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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-01
(45)【発行日】2024-08-09
(54)【発明の名称】燃料タンク
(51)【国際特許分類】
   B60K 15/03 20060101AFI20240802BHJP
   F02M 37/00 20060101ALI20240802BHJP
【FI】
B60K15/03 B
F02M37/00 301Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023538404
(86)(22)【出願日】2022-07-11
(86)【国際出願番号】 JP2022027272
(87)【国際公開番号】W WO2023008162
(87)【国際公開日】2023-02-02
【審査請求日】2023-11-10
(31)【優先権主張番号】P 2021121190
(32)【優先日】2021-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390023917
【氏名又は名称】八千代工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】中屋 和成
(72)【発明者】
【氏名】森▲崎▼ 正樹
(72)【発明者】
【氏名】諸岡 和義
【審査官】高瀬 智史
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/225413(WO,A1)
【文献】韓国登録特許第10-2187051(KR,B1)
【文献】特開2013-060096(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03284625(EP,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1512932(KR,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0073658(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 15/03
F02M 37/00
B29C 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部、首部及び肩部を有する内蔵部品を有し、タンク本体成形時にパリソンを前記頭部、前記首部及び前記肩部に賦形することで前記内蔵部品をタンク本体に固定させた燃料タンクであって、
前記内蔵部品は、柱状の胴部の両端に前記頭部、前記首部及び前記肩部がそれぞれ形成されるとともに、前記肩部は、前記頭部及び前記首部よりも大きく形成されており、
成形時に前記首部に前記パリソンを回り込ませることで、前記タンク本体の対向する内面に前記頭部及び前記首部が埋設されており、
前記頭部が、回り止め形状を呈し、
前記回り止め形状は、前記頭部を平面視した場合に、一方向の外径と、当該一方向に直交する他方向の外径に径差を設けることで、前記内蔵部品が前記タンク本体に賦形された後、前記内蔵部品が前記タンク本体に対して回転しないように形成されていることを特徴とする燃料タンク。
【請求項2】
前記回り止め形状は、楕円形状又はオーバル形状であることを特徴とする請求項1に記載の燃料タンク。
【請求項3】
頭部、首部及び肩部を有する内蔵部品を有し、タンク本体成形時にパリソンを前記頭部、前記首部及び前記肩部に賦形することで前記内蔵部品をタンク本体に固定させた燃料タンクであって、
前記内蔵部品は、柱状の胴部の両端に前記頭部、前記首部及び前記肩部がそれぞれ形成されるとともに、前記肩部は、前記頭部及び前記首部よりも大きく形成されており、
成形時に前記首部に前記パリソンを回り込ませることで、前記タンク本体の対向する内面に前記頭部及び前記首部が埋設されており、
前記頭部が、回り止め形状を呈し、
前記頭部、前記首部及び前記肩部は相似となっており、
前記回り止め形状は、そら豆形状であることを特徴とする燃料タンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料タンクに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の燃料タンク等のブロー成形品にバルブ等の構成部品を内蔵部品として取り付ける方法が知られている。例えば特許文献1には、頭部、首部および肩部を備えた内蔵部品を内蔵した燃料タンクの製造方法が記載されている。この燃料タンクの製造方法では、タンク本体成型時にパリソンの外側から空気を送り込むことによってパリソンを首部に沿って賦形させ、内蔵部品をタンク本体に固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2018/225413号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に係る発明では、頭部が円形であるため、パリソン賦形後に内蔵部品が頭部の周方向に沿って回転しやすいという問題がある。パリソン賦形後に内蔵部品が回転すると、タンク本体内にガタツキが生じ、強度の低下を招くおそれがある。
【0005】
本発明は、このような観点から創案されたものであって、パリソン賦形後に内蔵部品が回転し難い燃料タンクを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、頭部、首部及び肩部を有する内蔵部品を有し、タンク本体成形時にパリソンを前記頭部、前記首部及び前記肩部に賦形することで前記内蔵部品をタンク本体に固定させた燃料タンクであって、前記内蔵部品は、柱状の胴部の両端に前記頭部、前記首部及び前記肩部がそれぞれ形成されるとともに、前記肩部は、前記頭部及び前記首部よりも大きく形成されており、成形時に前記首部に前記パリソンを回り込ませることで、前記タンク本体の対向する内面に前記頭部及び前記首部が埋設されており、前記頭部が、回り止め形状を呈し、前記回り止め形状は、前記頭部を平面視した場合に、一方向の外径と、当該一方向に直交する他方向の外径に径差を設けることで、前記内蔵部品が前記タンク本体に賦形された後、前記内蔵部品が前記タンク本体に対して回転しないように形成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、内蔵部品の頭部が回り止め形状を有するため、パリソン賦形後に内蔵部品が回転するのを抑制することができる。
【0008】
また、頭部、首部及び肩部を有する内蔵部品を有し、タンク本体成形時にパリソンを前記頭部、前記首部及び前記肩部に賦形することで前記内蔵部品をタンク本体に固定させた燃料タンクであって、前記内蔵部品は、柱状の胴部の両端に前記頭部、前記首部及び前記肩部がそれぞれ形成されるとともに、前記肩部は、前記頭部及び前記首部よりも大きく形成されており、成形時に前記首部に前記パリソンを回り込ませることで、前記タンク本体の対向する内面に前記頭部及び前記首部が埋設されており、前記頭部が、回り止め形状を呈し、前記頭部、前記首部及び前記肩部は相似となっており、前記回り止め形状は、そら豆形状であることを特徴とする
【0009】
本発明によれば、簡易かつ好適に内蔵部品の回転を抑制することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、パリソン賦形後に内蔵部品が回転し難い燃料タンクを提供することを課題とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第一実施形態に係る燃料タンクの概略断面図である。
図2】本発明の第一実施形態に係る内蔵部品の外観斜視図である。
図3】本発明の第一実施形態に係る内蔵部品の正面図である。
図4】本発明の第一実施形態に係る内蔵部品の平面図である。
図5】燃料タンク製造装置の概略縦断面図である。
図6】成形時において内蔵部品の端部周りにおけるパリソンの転写状況を説明するための図である。
図7】成形時において内蔵部品の端部周りにおけるパリソンの転写状況を説明するための図である。
図8】燃料タンク製造装置における燃料タンクの製造方法を説明するための図であり、(a)はパリソンの射出工程を示し、(b)は内蔵部品の投入工程を示し、(c)は内蔵部品の仮セット工程を示す。
図9】燃料タンク製造装置における燃料タンクの製造方法を説明するための図であり、(a)は成形型の閉鎖工程を示し、(b)はブロー成形工程を示し、(c)はパリソンの冷却工程を示し、(d)は成形型の開放工程を示す。
図10】本発明の第二実施形態に係る内蔵部品の外観斜視図である。
図11】本発明の第二実施形態に係る内蔵部品の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第一実施形態]
≪実施形態に係る燃料タンク≫
図1に示す燃料タンクTは、自動車やバイク並びに船舶等の移動手段に搭載されるものであり、タンク本体Taと、内蔵部品6とで主に構成されている。図1に示すように、本実施形態では内蔵部品6として燃料タンクTの強度を保つための柱状の補強部材を例示するが、内蔵部品6はバルブや波消し板などであってもよい。以下の説明における「上下」、「左右」は図1の矢印に従う。当該方向は、説明の便宜上定めるものであり、本発明を限定するものではない。なお、図1の左右方向は、燃料タンクTを製造する一対の成形型の開閉方向に対応している。
【0013】
タンク本体Taは、ガソリン等の燃料を貯溜する樹脂製の中空容器であり、例えばバリア層を含んだ複数層構造になっている。タンク本体Taは、例えば、ポリエチレン、高密度ポリエチレン等の熱可塑性樹脂を主な材料としている。タンク本体Taは、例えばブロー成形等によって成形される。
【0014】
図2ないし図4を参照して、内蔵部品6の構成について説明する。タンク本体Taの前駆体であるパリソンS(図5参照)は、HDPE(高密度ポリエチレン)、EVOH(エチレン-ビニルアルコール共重合体)及び接着層などにより多層断面構造になっている。
【0015】
図2に示すように、内蔵部品6は、円柱状の胴部6aと、胴部6aの左右両端に形成される肩部6b,6bと、肩部6b,6bの左右外側に形成される首部6c,6cと、頭部6d,6dとを備えて構成されている。内蔵部品6の構造は、左右(紙面上下)が鏡面対称になっている。そのため、ここでは、明示しない限り、片側だけ説明する。また、内蔵部品6の説明において、胴部6a側に臨む面を「裏面」と称し、「裏面」の反対側の面を「表面」と称する。
【0016】
図2に示す胴部6aは、内蔵部品6の本体になる部位である。胴部6aには複数の肉抜き穴が形成されていてもよい。この肉抜き穴(図示せず)は、軽量化及び成形性の向上を図ると共に燃料タンクT(図1参照)の容量を大きくするために形成される。
【0017】
図2に示す肩部6bは、図5に示す第1成形型3の凹部3dまたは第2成形型4の凹部4dを覆う部位である。肩部6bの形状やサイズは、凹部3d,4dを覆うことができればよく、特に限定されるものではない。ここでの肩部6bは、薄板の円板状を呈し、図3に示すように肩部6bの外径rbは胴部6aの外径raよりも大きくなっている。
【0018】
図2に示す首部6cは、肩部6bと頭部6dとを連結する部位であって、図3に示すように肩部6b及び頭部6dよりも小径になっている。ここでの首部6cは、肩部6bの表面6fから立設され、円柱状を呈する。肩部6bと首部6cとで構成される隅部および頭部6dと首部6cとで構成される隅部には、丸み(アール)が形成されている。
【0019】
図2に示す頭部6dは、肩部6bよりも厚い厚板の円板状を呈する。なお、ここでの肩部6bおよび頭部6dの厚さの関係はあくまで例示であり、頭部6dに対して肩部6bが厚く形成されていてもよい。図3に示すように、頭部6dの外径rd1は、首部6cの外径rcよりも大きく、肩部6bの外径rbよりも小さくなっている。このような形状により、肩部6bと頭部6dとの間には、首部6cを底部とする隙間6jが形成される。隙間6jは、成形時においてパリソンSが入り込む部位である。首部6cに回り込ませたパリソンSに相当する部分を「パリソン相当部W」と呼ぶことにする(図7参照)。
【0020】
頭部6dの形状は、内蔵部品6が頭部6dの周方向に沿って回転するのを止める回り止め形状となっている。回り止め形状は、図4に示すように、本実施形態では楕円形状又は略楕円形状を呈する。頭部6dの上下方向の外径rd1は、頭部6dの前後方向の外径rd2よりも大きくなっている。
回り止め形状とは、内蔵部品6がタンク本体Taに賦形された後、内蔵部品6がタンク本体Taに対して回転しない形状であることを意味する。本実施形態では、頭部6dの外径rd1及び頭部6dの外径rd2に径差が生じるように構成することで、内蔵部品6の回転を抑制している。回り止め形状は、例えば、オーバル形状であってもよい。オーバル形状とは、例えば、長丸形状、円形を扁平に変形させた形状や、四隅が丸まった長方形等が含まれる。
【0021】
≪実施形態に係る燃料タンク製造方法≫
図5に示す燃料タンク製造装置1は、円筒状のパリソンSをブロー成形して内蔵部品6を有する燃料タンクT(図1参照)を製造する装置である。なお、燃料タンクTは、シート状のパリソン(図示せず)を成形して製造することもできる。
【0022】
図5に示すように、燃料タンク製造装置1は、ダイ2と、一対をなす第1成形型3および第2成形型4と、第1成形型3および第2成形型4の間を昇降する昇降機5と、を主に備えている。
【0023】
ダイ2は、第1成形型3および第2成形型4の上部に配置され、第1成形型3および第2成形型4にパリソンSを供給する供給手段である。パリソンSは、HDPE(高密度ポリエチレン)、EVOH(エチレン-ビニルアルコール共重合体)及び接着層などにより多層断面構造になっており、燃料タンクT(図1参照)を構成するタンク本体Taの前駆体である。
【0024】
図5に示す第1成形型3および第2成形型4は、燃料タンクT(図1参照)を型締め成形する成形手段である。第1成形型3および第2成形型4は向かい合って配置されており、対向面には凹状の成形部3a,4aが形成されている。第1成形型3および第2成形型4は左右方向に移動することで開閉可能であり、第1成形型3および第2成形型4を開いた状態(図7に示す状態)でパリソンSが供給される。また、第1成形型3および第2成形型4は、第1成形型3および第2成形型4内に空気を送り込むための図示しないブローピンを備えており、図示しない第1正圧付与手段によって第1成形型3および第2成形型4内の空気圧(ブロー圧)は適切に調整される。第1正圧付与手段によって、成形部3a,4aにパリソンSが転写される。
【0025】
第1成形型3は、分離するように構成されており、本体部3bと、本体部3bから分離可能な分離部3cとを備えている。同様に、第2成形型4は、分離するように構成されており、本体部4bと、本体部4bから分離可能な分離部4cとを備えている。分離部3c,4cには内蔵部品6の両端部分の形状に対応した凹部3d,4dが形成されており、凹部3d,4dは内蔵部品6の一部を収納する。ここでの凹部3d,4dは、円柱状を呈する。また、凹部3d,4dの底部3f,4fには、凹部3d,4d内に空気を送り込むための複数の空気孔3g,4gがそれぞれ形成されており、図示しない第2正圧付与手段によって凹部3d,4d内の空気圧(ブロー圧)は適正に調整される。
【0026】
昇降機5は、内蔵部品6を取付け位置まで移動させる移動手段である。ここでの取付け位置は、円筒状のパリソンSの内側であって、分離部3c,4cの間である。
【0027】
次に、燃料タンク製造装置1の動作について説明する。燃料タンク製造装置1による燃料タンクT(図1参照)の製造方法の全工程を説明する前に、内蔵部品6の端部周りの転写状況について説明する。
【0028】
<内蔵部品の端部周りの転写状況>
図6および図7を参照しつつ(適宜、図1ないし図4参照)、成形時において内蔵部品6の端部周りにおけるパリソンSの転写状況について説明する。なお、ここでは第1成形型3について説明するが、第2成形型4についても同様である。図6および図7に示す内蔵部品6は、図2のA-A位置で切断した状態を示している。
燃料タンク製造工程において、図6に示すように、第1成形型3を矢印方向に移動させて型締めすることにより、パリソンSと共に内蔵部品6の首部6cおよび頭部6dが凹部3d内に押し込まれる。
【0029】
図7に示すように、肩部6bがパリソンSに接触して凹部3dの開口部を覆い、凹部3dに首部6cおよび頭部6dが完全に押し込まれたら(収納されたら)、第1成形型3内に空気を送り込むことでパリソンS内に正圧P1(第1の正圧)を発生させ、第1成形型3にパリソンSを転写させる。また、凹部3dに形成される空気孔3gから凹部3d内に空気を送り込むことで凹部3d内に正圧P2(第2の正圧)を発生させ、肩部6bと頭部6dとの間の隙間6jにパリソンSを入り込ませて転写させる。隙間6j内の空気は、首部6cに形成される連通部6mから肉抜き部6kを介して胴部6a側へ排出される。
【0030】
次に、燃料タンク製造装置1の全体の工程について説明する。
<パリソンの射出工程>
図8(a)に示すように、ダイ2は、開いた状態の第1成形型3および第2成形型4の間に円筒状のパリソンSを射出する。
【0031】
<内蔵部品の投入工程>
次に、図8(b)に示すように、昇降機5は内蔵部品6を保持した状態で上昇し、内蔵部品6を取付け位置まで移動させる。ここで取付け位置は、パリソンSの内側であって、分離部3c,4cの間である。
【0032】
<内蔵部品の仮セット工程>
次に、図8(c)に示すように、第1成形型3および第2成形型4の分離部3c,4cは、互いに対向する方向に移動し、内蔵部品6を両端側から挟み込むように保持する。そして、昇降機5は内蔵部品6を離した状態で降下し、初期位置まで退避する。昇降機5の初期位置は、第1成形型3および第2成形型4の本体部3b,4bを閉じた場合に干渉しない位置であればよい。
【0033】
<成形型の閉鎖工程>
次に、図9(a)に示すように、第1成形型3および第2成形型4の本体部3b,4bは、互いに対向する方向に移動し、第1成形型3および第2成形型4が型締めされる。
【0034】
<ブロー成形工程>
次に、図9(b)に示すように、図示しない第1正圧付与手段は、第1成形型3および第2成形型4内のパリソンSの内側から正圧P1(第1の正圧)を付与する。これにより、パリソンSは、第1成形型3および第2成形型4の成形部3a,4aに押し付けられて転写される。また、図示しない第2正圧付与手段は、第1成形型3および第2成形型4の凹部3d,4d(図7参照)内のパリソンSの外側から正圧P2(第2の正圧)を付与する。これにより、パリソンSは、内蔵部品6の首部6cに沿って賦形される(図7参照)。なお、正圧P1、正圧P2を付与する方法や順番は特に限定されるものではない。正圧P2は正圧P1よりも高く設定されているのが好ましい。
【0035】
<パリソンの冷却工程>
次に、図9(c)に示すように、図示しない冷却手段を用いて第1成形型3および第2成形型4内で冷却空気Cを循環させる。これにより、パリソンSは冷やされて硬化する。
【0036】
<成形型の開放工程>
次に、図9(d)に示すように、第1成形型3および第2成形型4を開いて成形品Uを取り出す。そして、両端に形成される不要なバリを切断することで燃料タンクT(図1参照)が完成する。
【0037】
以上説明した実施形態によれば、タンク本体Taに取り付けられる内蔵部品6は、頭部6d、首部6c、肩部6bを有し、頭部6dは内蔵部品6の回転を止める回り止め形状となっている。そのため、頭部6dが円形である場合に比べて、内蔵部品6を回転し難くすることができ、パリソン賦形後に内蔵部品6が回転するのを抑制することができる。
【0038】
また、回り止め形状は、頭部6dが楕円形状となっているため、設計、製造が容易であり、簡易かつ好適に内蔵部品6の回転を抑制することができる。なお、本実施形態では、肩部6b及び首部6cを円形状、頭部6dを楕円形状又は略楕円形状としたが、肩部6b、首部6c及び頭部6dをいずれも楕円形状又は略楕円形状とし、これら三つが相似となるようにしてもよい。これにより内蔵部品6の成形性を向上させることができる。
【0039】
[第二実施形態]
次に本発明の第二実施形態に係る内蔵部品60について説明する。図10に示すように、内蔵部品60は、円柱状の胴部60aと、胴部60aの左右両端に形成される肩部60b,60bと、肩部60b,60bの左右外側に形成される首部60c,60cと、頭部60d,60dとを備えて構成されている。内蔵部品60の構造は、左右(紙面上下)が鏡面対称になっている。
【0040】
第二実施形態では、回り止め形状は、頭部60dがそら豆形状となっている。また、頭部60dの形状に対応して、首部60c及び肩部60bもそら豆形状となり、これら三つが相似となっている。頭部60dは、図11に示すように、円弧状の第一対向辺60pと、円弧状の第二対向辺60qと、第一対向辺60p及び第二対向辺60qの一端側同士を連結する連結片60rと、第一対向辺60p及び第二対向辺60qの他端側同士を連結する連結片60rと、を備えている。第一対向辺60p及び第二対向辺60qは、同一方向(後側)に凸となるように形成されている。連結片60r,60rは互いに離間する方向に凸となるように形成されている。
【0041】
図11に示すように、頭部60d及び首部60cには肉抜き部60kが複数形成されている。肉抜き部60kは、頭部60dの端面に開口しており、頭部60dから首部60cにわたって中空となっている。第二実施形態のように、頭部60dの回り止め形状を、そら豆形状としてもよい。第二実施形態の他の構成及び効果は、第一実施形態と同じであるため説明を省略する。
【0042】
以上発明の実施形態について説明したが、本発明の趣旨に反しない範囲において適宜設計変更が可能である。パリソンの外側からの正圧(ブロー成形)によって、パリソンを首部に回り込ませて内蔵部品を固定させたが、他の成形方法で成形してもよい。
【符号の説明】
【0043】
6,60 内蔵部品
6a 胴部
6b 肩部
6c 首部
6d 頭部
S パリソン
T 燃料タンク
Ta タンク本体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11