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特許7531865新規のアッカーマンシア・ムシニフィラAK32菌株の発見および腸損傷の予防または治療のための応用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】新規のアッカーマンシア・ムシニフィラAK32菌株の発見および腸損傷の予防または治療のための応用
(51)【国際特許分類】
   C12N 1/20 20060101AFI20240805BHJP
   A23L 33/135 20160101ALI20240805BHJP
   A61K 35/741 20150101ALI20240805BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20240805BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20240805BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240805BHJP
   C12R 1/01 20060101ALN20240805BHJP
【FI】
C12N1/20 A
A23L33/135
A61K35/741
A61P1/00
A61P1/04
A61P43/00 105
C12N1/20 E ZNA
C12R1:01
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022568622
(86)(22)【出願日】2021-05-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-15
(86)【国際出願番号】 KR2021005747
(87)【国際公開番号】W WO2021230581
(87)【国際公開日】2021-11-18
【審査請求日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】10-2020-0056034
(32)【優先日】2020-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【微生物の受託番号】KCTC  KCTC 14172BP
(73)【特許権者】
【識別番号】515267910
【氏名又は名称】ジ アサン ファウンデーション
(73)【特許権者】
【識別番号】517301162
【氏名又は名称】ユニバーシティー オブ ウルサン ファウンデーション フォー インダストリー コーオペレイション
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITY OF ULSAN FOUNDATION FOR INDUSTRY COOPERATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クォン、ミ-ナ
(72)【発明者】
【氏名】キム、スンイル
【審査官】西澤 龍彦
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2017-0103140(KR,A)
【文献】特表2019-500004(JP,A)
【文献】特表2022-502005(JP,A)
【文献】特表2022-502006(JP,A)
【文献】KIRMIZ, N et al.,Comperative Genomics Guides Elucidation of Vitamin B12 Biosyntheisis in Novel Human-Associated Akkermansia Strains,Applied and Environmental Microbiology,2020年01月21日,Vol. 86, No. 3,e02117-19
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N
A23L
A61K
A61P
C12R
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アッカーマンシア・ムシニフィラAK32(Akkermansia muciniphila AK32)(受託番号:KCTC 14172BP)菌株。
【請求項2】
前記アッカーマンシア・ムシニフィラAK32菌株は、腸損傷を予防または改善することを特徴とする請求項1に記載の菌株。
【請求項3】
前記アッカーマンシア・ムシニフィラAK32菌株は、配列番号3に記載のアミノ酸配列を含むMMD(methylmalonylCoA/oxaloacetate decarboxylase beta subunit)酵素を生産することを特徴とする請求項1に記載の菌株。
【請求項4】
前記アッカーマンシア・ムシニフィラAK32菌株は、腸上皮細胞の増殖を促進することを特徴とする請求項1に記載の菌株。
【請求項5】
請求項1に記載のアッカーマンシア・ムシニフィラAK32菌株またはその培養液を有効成分として、有効な量を、非ヒト被検体に投与する工程を含む、腸損傷の予防または治療方法。
【請求項6】
請求項1に記載のアッカーマンシア・ムシニフィラAK32菌株またはその培養液を有効成分として含む、腸損傷の予防、改善、または治療用組成物。
【請求項7】
前記腸損傷は、放射線照射による腸損傷、薬物による腸損傷、アルコール性腸損傷および炎症性腸疾患による腸損傷からなる群から選ばれた1つ以上であることを特徴とする請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記炎症性腸疾患は、十二指腸潰瘍、腸閉塞症、急性消化管出血、クローン病(Crohn’s desease)、腸管型ベーチェット病、回腸嚢炎(pouchitis)、過敏性大腸症候群、および潰瘍性大腸炎からなる群から選ばれた1つ以上であることを特徴とする請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
医薬組成物、食品組成物、整腸用医薬組成物、プロバイオティクス製品組成物、または食品添加物である、請求項6に記載の組成物。
【請求項10】
請求項1に記載のアッカーマンシア・ムシニフィラAK32菌株またはその培養液の、腸損傷の予防、改善又は治療の為の薬剤を製造するための使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規のアッカーマンシア・ムシニフィラAK32菌株およびこれを含む腸損傷の予防または治療用組成物などに関する。
【0002】
本出願は、2020年05月11日に出願された韓国特許出願第10-2020-0056034号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書および図面に開示された全ての内容は本出願に援用される。
【背景技術】
【0003】
炎症性腸疾患は、特発性疾患であり、消化器官に慢性および再発性炎症と腸粘膜の組織に損傷が誘発される疾患である。
【0004】
通常、クローン病(Crohn’s disease,CD)と潰瘍性大腸炎(Ulcerative colitis,UC)を炎症性腸疾患と命名し、その原因は、明確に明らかにされていないが、遺伝的所見、免疫と環境的要因および一部微生物(病原菌)により発病すると提示されている。
【0005】
より具体的には、障壁の免疫機能異常または腸内環境的抗原の侵入による炎症性サイトカインの増加と病原菌の感染などによる腸内細菌叢の腸内不均衡(dysbiosis)が主要な原因として提示されている。特に腸内細菌の多様性が低下し、特定の共生細菌であるプロテオバクテリア(Proteobacteria)中、腸内細菌科(Enterobacteriaceae)の過剰増殖および付着、および侵襲性大腸菌(AIEC)とマイコバクテリウム(Mycobacterium)のような特定病原菌の感染によって腸内不均衡が引き起こされると知られている。
【0006】
一方、乳酸菌の抗菌効果および体内免疫調節作用を通した炎症性疾患の緩和効果が確認され、乳酸菌を用いた大腸炎の予防または症状を改善しようとする研究が行われた。
【0007】
特にプロバイオティクス乳酸菌は、病原性細菌の腸内付着を防止し、乳酸、バクテリオシンのような自体抗菌物質を生産して病原性細菌の侵入を防ぐ。このような病原性微生物により腸内不均衡(dysbiosis)が生じた腸内菌叢を調節して、宿主の特定器官に影響を与えることができ、腸内菌叢と腸粘膜間の相互作用に影響を与えることができる。また、腸粘膜付着能と粘液質分泌量、ムチン(mucin)のような防御物質の生成および腸粘膜の密着結合保全(tight junction integrity)を増加させて、腸粘膜の機能を改善させることができる。
【0008】
ラクトバチルス属(Lactobacillus sp)、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium sp)、サッカロマイセス・ブラウディ(Saccharomyces boulardii)、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)Nissle1917および複合乳酸菌製品VSL#3が、最も普遍的に炎症性腸疾患の治療に使用されている。特にプロバイオティクスの炎症性腸疾患に対する効果は、外科手術を終えた潰瘍性大腸炎患者の嚢炎治療で最も優れていた。
【0009】
しかしながら、このようなプロバイオティクス微生物の潜在的効果にもかかわらず、まだプロバイオティクスの作用機序が明確に明らかにされておらず、さらなる研究結果が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が達成しようとする技術的課題は、アッカーマンシア・ムシニフィラAK32(Akkermansia muciniphila AK32)(寄託番号:KCTC 14172BP)菌株を提供することにあり、本発明者らは、本発明の新規のAK32菌株が小腸陰窩(crypt)の高さおよび杯細胞(goblet cell)の数を増加させるだけでなく、小腸上皮細胞の増殖と分化に関連した遺伝子発現を促進させ、小腸組織の再生および成長に効果的であることを確認した。
【0011】
これより、本発明の目的は、アッカーマンシア・ムシニフィラAK32(Akkermansia muciniphila AK32)(寄託番号:KCTC 14172BP)菌株を提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、前記アッカーマンシア・ムシニフィラAK32菌株またはその培養液を有効成分として含む腸損傷の予防または治療用薬学的組成物を提供することにある。
【0013】
本発明のさらに他の目的は、前記アッカーマンシア・ムシニフィラAK32菌株またはその培養液を有効成分として含む腸損傷の予防または改善用食品組成物を提供することにある。
【0014】
本発明のさらに他の目的は、前記アッカーマンシア・ムシニフィラAK32菌株またはその培養液を有効成分として含む腸機能改善用食品組成物を提供することにある。
【0015】
本発明のさらに他の目的は、前記アッカーマンシア・ムシニフィラAK32菌株またはその培養液を含むプロバイオティクス(probiotics)を提供することにある。
【0016】
本発明のさらに他の目的は、前記アッカーマンシア・ムシニフィラAK32菌株またはその培養液を有効成分として含む整腸用組成物を提供することにある。
【0017】
本発明のさらに他の目的は、前記アッカーマンシア・ムシニフィラAK32菌株またはその培養液を有効成分として含む生菌剤組成物を提供することにある。
【0018】
本発明のさらに他の目的は、前記アッカーマンシア・ムシニフィラAK32菌株またはその培養液を有効成分として含む食品添加用組成物を提供することにある。
【0019】
しかしながら、本発明が達成しようとする技術的課題は、以上で言及した課題に制限されず、言及されていないさらに他の課題は、下記の記載から当該技術分野における通常の技術者が明確に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0020】
前記課題を解決するために、また、本発明は、アッカーマンシア・ムシニフィラAK32(Akkermansia muciniphila AK32)(寄託番号:KCTC 14172BP)菌株を提供する。
【0021】
また、本発明は、前記アッカーマンシア・ムシニフィラAK32菌株またはその培養液を有効成分として含む腸損傷の予防または治療用薬学的組成物を提供する。
【0022】
また、本発明は、前記アッカーマンシア・ムシニフィラAK32菌株またはその培養液を有効成分として含む腸損傷の予防または改善用食品組成物を提供する。
【0023】
また、本発明は、前記アッカーマンシア・ムシニフィラAK32菌株またはその培養液を有効成分として含む腸機能改善用食品組成物を提供する。
【0024】
また、本発明は、前記アッカーマンシア・ムシニフィラAK32菌株またはその培養液を含むプロバイオティクス(probiotics)を提供する。
【0025】
また、本発明は、前記アッカーマンシア・ムシニフィラAK32菌株またはその培養液を有効成分として含む整腸用組成物を提供する。
【0026】
また、本発明は、前記アッカーマンシア・ムシニフィラAK32菌株またはその培養液を有効成分として含む生菌剤組成物を提供する。
【0027】
また、本発明は、前記アッカーマンシア・ムシニフィラAK32菌株またはその培養液を有効成分として含む食品添加用組成物を提供する。
【0028】
本発明の一実施例において、前記アッカーマンシア・ムシニフィラAK32は、腸損傷を予防または改善することができるが、これに限定されるものではない。
【0029】
本発明の他の実施例において、前記アッカーマンシア・ムシニフィラAK32は、配列番号3からなるアミノ酸配列を含むMMD(methylmalonylCoA/oxaloacetate decarboxylase beta subunit)酵素を生産することができるが、これに限定されるものではない。
【0030】
本発明のさらに他の実施例において、前記アッカーマンシア・ムシニフィラAK32は、腸上皮細胞の増殖を促進することができるが、これに限定されるものではない。
【0031】
本発明のさらに他の実施例において、前記腸損傷は、放射線照射による腸損傷、薬物による腸損傷、アルコール性腸損傷および炎症性腸疾患による腸損傷からなる群から選ばれた1つ以上であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0032】
本発明のさらに他の実施例において、前記炎症性腸疾患は、十二指腸潰瘍、腸閉塞症、急性消化管出血、クローン病(Crohn’s desease)、腸管型ベーチェット病、回腸嚢炎(pouchitis)、過敏性大腸症候群、および潰瘍性大腸炎からなる群から選ばれた1つ以上であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0033】
また、本発明は、前記アッカーマンシア・ムシニフィラAK32菌株またはその培養液を含む組成物を個体に投与する段階を含む腸損傷の予防、改善または治療方法を提供する。
【0034】
また、本発明は、前記アッカーマンシア・ムシニフィラAK32菌株またはその培養液を含む組成物の腸損傷の予防、改善または治療用途を提供する。
【0035】
また、本発明は、前記アッカーマンシア・ムシニフィラAK32菌株またはその培養液の腸損傷に用いられる薬剤を生産するための用途を提供する。
【発明の効果】
【0036】
本発明のアッカーマンシア・ムシニフィラAK32(Akkermansia muciniphila AK32)(寄託番号:KCTC 14172BP)菌株は、小腸陰窩の高さおよび杯細胞の数を増加させるだけでなく、小腸上皮細胞の増殖に関連した遺伝子発現を促進させ、小腸組織および小腸オルガノイドの再生および成長に効果があるので、これを用いた食品、薬学的、整腸用、生菌剤、プロバイオティクスなどの製造に効果的である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1a】A.muciniphila BAA-835または便から採集したA.muciniphila菌株AK14、AK21またはAK32の培養上清液で処理された小腸オルガノイドの明視野像および表面積を示す図である。scale bar=50μm。
図1b】Gpr41/Gpr43拮抗剤の存在または不存在下に培養上清液で処理された小腸オルガノイドの明視野像および表面積を示す図である。scale bar=50μm。
図1c】PDH(pyruvate dehydrogenase)E1 componentおよびMMD(methylmalonylCoA/oxaloacetate decarboxylase beta subunit)のmRNA発現レベルを測定した結果を示す図である。
図1d】A.muciniphila BAA-835またはAK32給餌マウスの小腸オルガノイドの明視野像および表面積を示す図である。scale bar=50μm。
図1e】A.muciniphila BAA-835またはAK32給餌マウスの小腸における杯細胞の数および陰窩の高さを示す図である。scale bar=10μm。
図1f】AK32菌株給餌マウスの小腸組織でLgr5、Lyz1、Muc2、Wnt3、Axin2およびCtnnb1のmRNAレベルを測定した結果を示す図である。
図2】AK32菌株の全ゲノムマップを示す図である。
図3a】AK32菌株とBAA-835菌株のPDHアミノ酸配列を比較して示す図である。
図3b】AK32菌株とBAA-835菌株のMMDアミノ酸配列を比較して示す図である。
図4a】AK32菌株とBAA-835菌株の菌培養液におけるSCFAを比較した結果を示す図である。
図4b】AK32菌株とBAA-835菌株それぞれをマウスに4週間経口投与後、盲腸内容物でSCFAを比較した結果を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明は、アッカーマンシア・ムシニフィラAK32(Akkermansia muciniphila AK32)(寄託番号:KCTC 14172BP)菌株を提供する。
【0039】
本発明者らは、前記新規の菌株をアッカーマンシア・ムシニフィラAK32(Akkermansia muciniphila AK32)と命名し、2020年04月20日付けで韓国生命工学研究院の生物資源センターに受託番号KCTC 14172BPで寄託した。
【0040】
本発明の前記アッカーマンシア・ムシニフィラAK32は、腸損傷を予防または改善することができるが、これに限定されるものではない。
【0041】
本発明の前記アッカーマンシア・ムシニフィラAK32は、配列番号3からなるアミノ酸配列を含むMMD(methylmalonylCoA/oxaloacetate decarboxylase beta subunit)酵素を生産することができるが、これに限定されるものではない。
【0042】
本発明の前記アッカーマンシア・ムシニフィラAK32は、腸上皮細胞の増殖を促進することができるが、これに限定されるものではない。
【0043】
本発明の一実施例では、本発明のAK32菌株が、従来の他の菌株と比較して、小腸オルガノイド増殖能に優れていることを確認した。
【0044】
また、本発明は、前記アッカーマンシア・ムシニフィラAK32菌株またはその培養液を有効成分として含む腸損傷の予防または治療用薬学的組成物を提供する。
【0045】
本発明において用語「培養」とは、微生物を適当に人工的に調節した環境条件で生育させるために行う全ての行為を意味し、本発明では、「発酵」を含む概念である。
【0046】
前記「アッカーマンシア・ムシニフィラAK32」の菌体は、培養培地から収得した生菌それ自体だけでなく、当業者に知られた乳酸菌に対する任意の加工形態を含むものであり、例えば、菌体破砕物、乾燥物、凍結物などを含み、これに限定されない。また、前記用語「培養液」とは、「発酵液」を含む意味であり、液体培地で培養した培養液自体、前記培養液をろ過または遠心分離して菌株を除去したろ液(遠心分離した上清液)などの培養液自体から派生する加工物を含む。
【0047】
本発明において、前記腸損傷は、放射線照射による腸損傷、薬物による腸損傷、アルコール性腸損傷および炎症性腸疾患による腸損傷からなる群から選ばれた1つ以上であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0048】
本発明において、放射線は、細胞内の水と反応して活性酸素を生成し、これによって誘発された毒性が細胞および組織に影響を与え、炎症反応を引き起こす。正常組織が放射線に露出すると、正常組織内に存在する放射線感受性の高い細胞、特に血管細胞および免疫細胞が影響を受ける。この血管細胞と免疫細胞は、炎症反応に関与する代表的な細胞である。したがって、放射線によって現れる副作用の中で最も高い頻度を占めるものが、腸炎症、例えば、腸炎、肺炎のような炎症反応である。本発明によれば、前記腸損傷は、急性消化管症候群(acute gastrointestinal syndrome,GIS)である。
【0049】
本発明において、前記炎症性腸疾患は、十二指腸潰瘍、腸閉塞症、急性消化管出血、クローン病(Crohn’s desease)、腸管型ベーチェット病、回腸嚢炎(pouchitis)、過敏性大腸症候群、および潰瘍性大腸炎からなる群から選ばれた1つ以上であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0050】
本発明において、腸機能の改善は、例えば、腸内菌叢を改善すること;腸内有益菌の増殖を促進すること;腸内短鎖脂肪酸の含有量を増加させること;有害菌の増殖を抑制すること;または腸内上皮細胞の増殖を誘導することからなる群から選ばれた1つ以上の効果が現れるものであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0051】
本発明の組成物内の前記アッカーマンシア・ムシニフィラAK32菌株またはその培養液の含有量は、疾患の症状、症状の進行程度、患者の状態などによって適切に調節可能であり、例えば、全体組成物の重量を基準として0.0001~99.9重量%、または0.001~50重量%であってもよいが、これに限定されるものではない。前記含有量比は、溶媒を除去した乾燥量を基準とした値である。
【0052】
本発明による薬学的組成物は、薬学的組成物の製造に通常使用する適切な担体、賦形剤および希釈剤をさらに含んでもよい。前記賦形剤は、例えば、希釈剤、結合剤、崩解剤、滑沢剤、吸着剤、保湿剤、フィルム-コーティング物質、および制御放出添加剤からなる群から選ばれた1つ以上であってもよい。
【0053】
本発明による薬学的組成物は、それぞれ通常の方法によって散剤、顆粒剤、徐放性顆粒剤、腸溶性顆粒剤、液剤、点眼剤、エリキシル剤、乳剤、懸濁液剤、酒精剤、トローチ剤、芳香水剤、リモナーデ剤、錠剤、徐放性錠剤、腸溶性錠剤、舌下錠、硬質カプセル剤、軟質カプセル剤、徐放性カプセル剤、腸溶性カプセル剤、丸剤、チンキ剤、軟エキス剤、乾燥エキス剤、流動エキス剤、注射剤、カプセル剤、灌流液、硬膏剤、ローション剤、パスタ剤、噴霧剤、吸入剤、パッチ剤、滅菌注射溶液、またはエアロゾルなどの外用剤などの形態で剤形化して使用でき、前記外用剤は、クリーム、ゲル、パッチ、噴霧剤、軟膏剤、硬膏剤、ローション剤、リニメント剤、パスタ剤またはカタプラズマ剤などの剤形を有していてもよい。
【0054】
本発明による薬学的組成物に含まれ得る担体、賦形剤および希釈剤としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、オリゴ糖、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、デンプン、アカシアガム、アルギネート、ゼラチン、カルシウムホスフェート、カルシウムシリケート、セルロース、メチルセルロース、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシベンゾアート、プロピルヒドロキシベンゾアート、タルク、マグネシウムステアレートおよび鉱物油が挙げられる。
【0055】
製剤化する場合には、通常使用する充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩解剤、界面活性剤などの希釈剤または賦形剤を使用して調製される。
【0056】
本発明による錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、丸剤、トローチ剤の添加剤としてトウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、小麦デンプン、乳糖、白糖、ブドウ糖、果糖、 D-マンニトール、沈降炭酸カルシウム、合成ケイ酸アルミニウム、リン酸一水素カルシウム、硫酸カルシウム、塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、精製ラノリン、微結晶セルロース、デキストリン、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カオリン、尿素、コロイド状シリカゲル、ヒドロキシプロピルスターチ、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)1928、HPMC2208、HPMC2906、HPMC2910、プロピレングリコール、カゼイン、乳酸カルシウム、プリモジェルなど賦形剤;ゼラチン、アラビアガム、エタノール、寒天粉、酢酸フタル酸セルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ブドウ糖、精製水、カゼインナトリウム、グリセリン、ステアリン酸、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、微結晶セルロース、デキストリン、ヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、ヒドロキシメチルセルロース、精製セラック、デンプン糊、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの結合剤が使用でき、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、トウモロコシデンプン、寒天粉、メチルセルロース、ベントナイト、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クエン酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、無水ケイ酸、1-ヒドロキシプロピルセルロース、デキストラン、イオン交換樹脂、酢酸ポリビニル、ホルムアルデヒド処理カゼインおよびゼラチン、アルギン酸、アミロース、グアーガム(Guar gum)、重曹、ポリビニルピロリドン、リン酸カルシウム、ゲル化デンプン、アラビアガム、アミロベクチン、ペクチン、ポリリン酸ナトリウム、エチルセルロース、白糖、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、D-ソルビトール液、硬質無水ケイ酸など崩解剤;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、水素化植物油(Hydrogenated vegetable oil)、タルク、石松子、カオリン、ワセリン、ステアリン酸ナトリウム、カカオ脂、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸マグネシウム、ポリエチレングリコール(PEG)4000、PEG6000、流動パラフィン、水素添加大豆油(Lubri wax)、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ラウリル硫酸ナトリウム、酸化マグネシウム、マクロゴール(Macrogol)、合成ケイ酸アルミニウム、無水ケイ酸、高級脂肪酸、高級アルコール、シリコーン油、パラフィン油、ポリエチレングリコール脂肪酸エーテル、デンプン、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、DL-ロイシン、硬質無水ケイ酸などの滑沢剤;が使用できる。
【0057】
本発明による液剤の添加剤としては、水、希塩酸、希硫酸、クエン酸ナトリウム、モノステアリン酸スクロース類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル類(ツインエステル)、ポリオキシエチレンモノアルキルエテール類、ラノリンエテール類、ラノリンエステル類、酢酸、塩酸、アンモニア水、炭酸アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、プロラミン、ポリビニルピロリドン、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどが使用できる。
【0058】
本発明によるシロップ剤には、白糖の溶液、他の糖類あるいは甘味剤などが使用でき、必要に応じて芳香剤、着色剤、保存剤、安定剤、懸濁化剤、乳化剤、粘稠剤などが使用できる。
【0059】
本発明による乳剤には、精製水が使用でき、必要に応じて乳化剤、保存剤、安定剤、芳香剤などが使用できる。
【0060】
本発明による懸濁剤には、アカシア、トラガカンタ、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、微結晶セルロース、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、HPMC1828、HPMC2906、HPMC2910など懸濁化剤が使用でき、必要に応じて界面活性剤、保存剤、安定剤、着色剤、芳香剤が使用できる。
【0061】
本発明による注射剤には、注射用蒸留水、0.9%塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、デキストロース注射液、デキストロース+塩化ナトリウム注射液、ピイジー(PEG)、乳酸リンゲル注射液、エタノール、プロピレングリコール、非揮発性油-ゴマ油、綿実油、落花生油、ダイズ油、とうもろこし油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、安息香酸ベンゼンのような溶剤;安息香酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、尿素、ウレタン、モノエチルアセトアミド、ブタゾリジン、プロピレングリコール、ツイン類、ニコチン酸アミド、ヘキサミン、ジメチルアセトアミドのような溶解補助剤;弱酸およびその塩(酢酸と酢酸ナトリウム)、弱塩基およびその塩(アンモニアおよび酢酸アンモニウム)、有機化合物、タンパク質、アルブミン、ペプトン、ガム類のような緩衝剤;塩化ナトリウムのような 等張化剤;重亜硫酸ナトリウム(NaHSO)二酸化炭素ガス、メタ重亜硫酸ナトリウム(Na)、亜硫酸ナトリウム(NaSO)、窒素ガス(N)、エチレンジアミンテトラ酢酸のような安定剤;ソジウムビサルファイト0.1%、ソジウムホルムアルデヒドスルホキシレート、チオウレア、エチレンジアミンテトラ酢酸ナトリウム、アセトンソジウムビサルファイトのような抗酸化剤;ベンジルアルコール、クロロブタノール、塩酸プロカイン、ブドウ糖、グルコン酸カルシウムのような無痛化剤;CMCナトリウム、アルギン酸ナトリウム、ツイン80、モノステアリン酸アルミニウムのような懸濁化剤を含んでもよい。
【0062】
本発明による坐剤には、カカオ脂、ラノリン、ウイテプゾール、ポリエチレングリコール、グリセロゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸とオレイン酸の混合物、スバナル(Subanal)、綿実油、落花生油、ヤシ油、カカオバター+コレステロール、レシチン、ラネットワックス、モノステアリン酸グリセロール、ツインまたはスパン、イムハウゼン(Imhausen)、モノレン(モノステアリン酸プロピレングリコール)、グリセリン、アデプスソリダス(Adeps solidus)、ブチラムテゴ-G(Buytyrum Tego-G)、セベスファーマ16(Cebes Pharma 16)、ヘキサライドベース95、コトマー(Cotomar)、ヒドロコテSP、S-70-XXA、S-70-XX75(S-70-XX95)、ヒドロコテ(Hydrokote)25、ヒドロコテ711、イドロポスタル(Idropostal)、マッサエストラリウム(Massa estrarium、A、AS、B、C、D、E、I、T)、マッサ-MF、マスポル、マスポル-15、ネオスポスタル-エン、パラマウンド-B、スポシール(OSI、OSIX、A、B、C、D、H、L)、坐剤基剤IVタイプ(AB、B、A、BC、BBG、E、BGF、C、D、299)、スポスタル(N、Es)、ウェコビー(W、R、S、M、Fs)、テゲスタートリグリセライド基剤(TG-95、MA、57)のような基剤が使用できる。
【0063】
経口投与のための固形製剤には、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤などが含まれ、このような固形製剤は、前記抽出物に少なくとも1つ以上の賦形剤、例えば、デンプン、カルシウムカーボネート(calcium carbonate)、スクロース(sucrose)またはラクトース(lactose)、ゼラチンなどを混ぜて調製される。また、単純な賦形剤以外にマグネシウムステアレート、タルクのような潤滑剤も使用される。
【0064】
経口投与のための液状製剤としては、懸濁剤、内用液剤、乳剤、シロップ剤等が該当するが、頻繁に使用される単純希釈剤である水、リキッドパラフィン以外に、様々な賦形剤、例えば湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などが含まれ得る。非経口投与のための製剤には、滅菌された水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤、坐剤が含まれる。非水性溶剤、懸濁剤としては、プロピレングリコール(propylene glycol)、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物油、エチルオレートのような注射可能なエステルなどが使用できる。
【0065】
本発明による薬学的組成物は、薬学的に有効な量で投与される。本発明において、「薬学的に有効な量」は、医学的治療に適用可能な合理的なベネフィット/リスクの割合で疾患を治療するのに十分な量を意味し、有効用量レベルは、患者の疾患の種類、重症度、薬物の活性、 薬物に対する感受性、投与時間、投与経路および排出比率、治療期間、同時に使用される薬物を含む要素およびその他医学分野によく知られた要素によって決定できる。
【0066】
本発明による組成物は、個別治療剤で投与したり、他の治療剤と併用して投与することができ、従来の治療剤とは順次にまたは同時に投与することができ、単一または多重投与されうる。上記した要素を全部考慮して副作用なしに最小限の量で最大効果を得ることができる量を投与することが重要であり、これは、本発明の属する技術分野における当業者により容易に決定することができる。
【0067】
本発明の薬学的組成物は、個体に多様な経路で投与されうる。投与の全ての方式は、予想可能であるが、例えば、経口服用、皮下注射、腹腔投与、静脈注射、筋肉注射、脊髄周囲空間(硬膜内)注射、舌下投与、頬粘膜投与、直腸内挿入、膣内挿入、眼内投与、耳への投与、鼻腔投与、吸入、口または鼻を通した噴霧、皮膚投与、経皮投与などにより投与されうる。
【0068】
本発明の薬学的組成物は、治療する疾患、投与経路、患者の年齢、性別、体重および疾患の重症度などの様々な関連因子とともに、活性成分である薬物の種類によって決定される。
【0069】
本発明において「個体」とは、疾患の治療を必要とする対象を意味し、より具体的には、ヒトまたは非ヒトである霊長類、マウス(mouse)、ラット(rat)、イヌ、ネコ、ウマ、およびウシなどの哺乳類であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0070】
本発明において「投与」とは、任意の適切な方法で個体に所定の本発明の組成物を提供することを意味する。
【0071】
本発明において「予防」とは、目的とする疾患の発病を抑制したり遅延させる全ての行為を意味し、「治療」とは、本発明による薬学的組成物の投与により目的とする疾患とそれによる代謝異常症状が好転したり有益に変更される全ての行為を意味し、「改善」とは、本発明による組成物の投与により目的とする疾患に関連したパラメーター、例えば、症状の程度を減少させる全ての行為を意味する。
【0072】
また、本発明は、前記アッカーマンシア・ムシニフィラAK32菌株またはその培養液を有効成分として含む腸損傷の予防または改善用食品組成物を提供する。
【0073】
また、本発明は、前記アッカーマンシア・ムシニフィラAK32菌株またはその培養液を有効成分として含む腸機能改善用食品組成物を提供する。
【0074】
本発明の前記アッカーマンシア・ムシニフィラAK32菌株またはその培養液を食品添加物として使用する場合、前記アッカーマンシア・ムシニフィラAK32菌株またはその培養液をそのまま添加したり、他の食品または食品成分と共に使用でき、通常の方法によって適切に使用できる。有効成分の混合量は、使用目的(予防、健康または治療的処置)によって好適に決定することができる。一般的に、食品または飲料の製造時に、本発明の前記アッカーマンシア・ムシニフィラAK32菌株またはその培養液は、原料に対して15重量%以下、または10重量%以下の量で添加することができる。しかしながら、健康および衛生を目的としたり、または健康調節を目的とする長期間の摂取の場合、前記量は、前記範囲以下であってもよく、安全性の観点から何らの問題もないので、有効成分は、前記範囲以上の量でも使用できる。
【0075】
前記食品の種類には、特別な制限はない。前記物質を添加できる食品の例としては、肉類、ソーセージ、パン、チョコレート、キャンディ類、スナック類、菓子類、ピザ、ラメン、その他麺類、ガム類、アイスクリーム類を含む酪農製品、各種スープ、飲料、茶、ドリンク剤、アルコール飲料およびビタミン複合剤などがあり、通常の意味における健康機能食品を全部含む。
【0076】
本発明による健康飲料組成物は、通常の飲料のように様々な香味剤または天然炭水化物などを追加成分として含有することができる。上述した天然炭水化物は、ブドウ糖および果糖のようなモノサッカライド、マルトースおよびスクロースのようなジサッカライド、デキストリンおよびシクロデキストリンのようなポリサッカライド、およびキシリトール、ソルビトールおよびエリトリトールなどの糖アルコールである。甘味剤としては、ソーマチン、ステビア抽出物のような天然甘味剤や、サッカリン、アスパルテームのような合成甘味剤などを使用できる。前記天然炭水化物の割合は、本発明の組成物100mL当たり一般的に約0.01~0.20g、または約0.04~0.10gである。
【0077】
上記以外に、本発明の組成物は、様々な栄養剤、ビタミン、電解質、風味剤、着色剤、ペクチン酸およびその塩、アルギン酸およびその塩、有機酸、保護性コロイド増粘剤、pH調節剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料に使用される炭酸化剤などを含有することができる。その他に、本発明の組成物は、天然果物ジュース、果物ジュース飲料および野菜飲料の製造のための果肉を含有することができる。このような成分は、独立して、または組み合わせて使用できる。このような添加剤の割合は、大きく重要なことではないが、本発明の組成物100重量部当たり0.01~0.20重量部の範囲で選択されることが一般的である。
【0078】
また、本発明は、前記アッカーマンシア・ムシニフィラAK32菌株またはその培養液を含むプロバイオティクス(probiotics)を提供する。
【0079】
また、本発明は、前記アッカーマンシア・ムシニフィラAK32菌株またはその培養液を有効成分として含む整腸用組成物を提供する。
【0080】
また、本発明は、前記アッカーマンシア・ムシニフィラAK32菌株またはその培養液を有効成分として含む生菌剤組成物を提供する。
【0081】
また、本発明は、前記アッカーマンシア・ムシニフィラAK32菌株またはその培養液を有効成分として含む食品添加用組成物を提供する。
【0082】
本発明のアッカーマンシア・ムシニフィラAK32菌株は、生菌やプロバイオティクスであり、ヒトおよび動物の腸健康増進のための用途、すなわち、整腸用、生菌剤または食品添加用組成物に使用できる。前記組成物は、前記菌株自体、その破砕物および前記菌株培養物などを有効成分として含んでもよいし、賦形剤または担体をさらに含んでもよい。
【0083】
前記組成物は、液体培地で培養した培養液自体、前記培養液をろ過または遠心分離して菌株を除去したろ液(遠心分離した上清液)などを含む。組成物内前記アッカーマンシア・ムシニフィラAK32菌株の含有量は、組成物の用途および剤形によって変わることができる。本発明による整腸用または生菌剤組成物は、多様な剤形と方法で製造および投与することができる。例えば、アッカーマンシア・ムシニフィラAK32、その破砕物およびその培養物を薬剤学的分野において通常使用する担体および香料と混合して、錠剤(tablet)、トローチ(troche)、カプセル(capsule)、エリキシル(elixir)、シロップ(syrup)、散剤(powder)、懸濁剤(suspension)または顆粒剤(granule)などの形態で製造および投与することができる。
【0084】
担体としては、結合剤、滑沢剤、崩解剤、賦形剤、可溶化剤、分散剤、安定化剤、懸濁化剤などを使用できる。投与方式は、経口、非経口または塗布法を使用できるが、好ましくは、経口投与することが好ましい。また、投与用量は、体内で活性成分の吸収度、不活性率および排泄速度、被投与者の年齢、性別、状態などによって適切に選択することができる。また、本発明による飼料用組成物は、発酵飼料、配合飼料、ペレット形態およびサイレージ(silage)などの形態で製造することができる。前記発酵飼料は、本発明のアッカーマンシア・ムシニフィラAK32菌株と様々な微生物菌または酵素を添加することによって、有機物を発酵させて製造することができ、前記配合飼料は、様々な種類の一般飼料と本発明のアッカーマンシア・ムシニフィラAK32を混合して製造することができる。ペレット形態の飼料は、前記発酵飼料または配合飼料をペレット形態に剤形化して製造することができ、サイレージは、青刈り飼料を本発明によるアッカーマンシア・ムシニフィラAK32で発酵させることによって製造することができる。
【0085】
本発明による本発明のアッカーマンシア・ムシニフィラAK32またはその培養物は、キムチ、飲料、離乳食、発酵乳、パンなどの食品に対する食品添加剤に使用できる。また、本発明のアッカーマンシア・ムシニフィラAK32またはその培養物は、発酵製品の製造のためのスターター(starter)として使用できる。前記発酵製品は、チーズ、キムチ、発酵生食製品などを含む。本発明のアッカーマンシア・ムシニフィラAK32またはその培養物を用いた発酵製品は、当業界において公知となった通常の方法により製造することができる。例えば、玄米と鳩麦などの穀類粉末に本発明によるアッカーマンシア・ムシニフィラAK32またはこれを含む2~3種の混合乳酸菌を処理して適正温度で発酵させた後、大豆、もち米、キビなどの多様な農産物を栄養的な均衡と優れた嗜好性を有する適切に配合して、発酵生食製品を製造することができる。
【0086】
また、本発明は、前記アッカーマンシア・ムシニフィラAK32菌株またはその培養液を含む組成物を個体に投与する段階を含む腸損傷の予防、改善または治療方法を提供する。
【0087】
また、本発明は、前記アッカーマンシア・ムシニフィラAK32菌株またはその培養液を含む組成物の腸損傷の予防、改善または治療用途を提供する。
【0088】
また、本発明は、前記アッカーマンシア・ムシニフィラAK32菌株またはその培養液の腸損傷に用いられる薬剤を生産するための用途を提供する。
【0089】
本発明は、多様な変換を加えることができ、様々な実施例を有することができるところ、特定実施例を図面に例示し、詳細な説明に詳細に説明する。しかしながら、これは、本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれる全ての変換、均等物ないし代替物を含むものと理解しなければならない。本発明を説明するに際して、関連した公知技術に関する具体的な説明が本発明の要旨を不明にすることができると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0090】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例を提示する。しかしながら、下記の実施例は、本発明をより容易に理解するために提供されるものに過ぎず、下記実施例によって本発明の内容が限定されるものではない。
【実施例
【0091】
実験例1.実験方法
実験例1-1.マウス準備
本発明の実施例で使用された全ての動物は、8~10週齢の雌マウスであり、無菌食品と水を自由に摂食した。C57BL/6マウスは、OrientBio(Korea)から購入した。マウスは、アサン病院(Korea)の動物施設に収容し、特定の病原体のない条件で飼育した。全ての動物実験は、Asan Medical Centerの機関動物管理および使用委員会(承認番号2019-12-251)から承認を受けた。全ての実験は、関連指針および規定によって行われた。
【0092】
実験例1-2.ヒトの便からA.muciniphila菌株の分離
A.muciniphilaの新しい11個の菌株を32人の支援者健康人の便から分離した。便をPBSで溶解し、GasPak 100システム(BD Bioscience)を使用して嫌気性条件下で37℃でデキストロースが含まれていない0.4%ムチン添加BHI寒天培地(KisanBio)に分注した。A.muciniphilaを単離し、プライマーセット5’-CAGCACGTGAAGGTGGGGAC-3’(配列番号1)および5’-CCTTGCGGTTGGCTTCAGAT-3’(配列番号2)を使用してPCRで確認した。
【0093】
実験例1-3.A.muciniphilaの経口投与
A.muciniphila(ATCC BAA-835)および新しく分離したA.muciniphila AK32菌株を0.4%mucin(Sigma)が補充された脳心臓注入培地(BD Bioscience)で培養し、37℃でGasPak100システム(BD Bioscience)を使用して嫌気性培養した。培養した培養物を濃縮させ、嫌気性PBSに懸濁させた後、経口用Zondeニードルで4週間毎日マウス(容量当たり8×10CFU)に投与した。
【0094】
実験例1-4.陰窩(crypt)の分離
小腸(Small intestinal,SI)を縦方向に開放し、PBSで洗浄した。陰窩を分離するために、組織をPBS中の1mM EDTAで4℃で30分間インキュベートし、PBSで洗浄した後、4℃でさらに1時間の間インキュベートするために、PBSで5mM EDTAに移した。次に、サンプルをPBSに懸濁させた後、70μm細胞ストレーナー(BD Falcon)でろ過した。
【0095】
実験例1-5.オルガノイド培養
オルガノイド培養のために、ウェル当たり200~500個の陰窩をMatrigel(Corning)に浮遊させた(suspended)。
【0096】
Advanced DMEM/F12(Gibco)、×100ペニシリン/ストレプトマイシン(Gibco)、1mM N-アセチルシステイン(Sigma-Aldrich)、B27補充剤(Thermo Fisher Scientific)、N2補充剤(Thermo Fisher Scientific)、EGF(Thermo Fisher Scientific)、Noggin(R&D Systems)およびR-spondin-1調節培地を含む完全ENR培地(ノギンが補充されたER培地)で培養した。ENR培地は、2~3日ごとに交替した。オルガノイドの表面積は、反転顕微鏡(Carl Zeiss)を使用してウェルでオルガノイドの任意の重ならない写真を撮ることによって顕微鏡で測定した。ImageJソフトウェア(NIH)およびZenイメージプログラム(Carl Zeiss)を使用して各写真を分析した。面積測定のためのオルガノイド周囲は、手動および自動化ImageJソフトウェアで測定した。
【0097】
実験例1-6.組織学
小腸回腸を除去し、縦方向に開放した。次に、スイスロールにより組織を製造し、4%パラホルムアルデヒド(PFA)に固定させた後、パラフィンに包埋させた。組織セクションは、ヘマトキシリン-エオシン(H&E)またはPeriodic acid-Schiff(PAS)で染色した。
【0098】
実験例1-7.オルガノイドに対する盲腸(cecum)内容物の処理
各100mgの盲腸内容物を1mlの無血清DMEM/F12(Gibco)培地に希釈し、1時間の間ボルテックスで回転させた。内容物を4,000rpmで10分間遠心分離し、培養する前に上清液を0.22μm注射器フィルター(Pall Corporation)を通過させた。盲腸内容物の構成に対する効果を扱うために、高級DMEM/F12で浮遊された盲腸内容物の0.01%上清液でENR培地を補充した。Gpr43拮抗剤(GLPG0974、0.1μM、Tocris)およびGpr41拮抗剤(βヒドロキシブチラート、3mM、Sigma)を使用した。
【0099】
実験例1-8.全ゲノムシーケンシング
アガロースゲル電気泳動を実行して、gDNAの完全性を点検し、Quant-IT PicoGreen(Invitrogen)を使用してgDNAを定量化した。次に、配列ライブラリーは、PacBio DNAテンプレート準備キット1.0を使用するBluePippin(登録商標)サイズ選択システムを使用した20kbテンプレート製剤の指針書によって製造した。ライブラリーは、Quant-IT PicoGreenを使用して定量化し、高感度DNAチップ(Agilent Technologies)を使用して検証した。次に、ライブラリーをPacBio RSIIの8ウェル-SMART cell v3でPacBio P6C4 chemistryを使用してシーケンシングした。AK32のゲノムは、新しいPacBioシーケンシングデータで構築された。次に、Chunlab,Inc.でシーケンシング分析を行った。PacBioシーケンシングデータは、HGAP2プロトコル(Pacific Biosciences)を使用してPacBio SMRT Analysis 2.3.0で収集した。PacBioシーケンシングデータから得られた結果物は、サーキュレーター1.4.0(Sanger Institute)を使用して円形化した。全ゲノムの遺伝子検索および機能注釈パイプライン(functional annotation pipeline)は、EzbioCloudゲノムデータベースを使用した。タンパク質コーディング配列は、Prodigal 2.6.2によって予測された。tRNAをコードする遺伝子をtRNAscan-SE 1.3.1を使用して検索した。rfamおよびその他非コーディングRNAは、Rfam 12.0データベースで検索した。比較全ゲノムは、平均ヌクレオチド同一性塩基BLAST(ANIb)で研究した。ANIb値は、Kostas lab(http://enve-omics.ce.gatech.edu/ani)のANI計算機で計算した。
【0100】
実験例1-9.Real-time PCR
小腸およびオルガノイドからのトータルRNAをRNeasyミニキット(Qiagen)を使用して抽出し、cDNAをSupercriptII逆転写酵素およびオリゴdTプライマー(Thermo Fisher Scientific)を使用して合成した。A.muciniphilaのトータルRNAは、Trizol(Thermo Fisher Scientific)を使用して抽出した。バクテリアRNAを使用したcDNA合成のために、gDNAリムーバー(Toyobo)とReverTra Ace qPCR RT Master Mixを使用した。cDNAは、Real-time PCRシステム(Applied Biosystems)でSYBRグリーン化学(Affymetrix)を使用して行われたReal-time PCRの鋳型として使用された。
【0101】
使用したプライマーは、次の通りである:Muc2、5’-CCTTAGCCAAGGGCTCGGAA-3’(配列番号4)および5’-GGCCCGAGAGTAGACCTTGG-3’(配列番号5);Lyz1、5’-ATGGCGAACACAATGTCAAA-3’(配列番号6)および5’-GCCCTGTTTCTGCTGAAGTC-3’(配列番号7);Wnt3、5’-CTTCTAATGGAGCCCCACCT-3’(配列番号8)および5’-GAGGCCAGAGATGTGTACTGC-3’(配列番号9);Axin2、5’-AACCTATGCCCGTTTCCTCT-3’(配列番号10)および5’-GAGTGTAAAGACTTGGTCCA-3’(配列番号11);Ctnnb1、5’-ATGGAGCCGGACAGAAAAGC-3’(配列番号12)および5’-TGGGAGGTGTCAACATCTTC-3’(配列番号13);Lgr5、5’-CCTGTCCAGGCTTTCAGAAG-3’(配列番号14)および5’-CTGTGGAGTCCATCAAAGCA-3’(配列番号15);β-actin、5’-TGGAATCCTGTGGCATCCATGAAAC-3’(配列番号16)および5’-TAAAACGCAGCTCAGTAACAGTCCG-3’(配列番号17);pdh、5’-AACCGATTATTGAAGCGGCA-3’(配列番号18)および5’-ATATTGGCGGCTTCGTGAAA-3’(配列番号19);mmd、5’-GACCAAGAAGGAACGCCTCA-3’(配列番号20)および5’-GTTCCGTCACCTTGCATTCG-3’(配列番号21);Universal 16S rDNA、5’-ACTCCTACGGGAGGCAGCAG-3’(配列番号22)および5’-ATTACCGCGGCTGCTGG-3’(配列番号23);A.muciniphila 16S rDNA、5’-CAGCACGTGAAGGTGGGGAC-3’(配列番号24)および5’-CCTTGCGGTTGGCTTCAGAT-3’(配列番号25)。
【0102】
実験例1-10.SCFA(Short-chain fatty acid)の定量的測定
代謝産物の分析のための全ての試薬および溶媒は、Sigmaから購入した。マウス盲腸内容物の場合、10~20mgの盲腸内容物を400μlの内部標準溶液(1mMのプロピオン酸(C3)-d6、100μMの酪酸(C4)-d7)で激烈に均質化させた。菌培養上清液の分析のために、100μlの培養上清液を200μlの内部標準溶液と混合した。遠心分離後、上清液をろ過除去した。AABD-SH(20μl、20mM)、TPP(Triphenylphosphine、20μl、20mM)およびDPDS(2,2-dipyridyl disulfide、20μl)が含まれたジクロロメタンをろ液に添加した。ボルテックスしながら、前記溶液を室温で10分間培養し、真空乾燥させた。サンプルを80μLメタノールで再構成し、LC-MS/MS分析を準備した。1290 HPLC(Agilent Technologies,Denmark)、Qtrap 5500(ABSciex)および逆相カラム(Pursuit 5 C18 150×2.0mM,Agilent Technologies)が装着されたLC-MS/MSシステムを使用した。各代謝産物に対する特定転移に該当する抽出されたイオンクロマトグラム(EIC,Extracted ion chromatogram)を定量に使用した。各EICの曲線下面積は、内部標準のEIC面積で正規化した。それぞれの代謝産物:内部標準物のピーク面積比をサンプルでの血清体積または組織重量を使用して標準化した後、相対的比較のために使用した。
【0103】
実験例1-11.統計分析
統計分析は、プリズムソフトウェア(GraphPad,La Jolla,CA)を使用して行った。Pairwiseおよび2個の独立的なグループの比較のためにtwo-tailed t-testを使用した。データは、平均±SEMで提示し、p<0.05、p<0.01、p<0.001は、統計的に有意なものと見なした。
【0104】
実施例1.A.muciniphila AK32菌株の分離および寄託
ISC媒介上皮発達で一般的に使用される類型菌株(すなわち、ATCC BAA-835)よりさらに良いA.muciniphila菌株を発見するために、健康人の便からA.muciniphilaを分離した。選択的培地および種特異的PCRを使用して、3個のA.muciniphila菌株(AK14、AK21、AK32)を収得した。
【0105】
ISC媒介上皮発達に対する単離したA.muciniphila菌株の効果を評価するために、それぞれの単離した菌株から収得した培養上清液の存在下で腸オルガノイドを使用するスクリーニングシステムを採択した。
【0106】
図1aに示されたように、3個の新しく分離した菌株のうち、AK32の培養上清液のみが従来のA.muciniphilaまたは他のアイソタイプ菌株と比較して、オルガノイドのサイズが有意に増加することを確認した。
【0107】
すなわち、分離した3個の菌株のうち、A.muciniphila AK32菌株を下記実施例によって最も優れた菌株として最終的に決定し、アッカーマンシア・ムシニフィラエイケイ32(A.muciniphila AK32,AK32)と命名した(寄託番号:KCTC 14172BP)。
【0108】
実施例2.A.muciniphila AK32菌株の腸損傷の改善効果の確認
まず、AK32により増加したISC媒介上皮発達がSCFAに依存するか否かを確認するために、Gpr41/43拮抗剤を採択した。
【0109】
図1bに示されたように、Gpr41/43拮抗剤を使用した群においてAK32の培養上清液により上向き調節された小腸オルガノイドのサイズが非常に減少した。
【0110】
また、図1cに示されたように、従来のATCC BAA-835菌株と比較して、AK32菌株でSCFA分泌に影響を与える酵素pdh(pyruvate dehydrogenase E1 component)およびmmd(Na+ translocating methymalonyl-CoA/oxaloacetate decarboxylase)の発現が有意に高いことを確認した。
【0111】
また、図1dに示されたように、生体内AK32菌株の上向き調節機能をさらに確認するために、マウスに4週間AK32または典型的なA.muciniphila ATCC BAA-835を給餌した。
【0112】
興味深いことに、従来のATCC BAA-835給餌マウスと比較して、AK32菌株給餌マウスにおける小腸オルガノイドのサイズが非常に増加したことが分かった。
【0113】
また、図1eに示されたように、AK32給餌マウスは、ATCC BAA-835と比較して、小腸で陰窩の高さおよび粘液生成杯細胞の数を増加させることが示された。
【0114】
また、図1fに示されたように、AK32給餌マウスは、ATCC BAA-835より小腸でLgr5、Lyz1、Muc2、Wnt3、Axin2およびCtnnb1のmRNA発現レベルを有意に増加させることが示された。
【0115】
また、図2にAK32菌株の全ゲノムマップを示した。
【0116】
また、図3aおよび図3bにAK32菌株とBAA-835菌株のPDH(図3a)およびMMD(図3b)のアミノ酸配列を比較したところ、MMD配列が異なっていることが示された。
【0117】
また、下記表1にAK32菌株とBAA-835菌株のゲノム機能情報(genome annotation)を分析した結果を示した。
【0118】
【表1】
【0119】
前記結果から、新しく発見されたAK32菌株がISC媒介上皮発達の観点から、特徴的なゲノムを有し、従来のA.muciniphila菌株と比較して、その効果に優れていて、strainの中でもその効果が最も優れていることが分かった。
【0120】
実施例3.A.muciniphila AK32菌株のSCFA分泌促進効果の確認
微生物由来代謝産物は、腸の恒常性を維持するための主な要因の1つであるから、A.muciniphila AK32およびBAA-835菌培養液におけるSCFAを比較し、マウスに4週間経口投与後、盲腸内容物でSCFAの量を比較した。
【0121】
その結果、図4aおよび図4bに示されたように、本発明のAK32菌株は、BAA-835菌株と類似しているか、それよりも優れたSCFA分泌促進効果を示すことを確認した。
【0122】
上述した本発明の説明は、例示のためのものであって、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想や必須的な特徴を変更することなく、他の具体的な形態に容易に変形が可能であることが理解することができる。したがって、以上で記述した実施例は、全ての面において例示的なものであり、限定的でないものと理解すべきである。
【産業上利用の可能性】
【0123】
本発明のアッカーマンシア・ムシニフィラAK32(Akkermansia muciniphila AK32)(寄託番号:KCTC 14172BP)菌株は、腸損傷の予防、改善、または治療のための食品、薬学的、整腸用、生菌剤、プロバイオティクスなどの製造に有用に用いられると期待される。
【表2】
図1a
図1b
図1c
図1d
図1e
図1f
図2
図3a
図3b
図4a
図4b
【配列表】
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