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特許7531724予測的な加熱水供給のための方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-01
(45)【発行日】2024-08-09
(54)【発明の名称】予測的な加熱水供給のための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   F24H 4/02 20220101AFI20240802BHJP
   F24H 1/18 20220101ALI20240802BHJP
   F24H 15/215 20220101ALI20240802BHJP
   F24H 15/238 20220101ALI20240802BHJP
   F24H 15/269 20220101ALI20240802BHJP
   F24H 15/31 20220101ALI20240802BHJP
   F24H 15/375 20220101ALI20240802BHJP
   F24H 15/414 20220101ALI20240802BHJP
【FI】
F24H4/02 C
F24H1/18 G
F24H15/215
F24H15/238
F24H15/269
F24H15/31
F24H15/375
F24H15/414
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2023547369
(86)(22)【出願日】2022-02-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-01
(86)【国際出願番号】 IB2022051074
(87)【国際公開番号】W WO2022168042
(87)【国際公開日】2022-08-11
【審査請求日】2024-01-18
(31)【優先権主張番号】2101678.7
(32)【優先日】2021-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2109593.0
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2109594.8
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2109596.3
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2109597.1
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2109598.9
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2109599.7
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2109600.3
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2111082.0
(32)【優先日】2021-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523293529
【氏名又は名称】オクトパス エナジー ヒーティング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】OCTOPUS ENERGY HEATING LIMITED
【住所又は居所原語表記】UK House, 164-182 Oxford Street, London, W1D 1NN, UNITED KINGDOM
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】コノワルチク、 ピーター
【審査官】豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-132461(JP,A)
【文献】特開2020-067196(JP,A)
【文献】特開2015-010773(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0211862(US,A1)
【文献】国際公開第2016/189416(WO,A1)
【文献】独国特許出願公開第102017129342(DE,A1)
【文献】国際公開第2011/121299(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00 - 15/493
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物に設置された水供給システムを予測的に準備するコンピュータ実施方法であって、前記水供給システムは、熱エネルギーを建物外部から建物内部の熱エネルギー貯蔵媒体に伝達するように構成されたヒートポンプと、前記ヒートポンプの動作を制御するように構成された制御モジュールとを備え、前記制御モジュールは、冷水使用と後続の加熱水需要との間の相関を決定するように事前に訓練された第1の機械学習アルゴリズムMLAを前記制御モジュール上で実行し、前記水供給システムは、前記熱エネルギー貯蔵媒体による加熱水を1つ以上の水出口で前記建物の占有者に供給するように構成され、前記方法は、前記制御モジュールによって実行され、
第1の水出口での冷水使用を示す第1のセンサデータを受信することと、
前記第1のセンサデータを前記第1のMLAに入力することによって前記第1の水出口での冷水使用が第2の水出口での後続の加熱水需要と相関があるか否かを判定することと、
前記第1の水出口での冷水使用が第2の水出口での後続の加熱水需要と相関があると判定すると、加熱水を供給するために前記水供給システムを準備することと
を含む方法。
【請求項2】
前記第1の水出口での冷水使用が前記第2の水出口での後続の加熱水需要と相関があるか否かを判定することは、
前記第1の水出口での冷水使用に続く後続の加熱水使用の確率を決定することと、
前記確率を所定の閾値と比較することと
を含み、
前記水供給システムは前記確率が前記所定の閾値を超える場合に準備される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のセンサデータは、時刻、曜日、日付、前記第1の水出口での水の流量及び/又は圧力、前記第1の水出口が開けられてからの経過時間、水道水温度、前記第1の水出口での水温、エネルギー消費量及び/又は消費速度、使用者の現在位置、又はそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記水供給システムを準備することは、前記ヒートポンプを動作させて前記熱エネルギー貯蔵媒体に熱エネルギーを伝達することによって前記熱エネルギー貯蔵媒体をプリチャージすることを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ヒートポンプは、前記熱エネルギー貯蔵媒体が第1の温度に達するまで前記熱エネルギー貯蔵媒体に熱エネルギーを伝達するように動作する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の温度は、前記占有者によって設定された事前設定の動作温度よりも高い、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の温度は、ユーティリティ使用パターンから決定される加熱水に対する予想需要に基づいて決定される、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記確率は、前記水供給システムから得られる第2のセンサデータに基づいて、前記水供給システム用の第2のMLAによって確立されたユーティリティ使用パターンに基づいて決定される、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記ユーティリティ使用パターンは、時刻、曜日及び/又は日付に関する予想される冷水使用、時刻、曜日及び/又は日付に関する予想される加熱水使用、時刻、曜日及び/又は日付に関する予想されるエネルギー使用、又はそれらの組み合わせを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の温度は、前記水供給システムから得られる第2のセンサデータに基づいて、前記水供給システム用の第3のMLAによって決定される前記建物の予想占有率に基づいて決定される、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記第2のセンサデータは、時刻、曜日、日付、前記1つ以上の水出口での水の流量及び/又は圧力、水出口が開けられてからの経過時間、水道水温度、前記1つ以上の水出口での水温、エネルギー消費量及び/又は消費速度、使用者の現在位置、又はそれらの組み合わせを含む、請求項8から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記所定の閾値は、訓練段階中に前記第1のMLAによって設定される、請求項に記載の方法。
【請求項13】
エネルギーコストを示す料金データを受信することと、前記料金データに基づいて前記所定の閾値を調節することとをさらに含む、請求項2又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の水出口での冷水使用が第2の水出口での後続の加熱水需要と相関がないと判定すると、引き続き前記1つ以上の水出口での水使用を監視することをさらに含む、請求項2から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
機械可読コードを含むコンピュータ可読媒体であって、前記機械可読コードは、プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに請求項1から14のいずれか一項に記載の方法を実行させる、コンピュータ可読媒体。
【請求項16】
水供給システムを制御するように構成された制御モジュールであって、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法を実行するように訓練された機械学習アルゴリズムを有するプロセッサを備える、制御モジュール。
【請求項17】
建物に設置された水供給システムに対する冷水使用と後続の加熱水需要との間の相関を決定するようにMLAを訓練する方法であって、前記水供給システムは、建物外部から建物内部の熱エネルギー貯蔵媒体に熱エネルギーを伝達するように構成されたヒートポンプと、前記ヒートポンプの動作を制御するように構成された制御モジュールとを備え、前記水供給システムは、前記熱エネルギー貯蔵媒体による加熱水を1つ以上の水出口で前記建物の占有者に供給するように構成され、前記方法は、
第1の水出口での冷水使用を示す第1のセンサデータを受信することと、
前記第1の水出口での冷水使用に続く第2の水出口での加熱水使用を示す第2のセンサデータを受信することと、
1つ以上の要因に基づいて前記第1のセンサデータと前記第2のセンサデータとの間の相関度を確立することと
を含み、
前記1つ以上の要因は、前記第1のセンサデータを受信してから前記第2のセンサデータを受信するまでの経過時間、前記第1の水出口に対する前記第2の水出口の位置、前記第1のセンサデータを受信した後に前記第2のセンサデータを受信する頻度、時刻、曜日、又はそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含む、方法。
【請求項18】
相関の閾値を決定することをさらに含み、前記閾値を超える相関度は、前記第1のセンサデータの受信に加熱水需要が続く可能性が高いことを示す、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記閾値は、前記建物の占有者に対して事前に確立されたユーティリティ使用パターンに基づいて決定される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記閾値は、前記建物の予想占有率に基づいて決定される、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
前記閾値は、ユーティリティ供給者から得られる料金データに基づいて決定される、請求項18、19又は20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概してユーティリティ管理に関する。特に、本開示は、使用者の温水使用習慣を変えるのに役立つように使用することができる方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
商業環境でも家庭環境でも、加熱水は一年中一日中必要である。言うまでもなく、加熱水の供給には浄水と熱源の両方が必要である。加熱水を供給するために、多くの場合集中型の水供給システムに加熱システムが提供され、例えば使用者が設定した所定の温度まで水を加熱し、使用される熱源は従来、1つ以上の電気発熱体又は天然ガスの燃焼である。一般的に、エネルギー(例えば、ガス又は電気)の需要が高い時間帯に、ユーティリティ供給者はピーク料金を導入し、ピーク料金は、部分的には顧客に供給するためにより多くのエネルギーを購入しなければならない追加コストをカバーし、部分的には不必要なエネルギー使用を抑制するために、エネルギー単価を上げる。その後、エネルギーの需要が低い時間帯に、ユーティリティ供給者はオフピーク料金を導入し、オフピーク料金は、顧客がピーク時間帯ではなくこれらのオフピーク時間帯のエネルギー使用に切り替えるようにインセンティブを与え、長期にわたって全体的によりバランスのとれたエネルギー消費を達成するために、エネルギー単価を下げる。しかしながら、このような戦略は、顧客が料金の変更を常に認識し、さらにエネルギー消費習慣を変えるための意識的な努力を行う場合にのみ有効である。
【0003】
ユーティリティとしての浄水が現在、大きく注目されている。浄水が不足するにつれて、浄水の保全と、水流を減らすための空気混入シャワー及び蛇口、動きを感知しないと水の流れを止めるモーションセンサを備えたシャワー及び蛇口などの水の消費を減らすシステム及びデバイスの開発について一般の人々を教育するために多くの努力が払われてきた。しかしながら、これらのシステム及びデバイスは1つの特定の用途に限定され、問題のある水の消費習慣への影響は限定的である。
【0004】
エネルギー消費による環境への影響に対する懸念が高まる中、近年、家庭用加熱水を供給する方法としてヒートポンプ技術の利用への関心が高まっている。ヒートポンプは、熱源から熱貯蔵器に熱エネルギーを伝達するデバイスである。ヒートポンプは、熱源から熱貯蔵器に熱エネルギーを伝達する仕事を成し遂げるために電気を必要とするが、一般に少なくとも3又は4の性能係数を有するため、電気抵抗ヒータ(電気発熱体)よりも効率的である。これは、同じ電気使用量の下で、電気抵抗ヒーターに比べて3又は4倍の熱量をヒートポンプによって使用者に提供できることを意味する。
【0005】
熱エネルギーを運ぶ熱伝達媒体は、冷媒として知られている。空気(例えば、外気、又は家の中の暑い部屋からの空気)又は地中源(例えば、地中ループ又は水で満たしたボアホール)からの熱エネルギーは、例えば熱交換器によって、含まれている冷媒に伝達される。エネルギーが高くなった冷媒は圧縮され、温度が大幅に上昇し、この高温になった冷媒は熱交換器によって熱エネルギーを加熱水ループに交換する。加熱水供給との関連で、ヒートポンプによって抽出された熱は熱エネルギー貯蔵部として機能する絶縁タンク内の水に伝達することができ、加熱水は必要に応じて後で使用することができる。加熱水は、必要に応じて、1つ以上の水出口、例えば、蛇口、シャワー、ラジエーターに回すことができる。しかしながら、ヒートポンプは一般に、水を所望の温度まで上昇させるのに電気抵抗ヒーターに比べてより多くの時間を必要とする。その理由の1つは、ヒートポンプは通常、起動が遅いためである。
【0006】
様々な家庭、職場及び商業空間が加熱水使用に対する様々な要件及び好みを有するため、ヒートポンプが電気ヒーターの実用的な代替手段となることを可能にするために、加熱水供給の新しい方法が望まれる。また、エネルギーと水を節約するために、エネルギーと浄水の消費を調節することが望ましい可能性がある。しかしながら、ユーティリティの消費を調節することは、単に使用の包括的な上限を定めることではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、加熱水の供給のための改善された方法及びシステムを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記を考慮して、本技術の一態様は、建物内に設置された水供給システムを予測的に準備するコンピュータ実施方法を提供し、水供給システムは、熱エネルギーを建物外部から建物内部の熱エネルギー貯蔵媒体に伝達するように構成されたヒートポンプと、ヒートポンプの動作を制御するように構成された制御モジュールとを備え、制御モジュールは、冷水使用と後続の加熱水需要との間の相関を決定するように事前に訓練された第1の機械学習アルゴリズムMLAを制御モジュール上で実行し、水供給システムは、熱エネルギー貯蔵媒体によって加熱された水を1つ以上の水出口で建物の占有者に供給するように構成され、方法は、制御モジュールによって実行され、第1の水出口での冷水使用を示す第1のセンサデータを受信することと、第1のセンサデータを第1のMLAに入力することによって第1の水出口での冷水使用が第2の水出口での後続の加熱水需要と相関があるか否かを判定することと、第1の水出口での冷水使用が後続の加熱水需要と相関があると判定すると、加熱水を供給するために水供給システムを準備することとを含む。
【0009】
本技術の実施形態によれば、1つの水出口での冷水使用を示すセンサデータは、後続の加熱水使用を見越して水供給システムを準備できるように、異なる水出口での後続の加熱水需要の確率を決定するために使用される。加熱水が必要になる前に水供給システムを準備することにより、加熱水供給の遅延を低減することができ、それにより、水が加熱されるのを占有者が待っている間、水出口が開いたままになる時間を短縮し、浄水の浪費を低減することができる。
【0010】
いくつかの実施形態では、第1の水出口での冷水使用が第2の水出口での後続の加熱水需要と相関があるか否かを判定することは、第1の水出口での冷水使用に続く後続の加熱水使用の確率を決定することと、確率を所定の閾値と比較することとを含むことができ、水供給システムは確率が所定の閾値を超える場合に準備される。
【0011】
第1のセンサデータは、冷水使用と後続の加熱水使用との間の関係を解釈するのに有用であり得る、水供給システムの動作に関連する任意の形態のセンサデータであり得る。いくつかの実施形態では、第1のセンサデータは、時刻、曜日、日付、第1の水出口での水の流量及び/又は圧力、第1の水出口が開けられてからの経過時間、水道水温度、第1の水出口での水温、エネルギー消費量及び/又は消費速度、使用者の現在位置、又はそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含むことができる。
【0012】
いくつかの実施形態では、確率は、水供給システムから得られる第2のセンサデータに基づいて水供給システム用の第2のMLAによって確立されたユーティリティ使用パターンに基づいて決定することができる。事前に確立されたユーティリティ使用パターンを使用することにより、水供給システムは、冷水使用を個別のケースとして考慮するのではなく、一般的な使用傾向に基づいて、第1の水出口での冷水使用に続く後続の加熱水需要の確率を決定する。
【0013】
いくつかの実施形態では、水供給システムを準備することは、ヒートポンプを動作させて熱エネルギー貯蔵媒体内に熱エネルギーを伝達することによって熱エネルギー貯蔵媒体をプリチャージすることを含むことができる。加熱水に対する予想需要を予測し、加熱水が必要とされる前にヒートポンプを動作させて熱エネルギー貯蔵媒体を予測的に準備することによって、固有の遅れを低減した加熱水供給の信頼できる形態としてヒートポンプを利用することができる。
【0014】
いくつかの実施形態では、ヒートポンプは、熱エネルギー貯蔵媒体が第1の温度に達するまで熱エネルギー貯蔵媒体内に熱エネルギーを伝達するように動作することができる。
【0015】
冷水使用に基づいて予測される後続の加熱水需要が高いと、例えば手洗いのためではなくシャワーのための加熱水であると、予想される場合がある。したがって、いくつかの実施形態では、第1の温度は、占有者によって設定された事前設定の動作温度よりも高いことができる。そうすることで、加熱水を持続期間にわたって所望の温度に維持することができる。
【0016】
いくつかの実施形態では、第1の温度は、ユーティリティ使用パターンから決定される加熱水に対する予想需要に基づいて決定することができる。
【0017】
いくつかの実施形態では、ユーティリティ使用パターンは、時刻、曜日及び/又は日付に関する予想される冷水使用、時刻、曜日及び/又は日付に関する予想される加熱水使用、時刻、曜日及び/又は日付に関する予想されるエネルギー使用、又はそれらの組み合わせを含むことができる。
【0018】
建物内の占有者の数は、必要な加熱水の量に影響を与え得る。したがって、いくつかの実施形態では、第1の温度は、水供給システムから得られる第2のセンサデータに基づいて水供給システム用の第3のMLAによって決定される建物の予想占有率に基づいて決定することができる。
【0019】
第1のセンサデータ及び第2のセンサデータは、同じセンサデータであるか又は異なるセンサデータであることができる。いくつかの実施形態では、第2のセンサデータは、時刻、曜日、日付、1つ以上の水出口での水の流量及び/又は圧力、水出口が開けられてからの経過時間、水道水温度、1つ以上の水出口での水温、エネルギー消費量及び/又は消費速度、使用者の現在位置、又はそれらの組み合わせを含むことができる。
【0020】
いくつかの実施形態では、所定の閾値は、訓練段階中に第1のMLAによって設定することができる。実施形態によれば、第1のMLAは、例えば0.5、0.8、1などの相関度に基づいて閾値を設定することによって、占有者及び/又は設置者からの手動入力に基づいて閾値を設定することができ、又は第1のMLAは、効率及びコストなどの他の考慮事項にも基づいて閾値を設定することができる。
【0021】
例えば冷水使用を示す第1のセンサデータを受信した時点での電気発熱体を動作させるための潜在的なエネルギーコストによっては、水供給システムを事前に準備する方が多かれ少なかれ費用効果が高い場合がある。したがって、いくつかの実施形態では、方法は、エネルギーコストを示す料金データを受信することと、料金データに基づいて所定の閾値を調節することとをさらに含むことができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、方法は、確率が所定の閾値を下回っていると判定すると、引き続き1つ以上の水出口での水使用を監視することをさらに含むことができる。
【0023】
本技術の他の態様は、機械可読コードを含むコンピュータ可読媒体であって、機械可読コードは、プロセッサによって実行されると、プロセッサに上述の方法を実行させる、コンピュータ可読媒体を提供する。
【0024】
本技術の更なる態様は、水供給システムを制御するように構成された制御モジュールであって、上述の方法を実行するように訓練された機械学習アルゴリズムを実行するプロセッサを備える制御モジュールを提供する。
【0025】
さらに別の態様では、本技術は、建物内に設置された水供給システムに対する冷水使用と後続の加熱水需要との間の相関を決定するようにMLAを訓練する方法を提供し、水供給システムは、建物外部から建物内部の熱エネルギー貯蔵媒体に熱エネルギーを伝達するように構成されたヒートポンプと、ヒートポンプの動作を制御するように構成された制御モジュールとを備え、水供給システムは、熱エネルギー貯蔵媒体によって加熱された水を1つ以上の水出口で建物の占有者に供給するように構成され、方法は、第1の水出口での冷水使用を示す第1のセンサデータを受信することと、第1の水出口での冷水使用に続く第2の水出口での加熱水使用を示す第2のセンサデータを受信することと、1つ以上の要因に基づいて第1のセンサデータと第2のデータとの間の相関度を確立することとを含み、1つ以上の要因は、第1のセンサデータを受信してから第2のセンサデータを受信するまでの経過時間、第1の水出口に対する第2の水出口の位置、第1のセンサデータを受信した後に第2のセンサデータを受信する頻度、時刻、曜日、又はそれらの組み合わせのうちの1以上を含む。
【0026】
本実施形態によれば、MLAは、冷水使用と後続の加熱水に対する需要との間の相関を認識するように訓練され得る。このような相関は、例えば、トイレのタンクを満たすための冷水の使用に続いて起こる手洗いのための加熱水に対する需要など、多くの異なる方法で生じる可能性がある。このような相関を認識するようにMLAを訓練することにより、相関を使用して水供給システムを予測的に準備することができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、方法は、相関の閾値を決定することをさらに含むことができ、閾値を超える相関度は、第1のセンサデータの受信に加熱水需要が続く可能性が高いことを示す。閾値を決定することにより、MLAは、相関が有意である関連するインスタンスを確認することができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、閾値は、建物の占有者に対して事前に確立されたユーティリティ使用パターンに基づいて決定することができる。ユーティリティ使用パターンを使用することにより、MLAは個々の冷水使用を個別のケースとして扱うのではなく、一般的な使用傾向に基づいて関連するインスタンスを確認することができる。
【0029】
いくつかの実施形態では、閾値は、建物の予想占有率に基づいて決定することができる。予想占有率を使用することにより、MLAは、占有者の数によって異なり得る予想需要に基づいて関連するインスタンスを確認することができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、閾値は、ユーティリティ供給者から得られる料金データに基づいて決定することができる。料金データを使用することにより、MLAは、水供給システムを予測的に準備する方が費用対効果が高いインスタンスを確認するために、エネルギーコストの変動を考慮に入れることができる。
【0031】
本技術の実施はそれぞれ、上述の目的及び/又は態様の少なくとも1つを有するが、必ずしもそれらのすべてを有するわけではない。上述の目的を達成しようとする試みから生じた本技術のいくつかの態様は、この目的を満たさない場合があり、かつ/又は本明細書に特に記載されていない他の目的を満たす場合があることを理解すべきである。
【0032】
本技術の実施の付加的及び/又は代替的な特徴、態様及び利点は、以下の説明、添付の図面及び添付の特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
次に、本開示の実施形態について添付の図面を参照して説明する。
図1】例示的な水供給システムのシステム概観図である。
図2】使用パターンを確立するためのMLAの例示的な訓練段階を概略的に示す。
図3】占有率予測を出力するためのMLAによる例示的なデータ処理を概略的に示す。
図4】熱貯蔵部をプリチャージするためのMLAによる例示的なデータ処理を概略的に示す。
図5】ヒートポンプを作動させるためのMLAによる例示的なデータ処理を概略的に示す。
図6】ヒートポンプの除霜サイクルを開始するためのMLAによる例示的なデータ処理を概略的に示す。
図7】一実施形態による使用者の水使用習慣を変える例示的な方法のフロー図である。
図8】一実施形態による水使用を調節する例示的な方法のフロー図である。
図9】一実施形態による水使用を調節する別の例示的な方法のフロー図である。
図10】漏れ警報を出力するためのMLAによる例示的なデータ処理を模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
上記を考慮して、本開示は、ヒートポンプを用いた又はヒートポンプで補助した加熱水の供給のための様々なアプローチ、場合によっては、水及びエネルギーの浪費を低減するために水及びエネルギーを含むユーティリティの使用を調節するための様々なアプローチを提供する。本アプローチは、水供給システムから受信したセンサデータに基づいて制御モジュールによって水供給システムのための水供給を制御及び調節するように訓練された1つ以上の機械学習アルゴリズム(MLA)を用いて実施することができる。例えば、訓練段階中に、MLAは家庭環境における家庭の加熱水使用を監視し、通常の使用パターンを確立することができる。MLAは、時刻、曜日、日付、天候などの複数の異なる入力に基づいて異なるタイプの水使用(例えば、シャワー、手洗い、暖房など)を認識するように訓練され得る。いくつかの実施形態では、MLAは、例えば、システムの水出口が開け閉めされる時間、使用時間、使用者によって設定された水温、及び加熱水が使用者に供給されるときの実際の水温に関する追加データを収集することができる。使用中、MLAは、学習した使用パターンを様々な異なる方法で使用して、ヒートポンプを用いた又はヒートポンプで補助した加熱水供給の効率及び有効性を改善することができる。
【0035】
いくつかの実施形態では、MLAは、水出口を開けるとき又は開ける前に1つ以上の省エネ戦略を実施するように訓練することができ、任意選択で、例えば水及び/又はエネルギーの使用を徐々に低減するために、水及びエネルギーの使用習慣を変えるのに役立つ1つ以上のインタラクティブな戦略を実施するように訓練することができる。
【0036】
以下に、1つ以上のMLAが使用される実施形態のための複数の異なるタイプの機械学習アルゴリズムの簡単な概要を示す。しかしながら、通常の使用パターンを確立するためのMLAの使用は、本技術を実施する1つの方法に過ぎず、必須ではないことに留意すべきである。いくつかの実施形態では、制御モジュールは、特定の加熱水の使用、例えば過剰な水流を目標とし、予め定められた方法で応答するために、適切なソフトウェア機能を用いてプログラムされ得る。
【0037】
MLAの概要
当技術分野では多くの異なるタイプのMLAが知られている。大まかに言うと、教師あり学習ベースのMLA、教師なし学習ベースのMLA、強化学習ベースの3タイプのMLAがある。
【0038】
教師あり学習MLAプロセスは目標結果変数(又は従属変数)に基づいており、これは所定の予測変数(独立変数)のセットから予測される。これらの変数セットを用いて、MLAは(訓練中に)、入力を所望の出力にマッピングする関数を生成する。訓練プロセスは、MLAが検証データで所望のレベルの精度を達成するまで継続する。教師あり学習ベースのMLAの例には、回帰、デシジョンツリー、ランダムフォレスト、ロジスティック回帰などが含まれる。
【0039】
教師なし学習MLAには、目標又は結果変数自体の予測は含まれない。このようなMLAは値の母集団を異なるグループにクラスタリングするために使用され、これは特定の介入のために顧客を異なるグループにセグメント化するために広く使用されている。教師なし学習MLAの例には、アプリオリアルゴリズム、K平均法が含まれる。
【0040】
強化学習MLAは、特定の意思決定を行うように訓練される。訓練中、MLAは訓練環境にさらされ、試行錯誤を継続的に用いて自身を訓練する。MLAは過去の経験から学び、正確な意思決定を行うために可能な限り最高の知識を獲得しようとする。強化学習MLAの例はマルコフ決定プロセスである。
【0041】
異なる構造又はトポロジーを有する異なるタイプのMLAが様々なタスクに使用され得ることを理解すべきである。MLAの1つの特定のタイプは、ニューラルネットワーク(NN)としても知られる人工ニューラルネットワーク(ANN)を含む。
【0042】
ニューラルネットワーク(NN)
一般的に言えば、所定のNNは、計算に対するコネクショニストアプローチを用いて情報を処理する、相互接続された人工的な「ニューロン」のグループで構成される。NNは、入力と出力の間の複雑な関係を(実際には関係を知らずに)モデル化するため、又はデータ内のパターンを見つけるために使用される。NNは最初に訓練段階で条件付けされ、訓練段階ではNNに既知の「入力」のセットと(モデル化しようとしている所定の状況に対して)適切な出力を生成するようにNNを適応させるための情報とが提供される。この訓練段階中に、所定のNNは学習中の状況に適応してその構造を変更し、所定のNNが(学習内容に基づいて)新しい状況で所定の入力に対して妥当な予測出力を提供できるようにする。したがって、所定のNNは、所定の状況に対して複雑な統計的配列や数学的アルゴリズムを決定しようとするのではなく、状況に対する「感覚」に基づいて「直感的」な答えを提供することを目指している。したがって、所定のNNは、「ボックス」内で何が起こっているかが重要でない状況で、所定の入力セットに対する妥当な答えを決定するために使用できる、訓練された「ブラックボックス」と見なされる。
【0043】
NNは、所定の入力に基づいて出力を知ることだけが重要で、その出力が正確にどのように導き出されるかはそれほど重要ではないか又は重要ではない、多くのこのような状況で一般に使用される。例えば、NNは、サーバ間、及びフィルタリング、クラスタリング、信号分離、圧縮、ベクトル生成などを含むデータ処理におけるウェブトラフィックの分布を最適化するために一般的に使用される。
【0044】
ディープニューラルネットワーク
本技術のいくつかの非限定的な実施形態では、NNはディープニューラルネットワークとして実施することができる。NNは様々なクラスのNNに分類することができ、これらのクラスの1つはリカレントニューラルネットワーク(RNN)を含むことを理解すべきである。
【0045】
リカレントニューラルネットワーク(RNN)
RNNは、それらの「内部状態」(保存されたメモリ)を使用して入力のシーケンスを処理するように適応されている。このため、RNNは、例えば、セグメント化されていない手書き認識や音声認識などのタスクに適している。RNNのこれらの内部状態は制御することができ、「ゲート」状態又は「ゲート」メモリと呼ばれる。
【0046】
RNN自体もRNNの様々なサブクラスに分類できることに注意する必要がある。例えば、RNNは、長短期記憶(LSTM)ネットワーク、ゲート付き回帰型ユニット(GRU)、双方向RNN(BRNN)などを含む。
【0047】
LSTMネットワークは、ある意味、以前の非常に短い離散的な時間ステップ中に発生したイベントの「記憶」を必要とするタスクを学習できる深層学習システムである。LSTMネットワークのトポロジーは、実行することを「学習」する特定のタスクに基づいて変わる可能性がある。例えば、LSTMネットワークは、イベント間に比較的長い遅延が発生するタスク又はイベントが低い頻度と高い頻度で同時に発生するタスクの実行を学習することができる。特定のゲート機構を有するRNNはGRUと呼ばれる。LSTMネットワークとは異なり、GRUには「出力ゲート」がないため、LSTMネットワークよりもパラメータが少ない。BRNNは、反対方向に接続されたニューロンの「隠れ層」を有することができ、過去の状態及び未来の状態からの情報の使用を可能にすることができる。
【0048】
残差ニューラルネットワーク(ResNet)
本技術の非限定的な実施形態を実施するために使用できるNNの別の例は、残差ニューラルネットワーク(ResNet)である。
【0049】
ディープネットワークは、低/中/高レベルの特徴と分類子をエンドツーエンドの多層方式で自然に統合し、特徴の「レベル」は、スタックされた層の数(深さ)によって強化することができる。
【0050】
要約すると、本技術との関連で1つ以上のMLAの少なくとも一部の実施は、大きく2つの段階、訓練段階と使用中段階に分類することができる。最初に、所定のMLAは、訓練段階で1つ以上の適切な訓練データセットを用いて訓練される。次に、所定のMLAが入力として予想されるデータと出力として提供されるデータを学習すると、所定のMLAは使用中段階で使用中データを用いて実行される。
【0051】
水供給システム
本技術の実施形態では、冷水及び加熱水は、集中型の水供給システムによって、家庭環境又は商業環境における建物用の蛇口、シャワー、ラジエーターなどを含む複数の水出口に供給される。一実施形態による例示的な水供給システムを図1に示す。本実施形態では、水供給システム100は制御モジュール110を備える。制御モジュール110は、例えばシステムの内部及び外部の水の流れを制御するように配置された1つ以上の弁の形態の流量制御部130と、周囲から熱を抽出し、抽出した熱を水の加熱に使用される熱エネルギー貯蔵部150に貯蔵するように構成された(地中源又は空気源)ヒートポンプ140と、電気発熱体160に供給されるエネルギー量を制御することによって冷水を所望の温度まで直接加熱するように構成された1つ以上の電気発熱体160とを含む水供給システムの様々な要素に通信可能に結合され、これらの要素を制御するように構成される。加熱水は、熱エネルギー貯蔵部150によって加熱されるか、電気発熱体160によって加熱されるかにかかわらず、その後、必要なときに1つ以上の水出口に向けられる。本実施形態では、ヒートポンプ140は、環境から(例えば、空気源ヒートポンプの場合は周囲空気、地中源ヒートポンプの場合は地熱エネルギー、水源ヒートポンプの場合は水域から)熱を抽出し、この熱は冷媒によって吸収され、その後冷媒から作動液に伝達され、次に作動液が熱を熱エネルギー貯蔵部150内の熱エネルギー貯蔵媒体に伝達し、好ましくは熱エネルギー貯蔵媒体に潜熱として貯蔵される。熱エネルギー貯蔵媒体からのエネルギーはその後、冷水、例えば、給水源からの冷水、場合により水道水源からの冷水を所望の温度まで加熱するために使用することができる。加熱水はその後、システム内の様々な水出口に供給することができる。
【0052】
本実施形態では、制御モジュール110は、複数のセンサ170-1、170-2、170-3、…、170nからの入力を受信するように構成される。複数のセンサ170-1、170-2、170-3、…、170nは、例えば、屋内及び/又は屋外に配置された1つ以上の気温センサ、1つ以上の水温センサ、1つ以上の水圧センサ、1つ以上のタイマー、1つ以上のモーションセンサを含むことができ、例えば乗員が携帯し、通信チャネルを介して制御モジュールと通信するスマートフォン上のGPS信号受信機、カレンダー、天気予報アプリなど、水供給システム100に直接リンクされていない他のセンサを含むことができる。制御モジュール110は、本実施形態では、受信した入力を使用して様々な制御機能を実行するように構成され、例えば、水を加熱するために熱エネルギー貯蔵部150又は電気発熱体160への流量制御部130を介した水の流れを制御する。本実施形態では、制御モジュール110のプロセッサ(図示せず)上で実行することも、通信チャネルを介して制御モジュール110のプロセッサと通信するサーバ上で実行することもできる、機械学習アルゴリズム(MLA)120が使用される。MLA120は、制御モジュール110によって受信された入力センサデータを用いて訓練され、例えば、時刻、曜日、日付(例えば、季節的変化、公休日)、占有率などに基づいて基本的な水及びエネルギー使用パターンを確立することができる。学習された使用パターンはその後、制御モジュール110によって実行される様々な制御機能を決定し、場合によっては改善するために使用することができる。
【0053】
ヒートポンプは一般に、電気抵抗ヒーターに比べて水を加熱するためのエネルギー効率が高いが、ヒートポンプの起動には時間がかかり(多くの場合1分以上)、また、十分な量の熱エネルギーが熱エネルギー貯蔵媒体に伝達され、貯蔵媒体が水を加熱するために使用できるようになる前に、貯蔵媒体が所望の動作温度に達するのに時間が必要である。したがって、最初の開始点から、ヒートポンプは通常、電気抵抗ヒーターに比べて同じ量の水を同じ温度まで加熱するのに時間がかかる。また、いくつかの実施形態では、ヒートポンプ140は、例えば、加熱時に固体から液体に変化する相変化材料(PCM)を熱エネルギー貯蔵媒体として使用することができる。この場合、ヒートポンプによって抽出された熱エネルギーが熱貯蔵媒体の温度を上昇させる(熱貯蔵媒体に顕熱を加える)効果がある前に(それまではエネルギーは潜熱として貯蔵される)、PCMが固化させられた場合、PCMを固体から液体に変えるのに追加の時間が必要とされ得る。水を加熱するこのアプローチは時間がかかるが、電気発熱体に比べて水を加熱するために消費するエネルギーが少ないため、全体としてエネルギーが節約され、加熱水を供給するためのコストが削減される。
【0054】
相変化材料
本実施形態では、相変化材料をヒートポンプ用の熱貯蔵媒体として使用することができる。1つの好適な相変化材料の種類は、家庭用温水のため及びヒートポンプと組み合わせて使用するための対象の温度で固液相変化を有するパラフィンワックスである。特に対象となるのは、摂氏40から60度(℃)の範囲の温度で溶融するパラフィンワックスであり、この範囲内で、特定の用途に適した様々な温度で溶融するワックスを見つけることができる。典型的な潜熱容量は約180kJ/kgから230kJ/kgの間であり、比熱容量は液相で2.27Jg-1-1ほど、固相で2.1Jg-1-1ほどである。溶融の潜熱を利用して非常に多くのエネルギーを貯蔵することができることがわかる。相変化液体をその融点を超えるまで加熱することでより多くのエネルギーを貯蔵することもできる。例えば、電力コストがオフピーク時間帯に比較的低い場合、ヒートポンプは熱エネルギー貯蔵部を通常よりも高い温度に「チャージ」し、熱エネルギー貯蔵部を「過熱」させるように動作することができる。
【0055】
ワックスの好適な選択は、n-トリコサンC23又はパラフィンC20-C33などの融点が約48℃のものであり、これは、ヒートポンプが約51℃の温度で動作することを必要とし、例えばキッチンの蛇口、シャワー/バスルームの蛇口に十分な、一般的な家庭用温水の約45℃の満足できる温度まで水を加熱することができる。必要に応じて、冷水を流れに加えて水温を下げることができる。ヒートポンプの温度性能が考慮される。一般に、ヒートポンプによって加熱される流体の入力温度と出力温度の最大差は、好ましくは5℃から7℃の範囲に維持されるが、最大10℃であることができる。
【0056】
パラフィンワックスは熱エネルギー貯蔵媒体として使用するのに好ましい材料であるが、他の好適な材料も使用することができる。例えば、塩水和物は、本システムのような潜熱エネルギー貯蔵システムにも適している。この文脈における塩水和物は、無機塩と水の混合物であり、相変化はそれらの水の全部又は大部分の損失を伴う。相転移で、水和物結晶は無水塩(又は少ない水を含む塩)と水に分けられる。塩水和物の利点は、パラフィンワックスよりも熱伝導率がはるかに高く(2倍から5倍)、相転移による体積変化がはるかに小さいことである。本用途に適した塩水和物は、約48℃から49℃の融点、200~220kJ/kgの潜熱を有するNa223・5H2Oである。
【0057】
使用パターン
図2は、一実施形態による基本的なユーティリティ使用パターンを確立するための、MLA120などのMLA2200の訓練段階を示す。
【0058】
本実施形態では、MLA2200は、複数のセンサ及び他のソースからある期間にわたって入力を受信して、例えば家の占有者の使用パターンを学習する。例えば、MLA2200が実行される制御モジュール、例えば制御モジュール110は時計を備えることができ、MLA2200は時計から時刻2101と日付及び曜日2102を受信することができる。家には複数のモーションセンサを設置することができ、MLA2200はモーションセンサから占有率データ2103を受信することができる。以下に説明する別の実施形態では、占有率は複数の要因に基づいて予測することもできる。温度センサ制御モジュールは、MLA2200が現在の天気2104の入力を受信するために1つ以上の屋外温度センサと通信することができる。制御モジュールはまた、MLA2200が室内温度2105を受信するために1つ以上の室内温度センサと通信することができる。複数の水温センサ、圧力センサ及び流量センサを、水供給システムの様々な場所に、例えば、MLA2200に入力され得る水道水入口温度2106、本管流量2107及び本管流圧2108を測定するために水道水入口に配置することができる。それぞれの水出口がいつ開けられ、いつ閉められるかを検出するために、1つ以上の又はそれぞれの水出口(又は水出口への水流を制御する弁)にセンサが配置され、水出口の水の温度、温水/冷水の使用時間及び温度2109及び温水/冷水の使用量2110に関するデータをMLA2200に入力することができる。MLA2200はまた、水供給システムによるエネルギー使用2111に関するデータ、例えば、使用時間、使用されたエネルギー量、及び、制御モジュールがエネルギー供給者と通信している場合には、現在の料金を収集することができる。MLA2200はまた、使用時間、使用期間などのヒートポンプ使用2112に関するデータを収集することができる。MLAが本明細書に記載されたすべての入力センサデータを受信、収集及び/又は使用することは必須ではないこと、本明細書に記載された入力センサデータのリストは網羅的ではなく、他の入力データも、所望に応じてMLAによって受信、収集及び/又は使用され得ることに留意されたい。特に、制御モジュールが、例えば、1つ以上のスマートデバイス(例えば、スマートフォン)又は1人以上の占有者のパーソナルコンピュータと通信している実施形態では、MLAは、これらのデバイスから得られる他の個人データ又は公開データを受信及び使用することができる。
【0059】
訓練段階中に、MLA2200は、受信した入力データに基づいて、占有者の水及びエネルギーの使用パターンを確立する。例えば、使用パターン2300は、加熱水使用パターン、冷水使用パターン、エネルギー使用パターン、ヒートポンプ使用パターン、例えば、時刻、曜日、日付、占有レベルなどに基づいて予想される使用のベースラインを提供する占有パターンを含むことができる。
【0060】
占有率予測
図3は、例えば家の占有率予測を出力するために一連の入力データを処理する、制御モジュール(例えば、制御モジュール110)上で実行されるMLA3200の一実施形態を概略的に示す。MLA3200は、MLA2200と同じMLAであってもよいし、異なるMLAであってもよい。MLA3200は、例えば占有レベル及び1年にわたる占有者の家への到着スケジュールに基づいて、適切な訓練データセットを用いて訓練することができる。
【0061】
MLA3200は、制御モジュールを介して、家の周りに配置された1つ以上のセンサ、1つ以上のユーザーインターフェース(例えば、制御モジュール、スマートデバイス、パーソナルコンピュータなどと通信する家の周りの制御パネル)、1つ以上のソフトウェアプログラム、1つ以上の公開及び非公開データベースなどを含む複数のソースから、家及びその占有者に固有の入力データを受信する。本実施形態では、MLA3200は、例えば制御モジュール上で又は通信ネットワークを介して遠隔的に動作する時計及びカレンダー機能から現在時刻3101、日付3102及び曜日3103の入力を受信する。MLA3200はさらに、例えばユーザーインターフェースを介して家の占有者から、占有者のスマートデバイス上のカレンダーアプリから自動的に得される、又は通信ネットワークを介してパブリックドメインから得られる、任意の特別なイベント又は公休日3104の入力を受信する。MLA3200はその後、入力データに基づいて予想占有レベルを決定し、占有率予測3300を出力する。建物の予想占有率を決定することにより、起こり得るユーティリティ(例えば、エネルギーや水)の需要を推定又は予測することができる。
【0062】
更なる実施形態では、MLA3200は、占有者が家にいないと判定されたときに、1人以上の占有者の現在位置3105の入力を受信する。例えば、占有者は、GPS機能を備えた1つ以上のスマートデバイス(例えば、スマートフォン)を制御モジュール又は制御モジュールと通信するサーバに登録することができ、その結果MLA3200は、通信ネットワークを介して各占有者に対応する登録されたスマートデバイスで受信されたGPS信号を得ることによって、各占有者の現在位置を受信することができる。その後、MLA3200は、占有者の現在位置3105と任意選択でパブリックドメインから得られる交通状況などの他の情報に基づいて、各占有者の家への予想到着時刻3106を決定する。各占有者の予想到着時刻3106は、現在時刻3101、日付3102、曜日3103及びイベント日3104などの他の入力に基づいて決定することもできる。MLA3200はその後、予想到着時刻3106を使用して、家の占有率予測3300(現在の占有レベルではなく、未来の占有レベル)を出力することができる。
【0063】
占有率予測3300は、水供給システムのための様々な制御機能を実行する際に制御モジュールにとって有用な指標である。例えば、加熱水は、占有者が到着すると予想される前に、家に設置されたセントラルヒーティングシステムのラジエーターに向けられ得る。別の例は、占有者が到着すると予想される前に、ヒートポンプを作動させて熱エネルギー貯蔵部に熱エネルギーを貯蔵し始めることであり、また、ヒートポンプは、占有者が到着すると予想される前に、熱エネルギー貯蔵部が「完全にチャージ」される(ある程度の液化に達する)ように、占有者の予想到着時刻3106に基づく時間に作動させることができる。
【0064】
プリチャージ熱エネルギー貯蔵
従来のアプローチでは、ヒートポンプによって環境(例えば、外気)から、また冷媒の圧縮によって抽出された熱は、ヒートポンプの作動液から(例えば、本管からの)水に直接伝達され、例えば断熱された貯蔵タンクに貯蔵され、貯蔵タンクからの加熱水はその後、必要なときに様々な水出口に供給される。このような従来のアプローチの1つの欠点は、水が所望の温度に達するために、ヒートポンプが外気からタンク内の水に十分な量の熱を伝達するのに必要な時間である。このため、ヒートポンプ給湯器は一般に、水がヒートポンプによって十分に加熱されていないときに水を所望の温度まで引き上げる従来の電気抵抗給湯器と組み合わせて設置される。
【0065】
本技術の実施形態によれば、熱エネルギー貯蔵部150内の熱エネルギー貯蔵媒体がヒートポンプ140によって抽出された熱を貯蔵するために設けられ、貯蔵された熱は必要なときに水を加熱するのに使用することができる。本実施形態では、熱エネルギー貯蔵媒体は、加熱水に対する需要が生じる前にヒートポンプを動作させて熱エネルギー貯蔵部に熱を伝達することによってプリチャージすることができる。これは、例えば、加熱水に対する需要が高いときにヒートポンプ及び/又は電気抵抗給湯器を動作させることは費用対効果が低く、需要が高いときにエネルギーネットワークに更なる負荷をかけることがあるように、加熱水に対する需要及び/又は電力に対する需要が1日を通して変動する場合に望ましいことがある。
【0066】
図4は、熱エネルギー貯蔵媒体をプリチャージしてその温度を所望の動作温度まで上昇させる決定を出力するために一連の入力データを処理する、制御モジュール(例えば、制御モジュール110)上で実行されるMLA4200の一実施形態を概略的に示す。MLA4200は、MLA2200及び/又はMLA3200と同じMLAであってもよいし、異なるMLAであってもよい。MLA4200は、例えば家の加熱水需要に基づいて、適切な訓練データセットを用いて訓練することができる。
【0067】
MLA4200は、制御モジュールを介して、家の周りに配置された1つ以上のセンサ、1つ以上のユーザーインターフェース(例えば、制御モジュール、スマートデバイス、パーソナルコンピュータなどと通信する家の周りの制御パネル)、1つ以上のソフトウェアプログラム、1つ以上の公開及び非公開データベースなどを含む複数のソースから、家及びその占有者に固有の入力データを受信する。本実施形態では、MLA4200は、例えば制御モジュール上の時計及び/又はカレンダーからの現在の時刻及び日付4101と、例えば家にエネルギーを供給するエネルギー供給者から得られる、エネルギー単価を指定する現在の料金4102などのエネルギー需要データとを受信する。エネルギー単価が低いオフピーク時間帯に
【0068】
代わりに又は加えて、MLA4200は、上述のように確立されたユーティリティ使用パターン2300及び占有率予測3300からエネルギー需要データを導き出すことができる。例えば、家の現在のエネルギー使用量が、例えば1日の期間にわたって平均レベルよりも低い場合、現在のエネルギー使用量は低いとみなすことができる。対照的に、家の現在のエネルギー使用量が平均よりも高い場合、現在のエネルギー使用量は高いとみなすことができる。
【0069】
その後、エネルギー供給者から得られる受信した料金情報4102(及び他のエネルギー需要データ)に基づいて、MLA4200は、現在のエネルギー需要のレベルを決定することができ、現在のエネルギー需要が低いとみなされるときに、ヒートポンプを作動させて、熱エネルギー貯蔵部をプリチャージし4300、加熱水に対する需要が発生する前に、例えば、占有者が家に到着すると予想されるとき及び/又は加熱水に対する需要が夕方に増加すると予想されるときに、加熱水の供給に向けた準備をする。
【0070】
また、ユーティリティ使用パターン2300及び占有率予測3300と共に受信した時刻/日付4101を用いて、MLA4200は、予想される加熱水使用レベル及び予想されるエネルギー使用レベルなどの1つ以上のパラメータを予測することができる。その後、予測されるパラメータに基づいて、MLA4200は、熱エネルギー貯蔵媒体に貯蔵される熱エネルギー量を決定することができる。例えば、予想される加熱水使用レベルが高く、長時間高い状態が続くと予想される場合、MLA4200は、持続的な加熱水の使用に十分な量のエネルギーを貯蔵するために、例えば設置者の占有者が設定した通常の動作温度よりも高い温度まで熱エネルギー貯蔵媒体をプレチャージするために、予想需要の増加よりも前に十分長い時間ヒートポンプを動作させることができる。
【0071】
水供給システムが需要の増加に先立って貯蔵熱源を準備するために加熱水に対する予想需要を予測することにより、本実施形態では、需要時にのみ作動させると十分な応答が得られない場合にヒートポンプを利用することができる。また、現在の料金を入力として使用することにより、エネルギー単価が低い低エネルギー需要時間帯にヒートポンプを動作させて熱エネルギー貯蔵部をプリチャージし、エネルギー使用を高需要時間外から低需要時間帯にシフトすることでエネルギーネットワークへの負荷を軽減することができる。本実施形態は、加熱水及び電気に対する需要が一日を通し同時に増減することが多い自立型住宅にも同様に適用可能である。このように、ヒートポンプを動作させるための電力使用を電力需要の少ない時間帯にシフトすることで、自立型住宅をより円滑に動作させることができる。全体として、本実施形態は、低コストで、水を所望の温度まで加熱する際の遅延による欠点がほとんどない、より効率的な加熱水供給形態、すなわちヒートポンプの使用を可能にする。
【0072】
温水需要予測
図5は、冷水使用に基づいてヒートポンプを作動させるか否かを決定するように訓練された制御モジュール(例えば、制御モジュール110)上で実行されるMLA5200の一実施形態を概略的に示す。MLA5200は、MLA2200及び/又はMLA3200及び/又はMLA4200と同じMLAであってもよいし、異なるMLAであってもよい。
【0073】
MLA5200は、制御モジュールを介して、家の周りに配置された1つ以上のセンサ、1つ以上のユーザーインターフェース(例えば、制御モジュール、スマートデバイス、パーソナルコンピュータなどと通信する家の周りの制御パネル)、1つ以上のソフトウェアプログラム、1つ以上の公開及び非公開データベースなどを含む複数の入力から、家に固有の入力データを受信する。訓練段階中に、MLA5200は、冷水の使用に続く加熱水の使用の間の相関を認識するように訓練することができる。例えば、MLA5200は、バスルームでの冷水の使用(例えば、トイレの水タンクを満たすため)とそれに続くバスルームの蛇口からの加熱水に対する需要(例えば、手洗いのため)との間の相関を認識するように訓練することができる。したがって、訓練段階中に、MLA5200は、冷水の使用に続く加熱水の使用に関するセンサデータを使用して、2つのイベント間の相関度を確立することができる。センサデータは、例えば、第1のセンサデータを受信してから第2のセンサデータを受信するまでの経過時間、第1の水出口に対する第2の水出口の位置、第1のセンサデータを受信した後に第2のセンサデータを受信する頻度、時刻、曜日を含むことができるが、このリストは網羅的ではない。
【0074】
本実施形態では、MLA5200は冷水出口が作動している5101という入力を受信し、確立されたユーティリティ使用パターン2300と占有率予測3300に関連した現在の冷水使用に基づいて、MLA5200は、現在の冷水使用の相関度に応じて、現在の冷水使用に続いて起こり得る加熱水に対する需要の確率を決定することができる。加熱水に対する予想需要が決定されると、MLA5200は、その需要を見越してヒートポンプ5300を作動させるように制御モジュールに指示することができる。
【0075】
現在の冷水使用に続いて起こり得る加熱水に対する需要の確率が、ヒートポンプを動作させて熱エネルギー貯蔵媒体をプリチャージするためにエネルギーを消費するに値するほど十分に高いか否かを判定するために、MLA5200は、訓練段階中に確率がヒートポンプの作動に値する場合を示す閾値を設定することができる。一実施形態では、閾値は、ヒートポンプのそのような予測的作動が望ましいインスタンスを占有者又は設置者が手動で入力することによって手動で設定することができる。別の実施形態では、閾値は、ユーティリティ使用パターン2300及び/又は占有率予測3300に基づいてMLA5200が設定することができる。
【0076】
更なる実施形態では、ヒートポンプを作動させるか否かのMLA5200による決定はさらに、例えばエネルギー供給者から得られる現在の料金5102の入力に基づくことができる。本実施形態では、閾値は、訓練段階中にエネルギー供給者から得られる料金情報に基づいて決定することができる。代わりに又は加えて、閾値は、現在の料金に基づいて実行時に修正することができる。例えば、現在の料金5102がオフピーク料金(電気発熱体160が低コストで動作できることを意味する)を示し、MLA5200が現在の冷水使用と加熱水に対する予想需要との間の相関が低いと判定した場合、MLA5200は、加熱水に対する需要がありそうにないため、熱エネルギー貯蔵部をプリチャージするためにヒートポンプを作動させる必要はないと判断することができる。加熱水に対する需要があれば、電気発熱体160を使用して水を加熱することができる。一方、現在の料金5102がエネルギー単価が高いときのピーク料金(電気発熱体160を用いて水を加熱するのは費用がかかることを意味する)を示し、MLA5200が現在の冷水使用と加熱水に対する予想需要との間に低い相関しかないと判定した場合、MLA5200は、電気発熱体160を使用して加熱水を供給するというより費用がかかる選択肢を避けるために、低い相関にもかかわらず加熱水に対する需要に備えてヒートポンプを作動させて熱エネルギー貯蔵をプリチャージする方が費用対効果が高いと判断することができる。後者の実施例では、MLA5200は、両方の場合の確率が同じであっても後者の実施例ではヒートポンプを作動させることができるように、閾値を前者の実施例の閾値よりも低くなるように修正することができる。
【0077】
加熱水が必要になる前に水供給システムを準備することにより、加熱水供給の遅延を低減することができ、それにより、水が加熱されるのを占有者が待っている間、水出口が開いたままになる時間を短縮し、浄水の浪費を低減することができる。また、加熱水に対する予想需要を予測し、加熱水が必要とされる前にヒートポンプを動作させて貯蔵熱源を予測的に準備することによって、固有の遅れを低減し又はなくした信頼できる加熱水供給形態としてヒートポンプを利用することができる。
【0078】
予測的除霜
上術したように、ヒートポンプ140などのヒートポンプは熱交換器コイルを有する室外ユニットを備え、熱交換器コイルは、屋外の空気又は地面から熱を抽出し、その熱を室内ユニットに、建物の内部を暖めるために建物の内部に又は熱を貯蔵して後で使用するために熱エネルギー貯蔵媒体に直接伝達する。外気から熱エネルギーを抽出するプロセスにより、室外ユニットの熱交換器コイルが冷却され、空気中の水分が冷却された室外コイル上で凝縮する。例えば外気が5°Cの寒い屋外条件では、室外コイルは氷点下に冷え、室外コイルに霜が発生する可能性がある。室外コイルに霜が蓄積すると、ヒートポンプの効率が低下し、霜のないコイルに比べて、同じ電力を出力するのに外気とのより大きな温度差が必要になる。したがって、ヒートポンプの室外ユニットの熱交換器コイルから霜を除去するために、定期的及び霜が蓄積したときにヒートポンプを除霜サイクルで運転することが望ましい。
【0079】
ヒートポンプが除霜サイクルを必要とする場合、例えば、屋外の温度と湿度、ヒートポンプの出力、及びヒートポンプの状態など、複数の要因が影響する可能性がある(例えば、古いシステムは効率が悪く、より頻繁な除霜を必要とすることがある)。一般に、ヒートポンプは、室外の熱交換器コイルに霜が発生するたびに除霜サイクルを動作させる。
【0080】
除霜サイクル中、ヒートポンプは逆に動作し、暖かい冷媒が室外ユニットに送られて熱交換器コイルが解凍される。ヒートポンプは、例えば、コイルが約15°Cに達するまで除霜サイクルを動作させることができる。熱交換器コイルが解凍されると、ヒートポンプは通常の加熱サイクルを再開することができる。明らかに、ヒートポンプが除霜サイクルを動作させている間は、除霜サイクルが完了するまで、室内ユニットに(例えば、熱エネルギー貯蔵部150に)熱を伝達するという通常の機能を実行することができない。したがって、ヒートポンプ除霜サイクルが始まる前に建物を準備することが望ましい場合がある。
【0081】
図6は、ヒートポンプ(例えば、ヒートポンプ140)の次の除霜サイクルを予測するために一連の入力データを処理する、制御モジュール(例えば、制御モジュール110)上で実行されるMLA6200の一実施形態を概略的に示す。MLA6200は、MLA2200及び/又はMLA3200及び/又はMLA4200及び/又はMLA5200と同じMLAであってもよいし、異なるMLAであってもよい。
【0082】
MLA6200は、制御モジュールを介して、家の周りに配置された1つ以上のセンサ、1つ以上のユーザーインターフェース(例えば、制御モジュール、スマートデバイス、パーソナルコンピュータなどと通信する家の周りの制御パネル)、1つ以上のソフトウェアプログラム、1つ以上の公開及び非公開データベースなどを含む複数の入力から、家に固有の入力データを受信する。訓練段階中に、MLA6200は、ヒートポンプの性能(例えば、ヒートポンプの平均熱エネルギー出力、ヒートポンプの効率又は性能係数、及びヒートポンプの性能に関する他の情報又は数量)を知った上で、例えば天気予報、現在の気象状況、室内温度、及び以前の除霜サイクルで収集されたデータに基づいて、除霜サイクルがいつ必要であるかを認識し、ヒートポンプを除霜サイクルで動作させるためのタイムスケール及び平均エネルギー必要量を確立するように訓練することができる。
【0083】
本実施形態では、MLA6200は、例えばパブリックドメイン又は制御モジュールに登録されたスマートデバイス上の天気アプリから得られる天気予報6101、例えばパブリックドメイン又は家の周りに配置された1つ以上のセンサから得られる温度及び湿度などの現在の気象状況6102、例えば家の中に配置された1つ以上の温度センサから得られる室内温度6103、及びヒートポンプが最後に霜取りされた最後の除霜サイクル6104に関するデータの入力を受信する。に基づいて、MLA6200はできる。天気予報、現在の気象状況及び室内温度に基づいて、MLA6200は、次の除霜サイクルがいつ予想されるか6301を予測することができ、例えば、低温と高湿度の期間が長い場合、より早く除霜サイクルが必要になることがあり、ヒートポンプの霜取りに必要な時間の長さを推定することができる。また、MLA6200は、確立されたユーティリティ使用パターン2300と占有率予測3300とを用いて、除霜サイクルが予測される時間帯に予想されるエネルギー及び加熱水の需要を推定することができ、例えば、熱エネルギー貯蔵部に追加の熱エネルギーを貯蔵すること(PCM内の潜熱に加えて顕熱としてエネルギーを貯蔵すること)、事前設定された温度よりも高い温度まで家を暖めることなどによって、予測される除霜サイクル6302を見越して水供給システムを準備することができる。
【0084】
加えて又は代わりに、MLA6200はさらに、(例えば、蛇口、シャワー及び/又はセントラルヒーティング用の)エネルギー及び加熱水に対する需要がいつ低いかを予測し、例えば、占有者への加熱水の供給に支障が少ないヒートポンプの霜取りの適切なタイミングを決定することができる。入力を用いて、MLA6200は、水及びエネルギーの需要が低い時間(例えば、夜間)及び/又は占有率が低い時間(例えば、就学時間及び勤務時間中)を決定し、次の除霜サイクルの予想開始時間を決定された低需要時間及び/又は低占有率時間に合わせることができる。MLA6200はその後、適合された開始時間に除霜サイクル6301を開始するためにヒートポンプを動作させるように制御モジュールに指示することができる。例えば、MLA6200が、エネルギー及び加熱水の需要が高いと予想される夕方に除霜サイクルが必要になるかもしれないと予測した場合、MLA6200は、例えば、熱エネルギー貯蔵媒体の温度をより高い動作温度まで上昇させること、及び予測される除霜サイクルの前に熱の一部を建物を暖めるのに転用することにより、より多くの熱を貯蔵するためにヒートポンプを動作させることにより、熱エネルギー貯蔵媒体をプリチャージすることができ、かつ/又はMLA6200は、需要が低いと予想される夜遅くに除霜サイクルの開始時間を合わせることができる。別の実施例では、除霜サイクルが日中に予想される場合、MLA6200は、占有率予測及び/又は使用パターンに基づいて、次の除霜サイクルは、エネルギー及び加熱水の需要が低い時間帯、例えば、占有率が低いか又はゼロであると予想される時間帯であると決定し、準備又は調節は必要ないと決定することができる。
【0085】
例えばヒートポンプの性能、天気予報、現在の気象状況、現在の室内温度、予想される占有率及び加熱水に対する需要などに基づいて、ヒートポンプの次の除霜サイクルを予測し、除霜サイクルが開始される前に水供給システムを予測的に準備することにより、本実施形態は、必要なヒートポンプの除霜サイクルを、加熱水の供給に支障の少ない方法で行うことができ、これにより、ヒートポンプを効果的な加熱水供給手段として利用することができる。
【0086】
冷水の提案
一実施形態では、占有者の水使用習慣を監視し、インタラクティブに変更する方法及びシステムが提供される。これらの方法は、MLA7200によって実施することができる。MLA7200は、MLA2200及び/又はMLA3200及び/又はMLA4200及び/又はMLA5200及び/又はMLA6200と同じMLAであってもよいし、異なるMLAであってもよい。訓練段階中に、MLA7200には、上述したように、通常の水使用パターンを確立するために、例えば家の占有者によって水使用に関するデータが提供される。また、MLA7200は、占有者によって設定された温度T1で加熱水を供給するために水出口が開けられるが、その後水がT1に加熱される前に水出口が閉められる、通常の使用パターンにおけるインスタンスを認識又は確認するように訓練することができる。これは、加熱水を供給するためにヒートポンプが使用される場合に特に関係がある。なぜなら、ヒートポンプを作動させると、水が熱エネルギー貯蔵媒体によって十分に加熱される前に、ヒートポンプによって抽出されたエネルギーがまず熱エネルギー貯蔵媒体を所望の動作温度まで加熱しなければならない場合があるからである。加熱水に対する需要に応じてヒートポンプが作動されるが、水が所望の温度まで加熱される前に水出口が閉められる場合、占有者は実際には加熱水を受け取らないため、ヒートポンプを動作させるために使用されるエネルギー(電気)が無駄になる。上記を考慮して、MLA7200は、1つのこのような持続時間が短いインスタンスが特定されると、1つ以上のエネルギー削減戦略を採用するように訓練することができる。
【0087】
図7を参照すると、S7001において、占有者が水出口の水温をT1に設定し、水出口を開ける。S7002において、制御モジュールは、例えば、1つ以上のセンサを用いて、水供給システムに供給する水源における水圧又は水流の変化を検出することにより、水出口が開いていると判断し、S7003において、制御モジュールは、MLA7200を実行して水出口の水温の変化を監視する。続いて、制御モジュールはS7004において、水出口が閉まっていると判断し、MLA7200はS7005において、水出口が開いている時間に水温が使用者によって設定されたT1に達したか否かを判定する。達した場合は、それ以上のアクションを行わずに終了する。
【0088】
S7005において、水出口が開いている時間に水温がT1に達していないと判定された場合、MLA7200は、1つ以上のエネルギー削減戦略を採用することができる。一実施形態では、MLA7200は、S7006において、水出口が閉められる前に水が事前設定された温度に達していないことを占有者に通知するための通知を生成するソフトウェア機能を開始する。MLA7200は、任意選択で、S7007においてイベントを記録することができる。
【0089】
その後の時間に、占有者は、再び同じ水出口の水温をT1に設定し、水出口を開けることができる。本実施形態では、水出口が開いていると判断する前又は判断した時に、MLA7200は、この水使用インスタンスを、使用者が水出口を閉める前に水温がT1に達する可能性が低い、持続時間が短いインスタンスと見なし、次にソフトウェア機能を開始して、使用者に水温をより低い温度T2に設定するか又は加熱水の代わりに冷水を使用するように促すプロンプト信号を生成する。プロンプト信号は、例えば、水出口又はその近くでの光の点滅、所定の音又はトーンの生成、言語プロンプト及び/又は視覚的プロンプト(例えば、メッセージ又は画像の再生)などであり得る。MLA7200は、確立された使用パターンに基づいてこのような持続時間が短いインスタンスを特定するか又は1つ以上の指標を使用してこのような持続時間が短いインスタンスを確認することができる。例えば、MLA7200は、水出口の位置又は加熱水が要求される時間を指標として使用することができる。他の例として、MLA7200は、トイレの水が流されてから補充されるときとその後の手洗いのための加熱水需要などの、このような持続時間が短い加熱水使用インスタンスの前の冷水使用インスタンスの相関を事前に決定し、このような冷水使用を指標として使用することができる。
【0090】
したがって、本実施形態によれば、占有者は、加熱水を要求としているにもかかわらず、水が温度まで加熱されるのに十分な時間水を使用していない事例に気付く。また、使用者は、必要ではないかもしれないときに水供給システムからの加熱水を要求することによってエネルギーを無駄にすることを避ける選択肢を有するように、持続時間が短い可能性が高い次のインスタンスでは加熱水の代わりに低温水又は冷水を使用するように促される。したがって、本実施形態は、エネルギー使用量を削減するために、占有者の加熱水使用習慣のインタラクティブな変更を可能にする。
【0091】
図8に示す他の相補的又は代替的な実施形態では、占有者はこの場合も先と同様に、S8001において水温をT1に設定し、水出口を開ける。制御モジュールがS8002において水出口が開いていると判断する前又は判断した時に、MLA7200は、この水使用インスタンスを持続時間が短いインスタンスと見なし、制御モジュールに水出口の温度設定をT1からより低い温度T2に変更させることにより、追加的又は代替的なエネルギー削減戦略を採用する。温度T2はT1より低い温度であるが依然として加熱されてもよく、又はT2は本管からの非加熱の冷水を表してもよい。制御モジュールの制御下で、水供給システムは、S8003において水出口に温度T2で水を出力する。
【0092】
したがって、本実施形態によれば、制御モジュールは、MLA7200が持続時間が短いインスタンスを確認すると積極的に水温を下げる。水温を下げることによって、水を加熱するのに必要なエネルギーが少なくなる。そうすることで、本実施形態では、加熱水が必要ない場合のエネルギー消費を削減する。
【0093】
図9に示すさらに別の相補的又は代替的な実施形態では、占有者はこの場合も先と同様に、S9001において水温をT1に設定し、水出口を開ける。制御モジュールがS9002において水出口が開いていると判断する前又は判断した時に、MLA7200は、この水使用インスタンスを持続時間が短いインスタンスと見なし、制御モジュールに水出口の流量をより低い流量に調節させることにより、追加的又は代替的なエネルギー削減戦略を採用する。制御モジュールの制御下で、水供給システムは、S9003において水出口により低い流量で水を出力する。
【0094】
したがって、本実施形態によれば、制御モジュールは、MLAが持続時間が短いインスタンスを確認すると積極的に水流を減らす。この実施形態は、水流を減らすことによって、加熱する必要がある水が少なくなり、使用される水の量を加熱するのに必要なエネルギーが少なくなるように、水を例えば電気発熱体によって加熱する場合に特に関連する。そうすることで、本実施形態は、水とエネルギーの両方の消費を削減する。
【0095】
漏れ警報
図10は、所定の建物の漏れ警報を出力するために一連のセンサデータを処理する、制御モジュール(例えば、制御モジュール110)上で実行されるMLA1200の一実施形態を概略的に示す。MLA1200は、MLA2200及び/又はMLA3200及び/又はMLA4200及び/又はMLA5200及び/又はMLA6200及び/又はMLA7200と同じMLAであってもよいし、異なるMLAであってもよい。
【0096】
MLA1200は、制御モジュールを介して、家の周りに配置された1つ以上のセンサ、1つ以上のユーザーインターフェース(例えば、制御モジュール、スマートデバイス、パーソナルコンピュータなどと通信する家の周りの制御パネル)、1つ以上のソフトウェアプログラム、1つ以上のパブリック及びプライベートデータベースなどを含む複数の入力から、家に固有の入力データを受信する。本実施形態では、MLA1200は、制御モジュール上で又は通信ネットワークを介して遠隔的に動作する時計及びカレンダー機能から現在の時刻及び日付1101を受信し、その後、確立されたユーティリティ使用パターン2300及び占有率予測3300を用いて、MLA1200は、現在の時刻及び日付に対して予想される水使用量を推定することができる。また、MLA1200は、例えば家への水道水入口で適切なセンサによって測定された、水道水入口温度1102、水道水の流量1103及び水道水の水圧1104などの入力を受信し、リアルタイムの水使用量を測定する。MLA1200はその後、予想使用量及びリアルタイムの使用量に基づいて、現在の水使用量が予想どおりであるか否かを判定し、現在の水使用量が予想使用量を超えている場合に、MLA1200は水漏れ警報1300を出力する。MLA1200は、現在の水使用量が予想使用量を超えているインスタンスがシステム内の水漏れ又は予想外の需要の増加、例えば天候の変化や占有率の増加と相関があるか否かを認識するように事前に訓練することができる。いくつかの実施形態では、MLA1200には、予想使用量を超える水使用量のレベルがそれを上回ると漏れと見なされる閾値を設けることができる。代わりに、MLA1200は、訓練段階中にこのような閾値を設定してもよいし、使用中に、例えば使用者フィードバックに基づいて閾値を調節してもよい。
【0097】
ユーティリティ使用パターンを確立し、そのパターンに照らして現在の水使用量を監視することにより、システム内の潜在的な水漏れを検出し、漏れがより深刻になる前に改善策又は是正措置を講じるように占有者に早期警報を与えることができる。
【0098】
上記の様々なMLAは、同じMLAを指す場合もあれば、異なるMLAを指す場合もある。複数のMLAが実装される場合、MLAの1つ又は一部又は全部が制御モジュール110上で実行されてもよく、MLAの1つ又は一部又は全部が適切な通信チャネルを介して制御モジュール110と通信するサーバ(例えば、クラウドサーバ)上で実行されてもよい。上記の実施形態は、任意の組み合わせで、並行して、又は所望の代替戦略として実施することができることは、当業者に理解されるであろう。
【0099】
当業者に理解されるように、本技術は、システム、方法又はコンピュータプログラム製品として具現化することができる。したがって、本技術は、完全にハードウェアの実施形態、完全にソフトウェアの実施形態、又はソフトウェアとハードウェアを組み合わせた実施形態の形を取ることができる。
【0100】
また、本技術は、具現化されたコンピュータ可読プログラムコードを有するコンピュータ可読媒体で具現化されたコンピュータプログラム製品の形を取ることができる。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読信号媒体又はコンピュータ可読記憶媒体であり得る。コンピュータ可読媒体は、例えば、これらに限定されないが、電子、磁気、光学、電磁気、赤外線又は半導体のシステム、装置又はデバイス、又はそれらの任意の好適な組み合わせであり得る。
【0101】
本技術の動作を実行するためのコンピュータプログラムコードは、オブジェクト指向プログラミング言語及び従来の手続き型プログラミング言語を含む、1つ以上のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述され得る。
【0102】
例えば、本技術の動作を実行するためのプログラムコードは、C又はアセンブリコードなどの従来のプログラミング言語(インタプリタ型又はコンパイラ型)のソースコード、オブジェクトコード又は実行可能コード、ASIC(特定用途向け集積回路)又はFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)をセットアップ又は制御するためのコード、又はVerilog(登録商標)又はVHDL(超高速集積回路ハードウェア記述言語)などのハードウェア記述言語用のコードを含むことができる。
【0103】
プログラムコードは、完全に使用者のコンピュータ上で、部分的に使用者のコンピュータ上でかつ部分的にリモートコンピュータ上で、又は完全にリモートコンピュータ又はサーバ上で実行することができる。後者のシナリオでは、リモートコンピュータは、あらゆるタイプのネットワークを介して使用者のコンピュータに接続することができる。コードコンポーネントは、プロシージャ、メソッドなどとして具現化することができ、ネイティブ命令セットの直接機械命令から高レベルのコンパイラ型言語又はインタープリタ型言語構造まで、任意の抽象化レベルで命令又は命令のシーケンスの形態を取り得るサブコンポーネントを含むことができる。
【0104】
また、本技術の好ましい実施形態による論理的方法の全部又は一部は、方法のステップを実行するための論理素子を含む論理装置において適切に具現化することができ、このような論理素子は、例えばプログラマブル論理アレイ又は特定用途向け集積回路における論理ゲートなどの構成要素を含むことができることも、当業者には明らかであろう。このような論理構成はさらに、例えば、固定又は送信可能なキャリア媒体を用いて記憶及び送信され得る仮想ハードウェア記述子言語を用いて、このようなアレイ又は回路において一時的又は永久的に論理構造を確立するための可能化要素において具現化することができる。
【0105】
本明細書に記載された例及び条件を含む表現は、読者が本技術の原理を理解するのを助けることを目的としており、本技術の範囲をそのような具体的に記載された例及び条件に限定するものではない。当業者であれば、本明細書に明示的に記載され又は示されていないが、それでもなお本技術の原理を具現化し、添付の特許請求の範囲によって定義される本技術の範囲内に含まれる様々な構成を考案することができることが理解されるであろう。
【0106】
また、理解の助けとして、上記の説明は、本技術の比較的単純化された実施を説明している可能性がある。当業者が理解するように、本技術の様々な実装はより複雑であり得る。
【0107】
場合によっては、本技術の修正の有用な例と考えられるものも提示されている可能性がある。これは単に理解の助けとして行われたものであり、繰り返しになるが、本技術の範囲を限定したり、限界を示したりするものではない。これらの修正は網羅的なリストではなく、当業者であれば、本技術の範囲内にとどまりながら、他の修正を行うことができる。また、修正の例が示されていない場合、いかなる修正も可能ではないと、及び/又は記載されているものが本技術のその要素を実施する唯一の方法であると解釈すべきではない。
【0108】
さらに、本技術の原理、態様及び実施ならびにそれらの具体例を記載する本明細書のすべての記述は、それらが現在知られているか又は将来開発されるかにかかわらず、それらの構造的な同等物と機能的な同等物の両方を包含することを意図している。したがって、例えば、本明細書のすべてのブロック図が本技術の原理を具体化する例示的な回路の概念図を示すことが、当業者には理解されるであろう。同様に、すべてのフローチャート、フロー図、状態遷移図、擬似コードなどは、コンピュータ可読媒体で実質的に表現されかつ、そのようなコンピュータ又はプロセッサが明示的に示されているか否かにかかわらず、コンピュータ又はプロセッサによって実行され得る様々なプロセスを表すことが理解されるであろう。
【0109】
「プロセッサ」とラベル付けされたあらゆる機能ブロックを含む、図に示された様々な要素の機能は、専用のハードウェア及び適切なソフトウェアと共同してソフトウェアを実行することができるハードウェアの使用を通じて提供され得る。プロセッサによって提供される場合、機能は、単一の専用プロセッサによって、単一の共有プロセッサによって、又は複数の個別のプロセッサ(その一部は共有され得る)によって提供され得る。また、「プロセッサ」又は「コントローラ」という用語の明示的な使用は、ソフトウェアを実行することができるハードウェアのみを指すと解釈されるべきではなく、デジタル信号プロセッサ(DSP)ハードウェア、ネットワークプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、ソフトウェアを保存するための読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、及び不揮発性記憶装置を暗黙的に含み得るが、これらに限定されるものではない。従来及び/又はカスタムの他のハードウェアも含まれ得る。
【0110】
ソフトウェアモジュール、又は単にソフトウェアであることが暗示されているモジュールは、本明細書では、プロセスステップの実行及び/又はテキスト記述を示すフローチャート要素又は他の要素の任意の組み合わせとして表され得る。このようなモジュールは、明示的又は暗黙的に示されているハードウェアによって実行することができる。
【0111】
本技術の範囲から逸脱することなく、前述の例示的な実施形態に対して多くの改良及び修正を行うことができることは、当業者には明らかであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10