(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】補正製靴型、補正製靴型の製造方法、靴の製造方法、靴の選択方法、既製靴販売システム、オーダー靴販売システム
(51)【国際特許分類】
A43D 3/02 20060101AFI20240805BHJP
A43B 23/02 20060101ALI20240805BHJP
A43D 1/04 20060101ALI20240805BHJP
G06Q 30/0601 20230101ALI20240805BHJP
【FI】
A43D3/02
A43B23/02 101Z
A43D1/04
G06Q30/0601
(21)【出願番号】P 2021003664
(22)【出願日】2021-01-13
【審査請求日】2023-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】507066703
【氏名又は名称】株式会社大島商事
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】大島 昇
(72)【発明者】
【氏名】大島 唯
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-075107(JP,A)
【文献】特開2002-209610(JP,A)
【文献】国際公開第2017/078168(WO,A1)
【文献】特開平08-038215(JP,A)
【文献】特開2017-097563(JP,A)
【文献】特開2002-177015(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0015547(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43B 1/00~23/30
A43C 1/00~19/00
A43D 1/00~999/00
B29D 35/00~35/14
G06Q 30/0601
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
疾患のない足の足長Lと
、疾患のない足の拇趾球BJと小趾球SBJを通る周長である足囲BGに対応する基準製靴型に対して肉盛り補正された補正製靴型であって、
前記肉盛り補正は、
外反母趾又は内反小趾による足疾患の突出部の頂点に接する接触面と、
前記突出部の頂点を挟む
前記突出部に接し母趾側面又は小趾側面に接するように延びる水平な接線と、前記突出部に接し甲回りWGに接するように延びる水平な接線
との
2本の接線がなす突出部の水平形状を包含するように前記接触面から連続して甲回り及び趾側面に接するように延びる第1の曲面と、
当該第1の曲面と等しい曲率で他の趾側を覆う第2の曲面と、
第1の曲面と第2の曲面を大きな曲率の変化が無いように連続して趾上面を覆う第3の曲面とから構成される補正曲面を含んで製甲するように肉盛り補正されるとともに、
当該補正曲面により形成される
周長を測定した長さを補正足囲BGとし、
与えられた足長Lと、
前記補正足囲BGと、前記突出部の頂点を挟む
前記2本の接線のなす鋭角である足疾患角度αに基づき選択されることを特徴とする補正製靴型。
【請求項2】
前記基準製靴型の選択において、
前記足長Lと
前記補正足囲BGと、
前記足疾患角度αに基づいて、疾患のない足囲BGを推定することで基準製靴型を選択することを特徴とする請求項1に記載の補正製靴型。
【請求項3】
前記基準製靴型の選択において、足長Lと甲回りWGに基づいて、疾患のない足囲BGを推定することで基準製靴型を選択することを特徴とする請求項1に記載の補正製靴型。
【請求項4】
前
記突出部が、外反母趾に由来する拇趾球BJの突出部であり、
前記足疾患角度αは、突出した拇趾球BJの頂点を挟む角度であり、
前記第1の曲面が拇趾球BJ側であり、前記第2の曲面が小趾球SBJ側であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の補正製靴型。
【請求項5】
前
記突出部が、内反小趾に由来する小趾球SBJの突出部であり、
前記足疾患角度αは、突出した小趾球SBJの頂点を挟む角度であり、
前記第1の曲面が小趾球SBJ側であり、前記第2の曲面が拇趾球BJ側であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の補正製靴型。
【請求項6】
前
記突出部が、外反母趾に由来する拇趾球BJの突出部と、内反小趾に由来する小趾球SBJの突出部とのいずれをも含む場合であって、
当該拇趾球BJの足疾患角度αと、小趾球SBJの足疾患角度αを比較して、角度の大きな方の突出部を含む面を第1の曲面とした請求項1~3のいずれか一項に記載の補正製靴型。
【請求項7】
前記突出部に対応する肉盛りの厚さが、
前記基準製靴型における足疾患による
前記突出部に対応した領域である突出部対応領域における突出度合いを示す製靴型角度で、突出部の頂点を挟む2本の水平な直線のなす鋭角である製靴型角度βとしたとき、
前記足疾患角度をαとし、
前記製靴型角度をβとし、足疾患による
前記突出部の平面視におけるつま先側の基端とかかと側の基端の間の長さをMとした場合に、式(A)により算出された厚みL1とした
ことを特徴とする請求項1に記載の補正製靴型。
【数1】
【請求項8】
足長Lと、
拇趾球BJと小趾球SBJを通る周長である足囲BGと、
外反母趾又は内反小趾の突出部の頂点を挟む前記突出部に接し母趾側面又は小趾側面に接するように延びる水平な接線と、前記突出部の頂点を挟む前記突出部に接し甲回りWGに接するように延びる水平な接線との2本の接線がなす鋭角である足疾患角度α
とを測定する測定のステップと、
足長Lと足囲
BGごとに標準とされる足に対応する基準製靴型に対し、測定した足長Lと、推定された疾患がない場合の足囲BGとに基づいて基準製靴型を選択する基準製靴型選択のステップと、
当該基準製靴型に肉盛りをして補正する製靴型肉盛り補正のステップを備えた補正製靴型の製造方法であって、
前記製靴型肉盛り補正のステップは、
前記突出部の頂点に接する接触面と、
前記突出部の頂点を挟む
前記突出部に接し母趾側面又は小趾側面に接するように延びる水平な接線と、前記突出部に接し甲回りWGに接するように延びる水平な接線
との
2本の接線がなす突出部の水平形状を包含するように前記接触面から連続して甲回り及び趾側面に接するように延びる第1の曲面と、
当該曲面と等しい曲率で他の趾側を覆う第2の曲面と、
これらの曲面を大きな曲率の変化が無いように連続して趾上面を覆う第3の曲面とから構成される曲面により製甲するように肉盛り補正されるとともに、
これら曲面により形成される
周長を測定した補正足囲BGに基づいた周長とした補正製靴型の製造方法。
【請求項9】
前記基準製靴型は、木製又は樹脂製又は金属製の製靴型であり、
前記製靴型肉盛り補正のステップは、
前記基準製靴型に対して貼付け部材を貼り付けることにより補正することを特徴とする請求項8に記載の補正製靴型の製造方法。
【請求項10】
前記基準製靴型は、コンピュータのデータ上で生成され、
前記製靴型肉盛り補正のステップは、
前記基準製靴型のデータに対してデータを補正することにより補正されて補正製靴型を生成し、
3次元プリンタにより前記補正製靴型に基づいて作業用の製靴型が作成されることを特徴とする請求項8に記載の補正製靴型の製造方法。
【請求項11】
請求項1~7のいずれか一項に記載の補正製靴型を用いて製甲し、靴を製造する製靴のステップと、
前記靴を湿潤させた状態で、当該靴を製靴型から離脱する型抜きのステップと、
製靴型を抜いた靴を乾燥しながら整形する整形のステップと
を備えた靴の製造方法であって、
前記整形のステップは、足疾患の突出部の周辺の空間を保持したまま、靴の履き口を足に密着させるように倒して、乾燥させることで整形することを特徴とする靴の製造方法。
【請求項12】
前記整形のステップは、加熱および加圧しながら行うことを特徴とする請求項11に記載の靴の製造方法。
【請求項13】
前記靴は、甲回りWGを含む甲の部分が開放されている女性用の靴であることを特徴とする請求項11又は12に記載の靴の製造方法。
【請求項14】
請求項8~10のいずれか一項に記載の製靴型の製造方法に基づいて、
足長Lと、
補正足囲BG、足疾患角度αごとに複数のサイズ違いの補正製靴型を製造する補正製靴型製造のステップと、
当該複数の補正製靴型を用いて、複数の使用者の足長Lと、
補正足囲BGと、足疾患角度αに応じた靴を製造する靴製造のステップと、
顧客の足長Lと、
補正足囲BGと、足疾患角度αを測定する測定のステップと、
当該測定した足長Lと、
補正足囲BGと、足疾患角度αと、靴の足長Lと、
補正足囲BGと、足疾患角度αとに基づいて、前記靴製造のステップにおいて製造した靴を選択する靴選択のステップと、を備えた靴の選択方法。
【請求項15】
通信手段を備えたコンピュータを用いた既製靴販売システムであって、
足長Lと、足囲BG、足疾患角度αごとに請求項8~10のいずれか一項に記載の補正製靴型の製造方法を用いて異なる足長Lと、
補正足囲BG、足疾患角度αの補正製靴型を製造する補正製靴型製造のステップと、
当該複数の補正製靴型を用いて、複数の使用者の足長Lと、
補正足囲BGと、足疾患角度αに応じた靴を在庫として製造する既製靴製造のステップと、
顧客の足長Lと、
補正足囲BGと、足疾患角度αを測定して、これらのデータを含む発注データを前記コンピュータが受信する受注のステップと、
当該測定した足長Lと、
補正足囲BGと、足疾患角度αを受信した前記コンピュータは、靴の足長Lと、
補正足囲BGと、足疾患角度αの一致に基づいて、前記靴製造のステップにおいて製造した靴を特定して、販売する販売のステップとを備えた既製靴販売システム。
【請求項16】
通信手段を備えたコンピュータを用いたオーダー靴販売システムであって、
顧客の足長Lと、
補正足囲BGと、足疾患角度αを測定する測定のステップと、
当該測定した足長Lと、
補正足囲BGと、足疾患角度αを含む靴発注情報を、前記通信手段を用いて前記コンピュータに発注する発注のステップと
前記コンピュータにより発注を受けた靴製造者は、顧客の足長Lと、
補正足囲BGと、足疾患角度αに基づいて、請求項1~7のいずれか一項に記載の補正製靴型を用いて、顧客の足長Lと、足囲BGと、足疾患角度αに応じた靴を製造する靴製造のステップとを備えたオーダー靴販売システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足にフィットした靴を提供するための、補正製靴型、補正製靴型の製造方法、靴の製造方法、靴の選択方法、既製靴販売システム、オーダー靴販売システムに係り、詳しくは、外反母趾などの足に適した靴を製靴するための補正製靴型、補正製靴型の製造方法、靴の製造方法、靴の選択方法、既製靴販売システム、オーダー靴販売システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より外反母趾や内反小趾などの患部を有する足でも履ける靴が提案されている。しかし、これらは一般的に爪先に体重が掛からないローヒールで、且つ患部触れないように空間を取り、足先全体を広い幅として余裕を持たせたものしかなかった。つまり、外反母趾の女性の足にフィットするハイヒールのパンプスなどは提供されていなかった。しかしながら、足が外反母趾となっても、変わらず足にフィットしたハイヒールのパンプスなどを履きたいと思う女性の強い願望があった。
【0003】
そこで、本発明者は、このような願望を叶えるため、外反母趾や内反小趾などの患部を有する女性でも、足にフィットするハイヒールのパンプスを提供することを課題とした。そして、本発明者はこのような課題の下、特許文献1に開示されたような靴の製造方法を提案した。
図20は、特許文献1で開示された発明の手順のフローチャートである。この特許文献1において開示された発明は、まず、足長と足囲と甲回りを測定する(S101)。次に、足長と甲回りに応じた木型を選択する(S102)。続いて、足囲と甲回りの測定値により貼付け部材の厚みを算出し(S103)、算出された厚みに応じて貼付け部材を作成する(S104)。そして、貼付け部材を木型に貼り付けて(S105)、該木型を用いて靴を製造する(S106)。このような靴の製造方法によれば、外反母趾や内反小趾により変形して突出した突出部分の大きさに応じて靴を製造することができる。そのため、靴を履いた場合に、突出部分が靴の内側に押されずに痛みを伴うことがない。かつ、足が前後にずれるおそれが少ない靴を製造することができる。
【0004】
また、本発明者は続いて、特許文献2に記載されたような靴の製造方法を提案した。
図21は、特許文献2で開示された発明の手順のフローチャートである。
この特許文献2において開示された発明は以下のようなものである。まず、足長と甲回りを測定する(S201)。次に、足長と甲回りに応じた木型を選択する(S202)。続いて、足の外反母趾角(内反小趾角)と木型の外反母趾(内反小趾)を測定する(S203)。そして、測定した角度により貼付け部材の厚みを算出する(S204)。算出された厚みの貼付け部材が貼り付けられている補正木型を作成する(S205)。そして、該補正木型を用いて靴を製造する(S206)。ステップS205においては、算出された厚みに応じて貼付け部材を作成し(S211)、貼付け部材を木型に貼り付ける(S212)。あるいは、貼付け部材を貼り付けた(S221)後に、貼付け部材の厚みを調整する(S222)。
【0005】
このような靴の製造方法であれば、患者が外反母趾と内反小趾の両方の疾患を有する場合でも、外反母趾用の貼付け部材の厚みと内反小趾用の貼付け部材の厚みをそれぞれ算出することができる。このような製靴型を用いて製造すれば靴を履いた場合に、突出部分が靴の内側に押されずに痛みを伴うことがない。かつ、足が前後にずれるおそれが少ない靴を製造することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第5289366号公報
【文献】特許第6100963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1や特許文献2に開示された靴の製造方法では、外反母趾や内反小趾などの患部を有する女性でも、靴を履いた場合に、突出部分が靴の内側に押されずに痛みを伴うことがなく、かつ、足が前後にずれるおそれが少ないハイヒールのパンプスのようなスリムなシェイプの靴を提供することができた。
【0008】
図22~24は、特許文献1、特許文献2に基づいて製造した従来の外反母趾に対応する靴を示す概略図である。突出部BUの形状に合わせた形状となるため、履きやすく患部も保護できるものの、頂点PKのみならず突出部BUの裾部Skも外観に現れるため、患部の外観が靴のシェイプに表れ外反母趾であることが周囲からわかってしまうという問題があった。
【0009】
そこで本発明の補正製靴型、補正製靴型の製造方法、靴の製造方法、靴の選択方法、既製靴販売システム、オーダー靴販売システムが解決しようとする課題は、外反拇趾の足でも履きやすいだけでなく、靴を履いた場合に周囲から外反母趾とわかりにくく美しいシェイプの靴とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の補正製靴型は、疾患のない足の足長Lと足囲BGに対応する基準製靴型に対して肉盛り補正された補正製靴型であって、前記肉盛り補正は、足疾患の突出部の頂点に接する接触面と、前記突出部の頂点を挟む2本の水平な接線のなす突出部の水平形状を包含するように前記接触面から連続して甲回り及び趾側面に接するように延びる第1の曲面と、当該第1の曲面と等しい曲率で他の趾側を覆う第2の曲面と、第1の曲面と第2の曲面を大きな曲率の変化が無いように連続して趾上面を覆う第3の曲面とから構成される補正曲面を含んで製甲するように肉盛り補正されるとともに、当該補正曲面により形成される足囲BGを、測定した足囲BGに基づいた周長とし与えられた足長Lと、足囲BGと、前記突出部の頂点を挟む2本の水平な接線のなす鋭角である足疾患角度αに基づき選択されることを特徴とする。
【0011】
前記基準製靴型の選択において、足長Lと足囲BGと、足疾患角度αに基づいて、疾患のない足囲BGを推定することで基準製靴型を選択するようにしてもよい。
また、前記基準製靴型の選択において、足長Lと甲回りWGに基づいて、疾患のない足囲BGを推定することで基準製靴型を選択するようにしてもよい。
【0012】
前記足疾患の突出部が、外反母趾に由来する拇趾球BJの突出部であり、前記足疾患角度αは、突出した拇趾球BJの頂点を挟む角度であり、前記第1の曲面が拇趾球BJ側であり、前記第2の曲面が小趾球SBJ側である場合に適用できる。
【0013】
また、前記足疾患の突出部が、内反小趾に由来する小趾球SBJの突出部であり、前記足疾患角度αは、突出した小趾球SBJの頂点を挟む角度であり、前記第1の曲面が小趾球SBJ側であり、前記第2の曲面が拇趾球BJ側である場合にも適用できる。
【0014】
さらに、前記足疾患の突出部が、外反母趾に由来する拇趾球BJの突出部と、内反小趾に由来する小趾球SBJの突出部とのいずれをも含む場合であって、当該拇趾球BJの足疾患角度αと、小趾球SBJの足疾患角度αを比較して、角度の大きな方の突出部を含む面を第1の曲面とした場合にも適用できる。
【0015】
前記足疾患の突出部に対応する肉盛りの厚さが、前記基準製靴型における足疾患による突出部に対応した領域である突出部対応領域における突出度合いを示す製靴型角度で、突出部の頂点を挟む2本の水平な直線のなす鋭角である製靴型角度βとしたとき、足疾患角度をαとし、製靴型角度をβとし、足疾患による突出部の平面視におけるつま先側の基端とかかと側の基端の間の長さをMとした場合に、式(A)により算出された厚みL1とすることができる。
【0016】
【数1】
また、本発明の補正製靴型の製造方法では、与えられた足長Lと、足囲BGと、足疾患の突出部の頂点を挟む2本の水平な直線のなす鋭角である足疾患角度αを測定する測定のステップと、足長Lと足囲WGごとに標準とされる足に対応する基準製靴型に対し、測定した足長Lと、推定された疾患がない場合の足囲BGとに基づいて基準製靴型を選択する基準製靴型選択のステップと、当該基準製靴型に肉盛りをして補正する製靴型肉盛り補正のステップを備えた補正製靴型の製造方法であって、前記製靴型肉盛り補正のステップは、足疾患の突出部の頂点に接する接触面と、前記突出部の頂点を挟む2本の水平な接線のなす突出部の水平形状を包含するように前記接触面から連続して甲回り及び趾側面に接するように延びる第1の曲面と、当該曲面と等しい曲率で他の趾側を覆う第2の曲面と、
これらの曲面を大きな曲率の変化が無いように連続して趾上面を覆う第3の曲面とから構成される曲面により製甲するように肉盛り補正されるとともに、これら曲面により形成される足囲BGを、測定した足囲BGに基づいた周長とした。
【0017】
また、前記基準製靴型は、木製又は樹脂製又は金属製の製靴型であり、前記製靴型肉盛り補正のステップは、前記基準製靴型に対して貼付け部材を貼り付けることにより補正することを特徴とする。
【0018】
さらに、前記基準製靴型は、コンピュータのデータ上で生成され、前記製靴型肉盛り補正のステップは、前記基準製靴型のデータに対してデータを補正することにより補正されて補正製靴型を生成し、3次元プリンタにより前記補正製靴型に基づいて作業用の製靴型が作成される。
【0019】
本発明の靴の製造方法では、補正製靴型を用いて製甲し、靴を製造する製靴のステップと、前記靴を湿潤させた状態で、当該靴を製靴型から離脱する型抜きのステップと、製靴型を抜いた靴を乾燥しながら整形する整形のステップとを備えた靴の製造方法であって、前記整形のステップは、足疾患の突出部の周辺の空間を保持したまま、靴の履き口を足に密着させるように倒して、乾燥させることで整形することを特徴とする。
【0020】
また、前記整形のステップは、加熱および加圧しながら行うことで好適に実施できる。
前記靴は、甲回りWGを含む甲の部分が開放されている女性用の靴においても好適に実施できる。
【0021】
本発明の靴の選択方法は、上記した製靴型の製造方法に基づいて、足長Lと、足囲BG、足疾患角度αごとに複数のサイズ違いの補正製靴型を製造する補正製靴型製造のステップと、当該複数の補正製靴型を用いて、複数の使用者の足長Lと、足囲BGと、足疾患角度αに応じた靴を製造する靴製造のステップと顧客の足長Lと、足囲BGと、足疾患角度αを測定する測定のステップと、当該測定した足長Lと、足囲BGと、足疾患角度αと、靴の足長Lと、足囲BGと、足疾患角度αとに基づいて、前記靴製造のステップにおいて製造した靴を選択する靴選択のステップとを備える。
【0022】
また、本発明の既製靴販売システムでは、通信手段を備えたコンピュータを用いた既製靴販売システムであって、足長Lと、足囲BG、足疾患角度αごとに前述した補正製靴型の製造方法を用いて異なる足長Lと、足囲BG、足疾患角度αの補正製靴型を製造する補正製靴型製造のステップと、当該複数の補正製靴型を用いて、複数の使用者の足長Lと、足囲BGと、足疾患角度αに応じた靴を在庫として製造する既製靴製造のステップと、顧客の足長Lと、足囲BGと、足疾患角度αを測定して、これらのデータを含む発注データを前記コンピュータが受信する受注のステップと、当該測定した足長Lと、足囲BGと、足疾患角度αを受信した前記コンピュータは、靴の足長Lと、足囲BGと、足疾患角度αの一致に基づいて、前記靴製造のステップにおいて製造した靴を特定して、販売する販売のステップとを備えた。
【0023】
本発明のオーダー靴販売システムでは、通信手段を備えたコンピュータを用いたオーダー靴販売システムであって、顧客の足長Lと、足囲BGと、足疾患角度αを測定する測定のステップと、当該測定した足長Lと、足囲BGと、足疾患角度αを含む靴発注情報を、前記通信手段を用いて前記コンピュータに発注する発注のステップと、前記コンピュータにより発注を受けた靴製造者は、顧客の足長Lと、足囲BGと、足疾患角度αに基づいて、前述した補正製靴型を用いて、顧客の足長Lと、足囲BGと、足疾患角度αに応じた靴を製造する靴製造のステップとを備えた。
【発明の効果】
【0024】
本発明の補正製靴型、補正製靴型の製造方法、靴の製造方法、靴の選択方法、既製靴販売システム、オーダー靴販売システムが解決しようとする課題は、外反拇趾の足でも履きやすいだけでなく、靴を履いた場合に周囲から外反母趾とわかりにくく美しいシェイプの靴を製造することができる。また、足長Lと、足囲BGと、足疾患角度αから、このような靴を選択し、又は製造し、販売することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本実施形態のハイヒールのパンプスを示す斜視図。
【
図2】ハイヒールのパンプスを履いた場合の靴Sと足FTの骨格の関係を示す模式図。
【
図3】ハイヒールのパンプスを履いたときに足FTに掛かる力を示す模式図。
【
図4】平坦な場所に立った足FTの骨格を示す模式図。(a)は側面図、(b)は平面図。
【
図5】外反母趾の足の骨格の状態を示す模式部。(a)は、正常な足、(b)は、初期から中度の状態、(c)は、重度の状態を示す。
【
図6】本実施形態の外反母趾に対応する靴を示す概略図。
【
図9】本実施形態の靴Sの甲革Upの構成を示す概略図。
【
図10】本実施形態の第1の曲面S1の形状の整形を示す図。(a)は整形前の状態を、(b)は整形後の状態を示すB-B部分の断面図。
【
図11】本実施形態の補正製靴型CSMの製造工程を示すフローチャート。
【
図12】使用者Pの足FTの平面図と、基準製靴型SSMを合成した図。
【
図13】貼付け部材の厚みを算出する計算式を説明するための模式図。
【
図14】基準製靴型SSMに本実施形態の貼付け部材CP1~CP3を貼り付けた状態を示す平面図。
【
図15】本実施形態の靴の製造工程を示すフローチャート。
【
図16】本実施形態の既製靴販売システムの構成を示すブロック図。
【
図17】本実施形態の既製靴販売システムにおける販売の手順を示すフローチャート。
【
図18】本実施形態のオーダー靴販売システムの構成を示すブロック図。
【
図19】本実施形態のオーダー靴販売システムにおける販売の手順を示すフローチャート。
【
図20】特許文献1で開示された発明の手順のフローチャート。
【
図21】特許文献2で開示された発明の手順のフローチャート。
【
図22】本実施形態と比較するための特許文献1や特許文献2に示したような従来の外反母趾に対応する靴を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(本実施形態の靴S)
図1は、本実施形態のハイヒールのパンプスを示す斜視図である。
図1に示すように本実施形態で例示する靴Sは、爪先TOがとがったポインテッドトゥのハイヒールのパンプスである。履き口OPである甲部分が大きく開いており、つま先及び踵部分は両方共に覆われている。締めひもや留め金は付いていない。
【0027】
<ハイヒールを履いたときの足の状態>
図2は、ハイヒールのパンプスを履いた場合の靴Sと足FTの骨格の関係を示す模式図である。
図3は、ハイヒールのパンプスを履いたときに足FTに掛かる力を示す模式図である。
図2に示すように、ハイヒールでは、体重Gが、矢印で示す踵側に掛かる荷重Grより、矢印で示す爪先TO側に掛かる荷重Gfが大きい。そのため、爪先TOは、前向きの力Ffにより靴Sに押し込まれる。すると
図3に示すように爪先TOは、内向きの力Fiにより押される。一方、その反動で、例えば拇趾F1の付け根には、外向きの力Foが働く。
【0028】
<足の構造と測定方法>
図4は、平坦な場所に立った足FTの骨格を示す模式図である。
図4(a)は側面図、
図4(b)は平面図を示す。足FTの骨格は、動きがほとんどない楔状骨B1から、中足骨B2と基節骨B3と末節骨B4が連なり、箒のような柔軟な状態となっている。一般に足FTの測定は、足甲Isの比較的動かない中足骨B2の基端部である甲回りWGを測定する。ここで拇趾F1の中足骨B2と基節骨B3の関節における中足骨B2の端部を拇趾球BJという。小趾F5の中足骨B2と基節骨B3の関節における中足骨B2の端部を小趾球SBJという。この拇趾球BJと小趾球SBJを通る周長を足囲BGという。この拇趾球BJと小趾球SBJとの水平距離は、足幅FWという。また、足FTの前後方向の中心線Cにおいて踵HEの後端の踵点HPと趾の最も先端を足長Lという。
【0029】
<外反母趾について>
図5は、外反母趾の足FTの骨格の状態を示す模式部である。(a)は、正常な足FTを示し、(b)は、初期から中度の状態を示し、(c)は、重度の状態を示す。
【0030】
図3に示すように爪先TOの末節骨B4に掛かる内向きの力Fiは、
図4に示すように基節骨B3と中足骨B2を結ぶ関節である拇趾球BJを外側に押し出すような力となる。
図5(a)に示す正常な状態から拇趾球が押し出されるような力が掛かる。ここで、本願において使用者Pが水平な場所でまっすぐ立った時の外反母趾の拇趾球BJの突出部BUの頂点PKを挟む2本の水平な接線のなす鋭角を「足疾患角度α」とする。
【0031】
図5(a)に示すように疾患のない正常な足FTでは、足疾患角度αは、15°以下である。外反母趾の初期から中度に進むと、拇趾F1の指先が外側に曲がり、その結果拇趾球BJが内側に飛び出すようになる。その結果、
図5(b)に示すように足疾患角度αは、15°を超える。さらに外反母趾が進に重度となると、足疾患角度αはさらに大きくなり、
図5(c)に示すように、35°を超えるようになる。
【0032】
このように、外反母趾の進行に応じて足疾患角度αが大きくなることから、足疾患角度αを測定することで、外反母趾の程度を客観的に把握することができる。本実施形態では、この足疾患角度αは、ゴニオメータにより測定する。例えば、酒井医療株式会社製手指用ゴニオメータなどが例示できる。その測定方法はゴニオメータの2つの面がそれぞれ垂直にするような姿勢で、拇趾球BJの頂点PKを挟むようにして角度を測定する。一方の面は、拇趾F1の側面に接するようにする。他方の面は、甲回りWGの面に接するようにする。つまり、外反母趾の拇趾球BJの突出部BUの頂点PKを挟む2本の水平な接線のなす鋭角を測定する。外反母趾は、
図5(a)~(c)のような進行をすることが多いので、足疾患角度αを測定することは、外反母趾の状態を知り、靴Sの形状を決定する上で重要な情報となる。
【0033】
<本実施形態の靴Sの特徴>
このように一般的に、従来のようなハイヒールのパンプスを履き続けると、痛みが生じるだけでなく、外反母趾が進行する虞が強い。しかしながら、女性は外反母趾を患った後もこのようなエレガントな靴を履き続けたいという強い願望がある。本実施形態の靴Sは、女性のこのような願望を叶えるための靴である。
【0034】
図6~8は、本実施形態の外反母趾に対応する靴Sを示す概略図である。
図9は、本実施形態の靴Sの甲革Upの構成を示す概略図である。
図10は、本実施形態の第1の曲面S1の形状の整形を示す図であり、(a)は整形前の状態を、(b)は整形後の状態を示すB-B部分の断面図である。
図22~24は、本実施形態と比較するための特許文献1や特許文献2に示したような従来の外反母趾に対応する靴を示す概略図である。
【0035】
なお、本実施形態では、説明の単純化のため、使用者Pの足FTは、外反母趾のみを生じ、内反小趾は生じていない場合であることを前提に説明する。
<本実施形態の甲革Upの構成>
図9に示すように、甲革Upは、甲回りWGより後方は、
図22に示す従来の靴Sと同様な構成となっている。一方、本実施形態の靴Sの甲革Upは、外反母趾の拇趾球BJの突出部BUの頂点PKに接する接触面Stを備える。この接触面Stから連続して足疾患角度αをなす二辺の水平形状を包含するように甲回りWG及び拇趾F1側面に接するように延びる第1の曲面S1を有する。そして、この第1の曲面S1と等しい曲率で小趾F5側を覆う第2の曲面S2を有する。さらに、第1の曲面S1と第2の曲面S2とを大きな曲率の変化がないように連続して趾の上面を覆う第3の曲面S3とから構成される。これら接触面St、第1の曲面S1、第2の曲面S2、第3の曲面S3とにより形成される甲革Upの足囲BGは、測定した使用者Pの足FTの足囲BGに基づいた周長と同じになるように調整されている。
【0036】
<足囲BG>
本実施形態の靴Sはハイヒールのポインテッドトゥのパンプスであるが、履き口OPが甲回りWGの部分を含む足甲Isの部分が開放されたデザインであるため、使用者Pの足を足甲Isで固定することは難しい。一方、外反母趾の突出部BUを圧迫することはできないが、足囲BGに過度の余裕を持たせると、靴Sは、足FTを固定することができない。そこで、本実施形態の靴Sの足囲BGは基本的に使用者Pの足FTの足囲BGに合わせ、若干の適度な余裕を持たせた周長となっている。
【0037】
<頂点PKに接する接触面St及び第1の曲面S1>
図22に示すような従来の靴は、靴Sの甲革Upは、使用者Pの外反母趾の突出部BUの裾部Skの形状に密着するような形状であったため、甲革Upが外反母趾の突出部BUの形状が外観から把握でき、靴Sのシルエットが美しくないという問題があった。
【0038】
このため、
図9に示す本実施形態の靴Sは、足FTの足囲BGに合わせて足疾患の突出部BUの頂点PKに痛みがないように穏やかに接する接触面Stを有する。この接触面Stは、平面あるいは曲率の極めて小さな曲面となっている。そのため、外反母趾の突出部BUの突出形状は、靴Sの外観に反映されない。
【0039】
そして、頂点PKに接する接触面Stの周囲から連続するように第1の曲面S1を備える。第1の曲面S1は、足疾患角度αをなす二辺の水平形状を包含するようにスカート状に形成される。すなわち、ゴニオメータを水平に当てたときの二辺がすっぽりと甲革Upに隠れるような形状である。このとき、垂直方向では、接触面Stから基準製靴型SSMに自然に移行するような形状で、円錐形がすっぽり隠れないような形状でよい。要は、水平方向の形状が重要なのである。水平方向では、外反母趾の突出部BUが甲革Upですっぽり覆われるような形状となるため、突出部BUの裾部Skと甲革Upの間には空間RMを有する。甲回りWG及び拇趾F1の側面に自然に接するように延びる。このため、拇趾F1側で第1の曲面S1を構成する甲革Upは、前部は、拇趾F1の側面に接する部分で固定され前後のずれを防止する。後部は、甲回りWGの側面に接する部分で固定され前後のずれを防止する。よって、拇趾F1側の甲革Upは、外反母趾の突出部BUをしっかりと保護するとともに、過度な緩みを生ぜず、かつ、裾部Skは、使用者Pの足FTの前後のずれを防止する。
【0040】
<空間RM>
一方、第1の曲面S1と頂点PKに接する接触面Stとは、曲率が大きく変化しないようになだらかに連続される。また、第1の曲面の裾の部分は、拇趾F1及び甲回りWGの部分に接するように曲率が大きく変化しないようになだらかに連続される。このため、靴Sの外観は、極めてスムーズで自然な美しい形状となっている。
図7、
図8に示すように、甲革Upの第1の曲面S1と、足FTの突出部BU周辺の裾部Skの間には、空間RMを生じる。また履き口OPは、足FTに接触するような形状となっているため、空間RMは履き口OPで開放しておらず、外観が足FTと靴Sとが連続して一体感をなすようになっている。また、履き口OPが足FTに密着するため、靴Sが足FTにより支持されて歩行時でも安定する。
【0041】
<第2の曲面>
本実施形態の足FTは、外反母趾のみを生じ、内反小趾は生じていない場合で説明している。そうであれば、本来小趾F5側のデザインは、標準的な木型である基準製靴型SSMのまま修正する必要がない。しかしながら、本実施形態の靴では、その目的は、靴を履いた場合に周囲から外反母趾とわかりにくくするだけでなく、さらに美しいシェイプの靴とすることにある。そこで、本実施形態の靴Sでは、靴全体のバランスを考慮して、小趾側の甲革を第2の曲面S2として構成する。第2の曲面S2は、靴Sが左右対称にするため、その形状を第1の曲面S1の曲率に応じた曲率としている。
【0042】
<第3の曲面S3>
第3の曲面S3は、第1の曲面S1と第2の曲面S2とを大きな曲率の変化が無いように連続して趾の上面を覆う曲面として構成される。これら頂点PKに接する接触面St、第1の曲面S1、第2の曲面S2、第3の曲面S3とにより形成される甲革Upの足囲BGは、測定した使用者Pの足FTの足囲BGに基づいた周長と同じになるように調整されている。
【0043】
この場合、第1の曲面S1と第2の曲面S2は、幅方向に張り出すような形状となる。このため、靴Sの断面形状は、基準製靴型SSMよりも扁平な形状となってしまう。そこで、第3の曲面S3は、基準製靴型SSMの断面形状の縦横比を維持するように構成されている。つまり、単に第1の曲面S1と第2の曲面S2を連結するだけでなく、基準製靴型SSMの断面形状と相似形となるように、上方に張り出した形状となっている。
【0044】
<靴Sの作用>
以上説明したように、靴Sは、
図9に示すように、患部の頂点PKに、頂点PKに接する接触面Stが当接するが、甲革Upの足囲BGは、測定した使用者Pの足FTの足囲BGに基づいた周長と同じになるように調整されている。そのため、決して圧迫するようなことはなく、痛みを感じることはない。
【0045】
一方、第1の曲面S1は、頂点PKに接する接触面Stの周囲に広がるスカート状の緩やかな曲線を形成し、その前側の裾野部分は、拇趾F1の側面に密着し、後ろ側の裾野部分は足甲Isに密着している。このため、足FTは、靴Sに対してずれることがない。患部の頂点PKの周囲の裾野Sk部分は、頂点PKに接する接触面Stの周囲に広がるスカート状の緩やかな曲線との間に空間RMができている。このため、患部の頂点PK近傍の突出した形状は、外部からはわからない。このため、靴Sの外観は、なだらかで極めて美しい自然なフォルムを形成している。
【0046】
また、小趾F5側の甲革Upは、靴Sを左右対称にするため、その形状を第1の曲面S1の曲率に応じた曲率とした第2の曲面S2として形成されているため、その外観が左右のバランスが取れた美しい自然なフォルムを形成している。
【0047】
第3の曲面S3は、第1の曲面S1と、第2の曲面S2とを大きな曲率の変化が無いように連続して趾の上面を覆う曲面として構成されるため、靴Sの甲革Upは、左右のバランスが取れた円滑な曲面により形成され、外観からは一見して外反母趾であることがわからない靴として美しいフォルムを形成している。
【0048】
(補正製靴型CSMの製造方法)
次に、上述のような靴Sを製造するための補正製靴型CSMと、その製造方法について説明する。
図11は、本実施形態の補正製靴型CSMの製造工程を示すフローチャートである。この実施形態では、使用者Pの足の疾患は外反母趾のみの場合で、基準製靴型SSMは木製の木型を用い、ここに樹脂製の補正パッチによる貼付け部材CPを生成し、実際に貼り付けて肉盛り補正を行う態様を例に説明する。
【0049】
補正製靴型CSMの製造工程では、まず、基礎となるデータを取得し(S1)、これに基づき基準製靴型SSMの選択をする(S2)。次に、貼付け部材CPの厚さ算出を行い(S3)、接触面の位置の特定をする(S4)。続いて、第1の曲面生成(S5)、第2の曲面生成(S6)、第3の曲面生成(S7)を行い、甲革Upの形状を生成する(S8)。続いて、生成した甲革Upの形状に肉盛り補正をするための貼付け部材CPを生成する(S9)。生成した貼付け部材CPを基準製靴型SSMに貼りつけて肉盛り補正を行う(S10)。最後に、貼り付けた貼付け部材CPと基準製靴型SSMとの境界部をなだらかにするなどの修正を行い(S11)、補正製靴型CSMを完成させる。
【0050】
<開始>
まず、補正製靴型CSMは、足長Lと足囲BGと足疾患角度αにより特定される。ここでは、足長Lと足囲BGと足疾患角度αの使用者Pに適合した補正製靴型CSMを作成する。
【0051】
<データ取得(S1)>
補正製靴型CSMを作成するため、足長Lと、足囲BGと、足疾患の突出部の頂点を挟む2本の水平な直線のなす鋭角である足疾患角度αを特定する。既製靴の在庫の場合は、足長Lと、足囲BGと、足疾患角度αに分類されたリストに基づき網羅的に作成する。オーダー靴の場合は、使用者Pの足を実際に測定して、データを取得する。
【0052】
<基準製靴型選択(S2)>
基準製靴型選択のステップとして、基準製靴型SSMを選択する。基準製靴型SSMは、日本工業規格JIS S5037:1998に定められる足長[cm]、足囲[A~G]に沿って作成される。
【0053】
ここで、本実施形態では、使用者Pは、外反母趾を罹患しているため、健康な足と比較して同じ足長Lに対して足囲BGが大きくなる。そのため、実際に使用者Pの足囲BGを測定して基準製靴型SSMを選択すると、より大きな足囲表示、使用者は足囲が「E」であるのに、足囲「EEE」の基準製靴型SSMが選択されてします。そのため、選択された基準製靴型SSMの甲回りWGなどは、使用者Pの実際の甲回りWGより大きな基準製靴型SSMとなってしまう。
【0054】
そこで、本実施形態では、次のような方法で、使用者Pの外反母趾になる前の足囲BGを推定し、基準製靴型SSMを選択することとしている。
<足疾患角度αから推定する方法>
使用者Pの疾患が無い場合の足囲BGは不明であるが、足疾患角度αを測定することで、現在測定した足囲BGから外反母趾で突出したことで増加した周長を逆算して、使用者Pの疾患が無い場合の足囲BGを推定する。
【0055】
以下に示す表は、使用者Pの足長Lと、測定した現在の足囲BGから足疾患角度αに基づいて推定した補正足囲CBGを示す。その方法として、多数のサンプルの足囲BGから足疾患角度αから経験的に基準製靴型SSMの足囲BGが導かれる。なお数値は説明のための仮の値で厳密なものではない。その方法として、多数のサンプルから経験的に導かれる。さらに、その傾向から一定の計算式を用いて、サンプルが無いサイズについて補充して、換算表を完成する。
【0056】
このような換算表を用いることで、使用者Pの足に適合する基準製靴型SSMを選択することができる。
【0057】
【表1】
例えば、足長Lが23.0cmで、測定した足囲BGが246mm、足疾患角度αが30°であったとき、補正した足囲CBGは234(EE)として、足長23.0cm、足囲234mm(EE)の標準的な製靴型を基準製靴型SSMとして選択する。
【0058】
<甲回りWGから推定する方法>
次に、使用者Pの甲回りWGを測定して、使用者Pの疾患がない場合の足囲BGを推定する方法を説明する。外反母趾の場合、拇指球が突出するため、正常な足囲BGと比較して、足囲BGが大きくなる。しかしながら、甲回りWGへの影響はない。また、甲回りWGと疾患がない場合の足囲BGとは、強い相関関係がある。そこで、甲回りWGを測定することで、疾患がない場合の足囲BGを推定して、基準製靴型SSMを選択するものである。
【0059】
【表2】
例えば、足長Lが23.0cmで、測定した足囲BGが246mm、甲回り249mmであったとき、補正した足囲CBGは234(EE)として、足長23.0cm、足囲234mm(EE)の標準的な製靴型を基準製靴型SSMとして選択する。
【0060】
<その他の方法>
以上、2つの例を説明したが、これらに限定されず、測定した使用者Pの甲の幅や、3Dスキャナや写真にもとづいたデータなどにより、基準製靴型SSMを選択することができる。
【0061】
<貼付け部材厚さ算出(S3)>
続いて、貼付け部材CPの厚さを算出する。貼付け部材CPは、例えばシリコン製の柔軟性のある樹脂材料から作成され、基準製靴型SSMの肉盛り補正に用いられ、補正製靴型CSMを作成する。この方法自体については、特許文献2に詳細に開示されているので、ここでは簡単に説明する。
【0062】
図12は、使用者Pの足FTの平面図と、基準製靴型SSMを合成した図である。使用者Pの足FTと基準製靴型SSMを重ね合わせると、外反母趾の患部が突出している。
図13は、貼付け部材の厚みを算出する計算式を説明するための模式図である。
【0063】
図12に示すように、使用者Pの足FTの足疾患角度αと、基準製靴型SSMの製靴型角度βは、α>βの関係となる。そこで、
図12に示す基準製靴型SSMから使用者Pの足FTがはみ出した部分が、基準製靴型SSMに肉盛りする必要がある。そこで、この関係を模式的に示すのが、
図13である。ここで、外反母趾の拇趾球の突出部の平面視におけるつま先側の基端Aとかかと側の基端Bの間の基線の長さを基端長Mとする。基端長Mは、概ね拇趾F1の側面に基端Aを採り、甲回りWG上に基端Bを採る。基端Aと基端Bとは、突出部BUの頂点PKからの距離が概ね等しくなる。この基端長Mは、足長Lに応じた定数として定めておくことが好ましい。この基線を底辺とし基端Aと基端Bから、底角1/2αとする辺を結び二等辺三角形を作成する。また、同じ基線を底辺とし、この基端Aと基端Bから、底角1/2βとする辺を結び二等辺三角形を作成する。このとき、底角1/2αの三角形の高さL0は、1/2M×tan(α/2)により求められる。同様に、底角1/2βの三角形の高さL2は、1/2M×tan(β/2)により求められる。そうであれば、基準製靴型SSMの拇趾球BJの部分に肉盛りする厚みL1は、厚みL0-厚みL2により求めることができる。
【0064】
つまり、これをまとめると、足疾患の突出部BUに対応する肉盛りの厚みL1は、基準製靴型SSMにおける足疾患による突出部BUに対応した領域である突出部対応領域における突出度合いを示す製靴型角度で、突出部の頂点を挟む2本の水平な直線のなす鋭角である製靴型角度βとする。足疾患角度をαとし、製靴型角度をβとし、足疾患による突出部の平面視におけるつま先側の基端Aとかかと側の基端Bの間の基線の基端長をMとする。この場合に、式(A)により厚みL1が算出できる。
【0065】
【数2】
<頂点PKに接する接触面St特定(S4)>
以上のように算出された厚みL1で、頂点PKに肉盛りをする。この場合、頂点PKの形状に沿った形状ではなく、頂点PKに平行な平面か、なだらかな曲面で頂点PKに接する接触面Stを形成する。このため、外反母趾の突出部BUの形状は、甲革Upの形状には反映されず隠ぺいされる。
【0066】
<第1の曲面生成(S5)>
次に、第1の曲面S1を形成する。第1の曲面S1は、頂点PKに接する接触面Stから連続して足疾患角度αをなす二辺の水平形状を包含するように拇指側の基端Aから甲回りの基端Bに接するように形成される。つまり、頂点PKに接する接触面Stを中心として、その周囲にスカート状に拡がる裾野を形成する。なお、頂点PKを通る垂直断面の形状は、接触面Stから基準製靴型SSMに自然な曲線で移行する曲線とする。このため、垂直方向では、頂点の角度がαの円錐形状が包含される必要はない。従って、
図13に示すように、第1の曲面S1を形成する第1の貼付け部材CP1は、平面視において、頂点PKに平行に接して、曲率が大きくならないように、基端A及び基端Bにおいて、自然に接するような形状となる。また、
図10(b)に示すように、正面視では、頂点PKに平行に接して、曲率が大きくならないように、足甲Is上部と足底FBにおいて、自然に接するような形状となる。但し、製靴工程で、靴Sから製靴型SMを引き抜く関係から、
図10(a)に示すようになっている。第1の曲面を形成するため、基準製靴型SSMには、そのような形状の第1の貼付け部材CP1が生成され、貼り付けられる。
【0067】
<第2の曲面生成(S6)>
上述のように、第1の曲面が形成されるが、小趾F5側を覆う第2の曲面は、次のような方法で生成される。第2の曲面は、靴Sのシルエットが美しくなるように、第1の曲面S1と左右対称となるように、第1の曲面と同様な曲率を持つ曲面が形成される。同様な曲率とは、一般に外観を目視した場合に左右のバランスが取れている程度でよく、厳密に等しい必要はない。そのために、第2の曲面を形成するため、基準製靴型SSMには、そのような形状の第2の貼付け部材CP2が生成され、貼り付けられる。
【0068】
<第3の曲面生成(S7)>
第3の曲面S3は、第1の曲面S1と第2の曲面S2とが、大きな曲率の変化が無いように連続して趾の上面から足甲を覆う曲面として構成される。この場合、使用者Pの足FTの足囲BGと作成する甲革Upの足囲BGが、適正な余裕を持って一致させる。従って、甲革Upが、外反母趾の患部を締め付けることが無く、履いても痛みが生じない。また、大きな緩みもないため、足FTが靴Sに対して、大きく移動してしまうようなことがない。
【0069】
<甲革形状生成(S8)>
以上、接触面St、第1の曲面S1、第2の曲面S2、第3の曲面S3から構成される曲面により形成される足囲BGを、測定した足囲BGに基づいた周長とした。また、接触面St、第1の曲面S1、第2の曲面S2、第3の曲面S3から構成される曲面は、大きな曲率の変化がないように漸次曲率を変更するように連続するように構成されている。このため、靴Sの外観は、極めてなだらかでスムーズな立体表面となっている。また、外反母趾の突出部BUの形状が靴Sの外観に現れないようになっている。さらに、靴Sの左右のバランスが取れた美しい形状となっている。なお、甲回りWGより踵HEよりの形状は、従来と同様な形状の形成するため、説明は省略する。なお、甲回りWGより爪先TO寄りの形状と、甲回りWGより踵HE寄りの形状は、甲回りWGより爪先TO寄りの形状が甲回りWGの面に接するような自然なつながりとなっているため、靴Sの前後のバランスも美しいフォルムとなっている。
【0070】
<貼付け部材生成(S9)>
甲革形状生成(S8)のステップで形成された形状に基づいて、貼付け部材CPが、例えばシリコン製の柔軟性のある樹脂材料から作成される。例えば、接触面Stと第1の曲面S1は、貼付け部材厚さ算出(S3)において算出した厚みL1で中央部を形成し、基端Aや基端Bまでの長さの裾部は、漸次厚みを薄く基端Aや基端Bでは、厚みがゼロになるように形成する。
【0071】
このように、接触面Stと第1の曲面S1に対応する第1の貼付け部材CP1、第2の曲面S2に対応する第2の貼付け部材CP2、第3の曲面S3に対応する第3の貼付け部材CP3をそれぞれ作成する。作成した第1の貼付け部材CP1、第2の貼付け部材CP2、第3の貼付け部材CP3の裏面には、接着剤を塗布しておく。
【0072】
<肉盛り補正(S10)>
図14は、基準製靴型SSMに本実施形態の貼付け部材CP1~CP3を貼り付けた状態を示す平面図である。
図14に示すように、貼付け部材生成(S9)のステップで作成した第1の貼付け部材CP1、第2の貼付け部材CP2、第3の貼付け部材CP3を、それぞれ基準製靴型SSMの所定の位置に接着する製靴型肉盛り補正のステップを行う。
【0073】
<修正(S11)>
第1の貼付け部材CP1、第2の貼付け部材CP2、第3の貼付け部材CP3を、それぞれ貼り付けた基準製靴型SSMは、接着剤を硬化させ、段差を削るなどの修正を施し、補正製靴型CSMを完成させる。
【0074】
<完成>
このように完成した補正製靴型CSMは、足長Lと足囲BGと足疾患角度αによりサイズが特定される。使用者Pは、足長Lと足囲BGと足疾患角度αを測定することで、同じサイズの補正製靴型CSMにより製造した靴Sを選択することで、自分に合った靴Sを選択することができるようになる。また、使用者Pは、足長Lと足囲BGと足疾患角度αを測定することで、自分に合った靴Sをオーダーすることができるようになる。
【0075】
<内反小趾のみを罹患の場合>
上記実施形態では、外反母趾を患っているが、内反小趾は患っていない場合の使用者Pの足を例に説明した。ここで、内反小趾を患っているが、外反母趾は患っていない場合の使用者Pの足について説明する。この場合は、小趾F5の小趾球SBJが突出した突出部BUを挟む角度を足疾患角度αとして測定する。そして、外反母趾の場合と同じように、拇趾F1に関する記載を小趾F5に関する記載と読み替えて補正製靴型CSMを作成する。例えば、第1の曲面S1は、小趾側を覆う曲面となる。このようにして、同様に補正製靴型CSMを作成する。
【0076】
<外反母趾と内反小趾のいずれも罹患の場合>
足疾患の突出部BUが、外反母趾に由来する拇趾球BJの突出部BUと、内反小趾に由来する小趾球SBJの突出部BUとのいずれをも含む場合、拇趾球BJの足疾患角度αと、小趾球SBJの足疾患角度αを比較して、角度の大きな方の突出部を含む面を第1の曲面とする。
【0077】
つまり、突出の程度が大きい方を足疾患角度αとして扱う。このようにすることで、突出度の大きい方に合わせて形状を形成する。なお、実際には、外反母趾の影響が大きい場合がほとんどで、内反小趾の影響が小さい場合が多い。その場合は、上述の実施形態のように、内反小趾は考慮せず補正製靴型CSMを作るようにしてもよい。
【0078】
<製靴型の複製>
上記の手順で作成した補正製靴型CSMは、その形状を複製することで、補正製靴型CSMを量産することができる。修正が終わった補正製靴型CSMは、型取りをして、樹脂によるモールド成型で量産すれば、同じ足長Lと足囲BGと足疾患角度αに適合した靴Sを量産できる。
【0079】
(実施形態の別例)
<3Dスキャナ及び3Dプリンタによる補正製靴型CSMの複製>
上述のように、手作りでオリジナルの形状を生成した場合には、完成した補正製靴型CSMを3Dスキャナで形状をデータ化し、そのデータに基づいて3Dプリンタにより補正製靴型CSMを複製することもできる。
【0080】
<3D-CADによる補正製靴型CSMの製作>
上記実施形態では、木型からなる基準製靴型SSMに貼付け部材CPを実際に貼り付けることで、補正製靴型CSMを製作している。しかしながら本発明は、このような方法に限定されるものではないことは言うまでもない。例えば、使用者Pの足FTは、3Dスキャナで足形状をデータ化する。このデータから、使用者Pの足疾患角度αをCAD上で測定する。次に、そのデータを3D-CADにより、複数の基準製靴型SSMのデータと重ね合わせて、外反母趾の患部以外の形状と最もフィットする足長Lと足囲BGの基準製靴型SSMを選択する。次に、基準製靴型SSMと使用者Pの足データとを重ね合わせて比較して、基準製靴型SSMと、外反母趾の突出部BUの突出高さの差分を厚みL1として測定する。また、突出部BUの頂点PKに接する接触面Stを設定するとともに、接触面Stの周囲から、基端A、基端Bを含む部分のスカート状の第1の曲面S1をCAD上で設定する。同様に、CAD上で、第2の曲面S2、第3の曲面S3を形成し、これらを連続した曲面として形成する。接触面St、第1の曲面S1、第2の曲面S2、第3の曲面S3から構成される曲面により形成される足囲BGを、3Dスキャナで測定した使用者Pの足囲BGに基づいた周長とする。
【0081】
次に、やはりCAD上で、肉盛りを行い、補正製靴型CSMの形状を確定する。
このように作成した補正製靴型CSMは、3Dプリンタにより樹脂製の補正製靴型CSMを作成する。このようにして作成した補正製靴型CSMのデータによれば、同じ形状の補正製靴型CSMを量産することは容易である。
【0082】
以上、説明したとおり、上記実施形態は、実施の一例であり、データ上で本発明を実施できることは言うまでもない。
<木型の分割>
上記実施形態及び別例で作成した補正製靴型CSMは、一体のものとして説明したが、この補正製靴型CSMによる製靴後に、完成した靴Sから補正製靴型CSMを脱離するのを容易にするためにこれを2分割や3分割で作成することも望ましい。
【0083】
(靴Sの製造方法)
上述のような補正製靴型CSMを用いて、製靴する方法を説明する。
図15は、本実施形態の靴の製造工程を示すフローチャートである。
【0084】
まず、必要な使用者Pのデータを取得し(S21)、このデータに基づいて補正製靴型CSMを選択する(S22)。この補正製靴型CSMを用いて製靴し(S23)、靴Sを湿潤し(S24)、靴Sから補正製靴型CSMを抜き去る(S25)。靴Sを乾燥させ(S26)、履き口等を整形して(S27)、靴Sが完成する。
【0085】
以下、その手順を詳細に説明する。
<データ取得(S21)>
使用者Pの足長L、足囲BG、拇趾球BJの足疾患角度αを取得する。ここでは、既製靴の在庫製品を製造する場合も、オーダー靴を製造する場合も共通である。これらの足長Lと、足囲BGと、足疾患角度αにより、補正製靴型CSMを特定することができる。
【0086】
<製靴型選択(S22)>
取得した足長L、足囲BG、拇趾球BJに基づいて補正製靴型を選択する。
なお、オーダー靴において、取得した足長L、足囲BG、拇趾球BJに対応する補正製靴型CSMが作成されていない場合は、前記した製靴型の製造工程のフローチャートに従って、補正製靴型CSMを作成する。
【0087】
<製靴工程(S23)>
製靴工程(S23)は、選択した補正製靴型CSMに合わせて甲革Upを製甲する製甲工程、製甲工程で作成した甲革Upを中底ISに貼り付ける吊り込み工程、中底ISに貼り付けた甲革Upに本底OSをつける底付け工程を経て補正製靴型CSM上に靴Sの形状を完成させる。
【0088】
<湿潤工程(S24)>
上述のように、補正製靴型CSMにぴったりの甲革Upを作成すると、特にパンプスのように、締めひもや留め金は付いていない場合は、靴Sから補正製靴型CSMを離脱することが困難になることがある。革の性質として水などで湿潤させると膨張して延びる。そこで、補正製靴型CSMから靴Sを離脱することを目的で靴Sを湿潤させる。湿潤は、例えば甲革Upを水に漬け込む。また、湿潤させることで、甲革Upが柔軟になる。したがって、この湿潤工程(S24)は、最後に行う整形工程(S27)の準備段階でもある。
【0089】
<型抜き工程(S25)>
革を柔らかく伸ばした靴Sを補正製靴型CSMから離脱する。
<乾燥工程(S26)>
補正製靴型CSMを外した靴Sは、形を整えながら、時間をかけて乾燥する。
【0090】
<整形工程(S27)>
若干の水分が残った状態で、靴Sの整形を行う。整形工程(S27)では、
図10(a)に示す本実施形態の第1の曲面S1の形状のように、型抜き工程(S25)の直後の整形前の状態では、吊り込み工程で、第1の曲面S1は、中底IS方向に引っ張られ、履き口OPが足FTから離れるような「くせ」がついている。そこで「倒し工程」が行われる。倒し工程では、若干水分が残っている履き口OPの部分を、加熱乾燥用の鏝(こて)状の電気アイロンで、足FTに接触するように加熱しながら押し倒す。このような倒し工程で、使用者Pが靴Sを履いたとき、履き口OPが足FTに密着することで、足FTが靴Sに密着し、歩行時に靴Sが足FTに対してずれないで安定した歩行ができる。
【0091】
この場合、
図10(b)に示すように第1の曲面S1の中央部に空間RMができるように履き口OPのみを押し倒す。このような形状とすることで、
図6及び
図8に示すように、靴Sの外観が、拇趾球BJから足甲Isに向けて自然なラインとなり、外反母趾が目立たない美しいフォルムとすることができる。
【0092】
<完成>
以上のような手順で、使用者Pの足長L、足囲BG、拇趾球BJの足疾患角度αを取得するだけで、外反拇趾の足FT履きやすいだけでなく、靴S履いた場合に周囲から外反母趾とわかりにくく美しいシェイプの靴Sすることができる。
【0093】
(既製靴の販売システム100)
次に、このような補正製靴型CSMを用いて製造する靴Sを、予め既製靴として在庫を備え、使用者Pごとに最適な靴Sの販売ができる、既製靴の販売システム100について説明する。
図16は、本実施形態の既製靴販売システム100の構成を示すブロック図である。
【0094】
<システム管理者>
既製靴販売システム100のシステム管理者は、
図16に示す、既製靴販売システムサーバ101を備える。既製靴販売システムサーバ101は、図示しないCPU、ROM、RAM、記憶手段、入力手段、表示手段、通信手段を備えた周知のサーバコンピュータとして構成される。既製靴販売システムサーバ101は、例えば、インターネット102を介して、ユーザ端末103、104、店舗端末105、106と接続されている。
【0095】
<ユーザ>
使用者Pとなるユーザはユーザ端末103、104を保有している。ユーザ端末103、104は、周知のクライアントコンピュータとして構成されており、インターネット102を介して、既製靴販売システムサーバ101とクライアント-サーバシステムを形成する。ユーザ端末103、104は、デスクトップPCやラップトップPCのみならず、スマートフォンやタブレットにより構成することもできる。ユーザ端末103、104からは、既製靴販売システムサーバ101のウェブページにアクセスして、使用者Pとなるユーザから、足長L、足囲BG、足疾患角度αを特定して、カタログから希望する靴Sを発注することができる。
【0096】
<店舗>
既製靴を販売する店舗は、店舗端末105、106を保有する。店舗端末105、106も、周知のクライアントコンピュータとして構成されており、インターネット102を介して、既製靴販売システムサーバ101とクライアント-サーバシステムを形成する。店舗には、足形状測定具やゴニオメータなどを備え、使用者Pが店舗に来店したときに、実際に使用者Pの足長L、足囲BG、足疾患角度αを測定し、データを取得し、既製靴販売システムサーバ101に送信することができる。また、使用者Pのまた、3Dスキャナなどを備え、使用者Pの足FTの立体形状のデータを測定し、既製靴販売システムサーバ101に送信するようにしてもよい。
【0097】
基本的には、実際に使用者Pの足長L、足囲BG、足疾患角度αを測定し、この足長L、足囲BG、足疾患角度αに基づいて、店舗の在庫から最適な靴Sを選択する。在庫にない場合は、既製靴販売システムサーバ101に発注する。
【0098】
しかしながら同じ足長L、足囲BG、足疾患角度αであっても、足の立体形状は、個性があり、必ずしも測定した足長L、足囲BG、足疾患角度αで特定される靴Sが最適であるとは言い切れない。その場合、足長L、足囲BG、足疾患角度αで特定される試し履き用の靴Sを在庫として保有し、使用者Pが実際にいずれの足長L、足囲BG、足疾患角度αで特定される靴Sがフィットするかを試し履きにより決定することも望ましい。その後は、その足長L、足囲BG、足疾患角度αで靴Sを発注すれば、最適な靴を選択することができる。
【0099】
<製靴型製作者>
製靴型製作者は、足長L、足囲BG、足疾患角度αに基づいて補正製靴型CSMを製作する者である。製靴型製作者は、製靴型製作者端末107を保有する。製靴型製作者端末107も、周知のクライアントコンピュータとして構成されており、インターネット102を介して、既製靴販売システムサーバ101とクライアント-サーバシステムを形成する。
【0100】
製靴型製作者は、既製靴販売システムサーバ101や靴製造者端末108からの発注で足長L、足囲BG、足疾患角度αに応じた補正製靴型CSMを製作して靴製造者に納品する。
【0101】
<靴製造者>
靴製造者は、足長L、足囲BG、足疾患角度αごとの補正製靴型CSMを用いて、靴Sを製造する者である。靴製造者は、靴製造者端末108を保有する。靴製造者端末108も、周知のクライアントコンピュータとして構成されており、インターネット102を介して、既製靴販売システムサーバ101とクライアント-サーバシステムを形成する。
【0102】
靴製造者は、既製靴販売システムサーバ101からの発注で、足長L、足囲BG、足疾患角度αに応じた靴Sを製作して靴在庫管理者に納品する。
<靴在庫管理者>
靴在庫管理者は、足長L、足囲BG、足疾患角度αごとに製造された靴Sを在庫として管理する者である。靴在庫管理者は、靴在庫管理者端末109を保有する。靴在庫管理者端末109も、周知のクライアントコンピュータとして構成されており、インターネット102を介して、既製靴販売システムサーバ101とクライアント-サーバシステムを形成する。
【0103】
靴在庫管理者は、靴製造者により製造され納品された靴Sを受領し、足長L、足囲BG、足疾患角度αごとに在庫として管理する。
<既製靴販売システムの販売手順のフローチャート>
図17は、本実施形態の既製靴販売システム100における販売の手順を示すフローチャートである。
【0104】
<製靴型製造のステップ(S31)>
まず、既製靴販売システムサーバ101や靴製造者端末108からの発注で、製靴型製作者端末107が製靴型を受注すると、上述した方法で、補正製靴型CSMを、足長L、足囲BG、足疾患角度αごとに製作して靴製造者に納品する。この製靴型製造のステップは、システム稼働の最初に行われるが、その後も随時必要に応じて、既製靴販売システムサーバ101や靴製造者端末108からの発注により行われる。
【0105】
<既製靴製造のステップ(S32)>
次に、靴製造者が靴製造者端末108により既製靴販売システムサーバ101からの靴Sの発注を受けると、製靴型製造のステップ(S31)により、足長L、足囲BG、足疾患角度αごとに製造された補正製靴型CSMを用いて、発注された靴Sを靴在庫管理者に納入する。この既製靴製造のステップ(S32)では、システム稼働の最初に補正製靴型CSMの準備を前提に行われるが、その後も随時必要に応じて、既製靴販売システムサーバ101や靴在庫管理者端末109からの発注により行われる。
【0106】
靴在庫管理者は、このようにして製造された靴Sを足長L、足囲BG、足疾患角度αごとに在庫として保管する。
<受注のステップ(S33)>
既製靴販売システムサーバ101は、ユーザ端末103、104や、店舗端末105、106から、既製靴販売システムサーバ101のウェブサイトにおける発注の画面でのデザインや色が選択され、足長L、足囲BG、足疾患角度αのデータとともに、既製靴の受注を受ける。
【0107】
<販売のステップ(S34)>
既製靴販売システムサーバ101は、受注すると、その選択されたデザインや色、及び足長L、足囲BG、足疾患角度αのデータ内容を靴在庫管理者端末109に送信する。受注を受けた靴在庫管理者端末109では、該当する靴Sを、注文をしたユーザ端末103、104のユーザにクレジットカードの決済後に直接発送したり、店舗端末105、106の店舗に発送したりして店舗を介して発注した使用者Pに販売する。
【0108】
また、店舗端末105、106の店舗の店舗からの在庫用の靴Sの注文に対しても、注文に応じて該当する足長L、足囲BG、足疾患角度αの靴Sを発送する。
本実施形態の既製靴販売システム100では、使用者Pの足長L、足囲BG、足疾患角度αに基づいて靴Sが選択されるため、従来のような試し履きやなどなしに、使用者Pにフィットした靴Sを納品することができる。また、通信販売によって販売しても、サイズ相違による返品率を極めて低く抑えることができる。また、一度使用者Pの足を測定して既製靴販売システムサーバ101に個人情報として記憶しておけば、次回からは、写真でデザインや色彩さえ確認すれば、簡単に既製靴が発注できる。
【0109】
(オーダー靴販売システム200)
次に、このような補正製靴型CSMを用いて製造する靴Sを、オーダー靴として受注生産をして、使用者Pごとに最適な靴Sの製作ができる、オーダー靴の販売システム200について説明する。
図18は、本実施形態の既製靴販売システム100の構成を示すブロック図である。オーダー靴販売システム200全体は、既製靴販売システム100と共通部分が多いので、同様な構成は説明を省略する。
【0110】
図18に示すオーダー靴販売システム200は、オーダー靴販売システムサーバ201を備える。オーダー靴販売システムサーバ201は、基本的に既製靴販売システムサーバ101と同様な構成である。また、ユーザ端末203、204はユーザ端末103、104と同様な構成である。また、店舗端末205、206は、店舗端末105、106と同様の構成である。製靴型製作者端末207は、製靴型製作者端末107と同様な構成であり、靴製造者端末208は、靴製造者端末108と同様な構成である。なお、オーダー靴販売システム200では、在庫を持たないことが前提なので、靴在庫管理者端末109に相当する構成はない。
【0111】
また、オーダー靴販売システム200を運用するシステム管理者、ユーザ、店舗、製靴型製作者、靴製造者は、既製靴販売システム100のシステム管理者、ユーザ、店舗、製靴型製作者、靴製造者と同様な主体である。
【0112】
このように、既製靴販売システム100は、オーダー靴販売システム200として機能させることができる。
<オーダー靴販売システムの販売手順のフローチャート>
図19は、本実施形態の既製靴販売システム100における販売の手順を示すフローチャートである。
【0113】
<測定のステップ(S41)>
オーダー靴販売システム200では、まず使用者Pから、オーダー靴の注文が店舗にあると、店舗では、少なくとも使用者Pの足長L、足囲BG、足疾患角度αを測定する測定のステップ(S41)を行う。測定方法は、例えばメジャーによる手作業のマニュアル測定、専用の測定具を用いた測定、あるいは3Dスキャナにより、3D画像化したデータから採取するようにしてもよく、その採寸方法は問わない。
【0114】
なお、使用者Pが、自ら採寸できる場合は、使用者Pが自ら採寸してもよい。
<発注のステップ(S42)>
そして、使用者Pにより、希望のデザインや色彩とともに、この測定した足長L、足囲BG、足疾患角度αが、店舗端末205、206からオーダー靴販売システムサーバ201に送信される発注のステップが行われる。
【0115】
使用者Pが自ら採寸したような場合は、例えばスマートフォンや自宅のPCのようなユーザ端末203、204からオーダー靴販売システムサーバ201に送信することもできる。
【0116】
<靴製造のステップ(S43)>
店舗端末205、206、あるいはユーザ端末203、204から発注を受けたオーダー靴販売システムサーバ201は、靴製造者の靴製造者端末208に使用者Pのデータを転送する。靴製造者端末208から発注を受けた靴製造者は、使用者Pの足長Lと、足囲BGと、足疾患角度αに基づいて、前述した補正製靴型CSMを用いて、前述した靴製造方法を用いて顧客の足長Lと、足囲BGと、足疾患角度αに応じた靴を製造する。
【0117】
顧客の足長Lと、足囲BGと、足疾患角度αに基づいて使用者Pにフィットした靴を製造したら、店舗端末205、206、あるいはユーザ端末203、204へ連絡し、使用者Pに完成したオーダー靴を納品する。
【0118】
本実施形態のオーダー靴販売システム200では、使用者Pの足長L、足囲BG、足疾患角度αに基づいて靴Sが製造されるため、従来のような試し履きや、試し履きに基づく補正などなしに、使用者Pにフィットした靴Sを納品することができる。また、通信販売によって販売しても、サイズ相違による返品率を極めて低く抑えることができる。また、一度使用者Pの足を測定してオーダー靴販売システムサーバ201に個人情報として記憶しておけば、次回からは、写真でデザインや色彩さえ確認すれば、簡単にオーダー靴が発注できる。
【0119】
(本実施形態の作用)
以上のような構成の本実施形態の製靴型、製靴型の製造方法、靴の製造方法、既製靴販売システム、オーダー靴販売システムの作用は、以下のとおりである。
【0120】
本発明者は、基本的に使用者Pの足長L、足囲BG、足疾患角度αのみから、外反母趾などで変形した足の形状が特定できることを見出し、使用者Pの足長L、足囲BG、足疾患角度αごとの補正製靴型CSMを製作する方法を開発した。
【0121】
そのため、基本的に使用者Pの足長L、足囲BG、足疾患角度αのみから、使用者Pの足の形状にあった補正製靴型CSMの特定が可能である。このような足長L、足囲BG、足疾患角度αに基づいて製作された補正製靴型CSMは、使用者の足長L、足囲BG、足疾患角度αに基づいて選択される。この補正製靴型CSMを用いることで、使用者Pの外反母趾で変形した足FTにも、常にフィットした靴Sを提供できる。
【0122】
(本実施形態の効果)
(1)本実施形態の製靴型、製靴型の製造方法、製の製造方法、既製靴販売システム、オーダー靴販売システムでは、使用者Pの足長L、足囲BG、足疾患角度αのみから、使用者Pの足の形状にあった補正製靴型CSMを作成し、選択することができる。
【0123】
(2)本実施形態の補正製靴型CSMから製靴した靴Sは、外反母趾の足でも、適切な足囲BGに基づいて製作しているので突出部BUを圧迫することがないため、使用者は痛みなどを生じさせないで履くことができる。
【0124】
(3)さらに、本実施形態の補正製靴型CSMから製靴した靴Sは、外反母趾の足FTの突出部BUを圧迫することがないだけでなく、突出部BUから、先端は拇趾F1の側部から、後端は、甲回りWGまで、自然なラインとしているため、外観からは、外反母趾であることがわからず、さらに靴として美しいフォルムとなっている。
【0125】
(4)一方、本実施形態の補正製靴型CSMから製靴した靴Sは、爪先TOと、甲回りWGでは、しっかりと足FTをホールドするため、足FTが靴3内で前後に移動することがない。実際に本発明者が、外反母趾を患った使用者Pにおいて、実験をした。この時使用した靴Sは、
図1に示すような爪先TOがとがったポインテッドトゥのハイヒールのパンプスである。履き口OPである甲部分が大きく開いており、つま先及び踵部分は両方共に覆われている。締めひもや留め金は付いていない。このような靴Sであるにも拘わらず、使用者Pの足長L、足囲BG、足疾患角度αが一致した場合、治験者は、走ることができた。
【0126】
(5)このように外反拇趾の足でも履きやすいだけでなく、靴を履いた場合に、靴の外観からは外反母趾とわかりにくく美しいシェイプの靴になっている。
(6)さらに、本発明者は、このような使用者Pにフィットした靴は、足長L,足囲BGと、足疾患角度αを用いることで、外反母趾で変形したような足でも、ぴったりとフィットした靴Sを製作することができることを見出した。そして、本実施形態の製靴型の製造方法によれば、足長L,足囲BGと、足疾患角度αに基づいて必ず使用者Pの変形した足FTにフィットさせることができた。
【0127】
(7)このような知見に基づいて、本実施形態の靴の選択方法、既製靴販売システム、オーダー靴販売システムでは、使用者Pに合った靴Sを、基本的に足長L,足囲BGと、足疾患角度αのみで特定することができる。
【0128】
このように使用者Pに合った靴Sを、基本的に足長L,足囲BGと、足疾患角度αのみで特定できるので、複雑な採寸や、3Dスキャナを必須とするような複雑な手順なしで靴の選択方法、既製靴販売システム、オーダー靴販売システムを実施することができる。
【0129】
そのため、使用者Pが、自分自身で足長L,足囲BGと、足疾患角度αさえ採寸できれば、通信販売などを利用した既製靴販売システム、オーダー靴販売システムを容易に実施することができる。
【0130】
(別例)本発明は本実施形態に限定されることなく、以下のように実施してもよい。
○靴Sは、女性用のパンプスを例示したが、靴の種類が限定されることはない。
○実施形態では、実際の使用者Pの足FTを計測する例を示したが、例えば、使用者Pの足FTを3Dスキャナで3D画像のデータを取得し、データ上で測定するようにしてもよい。
【0131】
○基準製靴型SSMも、データ上のものであってもよい。
○貼付け部材CPも、3D-CADにより、データ上で作製して、貼り付けるようにしてもよい。
【0132】
○また、肉盛りした基準製靴型SSMもデータ上で作製して、3Dスキャナにより、一体にして補正製靴型CSMを製作してもよい。
○作成した補正製靴型CSMは、そのまま形状を複製して用いることもできる。
【0133】
○本発明は、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で、当業者により、その構成を付加し、削除し、または置き換えて実施することができることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0134】
S…靴
P…使用者
FT…足
HE…踵
HP…踵点
TO…爪先
BJ…拇趾球
SBJ…小趾球
B1…楔状骨
B2…中足骨
B3…基節骨
B4…末節骨
F1~5…第1~5趾
F1…拇趾
F5…小趾
Is…足甲
BG…足囲
WG…甲回り
FW…足幅
FB…足底
Gr…荷重(踵側)
Gf…荷重(爪先側)
Ff…(前向きの)力
Fo…(外向きの)力
Fi…(内向きの)力
BU…突出部
RM…空間
RM1~4…第1~4空間
PK…頂点
Sk…裾部
M…基端長
A…(爪先TO側)基端
B…(踵HE側)基端
L0…厚み
L1…(第1の貼付け部材の)厚み
L2…厚み
St…(頂点PKに接する)接触面
S1…第1の曲面
S2…第2の曲面
S3…第3の曲面
SC…補正曲面
α…足疾患角度
β…製靴型角度
Up…甲革
CP…貼付け部材
CP1…第1の貼付け部材
CP2…第2の貼付け部材
CP3…第3の貼付け部材
SSM…基準製靴型
CSM…補正製靴型
IS…中底
OS…本底
OP…履き口