細長い金属且つ導電性の管として設けられている。導体は、同じ軸方向長さを備えていてもよいが、好ましくは、最内周の導体は、中央の導体よりも軸方向長さが長く、一方で、中央の導体も同様に、最外周の導体よりも軸方向長さが長い。導体は、軸方向における導体の端に、側面に径方向に延びる縁またはリムを備えていてもよく、縁またはリムへ接続ピースが取り付けられる。
【0016】
別の好ましい実装形態において、導体は、2つの部品として設けられており、一方の部品は他方の部品に対して回転可能である。このように、同心円状に配置された導体の回転可能性を容易に得ることができる。好ましくは、導体は、互いに対して回転可能である一方で、たとえば一緒に挟まれて、互いに分離不可能に取り付けられている。さらに好ましくは、2つの部品は、一緒に輪状に取り付けられている。2つの部品の各々は、好ましくは、たとえば、穴が設けられた、円形、円盤形状または四角形状の表面の形態で、径方向に延びる表面を有しており、一緒に取り付けられている。
【0017】
さらに好ましい実装形態によれば、少なくとも一方の部品は、他方の部品と電気的に接触するように構成されたスライド接点を備えている。別の好ましい実装形態において、他方のピースは、スライド接点を受けるように構成された輪状の接点素子および/または輪状の溝を備えている。このようなスライド接点および溝を用いて、導体が軸をまたいで回転可能である一方で、2つの部品の間における信頼できる電気的接続が得られ得る。好ましくは、スライド接点および/または溝は、径方向において、および/または、完璧な輪状の範囲にわたって、および/または、軸を中心とする円形に沿って、延在している。
【0018】
さらに好ましい実装形態によれば、3つの導体は、0°以上360°以下の回転角αで、軸に対して回転可能である。好ましくは、導体は、0°以上180°以下の回転角α、0°以上90°以下の回転角α、または0°以上45°以下の回転角αで、軸に対して回転可能である。別の好ましい実装形態において、導体は、少なくとも0.1m、0.2m、0.5m、1m、2mまたは5m以上にわたって軸方向に延在している。このように、管の接続が実現され得る。大部分が同心円状である導体の配置によって、万一の回路の短絡の際の力が互いに補償する。
【0019】
さらに好ましい実装形態によれば、導体は、0°以上180°以下の曲げ角度βで、導体の軸に沿って曲がっている。このように、真っ直ぐな同心円状の導体の代わりに、導体は、同心円状を維持する一方で、たとえば45°または90°の角度を備えていてもよい。
【0020】
別の好ましい実装形態において、3つの導体接続インレットは、正三角形状に、放射状に離れている。好ましくは、導体接続インレットは、軸の周囲に、均一の距離で配置されており、それによって、適応モジュールをモジュールおよび/またはベイに電気的に接続するための局所的に定義された電極との一種のインターフェイスを提供する。
【0021】
少なくとも2つのモジュールおよび/またはベイと、先述の請求項のいずれかに係る適応モジュールとを備えるガス絶縁開閉装置によって、目的は、さらに解決され、それによって、適応モジュールは、2つのモジュールおよび/またはベイの3つの導体を接続する。
【0022】
ガス絶縁開閉装置は、好ましくは高電圧用に構成されている。高電圧という語句は、1kVを超える電圧に関する。高電圧は、好ましくは、145kV、245kVまたは420kV等、72kV以上800kV以下の範囲における公称電圧に関係する。ガス絶縁開閉装置は、回路遮断器として設けられていてもよく、および/または、パッファ型シリンダ、自己ブラストチャンバ、集圧空間、圧縮空間、またはパッファ容積、および膨張空間のような、1つ以上の構成要素を含んでいてもよい。ガス絶縁開閉装置は、1つ以上のこのような構成要素を用いて、接点素子の遮断を実施してもよく、それによって、接点素子における電流の流れを断絶し、および/または、接点素子の遮断時に生成されるアークを消滅させる。
【0023】
ガス絶縁開閉装置は、好ましくは、絶縁ガスを備え、絶縁ガスは、電流遮断動作の際に接点素子の間で形成されたアークを十分に消滅させることができる任意の適切なガスであってもよく、特に限定されないが、たとえば六フッ化硫黄ガス(SF6)のような不活性ガス等であってもよい。具体的には、使用される絶縁ガスは、SF6または任意の他の誘電性絶縁媒体であってもよく、気体および/または液体であってもよく、特に誘電性絶縁ガスまたはアーク抑制ガスが用いられ得る。
【0024】
(図面の簡単な説明)
本発明のこれらおよび他の局面は、以下に記載される実装形態を参照して明らかになり、解明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】好ましい実装形態に係る3相カプセル化ガス絶縁開閉装置の2つのモジュールおよび/またはベイの3つの導体を接続するように構成された適応モジュールを示し、左は正面図であり、右は側面図である。
図2】好ましい実装形態の第1の構成に係る図1の適応モジュールを示し、左は正面図であり、右は背面図である。
図3】好ましい実装形態の第2の第1の構成に係る図1の適応モジュールを示し、左は正面図であり、右は背面図である。
図4】好ましい実装形態の第3の第1の構成に係る図1の適応モジュールを示し、左は正面図であり、右は背面図である。
図5】別の好ましい実装形態に係る図1の適応モジュールの側面図である。
図6】さらに別の好ましい実装形態に係る図1の適応モジュールの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(実装形態の記載)
図1は、好ましい実装形態に係る3相カプセル化ガス絶縁開閉装置の2つのモジュールおよび/またはベイ12の3つの導体5、6、7を接続するように構成された適応モジュールを示し、左は正面図であり、右は側面図である。図2から4は、3つの異なる構成に係る図1の適応モジュールを示し、左は正面図であり、右は背面図である。
【0027】
適応モジュールは、向かい合って配置されている2つの絶縁体1a、1bを備え、絶縁体1a、1bの各々は、円盤状の丸い切片または平坦な輪として設けられている。上記絶縁体1a、1bを用いて、適応モジュールは、両側において、3相カプセル化ガス絶縁開閉装置(GIS)のモジュールおよび/またはベイ12(単に模式的に点線で示されている)に接続されていてもよい。従って、このようなモジュールおよび/またはベイ12は、たとえば、回路遮断器、断路器および接地開閉器、ガス絶縁変圧器、キャストレジン変流器、空気絶縁サージアレスタ、またはガス絶縁サージアレスタ等を備えていてもよい。絶縁体1a、1bは、12本または24本のネジ(図示せず)を用いて、それぞれのモジュールおよび/またはベイ12に堅く固定されており、ネジは、均一の間隔で配置され得る。
【0028】
3つの導体5、6、7は、異なる径を有し軸方向に延びる管として設けられており、且つ適応モジュールの軸11の周囲に同心円状に均一の距離で配列されており、それによって、径方向において互いに取り囲んでいる。図1右から見ることができるように、最外周の導体5は、最大の直径と最小の軸方向長さを備えており、一方で、最内周の導体7は、最小の直径と最大の軸方向長さを備えている。内側の導体6は、最外周の導体5よりも小さく且つ最内周の導体7よりも大きい直径と、最外周の導体5よりも大きく且つ最内周の導体7よりも小さい軸方向長さを備えている。さらに、全ての導体5、6、7が互いに離れて配置されるように、内側の導体6は、径方向において、最外周の導体5と最内周の導体7との間に配置されている。
【0029】
図1左に示されるように、絶縁体1a、1bの各々は、3つの導体接続インレット2、3、4を備え、3つの導体接続インレット2、3、4は、正三角形を形作るように放射状に離れている。3つの接続インレット2、3、4は、平坦な電極として設けられており、且つ絶縁体1a、1bに一体化されている。導体5、6、7の各々は、径方向に延在する接続ピース8a、8b、9a、9b、10a、10bを用いて、両方の絶縁体1a、1bの接続インレット2、3、4のそれぞれに接続されている。
【0030】
上記の延在する接続ピース8a、8b、9a、9b、10a、10bは、それぞれの導体5、6、7と、それぞれの接続インレット2、3、4との間において、径方向のオフセットを形成している。たとえば、図1右を参照して、最内周の導体7は、左側において、上側に向いた接続ピース8aによって、左の絶縁体1aのそれぞれの接続インレット2に接続されており、且つ右側において、下側に向いた接続ピース8bによって、右の絶縁体1bのそれぞれの接続インレット2に接続されている。
【0031】
導体5、6、7は、軸11に対して回転可能に設けられている。これは、向かい合って配置され方向付けられた2つの接続ピース8a、8b、9a、9b、10a、10bの角度方向が変更され得るように、導体5、6、7は、回転され得るということである。このように、適応モジュールは、それぞれの向かい合う接続インレット2、3、4の互いに対する異なる角度方向を許容し、異なる角度方向のいくつかの代表的な方向は後に記載される。
【0032】
図2は、絶縁体1a、1bの間における30°の位相シフトを提供する好ましい実装形態の第1の構成に係る図1の適応モジュールを示し、左は正面図であり、右は背面図である。具体的には、右の導体接続インレット2b、3b、4bを備えている右の絶縁体1bは、左の導体接続インレット2a、3a、4aを備えている左の絶縁体1aに向かって時計回りに30°回転している。このように、右の接続ピース8b、9b、10b bは、回転に追従し、結果として、向かい合うモジュールおよび/またはベイ12のそれぞれの向かい合う接続インレット2、3、4の間で、切り替え無しに、30°の位相シフトをもたらす。
【0033】
図3は、位相シフト無しに、接続インレット2と接続インレット3の切り替え(つまり、第1の接続インレット2と第2の接続インレット3の切り替えであり、第3の接続インレット4の切り替えではない)を提供する好ましい実装形態の第2の構成に係る図1の適応モジュールを示し、左は正面図であり、右は背面図である。具体的には、左の絶縁体1aの第1の左の接続インレット2aは、第1の左の接続ピース8aと、第1の右の接続ピース8bとを越えて、右の絶縁体1bの第2の右の接続インレット3bと接続されている。左の絶縁体1aの第3の左の接続インレット3aは、第2の左の接続ピース9aと、第2の右の接続ピース9bとを越えて、右の絶縁体1bの第2の右の接続インレット2bと接続されている。第3の接続インレット4は、全く切り替わることなく、左の絶縁体1aから右の絶縁体1bに真っ直ぐに接続されている。
【0034】
図4は、第2の接続インレット3と第3の接続インレット4との切り替えとともに、60°の位相シフトを提供する好ましい実装形態の第3の構成に係る図1の適応モジュールを示し、左は正面図であり、右は背面図である。具体的には、全ての右の接続インレット2b、3b、4bは、全ての左の接続インレット2a、3a、4aに向かって時計回りに60°シフトしている。第1の接続ピース8は、第1の接続インレット2に追従している。第2の右の接続ピース9bは、右の第2の接続インレット4bに接続されており、一方で、第2の左の接続ピース9aは、左の第1の接続インレット3aに接続されている。
【0035】
軸11に対する導体5、6、7の上記の回転可能性を得るために、少なくとも2つの組み合わせ可能なオプションが存在する。第1に、上記の導体5、6、7は、2つの部品として設けられることができ、それによって、一方の部品は、他方の部品に対して回転可能である。それゆえに、一方の部品は、輪状のスライド接点を有し、輪状のスライド接点は、他方の部品の輪状方向溝においてスライドし、それによって、回転する際における部品の間における電気的接続を確立する。第2に、たとえば同様に、このような円周状の溝および円周状のスライド接点を用いて、接続ピース8、9、10は、導体5、6、7に回転可能に取り付けられ得る。
【0036】
図5は、別の好ましい実装形態を示し、当該実装形態において、導体5、6、7の一方のピースの各々が、鋳物として、それぞれの接続ピース8、9、10と一体物として設けられている、すなわち導体5、6、7の左の部品は、それぞれの左の接続ピース8a、9a、10aと一体物として設けられており、且つ導体5、6、7の右の部品は、それぞれの右の接続ピース8b、9b、10bと一体物として設けられている。接続ピース8、9、10は基本的に省略されるので、このような実装形態を用いて、軸方向の長さが短い適応モジュールが得られ得る。また、図には示されていないが、導体5、6、7は、絶縁体1a、1bの間において、少なくとも0.1m、0.2m、0.5m、1m、2mまたは5m以上にわたって、軸方向に延在していてもよい。
【0037】
図1から5に示される実装形態において、導体5、6、7は、軸11に対して、0°以上360°以下の回転角αで回転可能である。図2右が示す背面図は、図2左が示す正面図に対する角度αを示しており、図2右が示す背面図において、示される実装形態のように角度αは、20°程度である。図6は、さらに別の実装形態を示しており、当該実装形態において、導体5、6、7は軸11に沿って、90°の角度βで曲がっている。図示されていない他の実装形態において、導体5、6、7は、導体の軸11に沿って0°以上180°以下の曲げ角度β(たとえば45°)で曲げられ得る。
【0038】
図面および上記の説明において、本発明が詳細に図示および説明されたが、このような図示および説明は、実例的および模範的に考えられるべきであり、限定的に考えられるべきでなく、発明は、開示された実装形態に限定されない。開示された実装形態の他の変形例は、図面、開示および添付の特許請求の範囲の検討から、特許請求の範囲に記載の発明を実施する当業者によって、理解され、効果を奏し得る。特許請求の範囲において、「備える」という語句は、他の要素またはステップを除外せず、且つ不定冠詞の「a」または「an」は、複数であることを除外しない。互いに異なる従属請求項において、特定の手段が列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用できないことを示すものではない。特許請求の範囲における全ての参照符号は、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【符号の説明】
【0039】
(参照符号リスト)
1(1a、1b) 絶縁体
2、3、4(2a、2b、3a、2b、4a、4b) 導体接続インレット
5、6、7 導体
8a、8b、9a、9b、10a、10b 接続ピース
11 軸
12 モジュール、ベイ
図1
図2
図3
図4
図5
図6