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特許7531864イヤーチップ、イヤーチップの部品、及びイヤホン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】イヤーチップ、イヤーチップの部品、及びイヤホン
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/10 20060101AFI20240805BHJP
   A61B 5/25 20210101ALI20240805BHJP
【FI】
H04R1/10 104Z
H04R1/10 104E
A61B5/25
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022560827
(86)(22)【出願日】2021-11-05
(86)【国際出願番号】 JP2021040807
(87)【国際公開番号】W WO2022097722
(87)【国際公開日】2022-05-12
【審査請求日】2024-06-11
(31)【優先権主張番号】P 2020185873
(32)【優先日】2020-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515059979
【氏名又は名称】VIE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】今村 泰彦
【審査官】大石 剛
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-215963(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0053756(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/10
A61B 5/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イヤーチップであって、
第1端部と第2端部を有する筒状部と、前記第1端部から前記第2端部側へ伸びる接触部と、を有する導電性の第1部材と、
前記筒状部の外側を覆い、弾性を有する第2部材と、を備え、
前記接触部は、前記第2部材の外側に位置する、イヤーチップ。
【請求項2】
前記第1部材は、金属系フィラーを含むシリコン素材を用いて形成される、請求項1に記載のイヤーチップ。
【請求項3】
前記第2部材は、前記第1部材に対して着脱可能に取り付けられる、請求項1又は2に記載のイヤーチップ。
【請求項4】
前記接触部は、前記第1端部からドーム状に形成される第1部と、前記第1部の所定位置から前記第2端部側に伸びる1又は複数の第2部とを有する、請求項1又は2に記載のイヤーチップ。
【請求項5】
前記複数の第2部の間には、スリットが設けられる、請求項4に記載のイヤーチップ。
【請求項6】
前記接触部は複数あり、少なくとも2つの接触部は電気的に絶縁されている、請求項1に記載のイヤーチップ。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載のイヤーチップに対応し、第1生体情報を取得する第1センサと、
前記第1センサとは異なる位置で第2生体情報を取得する第2センサと、
前記第1センサ及び前記第2センサとは異なる位置で第3生体情報を取得する第3センサと、
を有するイヤホン。
【請求項8】
前記第2センサは、前記イヤホンの装着者の耳甲介上部の耳甲介艇に接触し、
前記第3センサは、前記装着者の耳甲介下部の耳甲介腔に接触する、請求項に記載のイヤホン。
【請求項9】
前記第2センサは、前記イヤホンの本体から突出するウイングの先端に設けられ、前記ウイングの位置は、前記イヤホンの本体に対して調節可能である、請求項又はに記載のイヤホン。
【請求項10】
前記第3センサは、前記イヤホンのハウジングに着脱可能である、請求項乃至のいずれか一項に記載のイヤホン。
【請求項11】
イヤホンであって、
第1端部と第2端部を有する筒状部と、前記第1端部から前記第2端部側へ伸びる接触部と、を有し、前記筒状部及び前記接触部は導電性の素材により形成される部分を有するイヤーチップと、
前記イヤーチップに対応し、第1生体情報を取得する第1センサと、
前記第1センサとは異なる位置で第2生体情報を取得する第2センサと、
前記第1センサ及び前記第2センサとは異なる位置で第3生体情報を取得する第3センサと、
を有するイヤホン。
【請求項12】
前記第2センサは、前記イヤホンの装着者の耳甲介上部の耳甲介艇に接触し、
前記第3センサは、前記装着者の耳甲介下部の耳甲介腔に接触する、請求項11に記載のイヤホン。
【請求項13】
前記第2センサは、前記イヤホンの本体から突出するウイングの先端に設けられ、前記ウイングの位置は、前記イヤホンの本体に対して調節可能である、請求項11又は12に記載のイヤホン。
【請求項14】
前記第3センサは、前記イヤホンのハウジングに着脱可能である、請求項11乃至13のいずれか一項に記載のイヤホン。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イヤーチップ、イヤーチップの部品、及びイヤホンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生体信号を取得するイヤホンのイヤーチップに導電性剤として銀を用いる技術が知られている(例えば特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-215963号公報
【文献】特開2019-24758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術のイヤーチップでは、ゴムに混ぜて作られる導体フィラーとして、導電性を高めるために銀が用いられる場合がある。しかしながら、銀は高価であるため、イヤーチップ全体に銀フィラーを混ぜ込むとイヤーチップのコストが高くなってしまう。さらに、様々な形状の耳や外耳道を有する各ユーザに対して、複数のサイズのイヤーチップを用意する場合があり、1人のユーザに対して、銀フィラー入りの複数のイヤーチップを用意すると、コストがさらに増加してしまう。
【0005】
そこで、本発明の一態様は、コストを低減しつつ、適切に生体信号を取得可能なイヤーチップを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様におけるイヤーチップは、第1端部と第2端部を有する筒状部と、前記第1端部から前記第2端部側へ伸びる接触部と、を有する導電性の第1部材と、前記筒状部の外側を覆い、弾性を有する第2部材と、を備え、前記接触部は、前記第2部材の外側に位置する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、コストを低減しつつ、適切に生体信号を取得可能なイヤーチップを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係るイヤホン全体の一例を示す図である。
図2】第1実施形態に係るイヤーチップのX方向から見たYZ平面の外観の一例を示す図である。
図3】第1実施形態に係る第1部材のZ方向の中心軸Rを通る断面の一例を示す図である。
図4】第1実施形態に係る第1部材のY方向から見たXZ平面の外観の一例を示す図である。
図5】第1実施形態に係る他の第2部材を使用する場合のイヤーチップの一例を示す図である。
図6A】変形例に係る第1部材の一例を示す図である。
図6B】変形例に係るイヤーチップの一例を示す図である。
図7A】変形例に係るイヤーチップ1DのYZ平面の外観の一例を示す図である。
図7B】変形例に係るイヤーチップ1Dの斜視図である。
図8】第2実施形態に係るイヤホンの一例を示す図である。
図9】第2実施形態に係るイヤホンの一例を示す図である。
図10】第2実施形態に係るグランドセンサの一例を示す図である。
図11】第2実施形態に係るリファレンスセンサの一例を示す図である。
図12】第2実施形態に係るイヤホンの3つのセンサが装着者に接触することを説明するための図である。
図13】第2実施形態に係るイヤホンの概要を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。即ち、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号を付して表している。図面は模式的なものであり、必ずしも実際の寸法や比率等とは一致しない。図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることがある。
【0010】
[第1実施形態]
以下、第1実施形態におけるイヤホンの概要を説明し、次に、第1実施形態におけるイヤーチップの一例を、それぞれ図面を用いて説明する。
【0011】
<イヤホンの概要>
まず、図1を用いて、第1実施形態に係るイヤホンの概要について説明する。図1は、第1実施形態に係るイヤホン全体の一例を示す図である。
【0012】
図1に示すイヤホンは、一対のイヤホンのうちの一つである。イヤホンは、イヤーチップ1と、イヤホン本体部2とを含む。また、イヤホン本体部2は、イヤーチップ1とイヤホン本体部2とを着脱可能に取り付けるノズル(接続部)3を有する。ノズル3は、例えば、音導部を構成する部分であり、電極を有し、後述するイヤーチップ1の伝導部と電気的に接続する接点を有する。また、ノズル3は、イヤーチップ1と着脱可能な取付構造を有する。
【0013】
イヤホン本体部2は、例えば、音信号を他の装置と通信する通信回路(通信インタフェース)や、イヤホンを操作する機能を有する操作部、電源(バッテリー)、マイクなどが含まれうる。図1に示す例では、イヤホンは、ワイヤレスタイプを示しているが、イヤホン内の各回路等を接続する複数の信号線を含むケーブルを有してもよい。また、イヤホン本体部2は、イヤーチップ1から検知される生体信号を取得する生体センサを有する。生体信号は、例えば脳波信号や、眼電位信号などであり、以下では、脳波信号を例に挙げる。
【0014】
図1に示すイヤーチップ1の例では、導電性を有する第1部材(部品)10と、第2部材20とによりイヤーチップ1が形成される。例えば、第1部材10と第2部材20とは異なる素材により形成され、それぞれ着脱可能である。なお、第1部材10の形状は、図1に示す例に限られず、装着者の外耳道の内壁に接触する部分があり、この接触部分が外耳道に適切に接するような構成であればよい。また、この接触部分の表面積は大きい方が好ましい。また、第2部材20は、安価な非導電性の弾性体(例えばシリコンゴムなど)で形成されることが好ましい。
【0015】
<イヤーチップの概要>
図2は、第1実施形態に係るイヤーチップ1のX方向から見たYZ平面の外観の一例を示す図である。図2に示すイヤーチップ1は、鼓膜側(Z1方向)に位置する第1部材10と、イヤホン本体部2側(Z2方向)に位置する第2部材20とを含む。第1部材10は、例えば、導電性ゴムにより作成され、この導電性ゴムには、銀又は塩化銀が含有される。好ましくは、適切な導電性を確保するため、銀又は塩化銀を、導電性ゴムに含まれる導電性物質の10質量%以上を含有させる。
【0016】
また、第1部材10は、金属系フィラーを含むシリコン素材で形成されてもよい。例えば、第1部材10は、金属系フィラーとして、銀、銅、金、アルミニウム、亜鉛、ニッケル等をシリコン素材に適切に配合することで導電性の高い素材を作成することができる。また、含有されるフィラーの全てを銀又は塩化銀にする必要はなく、フィラーの一部が銀又は塩化銀であればよい。これにより、銀又は塩化銀の含有率を減らせるため、ゴムの硬度を下げて、適度な硬度の導電性ゴムを作成することができる。
【0017】
図2に示す第1部材10は、Z2方向の第2端部、Z1方向の第1端部を有する筒状部11(図2に示す点線部分)と、筒状部11の第1端部から第2端部側に伸びる接触部(第1部12、第2部13を含む)とを有する。接触部は、第1端部からドーム状(又は椀形状)に形成される第1部(先端部)12と、この先端部12の所定位置から第2端部側に伸びる第2部(延伸部)13とを有する。
【0018】
筒状部11は、中は空洞であって、この空洞が、イヤホン本体部2から出力される音の音導部となる。イヤホン本体部2により出力され、ノズルを介して出力される音は、筒状部11の第2端部から第1端部の空洞を通り抜け、装着者の鼓膜に届く。筒状部11は、音導部を形成する構成であればよく、必ずしも中空の円筒のような形状でなくてもよい。
【0019】
接触部の第1部(先端部)12は、例えば、凹み部を有するドーム状又は椀状の形状を有し、筒状部11の第1端部の開口部分は椀状の底面の中心部分に形成される。また、先端部12の凸方向が第1端部側に位置する。先端部12は、イヤーチップ1が外耳道に装着される際に外耳道に入り込んでいきやすくするため、先端部12がZ1方向(第1端部側)に行くにつれて、中心軸Rからの半径が短くなるように形成される。なお、先端部12は、必ずしもドーム状や椀状の形状である必要はなく、外耳道に沿って耳に挿入しやすい形状(径が先端に行くにつれて小さくなる形状)であればよい。
【0020】
接触部の第2部(延伸部)13は、筒状部11の第1端部側から第2端部側に伸びる部分であり、筒状部11の外側に形成される部分である。例えば、延伸部13は、筒状部の第1端部側から第2端部側に延伸する平面形状を有し、装着者の外耳道の内壁に少なくとも一部が接触する。また、延伸部13は、例えば筒状部11の第1端部に位置する先端部12の少なくとも一部が、第2端部側に延伸することで形成されてもよい。
【0021】
なお、延伸部13は、図2に示す例に限られず、少なくとも1つ以上が第1部材10に設けられればよい。図2に示す例では、延伸部13は裏側にも設けられ、第1部材10に2つ設けられる。図2に示す例では、延伸部13は、板状の形状をしているが、この板状の形状に限られず、装着者の外耳道の内壁に適切に接触するような平面を含む形状であればよい。なお、延伸部13は、できるだけ表面積が大きい方が良い。また、延伸部13は、Z方向やY方向において直線である必要はなく、後述する第2部材20の外側面の曲線に沿ってフィットするように丸みを帯びた曲面を有してもよい。
【0022】
取付構造14(点線で表示)は、イヤホン本体部2と着脱可能に取り付けられる構造又は機構を有する。取付構造14は、例えば筒状部11の第2端部側に周回り方向に凹み部を有する。この凹み部を含む取付構造14は、イヤホン本体部2のノズル3に形成される凸部に着脱可能に嵌め込まれる。また、凸部が筒状部11に、凹部がノズル3に設けられてもよい。なお、取付構造14は、凹凸を用いる以外にも、着脱可能な機構や構造であれば、いずれの機構や構造が用いられてもよい。この取付構造14は、公知のイヤホン等で採用されている、イヤーチップの着脱構造又は機構を採用してもよい。
【0023】
上述した第1実施形態によれば、イヤーチップ1の一部を構成する第1部材10に金属系フィラーを混ぜることにより、イヤーチップ1全体に金属系フィラーを混ぜるよりも販売時の価格を下げることができる。
【0024】
なお、従来技術のように、イヤーチップ全体について、金属系フィラー(銀、銅、金、アルミニウム、亜鉛、ニッケル等)を混ぜたシリコン素材が採用されると、インピーダンスを下げるために、炭素系粒子を多くすることが考えられる。しかしながら、炭素系粒子を多くしすぎると、反発力が弱くなり、イヤーチップの表面が引き裂きなどで破損しやすくなり、肌への圧力が低くなる。その結果、良質な生体信号の取得が困難になる。
【0025】
また、金属系フィラー(銀、銅、金、アルミニウム、亜鉛、ニッケル等)を混ぜたシリコン素材により作成されるイヤーチップ全体に対し、炭素系粒子を多くし、破損を防ぐためにシリコンの硬度を高くすると、装着に不快感が出て、また、耳の形状にフィットしなくなる。
【0026】
したがって、第1実施形態では、第1部材10に対し、インピーダンスを下げつつ適度な柔軟性を有する素材にするため、一例として以下の構成を採用する。
・AG(銀)フィラーを混ぜたシリコン素材について、炭素含有量は10%以上とする。
・AGフィラーを混ぜたシリコン素材のインピーダンスについて、例えば体積固有低効率1×10Ω・cm以下とする。
・AGフィラーを混ぜたシリコン素材について、硬度30~50°(度)以下とする。
【0027】
上記のようなAGフィラーを混ぜたシリコン素材にすることで、適度な柔軟性を有する素材にでき、装着時に外耳道にフィットしやすくなる。また、適度にAGフィラーを混ぜることで、インピーダンスを下げ、適切な生体信号、例えば脳波信号を取得することが可能になる。
【0028】
なお、第1部材10は、筒状部11と、先端部12及び延伸部13を含む接触部とを金型などにより一体成形してもよく、上述した同一の導電性のシリコン素材で作成されてもよい。筒状部11と接触部とは別部材であっても、相互に導電性を有して接続されればよい。また、筒状部11は音導部となるため、空洞を塞がないように形状は変形しない方がよい。そのため、筒状部11は導電性を有しつつ、その硬度を、延伸部13の硬度よりも大きく(硬く)してもよい。また、先端部12も外耳道に接触する部分でもあるため、筒状部11の硬度を、先端部12の硬度よりも大きくしてもよい。
【0029】
第2部材20は、イヤーチップ1の全体のサイズを凡そ決定する弾性部材である。第2部材20は、例えばゴムであり、通常のイヤーチップに採用される素材により形成される。また、第2部材20は、第1部材10の筒状部11を覆う形状を有し、例えば中空のドーナツ状の形状や中空の円筒を有する形状である。
【0030】
第2部材20は中空であるため、Z2の第2端部からZ1の第1端部方向へ、第2部材20の中空に筒状部11を挿し込むようにスライドして、第1部材10に第2部材20を取り付ける。これにより、第2部材20は、第1部材10と容易に着脱可能に取り付けられる。このとき、第2部材20のZ1方向の先端部分が、第1部材10の先端部12の空間に収納されてもよい。この場合、第2部材20の先端部分が、第1部材10の先端部12の空間に収容されることで、筒状部11をそれ以上スライドすることができなくなり、また、水平方向(X方向又はY方向)にずれにくくなる。なお、第1部材10と第2部材20との着脱の方法は上述した例に限られない。
【0031】
また、第2部材20は、中心軸からY方向の外側への半径の長さにより、そのサイズが決定される。例えば、Z方向において、Y方向の平均の半径の長さを3段階用意し、そのサイズを大きい方からL、M、Sとしてもよい。また、同一サイズの第2部材20でも、Z2方向からZ1方向(イヤーチップ1の先端)に向かうにつれて、Y方向の半径を短くしてもよい。
【0032】
また、第1部材10の延伸部13は、弾性を有しているため、第2部材20により外側に弾性変形されうる。例えば、このイヤーチップ1が、イヤーチップ1の中心軸R周りの直径よりも少し狭い外耳道に挿入される際に、弾性体の第2部材20が外側方向に圧接しながら挿入される。これにより、第2部材20と外耳道との間に位置する延伸部13は、第2部材20が外耳道に対して圧力をかけるため、外耳道の内壁に適切に接触することができる。
【0033】
また、延伸部13について、第1端部側から第2端部側にいくにつれ、中心軸Rからの距離L1は徐々に大きくなる。また、第2部材20についても、第1端部側から第2端部側にいくにつれ、中心軸Rからの外縁までの距離L2は徐々に大きくなる。この場合、延伸部13の少なくとも一部分をL1<L2としてもよい。これにより、第2部材20が第1部材10に取り付けられる時に、延伸部13は、第2部材20によりY方向の外側に圧力を受け、延伸部13はY方向の外側に押されることになる。この結果、上述したように、イヤーチップ1が外耳道に挿入される際に、延伸部13は、第2部材20から外耳道側に押す力と、外耳道からの押し返す反力とにより、より適切に外耳道の内壁に接触することが可能になる。
【0034】
少なくとも延伸部13が適切に外耳道に接触することで、接触部は生体信号(例えば脳波信号)を検知し、この生体信号は筒状部11を伝導する。そして、生体信号は、イヤホン本体部2の接点からイヤホン本体部2の生体センサに伝導する。これにより、イヤホン本体部2の生体センサは、第1部材10を伝導する生体信号を適切に取得することが可能になる。
【0035】
図3は、第1実施形態に係る第1部材10のZ方向の中心軸Rを通る断面の一例を示す図である。図3に示すように、筒状部11は中心軸Rを通る空洞部15を有し、この空洞部15が音を伝導させる音道部となる。また、筒状部11は、Z2方向の第2端部付近に取付構造14を有し、イヤホン本体部2のノズル3に設けられる凸部が、取付構造14の凹み部に嵌め込まれることで、第1部材10と第2部材20とが取り付けられる。
【0036】
例えば、イヤホン本体部2のノズル3に電極が設けられ、この電極の接点が筒状部11の第2端部付近で接する。一例として、イヤホン本体部2のノズル3に設けられる凸部が、取付構造14の凹み部に嵌め込まれることで、筒状部11とノズル3の接点とが適切に接するようになる。
【0037】
図4は、第1実施形態に係る第1部材10のY方向から見たXZ平面の外観の一例を示す図である。図4に示す例では、第1部材10のX1方向、X2方向の外側に接触部(先端部12及び延伸部13)が設けられる。また、Z方向の中心軸Rを含む空洞を有する筒状部11が、第1部材10の中心に設けられる。延伸部13の厚みはWである。延伸部13は、XZ平面においても、XY平面においても丸みを帯びた曲線状の形状を有する。例えば、延伸部13は、筒状部11のZ1方向の開口部を含む第1端部から折り返されて延伸されることで形成されてもよい。
【0038】
図5は、第1実施形態に係る他の第2部材20Bを使用する場合のイヤーチップ1Bの一例を示す図である。図5に示す例の第2部材20Bは、図2に示す第2部材20よりも径が小さく、サイズが小さい。すなわち、第2部材20Bは、XY平面における平均の直径が、第2部材20の同平面の平均の直径よりも短いため、第2部材20Bの表面体積は、第2部材20の表面体積よりも小さい。図5に示すように、共通の第1部材10に対して、異なるサイズの第2部材を着脱可能に取りつけることが可能である。
【0039】
これにより、各ユーザは、自分の外耳道の大きさ、形状に合わせて、複数の第2部材の中から1つの第2部材を選択し、その第2部材を共通の第1部材に組み合わせることにより、イヤーチップ自体のサイズを変更することが可能になる。
【0040】
以上、第1実施形態におけるイヤーチップ1は、十分な導電性を確保するのと同時に、耳の中で適切に変化する適度な硬度を合わせて持つ構造とするため、第1部材10と第2部材20との2段構造とする。このとき、第1部材10により生体信号を検知するため、第1部材10は、金属系(例えばAG)フィラーを含有する導電性の弾性電極を用い、第2部材20は、イヤーチップの価格を抑えるため、安価な弾性ゴムを用いればよい。
【0041】
また、第2部材20は、第1部材10よりも硬度を小さく(より柔軟性があり)してもよい。これにより、イヤーチップを外耳道に挿入する際に、イヤーチップの一部を形成する第2部材20の柔軟性を用いることで、外耳道の形状に合わせてイヤーチップが挿入しやすくなる。
【0042】
また、第1部材10と第2部材20とは着脱可能に取り付けられるようにしてもよい。これにより、高価な第1部材10を共通の部品として使用し、安価な第2部材20を適宜変更することで、イヤーチップ自体のサイズを可変にし、また、販売コストを抑えることが可能になる。
【0043】
また、第1部材10は、筒状部11と、先端部12と、延伸部13とを設けることで、延伸部13と先端部12とが外耳道の内壁に圧接(圧着)し、生体信号を精度よく検知することができる。また、筒状部11と先端部12と延伸部13とは一体成形が可能であり、一体成形される場合には製造コストを抑えることが可能である。
【0044】
[変形例]
以上、本願の開示する技術の第1実施形態について説明したが、本願の開示する技術は、上記に限定されるものではない。
【0045】
図6Aは、変形例に係る第1部材10Cの一例を示す図である。図6Aに示す例において、第1部材10Cの複数の延伸部13Cは、ドーム状の先端部を介して第1端部に連結し、この先端部の所定位置から放射状に形成される。これにより、延伸部13Cは、複数有し、それぞれが重ならないように放射状に形成され、外耳道への内壁に接する表面積を大きくすることができ、精度よく生体信号を取得することが可能になる。
【0046】
また、複数の延伸部13Cの第2端部側には、2つの延伸部13Cの間にはスリット16Cが設けられてもよい。例えば、スリット16CはZ方向(中心軸方向)に沿って設けられる。このスリットにより、第2部材20のサイズに合わせて、延伸部13Cは放射状に適宜開いたり閉じたりすることができる。
【0047】
図6Bは、変形例に係るイヤーチップ1Cの一例を示す図である。図6Bに示す例において、第1部材10Cの筒状部に第2部材20Cが挿し込まれている。図6Bに示すように、スリット16Cが放射状に広がることで、第1部材10Cの接触部(例えば延伸部13C)は、第2部材20Cのサイズに応じて、第2部材20Cの外周面に適切に接することが可能になる。
【0048】
なお、図6に示す第1部材10Cの放射状の形状は一例であって、この形状に限られない。外耳道の内壁に接する面積を出来るだけ大きくするため、スリット16Cの数は、出来るだけ少ない方が良い。
【0049】
また、第1部材10は、少なくとも2つの延伸部13を有し、ノズルの対応する接点までのそれぞれの伝導経路を絶縁することで、一方をリファレンス信号として取得するようにしてもよい。この場合、第1部材10の筒状部11を、中心軸を通る面で分断して2つの領域に分けて、それぞれの領域を絶縁すればよい。
【0050】
図7Aは、変形例に係るイヤーチップ1DのYZ平面の外観の一例を示す図である。図7Aに示す例では、イヤーチップ1Dの第1部材10Dに対し、接触部13D1及び13D2がY方向の両端側に設けられる。接触部(例えば延伸部)13D1及び13D2は、それぞれ導電性の弾性体であるが、それぞれ絶縁されており、両接触部の間に非導電性の第2部材20D(例えばシリコンやウレタン)が設けられる。
【0051】
図7Bは、変形例に係るイヤーチップ1Dの斜視図である。図7Bに示す例では、接触部13D1及び13D2は、第2部材20Dの外側に位置している。また、接触部の第一部13D1と筒状部の第一部11D1とは導電性を有して接続され、接触部の第二部13D2筒状部の第二部11D2とは導電性を有して接続される。また、接触部及び筒状部の第一部(13D1及び11D1)と、第二部(13D2及び11D2)とは電気的に絶縁されており、一方を、生体信号をメインに検出する生体電極とし、他方を、リファレンス信号を検出する生体電極としてもよい。この場合、イヤホン本体部2の生体センサは、生体信号からリファレンス信号を差し引いた差分信号を外部に出力するようにする。なお、第1部材10Dと第2部材20Dは、着脱可能な別部材でも、一体成形されてもよい。
【0052】
[第2実施形態]
次に、第1実施形態において説明したイヤーチップを用いるイヤホン100について説明する。第2実施形態におけるイヤーチップは、第1実施形態において説明したいずれのイヤーチップでもよく、第2実施形態においては符号272を用いて説明する。
【0053】
図8及び図9を参照しながら、第2実施形態に係るイヤホン100の構成要素について説明する。図8及び図9は、第2実施形態に係るイヤホン100の一例を示す図である。図8及び図9に示すイヤホン100は、3つのセンサを有する。例えば、イヤホン100は、第1実施形態におけるイヤーチップに対応するメインセンサ272(第1センサ)、リファレンスセンサ273(第2センサ)、グランドセンサ274(第3センサ)を備える。
【0054】
メインセンサ272は、使用者の第1生体情報を電気信号として取得可能な位置に設けられる。メインセンサ272の配置位置は、第1実施形態において説明したとおり、外耳道に挿入される先端部分であり、外耳道の内壁に密着する。メインセンサ272は、センシングした第1生体情報を後述の増幅器(アンプ)に出力する。
【0055】
リファレンスセンサ273は、使用者の第2生体情報を電気信号として取得可能な位置に設けられる。リファレンスセンサ273の配置位置は、例えばウイング120の先端である。リファレンスセンサ273は、センシングした第2生体情報を後述の増幅器(アンプ)に出力する。
【0056】
ここで、ウイング120は、基板等が収納されるカバー部105の周面に設けられる。ウイング120は、カバー部105の周面から略U字状にメインセンサ(イヤーチップ)272側に向けて突出している。ウイング120の端部に設けられるリファレンスセンサ273は、イヤホン100の装着時に着用者の外耳に引っ掛かるように機能し、イヤホン100が着用者の耳甲介から落ちないようにサポートする。さらに、リファレンスセンサ272が耳甲介に接触し、第2生体信号を測定可能になっている。ウイング120は、イヤホン本体部2の外側部材であるハウジングと同様に、弾性及び柔軟性を有する材料で形成することができる。ハウジングは非導電性の弾性体で形成されてもよい。
【0057】
グランドセンサ274は、接地電位情報を電気信号として取得するセンサである。グランドセンサ274の配置位置は、例えば、ハウジングのカバー部105側であって、リファレンスセンサ273とは反対方向に設けられる。これは、リファレンスセンサ273とグランドセンサ274との距離をできるだけ離したいからである。センサ同士を離すことで、各センサから取得される各生体信号の精度を向上させることができる。グランドセンサ274は、センシングした接地電位情報を後述のA/D変換部に出力する。グランドセンサ274は、耳に密着しやすくするため、外側に向けて凸形状を有しているとよい。
【0058】
メインセンサ272の材料又は材質は、第1実施形態において説明したとおりである。リファレンスセンサ273及びグランドセンサ274は、例えば、導電性ゴムにより作成され、この導電性ゴムには、銀又は塩化銀が含有される。好ましくは、適切な導電性を確保するため、銀又は塩化銀を、導電性ゴムに含まれる導電性物質の所定質量%以上を含有させる。
【0059】
リファレンスセンサ273及びグランドセンサ274は、金属系フィラーを含むシリコン素材で形成されてもよい。例えば、第リファレンスセンサ273及びグランドセンサ274は、金属系フィラーとして、銀、銅、金、アルミニウム、亜鉛、ニッケル等をシリコン素材に適切に配合することで導電性の高い素材を作成することができる。また、含有されるフィラーの全てを銀又は塩化銀にする必要はなく、フィラーの一部が銀又は塩化銀であればよい。これにより、銀又は塩化銀の含有率を減らせるため、ゴムの硬度を下げて、適度な硬度の導電性ゴムを作成することができる。
【0060】
図10は、第2実施形態に係るグランドセンサ274の一例を示す図である。図10に示す例では、グランドセンサ274は、イヤホン本体2の所定領域に対して着脱可能になっている。例えば、グランドセンサ274は、凸形状の第2取付構造112を有し、ハウジングは、第2取付構造112に篏合する凹形状の第1取付構造110を有する。第2取付構造112と第1取付構造110とが篏合する場合、それぞれの接続点が接触し、電気的に接続され、グランドセンサ274からの設置電位情報がイヤホン本体2内のA/D変換部に出力される。なお、凹凸の関係は、それぞれ逆に設けられてもよい。
【0061】
図11は、第2実施形態に係るリファレンスセンサ273の一例を示す図である。図11に示す例では、リファレンスセンサ273を含むウイング120は、カバー部105の周面方向に沿ってスライド可能である。例えば、カバー部105の周面方向にスライド機構130が設けられ、ウイング120のリファレンスセンサ273とは反対側の端部が、スライド機構130の一部を構成する。これにより、ウイング120の位置をカバー部105の周面に対して調節可能にすることで、リファレンスセンサ273が装着者の耳により接触し、第2生体信号をより適切に取得することが可能になる。なお、スライド機構130は、耳に近づく方向の移動は容易であるが、離れる方向の移動より力がかかるようにすればよい。
【0062】
図12は、第2実施形態に係るイヤホン100の3つのセンサが装着者に接触することを説明するための図である。図12に示すように、イヤホン100のイヤーチップに対応するメインセンサ272が外耳道に入り込んでいくことで、メインセンサ272は、メインセンサにより密着して接触する。また、メインセンサ272が外耳道により入り込むことで、リファレンスセンサ273が、装着者の耳甲介上部の耳甲介艇により接触し、さらに、グランドセンサ274は、装着者の耳甲介下部の耳甲介腔により接触する。
【0063】
図13は、第2実施形態に係るイヤホン100の概要を説明するための図である。図13に示す台2実施形態に係るイヤホン100は、第1イヤホン100Rと、第2イヤホン100Lとを備える。第1イヤホン100Rは、使用者(装着者)の右耳に装着される。第2イヤホン100Lは、使用者の左耳に装着される。第1イヤホン100Rおよび第2イヤホン100Lは、スマートフォンMと通信可能なように構成される。スマートフォンMは通信端末の一例である。第1イヤホン100Rおよび第2イヤホン100Lは、GNSS(Global Navigation Satellite System)衛星Sa,Sbから送信されるGNSS信号を受信可能なように構成される。
【0064】
第1イヤホン100Rは、構成要素として、第1時刻取得部271、メインセンサ272(第1センサ)、リファレンスセンサ273(第2センサ)、グランドセンサ274(第3センサ)、第1A/D変換部275、第1送信部276、及び増幅器277を備えている。
【0065】
第1時刻取得部271は、GNSS衛星Saから送信されるGNSS信号を受信し、GNSS信号に含まれる絶対時刻情報を取得する。第1時刻取得部271は、取得した絶対時刻情報を第1A/D変換部275に出力する。第1時刻取得部271は、例えばGPS(Global Positioning System)チップを含む。
【0066】
メインセンサ272は、使用者の第1生体情報を電気信号として取得可能な位置に設けられる。メインセンサ272は、センシングした第1生体情報を増幅器277に出力する。
【0067】
リファレンスセンサ273は、使用者の第2生体情報を電気信号として取得可能な位置に設けられる。リファレンスセンサ273は、センシングした第2生体情報を増幅器277に出力する。
【0068】
グランドセンサ274は、接地電位情報を電気信号として取得するセンサである。グランドセンサ274は、センシングした接地電位情報を第1A/D変換部275に出力する。
【0069】
増幅器277は、メインセンサ272によりセンシングされた第1生体信号と、リファレンスセンサ273によりセンシングされた第2生体信号とを増幅し、信号を拡張する。増幅器277は、拡張後の各信号を第1A/D変換部275に出力する。
【0070】
第1A/D変換部275は、絶対時刻情報のタイミングに合わせて各情報のサンプリングを行う。例えば、サンプリングを絶対時刻情報のタイミングに合わせる方法として、毎回絶対時刻情報に合わせてサンプリングしてもよいし、一秒ごとなどの定期的なタイミングで絶対時刻情報に合わせてサンプリングしてもよい。第1A/D変換部275は、サンプリングした各情報を第1送信部276に出力する。
【0071】
第1送信部276は、第1A/D変換部275によりサンプリングされた第1生体情報、第2生体情報、及び第3生体情報を、それぞれ絶対時刻情報と関連付けて通信端末Mに送信する。また、第1送信部276は、メインセンサ272から出力される第1生体情報とグランドセンサ274から出力される接地電位情報との差分である第1差分情報を生成し、絶対時刻情報と関連付けて通信端末Mに送信してもよい。同様に、第1送信部276は、リファレンスセンサ273から出力される第2生体情報とグランドセンサ274から出力される接地電位情報との差分である第2差分情報を生成し、絶対時刻情報と関連付けて通信端末Mに送信してもよい。なお、各情報に絶対時刻情報を関連付ける(例、タイムスタンプを付与する)ことは、第1A/D変換部275で行われてもよい。
【0072】
上述した例において、第1送信部276は、第1生体情報または第1差分情報と絶対時刻情報とを関連付けて第1チャンネルで通信端末Mに送信する。第1生体情報または第1差分情報と関連付けられる絶対時刻情報は、メインセンサ272がセンシングしたタイミングと同期されている。また、第1送信部276は、第2生体情報または第2差分情報と絶対時刻情報とを関連付けて第2チャンネルで通信端末Mに送信する。第2生体情報または第2差分情報と関連付けられる絶対時刻情報は、リファレンスセンサ273がセンシングしたタイミングと同期されている。なお、第2チャンネルは、第1チャンネルと同じチャンネルでも異なるチャンネルでもよい。
【0073】
第2イヤホン100Lは、第1イヤホン100Rと同様の構成を有する。第2イヤホン100Lにおける各構成について、第1イヤホン100Rにおける構成と同じ名称の構成は、同じ処理を行うため、ここでは説明を省略する。
【0074】
第1送信部276が第1イヤーピース2Rを装着した右耳側の第1生体情報を絶対時刻情報を関連付けて通信端末に送信するので、通信端末においてはどの時刻において取得された生体情報なのかを正確に把握することができる。
【0075】
第1送信部276が第1イヤホン100Rを装着した右耳側の第1生体情報を絶対時刻情報を関連付けて通信端末に送信するので、通信端末においてはどの時刻において取得された生体情報なのかを正確に把握することができる。イヤホンは耳に装着するものなので、同一のイヤホン内で生体情報を取得するセンサを複数設けても、取得する信号の電位差が少なく各信号が打ち消しあって生体情報としての精度を向上することが難しい。一方、異なるイヤホンそれぞれにセンサを設け、それぞれのセンサによって生体情報を取得すれば電位差が確保できない問題は解消されうる。しかしながら、異なるイヤホンにおいて取得した生体情報を通信端末に送信して情報処理を行おうとすれば、通信遅延等によって誤差が発生してしまうという新たな課題がある。そこで第2実施形態では、各イヤホンで取得する生体情報それぞれに絶対時刻情報を関連付けて通信端末に送信することで、通信遅延に起因する誤差を解消し、電位差を確保した正確な生体情報の取得を可能なものとしている。
【0076】
尚、本実施形態では基準時刻情報の一例としてGNSS信号に含まれる絶対時刻情報を用いたが、各イヤホンで取得する生体情報の時刻特定に必要な精度を有していれば、他の時刻情報を基準時刻情報として用いることができる。例えば、それぞれのイヤホンの基準時刻の誤差が1ms以下となるような信号を第1時刻取得部271及び第2時刻取得部281が取得してもよい。また、基準時刻情報は、生体情報の取得時刻を示すとともに、他のイヤホンにより取得される生体情報との同期をとるための情報としても利用することができる。なお、基準時刻情報は、他のイヤホンにより取得される生体情報との同期をとるための同期情報に代替することも可能である。なお、各センサの位置関係は、適宜交換されたり、変更されたりしてもよい。
【0077】
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
【符号の説明】
【0078】
1 イヤーチップ
10 第1部材
11 筒状部
12 先端部
13 延伸部
14 取付構造
15 空洞部
16 スリット
20 第2部材
100 イヤホン
105 カバー部
110 第1取付構造
112 第2取付構造
130 スライド機構
272 メインセンサ
273 リファレンスセンサ
274 グランドセンサ


図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13