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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】循環装置
(51)【国際特許分類】
   B67D 1/08 20060101AFI20240805BHJP
   F25D 9/00 20060101ALI20240805BHJP
   F25D 11/00 20060101ALI20240805BHJP
   F25D 25/00 20060101ALI20240805BHJP
   F28D 7/10 20060101ALN20240805BHJP
【FI】
B67D1/08 A
F25D9/00 B
F25D11/00 101W
F25D25/00 J
F28D7/10 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021087276
(22)【出願日】2021-05-24
(65)【公開番号】P2022180261
(43)【公開日】2022-12-06
【審査請求日】2023-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】595076008
【氏名又は名称】株式会社ニットク
(74)【代理人】
【識別番号】100103805
【弁理士】
【氏名又は名称】白崎 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100126516
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 綽勝
(74)【代理人】
【識別番号】100132104
【弁理士】
【氏名又は名称】勝木 俊晴
(74)【代理人】
【識別番号】100211753
【弁理士】
【氏名又は名称】岡崎 紳吾
(72)【発明者】
【氏名】五味 久明
【審査官】山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-094120(JP,A)
【文献】米国特許第04730463(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 1/08
F25D 9/00
F25D 11/00
F25D 25/00
F28D 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水槽に貯留された液を、外部装置に循環させるための循環装置であって、
一端が前記水槽の排水部に取り付けられた外側管と、
前記外側管に挿通され、一端が前記外側管の一端よりも前記水槽側に延出した内側管と、
前記外側管の他端が取り付けられたアダプタと、
一端が前記アダプタに取り付けられた流通管と、
前記液を流通させるポンプと、
を備え、
前記外側管と前記流通管とが前記アダプタの中空部を介して連通しており、
前記アダプタが前記内側管を支持するための内側管支持部を有し、
前記内側管が前記中空部から前記内側管支持部を介して前記アダプタの外部に延出しており、
前記流通管の他端及び前記内側管の他端が前記外部装置に取り付けられたものであり、前記流通管及び前記内側管のいずれか一方から前記液を流出させ、前記外部装置を循環し、他方へ流入させるものであり、
前記外側管においては、前記水槽から前記流通管へ前記液が流通し、
前記内側管においては、前記流通管から前記水槽へ前記液が流通するものである循環装置。
【請求項2】
前記流通管の他端から前記液を流出させ、前記外部装置を循環し、前記内側管の他端へ流入させるものである請求項1記載の循環装置。
【請求項3】
前記中空部には、フィルタが設けられている請求項1又は2記載の循環装置。
【請求項4】
外部装置を冷却するためのものであり、
前記アダプタが、前記外側管の他端が取り付けられた前記第1アダプタ部と、前記流通管の一端が取り付けられた第2アダプタ部と、よりなり、
前記第1アダプタ部と前記第2アダプタ部とが着脱自在である請求項1~3いずれか1項に記載の循環装置。
【請求項5】
前記水槽が、飲料サーバーが内蔵する冷却水槽であり、
前記冷却水槽が、前記液の冷却のための冷却コイルを有し、
前記内側管の一端が、前記冷却コイルが前記液に浸漬されている部分の半分よりも上方に延出したものであり、
前記排水部が前記冷却水槽の底に設けられたものである請求項1~4いずれか1項に記載の循環装置。
【請求項6】
前記外部装置が、水冷式熱交換器又はペルチェ素子式熱交換器である請求項1~5いずれか1項に記載の循環装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は循環装置に関し、更に詳しくは、循環した液が流入するための流入部を水槽に設けることなく、水槽に貯留された液を排水部から外部装置に循環させることが可能な循環装置に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料ディスペンサーには、一般的に飲料を冷却するための冷却液が貯留された水槽が備えられている。この水槽に貯留された液を、外部装置を冷却する目的で外部装置に循環させる装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1の飲料ディスペンサーは、飲料を冷却するための冷却水槽に貯留された冷却液を、水槽の外部に設けられた冷蔵室の熱交換器及び/又はペルチェ素子に循環させ、冷蔵室の冷却に用いることが可能な装置である。
同様に、特許文献2のボトル飲料サーバーは、ビールサーバーにおいてビールを冷却するための水槽に貯留された冷却液を、ビールサーバーの外部に設けられたボトル飲料サーバーのペルチェ素子に循環させ、ボトル飲料サーバーの冷却に用いることが可能な装置である。
【0004】
通常、液を貯留する水槽には、内部の液を排水するための排水部が水槽の下部に設けられている。特許文献1及び特許文献2の装置においては、いずれも水槽に貯留された液を、水槽に設けられる排水用の排水部とは別に設けられたポンプ用孔から、ポンプを介して外部装置へ流出させている。外部装置へ流出された液は、水槽を内蔵する筐体の流入部から流入させ、水槽の上部から当該水槽に落下させることで循環されるものである。
【0005】
また、特許文献3の飲料供給装置は、冷却水の一部を送出する送出手段を備え、冷却水槽外部の飲料供給管を冷却する冷却手段を備える装置である。
特許文献3の飲料供給装置においては、冷却水の循環のために排水部(排水口部)とは別途に送出手段が設けられている。送出手段により送出された冷却水は、冷却水供給管へ送られ、冷却管の開口から冷却水槽へと循環する。当該開口は、循環した冷却水が冷却水槽へ流入するための流入部として機能している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第6643302号公報
【文献】特開2019-94120号公報
【文献】特許第4598174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
通常のシンプルな構造の飲料ディスペンサーにおいては、冷却水槽(水槽)に貯留された冷却液を外部に循環させることは想定されていない。そのため、冷却水槽は排水部のみを備え、循環してきた液が流入するための流入部を備えていない。同様に、飲料ディスペンサーに設けられた冷却水槽以外の循環されることを想定していない水槽も流入部を備えていない。
このため、これらの水槽のみを用いて液を外部に循環させる場合には、流入部を新たに設ける必要がある。
また、特許文献1~3の各装置においては、予め、冷却水槽が収容された筐体に、外部を循環した液を流入させるために利用される流入部(流入口)が設けられており、装置自体の構造が複雑なものとなっている。
さらに、当該流入部は、通常のディスペンサーとしては利用しないため、汚れが付着し易く、汚れが付着した場合は特別のメンテナンスを要する。
【0008】
本発明は、上述の課題を受けて開発されたものである。すなわち、本発明は流入部を別途設けることなく既存のシンプルな構造の水槽を利用することができ、水槽の排水部に取り付けるのみで水槽に貯留された液を外部装置に循環させることが可能な循環装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は鋭意検討の結果、外側管と内側管とを組み合わせた2重構造の管を水槽の排水部に取り付け、当該外側管及び内側管をアダプタにより分岐させることで上記課題を解決可能であることを見出した。本発明はこの知見に基づく。
【0010】
本発明は(1)、水槽に貯留された液を、外部装置に循環させるための循環装置であって、一端が水槽の排水部に取り付けられた外側管と、外側管に挿通され、一端が外側管の一端よりも水槽側に延出した内側管と、外側管の他端が取り付けられたアダプタと、一端がアダプタに取り付けられた流通管と、液を流通させるポンプと、を備え、外側管と流通管とがアダプタの中空部を介して連通しており、アダプタが内側管を支持するための内側管支持部を有し、内側管が中空部から内側管支持部を介してアダプタの外部に延出しており、流通管の他端及び内側管の他端が外部装置に取り付けられたものであり、流通管及び内側管のいずれか一方から液を流出させ、外部装置を循環し、他方へ流入させるものであり、外側管においては、水槽から流通管へ液が流通し、内側管においては、流通管から水槽へ液が流通するものである循環装置に存する。
【0011】
本発明は(2)、流通管の他端から液を流出させ、外部装置を循環し、内側管の他端へ流入させるものである上記(1)記載の循環装置に存する。
【0012】
本発明は(3)、中空部には、フィルタが設けられている上記(1)又は(2)記載の循環装置に存する。
【0013】
本発明は(4)、外部装置を冷却するためのものであり、アダプタが、外側管の他端が取り付けられた第1アダプタ部と、流通管の一端が取り付けられた第2アダプタ部と、よりなり、第1アダプタ部と第2アダプタ部とが着脱自在である上記(1)~(3)いずれか1つに記載の循環装置に存する。
【0014】
本発明は(5)、水槽が、飲料サーバーが内蔵する冷却水槽であり、冷却水槽が、液の冷却のための冷却コイルを有し、内側管の一端が、冷却コイルが液に浸漬されている部分の半分よりも上方に延出したものであり、排水部が冷却水槽の底に設けられたものである上記(1)~(4)いずれか1つに記載の循環装置に存する。
【0015】
本発明は(6)、外部装置が、水冷式熱交換器又はペルチェ素子式熱交換器である上記(1)~(5)いずれか1つに記載の循環装置に存する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の循環装置は、一端が排水部に取り付けられた外側管と、外側管に挿通された内側管との二重構造とし、この内側管と外側管とをアダプタにより分岐させ、外側管と内側管との液の流れ方向を逆にすることで、水槽に貯留された液を、排水部のみを利用して外部装置に循環させることが可能となる。
これにより、排水部を有し流入部を有さないシンプルな構造の水槽であっても、新たに流入部を設けることなく利用することが可能となる。
また、流入部を別途設けないため、特別なメンテナンスを要さない。
【0017】
本発明の循環装置は、内側管の一端が外側管の一端よりも水槽側に延出しているため、内側管の一端は排水部から離れた位置にある。
そのため、循環装置により外部装置から流入した直後の液が、直ちに循環装置により外部装置へ流出することを防止することができる。
その結果、水槽又は外部装置を十分に冷却することが可能となる。
例えば、水槽に貯留された液で外部装置を冷却する場合、流通管から冷たい液を流出させ外部装置を循環し、内側管へ吸熱した液を流入させることにより、その吸熱した液が排水部から離れた位置で水槽内に流出されることになる。
そのため、液の対流により水槽の下部に集まる冷たい液を外部装置へと循環させることが可能となる。
【0018】
本発明の循環装置は、中空部にフィルタを設けることにより、水槽内に異物が存在した場合であっても、当該異物が外部装置へ流入することを防止することができる。これにより、外部装置の詰まりや破損を防止し、確実に液を循環させることが可能となる。
【0019】
本発明の循環装置は、アダプタが、第1アダプタ部と第2アダプタ部とよりなり、第1アダプタ部と第2アダプタ部とが直接的又は間接的に着脱自在であることにより、アダプタのメンテナンス性が向上する。
これにより循環装置をより長期間利用することが可能となる。
また、アダプタの内部にフィルタが設けられている場合、第1アダプタ部と第2アダプタ部とが着脱自在であることにより、フィルタのアダプタに対する取り付け及び取り外しを簡単に行うことが可能であり、フィルタのメンテナンス性も向上する。
【0020】
本発明の循環装置は、水槽が、飲料サーバーが内蔵する冷却水槽であり、冷却水槽が、液の冷却のための冷却コイルを有し、内側管の一端が、冷却コイルが液に浸漬されている部分の半分よりも上方に延出したものであることにより、外部装置を循環した液が、排水部から十分に離れた位置で水槽に流出する。
このため、内側管から流出した直後の液が、外側管へと流入することを確実に抑制することが可能となる。
また、内側管の一端が、冷却コイルが液に浸漬されている部分の半分よりも上方に延出したものであるため、外部装置を循環し、外部装置から熱を吸収した液は、水槽内で直ちに冷却コイルにより十分に冷却される。
【0021】
そうすると、循環装置においては、内側管から水槽内へと流出した液が冷却コイルにより冷却されることになるため、飲料サーバーの冷却機構を利用して外部装置を冷却することが可能となる。
【0022】
本発明の循環装置は、外部装置が、水冷式熱交換器又はペルチェ素子式熱交換器であることにより、これらの熱交換器が取り付けられた装置から吸収された熱を、さらに水槽に貯留された液が吸熱することが可能となる。これによって、これらの熱交換器に冷却機構を別途設ける必要がないため、これらの熱交換器を内蔵する冷却装置を軽量化することができる。
このように、水槽が飲料サーバーを内蔵する冷却水槽である場合、飲料サーバーの冷却機構を利用して外部装置を冷却することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、循環装置を示す模式図である。
図2図2は、アダプタを示す断面図である。
図3図3は、アダプタを分解して示す側面図である。
図4図4は、アダプタを分解して示す断面図である。
図5図5は、外部装置を示す模式図である。
図6図6は、外部装置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。
また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。
【0025】
更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
図1は、循環装置Aを示す模式図である。
本発明の循環装置Aは、水槽1に貯留された液Wを外部装置Cに循環させるためのものである。
本実施形態において、水槽1として飲料サーバーBが内蔵する冷却水槽1を用いる。
【0026】
また、液Wとして、冷却水槽1に貯留された冷却液Wを用いる。
冷却水槽1の下部には、飲料サーバーBの外部へと連絡し、冷却水槽1に貯留された冷却液Wを排出するための排水部11が設けられている。排水部11は、冷却水槽1の底壁に設けられた底孔11cと、冷却水槽1を内蔵する筐体から外側に突出するように、該筐体に設けられた排水口部11aと、底孔11cと排水口部11aの排水口とを連通する排水管11bと、よりなる。
【0027】
また、冷却水槽1内には、冷却コイルがその一部が冷却液Wに浸漬した状態で設けられている。
冷却コイル内には冷媒が上側から循環し、冷却液Wを冷却する。
なお、冷却コイルを冷却する機構については、公知のものを公的に利用できるため説明を省略する。
【0028】
循環装置Aは、上記の冷却水槽1と、一端が冷却水槽1の排水口部11aに取り付けられた外側管2と、外側管2に挿通され一端が外側管2の一端よりも冷却水槽1側に延出した内側管3と、外側管2の他端が取り付けられたアダプタ4と、一端がアダプタ4に取り付けられた流通管5と、冷却液Wを流通させるポンプ6と、を備える。アダプタ4は中空状であり、その内部に空間である中空部を有する。
【0029】
外側管2は、内径9.4mm~12.7mmで、可撓性を有する。外側管2の内側には上述したように内側管3が挿通されている。外側管2の一端は、冷却水槽1の排水口部11aに取り付けられている。
冷却水槽1の排水口部11aは、通常時はネジ式の蓋により封止されている。外側管2を排水口部11aに取り付ける際には、蓋同様のネジを切った治具により外側管2を排水口部11aに取り付ける。
これにより、外側管2が確実に排水口部11aに取り付けられ、不意に冷却液Wが漏出することを防止することが可能となる。
外側管2の他端は、後述するアダプタ4に取り付けられている。
【0030】
内側管3は、内径3.0mm~4.0mmで、可撓性を有する。内側管3は外側管2よりも長く設けられ、外側管2の両端から外部へと延出した状態となっている。内側管2の一端は、排水口部11a側において外側管2の一端を越えて延出し、排水管11bを介して底孔11cを越えて冷却水槽1の内部にまで挿入されている。当該内側管3の一端は、飲料サーバーBの冷却コイルの冷却液Wに浸漬された部分の半分よりも上方に延出するように、冷却水槽1に挿入されている。
内側管3の他端は、後述するアダプタ4の中空部46を介して外部装置Cに連通している。
【0031】
図2は、アダプタ4を示す模式図である。
アダプタ4は、全体として中空状であり、内部に空間である中空部46を有する。
また、アダプタ4は外側管口部41a、流通管口部42a、及び内側管支持部42bを備える。アダプタ4は、第1アダプタ部41、第2アダプタ部42、及び、第1アダプタ部41と第2アダプタ部42とに挟持される支持部材43とよりなる。
また、本実施形態において、アダプタ4は分解可能である。
【0032】
図3はアダプタ4を分解して示す側面図である。
図4は、アダプタ4を分解して示す断面図であり、図3におけるA-A断面を示す。
【0033】
第1アダプタ部41、第2アダプタ部42、及び支持部材43は、冷却液Wの流れ方向とは垂直(図3及び図4においては水平方向)に分割可能となっている。
第1アダプタ部41は、全体として、円筒状であり、上方に向けて突出した外側管口部41aを有する。第1アダプタ部41は、その内側に下側に向けて開口した空間である第1中空部46aを有する。第1アダプタ4内の第1中空部46aには、開口に向けて拡径した段部が設けられている。当該段部は、後述するようにフィルタ44を介して支持部材43の突起と嵌合するようになっている。
また、第1アダプタ部41には、その周縁部にネジ穴48が切られている。
【0034】
第1アダプタ部41は、外側管口部41aを有する。
外側管口部41aには、外側管2の他端が取り付けられる。外側管口部41aは外部に突出した円筒状の突起である。外側管口部41aには、外側管2が取り付けられる。外側管口部41aは開口しており、当該開口を介して第1中空部46aと外側管2内部とが連通している。
外側管口部41aの外径は、外側管2の内径とほぼ同寸、又はわずかに大きく設けられている。外側管口部41aを外側管2に挿入することにより、外側管2がその可撓性により拡径してその内壁が外側管口部41aに密着することで、外側管2と外側管口部41aとが封止される。これにより、外側管2とアダプタ4内部とが連通する。
【0035】
第2アダプタ部42は、全体として円筒状であり、下方に向けて流通管口部42aを有する。
第2アダプタ部42はその中央部に上下の両端が開口した空間である第2中空部46bを有する。第2中空部46bは、その開口を通じて後述する支持部材43の支持中空部及び流通管口部42aの内部とも連通している。
【0036】
また、第2アダプタ部42は、第2中空部46bに隣接して内側管3が挿通されるための孔を構成する内側管支持部42bを備える。内側管支持部42bは、後述する支持部材43に設けられた補助内側管支持部と連通し、挿通された内側管2を支持する。
【0037】
流通管口部42aは、アダプタ4から外側管口部41aとは異なる方向に突出した円筒状の突起である。流通管口部42aには、後述する流通管5が取り付けられる。取り付けの方法は、外側管2と外側管口部41aに対する取り付けと同様である。流通管口部42aは開口しており、当該開口を通して、中空部46と流通管5内部とが連通する。
すなわち、アダプタ4を介して外側管2内部と流通管5内部とが連通する。
流通管口部42aは、流通管5を取り付けるためのジョイントであり、第2アダプタ部42にネジ込み固定されている。
【0038】
第2アダプタ部42は、その周縁部に第2アダプタ部42の上下に貫通して、上述した第1アダプタ部41のネジ穴48及び後述する支持部材43のネジ孔48に連通するネジ孔48を有する。
【0039】
第1アダプタ部41内の空間と、第2アダプタ部42の開口とは、第1アダプタ部41と第2アダプタ部42とが取り付けられた際に、連通して空間である中空部46を形成する。
【0040】
支持部材43は、その中央に上側に向けて凸な形状を有し、大小2枚の同心円状の円盤を重ねた形状を有する。
支持部材43は、その周縁部を第1アダプタ部41及び第2アダプタ部42に挟持され、中空部46内に固定されている。支持部材43が第1アダプタ部41及び第2アダプタ部42に挟持された場合において、支持部材43の凸部は、第1アダプタ部41に設けられた開口に嵌合する径に設けられる。
支持部材43の中央は、支持部材43の上下に貫通するように開口し、空間である支持空間部が設けられている。支持空間部を通じて、第1中空部46aと、第2中空部46bとが連通する。
支持中空部は、その上方において縮径しており、段部を有する。当該段部にはOリング45が載置されている。
【0041】
支持部材43は、支持中空部に隣接して内側管3が挿通されるための孔を構成する補助内側管支持部を有する。
内側管支持部42b及び補助内側管支持部は、内側管3の外径と略同寸の孔を有する。
これらの孔は互いに連通し、当該連通した孔に内側管3が挿通されることで、内側管支持部42bは内側管3を支持している。内側管3は、外側管口部41aの開口からアダプタ4内部に挿入され、内側管支持部42bを介してアダプタ4外部へと連絡する。
すなわち、アダプタ4を介して外側管2と内側管3とが分岐する。
内側管3と内側管支持部42bとの間は、Oリング45により封止されている。これにより、外側管2からアダプタ4の内部へと流入した冷却液Wが漏出せず、流通管5へと流通することが可能となる。
【0042】
第1アダプタ部41と支持部材43との間には、フィルタ44が設けられている。
フィルタ44は、金属製の網構造である。フィルタ44は、内側管3との干渉を避けるため、円形の一部が欠けた形状を有する。外側管2からアダプタ4内部へ流入した冷却液Wは、フィルタ44を通って流通管5へと流出する。第1アダプタ部41に設けられた段部にフィルタ44が嵌合し、これに支持部材43がOリング45を介して嵌合されることで、フィルタ44が挟持される。
アダプタ4がフィルタ44を備えることにより、冷却液W内の異物が流通管5を介して外部装置Cへと流入することを防止することが可能となる。これにより、外部装置Cの詰まりや破損を防止し、確実に冷却液Wを外部装置Cへと循環させることが可能となる。
【0043】
また、フィルタ44が第1アダプタ部41の段部と支持部材43の突起とに挟持されていることにより、冷却液Wが流通した場合にフィルタ44の揺動を抑止することができる。
これにより、冷却液Wへ異物が混入することや、アダプタ4及びフィルタ44の破損を防止することが可能となる。
【0044】
支持部材43は、その周縁部に支持部材43の上下に貫通するように、上述した第1アダプタ部41のネジ穴48及び第2アダプタ部42のネジ孔48に連通するネジ孔48を有する。
第1アダプタ部41、第2アダプタ部42、及び支持部材43とは、それぞれの周縁部に設けられた連通するネジ孔48(ネジ穴48)に、ネジ47を螺合することにより取り付けられている。
【0045】
上述したように、アダプタ4は第1中空部46aと、第2中空部46bと、支持中空部とにより形成される中空部46を有する。第1中空部46aは、外側管口部41a側からテーパー状に拡径して設けられている。
これにより、フィルタ44をアダプタ4内部に取り付けることが可能になるとともに、アダプタ4内部で内側管3が内側管支持部42bへと案内されることが可能となる。
中空部46は、フィルタ44から流通管口部42aの開口に向けてテーパー状に縮径している。
これにより、冷却液Wの流速が速くなり、冷却液Wの循環効率が向上する。
【0046】
また、アダプタ4は、上述した通り第1アダプタ部41、第2アダプタ部42及び支持部材43よりなり、第1アダプタ部41は第2アダプタ部42に対して着脱自在となっている。
これにより、フィルタ44の取り付け及び取り外しを容易に行うことができる。
さらに、フィルタ44に異物が付着した場合に、アダプタ4及びフィルタ44の清掃、交換を容易に行うことが可能となり、メンテナンス性が向上する。
【0047】
図1に戻って、流通管5は、第1流通管51と第2流通管52とよりなる。第1流通管51及び第2流通管52は、可撓性を有する円筒である。
第1流通管51の一端は、上述したようにアダプタ4の流通管口部42aに取り付けられる。
これにより、第1流通管51の内部と、アダプタ4の内部とが、流通管口部42aの開口を介して連通する。
第1流通管51の他端はポンプ6に取り付けられている。
【0048】
第2流通管52の一端は、ポンプ6に取り付けられる。第2流通管52の内部と第1流通管51の内部とは、ポンプ6を介して連通している。
第2流通管52の他端は、外部装置Cへと連通している。
循環装置Aを流通する冷却液Wは、ポンプ6により駆動されることで、一方向的に流通する。
【0049】
外部装置Cは内側管3及び第2流通管52と接続された、外部装置管C3を有する。外部装置管C3には、内側管3又は第2流通管52のいずれか一方から冷却液Wが流入し、他方へと流出する。上述したように、冷却液Wはポンプ6により駆動されているため、この冷却液Wの流れは一方向的なものである。
本実施形態においては、冷却水槽1から流出した冷却液Wは第2流通管52から外部装置Cへと流出し、外部装置Cを循環して、内側管3を介して再び冷却水槽1内部へ流出する。
すなわち、外側管2と内側管3とを流れる冷却液Wの流れ方向は逆となる。
【0050】
図5及び図6は、外部装置Cを示す断面図である。
図5は、水冷式熱交換器C1を備えた冷却装置を示す。
図6は、ペルチェ素子式熱交換器C2を備えた冷却装置を示す。
本実施形態において外部装置Cとして、飲料の冷却装置に設けられた熱交換器を用いる。
図5において、外部装置Cは水冷式熱交換器C1であり、外部装置管C3は水冷式熱交換器C1の冷却管として設けられている。
図6においては、外部装置Cはペルチェ素子式熱交換器C2であり、外部装置管C3はペルチェ素子の放熱側に取り付けられた冷却管として設けられる。
【0051】
上述したように、本実施形態において冷却水槽1は飲料サーバーBの冷却液Wを貯留する冷却水槽1である。冷却液Wは飲料サーバーBの冷却コイルにより冷却されている。いずれの外部装置Cにおいても、循環装置Aにより冷却液Wが循環することで、熱交換器(外部装置C)が冷却される。
その結果、外部装置Cが取り付けられた装置が冷却される。すなわち、冷却液Wを循環装置Aにより外部装置Cに循環させることにより、飲料サーバーBの冷却機構を利用して外部装置C及び外部装置Cが取り付けられた装置を冷却することが可能となる。
これにより、熱交換器に別途冷却機構を設ける必要がなく、熱交換器を内蔵する冷却装置を軽量化することができる。
【0052】
以下、図1に戻って冷却水槽1から冷却液Wが外部装置Cへと循環する流れを説明する。
本発明の循環装置Aが取り付けられた状態において、冷却水槽1、外側管2、アダプタ4、流通管5、及び内側管3は、それぞれその内部が連通し、冷却液Wで満たされた状態となっている。
また、外側管2と内側管3とはアダプタ4により分岐され、それぞれを流れる冷却液Wの流れ方向が逆となっている。これにより、ポンプ6によって冷却液Wを駆動することで冷却液Wを循環させることができる。
【0053】
外側管2が排水口部11aに取り付けられた状態において、内側管3は、排水口部11a、排水管11b、及び底孔11cを介してその一端が冷却水槽1の内部に挿入される。
このとき、内側管3は可撓性を有する円筒であるため、図1のように冷却水槽1の底孔11cから排水口部11aまでが排水管11bで連通している場合であっても、排水管11bを通って冷却水槽1の内部にまで挿入されることが可能となる。
【0054】
冷却水槽1の排水部11からは、ポンプ6による駆動、又は重力及び水圧によって冷却水槽1に貯留された冷却液Wが、底孔11c、排水管11b、排水口部11aを順次通過して流出する。
このとき、排水口部11aには外側管2が取り付けられており、冷却液Wは外側管2の内壁と、内側管3の外壁との間を流通する。
冷却水槽1に貯留された冷却液Wは、冷却液Wの対流により、より低温の冷却液Wが冷却水槽1の下部に集まっている。排水部11が冷却水槽1の下部に設けられていることにより、より低温の冷却液Wが外側管2へと流入する。
これにより、外部装置Cの冷却効率が向上する。
【0055】
冷却水槽1から流通した冷却液Wは、外側管2を介して中空部46へと流入する。中空部46へと流入した冷却液Wは、フィルタ44を通って流通管口部42aから第1流通管51の内部へ流入する。このとき、外側管2及び中空部46と、内側管3内部とは連通しておらず、内側管支持部42bと内側管3との間はOリング45により封止されているため、中空部46に流入した冷却液Wは、確実に第1流通管51へと流出することが可能となる。
【0056】
第1流通管51へと流通した冷却液Wは、ポンプ6を介して第2流通管52へと流通する。第2流通管52は外部装置Cに設けられた外部装置管C3の一端と連通しており、冷却液Wは第2流通管52を介して外部装置管C3へと流出する。
【0057】
外部装置管C3は、他端において内側管3と連通しており、外部装置Cを循環した冷却液Wは内側管3へと流入する。
内側管3は、アダプタ4の内側管支持部42bを介して中空部46へ挿通されている。
また、内側管3はアダプタ4の外側管口部41aを介して外側管2に挿通されている。さらに、内側管3の排水口部11a側の一端は、冷却水槽1の内部へ挿入されている。
内側管3へと流入した冷却液Wは、内側管3を通って冷却水槽1の内部へと循環する。
このとき、内側管3の内部と、中空部46とは連通していないため、それぞれを流通する冷却液Wの混流を防止できる。
【0058】
内側管3の一端が冷却水槽1の内部へ挿入されており、冷却コイルが冷却液Wに浸漬されている部分の半分よりも上方に延出したものであることにより、冷却水槽1内部において底孔11cから離れた位置に内側管3からの冷却液Wが流出する。
内側管3から流入する冷却液Wは、外部装置Cから吸熱した直後の冷却液Wであり、冷却水槽1に貯留された冷却液Wより高温となっている。
このため、対流により、内側管3から流出した直後の冷却液Wは冷却水槽1の上部へと移動し、排水口部11aから遠ざかる。
これにより、内側管3から冷却水槽1へ流入した直後の冷却液Wが、外側管2へと流入することを抑制することが可能となる。また、内側管3から冷却水槽1内へと流出した冷却液Wは、上述した直ちに冷却コイルにより冷却されることが可能となる。
内側管3から流出した直後の冷却液Wが、直ちに外側管2へと流入することを抑制することにより、外部装置Cの冷却効率が向上する。
【0059】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0060】
本実施形態において、排水部11は排水口部11a、排水管11b、及び底孔11cよりなるが、これに限られず、例えば排水管11bを省いて底孔11cが排水口部11aを兼ねる形態としてもよい。
また、底孔11cを水槽1の底壁ではなく、側壁に設けてもよい。
【0061】
本実施形態において、第1アダプタ部41、第2アダプタ部42及び支持部材43の取り付けには螺合が用いられているが、嵌合等、適宜の方法により取り付けてもよい。
また、第1アダプタ部41と第2アダプタ部42を、支持部材43を介さずに直接的に取り付けてもよい。
【0062】
本実施形態においてポンプ6は流通管5に取り付けられているが、冷却液Wを流通させることができる限り、その他の場所に取り付けられていてもよい。
また、本実施形態において流通管5は第1流通管51と第2流通管52とよりなるが、一体としてもよい。
【0063】
本実施形態において、第2流通管52と外部装置管C3とは別体であるが、第2流通管52と外部装置管C3を一体として、外部装置Cに取り付けられた第2流通管52内に冷却液Wを循環させる構造としてもよい。
この場合、第2流通管52と内側管3とが、コネクタにより接続され連通する。
【0064】
本実施形態において、循環装置Aは冷却水槽1に貯留された冷却水を循環させることにより外部装置Cを冷却するものであるが、外部装置Cにより冷却された冷却水を循環させることにより、冷却水槽1内を冷却する構成としてもよい。
また、水槽1に貯留された液Wを循環させることにより、外部装置Cを加熱するものとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、排水口部11aを有する冷却水槽1の液Wを外部へと循環させる場合に広く用いることができる。
また、排水口部11aにおいて液Wの流入及び流出のいずれも行うことが可能であるため、排水口部11aのみを有する既存の飲料サーバーBに用いることが可能である。
【符号の説明】
【0066】
A・・・循環装置
B・・・飲料サーバー
C・・・外部装置
C1・・・水冷式熱交換器
C2・・・ペルチェ素子式熱交換器
C3・・・外部装置管
W・・・液(冷却液)
1・・・水槽(冷却水槽)
11・・・排水部
11a・・・排水口部
11b・・・排水管
11c・・・底孔
2・・・外側管
3・・・内側管
4・・・アダプタ
41・・・第1アダプタ部
41a・・・外側管口部
42・・・第2アダプタ部
42a・・・流通管口部
42b・・・内側管支持部
43・・・支持部材
44・・・フィルタ
45・・・Oリング
46・・・中空部
46a・・・第1中空部
46b・・・第2中空部
47・・・ネジ
48・・・ネジ孔(ネジ穴)
5・・・流通管
51・・・第1流通管
52・・・第2流通管
6・・・ポンプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6