(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】致死的な放射線への曝露に関連する症状の治療における使用のためのイミダゾリルエタンアミドペンタン二酸
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4172 20060101AFI20240805BHJP
A61K 38/19 20060101ALI20240805BHJP
A61P 7/00 20060101ALI20240805BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240805BHJP
A61P 15/08 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
A61K31/4172
A61K38/19
A61P7/00
A61P43/00 121
A61P15/08
(21)【出願番号】P 2021540931
(86)(22)【出願日】2019-09-25
(86)【国際出願番号】 EP2019075853
(87)【国際公開番号】W WO2020064832
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-09-23
(32)【優先日】2018-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2019-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521121695
【氏名又は名称】ミエロ セラピューティクス ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100149032
【氏名又は名称】森本 敏明
(72)【発明者】
【氏名】プレムス,ダーク
【審査官】伊藤 幸司
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-532269(JP,A)
【文献】Database Medline on STN, AN 2013983770, DN PubMed ID: 24032227, Voprosy onkologii, (2013) Vol. 59, No. 4, pp. 498, 500-4.
【文献】Database Biosis on STN, AN 2010:376663, DN PREV201000376663, Eksperimental'naya i Klinicheskaya Farmakologiya, (JAN 2010) Vol. 73, No.1, pp. 20-22.
【文献】Database Medline on STN, AN 2013765741, DN PubMed ID: 23814834, Voprosy onkologii, (2013) Vol. 59, No. 1, pp. 99, 101-4.
【文献】Database Medline on STN, AN 2013765760, DN PubMed ID: 23814853, Voprosy onkologii, (2013) Vol. 59, No. 2, pp. 71-4, 76-7.
【文献】International Journal of General Medicine,2012年,5,pp.105-115
【文献】European Journal of Cancer,2011年,47(1),pp.8-32
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線誘発損傷の治療又は予防における使用のための
、イミダゾリルエタンアミドペンタン二酸
を含む医薬組成物であって、
イミダゾリルエタンアミドペンタン二酸の最初の用量が、放射線暴露後24時間~120時間に投与される、前記医薬組成物。
【請求項2】
イミダゾリルエタンアミドペンタン二酸の最初の用量が、放射線暴露後24時間~72時間に投与される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
イミダゾリルエタンアミドペンタン二酸の最初の用量が、放射線暴露後24時間~48時間に投与される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
イミダゾリルエタンアミドペンタン二酸が、0.4mg/kg~12mg/kgb.w.
の用量でヒト患者に投与される、請求項1
~3のいずれか一項に記載の放射線誘発損傷の治療又は予防における使用のための
医薬組成物。
【請求項5】
イミダゾリルエタンアミドペンタン二酸が、0.5mg/kgb.w~3.75mg/kgb.w.
の用量で、2~16歳の患者に投与される、請求項1に記載の放射線誘発損傷の治療又は予防における使用のための
医薬組成物。
【請求項6】
放射線用量が、
- 0.2Gy~35Gy間の全身放射線照射
、
- 0.2Gy~4.0Gy間の毎日の全身放射線照射
- 20Gy~80Gy間の局所放射線照射、又は
- 1.8Gy~30Gy間の毎日の局所放射線照射
である、請求項1~
5のいずれか一項に記載の放射線誘発損傷の治療又は予防における使用のための
医薬組成物。
【請求項7】
放射線用量が、
2~16歳
の患者(小児放射線療法)において、
- 1.5Gy~30Gyの毎日の局所放射線照射
である、
請求項1~
6のいずれか一項に記載の放射線誘発損傷の治療又は予防における使用のための
医薬組成物。
【請求項8】
放射線が、急性放射線症候群(ARS)又は急性放射線暴露の遅延効果(DEARE)に関連する症状を引き起こすのに十分な急性致死量又は致死に近い量として受け取られる、請求項1~
7のいずれか一項に記載の放射線誘発損傷の治療又は予防における使用のための
医薬組成物。
【請求項9】
放射線誘発損傷が、放射線療法によって、放射性同位元素汚染
によって、慢性的な低線量宇宙放射線によって、又は核兵器の放射線によって
引き起こされる、請求項1~8のいずれか一項に記載の放射線誘発損傷の治療又は予防における使用のための
医薬組成物。
【請求項10】
放射線誘発損傷が、癌治療における放射線療法によって引き起こされる、請求項1~9のいずれか一項に記載の放射線誘発損傷の治療又は予防における使用のための医薬組成物。
【請求項11】
イミダゾリルエタンアミドペンタン二酸が、経口、腹腔内及び静脈内投与
される、請求項1~10のいずれか一項に記載の放射線誘発損傷の治療又は予防における使用のための
医薬組成物。
【請求項12】
イミダゾリルエタンアミドペンタン二酸が、少なくとも3日間
毎日投与される、請求項1~11のいずれか一項に記載の放射線誘発損傷の治療又は予防における使用のための
医薬組成物。
【請求項13】
イミダゾリルエタンアミドペンタン二酸が、放射線照射後少なくとも3日間
毎日投与される、請求項1~12のいずれか一項に記載の放射線誘発損傷の治療又は予防における使用のための
医薬組成物。
【請求項14】
放射線誘発損傷が、電離放射線によって
引き起こされる、請求項1~13のいずれか一項に記載の放射線誘発損傷の治療又は予防における使用のための
医薬組成物。
【請求項15】
治療法が、外部ビーム放射線療法を含
む、請求項1~14のいずれか一項に記載の放射線誘発損傷の治療又は予防における使用のための
医薬組成物。
【請求項16】
外部ビーム放射線療法が、強度変調放射線療法(IMRT)、画像誘導放射線療法(IGRT)、トモセラピー、定位放射線手術、定位体放射線療法、光子ビーム、電子ビーム、及び陽子又は中性子療法からなる群から選択される、請求項15に記載の放射線誘発損傷の治療又は予防における使用のための医薬組成物。
【請求項17】
放射線療法が、
a.内部放射線療法又は近接照射療法、又は
b.全身放射線療法
を含む、請求項1~
16のいずれか一項に記載の放射線誘発損傷の治療又は予防における使用のための
医薬組成物。
【請求項18】
イミダゾリルエタンアミドペンタン二酸がG-CSF、GM-CSF、peg-G-CSF又はpeg-GM-CSFと組み合わせて投与され
る、請求項1~
17のいずれか一項に記載の放射線誘発損傷の治療又は予防における使用のための
医薬組成物。
【請求項19】
放射線誘発
損傷の治療又は予防における使用のための配合剤であって、前記配合剤は、
- イミダゾリルエタンアミドペンタン二酸及び
- G-CSF、GM-CSF、peg-G-CSF又はpeg-GM-CSFを含む、前記配合剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線誘発損傷の治療又は予防のためのイミダゾリルエタンアミドペンタン二酸の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
人間及び動物は、放射線によって誘発される損傷の影響を非常に受けやすく、細胞、組織、臓器、及び全身の損傷を引き起こす。核爆発又は災害シナリオなどの偶発的な放射線暴露において、多くの犠牲者が様々な程度で急性放射線症候群(ARS)に苦しむことになる。放射線災害現場での目下の目的は、癌の放射線治療とはかなり異なる。このような災害シナリオにおいて、初期の取り組みは、被害者をトリアージし、個々の状態に応じてその後の詳細な医療を受けることができるように、できるだけ多くの被災者に延命できる治療を提供する必要がある。放射線災害管理のもう1つの側面は、放射線災害後の長期にわたる時点で、命を救う薬や治療法を利用できるようにする必要がある。この要件は、犠牲者に命を救う薬/治療が施されることができるように、医療スタッフ、薬/治療、及び機器を災害現場に動員するために必要な時間に起因する。FDAは、放射線暴露後24時間以内に投与された場合に有効な医療対策を要求している。
【0003】
災害による偶発的な放射線暴露に加えて、細胞、組織、臓器、及び全身への放射線誘発損傷は、癌などの疾患の治療過程での放射線暴露の結果である可能性がある。癌患者の40%以上が、病気の管理中に放射線療法を必要とする。放射線療法はかなりの数の癌患者の生存率を改善するが、急性放射線毒性(臨床放射線療法の過程中又はその直後に現れる)及び後期毒性(放射線療法の完了後数ヶ月から数年に発生)の両方が、治療に成功したがん患者の全体的な結果を損なう。
【0004】
現在、コロニー刺激因子(CSF)など、癌で使用される放射線治療から細胞や組織を保護できる薬剤がある。偶発的又は意図的な放射線暴露に関して、全身放射線照射後のマウスの生存率及びNHPの増加を示したFDAによって承認された3つの医学的対策がある。ただし、3つの薬剤はすべて皮下注射で投与されるため、大量の死傷者が発生した場合は不便になり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の技術分野の状況に基づいて、本発明の目的は、ヒト対象における放射線誘発損傷を治療又は予防するための手段及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、本明細書の独立請求項の主題によって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】未治療群、媒体群、及び5.8Gyの放射線照射前に予防的処置を受けた3つの群におけるカプラン・マイヤー生存者関数。
【
図2】未治療群、媒体群、及び5.8Gyの放射線照射後に治療的処置を受けた2つの群におけるカプラン・マイヤー生存者関数。
【
図3】未治療群、媒体群、及び6Gyの放射線照射後の治療的処置を受けた単一群におけるカプラン・マイヤー生存者関数。
【
図4A】(A):群1(U;1)、群2(VL(POx1));2)、群3(ML(IPx2);3)、群4(ML(POx2);4)、群5(ML(POx1);5)の0、3、9、15、21、及び30日目(AM)の姿勢についての段階的カテゴリーの(ARSスコアの一部)動物の割合。
【
図4B】(B):群1(U;1)、群2(VL(POx1));2)、群6(GL(SCx1);6)及び群7(M/GL(PO/SCx1)の0、3、9、15、21、及び30日目(AM)の姿勢についての段階的カテゴリーの(ARSスコアの一部)動物の割合。
【
図4C】(C):群1(U;1)、群2(VL(POx1));2)、群8(VH(POx1);8)及び群9(MH:(POx1);9)の0、3、9、15、21、及び30日目(AM)の姿勢についての段階的カテゴリーの(ARSスコアの一部)動物の割合。
【
図5A】(A):群1(U;1)、群2(VL(POx1));2)、群3(ML(IPx2);3)、群4(ML(POx2);4)、群5(ML(POx1);5)の0、3、9、15、21、及び30日目(AM)の毛皮についての段階的カテゴリーの(ARSスコアの一部)動物の割合。
【
図5B】(B):群1(U;1)、群2(VL(POx1));2)、群6(GL(SCx1);6)及び群7(M/GL(PO/SCx1)の0、3、9、15、21、及び30日目(AM)の毛皮についての段階的カテゴリーの(ARSスコアの一部)動物の割合。
【
図5C】(C):群1(U;1)、群2(VL(POx1));2)、群8(VH(POx1);8)及び群9(MH:(POx1);9)の0、3、9、15、21、及び30日目(AM)の毛皮についての段階的カテゴリーの(ARSスコアの一部)動物の割合。
【
図6A】(A):群1(U;1)、群2(VL(POx1));2)、群3(ML(IPx2);3)、群4(ML(POx2);4)、群5(ML(POx1);5)の0、3、9、15、21、及び30日目(AM)の行動についての段階的カテゴリーの(ARSスコアの一部)動物の割合。
【
図6B】(B):群1(U;1)、群2(VL(POx1));2)、群6(GL(SCx1);6)及び群7(M/GL(PO/SCx1)の0、3、9、15、21、及び30日目(AM)の行動についての段階的カテゴリーの(ARSスコアの一部)動物の割合。
【
図6C】(C):群1(U;1)、群2(VL(POx1));2)、群8(VH(POx1);8)及び群9(MH:(POx1);9)の0、3、9、15、21、及び30日目(AM)の行動についての段階的カテゴリーの(ARSスコアの一部)動物の割合。
【
図7A】(A):群8(VH(POx1);8)の経時的な体重の放射線照射効果(ベースライン重量に対する経時的な体重の変化)。
【
図7B】(B):3日目から30日目の群9(MH(POx1);9)の経時的な体重の処置効果(対照群8(VH(POx1);8)と比較した経時的な体重の変化。
【
図7C】(C):未治療群(U;1)、媒体群8(VH(POx1);8)及びMyelo001治療群9(MH(POx1);9)の個々の動物(青)の0日目30日目までの経時的に測定された体重プロファイル。各治療群におけるLOWESS平滑化平均体重が示されている(赤)。
【
図8A】白血球数。(A):群1(U;1)、群2(VL(POx1);2)群3(ML(IPx2);3)、群4(ML(POx2);4)、群5(ML(POx1);5)の0、7、14、及び30日目の白血球数(箱ひげ図:中央値、25%-75%、隣接する値の下限/上限、外側の値)。
【
図8B】白血球数。(B):群1(U;1)、群2(VL(POx1);2)、群6(GL(SCx1);6)及び群7(M/GL(PO/SCx1);7)の0、7、14、及び30日目の白血球数(箱ひげ図:中央値、25%-75%、隣接する値の下限/上限、外側の値)。
【
図8C】白血球数。(C):群1(U;1)、群8(VH(POx1);8)及び群9(MH:(POx1);9)の0、7、14、及び30日目の白血球数(箱ひげ図:中央値、25%-75%、隣接する値の下限/上限、外側の値)。
【
図9A】絶対好中球数。(A):群1(U;1)、群2(VL(POx1);2)群3(ML(IPx2);3)、群4(ML(POx2);4)、群5(ML(POx1);5)の0、7、14、及び30日目のANC(箱ひげ図:中央値、25%-75%、隣接する値の下限/上限、外側の値)。
【
図9B】絶対好中球数。(B):群1(U;1)、群2(VL(POx1);2)、群6(GL(SCx1);6)及び群7(M/GL(PO/SCx1);7)の0、7、14、及び30日目のANC(箱ひげ図:中央値、25%-75%、隣接する値の下限/上限、外側の値)。
【
図9C】絶対好中球数。(C):群1(U;1)、群8(VH(POx1);8)及び群9(MH:(POx1);9)の0、7、14、及び30日目のANC(箱ひげ図:中央値、25%-75%、隣接する値の下限/上限、外側の値)。
【
図10A】絶対リンパ球数。(A):群1(U;1)、群2(VL(POx1);2)群3(ML(IPx2);3)、群4(ML(POx2);4)、群5(ML(POx1);5)の0、7、14、及び30日目の絶対リンパ球数(箱ひげ図:中央値、25%-75%、隣接する値の下限/上限、外側の値)。
【
図10B】絶対リンパ球数。(B):群1(U;1)、群2(VL(POx1);2)、群6(GL(SCx1);6)及び群7(M/GL(PO/SCx1);7)の0、7、14、及び30日目の絶対リンパ球数(箱ひげ図:中央値、25%-75%、隣接する値の下限/上限、外側の値)。
【
図10C】絶対リンパ球数。(C):群1(U;1)、群8(VH(POx1);8)及び群9(MH:(POx1);9)の0、7、14、及び30日目の絶対リンパ球数(箱ひげ図:中央値、25%-75%、隣接する値の下限/上限、外側の値)。
【
図11A】絶対血小板数。(A):群1(U;1)、群2(VL(POx1);2)群3(ML(IPx2);3)、群4(ML(POx2);4)、群5(ML(POx1);5)の0、7、14、及び30日目の絶対血小板数(箱ひげ図:中央値、25%-75%、隣接する値の下限/上限、外側の値)。
【
図11B】絶対血小板数。(B):群1(U;1)、群2(VL(POx1);2)、群6(GL(SCx1);6)及び群7(M/GL(PO/SCx1);7)の0、7、14、及び30日目の絶対血小板数(箱ひげ図:中央値、25%-75%、隣接する値の下限/上限、外側の値)。
【
図11C】絶対血小板数。(C):群1(U;1)、群8(VH(POx1);8)及び群9(MH:(POx1);9)の0、7、14、及び30日目の絶対血小板数(箱ひげ図:中央値、25%-75%、隣接する値の下限/上限、外側の値)。
【
図12A】ヘモグロビン。(A):群1(U;1)、群2(VL(POx1);2)群3(ML(IPx2);3)、群4(ML(POx2);4)、群5(ML(POx1);5)の0、7、14、及び30日目のヘモグロビン(g/dL)(箱ひげ図:中央値、25%-75%、隣接する値の下限/上限、外側の値)。
【
図12B】ヘモグロビン。(B):群1(U;1)、群2(VL(POx1);2)、群6(GL(SCx1);6)及び群7(M/GL(PO/SCx1);7)の0、7、14、及び30日目のヘモグロビン(g/dL)(箱ひげ図:中央値、25%-75%、隣接する値の下限/上限、外側の値)。
【
図12C】ヘモグロビン。(C):群1(U;1)、群8(VH(POx1);8)及び群9(MH:(POx1);9)の0、7、14、及び30日目のヘモグロビン(g/dL)(箱ひげ図:中央値、25%-75%、隣接する値の下限/上限、外側の値)。
【
図13A】精巣。(A):群2(VL(POx1);2)、群3(ML(IPx2);3)、群4(ML(POx2);4)及び群5(ML(POx1);5)の4つのカテゴリー(最小、軽度、中程度、及び顕著)による精巣変性の重症度の割合。
【
図13B】精巣。(B):群2(VL(POx1);2)、6(GL(SCx1);6)、及び7(M/GL(PO/SCx1);7)の4つのカテゴリー(最小、軽度、中程度、及び顕著)による精巣変性の重症度の割合。
【
図13C】精巣。(C):群8(VH(POx1);8)及び9(MH(POx1);9)の4つのカテゴリー(最小、軽度、中程度、及び顕著)による精巣変性の重症度の割合。
【
図14A】骨髄細胞性。(A):群2(VL(POx1);2)、群3(ML(IPx2);3)、群4(ML(POx2);4)及び群5(ML(POx1);5)の4つのカテゴリー(最小、軽度、中程度、及び顕著)による骨髄細胞性減少の割合。
【
図14B】骨髄細胞性。(B):群2(VL(POx1);2)、6(GL(SCx1);6)、及び7(M/GL(PO/SCx1);7)の4つのカテゴリー(最小、軽度、中程度、及び顕著)による骨髄細胞性減少の割合。
【
図14C】骨髄細胞性。(C):群8(VH(POx1);8)及び9(MH(POx1);9)の4つのカテゴリー(最小、軽度、中程度、及び顕著)による骨髄細胞性減少の割合。
【発明を実施するための形態】
【0008】
用語と定義
本明細書の文脈におけるイミダゾリルエタンアミドペンタン二酸という用語は、5-{[2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル]アミノ}-5-オキソ-ペンタン酸(CAS番号219694-63-0)に関連する。Myelo001という用語は、イミダゾリルエタンアミドペンタン二酸の同義語である。
【0009】
本明細書の文脈における用語G-CSFは、顆粒球コロニー刺激因子に関する。
【0010】
本明細書の文脈における用語GM-CSFは、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子に関する。
【0011】
本明細書の文脈におけるpeg-G-CSF又はpeg-GM-CSFという用語は、peg化G-CSF又はGM-CSFに関連する。peg化は、ポリエチレングリコールによる修飾に関する。
【0012】
本明細書の文脈における用語lipeg-G-CSFは、グリシン、N-アセチルノイラミン酸及びN-アセチルガラクトサミンからなる炭水化物リンカーを介して単一のメトキシPEG分子と共有連結された顆粒球コロニー刺激因子に関する。
【0013】
本明細書で使用される場合、任意の疾患又は障害(例えば、癌)を治療する又は治療という用語は、一実施形態において、疾患又は障害を改善すること(例えば、疾患の発症又はその臨床症状の少なくとも1つを遅らせるか、阻止するか、又は減らす)を指す。別の実施形態において、「治療する」又は「治療」は、患者によって識別できない可能性があるものを含む、少なくとも1つの物理的パラメータを軽減又は改善することを指す。さらに別の実施形態において、「治療する」又は「治療」は、物理的(例えば、識別可能な症状の安定化)、生理学的(例えば、物理的パラメータの安定化)、又はその両方のいずれかで、疾患又は障害を調節することを指す。治療はまた、病気、障害又は損傷の引き金となる事象の後の適用を指す。疾患の治療及び/又は予防を評価するための方法は、以下に具体的に記載されていない限り、当技術分野で一般に知られている。
【0014】
当業者は、具体的に言及された任意の薬物が、前記薬物の薬学的に許容される塩として存在し得ることを認識する。製薬上許容される塩は、イオン化された薬物及び反対に帯電した対イオンを含む。薬学的に許容されるアニオン性塩形態の非限定的な例は、酢酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、酒石酸塩、臭化物、炭酸塩、塩化物、クエン酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エンボネート、エストレート、フマル酸塩、グルセプテート、グルコン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化物、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデレート、メシル酸塩、臭化メチル、硫酸メチル、ムケート、ナプシレート、硝酸塩、パモ酸塩、リン酸塩、二リン酸塩、サリチル酸塩、ジサリチル酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、トシレート、トリエチオダイド及び吉草酸塩を含む。薬学的に許容されるカチオン性塩形態の非限定的な例は、アルミニウム、ベンザチン、カルシウム、エチレンジアミン、リジン、マグネシウム、メグルミン、カリウム、プロカイン、ナトリウム、トロメタミン及び亜鉛を含む。
【0015】
剤形は、経鼻、口腔、直腸、経皮又は経口投与などの経腸投与用であるか、又は吸入形態又は坐剤であり得る。あるいは、皮下、静脈内、肝内又は筋肉内注射形態などの非経口投与が使用され得る。任意に、薬学的に許容される担体及び/又は賦形剤が存在し得る。
【0016】
本発明の詳細な説明
本発明の第1の態様は、放射線誘発損傷の治療又は予防における使用のためのイミダゾリルエタンアミドペンタン二酸に関する。
【0017】
特定の実施形態において、イミダゾリルエタンアミドペンタン二酸は、0.4mg/kg~12mg/kgb.w.の用量でヒト患者に投与される。特定の実施形態において、イミダゾリルエタンアミドペンタン二酸は、1.2mg/kg~12mg/kgb.w.の用量でヒト患者に投与される。特定の実施形態において、イミダゾリルエタンアミドペンタン二酸は、4mg/kg~12mg/kgb.w.の用量でヒト患者に投与される。
【0018】
特定の実施形態において、イミダゾリルエタンアミドペンタン二酸は、2~16歳の患者に、0.5mg/kg~3.75mg/kgb.w.の用量で投与される。特定の実施形態において、イミダゾリルエタンアミドペンタン二酸は、2~16歳の患者に、1.25mg/kg~3.25mg/kgb.w.の用量で投与される。特定の実施形態において、イミダゾリルエタンアミドペンタン二酸は、2~16歳の患者に、1日2回、1.25mg/kgb.w.の用量で投与される。
【0019】
特定の実施形態において、イミダゾリルエタンアミドペンタン二酸は、放射線暴露前1時間~120時間に投与される。特定の実施形態において、イミダゾリルエタンアミドペンタン二酸は、放射線暴露前1時間~120時間に投与される。特定の実施形態において、イミダゾリルエタンアミドペンタン二酸は、放射線暴露前1時間~72時間に投与される。特定の実施形態において、イミダゾリルエタンアミドペンタン二酸は、放射線暴露前6時間~48時間に投与される。特定の実施形態において、イミダゾリルエタンアミドペンタン二酸は、放射線暴露前12時間~24時間に投与される。
【0020】
特定の実施形態において、イミダゾリルエタンアミドペンタン二酸の最初の用量は、放射線暴露後24時間~120時間に投与される。特定の実施形態において、イミダゾリルエタンアミドペンタン二酸の最初の用量は、放射線暴露後24時間~72時間に投与される。特定の実施形態において、イミダゾリルエタンアミドペンタン二酸の最初の用量は、放射線暴露後24時間~48時間に投与される。
【0021】
特定の実施形態において、イミダゾリルエタンアミドペンタン二酸の最初の用量は、放射線暴露後6時間~72時間に投与される。特定の実施形態において、イミダゾリルエタンアミドペンタン二酸の最初の用量は、放射線暴露後8時間~48時間に投与される。特定の実施形態において、イミダゾリルエタンアミドペンタン二酸の最初の用量は、放射線暴露後12時間~24時間に投与される。
【0022】
特定の実施形態において、放射線用量は、0.2Gy~35Gy間の全身放射線照射である。特定の実施形態において、放射線用量は、0.2Gy~13.5Gy間の全身放射線照射である。
【0023】
特定の実施形態において、放射線用量は、0.2Gy~4.0Gy間の毎日の全身放射線照射である。
【0024】
特定の実施形態において、放射線用量は、20Gy~80Gyの局所放射線照射である。
【0025】
特定の実施形態において、放射線用量は、1.8Gy~30Gy間の毎日の局所放射線照射である。特定の実施形態において、放射線用量は、1.8Gy~2.0Gy間の毎日の局所放射線照射である。
【0026】
特定の実施形態において、放射線用量は、2~17歳、特に2~16歳、より特に3~16歳(小児放射線療法)の患者における1.5Gy~30Gy間の毎日の局所放射線照射である。特定の実施形態において、放射線用量は、2~17歳、特に2~16歳、より特に3~16歳(小児放射線療法)の患者における1.5~1.8Gy間の毎日の局所放射線照射である。
【0027】
特定の実施形態において、放射線は、急性放射線症候群(ARS)に関連する症状を発生させるのに十分な急性致死量又は致死に近い量として受け取られる。特定の実施形態において、放射線は、複数の臓器系に影響を与える無数の慢性疾患を含む、急性放射線曝露の遅延効果(DEARE)を生成する。
【0028】
特定の実施形態において、放射線誘発損傷は、放射線療法によって、放射性同位元素汚染(例えば、原子炉の偶発的な漏出)によって、慢性的な低線量宇宙放射線によって、又は核兵器の放射線によって引き起こされる。特定の実施形態において、放射線誘発損傷は、癌治療における放射線療法によって引き起こされる。
【0029】
特定の実施形態において、放射線療法は、X線、ガンマ線又は中性子線を含む。特定の実施形態において、放射線療法は、その放出源として、Co60、137Cs、ヨウ素131、ルテチウム177、イットリウム90、ラジウム223、ストロンチウム89、サマリウム(153Sm)、又はレキシドロナムを使用する。
【0030】
特定の実施形態において、イミダゾリルエタンアミドペンタン二酸は、経口、腹腔内、そして静脈内、特に経口投与される。
【0031】
特定の実施形態において、イミダゾリルエタンアミドペンタン二酸は、少なくとも3日間毎日投与される。特定の実施形態において、イミダゾリルエタンアミドペンタン二酸は、5~10日間毎日投与される。
【0032】
特定の実施形態において、イミダゾリルエタンアミドペンタン二酸は、放射線暴露後少なくとも3日間、毎日投与される。特定の実施形態において、イミダゾリルエタンアミドペンタン二酸は、放射線暴露後5日~10日間毎日投与される。
【0033】
特定の実施形態において、放射線誘発損傷は、電離放射線によって引き起こされる。特定の実施形態において、放射線誘発損傷は、光子放射線によって引き起こされる。
【0034】
特定の実施形態において、治療法は、外部ビーム放射線療法を含み、特に外部ビーム放射線療法は、強度変調放射線療法(IMRT)、画像誘導放射線療法(IGRT)、トモセラピー、定位放射線手術、定位放射線療法、光子ビーム、電子ビーム、及び陽子又は中性子療法からなる群から選択される。
【0035】
特定の実施形態において、放射線療法は、内部放射線療法を含む。特定の実施形態において、放射線療法は近接照射療法を含む。特定の実施形態において、放射線療法は、全身放射線療法を含む。特定の実施形態において、放射線療法は、治療上の偶発的な放射線の過剰曝露(例えば、医原性の過剰投与又は操作事故)を含む。
【0036】
特定の実施形態において、イミダゾリルエタンアミドペンタン二酸は、G-CSF、GM-CSF、lipeg-G-CSF、peg-G-CSF又はpeg-GM-CSFと組み合わせて投与される。特定の実施形態において、G-CSF、GM-CSF、lipeg-G-CSF、peg-G-CSF又はpeg-GM-CSFは、2μg/kgb.w./日~30μg/kgb.w./日の用量で投与される。特定の実施形態において、G-CSF、GM-CSF、lipeg-G-CSF、peg-G-CSF又はpeg-GM-CSFは、2.8μg/kgb.w./日~10μg/kgb.w./日の用量で投与される。
【0037】
本発明の第2の態様は、放射線誘発損傷の治療又は予防における使用のための配合剤に関する。配合剤は、
イミダゾリルエタンアミドペンタン二酸及び
G-CSF、GM-CSF、lipeg-G-CSF、peg-G-CSF又はpeg-GM-CSFを含む。
例えば、投薬計画又は医学的症状などの単一の分離可能な特徴の代替物が本明細書に「実施形態」として提示される場合はいつでも、そのような代替物は自由に組み合わされて、本明細書に開示される本発明の別個の実施形態を形成し得ることが理解されるべきである。したがって、投薬計画の代替の実施形態のいずれかは、本明細書に記載の医学的症状の代替の実施形態のいずれかと組み合わされ得る。
【0038】
本発明は、以下の実施例及び図によってさらに説明され、そこから、さらなる実施形態及び利点を引き出すことができる。これらの例は、本発明を説明することを意図し、その範囲を限定することを意図していない。
【実施例】
【0039】
材料及び方法
プロトコル及び研究の実行
この研究は、プロトコル及びSNBLUSA(現在はAltasciences)の標準操作手順(SOP)に準拠している。データの品質又は整合性に影響を与えた偏差及び事象は、該当するレポートセクションでさらに説明されている。
【0040】
照射の最初の日は0日目として指定され、その後の日数は連続して番号が付けられた。照射前の研究日数は連続して番号が付けられ、順応の最終日は-1日目として指定された。
【0041】
放射線及び線量測定
以前に報告された研究(ウィリアムズら2010、プレットら2012、チュアら2014、シンら2015)に基づいて、LD25及びLD50を調査するためにマウスモデルが開発された。全身放射線照射及び選択された線量は、原子力事故後の人間への放射線暴露の可能性を模倣した並進インビボモデルとして機能する。
【0042】
放射線
ソース/モデル X線/Rad Source RS-2000
目標線量率 1.331Gy/分
実際の線量率は、照射前後に測定され、1.322~1.367Gy/分の範囲であった。
エネルギー 25mAで160kV(円形RAD+を備えたRS-2000チャンバーの床)
メーカー RadSource Technologies、Inc.(ジョージア州スワニー)
銅フィルターサイズ 0.3mm Cu
イオンチャンバー RadCal 2086イオンチャンバー線量計
構成 チャンバーの床の棚の高さ; チャンバーフロアの中央にあるリードRAD+シールド;床の銅メッシュ;ターンテーブル又は追加の円形銅メッシュは取り付けられていない。
【0043】
線量計算 線量(Gy)=線量率(Gy/分)*時間(分)
【0044】
物質
テスト項目
同定 Myelo001(イミダゾリルエタンアミドペンタン二酸;IEPA)
サプライヤー スポンサー
メーカー ERREGIERRES.p.A.
ヴィア フランチェスコバラッカ、19
24060サンパオロダルゴン(BG)イタリア
ロット/バッチ CASN.219694-63-0、バッチA170017
説明 白色又はほぼ白色の無臭の結晶性粉末
純度 99.6%
再テスト日 2020年10月
保管条件 2~8℃
【0045】
ポジティブ対照項目
同定 Neupogen(登録商標)(フィルグラスチム;顆粒球コロニー刺激因子;G-CSF)
サプライヤー SNBLUSA
メーカー アムジェン
ロット/バッチ 1065526
説明 無色透明の液体
濃度 300μg/mL
有効期限 2018年4月30日
保管条件 2~8℃
媒体(ネガティブコントロール)
同定 0.5%ヒドロキシプロピルメチルセルロース水溶液(HPMC)
メーカー シグマ
ロット/バッチ MKCB1715V
説明 白い粉末
有効期限 2023年3月16日
保管条件 2~8℃
【0046】
動物
SNBLUSA、Ltd(以下、SNBLUSA)は、実験動物ケア評価認証協会(AAALAC)の認定を受けており、実験動物福祉事務所(OLAW)が発行する動物福祉保証を有しており、米国農務省(USDA)に登録されており、かつ動物実験動物の人道的ケアと使用に関する適用法と規制のSNBLUSAの遵守に責任を負う、施設内動物ケア及び使用委員会(IACUC)を有している。
【0047】
動物(C57BL/6マウス)は、ジャクソン研究所(メイン州バーハーバーの施設)から提供された。動物は、研究の割り当ての前にストックとしてSNBLUSA(エベレット、ワシントン州の施設)で維持され、研究で使用する前に獣医スタッフによって健康についてスクリーニングされた。205匹の動物が処置群に割り当てられた。
【0048】
投薬
Myelo001の経口投与は、原子力又はその他の放射線事故を助長するものであり、この研究のために選択された。放射線照射前3日に投与される用量は50mg/kgが選択された。人間の等価用量は、相対成長計算に基づいて4mg/kgと推定される。
【0049】
表1:投薬
【表1】
NA=該当なし。Conc.=濃度;OG=経口胃;IP=腹腔内;
SC=皮下;SID=1日1回;LD=致死量
x=投与された用量の合計回数(12時間間隔±1時間);
総投与量(mL)は、最新の体重に基づいて計算される。
b=0日目の剖検
c=7日目の剖検
d=14日目の剖検
e=30日目の剖検
【0050】
【0051】
ARSスコアリング
この研究の主な結果は死亡率であり、副次的な結果は血液学(末梢及び骨髄)の変化であった。エンドポイントは、動物研究のエンドポイントが臨床的利益(一般に、生存率の向上又は主要な病的状態の予防)に明確に関連することを示す動物規則の要件に従うように選択された。副次的エンドポイントは、疾患又は状態の理解及び治療効果の特徴づけに潜在的に貢献するように選択された。
【0052】
姿勢、毛皮、及び行動の1~4(最小、軽度、中程度、及び重度)のスコアは、スコアリングが1回だけ発生した予定された剖検の日を除いて、-3日目からSNBLSOPごとに1日2回記録された。観察は、研究の過程で5人の個人によって行われた。
【0053】
0日目以降、最初のARSスコアリングは午前中に開始され、2番目のARSスコアリングは午前中のARSスコアリングの完了の4~6時間後に開始された。予定された剖検の日は、ARSスコアリングは剖検前の朝に行われた。
【0054】
ARSスコアリングSNBLSOPに基づいて、3つのパラメータスコアの合計が8以上の場合、その動物は瀕死状態であると見なされ、瀕死状態の動物SOPに従って実施された予定外の剖検で安楽死させた。
【0055】
ケージサイドの死亡率チェックは、SOPごとに、-3日目以降1日2回実施された。午前及び午後のチェックは、それぞれのARSスコアリングの完了後2~3時間で開始された。個々の評価は、再採点によって明らかに瀕死の動物について、又は除去によって発見された死んだ動物についてのみ文書化された。
【0056】
体重は、順応中(-3日目を含む)に2回、照射前(0日目)に1回、その後3日ごとに評価された。動物4012を除いて、最終体重も収集された。
【0057】
統計分析
カプラン・マイヤー法を使用して、生存データを記述的かつグラフィカルに要約した。さらに、死亡率は処置によって表にされた。2つ以上の生存曲線の同等性は、ログランク検定でテストされた。さらに、ハザード比、p値、及び95%信頼区間(95%CI)を推定するためにCox回帰モデルが使用された。
【0058】
生存分析の焦点は、0日目及び30日目の照射の間の照射関連死である。したがって、7日目と14日目の予定された剖検又は放射線照射に関係のない死(動物2041、9012及び9021)は打ち切り事象と見なされた。
【0059】
すべての追加の計算について、Stata14(StataCorp.、4905LakewayDrive、CollegeStation、TX77845、USA)が使用された。
【0060】
縦断的データは、各群の経時的な平均体重、及び応答プロファイル分析による反復測定間の共分散を考慮して分析された(フィッツマウリスら、Wiley2004、p103-140)。分析は、同じマウスの反復体重と治療群及び時間の指標変数との間の相関を説明するために、構造化されていない共分散を伴う回帰モデルとして指定され、媒体(vehicle)処置が参照群として使用され、及び0日目が時間の参照とされた。
【0061】
応答プロファイル分析は、制限付き最尤(REML)法によって推定された次の回帰係数を提供する。
切片-0日目の参照群VL(POx1);2及びVH(POx1);8の平均体重。
処置-0日目の治療群と媒体群の平均体重の差
時間-参照群のベースラインからの体重変化
【0062】
治療×時間-治療群及び対照群のベースラインからの変化の比較によって推定された毎日の治療効果
【0063】
すべての回帰係数について、p値及び95%信頼区間が提供される。この方法は、解釈可能な推定値を提供し、治療群がベースラインで異なる場合に有効であり、時間の経過に伴う平均体重の任意のパターン(特定の時間傾向ではなく、例えば線形曲線が想定される)及び共分散の任意のパターンを可能にする。モデルの仕様ミスによる潜在的なリスクが最小限であるため、分析には一定の堅牢性がある。
【0064】
例1:死亡率
動物の死亡率データの要約は表3~4に含まれ、カプラン・マイヤープロットは
図1~3に含まれる。動物2041及び9021は3日目に安楽死させ、及び動物9012は4日目に安楽死させた。SNBLでの履歴データに基づく、放射線関連症状の発症は一般に7日目より早く発生する。したがって、放射線照射効果はこれら3匹の動物の瀕死状態の原因とは見なされなかった。さらに、3匹中2匹の胸腔内の体液の肉眼的病理観察は、瀕死状態が用量投与に潜在的に関連することを示している。したがって、これらの動物は死亡率の評価とすべての生存率の計算から除外された。
【0065】
放射線照射に関連する死亡率の概要、死亡数をリスク時の時間で割ったものを表3に示す。10%の死亡までの時間を表4に示す。媒体群2(VL(POx1);2)及び8(VH(POx1);8)について、5.8及び6Gyの放射線用量で100日あたり0.65及び1.48の比率が観察された。予防群では、100日あたり0.44~1.30の比率が見つかった。G-CSFによる治療的処置(群6)では、低放射線用量で100日あたり0.42の比率が観察されたが、併用処置の群7(M/GL(PO/SCx1);7)では30日以内に死亡は発生しなかった。群9(MH(POx1);9)の比率は、対応する対照群8(VH(POx1);8)よりも低かった(100日あたりそれぞれ0.48対1.48)。
【0066】
以下において、予防的処置及び治療的処置についての生存率を別々に示す。媒体群では、10%の死亡までの時間は17日であり、予防的処置の推定値は13日~21日であった。ログランク検定では、群2(VL(POx1);2)、群3(ML(IPx2);3)、群4(ML(POx2);4)、及び群5(ML(POx1);5)の生存曲線の間に統計的に有意な差は見られなかった(p=0.337)。治療の効果を制御したCox回帰によるさらなる分析では、有意な予防効果は示唆されなかった(表5)。
【0067】
G-CSFによる治療的処置の場合、10%の死亡までの時間は12日であり、併用処置の群M/GL(PO/SCx1);7においては、30日目まで死亡は観察されなかった。ログランク検定では、VL(POx1);2、GL(SCx1);6及びM/GL(PO/SCx1);7の生存曲線間に有意差は見られなかった(p=0.469)。治療効果を制御した追加のCox回帰は、GL(SCx1);6の有意な治療効果を示唆していなかった(表6)。
【0068】
6Gyの高放射線用量の後、10%の死亡までの時間は、媒体群で16日(95%CI12~29)、Myelo001による治療的処置で23日(95%CI12~n.a.)である。ログランク検定は、VH(POx1);8及び(p=0.066)の生存曲線間の差について有意性に達せず、記述データはMH(POx1);9を支持するプラスの効果を示唆している。治療効果を制御するCox回帰を使用したさらなる分析により、この発見が確認される。ハザード比は0.32(p=0.085;95%CI0.09~1.17)である(表7)。
【0069】
媒体及び対応する予防的及び治療的処置における30日後の生存率の比率として計算された用量減少係数(DRF)は、最大1.5の値を採用する。6Gyの高放射線用量でのMyelo001による治療的処置では、最大DRF1.5が観察された(表8)。
【0070】
例2:ARSスコア
処置された動物の姿勢のスコア分布における有意差が15日目に観察された。群4(ML(POx2);4)及び5ML(POx1);5で観察された最も頻繁なグレード(モード)は対照群2と比較して正常であった(VL(POx1);2)(軽度)。治療的に治療された群6(GL(SCx1);6)及び7(M/GL(PO/SCx1);7)も、姿勢のスコアリングで通常のモードを示したが、対照群2(VL(POx1);2)は主に(65%)軽度として表示された。30日目に、正常姿勢スコアの頻度が増加する傾向が、対照群8(VH(POx1);8)と比較して群9(MH(POx1);9)で観察される(
図4A-C、表。10)。
【0071】
全体として、15日目に、Myelo001による予防的処置(群4、5)及びMyelo001のみとMyelo001+Neupogenによる治療的処置(群6、7)は、対照群と比較して正常姿勢スコアの頻度の増加をもたらした。腹腔内投与された低用量のMyelo001(群3(ML(IPx2);3))による治療は、そのような変化をもたらさなかった(
図5A、B)。
【0072】
9日目に、Neupogenで治療した群6(GL(SCx1);6)の毛皮のARSスコアは、媒体で治療した群2(2(VL(POx1);2)及びMyelo001を使用したNeupogenとは対照的に、軽度のグレードのパーセンテージの増加を示した。治療群7(M/GL(PO/SCx1);7)、毛皮は正常であった(
図5B、表11)。
【0073】
高放射線用量6Gyで照射された治療群では、Myelo001治療群9(MH(POx1);9)の毛皮グレードは21日目でほぼ正常であったが、対照群8(VH(POx1);8)では軽度(20%)及び中程度(27%)のグレードが観察され得る(
図5C、表11)。
【0074】
全体として、21日目の毛皮のスコアリングでは、媒体で処理した群8(VH(POx1);8)の軽度及び中程度のモードと比較して、Myelo001で処理した群9(MH:(POx1);9)の正常グレードが最も頻繁に明らかになった。
放射線は、すべての群(群2から9)の動物の行動スコアに大きな変化を引き起こさず、統計的検定(クラスカル・ウォリス又はウィルコクソン順位和検定)では有意差は示されなかった(
図6A-C、表12)。
【0075】
全体として、Myelo001治療群9は、群8(対照)と比較して、姿勢及び毛皮のARSスコアに有利(=低いスコア)の傾向がある。治療的に治療された群6(GL(SCx1);6)及び群7(M/GL(PO/SCx1);7)は、姿勢及び毛皮のスコア分布に有意差を示した。
【0076】
例3:体重
体重の統計分析は、0、3、9、15、21、及び30日目に実施された(表13A-D)。6、12、18、及び24日目のデータは表示されていない。体重の変化は、予防的処置及び治療的処置のために別々に議論されている。未処理の群1(U;1)は、時間の経過とともに体重が増加した。
【0077】
予防的処置結果
予防的処置及びその後の5.8Gy照射の体重の統計結果が要約されている。切片は、ベースラインでの媒体群VL(POx1);2の平均体重が27.6g(p<0.001;95%CI:26.9~28.2g)であることを示唆している。この対照群の平均体重は、3日目~30日目まで有意に減少する。媒体群のベースライン体重からの最大減少は21日目(時間)に-3.7gp<0.001(-5.1~-2.2g)である。媒体群(治療)と比較して、Melo001で予防的に治療された群の平均体重が異なるという証拠はない。Myelo001による予防的処置は、照射による体重減少をわずかに補う傾向がある(治療×時間)。
【0078】
3日目の小さな保護効果は予防群3(ML(IPx2);3)、4(ML(POx2);4)及び5(ML(POx1);5)で示された。例えば、媒体群の平均体重は3日目で-1.9gp<0.001(-1.7~-2.1g)である。ML(POx2);4群の平均体重は媒体群の重量を0.7g上回っている(p<0.001;95%CI:0,4~1,0g)。
【0079】
治療結果
G-CSF(群6、(GL(SCx1);6))による治療的処置及び併用療法が要約されている。0日目の媒体群の平均体重は27.6g(p<0.001;95%CI:27.0~28.1g)である。5.8Gyのレベルで照射した後、この対照群の平均体重は3日目~30日目(時間)の間にベースラインから大幅に減少する。最大の減量は-4.3g(p<0.001;95%CI:-5.6~-3.0g)である。0日目では、媒体群VL(POx1);2及びGL(SCx1);6及びM/GL(PO/SCx1);7それぞれ(治療)間に有意な体重差はない。後の時点で、治療は媒体群で観察された体重減少を補う傾向がある。G-CSFによる治療的処置(群6、GL(SCx1);6)は、媒体(群2、VL(POx1))と比較して、21日目の体重に対して3.3g(p=0.014;95%CI:0.7~5.9g)の保護効果をもたらした。同様に、群7(M/GL(PO/SCx1);7)のMyelo001及びG-CSFの両方での治療により、媒体(群2、VL(POx1))と比較して21日目に体重が2.8g(p=0.028、95%CI:0.3~5.3g)増加した。
【0080】
高放射線用量後に治療的処置されたマウスの体重分析が要約されている。切片は、0日目の媒体群VH(POx1);8の平均体重が27.7g(p<0.001;95%CL:27.0~28.3g)であることを示している。時間によって示されるように、3日目~30日目まで、媒体群のベースライン体重から体重の有意な減少がある。最大の減量は-6.2g(p<0.001;95%CI:-7.7~-4.7g)である。6Gyの放射線用量後のこの減少は、5.8Gyの照射と比較してより深刻である。ベースラインの0日目では、媒体及び群VH(POx1)の平均体重に差は観察されていない(治療)。群8(VH(POx1);8)(治療x時間)の対照と比較した群9(MH(POx1);9)の経時的な体重変化の分析は、媒体群8(VH(POx1);8)と比較してMyelo001相対による治療的処置時の体重減少の有意な補償を示した(
図7A-C)。これは最大3.1gになる(p=0.006;95%CI:0.9~5.2g)。
【0081】
要約すると、Myelo001による予防的処置は、3日目に小さな保護効果をもたらした。低用量の放射線で、Myelo001及びMyelo001+Neupogenによる治療的処置は、同じ日の媒体群2(VH(POx1);2)と比較して21日目に体重の増加をもたらした。Myelo001の体重に対する最も高い保護効果は、高放射線用量下の治療レジメンで観察され、対照群8(VH(POx1);8)と比較して群9(MH(POx1);9)の15、21、及び30日目に正の効果を示した。
【0082】
例4:血液学及び病理学
末梢血液学(白血球、好中球、リンパ球、血小板)は、7日目及び14日目にすべての群(未処置/非放射群(U;1)に対して)で重度に抑制され、ヘモグロビンは中程度に抑制された。白血球、リンパ球、血小板は最後の時点(30日目)で大幅に抑制されたままであったが、好中球及びヘモグロビンは正常値に近く戻った。全体として、Myelo001又は陽性対照G-CSFによる予防的及び治療的処置では、顕著な違いは観察されなかった。白血球、好中球、又はリンパ球の数は、照射された群間で同等であった。14日目に、ヘモグロビン及びヘマトクリット、赤血球は、対照群2(VL(POx1);2)と比較して群6(GL(SCx1);6)及び群7(M/GL(PO/SCx1);7)で増加した。同様に、14日目及び30日目には、ヘモグロビン、赤血球、ヘマトクリット値が群8(VH(POx1);8)と比較して群9(MH:(POx1);9)を支持する傾向があった(
図8A-C-12A-C)。
【0083】
30日目に、対照群2(VH(POx1);2)と比較して、群6(GL(SCx1;6)及び群7(M/GL(PO/SCx1);7)でWBC及び好中球数の中央値の増加傾向が観察された。陽性対照(G-CSF)を含め、好中球数に有意な群差は認められなかった。これは、7日と14日の選択された時点が原因である可能性があり、部分的な回復期間にグローバルな抑制と測定の欠落、30日目の停止を有している。
【0084】
予定外の死亡率の総病理学データには、試験項目に関連する変化は見られなかった。これらの動物では、典型的な急性放射線症候群の所見(主に脳及び精巣の複数の臓器での赤色の変色)が観察された。
【0085】
急性放射線症候群に典型的な病変、すなわち脳及び精巣で最も顕著であった臓器の赤色変色は、群6(5.8Gy、Neupogen、皮下、0.34mg/kg1、2、3日目投与)を除く14日目の剖検中にすべての群で観察され、群6では脳、精巣に赤い変色がなかったが急性放射線症候群に典型的ではない脾臓の嚢胞が観察された。
【0086】
7日目又は30日目の剖検肉眼的病理データには、他の試験項目関連の変化は認められなかった。
【0087】
臓器重量データに試験項目関連の変化は認められなかった。
【0088】
精巣の出血、骨髄の骨髄過形成、及び骨髄の巨核球過形成の顕微鏡所見は、媒体処置動物を含めて散発的に観察され、試験項目と関連付けることができなかった。
【0089】
精巣の劣化の重症度は、14日目で群2(VL(POx1);2)と比較して、群3(ML(IPx2);3)、群4(ML(POx2);4)、群5(ML(POx1);5)で減少した(p=0.037)(
図13A、表14)。30日目に、すべての群で重大度が付された。群6(GL(SCx1);6)及び群7(M/GL(PO/SCx1);7)の動物は、最小カテゴリーで精巣の割合が高かったが、それらの変化はわずかであった(p=0.078)(
図13B)。同様に、群9(MH(POx1);9)のMyelo001で治療された動物は、最小カテゴリー(p=0.264)で精巣の割合が高いことを示した(n.s.)(
図13C)。
【0090】
予定されていた7日目の剖検組織病理学データには、試験項目に関連する変化は見られなかった。すべての動物において胸骨及び大腿骨の両方における骨髄の細胞性の低下が顕著であった(グレード4)。精巣は正常であった(目に見える病変はない)。
【0091】
骨髄細胞性の低下は、7日目の放射された動物の100%で大腿骨及び胸骨の「顕著」カテゴリーにあり、14日目では回復して中程度から顕著であった。30日目に、群2(VL(POx1);2)以外の動物は胸骨において著しい減少を示さず、群2(VL(POx1);2)の動物の大部分は最小カテゴリーに属していた。大腿骨においては、細胞性の適度な又は著しい減少がほとんどの群で依然として存在したが、細胞性の回復がすべての群で観察された(
図14A-C)。
【0092】
群2(VL(POx1);2)、群4(ML(POx2);4)及び群5(ML(POx1);5)は、骨髄細胞性の低下に有意な変化を示さなかった。群3(ML(IPx2);3)のすべての動物について、骨髄細胞性は30日目に最小カテゴリーにあり、大腿骨骨髄グレードの差は有意であった(p=0.001)(
図14A)。
【0093】
14日目に、対照群2(VL(POx1);2)は、群6(GL(SCx1);6)及び群7(M/GL(PO/SCx1);7)と比較して、マークされたカテゴリーの動物の割合が高いことを示した(ns)。30日目では、群6(GL(SCx1);6)及び群7(M/GL(PO/SCx1);7)のすべての治療動物は、胸骨において最小限のカテゴリーを示し、大腿骨骨髄において顕著なカテゴリーを示さなかったが、これらの変化は重要ではなかった(
図14B)。
【0094】
対照群8(VH(POx1);8)は、群9(MH(POx1);9)と比較して、14日目及び30日目に中等度及び顕著のカテゴリーの動物は統計的に有意でない高い割合を示した(
図14C、表15)。
【0095】
要約すると、予定されている14日目及び30日目の剖検では、群6(GL(SCx1);6)及び群7(M/GL(PO/SCx1);7)は群2(VL(POx1);2)の媒体処理対照と比較して、胸骨及び大腿骨の両方の骨髄における細胞性の低下の重症度が低いことが認められた。高放射線用量群では、群9(MH(POx1);9)は、群8(VH(POx1);8))の媒体治療対照と比較して、胸骨及び大腿骨の両方の骨髄の細胞性低下の重症度が低かった。
【0096】
結論
用量依存的な放射線の影響は、死亡率の主要評価項目と、体重、臨床徴候、血液学、組織病理学など、評価されたほとんどの副次評価項目パラメーターで明らかであった。
【0097】
血液学的評価には、すべての群で重度の骨髄抑制を示した7日及び14日の選択された時点による制限があり、回復がまだ不完全であった30日目の研究の終了までそれ以上の測定は予定されていなかった。
【0098】
5.8Gy照射(LD25/30)後の予防的処置は、対照群2(VH(POx1;2)と比較して生存曲線間に有意差をもたらさなかった。しかし、50mg/kgの用量でのMyelo001の経口投与(群5(ML(POx1);5))は、25mg/kgの2用量(群4(ML(POx2);4)及び群3(ML(IPx2);3))の経口及び腹腔内投与と比較した場合、より高い用量減少係数(DRF=1.1)をもたらした(それぞれ、DRF=0.9及び0.7)。さらに、媒体群では、10%の死亡までの時間は17日であったが、群5(ML(POx1);5)では21日であった。
【0099】
Myelo001(群3(ML(IPx2);3))による予防的腹腔内治療は、媒体対照と比較して、30日目の骨髄細胞性の低下が少なく、14日目の精巣の変性が低下した。末梢血液学及びARSスコアへの明確な影響は観察されなかった。群4(ML(POx2);4)及び群5(ML(POx1);5)でのMyelo001の予防的経口投与は、14日目の精巣変性の減少と、9日目及び15日目の姿勢のスコア分布の顕著な違いをもたらした。両方の群で観察された姿勢の最も頻繁なグレード(モード)は、より頻繁に軽度として分類された対照群2(VL(POx1);2)と比較して正常であった。骨髄の細胞性及び血液学は、治療によって大幅に変化することはなかった。すべての予防的処置群(群3、4、5)は、3日目の体重減少に対してわずかな保護効果を示した。
【0100】
陽性対照G-CSF(群6(GL(SCx1);6))による治療的処置後、陰性対照(VL(POx1);2)と比較して生存率のわずかな違いのみが観察されたが、併用治療(群7(M/GL(PO/SCx1)))では30日以内に死亡は発生しなかった。Myelo001及びG-CSFを一緒に投与した後(M/GL(PO/SCx1);7)、単独(GL(SCx1);6)と比較してDRFのわずかな増加が観察された(それぞれ、DRF=1.2対1.1)。
【0101】
試験項目に関連する変化は、群6(GL(SCx1);6)及び7(M/GL(PO/SCx1);7)の骨髄の細胞性の低下が少ないことで構成されていた。この傾向は、14日目及び30日目に大腿骨及び胸骨の両方で観察され、30日目にはより大きく回復した。
【0102】
放射線照射は、7日目及び14日目に媒体で処置した動物において汎血球減少症をもたらした。14日目の赤血球数(RBC成熟細胞及び未成熟網状細胞)、ヘモグロビン(HGB)、及びヘマトクリット(HCT)の平均値の減少は、G-CSFのみ(群6(GL(SCx1;6))又はG-CSFをMyelo001と組み合わせて投与(群7(M/GL(PO/SCx1);7)された動物ではそれほど顕著ではなかった。両方の群においてこれらの細胞系統の平均数の増加傾向が認められたものの、陽性対照(G-CSF)を含めWB及び好中球の数に明確な群差は特定することができなかった。全体として、造血性急性放射線症候群の緩和に関するMyelo001の陽性傾向(H-ARS)が観察された。
【0103】
精巣変性の重症度は、14日目の媒体対照群で最も高かった。これは、この時点での治療群における何らかの保護効果を示している可能性がある。しかしながら、最終結果はすべての動物で30日目で同じであり、精巣の変性が顕著であった。14日目の群6(GL(SCx1);6)は、急性放射線症候群に典型的な精巣に肉眼的病変がなかった唯一の群であったが、特に別の試験項目を追加して同様の治療を受けた群7(M/GL(PO/SCx1);7)のようにそれの重要性は不明である。
【0104】
21日目に、両方の群は、対照媒体群と比較して、体重の増加に対して有意な治療効果を示した。
【0105】
6.0Gy放射線(LD50/30)後の治療的処置では、群9(MH(POx1);9)の生存率は、対応する対照群8(VH(POx1);8)よりも大幅に高かった(それぞれ86% vs 56%)。群9(MH(POx1);9)は、すべての治療群の中で1.5という最高の用量減少係数を示した。
【0106】
生存率の増加は、骨髄細胞性、精巣変性、並びに毛皮及び姿勢のARSスコアを含む二次パラメーターのいくつかの正の傾向によって支持された。さらに、Myelo001の体重に対する最も高い保護効果は、高放射線用量下の治療レジメンで観察され、対照群8(VH(POx1);8)と比較して群9(MH(POx1);9)の15、21、及び30日目に有意な効果を示した。
【0107】
WBC数に関して明確な変化は観察されなかった。ただし、14日目及び30日目の赤血球数(RBC成熟細胞及び未成熟網状赤血球)、ヘモグロビン(HGB)、及びヘマトクリット値(HCT)の平均値の減少は、Myelo001の治療的経口投与(群9(MH(MHPOx1);9))後はそれほど顕著ではなかった。全体として、造血性急性放射線症候群(H-ARS)の緩和に関するMyelo001の肯定的な傾向が観察された。
【0108】
要約すると、特に6.0Gy放射線(LD50/30)後の治療的処置では、群9(MH(POx1);9)の生存率は対応する対照群8(VH(POx1);8)よりも大幅に高かった。この生存所見は、骨髄細胞性、ARSスコア、体重などの二次パラメーターにおけるいくつかの肯定的な傾向によって裏付けられた。
【0109】
【0110】
表4:10%の死亡までの時間
【表4】
*試験終了まで、未治療群及び群7(M/GL(PO/SCx1))で死亡は発生しなかった。
【0111】
したがって、これらの群では、10%の死亡までの時間を計算できなかった。
【0112】
表5:放射線誘発死のリスクに対する予防的処置の効果を示すコックス比例ハザード回帰モデル
【表5】
参照群はVL(POx1);2である。
【0113】
表6:放射線誘発死のリスクに対する治療的処置の効果を示すコックス比例ハザード回帰モデル
a、b)
【表6】
a参照群はVL(POx1);2である。
b群M/GL(PO/SCx1);7では放射線関連の死亡はない。
【0114】
表7:放射線誘発死のリスクに対する治療的処置の効果を示すコックス比例ハザード回帰モデル。
【表7】
参照群はVH(POx1);8である。
【0115】
表8:カプラン・マイヤー推定に基づく未処置、媒体、予防及び治療的処置の30日後の生存率及び用量減少係数。
【表8】
*各群の生存確率は、カプラン・マイヤー法を使用して分析された。治療効果は、対応する対照群VL(POx1);2、5.8Gy照射及びVH(POx1);8、6.0Gy照射に対する治療群の30日目の生存確率の比率として定義された。
【0116】
表9:結果の要約
【表9】
ポジティブ傾向(記述的)+
ネガティブ傾向(記述的)-
違いなし(記述的)0
*群2、4、5、8、及び9は、より詳細な死亡率のエンドポイント評価を可能にするために、より多くの動物を飼育した。
【0117】
表10.3、9、15、21、及び30日目(AM)での様々な姿勢スコアの統計的検定
【表10】
【0118】
表11.3、9、15、21、及び30日目(AM)での様々な毛皮スコアの統計的検定
【表11】
【0119】
表12.3、9、15、21、及び30日目(AM)での様々な行動スコアの統計的検定
【表12】
【0120】
表13A.0日目の媒体群2(VL(POx1);2)の体重、3、9、15、21、30日目の媒体群のベースラインからの変化。
【表13A】
表13B.0日目の媒体群2(VL(POx1);2)の体重、0、3、9、15、21、30日目の媒体群と比較した群3(ML(IPx2);3)、4(ML(POx2);4)及び5(ML(POx1);5)の変化。
【表13B】
表13C.0日目の媒体群2(VL(POx1);2)の体重、3、9、15、21、30日目の媒体群のベースラインからの変化、及び0、3、9、15、21、30日目の媒体群と比較した群6(GL(SCx1);6)及び7(M/GL(PO/SCx1);7)の変化。
【表13C】
表13D.0日目の媒体群8(VH(POx1);8)の体重、3、9、15、21、及び30日目の媒体群のベースラインからの変化、及び0、3、9、15、21、及び30日目の媒体と比較した群9(MH(POx1);9)の変化。
【表13D】
【0121】
表14.7、14、30日目の精巣変性の統計的検定の重症度
【表14】
【0122】
表15.7、14、30日目の胸骨及び大腿骨の骨髄細胞性の低下にについての統計的検定
【表15】