(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】湿気硬化性コンフォーマルコーティング組成物
(51)【国際特許分類】
C09D 183/04 20060101AFI20240805BHJP
C09D 183/02 20060101ALI20240805BHJP
C09D 183/08 20060101ALI20240805BHJP
C09D 7/40 20180101ALI20240805BHJP
H01L 23/14 20060101ALI20240805BHJP
H01L 23/29 20060101ALI20240805BHJP
H01L 23/31 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
C09D183/04
C09D183/02
C09D183/08
C09D7/40
H01L23/14 R
H01L23/30 R
(21)【出願番号】P 2022580249
(86)(22)【出願日】2020-06-24
(86)【国際出願番号】 EP2020067628
(87)【国際公開番号】W WO2021259460
(87)【国際公開日】2021-12-30
【審査請求日】2023-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】390008969
【氏名又は名称】ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【氏名又は名称】浅野 真理
(72)【発明者】
【氏名】ウフク、カラビーク
(72)【発明者】
【氏名】ヒョンデ、ジン
(72)【発明者】
【氏名】ラビイ、マッキ
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス、ホワイト
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、ヤング
【審査官】藤田 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-509741(JP,A)
【文献】特開平7-51624(JP,A)
【文献】国際公開第2010/137721(WO,A1)
【文献】特開2019-189803(JP,A)
【文献】特開2018-16707(JP,A)
【文献】特表2020-510713(JP,A)
【文献】特開平7-173435(JP,A)
【文献】特開2002-38088(JP,A)
【文献】特開平7-238259(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05D 1/00- 7/26
C09D 1/00- 10/00
C09D101/00-201/10
H01L 23/28ー 23/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
噴霧可能な湿気硬化性コンフォーマルコーティング組成物であって、
(A)1つ又は複数の直鎖状のヒドロキシル末端オルガノポリシロキサン;
(B)1つ又は複数のオルガノポリシロキサン樹脂;
(C)1つ又は複数のオルガノシリケート;
(D)少なくとも1つの第三級アミノ基を有する、1つ又は複数のアルコキシシラン;
(E)少なくとも1つの第1級若しくは第2級アミノ基を有する、1つ又は複数のアルコキシシラン;及び
(F)1つ又は複数のUV蛍光顔料
を含み、
1つ又は複数の第三級アミノ基を有する前記アルコキシシラン(D)は、以下の一般式(IV):
R
3R
4N-(CR
5
2)-Si(R
2)
3-x(OR
1)
x (IV)
(式中、
xは、2又は3であり、
R
1及びR
2は、各々独立して、1~12の炭素原子を有する炭化水素基又はC2~C10の炭素原子を有するアルコキシ-アルキル基から選択され、
R
3及びR
4は、各々独立して、各々12までの炭素原子を有し、各々が場合により置換されている、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基又はアリール基から選択され、
R
5は、水素、又は、各々12までの炭素原子を有し、場合により置換されている、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基若しくはアリール基である。)
を有する、湿気硬化性コンフォーマルコーティング組成物。
【請求項2】
前記直鎖状のヒドロキシル末端オルガノポリシロキサン(A)が、以下の一般式(I):
【化1】
(式中、各R
0は、独立して、C1~C10アルキルから選択され、nは、5~5000の数字である。)
を有する、請求項1に記載の湿気硬化性コンフォーマルコーティング組成物。
【請求項3】
前記オルガノポリシロキサン樹脂(B)が、以下のユニット:
R
3SiO
1/2 (IIa)
SiO
4/2 (IIb)
(式中、各Rは、独立して、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基又はアルケニル基から選択される。)
を含む、請求項1~2のいずれかに記載の湿気硬化性コンフォーマルコーティング組成物。
【請求項4】
前記オルガノシリケート(C)が、以下の一般式(III):
【化2】
(式中、各R
1は、独立して、C1~C10アルキル又はC2~C20アルコキシ-アルキルから選択され、nは、1~10の数字である。)
を有する、請求項1~3のいずれかに記載の湿気硬化性コンフォーマルコーティング組成物。
【請求項5】
1つ又は複数の第1級又は第2級アミノ基を有する前記アルコキシシラン(E)が、以下の一般式(V):
R
6HN-R
7-Si(OR
1)
3 (V)
(式中、R
6は、水素又は炭化水素基から選択され、R
7は、少なくとも2つの炭素原子を含むアルキル連結基であり、R
1は、独立して、C1~C10アルキル又はC2~C20アルコキシ-アルキルから選択される。)
を有する、請求項1~4のいずれかに記載の湿気硬化性コンフォーマルコーティング組成物。
【請求項6】
更に、(G)粘度調整
剤及び接着増進剤からなる群より選択される1つ又は複数の添加剤を含む、請求項1~5のいずれかに記載の湿気硬化性コンフォーマルコーティング組成物。
【請求項7】
前記湿気硬化性コンフォーマルコーティング組成物の総重量に基づいて、
・ 40~70重量
%の成分(A)、
・ 10~30重量
%の成分(B)、
・ 3~20重量
%の成分(C)、
・ 3~15重量
%の成分(D)、
・ 0.001~10重量
%の成分(E)、
・ 0.001~10重量
%の成分(F)、及び
場合により、
・ 0~25重量
%の成分(G)
を含む、請求項1~6のいずれかに記載の湿気硬化性コンフォーマルコーティング組成物
。
【請求項8】
前記コンフォーマルコーティング組成物の粘度が、25℃で測定した際、50~10000mPa・sの範囲
内である、請求項1~
7のいずれかに記載の湿気硬化性コンフォーマルコーティング組成物。
【請求項9】
請求項1~
8のいずれかに記載の組成物を製造する方法であって、成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)、成分(E)、成分(F)、及び場合により成分(G)を混合することを含む、方法。
【請求項10】
(a) 成分(A)、成分(B)及び成分(D)を最初に混合すること;
(b) 工程(a)の組成物を均質化すること;
(c) 工程(b)の組成物に、成分(C)、成分(E)、成分(F)及び場合により成分(G)を混合すること
を含む、請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
前記工程(b)が、前記組成物を加熱することを含む、請求項
10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善された機械的及び接着特性並びに温度安定性を有する、湿気硬化性コンフォーマルコーティング組成物に関する。該コンフォーマルコーティング組成物は、(A)1つ又は複数の直鎖状のヒドロキシル末端オルガノポリシロキサン、(B)1つ又は複数のオルガノポリシロキサン樹脂、(C)1つ又は複数のオルガノシリケート、(D)少なくとも1つの第三級アミノ基を有する、1つ又は複数のアルコキシシラン、(E)少なくとも1つの第1級又は第2級アミノ基を有する、1つ又は複数のアルコキシシラン、及び
(F)1つ又は複数のUV蛍光顔料を含む。本発明は、更に、そのような湿気硬化性コンフォーマルコーティング組成物を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンフォーマルコーティングは、プリント回路板の外形に適合し、前記板の構成要素を保護するための、薄いポリマーフィルムである。特に、コンフォーマルコーティングは、電子的な構成要素を、それらが曝露される環境要因から保護するために使用される。これら要因の例は、水分、ダスト、塩、化学物質、温度変化及び機械的摩耗を含む。利用可能なコンフォーマルコーティングの化学物(アクリル性、エポキシ、ポリウレタン、シリコーン、蛍光化又は非蛍光化ポリ-パラ-キシレン、及び非晶質の蛍光性ポリマーを含む)が多くある。適用ニーズに合うコーティング化学物を選択することが重要である。
【発明の概要】
【0003】
本発明のコンフォーマルコーティングは、好ましくは、溶媒が少なく、1成分系であり、固有の架橋化学構造に起因して、安定であり、周囲温度下で速硬化する。金属触媒もないことが好ましい。加えて、成分(D)として使用される反応性シランに起因して、有効期間に悪影響を与えることなく硬化が非常に速い(<15分の指触乾燥時間)。従来のコンフォーマルコーティングは、1つ以上の望まない性質(例えば、溶媒若しくは揮発性有機物の含有量が多い、混合が必要である、硬化時間が長い、又は回路板上での固着及び接着の問題)を有する。多くの先行技術文献(例えば、米国特許第4424252号明細書、同第5179134号明細書、同第5300608号明細書及び同第6828355号明細書)は、速い硬化処理時間について、UV硬化可能な、又はUV/水分の二重硬化可能なコンフォーマルコーティングのいずれかに焦点が当てられている(UV硬化は、速い硬化についてよく選択される方法である)が、ここでは、水分なしですぐに硬化するコンフォーマルコーティング適用物が開示されている。新規コンフォーマルコーティングシステム周辺には、限定的な文献(例えば、欧州特許出願公開第0510608号明細書、特許第7252420号公報、米国特許出願公開第2009/123703号明細書、米国特許出願公開第2015/175863号明細書及び米国特許出願公開第2020/002535号明細書)がある。しかしながら、これら組成物は、触媒フリーでないか、又はほとんどの場合に予混合が要求される一液型システムではないかのいずれかである。本発明のコンフォーマルコーティング組成物は、好ましくは、一液型組成物である。好ましくは、前記コンフォーマルコーティング組成物は、触媒を含まない(シラン架橋剤(D)の存在に起因して触媒フリー)。
【0004】
したがって、本発明の目的は、噴霧可能で、好ましくは、溶媒を含まず、かつ金属触媒を含まない、コンフォーマルコーティング組成物を提供することである。本発明のコンフォーマルコーティング組成物は、プリント回路板に良好な接着性を有し、自動化された光学検査に好適であるべきである。更に、そのような組成物から製造されるコンフォーマルコーティングは、好ましくは、指触乾燥時間が短く、弾性ないし弾塑性の特性、良好な温度安定性、並びに良好な電気絶縁能、そして、残渣流体の存在下、良好な固着性及び接着性を有するべきである。
【発明を実施するための形態】
【0005】
発明の詳細な説明
用語「コンフォーマルコーティング」は、プリント回路板の外形に適合し、前記板の構成要素を水分、ダスト、化学物質、機械的摩耗及び温度変化等の環境要因から保護するためのポリマーフィルムを意味する。
【0006】
本発明は
(A)1つ又は複数の直鎖状のヒドロキシル末端オルガノポリシロキサン;
(B)1つ又は複数のオルガノポリシロキサン樹脂;
(C)1つ又は複数のオルガノシリケート;
(D)少なくとも1つの第三級アミノ基を有する、1つ又は複数のアルコキシシラン;
(E)少なくとも1つの第1級又は第2級アミノ基を有する、1つ又は複数のアルコキシシラン;及び
(F)1つ又は複数のUV蛍光顔料
を含む、湿気硬化性コンフォーマルコーティング組成物に関する。
【0007】
場合により、本発明の湿気硬化性コンフォーマルコーティング組成物は、更に、(G)1つ又は複数の添加剤を含む。
【0008】
成分(A):
成分(A)は、アルコキシオルガノシランと共に湿気硬化させるための、OH官能性であり架橋可能なベースポリマーを形成する典型的なベースフィルムである。好適な化合物は、当技術分野において公知であり、例えば、米国特許第7074875号明細書等に記載されている。これは、RTV-1組成物を形成させるために通常使用されており、一般的にOH末端基を有するポリマーから製造される。
【0009】
単一成分系のシリコーンゴム混合物(RTV-1)(水が除去されているが、湿気の存在下、室温で加硫化されてエラストマー及びシーラントを得た場合に、保存され得る)が広く知られている。これらは、一般的に、ポリマー性又はオリゴマー性であり主に直鎖状のシロキサン、容易に加水分解可能な基を含まなければならない架橋剤、主にメチル末端ポリジメチルシロキサン液である可塑剤(例えば、Wacker Chemie AGから入手可能なWACKER(登録商標)AK 50等)、並びに、適切な場合には、硬化触媒、顔料、加工助剤及び充填剤等の他の添加剤を含む。前記混合物の加硫は、酸条件下(例えば、アセトキシシランの存在下)、塩基性条件下(例えば、アミノシランの手段により)、又は中性条件下(例えば、オキシモ(oximo)基を有するか又はアルコキシ基を有する化合物の方法により)で行ってもよい。中性条件下で架橋するRTV-1システムは、前記混合物の硬化中に生じる開裂生成物が基質に影響を及ぼすことが許容され得ないときに(例えば、コンフォーマルコーティング適用物の酢酸は、プリント回路板を腐食することがある)、特に必要とされる。多くの適用においては、中性条件下で架橋するシステムが優先され、その理由は、アセトキシ組成物及びアミン組成物において、脱離生成物の臭気が不快であるためである。加えて、開裂生成物の毒性を理由として、オキシム組成物は、対応するアルコキシ組成物によってますます置き換えられつつある。
【0010】
RTV-1組成物を形成するために、OH末端基を有するポリマー(成分(A))が一般的に使用される。架橋剤成分と前記OHポリマー(アルコキシ組成物の場合、この目的に使用される物質は、好ましくはトリアルコキシオルガノシランである)との反応は、可塑剤及び他の充填剤の存在下又は非存在下における配合プロセスで起こり得る。これら組成物は、多くの場合、生成することが難しく、かつ混合特性に関して制約が課される(ほとんどの場合、透明な組成物を得ることができない)ことから、予めアルコキシ末端基によって末端がキャップされたポリマーが一般的に使用される。OH基のアルコキシ末端キャッピングは、混合工程中に達成され得る。したがって、成分(A)並びに成分(D)及び/又は成分(E)の予混合は、必須ではない。しかしながら、上述したこれら理由により、成分(A)及び成分(D)は、好ましくは最初にベッセルに投入され、そして、この反応は非常に速く、末端キャッピングが他の成分を加える直前にベッセル内で起こる。これら調製は、欧州特許第0559045号明細書における例示によって開示され、一般的に、金属触媒の存在下又は非存在下、特有の粘度のヒドロキシ末端ポリジオルガノシロキサンとアルコキシシランを介した反応により行われる。所望のポリマー(即ち、アルコキシ末端ポリマー、原則的には、成分(A)並びに成分(D)及び/又は成分(E)の反応生成物)は、アルコールの脱離と共に、この縮合プロセス中に形成される。そして、このアルコキシ末端ポリマーの調製後、他の混合成分が加えられる。しかしながら、これまでに記載された全てのプロセスにおける不利益は、前記OH末端基ポリマーの適度な変換がメトキシシランを使用した場合にのみ達成されることである。もし、前記ポリマーを調製するために、これまで知られていたエトキシシランが使用された場合、前記OH基の変換が不完全であり得る。この理由のために、前記組成物の硬化(ゲル化)は、RTV-1混合物の調製が完了する前か、又は最終混合物の保存中にさえに起こり得る。これは、得られた生成物が不適当な保存安定性を有することを意味する。この形成を消失させるために、過剰量のアルコキシシラン架橋剤成分(D)を至適化すべきである。成分(D)がエトキシシランである場合であっても、過剰な比率であること及び成分(D)が非常に反応性であることに起因して、ゲル化が観察されない。
【0011】
例示的な化合物は、市販されており、例えば、米国特許第8507618号明細書及び同第7074875号明細書に開示されている。そのような化合物は、300mPa・sの粘度を有するOH末端ポリジメチルシロキサン(LV-2(62)型スピンドルを備えたBrookfield DV-1デジタル粘度計装置を使用し、50rpmの速度にて、室温(25℃)で実施された、規格化された試験法ASTM D4652に基づいて測定)であるWACKER(登録商標)CT601という名称で、WACKER Chemie AGから入手可能である。
【0012】
好ましくは、前記直鎖状のヒドロキシル末端オルガノポリシロキサン(A)は、以下の一般式(I):
【化1】
(式中、各R
0は、独立して、C1~C10アルキル(好ましくは、メチル)から選択され、nは、5~5000(好ましくは、10~3000)の数字である。)
を有する。数平均分子量(Mn)は、THF溶媒中のサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって25℃で測定した際、好ましくは、50~300000、より好ましくは、100~200000、より更に好ましくは、5000~50000、特に、5000~20000の範囲内である。好適な測定システムは、RefractoMax 521示差屈折率検出器を備え、順次連結した混合ベッド及び1000A Agilent 5μm 300×7.5mmカラムを使用するThermoFisher Scientific Ultimate U3000 HPLCシステムである。
【0013】
前記コンフォーマルコーティング組成物は、好ましくは、前記湿気硬化性コンフォーマルコーティング組成物の総重量に基づいて、40~70重量%、より好ましくは50~60重量%の成分(A)を含む。
【0014】
成分(A)は、好ましくは、前記コンフォーマルコーティング組成物の他の成分とは異なる。
【0015】
成分(B):
成分(B)の機能は、硬度及び機械的強度を付与することである。追加される利点としては、その残存するOH及び/又はアルコキシ官能基を介して、前記組成物の他の成分と容易に反応することである。したがって、成分Bは、湿気硬化性システムにおいて非常に適している。
【0016】
例示的な化合物は、>3%アルコキシ基及び~0.3%ヒドロキシル基を含むWACKER(登録商標) MQ803樹脂という名称で、WACKER Chemie AGから市販されている。このような樹脂は、これらの適用において、極めて有用であることが証明されている。
【0017】
好ましくは、前記オルガノポリシロキサン樹脂(B)は、以下のユニット:
R3SiO1/2 (Mユニット) (IIa)
SiO4/2 (Qユニット) (IIb)
(式中、各Rは、独立して、アルキル基(好ましくは、C1~C10アルキル基、より好ましくは、メチル基)、アルコキシ基(好ましくは、C1~C10アルコキシ基、より好ましくは、エトキシ基)、ヒドロキシ基又はアルケニル基(好ましくは、C2~C10アルケニル基、より好ましくは、ビニル基)から選択される。)
を含む。特に好ましい実施態様では、各Rは、独立して、メチル基、メトキシ基、エトキシ基及びヒドロキシ基から選択される。
【0018】
前記コーティング組成物を調製するために使用される、前記反応混合物の好ましい成分は、官能性MQ樹脂、好ましくは、OH官能性MQ樹脂(即ち、M、D、Q及び/又はT部分を含む、高度に架橋された樹脂)である。換言すると、MQ樹脂は、優先的にMユニット(ここで、ケイ素は、架橋化された分子中で1つの酸素にのみ接している(R3SiO1/2))、Qユニット(ここで、各ケイ素原子は、4つの他の酸素原子に接している(SiO4/2))を含み、結果として高レベルの架橋化マトリックスが得られる。幾つかのMQ樹脂においては、少量の二官能性Dユニット(R2SiO2/2)及び三官能性Tユニット(RSiO3/2)(式中、Rは、それぞれ上で定義されたとおりである。)も存在する。MQ樹脂は、テトラエトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン及びトリメチルエトキシシラン等のシランの加水分解及び縮合によって頻繁に製造される。得られたMQ樹脂は、その調製方法の結果として、幾つかの残基性のアルコキシ官能基をしばしば維持し、シラノール官能基等の他の官能基もまた含んでもよい。好ましくは、前記オルガノポリシロキサン樹脂(B)は、Mユニット、Qユニット、Dユニット及びTユニットの総数に基づいて、少なくとも80%、より好ましくは、少なくとも90%、より更に好ましくは、少なくとも95%、特に、少なくとも99%のMユニット及びQユニットを含む。好ましくは、MユニットとQユニットの数の比率は、Mユニット及びQユニットの総数に基づいて、30:70~70:30、好ましくは、35:65~65:35の範囲内である。
【0019】
例示的な化合物は、例えば、米国特許第6365670号明細書に開示されている。
【0020】
前記コンフォーマルコーティング組成物は、好ましくは、前記湿気硬化性コンフォーマルコーティング組成物の総重量に基づいて、10~30重量%、より好ましくは15~25重量%の成分(B)を含む。
【0021】
成分(B)は、好ましくは、前記コンフォーマルコーティング組成物の他の成分とは異なる。
【0022】
成分(C):
成分(C)の機能は、機械的特性を改善し、架橋密度を向上させることである。
【0023】
好ましくは、前記オルガノシリケート(C)は、以下の一般式(III):
【化2】
(式中、各R
1は、独立して、C1~C10アルキル(好ましくは、C2~C5アルキル、より好ましくは、エチル)又はC2~C20アルコキシ-アルキルから選択され、nは、1~10(好ましくは、5~7)の数字である。)
を有する。
【0024】
好ましくは、各R1は、独立して、C1~C10アルキル(好ましくは、C2~C5アルキル、より好ましくは、エチル)から選択される。
【0025】
前記オルガノシリケート(C)は、部分的に加水分解されていてもよい。
【0026】
前記一般式(III)で示される好ましいオルガノシリケート(C)は、部分加水分解テトラエチルシリケートである。
【0027】
例示的な化合物は、米国特許第3531424号明細書に開示されている。特に、成分(C)は、好ましくは、ポリアルコキシ化合物(例えば、エチルオルトシリケート、又は部分加水分解エチルシリケート(例えば、おおよそデカエチルテトラシリケートである「エチルシリケート40」)である。
【0028】
例示的な化合物は、WACKER(登録商標) SILICATE TES 40 WN(エチルシリケートポリマーである)という名称でWACKER Chemie AGから市販されている。これは、完全な加水分解で約41%のシリコンジオキサイド(シリカ)を与える、低粘性の液体である。
【0029】
前記コンフォーマルコーティング組成物は、好ましくは、湿気硬化性コンフォーマルコーティング組成物の総重量に基づいて、3~20重量%、より好ましくは5~15重量%の成分(C)を含む。
【0030】
成分(C)は、好ましくは、コンフォーマルコーティング組成物の他の成分とは異なる。
【0031】
成分(D):
成分(D)の機能は、非常に強固なネットワークを迅速に構築することである。
【0032】
市販されている複数の製品(例えば、WACKER Chemie AG製)がある。
【0033】
例示的な化合物は、国際公開第03/018658号及び同第03/014226号に開示されている。特に、官能化アルコキシシランが開示され(ここでは、アルコキシシリル基は、メチレンスペーサーによってヘテロ原子(例えば、酸素又は窒素)から分離され、シリルユニットの加水分解及び縮合に関するシランの反応性が、これら2つの基の空間的接近によって大幅に向上される)、オルガノポリシロキサン及び有機ポリマーの官能化に用いられる。メチレンスペーサーを有するそのような「アルファ-シラン」の向上された反応性は、Monatshefte fuer Chemie 2003, 134, 1081-1092にも開示されている。
【0034】
そのような高反応性アルファ-シランは、これまで、水分に対する相応に向上された反応性を有するシラン-官能性(プレ)ポリマーを調製するために使用されており、そのため、大気中の水分の存在下で硬化する組成物を製造するために好適である。
【0035】
好ましくは、1つ又は複数の第三級アミノ基を有する前記アルコキシシラン(D)は、以下の一般式(IV):
R3R4N-(CR5
2)-Si(R2)3-x(OR1)x (IV)
(式中、
xは、2又は3(好ましくは、3)である。)
を有する。
【0036】
各R1及びR2は、独立して、1~12の炭素原子を有する炭化水素基、又は合計でC2~C20の炭素原子を有するアルコキシ-アルキル基から選択される。好ましくは、R1及びR2は、独立して、1~5の炭素原子を有する炭化水素基から選択される。
【0037】
R1及びR2の例は、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、n-ヘキシル基等のヘキシル基、n-ヘプチル基等のヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基(例えば、2,2,4-トリメチルペンチル基等)等のオクチル基、n-ノニル基等のノニル基、n-デシル基等のデシル基、n-ドデシル基等のドデシル基);アルケニル基(例えば、ビニル基及びアリル基);シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基及びメチルシクロへキシル基);アリール基(例えば、フェニル基及びナフチル基);アルカリル基(例えば、o-、m-、p-トリル基、キシリル基及びエチルフェニル基);アラルキル基(例えば、ベンジル基、アルファ-及びベータ-フェニルエチル基)である。
【0038】
基R1は、好ましくは、1~5の炭素原子を有する炭化水素基、より好ましくは、1~3の炭素原子を有する炭化水素基、より特には、1~3の炭素原子を有するアルキル基である。R1は、より好ましくは、メチル基又はエチル基である。R1は、より好ましくは、エチル基である。
【0039】
R2は、好ましくは、メチル基又はエチル基である。
【0040】
各R3及びR4は、独立して、各々12までの炭素原子を有し、場合によりハロゲン原子及び/又は有機官能基により置換されていることが可能な、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基又はアリール基から選択されるか、あるいは、各々12までの炭素原子を有し、場合によりハロゲン原子及び/又は他の官能基(例えば、ニトロ基、メルカプト基、カルボキシ基、カルボニル基、エステル基、ヒドロキシ基及びエーテル基等)により置換されていることが可能な、二価の、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基又はアリール基である。
【0041】
R3及びR4の例、アルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、n-ヘキシル基等のヘキシル基、n-ヘプチル基等のヘプチル基、n-オクチル基及びイソオクチル基(例えば、2,2,4-トリメチルペンチル基)等のオクチル基、n-ノニル基等のノニル基、n-デシル基等のデシル基、n-ドデシル基等のドデシル基)であり;アルケニル基(例えば、ビニル基及びアリル基);シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基及びメチルシクロへキシル基);アリール基(例えば、フェニル基及びナフチル基);アルカリル基(例えば、o-、m-、p-トリル基、キシリル基及びエチルフェニル基);アラルキル基(例えば、ベンジル基、アルファ-及びベータ-フェニルエチル基)。
【0042】
基R3及びR4は、好ましくは1~6の炭素原子を有する炭化水素基、より特には1~4の炭素原子を有するアルキル基である。R3及びR4は、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基である。
【0043】
成分(D)は、好ましくは、第1級アミノ官能基を保有しない。
【0044】
式(IV)においてR5は、水素、又は、12までの炭素原子を有し、場合によりハロゲン原子及び/若しくは他の官能基(例えば、ニトロ基、メルカプト基、カルボキシ基、カルボニル基、エステル基、ヒドロキシ基及びエーテル基等)により置換されていることが可能な、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基若しくはアリール基である。R5は、好ましくは、水素である。
【0045】
代替的な実施態様では、NとSi(R2)3-x(OR1)xとの間のメチル連結は、プロピル基(ガンマ-シランと称される)又はエチル基であり得る。
【0046】
前記一般式IVで示される好ましいアルコキシシランは、
N,N ジエチルアミノメチル-トリエトキシシラン、
N,N ジエチルアミノメチル-メチルジエトキシシラン、
N,N ジブチルアミノメチル-トリエトキシシラン、
N,N ジブチルアミノメチル-メチルジエトキシシラン、
N-(トリエトキシシリルメチル)ピペラジン、
N-(メチルジエトキシシリルメチル)ピペラジン、
N-(トリエトキシシリルメチル)モルフォリン
N-(メチルジエトキシシリルメチル)モルフォリン、
N-(3-アクリルオキシ-2-ヒドロキシプロピル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、
N-(N-アセチルロイシル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、
3-(N-アリルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、
4-アミノブチルトリエトキシシラン、
N-(6-アミノへキシル)アミノメチルトリエトキシシラン、
N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、
11-アミノウンデシルトリエトキシシラン、
(N,N-ジエチルアミノメチル)トリエトキシシラン、
3-(1,3-ジメチルブチリデン)アミノプロピルトリエトキシシラン、
N-フェニルアミノメチルトリエトキシシラン、
(シクロへキシルアミノメチル)トリエトキシ-シラン、
トリス(トリエトキシシリルメチル)アミン、
3-(2,4-ジニトロフェニルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、
3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン
である。
【0047】
前記コンフォーマルコーティング組成物は、好ましくは、前記湿気硬化性コンフォーマルコーティング組成物の総重量に基づいて、3~15重量%、好ましくは5~15重量%の成分(D)を含む。
【0048】
成分(D)は、好ましくは、前記コンフォーマルコーティング組成物の他の成分とは異なる。
【0049】
成分(E):
成分(E)の機能は、様々な基質(例えば、ポリマーコートされたプリント回路板、フレックスボード、セラミックス、シリコーン及びガラス等)に追加の接着強度をもたらすことである。
【0050】
例示的な化合物は、例えば、米国特許第4644074号明細書に開示されている。特に、本発明のプロセスにおいて使用されるアミノ官能性シロキサンは、当技術分野において広く知られている。これらは、米国特許第2,947,771号明細書(Bailey)(ここでは、アミノ官能性シランが、アルカリ-金属水酸化物の存在下、シロキサンと共に平衡化されている)に開示されているプロセスに沿って調製されてもよい。更に、これらは、米国特許第3,598,853号明細書(Friedmanら)(ここでは、アミノ官能性シランが、シラノール末端ポリジオルガノシロキサンと共に縮合されている)に開示されているプロセスに沿って調製されてもよい。アミノ官能性シロキサン液を調製するための他の方法は、米国特許第3,890,269号明細書(Martin);同第2,930,809号明細書(Jexら)及び同第3,045,036号明細書(Jexら)に開示されている。これら引用文献に開示されている前記アミノ官能性シロキサン及びそれらの調製方法は、参照により本明細書中に援用される。
【0051】
好ましくは、1つ又は複数の第1級又は第2級アミノ基を有する前記少なくとも1つのアルコキシシラン(E)は、以下の一般式(V):
R6HN-R7-Si(OR1)3 (V)
(式中、R6は、水素又は炭化水素基(好ましくは、水素)から選択され、R7は、少なくとも1つの炭素原子(好ましくは、少なくとも2つの炭素原子)を含むアルキル連結基(好ましくは、-CH2-CH2-又は-CH2-CH2-CH2-)であり、R1は、上で定義されたとおり(好ましくは、メチル又はエチル)である。)
を有する。
【0052】
前記一般式(V)で示される好ましいアルコキシシランは:
ベータ-アミノプロピルトリエトキシシラン、
ガンマ-アミノプロピルトリエトキシシラン、
ガンマ-アミノプロピル-ジメトキシシラン、
メチル-ベータ-(アミノエチル)-ガンマ-アミノプロピル ジメトキシシラン、
オメガ-アミノへキシルトリブトキシシラン、
ベータ-(アミノエチル) プロピルトリメトキシシラン、
ベータ-(アミノエチル)-へキシルトリエトキシ-シラン
ベータ-(アミノプロピル)ブチルトリブトキシシラン、
(トリメチル-シリルプロピル)エチレンジアミン、
(トリメチルシリルイソブチル)-エチレンジアミン、及び
ガンマ-3-アミノプロピルトリメトキシシラン
である。
【0053】
前記コンフォーマルコーティング組成物は、好ましくは、前記湿気硬化性コンフォーマルコーティング組成物の総重量に基づいて、0.001~10重量%、好ましくは0.5~5重量%の成分(E)を含む。
【0054】
成分(E)は、好ましくは、前記コンフォーマルコーティング組成物の他の成分とは異なる。
【0055】
成分(F):
成分(F)の機能は、UV光下、光学的かつ自動化された光学表面の異常検出をより容易にすることである。
【0056】
顔料及び色素をポリマーシステムに組み込むことは、産業上広く知られている。色素/顔料は、前記コーティング組成物の1つ又は複数の成分中に、前もって分散させ得るか、又は別個の部分として加え得る。色素/顔料は、また、シロキサン、シラン、他のシリコーン適合性若しくは非適合性ポリマーに官能化又は共有結合され得るか、又は単に物理的に混ぜ合わせ得る。前記担体ポリマーは、官能性であり得るか又は非官能性であり得る。
【0057】
好ましくは、UV蛍光顔料(F)は、UV又はブラックライト下で蛍光性の専用発光剤のうちの1つを含むUVマーカー発光溶液からなる群より選択される。ポリジメチルシロキサン(PDMS)ポリマー及びネットワークに溶解可能な又は分散可能な物質が、好ましくは使用される。
【0058】
好ましい実施態様では、完成したPCB(プリント回路板)の自動検出において重要な自動蛍光を提供するために、ELASTOSIL(登録商標) 色素ペーストFL UV蛍光色素(WACKER Chemie AG製)が、本発明のコーティング組成物中に組み込まれ得る。加えて、他の蛍光マーカー(例えば、TINOPAL OB(BASF)、KB-140及びKB-6002(KUSTOM GROUP)、フルオランテン、クマリン120、ピレン誘導体、並びにペリレン)を溶解化又はグラフトすることも可能である。
【0059】
色素/顔料は、シロキサン、シラン、他のポリマーに共有結合させ得るか、又は物理的に混ぜ合わせ得る。任意の担体ポリマーは、官能性若しくは非官能性PDMS、又はその他のいかなるシリコーン適合性のポリマー、コポリマー若しくはオリゴマーであり得る。
【0060】
好ましくは、成分(F)は、1~10部のTINOPAL OB又はUVITEX 明色化剤を含み、様々な適用への使用に設計されている。そのような色素は、100部の官能性又は非官能性シリコーンに組み込まれる。
【0061】
得られた液は、UV光又はブラックライト下で自動化された異常検出を補助するために、本発明のコンフォーマルコーティング組成物中に、更に希釈され得るか又はそのまま使用され得る。異なる顔料、色素、明色化剤及び蛍光マーカーの組み合わせも可能である。
【0062】
前記コンフォーマルコーティング組成物は、好ましくは、前記湿気硬化性コンフォーマルコーティング組成物の総重量に基づいて、0.001~10重量%、より好ましくは0.5~5重量%の成分(F)を含む。
【0063】
成分(F)は、好ましくは、前記コンフォーマルコーティング組成物の他の成分とは異なる。
【0064】
成分(G):
成分(G)の機能は、物理的及び機械的特性を更に調節すること(例えば、硬度及び柔軟度の調整、摩耗耐性の向上、接着及び固着の促進)にあり、更なる成分を組み入れてもよい。この成分は、反応性で、前記湿気硬化性マトリックスに共有結合させ得るか(例えば、フェニルトリエトキシシランの場合のように)、又は前記ポリマーマトリックス中に混ぜ合わせて非結合のままであり得る(例えば、非反応性ポリジメチルシロキサン(PDMS)液の場合のように)。
【0065】
好ましい官能性化合物は、SILANE P-TRIETHOXY(WACKER Chemie AG製)として、又はPHENYLTRIETHOXYSILANE(GELEST, Inc.製)として市販されているフェニルトリエトキシシランである。
【0066】
好ましい非官能性化合物であるポリジメチルシロキサンは、WACKER(登録商標) AK液(例えば、約50mPa・sの粘度を有する直鎖状の非反応性ポリジメチルシロキサンであるWACKER(登録商標) AK 50(LV-2(62)型スピンドルを備えるBrookfield DV-1デジタル粘度計装置を使用し、50rpmの速度にて、室温(25℃)で実施された、規格化された試験方法ASTM D4652に基づいて測定))として市販されている。
【0067】
好ましくは、前記湿気硬化性コンフォーマルコーティング組成物は、更に、(G)粘度調整剤、又は機械的特性及び接着増進剤からなる群より選択される1つ又は複数の添加剤を含む。
【0068】
好ましい添加剤は:
トリメチルシリル-末端非官能性PDMS液、又は他の広く知られた反応性の希釈液、樹脂若しくはシラン
である。
【0069】
好ましい官能性添加剤は;エチルトリメトキシシラン、メチルブトキシジエトキシシラン、プロピルトリプロポキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチル オルトシリケート及びn-ブチル オルトシリケート、又は、エチルポリシリケート、イソプロピルポリシリケート、ブチルポリシリケート、ジメチルテトラエトキシジシロキサン、トリメチルペンタブトキシトリシロキサン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリブトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、へキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、プロピルトリブトキシシラン及びメチルトリエトキシシラン、並びにエチルシリケート等の部分加水分解シリケートである。
【0070】
加えて、性能を増大させるために、以下の官能性添加剤:
アルファ-アミノメチルシラン(例えば、アミノメチル-トリエトキシ-シラン)、アミノメチルメチルジエトキシシラン、N-シクロへキシル-アミノメチル-トリエトキシシラン、N-シクロへキシルアミノメチル-メチルジエトキシシラン、N-エチルアミノメチル-トリエトキシ-シラン、N-エチルアミノメチル-メチルジエトキシシラン、N-ブチルアミノメチル-トリエトキシシラン、N-ブチルアミノメチル-メチルジエトキシシラン、N-フェニルアミノメチル-トリエトキシ-シラン、N-フェニルアミノメチル-メチルジエトキシシラン、O-メチルカルバマトメチル-トリエトキシシラン、O-メチル-カルバマトメチル-メチルジエトキシシラン、N-フェニルトリエトキシシラン、N,N-ジエチルアミノ-メチル-トリエトキシシラン、N,N-ジエチルアミノメチル-メエル-ジエトキシシラン、N,N-ジブチルアミノメチル-トリエトキシシラン、N,N-ジブチルアミノメチル-メチルジエトキシシラン、N-(トリ-エトキシシリルメチル)ピペラジン、N-(メチルジエトキシシリル-メチル)ピペラジン、N-(トリエトキシシリルメチル)モルフォリン、N-(メチルジエトキシシリルメチル)モルフォリン等
が、上記シランと組み合わせて使用され得る。加えて、アルファ-オキシメチルシラン(例えば、メタクリロイルオキシメチル-トリエトキシシラン)、メタクリロイルオキシメチル-メチルジエトキシシラン、メトキシ-メチル-トリエトキシシラン、メトキシメチル-メチルジエトキシ-シラン、グリシジルオキシメチル-トリエトキシシラン、及びグリシジルオキシメチル-メチルジエトキシシラン、更には、アルファ-フォスフォナート-メチルシラン(例えば、ジエチルホスホン酸エステル-メチル-トリエトキシシラン、ジエチルホスホン酸エステル-メチル-メチルジエトキシシラン)、並びに、エトキシシリル基を伴うにここに挙げられているシラン、対応するメトキシシランも同様に使用され得る。
【0071】
成分(G)は、好ましくは、前記コンフォーマルコーティング組成物の他の成分とは異なる。
【0072】
前記コンフォーマルコーティング組成物は、好ましくは、前記湿気硬化性コンフォーマルコーティング組成物の総重量に基づいて、0~25重量%、より好ましくは1~10重量%、より更に好ましくは5~7重量%の成分(G)を含む。
【0073】
本発明に係る湿気硬化性コンフォーマルコーティング組成物は、好ましくは、前記湿気硬化性コンフォーマルコーティング組成物の総重量に基づいて、以下を含む(より好ましくは、以下から構成される):
・ 40~70重量%、好ましくは50~60重量%の成分(A)、
・ 10~30重量%、好ましくは15~25重量%の成分(B)、
・ 3~20重量%、好ましくは5~15重量%の成分(C)、
・ 3~15重量%、好ましくは5~15重量%の成分(D)、
・ 最大10重量%、好ましくは0.5~5重量%の成分(E)、
・ 最大10重量%、好ましくは0.5~5重量%の成分(F)、及び
場合により、
・ 0~25重量%、好ましくは1~10重量%の成分(G)。
【0074】
好ましくは、湿気硬化性コンフォーマルコーティング組成物は、噴霧可能である。
【0075】
好ましくは、本発明のコンフォーマルコーティング組成物の粘度は、50~10000mPa・sの範囲内、より好ましくは100~6000mPa・sの範囲内、特に500~4000mPa・sの範囲内である。粘度は、規格化された試験法ASTM D4652に基づき、25℃において、50rpmの速度でLV-2(62)型スピンドルを用いた、Brookfield粘度計装置により測定され得る。
【0076】
本発明のコンフォーマルコーティング組成物は、好ましくは、例えば軟化剤等の追加的な希釈物及び/又は粘度調整物(剤)なしで、必要な流動特性に適合すべきである。
【0077】
したがって、本発明のコンフォーマルコーティング組成物は、希釈物及び/又は粘度調整物を含まない。
【0078】
本発明のコンフォーマルコーティング組成物は、好ましくは、RTV-1組成物(即ち、室温(約25℃)で硬化する一液型組成物)である。
【0079】
好ましくは、本発明の組成物は、ミスト化を防いで高圧噴霧プロセスに適応するために、低含有量の揮発性有機物を有する。揮発性有機物が低含有量の製品は、更に、環境及び健康の安全性の規制に起因して、コーティング産業において所望され、要求される。
【0080】
揮発率は、国際的に規格化された試験方法ASTM D-2369による重量測定で決定され得る。より精密な揮発性有機物の含有量は、国際的に規格化された試験方法ASTM D-2369を使用したガスクロマトグラフィー法によっても決定される。
【0081】
更に、本発明は、請求項1~10のいずれかに記載の組成物を製造する方法であって、成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)、成分(E)、成分(F)、及び場合により成分(G)を混合することを含む、方法に関する。
【0082】
好ましくは、本発明に係る製造方法は、以下の工程:
(a) 成分(A)、成分(B)及び成分(D)を最初に混合すること;
(b) 工程(a)の組成物を均質化すること;
(c) 工程(b)の組成物に、成分(C)、成分(E)、成分(F)及び場合により成分(G)を混合すること
を含む。
【0083】
好ましくは、前記工程(b)は、前記組成物を加熱することを含む。
【0084】
混合及び均質化は、任意の公知の方法、好ましくは、プラネタリーミキサー装置(例えば、PC Laborsystem LA G2型等)によって実施され得る。
【実施例】
【0085】
実施例1:
湿気硬化性コンフォーマルコーティング組成物を調製するために、以下の化合物を使用した。
A:OH-官能性シリコーン液(WACKER(登録商標) CT 601M、WACKER Chemie AG)、
B:Qユニット及びMユニットを含むシリコーン樹脂(WACKER(登録商標) MQ 803 TF、 Wacker Chemie AG)、
C:部分加水分解エチルシリケートポリマー(WACKER(登録商標) SILICATE TES 40 WN、Wacker Chemie AG)、
D:N,N,-ジ(ブチル)アミノメチルトリエトキシシラン(SILAN DBA-TEO、Wacker Chemie AG)、
E:3-アミノプロピルトリメトキシシラン(GENIOSIL(登録商標) GF 96、Wacker Chemie AG)、
F:蛍光顔料ペースト(ELASTOSIL(登録商標) UV FL、Wacker Chemie AG)、
G1:フェニルトリエトキシシラン(SILANE P-TRIETHOXY、Wacker Chemie AG)、
G2:直鎖状の非反応性ポリジメチルシロキサン(WACKER(登録商標) AK 50、Wacker Chemie AG)
【0086】
【0087】
混合している間、常に接触させるために、成分Dを最初に加えた。窒素流入を開始して、窒素雰囲気下とした(乾燥混合条件)。成分Aを加え、その後、混合しながら、粉末状の成分Bをゆっくり加えた。前記組成物が均等に分散するまで混合を続ける(外観:濁った分散物-固形樹脂の粒子が液体に分散)。あるいは、成分A及び成分Bを別個に予混合し、この予混合物を成分Dに加え得る。混合物を場合により45℃まで加熱する(混合物が均質化するための時間は、45℃で約1時間、又は室温で約2時間であり、スピードミキサー内で調製される小さいスケールのラボ試料については、成分A及び成分Bを完全に溶解するのに、70℃、10分間で十分である)。その後、窒素雰囲気下で撹拌しながら、成分G2、成分C、成分G1、成分E、成分Fの順序で残りの成分を加えた(あるいは、小さいラボスケールの試料の調製については、スピードミキサーが使用され得る)。均質な組成物(半透明)が得られるまで、混合を続けた。吸引(0~200mbar、好ましくは0~100mbar、又はより好ましくは0~50mbar)が適用され得る(吸引の適用は、全ての原料を加えた後、任意の時点で開始され得る)。吸引下、最短で30分間、混合を継続し、その後、窒素雰囲気で吸引破壊を行った。得られた生成物は、感湿性だった。したがって、吸引及び/又は窒素雰囲気は、長期間の保存及びより大きなスケールの試料に対して必須である。
【0088】
本発明のコンフォーマルコーティング組成物の特性を、市販の組成物と比較した。
【0089】
比較例1:SEMICOSIL(登録商標) 964(WACKER Chemie AG)(空気中の水分との接触で硬化して半透明のコーティングとなる、RTV-1アミン硬化システム)
【0090】
比較例2:Dow Corning(登録商標) 3-1965 コンフォーマルコーティング(Dow Corning)
【0091】
比較例3:ECC3050S コンフォーマルコーティング(Momentive)
【0092】
【0093】
以下の試験方法を適用した。
硬度:規格化されたASTM D2240の試験方法
接着性及び固着性:規格化されたASTM D3359の試験方法
揮発性:規格化されたASTM D-2369の試験方法
引張強度:規格化されたASTM D638の試験方法
伸長性:規格化されたASTM D412の試験方法
【0094】
本発明のコンフォーマルコーティングは、無臭であり、物理的ストレスを緩和するために機械的特性が改善され、温度サイクル(低温及び高温の変動)に対応する。