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特許7531727データベースのチャネル情報を評価する方法、通信デバイス、データベース、及び無線通信システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-01
(45)【発行日】2024-08-09
(54)【発明の名称】データベースのチャネル情報を評価する方法、通信デバイス、データベース、及び無線通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04W 24/02 20090101AFI20240802BHJP
   H04W 4/42 20180101ALI20240802BHJP
   H04W 16/18 20090101ALI20240802BHJP
【FI】
H04W24/02
H04W4/42
H04W16/18 110
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023554228
(86)(22)【出願日】2021-11-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-01
(86)【国際出願番号】 JP2021041440
(87)【国際公開番号】W WO2022185621
(87)【国際公開日】2022-09-09
【審査請求日】2023-05-17
(31)【優先権主張番号】21305250.9
(32)【優先日】2021-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503163527
【氏名又は名称】ミツビシ・エレクトリック・アールアンドディー・センター・ヨーロッパ・ビーヴィ
【氏名又は名称原語表記】MITSUBISHI ELECTRIC R&D CENTRE EUROPE B.V.
【住所又は居所原語表記】Capronilaan 46, 1119 NS Schiphol Rijk, The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】シベル、ジャン-クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ボリスキン、アルテム
(72)【発明者】
【氏名】シャラフ、アクル
(72)【発明者】
【氏名】リ、キャンルイ
【審査官】米倉 明日香
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/058818(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/037669(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0305232(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
データベース(DB)のDBチャネル情報を評価する方法であって、前記DBチャネル情報は、ターゲットエリアに関連付けられ、1つ以上の通信デバイスに提供される前記ターゲットエリアにおける無線通信チャネルの予想される特性を表し、前記方法は、
処理回路が、前記DBチャネル情報の全て又は一部を前記データベースから取得することと、
前記処理回路が、前記ターゲットエリアにおいて第1の通信デバイスが経験する前記無線通信チャネルの特性を表す観測チャネル情報を取得することと、
前記処理回路が、前記DBチャネル情報と前記観測チャネル情報とを比較することによって前記ターゲットエリアの前記DBチャネル情報の信頼性指標を計算し、前記信頼性指標のタイミング情報を求めることと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記第1の通信デバイス及び/又は1つ以上の他の通信デバイスが、前記ターゲットエリアにおける前記無線通信チャネルの特性のその後の推定に前記信頼性指標及び前記タイミング情報を使用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記データベースとは別個の前記処理回路が、前記信頼性指標及び前記タイミング情報を前記データベースに送信することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記データベースが前記信頼性指標に基づいて前記DBチャネル情報を更新することと、
前記データベースが、前記DBチャネル情報、前記信頼性指標及び前記タイミング情報を、前記ターゲットエリアに位置する通信デバイス及び/又は前記ターゲットエリアに移動している通信デバイスに送信することと、
前記ターゲットエリアに位置する通信デバイス及び/又は前記ターゲットエリアに移動している通信デバイスへの前記DBチャネル情報の送信を一時的に中断することと、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の通信デバイスに組み込まれた前記処理回路が、前記信頼性指標及び前記タイミング情報を、前記ターゲットエリアに位置する他の通信デバイス及び/又は前記ターゲットエリアに移動している他の通信デバイスに送信することを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記ターゲットエリア内のそれぞれの異なる位置に関連付けられた複数の信頼性指標が計算され、前記複数の信頼性指標にそれぞれ関連付けられた複数のタイミング情報が求められる、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記ターゲットエリア内の通信デバイスが、前記信頼性指標、前記DBチャネル情報及び前記観測チャネル情報に基づいて、前記無線通信チャネルの特性を予測することを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記無線通信チャネルの特性を予測することは、前記信頼性指標に関連付けられた前記タイミング情報と、予測が行われる所定の時刻とに更に基づいている、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ターゲットエリア内の通信デバイスが、前記信頼性指標に基づいて、
前記通信デバイスの無線通信チャネル推定周期を調整することと、
前記DBチャネル情報に基づいて前記無線通信チャネルの特性を予測することから、前記観測チャネル情報に基づいて前記無線通信チャネルの特性を予測することに切り替えることと、
前記ターゲットエリアにおける通信に使用される変調符号化方式を選択することと、
前記ターゲットエリアにおける通信に使用される無線周波数リソースを選択することと、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記DBチャネル情報及び/又は前記観測チャネル情報は、前記ターゲットエリア内の少なくとも1つの位置に関連付けられた少なくとも1つのチャネル電力遅延プロファイルを含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
無線通信モジュールと処理回路とを備える通信デバイスであって、
前記処理回路は、
データベース(DB)のDBチャネル情報であって、ターゲットエリアにおける無線通信チャネルの予想される特性を表す、DBチャネル情報の全て又は一部を前記データベースから取得することと、
前記ターゲットエリアにおいて前記無線通信モジュールによって経験される前記無線通信チャネルの特性を表す観測チャネル情報を求めることと、
前記DBチャネル情報と前記観測チャネル情報を比較することによって前記DBチャネル情報の信頼性指標を計算し、前記信頼性指標のタイミング情報を求めることと、
を行うように構成される、通信デバイス。
【請求項12】
前記処理回路は、
前記信頼性指標及び前記タイミング情報を、前記ターゲットエリアにおける前記無線通信チャネルの特性のその後の推定及び/又は予測に使用することと、
前記信頼性指標及び前記タイミング情報を前記データベースに送信することと、
前記信頼性指標及び前記タイミング情報を、前記ターゲットエリアに位置する他の通信デバイス及び/又は前記ターゲットエリアに移動している他の通信デバイスに送信することと、
のうちの少なくとも1つを行うように更に構成される、請求項11に記載の通信デバイス。
【請求項13】
少なくとも1つの無線通信モジュールと、処理回路と、データ記憶モジュールとを備えるデータベース(DB)であって、
前記データ記憶モジュールは、ターゲットエリアに関連付けられたDBチャネル情報を記憶し、前記DBチャネル情報は、1つ以上の通信デバイスに提供される前記ターゲットエリアにおける無線通信チャネルの予想される特性を表し、
前記データ記憶モジュールは、信頼性指標と、前記信頼性指標のタイミング情報とを更に記憶し、前記信頼性指標は、前記DBチャネル情報と、前記ターゲットエリアにおいて通信デバイスによって経験される前記無線通信チャネルの特性を表す観測チャネル情報との間の比較の結果得られるものであり、
前記処理回路は、前記無線通信モジュールを介して前記DBチャネル情報の全て又は一部、前記信頼性指標及び前記タイミング情報を、前記ターゲットエリアに位置する通信デバイス及び/又は前記ターゲットエリアに移動している通信デバイスに送信するように構成される、データベース。
【請求項14】
少なくとも1つのデータベースと複数の通信デバイスとを備える無線通信システムであって、前記データベース(DB)は、ターゲットエリアに関連付けられたDBチャネル情報を含み、前記DBチャネル情報は、前記通信デバイスのうちの1つ以上に提供される前記ターゲットエリアにおける無線通信チャネルの予想される特性を表し、前記データベース及び前記通信デバイスは、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法を実行するように構成される、無線通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、デジタル電気通信システムに関し、より具体的には、データベース支援による無線通信チャネルの特性の推定を使用する無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
データベース(DB)支援は、ナビゲーションサービス及び無線通信サービスにおいて日常的に使用されている。DB支援サービスは、通常、空間及び時間におけるユーザの経験に関する統計データに依存する。この統計データは、関係があると考えられる或る地理的エリアにおける個々のユーザの経験の加重平均として構築される。この統計データは、その後、推奨データとして使用されることもあるし、同じ地理的エリアをその後に通過する他のユーザへのデータとして使用されることもある。この手法により、ユーザは、他のユーザに役立つDBに寄与することができる。
【0003】
このようなDB支援サービスは、例えば、CBTC(無線式列車制御)等の列車通信において、無線通信チャネルの特性を表すチャネル情報のような情報を、ジオキャッシング(鉄道線路に沿って分散されたデータベース)を使用して分散することが検討されている。これによって、列車の通信デバイスは、その地理的エリアに関連付けられたDBチャネル情報を有するDBが存在する特定の地理的エリアに接近しているときに、DBから取得されるDBチャネル情報によって支援される処理の複雑さを制限しながら、ローカル環境条件に適応する方法でいくつかの処理を実行することができる。
【0004】
V2X(ビークルツーエブリシング)通信等の車両通信では、DB支援サービスは、例えば、道路内管理等の、ローカルイベントが隣接する車両に報告される用途に使用することができる。例えば、DBは、道路管理者、車両センサ、道路ユーザ等(例えばWaze(商標)、Google(商標)Traffic)からの所与の地理的エリアにおける交通状況に関係したデータを含むことができる。緊急時のDB支援サービスでは、DBは、事故の詳細についてのデータを含むことができる。
【0005】
既存のDB支援サービスの限界は、特に、地理的エリアにおける環境のリアルタイムの変化が「通常」のユースケースのシナリオから外れた例外的なイベントに関係しているときに、既存のDBに含まれる統計データがその変化を反映しきれない点にある。
【0006】
実際、環境を一時的に変更する例外的なイベントの場合に、DBに含まれる情報は、一時的に古くなっている場合がある。例えば、車両と信号源との間の道路に最近トラックが駐車したこと、又は列車と信号源との間の鉄道線路に新規の工事が行われたことは、無線通信チャネルの特性(例えば、チャネル電力遅延プロファイル)を大幅に変化させる例である。
【0007】
これらの変化は予期されず、また、あまりにも突然であるのでDBチャネル情報更新の際に考慮することができないことから、DBチャネル情報にはそれらの変化を反映することができない。その上、変化が短命であるので、DBチャネル情報もそれに応じて更新することができない(及び、ほとんどの場合に、それに応じて更新されないはずである)。そのような変化の長期にわたる作用を考えたとき、これらの作用は時間によって平滑化されるので、大きな影響はない。一方、そのような変化の短期間の作用を考えたとき、影響を受ける通信デバイス(すなわち、DBチャネル情報に依存する通信デバイス)は、通信性能の低下を経験することになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本開示は、上記状況を改善することを目的とする。特に、本開示は、DBチャネル情報の妥当性に影響を与える一時的な変化を検出することを可能にするとともに、いくつかの実施の形態において、通信デバイス及び/又はデータベースが一時的な変化に対処するようにそれらの挙動を調整することを可能にする解決策を提案することによって、上述した従来技術の限界のうちの少なくともいくつかを克服することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的のために、第1の態様によれば、本開示は、データベース(DB)チャネル情報を評価する方法であって、このDBチャネル情報は、ターゲットエリアに関連付けられ、1つ以上の通信デバイスに提供されるターゲットエリアにおける無線通信チャネルの予想される特性を表し、本方法は、
処理回路が、DBチャネル情報の全て又は一部をデータベースから取得することと、
処理回路が、ターゲットエリアにおいて第1の通信デバイスが経験する無線通信チャネルの特性を表す観測チャネル情報を取得することと、
処理回路が、DBチャネル情報と観測チャネル情報とを比較することによってターゲットエリアのDBチャネル情報の信頼性指標を計算し、この信頼性指標のタイミング情報を求めることと、
を含む、方法に関する。
【0010】
したがって、方法は、DBがDBチャネル情報を含むターゲット(地理的)エリアにいる第1の通信デバイスが経験する無線通信チャネルの現在の特性を表す観測チャネル情報に依存する。観測チャネル情報は、DBチャネル情報を使用することなく、ターゲットエリアにおいて行われた測定に基づいて求められる無線通信チャネルの現在の特性の推定値に対応する。無線通信チャネルの特性に影響を与える一時的な変化がターゲットエリアに存在する場合には、それらの変化は、観測チャネル情報によって反映される。
【0011】
例えば第1の通信デバイス等に配置することができる処理回路は、その後、DBチャネル情報と、第1の通信デバイスによって求められる観測チャネル情報とを比較することによって信頼性指標を計算する。信頼性指標を計算するために、処理回路は、DBチャネル情報を、観測チャネル情報と直接比較することもできるし、DBチャネル情報及び観測チャネル情報のそれぞれに基づいて計算されたパラメータを直接比較することによって間接的に比較することもできることを強調しておく。
【0012】
信頼性指標は、DBチャネル情報が、ターゲットエリアにおいて現在経験している無線通信チャネルの観測特性(第1の通信デバイスによって推定される)にどの程度匹敵するのかを表す。例えば、信頼性指標は、ターゲットエリア内の所与の位置について、0と1との間のスカラー値とすることができる。例えば、信頼性指標は、DBチャネル情報が観測チャネル情報と一致する場合には1とし、それらの間に不一致がある場合には0とすることもできるし、逆に、不一致がある(DBチャネル情報が信頼できない)場合に1とし、それらが一致する(DBチャネル情報が信頼できる)場合に0とすることもできる。
【0013】
目標は、例えばデータベースの一時的な障害又はターゲットエリアにおける無線通信チャネルの特性の一時的な変化に起因して、DBチャネル情報が信頼できなくなる時を検出することであるので、タイミング情報は処理回路によって求められる。例えば、タイミング情報は、観測チャネル情報が第1の通信デバイスによって求められた時刻、信頼性指標が古いとみなされる期限等を含むことができる。タイミング情報に基づいて、例えば、新たな観測チャネル情報に基づいて別の信頼性指標を計算すべき時を判断すること、信頼性指標がDBチャネル情報が現在信頼できないことを示している場合に、対策をどの程度の期間実施する必要があるのかを判断すること、信頼できないDBチャネル情報を表す信頼性指標がそれぞれ別の時刻に計算され、検出された進行中の変化の継続時間が更新をトリガーする所定の継続時間を超えていることを強調した場合にDBチャネル情報の更新を決定すること等が可能である。
【0014】
したがって、信頼性指標及び関連付けられたタイミング情報は、例えばデータベースの一時的な障害又はターゲットエリア内の環境の一時的な変化に起因して、DBチャネル情報が信頼できなくなる時を検出するとともに、それに応じて通信デバイスの挙動及び/又はデータベースの挙動を調整するのに使用することができる。
【0015】
特定の実施の形態において、方法は、単独又は任意の技術的に可能な組み合わせのいずれかで考慮される以下の特徴のうちの1つ以上を更に含むことができる。
【0016】
特定の実施の形態において、方法は、第1の通信デバイス及び/又は1つ以上の他の通信デバイスが、ターゲットエリアにおける無線通信チャネルの特性のその後の推定及び/又は予測に信頼性指標及びタイミング情報を使用することを含む。
【0017】
特定の実施の形態において、処理回路はデータベースとは別個であり、方法は、信頼性指標及びタイミング情報をデータベースに送信することを含む。
【0018】
特定の実施の形態において、方法は、
データベースが信頼性指標に基づいてDBチャネル情報を更新することと、
データベースが、DBチャネル情報、信頼性指標及びタイミング情報を、ターゲットエリアに位置する通信デバイス及び/又はターゲットエリアに移動している通信デバイスに送信することと、
ターゲットエリアに位置する通信デバイス及び/又はターゲットエリアに移動している通信デバイスへのDBチャネル情報の送信を一時的に中断することと、
のうちの少なくとも1つを含む。
【0019】
特定の実施の形態において、処理回路は第1の通信デバイスに組み込まれ、方法は、信頼性指標及びタイミング情報を、ターゲットエリアに位置する他の通信デバイス及び/又はターゲットエリアに移動している他の通信デバイスに送信することを含む。
【0020】
特定の実施の形態において、ターゲットエリア内のそれぞれの異なる位置に関連付けられた複数の信頼性指標が計算され、複数の信頼性指標にそれぞれ関連付けられた複数のタイミング情報が求められる。
【0021】
特定の実施の形態において、方法は、ターゲットエリアにおける通信デバイスが、この通信デバイス又は例えば別の通信デバイスによって求めることができる信頼性指標、DBチャネル情報及び観測チャネル情報に基づいて、無線通信チャネルの特性を予測することを含む。
【0022】
特定の実施の形態において、無線通信チャネルの予測された特性を求めることは、信頼性指標に関連付けられたタイミング情報と、予測が行われる所定の時刻とに更に基づいている。
【0023】
特定の実施の形態において、方法は、ターゲットエリア内の通信デバイスが、信頼性指標に基づいて、
通信デバイスの無線通信チャネル推定周期を調整することと、
DBチャネル情報に基づいて無線通信チャネルの特性を予測することから、観測チャネル情報に基づいて無線通信チャネルの特性を予測することに切り替えることと、
ターゲットエリアにおける通信に使用される変調符号化方式を選択することと、
ターゲットエリアにおける通信に使用される無線周波数リソースを選択することと、
のうちの少なくとも1つを含む。
【0024】
特定の実施の形態において、DBチャネル情報及び/又は観測チャネル情報は、ターゲットエリア内の少なくとも1つの位置に関連付けられた少なくとも1つのチャネル電力遅延プロファイルを含む。
【0025】
第2の態様によれば、本開示は、無線通信モジュールと処理回路とを備える通信デバイスであって、
処理回路は、
データベース(DB)チャネル情報であって、ターゲットエリアにおける無線通信チャネルの予想される特性を表す、DBチャネル情報の全て又は一部をデータベースから取得することと、
ターゲットエリアにおいて無線通信モジュールが経験する無線通信チャネルの特性を表す観測チャネル情報を求めることと、
DBチャネル情報と観測チャネル情報を比較することによってDBチャネル情報の信頼性指標を計算し、この信頼性指標のタイミング情報を求めることと、
を行うように構成される、通信デバイスに関する。
【0026】
特定の実施の形態において、通信デバイスの処理回路は、
信頼性指標及びタイミング情報を、ターゲットエリアにおける無線通信チャネルの特性のその後の推定及び/又は予測に使用することと、
信頼性指標及びタイミング情報をデータベースに送信することと、
信頼性指標及びタイミング情報を、ターゲットエリアに位置する他の通信デバイス及び/又はターゲットエリアに移動している他の通信デバイスに送信することと、
のうちの少なくとも1つを行うように更に構成される。
【0027】
第3の態様によれば、本開示は、少なくとも1つの無線通信モジュールと、処理回路と、データ記憶モジュールとを備えるデータベース(DB)であって、データ記憶モジュールは、ターゲットエリアに関連付けられたDBチャネル情報を記憶し、DBチャネル情報は、1つ以上の通信デバイスに提供されるターゲットエリアにおける無線通信チャネルの予想される特性を表し、
データ記憶モジュールは、信頼性指標と、信頼性指標のタイミング情報とを更に記憶し、信頼性指標は、DBチャネル情報と、ターゲットエリアにおいて通信デバイスが経験する無線通信チャネルの特性を表す観測チャネル情報との間の比較の結果得られるものであり、
処理回路は、無線通信モジュールを介してDBチャネル情報の全て又は一部、信頼性指標及びタイミング情報を、ターゲットエリアに位置する通信デバイス及び/又はターゲットエリアに移動している通信デバイスに送信するように構成される、データベースに関する。
【0028】
第4の態様によれば、本開示は、少なくとも1つのデータベースと複数の通信デバイスとを備える無線通信システムであって、データベース(DB)は、ターゲットエリアに関連付けられたDBチャネル情報を含み、DBチャネル情報は、通信デバイスのうちの1つ以上に提供されるターゲットエリアにおける無線通信チャネルの予想される特性を表し、DB及び通信デバイスは、本開示の実施の形態のいずれか1つによる方法を実行するように構成される、無線通信システムに関する。
【0029】
第5の態様によれば、本開示は、プロセッサによって実行されると、本開示の実施の形態のいずれか1つによる方法を実行するようにプロセッサを構成する命令を備えるコンピュータプログラム製品に関する。
【0030】
第6の態様によれば、本開示は、プロセッサによって実行されると、本開示の実施の形態のいずれか1つによる送信方法を実行するようにプロセッサを構成する命令を備えるコンピュータ可読記憶媒体に関する。
【0031】
本発明は、以下の説明を読むことでより良く理解される。以下の説明は、決して限定的なものではなく一例として与えられ、図に関して作成されている。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】データベース支援無線通信チャネル推定を用いて通信システムにおいてデータベースチャネル情報を評価する方法の主要なステップを表す図である。
図2】データベースがDBチャネル情報を含むターゲットエリアの内外に移動する無線通信システムの通信デバイスを示す図である。
図3図1の方法の一例示的な実施形態の主要なステップを表す図である。
図4図1の方法の一例示的な実施形態の主要なステップを表す図である。
図5図1の方法の一例示的な実施形態の主要なステップを表す図である。
図6】好ましい実施形態による通信デバイスの概略図である。
図7】好ましい実施形態によるデータベースの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
これらの図において、図にわたって同一の参照符号は、同一又は類似の要素を示す。明瞭にするために、図示した要素は、特段の明示の指定がない限り、一律の縮尺でない。
【0034】
上で示されているように、本開示は、無線通信チャネルの特性のデータベース支援推定を使用する無線通信システムに関する。
【0035】
上述したように、データベース(DB)30は、少なくとも1つのターゲットエリアSに関連付けられたDBチャネル情報を含むと仮定される。ターゲットエリアSは、複数の通信デバイス20が経時的にこのターゲットエリアS内に移動する場合があるという意味で、対象となる地理的エリアに対応する。
【0036】
DB30内のDBチャネル情報は、上記ターゲットエリアSにおける無線通信チャネルの予想される特性を表す。このDBチャネル情報は、上記ターゲットエリアSに位置するか又は上記ターゲットエリアS内に移動する可能性がある1つ以上の通信デバイス20に提供されることになる。
【0037】
DBチャネル情報、及びこの情報が表す特性は、通信デバイス20がターゲットエリアSにおいて自身の通信設定を調整するのに有用である、当該ターゲットエリアSにおいて経験される無線通信チャネルに関係した任意のタイプの情報とすることができる。例えば、DBチャネル情報は、チャネル電力遅延プロファイル等の無線通信チャネルのモデル、異なる無線周波数リソースにおけるフェージングレベル、異なる無線周波数リソースにおける干渉レベル、瞬時無線通信チャネルの1つ以上の以前の推定値等とすることができる。
【0038】
換言すれば、DBチャネル情報は、ターゲットエリアSにおける通信デバイス20の動作を容易にするために通信デバイス20に提供することができる、ターゲットエリアSにおける無線通信チャネルの特性の事前知識に対応する。
【0039】
DB30がDBチャネル情報を含む無線通信チャネルは、2つの通信デバイス20のうちの少なくとも一方がターゲットエリアSに位置するこれらの2つの通信デバイス20の間のチャネルに対応する。
【0040】
例えば、好ましい実施形態において、通信デバイス20のうちの一方は、ターゲットエリアSの内部、又は、ターゲットエリアSの外部であるが、ターゲットエリアS内の通信デバイス20と通信可能な箇所に配置することができる固定通信デバイス、例えば、基地局又はアクセスポイントとすることができる。他方の通信デバイス20は、例えばターゲットエリアSを通って移動することができる例えばモバイル通信デバイス20とすることができる。ターゲットエリアS内の所与の位置について、固定通信デバイス20とターゲットエリアS内のこの位置との間の無線通信チャネルのいくつかの特性は、固定通信デバイス20とターゲットエリアS内の1つ以上の位置との間のこの無線通信チャネルのDBチャネル情報を定義するために有用なものとすることができるように、経時的にほぼ変化しないものとすることができる。
【0041】
ただし、2つのモバイル通信デバイス20の間の無線通信チャネルを検討することも可能である。例えば、2つのモバイル通信デバイス20が、それらの間に所定の空間配置を伴ってターゲットエリアS内を移動する場合に、無線通信チャネルのいくつかの特性は、他の2つのモバイル通信デバイス20がそれらの間に同じ所定の空間配置を伴ってターゲットエリアSを通って移動する場合についても適用することもできる。したがって、ターゲットエリアS内の1つ以上の位置について、モバイル通信デバイス20の間のそのような所定の空間配置に関連付けられた無線通信チャネルのDBチャネル情報を定義することは有用である。例えば、モバイル通信デバイス20を、同じ道路上を走行するそれぞれの車両内に組み込んで、それらの間に所定の固定距離を維持するように制御することができる。そのような場合には、モバイル通信デバイス20のターゲットエリアS内のそれぞれの位置は、所定の空間配置によって制約される(一方の通信デバイス20の所与の位置について、他方の通信デバイス20の位置は、その空間配置、すなわち道路及び固定距離によって制約される)。
【0042】
したがって、より一般的に言えば、DBチャネル情報は、異なる通信デバイス20によって連続的に経験される無線通信チャネルに関係するものである。なぜならば、DBチャネル情報は、同じ固定通信デバイス20(基地局/アクセスポイント)との通信に関係するものであるか、又は、両者間に所定の空間配置を有する2つのモバイル通信デバイス20の間の通信に関係し、その空間配置が、他の通信デバイス20等によって再現される可能性があるものであるからである。
【0043】
したがって、DB30は、DBチャネル情報の全て又は一部を、当該DBチャネル情報によって表される特性と同様の特性を有する無線通信チャネルをターゲットエリアSにおいて経験すると予想される1つ以上の通信デバイス20に提供する。
【0044】
次に、DB30が通信デバイス20と別個のものである場合について非限定的に検討することにする。これは、DBチャネル情報が、任意の適した通信プロトコルを使用して、DB30によって送信され、通信デバイス20によって受信されることを意味する。この通信プロトコルは、DBチャネル情報が定義される無線通信チャネルに関して使用される通信プロトコル(CBTP、V2X、WiFi(商標)、4G、5G等)と異なるものとすることができる。
【0045】
ただし、他の例では、DB30を例えば通信デバイス20に組み込むことができ、各通信デバイス20はそれ自身のデータベース30を有することができることを強調しておく。換言すれば、通信デバイス20は、当該通信デバイス20のローカルDB30から必要とされたときに取り出すことができるDBチャネル情報を用いて事前に構成される。
【0046】
図1は、ターゲットエリアSのデータベースに含まれるDBチャネル情報を評価する方法10の主要なステップを概略的に表している。基本的に、方法10は、一時的な変化がDBチャネル情報の妥当性に影響を与えるか否かを評価することを目的とする。そのような評価によって、無線通信チャネル特性のデータベース支援推定の性能が改善される。
【0047】
図1に示すように、上記方法10は、処理回路21によって実行される以下のステップを含む。
-DBチャネル情報の全て又は一部をDB30から取得するステップS10、
-ターゲットエリアSにおいて第1の通信デバイス20-1が経験する無線通信チャネルの特性を表す観測チャネル情報を取得するステップS11、
-DBチャネル情報と観測チャネル情報とを比較することによってDBチャネル情報の信頼性指標を計算し、この信頼性指標のタイミング情報を求めるステップS12。
【0048】
例えば、処理回路21は、1つ以上のプロセッサと、コンピュータプログラム製品が、方法10のステップの全て又は一部を実施するために実行される一組のプログラムコード命令の形で記憶される記憶手段(磁気ハードディスク、ソリッドステートディスク、光ディスク、電子メモリ等)とを備える。代替的に、又はこれと組み合わせて、処理回路21は、方法10の上記ステップの全て又は一部を実施するように適合された1つ以上のプログラマブルロジック回路(FPGA、PLD等)、及び/又は1つ以上の専用集積回路(ASIC)、及び/又は一組の離散電子構成要素等を備えることができる。
【0049】
好ましい実施形態において、処理回路21は、第1の通信デバイス20-1に組み込まれる。そのような場合には、DBチャネル情報を取得するステップS10は、DB30によって送信されるDBチャネル情報を受信することとすることができる。また、観測チャネル情報を取得するステップS11は、ターゲットエリアSにおいて行われた測定を使用することによって(及びDBチャネル情報を使用することなく)、無線通信チャネルの特性の推定値の処理回路21による実際の計算に対応することができる。
【0050】
ただし、他の例では、処理回路21をDB30に組み込むことも可能であるし(この場合、DB30は、第1の通信デバイス20-1によって送信される観測チャネル情報を受信する)、又は、処理回路21が無線通信チャネルを介して通信を行うことになっておらず、信頼性指標を計算することにのみDBチャネル情報を使用するという意味で通信デバイス20とは別個の専用デバイスに組み込むことも可能である。
【0051】
次に、信頼性指標を計算する処理回路21が、第1の通信デバイス20-1、すなわち、観測チャネル情報を計算する通信デバイス20に組み込まれることを非限定的に検討する。
【0052】
上述したように、信頼性指標は、DBチャネル情報が観測チャネル情報にどの程度匹敵するのか、すなわち、DBチャネル情報がターゲットエリアSにおいて第1の通信デバイス20-1が現在経験している無線通信チャネルの実際の特性にどの程度匹敵するのかを表す。好ましくは、信頼性指標は、0と1との間のスカラー値とすることができる。実際、信頼性指標のそのようなフォーマットは、単純であるとともに、(例えば、異なる製造業者等によって製造された)異なる実施設定を有する場合がある異なる通信デバイス20によって理解することができるという点で有利である。換言すれば、そのような単純なフォーマットによって、異なる実施態様間での相互運用が容易になる。
【0053】
次に、信頼性指標が、DBチャネル情報が観測チャネル情報と一致する場合には1であり、それらの間に不一致がある場合には0であるものと非限定的に仮定することにする。もちろん、全ての通信デバイス20及びデータベース30が、所与の信頼性指標にどのコンベンションが使用されているのかを知ることができる限り、他のコンベンションを考慮することができる。
【0054】
好ましくは、処理回路21は、信頼性指標のタイミング情報も求める。例えば、タイミング情報は、観測チャネル情報が第1の通信デバイス20によって推定された時刻、信頼性指標が古いとみなされることになる満了時刻等を含むことができる。この場合も、全ての通信デバイス20及びデータベース30が、所与のタイミング情報にどの決まり事が使用されているのかを知ることができる限り、任意の決まり事をタイミング情報に使用することができる。
【0055】
次に、タイミング情報が、観測チャネル情報が第1の通信デバイス20-1によって推定された時刻に対応するものと非限定的に仮定することにする。
【0056】
信頼性指標、及び関連付けられたタイミング情報は、ターゲットエリアS、すなわちターゲットエリアSの位置に関連付けられる。もちろん、無線通信チャネルの特性が、ターゲットエリアSの内部で変化する場合には、ターゲットエリアS内の異なる位置について、DBチャネル情報を定義し、観測チャネル情報を計算するとともに、ターゲットエリアS内のこれらの異なる位置にそれぞれ関連付けられた異なる信頼性指標を計算することが可能である。そのような場合には、信頼性指標は、好ましくは、第1の通信デバイス20-1が、信頼性指標の計算に使用される観測チャネル情報を推定した無線通信チャネルを経験した位置に関連付けられる。したがって、タイミング情報及びターゲットエリアS内の位置の双方を信頼性指標に関連付けることができる。
【0057】
信頼性指標、及び関連付けられたタイミング情報は、例えば、以下のことに使用することができる。
-DBチャネル情報も受信するターゲットエリアS内の通信デバイス20(第1の通信デバイス20-1を含む)による無線通信チャネルの特性のその後の推定、
-DB30によるDBチャネル情報の更新、及び/又は、信頼性指標が、DBチャネル情報が一時的に信頼できないことを示す場合に、DB30によるDBチャネル情報の送信の一時的な中断、
-通信デバイス20によってターゲットエリアSにおける通信に使用される通信設定(変調符号化方式、無線周波数リソース等)の選択等。
【0058】
図2は、DB30と複数の通信デバイス20とを備える無線通信システムを概略的に表している。
【0059】
より具体的には、それぞれ20-1、20-2及び20-3として参照される3つのモバイル通信デバイス20が図2に表されている。図2では、通信は、ターゲットエリアSにおいて、モバイル通信デバイス20-1、20-2、20-3のそれぞれと、図2に表されていない固定通信デバイスとの間で行われる。
【0060】
また、図2は、時空間平面における一連のイベントも表している。明瞭にするために、ターゲットエリアSは、位置x とx との間の一次元xに沿って広がるものと仮定されている。もちろん、ターゲットエリアSは、より複雑なものとすることができ、2D平面内又は3D体積内の位置によって定義することができる。ただし、ターゲットエリアSのそのような1D表現は、例えば、ターゲットエリアSが、道路(例えば、通信デバイス20が自動車又はトラックに組み込まれる)の一部分、鉄道線路(例えば、通信デバイス20が列車又は同じ列車の異なる貨車に組み込まれる)の一部分に対応するときにも使用することができる。DB30は、例示を目的として図2に表されているにすぎず、図2における位置は、時空間平面内の位置として理解されるべきではない。
【0061】
図2からわかるように、通信デバイス20-1、20-2及び20-3は、時空間平面におけるそれらのそれぞれの軌道に対応する矢印として表されている。
【0062】
図2は、時間とともに連続的に発生する5つのイベントE1、E2、E3、E4及びE5を概略的に表している。
【0063】
時刻t(イベントE1)において、(第1の)通信デバイス20-1は、ターゲットエリアSに入る前に、図2にIDBで示されるDBチャネル情報をDB30から受信する。
【0064】
時刻t(イベントE2)において、通信デバイス20-1は、ターゲットエリアS内に移動しており、ターゲットエリアS内の現在の位置x において行われた測定に基づくチャネル情報を取得する。観測チャネル情報は、
【数1】
で示される。IDB及び
【数2】
に基づいて、通信デバイス20-1は、図2
【数3】
で示されるターゲットエリアS内の位置x の信頼性指標を計算することができる。簡単な場合には、信頼性指標は、IDB
【数4】
との間の差、すなわち、
【数5】
とすることができる(他の例は以下で提供する)。
【0065】
もちろん、信頼性指標が、DBチャネル情報が信頼できることを示している場合には、計算された信頼性指標及びそのタイミング情報を更に使用する必要はない。図2に示す例では、計算された信頼性指標が、DBチャネル情報が信頼できないことを示しており、そのため、対策を適用することができると仮定する。例えば、信頼性指標は、そのような対策をトリガーするのに使用することができ、タイミング情報は、この対策がどのくらい長く適用されるべきであるのかを判断するのに使用することができる。
【0066】
図2に示す例では、時刻t(イベントE3)において、通信デバイス20-1は、信頼性指標ρを(好ましくは、時刻tに対応することができるタイミング情報とともに)DB30に送信する。この例では、DB30がDBチャネル情報を更新すると仮定され、更新されたDBチャネル情報は、図2ではI’DBで示されている。例えば、更新されたDBチャネル情報I’DBは、
【数6】
とすることもできるし、
【数7】
とIDBとを組み合わせたものとすることもできる。もちろん、他の例では、DBチャネル情報を更新する代わりに、DB30は、タイミング情報tに基づいてDBチャネル情報の送信を一時的に中断することもできるし、DBチャネル情報IDBと、信頼性指標ρ及びそのタイミング情報(又は信頼性指標及びそのタイミング情報から導出された情報)との双方を他の通信デバイス20に送信することもできる。
【0067】
また、通信デバイス20-1は、自身が計算した信頼性指標ρを使用することができる。例えば、通信デバイス20-1は、信頼性指標ρに基づいて通信設定を調整することができ、及び/又は、信頼性指標とタイミング情報とに基づいて無線通信チャネルの特性を推定することができる。
【0068】
もちろん、通信デバイス20-1は、ターゲットエリアSを通って移動している間に複数の信頼性指標を計算することができる。例えば、通信デバイス20-1は、信頼性指標を周期的に計算することもできるし(この周期は、固定されたものとすることもできるし、例えば、計算された最初の信頼性指標に基づいて増減する可変のものとすることもできる)、ターゲットエリアS内の所定の位置(これらの位置は、例えば、DB30が示すことができる)について計算することもできるし、それ以外の方法で計算することもできる。
【0069】
図2に示す例では、時刻t(イベントE4)において、DB30は、更新されたDBチャネル情報I’DBを、ターゲットエリアSにまもなく入ろうとしている通信デバイス20-2に送信する。
【0070】
図2に示す例では、通信デバイス20-1は、ターゲットエリアSを出た後の時刻t(イベントE5)において、DBチャネル情報IDB及び信頼性指標ρ(タイミング情報tを伴う)を、反対方向に移動してターゲットエリアS内にまもなく入ろうとしている通信デバイス20-3(次元xに関してDBチャネル情報の或る対称性を前提とする)に送信する。
【0071】
したがって、図2に示すように、第1の通信デバイス20-1によって計算された信頼性指標は、通信デバイス20-1自身が使用することもできるし、及び/又は、DB30が使用するためにDB30に送信することもできるし、及び/又は、他の通信デバイス20-2、20-3が使用するために通信デバイス20-2、20-3に直接的に又は間接的に(例えば、DB30を介して)送信することもできる。もちろん、これらの動作は、信頼性指標の値にかかわらずに行うこともできるし、好ましくは、信頼性指標がDBチャネル情報と観測チャネル情報との間の不一致を表している場合にのみ行うこともできる。
【0072】
図3図5は、方法10の好ましい実施形態の主要なステップを概略的に表している。これらのステップは、組み合わせることもできる。これらの図3図5では、処理回路21は、第1の通信デバイス20-1に組み込まれていると仮定する。
【0073】
図3は、方法10の第1の好ましい実施形態の主要なステップを概略的に表している。図1に示すステップに加えて、図3に示す方法10は、第1の通信デバイス20-1が信頼性指標及びタイミング情報を使用するステップS13を含む。
【0074】
例えば、ステップS13において、第1の通信デバイス20-1は、ターゲットエリアSにおける無線通信チャネルの特性のその後の推定又は予測に信頼性指標及びタイミング情報を使用することができる。例えば、第1の通信デバイス20-1は、信頼性指標を使用して、DBチャネル情報を、経験された無線通信チャネルの自身の観測結果と組み合わせることもできるし、例えば、経験された無線通信チャネルの自身の観測結果にのみ依存することによって、少なくともDBチャネル情報(信頼できるとみなされる場合)に基づく無線通信チャネルの特性の推定から、DBチャネル情報(信頼できないとみなされる場合)に依存しない無線通信チャネルの特性の推定に切り替えることもできる。
【0075】
加えて、又は代替的に、ステップS13において、第1の通信デバイス20-1は、当該通信デバイスの無線通信チャネル推定周期を調整することができる。例えば、DBチャネル推定が信頼できない場合には、第1の通信デバイス20-1は、DBチャネル情報が信頼できる場合よりも高い頻度で、現在の無線通信チャネルの実際の特性を観測/測定することができる。
【0076】
加えて、又は代替的に、ステップS13において、第1の通信デバイス20-1は、ターゲットエリアSにおいて通信設定を調整することができる。例えば、DBチャネル推定が信頼できない場合には、DBチャネル情報が信頼できる場合よりもロバストな変調符号化方式を選択し、それによって、有用なデータレートを下げることが可能である。別の例では、第1の通信デバイス20-1は、複数の利用可能な無線周波数リソースについて計算された信頼性指標に基づいて無線周波数リソース(すなわち周波数チャネル)を選択することができる。例えば、第1の通信デバイス20-1は、信頼性指標に従って、最も信頼できるDBチャネル情報を有する無線周波数リソースを選択することができる。
【0077】
信頼性指標が使用可能なこれらの全ての例において、タイミング情報は、DBチャネル情報が信頼できないとみなされる場合に対策が講じられる時間を求めること、DBチャネル情報及び観測された特性を組み合わせて、無線通信チャネルの特性の推定値又は予測値を生成する方法を経時的に変更すること等への信頼性指標の使用を経時的に変更するのに使用することができる。
【0078】
図4は、方法10の第2の好ましい実施形態の主要なステップを概略的に表している。図1に示すステップに加えて、図4に示す方法10は、DB30が信頼性指標及びタイミング情報を使用するステップS14を含む。
【0079】
したがって、方法10は、図4に表されていないが、第1の通信デバイス20-1が信頼性指標及びタイミング情報をDB30に送信するステップを含む。
【0080】
例えば、DB30は、以下のうちの少なくとも1つを行うことができる。
-信頼性指標、及び任意選択的にタイミング情報に基づいてDBチャネル情報を更新すること、
-DBチャネル情報、信頼性指標及びタイミング情報を他の通信デバイス20に送信すること、
-DBチャネル情報が信頼できないとみなされる場合には、DBチャネル情報の送信を一時的に中断すること等。
【0081】
図5は、方法10の第3の好ましい実施形態の主要なステップを概略的に表している。図1に示すステップに加えて、図5に示す方法10は、第2の通信デバイス20-2が信頼性指標及びタイミング情報を使用するステップS15を含む。したがって、方法10は、図5に表されていないが、第1の通信デバイス20-1が信頼性指標及びタイミング情報を第2の通信デバイス20-2に送信するステップを含む。基本的に、ステップS13について説明した全てのことは、ステップS15についても当てはまる。
【0082】
{信頼性指標の計算}
上述したように、DBチャネル情報は、異なるタイプの情報に対応することができる。例えば、DBチャネル情報は、チャネル電力遅延プロファイル等の無線通信チャネルのモデル、異なる無線周波数リソースにおけるフェージングレベル、異なる無線周波数リソースにおける干渉レベル、瞬時無線通信チャネルの1つ以上の推定値等とすることができる。
【0083】
方法10のステップS12の間に信頼性指標を計算することができる方法の例を以下に提供する。
【0084】
{例1}
第1の例では、DBチャネル情報が、以下の式のチャネル電力遅延プロファイルを含むと仮定する。
【数8】
ここで、P (DB)は、遅延τに関連付けられたチャネル電力に対応し、1≦m≦Mであり、Mは、チャネル電力遅延プロファイルの構成要素の数に対応する。
【0085】
第1の通信デバイス20-1は、経験された無線通信チャネルに基づいてチャネル電力遅延プロファイルを同様に推定することができる。例えば、第1の通信デバイス20-1は、無線通信チャネルを介して通信する他の通信デバイス20からパイロット信号を受信することができ、観測チャネル情報に対応する以下の式の推定されたチャネル電力遅延プロファイルを計算することができる。
【数9】
ここで、
【数10】
は、遅延τ,1≦m≦Mについて第1の通信デバイス20-1によって求められたチャネル電力に対応する(遅延τは、DBチャネル情報及び観測チャネル情報に対して同じであると仮定しているが、例えば、比較用の簡単なマージプロセスを使用することによって、異なる遅延を考慮することも可能である)。
【0086】
この第1の非限定的な例では、例えば、ターゲットエリアS内の位置s及び時刻t(1)に関連付けられた信頼性指標ρ(s,t(1))は、例えば以下のように計算される、これらの2つのチャネル電力遅延プロファイルの間の平均2乗誤差に依存する。
【数11】
【0087】
2つのチャネル電力遅延プロファイルが同一である場合、すなわち、任意のインデックスmについて、
【数12】
である場合には、ρ(s,t(1))=1であり、これは、本例におけるその最大値であり、「DBチャネル情報が完全に信頼できる」ことを意味する。チャネル電力遅延プロファイルが相違していくにつれて、信頼性指標ρ(s,t(1))は減少する。可能な最小値はρ(s,t(1))=0であり、これは、「DBチャネル情報が信頼できない」ことを意味する。
【0088】
{例2}
第2の例では、DBチャネル情報及び観測チャネル情報が、上述したようなチャネル電力遅延プロファイルにそれぞれ対応すると仮定する。
【0089】
第1の通信デバイス20-1は、上述した2つのチャネル電力遅延プロファイルを使用することによって、瞬時無線通信チャネルの2つの推定を行うことができる。瞬時無線通信チャネルは、特定の時点における実際の無線通信チャネルに対応する。
【0090】
例えば、これらの2つのチャネル電力遅延プロファイルは、2つのそれぞれのチャネル共分散行列を計算するのに使用することができる。第1の通信デバイス20-1は、無線通信チャネルを介して通信する他の通信デバイス20からパイロット信号を受信することができ、これらのパイロット信号は、無線通信チャネルの観測結果を取得するのに使用される。その後、第1の通信デバイス20-1は、例えば、上記2つのチャネル共分散行列を使用して、これらの観測結果のウィナーフィルタリングを2回行うことができる。第1の通信デバイス20-1は、それによって、瞬時無線通信チャネルの2つの推定値
【数13】
及び
【数14】
を取得する。ここで、Lは、無線通信チャネルの予想される推定値の長さであり、
【数15】
は、DBチャネル情報のチャネル電力遅延プロファイル及び観測チャネル情報のチャネル電力遅延プロファイルのそれぞれを用いて取得される第lの推定されたチャネル構成要素である。
【0091】
もちろん、他の推定方法を使用することができ、ここでの目標は、DBチャネル情報を使用することによって瞬時無線通信チャネルの第1の推定値
【数16】
を計算することと、DBチャネル情報を使用せず、その代わりに、観測チャネル情報を使用することによって、瞬時無線通信チャネルの第2の推定値
【数17】
を計算することとである。
【0092】
この第2の非限定的な例では、例えば、ターゲットエリアS内の位置s及び時刻t(1)に関連付けられた信頼性指標ρ(s,t(1))は、例えば、以下のように計算される瞬時無線通信チャネルのこれらの2つの推定値の間の平均2乗誤差に依存する。
【数18】
【0093】
2つの推定値が同一である場合、すなわち、任意のインデックスlについて、
【数19】
である場合には、ρ(s,t(1))=1であり、これは、本例におけるその最大値であり、「DBチャネル情報が完全に信頼できる」ことを意味する。推定値が相違していくにつれて、信頼性指標ρ(s,t(1))は減少する。可能な最小値はρ(s,t(1))=0であり、これは、「DBチャネル情報が信頼できない」ことを意味する。
【0094】
{例3}
第3の例では、DBチャネル情報が、瞬時無線通信チャネルの過去の推定値の集合を含むと仮定する。
【0095】
この第3の非限定的な例をより詳細に説明するために、使用される決まり事を最初に導入することにする。
【0096】
瞬時無線通信チャネルは、以下の式の時空間ランダム過程の一部と見ることができる。
【数20】
ここで、
【数21】
は、時刻tにおけるターゲットエリアS内の位置
【数22】
の瞬時無線通信チャネルである。
【数23】
は、通信デバイス20がターゲットエリアS内でそれらの行程に沿ってそばを通過するターゲットエリアS内のN個の可能な位置の集合
【数24】
である。時間次元に関して、時点t (k)を、通信デバイス20-kが位置
【数25】
のそばを通過する時刻と定義する。これらの時点は、t (k)>t (k) ∀i>j及びt (k)>t (l) ∀k>lであるものと仮定する。インデックスkの通信デバイス20-kは、その行程中に、以下の瞬時無線通信チャネルの集合を経験する。
【数26】
【0097】
したがって、
【数27】
は、時点t (k)における位置
【数28】
において通信デバイス20-kによって経験される実際の瞬時無線通信チャネルに対応する。
【0098】
時点t (k)における位置
【数29】
において通信デバイス20-kが経験する実際の瞬時無線通信チャネルの推定値を
【数30】
によって表すことにする。信号処理遅延に起因して、
【数31】
は、必然的に事後的に行われる。すなわち、通信デバイス20-kは、推定値
【数32】
を時刻(t (k)+Δt)でしか取得することができず(t (k)+Δt<ti+1 (k)と仮定する)、これは、
【数33】
が時点t (k)において利用可能でないという意味であまりにも遅すぎる。
【0099】
時点t (k)における位置
【数34】
において通信デバイス20-kによって経験される実際の瞬時無線通信チャネルの予測値を
【数35】
によって表すことにする。予測値は、将来の推定値に対応する。すなわち、通信デバイス20-kによる予測値
【数36】
の計算は、t (k)において又はt (k)の前に終了する。加えて、この計算は因果律に従う。すなわち、この計算は、この予測値計算の前に取得される情報しか使用することができない。
【0100】
この第3の例では、DBチャネル情報は、通信デバイス20によって計算された推定値に基づいて構築される瞬時無線通信チャネルの以前の推定値の集合に対応する。任意のそのような推定値がDB30に直ちに利用可能であると仮定すると、通信デバイス20-kについて、位置
【数37】
における時刻t (k)において利用可能なDBチャネル情報IDB,i (k)は、以下の集合とすることができる。
【数38】
【0101】
したがって、
【数39】
における通信デバイス20-kは、t (k)の前にターゲットエリアS内を移動した他の通信デバイス20-l(∀l<k)からの瞬時無線通信チャネル(∀j=1,...,N,t (l)+Δt<t (k))の以前の推定値の集合を入手することができる。
【0102】
位置
【数40】
における時刻t (k)において、通信デバイス20-kは、瞬時無線通信チャネルのそれ自身の推定値の集合
【数41】
も入手することができる。
【数42】
【0103】
したがって、集合
【数43】
は、時刻t (k)において通信デバイス20-kによって求められる観測チャネル情報に対応する。
【0104】
時刻(t (k)+Δt)において、通信デバイス20-kは、推定値
【数44】
を更に計算している。
【0105】
時刻t (k)及び位置
【数45】
の信頼性指標
【数46】
を計算するために、例えば、DBチャネル情報IDB,i (k)、観測チャネル情報
【数47】
及び信頼性指標に基づいて計算された予測値
【数48】
を最適化する信頼性指標を検索することが可能である。例えば、予測値
【数49】
と推定値
【数50】
との間の誤差を最小にする以下の信頼性指標を検索することが可能である。
【数51】
ここで、
【数52】
は、フロベニウスのノルムである。
【0106】
例えば、予測値
【数53】
は、以下の式のように、信頼性指標ρ’を使用して、双方のソースの間の加重和として計算することができる。
【数54】
ここで、ρ’∈[0,1]は信頼性指標であり、f(・)及びg(・)は2つの所定の推定関数である。
【0107】
上述した最適化を解くことによって、例えば、以下の式が得られる。
【数55】
ここで、
【数56】
は行列
【数57】
のトレースであり、
【数58】
及び
【数59】
は以下のように定義することができる。
【数60】
【0108】
関数f(・)及びg(・)の例を以下に示す。これらの例では、時空間ランダム過程
【数61】
のカーネルが以下の式のように可分であると仮定するが、これは、強い仮定ではない。
【数62】
【0109】
第1の例では、f(・)が線形カーネル回帰推定量、例えば以下の式であるとみなすことが可能である。
【数63】
ここで、カーネルは、以下のように定義することができる。
【数64】
及びhは、上記カーネルのサポート長に対応するそれぞれ空間カーネル及び時間カーネルのリフティングパラメータである。これらのパラメータは定数であり、当業者が事前設定することができる。
【0110】
もちろん、関数f(・)の他のカーネル、例えば、ガウス時空間カーネル、マターンカーネル、指数カーネル、ベッセル関数(ジェークス時間相関モデル)等を考慮することも可能である。
【0111】
関数g(・)については、例えば、以下の式の時間線形カーネル回帰推定量を考慮することが可能である。
【数65】
ここで、カーネルは、以下のように定義することができる。
【数66】
【0112】
もちろん、関数g(・)の他のカーネル、例えば、ガウス時間カーネル、指数カーネル、ベッセル関数(ジェークス時間相関モデル)等を考慮することも可能である。
【0113】
第2の例では、関数f(・)が、上述したような線形カーネル回帰推定量であるとみなすとともに、関数g(・)が、例えば、以下の式の時空間線形カーネル回帰推定量であるとみなすことが可能である。
【数67】
ここで、カーネルは、以下のように定義することができる。
【数68】
【0114】
もちろん、関数g(・)の他のカーネル、例えば、ガウス時空間カーネル、マターンカーネル、指数カーネル、ベッセル関数(ジェークス時間相関モデル)等を考慮することも可能である。
【0115】
より一般的に言えば、他のカーネル推定量、例えば、カーネルリッジ回帰推定量を有するプリーストリーチャオカーネル推定量を考慮することができる。
【0116】
また、DBチャネル情報IDB,i (k)、観測チャネル情報
【数69】
及び信頼性指標を使用することによって予測値
【数70】
を計算するのに他の方法を使用することもできる。
【0117】
{無線通信チャネルの推定/予測}
ステップS13及び/又はステップS15において無線通信チャネルの特性の推定/予測を行うことができる方法の非限定的な例を以下に示す。推定/予測が、第1の通信デバイス20-1によって計算された信頼性指標に基づいて、第2の通信デバイス20-2によって行われる場合を非限定的に仮定する。
【0118】
{例1}
第1の例では、DBチャネル情報が、以下の式のチャネル電力遅延プロファイルを含むと仮定する。
【数71】
ここで、P (DB)は、遅延τに関連付けられたチャネル電力に対応し、1≦m≦Mであり、Mは、チャネル電力遅延プロファイルの構成要素の数に対応する。
【0119】
第2の通信デバイス20-2は、経験された無線通信チャネルの観測結果に基づいてチャネル電力遅延プロファイルを同様に推定することができる。例えば、第2の通信デバイス20-2は、無線通信チャネルを介して通信する他の通信デバイス20からパイロット信号を受信することができ、第2の通信デバイス20-2の観測チャネル情報に対応する以下の式の推定されたチャネル電力遅延プロファイルを計算することができる。
【数72】
ここで、
【数73】
は、遅延τ,1≦m≦Mについて第2の通信デバイス20-2によって推定されたチャネル電力に対応する(遅延τは、DBチャネル情報及び第2の通信デバイス20-2の観測チャネル情報に対して同じであると仮定されるが、異なる遅延を考慮することも可能である)。
【0120】
遅延τはDBチャネル情報及び第2の通信デバイス20-2によって推定されたチャネル電力遅延プロファイルに対して同じであると仮定されるので、以下のチャネル電力プロファイルを定義する。
【数74】
【0121】
第2の通信デバイス20-2は、第1の通信デバイス20-1によって計算された信頼性指標ρ(s,t(1))及び関連付けられたタイミング情報t(1)も受信済みである。
【0122】
時刻t(2)>t(1)である場合に、第2の通信デバイス20-2は、チャネル電力プロファイルP(DB)と、チャネル電力プロファイル
【数75】
と、信頼性指標ρ(s,t(1))とに基づいて、チャネル電力遅延プロファイルの推定値
【数76】
を計算する。
【0123】
第1の例によれば、推定値
【数77】
は、以下のように計算することができる。
【数78】
【0124】
例えば、推定値
【数79】
は、時刻t(1)の後、例えばt(2)≦t(1)+ΔTである間の所定の継続時間ΔTの間使用することができる。その後、(t(1)+ΔT)の後は、DBチャネル情報P(DB)を単独で使用することができる。また、代替形態として、信頼性指標が、DBチャネル情報が信頼できないことを示している場合には、t(2)≦t(1)+ΔTである間、
【数80】
のみが使用され、(t(1)+ΔT)の後はP(DB)を単独で使用することに戻される。
【0125】
第2の例によれば、推定値
【数81】
は、タイミング情報t(1)及び時刻t(2)を更に使用することによって、例えば、以下のように計算することができる。
【数82】
【0126】
実際、信頼性指標は、一時的であると仮定される無線通信チャネルの変化を検出するのに使用される。この式によると、推定値
【数83】
は、t(2)≫t(1)である場合にP(DB)に向かう。
【0127】
{例2}
第2の非限定的な例では、DBチャネル情報が、上記ステップS12の例3において説明したように、瞬時無線通信チャネルの過去の推定値の集合を含むと仮定される場合に、予測値
【数84】
は、第2の通信デバイス20-2が、第1の通信デバイス20-1から受信される信頼性指標
【数85】
を使用することによって、上述したように計算することができる。すなわち、以下のように計算することができる。
【数86】
【0128】
もちろん、他の予測方法を考慮することができ、特定の予測方法の選択は、本開示の好ましい実施形態に対応する。
【0129】
図6は、方法10を実施するのに適した通信デバイス20の一例示的な実施形態を概略的に表している。
【0130】
この例示的な実施形態において、通信デバイス20は、既に上述したように処理回路21を備える。
【0131】
通信デバイス20は、処理回路21に結合された無線通信モジュール22も備える。無線通信モジュール22は、例えば、当業者に既知であると考えられる構成要素(アンテナ、増幅器、局所発振器、ミキサ、アナログフィルタ及び/又はデジタルフィルタ等)を備える無線周波数回路を備える。無線通信モジュール22は、1つ以上の通信プロトコルに適合している。例えば、通信デバイス20が車両に組み込まれることになる場合には、無線通信モジュール22は、少なくともV2X通信プロトコルをサポートすることができる。通信デバイス20が列車に組み込まれることになる場合には、無線通信モジュール22は、少なくとも1つのCBTC通信プロトコル、例えば、GSM-R(モバイル通信用グローバルシステム-鉄道)及び/又はFRMCS(次世代鉄道モバイル通信システム)通信プロトコルをサポートすることができる。上述したように、通信デバイス20の無線通信モジュール22は、例えば、DB30との通信用と、DB30がDBチャネル情報を提供する無線通信チャネルを介した他の通信デバイス20との通信用とに異なる通信プロトコルを使用することができる。もちろん、無線通信モジュール22は、DB30及び/又は別の通信デバイス20からの信頼性指標の受信にも使用することができる。
【0132】
図7は、信頼性指標を使用することが可能な通信デバイス20を備える無線通信システムにおける使用に適したDB30の一例示的な実施形態を概略的に表している。
【0133】
この例示的な実施形態において、DB30は、1つ以上のプロセッサと、コンピュータプログラム製品が記憶される記憶手段(磁気ハードディスク、ソリッドステートディスク、光ディスク、電子メモリ等)とを備える処理回路31を備える。代替的に、又はこれと組み合わせて、処理回路31は、1つ以上のプログラマブルロジック回路(FPGA、PLD等)、及び/又は1つ以上の専用集積回路(ASIC)、及び/又は一組の離散電子構成要素等を備えることができる。
【0134】
図7によって説明される例では、DB30は、1つ以上のターゲットエリアに関連付けられたDBチャネル情報と、少なくとも1つの信頼性指標、及び信頼性指標ごとのタイミング情報とをターゲットエリアSごとに記憶するデータ記憶モジュール32も備える。
【0135】
DB30は、処理回路31に結合されるとともに通信デバイス20の無線通信モジュール22と通信するように適合された無線通信モジュール33も備える。DB30の処理回路31は、DBチャネル情報の全て又は一部、ターゲットエリアSに関連付けられた信頼性指標及びタイミング情報を、当該ターゲットエリアSに位置する通信デバイス20及び/又は当該ターゲットエリアSに移動している通信デバイス20に無線通信モジュール33を介して送信するように構成される。
【0136】
本発明は上記の例示的な実施形態に限定されないことを強調しておく。上記の実施形態の変形も本発明の範囲内にある。
【0137】
例えば、本開示は、陸上機関(自動車、トラック、列車等)に組み込まれる通信デバイス20に焦点を当てることによって提供されている。しかしながら、本開示は、例えば空中機関又は宇宙機関(ドローン、人工衛星等)にも適用される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7