IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ メドテンティア・インターナショナル・リミテッド・オサケユキチュアの特許一覧

特許7531927物体を解剖学的標的位置に導入するための医療装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】物体を解剖学的標的位置に導入するための医療装置
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/24 20060101AFI20240805BHJP
   A61M 25/01 20060101ALN20240805BHJP
【FI】
A61F2/24
A61M25/01
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022500646
(86)(22)【出願日】2020-07-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-14
(86)【国際出願番号】 EP2020068868
(87)【国際公開番号】W WO2021004959
(87)【国際公開日】2021-01-14
【審査請求日】2023-06-21
(31)【優先権主張番号】19184993.4
(32)【優先日】2019-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】513277083
【氏名又は名称】エイチブイアール カーディオ オーイー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ケラネン、オッリ
【審査官】白土 博之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0185172(US,A1)
【文献】特表2007-514455(JP,A)
【文献】国際公開第2012/167095(WO,A2)
【文献】特許第6049761(JP,B2)
【文献】特表2016-530005(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0228247(US,A1)
【文献】特表2011-510797(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/00-2/97
A61M 25/00-25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療装置(100)であって、インプラント(110)、前記装置の遠位端から心臓の心房と心室(14)との間にある僧帽弁(18)の弁輪の周囲の解剖学的標的位置(20)に導入するように構成された医療装置(100)であって、第1の導入器(101)とガイドワイヤ(103)とを具備し、
-前記ガイドワイヤ(103)は、少なくとも第1の湾曲形状を有し、
前記少なくとも第1の湾曲形状は、前記第1の導入器(101)を通過して、直線構成(103I)で送達可能な予備成形形状を有し、
前記解剖学的標的位置(20)内又はその近くの前記少なくとも第1の湾曲形状(103B)に活性化されるように構成され、
-前記装置は、前記僧帽弁(18)の弁葉をバイパスするための第2の導入器(102)を追加的に具備し、前記第2の導入器(102)は、前記第1の導入器(101)と前記ガイドワイヤ(103)との間で操作可能に配列され、
前記第2の導入器(102)は、前記第1の導入器(101)の遠位端部分(101A)から導入されるように構成され、前記第2の導入器(102)の少なくとも遠位部分(102A)は、前記ガイドワイヤの前に、前記第1の導入器(101)の前記遠位端部分(101A)から導入されるように構成され、
前記第2の導入器(102)および前記第1の導入器(101)は、同心システムを形成する湾曲形状を有し、
-前記ガイドワイヤ(103)は、前記インプラント(110)の前前記心房から前記第1の導入器(101)を通過して前記弁葉をバイパスし、前記第2の導入器(102)を通過して前記心室に導入されるように構成され、
-前記インプラント(110)は、前記ガイドワイヤ(103)が、前記第1の導入器(101)の前記遠位端部分(101A)から少なくとも部分的に導入された後に、前記ガイドワイヤ(103)に沿って、前記解剖学的標的位置(20)に送達されるように構成され、その結果、前記インプラント(110)は、前記ガイドワイヤ(103)と前記ガイドワイヤの前記第1の湾曲形状(103B)を前記解剖学的標的位置(20)に従動するように構成され、前記インプラント(110)は、前記第2の導入器(102)の少なくとも前記遠位部分(102A)が、前記第1の導入器(101)の前記遠位端部分(101A)から導入された後に、前記解剖学的標的位置(20)に又はその方向に、前記第2の導入器(102)内部に送達されるように構成され、
-前記ガイドワイヤ(103)は、前記インプラント(110)が、前記解剖学的標的位置(20)に導入された後に、前記インプラント(110)が、前記解剖学的標的位置(20)に導入される場合にとる形状を原則維持して前記弁輪に取り付けることができるように、後退されるように構成される、医療装置(100)。
【請求項2】
前記インプラント(110)は、前記ガイドワイヤ(103)が、前記第1の導入器(101)の前記遠位端部分(101A)から少なくとも部分的に導入された後で、前記ガイドワイヤ(103)が、前記少なくとも第1の湾曲形状(103B)に活性化される場合、前記ガイドワイヤ(103)に沿って、前記解剖学的標的位置(20)に送達されるように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第2の導入器(102)は、カテーテル、前記第1の導入器(101)は、カテーテルある、請求項又は請求項に記載の装置。
【請求項4】
前記第2の導入器(102)は、可動型カテーテル(102)である請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の導入器(101)は、外部可動型カテーテル(101)である、請求項3又は請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記第2の導入器(102)は、前記ガイドワイヤ(103)が、前記解剖学的標的位置(20)に導入された後及び/又は前記インプラント(110)が、前記解剖学的標的位置(20)に導入される前に後退されるように構成される、請求項~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記装置は、ガイディングカテーテル(104)を追加的に具備し、前記ガイディングカテーテル(104)は、前記第1の導入器(101)と前記ガイドワイヤ(103)との間、および前記第2の導入器(102)と前記ガイドワイヤ(103)との間で操作可能に配列される、請求項1~のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記ガイディングカテーテル(104)は、前記第1の導入器(101)の前記遠位端部分(101A)から導入されるように構成され、前記ガイディングカテーテル(104)の少なくとも遠位部分(104A)は、前記ガイドワイヤ(103)が、前記解剖学的標的位置(20)に又はその方向に導入された後に、前記第1の導入器(101)の前記遠位端部分(101A)から導入されるように構成される、請求項に記載の装置。
【請求項9】
前記ガイディングカテーテル(104)は、前記第2の導入器(102)が、その標的位置に最初に送達される場合、前記第2の導入器(102)の前記遠位分(102A)内部又はそれから導入されるように構成され、前記第2の導入器(102)は、前記インプラント(110)が、前記解剖学的標的位置(20)に導入される前に、後退されるように構成される、請求項に記載の装置。
【請求項10】
前記ガイディングカテーテル(104)は、可撓性カテーテルであって、前記ガイドワイヤ(103)が、前記第1の導入器(101)の前記遠位端部分(101A)から少なくとも部分的に導入された後に、前記ガイドワイヤ(103)に沿って、前記解剖学的標的位置(20)に又はその方向に送達されるように構成される、請求項又は請求項に記載の装置。
【請求項11】
前記インプラント(110)は、前記ガイディングカテーテル(104)の少なくとも遠位部分(104A)が、前記第1及び/又は第2の導入器(101、102)の前記遠位端部分(101A)から前記解剖学的標的位置(20)に又はその方向に導入された後に、前記解剖学的標的位置(20)に又はその方向に、前記ガイディングカテーテル(104)内部に送達されるように構成される、請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記ガイディングカテーテル(104)は、前記インプラント(110)が、前記解剖学的標的位置(20)に導入された後に後退されるように構成され、前記インプラント(110)は、前記ガイディングカテーテル(104)が後退された後に、前記解剖学的標的位置(20)に固定されるように構成される、請求項11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記ガイドワイヤ(103)の位端(103A)は、曲先端部分(103J)を具備し、前記ガイドワイヤ(103)の前記遠位端(103A)が組織に絡みつくのを防止する、請求項1~1のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記湾曲先端部分(103J)は、J形状である請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記インプラント(110)は、1つ以上のループ又はコイル(111、112)を有し、十分に送達された時点で、記解剖学的標的位置(20)を支持するように適合される、ループ形状支持部分を具備し、前記インプラント(110)は、前記インプラント(110)に取り付けられた中空の管状構造体又はループ、縫い目又はねじれ構造体(113)を具備し、その結果、前記インプラント(110)は、前記ガイドワイヤ(103)の周りを移動するように、前記解剖学的標的位置(20)に送達されるように構成される、請求項1~14のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(弁輪形成の医療装置のような)心臓インプラントを、僧帽弁又は三尖弁等の心臓弁の弁輪に導入する等、インプラント等の物体を、解剖学的標的位置に導入するための医療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図1Aは、解剖学的標的位置の例として、心臓12、僧帽弁18、及び左心室14の部分を示す。僧帽弁は、弁輪20を外周とする境界に存在する。僧帽弁は、2つの弁尖又は弁葉22、24を有する。これらの弁尖又は弁葉22、24の各々は、それらそれぞれの接続腱索26、28を介して、それぞれの乳頭筋27、29に接続される。正常な健常者において、対向する弁葉の自由端は、接合により僧帽弁を閉じる。しかしながら、個体によっては弁閉鎖が完全でないことから、弁膜閉鎖不全と称される逆流、すなわち、血液の左心房への逆流が起こり、心臓が機能不全に陥り、患者に深刻な影響をもたらす可能性がある。図1Bは、弁葉22、24が適切に閉じない、僧帽弁18を示す。これは一般的に、弁輪20が膨張する場合に生じる。この症状を治療する外科的処置の1つとして、弁葉24の部分を切除し、切除端を互いに縫合する。該処置により、弁輪20がより正常な位置へと戻る。しかしながら、弁葉24の強度が変わる。同様な心臓機能不全の問題は、片方又は両方の弁葉が、弁葉が適切に閉じるものの、血液が左心房方向に流れる程度に穿孔性であれば、生じる。
【0003】
変性心臓機能のいくつかの条件において、弁葉は、変性心臓疾患同様に、固体表面を示さない。弁葉はまた、最も一般的には弁葉端で断裂され得、接合が不完全になる。したがって、心臓装置及び方法は、心臓弁の1つ以上の弁葉、又は弁葉の心室側に取り付けられた腱索等の他の関連する解剖学的構造体の修復用に開発される。
【0004】
図2は、解剖学的標的位置に送達・導入される典型的なインプラント、特に、心臓インプラント110を示す。インプラントは、1つ以上のループ形状の構造体111、112を具備し得る。利点として、1つの第1のループ形状の構造体は、心臓弁の第1の側面に当接するように構成され、1つの第2のループ形状の構造体は、該弁の第2の対向する側面に当接するように構成され、それによって、第2及び第1の支持構造体111、112の間の弁組織20の部分を捕捉する。
【0005】
インプラントは、カテーテルを介して、典型的に送達され、このため、インプラントが延伸形式を有する、送達状態を典型的に有する。該送達状態において、インプラントは、例えば、7~10mmの直径を有するカテーテルを通過して、有利に移動され得る。インプラントは、第1の温度の送達状態の延伸形式等の第1の形状、及び第2の温度のループ形状形式等の第2の形状を有する形状記憶材料を典型的に含む。第2の温度は、本体温度に有利に原則対応し、その結果、インプラントは、第2の形状をとり、例えば、左心房の血流と導入される場合、ループ形状形式に対応する。
【0006】
さらに、内部及び外部カテーテルの両方、通常は、可動型カテーテル、時として、多数の内部カテーテルを有するカテーテルシステムにより、いくつか問題が生じて、外部カテーテル内部に位置する内部カテーテルがインプラントからスペースを制限する。
【0007】
上記記載等の関連技術の心臓インプラントは、非常に良好に機能するが、インプラントを、心臓弁の弁輪等の解剖学的標的位置に送達するための、カテーテル型装置等の導入装置に関するデメリットがいまだにいくつか存在することが判明している。カテーテルベースのシステムは、第1の湾曲部分を有する比較的厚い主カテーテルを、心房等、解剖学的標的位置の第1の部分に、その後、第2の湾曲部分を有する第2のカテーテルを、心臓弁の弁輪又は弁葉の隣等、解剖学的標的位置の第2の部分に、その後、第3の湾曲部分を有する第3のカテーテルを、心臓弁の弁輪の周り等、解剖学的標的位置の第3の部分に送達することを基礎とする。いくつかのシステムにおいて、インプラントが、その位置に送達・導入可能になる前に、送達されるさらなる湾曲部分を備えたさらに遠位のカテーテルがあり得る。第3の又はさらに遠位のカテーテルは、使用されれば、送達カテーテルと称される。インプラントは、その後、供給カテーテル内部のその位置まで送達され、他のカテーテル内部のその位置まで送達される。
【0008】
少なくとも主カテーテルが、遠位カテーテルを内部に搬送可能なように、厚い(7~10mm以上)ことを必須とする等の、関連技術のカテーテルベースのシステムに関していくつかの不具合がある。さらに、送達カテーテルもまた、インプラントが、送達カテーテル内部に送達可能なように、比較的厚くなければならない。カテーテルが比較的厚い場合、カテーテルを解剖学的標的位置に挿入するのは非常に困難である。例えば、弁輪の下部、したがって腱索と壁又は隔膜との間の副環状スペースは、非常に狭く、その結果、厚いカテーテル用の最良のチャネルは、特に、カテーテルの操作可能性が貧弱な場合、確認・送達することは非常に困難である。さらに、内部壁の表面は、さらに多数の腱索の付着点を有して、粗く、カテーテルが挟まり易い。さらなる課題は、カテーテルが、特に送達カテーテルもまた、記憶特性又は所定の形状を有し、活性化が早くなりすぎ得、それによって、カテーテルが、心臓等の解剖学的標的位置の壁又は他の構造体に挟まる可能性が高まる場合に生じる。このため、カテーテル、特に、記憶特性を有する送達カテーテルを挿入する時間制限は、記憶特性が心臓等の解剖学的標的位置の温度により活性化される前に、カテーテルが適切で正確な位置に挿入可能であるように、非常に限定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
公知の関連技術に関する問題を軽減・解消することが、本発明の目的である。特に、本発明の目的は、インプラントを解剖学的標的位置に、高度な制御による、容易で、高速、安全かつ正確な方法により、導入するための医療装置を提供することである。さらに、本発明の目的は、使用するカテーテルの大きさを最小限とし、同時に、カテーテルの挟まりを最小限にし、それによって、解剖学的標的位置に導入される応力を最小限にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的は、独立請求項の特徴により、達成可能である。
【0011】
本発明は、請求項1に係る、心臓インプラントを心臓弁の弁輪に等、インプラントを解剖学的標的位置に導入するための医療装置に関する。
【0012】
本発明に係る医療装置は、インプラント、特に、心臓インプラント等の物体、又は弁輪形成の医療装置を、該装置の遠位端から心臓弁の弁輪等の解剖学的標的位置に導入するように構成される。心臓弁は、例えば、僧帽弁又は三尖弁であり得、これらのみに限定しない。該物体がまた、例えば、薬剤等の他のある物体であり得ることは理解されるものとする。
【0013】
実施例によると、物体は、インプラントであって、使用中に、1つ以上のループ又はコイルのいずれかを有するループ形状支持部分を具備することで、少なくとも1つの第1のループ形状の構造体が、心臓弁の第1の側面に当接するように構成可能で、少なくとも1つの第2のループ形状の構造体が、該弁の第2の対向する側面に当接するように構成可能で、それによって、第2及び第1の支持構造体の間の弁組織の部分を捕捉する。心臓弁の第1の側面に当接するように構成される、1つの第1のループ形状構造体のみが存在し、第2の支持構造体は存在しない、又はその逆もあることも可能である。インプラントは、十分に送達された時点で、僧帽弁を支持するように有利に適合される。
【0014】
実施形態によると、医療装置は、外部可動型導入器又はカテーテル等の第1の導入器と、ガイドワイヤと、を具備する。第1の導入器は、有利に、外部可動型カテーテルであって、インプラントが導入される等の解剖学的標的端部位置ではなく、例えば、心房又は心室に送達される。実施形態によると、ガイドワイヤは、第1の導入器を介して、該解剖学的標的位置に又はその方向であるが、インプラント前で導入されるように構成される(ガイドワイヤが、インプラントの送達をガイド可能なように、予め送達されることを意味する)。ガイドワイヤが、適切な位置に送達される場合、インプラントは、その後、解剖学的標的位置に、ガイドワイヤに沿って送達され、それにより(また、第1の導入器内部で)ガイドされる。
【0015】
ガイドワイヤはまた、第1の導入器の遠位端部分から部分的に導入可能で、その後、インプラントもまたガイドワイヤに沿って部分的に送達可能で(すなわち、速やかに最終端標的位置にではなく、ステップごとに)、その後、ガイドワイヤは、インプラントによりさらに遠位に送達され、従動可能で、それによって、ガイドワイヤとインプラントを連続的に導入する。実施形態によると、ガイドワイヤとインプラントは、同時ではあるものの送達可能であるため、ガイドワイヤは、経路を解剖学的標的位置にガイドする。
【0016】
インプラントは、有利に、中空の管状構造体であって、その結果、インプラントは、ガイドワイヤの周り又は上方に移動するように、該解剖学的標的位置に送達可能である。これにより、公知の関連技術の解決法以上の明白な利点が提供されるが、すなわち、ガイドワイヤが、カテーテルに比べて非常に薄いため、解剖学的標的位置の非常に小型で狭いチャネルを介して、正確な位置に挿入することは著しく容易で、高速、安全かつ正確であるためである。ガイドワイヤが、正確な位置に送達される場合、中空の管状構造体を備えたインプラントは、ガイドワイヤに沿って正確な端部位置に容易に送達可能である。その代わりとして、インプラントはまた、それと結合されたループ、縫い目又はねじれ部を有し得、その結果、インプラントは、硬質インプラントでさえ、ループ又はねじれ部が、ガイドワイヤの周りで移動するように、該位置に送達可能である。さらに、インプラントが、織物、ポリウレタン又はポリエステル製であり得、インプラントが記憶特性を有する必要がないことは留意されるものとする。インプラントは、例えば、インプラントの近位端に結合されたプッシャにより、該位置に送達可能であり、その結果、インプラントは、プッシャにより該位置まで押動可能である。非剛性インプラントの場合、例えば、インプラントが、繊維や類似の圧縮性材料製であれば、プッシャは、インプラントの遠位端に結合可能で、それによって、インプラントを該位置まで誘引する。
【0017】
実施形態によると、インプラントは、予備成形形状を有し、第1の導入器を通過して、直線構成で送達可能な少なくとも第1の湾曲形状を有し得、その結果、インプラントは、心臓の僧帽弁に近位の心房又は心室内等の解剖学的標的位置内又はその近くの少なくとも第1の湾曲形状に活性化又はガイドされる。インプラントは、形状記憶特性等を含み得、該湾曲形状に付勢され得る。しかしながら、本発明によると、特に、記憶特性を一切持たないインプラントが、ガイドワイヤにより送達・ガイド可能で、該位置に最初に送達されることは留意されるものとする。
【0018】
インプラントが、該ガイドワイヤとガイドワイヤの該第1の湾曲形状を、該解剖学的標的位置に従動するように構成されることは、留意されるものとする。インプラントが、該解剖学的標的位置に導入された場合、ガイドワイヤは、後退可能で、インプラントは、解剖学的標的位置のガイドワイヤの形状に対応する、該解剖学的標的位置に導入される場合にとる形状を原則維持する。インプラントが、例えば、ガイドワイヤによる取付中、インプラントをその位置に保持することで、その位置に縫合される等で取り付け可能であることは留意されるものとする。インプラントはまた、歯等を有する自己装着型であり得、その結果、インプラント上方の導入器又はカテーテルが後退される場合、該歯は、組織内にくい込み得、それによって、インプラントをその位置に取り付け可能である。
【0019】
ガイドワイヤは、インプラントが固定された後にのみ、有利に後退される。これにより、インプラントの取付けが非常に安全になるが、それは、ガイドワイヤが解剖学的標的位置にある限り、インプラントが後退可能であるためである。さらに、ガイドワイヤが、インプラント内部で、解剖学的標的位置にある場合、インプラントの位置は、ガイドワイヤをドラッグ及び/又は回転等することでガイドワイヤを操作し、それによって、インプラント(ガイドワイヤとインプラントのパケット全体)の位置又は配向を調整することでなお調整可能で、多くの状況において非常に有利である。さらに、何か不具合があれば、インプラントは、ガイドワイヤによりさらに後退可能である。インプラントが、解剖学的標的位置に取り付けられた後、ガイドワイヤは、解剖学的標的位置から離れて後退可能である。
【0020】
ガイドワイヤは、活性化形状及び不活性化形状を有利に有し、該不活性化形状において、ガイドワイヤは、第1の導入器を通過して、直線構成で送達可能で、該活性化形状において、ガイドワイヤは、心房又は心室内又は僧帽弁の近位等、解剖学的標的位置内又はその近くに少なくとも第1の湾曲形状をとる。ガイドワイヤは、解剖学的標的位置に導入される場合、活性化形状をとるように、予備成形形状を有利に有する。実施形態によると、ガイドワイヤは、形状記憶材料から少なくとも部分的に形成され、それによって、解剖学的標的位置の温度を満たす場合、該活性化形状をとるように操作可能になる。活性化形状は、さらに当業者に公知な別の手法により、達成可能である。ガイドワイヤが、該少なくとも第1の湾曲形状に活性化され、解剖学的標的位置に(又は少なくとも該位置方向に)送達される場合、その後、インプラントは、本明細書記載の通り、ガイドワイヤに沿って解剖学的標的位置に送達される。
【0021】
さらに、ガイドワイヤの遠位端は、J形状等の湾曲先端部分を具備し得、ガイドワイヤの遠位端が円滑に送達され、ガイドワイヤの遠位端が組織に絡みつくのを防止する。湾曲先端部分は、予備成形形状を有し得、形状記憶材料から少なくとも部分的に形成され、それによって、解剖学的標的位置に導入される場合、湾曲先端部分の形状をとる。
【0022】
実施形態によると、該装置は、カテーテル、特に、内部可動型カテーテル等の第2の導入器を追加的に具備し得る。第2の導入器は、第1の導入器とガイドワイヤとの間で操作可能に配列される。第2の導入器は、第1の導入器の遠位端部分から導入されるように構成される。実施形態によると、第2の導入器は、オプションの導入器であって、例えば、心臓の弁葉又は解剖学的標的位置内又はその近くの他の解剖学的部分をバイパスするために使用可能である。しかしながら、実施形態によると、第2の導入器の少なくとも遠位部分は、ガイドワイヤの前で、第1の導入器の遠位端部分から導入されるように構成され、それによって、ガイドワイヤを、例えば、弁葉等の特定の解剖学的部分をバイパスするようにガイド又は命令する。
【0023】
第2の導入器を使用すれば、インプラントは、その後、第2の導入器の内部(さらに、第1の導入器の内部)に、また再度、第2の導入器の少なくとも遠位部分が、第1の導入器の遠位端部分から導入された後、ガイドワイヤに沿って、解剖学的標的位置に又はその方向に送達され得る。
【0024】
しかしながら、第2の導入器は、該ガイドワイヤが該解剖学的標的位置に導入された後及び/又は該インプラントが該解剖学的標的位置に導入される前に、後退されるように有利に構成される。これは必須ではないが、これにより、インプラント用に提供可能なスペースが増加する。
【0025】
さらに、実施形態によると、該装置は、第3の導入器とも称されるガイディングカテーテルをさらに追加的に具備し得、該ガイディングカテーテルは、第1の導入器とガイドワイヤとの間で操作可能で、第2の導入器を使用すれば、第2の導入器とガイドワイヤとの間でも操作可能なように配列される。ガイディングカテーテルは、インプラントを、ガイディングカテーテル内部であるが、なおガイドワイヤの周りの解剖学的標的位置に送達するための送達カテーテルとして使用可能である。インプラントが、ガイディングカテーテル内部に送達される場合、該カテーテルは、解剖学的部分をインプラントから追加的に保護する。ガイディングカテーテルは、第1の導入器の遠位端部分から(また、使用すれば、第2の導入器の遠位端部分から)導入されるように構成される。ガイディングカテーテルの少なくとも遠位部分が、該解剖学的標的位置に又はその方向にガイドワイヤが導入された後のみ、第1の導入器の遠位端部分から(また、使用すれば、第2の導入器の遠位端部分から)導入されることは留意されるものとする。
【0026】
ガイディングカテーテルは、有利に、可撓性カテーテルであって、ガイドワイヤが、第1の導入器の遠位端部分から少なくとも部分的に導入された後、ガイドワイヤに沿って、該解剖学的標的位置に又はその方向に送達されるように構成される。最大の利点として、ガイディングカテーテルは、ガイドワイヤが解剖学的標的位置に十分に送達される場合、特に、ガイディングカテーテルが可撓性である場合、解剖学的標的位置に送達される。ガイディングカテーテルは、インプラントを解剖学的標的位置に送達する間、組織や解剖学的標的位置の他の解剖学的部分をインプラントから保護するために使用可能である。インプラントが、該解剖学的標的位置に又はその方向に、ガイディングカテーテル内部に送達されるように構成されることは留意されるものとする。これは、ガイディングカテーテルの少なくとも遠位部分が、第1及び第2の導入器の遠位端部分から該解剖学的標的位置に又はその方向に導入された後であるが、最大の利点として、ガイディングカテーテルの遠位端が、解剖学的標的位置に送達される場合、実行可能である。
【0027】
実施形態によると、第2の導入器は、インプラントが、ガイディングカテーテル内部の解剖学的標的位置に送達される前に、後退される。これは必須ではないが、特に、該カテーテルが、送達の間、インプラントに対して拡張可能なように、ガイディングカテーテルが可撓性の場合、これにより、インプラント用に提供可能なスペースが増加する。さらに、ガイディングカテーテルは、ガイドワイヤとインプラントが、該解剖学的標的位置に導入された後に、後退されるように構成される。
【0028】
さらに、該装置はまた、例えば、ガイドワイヤを後退させる間に加えて他の段階で、ガイドワイヤを冷却するための冷却装置を具備し得る。ガイドワイヤが冷却される場合、ガイドワイヤは、容易に再形成可能で、例えば、本質的に容易に変形可能な状態から後退可能である。冷却装置は、第1の導入器、第2の導入器及び/又はガイディングカテーテルの近位端に、冷却水等の冷却剤用の注入口が設けられるように配列可能で、その結果、冷却剤は、例えば、近位端から遠位端に向けて、第1の導入器、第2の導入器及び/又はガイディングカテーテルの壁の間を流れることができる。実施形態によると、遠位端は、冷却剤が流出可能なように、開口部を有し得る。
【0029】
本発明は、インプラント等の物体を、弁輪等の解剖学的標的位置に確実に送達するための容易で、安全、正確かつ時間節約の方法等の公知の関連技術以上の利点を提供する。さらに、ガイドワイヤは、標的位置に送達するのに非常に便利、つまり、カテーテルと比較して非常に薄く、このため、組織に絡みつかない。ガイドワイヤが、標的位置に送達される場合、従動するカテーテルは、可撓性カテーテルでさえ、ガイドワイヤに沿って容易に送達され、ガイドワイヤによりガイドされ得る。さらに、ガイドワイヤは、インプラント等の物体を固定する間、救助装置として使用可能であり、つまり、固定する際に何か不具合が生じれば、インプラントを引き抜くために使用する任意の装置は、ガイドワイヤに沿ってインプラントの近位端に送達され、ガイドワイヤによりガイドされ得るが、これは、インプラントが固定される限り、ガイドワイヤが標的位置に保持可能であるためである。
【0030】
さらに、本発明は、物体を送達するための小型装置を提供する。小型の医療装置により、最小侵襲処置が可能である。さらに、小型のカテーテル操作式医療装置を使用する場合、いかなる医療上の不具合又は症状を有するリスクは、従来の心臓切開手術等よりもはるかに低い。また、患者の回復プロセスは、非常に速い。
【0031】
本明細書記載の典型的な実施形態は、添付の特許請求の範囲の適用性を限定すると解釈されることはない。動詞「具備する、含む」は、列挙のない特徴の存在を排除しない非限定として本明細書で使用する。従属請求項に記載の特徴は、それ以外であると明示的に記載がなければ、相互に自由に組み合わせ可能である。
【0032】
本発明に特徴的であるとみなされる新規の特徴は、特に、添付の特許請求の範囲に記載される。しかしながら、本発明それ自体は、その構造及びその作用方法の両方に関して、追加の物体及びその利点とともに、添付図面に関連して解釈される場合、特定の典型的な実施形態の以下の説明から最良に理解されるであろう。
【0033】
次に、本発明は、以下の添付図面に係る典型的な実施形態に準拠して、より詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1A】心臓及び僧帽弁の部分の概要を示す。
図1B】心臓及び僧帽弁の部分の概要を示す。
図2】本発明の有利な実施形態に係る、可撓性弁葉を隣接する組織及び/又は弁輪に固定するための典型的な組織固定ユニットを示す。
図3】本発明の有利な実施形態に係る、インプラントを解剖学的標的位置に導入するための医療装置を示す。
図4】本発明の有利な実施形態に係る、インプラントを解剖学的標的位置に導入するための医療装置を示す。
図5】本発明の有利な実施形態に係る、インプラントを解剖学的標的位置に導入するための医療装置を示す。
図6】本発明の有利な実施形態に係る、インプラントを解剖学的標的位置に導入するための医療装置を示す。
図7】本発明の有利な実施形態に係る、インプラントを解剖学的標的位置に導入するための医療装置を示す。
図8】本発明の有利な実施形態に係る、インプラントを解剖学的標的位置に導入するための医療装置を示す。
図9】本発明の有利な実施形態に係る、インプラントを解剖学的標的位置に導入するための医療装置を示す。
図10】本発明の有利な実施形態に係る、インプラントを解剖学的標的位置に導入するための医療装置を示す。
図11】本発明の有利な実施形態に係る、インプラントを解剖学的標的位置に導入するための医療装置を示す。
図12】本発明の有利な実施形態に係る、インプラントを解剖学的標的位置に導入するための医療装置を示す。
図13】本発明の有利な実施形態に係る、インプラントを解剖学的標的位置に導入するための医療装置を示す。
図14】本発明の有利な実施形態に係る、インプラントを解剖学的標的位置に導入するための医療装置を示す。
図15】本発明の有利な実施形態に係る、インプラントを解剖学的標的位置に導入するための医療装置を示す。
図16】本発明の有利な実施形態に係る、インプラントを解剖学的標的位置に導入するための医療装置を示す。
図17】本発明の有利な実施形態に係る、インプラントを解剖学的標的位置に導入するための医療装置を示す。
図18】本発明の有利な実施形態に係る、インプラントを解剖学的標的位置に導入するための医療装置を示す。
図19】本発明の有利な実施形態に係る、インプラントを解剖学的標的位置に導入するための医療装置を示す。
図20】本発明の有利な実施形態に係る、インプラントを解剖学的標的位置に導入するための医療装置を示す。
図21】本発明の有利な実施形態に係る、インプラントを解剖学的標的位置に導入するための医療装置を示す。
図22】本発明の有利な実施形態に係る、インプラントを解剖学的標的位置に導入するための医療装置を示す。
図23】本発明の有利な実施形態に係る、インプラントを解剖学的標的位置に導入するための医療装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1A図1B及び図2は、上記の本発明の部分の背景技術に関連して、より詳細にすでに記載されている。
【0036】
さらに、インプラント110が中空の構造体を有利に具備することで、ガイドワイヤ103に沿って通過され得、ガイドワイヤ103が中空の構造体インプラント110内部に存在することは留意されるものとする。しかしながら、インプラント110はまた、図2に示す通り、それと結合されたループ、縫い目又はねじれ部113を有し得、その結果、インプラントは、硬質インプラントでさえ、ループ又はねじれ部113がガイドワイヤ103の周りで移動する位置に送達可能である。
【0037】
図3図23は、本発明の有利な実施形態に係る、インプラントを、解剖学的標的位置20の実施例とする心臓に導入するための医療装置100を示す。図3において、第1の導入器101は、心臓の弁輪20の隣に送達され、第2の導入器102は、第1の導入器101の遠位端部分101Aから導入される。第2の導入器が、オプションの導入器であることは留意されるものとするが、なお図に例示されている。第2の導入器は、第2の導入器102の遠位端102Aを回転することで(すなわち、導入器の回転可能性が限定される)、特定の方向に回転を達成することと同様に、心臓の弁葉22、24をバイパスする等のために使用可能である。さらに、第2の導入器102の少なくとも遠位部分102Aが、ガイドワイヤの前で、第1の導入器101の遠位端部分101Aから導入され、それによって、ガイドワイヤ103を、例えば、図4に記載の通り、弁葉をバイパスするようにガイド又は命令することは留意されるものとする。
【0038】
第2の導入器が、弁葉22、24をバイパスした場合、ガイドワイヤ103は、位置20に又はその方向に送達可能である。ガイドワイヤ103が、インプラント110の前で、該位置に送達されることは留意されるものとする。
【0039】
ガイドワイヤ103は、活性化形状及び不活性化形状を有利に有し、該不活性化形状において、ガイドワイヤ103は、図4に記載の通り、第1の導入器101を通過して、直線構成103Iで送達可能である。該活性化形状において、ガイドワイヤ103は、解剖学的標的位置20内又はその近くで少なくとも第1の湾曲形状103Bをとる。ガイドワイヤ103が、該少なくとも第1の湾曲形状103Bに活性化される場合、該位置へ又は少なくともその方向に送達される。実施例によると、ガイドワイヤ103の遠位端103Aは、J形状等の湾曲先端部分103Jを具備し得、ガイドワイヤ103の遠位端103Aが円滑に送達され、ガイドワイヤ103の遠位端103Aが組織に絡みつくのを防止する。
【0040】
該装置はまた、図5図11に記載の通り、ガイディングカテーテル104を追加的に具備し得、ガイディングカテーテル104は、第1の導入器101とガイドワイヤ103との間で、第2の導入器を使用すれば、第2の導入器102とガイドワイヤ103との間でも操作される。ガイディングカテーテル104は、第1の導入器101の遠位端部分101Aから(また、使用すれば、第2の導入器102の遠位端部分102Aから)導入される。ガイディングカテーテル104の少なくとも遠位部分104Aが、該解剖学的標的位置20に又はその方向にガイドワイヤ103が導入された後のみ、第1の導入器101の遠位端部分101Aから(また、使用すれば、第2の導入器102の遠位端部分102Aから)導入されることは留意されるものとする。
【0041】
ガイディングカテーテル104は、図5図8に記載の通り、ガイドワイヤ103が、第1の導入器101の遠位端部分101Aから少なくとも部分的に導入された後に、ガイドワイヤ103に沿って、該解剖学的標的位置20に又はその方向に送達される。最大の利点として、ガイディングカテーテル104は、ガイドワイヤが解剖学的標的位置に十分に送達される場合、特に、ガイディングカテーテル104が可撓性である場合、解剖学的標的位置20に送達され、その結果、ガイディングカテーテル104は、ガイドワイヤ103によりガイドされる。
【0042】
ガイドワイヤ103とガイディングカテーテル104が、該位置に送達される場合、図9の場合と同様に、第2の導入器102は、後退され、インプラント110を解剖学的標的位置20に送達する前に、有利に後退される。これは必須ではないが、これにより、インプラント用に配列可能なスペースが増加する。第1の導入器が、これが図示されていなくても、インプラント110を送達する前又は第2の導入器の送達直後でさえ、後退可能であることは留意されるものとする。これにより、インプラント用に配列可能なスペースはさらに多くなる。
【0043】
インプラント110は、その後、図10図12に記載の通り、ガイドワイヤ103の周りに、ガイディングカテーテル104内部で該解剖学的標的位置に又はその方向に送達される(及びガイドワイヤ103によりガイドされる)。これは、ガイディングカテーテル104の少なくとも遠位部分104Aが、第1及び第2の導入器101、102の遠位端部分101Aから該解剖学的標的位置に又はその方向に導入された後であるが、最大の利点として、ガイディングカテーテル104の遠位端が、解剖学的標的位置に送達される場合、実行可能である。
【0044】
ガイディングカテーテル104は、その後、インプラント110が、解剖学的標的位置20に導入された後に、後退され、その後、図14に記載の通り、インプラントが、固定部材114により、組織に固定可能である。該固定は、例えば、縫合又は安定化又は当業者に公知な他の固定方法により実行可能である。さらに、ガイディングカテーテル104は、連続的に後退可能で、固定用にインプラントの部分のみを曝露して、該曝露部分を固定後に、ガイディングカテーテル104は、より後退可能で、それによって、固定用のインプラントの追加部分を曝露する。
【0045】
図10の場合と同様に、インプラント110が導入され、位置20に固定される(さらに、ガイディングカテーテルが後退される)場合、ガイドワイヤ103は、後退可能で、インプラント110は、図15図18に記載の通り、解剖学的標的位置のガイドワイヤの形状に対応する、該解剖学的標的位置20に導入される場合にとる形状を原則維持する。
【0046】
図13は、導入器101及び102、ガイディングカテーテル104、ガイドワイヤ103及びインプラント110の順序を示す。
【0047】
さらに、図8はまた、冷却剤を供給(矢印方向)し、それによって、ガイドワイヤ103を冷却するための冷却装置115を示す。該装置が、1つ以上の冷却装置115を具備し、第1の導入器、第2の導入器及び/又はガイディングカテーテルに関連して配列され得ることは留意されるものとする。さらに、冷却装置115が、図8にのみ関連して示されても、該冷却装置がまた、他の実施形態及び他の図面に示す装置100により具備され得ることは理解されるべきである。
【0048】
図19図23は、インプラント110を僧帽弁20に導入するための医療装置100のさらなる実施例(解剖学的標的位置の実施例として)を示し、インプラント110の少なくとも1つのループ形状の構造体111は、心臓弁の第1の側面に当接し、1つの第2のループ形状の構造体112は、該弁の第2の対向する側面に当接し、それによって、第2及び第1の支持構造111、112の間に弁組織20の部分を捕捉する。図19図23において、第1の導入器110は、第1の湾曲形状を有し、第2の導入器102は、第1の導入器101の第1の湾曲形状と同一の湾曲方向に第2の湾曲形状を有し、同心システム100を形成する。図21に示す通り、該装置はまた、追加の第2の導入器102xを有し得、再度、さらに第1及び第2の導入器の第1及び第2の湾曲形状と同一の湾曲方向ではあるが、第3の湾曲形状を有し、該第1、第2及び第3の湾曲形状は、同心の湾曲形状である。さらに、追加の第2の導入器102xはまた、可動型カテーテルであり得、事前に湾曲された構造体を有することで、少なくともかつ有利に、解剖学的標的位置に又はその方向に送達される場合、該第3の湾曲形状を求める能力を有する。
【0049】
第1の導入器が、弁輪の隣に導入され、第2及び追加の第2の導入器102、102xが、弁葉22、24をバイパスして、第1の導入器が送達される際に、弁輪の対向側に導入されるために使用されることは留意されるものとする。
【0050】
図22及び図23は、装置100を示し、ガイディングカテーテル104とさらにガイドワイヤ103は、インプラントを送達するための位置に又は少なくともその方向に導入される。図23に記載の通り、第2及び追加の第2の導入器102、102xは、インプラントを導入する前に、後退可能である。インプラントとそれを送達するためのステップは、公知ではないが、基本原理は、本明細書記載事項と同一である。
【0051】
実施形態によると、第1の導入器101が、第2の導入器102が送達された後で、追加の第2の導入器102x、ガイディングカテーテル104及びインプラントの送達前に、すでに後退可能で、第2の導入器102が、追加の第2の導入器102xが送達された後で、ガイディングカテーテル104とインプラントの送達前に、後退可能で、追加の第2の導入器102xが、ガイディングカテーテル104が、解剖学的標的位置の方向に又はそれに送達された後で、インプラント110の送達前に、後退可能であることは留意されるものとする。このように、最大スペースは、送達カテーテル104、又はガイディングカテーテル104用に提供可能で、また特に、ガイディングカテーテル104が膨張性カテーテル104の場合、その結果、比較的大きいインプラントは、解剖学的標的位置に送達可能である。従来ならば、すべての追加の導入器又はカテーテルの直径は小さくなったはずで、その結果、最終の送達カテーテルの直径は、特に小さく、送達されるインプラント等の物体の大きさも大幅に制限される。
【0052】
本発明は、上述の実施形態に準拠して説明され、本発明のいくつかの利点が示された。本発明が、これらの実施形態に限定されるだけではなく、発明的思考や以下の請求項の意図及び範囲内で、全ての可能な実施形態を含むことは明白である。例えば、ガイドワイヤは、活性化形状及び不活性化形状をとるように操作可能な形状記憶材料から少なくとも部分的に形成され、該不活性化形状において、ガイドワイヤは、該第1の導入器を通過して、直線構成で送達されるように構成され、該活性化形状において、ガイドワイヤは、解剖学的標的位置内又はその近くに該少なくとも第1の湾曲形状をとるように構成される。ガイドワイヤは、インプラントの前で、解剖学的標的位置に又はその方向に導入されるように構成される。しかしながら、ガイドワイヤが、インプラントの前で、該位置に少なくとも到達すべきであることは留意されるものとする。
【0053】
さらに、インプラントが、送達される実施例として本明細書に記載されても、さらに他の種類の物体が、例えば、薬剤等、本発明にしたがって送達可能であることは留意されるものとする。さらに、心臓が多くの実施形態で記載されるとしても、心臓が解剖学的標的の1例にすぎないことは理解されることとする。今もなお、さらに、インプラントが剛性又は可撓性であることは留意されるものとする。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23