(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】コンテナ
(51)【国際特許分類】
B65D 6/18 20060101AFI20240805BHJP
【FI】
B65D6/18 A
(21)【出願番号】P 2020187128
(22)【出願日】2020-11-10
【審査請求日】2023-09-19
(73)【特許権者】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】岩田 貴雄
【審査官】森本 哲也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0144909(US,A1)
【文献】特開2005-096815(JP,A)
【文献】特開2009-018827(JP,A)
【文献】特開2005-104490(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 6/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナの一側壁の少なくとも一部である第1側壁部の外面又は内面に、その面に沿って移動可能なロック解除操作部を備え、前記ロック解除操作部が規制位置から解除位置に操作されると、前記第1側壁部が取り外し又は回動可能になるコンテナにおいて、
前記第1側壁部に設けられた持ち手孔と、
前記ロック解除操作部に設けられ、前記持ち手孔と併せて手を差し込み可能な操作孔と、
前記第1側壁部のうち、前記持ち手孔より前記ロック解除操作部の移動方向である第1方向の前記解除位置側に配され、前記規制位置に配された前記ロック解除操作部における前記操作孔の前記第1方向における前記解除位置側の内縁より内側に張り出した張出部と
、
前記張出部に形成され、前記ロック解除操作部側へ突出した突部と、を備え、
前記突部は、前記ロック解除操作部の移動可能範囲の全体において、前記ロック解除操作部と当接しないコンテナ。
【請求項2】
前記突部は、前記持ち手孔の開口縁に沿って延びる突条をなす請求項1に記載のコンテナ。
【請求項3】
コンテナの一側壁の少なくとも一部である第1側壁部の外面又は内面に、その面に沿って上下に移動可能なロック解除操作部を備え、前記ロック解除操作部が上側の規制位置から下側の解除位置に操作されると、前記第1側壁部が取り外し又は回動可能になるコンテナにおいて、
前記第1側壁部に設けられた持ち手孔と、
前記ロック解除操作部に設けられ、前記持ち手孔と併せて手を差し込み可能な操作孔と、
前記第1側壁部のうち、前記持ち手孔より下側に配され、前記規制位置に配された前記ロック解除操作部における前記操作孔の下側開口縁より上側に張り出した張出部と、
前記張出部の上端部に形成され、前記ロック解除操作部側へ突出し、かつ、前記持ち手孔の下側開口縁に沿って延びる突条からなる突部と、を備え、
前記突部は、前記ロック解除操作部の移動可能範囲の全体において前記操作孔内に収まるように構成され、かつ、前記ロック解除操作部における前記操作孔の上側開口縁部と当接しないコンテナ。
【請求項4】
コンテナの一側壁の少なくとも一部である第1側壁部の外面又は内面に、その面に沿って上下に移動可能なロック解除操作部を備え、前記ロック解除操作部が上側の規制位置から下側の解除位置に操作されると、前記第1側壁部が取り外し又は回動可能になるコンテナにおいて、
前記第1側壁部に設けられた持ち手孔と、
前記ロック解除操作部に設けられ、前記持ち手孔と併せて手を差し込み可能な操作孔と、
前記第1側壁部のうち、前記持ち手孔より下側に配され、前記規制位置に配された前記ロック解除操作部における前記操作孔の下側開口縁より上側に張り出した張出部と、
前記張出部に形成され、前記ロック解除操作部側へ突出した突部と、を備え、
前記突部は、前記ロック解除操作部の移動可能範囲の全体において前記操作孔内に収まるように構成され、かつ、前記ロック解除操作部における前記操作孔の上側開口縁部と当接しないコンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、第1側壁にロック解除操作部を備え、ロック解除操作部が規制位置から解除位置に操作されると、第1側壁が取り外し又は回動可能になるコンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のコンテナとして、ロック解除操作部に形成された操作孔に手を差し込み、持ち上げ可能なものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-96815号公報(
図12等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来のコンテナにおいては、第1側壁の強度向上が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明は、コンテナの一側壁の少なくとも一部である第1側壁部の外面又は内面に、その面に沿って移動可能なロック解除操作部を備え、前記ロック解除操作部が規制位置から解除位置に操作されると、前記第1側壁部が取り外し又は回動可能になるコンテナにおいて、前記第1側壁部に設けられた持ち手孔と、前記ロック解除操作部に設けられ、前記持ち手孔と併せて手を差し込み可能な操作孔と、前記第1側壁部のうち、前記持ち手孔より前記ロック解除操作部の移動方向である第1方向の前記解除位置側に配され、前記規制位置に配された前記ロック解除操作部における前記操作孔の前記第1方向における前記解除位置側の内縁より内側に張り出した張出部と、前記張出部に形成され、前記ロック解除操作部側へ突出した突部と、を備え、前記突部は、前記ロック解除操作部の移動可能範囲の全体において、前記ロック解除操作部と当接しないコンテナである。
【0007】
請求項2の発明は、前記突部は、前記持ち手孔の開口縁に沿って延びる突条をなす請求項1に記載のコンテナである。
【0009】
請求項3の発明は、コンテナの一側壁の少なくとも一部である第1側壁部の外面又は内面に、その面に沿って上下に移動可能なロック解除操作部を備え、前記ロック解除操作部が上側の規制位置から下側の解除位置に操作されると、前記第1側壁部が取り外し又は回動可能になるコンテナにおいて、前記第1側壁部に設けられた持ち手孔と、前記ロック解除操作部に設けられ、前記持ち手孔と併せて手を差し込み可能な操作孔と、前記第1側壁部のうち、前記持ち手孔より下側に配され、前記規制位置に配された前記ロック解除操作部における前記操作孔の下側開口縁より上側に張り出した張出部と、前記張出部の上端部に形成され、前記ロック解除操作部側へ突出し、かつ、前記持ち手孔の下側開口縁に沿って延びる突条からなる突部と、を備え、前記突部は、前記ロック解除操作部の移動可能範囲の全体において前記操作孔内に収まるように構成され、かつ、前記ロック解除操作部における前記操作孔の上側開口縁部と当接しないコンテナである。
請求項4の発明は、コンテナの一側壁の少なくとも一部である第1側壁部の外面又は内面に、その面に沿って上下に移動可能なロック解除操作部を備え、前記ロック解除操作部が上側の規制位置から下側の解除位置に操作されると、前記第1側壁部が取り外し又は回動可能になるコンテナにおいて、前記第1側壁部に設けられた持ち手孔と、前記ロック解除操作部に設けられ、前記持ち手孔と併せて手を差し込み可能な操作孔と、前記第1側壁部のうち、前記持ち手孔より下側に配され、前記規制位置に配された前記ロック解除操作部における前記操作孔の下側開口縁より上側に張り出した張出部と、前記張出部に形成され、前記ロック解除操作部側へ突出した突部と、を備え、前記突部は、前記ロック解除操作部の移動可能範囲の全体において前記操作孔内に収まるように構成され、かつ、前記ロック解除操作部における前記操作孔の上側開口縁部と当接しないコンテナである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明では、第1側壁部には、持ち手孔の開口縁部に、ロック解除操作部における操作孔より内側に張り出した張出部が設けられているので、第1側壁部における持ち手孔の割合を従来より小さくすることができ、第1側壁部の強度が向上される。また、張出部がロック解除操作部における操作孔のうち解除位置側の内縁より内側に張り出しているので、ロック解除操作部を解除位置側へ操作する際に、その張出部を目印にロック解除操作部に手をかけて操作可能になる。
【0011】
また、張出部に、ロック解除操作部側へ突出した突部が形成されているので、ロック解除操作部を操作しようとして、誤って張出部に指が当たってしまったときに、突部により指に当たる面積が増え、指当りを優しくすることができる。さらに、突部が、ロック解除操作部の移動可能範囲の全体において、ロック解除操作部と当接しないので、突部によりロック解除操作部が損傷することが防がれる。
【0012】
請求項2の発明では、突部が持ち手孔の開口縁に沿って延びる突条をなすので、指当りを優しくできる範囲が広くなる。
【0014】
ロック解除操作部は、左右方向に移動する構成であってもよいし、請求項3,4の発明のように、上下方向に移動する構成であってもよい。上下方向に移動する構成とした場合、ロック解除操作部の上辺部はコンテナを持ち上げる際に手が触れると考えられ、この上辺部が損傷していると、手が傷つく虞がある。これに対して、張出部の突部を、ロック解除操作部における操作孔の上側開口縁部と当接しないように構成したので、ロック解除操作部の上辺部が損傷することが防がれ、手が傷つくことが防がれる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図6】短辺側壁11がない状態の連結突部周辺の拡大斜視図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、
図1~
図14を参照して、本開示の折畳コンテナ10(特許請求の範囲中の「コンテナ」に相当する)について説明する。
図1に示すように、折畳コンテナ10は、平面形状が長方形で上面が開放した直方体構造になっている。また、折畳コンテナ10は、底壁30と、その底壁30における1対の短辺側の外縁部に回動可能に連結された1対の短辺側壁11(特許請求の範囲中の「一側壁」、「第1側壁部」に相当する)と、底壁30における1対の長辺側の外縁部に回動可能に連結された1対の長辺側壁21と、を有している。そして、折畳コンテナ10は、短辺及び長辺の側壁11,21を底壁30から起立させて互いに連結した組立状態(
図1参照)と、底壁30の上に短辺側壁11を重ねるように折り畳んでから、それら短辺側壁11の上に長辺側壁21を折り重ねた折畳状態(
図2参照)とに変更することができる。
【0017】
図1及び
図3に示すように、底壁30は、外縁から平面形状が大きくなるように段付き状に立ち上がった枠状突部31を備える。枠状突部31は、底壁30の1対の短辺から突出した短辺底突部32と、1対の長辺から突出した長辺底突部33と、底壁30の角部から突出したコーナー突部34と、を有している。これら突部32,33,34の間では、コーナー突部34が最も高く、長辺底突部33、短辺底突部32の順で低くなっていく。また、底壁30のうち枠状突部31より下方部は、段積嵌合部35となっている。
【0018】
図2に示すように、短辺底突部32及び長辺底突部33には、それぞれの長手方向に間隔を空けて複数のアーム受容部32A,33Aが形成されている。アーム受容部32A,33Aは、短辺底突部32及び長辺底突部33の上面と内面とに開口している。アーム受容部32A,33Aの上面開口32B,33Bは、内面開口32C,33Cよりも広くなっていて、アーム受容部32A,33Aの内面には、内面開口32C,33Cを挟んだ両側部分に、抜け止め部32D,33Dが形成されている。
【0019】
図1及び
図4に示すように、短辺底突部32及び長辺底突部33の下面には、それぞれの長手方向の中央部に上方へ陥没した手掛け部32K,33Kが形成されている。この手掛け部32K,33Kには、それぞれの長手方向に延びた手掛けリブ(
図4における符号32L参照)が設けられている。
【0020】
図1及び
図2に示すように、長辺側壁21は、横長の平板の上端に、外方へ突出した上端突部22を有し、下端に、外方へ突出した下端リブ23を有している。長辺側壁21の下端部からは、アーム受容部33Aに対応した複数のヒンジ脚部24が垂下されている。ヒンジ脚部24の下端部には、両側面から長辺側壁21の横方向に1対のヒンジ軸(図示せず)が突出している。ヒンジ軸を含むヒンジ脚部24は、底壁30のアーム受容部33Aに上面開口33B側から受容され、ヒンジ軸が抜け止め部33Dに係止して抜け止めされている。長辺側壁21は、ヒンジ軸を中心にして底壁30に対して回動し、起立状態(
図1に示した状態)と水平状態(
図2に示した状態)とに変更することができる。
【0021】
長辺側壁21の両側縁部には、短辺側壁11側に向かって突出した1対の連結突部25が形成されている。
図5及び
図6に示すように、連結突部25は、長辺側壁21の長手方向の端部と端部寄り位置に配され、短辺側壁11側に向かって延びた外側壁25Aと内側壁25Bとを有している。外側壁25Aは、内側壁25Bよりも短辺側壁11側へ突出していて、外側壁25Aと内側壁25Bとが対向している部分は、複数の補強リブ25Lにより連絡されている。内側壁25Bのうち上下方向の中央からは、係合壁25Cが短辺側壁11側へ突出形成されている。外側壁25Aのうち内側壁25Bより突出している部分の上端部には貫通孔25Dが形成されている。また、長辺側壁21のうち1対の連結突部25は、その間の部分よりも、上方へ突出している(
図1参照)。
【0022】
図7及び
図8に示すように、短辺側壁11は、横長の平板の上端と下端とに、外方へ突出した上端リブ12と下端リブ13と、を有している。短辺側壁11の下端部からは、長辺側壁21のヒンジ脚部24と同様に、アーム受容部32Aに対応した複数のヒンジ脚部14が垂下されている。このヒンジ脚部14の下端部にも、両側面から短辺側壁11の横方向に1対のヒンジ軸14Aが突出している。このヒンジ脚部14もアーム受容部32Aに受容され、短辺側壁11が、ヒンジ軸14Aを中心にして底壁30に対して回動し、起立状態(
図1に示した状態)と水平状態(
図2に示した状態)とに変更可能になっている。
【0023】
図5及び
図8に示すように、短辺側壁11の両側縁部には、上端部に、側方へ突出し、長辺側壁21の連結突部25の外側壁25Aに内側から重なる突壁15が形成されている。この突壁15には、折畳コンテナ10を組立状態にしたときに、長辺側壁21の連結突部25の貫通孔25Dに受容される係合突部15Aが外方へ向かって突出形成されている。また、短辺側壁11には、横方向の中央の上端寄り位置に、持ち手孔11Aが形成されている。この持ち手孔11A近傍については、後に詳説する。
【0024】
短辺側壁11の外面には、上端リブ12と下端リブ13との間にロック部材40が組み付けられている。ロック部材40は、短辺側壁11の横方向全体に亘って延びている。具体的には、
図9及び
図10に示すように、ロック部材40は、全体的に前板41から後方へリブ42が突出してなり、正面視略長方形状の第1構成部43と、第1構成部43の両側縁部から側方へ延びた台形状の第2構成部44と、第2構成部44からさらに側方へ延びた帯板状の第3構成部45と、を有している。これら第1~第3の構成部43~45は、上面が略面一になっている。また、第1構成部43の下面が最も低位置に配され、第2構成部44の下面は、第1構成部43の端部から上方へ傾斜して延び、第3構成部45の下面は、第2構成部44の端部から水平に延びている。
【0025】
図8に示すように、短辺側壁11には、ロック部材40の第3構成部45に前方から重なり、ロック部材40を抜け止めする規制壁16が設けられている。また、ロック部材40の第1構成部43における、左端部(
図8における左端部)と、右端部寄り位置とには、上下方向に延びたスライド溝43Mが形成されていて、短辺側壁11には、このスライド溝43Mに受容されるガイド突部11G(
図11参照)が外方へ突出形成されている。これにより、ロック部材40は、横方向にずれずに、上下方向にスライド可能になっている。また、
図8に示すように、ロック部材40の第3構成部45のうち規制壁16より側方へ突出している部分には、上端部の外面側に、テーパー部45Tが形成されている。
【0026】
図8及び
図12に示すように、短辺側壁11の両側縁部には、上下方向の中央部に、上方へ開放した「コ」の字状の規制受容部17が形成されている。この規制受容部17の底部17Aに第3構成部45が当接することで、ロック部材40の可動範囲の下端(以降、「解除位置」という)が定められている。また、ロック部材40の上面が短辺側壁11の上端リブ12に当接する位置が、ロック部材40の可動範囲の上端(以降、「規制位置」という)である。
【0027】
図8に示すように、ロック部材40の下面からは1対の可撓アーム46が互いに近づくように斜め下方に延びている。可撓アーム46の下端部は、短辺側壁11の下端リブ13に当接し、それら可撓アーム46の弾発力によってロック部材40が上方に付勢されている。その付勢によりロック部材40が規制位置に位置した状態では、第3構成部45の大部分が規制受容部17よりも上方に配される。
【0028】
折畳状態(
図2参照)から1対の長辺側壁21を起立させ、短辺側壁11を起立させると、ロック部材40の第3構成部45のテーパー部45T(
図8参照)が短辺側壁11の係合壁25C(
図6参照)に摺接し、可撓アーム46の弾発力に抗してロック部材40が下方へ移動する。そして、ロック部材40の第3構成部45が短辺側壁11の係合壁25Cを通過すると、可撓アーム46の弾発力によりロック部材40が上端位置に移動して、第3構成部45が短辺側壁11の連結突部25における外側壁25Aと係合壁25Cとの間に挟まれて係合する。これにより、短辺側壁11と長辺側壁21とが互いに起立状態で固定される。
【0029】
組立状態(
図1参照)から短辺側壁11を内側に倒すには、可撓アーム46の弾発力に抗してロック部材40を下方に押圧操作する。すると、ロック部材40が解除位置に配され、第3構成部45が規制受容部17に受容されて、係合壁25Cとの係合が解除され、短辺側壁11を回動可能となる。
【0030】
さて、ロック部材40には、係合を解除する操作(下方への押圧操作)を行うために、ロック解除操作部50が設けられている。ロック解除操作部50は、ロック部材40の長手方向の中央に貫通形成された操作孔51の開口縁部からなる。
図8及び
図10に示すように、操作孔51は、ロック部材40の長手方向を長辺とする長方形状をなし、ロック部材40の第1構成部43の上端寄り位置から下端寄り位置までの間に配されている。ロック解除操作部50は、操作孔51の開口縁から後方に突出した環状リブ52を有している。ロック解除操作部50の下辺部は、環状リブ52の下辺と、前板41と、ロック部材40の下縁から突出したリブ42(下辺リブ42Aとする)と、から、断面形状が後方へ開放した「コ」の字状になっている。また、ロック部材40の上縁から突出したリブ42(上辺リブ42Bとする)には、操作孔51の上方部分に、下方へ陥没し、底部が環状リブ52と共通した凹部42Uが形成されていて、ロック解除操作部50の上辺部は、断面形状が上方へ開放した「コ」の字状になっている。また、ロック解除操作部50の上辺部のうち外側の角部は内側の角部よりも丸みを帯びたR面50R(
図14参照)となっている。
【0031】
図8及び
図13に示すように、ロック部材40の操作孔51は、短辺側壁11の持ち手孔11Aと内外方向で重なっていて、操作孔51と持ち手孔11Aとを連通するように手を差し込むことで、折畳コンテナ10を持ち上げ可能となっている。ここで、本実施形態の折畳コンテナ10では、持ち手孔11Aが、操作孔51よりも若干小さくなっていて、短辺側壁11における持ち手孔11Aより下方部分に、操作孔51の下側開口縁より上方に張り出した張出部11Hが設けられている。なお、持ち手孔11Aの上側開口縁は、操作孔51の上側開口縁と略面一になっていて、横方向において、持ち手孔11Aと操作孔51とは略同位置に配されている。
【0032】
そして、張出部11Hの上端には、外方(即ちロック部材40側)へ突出し、かつ、持ち手孔11Aの下側開口縁に沿って延びる突条11T(特許請求の範囲中の「突部」に相当する)が形成されている。突条11Tは、持ち手孔11Aの下側開口縁の両端寄り位置同士の間に配されている。また、
図14に示すように、ロック部材40が規制位置に配されている状態では、突条11Tと環状リブ52との間に隙間が生じていて、突条11Tの全体が操作孔51内に収まっている。また、突条11Tを含む持ち手孔11Aの下側開口縁の断面は、上方へ向けて湾曲している。
【0033】
また、ロック部材40が規制位置に配されている状態における操作孔51の上側開口縁と持ち手孔11Aの下側開口縁との間の上下方向の長さは、ロック部材40が規制位置に配されている状態の第3構成部45の下面と規制受容部17の底部17Aとの間の上下方向の長さ、即ち、ロック部材40の可動距離よりも大きくなっている。これにより、ロック部材40が解除位置に配されても、操作孔51の上側開口縁(環状リブ52の上辺部)が突条11Tに当接せず、突条11Tは、ロック部材40の可動範囲の全体において操作孔51内に収められ、ロック解除操作部50に当接しないように構成されている。
【0034】
本実施形態の折畳コンテナ10の構成は以上である。次に、折畳コンテナ10の作用効果について説明する。上述したように、組立状態の折畳コンテナ10において、短辺側壁11に配されたロック部材40のロック解除操作部50を下方へ押し込むことで、ロック部材40と長辺側壁21との係合が解除され、短辺側壁11を内側へ倒すことが可能になる。
【0035】
ところで、従来のコンテナでは、ロック部材のロック解除操作部が側壁の持ち手孔内を移動する構成になっていて、持ち手孔を大きくせざるを得ず、側壁の強度が低くなっていた。これに対して、本実施形態の折畳コンテナ10では、ロック部材40の操作孔51が短辺側壁11の持ち手孔11Aと内外方向で重なっていて、持ち手孔11Aが操作孔51よりも小さくなっているので、短辺側壁11の強度が向上される。また、短辺側壁11における持ち手孔11Aより下方部分に、操作孔51の下側開口縁より上方に張り出した張出部11Hが設けられているので、ロック部材40のロック解除操作部50を操作するときに、張出部11Hを目印にロック解除操作部50の下辺部に手をかけて操作可能となる。また、持ち手孔11Aの上側開口縁と、操作孔51の上側開口縁(環状リブ52の上辺部)とが略面一になっているので、操作孔51と持ち手孔11Aとを連通するように手を差し込み、短辺側壁11の上辺部(ロック部材40の上辺部を含む)を握ったときに、持ち手孔11Aの開口縁が手に食い込む等により手が痛むことが防がれる。
【0036】
また、張出部11Hの上端には、突条11Tが形成されているので、ロック解除操作部50の下辺部に指をかけようとして誤って張出部11Hに指が当たってしまったときに、この突条11Tにより指に当たる面積が増え、指当りを優しくすることができる。また、突条11Tを含む持ち手孔11Aの下側開口縁の断面が、上方へ向けて湾曲しているので、指当りをより優しくすることができる。
【0037】
また、突条11Tは、ロック部材40の可動範囲の全体において操作孔51内に収められ、ロック解除操作部50に当接しないように構成されているので、ロック解除操作部50の損傷が防がれる。特に、ロック解除操作部50の上辺部は、コンテナを持ち上げる際に手が触れると考えられ、この上辺部が損傷していると、手が傷つく虞があるところ、本実施形態では、突条11Tがロック解除操作部50の上辺部に当接しないように構成されているので、ロック解除操作部の上辺部が突条11Tにより損傷することが防がれ、手が傷つくことが防がれる。
【0038】
[他の実施形態]
(1)上記実施形態では、短辺側壁11が底壁30に対して回動可能になっていたが、短辺側壁11が取り外し可能な構成であってもよいし、短辺側壁11が扉のように長辺側壁21に対して回動する構成であってもよい。また、短辺側壁11がベース側壁と扉部材とを備えた扉部材付き側壁部であって、扉部材がベース側壁に対して回動する構成であってもよい。
【0039】
(2)ロック部材40が上方、左方又は右方へ移動するとロック部材40と長辺側壁21との係合が解除される構成であってもよい。この場合、張出部11Hは、持ち手孔11Aより上方、左方又は右方(移動方向)に配される。
【0040】
(3)ロック部材40が直動ではなく、回動する構成であってもよい。例えば、ロック部材40を、短辺側壁11の長手方向に延びる回転軸を中心に下方へ回動させる構成であってもよい。なお、この場合、張出部11Hは、持ち手孔11Aより下方に配される。
【0041】
(4)上記実施形態では、突条11Tが連続して延びていたが、断続的であってもよい。また、突条11Tの代わりに、例えば中央部に突部を設けたり、複数の小突部を設ける構成であってもよい。
【0042】
(5)ロック部材40が短辺側壁11の内面側に配されていてもよい。
【0043】
なお、本明細書及び図面には、特許請求の範囲に含まれる技術の具体例が開示されているが、特許請求の範囲に記載の技術は、これら具体例に限定されるものではなく、具体例を様々に変形、変更したものも含み、また、具体例から一部を単独で取り出したものも含む。
【符号の説明】
【0044】
10 折畳コンテナ(コンテナ)
11 短辺側壁(第1側壁部)
11A 持ち手孔
11H 張出部
11T 突条(突部)
40 ロック部材
50 ロック解除操作部
51 操作孔
52 環状リブ