(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】減圧チャンバー及びこの減圧チャンバーを用いたワークの移送方法
(51)【国際特許分類】
B05C 15/00 20060101AFI20240805BHJP
B05C 5/00 20060101ALI20240805BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20240805BHJP
B05C 13/02 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
B05C15/00
B05C5/00 101
B05C11/10
B05C13/02
(21)【出願番号】P 2021177026
(22)【出願日】2021-10-29
【審査請求日】2022-06-03
【審判番号】
【審判請求日】2022-12-21
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和3年6月1日に三菱電機株式会社パワーデバイス製作所に販売 令和3年6月30日に富士電機株式会社パワーセミコンダクタに販売
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524043835
【氏名又は名称】株式会社エイ・エム・ケイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000501
【氏名又は名称】翠弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 三郎
【合議体】
【審判長】加藤 友也
【審判官】植前 充司
【審判官】磯貝 香苗
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-81428(JP,A)
【文献】特開2009-204559(JP,A)
【文献】特開2010-27810(JP,A)
【文献】特開2005-76836(JP,A)
【文献】特開2013-87814(JP,A)
【文献】特開2006-331970(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 15/00
B05C 5/00
B05C 11/10
B05C 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端に一対の開口部及びこの開口部を気密的に密閉可能とする一対の端部シャッターを備えたチャンバー本体に、当該チャンバー本体内を気密的に仕切る第一シャッターと第二シャッターとを間隔を介して摺動可能に備えることにより、上記チャンバー本体内の空間を、上記一方の端部シャッターと上記第一シャッターとで仕切られた導入室と、上記第一シャッターと上記第二シャッターとで仕切られるとともに上記導入室に隣接する作業室と、上記第二シャッターと上記他方の端部シャッターとで仕切られるとともに上記作業室に隣接する仕上室とに気密的に分割可能とし、上記導入室、作業室、及び仕上室には、当該導入室内、作業室内、及び仕上室内を減圧可能とする減圧機構をそれぞれ個別に備えるとともに、上記作業室には、当該作業室内に配置されたワークに液体を吐出可能とする吐出ノズルを備
え、上記ワークへの液体吐出作業時に上記減圧機構により当該ワーク内への気泡の残留を防止することを目的としたことを特徴とする減圧チャンバー。
【請求項2】
チャンバー本体の内部を、当該チャンバー本体に開閉可能に組付けた第一シャッター及び第二シャッターを介して、導入室と、ワークに液体を吐出するための吐出ノズルを備えた作業室と、仕上室とに気密的に分割可能とすることにより、上記第一シャッター及び第二シャッターの開閉によって上記作業室と導入室又は仕上室との連通及び非連通を可能とし、上記導入室内、作業室内、及び仕上室内の気圧は、それぞれ個別に接続した減圧機構により各々独立して調整可能とし、上記作業室を上記減圧機構により減圧状態に維持した状態で、上記導入室及び仕上室に各々個別に接続した上記減圧機構により、当該導入室又は仕上室を各々個別に減圧可能とするとともに、上記作業室との非連通時には、上記仕上室を上記作業室よりも更に減圧可能とするとともに、チャンバー本体内へのワークの導入又はチャンバー本体外へのワークの排出を行う際には、上記導入室又は仕上室の減圧を解除して常圧可能と
し、ワークへの液体吐出作業時に上記減圧機構により当該ワーク内への気泡の残留を防止することを目的としたことを特徴とする減圧チャンバー内の圧力調整方法。
【請求項3】
上記チャンバー本体内には、ワークを移送するためのコンベアーが各々備えられたことを特徴とする請求項1の減圧チャンバー。
【請求項4】
上記チャンバー本体内でのワークの移送は、当該チャンバー本体内に設けたコンベアーにて行うことを特徴とする請求項2の減圧チャンバー内の圧力調整方法。
【請求項5】
上記チャンバー本体の壁には、上記第一シャッター及び第二シャッターを開放した時に、当該上記第一シャッター及び第二シャッターを挿通可能とする一対の挿通スリットを開口するとともに、当該挿通スリットの外周には、上記第一シャッター及び第二シャッターをそれぞれ内部に収納可能とするとともに、上記チャンバー本体に気密的に接続され及び第二シャッターケースが各々備えられたことを特徴とする請求項1の減圧チャンバー。
【請求項6】
チャンバー本体の一対の端部シャッターの外方には、上記コンベアーの延長線上に、当該チャンバー本体へのワークの移送及びチャンバー本体から外方へのワークの移送を行う一対の外部コンベアーを備えたことを特徴とする請求項3の減圧チャンバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、比較的粘性の高い液体のワークへの充填作業を行うための減圧チャンバー及びワークの移送方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、接着剤、塗料、半導体封止剤などの比較的粘性の高い液体をワークに充填した場合、ワーク内部の細かな隙間に気泡が残る場合が多い。そのため、このようにワーク内への気泡の残留を防ぐために、特許文献1に示す如く内部を減圧したチャンバー内でワークへの液体の吐出作業が以前より行われていた。
【0003】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の如き従来のチャンバーを用いる場合には、ワークをチャンバー内に移送する際に、当該チャンバー内を予め常圧にしておく必要があるとともに、上記ワークをチャンバー内に収納した後、当該チャンバー内を減圧する作業を行わなければならない。そして上記ワークへの液体吐出作業が終了した際には、上記の如く減圧したチャンバーからワークを外方に取り出す際に、当該チャンバーを減圧状態から常圧に戻す作業が必要であった。
【0005】
上記の如く、チャンバー内へのワークの導入、及び液体の吐出作業を終了したワークのチャンバー外への排出の際に、その都度チャンバーの減圧や減圧解除作業が必要となることから、ワークの導入及び排出作業に多くの時間を費やされるものとなり、作業効率が悪いものとなっていた。
【0006】
そこで、本願発明は上述の如き課題を解決しようとするものであって、ワークへの液体吐出作業に使用するチャンバーの減圧及び減圧の解除を効率的に行うことを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の第一発明は、下記本願の第二発明の減圧チャンバー内の圧力調整方法に使用する減圧チャンバーであって、両端に一対の開口部及びこの開口部を気密的に密閉可能とする一対の端部シャッターを備えたチャンバー本体に、当該チャンバー本体内を気密的に仕切る第一シャッターと第二シャッターとを間隔を介して摺動可能に備えることにより、上記チャンバー本体内の空間を、上記一方の端部シャッターと上記第一シャッターとで仕切られた導入室と、上記第一シャッターと上記第二シャッターとで仕切られるとともに上記導入室に隣接する作業室と、上記第二シャッターと上記他方の端部シャッターとで仕切られるとともに上記作業室に隣接する仕上室とに気密的に分割可能とし、上記導入室、作業室、及び仕上室には、当該導入室内、作業室内、及び仕上室内を減圧可能とする減圧機構をそれぞれ個別に備えるとともに、上記作業室には、当該作業室内に配置されたワークに液体を吐出可能とする吐出ノズルを備え、ワークへの液体吐出作業時に上記減圧機構により当該ワーク内への気泡の残留を防止することを目的としたものである。
【0008】
また本願の第二発明は、チャンバー本体の内部を、当該チャンバー本体に開閉可能に組付けた第一シャッター及び第二シャッターを介して、導入室と、ワークに液体を吐出するための吐出ノズルを備えた作業室と、仕上室とに気密的に分割可能とすることにより、上記第一シャッター及び第二シャッターの開閉によって上記作業室と導入室又は仕上室との連通及び非連通を可能とし、上記導入室内、作業室内、及び仕上室内の気圧は、それぞれ個別に接続した減圧機構により各々独立して調整可能とし、上記作業室を上記減圧機構により減圧状態に維持した状態で、上記導入室及び仕上室に各々個別に接続した上記減圧機構により、当該導入室又は仕上室を各々個別に減圧可能とするとともに、上記作業室との非連通時には、上記仕上室を上記作業室よりも更に減圧可能とするとともに、チャンバー本体内へのワークの導入又はチャンバー本体外へのワークの排出を行う際には、上記導入室又は仕上室の減圧を解除して常圧可能とし、ワークへの液体吐出作業時に上記減圧機構により当該ワーク内への気泡の残留を防止することを目的としたものである。
【0009】
また、上記チャンバー本体内には、ワークを移送するためのコンベアーを各々備え、上記チャンバー本体内でのワークの移送を、当該チャンバー本体内に設けたコンベアーにて行うものであってもよい。
【0010】
また、上記チャンバー本体の壁には、上記第一シャッター及び第二シャッターを開放した時に、当該上記第一シャッター及び第二シャッターを挿通可能とする一対の挿通スリットを開口するとともに、当該挿通スリットの外周には、上記第一シャッター及び第二シャッターをそれぞれ内部に収納可能とするとともに、上記チャンバー本体に気密的に接続された第一シャッターケース及び第二シャッターケースが各々備えられたものであってもよい。
【0011】
また、チャンバー本体の一対の端部シャッターの外方には、上記コンベアーの延長線上に、当該チャンバー本体へのワークの移送及びチャンバー本体から外方へのワークの移送を行う一対の外部コンベアーを備えたものであってもよい。
【発明の効果】
【0012】
本願の第一、第二発明は上述の如く、チャンバー本体を第一シャッター及び第二シャッターにて導入室、作業室、仕上室に気密的に分割可能とするとともに、各室を各々個別に減圧可能とするものであるから、作業室を減圧に維持した状態で、導入室又は仕上室の減圧を解除して当該チャンバー本体外部からのワークの導入、又は仕上室からチャンバー本体外へのワークの取り出しを行うことができる。
【0013】
また、導入室及び/または仕上室の圧力を作業室の圧力と同圧とすることにより、導入室から作業室へ、あるいは作業室から仕上室へのワークの移送が可能となる。従って、常に作業室内の減圧及び減圧の解除を状況に応じて行う必要がなく、減圧状態に保持しながら作業を進めることが可能となる。
【0014】
即ち、作業室にてワークへの液体吐出作業を行いながら、別のワークのチャンバー内への導入、あるいは取り出し作業を同時並行で行うことが可能となる。従って、作業室内でのワークの液体吐出作業の際に、作業室をその都度常圧に戻したり減圧したりするための時間を必要としないことから、減圧チャンバー内での当該作業の効率化を図ることが可能となる。
【0015】
更に、上記作業室と仕上室との非連通時には、上記仕上室を作業室よりも更に減圧度を高めることが可能であるため、作業室内で除去しきれなかった空気や湿気を更に除去する効果を高めることができる。よって、液体の吐出作業を完了したワークの品質を更に向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本願の第1、2発明の実施例1を示す概念図。
【
図2】
図1においてワークの移送状態を示す概念図。
【実施例1】
【0017】
以下、本願の第一発明である減圧チャンバーの一実施例を図面において以下に説明する。まず
図1に示す如く、(1)は水平方向に長尺なチャンバー本体である。そしてこのチャンバー本体(1)の両端には、それぞれワーク(2)導入側の第一開口部(3)及びワーク(2)取り出し側の第二開口部(4)を備えるとともに、この第一開口部(3)及び第二開口部(4)には、当該第一開口部(3)及び第二開口部(4)を気密的に密閉可能とする第一端部シャッター(5)及び第二端部シャッター(6)がそれぞれ備えられている。
【0018】
そしてこのチャンバー本体(1)には、このチャンバー本体(1)内の空間を気密的に仕切ることができる第一シャッター(7)と第二シャッター(8)とをチャンバー本体(1)の長さ方向に対して鉛直方向に組み付けている。そしてこの第一シャッター(7)及び第二シャッター(8)は、チャンバー本体(1)に設けた第一挿通スリット(11)及び第二挿通スリット(12)を通じて駆動機構(図示せず。)によりチャンバー本体(1)に対して上下方向に摺動可能としている。
【0019】
また上記第一挿通スリット(11)及び第二挿通スリット(12)の外周には、第一シャッター(7)及び第二シャッター(8)を収納可能とする第一シャッターケース(13)及び第二シャッターケース(14)をそれぞれチャンバー本体(1)の外壁面(15)に気密的に配置している。そのため、第一シャッター(7)及び第二シャッター(8)をチャンバー本体(1)に対して開いた場合には、当該第一シャッター(7)及び第二シャッター(8)は、それぞれ上記第一シャッターケース(13)及び第二シャッターケース(14)内に収納された状態で位置するものとなる。
【0020】
そして、上記の如くチャンバー本体(1)に組付けた第一シャッター(7)及び第二シャッター(8)を閉止した場合には、上記チャンバー本体(1)内の空間を、導入室(16)、作業室(17)、及び仕上室(18)にそれぞれ分割することができるものとなる。更に上記第一シャッター(7)及び第二シャッター(8)は、その閉止時においてチャンバー本体(1)内の空間を気密的に仕切ることができるよう、当該チャンバー本体(1)の内周に突設した内壁(21)に上記第一シャッター(7)及び第二シャッター(8)の周縁が密着して配置されるよう構成されている。
【0021】
また、上記導入室(16)、作業室(17)、及び仕上室(18)には、それぞれ個別に減圧可能となるよう減圧機構(図示せず。)が設けられている。そのため、第一シャッター(7)及び第二シャッター(8)を閉止した状態で上記減圧機構を作動させることにより、導入室(16)内、作業室(17)内、及び仕上室(18)内を各々減圧することが可能となる。更に導入室(16)内、作業室(17)内、及び仕上室(18)内の気圧は、各々独立して調整可能であり、例えば導入室(16)内を常圧とした状態で、作業室(17)内を減圧状態とし、更に仕上室(18)内を上記作業室(17)内よりも更に減圧することも可能である。
【0022】
また、上記作業室(17)の天板(22)には、吐出ノズル(23)を当該作業室(17)の内方に向けて固定配置している。この吐出ノズル(23)は
図1に示す如く吐出装置(24)の先端に接続されており、この吐出装置(24)は
図1の二点鎖線で示す如く、上記チャンバー本体(1)の中央天面に位置するとともに液体貯蔵タンク(図示せず。)から液体を供給可能とする液体供給装置(25)に連通している。また上記吐出ノズル(23)は、ワーク(2)に液体を吐出する際に、当該ノズルの吐出口(26)がワーク(2)の上方に位置するよう駆動装置(図示せず。)により上下左右方向に摺動可能としている。
【0023】
また上記導入室(16)、作業室(17)、仕上室(18)の底部側には、それぞれ第一コンベアー(31)、第二コンベアー(32)、第三コンベアー(33)が水平方向に設けられており、各コンベアーに接続した駆動装置(図示せず。)により、各々個別に駆動可能としている。また上記チャンバー本体(1)の第一開口部(3)及び第二開口部(4)の外方には、それぞれ第一外部コンベアー(34)を、また第二外部コンベアー(35)を、上記第一コンベアー(31)、第二コンベアー(32)、第三コンベアー(33)の延長線上に同列に設けている。
【0024】
上記の如く構成した減圧チャンバー内の圧力調整方法について以下に説明する。まず、あらかじめ第一シャッター(7)及び第二シャッター(8)を閉止するとともに、導入室(16)を常圧とするとともに、作業室(17)内を1500Paに減圧しておく。尚、作業室(17)内の圧力は、作業内容に応じて減圧機構にて任意の範囲内で減圧可能としている。
【0025】
そして、第一端部シャッター(5)を開放した後、外部コンベアーをチャンバー本体(1)の方向に駆動させて、
図2に示す如く当該第一外部コンベアー(34)上のトレー(27)に配置された複数の第一ワーク(37)を導入室(16)内に配置し、上記第一端部シャッター(5)を閉止する。この状態で導入室(16)に接続した減圧機構を作動させて当該導入室(16)内を1500Paまで減圧する。これにより、当該導入室(16)内と作業室(17)内の圧力が同じになるため、当該導入室(16)と作業室(17)との間に配置した第一シャッター(7)が摺動可能となる。尚、本実施例では減圧度を1500Paとしているが、他の実施例においてはこれに限らず任意の減圧度にて作業するものであっても良い。
【0026】
そして、この状態において第一シャッター(7)を開放し、第一コンベアー(31)及び第二コンベアー(32)を作動させて上記第一ワーク(37)をトレー(27)と共に導入室(16)から作業室(17)内に移送する。そして当該第一ワーク(37)の作業室(17)内への配置が完了した後、上記第一シャッター(7)を閉止する。
【0027】
この状態において、作業室(17)内での第一ワーク(37)への液体吐出作業が行われる。即ち、作業室(17)内の吐出ノズル(23)を上記第一ワーク(37)付近まで降下させた状態で、当該吐出ノズル(23)を任意の方向に移動させながら、トレー(27)上の複数の第一ワーク(37)に液体を吐出する。またこれら全ての第一ワーク(37)への吐出作業が終了した後、上記吐出ノズル(23)は作業前の元の位置に上昇し作動を停止する。
【0028】
上記の如く作業室(17)内にて第一ワーク(37)への液体の吐出作業を行っている間、上記導入室(16)内及び仕上室(18)内は、それぞれ上記作業室(17)内とは非連通の状態となっている。そのため、当該導入室(16)内及び仕上室(18)内の圧力の調整を以下の通り行う。
【0029】
即ち、上記導入室(16)は上記の如く減圧状態であるため、この減圧状態を解除して室内を常圧に戻す。これにより、第一端部シャッター(5)が摺動可能となるため、当該第一端部シャッター(5)を開放して第一外部コンベアー(34)上に載置した次の第二ワーク(38)を、第一外部コンベアー(34)及び第一コンベアー(31)を作動させることにより導入室(16)内に移送する。
【0030】
そして上記導入室(16)内に第二ワーク(38)を配置した後、上記第一端部シャッター(5)を閉止し、当該導入室(16)内を1500Pa以上、100Pa程度まで減圧し、より微細部のエアー脱気を行った後、再度1500Paまで戻しこの減圧状態を維持しておく。一方、上記仕上室(18)内は、第一端部シャッター(5)を閉止した後、当該仕上室(18)に接続した減圧機構(図示せず。)にて1500Paまで減圧し、この減圧状態を維持しておく。
【0031】
そして上記作業室(17)内での第一ワーク(37)への液体注入作業が終了した時点において、上記導入室(16)及び仕上室(18)は作業室(17)と同じ圧力の減圧状態に維持しているため、第一シャッター(7)及び第二シャッター(8)が摺動可能となる。よって、第一シャッター(7)及び第二シャッター(8)を開放することにより、上記作業室(17)内と導入室(16)内及び仕上室(18)内とが連通した状態となる。
【0032】
そしてこの状態において、第二コンベアー(32)及び第三コンベアー(33)を作動させることにより、当該作業室(17)内に位置していた作業済みの第一ワーク(37)を、上記仕上室(18)内に移動させる。またこれと同時に、導入室(16)内に載置していた複数の第二ワーク(38)を、第一コンベアー(31)及び第二コンベアー(32)を作動させて上記作業室(17)内に移送する。
【0033】
そしてこれらの第一ワーク(37)の仕上室(18)への移動、及び第二ワーク(38)の作業室(17)への移送が完了した後、上記第一シャッター(7)及び第二シャッター(8)を各々閉止し、上記作業室(17)と導入室(16)及び仕上室(18)とをそれぞれ非連通の状態とする。
【0034】
その後、上記作業室(17)内では、第一ワーク(37)への作業時と同様の手順で第二ワーク(38)への液体注入作業を行う。一方上記仕上室(18)内では、上記の如く作業を終えた第一ワーク(37)を減圧雰囲気下で一定時間静置する仕上げ作業を行う。これにより、上記作業室(17)内で除去しきれなかった第一ワーク(37)内の空気や湿気を除去することができる。また、このような作業済みのワークの仕上げ作業をより効果的にするために、当該仕上室(18)の圧力を、1500Paよりも更に減圧することも可能である。
【0035】
そして、上記仕上作業が終了した後、仕上室(18)の減圧機構を停止して当該仕上室(18)内を常圧に戻した後、第二端部シャッター(6)を開放する。そして、第三コンベアー(33)及び第二外部コンベアー(35)を作動させて、上記仕上室(18)内の第一ワーク(37)を、第二開口部(4)を通じてチャンバー本体(1)の外方に排出する。これにより、第一ワーク(37)のチャンバー本体(1)内での作業が完了し、第二外部コンベアー(35)にて次の工程に移送される。
【0036】
その後上記作業室(17)は、作業室(17)からの第二ワーク(38)の移送に備え、上記第二端部シャッター(6)及び第二シャッター(8)を閉止した状態で減圧機構を作動させることにより、当該仕上室(18)内を1500Paまで減圧させてこの減圧状態を維持しておく。
【0037】
一方上記導入室(16)は、再度減圧機構を停止して当該導入室(16)内を常圧とし、第一外部コンベアー(34)上に載置した第三ワーク(40)を再び導入し、以後第一ワーク(37)及び第二ワーク(38)と同様の作業を繰り返し行う。
【0038】
上記の装置及び方法にて、作業室(17)内の減圧状態を維持しながら導入室(16)、及び仕上室(18)内における減圧及び減圧解除作業を行うことにより、上記作業室(17)内でのワークへの液体吐出作業、チャンバー本体(1)外から導入室(16)内へのワークの移送作業、及び仕上室(18)での減圧雰囲気下での仕上げ作業及び当該仕上室(18)からチャンバー本体(1)外へのワークの排出作業を同時に、かつ繰り返し行うことが可能となる。
【0039】
以上より、作業室(17)をその都度常圧に戻したり減圧したりするための作業や時間を必要としないことから、減圧チャンバー内での作業時間を短縮して作業の効率化を図ることが可能となる。また、上記の如く、作業室(17)内のみならず仕上室(18)においても減圧下でワークに残留した空気や湿気の除去作業を行うことができるとともに、更に上記作業室(17)の圧力よりも減圧させて仕上作業を行うことを可能としている。
【0040】
そのため、作業室(17)内で除去しきれなかった空気や湿気を確実に除去することができる。そのため、本実施例の減圧チャンバーにて作業を行ったワークの品質を更に向上させることが可能となる。
【符号の説明】
【0041】
1 チャンバー本体
2 ワーク
3 第一開口部
4 第二開口部
5 第一端部シャッター
6 第二端部シャッター
7 第一シャッター
8 第二シャッター
11 第一挿通スリット
12 第二挿通スリット
13 第一シャッターケース
14 第二シャッターケース
16 導入室
17 作業室
18 仕上室
23 吐出ノズル
31 第一コンベアー
32 第二コンベアー
33 第三コンベアー
34 第一外部コンベアー
35 第二外部コンベアー
37 第一ワーク
38 第二ワーク