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特許7531706ミリ波人体セキュリティーチェックシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-01
(45)【発行日】2024-08-09
(54)【発明の名称】ミリ波人体セキュリティーチェックシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01V 5/00 20240101AFI20240802BHJP
【FI】
G01V5/00 A
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2023526394
(86)(22)【出願日】2021-09-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-14
(86)【国際出願番号】 CN2021122079
(87)【国際公開番号】W WO2022089150
(87)【国際公開日】2022-05-05
【審査請求日】2023-04-28
(31)【優先権主張番号】202011178188.0
(32)【優先日】2020-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】506162688
【氏名又は名称】清華大學
【氏名又は名称原語表記】TSINGHUA UNIVERSITY
【住所又は居所原語表記】NO.1, TSINGHUA YUAN,HAIDIAN DISTRICT,BEIJING,PEOPLE’S REPUBLIC OF CHINA
(73)【特許権者】
【識別番号】503414751
【氏名又は名称】同方威視技術股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】陳 志 強
(72)【発明者】
【氏名】趙 自 然
(72)【発明者】
【氏名】金 穎 康
(72)【発明者】
【氏名】何 小 意
(72)【発明者】
【氏名】趙 梦 嬌
(72)【発明者】
【氏名】鄭 志 敏
(72)【発明者】
【氏名】張 一 海
(72)【発明者】
【氏名】李 亜 寧
(72)【発明者】
【氏名】馮 肖 肖
【審査官】佐々木 崇
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0184773(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0173161(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第109358378(CN,A)
【文献】特開2018-013448(JP,A)
【文献】中国実用新案第210982777(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01V1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査者がミリ波人体セキュリティーチェック装置により限定された検査通路に入る前に、第1表示装置により、ミリ波人体セキュリティーチェック装置による走査検査を受ける時に希望される所定の姿勢に関する情報を被検査者へ表示することと、
被検査者が検査通路に入り、かつ前記所定の姿勢と基本的に合致する立ち姿で検査通路内の所定の立ち位置に立つように案内することと、
ミリ波人体セキュリティーチェック装置により被検査者に対して走査検査を行い、被検査者のミリ波走査データを取得することと、
ワークステーションにより前記ミリ波走査データに基づいて被検査者のミリ波走査画像の再構成、立ち姿の確認及び容疑物品の識別を行うことと
被検査者の立ち姿が前記所定の姿勢を満たすと確定された後、被検査者が検査通路から離れるように案内することと、
被検査者が検査通路から離れると同時に、再構成されたミリ波走査画像を解析して被検査者が容疑物品を持っているか否かを識別することと、を含む
ミリ波人体セキュリティーチェック方法。
【請求項2】
被検査者が前記検査通路に入る前に前記第1表示装置に表示された情報を見えるように、前記第1表示装置をミリ波人体セキュリティーチェック装置の頂部に設置する、
請求項1に記載のミリ波人体セキュリティーチェック方法。
【請求項3】
第1表示装置により、所定の姿勢に係るビデオと、所定の姿勢に係る提示文字と、所定の姿勢に係るピクチャとのうちの少なくとも1つを被検査者へ表示する、
請求項1に記載のミリ波人体セキュリティーチェック方法。
【請求項4】
検査通路内で第2表示装置により前記所定の姿勢に関する情報を所定の立ち位置に立つ被検査者へ表示すること、をさらに含む、
請求項1~3のいずれか一項に記載のミリ波人体セキュリティーチェック方法。
【請求項5】
第2表示装置により所定の姿勢に係る人形画像を表示し、
前記立ち姿で所定の立ち位置に立つ被検査者の可視光画像を取得し、被検査者が該可視光画像と所定の姿勢に係る人形画像との比較に基づいてその立ち姿を調整することを案内するように、第2表示装置に該可視光画像を表示することをさらに含む、
請求項4に記載のミリ波人体セキュリティーチェック方法。
【請求項6】
オーディオ装置により、被検査者が第1表示装置に表示された情報を視聴し、及び/又は、被検査者が前記所定の姿勢と基本的に合致する立ち姿で所定の立ち位置に立つように、音声提示で案内すること、をさらに含む、
請求項1~のいずれか一項に記載のミリ波人体セキュリティーチェック方法。
【請求項7】
再構成されたミリ波走査画像に基づいて、被検査者の立ち姿が前記所定の姿勢を満たすか否かを確定する、
請求項1~のいずれか一項に記載のミリ波人体セキュリティーチェック方法。
【請求項8】
ワークステーションで、グラフィックプロセッサ(GPU)により被検査者のミリ波走査画像の再構成、立ち姿の確認、及び、容疑物品の識別を行うこと、をさらに含む、
請求項1~のいずれか一項に記載のミリ波人体セキュリティーチェック方法。
【請求項9】
被検査者の、列方向が被検査者の高さ方向と重なり合う正面の第1走査データセットと、列方向が被検査者の高さ方向と重なり合う背面の第2走査データセットとを取得することと、
第1走査データセットの行方向に沿って第1走査データセットを重畳してY1で表される第1重畳データの列を取得し、第2走査データセットの行方向に沿って第2走査データセットを重畳してY2で表される第2重畳データの列を取得することと、
以下の式で第1重畳データY1と第2重畳データY2に対して相互相関演算を行うことと、
【数1】

請求項1~のいずれか一項に記載のミリ波人体セキュリティーチェック方法。
【請求項10】
検査通路(101)を限定し、検査通路内の所定の立ち位置に立つ被検査者に対して走査検査を行って、被検査者のミリ波走査データを取得するように構成されたミリ波人体セキュリティーチェック装置(100)と、
被検査者が前記検査通路に入る前に見える位置に設置され、ミリ波人体セキュリティーチェック装置による走査検査を受ける時希望される所定の姿勢に関する情報を被検査者へ表示するように構成された第1表示装置(120)と、
前記ミリ波走査データに基づいて、被検査者のミリ波走査画像の再構成、立ち姿の確認及び容疑物品の識別を行うように構成されたワークステーション(200)と、を含み、
前記第1表示装置は、ミリ波人体セキュリティーチェック装置の、被検査者の通行方向における2つの対向頂部のそれぞれに設置されている、
ミリ波人体セキュリティーチェックシステム。
【請求項11】
前記第1表示装置は、検査通路に入る被検査者に向けるように、ミリ波人体セキュリティーチェック装置の頂部に設置されている、
請求項10に記載のミリ波人体セキュリティーチェックシステム。
【請求項12】
第1表示装置は、所定の姿勢に係るビデオと、所定の姿勢に係る提示文字と、所定の姿勢に係るピクチャとのうちの少なくとも1つを被検査者へ表示するように構成されている、
請求項10に記載のミリ波人体セキュリティーチェックシステム。
【請求項13】
所定の立ち位置に立つ被検査者へ前記所定の姿勢に関する情報を表示するように、検査通路内に設置されている第2表示装置(130)をさらに含む、
請求項1012のいずれか一項に記載のミリ波人体セキュリティーチェックシステム。
【請求項14】
前記立ち姿で所定の立ち位置に立つ被検査者の可視光画像を取得するように構成された可視光撮像装置をさらに含み、
第2表示装置は、所定の姿勢に係る人形画像と前記可視光画像を表示して、被検査者が該可視光画像と所定の姿勢に係る人形画像との比較に基づいてその立ち姿を調整する案内を行うように構成されている、
請求項13に記載のミリ波人体セキュリティーチェックシステム。
【請求項15】
被検査者が第1表示装置に表示された情報を視聴する案内、及び/又は、被検査者が前記所定の姿勢と基本的に合致する立ち姿で所定の立ち位置に立つ案内を音声提示で行うように構成されたオーディオ装置(300)をさらに含む、
請求項1012のいずれか一項に記載のミリ波人体セキュリティーチェックシステム。
【請求項16】
前記ワークステーションは、再構成されたミリ波走査画像に基づいて、被検査者の立ち姿が前記所定の姿勢を満たすか否かを確定するように構成されている、
請求項1012のいずれか一項に記載のミリ波人体セキュリティーチェックシステム。
【請求項17】
被検査者の立ち姿が前記所定の姿勢を満たすと確定した後、被検査者が検査通路から離れる案内を、音声提示と視覚提示とのうちの少なくとも1つで行うように構成されており、
前記ワークステーションは、被検査者が検査通路から離れると同時に、再構成されたミリ波走査画像を解析して被検査者が容疑物品を持っているか否かを識別するように構成されている、
請求項1012のいずれか一項に記載のミリ波人体セキュリティーチェックシステム。
【請求項18】
前記ワークステーションは、被検査者のミリ波走査画像の再構成、立ち姿の確認、及び、容疑物品の識別を行うように構成されたグラフィックプロセッサ(GPU)を含む、
請求項1012のいずれか一項に記載のミリ波人体セキュリティーチェックシステム。
【請求項19】
ミリ波人体セキュリティーチェック装置は、
被検査者の検査通路を通過する方向と垂直な水平方向に沿って検査通路の対向する両側に位置する第1ミリ波走査ユニット及び第2ミリ波走査ユニットであって、前記所定の姿勢に合致する立ち姿で前記所定の立ち位置に立つ被検査者の正面及び背面のそれぞれにミリ波走査を行って、被検査者の、列方向が被検査者の高さ方向と重なり合う正面の第1走査データセットと、列方向が被検査者の高さ方向と重なり合う背面の第2走査データセットとを取得するように構成された第1ミリ波走査ユニット及び第2ミリ波走査ユニットを含み、
前記ワークステーションは、
第1走査データセットの行方向に沿って第1走査データセットを重畳してY1で表される第1重畳データの列を取得し、第2走査データセットの行方向に沿って第2走査データセットを重畳してY2で表される第2重畳データの列を取得し、
以下の式で第1重畳データY1と第2重畳データY2に対して相互相関演算を行い、
【数2】

請求項1012のいずれか一項に記載のミリ波人体セキュリティーチェックシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2020年10月28日に提出された、出願番号が202011178188.0である中国特許出願に基づく優先権を主張し、その全ての内容を引用により本願に組み込む。
【0002】
本開示の実施例は、一般的に安全検査の分野に関し、特に、セキュリティーチェックの通過率を向上できるミリ波人体セキュリティーチェックシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
公共安全を保障するために、重要な公共の場所で安全検査を行うことが必要な手段である。現在、最も広く応用されている結像式セキュリティーチェック技術は、主にX線結像技術、および、ミリ波結像技術である。ミリ波検出結像技術は、非電離放射であるので使用中に人体に損傷を与えなく、人体の衣類を透過でき、各種金属及び非金属禁制品を識別できるなどの多くの利点を有する。近年、ミリ波技術の発展及びデバイスコストの低減に伴い、ミリ波結像は、人体セキュリティーチェックの分野に広く用いられてくる。
【0004】
ミリ波セキュリティーチェック装置には、金属探知門に比べて一連の利点があるが、依然として、被検査者が停止状態で走査を受ける必要があり、通行効率が低いという問題がある。実際のセキュリティーチェックにおいて、通常の能動式ミリ波結像システムでは、被検査者がセキュリティーチェック装置の前に特定の姿勢で一定の時間を立つか、又は特定の姿勢で回転する必要があり、高い識別率を保証することができるが、被検査者が立ち姿を絶えず調整し、検査通路内に長い時間滞留する必要があり、さらに、通過率も制限されている。
【発明の概要】
【0005】
本開示の一態様は、被検査者がミリ波人体セキュリティーチェック装置により限定された検査通路に入る前に、第1表示装置により、ミリ波人体セキュリティーチェック装置による走査検査を受ける時希望される所定の姿勢に関する情報を被検査者へ表示することと、被検査者が検査通路に入り、かつ前記所定の姿勢と基本的に合致する立ち姿で検査通路内の所定の立ち位置に立つように案内することと、ミリ波人体セキュリティーチェック装置により被検査者に対して走査検査を行い、被検査者のミリ波走査データを取得することと、ワークステーションにより前記ミリ波走査データに基づいて被検査者のミリ波走査画像の再構成、立ち姿の確認及び容疑物品の識別を行うことと、を含むミリ波人体セキュリティーチェック方法を提出する。
【0006】
いくつかの実施例において、被検査者が前記検査通路に入る前に前記第1表示装置に表示された情報を見えるように、前記第1表示装置をミリ波人体セキュリティーチェック装置の頂部に設置する。
【0007】
いくつかの実施例において、第1表示装置により、所定の姿勢に係るビデオと、所定の姿勢に係る提示文字と、所定の姿勢に係るピクチャとのうちの少なくとも1つを被検査者へ表示する。
【0008】
いくつかの実施例において、該方法は、検査通路内で第2表示装置により前記所定の姿勢に関する情報を所定の立ち位置に立つ被検査者へ表示すること、をさらに含む。
【0009】
いくつかの実施例において、第2表示装置により所定の姿勢に係る人形画像を表示し、該方法は、前記立ち姿で所定の立ち位置に立つ被検査者の可視光画像を取得し、被検査者が該可視光画像と所定の姿勢に係る人形画像との比較に基づいてその立ち姿を調整することを案内するように、第2表示装置に該可視光画像を表示することをさらに含む。
【0010】
いくつかの実施例において、該方法は、オーディオ装置により、被検査者が第1表示装置に表示された情報を視聴し、及び/又は、被検査者が前記所定の姿勢と基本的に合致する立ち姿で所定の立ち位置に立つように、音声提示で案内すること、をさらに含む。
【0011】
いくつかの実施例において、再構成されたミリ波走査画像に基づいて、被検査者の立ち姿が前記所定の姿勢を満たすか否かを確定する。
【0012】
いくつかの実施例において、該方法は、被検査者の立ち姿が前記所定の姿勢を満たすと確定された後、被検査者が検査通路から離れるように案内することと、被検査者が検査通路から離れると同時に、再構成されたミリ波走査画像を解析して被検査者が容疑物品を持っているか否かを識別することと、をさらに含む。
【0013】
いくつかの実施例において、該方法は、ワークステーションで、グラフィックプロセッサにより被検査者のミリ波走査画像の再構成、立ち姿の確認、及び、容疑物品の識別を行うこと、をさらに含む。
【0014】
いくつかの実施例において、該方法は、
被検査者の、列方向が被検査者の高さ方向と重なり合う正面の第1走査データセットと、列方向が被検査者の高さ方向と重なり合う背面の第2走査データセットとを取得することと、
第1走査データセットの行方向に沿って第1走査データセットを重畳してY1で表される第1重畳データの列を取得し、第2走査データセットの行方向に沿って第2走査データセットを重畳してY2で表される第2重畳データの列を取得することと、
以下の式で第1重畳データY1と第2重畳データY2に対して相互相関演算を行うことと、
【0015】
【数1】
【0016】
本開示の別の態様の実施例は、検査通路を限定し、検査通路内の所定の立ち位置に立つ被検査者に対して走査検査を行って、被検査者のミリ波走査データを取得するように構成されたミリ波人体セキュリティーチェック装置と、被検査者が前記検査通路に入る前に見える位置に設置され、ミリ波人体セキュリティーチェック装置による走査検査を受ける時希望される所定の姿勢に関する情報を被検査者へ表示するように構成された第1表示装置と、前記ミリ波走査データに基づいて、被検査者のミリ波走査画像の再構成、立ち姿の確認及び容疑物品の識別を行うように構成されたワークステーションと、を含むミリ波人体セキュリティーチェックシステムを提供する。
【0017】
いくつかの実施例において、前記第1表示装置は、検査通路に入る被検査者に向けるように、ミリ波人体セキュリティーチェック装置の頂部に設置されている。
【0018】
いくつかの実施例において、前記第1表示装置は、ミリ波人体セキュリティーチェック装置の、被検査者の通行方向における2つの対向頂部のそれぞれに設置されている。
【0019】
いくつかの実施例において、第1表示装置は、所定の姿勢に係るビデオと、所定の姿勢に係る提示文字と、所定の姿勢に係るピクチャとのうちの少なくとも1つを被検査者へ表示するように構成されている。
【0020】
いくつかの実施例において、ミリ波人体セキュリティーチェックシステムは、所定の立ち位置に立つ被検査者へ、前記所定の姿勢に関する情報を表示するように、検査通路内に設置されている第2表示装置をさらに含む。
【0021】
いくつかの実施例において、ミリ波人体セキュリティーチェックシステムは、前記立ち姿で所定の立ち位置に立つ被検査者の可視光画像を取得するように構成された可視光撮像装置をさらに含み、第2表示装置は、所定の姿勢に係る人形画像と前記可視光画像を表示して、被検査者が該可視光画像と所定の姿勢に係る人形画像との比較に基づいてその立ち姿を調整する案内を行うように構成されている。
【0022】
いくつかの実施例において、ミリ波人体セキュリティーチェックシステムは、被検査者が第1表示装置に表示された情報を視聴する案内、及び/又は、被検査者が前記所定の姿勢と基本的に合致する立ち姿で所定の立ち位置に立つ案内を音声提示で行うように構成されたオーディオ装置をさらに含む。
【0023】
いくつかの実施例において、前記ワークステーションは、再構成されたミリ波走査画像に基づいて、被検査者の立ち姿が前記所定の姿勢を満たすか否かを確定するように構成されている。
【0024】
いくつかの実施例において、該ミリ波人体セキュリティーチェックシステムは、被検査者の立ち姿が前記所定の姿勢を満たすと確定した後、被検査者が検査通路から離れる案内を、音声提示と視覚提示とのうちの少なくとも1つで行うように構成されており、前記ワークステーションは、被検査者が検査通路から離れると同時に、再構成されたミリ波走査画像を解析して被検査者が容疑物品を持っているか否かを識別するように構成されている。
【0025】
いくつかの実施例において、前記ワークステーションは、被検査者のミリ波走査画像の再構成、立ち姿の確認、及び、容疑物品の識別を行うように構成されたグラフィックプロセッサを含む。
【0026】
いくつかの実施例において、ミリ波人体セキュリティーチェック装置は、
被検査者の検査通路を通過する方向と垂直な水平方向に沿って検査通路の対向する両側に位置する第1ミリ波走査ユニット及び第2ミリ波走査ユニットであって、前記所定の姿勢に合致する立ち姿で前記所定の立ち位置に立つ被検査者の正面及び背面のそれぞれにミリ波走査を行って、被検査者の、列方向が被検査者の高さ方向と重なり合う正面の第1走査データセットと、列方向が被検査者の高さ方向と重なり合う背面の第2走査データセットとを取得するように構成された第1ミリ波走査ユニット及び第2ミリ波走査ユニットを含み、
前記ワークステーションは、
第1走査データセットの行方向に沿って第1走査データセットを重畳してY1で表される第1重畳データの列を取得し、第2走査データセットの行方向に沿って第2走査データセットを重畳してY2で表される第2重畳データの列を取得し、
以下の式で第1重畳データY1と第2重畳データY2に対して相互相関演算を行い、
【0027】
【数2】
【0028】
以下に図面を参照しながら本開示を詳細に説明することにより、本開示の他の目的及び利点は明らかであり、かつ本開示に対して全面的な理解を助けることができる。
【0029】
図面を参照することにより本開示の特徴及び利点をより明確に理解することができ、図面は例示的なものであり、本開示を限定するものと理解すべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本開示の例示的な実施例に係るミリ波人体セキュリティーチェック装置の構成を示す透視図である。
図2】本開示の例示的な実施例に係るミリ波人体セキュリティーチェックシステムの配置を示すブロック図である。
図3】本開示の例示的な実施例に係る人体セキュリティーチェック時間の分布を示す概略図である。
図4】本開示の実施例に係るミリ波人体セキュリティーチェック方法を示すフローチャートである。
図5】本開示の一具体例に係るミリ波人体セキュリティーチェック方法を示すフローチャートである。
図6】本開示の一具体例に係る走査データのレジストレーション方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本開示の実施例における技術案について、本開示の実施例における図面を参照しながら、明確で、完全に説明する。説明される実施例は、本開示の一部の実施例だけであり、全ての実施例ではないことが明らかである。本開示における実施例に基づいて、当業者が進歩性に値する労働を行わずに得られた全ての他の実施例は、いずれも本開示の保護範囲に属する。
【0032】
また、以下の詳細な説明において、説明を容易にするために、多くの具体的な詳細を説明して本開示の実施例に対する全面的な理解に供する。しかしながら、明らかに、1つ又は複数の実施例はこれらの具体的な詳細がない場合にも実施され得る。他の場合に、公知の構造及び装置は図示の方式で体現されて図面を簡略化する。
【0033】
図1は、本開示の例示的な実施例に係る安全検査用の人体結像装置を概略的に示し、図2は、本開示の例示的な実施例に係る人体セキュリティーチェックシステムの配置を概略的に示し、このセキュリティーチェックシステムは、図1に示す人体結像装置を含む。この人体結像装置は、例えば、ミリ波人体セキュリティーチェック装置100であって、被検査者の体に対して走査検査を行うことにより、ミリ波人体画像又は対応するミリ波走査データを取得するために用いられる。図3に示すように、走査時間をT1とし、これは異なるタイプのミリ波人体セキュリティーチェック装置の具体的な操作に依存し、例えば、約2秒であってもよい。例えば、ミリ波人体セキュリティーチェック装置は、受動式又は受動式ミリ波の結像技術に基づいて、対象自身のミリ波放射を収集するか又は対象に反射又は散乱されたミリ波を収集することにより、結像を実現することができる。例示的には、ミリ波人体セキュリティーチェック装置は、例えば、ミリ波信号を送受信するためのミリ波アンテナアレイ、及び、ミリ波アンテナアレイに関連するミリ波送受信機などのミリ波送受信装置を含んでもよい。
【0034】
ミリ波人体セキュリティーチェック装置は、柱状走査システム、平面走査システム及びエリア走査システムに分けることができる。図示の実施例において、ミリ波人体セキュリティーチェック装置100は、セキュリティーチェックゲートの形であり、セキュリティーチェックゲートは、検査通路101を限定し、被検査者は、適切な立ち姿で検査通路101内の所定の立ち位置に立って安全検査を受ける。例えば、ミリ波人体セキュリティーチェック装置は、直線アレイ平面上下走査型セキュリティーチェックゲート、直線アレイ平面左右走査型セキュリティーチェックゲート、折れ線アレイ上下走査セキュリティーチェックゲート、又は、直線アレイ回転台回転セキュリティーチェックゲート、円弧状又は柱面走査型セキュリティーチェックゲートを含んでもよく、それに応じて、ミリ波人体セキュリティーチェック装置は、図に示すエリア走査面110のような、被検査者の体を走査するための異なる形式の走査面を有してもよい。
【0035】
図1に示す実施例では、セキュリティーチェックゲートの形のミリ波人体セキュリティーチェック装置は、例えばミリ波送受信装置又は検出器アレイのような、対向して配置された第1ミリ波走査ユニットと第2ミリ波走査ユニットとを含み、それらは、被検査者が検査通路101を通過する方向と垂直な水平方向に沿って検査通路の対向の両側に位置し、所定の姿勢に合致する立ち姿で検査通路101内の所定の立ち位置に立っている被検査者の正面及び背面にそれぞれミリ波走査を行うことにより、被検査者の正面の第1走査データセットと背面の第2走査データセットを取得するために用いられ、第1走査データセットと第2走査データセットのそれぞれは、例えば、列方向が被検査者の高さ方向と重なり合う2次元データマトリクスの形式であってもよい。
【0036】
セキュリティーチェックシステムは、ワークステーション200をさらに含み、ワークステーション200は、例えば中央制御室又は操作台に設置された操作端末であり、例えばコンピュータにより実現することができ、このワークステーションは、取得されたミリ波走査データに基づいて被検査者のミリ波走査画像を再構成し、被検査者の立ち姿を確認し、ミリ波走査画像を解析して被検査者が容疑物品又は禁止物品等を持っているか否かを識別することができる。ワークステーション200は、自体が例えば中央処理ユニット(CPU)などのプロセッサ210を有し、ワークステーションの通常操作を実行するために用いられる。ワークステーション200自体のディスプレイ230には、ミリ波走査画像、立ち姿の確認結果、及び/又は、容疑物品の識別結果を表示することができる。図3に示すように、画像の再構成の時間をT2とし、画像解析の時間をT3とし、それらは、ワークステーションのデータ処理性能に依存する。例示的には、GPU(画像プロセッサ)220を含むグラフィックスカードを利用して走査、画像の再構成、及び/又は、画像の解析を加速することができる。
【0037】
いくつかの例において、画像の解析は、立ち姿の確認、容疑物品の識別等を含み、即ち、再構成されたミリ波走査画像に基づいて被検査者の走査検査を受ける時の立ち姿が所定の姿勢に合致するか否かを確認することができる。他の例では、置換又は補充として、被検査者の可視光画像(例えば単独に設置されたカメラ等の撮像装置により取得される)に基づいて、被検査者の検査を受ける時の立ち姿が所定の姿勢に合致するか否かを判断してもよい。様々な方式、例えば手動又は自動モードで、被検査者の画像に基づいてその立ち姿が正確であるか否か又は所定の姿勢に合致するか否かを判断してもよく、例えば、所定の姿勢に対応する人形画像と被検査者の画像(例えばミリ波走査画像又は可視光画像)との間の差異(例えば図形境界差異)が所定の閾値範囲内であるか否かを判断することができ、手動モードにおいて、オペレータが被検査者の所定の立ち位置での立ち姿そのもの、又は被検査者の立ち姿に基づく画像、例えばこれらの画像のディスプレイ230での表示に基づいて、オペレータにより被検査者の立ち姿が所定の姿勢に合致するか否かを人工的に判断してもよい。置換又は補充として、自動モードであってもよく、例えば、プロセッサにより、被検査者の立ち姿が所定の姿勢に合致するか否かを判断してもよい。置換又は補充として、ミリ波人体セキュリティーチェック装置により1立ち姿にある被検査者の体を走査検査する前に、被検査者の該立ち姿が所定の姿勢に合致するか否かを判断してもよい。
【0038】
実際のセキュリティーチェックにおいて、ミリ波結像システムは、一般的に被検査者が特定の姿勢で安全検査を受けることを要求し、異なる被検査者は、正確な立ち姿への理解に差異があり、異なる時間を必要として正確な立ち姿にすることができるので、本走査の前に被検査者が非常に長い時間Tx(図3参照)を過ごしてその立ち姿を調整することになる。本開示の実施例に係るセキュリティーチェックシステムは、第1表示装置120をさらに含み、第1表示装置120は、被検査者が検査通路101に入る前に見える位置に設置され、かつミリ波人体セキュリティーチェック装置による走査検査を受ける時に希望される所定の姿勢に関する情報を被検査者へ表示する。それによって、被検査者は、並んで検査を待ち、又は他の被検査者が検査を受ける時に、第1表示装置120に表示された情報を視聴し、正確な走査立ち姿を予め理解し学習することができ、検査通路101に入って所定の立ち位置に立つと、直ちに所定の立ち姿と基本的に一致するか又は合致する姿勢を採ることができ、被検査者の立ち姿のエラーが発生する確率を低下させ、立ち姿の調整時間Txを大幅に短縮することができる。
【0039】
第1表示装置は、被検査者が検査通路101に入る前に見える任意の適切な位置に設置されてもよい。図示の実施例では、第1表示装置120は、ミリ波人体セキュリティーチェック装置100の頂部に設置され、検査通路101の入口の上方に位置し、検査通路に入る被検査者に向ける。又は、第1表示装置は、セキュリティーチェックゲートの側枠に設置されてもよい。いくつかの例において、被検査者の通行方向における、ミリ波人体セキュリティーチェック装置の2つの対向頂部にそれぞれ第1表示装置が設置され、被検査者は、セキュリティーチェック装置のいずれかの側からセキュリティーチェック通路に入る前に第1表示装置に表示された所定の姿勢に関する情報を見えるので、同一のミリ波人体セキュリティーチェック装置は、順方向、逆方向の検査及び通行を実現することができ、セキュリティーチェック装置の配置及び操作の柔軟性を向上させ、セキュリティーチェックの効率を向上させることができる。
【0040】
第1表示装置は、例えば、所定の姿勢に係るビデオ又は動画を再生し、所定の姿勢に係る提示文字又は所定の姿勢に係るピクチャを表示するなどの様々な方式で所定の姿勢に関する情報を被検査者へ表示してもよく、例えば、第1表示装置の異なる領域121、122、123にそれらの情報をそれぞれ表示することができる。第1表示装置は、例えばLCD又はLEDディスプレイなどのディスプレイを含んでもよいし、様々なグラフィック、画像指示器・インジケータ等を含んでもよい。
【0041】
図1に示すように、セキュリティーチェックシステムは、第2表示装置130をさらに含んでもよく、第2表示装置130は、検査通路内に設置されることができ、例えば走査面110に位置し、所定の立ち位置に立つ被検査者へ、所定の姿勢に関する情報、例えば所定の姿勢に係る人形画像を表示することにより、被検査者は、所定の姿勢に関する要求をさらに明確にすることができる。いくつかの例において、例えばカメラなどの可視光撮像装置(図示せず)を設置してもよく、それは、1つの立ち姿で検査通路101内の所定の立ち位置に立つ被検査者の可視光画像を取得するために用いられ、該可視光画像は、第2表示装置130に表示されるか又は投影されてもよく、それによって、被検査者は、該可視光画像と所定の姿勢に係る人形画像との比較に基づいてその立ち姿を調整して、所定の姿勢に合致する立ち姿を迅速に採り、立ち姿の調整時間をさらに短縮することができる。また、取得された可視光画像は、ワークステーション又はオペレータ端末に伝送されてもよく、それによって、オペレータは、該可視光画像、又は、該可視光画像と再構成されたミリ波走査画像の両方に基づいて、被検査者の立ち姿が走査検査の要求を満たすか否かを確認する。
【0042】
いくつかの実施例において、ミリ波人体セキュリティーチェックシステムは、例えばスピーカなどのオーディオ装置300をさらに含んでもよく、それは、音声提示の方式で被検査者が第1表示装置120に表示された情報を視聴するように案内し、及び/又は、被検査者が所定の姿勢と基本的に合致する立ち姿で検査通路内の所定の立ち位置に立つように案内し、それによって、立ち姿の調整時間をさらに短縮することができる。また、オーディオ装置300は、ワークステーション又はオペレータ端末と通信し、必要に応じてオーディオ装置300を介して被検査者へ提示情報を再生することができ、例えば、被検査者が第1表示装置120に表示された情報を視聴するように案内し、被検査者が早く検査通路に入るように提示し、被検査者が検査通路内に適切な立ち姿を採るように案内し、走査の注意事項等を提示し、走査の完了を通知し、被検査者が検査通路から早期に離れるように案内し、必要な場合に被検査者が人工検査ステーション400に後続のさらなる検査を受けるように案内し、等により、被検査者が安全検査を受ける時にかかる時間をできるだけ短縮する。
【0043】
いくつかの実施例において、図1に示すように、ミリ波人体セキュリティーチェックシステムは、トリガ装置140をさらに含んでもよく、トリガ装置140は、例えばセキュリティーチェックゲートの入口又は検査通路101の入口に設置され、被検査者が検査通路に入る時にトリガ装置がトリガされるか又はアクティベーションされて、オーディオ装置300に音声提示を再生するように促進し、及び/又は、第2表示装置130に所定の姿勢に関する情報を表示するように促進し、被検査者の立ち姿を指導し、例えば、被検査者が第2表示装置130に表示された情報を視聴するように案内することにより、被検査者は、所定の姿勢に基本的に合致する立ち姿で検査通路内の所定の立ち位置に立ち、それによって、立ち姿の調整時間をさらに短縮することができる。例として、トリガ装置は、赤外線放射スイッチ又は類似の形式を採用することができる。
【0044】
被検査者の立ち姿が誤り又は所定の姿勢に合致しなければ、セキュリティーチェックシステムは、(例えば上記表示装置及び/又はオーディオ装置を介して)被検査者が立ち姿を調整するように案内し、改めてミリ波走査、画像の再構成及び立ち姿の確認を行う。本開示の実施例によれば、セキュリティーチェックシステムは、被検査者の立ち姿が所定の姿勢を満たすと確定した後、例えば音声提示及び視覚提示のうちの少なくとも1つで、被検査者が検査通路から離れるように案内し、ワークステーションは、被検査者が検査通路から離れると同時に、再構成されたミリ波走査画像を解析して被検査者が容疑物品を持っているか否かを識別し、即ち、検査対象者が検査通路から離れること、及び、ワークステーションが画像解析を行って容疑物品を識別する操作は、同時に行われ、被検査者は、検査通路内に容疑物品の識別時間を待つ必要がなく、被検査者の検査通路内での滞留時間をさらに減少させ、次の被検査者は、検査通路に入って立ち姿を採ることができ、セキュリティーチェックシステム全体の通行効率は、向上されることになる。
【0045】
「画像の再構成」とは、取得されたバイナリ走査データを可視化画像に再構成することを意味する。いくつかの場合において、セキュリティーチェック装置の両側の走査ユニットにより被検査者の正面及び背面の走査データをそれぞれ取得する場合、正面及び背面の走査データに対応する被検査者の高さが一致しない可能性がある。正面及び背面の走査データに対してレジストレーションを行ってから、次の解析を行うことができる。本開示のいくつかの実施例において、GPU(画像プロセッサ)を含むグラフィックスカードを用いて走査画像の再構成及び/又は画像解析を加速する以外に、画像の再構成をさらに加速するように以下のデータレジストレーション方法が提供される。
【0046】
例示的には、ワークステーションで、上記走査データに対してレジストレーション処理を行う。例えば、図6に示すように、ワークステーション又はそのGPUにより以下の操作を行うことができる。
【0047】
まず、被検査者の正面の第1走査データセットの行方向に沿って第1走査データセットを重畳して第1重畳データY1の列を取得し、被検査者の背面の第2走査データセットの行方向に沿って第2走査データセットを重畳して第2重畳データY2の列を取得する。例えば、このような重畳は、各走査データセットのうち同一行のデータを重畳し、形成された重畳データの列が一次元データ列であることができる。
【0048】
次に、下記式に従って、取得された第1重畳データY1と第2重畳データY2に対して相互相関演算を行い、例えば畳み込み演算を行う。
【0049】
【数3】
【0050】
このような簡単な実行可能なレジストレーション方法を採用することにより、被検査者の正面及び背面の走査データの迅速なレジストレーションを実現し、画像の再構成の時間をさらに短縮することができる。
【0051】
本開示の実施例は、人体セキュリティーチェック方法をさらに提供しており、それは、ミリ波人体走査に基づいて、例えば上記人体セキュリティーチェックシステムにより実現することができ、被検査者の検査通路での滞留時間を減少させ、通行効率を向上させることができる。図4及び図5は、本開示の例示的な実施例に係るミリ波人体セキュリティーチェック方法の流れをそれぞれ示している。該方法は、主に以下のステップを含む。
【0052】
S10、被検査者がミリ波人体セキュリティーチェック装置により限定された検査通路に入る前に、例えば第1表示装置により、ミリ波人体セキュリティーチェック装置による走査検査を受ける時に希望される所定の姿勢に関する情報を被検査者へ表示する。
【0053】
S11、被検査者が検査通路に入り所定の姿勢と基本的に合致する立ち姿で検査通路内の所定の立ち位置に立つように案内する。
【0054】
S12、ミリ波人体セキュリティーチェック装置により被検査者に対して走査検査を行うことにより、被検査者のミリ波走査データを取得する、
S13、ワークステーションにより、前記ミリ波走査データに基づいて様々な操作を行い、例えば、被検査者のミリ波走査画像を再構成し、被検査者の走査を受ける時の立ち姿が所定の姿勢に合致するか否かを確認し、及び、被検査者が容疑物品を持っているか否かを識別する。これらの操作は、例えばワークステーションでのグラフィックプロセッサ(GPU)により加速して実現することができる。
【0055】
画像の再構成の時間をさらに短縮するために、図6に示すように、ワークステーション又はそのGPUにより下記したデータレジストレーション操作を行うことができる。
【0056】
被検査者の正面の第1走査データセットの行方向に沿って第1走査データセットを重畳して第1重畳データY1の列を取得し、被検査者の背面の第2走査データセットの行方向に沿って第2走査データセットを重畳して第2重畳データY2の列を取得する。
【0057】
以下の式で、取得された第1重畳データY1及び第2重畳データY2に対して相互相関演算を行い、例えば畳み込み演算を行う。
【0058】
【数4】
【0059】
被検査者が禁制物品を持っているという疑いを確定した場合に、操作者に結果を表示することができ、必要に応じて警報を発することができ、それによって、禁制物品を持っている疑いのある被検査者がさらなる検査を受けるように案内し、例えば、人工検査ステーションで人工検査を受ける。被検査者が禁制物品を持っていないと確定した場合に、被検査者の通行を許可することができ、そして、次の被検査者の安全検査を継続することができる。
【0060】
第1表示装置は、ミリ波人体セキュリティーチェック装置に設置されてもよく、その頂部に設置され、検査通路の入口の上方に位置することにより、被検査者が検査通路に入る前に第1表示装置に表示された情報を見える。第1表示装置は、所定の姿勢に係るビデオ、所定の姿勢に係る提示文字、所定の姿勢に係るピクチャ等を被検査者へ表示することができる。それにより、被検査者は、並んで検査を待ち又は他の被検査者が検査を受けている時に、第1表示装置に表示された情報を視聴し、正確な走査立ち姿を予め理解し学習することができ、検査通路に入って所定の立ち位置に立つと、直ちに所定の立ち姿と基本的に一致するか又は合致する姿勢を採ることができ、被検査者の立ち姿のエラーが発生する確率を低下させ、立ち姿の調整時間を大幅に短縮することができる。
【0061】
さらに、被検査者が検査通路内に位置する場合に、第2表示装置により所定の姿勢に関する情報を所定の立ち位置に立つ被検査者へ表示することができる。例えば、第2表示装置により所定の姿勢に係る人形画像を表示することができ、また、所定の立ち位置に立った被検査者の可視光画像を取得し、第2表示装置に該可視光画像を表示して、被検査者が該可視光画像と所定の姿勢に係る人形画像との比較に基づいてその立ち姿を調整するように案内することができる。いくつかの例において、補助として、さらに音声提示の方式で被検査者が第1表示装置に表示された情報を視聴するように案内し、及び/又は、被検査者が所定の姿勢と基本的に合致する立ち姿で所定の立ち位置に立つように案内することができる。
【0062】
以上のように、再構成されたミリ波走査画像、単独で取得された被検査者の立ち姿の可視光画像、又は両者に基づいて、被検査者の立ち姿が所定の姿勢を満たすか否かを確定することができる。本開示のいくつかの実施例において、被検査者の立ち姿が所定の姿勢を満たすと確定した後、被検査者が検査通路から離れるように案内する。被検査者が検査通路から離れると同時に、再構成されたミリ波走査画像を解析して被検査者が容疑物品を持っているか否かを識別するので、被検査者は、検査通路内に容疑物品の識別時間を待つ必要がなく、被検査者の検査通路内での滞留時間を減少させ、セキュリティーチェックシステム全体の通行効率を向上させることができる。
【0063】
本開示の実施例を示して説明したが、当業者にとって、本開示の原理及び精神から逸脱することなくこれらの実施例を変更することができ、本開示の範囲は添付の請求項及びその均等物によって限定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6