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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】発光装置およびプロジェクター
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/11 20210101AFI20240805BHJP
   H01S 5/18 20210101ALI20240805BHJP
   H01S 5/20 20060101ALI20240805BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20240805BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20240805BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
H01S5/11
H01S5/18
H01S5/20 610
G02F1/13 505
G02F1/13357
G03B21/14 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020112627
(22)【出願日】2020-06-30
(65)【公開番号】P2022011468
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2023-06-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】502350504
【氏名又は名称】学校法人上智学院
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100148323
【弁理士】
【氏名又は名称】川▲崎▼ 通
(74)【代理人】
【識別番号】100168860
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 充史
(72)【発明者】
【氏名】石沢 峻介
(72)【発明者】
【氏名】岸野 克巳
【審査官】佐藤 美紗子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/087231(WO,A1)
【文献】特開2013-009002(JP,A)
【文献】特開2019-054127(JP,A)
【文献】特開2019-083232(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00 - 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に設けられ、複数の第1柱状部を有する積層体と、
を有し、
前記積層体は、
第1半導体層と、
前記第1半導体層と導電型の異なる第2半導体層と、
前記第1半導体層と前記第2半導体層との間に設けられた発光層と、
を有し、
前記第1半導体層と前記発光層は、前記第1柱状部を構成し、
前記第1半導体層は、前記基板と前記発光層との間に設けられ、
前記第2半導体層には、複数の凹部が設けられ、
前記凹部には、前記第2半導体層よりも屈折率の低い低屈折率部が設けられ、
複数の前記第1柱状部は、第1フォトニック結晶を構成し、
前記第2半導体層および前記低屈折率部は、第2フォトニック結晶を構成し、
前記第1フォトニック結晶における導波モードと前記第2フォトニック結晶における導波モードとが結合して、同一の発振モードでレーザー発振し、
平面視において、前記第1柱状部と前記低屈折率部は、重なっている、発光装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1フォトニック結晶と前記第2フォトニック結晶との間の光学的距離は、3λ(λは発振波長)以下である、発光装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記第1柱状部と前記低屈折率部は、1対1に対応している、発光装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、
前記凹部の径は、前記第1柱状部の径よりも小さい、発光装置。
【請求項5】
基板と、
前記基板に設けられ、複数の第1柱状部を有する積層体と、
を有し、
前記積層体は、
第1半導体層と、
前記第1半導体層と導電型の異なる第2半導体層と、
前記第1半導体層と前記第2半導体層との間に設けられた発光層と、
を有し、
前記第1半導体層と前記発光層は、前記第1柱状部を構成し、
前記第1半導体層は、前記基板と前記発光層との間に設けられ、
前記第2半導体層には、複数の凹部が設けられ、
前記凹部には、前記第2半導体層よりも屈折率の低い低屈折率部が設けられ、
複数の前記第1柱状部は、第1フォトニック結晶を構成し、
前記第2半導体層および前記低屈折率部は、第2フォトニック結晶を構成し、
前記第1フォトニック結晶における導波モードと前記第2フォトニック結晶における導波モードとが結合して、同一の発振モードでレーザー発振し、
前記第2半導体層は、複数の第2柱状部を構成し、
平面視において、前記第1柱状部と前記第2柱状部は、重なっている、発光装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記第1フォトニック結晶と前記第2フォトニック結晶との間の光学的距離は、3λ(λは発振波長)以下である、発光装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項において、
前記第2半導体層は、複数の前記第1柱状部に跨がって設けられた部分を有している、発光装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の発光装置を有する、プロジェクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置およびプロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体レーザーは、高輝度の次世代光源として期待されている。特に、ナノコラム、ナノワイヤー、ナノロッド、ナノピラーなどと呼ばれるナノ構造を有する半導体レーザーは、フォトニック結晶の効果によって、狭放射角で高出力の発光が得られる発光装置が実現できると期待されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、第1半導体層と、第1半導体層とは導電型の異なる第2半導体層と、第1半導体層と第2半導体層との間に設けられた活性層と、を含む柱状部を有し、第2半導体層に設けられた凹部に、第2半導体層より屈折率の低い低屈折率部が設けられた発光装置が開示されている。特許文献1の発光装置では、第2半導体層に凹部を設けることによって面内方向の平均屈折率を低くし、発光層34付近に光を閉じ込める効果を高め、発光層34で発生した光の第2電極52側への漏れを低減している。このような発光装置では、複数の柱状部で構成されたフォトニック結晶によって、光閉じ込め効果を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-083232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような発光装置では、しきい値電流密度などの素子特性を向上させるために、光閉じ込め係数の向上が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る発光装置の一態様は、
基板と、
前記基板に設けられ、複数の第1柱状部を有する積層体と、
を有し、
前記積層体は、
第1半導体層と、
前記第1半導体層と導電型の異なる第2半導体層と、
前記第1半導体層と前記第2半導体層との間に設けられた発光層と、
を有し、
前記第1半導体層と前記発光層は、前記第1柱状部を構成し、
前記第1半導体層は、前記基板と前記発光層との間に設けられ、
前記第2半導体層には、複数の凹部が設けられ、
前記凹部には、前記第2半導体層よりも屈折率の低い低屈折率部が設けられ、
複数の前記第1柱状部は、第1フォトニック結晶を構成し、
前記第2半導体層および前記低屈折率部は、第2フォトニック結晶を構成し、
前記第1フォトニック結晶と前記第2フォトニック結晶とは、光学的に結合している。
【0007】
前記発光装置の一態様において、
前記第1フォトニック結晶と前記第2フォトニック結晶との間の光学的距離は、3λ(
λは発振波長)以下であってもよい。
【0008】
前記発光装置の一態様において、
平面視において、前記第1柱状部と前記低屈折率部は、重なっていてもよい。
【0009】
前記発光装置の一態様において、
前記第1柱状部と前記低屈折率部は、1対1に対応していてもよい。
【0010】
前記発光装置の一態様において、
前記凹部の径は、前記第1柱状部の径よりも小さくてもよい。
【0011】
前記発光装置の一態様において、
前記第2半導体層は、複数の第2柱状部を構成し、
平面視において、前記第1柱状部と前記第2柱状部は、重なっていてもよい。
【0012】
前記発光装置の一態様において、
前記第2半導体層は、複数の前記第1柱状部に跨がって設けられた部分を有していてもよい。
【0013】
本発明に係るプロジェクターの一態様は、
前記発光装置を有する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施形態に係る発光装置を模式的に示す断面図。
図2】第1実施形態に係る発光装置を模式的に示す平面図。
図3】第1実施形態に係る発光装置を模式的に示す平面図。
図4】第1実施形態に係る発光装置の製造工程を模式的に示す断面図。
図5】第1実施形態に係る発光装置の製造工程を模式的に示す断面図。
図6】第1実施形態の変形例に係る発光装置を模式的に示す平面図。
図7】第2実施形態に係る発光装置を模式的に示す断面図。
図8】第2実施形態に係る発光装置を模式的に示す平面図。
図9】第2実施形態の変形例に係る発光装置を模式的に示す平面図。
図10】第3実施形態に係るプロジェクターを模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0016】
1. 第1実施形態
1.1. 発光装置
まず、第1実施形態に係る発光装置について、図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る発光装置100を模式的に示す断面図である。図2および図3は、第1実施形態に係る発光装置100を模式的に示す平面図である。なお、図2では、便宜上、第2半導体層36および柱状部30を図示している。図3では、便宜上、柱状部30を構成する発光層34のみを図示している。また、図1は、図2および図3のI-I線断面図である。
【0017】
発光装置100は、図1に示すように、基板10と、積層体20と、第1電極50と、
第2電極52と、を有している。
【0018】
基板10は、例えば、Si基板、GaN基板、サファイア基板などである。
【0019】
積層体20は、基板10に設けられている。積層体20は、バッファー層22と、第1半導体層32と、発光層34と、第2半導体層36と、を有している。
【0020】
バッファー層22は、基板10上に設けられている。バッファー層22は、例えば、Siがドープされたn型のGaN層である。バッファー層22上には、柱状部30を形成するためのマスク層60が設けられている。マスク層60は、例えば、チタン層、酸化チタン層、酸化シリコン層、酸化アルミニウム層などである。
【0021】
本明細書では、積層体20の積層方向(以下、単に「積層方向」ともいう)において、発光層34を基準とした場合、発光層34から第2半導体層36に向かう方向を「上」とし、発光層34から第1半導体層32に向かう方向を「下」として説明する。また、「積層体の積層方向」とは、第1半導体層32と発光層34との積層方向をいう。
【0022】
第1半導体層32、発光層34、および第2半導体層36の一部は、柱状部30を構成している。積層体20は、複数の柱状部30を有している。柱状部30は、バッファー層22上に設けられている。柱状部30は、バッファー層22から上方に突出した柱状の形状を有している。柱状部30は、例えば、ナノコラム、ナノワイヤー、ナノロッド、ナノピラーとも呼ばれる。柱状部30の平面形状は、例えば、多角形、円などである。図3に示す例では、柱状部30の平面形状は、六角形である。
【0023】
柱状部30の径は、例えば、50nm以上500nm以下である。柱状部30の径を500nm以下とすることによって、高品質な結晶の発光層34を得ることができ、かつ、発光層34に内在する歪みを低減することができる。これにより、発光層34で発生する光を高い効率で増幅できる。複数の柱状部30の径は、例えば、互いに等しい。
【0024】
なお、「柱状部の径」とは、柱状部30の平面形状が円の場合は、直径であり、柱状部30の平面形状が円ではない形状の場合は、最小包含円の直径である。例えば、柱状部30の径は、柱状部30の平面形状が多角形の場合、該多角形を内部に含む最小の円の直径であり、柱状部30の平面形状が楕円の場合、該楕円を内部に含む最小の円の直径である。
【0025】
柱状部30は、複数設けられている。隣り合う柱状部30の間隔は、例えば、1nm以上500nm以下である。複数の柱状部30は、積層方向から見た平面視において(以下、単に「平面視において」ともいう)、所定の方向に所定のピッチで配列されている。複数の柱状部30は、三角格子状に配置されている。なお、複数の柱状部30の配置は、特に限定されず、正方格子状に配置されていてもよい。
【0026】
なお、「柱状部のピッチ」とは、所定の方向に沿って隣り合う柱状部30の中心間の距離である。「柱状部の中心」とは、柱状部30の平面形状が円の場合は、該円の中心であり、柱状部30の平面形状が円ではない形状の場合は、最小包含円の中心である。例えば、柱状部30の中心は、柱状部30の平面形状が多角形の場合、該多角形を内部に含む最小の円の中心であり、柱状部30の平面形状が楕円の場合、該楕円を内部に含む最小の円の中心である。
【0027】
複数の柱状部30は、第1フォトニック結晶2を構成している。第1フォトニック結晶2は、規則的に配列された複数の柱状部30によって、屈折率が周期的に変化する構造体
である。
【0028】
柱状部30は、第1半導体層32と、発光層34と、第2半導体層36の一部と、を有している。
【0029】
第1半導体層32は、バッファー層22上に設けられている。第1半導体層32は、基板10と発光層34との間に設けられている。第1半導体層32は、n型の半導体層である。第1半導体層32は、例えば、Siがドープされたn型のGaN層である。
【0030】
発光層34は、第1半導体層32上に設けられている。発光層34は、第1半導体層32と第2半導体層36との間に設けられている。発光層34は、電流が注入されることで光を発生させる。発光層34は、例えば、不純物がドープされていないi型のGaN層と、i型のInGaN層と、からなる量子井戸構造を重ねた多重量子井戸構造を有している。
【0031】
第2半導体層36は、発光層34上に設けられている。第2半導体層36は、第1半導体層32と導電型の異なる層である。第2半導体層36は、p型の半導体層である。第1半導体層32および第2半導体層36は、発光層34に光を閉じ込める機能を有するクラッド層である。
【0032】
第2半導体層36は、第1GaN層36aと、AlGaN層36bと、第2GaN層36cと、を有している。第1GaN層36a、AlGaN層36b、第2GaN層36cは、発光層34側からこの順で積層されている。
【0033】
第1GaN層36aは、発光層34とAlGaN層36bとの間に位置している。第1GaN層36aの一部は、柱状部30を構成している。第1GaN層36aは、例えば、Mgがドープされたp型のGaN層である。
【0034】
AlGaN層36bは、第1GaN層36aと第2GaN層36cとの間に位置している。AlGaN層36bは、電子ブロック層として機能する。また、AlGaN層36bは、後述するように、凹部40を形成するためのエッチストップ層としても機能する。AlGaN層36bは、例えば、Mgがドープされたp型のAlGaN層である。
【0035】
第2GaN層36cは、AlGaN層36bと第2電極52との間に位置している。第2GaN層36cは、例えば、Mgがドープされたp型のGaN層である。
【0036】
第2半導体層36には、複数の凹部40が設けられている。凹部40は、第2GaN層36cに設けられている。凹部40は、第2半導体層36の上面に開口を有している。第2半導体層36の上面は、第2半導体層36の基板10側とは反対側の面である。図示の例では、第2半導体層36の上面は、第2電極52と接している。
【0037】
図1および図2に示すように、凹部40と柱状部30は、1対1に対応して設けられている。すなわち、1つの柱状部30に対して、1つの凹部40が設けられている。柱状部30は所定の方向に所定のピッチで配列されており、凹部40も柱状部30と同様に、所定の方向に所定のピッチで配列されている。また、図示の例では、柱状部30が三角格子状に配置されており、凹部40も三角格子状に配置されている。
【0038】
平面視において、凹部40と柱状部30とは重なっている。図2に示す例では、凹部40の中心と柱状部30とは、重なっている。すなわち、平面視において、凹部40の中心は、柱状部30の外縁の内側に位置している。図2に示す例では、凹部40の中心と柱状
部30の中心とが重なっている。すなわち、平面視において、凹部40の中心の位置と柱状部30の中心の位置とは、一致している。
【0039】
なお、「凹部の中心」とは、凹部40の平面形状が円の場合は、該円の中心であり、凹部40の平面形状が円ではない形状の場合は、最小包含円の中心である。例えば、凹部40の中心は、凹部40の平面形状が多角形の場合、該多角形を内部に含む最小の円の中心であり、凹部40の平面形状が楕円の場合、該楕円を内部に含む最小の円の中心である。
【0040】
凹部40の深さ、すなわち、凹部40の積層方向の大きさは、第2半導体層36の厚さよりも小さい。そのため、発光層34の上面は、第2半導体層36で覆われており、凹部40によって露出しない。凹部40の深さは、例えば、第2半導体層36の第2GaN層36cの厚さに等しい。
【0041】
凹部40の平面形状は、図2に示すように、円である。すなわち、凹部40の開口の形状は、円である。なお、凹部40の平面形状は、特に限定されず、多角形や楕円などであってもよい。
【0042】
凹部40の径Dは、柱状部30の径よりも小さい。凹部40の径Dは、例えば、柱状部30の上端の径よりも小さい。柱状部30の上端は、第2半導体層36の第2部分362と接する部分である。
【0043】
「凹部の径」とは、凹部40の平面形状が円の場合は、直径であり、凹部40の平面形状が円ではない形状の場合は、最小包含円の直径である。例えば、凹部40の径は、凹部40の平面形状が多角形の場合、該多角形を内部に含む最小の円の直径であり、凹部40の平面形状が楕円の場合、該楕円を内部に含む最小の円の直径である。
【0044】
凹部40には、第2半導体層36よりも屈折率の低い低屈折率部42が設けられている。低屈折率部42は、例えば、空隙、すなわち空気である。なお、低屈折率部42は、空隙に限定されず、第2半導体層36よりも屈折率の低い低屈折材料からなる材料であればよい。低屈折率部42の材質は、例えば、AlGaN、AlN、InAlN、酸化シリコン、窒化シリコン、ポリイミドなどである。
【0045】
第2半導体層36の低屈折率部42が設けられている部分の面内方向の平均屈折率は、第2半導体層36の低屈折率部42が設けられていない部分の面内方向の平均屈折率よりも低い。低屈折率部42は、第2半導体層36の第2電極52近傍に設けられているため、第2半導体層36の第2電極52近傍の面内方向の平均屈折率を低くできる。面内方向は、積層方向と直交する方向である。
【0046】
上述したように、凹部40と柱状部30とが1対1に設けられているため、低屈折率部42と柱状部30は1対1に設けられる。また、平面視において、凹部40と柱状部30が重なっているため、低屈折率部42と柱状部30は重なる。低屈折率部42は、柱状部30と、同種の格子配列であり、かつ、同一の周期すなわち同一の格子定数で配列されている。図示の例では、柱状部30と低屈折率部42は、ともに三角格子状に配置されている。
【0047】
第2半導体層36および複数の低屈折率部42は、第2フォトニック結晶4を構成している。第2フォトニック結晶4は、規則的に配列された複数の低屈折率部42によって、屈折率が周期的に変化する構造体である。
【0048】
第2半導体層36は、図1に示すように、第1部分360と、第2部分362と、第3
部分364と、を有している。
【0049】
第1部分360は、第2半導体層36のうちの柱状部30を構成している部分である。すなわち、第1部分360は、第1フォトニック結晶2を構成している。第1部分360は、第1GaN層36aの一部で構成されている。
【0050】
第2部分362は、第2半導体層36のうちの複数の柱状部30に跨がって設けられた部分であって、第2フォトニック結晶4を構成していない部分である。第2部分362は、柱状部30を構成している第1部分360と、凹部40が設けられている第3部分364との間に位置している。すなわち、第2部分362は、第1フォトニック結晶2と第2フォトニック結晶4との間に位置している。第1フォトニック結晶2と第2フォトニック結晶4との間の距離Lは、第2部分362の膜厚に等しい。第2部分362の膜厚は、例えば、数十nm以上数百nm以下である。第2部分362は、第1GaN層36aの一部およびAlGaN層36bで構成されている。
【0051】
第3部分364は、第2半導体層36のうちの複数の柱状部30に跨がって設けられた部分であって、凹部40が設けられている部分である。すなわち、第3部分364は、第2フォトニック結晶4を構成している。第3部分364は、第2GaN層36cで構成されている。
【0052】
発光装置100では、第1フォトニック結晶2と第2フォトニック結晶4とは、光学的に結合している。第1フォトニック結晶2と第2フォトニック結晶4とが光学的に結合しているとは、第1フォトニック結晶2と第2フォトニック結晶4とが、互いの影響を受ける状態であり、第1フォトニック結晶2と第2フォトニック結晶4とによって、1つのフォトニック結晶効果を発現させている状態をいう。第1フォトニック結晶2と第2フォトニック結晶4とが光学的に結合している場合、第1フォトニック結晶2における導波モードと、第2フォトニック結晶4における導波モードとが結合する。すなわち、第1フォトニック結晶2および第2フォトニック結晶4において、同一の発振モードでのレーザー発振が得られる。発光装置100では、第1フォトニック結晶2と第2フォトニック結晶4とを光学的に結合させて、光閉じ込めモードを形成している。
【0053】
発光装置100では、第1フォトニック結晶2と第2フォトニック結晶4は、同種の格子配列であり、かつ、同一の周期で配列されている。さらに、第1フォトニック結晶2と第2フォトニック結晶4とは、面内の配列方位が同じである。そのため、発光装置100では、第1フォトニック結晶2と第2フォトニック結晶4とを光学的に結合させて、強い光閉じ込め効果を得ることができる。
【0054】
図示の例では、第1フォトニック結晶2を構成する複数の柱状部30と、第2フォトニック結晶4を構成する複数の低屈折率部42は、同種の格子配列であり、かつ、同一の周期すなわち同一の格子定数で配列されている。
【0055】
また、第1フォトニック結晶2を構成する複数の柱状部30の面内の配列方位Aと、第2フォトニック結晶4を構成する複数の低屈折率部42の面内の配列方位Bとは、一致している。複数の柱状部30の面内の配列方位Aとは、平面視において、柱状部30が並ぶ方向である。複数の低屈折率部42の面内の配列方位Bとは、平面視において、低屈折率部42が並ぶ方向である。配列方位Aと配列方位Bとが一致する場合とは、柱状部30の所定の列の方向と、当該所定の列に対応する低屈折率部42の列の方向と、が一致している状態、すなわち、柱状部30の列と、対応する低屈折率部42の列とに回転のずれがない状態をいう。
【0056】
このように、発光装置100では、複数の柱状部30と複数の低屈折率部42が、同種の格子配列であって、同一の周期を有し、面内の配列方位が一致しているため、第1フォトニック結晶2と第2フォトニック結晶4は、同種の格子配列であって、同一の周期を有し、面内の配列方位が一致している。
【0057】
また、発光装置100では、第1フォトニック結晶2と第2フォトニック結晶4とは、面内において、両者の相対的な位置関係が一定である。そのため、第1フォトニック結晶2と第2フォトニック結晶4とが光学的に結合して1つのフォトニック結晶の効果を発現できる。例えば、両者の相対的な位置関係が一定で無く、面内に位置ずれが生じている場合、この位置ずれによりフォトニックバンドが変化し、単一のモードでのレーザー発振が得られないなど、理想的な光閉じ込め効果が得られない。
【0058】
なお、第1フォトニック結晶2および第2フォトニック結晶4の構成は、第1フォトニック結晶2と第2フォトニック結晶4とを光学的に結合させて、光閉じ込め効果を得ることができれば、上記の例に限定されない。
【0059】
第1フォトニック結晶2と第2フォトニック結晶4との間の光学的距離は、3λ以下である。なお、λは、発振波長である。また、光学的距離は、いわゆる光路長であり、光が進む距離に屈折率をかけたものである。第1フォトニック結晶2と第2フォトニック結晶4とを3λ以下に配置することによって、第1フォトニック結晶2と第2フォトニック結晶4とを光学的に強く結合させることができる。
【0060】
図1に示す例では、第1フォトニック結晶2と第2フォトニック結晶4との間の光学的距離は、第1GaN層36aの膜厚、AlGaN層36bの膜厚、第1GaN層36aの屈折率、およびAlGaN層36bの屈折率から求めることができる。
【0061】
隣り合う柱状部30の間は、例えば、空隙である。なお、隣り合う柱状部30の間に光伝搬層が設けられていてもよい。光伝搬層は、例えば、酸化シリコン層、酸化アルミニウム層、酸化チタン層などである。発光層34で発生した光は、空隙または光伝搬層を通って複数の柱状部30を、積層方向と直交する方向に伝搬することができる。
【0062】
第1電極50は、バッファー層22上に設けられている。バッファー層22は、第1電極50とオーミックコンタクトしていてもよい。第1電極50は、第1半導体層32と電気的に接続されている。図示の例では、第1電極50は、バッファー層22を介して、第1半導体層32と電気的に接続されている。第1電極50は、発光層34に電流を注入するための一方の電極である。第1電極50としては、例えば、バッファー層22側から、Cr層、Ni層、Au層の順序で積層したものなどを用いる。
【0063】
第2電極52は、積層体20の基板10側とは反対側に設けられている。図示の例では、第2電極52は、第2半導体層36上および凹部40上に設けられている。第2電極52は、凹部40には設けられていない。第2電極52は、凹部40を規定する第2半導体層36の面には設けられていない。
【0064】
第2電極52は、第2半導体層36と電気的に接続されている。第2電極52は、発光層34に電流を注入するための他方の電極である。第2電極52としては、例えば、ITO(indium tin oxide)などを用いる。第2電極52の膜厚は、例えば、100nm以上300nm以下である。
【0065】
発光装置100では、p型の第2半導体層36、発光層34、およびn型の第1半導体層32により、pinダイオードが構成される。発光装置100では、第1電極50と第
2電極52との間に、pinダイオードの順バイアス電圧を印加すると、発光層34に電流が注入されて発光層34で電子と正孔との再結合が起こる。この再結合により発光が生じる。発光層34で発生した光は、第1半導体層32および第2半導体層36により面内方向に伝搬し、光学的に結合した第1フォトニック結晶2および第2フォトニック結晶4の効果により定在波を形成し、発光層34で利得を受けてレーザー発振する。そして、発光装置100は、+1次回折光および-1次回折光をレーザー光として、積層方向に射出する。
【0066】
発光装置100では、第2半導体層36に低屈折率部42を設けることによって、第2半導体層36の第2電極52近傍の面内方向の平均屈折率を低くできる。したがって、発光装置100では、発光層34付近に光を閉じ込める効果を高めることができ、発光層34で発生した光の第2電極52側への漏れを低減できる。よって、発光装置100では、第2電極52による光の吸収を低減でき、第2電極52による光の損失を低減できる。
【0067】
なお、上記では、InGaN系の発光層34について説明したが、発光層34としては、出射される光の波長に応じて、電流が注入されることで発光可能な様々な材料系を用いることができる。例えば、AlGaN系、AlGaAs系、InGaAs系、InGaAsP系、InP系、GaP系、AlGaP系などの半導体材料を用いることができる。
【0068】
発光装置100は、例えば、以下の作用効果を奏することができる。
【0069】
発光装置100では、複数の柱状部30は第1フォトニック結晶2を構成し、第2半導体層36および低屈折率部42は第2フォトニック結晶4を構成し、第1フォトニック結晶2と第2フォトニック結晶4とは、光学的に結合している。そのため、発光装置100では、第1フォトニック結晶2と第2フォトニック結晶4とを光学的に結合させて、光閉じ込め効果を得ることができる。そのため、発光装置100では、光閉じ込め係数を向上できる。
【0070】
発光装置100では、第2半導体層36に低屈折率部42を設けることによって、第2半導体層36の第2電極52近傍の面内方向の平均屈折率を低くできる。したがって、発光装置100では、発光層34付近に光を閉じ込める効果を高めることができ、発光層34で発生した光の第2電極52側への漏れを低減できる。ここで、発光装置100では、第2半導体層36および低屈折率部42によって、第2フォトニック結晶4を構成している。そのため、第2半導体層36および低屈折率部42がフォトニック結晶を構成していない場合と比べて、第2半導体層36における光の散乱損失を低減できる。
【0071】
例えば、第2半導体層36に低屈折率部42が設けられ、これらがフォトニック結晶を構成していない場合、第2半導体層36と低屈折率部42との境界において屈折率差が生じ、光が散乱される。これに対して、発光装置100では、第2半導体層36および低屈折率部42はフォトニック結晶を構成しているため、第2半導体層36と低屈折率部42との境界における光の散乱を低減できる。
【0072】
発光装置100では、第1フォトニック結晶2と第2フォトニック結晶4との間の光学的距離は、3λ以下である。そのため、発光装置100では、第1フォトニック結晶2と第2フォトニック結晶4とを光学的に強く結合させることができる。
【0073】
発光装置100では、平面視において柱状部30と低屈折率部42は、重なっている。そのため、発光装置100では、柱状部30と低屈折率部42とが重なっていない場合と比べて、発光層34に光を閉じ込める効果を高めることができる。さらに、発光装置100では、凹部40の径Dは、柱状部30の径よりも小さい。そのため、発光装置100で
は、発光層34に光を閉じ込める効果を高めつつ、発光層34に電流を効率よく注入できる。
【0074】
例えば、平面視において柱状部30と低屈折率部42が重なっている場合、第2電極52から発光層34に注入される電流は、凹部40を迂回した経路をとるため、電気抵抗が増大する可能性がある。特に、凹部40の径Dが、柱状部30の径よりも大きい場合、電流は大きく迂回した経路をとらなければならず、電気抵抗が増大し、発光層34に電流を効率よく注入できない。これに対して、発光装置100では、凹部40の径Dは、柱状部30の径よりも小さいため、凹部40の径Dが柱状部30の径よりも大きい場合と比べて、電流の経路を短くでき、発光層34に電流を効率よく注入できる。
【0075】
また、発光装置100では、凹部40の径Dは、柱状部30の上端の径よりも小さい。これにより、第2電極52から発光層34に注入される電流の経路を短くでき、発光層34に電流を効率よく注入できる。
【0076】
1.2. 発光装置の製造方法
次に、第1実施形態に係る発光装置100の製造方法について、図面を参照しながら説明する。図4および図5は、第1実施形態に係る発光装置100の製造工程を模式的に示す断面図である。
【0077】
図4に示すように、基板10上にバッファー層22をエピタキシャル成長させる。エピタキシャル成長させる方法としては、例えば、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法などが挙げられる。
【0078】
次に、バッファー層22上に、マスク層60を形成し、マスク層60をマスクとして、バッファー層22上に、第1半導体層32、発光層34、および第2半導体層36をエピタキシャル成長させる。エピタキシャル成長させる方法としては、例えば、MOCVD法、MBE法などが挙げられる。これにより、複数の柱状部30が形成される。
【0079】
ここで、第2半導体層36をエピタキシャル成長させる際には、第1GaN層36a、AlGaN層36b、および第2GaN層36cをこの順でエピタキシャル成長させる。また、第2半導体層36をエピタキシャル成長させる際には、第2半導体層36が積層方向だけでなく面内方向にも成長する条件で、エピタキシャル成長させる。例えば、エピタキシャル成長させる際に、ガスの供給量、成長温度などを制御することによって、第2半導体層36を面内方向に成長させることができる。これにより、第2半導体層36が成長するに従って隣り合う柱状部30間の距離が小さくなり、最終的に隣り合う柱状部30が接続される。この結果、柱状部30を構成する第1部分360と、複数の柱状部30に跨がって設けられた第2部分362および第3部分364と、を有する第2半導体層36を形成できる。
【0080】
図5に示すように、第2半導体層36に凹部40を形成する。凹部40は、例えば、第2半導体層36をパターニングすることによって形成できる。第2半導体層36のパターニングは、フォトリソグラフィーや電子ビームリソグラフィーと、エッチングとによって行うことができる。凹部40をパターニングする際には、マスク層60を形成する際のマーカーを基準にすることによって、凹部40の位置と柱状部30の位置を正確に合わせることができる。
【0081】
また、AlGaNのエッチングレートは、GaNのエッチングレートよりも低い。そのため、AlGaN層36bをエッチストップ層として、第2GaN層36cをエッチングすることによって、凹部40を容易に形成できる。この結果、第2GaN層36c、すな
わち、第2半導体層36の第3部分364に凹部40を形成できる。
【0082】
図1に示すように、バッファー層22上に第1電極50を形成し、第2半導体層36上に第2電極52を形成する。第1電極50および第2電極52は、例えば、真空蒸着法などにより形成される。真空蒸着法により第2電極52を形成する場合には、積層方向に対して斜め方向から蒸着する。これにより、凹部40内に電極材料が入り込むことを防ぐことができる。
【0083】
以上の工程により、発光装置100を製造することができる。
【0084】
1.3. 変形例
次に、第1実施形態の変形例に係る発光装置について、図面を参照しながら説明する。図6は、第1実施形態の変形例に係る発光装置110を模式的に示す平面図である。以下、第1実施形態の変形例に係る発光装置110において、上述した第1実施形態に係る発光装置100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0085】
上述した発光装置100では、第1フォトニック結晶2と第2フォトニック結晶4は、同種の格子配列で配列されており、複数の柱状部30と複数の低屈折率部42は、図2および図3に示すように、共に三角格子状に配置されていた。
【0086】
これに対して、発光装置110では、図6に示すように、第1フォトニック結晶2と第2フォトニック結晶4は、同種の格子配列で配列されているが、複数の柱状部30の格子配列と複数の低屈折率部42の格子配列は異なる。
【0087】
図6に示す例では、複数の柱状部30は、三角格子状に配置されている。また、柱状部30の平面形状は正六角形である。低屈折率部42は、柱状部30が形成する正六角形の各頂点に対応するように、1つの柱状部30に対して6つ配置されている。隣り合う柱状部30において、同じ位置に低屈折率部42が配置される場合には、低屈折率部42を共通としてもよい。このように、低屈折率部42を柱状部30の各頂点に配置することによって、第1フォトニック結晶2と第2フォトニック結晶4を同種の格子配列とすることができる。
【0088】
なお、第1フォトニック結晶2と第2フォトニック結晶4は、同種の格子配列であって、同一の周期を有し、面内の配列方位が一致していれば、柱状部30および凹部40の配置は上記の例に限定されない。
【0089】
上述した発光装置100では、図2に示すように、平面視において、柱状部30を構成する発光層34と凹部40とは重なっているが、発光装置110では、図6に示すように、平面視において、柱状部30を構成する発光層34と凹部40とは重なっていない。そのため、発光装置110では、例えば、平面視において柱状部30を構成する発光層34と凹部40が重なっている場合と比べて、発光層34に効率よく電流を注入できる。
【0090】
例えば、柱状部30を構成する発光層34と凹部40とが重なっている場合、第2電極52から発光層34に注入される電流は、凹部40を迂回した経路をとるため、電気抵抗が増大する可能性がある。これに対して、発光装置110では、柱状部30を構成する発光層34と凹部40とが重なっていないため、電流の経路を短くでき、発光層34に効率よく電流を注入できる。
【0091】
発光装置110では、発光装置100と同様に、第1フォトニック結晶2と第2フォト
ニック結晶4とを光学的に結合させて、強い光閉じ込め効果を得ることができる。そのため、発光装置110では、光閉じ込め係数を向上できる。
【0092】
2. 第2実施形態
2.1. 発光装置
次に、第2実施形態に係る発光装置について、図面を参照しながら説明する。図7は、第2実施形態に係る発光装置200を模式的に示す断面図である。図8は、第2実施形態に係る発光装置200を模式的に示す平面図である。なお、図8では、便宜上、第2半導体層36および柱状部30を図示している。また、図7は、図8のVII-VII線断面図である。以下、第2実施形態に係る発光装置200において、上述した第1実施形態に係る発光装置100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0093】
発光装置100では、図2に示すように、第2半導体層36に設けられた凹部40が、柱状部30と、同種の格子配列で、同一の周期を有し、面内の配列方位が一致するように配置されることによって、第2フォトニック結晶4が形成されていた。
【0094】
これに対して、発光装置200では、図7および図8に示すように、第2半導体層36で構成された第2柱状部30bが、柱状部30(以下「第1柱状部30a」という)と、同種の格子配列で、同一の周期を有し、面内の配列方位が一致するように配置されることによって、第2フォトニック結晶4が形成されている。
【0095】
図8に示す例では、第1柱状部30aおよび第2柱状部30bは、三角格子状に配置されている。平面視において、第1柱状部30aと第2柱状部30bは、重なっている。そのため、第2電極52から発光層34に効率よく電流を注入できる。図8に示す例では、平面視において、第1柱状部30aの中心と第2柱状部30bの中心が重なっている。
【0096】
第2柱状部30bの径は、第1柱状部30aを構成する発光層34の径よりも大きい。そのため、第2電極52から発光層34に効率よく電流を注入できる。第2柱状部30bの平面形状は、例えば、第1柱状部30aの平面形状と同じである。
【0097】
第2柱状部30bは、第2半導体層36に凹部40を設けることによって形成された柱状の部分である。第2柱状部30bの側面は、凹部40の内面によって形成されている。凹部40には、低屈折率部42が設けられている。低屈折率部42は、例えば、空隙である。
【0098】
発光装置200では、発光装置100と同様に、第1フォトニック結晶2と第2フォトニック結晶4とを光学的に結合させて、強い光閉じ込め効果を得ることができる。そのため、発光装置200では、光閉じ込め係数を向上できる。
【0099】
2.2. 発光装置の製造方法
発光装置200の製造方法は、第2半導体層36に凹部40を形成する工程において第2柱状部30bを形成する点を除いて、発光装置100の製造方法と同様であり、その説明を省略する。
【0100】
2.3. 変形例
次に、第2実施形態の変形例に係る発光装置について、図面を参照しながら説明する。図9は、第2実施形態の変形例に係る発光装置210を模式的に示す平面図である。以下、第2実施形態の変形例に係る発光装置210において、上述した第2実施形態に係る発光装置200の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳
細な説明を省略する。
【0101】
上述した発光装置200では、第1フォトニック結晶2と第2フォトニック結晶4は、同種の格子配列で配列されており、複数の第1柱状部30aと複数の第2柱状部30bは、共に三角格子状に配置されていた。
【0102】
これに対して、発光装置210では、図9に示すように、第1フォトニック結晶2と第2フォトニック結晶4は、同種の格子配列で配列されているが、複数の第1柱状部30aと複数の第2柱状部30bの格子配列は異なる。
【0103】
図9に示す例では、複数の第1柱状部30aは、三角格子状に配置されている。また、第1柱状部30aの平面形状は正六角形である。第2柱状部30bは、第1柱状部30aが形成する正六角形の各頂点に対応するように、1つの第1柱状部30aに対して6つ配置されている。さらに、第2柱状部30bは、第1柱状部30aの中心に1つ配置されている。このように複数の第2柱状部30bを配置することによって、第1フォトニック結晶2と第2フォトニック結晶4を同種の格子配列とすることができる。
【0104】
なお、第1フォトニック結晶2と第2フォトニック結晶4は、同種の格子配列であって、同一の周期を有し、面内の配列方位が一致していれば、第1柱状部30aおよび第2柱状部30bの配置は上記の例に限定されない。
【0105】
発光装置210では、発光装置200と同様に、第1フォトニック結晶2と第2フォトニック結晶4とを光学的に結合させて、強い光閉じ込め効果を得ることができる。そのため、発光装置210では、光閉じ込め係数を向上できる。
【0106】
3. 第3実施形態
次に、第3実施形態に係るプロジェクターについて、図面を参照しながら説明する。図10は、第3実施形態に係るプロジェクター900を模式的に示す図である。
【0107】
プロジェクター900は、例えば、光源として、発光装置100を有している。
【0108】
プロジェクター900は、図示しない筐体と、筐体内に備えられている赤色光、緑色光、青色光をそれぞれ出射する赤色光源100R、緑色光源100G、青色光源100Bと、を有している。なお、便宜上、図10では、赤色光源100R、緑色光源100G、および青色光源100Bを簡略化している。
【0109】
プロジェクター900は、さらに、筐体内に備えられている、第1光学素子902Rと、第2光学素子902Gと、第3光学素子902Bと、第1光変調装置904Rと、第2光変調装置904Gと、第3光変調装置904Bと、投射装置908と、を有している。第1光変調装置904R、第2光変調装置904G、および第3光変調装置904Bは、例えば、透過型の液晶ライトバルブである。投射装置908は、例えば、投射レンズである。
【0110】
赤色光源100Rから出射された光は、第1光学素子902Rに入射する。赤色光源100Rから出射された光は、第1光学素子902Rによって集光される。なお、第1光学素子902Rは、集光以外の機能を有していてもよい。後述する第2光学素子902Gおよび第3光学素子902Bについても同様である。
【0111】
第1光学素子902Rによって集光された光は、第1光変調装置904Rに入射する。第1光変調装置904Rは、入射した光を画像情報に応じて変調させる。そして、投射装
置908は、第1光変調装置904Rによって形成された像を拡大してスクリーン910に投射する。
【0112】
緑色光源100Gから出射された光は、第2光学素子902Gに入射する。緑色光源100Gから出射された光は、第2光学素子902Gによって集光される。
【0113】
第2光学素子902Gによって集光された光は、第2光変調装置904Gに入射する。第2光変調装置904Gは、入射した光を画像情報に応じて変調させる。そして、投射装置908は、第2光変調装置904Gによって形成された像を拡大してスクリーン910に投射する。
【0114】
青色光源100Bから出射された光は、第3光学素子902Bに入射する。青色光源100Bから出射された光は、第3光学素子902Bによって集光される。
【0115】
第3光学素子902Bによって集光された光は、第3光変調装置904Bに入射する。第3光変調装置904Bは、入射した光を画像情報に応じて変調させる。そして、投射装置908は、第3光変調装置904Bによって形成された像を拡大してスクリーン910に投射する。
【0116】
また、プロジェクター900は、第1光変調装置904R、第2光変調装置904G、および第3光変調装置904Bから出射された光を合成して投射装置908に導くクロスダイクロイックプリズム906を有することができる。
【0117】
第1光変調装置904R、第2光変調装置904G、および第3光変調装置904Bによって変調された3つの色光は、クロスダイクロイックプリズム906に入射する。クロスダイクロイックプリズム906は、4つの直角プリズムを貼り合わせて形成され、その内面に赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが配置されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成され、カラー画像を表す光が形成される。そして、合成された光は、投射装置908によりスクリーン910上に投射され、拡大された画像が表示される。
【0118】
なお、赤色光源100R、緑色光源100G、および青色光源100Bは、発光装置100を映像の画素として画像情報に応じて制御することで、第1光変調装置904R、第2光変調装置904G、および第3光変調装置904Bを用いずに、直接的に映像を形成してもよい。そして、投射装置908は、赤色光源100R、緑色光源100G、および青色光源100Bによって形成された映像を、拡大してスクリーン910に投射してもよい。
【0119】
また、上記の例では、光変調装置として透過型の液晶ライトバルブを用いたが、液晶以外のライトバルブを用いてもよいし、反射型のライトバルブを用いてもよい。このようなライトバルブとしては、例えば、反射型の液晶ライトバルブや、デジタルマイクロミラーデバイス(Digital Micro Mirror Device)が挙げられる。また、投射装置の構成は、使用されるライトバルブの種類によって適宜変更される。
【0120】
また、光源を、光源からの光をスクリーン上で走査させることにより、表示面に所望の大きさの画像を表示させる画像形成装置である走査手段を有するような走査型の画像表示装置の光源装置にも適用することが可能である。
【0121】
上述した実施形態に係る発光装置は、プロジェクター以外にも用いることが可能である。プロジェクター以外の用途には、例えば、屋内外の照明、ディスプレイのバックライト
、レーザープリンター、スキャナー、車載用ライト、光を用いるセンシング機器、通信機器等の光源がある。
【0122】
本発明は、本願に記載の特徴や効果を有する範囲で一部の構成を省略したり、各実施形態や変形例を組み合わせたりしてもよい。
【0123】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成を含む。実質的に同一の構成とは、例えば、機能、方法、及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成である。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0124】
2…第1フォトニック結晶、4…第2フォトニック結晶、10…基板、20…積層体、22…バッファー層、30…柱状部、30a…第1柱状部、30b…第2柱状部、32…第1半導体層、34…発光層、36…第2半導体層、36a…第1GaN層、36b…AlGaN層、36c…第2GaN層、40…凹部、42…低屈折率部、50…第1電極、52…第2電極、60…マスク層、100…発光装置、100R…赤色光源、100G…緑色光源、100B…青色光源、110…発光装置、200…発光装置、210…発光装置、360…第1部分、362…第2部分、364…第3部分、900…プロジェクター、902R…第1光学素子、902G…第2光学素子、902B…第3光学素子、904R…第1光変調装置、904G…第2光変調装置、904B…第3光変調装置、906…クロスダイクロイックプリズム、908…投射装置、910…スクリーン
図1
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図10