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特許7531778椅子用折り畳み式荷棚の折り畳み補助装置
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  • 特許-椅子用折り畳み式荷棚の折り畳み補助装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】椅子用折り畳み式荷棚の折り畳み補助装置
(51)【国際特許分類】
   A47C 7/62 20060101AFI20240805BHJP
   A47C 4/04 20060101ALI20240805BHJP
   A47C 5/10 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
A47C7/62 A
A47C4/04 B
A47C5/10 K
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2023107542
(22)【出願日】2023-06-13
【審査請求日】2023-06-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513074747
【氏名又は名称】吉村 きよ美
(72)【発明者】
【氏名】吉村 善四郎
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-096981(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109259489(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 7/62
A47C 4/04
A47C 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り畳み椅子の座部の下側に取り付けるための基体と、
上段と中段と下段を蝶番として、該上段の蝶番と該中段の蝶番を吊板で連結し、且つ該中の蝶番と該下段の蝶番とを連結した吊体と、
前記基体と同じ形状の棚板から成り、
前記基体の左右側辺と後辺に前記吊体の上段の蝶番を連結して該吊体のそれぞれを垂下状態とし、且つ該吊体の下段の蝶番に前記棚板の左右側辺と後辺を連結して荷棚とし、
前記中段の蝶番のそれぞれを折り畳み方向への軌道上の適宜箇所に移動しておくために、前記上段の蝶番と、前記中段の蝶番と、前記下段の蝶番、及び前記左右側辺の吊体と前記後辺の吊体とに関わる箇所の、何れか又は複数箇所に弾発体を備えた椅子用折り畳み式荷棚の折り畳み補助装置。
【請求項2】
前記中段の蝶番のそれぞれを折り畳み方向への軌道上の適宜箇所に移動しておくために、前記上段の蝶番と、前記中段の蝶番と、前記下段の蝶番の、何れか又は複数箇所に磁石を備えた請求項1に記載の椅子用折り畳み式荷棚の折り畳み補助装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に椅子の座部の下側に取り付ける、折り畳みが可能な荷棚の、荷棚を容易且つ速やかに畳むための補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、折り畳み椅子に取り付ける折り畳みが可能な荷棚は、その荷棚を使用するために棚板を下げるときは難なく行えるが、使用後に棚板を畳むことは極めて困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特願2020-39373
【文献】特許第6794086号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記特許文献1及び特許文献2の課題を解決することを目的としている。
以下の記述内容は、特許文献1及び特許文献2の試作品を実際に折り畳み椅子に取り付けた状態での使用確認によるものである。
特許文献1は、上部に位置する取着部材と、この取着部材の両端から垂下する吊体は上下二箇所の吊板と、上段、中段、下段を蝶番とし、この吊体の下段に荷棚を連結していて、この荷棚の構成全体を正面から見ると、取着部材を上辺、吊体を両側辺、棚板を底辺とする形状は直角の四辺形であり、棚板が取着部材の真下に吊り下がった状態であるから、左右三箇所ずつの蝶番はそれぞれ縦方向の直線状に並んでいる。
そこで、この荷棚を畳むときは、片方の手を椅子の上部にかけ、あと片方の手で棚板を真上に引き上げるのであるが、このとき蝶番が直線状に並んでいることで、上下二箇所のの吊板が互いに突っ張り合う状態となって、荷棚を畳むことができなかった。
【0005】
そこでこの突っ張り合う状態を回避するために、棚板を左右に揺らしながら引き上げてみると、左右の吊体は共に同じ方向に揺れ動いてしまい、その外側に動いた吊体の中段の蝶番部が折り畳み椅子の脚に当接した時点で荷棚が固定状態に陥ってしまい、結局荷棚のみではなく、折り畳み椅子をも畳めなくなった。
更に、椅子は座り心地を良くするために座板の後部を低くしているものが多く、このような椅子に後部吊体を設けた荷棚をつけると、椅子を床に置いた時点で既に後部吊体は後方に傾斜していて、そのままでは棚板を真っ直ぐに引き上げても荷棚は畳めなかった。
【0006】
次に特許文献2は、特許文献1の問題点を解決するために成されたものであり、この構成は、下部の幅より上部の幅を狭くすることで吊体を傾斜させ、この吊体の重量を利用することで、中段の蝶番部の畳み方向への初動を促して荷棚を畳めるようにしている。
ここで重要なことは、この構成の荷棚を畳むとき、棚板のみを引き上げられれば畳めるが、急ぎや不用意な作業によって椅子自体を後方に傾けてしまうと、傾斜している後部吊体が垂直を越えて逆傾斜になると、中段の蝶番部が垂れ下がって荷棚を畳めなくなる。
更にこの文献2の構成は、上部の吊板と下部の吊板とでは大きさが異なるために、製造時の金型にかかる費用が、大幅に嵩んでしまう問題点がある。
そこで本願の目的は、前述の垂下するそれぞれの吊体の中段の蝶番部を、常に畳み方向の軌道上に移動しておくことで、吊体自体の突っ張り状態を解消し、容易且つ速やかに畳める荷棚装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、折り畳み椅子の座部の下側に取り付けるための基体と、該基体の左右側辺又は左右側辺及び後辺に、上部と下部に配設する吊板の上段と中段と下段を蝶番によって連結する吊体の上段を連結して該吊体を垂下状態とし、前記吊体の下段に棚板の左右側片前記吊体の下段に荷棚の左右辺又は左右側辺及び後辺を連結した荷棚装置であって、前記中段の蝶番の折り畳み方向への軌道上の適宜箇所に、前記中段の蝶番を移動させておくための手段を備えている。
【0008】
【発明の効果】
本願は、垂下するそれぞれの吊体の中段の蝶番部を、荷棚の畳み方向の適宜箇所に予め移動していることで、容易且つ速やかに荷棚を畳むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】 本発明の実施例1を正面から見た図で、図2のb-b断面を示している。
図2図1のa-a断面図である。
図3】 実施例1の荷棚の断面図である。
図4図3のア部の拡大図である。
図5図3の荷棚を畳んだ状態の断面図である。
図6】 本発明の実施例2の拡大図である。
図7図6の荷棚を畳んだ状態の拡大図である。
図8】 本発明の実施例3の拡大図である。
図9図8の荷棚を畳んだ状態の拡大図である。
【発明を実施するための形体】
【0010】
本発明の椅子用折り畳み式荷棚の折り畳み補助装置は、以下に述べる実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内、すなわち同一の作用効果を発揮できる形状及び寸法の範囲内で、適宜変更することができる。
【実施例1】
【0011】
本発明の実施例1を、図1図2図3図4図5に基づいて詳細に説明する。
実施例1は、本発明の荷棚装置を使用できる状態の正面から見た断面図であって、座部Dの下側に固着する基体1の左右に、上段の蝶番4・4によって吊体2・2を吊り下げ状態に連結し、同じく図示の中央には後部吊体3が上段の蝶番4によって連結し、更に側部吊体2・2と後部吊体3の下段の蝶番6・6・6によって棚板9を連結している。
そして、側部吊体2・2はそれぞれの中段の蝶番5・5によって荷棚の畳み方向に折れ曲がった状態とし、同じく後部吊体3も中段の蝶番5の部分で図示の手前方向(図2の3)に折れ曲がった状態としている。
この吊体2・2の畳み方向への折れ曲がった状態を維持するために、本実施例では上段の蝶番付近に弾発体としてコイルバネを設けているが、これを磁石に変更しても同じ効果が得られる。
【0012】
次に図2図1のa-a断面図であって、後部吊体3も側部吊体2と同じく、中段の蝶番5の部分で畳み方向に折れ曲がり、そして図1及び図2に示すように側部吊体2・2と後部吊り体3の形状を揃えることで、金型にかかる費用を安くすることができる。
【0013】
次に図3は荷棚の拡大図であって、左右対象の吊体2・2の中段の蝶番5・5の位置を上段の蝶番4と下段の蝶番6を結ぶ直線の内側に位置していて、この位置は荷棚を畳む動作時の中段の蝶番5・5の軌道カ・キ上の適宜に設けた停止点ケであり、この停止点ケに中段の蝶番5・5を予め移動しているので、容易且つ速やかに荷棚を畳めるのである。
本実施例では中段の蝶番5・5を停止点ケの位置に移動しておくための弾発体は、基体1と上部吊板7とに架ける引のコイルバネ11としている。
そしてこのコイルバネが伸縮自在であるから、荷棚への載置物が大きいときは、吊体2・2が載置物によって押されると、中段の蝶番5・5は椅子の脚部B・Bに当接するまで移動して荷棚の内幅を広げ、載置物を取り除くと、中段の蝶番5・5はコイルバネ11の作用によって元の停止点ケに戻るので、続けて荷棚を畳むことができる。
【0014】
次に図4図3の拡大図であって、コイルバネ11を基体1と上部吊板7とに架け渡した状態を示していて、本実施例のコイルバネの引く強さと取り付ける位置は、中段の蝶番5・5を停止点ケに止められるように調整が成されるものである。
またコイルバネ11の強さは、蝶番5を停止点ケまで引き寄せられる程度であるから、棚板9を完全に畳んだ状態を維持するほどの強さはなく、これを補うための手段として、例えば磁石によって棚板9を引き寄せる構成は有効である。
【0015】
次に図5は本実施例の荷棚を畳んだ状態の断面図であって、左右対称の吊体2・2と棚板9は折り畳まれ、コイルバネ11・11は最も収縮した状態を示している。
【0016】
次に本発明の実施例2を、図6図7に基づいて詳細に説明する。
本実施例は、中段の蝶番を軌道上の停止点に移動しておくために、図示する形状に加工した板バネ12を基体1の内側に設けて、上部吊体7を押し止めている。
更に図7に示すように、板バネ12の先端部に係止部13を形成し、この係止部13は棚板9を畳んだままの状態を維持しておくためのラッチ錠の作用をも兼ねている。
従って板バネ12によると、実施例1に必要な荷棚を畳んだ状態を維持するため手段を省くことができる。
【0017】
次に本発明の実施例3を、図8図9に基づいて詳細に説明する。
図8は、中段の蝶番5・5を軌道上の停止点ケに止めるために、中段の蝶番5に上部吊板7と下部吊板8に係わるバネ14を設けていて、このバネ14の下部吊板8に接する部分を下部吊板8に固着15し、蝶番5・5が載置物に押されて点線の位置まで移動しても、載置物を取り除けば、バネ14によって即座に元の停止点に戻る。
【0018】
次に図9は本実施例の荷棚を畳んだ状態を示していて、バネ14・14は下部吊板8に固着15しているので、図示のようにバネ14・14が荷棚の畳み動作を妨げることはない。
上述する全実施例において、折り畳むことが困難であった荷棚に、弾発体を設けたことで、容易且つ速やかに折り畳めるようになり、更に、本願荷棚の商品化を可能にできる意義は大きい。
【符号の説明】
【0019】
A:折り畳み椅子 B:脚部 C:座枠
D:座部
1:基体 2:側部吊体 3:後部吊体
4:上段の蝶番 5:中段の蝶番 6:下段の蝶番
7:上部吊板 8:下部吊板 9:棚板
11:コイルバネ 12:板バネ 13:係止部
14:バネ 15:固着部
カ・キ・ク:作動方向矢印 ケ:停止点
【要約】
【課題】 従来、折り畳み椅子に取り付ける折り畳みが可能な荷棚は、使用にあたって棚板を押し下げるときは難なく行えるが、使用後に棚板をたたむときは極めて困難であった。
【解決手段】 本発明は、折り畳み椅子の座部の下側に取り付けるための基体と、該基体の左右側辺又は左右側辺及び後辺に、上部と下部に配設する吊板の上段と中段と下段を蝶番によって連結する吊体の上段を連結して該吊体を垂下状態とし、前記吊体の下段に棚板の左右側片前記吊体の下段に荷棚の左右辺又は左右側辺及び後辺を連結した荷棚装置であって、前記中段の蝶番の折り畳み方向への軌道上の適宜箇所に、前記中段の蝶番を移動しておくための手段を備えている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9