(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】負極材料及びその製造方法、並びにリチウムイオン電池
(51)【国際特許分類】
H01M 4/38 20060101AFI20240805BHJP
H01M 4/48 20100101ALI20240805BHJP
H01M 4/62 20060101ALI20240805BHJP
H01M 4/36 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
H01M4/38 Z
H01M4/48
H01M4/62 Z
H01M4/36 A
(21)【出願番号】P 2022575678
(86)(22)【出願日】2022-06-01
(86)【国際出願番号】 CN2022096668
(87)【国際公開番号】W WO2023273782
(87)【国際公開日】2023-01-05
【審査請求日】2022-12-07
(31)【優先権主張番号】202110736759.6
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520417045
【氏名又は名称】貝特瑞新材料集団股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BTR NEW MATERIAL GROUP CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Building 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7A, 7B, and 8, High-Tech Industrial Park, Xitian Community, Gongming Office, Guangming New District Shenzhen, Guangdong 518106 China
(73)【特許権者】
【識別番号】521520935
【氏名又は名称】惠州市鼎元新能源科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【氏名又は名称】水谷 馨也
(74)【代理人】
【識別番号】100175651
【氏名又は名称】迫田 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100122448
【氏名又は名称】福井 賢一
(72)【発明者】
【氏名】肖 称茂
(72)【発明者】
【氏名】何 鵬
(72)【発明者】
【氏名】郭 鍔明
(72)【発明者】
【氏名】任 建国
(72)【発明者】
【氏名】賀 雪琴
【審査官】冨士 美香
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第107069009(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/38
H01M 4/48
H01M 4/62
H01M 4/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
活物質と炭素材料とを含む凝集体
と、前記凝集体の表面の少なくとも一部を被覆する炭素層とを含み、
前記凝集体中の前記活物質の含有量(質量%)が前記凝集体の中心から表面に向かって漸減
し、
前記活物質は、Li、Na、K、Sn、Ge、Si、SiO
x
(0<x<2)、Fe、Mg、Ti、Zn、Ni、P及びCuからなる群より選択される少なくとも1つを含み、
前記炭素材料に対する前記活物質の質量比は、前記凝集体の中心から表面に向かって漸減し、
前記凝集体は、密度が下記式の関係を満たし、
(ρ2-ρ1)/ρ2≦1.7%
(ここで、ρ1は凝集体の測定密度であり、ρ2は凝集体の理論密度(即ち、凝集体中の各成分の含有量(質量%)に各成分の理論密度を乗算した値の和)である。)
前記凝集体中の前記炭素材料に対する前記活物質の質量比は、最大値をE、最小値をFとすると、E-F≧0.5を満たし、
前記凝集体のSEM断面の表面から中心までの任意の領域に対して分光装置でEDS点分析のテストを行い、前記炭素材料に対する前記活物質の質量比をTとし、領域内でのテスト回数をN(N≧10)とし、N回のテストの結果のうちTの最小値をAとし、N回のテストの結果のうちTの最大値をBとし、前記凝集体表面における任意の一点から中心までの距離をL
0
μmとし、テスト領域の中心から前記凝集体の中心までの距離をL
1
μmとし、前記テスト領域の中心位置のT値をT
0
とすると、T
0
は下記式の関係を満たすことを特徴とする負極材料。
T
0
≦B-(B-A)L
1
/L
0
【請求項2】
以下の(1)~(
3)のうちの少なくとも1つを満たす、請求項1に記載の負極材料。
(1
)前記炭素材料に対する前記活物質の合計質量比は、0.5~8であること;
(
2)前記活物質の含有量は、凝集体の全量を100質量%とすると、5質量%~80質量%であること;
(
3)前記活物質の凝集体表面での含有量は、2質量%~55質量%であること
。
【請求項3】
以下の(1)
及び(
2)のうちの少なくとも1つを満たす、請求項1に記載の負極材料。
(
1)前記活物質は、メジアン径が1nm~300nmであること;
(
2)前記炭素材料は、黒鉛系炭素材料及び/又は非黒鉛系炭素材料を含
み、前記黒鉛系炭素材料は、天然黒鉛及び/又は人造黒鉛を含
み、前記人造黒鉛は、メソカーボンマイクロビーズを含
み、前記非黒鉛系炭素材料は、非晶質炭素、結晶質炭素、ハードカーボン及びソフトカーボンからなる群より選択される少なくとも1つを含むこと。
【請求項4】
前記凝集体は、金属酸化物及び導電性向上剤からなる群より選択される少なくとも1つをさらに含む
、請求項1に記載の負極材料。
【請求項5】
前記金属酸化物は、以下の(1)~(3)のうちの少なくとも1つを満たす請求項4に記載の負極材料。
(1)前記金属酸化物は、一般式:MxOy(式中、0.2≦y/x≦3;Mは、Sn、Ge、Fe、Cu、Ti、Na、Mg、Al、Ca及びZnからなる群から選ばれる少なくとも1つを含む。)で示されること;
(2)前記金属酸化物と活物質との質量比は、1~20:100であること;
(3)前記金属酸化物は、フレーク状及び/又は短冊状であり、アスペクト比が2よりも大きいこと。
【請求項6】
前記導電性向上剤は、以下の(1)~(3)のうちの少なくとも1つを満たす請求項4に記載の負極材料。
(1)前記導電性向上剤は、導電率が10
0
S/m~10
8
S/mであり、前記導電性向上剤と活物質との質量比は、0.01~20:100であること;
(2)前記導電性向上剤は、フレーク状及び/又は短冊状であり、アスペクト比が2~5000であること;
(3)前記導電性向上剤は、合金材料及び導電性カーボンからなる群より選択される少なくとも1つを含み、前記合金材料は、亜鉛合金、アルミニウム合金、銅合金、シリコン合金、ニッケル合金及びチタン合金からなる群より選択される少なくとも1つを含み、前記導電性カーボンは、黒鉛繊維、カーボンナノチューブ、グラファイトシート、導電性炭素繊維及びグラフェンからなる群より選択される少なくとも1つを含むこと。
【請求項7】
以下の(1)
及び(
2)のうちの少なくとも1つを満たす請求項1に記載の負極材料。
(
1)前記炭素層の材料は、黒鉛及び/又は非晶質炭素を含むこと;
(
2)前記炭素層は、厚さが10nm~2000nmであること
。
【請求項8】
以下の(1)及び(2)のうちの少なくとも1つを満たす請求項1に記載の負極材料。
(1)前記負極材料は、メジアン径が0.5μm~30μmであること;
(2)前記負極材料は、比表面積が10m
2
/g以下であること。
【請求項9】
以下の(1)及び(2)のうちの少なくとも1つを満たす請求項1に記載の負極材料。
(1)前記凝集体は、空孔率が10%以下であること;
(2)前記凝集体は、押込み硬さが100Mpa以上であること。
【請求項10】
請求項1に記載の負極材料の製造方法であって、
少なくとも2種の予備混合物
を製造する工程であって、各種の予備混合物がいずれも活物質、
添加剤、第1の炭素源及び溶媒を含
む工程と、
前記少なくとも2種の予備混合物を混合して、前駆体又は凝集体を製造する工程と、
前記前駆体又は前記凝集体を炭素被覆処理する工程とを含み、
前記活物質は、Li、Na、K、Sn、Ge、Si、SiO
x
(0<x<2)、Fe、Mg、Ti、Zn、Ni、P及びCuからなる群より選択される少なくとも1つを含み、
前記添加剤は、界面活性剤とカップリング剤からなる群より選択される少なくとも1つを含み、
前記界面活性剤は、n-オクタデカン酸、オレイン酸、ラウリン酸、アクリル酸、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、n-エイコサン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ウンデシル酸、セチルトリメチルアンモニウムブロミド及びポリビニルピロリドンからなる群より選択される少なくとも1つを含み、
前記カップリング剤は、シランカップリング剤及び/又はチタネートカップリング剤を含み、
前記シランカップリング剤は、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、及び/又はγ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを含み、
前記少なくとも2種の予備混合物は、第1の予備混合物と第2の予備混合物を含み、
前記第1の予備混合物中の前記活物質、前記添加剤、前記第1の炭素源の質量比は、(80~120):(1~20):(1~20)であり、
前記第2の予備混合物中の前記活物質、前記添加剤、前記第1の炭素源の質量比は、(40~80):(1~10):(1~30)であり、
前記第1の予備混合物中の活物質の含有量(質量%)は前記第2の予備混合物中の活物質の含有量(質量%)よりも大きく、
前記少なくとも2種の予備混合物を混合する際に、前記第2の予備混合物に対する前記第1の予備混合物の流速比は、(1~15):1であり、
前記炭素被覆処理する工程は、前記前駆体又は前記凝集体と第2の炭素源を混合し、炭化処理することを含み、
前記第1の炭素源は、スクロース、グルコース、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアニリン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フルフラール樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレンオキシド、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル及びアスファルトから選ばれる少なくとも1つを含み、
前記第2の炭素源は、スクロース、グルコース、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアニリン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フルフラール樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレンオキシド、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル及びアスファルトから選ばれる少なくとも1つを含み、
前記第2の炭素源に対する前記前駆体又は前記凝集体の質量比は、(30~100):(10~70)であり、
前記炭化処理は、温度が600℃~1200℃、時間が1h~15hであることを特徴とする
、負極材料の製造方法。
【請求項11】
請求項1~
9のいずれか一項に記載の負極材
料を含むことを特徴とするリチウムイオン電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2021年6月30日付で中国専利局に提出した、出願番号が2021107367596、発明の名称が「負極材料及びその製造方法、並びにリチウムイオン電池」である中国特許出願に基づく優先権を主張し、その全ての内容を本明細書に援用する。
【0002】
本開示は、リチウムイオン電池用負極材料の技術分野に関し、負極材料及びその製造方法、並びにリチウムイオン電池に関する。
【背景技術】
【0003】
従来のリチウムイオン電池は、エネルギー密度が高く、出力が高く、サイクル寿命が長く、環境汚染が少ない等の利点を持つため、電気自動車及び消費者向け電子製品(CE)に幅広く適用されている。電池のエネルギー密度を高くするために、シリコン系負極材料などの負極材料への活物質の添加の研究及び開発が成熟しつつある。しかし、活物質を添加した負極材料は、リチウムを放出・吸蔵する際の体積膨張が大きくなり、特に、シリコン系負極材料はリチウムを放出・吸蔵する際の体積膨張が300%以上に達することができ、充放電中に粉化し、集電体から脱落してしまい、結果、負極活物質と集電体との間に電気的接触が失われ、それにより負極材料の電気化学特性が悪くなり、例えば容量が減衰し、サイクル安定性が低下し、結果、このような負極材料は、商品化されにくい。
【0004】
したがって、負極材料の体積膨張を抑制し、負極材料のサイクル安定性を向上することは、至急に解決する課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、活物質と炭素材料とを含む凝集体を含み、前記凝集体中の前記活物質の含有量(質量%)が前記凝集体の中心から表面に向かって漸減する負極材料を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の技術案において、負極材料は、活物質と炭素材料とを含む凝集体を含み、凝集体のコア中心に位置する活物質成分の割合が多く、炭素材料成分の割合が少なく、コア中心から離れた活物質成分の割合が次第に減少し、炭素材料成分の割合が増加する。このような活物質の濃度変化によって、高濃度の活物質の負極材料粒子の中心位置での集中、活物質の膨張を凝集体の内部に留まるようにすること、活物質の膨張効果による表面の炭素層への破壊の回避、負極材料表面のSEI膜の安定性の向上、良好な界面安定性の付与、活物質を添加した負極材料の体積膨張率の低下に寄与し、それにより負極材料のサイクル安定性を向上し、電池のサイクル特性を向上する。
【0007】
いくつかの実施形態において、前記炭素材料に対する前記活物質の質量比は、前記凝集体の中心から表面に向かって漸減する。
いくつかの実施形態において、前記炭素材料に対する前記活物質の合計質量比は、0.5~8である。
いくつかの実施形態において、前記活物質の合計含有量は、凝集体の全量を100質量%とすると、5~90質量%である。
いくつかの実施形態において、前記活物質の合計含有量は、凝集体の全量を100質量%とすると、5~80質量%である。
いくつかの実施形態において、前記活物質の前記凝集体表面での含有量は、2~55質量%である。
いくつかの実施形態において、前記凝集体中の前記炭素材料に対する前記活物質の質量比は、最大値をE、最小値をFとすると、E-F≧0.5を満たす。
【0008】
いくつかの実施形態において、前記凝集体のSEM断面の表面から中心までのいずれかの領域に対して分光装置でEDS点分析のテストを行い、前記炭素材料に対する前記活物質の質量比をTとし、領域内でのテスト回数をN(N≧10)とし、N回のテストの結果のうちTの最小値をAとし、N回のテストの結果のうちTの最大値をBとし、前記凝集体表面における任意の一点から中心までの距離をL0μmとし、テスト領域の中心から前記凝集体の中心までの距離をL1μmとし、前記テスト領域の中心位置のT値をT0とすると、T0は下記の関係を満たす。
T0≦B-(B-A)L1/L0
【0009】
いくつかの実施形態において、前記活物質は、Li、Na、K、Sn、Ge、Si、SiOx(0<x<2)、Fe、Mg、Ti、Zn、Al、Ni、P及びCuからなる群より選択される少なくとも1つを含む。
いくつかの実施形態において、前記活物質は、メジアン径が1~300nmである。
いくつかの実施形態において、前記炭素材料は、黒鉛系炭素材料及び/又は非黒鉛系炭素材料を含む。
いくつかの実施形態において、前記黒鉛系炭素材料は、天然黒鉛及び/又は人造黒鉛を含む。
いくつかの実施形態において、前記人造黒鉛は、メソカーボンマイクロビーズを含む。
【0010】
いくつかの実施形態において、前記非黒鉛系炭素材料は、非晶質炭素、結晶質炭素、ハードカーボン及びソフトカーボンからなる群より選択される少なくとも1つを含む。
いくつかの実施形態において、前記凝集体は、金属酸化物及び導電性向上剤からなる群より選択される少なくとも1つをさらに含む。
いくつかの実施形態において、前記金属酸化物は、一般式:MxOy(式中、0.2≦y/x≦3;Mは、Sn、Ge、Fe、Cu、Ti、Na、Mg、Al、Ca及びZnからなる群から選ばれる少なくとも1つを含む。)で示される。
いくつかの実施形態において、前記金属酸化物は、フレーク状及び/又は短冊状である。
いくつかの実施形態において、前記金属酸化物は、アスペクト比が2よりも大きい。
いくつかの実施形態において、前記導電性向上剤は、導電率が100S/m~108S/mである。
いくつかの実施形態において、前記導電性向上剤は、フレーク状及び/又は短冊状である。
いくつかの実施形態において、前記導電性向上剤は、アスペクト比が2~5000である。
いくつかの実施形態において、前記導電性向上剤は、合金材料及び導電性カーボンからなる群より選択される少なくとも1つを含む。
【0011】
いくつかの実施形態において、前記合金材料は、亜鉛合金、アルミニウム合金、銅合金、シリコン合金、ニッケル合金及びチタン合金からなる群より選択される少なくとも1つをさらに含む。
いくつかの実施形態では、前記導電性カーボンは、黒鉛繊維、カーボンナノチューブ、グラファイトシート、導電性炭素繊維及びグラフェンからなる群より選択される1つを含む。
いくつかの実施形態では、前記金属酸化物と活物質との質量比は、1~20:100である。
いくつかの実施形態では、前記導電性向上剤と活物質との質量比は、0.01~20:100である。
いくつかの実施形態において、前記負極材料は、前記凝集体の表面の少なくとも一部を被覆する炭素層をさらに含む。
いくつかの実施形態において、前記炭素層の材料は、黒鉛及び/又は非晶質炭素を含む。
いくつかの実施形態において、前記炭素層の厚さは、10~2000nmである。
いくつかの実施形態において、前記負極材料は、メジアン径が0.5~30μmである。
いくつかの実施形態において、前記負極材料は、比表面積が10m2/g以下である。
いくつかの実施形態において、前記凝集体は、空孔率が10%以下である。
いくつかの実施形態において、前記凝集体は、押込み硬さが100Mpa以上である。
いくつかの実施形態において、前記凝集体は、密度が下記の関係を満たす。
(ρ2-ρ1)/ρ2≦5%
(ここで、ρ1は凝集体の測定密度であり、ρ2は凝集体の理論密度であり、前記ρ2は凝集体中の各成分の含有量(質量%)に各成分の理論密度を乗算した値の和である。)
【0012】
本開示により、
少なくとも2種の予備混合物を混合して、前駆体を製造する工程であって、各種の予備混合物がいずれも少なくとも活物質、第1の炭素源及び溶媒を含み、前記少なくとも2種の予備混合物のうち、少なくとも2種が異なる前記活物質の含有量(質量%)が異なる工程と、
前記前駆体を熱処理して前記第1の炭素源を炭化させ、凝集体を得る工程とを含む、負極材料の製造方法も提供する。
【0013】
上記技術案において、本開示に係る製造方法では、活物質、炭素源及び溶媒を異なる配合にしたがって混合した複数の予備混合物を混合し、熱処理して凝集体を得、該凝集体が、粒子表面から粒子中心に向けて、活物質成分の割合が徐々に多くなる。これは、負極材料の膨張率の抑制に寄与し、さらに製造過程は簡単で制御可能である。
【0014】
いくつかの実施形態において、前記少なくとも2種の予備混合物のうち、前記活物質の含有量(質量%)の最大値と最小値との差が20%~90%である。
いくつかの実施形態において、前記活物質は、Li、Na、K、Sn、Ge、Si、SiOx(0<x<2)、Fe、Mg、Ti、Zn、Al、P及びCuからなる群より選択される少なくとも1つを含む。
いくつかの実施形態において、前記第1の炭素源は、スクロース、グルコース、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアニリン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フルフラール樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレンオキシド、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル及びアスファルトからなる群から選ばれる少なくとも1つを含む。
【0015】
いくつかの実施形態において、前記溶媒は、有機溶媒を含む。
いくつかの実施形態において、前記有機溶媒は、メタノール、エタノール、エチレングリコール、プロパノール、イソプロパノール、グリセリン、n-ブタノール、イソブタノール及びペンタノールからなる群から選ばれる少なくとも1つを含む。
いくつかの実施形態において、少なくとも一種の前記予備混合物は、添加剤、金属酸化物及び導電性向上剤からなる群より選択される少なくとも1つをさらに含む。
いくつかの実施形態において、前記添加剤は、界面活性剤とカップリング剤からなる群より選択される少なくとも1つを含む。
いくつかの実施形態において、前記界面活性剤は、n-オクタデカン酸、ラウリン酸、ポリアクリル酸、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、n-エイコサン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ウンデシル酸、セチルトリメチルアンモニウムブロミド及びポリビニルピロリドンからなる群より選択される少なくとも1つを含む。
いくつかの実施形態において、前記カップリング剤は、シランカップリング剤及び/又はチタネートカップリング剤を含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、前記シランカップリング剤は、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、及び/又はγ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを含む。
いくつかの実施形態において、前記金属酸化物は、一般式:MxOy(式中、0.2≦y/x≦3;Mは、Sn、Ge、Fe、Cu、Ti、Na、Mg、Al、Ca及びZnからなる群から選ばれる少なくとも1つを含む。)で示される。
いくつかの実施形態において、前記金属酸化物は、フレーク状及び/又は短冊状である。
いくつかの実施形態において、前記金属酸化物は、アスペクト比が2よりも大きい。
いくつかの実施形態では、前記金属酸化物と活物質との質量比は、1~20:100である。
いくつかの実施形態では、前記導電性向上剤と活物質との質量比は、0.01~20である。
いくつかの実施形態において、前記導電性向上剤は、導電率が100S/m~108S/mである。
【0017】
いくつかの実施形態において、前記導電性向上剤は、フレーク状及び/又は短冊状である。
いくつかの実施形態において、前記導電性向上剤は、アスペクト比が2~5000である。
いくつかの実施形態において、前記導電性向上剤は、合金材料及び導電性カーボンからなる群より選択される少なくとも1つをさらに含む。
いくつかの実施形態において、前記合金材料は、亜鉛合金、アルミニウム合金、銅合金、シリコン合金、ニッケル合金及びチタン合金からなる群より選択される少なくとも1つをさらに含む。
いくつかの実施形態では、前記導電性カーボンは、黒鉛繊維、カーボンナノチューブ、グラファイトシート、導電性炭素繊維及びグラフェンからなる群より選択される少なくとも1つを含む。
【0018】
いくつかの実施形態において、前記前駆体の製造は、混合した予備混合物に乾燥処理及び分散処理からなる群より選択される少なくとも1つを行う工程をさらに含む。
いくつかの実施形態において、前記乾燥処理は、温度が30℃~400℃、時間が1h~15hである。
いくつかの実施形態において、前記分散処理は、機械的攪拌、超音波分散及び研磨分散からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む。
いくつかの実施形態において、前記前駆体の製造は、混合した予備混合物を遠心処理する工程をさらに含む。
いくつかの実施形態において、前記遠心処理は、回転速度が100rpm~3000rpm、時間が10min~60minである。
いくつかの実施形態では、前記少なくとも2種の予備混合物は、第1の予備混合物と第2の予備混合物を含む。
いくつかの実施形態において、前記第1の予備混合物中の前記活物質と前記第1の炭素源との質量比は、(80~120):(1~20)である。
いくつかの実施形態において、前記第2の予備混合物に中の前記活物質と前記第1の炭素源との質量比は、(40~80):(1~30)である。
【0019】
いくつかの実施形態では、前記第1の予備混合物中の活物質の含有量(質量%)は前記第2の予備混合物中の活物質の含有量(質量%)よりも大きいか又は小さい。
いくつかの実施形態において、前記前駆体を製造する工程は、前記第1の予備混合物と第2の予備混合物を混合し、前記前駆体を得ることを含む。
いくつかの実施形態において、前記前駆体を製造する工程は、具体的に、第1の予備混合物を乾燥分散し、分散した第1の予備混合物を第2の予備混合物と混合して混合物を得、混合物を乾燥した後に第3の予備混合物と混合し、前駆体を製造することである。
いくつかの実施形態において、前記第1の予備混合物中の前記活物質と前記添加剤との質量比は、(80~120):(1~20)である。
いくつかの実施形態において、前記第2の予備混合物に中の前記活物質と前記添加剤との質量比は、(40~80):(1~10)である。
いくつかの実施形態では、前記少なくとも2種の予備混合物を混合して前駆体を製造工程は、少なくとも3種の予備混合物を混合して、前記前駆体を製造することを含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、前記少なくとも3種の予備混合物を混合する工程は、各種の前記予備混合物を、活物質の予備混合物中の含有量(質量%)の高い順に順次混合することを含む。
いくつかの実施形態では、前記少なくとも2種の予備混合物は、第3の予備混合物をさらに含む。
いくつかの実施形態では、前記活物質、前記第1の炭素源を質量比(10~40):(10~40)で溶媒と混合し、前記第3の予備混合物を製造する。
いくつかの実施形態では、前記第2の予備混合物中の活物質の含有量(質量%)は前記第3の予備混合物中の活物質の含有量(質量%)よりも大きい。
いくつかの実施形態において、前記前駆体を製造する工程は、前記第1の予備混合物を第2の予備混合物、第3の予備混合物と順に混合し、前記前駆体を得ることを含む。
いくつかの実施形態において、前記前駆体を製造する工程は、具体的に、第1の予備混合物を乾燥分散し、分散した第1の予備混合物を第2の予備混合物と混合して混合物を得、混合物を乾燥した後に第3の予備混合物と混合し、前駆体を製造することである。
【0021】
いくつかの実施形態において、前記第3の予備混合物中の前記活物質と前記添加剤との質量比は、(10~40):(1~10)である。
いくつかの実施形態において、前記第1の予備混合物と第2の予備混合物を混合する際に、前記第1の予備混合物と前記第2の予備混合物の流速比は、(1~15):1である。
いくつかの実施形態において、前記第1の予備混合物と第2の予備混合物を混合した混合物を、第3の予備混合物と混合する際に、前記混合物と第3の予備混合物の流速比は、(1~15):1である。
いくつかの実施形態において、前記前駆体を熱処理する前に、前記凝集体の空孔率が10%以下、押込み硬さが100Mpa以上となるように、前記前駆体又は前記予備混合物を緻密化処理することをさらに含む。
いくつかの実施形態において、緻密化処理は、融合処理、混練押出処理、圧縮成形処理、静水圧プレス処理及び浸漬処理からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む。
【0022】
いくつかの実施形態において、前記融合処理は、メカノフュージョンである。
いくつかの実施形態において、前記メカノフュージョンに使用する融合機は、回転数が500r/min~3000r/minである。
いくつかの実施形態において、前記メカノフュージョンに使用する融合機は、ブレードギャップ幅が0.01cm~0.5cmである。
いくつかの実施形態において、前記メカノフュージョンは、時間が少なくとも0.5hである。
いくつかの実施形態において、前記前駆体を熱処理する前に、乾燥処理をさらに含む。
いくつかの実施形態において、前記乾燥処理は、温度が30℃~400℃、時間が1h~15hである。
いくつかの実施形態において、前記熱処理は、温度が600℃~1200℃、時間が1h~15hである。
いくつかの実施形態において、前記熱処理中に保護ガスを通気している。
いくつかの実施形態において、前記保護ガスは、窒素ガス、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス及びクリプトンガスからなる群から選ばれる少なくとも1つを含む。
【0023】
いくつかの実施形態において、前記方法は、前記凝集体を炭素被覆処理する工程をさらに含む。
いくつかの実施形態において、前記炭素被覆処理する工程は、前記凝集体と第2の炭素源を混合し、熱処理することを含む。
いくつかの実施形態において、前記前駆体と前記第2の炭素源との質量比は、(30~100):(10~70)である。
いくつかの実施形態において、前記炭素被覆処理する工程は、前記凝集体と第2の炭素源を混合し、炭化処理することを含む。
いくつかの実施形態において、前記第2の炭素源は、スクロース、グルコース、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアニリン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フルフラール樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレンオキシド、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル及びアスファルトからなる群から選ばれる少なくとも1つを含む。
【0024】
いくつかの実施形態において、前記凝集体と前記第2の炭素源との質量比は、(30~100):(10~70)である。
いくつかの実施形態において、前記炭化処理は、温度が600℃~1200℃、時間が1h~15hである。
本開示により、活物質と炭素材料とを含む凝集体を含む負極材料であって、前記炭素材料が前記活物質の間に分散されており、且つ、凝集体の全量を100質量%とすると、前記凝集体表面の前記活物質の含有量(質量%)が前記凝集体内部の前記活物質の含有量(質量%)よりも小さい負極材料をさらに提供する。
【0025】
本開示により、前記負極材料、又は前記製造方法で製造される負極材料を含むリチウムイオン電池をさらに提供する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本開示実施例に係る負極材料の構造を示す図である。
【
図2】本開示実施例に係る負極材料の製造方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に述べられるのは、本開示実施例の好ましい実施形態である。なお、当業者にとって、本開示実施例の原理から逸脱せず、いくつかの改良及び変更を実行することができ、これらの改良及び変更も本開示実施例の保護範囲内にあると認識される。
【0028】
一実施形態に係る負極材料は、
図1に示すように、活物質と炭素材料とを含む凝集体10を有し、前記凝集体中の前記活物質の含有量(質量%)が前記凝集体の中心から表面に向かって漸減する。
凝集体の中心から表面に向かって、凝集体中の活物質の含有量(質量%)は、以下の方法で測定する。
凝集体のSEM断面の中心から表面に向かって、分光装置でEDS点分析を行い、凝集体中の異なる箇所の活物質の含有量(質量%)を測定する。
本実施形態に係る負極材料は、活物質と炭素材料とを含む凝集体を含み、凝集体のコア中心に位置する活物質の粒子数が多く、コア中心から離れた活物質の粒子数が次第に減少し、すなわち、凝集体中の活物質の含有量(質量%)が凝集体の中心から表面に向かって漸減し、このような構造によって、活物質の膨張を凝集体の内部に留まるように制御すること、活物質の膨張効果による表面の炭素層への破壊の回避、負極材料表面のSEI膜の安定性の向上、良好な表面界面安定性の付与、活物質を添加した負極材料の膨張率の低下に寄与し、それにより負極材料のサイクル安定性を向上し、電池のサイクル特性を向上する。
【0029】
具体的には、凝集体において、活物質は、炭素材料に分布し、好ましくは、一定の濃度勾配で炭素材料に分散する。
いくつかの実施形態において、活物質の合計含有量は、凝集体の全量を100質量%とすると、5~90質量%である。
いくつかの実施形態において、活物質の合計含有量は、凝集体の全量を100質量%とすると、5質量%~80質量%であり、具体的に、活物質の含有量(質量%)は、5%、7%、10%、20%、25%、35%、40%、50%、55%、60%、70%、75%、80%等であってもよく、もちろん、上記範囲内の他の値であってもよく、これらに限定されない。
いくつかの実施形態において、活物質と炭素材料との質量比は、凝集体の中心から表面に向かって漸減する。
【0030】
凝集体中の活物質の含有量(質量%)の測定方法で凝集中の炭素材料の含有量(質量%)を測定し、両者の比は、活物質と炭素材料の質量比である。
この凝集体の構造は、凝集体のコア中心に位置する活物質の粒子数が多く、炭素材料成分が少なく、コア中心から離れた活物質の粒子数が次第に減少し、炭素材料成分が増加し、すなわち、活物質と炭素材料の質量比が凝集体の中心から表面に向かって漸減し、このような構造によって、活物質の膨張を凝集体の内部に留まるように制御すること、活物質の膨張効果による表面層への破壊の回避、負極材料表面のSEI膜の安定性の向上、良好な表面界面安定性の付与、活物質を添加した負極材料の膨張率の低下により寄与し、それにより負極材料のサイクル安定性を向上し、電池のサイクル特性を向上する。
【0031】
いくつかの実施形態において、活物質の凝集体表面での含有量は、2質量%~55質量%である。具体的に、活物質の凝集体表面での含有量は、2質量%、5質量%、7.5質量%、10質量%、12.5質量%、15質量%、20質量%、22.5質量%、25質量%、27.5質量%、30質量%、35質量%、40質量%、45質量%、50質量%又は55質量%等であってもよく、もちろん、上記範囲内の他の値であってもよく、これらに限定されない。
活物質の凝集体表面での含有量(質量%)は、定義が、活物質の凝集体表面の任意の一点での含有量(質量%)であり、測定方法が、凝集体のSEM断面のエッジの任意の一点で、分光装置でEDS点分析することで、活物質の凝集体表面での含有量(質量%)を測定する。
【0032】
いくつかの実施形態において、凝集体中の活物質と炭素材料との質量比は、最大値をE、最小値をFとすると、E-F≧0.5を満たす。このような範囲で形成した凝集体の構造によって、活物質の膨張を凝集体の内部に留まるようにすること、活物質の膨張効果による表面層への破壊の回避、負極材料表面のSEI膜の安定性の向上、良好な表面界面安定性の付与、活物質を添加した負極材料の膨張率の低下により寄与し、それにより負極材料のサイクル安定性を向上し、電池のサイクル特性を向上する。好ましくは、E-F≧2である。
好ましくは、E-Fは、0.5、0.8、1、1.5、2、2.1、2.3、2.5、2.8、3.0、3.5、4.0、5.5等であってもよく、これに限定されない。
【0033】
いくつかの実施形態において、前記炭素材料に対する前記活物質の合計質量比は、0.5~8である。この実施形態において、前記炭素材料に対する前記活物質の合計質量比とは、前記凝集体中の前記炭素材料の総質量に対する前記活物質の総質量の比である。具体的に、活物質と炭素材料との合計質量比は、0.5、1、1.5、2、2.6、3、3.9、4、4.8、5、5.3、6、6.7、7.2又は8等であってもよく、もちろん、上記範囲内の他の値であってもよく、これらに限定されない。
【0034】
いくつかの実施形態において、
図1を参照し続け、凝集体のSEM断面の表面から中心までの各領域に対して分光装置でEDS点分析のテストを行い、前記炭素材料に対する前記活物質の質量比をTとし、領域内でのテスト回数をN(N≧10)とし、N回のテストの結果のうちT値の最小値をAとし、N(N≧10)回のテストの結果のうちT値の最大値をBとし、凝集体表面から中心までの距離をL
0μmとし、テスト領域の中心から凝集体の中心までの距離をL
1μmとし、テスト領域の中心位置のT値をT
0とすると、T
0≦B-(B-A)L
1/L
0の関係を満たす。この関係を満たす凝集体材料は、内部がより緻密化し、応力的耐圧強度がより強く、より安定した構造を有し、かつ活物質を凝集体の内部コア位置によく凝集し、充放電中の負極材料の膨張を抑制する。
いくつかの実施形態では、活物質とは、リチウムと反応し、リチウムを放出・吸蔵可能な物質、すなわち負極材料の容量を向上可能な材料である。
【0035】
具体的に、活物質は、Li、Na、K、Sn、Ge、Si、SiOx(0<x<2)、Fe、Mg、Ti、Zn、Al、P及びCuからなる群より選択される少なくとも1つを含む。
活物質は、金属単体であってもよく、いくつかの実施形態において、活物質は、具体的に、Si粒子、Sn粒子、Ge粒子、Al粒子であってもよく、別の実施形態において、活物質は、ケイ素リチウム合金、ケイ素マグネシウム合金などであってもよく、なお、場合によっては、活物質は、単体粒子又はその合金、又は異なる活物質材料の組成物を含む。
【0036】
いくつかの実施形態において、活物質は、メジアン径が1nm~300nmである。具体的に、1nm、5nm、10nm、15nm、20nm、30nm、40nm、50nm、100nm、200nm又は300nm等であってもよく、もちろん、上記範囲内の他の値であってもよく、これらに限定されない。ナノオーダーの活物質は、表面エネルギーが高く、充放電中に凝集しやすく、粒子の構造性が高く、活物質体積の膨張を抑制することができる。しかし、ナノオーダーの活物質は、表面エネルギーが大きいことから、充放電中に凝集しやすい。活物質は、粒子径が小さすぎ、製造コストが高い。好ましくは、活物質は、メジアン径が1nm~300nmであり、より好ましくは1nm~100nmである。
【0037】
いくつかの実施形態において、炭素材料は、黒鉛系炭素材料及び/又は非黒鉛系炭素材料を含む。
いくつかの実施形態において、黒鉛系炭素材料は、天然黒鉛、及び/又はメソカーボンマイクロビーズを含む人造黒鉛を含み、前記非黒鉛系炭素材料は、非晶質炭素、結晶質炭素、ハードカーボン及びソフトカーボンからなる群より選択される少なくとも1つを含む。
具体的には、本開示に係る活物質を凝集体の内部に集中することにより材料の膨張を抑制する技術案は、異なる炭素負極材料に適用することができる。
【0038】
いくつかの実施形態において、凝集体は、金属酸化物及び導電性向上剤からなる群より選択される少なくとも1つをさらに含む。
いくつかの実施形態において、金属酸化物は、一般式:MxOy(式中、0.2≦y/x≦3;Mは、Sn、Ge、Fe、Cu、Ti、Na、Mg、Al、Ca及びZnからなる群から選ばれる少なくとも1つを含む。)で示される。具体的に、金属酸化物は、GeO2、SnO2、ZnO、TiO2、Fe3O4、MgO、CuO等であってもよい。選択された金属酸化物は、リチウムを吸蔵中に体積膨張変化率が活物質よりも低い。そのため、金属酸化物と活物質を複合させることにより、活物質の膨張を低減し、長サイクル特性を向上させることができる。
【0039】
いくつかの実施形態において、金属酸化物は、フレーク状及び/又は短冊状である。
いくつかの実施形態において、金属酸化物はアスペクト比が2よりも大きい。なお、金属酸化物が短冊状である場合、アスペクト比とは、具体的に、金属酸化物の長さと粒子径の比であり、ここで、粒子径は短冊状の金属酸化物の長さ方向に正交する断面周縁上の両点の間の最大直線距離を指し、金属酸化物がフレーク状である場合、アスペクト比とは、具体的に、フレーク状の金属酸化物の長さと幅の比である。具体的に、金属酸化物のアスペクト比は、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、12、15、17、18、22等であってもよく、もちろん、上記範囲内の他の値であってもよく、これらに限定されない。金属酸化物のアスペクト比が2よりも大きいと、金属酸化物と活物質との物理的結合力が向上することにより、活物質の体積膨張の抑制及び緩和作用を向上させ、負極のサイクル特性を向上させることができる。
【0040】
いくつかの実施形態において、金属酸化物と活物質との質量比は、1~20:100である。具体的に、金属酸化物と活物質との質量比は、1:100、1.5:100、2:100、3:100、4.5:100、5:100、6:100、7:100、8:100、9:100などであってもよい。もちろん、上記範囲内の他の値であってもよく、これらに限定されない。
凝集体では、金属酸化物と活物質が凝集体に分布し、活物質と金属酸化物との間に炭素材料が充填される。
【0041】
いくつかの実施形態において、導電性向上剤は凝集体に添加され、この導電性向上剤は、キャリアの転送経路をより多く提供することができ、さらにキャリアの材料内部での輸送を補強する一方、優れた機械的特性を有し、構造の支持体として材料の安定性を補強することができる。
いくつかの実施形態では、導電性向上剤と活物質との質量比は、0.01~20:100である。具体的には0.01:100、1:100、2.5:100、3:100、5:100、7.5:100、10:100、12.5:100、15:100、20:100等であってもよい。もちろん、上記範囲内の他の値であってもよく、これらに限定されない。
【0042】
いくつかの実施形態において、導電性向上剤は、導電率が100S/m~108S/mである。具体的に、導電性向上剤は、導電率が1S/m、10S/m、100S/m、103S/m、104S/m、105S/m、108S/m等であってもよい。
いくつかの実施形態において、導電性向上剤は、フレーク状及び/又は短冊状である。
【0043】
いくつかの実施形態において、導電性向上剤はアスペクト比が2~5000である。なお、導電性向上剤が短冊状である場合、アスペクト比とは、具体的に、導電性向上剤の長さと粒子径の比であり、ここで、粒子径は短冊状の導電性向上剤の長さ方向に正交する断面周縁上の両点の間の最大直線距離を指し、導電性向上剤がフレーク状である場合、アスペクト比とは、具体的に、フレーク状の導電性向上剤の長さと幅の比である。具体的に、導電性向上剤のアスペクト比は、2、30、46、150、360、670、800、900、1500、2000、3000、4000、5000等であってもよく、もちろん、上記範囲内の他の値であってもよく、これらに限定されない。アスペクト比がこの範囲内である導電性向上剤は、優れた機械的特性を有し、構造の支持体として材料の安定性を補強することができ、それにより活物質の体積膨張の抑制及び緩衝作用を向上させ、負極のサイクル特性を向上させる。
【0044】
具体的に、導電性向上剤は、合金材料及び/又は導電性カーボンを含む。
いくつかの実施形態において、前記合金材料は、亜鉛合金、アルミニウム合金、銅合金、シリコン合金、ニッケル合金及びチタン合金からなる群より選択される少なくとも1つをさらに含む。
いくつかの実施形態では、前記導電性カーボンは、黒鉛繊維、カーボンナノチューブ、グラファイトシート、導電性炭素繊維及びグラフェンからなる群より選択される少なくとも1つを含む。
【0045】
いくつかの実施形態において、凝集体は、空孔率が10%以下、押込み硬さが100Mpa以上である。
この場合、凝集体の空孔率が低く、即ち負極材料の緻密度が高く、複合材料のエネルギー密度の向上に寄与する一方で、高緻密度の材料の表層が破壊されても、電解液が凝集体の内部に浸透しにくく、内部の活物質粒子の保護に寄与し、電解液が活物質と接触する確率を減少させ、これにより安定した固体電解質膜の形成に寄与し、さらに高緻密化の凝集体は高い押込み硬さを有し、膨張による応力効果を解消し、負極材料の構造安定性を向上させることができ、負極材料の体積膨張を効果的に抑制し、その膨張率を低下させ、電池のサイクル特性を向上させることができる。
【0046】
いくつかの実施形態において、凝集体は、空孔率が10%以下であり、具体的に、10%、9%、9.5%、8%、8.5%、7.5%、7%、6.5%、6%又は5%等であってもよく、もちろん、上記範囲内の他の値であってもよく、これらに限定されない。凝集体は、空孔率が低く、即ち緻密度が高いと、安定した固体電解質膜を形成し、電解液と活物質との接触を減少させることに寄与することが理解される。好ましくは、前記凝集体の空孔率は5%以下であり、より好ましくは、3%以下である。
凝集体の押込み硬さは100Mpa以上であり、具体的に、100Mpa、250Mpa、300Mpa、450Mpa、500Mpa、750Mpa、900Mpa、1150Mpa、1200Mpa又は1250Mpa等であってもよく、もちろん、上記範囲内の他の値であってもよく、これらに限定されない。負極材料粒子は、強い剛性を有するから、粒子構造の安定性が高く、一定の体積膨張応力に抵抗することができ、これにより膨張を低減し、電池のサイクル安定性を向上させる。好ましくは、凝集体の押込み硬さは200Mpa以上であり、より好ましくは、400Mpa以上である。
【0047】
いくつかの実施形態において、前記凝集体は、密度が下記の関係を満たす。凝集体の測定密度と凝集体の理論密度との差が5%以下である。凝集体粒子の密度と理論密度とが近く、差が小さいほど、粒子内部の孔隙が少なく、緻密になり、それにより、安定した固体電解質膜を形成し、電解液と活物質との接触を減少させることに寄与する。
具体的に、凝集体の密度は、以下の式を満足している。
(ρ2-ρ1)/ρ2≦5%
(ここで、ρ1は凝集体の測定密度であり、ρ2は凝集体の理論密度であり、
前記ρ2は凝集体中の各成分の含有量(質量%)に各成分の理論密度を乗算した値の和である。)
【0048】
以下の方法で凝集体の測定密度ρ1を求める。
比重瓶を質量m秤取し、蒸留水を満たし、この時の瓶を質量m1秤取し、そして瓶を洗浄し、乾燥し、一定量の凝集体を比重瓶に添加し、この時の全体質量をm2と記録し、そして蒸留水を添加し、比重瓶を満たし、質量m3秤取し、比重瓶の容積V1をV1=(m1-m)/ρ水(ρ水は蒸留水の密度である。)で求め、活性物質の体積V2をV2=V1-(m3-m2)/ρ水で求め、活性物質の測定密度ρ1をρ1=(m2-m)/V2で求める。
【0049】
具体例において、凝集体が活物質及び炭素材料を含む場合、ρ2を以下の式で求める。
ρ2=凝集体中の活物質の含有量(質量%)×活性物質の理論密度+凝集体中の炭素材料の含有量(質量%)×炭素材料の理論密度
凝集体が活物質、金属酸化物及び炭素材料を含む場合、ρ2を以下の式で求める。
ρ2=凝集体中の活物質の含有量(質量%)×活性物質の理論密度+凝集体中の金属酸化物の含有量(質量%)×金属酸化物の理論密度+凝集体中の炭素材料の含有量(質量%)×炭素材料の理論密度
凝集体が活物質、金属酸化物、導電性向上剤及び炭素材料を含む場合、ρ2を以下の式で求める。
ρ2=凝集体中の活物質の含有量(質量%)×活性物質の理論密度+凝集体中の金属酸化物の含有量(質量%)×金属酸化物の理論密度+凝集体中の導電性向上剤の含有量(質量%)×導電性向上剤の理論密度+凝集体中の炭素材料の含有量(質量%)×炭素材料の理論密度
【0050】
さらに、負極材料は、前記凝集体10の表面の少なくとも一部を被覆する炭素層20をさらに含み、好ましくは、炭素層は、凝集体の表面に分布し、炭素層は非晶質炭素を含む。
【0051】
いくつかの実施形態において、炭素層は、厚さが10nm~2000nmである。凝集体の表面を被覆する炭素層は、活物質と電解液との接触を低減し、パッシベーション膜の生成を低減し、電池の可逆容量を向上させることができることが理解される。
具体的に、炭素層の厚さは、10nm、50nm、80nm、100nm、150nm、200nm、250nm、300nm、350nm、400nm、450nm、600nm、1000nm、1500nm又は2000nmなどであってもよく、もちろん、上記範囲内の他の値であってもよく、これらに限定されない。炭素層が厚すぎると、リチウムイオンの輸送効率が低下し、材料の高レートでの充放電に不利であり、負極材料の総合性能が低下し、炭素層が薄すぎると、負極材料の導電性の増加に不利であり、かつ材料の体積膨張への抑制性能が弱く、これにより長期サイクル性能が悪化する。好ましくは、炭素層の厚さは50nm~800nmであり、より好ましくは、炭素層の厚さは100nm~500nmである。
【0052】
いくつかの実施形態において、負極材料のメジアン径は、0.5μm~30μmである。具体的に、0.5μm、1μm、5μm、8μm、10μm、13μm、15μm、18μm、20μm、25μm又は30μm等であってもよく、もちろん、上記範囲内の他の値であってもよく、これらに限定されない。負極材料の平均粒径を上記範囲内に制御することにより、負極材料のサイクル特性の向上に寄与することが理解される。
【0053】
いくつかの実施形態において、負極材料の比表面積は、10m2/g以下であり、具体的に、10m2/g、8m2/g、7m2/g、5m2/g、3m2/g、2m2/g、1m2/g又は0.5m2/g等であってもよく、もちろん、上記範囲内の他の値であってもよく、これらに限定されない。負極材料の比表面積を上記範囲内に制御することにより、体積膨張の抑制に寄与し、負極材料のサイクル特性の向上に寄与することが理解される。比表面積をMicromeritics社製の比表面積測定装置で測定する。
【0054】
本明細書における前記メジアン径は、平均粒径を指し、その物理的意味は、粒子の累積粒度分布パーセントが50%に達する時に対応する粒径であり、マルバーン粒度計により測定される。マルバーン粒度計は、粒子による光の散乱現象を利用し、散乱光エネルギーの分布に基づいて被測定粒子の粒径分布を総合的に換算される。
【0055】
なお、上記各実施形態の負極材料は、互いに矛盾しない限り、任意に組み合わせることが可能であり、例えば、比表面積と凝集体の空孔率、押込み硬さを組み合わせて限定する。
【0056】
別の局面において、
少なくとも2種の予備混合物を混合して、前駆体を製造する工程であって、各種の予備混合物がいずれも活物質、第1の炭素源及び溶媒を含み、前記少なくとも2種の予備混合物のうち、少なくとも2種が異なる前記活物質の含有量(質量%)を有する工程S10と、
前駆体を熱処理して前記第1の炭素源を炭化させ、凝集体を得る工程20とを含む、負極材料の製造方法を提供する。
【0057】
この実施形態で製造された負極材料は、活物質と炭素材料とを含む凝集体を含み、凝集体中の活物質の含有量(質量%)が前記凝集体の中心から表面に向かって漸減する。
この実施形態に係る製造方法では、前記予備混合物は活物質、炭素源及び溶媒を含み、活物質の含有量(質量%)が異なる前記予備混合物を混合し、熱処理して前記凝集体を製造し、この凝集体中の活物質の含有量(質量%)が凝集体の中心から表面に向かって漸減し、このような構造によって、高濃度の活物質の負極材料粒子の中心位置への集中、活物質の膨張を凝集体の内部に留まるようにすること、活物質の膨張効果による表面の炭素層への破壊の回避、負極材料表面のSEI膜の安定性の向上、良好な表面界面安定性の付与に寄与し、それにより材料のサイクル安定性を向上し、膨張率を低下させ、かつ製造過程が簡単で制御可能である。
【0058】
以下、実施例を参照して本開示の製造方法を具体的に説明する。
工程S10において、少なくとも2種の予備混合物を混合して、前駆体を製造する工程であって、各種の予備混合物がいずれも活物質、第1の炭素源及び溶媒を含み、前記少なくとも二種の予備混合物のうち、少なくとも2種が異なる前記活物質の含有量(質量%)を有する。
【0059】
各種の予備混合物の製造工程は、具体的に、活物質、第1の炭素源及び溶媒を混合して得ることであることが理解される。
いくつかの実施形態において、前駆体は、2種の予備混合物を混合して得られてもよく、少なくとも3種の予備混合物を混合して得られてもよい。
【0060】
いくつかの実施形態において、少なくとも3種の予備混合物を混合する工程は、各種の予備混合物を、活物質の予備混合物中の含有量(質量%)の高い順に順次混合することを含む。異なる活物質含有量・濃度の予備混合物を3種以上調製し、各種の予備混合物を、予備混合物中の活物質の含有量(質量%)の高い順に順次混合することで、活物質含有量の一番高い予備混合物を中心コアとし、そして低濃度予備混合物と順次混合し、熱処理して得られた凝集体は、粒子表面から粒子中心に向けて、活物質成分の割合が徐々に多くなる。
【0061】
いくつかの実施形態において、少なくとも2種の予備混合物のうち、活物質の含有量(質量%)の最大値と最小値との差が20%~90%である。具体的に、活物質の含有量(質量%)の最大値と最小値との差は、20%、25%、30%、35%、45%、50%、55%、65%、75%、80%又は90%等であってもよく、もちろん、上記範囲内の他の値であってもよく、これらに限定されない。
【0062】
いくつかの実施形態において、活物質は、Li、Na、K、Sn、Ge、Si、Fe、SiOx(0<x<2)、Mg、Ti、Zn、Al、P及びCuからなる群より選択される少なくとも1つを含む。活物質は、金属単体であってもよく、いくつかの実施形態において、活物質は、具体的に、Si粒子、Sn粒子、Ge粒子、Al粒子であってもよく、別の実施形態において、活物質は、ケイ素リチウム合金、ケイ素マグネシウム合金などであってもよく、なお、場合によっては、活物質は、単体粒子又はその合金、又は異なる活物質材料の組成物を含む。
【0063】
いくつかの実施形態において、第1の炭素源は、スクロース、グルコース、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアニリン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フルフラール樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレンオキシド、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル及びアスファルトからなる群から選ばれる少なくとも1つを含む。
【0064】
いくつかの実施形態において、溶媒は、有機溶媒を含む。
いくつかの実施形態において、有機溶媒は、メタノール、エタノール、エチレングリコール、プロパノール、イソプロパノール、グリセリン、n-ブタノール、イソブタノール及びペンタノールからなる群から選ばれる少なくとも1つを含む。
いくつかの実施形態において、少なくとも1種の前記予備混合物は、添加剤、金属酸化物及び導電性向上剤からなる群より選択される少なくとも1つをさらに含む。
いくつかの実施形態において、少なくとも2種の予備混合物を混合して前駆体を製造する工程での少なくとも1種の予備混合物には、添加剤、金属酸化物及び導電性向上剤からなる群より選択される少なくとも1つをさらに添加する。
【0065】
2種の予備混合物を用いて混合して前駆体を製造する場合、一方の予備混合物に添加剤、金属酸化物及び導電性向上剤からなる群より選択される少なくとも1つを添加してもよく、両方の予備混合物に同時に添加してもよく、かつ各種の予備混合物に添加する添加剤、金属酸化物及び導電性向上剤の種類は、同じであってもよく異なってもよく、ここで限定されないことが理解される。
ここで、添加剤は、活物質と炭素材料との接続安定性を効果的に強化することができ、それにより強固な系を形成し、極片の膨張率を低下させる。
いくつかの実施形態において、添加剤は、界面活性剤とカップリング剤からなる群より選択される少なくとも1つを含む。
界面活性剤は、n-オクタデカン酸、ラウリン酸、ポリアクリル酸、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、n-エイコサン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ウンデシル酸、セチルトリメチルアンモニウムブロミド及びポリビニルピロリドンからなる群より選択される少なくとも1つを含む。
【0066】
カップリング剤は、シランカップリング剤及び/又はチタネートカップリング剤を含む。シランカップリング剤は、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、及び/又はγ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを含む。
いくつかの実施形態において、金属酸化物は、一般式:MxOy(式中、0.2≦y/x≦3;Mは、Sn、Ge、Fe、Cu、Ti、Na、Mg、Al、Ca及びZnからなる群から選ばれる少なくとも1つを含む。)で示される。
【0067】
いくつかの実施形態において、金属酸化物は、フレーク状及び/又は短冊状である。
いくつかの実施形態において、金属酸化物のアスペクト比は、2より大きい。
いくつかの実施形態では、金属酸化物と活物質との質量比は、1~20:100である。
いくつかの実施形態では、導電性向上剤と活物質との質量比は、0.01~20:100である。
いくつかの実施形態において、導電性向上剤は、導電率が100S/m~108S/mである。
いくつかの実施形態において、導電性向上剤は、フレーク状及び/又は短冊状である。
いくつかの実施形態において、導電性向上剤は、アスペクト比が2~5000である。
【0068】
いくつかの実施形態において、導電性向上剤は、合金材料及び導電性カーボンからなる群より選択される少なくとも1つをさらに含む。
いくつかの実施形態において、前記合金材料は、亜鉛合金、アルミニウム合金、銅合金、シリコン合金、ニッケル合金及びチタン合金からなる群より選択される少なくとも1つをさらに含む。
いくつかの実施形態では、前記導電性カーボンは、黒鉛繊維、カーボンナノチューブ、グラファイトシート、導電性炭素繊維及びグラフェンからなる群より選択される少なくとも1つを含む。
いくつかの実施形態において、活物質、第1の炭素源及び溶媒の混合方式は、磁気撹拌、機械的攪拌、超音波分散、研磨分散などを含んでもよい。好ましくは、活物質を分散させ、活物質が凝集することを回避することができ、かつ活物質を比較的な小さなナノ粒子に分散させることができるように、研磨分散を採用する。
【0069】
具体的に、各種の予備混合物を混合して前駆体を製造する前に、活物質粒子の粒径が1nm~300nmとなるように各種の予備混合物を湿式ボールミルすることをさらに含む。
いくつかの実施形態において、分散時間を0.5h~10hとすることができる湿式ボールミルにより、十分に研磨して、成分をより均一に混合することができる。
いくつかの実施形態において、各種の予備混合物を混合した後に乾燥処理を行う。
いくつかの実施形態において、乾燥処理は、温度が30℃~400℃、時間が1h~15hである。
いくつかの実施形態において、各種の予備混合物を混合した後に遠心処理をさらに行う。
【0070】
いくつかの実施形態において、遠心処理は、回転速度が100rpm~3000rpmであり、例えば100rpm、500rpm、1000rpm、2000rpm又は3000rpmであってもよく、時間が10min~60minであり、例えば10min、20min、30min、40min又は50minであってもよい。混合溶液を回転遠心することにより、凝集体の形成に寄与する。
【0071】
いくつかの実施形態において、前駆体又は予備混合物を緻密化処理することをさらに含み、緻密化処理によって、活物質、炭素材料の接続を効果的に強化し、それらの間の空隙を減少させ、緻密化を向上させることができ、製造される凝集体の空孔率が10%以下、押込み硬さが100Mpa以上となる。
【0072】
いくつかの実施形態において、緻密化処理は、融合処理、混練押出処理、圧縮成形処理、静水圧プレス処理及び浸漬処理からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む。当然のことながら、上記方法に限定されず、凝集体は孔隙率が10%以下、押込み硬さが100MPa以上であればよい。
【0073】
いくつかの実施形態において、融合処理は、メカノフュージョンである。融合処理によって、活物質、炭素材料の接続を効果的に強化し、それらの間の空隙を減少させ、緻密化を向上させることができる。
【0074】
いくつかの実施形態において、融合時、融合機は回転数が500r/min~3000r/minであり、具体的に、500r/min、1000r/min、1500r/min、2000r/min、2500r/min又は3000r/min等であってもよく、ブレードギャップ幅が0.01cm~0.5cmであり、具体的に、0.01cm、0.05cm、0.1cm、0.15cm、0.2cm、0.25cm、0.3cm又は0.5cm等であってもよく、融合時間が少なくとも0.5hであり、具体的に、0.5h、0.8h、0.9h、1.0h、1.5h又は2h等であってもよく、これらに限定しない。
【0075】
いくつかの実施形態において、本実施形態の前駆体は、2種類の予備混合物を混合して製造されたことを含んでもよい。
【0076】
具体的に、少なくとも2種の予備混合物は、第1の予備混合物と第2の予備混合物を含む。
いくつかの実施形態において、質量比(80~120):(1~20)の活物質、第1の炭素源を溶媒と混合して前記第1の予備混合物を製造し、質量比(40~80):(1~30)の活物質、第1の炭素源を溶媒と混合して前記第2の予備混合物を製造する。
【0077】
具体的に、第1の予備混合物において、活物質と第1の炭素源との質量比は、100:12.9、100:10.9、100:12.9、100:15.9、100:11.9、100:15.9、100:22.9等であってもよく、もちろん、上記範囲内の他の値であってもよく、これらに限定されない。
【0078】
具体的に、第2の予備混合物において、活物質と第1の炭素源との質量比は、60:22.9、50:20.9、67:12.9、50:22.9、70:21.9、78:20.9等であってもよく、もちろん、上記範囲内の他の値であってもよく、これらに限定されない。
【0079】
いくつかの実施形態において、第1の予備混合物において、活物質と添加剤との質量比は、(80~120):(1~20)、100:12.9、100:10.9、100:12.9、100:15.9、100:11.9、100:15.9、100:22.9等であってもよく、もちろん、上記範囲内の他の値であってもよく、これらに限定されない。
【0080】
いくつかの実施形態において、第2の予備混合物において、活物質と添加剤との質量比は、(40~80):(1~10)であってもよく、活物質と添加剤との質量比は、40:22.9、50:20.9、45:12.9、55:22.9、60:21.9、70:20.9等であってもよく、もちろん、上記範囲内の他の値であってもよく、これらに限定されない。
【0081】
いくつかの実施形態では、第1の予備混合物中の活物質の含有量(質量%)は第2の予備混合物中の活物質の含有量(質量%)よりも大きい。
具体的に、この場合、前駆体を製造する工程は、第1の予備混合物と第2の予備混合物を混合し、前駆体を得ることを含む。
【0082】
第1の予備混合物と第2の予備混合物を混合する過程において、第1の予備混合物と前記第2の予備混合物の流速比は、(1~15):1であり、具体的に、1:1、3:1、5:1、8:1、10:1、12:1又は15:1等であってもよく、もちろん、上記範囲内の他の値であってもよく、これらに限定されない。分散した製品と第2の予備混合物とは各成分の含有量が異なり、両者の添加割合及び添加流速を制御することにより、濃度勾配を有する凝集体の取得に寄与することが理解される。
【0083】
さらに、前駆体を製造する工程は、具体的に、第1の予備混合物を乾燥し、分散することである。
いくつかの実施形態において、乾燥処理は、温度が30℃~400℃であり、具体的に30℃、40℃、50℃、80℃、100℃、120℃、150℃、180℃、200℃、250℃、280℃、300℃又は400℃等であってもよく、時間が1h~15hであり、具体的に1h、3h、5h、7h、9h、10h、12h又は15h等であってもよく、乾燥処理方式は、例えば、炉内乾燥、凍結乾燥、撹拌蒸発乾固、噴霧乾燥等であってもよく、本実施例における乾燥処理により、できる限り前駆体溶液中の溶媒を除去することができる。
【0084】
いくつかの実施形態において、分散は研磨分散であってもよく、分散時間は0.5h~9hであり、具体的に、0.5h、1.5h、2.5h、3.5h、4.5h、5.5h、7.5h又は9h等であってもよく、本実施例における研磨分散により、分散後の粒度の大きさを制御し、コアにする。
【0085】
分散した製品と第2の予備混合物を混合し、乾燥し、前駆体を得る。
いくつかの実施形態において、混合過程において、分散した製品と第2の予混合物との流速比は、(1~15):1である。
【0086】
いくつかの実施形態において、この混合過程において、分散した製品と第2の予備混合物をさらに遠心処理する。遠心処理時間は、30min~60minであり、具体的に30min、35min、40min、45min、50min、55min又は60min等であってもよく、もちろん、上記範囲内の他の値であってもよい。混合溶液を回転遠心することにより、凝集体の形成に寄与する。
【0087】
いくつかの実施形態において、分散した製品と第2の予備混合物を混合した後に乾燥処理をさらに含む。
【0088】
いくつかの実施形態において、乾燥処理は、温度が30℃~400℃であり、具体的に30℃、40℃、50℃、80℃、100℃、120℃、150℃、180℃、200℃、250℃、280℃、300℃又は400℃等であってもよく、時間が1h~15hであり、具体的に1h、3h、5h、7h、9h、10h、12h又は15h等であってもよく、乾燥処理方式は、例えば、炉内乾燥、凍結乾燥、撹拌蒸発乾固、噴霧乾燥等であってもよく、本実施例における乾燥処理により、できる限り前駆体溶液中の溶媒を除去することができる。
【0089】
いくつかの実施形態において、乾燥した前駆体は、緻密化処理を行うことができ、緻密化処理は、融合処理を含み、前記融合処理は、メカノフュージョンである。融合処理によって、活物質、炭素材料の接続を効果的に強化し、それらの間の空隙を減少させ、緻密化を向上させることができる。
【0090】
融合時、融合機は回転数が500r/min~3000r/minであり、具体的に、500r/min、1000r/min、1500r/min、2000r/min、2500r/min又は3000r/min等であってもよく、ブレードギャップ幅が0.01cm~0.5cmであり、具体的に、0.01cm、0.05cm、0.1cm、0.15cm、0.2cm、0.25cm、0.3cm又は0.5cm等であってもよく、融合時間が少なくとも0.5hであり、具体的に、0.5h、0.8h、0.9h、1.0h、1.5h又は2h等であってもよく、これらに限定しない。
【0091】
いくつかの実施形態において、本実施形態の前駆体は、3種の予備混合物を混合して製造されたことを含んでもよい。
具体的に、上記第1の予備混合物、第2の予備混合物以外に、第3の予備混合物を含んでもよい。本実施形態の第1の予備混合物、第2の予備混合物及び混合等の処理はいずれも上記と同じであり、ここで詳細に説明しない。
【0092】
いくつかの実施形態において、質量比(10~40):(10~40)の活物質、第1の炭素源を溶媒と混合して第3の予備混合物を製造する。具体的に、活物質と第1の炭素源の質量比は、30:22.9、30:20.9、35:12.9、50:22.9、30:21.9、20:20.9等であってもよく、もちろん、上記範囲内の他の値であってもよく、これらに限定されない。
ここで、第2の予備混合物中の活物質の含有量(質量%)は第3の予備混合物中の活物質の含有量(質量%)よりも大きい。
【0093】
いくつかの実施形態において、第3の予備混合物において、活物質と添加剤との質量比は、(10~40):(1~10)であり、具体的に活物質と添加剤との質量比は、30:5.5、30:3.5、35:5.5、20:5.5、10:8.5、20:4.5等であってもよく、もちろん、上記範囲内の他の値であってもよく、これらに限定されない。
【0094】
ここで、前駆体を製造する工程は、第1の予備混合物を第2の予備混合物、第3の予備混合物と順に混合し、前駆体を得ることを含み、具体的に、まず、第1の予備混合物中の活物質含有量が最も高く、第3の予備混合物中の活物質含有量が最も低いように、成分の濃度が異なる予備混合物を3種調製し、そして、第1の予備混合物を高活物質含有量の中心コアとし、低濃度の第2の予備混合物、第3の予備混合物と順に混合し、最後に熱処理して凝集体を調製し、この凝集体は粒子表面から粒子中心に向けて、活物質成分の割合が徐々に多くなる。
【0095】
いくつかの実施形態において、第1の予備混合物と第2の予備混合物の流速比は、(1~15):1であり、第1の予備混合物と第2の予備混合物を混合した混合物と第3の予備混合物の混合流速比は、(1~15):1である。
さらに、前記前駆体を製造する工程は、具体的に、第1の予備混合物を乾燥し、分散し、分散した第1の予備混合物と第2の予備混合物を混合して混合物を得、混合物を乾燥した後に第3の予備混合物と混合し、前駆体を製造することである。
【0096】
いくつかの実施形態において、混合過程において、混合物と第3の予備混合物の流速比は(1~15):1であり、具体的に、1:1、3:1、5:1、8:1、10:1、12:1又は15:1であってもよく、もちろん、上記範囲内の他の値であってもよく、これらに限定されない。
いくつかの実施形態において、この混合過程において、混合物と第3の予備混合物をさらに遠心処理する必要がある。遠心処理時間は、30min~60minであり、具体的に30min、35min、40min、45min、50min、55min又は60min等であってもよく、もちろん、上記範囲内の他の値であってもよい。混合溶液を回転遠心することにより、凝集体の形成に寄与する。
【0097】
いくつかの実施形態において、混合物と第3の予備混合物を混合した後に乾燥処理をさらに含む。
いくつかの実施形態において、乾燥処理は、温度が30℃~400℃であり、具体的に30℃、40℃、50℃、80℃、100℃、120℃、150℃、180℃、200℃、250℃、280℃、300℃又は400℃等であってもよく、時間が1h~15hであり、具体的に1h、3h、5h、7h、9h、10h、12h又は15h等であってもよく、乾燥処理方式は、例えば、炉内乾燥、凍結乾燥、撹拌蒸発乾固、噴霧乾燥等であってもよく、本実施例における乾燥処理により、できる限り前駆体溶液中の溶媒を除去することができる。
【0098】
いくつかの実施形態において、乾燥した前駆体は、緻密化処理を行うことができ、緻密化処理は、融合処理を含み、前記融合処理は、メカノフュージョンである。融合処理によって、活物質、炭素材料の接続を効果的に強化し、それらの間の空隙を減少させ、緻密化を向上させることができる。
融合時、融合機は回転数が500r/min~3000r/minであり、具体的に、500r/min、1000r/min、1500r/min、2000r/min、2500r/min又は3000r/min等であってもよく、ブレードギャップ幅が0.01cm~0.5cmであり、具体的に、0.01cm、0.05cm、0.1cm、0.15cm、0.2cm、0.25cm、0.3cm又は0.5cm等であってもよく、融合時間が少なくとも0.5hであり、具体的に、0.5h、0.8h、0.9h、1.0h、1.5h又は2h等であってもよく、これらに限定しない。
【0099】
工程20において、前駆体を熱処理し、前記第1の炭素源を炭化させ、凝集体を得る。
いくつかの実施形態において、熱処理方式は、例えば、真空焼結、ホットプレス焼結又は常圧焼結であってもよい。熱処理の温度は400℃~1200℃であり、例えば500℃、600℃、700℃、800℃、900℃、1000℃、1200℃、1200℃等であってもよい。好ましくは、熱処理の温度は600℃~1000℃である。
いくつかの実施形態において、熱処理の時間は1h~15hであり、例えば1h、2h、3h、4h、5h、6h、7h、8h、9h等であってもよい。
熱処理時の昇温速度は1℃/min~30℃/minであり、具体的に、1℃/min、5℃/min、10℃/min、15℃/min、20℃/min、25℃/min又は30℃/min等であってもよい。例えば、好ましくは、熱処理時の昇温速度は1℃/min~15℃/minである。
【0100】
熱処理中に保護ガスが通気され、保護ガスは、窒素ガス、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス及びクリプトンガスからなる群から選ばれる少なくとも1つを含む。
いくつかの実施形態において、凝集体を炭素被覆処理する工程をさらに含む。
いくつかの実施形態において、炭素被覆処理する工程は、凝集体と第2の炭素源を混合し、熱処理することを含む。
いくつかの実施形態において、第2の炭素源は、スクロース、グルコース、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアニリン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フルフラール樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレンオキシド、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル及びアスファルトからなる群から選ばれる少なくとも1つを含む。
【0101】
いくつかの実施形態において、前駆体の粒径は0.5μm~20μmであり、具体的に、0.5μm、1μm、5μm、8μm、10μm、13μm、15μm、18μm又は20μm等であってもよく、もちろん、上記範囲内の他の値であってもよく、これらに限定されない。負極材料の平均粒径を上記範囲内に制御することにより、負極材料のサイクル特性の向上に寄与することが理解される。
いくつかの実施形態において、前駆体と第2の炭素源との質量比は(30~100):(10~70)であり、具体的に、前駆体と第2の炭素源との質量比は100:25、100:35、100:45、100:55、100:65等であり、もちろん、上記範囲内の他の値であってもよく、これらに限定されない。
【0102】
いくつかの実施形態において、混合方式は、磁気撹拌、機械的攪拌、超音波分散、研磨分散などを含んでもよい。
いくつかの実施形態において、他の形態で凝集体を炭素被覆してもよく、具体的に、炭素被覆処理の工程は、凝集体と第2の炭素源を混合し、炭化処理することにより、凝集体の表面に炭素層を形成することを含む。
いくつかの実施形態において、炭化処理の温度は400℃~1200℃であり、例えば500℃、600℃、700℃、800℃、900℃、1000℃、1200℃、1200℃等であってもよい。好ましくは、炭化処理の温度は600℃~1000℃である。
いくつかの実施形態において、炭化処理の時間は1h~15hであり、例えば1h、2h、3h、4h、5h、6h、7h、8h、9h等であってもよい。
【0103】
いくつかの実施形態において、炭化処理時の昇温速度は1℃/min~30℃/minであり、具体的に1℃/min、5℃/min、10℃/min、15℃/min、20℃/min、25℃/min又は30℃/min等であってもよい。例えば、好ましくは、熱処理時の昇温速度は1℃/min~15℃/minである。
いくつかの実施形態において、炭化処理中に保護ガスが通気され、保護ガスは、窒素ガス、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス及びクリプトンガスからなる群から選ばれる少なくとも1つを含む。
【0104】
なお、本実施形態の負極材料は、炭素被覆を行わなくてもよく、さらに上記2種類の炭素被覆方法に限定されない。
この技術案において、上記製造方法で製造された負極材料は、活物質と炭素材料とを含む凝集体を含み、凝集体中の活物質の含有量(質量%)が凝集体の中心から表面に向かって漸減する。このような構造によって、活物質の膨張を凝集体の内部に留まるようにすること、活物質の膨張効果による表面の炭素層への破壊の回避、負極材料表面のSEI膜の安定性の向上、良好な表面界面安定性の付与に寄与し、それにより材料のサイクル安定性を向上し、膨張率を低下させる。
【0105】
本開示により、活物質と炭素材料とを含む凝集体を含む負極材料であって、炭素材料が活物質の間に分散されており、凝集体の全量を100質量%とすると、凝集体表面の活物質の含有量(質量%)が凝集体内部の活物質の含有量(質量%)よりも小さい負極材料をさらに提供する。
本開示により、上記負極材料を有するリチウムイオン電池をさらに提供する。
当業者に理解されるように、以上に記載のリチウムイオン電池の製造方法は実施例に過ぎない。本開示の開示内容から逸脱することなく、本分野の一般的な他の方法を採用することができる。
【実施例】
【0106】
以下、複数の実施例により本発明をさらに説明する。ただし、本発明は、以下の具体的な実施例に限定されない。本発明の主旨を変えない範囲内で、適宜に変更を行って実施することも可能である。
【0107】
実施例1
本実施例に係る負極材料の製造方法は、
メジアン径100nmのナノシリコン、ポリビニルピロリドン及びポリ塩化ビニルを質量比100:9:12.9でエチレングリコール溶液に添加し、10min超音波処理し、その後にボールミルで2h研磨分散して第1の予備混合物を得、メジアン径100nmのナノシリコン、ポリビニルピロリドン及びポリ塩化ビニルを質量比60:5.5:22.9でエチレングリコール溶液に添加し、10min超音波処理し、その後にボールミルで2h研磨分散して第2の予備混合物を得る工程(1)と、
第1の予備混合物と第2の予備混合物の流速比を8:2に制御するように、第1の予備混合物と第2の予備混合物を混合装置に導入し、そして30min回転遠心し、その後に190℃で5h乾燥処理した後に前駆体を得る工程(2)と、
前駆体とグルコースを質量比50:55で混合し、その後に混合した材料を高温箱型炉に入れ、窒素ガスを導入し、850℃の条件で3h熱処理した後、粉砕し、500メッシュの篩を通過し、負極材料を得る工程(3)と、を含む。
【0108】
本実施例で製造された負極材料は、凝集体と、凝集体の表面を被覆する炭素層を含み、凝集体は、ナノシリコンと非晶質炭素を含み、非晶質炭素は、ナノシリコンの間に分散され、ナノシリコンは、凝集体に対して61質量%であり、ナノシリコンの凝集体の表面での含有量が45質量%であり、ナノシリコンと非晶質炭素の合計質量比は1.56である。凝集体中のナノシリコンの含有量は、凝集体の中心から表面に向かって26.2質量%減少し、ナノシリコンと非晶質炭素の質量比は、凝集体の中心から表面に向かって2.2減少する。本実施例において、E-Fの値は2.2である。
【0109】
凝集体のSEM断面の中心から表面に向かって、分光装置でEDS点分析を行い、凝集体中の異なる3箇所の活物質の含有量をそれぞれ71.2質量%、61.0質量%及び45.0質量%と測定する。
【0110】
凝集体粒子の内部に任意の複数領域について試験を行い、試験領域を2μm×2μmの方形の領域とし、ナノシリコンの含有量(質量%)と非晶質炭素の含有量(質量%)との比をTとし、任意の試験領域の中心位置のT0値を統計し、80回以内にT0が以下の関係を満たすと測定する。
T0≦3.2-2.2L1/L0
【0111】
負極材料は、メジアン径が14μm、比表面積が4.2m2/gである。水銀圧入法で凝集体粒子を試験し、凝集体の空孔率は2.9%である。
【0112】
実施例2
本実施例に係る負極材料の製造方法は、
メジアン径100nmのナノシリコン、ポリビニルピロリドン及びポリ塩化ビニルを質量比100:9:12.9でエチレングリコール溶液に添加し、10min超音波処理し、その後にボールミルで2h研磨分散して第1の予備混合物を得、メジアン径100nmのナノシリコン、ポリビニルピロリドン及びポリ塩化ビニルを質量比60:5.5:22.9でエチレングリコール溶液に添加し、10min超音波処理し、その後にボールミルで2h研磨分散して第2の予備混合物を得、メジアン径100nmのナノシリコン、ポリビニルピロリドン及びポリ塩化ビニルを質量比20:2.5:22.9でエチレングリコール溶液に添加し、10min超音波処理し、その後にボールミルで2h研磨分散して第3の予備混合物を得る工程(1)と、
第1の予備混合物を290℃で3h乾燥処理し、第1の前駆体を得、そして第1の前駆体にエタノール溶媒を添加して、研磨し、8h分散し、第1の前駆体分散液を得、第1の前駆体分散液と第2の予備混合物の流速比を8:2に制御するように、第1の前駆体分散液と第2の予備混合物を混合装置に導入し、そして30min回転遠心し、その後に190℃で5h乾燥処理した後に第2の前駆体を得る工程(2)と、
第2の前駆体と第3の予備混合物の流速比を2:2に制御するように、第2の前駆体と第3の予備混合物を混合装置に導入し、そして150℃で4h乾燥処理した後に第3の前駆体を得る工程(3)と、
第3の前駆体とグルコースを質量比50:55で混合し、その後に混合した材料を高温箱型炉に入れ、窒素ガスを導入し、850℃の条件で3h熱処理した後、粉砕し、500メッシュの篩を通過し、負極材料を得る工程(4)と、を含む。
【0113】
本実施例で製造された負極材料は、凝集体と、凝集体の表面を被覆する炭素層を含み、凝集体は、ナノシリコンと非晶質炭素を含み、非晶質炭素は、ナノシリコンの間に分散され、ナノシリコンは、凝集体に対して55質量%であり、ナノシリコンの凝集体の表面での含有量が31質量%であり、ナノシリコンと非晶質炭素の合計質量比は1.22である。凝集体中のナノシリコンの含有量は、凝集体の中心から表面に向かって30.4質量%減少し、ナノシリコンと非晶質炭素の質量比は、凝集体の中心から表面に向かって1.05減少する。本実施例において、E-Fの値は1.05である。
【0114】
凝集体のSEM断面の中心から表面に向かって、分光装置でEDS点分析を行い、凝集体中の異なる4箇所の活物質の含有量をそれぞれ61.4質量%、55.3質量%、47.4質量%及び33.0質量%と測定する。
【0115】
凝集体粒子の内部に任意の複数領域について試験を行い、試験領域を2μm×2μmの方形の領域とし、ナノシリコンの含有量(質量%)と非晶質炭素の含有量(質量%)との比をTとし、任意の試験領域の中心位置のT0値を統計し、80回以内にT0が以下の関係を満たすと測定する。
T0≦1.5-1.05L1/L0
【0116】
負極材料は、メジアン径が11.8μm、比表面積が4.2m2/gである。
【0117】
実施例3
本実施例に係る負極材料の製造方法は、
メジアン径70nmのナノシリコン、アクリル酸及びグルコースを質量比100:4.9:10.9でエタノール溶液に添加し、10min超音波処理し、その後にボールミルで3h研磨分散して第1の予備混合物を得、メジアン径70nmのナノシリコン、アクリル酸及びグルコースを質量比70:3.5:20.9でエタノール溶液に添加し、10min超音波処理し、その後にボールミルで2h研磨分散して第2の予備混合物を得、メジアン径70nmのナノシリコン、アクリル酸及びグルコースを質量比30:1.5:20.9でエタノール溶液に添加し、30min超音波処理し、その後にボールミルで2h研磨分散して第3の予備混合物を得る工程(1)と、
第1の予備混合物を160℃で2h乾燥処理し、第1の前駆体を得、そして第1の前駆体にエチレングリコール溶媒を添加して研磨し、4h分散し、第1の前駆体分散液を得、第1の前駆体分散液と第2の予備混合物の流速比を8:2に制御するように、第1の前駆体分散液と第2の予備混合物を混合装置に導入し、そして30min回転遠心し、その後に180℃で5h乾燥処理した後に第2の前駆体を得る工程(2)と、
第2の前駆体と第3の予備混合物の流速比を4:2に制御するように、第2の前駆体と第3の予備混合物を混合装置に導入し、そして250℃で4h乾燥処理した後に第3の前駆体を得る工程(3)と、
融合機の回転数を500r/minとし、融合機のブレードギャップ幅を0.15cmとし、融合時間を1.5hとするように、第3の前駆体をメカノフュージョンし、融合した材料を熱処理炉に入れ、そして窒素ガスを導入し、900℃まで昇温して1回の熱処理を行い、3h保温し、凝集体を得る工程(4)と、を含む。
【0118】
本実施例で製造された負極材料は、凝集体と、凝集体の表面を被覆する炭素層を含み、凝集体は、ナノシリコンと非晶質炭素を含み、非晶質炭素は、ナノシリコンの間に分散され、ナノシリコンは、凝集体に対して46質量%であり、ナノシリコンの凝集体の表面での含有量が27質量%であり、ナノシリコンと非晶質炭素の合計質量比は0.85である。凝集体中のナノシリコンの含有量は、凝集体の中心から表面に向かって29質量%減少し、ナノシリコンと非晶質炭素の質量比は、凝集体の中心から表面に向かって0.9減少する。本実施例において、E-Fの値は0.9である。
【0119】
凝集体のSEM断面の中心から表面に向かって、分光装置でEDS点分析を行い、凝集体中の異なる4箇所の活物質の含有量をそれぞれ56.0質量%、46.3質量%、33.4質量%及び27.0質量%と測定する。
【0120】
凝集体粒子の内部に任意の複数領域について試験を行い、試験領域を2μm×2μmの方形の領域とし、ナノシリコンの含有量(質量%)と非晶質炭素の含有量(質量%)との比をTとし、任意の試験領域の中心位置のT0値を統計し、100回以内にT0が以下の関係を満たすと測定する。
T0≦1.26-0.9L1/L0
【0121】
負極材料は、メジアン径が11μm、比表面積が2.2m2/gであり、水銀圧入法で凝集体粒子を試験し、凝集体の空孔率は3.3%である。ナノインデンターで凝集体粒子を試験することで、凝集体の押込み硬さが平均で151Mpa、凝集体の測定密度と凝集体中のナノシリコン及び非晶質炭素の理論密度との差が1.5%であることがわかる。
【0122】
実施例4
本実施例に係る負極材料の製造方法は、
メジアン径50nmのナノシリコン、オレイン酸及びグルコースを質量比100:5:12.9でイソプロパノール溶液に添加し、10min超音波処理し、その後にボールミルで4h研磨分散して第1の予備混合物を得、メジアン径50nmのナノシリコン、オレイン酸及びグルコースを質量比65:5.5:12.9でイソプロパノール溶液に添加し、10min超音波処理し、その後にボールミルで2h研磨分散して第2の予備混合物を得、メジアン径50nmのナノシリコン、オレイン酸及びグルコースを質量比15:3.5:12.9でイソプロパノール溶液に添加し、40min超音波処理し、その後にボールミルで2h研磨分散して第3の予備混合物を得る工程(1)と、
第1の予備混合物を360℃で2h乾燥処理し、第1の前駆体を得、そして第1の前駆体にエチレングリコール溶媒を添加して研磨し、7h分散し、第1の前駆体分散液を得、第1の前駆体分散液と第2の予備混合物の流速比を5:3に制御するように、第1の前駆体分散液と第2の予備混合物を混合装置に導入し、そして30min回転遠心し、その後に180℃で5h乾燥処理した後に第2の前駆体を得る工程(2)と、
第2の前駆体と第3の予備混合物の流速比を4:5に制御するように、第2の前駆体と第3の予備混合物を混合装置に導入し、そして250℃で4h乾燥処理した後に第3の前駆体を得る工程(3)と、
融合機の回転数を400r/minとし、融合機のブレードギャップ幅を0.25cmとし、融合時間を1.5hとするように、第3の前駆体をメカノフュージョンし、融合した材料を熱処理炉に入れ、そして窒素ガスを導入し、920℃まで昇温して1回の熱処理を行い、3h保温し、凝集体を得る工程(4)と、
凝集体とフェノ一ル樹脂を質量比100:25で混合し、その後に混合した材料を高温箱型炉に入れ、窒素ガスを導入し、1050℃の条件で2h熱処理した後、粉砕し、500メッシュの篩を通過し、負極材料を得る工程(5)と、を含む。
【0123】
本実施例で製造された負極材料は、凝集体と、凝集体の表面を被覆する炭素層を含み、凝集体は、ナノシリコンと非晶質炭素を含み、非晶質炭素は、ナノシリコンの間に分散され、ナノシリコンは、凝集体に対して51質量%であり、ナノシリコンの凝集体の表面での含有量が43質量%であり、ナノシリコンと非晶質炭素の合計質量比は1.17である。凝集体中のナノシリコンの含有量は、凝集体の中心から表面に向かって11.5質量%減少し、ナノシリコンと非晶質炭素の質量比は、凝集体の中心から表面に向かって0.5減少する。本実施例において、E-Fの値は0.5である。
凝集体のSEM断面の中心から表面に向かって、分光装置でEDS点分析を行い、凝集体中の異なる4箇所の活物質の含有量をそれぞれ54.5質量%、50.3質量%、46.4質量%及び43.0質量%と測定する。
【0124】
凝集体粒子の内部に任意の複数領域について試験を行い、試験領域を2μm×2μmの方形の領域とし、ナノシリコンの含有量(質量%)と非晶質炭素の含有量(質量%)との比をTとし、任意の試験領域の中心位置のT0値を統計し、90回以内にT0が以下の関係を満たすと測定する。
T0≦1.32-0.5L1/L0
【0125】
負極材料は、メジアン径が5.2μm、比表面積が4.2m2/gであり、水銀圧入法で凝集体粒子を試験し、凝集体の空孔率は3.9%である。ナノインデンターで凝集体粒子を試験することで、凝集体の押込み硬さが平均で165Mpa、凝集体の測定密度と凝集体中のナノシリコン及び非晶質炭素の理論密度との差が1.1%であることがわかる。
【0126】
実施例5
本実施例に係る負極材料の製造方法は、
メジアン径20nmのナノシリコン、ステアリン酸及びクエン酸を質量比100:1.9:15.9でエチレングリコール溶液に添加し、10min超音波処理し、その後にボールミルで2h研磨分散して第1の予備混合物を得、同時にメジアン径20nmのナノシリコン、ステアリン酸及びスクロースを質量比50:5.5:22.9でエチレングリコール溶液に添加し、10min超音波処理し、その後にボールミルで2h研磨分散して第2の予備混合物を得、メジアン径20nmのナノシリコン、ステアリン酸及びスクロースを質量比30:3.5:22.9でエチレングリコール溶液に添加し、10min超音波処理し、その後にボールミルで2h研磨分散して第3の予備混合物を得る工程(1)と、
第1の予備混合物を140℃で6h乾燥処理し、第1の前駆体を得、そして第1の前駆体にエチレングリコール溶媒を添加して研磨し、8h分散し、第1の前駆体分散液を得、第1の前駆体分散液と第2の予備混合物の流速比を3:3に制御するように、第1の前駆体分散液と第2の予備混合物を混合装置に導入し、そして30min回転遠心し、その後に280℃で5h乾燥処理した後に第2の前駆体を得る工程(2)と、
第2の前駆体と第3の予備混合物の流速比を6:2に制御するように、第2の前駆体と第3の予備混合物を混合装置に導入し、そして450℃で4h乾燥処理した後に第3の前駆体を得る工程(3)と、
第3の前駆体とグルコースを質量比100:35で混合し、その後に混合した材料を高温箱型炉に入れ、窒素ガスを導入し、750℃の条件で3h熱処理した後、粉砕し、500メッシュの篩を通過し、負極材料を得る工程(4)と、を含む。
【0127】
本実施例で製造された負極材料は、凝集体と、凝集体の表面を被覆する炭素層を含み、凝集体は、ナノシリコンと非晶質炭素を含み、非晶質炭素は、ナノシリコンの間に分散され、ナノシリコンは、凝集体に対して69質量%であり、ナノシリコンの凝集体の表面での含有量が54質量%であり、ナノシリコンと非晶質炭素の合計質量比は2.22である。凝集体中のナノシリコンの含有量は、凝集体の中心から表面に向かって21.2質量%減少し、ナノシリコンと非晶質炭素の質量比は、凝集体の中心から表面に向かって1.86減少する。本実施例において、E-Fの値は1.86である。
凝集体のSEM断面の中心から表面に向かって、分光装置でEDS点分析を行い、凝集体中の異なる3箇所の活物質の含有量をそれぞれ75.2質量%、66.3質量%及び54.0質量%と測定する。
負極材料は、メジアン径が18μm、比表面積が3.2m2/gである。
【0128】
実施例6
本実施例に係る負極材料の製造方法は、
メジアン径100nmのナノスズ、ポリビニルピロリドン及びフルクトースを質量比100:4:11.9でエチレングリコール溶液に添加し、10min超音波処理し、その後にボールミルで5h研磨分散して第1の予備混合物を得、同時にメジアン径100nmのナノスズ、ポリビニルピロリドン及びフルクトースを質量比45:8.5:21.9でエチレングリコール溶液に添加し、10min超音波処理し、その後にボールミルで2h研磨分散して第2の予備混合物を得る工程(1)と、
第1の予備混合物と第2の予備混合物の流速比を4:6に制御するように、第1の予備混合物と第2の予備混合物を混合装置に導入し、そして30min回転遠心し、その後に300℃で4h乾燥処理した後に前駆体を得る工程(2)と、
前駆体とグルコースを質量比100:45で混合し、その後に混合した材料を高温箱型炉に入れ、窒素ガスを導入し、750℃の条件で3h熱処理した後、粉砕し、500メッシュの篩を通過し、負極材料を得る工程(3)と、を含む。
【0129】
本実施例で製造された負極材料は、凝集体と、凝集体の表面を被覆する炭素層を含み、凝集体は、ナノスズと非晶質炭素を含み、非晶質炭素は、ナノスズの間に分散され、ナノスズは、凝集体に対して66質量%であり、ナノスズの凝集体の表面での含有量が47.5質量%であり、ナノスズと非晶質炭素の合計質量比は3.04である。凝集体中のナノスズの含有量は、凝集体の中心から表面に向かって32.2質量%減少し、ナノスズと非晶質炭素の質量比は、凝集体の中心から表面に向かって3.04減少する。本実施例において、E-Fの値は3.04である。
凝集体のSEM断面の中心から表面に向かって、分光装置でEDS点分析を行い、凝集体中の異なる4箇所の活物質の含有量をそれぞれ79.7質量%、66.3質量%、55.4質量%及び47.5質量%と測定する。
負極材料は、メジアン径が3.9μm、比表面積が4.5m2/gである。
【0130】
実施例7
本実施例に係る負極材料の製造方法は、
メジアン径100nmのナノゲルマニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム及びフェノール樹脂を質量比100:3.5:15.9でエタノール溶液に添加し、10min超音波処理し、その後にボールミルで2h研磨分散して第1の予備混合物を得、同時にメジアン径100nmのナノゲルマニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム及びポリ塩化ビニルを質量比50:4.5:20.9でエタノール溶液に添加し、10min超音波処理し、その後にボールミルで6h研磨分散して第2の予備混合物を得、メジアン径100nmのナノゲルマニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム及びポリ塩化ビニルを質量比20:1.5:20.9でエタノール溶液に添加し、40min超音波処理し、その後にボールミルで6h研磨分散して第3の予備混合物を得る工程(1)と、
第1の予備混合物を120℃で5h乾燥処理し、第1の前駆体を得、そして第1の前駆体にブタノール溶媒を添加して研磨し、6h分散し、第1の前駆体分散液を得、第1の前駆体分散液と第2の予備混合物の流速比を9:3に制御するように、第1の前駆体分散液と第2の予備混合物を混合装置に導入し、その後に280℃で5h乾燥処理した後に第2の前駆体を得る工程(2)と、
第2の前駆体と第3の予備混合物の流速比を8:2に制御するように、第2の前駆体と第3の予備混合物を混合装置に導入し、そして350℃で4h乾燥処理した後に第3の前駆体を得る工程(3)と、
融合機の回転数を550r/minとし、融合機のブレードギャップ幅を0.15cmとし、融合時間を3hとするように、第3の前駆体をメカノフュージョンし、融合した材料を熱処理炉に入れ、そして窒素ガスを導入し、800℃まで昇温して1回の熱処理を行い、3h保温し、凝集体を得る工程(4)と、
凝集体とグルコースを質量比100:65で混合し、その後に混合した材料を高温箱型炉に入れ、窒素ガスを導入し、950℃の条件で3h熱処理した後、粉砕し、500メッシュの篩を通過し、負極材料を得る工程(5)と、を含む。
【0131】
本実施例で製造された負極材料は、凝集体と、凝集体の表面を被覆する炭素層を含み、凝集体は、ナノゲルマニウムと非晶質炭素を含み、非晶質炭素は、ナノゲルマニウムの間に分散され、ナノゲルマニウムは、凝集体に対して54質量%であり、ナノゲルマニウムの凝集体の表面での含有量が38質量%であり、ナノゲルマニウムと非晶質炭素の合計質量比は1.17である。凝集体中のナノゲルマニウムの含有量は、凝集体の中心から表面に向かって31.4質量%減少し、ナノゲルマニウムと非晶質炭素の質量比は、凝集体の中心から表面に向かって1.31減少する。本実施例において、E-Fの値は1.31である。
凝集体のSEM断面の中心から表面に向かって、分光装置でEDS点分析を行い、凝集体中の異なる6箇所の活物質の含有量をそれぞれ69.5質量%、60.3質量%、55.7質量%、50.4質量%、45.4質量%及び38.0質量%と測定する。
凝集体粒子の内部に任意の複数領域について試験を行い、試験領域を2μm×2μmの方形の領域とし、ナノゲルマニウムの含有量(質量%)と非晶質炭素の含有量(質量%)との比をTとし、任意の試験領域の中心位置のT0値を統計し、80回以内にT0が以下の関係を満たすと測定する。
T0≦2.26-1.31L1/L0
負極材料は、メジアン径が13.9μm、比表面積が2.9m2/gであり、水銀圧入法で凝集体粒子を試験し、凝集体の空孔率は4.9%である。ナノインデンターで凝集体粒子を試験することで、凝集体の押込み硬さが平均で138Mpa、凝集体の測定密度と凝集体中のナノゲルマニウム及び非晶質炭素の理論密度との差が1.7%であることがわかる。
【0132】
実施例8
本実施例に係る負極材料の製造方法は、
メジアン径100nmのナノアルミニウム、ポリアクリルアミド及びクエン酸を質量比100:7.9:22.9でプロパノール溶液に添加し、10min超音波処理し、その後にボールミルで8h研磨分散して第1の予備混合物を得、メジアン径100nmのナノアルミニウム、ポリアクリルアミド及びクエン酸を質量比48:3.5:12.9でプロパノール溶液に添加し、10min超音波処理し、その後にボールミルで5h研磨分散して第2の予備混合物を得、同時にメジアン径100nmのナノアルミニウム、ポリアクリルアミド及びクエン酸を質量比22:2.5:12.9でプロパノール溶液に添加し、10min超音波処理し、その後にボールミルで5h研磨分散して第3の予備混合物を得る工程(1)と、
第1の予備混合物を220℃で5h乾燥処理し、第1の前駆体を得、そして第1の前駆体にn-ペンタノール溶媒を添加して研磨し、2h分散し、第1の前駆体分散液を得、第1の前駆体分散液と第2の予備混合物の流速比を9:9に制御するように、第1の前駆体分散液と第2の予備混合物を混合装置に導入し、その後に280℃で4h乾燥処理した後に第2の前駆体を得る工程(2)と、
第2の前駆体と第3の予備混合物の流速比を8:5に制御するように、第2の前駆体と第3の予備混合物を混合装置に導入し、そして350℃で2h乾燥処理した後に第3の前駆体を得る工程(3)と、
第3の前駆体とグルコースを質量比100:55で混合し、その後に混合した材料を高温箱型炉に入れ、窒素ガスを導入し、950℃の条件で4h熱処理した後、粉砕し、500メッシュの篩を通過し、負極材料を得る工程(4)と、を含む。
【0133】
本実施例で製造された負極材料は、凝集体と、凝集体の表面を被覆する炭素層を含み、凝集体は、ナノアルミニウムと非晶質炭素を含み、ナノアルミニウムは、凝集体に対して49質量%であり、ナノアルミニウムの凝集体の表面での含有量が33質量%であり、ナノアルミニウムと非晶質炭素の合計質量比は0.96である。凝集体中のナノアルミニウムの含有量は、凝集体の中心から表面に向かって12.02質量%減少し、ナノアルミニウムと非晶質炭素の質量比は、凝集体の中心から表面に向かって2.0減少する。本実施例において、E-Fの値は2.0である。
凝集体のSEM断面の中心から表面に向かって、分光装置でEDS点分析を行い、凝集体中の異なる5箇所の活物質の含有量をそれぞれ45.02質量%、41.3質量%、38.5質量%、35.6質量%及び33.0質量%と測定する。
負極材料は、メジアン径が17.9μm、比表面積が1.95m2/gである。
【0134】
実施例9
本実施例では、前駆体を炭素被覆しなく、すなわち、工程(3)で前駆体を高温箱型炉に入れ、窒素ガスを導入し、950℃の条件で3h熱処理した後、粉砕し、500メッシュの篩を通過し、負極材料を得るという点で実施例1と相違する。
本実施例で製造された負極材料は、凝集体を含み、凝集体は、ナノシリコンと非晶質炭素を含み、ナノシリコンは、凝集体に対して65質量%であり、ナノシリコンの凝集体の表面での含有量が53質量%であり、ナノシリコンと非晶質炭素の合計質量比は1.86である。凝集体中のナノシリコンの含有量は、凝集体の中心から表面に向かって16.7質量%減少し、ナノシリコンと非晶質炭素の質量比は、凝集体の中心から表面に向かって1.18減少する。本実施例において、E-Fの値は1.18である。
【0135】
凝集体粒子の内部に任意の複数領域について試験を行い、試験領域を2μm×2μmの方形の領域とし、ナノシリコンの含有量(質量%)と非晶質炭素の含有量(質量%)との比をTとし、任意のテスト領域の中心位置のT
0
値を統計し、75回以内にT
0
が以下の関係を満たすと測定する。
T
0
≦2.37-1.18L1/L0
負極材料は、メジアン径が9.6μm、比表面積が5.2m2/gであり、水銀圧入法で凝集体粒子を試験し、凝集体の空孔率は2.1%である。ナノインデンターで凝集体粒子を試験することで、凝集体の押込み硬さが平均で149Mpaである。凝集体の測定密度と凝集体中のナノアルミニウム及び非晶質炭素の理論密度との差が1.8%である。
【0136】
実施例10
本実施例と実施例2との相違とは、工程(1)での第1の予備混合物、第2の予備混合物であり、本実施例の工程(1)において、メジアン径100nmのナノシリコン、アスペクト比22のSiO、ポリビニルピロリドン及びポリ塩化ビニルを質量比80:3:2:2.5でエチレングリコール溶液に添加し、10min超音波処理し、その後にボールミルで2h研磨分散して第1の予備混合物を得、メジアン径100nmのナノシリコン、アスペクト比22のSiO、ポリビニルピロリドン及びポリ塩化ビニルを質量比55:1.5:1:2.9でエチレングリコール溶液に添加し、10min超音波処理し、その後にボールミルで2h研磨分散して第2の予備混合物を得る。
本実施例で製造された負極材料は、凝集体と、凝集体の表面を被覆する炭素層を含み、凝集体は、ナノシリコン、SiOと非晶質炭素を含み、ナノシリコンは、凝集体に対して58質量%であり、ナノシリコンと非晶質炭素の合計質量比は1.49である。凝集体中のナノシリコンの含有量は、凝集体の中心から表面に向かって20.9質量%減少し、ナノシリコンと非晶質炭素の質量比は、凝集体の中心から表面に向かって1.23減少する。本実施例において、E-Fの値は1.23である。
【0137】
凝集体粒子の内部に任意の複数領域について試験を行い、試験領域を2μm×2μmの方形の領域とし、ナノシリコンの含有量(質量%)と非晶質炭素の含有量(質量%)との比をTとし、任意の試験領域の中心位置のT0値を統計し、93回以内にT0が以下の関係を満たすと測定する。
T0≦2.13-1.23L1/L0
負極材料は、メジアン径が13μm、比表面積が3.8m2/gであり、水銀圧入法で凝集体粒子を試験し、凝集体の空孔率は6.9%である。ナノインデンターで凝集体粒子を試験することで、凝集体の押込み硬さが平均で258Mpaである。凝集体の測定密度と凝集体中のナノシリコン、SiO粒子及び炭素材料の理論密度との差が1.2%である。
【0138】
実施例11
本実施例と実施例2との相違とは、工程(1)での第1の予備混合物、第2の予備混合物であり、本実施例の工程(1)において、メジアン径100nmのナノシリコン、アスペクト比15のNiSi合金、ポリビニルピロリドン及びポリ塩化ビニルを質量比100:4.5:2:2.5でエチレングリコール溶液に添加し、10min超音波処理し、その後にボールミルで2h研磨分散して第1の予備混合物を得、メジアン径100nmのナノシリコン、アスペクト比15のNiSi合金、ポリビニルピロリドン及びポリ塩化ビニルを質量比45:1:2.9でエチレングリコール溶液に添加し、10min超音波処理し、その後にボールミルで2h研磨分散して第2の予備混合物を得る。
【0139】
本実施例で製造された負極材料は、凝集体と、凝集体の表面を被覆する炭素層を含み、凝集体は、ナノシリコン、NiSi合金と非晶質炭素を含み、ナノシリコンは、凝集体に対して55質量%であり、ナノシリコンの凝集体の表面での含有量が42.8質量%であり、ナノシリコンと非晶質炭素の合計質量比は1.35である。凝集体中のナノシリコンの含有量は、凝集体の中心から表面に向かって24質量%減少し、ナノシリコンと非晶質炭素の質量比は、凝集体の中心から表面に向かって0.92減少する。本実施例において、E-Fの値は0.92である。
凝集体粒子の内部に任意の複数領域について試験を行い、試験領域を2μm×2μmの方形の領域とし、ナノシリコンの含有量(質量%)と非晶質炭素の含有量(質量%)との比をTとし、任意の試験領域の中心位置のT0値を統計し、55回以内にT0が以下の関係を満たすと測定する。
T0≦2.02-0.92L1/L0
負極材料は、メジアン径が11.6μm、比表面積が4.1m2/gである。水銀圧入法で凝集体粒子を試験し、凝集体の空孔率は2.5%である。ナノインデンターで凝集体粒子を試験することで、凝集体の押込み硬さが平均で378Mpaである。凝集体の測定密度と凝集体中のナノシリコン、NiSi合金及び炭素材料の理論密度との差が0.8%である。
【0140】
実施例12
本実施例と実施例1との相違とは、工程(1)での第1の予備混合物、第2の予備混合物であり、本実施例の工程(1)において、メジアン径100nmのナノシリコン、TiO2、FeSi2、ポリビニルピロリドン及びポリ塩化ビニルを質量比100:3:3.5:2:30でエチレングリコール溶液に添加し、10min超音波処理し、その後にボールミルで2h研磨分散して第1の予備混合物を得、メジアン径100nmのナノシリコン、ポリビニルピロリドン及びポリ塩化ビニルを質量比65:1:22.9でエチレングリコール溶液に添加し、10min超音波処理し、その後にボールミルで2h研磨分散して第2の予備混合物を得る。
【0141】
本実施例で製造された負極材料は、凝集体と、凝集体の表面を被覆する炭素層を含み、凝集体は、ナノシリコンと非晶質炭素を含み、ナノシリコンは、凝集体に対して45質量%であり、ナノシリコンの凝集体の表面での含有量が37.5質量%であり、ナノシリコンと非晶質炭素の合計質量比は0.98である。凝集体中のナノシリコンの含有量は、凝集体の中心から表面に向かって14.2質量%減少し、ナノシリコンと非晶質炭素の質量比は、凝集体の中心から表面に向かって0.85減少する。本実施例において、E-Fの値は0.85である。
【0142】
凝集体粒子の内部に任意の複数領域について試験を行い、試験領域を2μm×2μmの方形の領域とし、ナノシリコンの含有量(質量%)と非晶質炭素の含有量(質量%)との比をTとし、任意の試験領域の中心位置のT0値を統計し、100回以内にT0が以下の関係を満たすと測定する。
T0≦1.45-0.85L1/L0
負極材料は、メジアン径が12.5μm、比表面積が5.1m2/gであり、水銀圧入法で凝集体粒子を試験し、凝集体の空孔率は4.4%である。ナノインデンターで凝集体粒子を試験することで、凝集体の押込み硬さが平均で498Mpaであり、凝集体の測定密度と凝集体中のナノシリコン、TiO
2
、FeSi
2
及び炭素材料の理論密度との差が0.85%である。
【0143】
実施例13
添加剤を添加しない以外、実施例3とほぼ同様にして、負極材料を製造する。
本実施例で製造された負極材料は、凝集体と、凝集体の表面を被覆する炭素層を含み、凝集体は、ナノシリコンと非晶質炭素を含み、ナノシリコンは、凝集体に対して46質量%であり、ナノシリコンの凝集体の表面での含有量が27質量%であり、ナノシリコンと非晶質炭素の合計質量比は0.85である。凝集体中のナノシリコンの含有量は、凝集体の中心から表面に向かって28.5質量%減少し、ナノシリコンと非晶質炭素の質量比は、凝集体の中心から表面に向かって0.88減少する。本実施例において、E-Fの値は0.88である。
【0144】
凝集体粒子の内部に任意の複数領域について試験を行い、試験領域を2μm×2μmの方形の領域とし、ナノシリコンの含有量(質量%)と非晶質炭素の含有量(質量%)との比をTとし、任意の試験領域の中心位置のT0値を統計し、55回以内にT0が以下の関係を満たすと測定する。
T0≦1.29-0.88L1/L0
負極材料は、メジアン径が10.4μm、比表面積が2.8m2/gである。水銀圧入法で凝集体粒子を試験し、凝集体の空孔率は3.9%である。ナノインデンターで凝集体粒子を試験することで、凝集体の押込み硬さが平均で98Mpaである。凝集体の測定密度と凝集体中のナノシリコン及び炭素材料の理論密度との差が2.6%である。
【0145】
比較例1
第1の予備混合物のみを含む以外、実施例2とほぼ同様にして、負極材料を製造する。
メジアン径100nmのナノシリコン、ポリビニルピロリドン及びポリ塩化ビニルを質量比100:9:12.9でエチレングリコール溶液に添加し、10min超音波処理し、その後にボールミルで2h研磨分散して第1の予備混合物を得る工程(1)と、
第1の予備混合物を290℃で3h乾燥処理し、第1の前駆体を得、そして第1の前駆体にエタノール溶媒を添加して研磨し、8h分散し、第1の前駆体分散液を得、そして150℃で4h乾燥処理した後に第1の前駆体を得る工程(2)と、
【0146】
第1の前駆体とグルコースを質量比50:55で混合し、その後に混合した材料を高温箱型炉に入れ、窒素ガスを導入し、850℃の条件で3h熱処理した後、粉砕し、500メッシュの篩を通過し、負極材料を得る工程(3)と、を含む。
本比較例で製造された負極材料は、凝集体と、凝集体の表面を被覆する炭素層を含み、凝集体は、ナノシリコンと非晶質炭素を含み、非晶質炭素は、ナノシリコンの間に分散され、ナノシリコンは、凝集体に対して60質量%であり、ナノシリコンと非晶質炭素の含有量(質量%)の比は1.5である。
凝集体のSEM断面の中心から表面に向かって、分光装置でEDS点分析を行い、凝集体中の異なる4箇所の活物質の含有量をそれぞれ61.0質量%、59.3質量%、60.4質量%、58.8質量%及び61.4質量%と測定する。
負極材料は、メジアン径が12.8μm、比表面積が3.2m2/gである。
【0147】
測定方法
以下の方法で電気化学的サイクル性能を測定する。固形分が50%となるように、製造された負極材料、導電剤及び接着剤を質量比94:1:5で溶媒に溶解して混合し、銅箔集電体に塗布し、真空乾燥させ、負極シートを製造する。そして、従来の成熟した技術で製造された三元正極シート、1mol/LのLiPF6/エチレンカーボネート+ジメチルカーボネート+メチルエチルカーボネート(v/v=1:1:1)電解液、Celgard2400セパレータフィルム、ケースを従来の製造技術でリチウムイオン電池を得る。マイクロメーターでリチウムイオン電池の極片の初期厚さH0を測定する。リチウムイオン電池の充放電試験は、WuhanLANDelectronics社製LAND電池用測定システムで、常温条件で、0.2Cで定電流充放電し、充放電電圧を2.75~4.2Vとする。初回可逆容量、初回充電容量及び初回放電容量を得る。初回クーロン効率=初回放電容量/初回充電容量
50サイクル繰り返したとき、マイクロメーターでリチウムイオン電池の極片の厚さH1を測定し、(H1-H0)/H0×100%で50サイクル繰り返した後の膨張率を求めた。
【0148】
100サイクル繰り返し、放電容量をリチウムイオン電池の残容量として記録し、容量維持率=残容量/初期容量×100%である。上記性能測定結果は、下表で示される。
【0149】
【0150】
表1に示すように、実施例1~13で製造された負極材料は、活物質と炭素材料とを含む凝集体を含み、凝集体のコア中心に位置する活物質成分の割合が多く、炭素材料成分の割合が少なく、コア中心から離れた活物質成分の割合が次第に減少し、炭素材料成分の割合が次第に増加し、このような構造によって、活物質の膨張を凝集体の内部に留まるようにすること、活物質の膨張効果による表面の炭素層への破壊の回避、負極材料表面のSEI膜の安定性の向上、良好な表面界面安定性の付与に寄与し、それにより材料のサイクル安定性を向上させ、膨張率を低下させる。
ここで、実施例6において、負極材料の製造中に、第1の予備混合物と第2の予備混合物の流速比が小さすぎ、すなわち活物質濃度が高い第1の予備混合物と活物質濃度が低い第2の予備混合物を混合すると、活物質成分含有量の勾配範囲が縮小し、すなわちT値の分布範囲が縮小し、濃度勾配の差異が縮小し、活物質の膨張を凝集体の内部に留めることに不利であり、サイクル維持率がやや低下し、極片膨張効率が向上する。
【0151】
実施例8において、炭素源前駆体であるグルコースの添加量が多すぎることにより、最終的に製造された負極材料中の活物質の割合が減少し、負極材料の初回クーロン効率及びサイクル容量維持率が低下する。
実施例10~12において、金属酸化物及び導電性向上剤を含有する活物質材料は、より高い押込み硬さを有し、負極材料はサイクル容量維持率がより高く、体積膨張率がより低い。
実施例13において、負極材料の製造中に、添加剤を添加せず、活物質と炭素材料量体の安定性が悪いため、極片膨張率が高くなる。
比較例1において、負極材料の製造中に、第2の予備混合物を入れず、第1の予備混合物のみが存在し、製造された凝集体粒子の内部の活物質と炭素材料の成分の含有割合が単一であり、すなわち活物質の分布範囲が集中し易くなり、活物質の含有量(質量%)が中心から表面に向かって徐々に低下する規律、及び表面が内部よりも小さい規律が発現せず、負極材料の膨張率の抑制に不利である。
【0152】
以上より、好適な実施例を参照しながら本開示を開示したが、これらの内容は、特許請求の範囲を限定するものではない。当業者が本開示の主旨を逸脱せず、種々の可能な変更や変形を行うことができる。従って、本開示の保護範囲は、特許請求の範囲に限定される範囲に準じるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0153】
以上より、本開示により、活物質と炭素材料とを含む凝集体を含み、前記凝集体中の前記活物質の含有量(質量%)が前記凝集体の中心から表面に向かって漸減する負極材料及びその製造方法、並びにリチウムイオン電池を提供した。本開示に係る負極材料は、負極材料の体積膨張を効果的に抑制し、電池のサイクル特性を向上させることができる。