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特許7531877溶存酸素消費量測定装置および生物化学的酸素消費量予測方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】溶存酸素消費量測定装置および生物化学的酸素消費量予測方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/18 20060101AFI20240805BHJP
【FI】
G01N33/18 D
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2024061120
(22)【出願日】2024-04-04
【審査請求日】2024-04-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516073406
【氏名又は名称】株式会社総合水研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100158366
【弁理士】
【氏名又は名称】井戸 篤史
(74)【代理人】
【識別番号】110003801
【氏名又は名称】KEY弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】待田 裕美
(72)【発明者】
【氏名】三浦 哲也
(72)【発明者】
【氏名】千代丸 勝
【審査官】中村 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-121627(JP,A)
【文献】特公昭47-028080(JP,B1)
【文献】特開平06-242057(JP,A)
【文献】特開平10-160701(JP,A)
【文献】特開平04-027864(JP,A)
【文献】特開平09-089839(JP,A)
【文献】特開平08-145981(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/00-33/98
G01N 27/26-27/404
G01N 27/414-27/416
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の容器と、
サンプル液を供給するサンプル液供給流路と、
曝気用エアを供給するエア供給流路と、
前記サンプル液供給流路及び前記エア供給流路から選択的に供給される流体を前記容器内に供給する供給ノズルと、
前記容器に供給されたサンプル液の溶存酸素濃度を検出する溶存酸素センサと、
前記溶存酸素センサを保持するセンサアームと、
前記センサアームと一体に設けられ、前記供給ノズルを保持する供給アームと、
特定の位置に配された1つの前記容器に対して前記溶存酸素センサが挿入されるセンサ挿入位置と、前記特定の位置に配された1つの前記容器に対して前記供給ノズルが挿入されるノズル挿入位置との間で前記センサアームおよび前記供給アームを動作させることが可能なアーム駆動手段と、
を備える、溶存酸素消費量測定装置。
【請求項2】
前記容器の上面に、下方に向かって縮径するテーパ状の開口部が形成され、
前記溶存酸素センサの胴部に、下方に向かって縮径したテーパ状の栓が設けられ、
前記センサアームがセンサ挿入位置に配されるとき、前記容器の前記開口部に前記栓が隙間なく嵌合し、前記容器が密閉状態となる、
請求項に記載の溶存酸素消費量測定装置。
【請求項3】
複数の前記容器を所定間隔をおいて環状に保持するターンテーブルと、
前記ターンテーブルを回転駆動するターンテーブル駆動手段と、
制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記ターンテーブル駆動手段を介して複数の前記容器の何れかを前記特定の位置に配置した上で、前記アーム駆動手段を介して、前記供給アームをノズル挿入位置に配置する第1配置手段と、
前記特定の位置に配置した前記容器内にサンプル液を供給するとともに、前記特定の位置に配置した前記容器内に曝気用エアを供給するサンプル液・エア供給手段と、
前記アーム駆動手段を介して、前記センサアームをセンサ挿入位置に配置する第2配置手段と、
前記溶存酸素センサの出力情報に基づいて溶存酸素濃度を検出する検出手段と、
前記検出手段が検出した溶存酸素濃度から溶存酸素の消費量を測定する測定手段と、
を有する、
請求項に記載の溶存酸素消費量測定装置。
【請求項4】
洗浄水を供給する洗浄水供給流路をさらに備え、
前記供給ノズルは、前記サンプル液供給流路、前記エア供給流路、及び前記洗浄水供給流路から選択的に供給される流体を前記容器内に供給する、
請求項1に記載の溶存酸素消費量測定装置。
【請求項5】
請求項1~のいずれか一項に記載の溶存酸素消費量測定装置を用いる生物化学的酸素消費量予測方法であり、
前記容器にサンプル液を供給するステップと、
前記容器中のサンプル液を曝気するステップと、
曝気したサンプル液の所定期間内の溶存酸素量の変化を測定するステップと、
前記溶存酸素量の変化を基に前記サンプル液の生物化学的酸素消費量を予測するステップと、
を含む、
生物化学的酸素消費量予測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水の溶存酸素消費量を測定するために用いる溶存酸素消費量測定装置と、該装置を用いて生物化学的酸素消費量を予測する生物化学的酸素消費量予測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な水質指標の一つとして生物化学的酸素消費量(BOD)が知られている。BODは、水中の有機物などの量を、水中の微生物によって消費される溶存酸素の量で表したものである。一般に、BODの値が大きいほど、その水質は悪いと評価される。
【0003】
BODを測定する場合、密閉容器内の試料を20℃で5日間維持し、溶存酸素の消費量を求める。正常なBODを測定するために、1回目の溶存酸素濃度の測定結果と2回目の溶存酸素濃度の測定結果との差が3.5~6.2mg/Lの範囲になるように実施するように規定されており、当該要件を満たすために、測定開始前に試料を希釈する必要がある。
【0004】
試料の種類によってBODは様々な値をとり、希釈調整された試料の分析値(1回目の溶存酸素濃度の測定結果と2回目の溶存酸素濃度の測定結果との差)が規定された濃度範囲を外れた場合、改めて希釈調整および測定をやり直す必要が生じる。その結果、BODの測定結果を得るまでに余計な時間を費やすのはもちろん、長期間保管した後の試料を使用せざるを得ないため、本来のBOD値が得られないという問題が生じる。
【0005】
なお、特許文献1には、BODの測定結果を短期間に得るための技術が開示されている。同文献に開示された生物化学的酸素消費量の測定方法および測定装置は、短時間(例えば2時間)の間に試料中の好気性微生物が消費した溶存酸素の量を取得し、取得した溶存酸素の消費量に基づいて、試料のBOD値を予測するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2000-46823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1によると、試料に曝気処理を施して溶存酸素濃度を飽和させ、短時間で(例えば60分~120分後に)溶存酸素濃度の測定を行って得られた溶存酸素の消費量から、試料の適切な希釈率を把握することが可能とされている。
【0008】
ところで、溶存酸素消費量を測定すべき試料の種類が多い場合、1つ1つの試料の溶存酸素消費量の測定を効率的に行うことが必要となる。しかし、多数の試料の溶存酸素消費量を測定できる装置は、大型化し易いという問題がある。
【0009】
本発明は上記課題に鑑みて創案されたものであり、本発明の目的は、溶存酸素消費量測定装置において、多数の試料の溶存酸素消費量を効率的に測定でき、小型化を図りやすい溶存酸素消費量測定装置を提供することにある。また、本発明の他の目的は、本発明の溶存酸素消費量測定装置を用いて効率的に短時間でBOD値を予測することができる生物化学的酸素消費量予測方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1態様に係る溶存酸素消費量測定装置は、容器と、サンプル液を供給するサンプル液供給流路と、曝気用エアを供給するエア供給流路と、前記サンプル液供給流路及び前記エア供給流路から選択的に供給される流体を前記容器内に供給する供給ノズルと、前記容器に供給されたサンプル液の溶存酸素濃度を検出する溶存酸素センサと、を備える。
【0011】
かかる構成を備える溶存酸素消費量測定装置によれば、サンプル液供給流路及びエア供給流路から容器内にサンプル液及び曝気用エアが選択的に供給されるので、容器を移動させることなく同じ場所で容器にサンプル液と曝気用エアを供給でき、供給ノズルを移動させるための機構や構造を簡略化できる。その結果、多数の試料の溶存酸素消費量を効率的に測定でき、装置の小型化も図りやすくなる。
【0012】
本発明の第2態様に係る溶存酸素消費量測定装置は、第1態様に係る溶存酸素消費量測定装置において、前記容器を複数備えるとともに、前記溶存酸素センサを保持するセンサアームと、前記センサアームと一体に設けられ、前記供給ノズルを保持する供給アームと、特定の位置に配された1つの前記容器に対して前記溶存酸素センサが挿入されるセンサ挿入位置と、前記特定の位置に配された1つの前記容器に対して前記供給ノズルが挿入されるノズル挿入位置との間で前記センサアームおよび前記供給アームを動作させることが可能なアーム駆動手段と、を備える。
【0013】
本発明の第3態様に係る溶存酸素消費量測定装置は、第2態様に係る溶存酸素消費量測定装置において、前記容器の上面に、下方に向かって縮径するテーパ状の開口部が形成されている。前記溶存酸素センサの胴部に、下方に向かって縮径したテーパ状の栓が設けられている。前記センサアームがセンサ挿入位置に配されるとき、前記容器の前記開口部に前記栓が隙間なく嵌合し、前記容器が密閉状態となる。
【0014】
本発明の第4態様に係る溶存酸素消費量測定装置は、第3態様に係る溶存酸素消費量測定装置において、複数の前記容器を所定間隔をおいて環状に保持するターンテーブルと、前記ターンテーブルを回転駆動するターンテーブル駆動手段と、制御装置と、をさらに備える。前記制御装置は、前記ターンテーブル駆動手段を介して複数の前記容器の何れかを前記特定の位置に配置した上で、前記アーム駆動手段を介して、前記供給アームをノズル挿入位置に配置する第1配置手段と、前記特定の位置に配置した前記容器内にサンプル液を供給するとともに、前記特定の位置に配置した前記容器内に曝気用エアを供給するサンプル液・エア供給手段と、前記アーム駆動手段を介して、前記センサアームをセンサ挿入位置に配置する第2配置手段と、前記溶存酸素センサの出力情報に基づいて溶存酸素濃度を検出する検出手段と、前記検出手段が検出した溶存酸素濃度から溶存酸素の消費量を測定する測定手段と、を有する。
【0015】
本発明の第5態様に係る溶存酸素消費量測定装置は、第1態様に係る溶存酸素消費量測定装置において、洗浄水を供給する洗浄水供給流路をさらに備える。前記供給ノズルは、前記サンプル液供給流路、前記エア供給流路、及び前記洗浄水供給流路から選択的に供給される流体を前記容器内に供給する。
【0016】
本発明の第6態様に係る生物化学的酸素消費量予測方法は、第1態様~第5態様のいずれか一つの溶存酸素消費量測定装置を用いてサンプル液を曝気するステップと、曝気したサンプル液の所定期間内の溶存酸素量の変化を測定するステップと、前記溶存酸素量の変化を基に前記サンプル液の生物化学的酸素消費量を予測するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る溶存酸素消費量測定装置よれば、溶存酸素消費量を効率的に測定でき、装置の小型化が図り易くなる。また、本発明に係る生物化学的酸素消費量予測方法によれば、効率的にBODを予測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る溶存酸素消費量測定装置の斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る溶存酸素消費量測定装置の正面図である。
図3】本発明の実施形態に係る溶存酸素消費量測定装置の平面図である。
図4図3において制御ボックス13を省略して表した図である。
図5】容器の蓋部の開口部が栓部材によって閉塞されている状態を示す斜視図である。
図6】容器の蓋部の開口部が開放されている状態を示す斜視図である。
図7】栓取付部材がセンサアームの栓押動部によって押動される直前の状態を示す斜視図である。
図8】栓取付部材がセンサアームの栓押動部によって押動され、容器の蓋部の開口部が開放された状態を示す斜視図である。
図9】本発明の実施形態に係る溶存酸素消費量測定装置の斜視図である。
図10】アーム駆動手段を示す斜視図であって、供給ノズルが処理位置上にある状態を示す図である。
図11】アーム駆動手段を示す斜視図であって、センサノズルが処理位置上にある状態を示す図である。
図12】ドラムの一例を示す図である。
図13】制御装置によって実行される処理動作の一例を示すフローチャートである。
図14図13のサンプル液供給処理の詳細ステップを示すフローチャートである。
図15図13のDO検出処理の詳細ステップを示すフローチャートである。
図16図13の洗浄処理の詳細ステップを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態に係る溶存酸素消費量測定装置について、図面を参照しつつ説明する。
【0020】
図1図4に示すように、溶存酸素消費量測定装置1は、多数の容器2、ターンテーブル装置3、溶存酸素(DO)センサ4、センサアーム5、サンプル液供給流路7、エア供給流路8、洗浄水供給流路9、供給ノズル10、供給アーム11、アーム駆動手段12、制御装置、ベース板14等を備えている。
【0021】
容器2は、サンプル液供給流路7から供給されるサンプル液(試料)などを貯留する。本実施形態では12個の容器2が環状に等間隔に配置され、ターンテーブル装置3のターンテーブル15に保持されている。12個の容器2の内訳は、サンプル液を貯留するサンプル液用容器が10個、洗浄水を貯留するための洗浄水用容器2が1個、DOセンサ4を保管するためのDOセンサ保管用容器2が1個である。なお、容器2の個数および、容器2の用途の割り振りは上記に限定されず、適宜変更可能である。
【0022】
本実施形態における容器2は、図5および図6に示すように、底部が略半球状に形成され、胴部が円筒状に形成されている。また、容器2は、胴部の上縁にて形成される開口を閉塞する蓋部17を有する。蓋部17の一部に、開口部17aが形成されており、開口部17aは、栓部材18によって開閉可能に閉塞される。開口部17aの内周面は、下方に向かって縮径するテーパ状に形成され、栓部材18も下方に向かって縮径するテーパ状に形成されている。このため、開口部17aが栓部材18によって閉塞された容器2の内部は、気密性・液密性が確保される。容器2の底部には、内部の液体を排出するための排水口が形成されている。
【0023】
栓部材18は、図栓取付部材21に取り付けられており、栓取付部材21は、容器2の蓋部17に対してヒンジ21aを介して回動自在に取付られている。ヒンジ21aは、栓取付部材21の長手方向の途中部に設けられており、栓部材18は、栓取付部材21の一端部に取り付けられている。栓取付部材21の他端部を下方に押すと、栓取付部材21の一端側が上方へ回動し、その回動に伴って、栓部材18は開口部17aから離反する。一方、栓取付部材21の長手方向の他端部に対する下方への押す力が無くなると、ばね(不図示)の力によって、栓取付部材21の他端側が上方へ回動すると同時に、栓取付部材21の一端側が下方へ回動し、その一端側の回動に伴って栓部材18は開口部17aを閉塞する。栓取付部材21の他端部は、図7および図8に示すように、後述するセンサアーム5の栓押動部5b又は供給アーム11の栓押動部11bによって押動される。図7および図8に示す栓押動部5bは、センサアーム5の栓押動部5bであるが、供給アーム11の栓押動部11bもセンサアーム5の栓押動部5bと同様の形状を有する。
【0024】
なお、図1および図2に示すように、容器2の底部に形成された排水口に、排水を所望の場所に誘導する排水管19が接続されている。排水管19には、例えば透明材料からなるフレキシブルチューブを用いることができる。排水管19の途中部には、排水管19内の流路を開閉する開閉弁20が介設されている。本実施形態では、開閉弁20として、制御装置の指令に従って、排水管19内の流路を開閉する電磁弁が用いられる。図1および図2においては、1本の排水管19のみ図示し、その他の排水管19の図示を省略しているが、排水管19は全ての容器2の排水口に接続されている。
【0025】
ターンテーブル装置3は、ターンテーブル15、弁支持板16、ターンテーブル駆動手段(不図示)等を備えている。
【0026】
ターンテーブル15は、図1および図4に示すように、円盤状に形成され、12個の容器2を各別に嵌め込んで保持する保持穴(不図示)を有する。本実施形態では保持穴の個数は12個であるが、保持穴の個数は適宜変更してもよい。ターンテーブル15には、容器2から溢れ出た液体を排水するための排水穴(不図示)が設けられている。排水穴には排水管23が接続されている。排水管23はベース板14上の所定の場所に載置された排水受部22に排水を導くように配設されている。排水受部22には、排水をさらに別の場所に誘導するドレン管22aが接続されている。なお、図1および図2においては、1本の排水管23のみを図示し、その他の排水管23の図示を省略しているが、ターンテーブル15には多数の排水穴が回転方向に等間隔に設けられ、全ての排水穴に排水管23が接続されている。
【0027】
弁支持板16には、排水管19内の流路を開閉する開閉弁20が取り付けられている。弁支持板16は、複数の支柱24を介して、ターンテーブル15と上下に連結されている。このため、弁支持板16はターンテーブル15と一体に回転する。複数の支柱24はターンテーブル15の回転中心を中心とする仮想円上に等間隔に立設されている。
【0028】
ターンテーブル駆動手段は、電動モータ等により構成されており、制御装置の指令に従って、ターンテーブル15および弁支持板16を回転させる。
【0029】
DOセンサ4は、サンプル液の溶存酸素濃度を検出するための溶存酸素センサであり、胴部4aと、胴部4aの下端に配設されたDO電極4bとを有する。胴部4aの外周には、下方に向かって縮径したテーパ状の栓4cが固設されている。本実施形態で例示するDOセンサ4は、図11に示すように、胴部4aが、比較的小径の小胴部4a1と、小胴部4a1の上方に形成され、小胴部4a1より大径の大胴部4a2とで構成され、栓4cは小胴部4a1の方に固設されている。
【0030】
DOセンサ4によって、サンプル液の溶存酸素濃度を検出するとき、容器2にサンプル液が目一杯満たされた状態で、容器2の蓋部17に形成された開口部17aにDOセンサ4が下方に向かって挿入され、サンプル液の一部が容器2から溢れ出す状態で、DOセンサ4の栓4cが容器2の蓋部17の開口部17aに隙間なく嵌合し開口部17aが閉塞され、容器2が密閉状態となる。DOセンサ4の栓4cも、容器2の蓋部17の開口部17aも、下方に向かって縮径するテーパ状に形成されているため、容器2は、気密状態で密閉される。
【0031】
センサアーム5は、DOセンサ4を保持している。センサアーム5は、供給アーム11と一体に設けられており、供給アーム11と一体に回動および昇降する。図10および図11に示すように、センサアーム5は、水平方向に延びたアーム本体部5aと、アーム本体部5aの先端部から下方に延びた栓押動部5bとを有する。アーム本体部5aには、DOセンサ4を保持するセンサ保持部5cが形成されている。
【0032】
サンプル液供給流路7は、管材によって形成されている。管材として、例えば透明材料からなるフレキシブルチューブを用いることができる。サンプル液供給流路7の上流端は、例えば100mlのサンプル液の入ったボトル26に接続され、サンプル液供給流路7の下流端は、供給ノズル10に接続される。サンプル液供給流路7の途中に電動ポンプP1が介設されており、電動ポンプP1が駆動すると、ボトル26内のサンプル液が供給ノズル10側に圧送され、供給ノズル10から吐出される。
【0033】
エア供給流路8も管材によって形成されている。管材として、例えば透明材料からなるフレキシブルチューブを用いることができる。エア供給流路8の上流端は、電動エアポンプP2に接続され、エア供給流路8の下流端は、供給ノズル10に接続されている。電動エアポンプP2が駆動すると、曝気用エアが供給ノズル10から吐出される。
【0034】
洗浄水供給流路9も管材によって形成されている。管材として、例えば透明材料からなるフレキシブルチューブを用いることができる。洗浄水供給流路9の上流端は、洗浄水の入った洗浄水容器27の底部に接続され、洗浄水供給流路9の下流端は、供給ノズル10に接続されている。洗浄水供給流路9の途中に洗浄水供給流路9を開閉する開閉弁28が介設されている。洗浄水容器27は、供給ノズル10より高い位置に配置されており、開閉弁28が洗浄水供給流路9を開放すると、重力の作用により洗浄水容器27内の洗浄水が供給ノズル10側に流れ、供給ノズル10から容器2内に供給される。一方、開閉弁28が洗浄水供給流路9を閉塞すると、供給ノズル10から容器2内への洗浄水の供給が停止する。本実施形態では、開閉弁28として制御装置の指令に従って洗浄水供給流路9を開閉する電磁開閉弁が用いられている。
【0035】
供給ノズル10は、サンプル液供給流路7、エア供給流路8および洗浄水供給流路9から選択的に流体を供給する「選択供給手段」によって、選択的に供給される流体を容器2内に供給する。すなわち、サンプル液、洗浄水および曝気用エアの何れかの流体が供給ノズル10に供給され、供給ノズル10を通じて当該流体が容器2内に供給される。本実施形態では、供給ノズル10の近傍に容器2内の液体を撹拌する回転撹拌翼30が設置されている。回転撹拌翼30は、供給アーム11上に搭載された電動モータ31によって回転される回転軸31aの下端に設けられている。電動モータ31は、制御装置の指令に従って回転駆動する。
【0036】
上記「選択供給手段」は、本実施形態では、制御装置、電動ポンプP1、電動エアポンプP2、開閉弁28等によって構成される。例えば、サンプル液が供給ノズル10に供給される場合、制御装置によって、サンプル液供給流路7に設けられた電動ポンプP1が駆動され、エア供給流路8に空気を供給する電動エアポンプP2が停止状態とされ、洗浄水供給流路9に設けられた開閉弁28が閉弁状態とされる。曝気用エアが供給ノズル10に供給される場合、制御装置によって、サンプル液供給流路7に設けられた電動ポンプP1が停止状態とされ、エア供給流路8に空気を供給する電動エアポンプP2が駆動され、洗浄水供給流路9に設けられた開閉弁28が閉弁状態とされる。洗浄水が供給ノズル10に供給される場合、制御装置によって、サンプル液供給流路7に設けられた電動ポンプP1が停止状態とされ、エア供給流路8に空気を供給する電動エアポンプP2が停止状態とされ、洗浄水供給流路9に設けられた開閉弁28が開弁状態とされる。
【0037】
なお、「選択供給手段」の構成は上記に限定されず、様々な配管部材、機器類、バルブ類によって構成することが可能である。例えば、サンプル液供給流路7、エア供給流路8および洗浄水供給流路9の下流端と供給ノズル10との間に方向制御弁を介在させ、方向制御弁として、サンプル液供給流路7、エア供給流路8および洗浄水供給流路9の何れか1を選択的に供給ノズル10と連通させるものを選択供給手段として採用することも可能である。
【0038】
本実施形態においては、供給ノズル10は、1本のノズル管を用いて構成され、1本のノズル管にサンプル液供給流路7、エア供給流路8および洗浄水供給流路9が接続されているが、供給ノズル10として用いるノズル管は、3本で構成されていてもよい。ノズル管が3本で構成される場合、サンプル液供給流路7、エア供給流路8および洗浄水供給流路9の下流端にそれぞれノズル管を接続し、3本のノズル管が容器2の蓋部17の開口部17aに同時に挿入可能となるように、当該3本のノズル管を互いに平行に隣接配置することが望ましい。
【0039】
供給アーム11は、供給ノズル10を保持している。供給アーム11は、センサアーム5と一体に設けられており、センサアーム5と一体に回動および昇降する。図10および図11に示すように、供給アーム11は、水平方向に延びたアーム本体部11aと、アーム本体部11aの先端部から下方に延びた栓押動部11bとを有する。アーム本体部11aには、供給ノズル10を保持するノズル保持部11cが形成されている。供給アーム11とセンサアーム5は、上から視て互いに直角方向に延びており、互いの基端部が回転一体に結合されている。
【0040】
アーム駆動手段12は、センサアーム5および供給アーム11を昇降および回動させるために設けられている。アーム駆動手段12は、ターンテーブル15によって特定の回転位置(以下「処理位置」という。)に配された1つの容器2に対してDOセンサ4を挿入する「センサ挿入位置」(図9および図11参照)と、処理位置に配された1つの容器2に対して供給ノズル10を挿入する「ノズル挿入位置」(図10参照)との間でセンサアーム5および供給アーム11を動作させることができる。
【0041】
上記動作を実現するために、アーム駆動手段12は、電動ジャッキ装置35と、電動ジャッキ装置35によって昇降される昇降アーム36と、筒状の外周面に案内溝37が形成されたドラム38と、案内溝37に嵌入した被案内子39aと、先端部に被案内子39aが取り付けられ、基端部が不動部材に固定された被案内子支持部39と備える。
【0042】
電動ジャッキ装置35は、電動モータ42と、電動モータ42によって軸回転されるジャッキボルト35aと、ジャッキボルト35aと平行に配設された2本の案内軸35bと、ジャッキボルト35aの正逆方向への軸回転に伴って案内軸35bに案内され昇降する昇降部材35cとを備える。電動モータ42は、制御装置の指令に従って駆動し、昇降部材35cとともに、昇降部材35cに固定された昇降アーム36を昇降させる。
【0043】
昇降アーム36は、回動軸(不図示)を回転自在に支持しており、回動軸の上端部にセンサアーム5および供給アーム11の基端部が回転一体に取付られている。また、回動軸の下端部に、回動軸と同軸線を有するように配されたドラム38が固定されている。これにより、センサアーム5および供給アーム11は、ドラム38とともに正逆方向に一体に回動するようになっている。
【0044】
被案内子支持部39は、基端部が不動部材であるブラケット41に固定され、先端側が水平方向に延びている。被案内子支持部39の先端部に取付けられた被案内子39aは、ドラム38に形成された案内溝37に摺動自在に嵌入されている。図12に示すように、案内溝37は、互いに屈曲部を介して繋がった第1案内溝部371~第9案内溝部379により構成されている。
【0045】
第1案内溝部371は、ドラム38の上端部からドラム38の外周面の母線に沿って下方へ向かって形成されている。第1案内溝部371に被案内子39aが嵌入されているとき、供給ノズル10の先端部は、上から視て、「処理位置」にある容器2の開口部17aと同じ位置に配される。被案内子39aは、センサアーム5および供給アーム11が上昇すると、第1案内溝部371に沿ってその下方へ移動する。反対に、センサアーム5および供給アーム11が下降すると、被案内子39aは、第1案内溝部371に沿ってその上方へ移動する。センサアーム5および供給アーム11の下降動作には、下限位置が設定されており(制御装置は、下限位置を検出するためのセンサが下限位置を検出すると昇降アーム36の下降動作を停止させる。)、センサアーム5および供給アーム11が下限位置に到達すると供給ノズル10の先端部は、容器2の内部の所定位置に配される。
【0046】
第2案内溝部372は、ドラム38の外周面の母線に対して傾斜した方向に形成されており、その上端部が第1案内溝部371の下端部に屈曲部を介して接続されている。第2案内溝部372に被案内子39aが嵌入されているとき、供給ノズル10およびDOセンサ4の先端部は、容器2より高い位置に配される。第2案内溝部372に被案内子39aが嵌入されているときに、センサアーム5および供給アーム11が上昇すると、供給ノズル10の先端部は、上から視て、「処理位置」にある容器2の開口部17aから離反する方向に回動するとともに、DOセンサ4の先端部が当該開口部17aへ接近する方向に回動する。
【0047】
第3案内溝部373は、ドラム38の外周面の母線に沿って形成されており、その上端部が第2案内溝部372の下端部に屈曲部を介して接続されている。第3案内溝部373に被案内子39aが嵌入されているとき、供給ノズル10およびDOセンサ4の先端部は、容器2より高い位置に配される。第3案内溝部373に被案内子39aが嵌入されているとき、センサアーム5および供給アーム11は回動することなく昇降する。
【0048】
第4案内溝部374は、ドラム38の外周面の母線に対して傾斜した方向に形成されており、その上端部が第3案内溝部373の下端部に屈曲部を介して接続されている。第4案内溝部374に被案内子39aが嵌入されているとき、供給ノズル10およびDOセンサ4の先端部は、容器2より高い位置に配される。第4案内溝部374に被案内子39aが嵌入されているときに、センサアーム5および供給アーム11が上昇すると、供給ノズル10の先端部は、上から視て、「処理位置」にある容器2の開口部17aから離反する方向に回動するとともに、DOセンサ4の先端部は、当該開口部17aへ接近する方向に回動する。
【0049】
第5案内溝部375は、ドラム38の外周面の母線に沿って形成されており、その途中部が第4案内溝部374の下端部と接続されている。第5案内溝部375に被案内子39aが嵌入されているとき、供給ノズル10およびDOセンサ4の先端部は、容器2より高い位置に配される。第5案内溝部375に被案内子39aが嵌入されているとき、センサアーム5および供給アーム11は回動することなく昇降する。
【0050】
第6案内溝部376は、ドラム38の外周面の母線に沿って形成されており、その下端部が第5案内溝部375の上端部に屈曲部を介して接続されている。また、第6案内溝部376の下端部は、後述する第9案内溝部379の上端部に屈曲部を介して接続されている。第6案内溝部376に被案内子39aが嵌入されているとき、供給ノズル10およびDOセンサ4の先端部は、容器2より高い位置に配される。第6案内溝部376に被案内子39aが嵌入されているとき、センサアーム5および供給アーム11は回動することなく昇降する。
【0051】
第7案内溝部377は、ドラム38の外周面の母線に対して傾斜した方向に形成されており、その下端部が第6案内溝部376の上端部に屈曲部を介して接続されている。第7案内溝部377に被案内子39aが嵌入されているとき、供給ノズル10およびDOセンサ4の先端部は、容器2より高い位置に配される。第7案内溝部377に被案内子39aが嵌入されているときに、センサアーム5および供給アーム11が下降すると、供給ノズル10の先端部は、上から視て、「処理位置」にある容器2の開口部17aから離反する方向に回動するとともに、DOセンサ4の先端部が当該開口部17aへ接近する方向に回動する。逆に、第7案内溝部377に被案内子39aが嵌入されているときに、センサアーム5および供給アーム11が上降すると、供給ノズル10の先端部は、上から視て、「処理位置」にある容器2の開口部17aへ接近する方向に回動するとともに、DOセンサ4の先端部が当該開口部17aから離反する方向に回動する。
【0052】
第8案内溝部378は、ドラム38の上端部からドラム38の外周面の母線に沿って下方へ形成されている。第8案内溝部378の下端部は、屈曲部を介して第7案内溝部377の上端部に接続されている。第8案内溝部378に被案内子39aが嵌入されているとき、DOセンサ4の先端部は、上から視て、「処理位置」にある容器2の開口部17aと同じ位置に配される。センサアーム5および供給アーム11が上昇すると、被案内子39aは、第8案内溝部378に沿ってその下方へ移動する。反対に、センサアーム5および供給アーム11が下降すると、被案内子39aは、第8案内溝部378に沿ってその上方へ移動する。センサアーム5および供給アーム11の下降動作には、下限位置が設定されており(制御装置は、下限位置検出センサが下限位置を検出すると昇降アーム36の下降動作を停止させる。)、センサアーム5および供給アーム11が下限位置に到達するとDOセンサ4の先端部は、容器2の内部に挿入される。
【0053】
第9案内溝部379は、ドラム38の外周面の母線に対して傾斜した方向に形成されており、その上端部が第6案内溝部376の下端部に屈曲部を介して接続され、その下端部が第3案内溝部373の途中部に接続されている。第9案内溝部379に被案内子39aが嵌入されているとき、供給ノズル10およびDOセンサ4の先端部は、容器2より高い位置に配される。第9案内溝部379に被案内子39aが嵌入されているときに、センサアーム5および供給アーム11が下降すると、供給ノズル10の先端部は、上から視て、「処理位置」にある容器2の開口部17aから離反する方向に回動するとともに、DOセンサ4の先端部が当該開口部17aへ接近する方向に回動する。逆に、第9案内溝部379に被案内子39aが嵌入されているときに、センサアーム5および供給アーム11が上降すると、供給ノズル10の先端部は、上から視て、「処理位置」にある容器2の開口部17aへ接近する方向に回動するとともに、DOセンサ4の先端部が当該開口部17aから離反する方向に回動する。
【0054】
なお、第1案内溝部371、第3案内溝部373、第5案内溝部375、第6案内溝部376および第8案内溝部378は、何れもドラム38の外周面の母線に沿って形成されているが、これらの案内溝部の周方向の位置関係は、上から視て、時計回りに、第1案内溝部371、第3案内溝部373、第6案内溝部376、第5案内溝部375、第8案内溝部378の順となっている。
【0055】
制御装置は、例えば、OS(オペレーションシステム)および所定のアプリケーションプログラムが組み込まれたコンピュータと、制御ボックス13とを含んで構成される。コンピュータは、キーボード、マウス等のユーザインターフェースと、モニタ等の出力装置とを備える。制御装置は、各種の入力情報(動作する各部材の位置を検出するセンサ情報等を含む)および予め定められた手順に基づいて、電動ポンプP1、電動エアポンプP2、開閉弁28、電動モータ31,42等の動作を制御する。
【0056】
次に、制御装置によって実行される処理動作の一例を、図13図16に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0057】
先ず、準備段階として、ユーザにより、溶存酸素消費量を測定するサンプル液の入ったボトル26が1つ又は複数用意され、何れか1つのボトル26にサンプル液供給流路7の上流端が挿入される。
【0058】
つぎに、ユーザの操作によって、制御装置が起動され、起動した制御装置に対して条件設定のための操作がなされる(ST1)。設定される条件として、例えば、溶存酸素の飽和濃度、使用する容器2の個数、使用する容器2のターンテーブル15上のポジション情報(1番、2番、3番、・・・)、各容器2にそれぞれ供給するサンプル液に関する情報などが挙げられる。本実施形態では使用する容器2の個数として10が設定されるものとする。また、ターンテーブル15において容器2を保持する12個のポジションのうち、連続した1番~10番目のポジションに保持された容器2にサンプル液が供給されるものとする。制御装置の起動時の初期状態では、図11に示すように、被案内子39aは、ドラム38の第8案内溝部378の上端部近傍に嵌入されており、DOセンサ4の先端部は、「処理位置」に配されたDOセンサ保管用容器(図11において不図示)に挿入されている。
【0059】
つぎに、ユーザは制御装置に対して、「自動モード」と「手動モード」の切替え操作を行う(ST2)。「手動モード」が選択された場合(ST3:NO)、溶存酸素消費量測定装置1に備わっている各種のアクチュエータ(例えば電動ポンプP1、電動エアポンプP2、電動モータ31,42、ターンテーブル駆動手段など)およびバルブ類(例えば開閉弁28など)を手動で作動させることが可能となる。
【0060】
一方、「自動モード」が選択された場合(ST3:YES)、ボトル26から容器2にサンプル液を供給するための処理(以下「サンプル液供給処理」ともいう。)が実行される(ST4)。
【0061】
「サンプル液供給処理」において、制御装置は、電動ジャッキ装置35の電動モータ31を駆動して、昇降アーム36を上昇させる。昇降アーム36の上昇に伴って、センサアーム5、供給アーム11およびドラム38も上昇し(ST11)、被案内子39aは、第8案内溝部378、第7案内溝部377、第6案内溝部376、第9案内溝部379、第3案内溝部373を通過した後、第3案内溝部373と第4案内溝部374の間位置(以下「原点位置S」ともいう。)に到達する。被案内子39aが原点位置Sに到達すると、所定の位置検出センサから当該到達を知らせる情報が制御装置へ送出され、当該情報を受信した制御装置は、直ちに、昇降アーム36、センサアーム5、供給アーム11等の上昇動作を停止させる。被案内子39aが案内溝37の原点位置Sにあるとき、センサアーム5および供給アーム11は、図1および図2に示すような位置をとり、DOセンサ4および供給ノズル10の先端部が、容器2の蓋部17より高い位置に配され、DOセンサ4および供給ノズル10の栓押動部5b,11bも栓取付部材21より高い位置に配される。
【0062】
つぎに、制御装置は、ターンテーブル15上のポジション情報が処理対象となるN番(初期値はN=1)となる位置に配置された容器2が「処理位置」に来るように、ターンテーブル駆動手段(不図示)を介してターンテーブル15を回転させる(ST12)。
【0063】
つぎに、制御装置は、電動ジャッキ装置35の電動モータ31を駆動して、昇降アーム36を下降させる。昇降アーム36の下降に伴って、センサアーム5、供給アーム11およびドラム38も下降する(ST13)。このとき、被案内子39aは、「原点位置S」から第3案内溝部373および第2案内溝部372を経由して第1案内溝部371を通過する。そして、被案内子39aが、第1案内溝部371の上端部近傍にある所定位置(以下「供給ノズル挿入対応位置371a」)に到達すると、所定の位置検出センサから当該到達を知らせる情報が制御装置へ送出され、当該情報を受信した制御装置は、直ちに電動ジャッキ装置35の電動モータ31を停止して昇降アーム36の下降動作を停止させる。なお、被案内子39aが案内溝37の「供給ノズル挿入対応位置371a」にあるとき、供給アーム11は、図10に示すような位置をとり、図7および図8に示すように、供給アーム11の栓押動部11bが当該位置に到達する直前に栓取付部材21を下方へ押動することで開放された蓋部17の開口部17aに供給ノズル10の先端部が挿入される。
【0064】
つぎに、制御装置は、ボトル26に入ったサンプル液を容器2に供給するための処理を実行する(ST14)。具体的には、制御装置は、サンプル液供給流路7に設けられた電動ポンプP1を駆動することにより、ボトル26に入ったサンプル液を供給ノズル10に供給し、供給ノズル10を通じてサンプル液が容器2内に供給される。このとき、エア供給流路8に空気を供給する電動エアポンプP2は停止状態とされ、洗浄水供給流路9に設けられた開閉弁28は閉弁状態とされる。
【0065】
つぎに、制御装置は、容器2内のサンプル液に曝気用エアを供給するための処理を実行する(ST15)。具体的には、制御装置は、エア供給流路8に空気を供給する電動エアポンプP2を駆動することにより、曝気用エアを供給ノズル10に供給し、供給ノズル10を通じて容器2内のサンプル液に曝気用エアが供給される。このとき、サンプル液供給流路7に設けられた電動ポンプP1は停止状態とされ、洗浄水供給流路9に設けられた開閉弁28は閉弁状態とされる。なお、曝気用エアの供給は、容器2内のサンプル液の溶存酸素濃度が飽和するのに十分な時間(例えば8分間)行われる。また、制御装置は、曝気用エアを供給するための処理とともに、ターンテーブル15上の処理対象ポジション情報Nに1を加算する。
【0066】
つぎに、制御装置は、さらに他の容器2にもサンプル液を供給する必要があるか否かを判断する。具体的には、制御装置が、処理対象ポジション情報Nが「使用する容器2の個数(本実施形態では10)」に達していないと判断した場合に、他の容器2にもサンプル液を供給する必要があると判断し、処理対象ポジション情報Nが「使用する容器2の個数(本実施形態では10)」に達している場合、他の容器2にもサンプル液を供給する必要が無いと判断する。
【0067】
制御装置は、さらに他の容器2にもサンプル液を供給する必要があると判断した場合、前記ST11~ST15の処理動作を繰り返し実行する。但し、サンプル液供給処理を連続して実行する場合は、前記ST11において被案内子39aが通過する経路が既述したものと若干異なる。すなわち、前記ST11において、センサアーム5、供給アーム11およびドラム38を上昇させるとき、被案内子39aは、第1案内溝部371から、第2案内溝部372、第3案内溝部373を通過して、「原点位置S」に到達する。なお、各容器2に供給すべきサンプル液がそれぞれ異なるものである場合は、サンプル液供給流路7の上流端を別のサンプル液が入ったボトル26に差し替える作業が必要となる。
【0068】
一方、制御装置が、さらに他の容器2にもサンプル液を供給する必要が無いと判断した場合、続いて、各容器2に供給したサンプル液の溶存酸素濃度を検出するための処理(以下「DO検出処理」ともいう。)を開始するとともに(ST5)、ターンテーブル15上の処理対象ポジション情報Nを1に戻す。なお、本実施形態では、「使用する容器2の個数」が10個であり、1個の容器2に対して前記ST11~ST15の処理動作を行うのに約10分を費やし、10個の容器2にサンプル液の供給および曝気処理を行うために約100分の時間を費やす。
【0069】
「DO検出処理」において、制御装置は、電動ジャッキ装置35の電動モータ31を駆動して、昇降アーム36を上昇させる。昇降アーム36の上昇に伴って、センサアーム5、供給アーム11およびドラム38も上昇し(ST21)、被案内子39aは、第1案内溝部371から出発して、第2案内溝部372、第3案内溝部373、第4案内溝部374を通過する。そして、被案内子39aが、第5案内溝部375の所定の位置(以下「アーム切替位置T」ともいう。)に到達すると、所定の位置検出センサから当該到達を知らせる情報が制御装置へ送出され、当該情報を受信した制御装置は、直ちに、電動ジャッキ装置35の昇降アーム36の上昇動作を停止させる。なお、被案内子39aが案内溝37のアーム切替位置Tにあるとき、DOセンサ4および供給ノズル10の先端部は、容器2の蓋部17より高い位置に配され、DOセンサ4および供給ノズル10の栓押動部5b,11bも栓取付部材21より高い位置に配される。
【0070】
つぎに、制御装置は、ターンテーブル15上のポジション情報が処理対象となるN番となる位置に配置された容器2が「処理位置」に来るように、ターンテーブル駆動手段(不図示)を介してターンテーブル15を回転させる(ST22)。
【0071】
つぎに、制御装置は、電動ジャッキ装置35の電動モータ31を駆動して、昇降アーム36を下降させる。昇降アーム36の下降に伴って、センサアーム5、供給アーム11およびドラム38も下降する(ST23)。このとき、被案内子39aは、「アーム切替位置T」から第5案内溝部375、第6案内溝部376、第7案内溝部377、第8案内溝部378を通過する。そして、被案内子39aが、第8案内溝部378の所定位置(以下「センサ挿入位置378a」)に到達すると、所定の位置検出センサから当該到達を知らせる情報が制御装置へ送出され、当該情報を受信した制御装置は、直ちに、昇降アーム36の下降動作を停止させる。被案内子39aが案内溝37の「センサ挿入対応位置378a」にあるとき、センサアーム5は、図4図9および図11に示すような状態となり、センサアーム5の栓押動部5bが栓取付部材21を下方へ押動することで開放された蓋部17の開口部17aにDOセンサ4の先端部(DO電極4b)が挿入される。
【0072】
つぎに、制御装置は、DOセンサ4から受信する情報に基づいて処理位置にある容器2内のサンプル液の溶存酸素濃度を検出し、検出した溶存酸素濃度を予め設定登録された溶存酸素の飽和濃度から差し引いて溶存酸素の消費量を測定する(ST24)。この溶存酸素の消費量の測定は、当該容器2内のサンプル液に対して曝気処理が施された後、予め設定された時間が経過する時(本実施形態では約100分後)に実施される。測定された溶存酸素の消費量は、制御装置に記憶され、ユーザの所定操作によって制御装置のモニタ等に表示等することができる。このとき、各容器2の溶存酸素消費量は、ターンテーブル15におけるポジション情報や、予めユーザによって登録されたサンプル液に関する情報と対応付けて表示させてもよい。
【0073】
そして、制御装置は、処理位置にある容器2内のサンプル液の溶存酸素濃度の測定が完了すると、電動ジャッキ装置35の電動モータ31を駆動して、昇降アーム36を上昇させる。昇降アーム36の上昇に伴って、センサアーム5、供給アーム11およびドラム38も上昇し(ST25)、被案内子39aは、第8案内溝部378の「センサ挿入対応位置378a」から出発して、第7案内溝部377、第6案内溝部376、第9案内溝部379、第3案内溝部373を通過する。そして、被案内子39aが、第4案内溝部374の「原点位置S」に到達すると、所定の位置検出センサから当該到達を知らせる情報が制御装置へ送出され、制御装置は、直ちに、電動ジャッキ装置35の昇降アーム36の上昇動作を停止させる。
【0074】
つぎに、制御装置は、処理位置に配された容器2内のサンプル液を容器2から排水するための処理を行う(ST26)。具体的には、処理位置に配された容器2の底部に接続された排水管19の流路を開閉する開閉弁20を閉状態から開状態へ切り替えることにより、当該容器2内のサンプル液を排水する。
【0075】
つぎに、制御装置は、さらに他の容器2に入ったサンプル液の溶存酸素濃度も測定する必要があるか否かを判断する。具体的には、制御装置が、処理対象ポジション情報Nが「使用する容器2の個数(本実施形態では10)」に達していないと判断した場合に、他の容器2に入ったサンプル液の溶存酸素濃度も測定する必要があると判断し、処理対象ポジション情報Nが「使用する容器2の個数(本実施形態では10)」に達している場合、他の容器2に入ったサンプル液の溶存酸素濃度も測定する必要が無いと判断する。
【0076】
制御装置が他の容器2に入ったサンプル液の溶存酸素濃度も測定する必要があると判断した場合、前記ST21~ST26の処理動作を他の容器2対して繰り返し実行する。但し、DO検出処理を連続して実行する場合は、前記ST21において被案内子39aが通過する経路が既述したものと若干異なる。すなわち、前記ST21において、センサアーム5、供給アーム11およびドラム38を上昇させるとき、被案内子39aは、「原点位置S」から第5案内溝部375に入り、「アーム切替位置T」に到達する。
【0077】
一方、制御装置が、さらに他の容器2に入ったサンプル液の溶存酸素濃度も測定する必要が無いと判断した場合、制御装置は、DOセンサ4を洗浄するための処理(以下「DOセンサ洗浄処理」ともいう。)を開始する(ST6)。
【0078】
「DOセンサ洗浄処理」において、制御装置は、被案内子39aが「原点位置S」に配されていない場合は、センサアーム5および供給アーム11を上昇させて(ST31)、被案内子39aが「原点位置S」に配された状態とする。
【0079】
つぎに、制御装置は、予め設定されたターンテーブル15の11番目のポジションにある容器2(洗浄用容器)が「処理位置」に来るように、ターンテーブル駆動手段(不図示)を介してターンテーブル15を回転させる(ST32)。
【0080】
つぎに、制御装置は、電動ジャッキ装置35の電動モータ31を駆動して、昇降アーム36を下降させる。昇降アーム36の下降に伴って、センサアーム5、供給アーム11およびドラム38も下降する(ST33)。このとき、被案内子39aは、第4案内溝部374の「原点位置S」から第3案内溝部373、第7案内溝部377を通過する。そして、被案内子39aが、第7案内溝部377の「供給ノズル挿入対応位置371a」に到達すると、制御装置は、直ちに、昇降アーム36の下降動作を停止させる。このとき、センサアーム5の栓押動部5bが栓取付部材21を下方へ押動することで開放された洗浄用容器の蓋部17の開口部17aに供給ノズル10の先端部が挿入される。
【0081】
つぎに、制御装置は、洗浄水容器27に入った洗浄水を洗浄水用容器2に供給するための処理を実行する(ST34)。具体的には、制御装置は、洗浄水供給流路9に設けられた開閉弁28を開弁することにより、洗浄水容器27に入った洗浄水を供給ノズル10に供給し、供給ノズル10を通じて容器2内に洗浄水が供給される。このとき、電動ポンプP1および電動エアポンプP2は、停止している。
【0082】
つぎに、制御装置は、電動ジャッキ装置35の電動モータ31を駆動して、昇降アーム36を上昇させる。昇降アーム36の上昇に伴って、センサアーム5、供給アーム11およびドラム38も上昇する(ST35)。このとき、被案内子39aは、第1案内溝部371から、第2案内溝部372、第3案内溝部373、第4案内溝部374を通過して、第5案内溝部375の「アーム切替位置T」に到達し、被案内子39aが「アーム切替位置T」に到達すると制御装置は、昇降アーム36の上昇を停止する。
【0083】
つぎに、制御装置は、電動ジャッキ装置35の電動モータ31を駆動して、昇降アーム36を下降させる。昇降アーム36の下降に伴って、センサアーム5、供給アーム11およびドラム38も下降する。このとき、被案内子39aは、第5案内溝部375の「アーム切替位置T」から、第6案内溝部376、第7案内溝部377を通過して、第8案内溝部378の「センサ挿入対応位置378a」に到達し、被案内子39aが「センサ挿入対応位置378a」に到達すると制御装置は、昇降アーム36の下降を停止する。このとき、センサアーム5の栓押動部5bが栓取付部材21を下方へ押動することで開放された洗浄水用容器2の蓋部17の開口部17aにDOセンサ4の先端部(DO電極4b)が挿入される(ST36)。
【0084】
制御装置は、DOセンサ4の先端部(DO電極4b)を洗浄水用容器2に一定時間挿入しておくことにより、DOセンサ4の先端部を洗浄し(ST37)、上記の一定時間が経過した後、電動ジャッキ装置35の電動モータ31を駆動して、昇降アーム36を上昇させる。昇降アーム36の上昇に伴って、センサアーム5、供給アーム11およびドラム38も上昇し(ST38)、被案内子39aは、第8案内溝部378の「センサ挿入対応位置378a」から出発して、第7案内溝部377、第6案内溝部376、第9案内溝部379、第3案内溝部373を通過する。そして、被案内子39aが、第4案内溝部374の「原点位置S」に到達すると、所定の位置検出センサから当該到達を知らせる情報が制御装置へ送出され、制御装置は、直ちに、電動ジャッキ装置35の昇降アーム36の上昇動作を停止させる。
【0085】
最後に、制御装置は、処理位置に配された洗浄水用容器2内の洗浄水を容器2から排水するための処理を行う(ST39)。具体的には、処理位置に配された洗浄水用容器2の底部に接続された排水管19の流路を開閉する開閉弁20を閉状態から開状態へ切り替えることにより、洗浄水用容器2内の洗浄水を排水する。
【0086】
以上に説明した溶存酸素消費量測定装置1によれば、処理位置に配された容器2にサンプル液、曝気用エアおよび洗浄水が選択的に供給されるので、容器2を移動させることなく同じ場所で容器2にサンプル液、曝気用エア、洗浄水を供給でき、供給ノズル10を移動させるための機構や構造も簡易なものとすることができる。その結果、容易に装置1の小型化を図ることができる。
【0087】
また、案内溝37が形成されたドラム38と、センサアーム5および供給アーム11の回動中心となる軸を同軸上に連結し、不動部材に固定された被案内子支持部39に取り付けられた被案内子39aを案内溝37に摺動自在に嵌入したことにより、センサアーム5および供給アーム11の昇降動作と回動動作を機械的に連動させることができるので、複数のアクチュエータを必要とすることなく1つのアクチュエータ(電動モータ42)によって、センサアーム5および供給アーム11に昇降動作と回動動作を行わせることができる。その結果、装置1の小型化を図ることができる。
【0088】
次に、本発明の実施形態に係る生物化学的酸素消費量予測方法について説明する。本発明の生物化学的酸素消費量(BOD)予測方法は、溶存酸素消費量測定装置1を用いてサンプルの溶存酸素消費量を測定するステップを含む。実施例において詳述するが、溶存酸素酸素消費量測定装置1により測定された溶存酸素消費量は、サンプルのBODと高い相関を示すことが明らかとなった。
【0089】
一実施形態に係る生物化学的酸素消費量予測方法は、サンプル液供給流路7を介して容器2にサンプル液を供給するステップと、エア供給流路8を介して容器2にエアを供給してサンプル液を曝気するステップと、溶存酸素(DO)センサ4を用いて曝気したサンプル液の所定期間内の溶存酸素量の変化を測定するステップと、測定した溶存酸素量を基にサンプル液のBODを予測するステップと、を含む。
【0090】
サンプル液供給流路7を介して容器2にサンプル液を供給するステップにおいては、ボトル26に収容されたサンプル液が、供給ノズル10を通じて容器2内に供給される。続くステップでは、容器2内のサンプル液にエア供給流路8を介して曝気用エアが供給される。本ステップでは、曝気によってサンプル液の溶存酸素量を飽和又は飽和に近い状態になればよく、曝気量や曝気時間等の曝気条件は適宜調整され得るが、時間短縮の観点から、曝気時間は短い方が好ましい。具体的には、曝気時間は、300秒~1000秒であり得、400秒~600秒であり得る。
【0091】
続くステップでは、DOセンサ4を用いて、曝気したサンプル液の所定期間内の溶存酸素量の変化が測定される。前述したように、DOセンサ4の胴部4aの外周には下方に向かって縮径したテーパ状の栓4cが備わっており、栓4cは、容器2の開口部17と隙間なく嵌合し得るため、DOセンサ4による測定は、容器がサンプル液で満たされ、且つ気密状態で行われる。したがって、空気中の酸素の影響を排除した環境下で、サンプル液の溶存酸素量を正確に測定することができる。
【0092】
溶存酸素量の変化、すなわち溶存酸素消費量は、測定開始時に得られた溶存酸素量から、測定終了時に得られた溶存酸素量を差し引くことで求められる。溶存酸素消費量の測定時間は、BODの予測が可能である限り、短い方が好ましい。具体的には、測定時間は、5分~3時間であり得、15分~2.5時間であり得、30分~2時間であり得る。
【0093】
測定した溶存酸素消費量を基にサンプル液のBODを予測するステップでは、予め設定された近似式により、溶存酸素消費量をBOD値に換算することで、BODの予測値を得ることができる。溶存酸素消費量は、一定期間内の溶存酸素消費量であり、溶存酸素消費速度であってもよい。
【実施例
【0094】
溶存酸素消費量測定装置1を用いたBOD予測方法について、実施例を参照して、さらに詳細に説明する。BOD値が9~123mg/Lの範囲にあるサンプル液6検体を用いて、溶存酸素消費量とBOD値との相関を明らかにした。サンプル液を容器2に供給し、10分間曝気した。曝気後のサンプル液の温度は20℃、DOは9.08±0.12mg/L(平均値±標準偏差)であり、全てのサンプル液で溶存酸素が飽和に近い値を示した。
【0095】
DOセンサ4を用いて、容器2がサンプル液で満たされた、且つ気密状態での、開始時、30分、60分、及び120分経過時のサンプル液の溶存酸素量を測定した。30分、60分、及び120分経過時における溶存酸素消費速度(mg/L/時間)を算出し、BODとの相関を調べた。結果を表1に示す。決定係数(R値)は、いずれも0.5を越え、特に60分及び120分経過時の消費速度とBODとは、0.8以上の極めて高い相関が得られた。以上のことから、溶存酸素消費量測定装置1を用いてサンプル液の溶存酸素消費量を測定することで、サンプル液のBOD値が極めて短時間且つ極めて高い精度で予測され得ることが示された。
【0096】
【表1】
【符号の説明】
【0097】
1 溶存酸素消費量測定装置
2 容器
4 DOセンサ(溶存酸素センサ)
4a 胴部
4c 栓
5 センサアーム
7 サンプル液供給流路
8 エア供給流路
9 洗浄水供給流路
10 供給ノズル
11 供給アーム
12 アーム駆動手段
13 制御ボックス
15 ターンテーブル
17a 開口部
【要約】
【課題】多数の試料の溶存酸素消費量を効率的に測定でき、小型化を図りやすい溶存酸素消費量測定装置を提供すること。
【解決手段】容器2と、サンプル液を供給するサンプル液供給流路7と、曝気用エアを供給するエア供給流路8と、サンプル液供給流路7及びエア供給流路8から選択的に供給される流体を容器2内に供給する供給ノズル10と、容器2に供給されたサンプル液の溶存酸素濃度を検出する溶存酸素センサ4と、を備える溶存酸素消費量測定装置1。
【選択図】図1
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