(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】フォルダー型ロータベーターの走行安全ストッパー装置
(51)【国際特許分類】
A01B 73/04 20060101AFI20240805BHJP
A01B 33/02 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
A01B73/04
A01B33/02 Z
(21)【出願番号】P 2022209925
(22)【出願日】2022-12-27
【審査請求日】2022-12-27
(31)【優先権主張番号】10-2022-0143900
(32)【優先日】2022-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522504053
【氏名又は名称】アグロス・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】AGROS CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】イム,ソンス
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-166765(JP,A)
【文献】特開2004-173601(JP,A)
【文献】特開平09-233908(JP,A)
【文献】特開昭51-027508(JP,A)
【文献】特開2002-233209(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 33/02
A01B 35/04
A01B 73/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トップマスターの左右両側にそれぞれ回動及び駆動可能に連結されて、前記トップマスターの左右両側から起立可能に折り畳まれるように構成された第1耕うん部及び第2耕うん部を含むフォルダー型ロータベーター
の走行安全ストッパー装置であって、
前記第1耕うん部及び第2耕うん部を起立させた状態で耕うん作業場所に
移動する間、車体の振動によって、前記第1耕うん部及び第2耕うん部の各後面に位置する整地板が前後方向に揺れ動くことを遮断するためのもので、前記トップマスターのフレーム後端に突出した形で提供されるストッパーアームと、前記第1耕うん部及び第2耕うん部の各後面に位置する整地板上で、前記ストッパーアームに対応する地点に突出し
、前記ストッパーアームと互いに密着して圧着・支持される形で提供されるストッパー支持板とを含む、フォルダー型ロータベーターの走行安全ストッパー装置。
【請求項2】
前記ストッパーアームは、前記トップマスターのフレーム後端の両端の角に45度角度で斜めに突出して、前記ストッパー支持板は、前記ストッパーアームの先端と密着する端部が45度角度の傾斜面からなることを特徴とする、請求項1に記載のフォルダー型ロータベーターの走行安全ストッパー装置。
【請求項3】
前記ストッパーアームは、前記トップマスターのフレーム後端の両端の角に、溶接などの方式で斜めに結合されるアーム本体と、このアーム本体の先端に結合される弾性チップとから構成されて、前記弾性チップは、前記ストッパー支持板との圧着時、滑り(slip)現象が生じないよう、ゴム素材で構成されることを特徴とする、請求項1または2に記載のフォルダー型ロータベーターの走行安全ストッパー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォルダー型ロータベーターに関し、より詳細には、耕うん作業場所への安全な移動のためのフォルダー型ロータベーターの走行安全ストッパー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ロータベーターは、一般に、トラクターまたは耕うん装置の付属作業機であって、トラクターに装着され移動しながら、PTO動力を利用し刃を回転させ、土壌を切削するか、掘り返すなど、農作業の始まりの耕地整理に主に使われる。
【0003】
一般に、ロータベーターの構成は、トラクターの後方に昇降可能に連結されるフレームと、このフレームの下部に、トラクターの動力伝達ジョイントと連結され駆動するロータリーシャフトと、このロータリーシャフトに一定間隔で多数設置されたロータリー刃と、これらのロータリー刃によって掘り返された田や畑を平らにする整地板(grading panel)とを含む。ここで、フレームは、リンク機構に連結された油圧シリンダーによって昇降が可能であり、ロータリー刃の駆動は、トラクターの変速機に装着されたPTO(power take off)に連結され、エンジン駆動力により駆動される原理である。
【0004】
このような構成を有するロータベーターは、トラクターの後方に装着され、トラクターの動力伝達ジョイントに連結されるロータリー刃が高速回転しながら、田と畑の土を掘り返して耕うん作業をすることができるもので、特に、トラクターでロータベーターを引きずりながらロータリー刃を田の底に一定深さで差し込んだ状態で、高速で回転させて田の底を掘り返すことにより、田んぼ全体を、苗が植えられるよう、屈曲のない平坦などろどろの状態にする。
【0005】
一方、本出願人は、2021年5月21日付大韓民国特許出願第2021-0065553号でフォルダー型ロータベーターを出願し、特許第2442645号として登録を受けた。
【0006】
本出願人の大韓民国登録特許第2442645号は、駆動ミッションを含むトップマスターの左右両側にそれぞれ回動及び駆動可能に連結された第1耕うん部及び第2耕うん部を含み、これらの第1及び第2耕うん部がトップマスターの左右両側から起立可能に折り畳まれるように構成されたフォルダー型ロータベーターの構成であって、ここでは、第1及び第2耕うん部を起立させた状態で移動する途中、走行条件や路面状態などによる外部衝撃により、第1耕うん部と第2耕うん部の起立状態が解除されることを防止するために、第1耕うん部と第2耕うん部の折り畳み過程において、各耕うん部と連動して動作する緩み防止手段を備えることに特徴があって、このような緩み防止手段は、一側がトップマスターに回転可能に弾力支持されて、他側が係止フックからなる据え置き部と、前記据え置き部に対応し、一側が回動軸に連結されて、他側が支え台の一部と連結された係止突起を有する支持部とを含み、また、このような据え置き部と支持部の連結を補助して、前記起立した第1耕うん部及び第2耕うん部とトップマスターをそれぞれ連結するための安全チェーンを含むことに特徴がある。
【0007】
しかし、このようなフォルダー型ロータベーターの場合、第1耕うん部20と第2耕うん部20’を起立させた状態でトラクターの後方に連結し、耕うん作業のための場所に移動する間、車体の振動により、第1耕うん部と第2耕うん部の各後面に位置する整地板が前後方向に揺れ動く(ぐらつき)ことがあり、このような前後揺れに長期間露出するか、揺れが繰り返される場合、整地板を連結または支持する主要構成部に変形が発生することがあり、またボルト締結部のような各種連結部分で締結状態が緩んでしまって、装置の機能低下や部品脱落のような危険を招きかねない問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記のような問題点を解決するために開発されたもので、整地板を連結または支持する構成主要部における変形の発生や各種連結部分における締結状態の毀損無しに、耕うん作業場所への安全な移動を可能にするフォルダー型ロータベーターの走行安全ストッパー装置を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記のような目的を達成するための本発明の一形態によると、トップマスターの左右両側にそれぞれ回動及び駆動可能に連結されて、前記トップマスターの左右両側から起立可能に折り畳まれるように構成された第1耕うん部及び第2耕うん部を含むフォルダー型ロータベーターであって、前記第1耕うん部及び第2耕うん部を起立させた状態でロータベーターを耕うん作業場所に移動する間、車体の振動によって、前記第1耕うん部及び第2耕うん部の各後面に位置する整地板が前後方向に揺れ動くことを遮断するためのフォルダー型ロータベーターの走行安全ストッパー装置であって、前記走行安全ストッパー装置は、前記トップマスターのフレーム後端に突出した形で提供されるストッパーアームと、前記第1耕うん部及び第2耕うん部の各後面に位置する整地板上で、前記ストッパーアームに対応する地点に突出した形で提供されるストッパー支持板とを含む、フォルダー型ロータベーターの走行安全ストッパー装置を提供する。
【0010】
本発明によると、ストッパーアームは、前記トップマスターのフレーム後端の両端の角に45度角度で斜めに突出して、ストッパー支持板は、前記ストッパーアームの先端と密着する端部が45度角度の傾斜面からなる。また、ストッパーアームは、前記トップマスターのフレーム後端の両端の角に、溶接などの方式で斜めに結合されるアーム本体と、このアーム本体の先端に結合される弾性チップとから構成され、ここで、弾性チップは、ストッパー支持板との圧着時、滑り(slip)現象が生じないよう、ゴム材質で構成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
上述の特徴から、本発明は、第1耕うん部と第2耕うん部が起立した状態で、ストッパーアームとストッパー支持板とが互いに密着して、強く圧着・支持されるため、耕うん作業場所にロータベーターが移動する間も、車体の振動によって、第1耕うん部及び第2耕うん部の各整地板が前後方向に揺れ動くことを根本的に遮断することができ、それによって、整地板を連結または支持する構成主要部における変形の発生や各種連結部分における締結状態の毀損無しに、耕うん作業場所への安全な移動が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明によるフォルダー型ロータベーターの耕うん部の一側の折り畳み状態を示した正面図である。
【
図2】
図1において、各側の走行安全ストッパー装置の状態を示す一部拡大斜視図である。
【
図3】耕うん部の折り畳み過程における走行安全ストッパー装置の動きを示す一部拡大斜視図である。
【
図4】本発明による走行安全ストッパー装置の構成を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付の図面と実施例を通じて、本発明をより具体的に説明する。
【0014】
下記の実施例では、発明を説明するにあたって、必然的な部分を除いてはその図示と説明を省き、明細書全体にかけて類似/同一の要素に対しては、同一の符号を付与し、それに対する詳細な説明は繰り返さず省くことにする。
【0015】
図1は、本発明によるフォルダー型ロータベーターの耕うん部の一側の折り畳み状態を示した正面図、
図2は、
図1において、各側の走行安全ストッパー装置の状態を示す一部拡大斜視図、
図3は、耕うん部の折り畳み過程における走行安全ストッパー装置の動きを示す一部拡大斜視図、
図4は、本発明による走行安全ストッパー装置の構成を示す分解斜視図である。
【0016】
図1によると、本発明のフォルダー型ロータベーターは、トップマスター10の左右両側にそれぞれ回動及び駆動可能に連結された第1耕うん部20及び第2耕うん部20’を含む。第1耕うん部20及び第2耕うん部20’は、トラクターの後方に連結した状態で耕うん作業のための場所に移動するために、トップマスター10の左右両側から起立可能に折り畳まれるように構成され、そのために、トップマスター10の両側から各耕うん部20、20’の端部、例えば各駆動軸23の一側間に、伸縮可能に動作するシリンダーアーム24が備えられる。
【0017】
シリンダーアーム24の収縮動作による第1耕うん部20及び第2耕うん部20’の起立は、トップマスター10の両端部に設けられた回動軸13を中心に行われて、また、前記回動軸13に一側が連結されて、他側が第1耕うん部20と第2耕うん部20’の各上端に固定される支え台26を通じて、前記シリンダーアーム24と共に第1耕うん部20及び第2耕うん部20’の起立を維持することができる。
【0018】
このような起立を通じて、本発明のフォルダー型ロータベーターは、第1耕うん部20及び第2耕うん部20’が地面から離隔でき、トラクターの後方に連結された状態で、耕うん作業のための場所への移動がより円滑に行われる。
【0019】
一方、第1耕うん部20及び第2耕うん部20’を起立させた状態で、本発明のフォルダー型ロータベーターをトラクターの後方に連結した状態で耕うん作業のための場所に移動する間、車体の振動により、第1耕うん部20と第2耕うん部20’の各後面に位置する整地板21が前後方向に揺れ動く(揺れ、ぐらつき)ことがあって、このような前後揺れに長期間露出するか、揺れが繰り返される場合、整地板21を連結または支持する主要構成部に変形が発生することがあり、またボルト締結部のような各種連結部分における締結状態が緩んでしまって、装置の機能低下や部品脱落のような危険が生じ得る。
【0020】
これに対し本発明は、第1耕うん部20と第2耕うん部20’を起立させた状態でロータベーターを耕うん作業場所に移動する間、車体の振動によって第1耕うん部20及び第2耕うん部20’が前後方向に揺れることを根本的に遮断できるよう、フォルダー型ロータベーター用走行安全ストッパー装置を提供する。
【0021】
本発明によると、走行安全ストッパー装置は、トップマスター10と第1及び第2耕うん部20、20’の整地板21との間に設置される。
【0022】
このような走行安全ストッパー装置は、トップマスター10のフレーム後端12にストッパーアーム11が突出した形で提供されて、第1耕うん部20と第2耕うん部20’の起立時、それらの各後面に位置する整地板21上で、前記ストッパーアーム11に対応する地点にストッパー支持板22が突出した形で提供される。
【0023】
ストッパーアーム11は、トップマスター10のフレーム後端12の両端の角部分に形成することが好ましいが、これは、第1耕うん部20及び第2耕うん部20’がトップマスター10の左右両側から折り畳まれて起立した状態では、トップマスター10の後面と第1耕うん部20及び第2耕うん部20’の各上面とがほぼ垂直な状態を維持するため、これらの間の角度を考慮し、ストッパーアーム11とストッパー支持板22とを、第1及び第2耕うん部20、20’が起立した状態で互いに接して圧着されるよう、互いに一定な角度を維持するようにすることが重要である。
【0024】
例えば、ストッパーアーム11は、トップマスター10のフレーム後端12の両端の角から斜めに、好ましくは45度の角度で突出するようにする。そして、ストッパー支持板22は、前記ストッパーアーム11と対応し、45度角度で突出した構造物であってもよいが、
図2及び
図3に示すように、前記ストッパーアーム11の先端と密着する端部が約45度角度の傾斜面からなってもよい。
【0025】
図4を参照すると、ストッパーアーム11は、トップマスター10のフレーム後端12の両端の角に、溶接などの方式によって斜めに結合されるアーム本体11aと、このアーム本体の先端に結合される弾性チップ11bとからなり、弾性チップ11bは、アーム本体11aの先端にネジ11cまたは嵌め込み結合などの方式で固定することができる。弾性チップ11bは、ストッパー支持板22との圧着時、滑り(slip)現象が生じないよう、ゴム素材で構成することが好ましい。
【0026】
以上のような構成から、本発明の走行安全ストッパー装置は、第1耕うん部20と第2耕うん部20’とが起立した状態で、ストッパーアーム11とストッパー支持板22とが互いに密着して強く圧着・支持されるため、耕うん作業場所にロータベーターが移動する間も、車体の振動によって第1耕うん部20及び第2耕うん部20’の各整地板21が前後方向に揺れ動くことを根本的に遮断することができる。
【0027】
以上、本発明を詳細にまたは特定の実施例を参照して説明したが、本発明は、上述の実施例に限定されるものではない。したがって、本発明の請求の範囲に記載された範囲内で発明の技術的思想と要旨を逸脱することなく、様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
【符号の説明】
【0028】
10 トップマスター
11 ストッパーアーム
11a アーム本体
11b 弾性チップ
11c ねじ
12 フレーム後端
13 回動軸
20 第1耕うん部
20' 第2耕うん部
21 整地板
22 ストッパー支持板
23 駆動軸
24 シリンダーアーム
26 支え台