(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-01
(45)【発行日】2024-08-09
(54)【発明の名称】水中生物型ロボット
(51)【国際特許分類】
B63G 8/26 20060101AFI20240802BHJP
【FI】
B63G8/26
(21)【出願番号】P 2023163148
(22)【出願日】2023-09-26
【審査請求日】2023-09-26
(32)【優先日】2023-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】511212376
【氏名又は名称】先鋒材料科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】PIONEER MATERIAL PRECISION TECH CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】1F, NO.11, WUCYUAN 2ND RD., Wugu Dist., NEW Taipei City 248, Taiwan,
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】陳 志昇
(72)【発明者】
【氏名】劉 欽宏
【審査官】三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第115071933(CN,A)
【文献】特開2019-086686(JP,A)
【文献】特開平05-257050(JP,A)
【文献】特開2019-167242(JP,A)
【文献】特開昭60-011774(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63G 8/00 - 8/42
B63C 11/48 - 11/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に設置空間を画成するハウジングと、
前記設置空間内に設置されているものであって、前後方向において延伸すると共に駆動されて自身の延伸方向を軸心として回転することができる伝動軸を備える駆動モジュールと、
前記伝動軸に取り付けられているものであって、前記伝動軸を取り巻くと共に前記前後方向において延伸するように外周面に形成されている溝を備えるカムと、
前後移動することができるように前記駆動モジュールに取り付けられているものであって、前記溝に沿って移動できるように前記溝に挿設されている挿入棒を備える重りユニットと、を含み、
前記カムが前記伝動軸に伝動されて前記伝動軸を軸心として回転すると、前記挿入棒が前記溝に沿って移動することにより、前記重りユニットを前記駆動モジュールに相対して前後移動させて、重心の位置を変えるように構成されており、
前記重りユニットは、電源ユニットと、前記電源ユニットに取り付けられ且つ前記挿入棒を有する従動部材と、を備え、
前記駆動モジュールは、ベースを更に備え、
前記ベースの外側に取り付けられている、前記伝動軸の回転を制御する回路基板と、前記回路基板に電気的に接続されており且つ前記前後方向において間隔が開くように設置されている2つのリミットスイッチとを備える制御モジュールを更に含み、
前記リミットスイッチが前記従動部材を感知すると前記回路基板が前記伝動軸の回転を維持するよう制御するように構成されている、
ことを特徴とする水中生物型ロボット。
【請求項2】
前記溝は、前記カムの後ろ側に位置する第1の位置決め部と、前記カムの前側に位置する第2の位置決め部と、を有し、
前記第1の位置決め部及び前記第2の位置決め部は、いずれも前記伝動軸に対して同じ側において前記カムの外側に位置する、ことを特徴とする請求項1に記載の水中生物型ロボット。
【請求項3】
前記溝は、前記前後方向において前記伝動軸を一周回ると共に螺旋になるように延伸する、ことを特徴とする請求項2に記載の水中生物型ロボット。
【請求項4】
前記溝は、前記カムの後ろ側に位置する第1の位置決め部と、前記カムの前側に位置する第2の位置決め部とを有し、
前記第1の位置決め部及び前記第2の位置決め部は、
それぞれ前記伝動軸に対して両反対側において前記カムの外側に位置する、ことを特徴とする請求項1に記載の水中生物型ロボット。
【請求項5】
前記溝は、環状になるように前記伝動軸を取り巻く、ことを特徴とする請求項4に記載の水中生物型ロボット。
【請求項6】
前記駆動モジュールは、内部に前記伝動軸及び前記カムが設置できる収容空間を画成するベースを更に備え、
前記重りユニットは、前記ベースに取り付けられており、
前記挿入棒は、動きばめになるように前記溝に挿設されており、
前記電源ユニットは、前後移動できるように前記収容空間に挿設され且つ前記カムを囲っている、ことを特徴とす
る請求項1に記載の水中生物型ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物型ロボットに関し、特に水中生物型ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
水中生物型ロボットは制御に従って水中で浮上や潜降して、水中生物の泳ぎに模倣した動作を行う。
【0003】
該水中生物型ロボットは、内部の吸水排水機構により、内部空間に貯水する貯水量を制御して、水中生物型ロボット全体の密度を調整することにより、水中で上方や下方に向かって泳ぐように移動することができる。
【0004】
しかし、上記の設計を用いる水中生物型ロボットは、充分量の水を貯蔵するために必要な体積を確保しなければならないので、小さい水中生物を模倣する設計に使用できない。
【0005】
また、該水中生物型ロボットは、吸水排水機構及び貯水用構造に対して防水処理及び水漏れ防止処理を行う必要があるので、製造コストが高い。
【0006】
また、特許文献1に開示されているように、内部に設置されているモーターでねじ棒を回転させることにより、重りを内部に前後移動させることで、水中生物型ロボットの重心位置を変更し、それにより、水中生物型ロボットが水中で上方や下方に向かって泳ぐように移動できるようにする設計もある。しかし、ねじ棒がナットや重りと摩擦してネジ山が摩損して、水中生物型ロボットの故障率が高くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許出願公開第2021/0276678号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、従来技術の少なくとも1つの問題点を解消する水中生物型ロボットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成すべく、本発明は、内部に設置空間を画成するハウジングと、
前記設置空間内に設置されているものであって、前後方向において延伸すると共に駆動されて自身の延伸方向を軸心として回転することができる伝動軸を備える駆動モジュールと、
前記伝動軸に取り付けられているものであって、前記伝動軸を取り巻くと共に前記前後方向において延伸するように外周面に形成されている溝を備えるカムと、
前後移動することができるように前記駆動モジュールに取り付けられているものであって、前記溝に沿って移動できるように前記溝に挿設されている挿入棒を備える重りユニットと、を含み、
前記カムが前記伝動軸に伝動されて前記伝動軸を軸心として回転すると、前記挿入棒が前記溝に沿って移動することにより、前記重りユニットを前記駆動モジュールに相対して前後移動させて、重心の位置を変えるように構成されている、ことを特徴とする水中生物型ロボットを提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の水中生物型ロボットは、カム及びカムの溝に挿設されている挿入棒により、重りユニットを前後移動させて、重心の位置を変えるので、新しい構成で重心の位置を変えるものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の水中生物型ロボットの第1の実施形態を示す斜視図である。
【
図2】上記の第1の実施形態における駆動モジュール、重りユニット及び制御モジュールの接続関係を示す斜視図である。
【
図3】上記の第1の実施形態の駆動モジュール、重りユニット、制御モジュール及びカムの接続関係を示す斜視図である。
【
図7】上記の第1の実施形態の水平状態を示す図である。
【
図8】上記の第1の実施形態の駆動モジュール、重りユニット及びカムが他の状態にあることを示す断面図である。
【
図9】上記の第1の実施形態の潜降状態を示す図である。
【
図10】本発明の第2の実施形態のカムを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態の目的、技術手段、及び利点をより明確に説明するために、以下、本発明の実施形態の添付図面を組み合わせて、本発明の実施形態における技術手段に対して明確且つ完全に説明する。説明する実施形態は、本発明の一部の実施形態であり、すべての実施形態ではないことが明らかであろう。通常、添付図面に描きまた示す本発明の実施形態の部品は各種異なる配置で布置及び設計することができる。従って、以下、添付図面中に提供した本発明の実施形態の詳細説明は、本発明の保護範囲に対していかなる制限も構成せず、単に本発明の選択された実施形態を示すのみである。
【0013】
本発明をより詳細に説明する前に、適切と考えられる場合には、参照符号または参照符号の末端部分が、対応するまたは類似する要素を示すために図間で繰り返されており、これらは任意に同様の特性を有することができることに留意されたい。
【0014】
本発明の説明において、「上」、「下」、「内」、「外」、「左」、「右」、「前」、「後」などの方位や位置関係を示す用語は、より簡単且つ明瞭に説明するために、図面に示される方位や位置関係、または本発明の製品を使用する際に習慣的に置かれる方位や位置関係に基づくものであり、対応する装置やデバイスが特定の方位、特定の方位における構造や操作などを有することを教示または示唆するものではなく、本発明に対する限定ではない。
【0015】
また、本発明の説明において、「第1」、「第2」などの用語は、ただ区別を目的として使用され、相対的な重要性を教示または示唆するものではない。
【0016】
本発明の水中生物型ロボットは、
図1~
図3に示されるように、水中で作動し、且つ重心の位置を変えることにより水中で浮上や潜降するものである。
【0017】
本発明の水中生物型ロボットの第1の実施形態は、ハウジング1と、駆動モジュール2と、カム3と、重りユニット4と、制御モジュール5とを含む。
【0018】
ハウジング1は、内部に設置空間11を画成し且つ魚の形や他の水中生物の形を有するものである。
【0019】
駆動モジュール2は、
図1、
図3~
図5に示されるように、設置空間11内に設置されているものである。また、駆動モジュール2は、ベース21と、モーター22と、軸継手23と、伝動軸24と、ベース21から前方へ延伸して、左右において間隔が開いている2つのガイド棒25とを備える。
【0020】
ベース21は、内部に伝動軸24及びカム3が設置でき且つ前方に開口が開いている収容空間211を画成するが、それに限らず、他の実施形態において、ベース21は、内部に後方に開口が開いている収容空間211を画成するものでもよく、または、内部に前後両方に開口が開いている収容空間211を画成するものでもよい。
【0021】
モーター22は、ベース21に取り付けており、且つ収容空間211内に位置するが、他の実施形態において、モーター22は、収容空間211外に位置し、且つ、ハウジング1にまたはハウジング1内にある他の部品に取り付けることができ、ベース21に取り付けることに限らない。
【0022】
軸継手23は、収容空間211内に設置されており、且つ、前後両端それぞれがモーター22と伝動軸24とに接続されている。
【0023】
伝動軸24は、収容空間211内に設置されており、且つ、前後方向Xにおいて延伸すると共に駆動されて自身の延伸方向を軸心として回転することができる。
【0024】
具体的に、モーター22が制御されて作動すると、モーター22は軸継手23を駆動して第1の回転方向R1または第1の回転方向R1と反対する第2の回転方向R2へ回転させることができ、それにより伝動軸24を同じ回転方向へ回転させることができる。
【0025】
カム3は、
図3~
図5に示されるように、伝動軸24に取り付けられている円柱状のものである。また、カム3は、伝動軸24を取り巻くと共に前後方向Xにおいて延伸するように外周面に形成されている溝31を備える。
【0026】
具体的に、溝31は、カム3の後ろ側に位置し且つモーター22に近い第1の位置決め部311と、カム3の前側に位置し且つモーター22から離れた第2の位置決め部312とを有する。
【0027】
重りユニット4は、
図2~
図5に示されるように、前後移動することができるように駆動モジュール2のベース21に取り付けられていて、前後方向Xにおいて水中生物型ロボットの重心の位置を変えるものである。
【0028】
具体的に、重りユニット4は、前後移動することができるように2つのガイド棒25が挿設され、それにより重りユニット4は、左右移動できずに2つのガイド棒25に沿ってのみ移動することができる。
【0029】
この実施形態において、重りユニット4の後の部分が収容空間211内に前後移動することができるように嵌入されているので、重りユニット4及び駆動モジュール2の占用空間が減る。
【0030】
また、重りユニット4は、収容空間211内に嵌入されているので、ベース21に支持されて安定性が優れる。
【0031】
この実施形態において、重りユニット4は、モーター22に電気的に接続されていてモーター22に電力を提供する電源ユニット41と、電源ユニット41に取り付けられている従動部材42とを備える。
【0032】
この実施形態の水中生物型ロボットは、重りユニット4の電源ユニット41を重りとして重心を変えるので、他の重りを設置する必要がない。
【0033】
また、電源ユニット41は、前後移動できるように収容空間211に挿設され且つカム3を囲っている。
【0034】
具体的に、電源ユニット41は、電池ボックス411と、交換可能に電池ボックス411内に設置されている複数のバッテリー412とを備える。
【0035】
電池ボックス411は前後移動することができるように、2つのガイド棒25の前寄りの部分が挿設され、且つ、内部に後方へ開口する干渉回避槽413(
図6及び
図8参照)が形成されている。
【0036】
干渉回避槽413により、組み合わせる時に、伝動軸24及びカム3は別々で設置することができて、重りユニット4が収容空間211内に嵌入されている際、電源ユニット41は伝動軸24及びカム3との間に干渉が生じないので、駆動モジュール2、カム3及び重りユニット4の
図1に示される設置空間11における占用空間が減る。
【0037】
また、ベース21は、電池ボックス411の形に対応する電池ボックスの外郭として構成されることができ、この場合、電池ボックス411の外郭としてのベース21が電池ボックス411と緊密に嵌合するように構成すれば、電源ユニット41がベース21から脱落することが生じにくくなる。
【0038】
従動部材42は、
図3、
図5~
図6に示されるように、板体421と、挿入棒422と、板体421に接続されているスライダー423とを備える。
【0039】
板体421は、前後方向Xに沿って延伸するものである。
【0040】
挿入棒422及びスライダー423は、それぞれ板体421の反対両側(図示においては上下両側)から反対する方向へ延伸するものである。
【0041】
挿入棒422は、溝31に沿って移動できるように溝31に挿設されている。
【0042】
この実施形態において、板体421は、電池ボックス411の頂側に取り付けられており、スライダー423は、板体421の頂側から上へ延伸しながら前後方向Xにおいて延伸し、挿入棒422は、動きばめになるよう溝31に挿設できるように、板体421の底側から下へ干渉回避槽413まで延伸する。
【0043】
制御モジュール5は、
図3、
図5~
図6に示されるように、モーター22に電気的に接続されている。また、制御モジュール5は、ベース21の外側に取り付けられていて伝動軸24の回転を制御する回路基板51と、回路基板51に電気的に接続されており且つ前後方向Xにおいて間隔が開くように設置されている2つのリミットスイッチ52と、回路基板51のリミットスイッチ52の設置側と反対する側に、回路基板51に電気的に接続されている複数の電子デバイス53とを備える。
【0044】
各リミットスイッチ52は、従動部材42のスライダー423を感知するものである。
【0045】
従動部材42が前後方向Xにおいて移動し且つ両方のリミットスイッチ52に同時に感知されると、制御モジュール5の回路基板51は、伝動軸24の目下の回転方向での回転を維持するように駆動モジュール2(モーター22)を制御して、従動部材42を継続的に移動させる。
【0046】
例えば、駆動モジュール2がカム3を駆動して従動部材42がカム3の回転により前方へ移動する際、前後にある2つのリミットスイッチ52により同時に従動部材42のスライダー423が感知されると、制御モジュール5は駆動モジュール2の上記駆動を維持するよう制御して、そのまま従動部材42を前方へ移動させる。
【0047】
そして、従動部材42が移動してリミットスイッチ52の一者のみに感知されるようになると、制御モジュール5は、従動部材42をリミットスイッチ52の他者へ向かう方向へ移動させるように駆動モジュール2を制御し、それにより、従動部材42の移動方向を変更して従動部材42の前後方向Xにおける移動範囲を制限する。
【0048】
この実施形態において、制御モジュール5は、ベース21の頂側に取り付けられていて前後方向Xにおける占用空間が減少する。
【0049】
また、各リミットスイッチ52として、例えば光電リミットスイッチが挙げられるが、それに限らない。
【0050】
電子デバイス53として、例えば抵抗器、コンデンサ、インダクタ、トランジスタ、ダイオードまたはそれらの組み合わせなどが挙げられる。
【0051】
以下、本発明の水中生物型ロボットの作動を説明する。
図6~
図9に示されるように、使用者が本発明の水中生物型ロボットを浮上状態または水平状態(
図7に示される)から、
図9に示される潜降状態に切り替える際、使用者が制御モジュール5を設定しまたは制御信号を制御モジュール5に送信することにより、モーター22の作動を制御する。モーター22が制御モジュール5に制御されて伝動軸24を第1の回転方向R1へ回転させると、カム3が伝動軸24に伝動されて伝動軸24を軸心として第1の回転方向R1へ回転する。それにより、挿入棒422が溝31に沿って第1の位置決め部311の位置(
図6に示される)から前方へ第2の位置決め部312の位置(
図8に示される)に移動することにより、電源ユニット41を前方へ移動させて駆動モジュール2から離れるようにする。
【0052】
電源ユニット41を駆動モジュール2に相対して前方へ移動させることにより、該水中生物型ロボットの重心の位置が後から前方へ移動して、該水中生物型ロボットが泳ぐ際、該水中生物型ロボットの前方の部分が後方の部分に相対して、徐々に下方へ移動するので、該水中生物型ロボットの全体は、前方の部分が下且つ後方の部分が上の傾斜状態(即ち潜降状態)になる。
【0053】
逆に、本発明の水中生物型ロボットを潜降状態から、浮上状態または水平状態に切り替える際、使用者が同じく制御モジュール5により、モーター22の作動を制御する。モーター22が制御モジュール5に制御されて伝動軸24を第2の回転方向R2へ回転させると、カム3が伝動軸24に伝動されて伝動軸24を軸心として第2の回転方向R2へ回転する。それにより、挿入棒422が溝31に沿って第2の位置決め部312の位置から後方へ第1の位置決め部311の位置に移動することにより、電源ユニット41を後方へ移動させて駆動モジュール2に近づくようにする。
【0054】
それにより、該水中生物型ロボットの重心の位置が前から後方へ初期位置に移動して、該水中生物型ロボットが泳ぐ際、該水中生物型ロボットの後方の部分が前方の部分に相対して、徐々に上方へ移動するので、該水中生物型ロボットの全体は、該水中生物型ロボットの初期の状態(即ち挿入棒422が第1の位置決め部311に位置する時の状態)により、前方の部分と後方の部分とが同じ高さの状態(即ち水平状態)、または前方の部分が上且つ後方の部分が下の傾斜状態になる(即ち浮上状態)。
【0055】
図3、
図6~
図7に示されるように、制御モジュール5により、モーター22の回転速度を制御し、それにより、重りユニット4の移動速度を調整することができ、また、モーター22が制御モジュール5に制御されて伝動軸24の回転程度を制御して、挿入棒422を第1の位置決め部311と第2の位置決め部312との間に停めることができるので、必要に応じて重心の位置の前後移動の距離を調整できる。
【0056】
この実施形態において、溝31は、前後方向Xにおいて伝動軸24を一周回るように螺旋状に延伸する。且つ、第1の位置決め部311及び第2の位置決め部312は、伝動軸24に対して同じ側においてカム3の外側に位置する。それにより、第1の位置決め部311と第2の位置決め部312との間の距離は、重りユニット4が前後移動できる最大範囲(即ち固定ストローク)である。即ち、カム3が第1の回転方向R1へ一周回ると、挿入棒422が第1の位置決め部311から第2の位置決め部312に移動し、カム3が第2の回転方向R2へ一周回ると、挿入棒422が第2の位置決め部312から第1の位置決め部311に移動する。
【0057】
溝31は前後方向Xにおいて伝動軸24を一周回ると共に螺旋になるように延伸する設計であるので、モーター22が伝動軸24を駆動してカム3を連動して回転する回転数を減少でき、複数周回転させる必要があるねじ棒を使用する場合と比べて、モーター22の耐用性が向上する。
【0058】
本発明の第2の実施形態は、
図10~
図11に示される。この実施形態において、溝31は、封閉の環状になるように伝動軸24を取り巻く。
【0059】
具体的に、第1の位置決め部311及び第2の位置決め部312は、それぞれ伝動軸24に対して両反対側においてカム3の外側に位置する。
【0060】
それにより、カム3が第1の回転方向R1へ半周回ると、挿入棒422は一側の溝31に沿って第1の位置決め部311から第2の位置決め部312に移動し、カム3が第1の回転方向R1へ更に半周回ると、挿入棒422は他側の溝31に沿って第2の位置決め部312から第1の位置決め部311に移動する。
【0061】
モーター22が伝動軸24を駆動してカム3を連動して同じ方向へ継続的に回転するだけで、重りユニット4を前方及び後方の両方向で交互に移動させることができる。
【0062】
即ち、モーター22が伝動軸24を駆動してカム3を連動して第1の回転方向R1または第2の回転方向R2へ継続的に回転するだけで、重りユニット4を前方及び後方の両方向で交互に移動させることができる。
【0063】
上記の構成によれば、カム3及びカム3の溝31に挿設されている挿入棒422により、重りユニット4を前後移動させて、重心の位置を変えるので、新しい構成で重心の位置を変える上、重りユニット4が駆動モジュール2のベース21に取り付けられていて、重りユニット4の重量は殆どベース21にかかっており、且つ、挿入棒422は、動きばめになるように溝31に挿設されているので、伝動軸24が受ける重量が大幅に減少し、伝動軸24の摩損が減少し、耐用性が大幅に向上する。
【0064】
また、挿入棒422が溝31に動きばめになるように溝31に挿設されていることにより、挿入棒422と伝動軸24との摩擦が減少して耐用性が向上する上、組み合わせの難度が下がり、製造コストが減る。
【0065】
更に、電源ユニット41を水中生物型ロボットの重りとして重心を変えるので、他の重りを設置する必要がなく、ハウジング1内の部品の数を減少することができて、水中生物型ロボットの体積を減少して小型化する効果がある。
【0066】
従って、本発明の目的を確実に達成できる。
【0067】
本発明は、例示的な実施形態と考えられるものに関連して説明されてきたが、本発明は、開示された実施形態に限定されるものではなく、そのような修正及び同等の配置をすべて包含するように最も広い解釈の精神及び範囲内に含まれる様々な配置を対象とすることが意図されていることが理解される。
【0068】
上記実施形態は例示的に本発明の原理及び効果を説明するものであり、本発明を制限するものではない。本技術を熟知する当業者であれば本発明の精神及び範囲から離れないという前提の下、上記の実施形態に対して若干の変更や修飾が可能である。従って、当業者が本発明の主旨から離れないという前提の下、行った全ての変更や修飾も本発明の保護範囲に含まれるものとされるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、重心の位置を変える水中生物型ロボットの提供に適する。
【符号の説明】
【0070】
1 ハウジング
11 設置空間
2 駆動モジュール
21 ベース
211 収容空間
22 モーター
23 軸継手
24 伝動軸
25 ガイド棒
3 カム
31 溝
311 第1の位置決め部
312 第2の位置決め部
4 重りユニット
41 電源ユニット
411 電池ボックス
412 バッテリー
413 干渉回避槽
42 従動部材
421 板体
422 挿入棒
423 スライダー
5 制御モジュール
51 回路基板
52 リミットスイッチ
53 電子デバイス
R1 第1の回転方向
R2 第2の回転方向
X 前後方向
【要約】
【課題】新しい構成で重心の位置を変える水中生物型ロボットの提供。
【解決手段】内部に設置空間を画成するハウジングと、前記設置空間内に設置されているものであって、前後方向において延伸すると共に駆動されて自身の延伸方向を軸心として回転することができる伝動軸24を備える駆動モジュール2と、伝動軸24に取り付けられているものであって、伝動軸24を回ると共に前記前後方向において延伸するように外周面に形成されている溝31を備えるカム3と、前後移動することができるように駆動モジュール2に取り付けられているものであって、溝31に沿って移動できるように溝31に挿設されている挿入棒422を備える重りユニットと、を含み、カム3が伝動軸24を回転すると、挿入棒422が溝31に沿って移動することにより、前記重りユニットを前後移動させて、重心の位置を変えるように構成されている。
【選択図】
図3