(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】連続鋳造機水平帯に基づくスラブ表面焼入れシステム及びプロセス
(51)【国際特許分類】
B22D 11/124 20060101AFI20240805BHJP
B22D 11/128 20060101ALI20240805BHJP
C21D 9/00 20060101ALI20240805BHJP
C21D 1/00 20060101ALI20240805BHJP
B22D 11/22 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
B22D11/124 G
B22D11/128 350A
B22D11/124 L
B22D11/124 M
C21D9/00 101Y
C21D1/00 118B
B22D11/22 B
(21)【出願番号】P 2023053656
(22)【出願日】2023-03-29
【審査請求日】2023-03-29
(31)【優先権主張番号】202210323871.1
(32)【優先日】2022-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510000839
【氏名又は名称】東北大学
【氏名又は名称原語表記】Northeastern University
【住所又は居所原語表記】NO.11, LANE3, WENHUA ROAD, HEPING DISTRICT, SHENYANG, LIAONING, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】蔡 兆鎮
(72)【発明者】
【氏名】朱 苗勇
【審査官】池ノ谷 秀行
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/073593(WO,A1)
【文献】特開昭63-168260(JP,A)
【文献】特開2011-212736(JP,A)
【文献】特開2009-274116(JP,A)
【文献】国際公開第2021/085474(WO,A1)
【文献】特開2012-047734(JP,A)
【文献】特開平10-109150(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 11/00-11/22
C21D 9/00
C21D 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続鋳造機水平帯に基づくスラブ表面焼入れシステムであって、
スラブ(1)の表面を焼入れするための焼入れ湾曲帯を含み、
前記連続鋳造機は圧下湾曲帯を含み、前記焼入れ湾曲帯は前記圧下湾曲帯よりも後に位置し、前記焼入れ湾曲帯の入口における前記スラブ(1)の表面温度が930℃以上であり、
前記焼入れ湾曲帯は第1スプレーフレーム(2)と第2スプレーフレーム(4)を含み、
前記第1スプレーフレーム(2)及び前記第2スプレーフレーム(4)はいずれも複数列設けられ、複数列の前記第1スプレーフレーム(2)は前記スラブ(1)の一方側に並列に設けられ、複数列の前記第1スプレーフレーム(2)は前記スラブ(1)の一方側の表面を焼入れし、複数列の前記第2スプレーフレーム(4)は前記スラブ(1)の他方側に並列に設けられ、複数列の前記第2スプレーフレーム(4)は前記スラブ(1)の他方側の表面を焼入れし、複数列の前記第1スプレーフレーム(2)と複数列の前記第2スプレーフレーム(4)は対向して設けられ、
前記焼入れ湾曲帯は内側アーチ構造と外側アーチ構造をさらに含み、前記第1スプレーフレーム(2)は前記内側アーチ構造に設けられ、前記第2スプレーフレーム(4)は前記外側アーチ構造に設けられ、
前記第1スプレーフレーム(2)は第1
ノズル(6)を含み、前記第1ノズル(6)は複数設けられ、複数の前記第1
ノズル(6)は前記スラブ(1)の幅方向に均等に配置され、
前記第2スプレーフレーム(4)は第2
ノズル(7)を含み、前記第2ノズル(7)は複数設けられ、複数の前記第2
ノズル(7)は前記スラブ(1)の幅方向に均等に配置され
、
前記第1ノズル(6)は、0.6MPaの水圧での流量が12~25L/minを満たし、前記スラブ(1)の幅方向における噴射角が60~120°であり、各列の前記第1スプレーフレーム(2)において隣接する2つの前記第1ノズル(6)から噴射されるスプレー水の前記スラブ(1)表面の幅方向での重なり幅が0~70mmであり、
前記第2ノズル(7)は、0.6MPaの水圧での流量が25~60L/minを満たし、前記スラブ(1)の幅方向における噴射角が60~120°であり、各列の前記第2スプレーフレーム(4)において隣接する2つの前記第2ノズル(7)から噴射されるスプレー水の前記スラブ(1)表面の幅方向での重なり幅が0~70mmであることを特徴とするスラブ表面焼入れシステム。
【請求項2】
前記焼入れ湾曲帯は第1鋳造ロール(17)と第2鋳造ロールをさらに含み、前記第1鋳造ロール(17)及び前記第2鋳造ロールはそれぞれ複数設けられ、複数の前記第1鋳造ロール(17)は前記スラブ(1)の一方側に設けられ、複数の前記第1鋳造ロール(17)は前記スラブ(1)の引き抜き方向に順に配置され、複数の前記第2鋳造ロールは前記スラブ(1)の他方側に設けられ、複数の前記第2鋳造ロールは前記スラブ(1)の引き抜き方向に順に配置され、前記第1鋳造ロール(17)と前記第2鋳造ロールは1対1で対応して設けられ、
前記第1
ノズル(6)は隣接する2つの前記第1鋳造ロール(17)の間に設けられ、前記第1
ノズル(6)の前記スラブ(1)の引き抜き方向における噴射角の境界線が隣接する前記第1鋳造ロール(17)の外壁面と相接し、
前記第2
ノズル(7)は隣接する2つの前記第2鋳造ロールの間に設けられ、前記第2
ノズル(7)の前記スラブ(1)の引き抜き方向における噴射角の境界線が隣接する前記第2鋳造ロールの外壁面と相接することを特徴とする請求項1に記載の連続鋳造機水平帯に基づくスラブ表面焼入れシステム。
【請求項3】
前記第1
ノズル(6)の末端と、前記スラブ(1)の前記第1
ノズル(6)に近い側の表面との間の垂直方向距離が90~200mmであり、
前記第2
ノズル(7)の末端と、前記スラブ(1)の前記第2
ノズル(7)に近い側の表面との間の垂直方向距離が90~200mmであることを特徴とする請求項1に記載の連続鋳造機水平帯に基づくスラブ表面焼入れシステム。
【請求項4】
隣接する2列の前記第1スプレーフレーム(2)における前記第1
ノズル(6)は千鳥状に配置され、隣接する2列の前記第1スプレーフレーム(2)における前記第1
ノズル(6)の前記スラブ(1)の幅方向での間隔が、50mm以上であり、隣接する2列の前記第1スプレーフレーム(2)における前記第1
ノズル(6)の前記スラブ(1)の幅方向での間隔が、各列の前記第1スプレーフレーム(2)における隣接する2つの前記第1
ノズル(6)の間隔の半分以下であり、
隣接する2列の前記第2スプレーフレーム(4)における前記第2
ノズル(7)は千鳥状に配置され、隣接する2列の前記第2スプレーフレーム(4)における前記第2
ノズル(7)の前記スラブ(1)の幅方向での間隔が、50mm以上であり、隣接する2列の前記第2スプレーフレーム(4)における前記第2
ノズル(7)の前記スラブ(1)の幅方向での間隔が、各列の前記第2スプレーフレーム(4)における隣接する2つの前記第2
ノズル(7)の間隔の半分以下であることを特徴とする請求項1に記載の連続鋳造機水平帯に基づくスラブ表面焼入れシステム。
【請求項5】
第1給水管(B)と第2給水管(C)を含み、前記第1給水管(B)は複数列の前記第1スプレーフレーム(2)に接続され、複数列の前記第1スプレーフレーム(2)は並列に設けられ、前記第2給水管(C)は複数列の前記第2スプレーフレーム(4)に接続され、複数列の前記第2スプレーフレーム(4)は並列に設けられ、
第1遮断弁(9)、第2遮断弁(10)、第1調整弁(11)、第2調整弁(12)、第1流量計(13)、第2流量計(14)、第1圧力計(15)、及び第2圧力計(16)をさらに含み、
前記第1遮断弁(9)、第1調整弁(11)、第1流量計(13)及び第1圧力計(15)は複数列の前記第1スプレーフレーム(2)に接続される前の前記第1給水管(B)に設けられ、前記第2遮断弁(10)、第2調整弁(12)、第2流量計(14)及び第2圧力計(16)は複数列の前記第2スプレーフレーム(4)に接続される前の前記第2給水管(C)に設けられることを特徴とする請求項1に記載の連続鋳造機水平帯に基づくスラブ表面焼入れシステム。
【請求項6】
連続鋳造機水平帯に基づくスラブ表面焼入れプロセスであって、
圧下湾曲帯を経て請求項1~
5のいずれか1項に記載の連続鋳造機水平帯に基づくスラブ表面焼入れシステムに入るスラブ(1)を焼入れするステップを含み、
前記連続鋳造機水平帯に基づくスラブ表面焼入れシステムは前記スラブ(1)の表面を焼入れする焼入れ湾曲帯を含み、
前記スラブ(1)の表面の焼入れ時間は60s以上であり、
前記スラブ(1)の表面の焼入れ層の深さは10mm以上であり、
前記スラブ(1)の表面の皮下0~10mm深さの範囲内の温度の平均低下速度が5℃/sよりも速く、
スラブ(1)の上面及び下面の焼入れ終了温度は350~500℃であり、
前記焼入れ湾曲帯において焼入れを行うときに、前記スラブ(1)の表面の皮下0~10mm範囲内の温度が930℃以上から600℃以下に低下
し、
前記連続鋳造機水平帯に基づくスラブ表面焼入れシステムは、第1給水管(B)と、第2給水管(C)とを含み、前記第1給水管(B)は複数列の前記第1スプレーフレーム(2)に接続され、前記第2給水管(C)は複数列の前記第2スプレーフレーム(4)に接続され、
前記連続鋳造機水平帯に基づくスラブ表面焼入れシステムは前記スラブ(1)の鋼種及び前記スラブ(1)の鋳造速度に基づいて前記第1給水管(B)の流量及び前記第2給水管(C)の流量を決定し、複数列の前記第1スプレーフレーム(2)及び複数列の前記第2スプレーフレーム(4)から噴射されるスプレー水の流量を調整し、
前記連続鋳造機水平帯に基づくスラブ表面焼入れシステムは前記第1給水管(B)の流量と前記第2給水管(C)の流量との比を0.5以下に制御することを特徴とするスラブ表面焼入れプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は冶金の技術分野に関し、特に連続鋳造機水平帯に基づくスラブ表面焼入れシステム及びプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
連続鋳造鋳片のホットデリバリー&ホットチャージプロセスは鉄鋼企業の鋼-圧延インターフェースを効率的に連結する重要な生産プロセスである。従来の「鋳片を生産ラインから取り出す→積層して冷却する→加熱炉により加熱する」プロセスに比べ、当該プロセスはエネルギー消費を著しく減らし、プロセスのフローを簡略化し、生産効率を高めるなどの優位性を持つ。しかし、ホットデリバリー&ホットチャージプロセスを採用してNb、Al、Vなどの成分を含むマイクロアロイ鋼を生産するときに、鋳片が加熱炉に入って加熱された後、その表面に深刻な網状割れ欠陥(「ホットデリバリーによる割れ」と呼ばれる)が発生し、圧延材の表面に深刻な品質欠陥を引き起こす。
【0003】
研究により、Nb、Al、Vなどの成分を含むマイクロアロイ鋼の連続鋳造スラブの表面にホットデリバリーによる割れがよく発生する主要な原因は以下のことである。従来のマイクロアロイ鋼の連続鋳造生産プロセス及び連続鋳造-圧延鋼生産ラインの配置下で、加熱炉にホットデリバリー&ホットチャージした鋳片の表面温度は650~550℃まで下がる場合が多く、この温度の鋳片表層組織はγ→α変態の二相構造にある。鋳片を加熱炉に入れて加熱すると、表層に新たに形成されたオーステナイトと元のオーステナイトの結晶粒の大きさの差が大きく、明らかな混晶構造が現れ、鋳片表層組織の高温可塑性を大幅に低下させた。また、連続鋳造生産過程で元のオーステナイト粒界に沿って鎖状に集中析出したマイクロアロイ炭窒化物が脆性化加熱過程の元のオーステナイト粒界にピン止めする。加熱応力により鋳片表面が粒界に沿って割れて網目状の割れ欠陥が形成される。そのため、鋳片表層組織を再構成し、その炭窒化物を分散、析出させることは、マイクロアロイ鋼連続鋳造鋳片の表面のホットデリバリーによる割れ欠陥を解消する鍵である。
【0004】
連続鋳造切断機の後から加熱炉口までのローラーテーブルなどに冷却水タンクや焼入れ湾曲帯を増設し、定規切断後の鋳片を急速に冷却し、鋳片表面の焼入れ効果を達成することが研究者により提案されている。しかし、実際の連続鋳造生産では、連続鋳造速度に制限があり、切断後の鋳片が冷却水タンクに入る際の表面温度は800℃以下に低下していることが多い。この温度での鋳片表層組織では、Nb、Alなどのマイクロアロイ炭窒化物の析出はすでに完了しており、この温度で鋳片の表面焼入れを行っても、炭窒化物の析出寸法と分布を変えることができなくなった。また、この温度で鋳片の表面焼入れを行うと、その表層組織はすでにオーステナイトからフェライトへと変態し始めており、一方、焼入れ後の鋳片表層組織は再び温度を回復してオーステナイト化することができず、組織構造の高可塑化変態を実現することができない。
【0005】
そのため、マイクロアロイ鋼の実際の高温凝固特徴及びスラブの連続鋳造生産プロセスと組み合わせて、鋳片表層組織構造の改善を実現し、炭窒化物を分散、析出させ、鋳片表層の高温組織を高可塑化して、鋳片表面のホットデリバリーによる割れを安定的に除去できる連続鋳造鋳片高温焼入れ装置及びプロセスを開発することは、マイクロアロイ鋼板の高品質、高効率及びグリーン生産の実現にとって重要な意義があり、普及の将来性が期待できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上に鑑み、本発明は連続鋳造機水平帯に基づくスラブ表面焼入れシステム及びプロセスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
具体的には、以下の技術的解決手段を含む。
【0008】
本発明の一態様は、
スラブの表面を焼入れするための焼入れ湾曲帯を含み、
前記連続鋳造機は圧下湾曲帯を含み、前記焼入れ湾曲帯は前記圧下湾曲帯よりも後に位置し、前記焼入れ湾曲帯の入口における前記スラブの表面温度が930℃以上である連続鋳造機水平帯に基づくスラブ表面焼入れシステムを提供する、
前記焼入れ湾曲帯は第1スプレーフレームと第2スプレーフレームを含み、
前記第1スプレーフレーム及び前記第2スプレーフレームはいずれも複数列設けられ、複数列の前記第1スプレーフレームは前記スラブの一方側に並列に設けられ、複数列の前記第1スプレーフレームは前記スラブの一方側の表面を焼入れし、複数列の前記第2スプレーフレームは前記スラブの他方側に並列に設けられ、複数列の前記第2スプレーフレームは前記スラブの他方側の表面を焼入れし、複数列の前記第1スプレーフレームと複数列の前記第2スプレーフレームは対向して設けられ、
前記焼入れ湾曲帯は内側アーチ構造と外側アーチ構造をさらに含み、前記第1スプレーフレームは前記内側アーチ構造に設けられ、前記第2スプレーフレームは前記外側アーチ構造に設けられ、
前記第1スプレーフレームは第1ノズルを含み、前記第1ノズルは複数設けられ、複数の前記第1ノズルは前記スラブの幅方向に均等に配置され、
前記第2スプレーフレームは第2ノズルを含み、前記第2ノズルは複数設けられ、複数の前記第2ノズルは前記スラブの幅方向に均等に配置される。
【0009】
さらに、前記第1ノズルは前記スラブの幅方向における噴射角が60~120°であり、各列の前記第1スプレーフレームにおいて隣接する2つの前記第1ノズルから噴射されるスプレー水の前記スラブ表面の幅方向での重なり幅が0~70mmであり、
前記第2ノズルは前記スラブの幅方向における噴射角が60~120°であり、各列の前記第2スプレーフレームにおいて隣接する2つの前記第2ノズルから噴射されるスプレー水の前記スラブ表面の幅方向での重なり幅が0~70mmであることを特徴とする請求項1に記載の連続鋳造機水平帯に基づくスラブ表面焼入れシステム。
【0010】
さらに、前記焼入れ湾曲帯は第1鋳造ロールと第2鋳造ロールをさらに含み、前記第1鋳造ロール及び前記第2鋳造ロールはそれぞれ複数設けられ、複数の前記第1鋳造ロールは前記スラブの一方側に設けられ、複数の前記第1鋳造ロールは前記スラブの引き抜き方向に順に配置され、複数の前記第2鋳造ロールは前記スラブの他方側に設けられ、複数の前記第2鋳造ロールは前記スラブの引き抜き方向に順に配置され、前記第1鋳造ロールと前記第2鋳造ロールは1対1で対応して設けられ、
前記第1ノズルは隣接する2つの前記第1鋳造ロールの間に設けられ、前記第1ノズルの前記スラブの引き抜き方向における噴射角の境界線が隣接する前記第1鋳造ロールの外壁面と相接し、
前記第2ノズルは隣接する2つの前記第2鋳造ロールの間に設けられ、前記第2ノズルの前記スラブの引き抜き方向における噴射角の境界線が隣接する前記第2鋳造ロールの外壁面と相接することを特徴とする請求項1に記載の連続鋳造機水平帯に基づくスラブ表面焼入れシステム。
【0011】
さらに、前記第1ノズルの末端と、前記スラブの前記第1ノズルに近い側の表面との間の垂直方向距離が90~200mmであり、
前記第2ノズルの末端と、前記スラブの前記第2ノズルに近い側の表面との間の垂直方向距離が90~200mmであることを特徴とする請求項1に記載の連続鋳造機水平帯に基づくスラブ表面焼入れシステム。
【0012】
さらに、隣接する2列の前記第1スプレーフレームにおける前記第1ノズルは千鳥状に配置され、隣接する2列の前記第1スプレーフレームにおける前記第1ノズルの前記スラブの幅方向での間隔が、50mm以上であり、隣接する2列の前記第1スプレーフレームにおける前記第1ノズルの前記スラブの幅方向での間隔が、各列の前記第1スプレーフレームにおける隣接する2つの前記第1ノズルの間隔の半分以下であり、
隣接する2列の前記第2スプレーフレームにおける前記第2ノズルは千鳥状に配置され、隣接する2列の前記第2スプレーフレームにおける前記第2ノズルの前記スラブの幅方向での間隔が、50mm以上であり、隣接する2列の前記第2スプレーフレームにおける前記第2ノズルの前記スラブの幅方向での間隔が、各列の前記第2スプレーフレームにおける隣接する2つの前記第2ノズルの間隔の半分以下であることを特徴とする請求項1に記載の連続鋳造機水平帯に基づくスラブ表面焼入れシステム。
【0013】
さらに、第1給水管と第2給水管を含み、前記第1給水管は複数列の前記第1スプレーフレームに接続され、複数列の前記第1スプレーフレームは並列に設けられ、前記第2給水管は複数列の前記第2スプレーフレームに接続され、複数列の前記第2スプレーフレームは並列に設けられ、
第1遮断弁、第2遮断弁、第1調整弁、第2調整弁、第1流量計、第2流量計、第1圧力計、及び第2圧力計をさらに含み、
前記第1遮断弁、第1調整弁、第1流量計及び第1圧力計は複数列の前記第1スプレーフレームに接続される前の前記第1給水管に設けられ、前記第2遮断弁、第2調整弁、第2流量計及び第2圧力計は複数列の前記第2スプレーフレームに接続される前の前記第2給水管に設けられることを特徴とする請求項1に記載の連続鋳造機水平帯に基づくスラブ表面焼入れシステム。
【0014】
本発明の別の態様は、
圧下湾曲帯を経て上記の連続鋳造機水平帯に基づくスラブ表面焼入れシステムに入るスラブを焼入れするステップを含み、
前記連続鋳造機水平帯に基づくスラブ表面焼入れシステムは前記スラブの表面を焼入れする焼入れ湾曲帯を含み、
前記焼入れ湾曲帯において焼入れを行うときに、前記スラブの表面の皮下0~10mm範囲内の温度が930℃以上から600℃以下に低下する連続鋳造機水平帯に基づくスラブ表面焼入れプロセスを開示する。
【0015】
さらに、前記スラブの表面の焼入れ時間は60s以上であり、前記スラブの表面の焼入れ層の深さは10mm以上であり、
前記スラブの表面の皮下0~10mm深さ範囲内の温度の平均低下速度が5℃/sよりも速い。
【0016】
さらに、前記焼入れ湾曲帯は第1スプレーフレームと第2スプレーフレームを含み、前記第1スプレーフレームは複数列設けられ、複数列の前記第1スプレーフレームは前記スラブの一方側に並列に設けられ、前記第2スプレーフレームは複数列設けられ、複数列の前記第2スプレーフレームは前記スラブの他方側に並列に設けられ、複数列の前記第1スプレーフレームと複数列の前記第2スプレーフレームは対向して設けられ、
前記連続鋳造機水平帯に基づくスラブ表面焼入れシステムは、第1給水管と、第2給水管とを含み、前記第1給水管は複数列の前記第1スプレーフレームに接続され、前記第2給水管は複数列の前記第2スプレーフレームに接続され、
前記連続鋳造機水平帯に基づくスラブ表面焼入れシステムは前記スラブの鋼種及び前記スラブの鋳造速度に基づいて前記第1給水管の流量及び前記第2給水管の流量を決定し、複数列の前記第1スプレーフレーム及び複数列の前記第2スプレーフレームから噴射されるスプレー水の流量を調整し、
前記連続鋳造機水平帯に基づくスラブ表面焼入れシステムは前記第1給水管の流量と前記第2給水管の流量との比を0.5以下に制御する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の実施例に係る技術的解決手段の有益な効果は少なくとも以下を含む。
【0018】
本発明では、圧下湾曲帯よりも後に設けられる焼入れ湾曲帯によってスラブの表面に対して焼入れプロセスを実施することにより、オンライン焼入れを受けたNb、Al、Vなどを含有するマイクロアロイ鋼連続鋳造スラブの上面及び下面の皮下0~10mm範囲内の温度が930℃以上から600℃以下に迅速に低下し、炭窒化物の分散析出及びオーステナイトからフェライト又はベイナイトへの構造転移の目的を達成させ、鋳片表層組織の可塑性を根本的に向上させ、マイクロアロイ鋼スラブのホットデリバリーによる割れの発生を確実に回避する。本発明は、鋳片のホットデリバリーによる割れ効果を安定的に保持し、マイクロアロイ鋼板の高品質、高効率及びグリーン生産の実現にとって重要な意義があり、普及の将来性が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明の実施例の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、実施例の説明に必要な図面を簡単に説明するが、明らかに、以下の説明における図面は本発明のいくつかの実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的な努力を必要とせずに、これらの図面に基づいて他の図面を取得することができる。
【
図1】本発明に係る連続鋳造機水平帯に基づくスラブ表面焼入れシステムの焼入れ湾曲帯の正面図である。
【
図2】本発明に係る連続鋳造機水平帯に基づくスラブ表面焼入れシステムの焼入れ湾曲帯の部分側面図である。
【
図3】本発明に係る連続鋳造機水平帯に基づくスラブ表面焼入れシステムの給水配管の配置原理図である。
【
図4】本発明に係る連続鋳造機水平帯に基づくスラブ表面焼入れシステムによる金相組織図である。
【
図5】本発明に係る連続鋳造機水平帯に基づくスラブ表面焼入れシステムによる炭窒化物析出の形貌図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施例の図面を参照して、本発明の実施例の技術的解決手段を明確かつ完全に説明するが、明らかに、説明する実施例は本発明の実施例の一部であり、全ての実施例ではない。当業者であれば、本発明の実施例に基づいて創造的な努力を必要とせずに得る他のすべての実施例は本発明の特許範囲である。
【0021】
本発明の実施形態についてさらに詳細に説明するに先立って、本発明の実施例に記載の方位名詞、例えば「上部」、「下部」、「側部」は、
図1に示される方位を基準にして、本発明の特許範囲を限定することを意図していない。
【0022】
本発明の技術的解決手段及び利点をより明確にするために、以下、図面を参照して本発明の実施形態についてさらに詳細に説明する。
【実施例1】
【0023】
図1~
図3に示すように、本実施例は、連続鋳造機水平帯に基づくスラブ表面焼入れシステムを開示し、上記スラブ表面焼入れシステムはスラブ1の表面を焼入れするための焼入れ湾曲帯を含み、連続鋳造機は圧下湾曲帯を含み、焼入れ湾曲帯は圧下湾曲帯よりも後に位置し、焼入れ湾曲帯の入口におけるスラブ1の表面温度が930℃以上である。
【0024】
さらに、本実施例では、圧下湾曲帯は通常軽圧下帯を意味し、焼入れ湾曲帯は軽圧下湾曲帯よりも後に位置するある水平湾曲帯を意味し、スラブ1は軽圧下帯と焼入れ湾曲帯を順次通過し、ただし、焼入れ湾曲帯の入口におけるスラブ1の表面温度が930℃以上である。連続鋳造機では軽圧下帯よりも後に重圧下帯も設けられる場合、焼入れ湾曲帯は重圧下帯よりも後に位置するある水平湾曲帯を意味し、スラブ1は軽圧下帯、重圧下帯及び焼入れ湾曲帯を順次通過する。
【0025】
さらに、本実施例では、焼入れ湾曲帯は連続鋳造機の水平湾曲帯のうちの特定の水平湾曲帯であり、焼入れ湾曲帯は、スラブ1の凝固終点が圧下湾曲帯内にあり、圧下湾曲帯の出口におけるスラブ1の表面温度が通常930℃よりも高いことを考慮して、圧下湾曲帯よりも後に設けられる。
【0026】
さらに、焼入れ中にオーステナイトの粒界に窒化アルミニウム又はバナジウム、ニオブ、ホウ素の炭窒化物が析出され、析出「鼻」温度の範囲が約600℃~900℃であり、また、鋳片表層組織が再構成されその炭窒化物が分散、析出することは、マイクロアロイ鋼連続鋳造スラブの表面のホットデリバリーによる割れを解消するカギであることが理解される。本実施例では、焼入れ湾曲帯の入口におけるスラブ1の表面温度は930℃以上であり、焼入れ湾曲帯によってスラブ1の表面に対して焼入れプロセスを行うことにより、オンライン焼入れを受けたNb、Al、Vなどを含むマイクロアロイ鋼連続鋳造スラブ1の上面及び下面の皮下0~10mm範囲内の温度は930℃以上から600℃以下に迅速に低下し、炭窒化物の分散析出及びオーステナイトからフェライト又はベイナイトへの構造転移の目的を達成させ、鋳片表層組織の可塑性を根本的に向上させ、マイクロアロイ鋼スラブのホットデリバリーによる割れの発生を確実に回避する。本発明は、鋳片のホットデリバリーによる割れ効果を安定的に維持し、マイクロアロイ鋼板の高品質、高効率及びグリーン生産の実現にとって重要な意義があり、普及の将来性が期待できる。
【0027】
図1に示すように、焼入れ湾曲帯は第1スプレーフレーム2と第2スプレーフレーム4を含み、第1スプレーフレーム2及び第2スプレーフレーム4はいずれも複数列設けられ、複数列の第1スプレーフレーム2はスラブ1の一方側に並列に設けられ、複数列の第1スプレーフレーム2はスラブ1の一方側の表面を焼入れし、複数列の第2スプレーフレーム4はスラブ1の他方側に並列に設けられ、複数列の前記第2スプレーフレーム4は前記スラブ1の他方側の表面を焼入れし、複数列の第1スプレーフレーム2と複数列の第2スプレーフレーム4は対向して設けられる。焼入れ湾曲帯は内側アーチ構造と外側アーチ構造をさらに含み、第1スプレーフレーム2は内側アーチ構造に設けられ、第2スプレーフレーム4は外側アーチ構造に設けられる。第1スプレーフレーム2は第1
ノズル6を含み、第1
ノズル6は複数設けられ、複数の第1
ノズル6はスラブ1の幅方向に均等に配置される。第2スプレーフレーム4は第2
ノズル7を含み、第2
ノズル7は複数設けられ、複数の第2
ノズル7はスラブ1の幅方向に均等に配置される。
【0028】
さらに、本実施例では、焼入れ湾曲帯は、従来の連続鋳造機のある水平湾曲帯構造を基にして、その既存の内側アーチスプレーフレーム及び外側アーチスプレーフレームをそれぞれ第1スプレーフレーム2及び第2スプレーフレーム4に変更し、既存のノズルを大流量ノズルに変更したものであり、大流量ノズルは本発明の第1ノズル6及び第2ノズル7に相当する。
【0029】
さらに、
図1に示すように、水平湾曲帯内のスラブ1が水平に搬送される状態であることが理解され、スラブ1は長尺状スラブであり、スラブ1の横断面は長方形であり、
図1に示すように、L
1はスラブ1の幅であり、また、L
1はスラブ1の幅方向を表し、
図2の矢印はスラブ1の引き抜き方向を表す。複数列の第1スプレーフレーム2はスラブ1の上部に並列に設けられ(
図1及び
図3参照)、スラブ1の上面を焼入れし、複数列の第2スプレーフレーム4はスラブ1の下部に並列に設けられ(
図1及び
図3参照)、スラブ1の下面を焼入れする。
【0030】
さらに、本実施例では、焼入れ湾曲帯は従来の水平湾曲帯を基にして変更したものであり、高温鋳片の焼入れ中の蒸発排出及び排水の課題を解決する。
【0031】
さらに、
図1及び
図2に示すように、第1
ノズル6の垂直軸線はスラブ1の上面に垂直であり、第2
ノズル7の垂直軸線はスラブ1の下面に垂直である。
【0032】
さらに、
図1に示すうように、複数列の第1スプレーフレーム2はスラブ1の引き抜き方向に均等に配置され、第1スプレーフレーム2はスプレーフレーム給水管21と複数のスプレー管22を含み、スプレーフレーム給水管21は第1給水管Bに接続され、複数のスプレー管22はスラブ1の幅方向に沿ってスプレーフレーム給水管21に均等に配置され、スプレー管22は第1
ノズル6に1対1で対応して設けられ、スプレー管22は第1
ノズル6に同軸に設けられ、第1
ノズル6はスプレー管22のスラブ1に近い端部に設けられ、複数の第1
ノズル6はスラブ1の幅方向に均等に配置される。
【0033】
さらに、複数列の第2スプレーフレーム4はスラブ1の引き抜き方向に均等に配置され、第2スプレーフレーム4はスプレーフレーム給水管41と複数のスプレー管42を含み、スプレーフレーム給水管41は第2給水管Cに接続され、複数のスプレー管42はスラブ1の幅方向に沿ってスプレーフレーム給水管41に均等に配置され、スプレー管42と第2ノズル7は1対1で対応して設けられ、スプレー管42は第2ノズル7に同軸に設けられ、第2ノズル7はスプレー管42のスラブ1に近い端部に設けられ、複数の第2ノズル7はスラブ1の幅方向に均等に配置される。
【0034】
図1に示すように、第1
ノズル6はスラブ1の幅方向における噴射角が60~120°であり、各列の第1スプレーフレーム2において、隣接する2つの第1
ノズル6から噴射されるスプレー水のスラブ1の表面の幅方向での重なり幅が0~70mmであり、第2
ノズル7はスラブ1の幅方向における噴射角が60~120°であり、各列の第2スプレーフレーム4において、隣接する2つの第2
ノズル7から噴射されるスプレー水のスラブ1の表面の幅方向での重なり幅が0~70mmである。
【0035】
さらに、
図1においては、θ
1は
ノズルのスラブ1の幅方向における噴射角を示し、L
4は各列のスプレーフレームにおいて隣接する2つの
ノズルから噴射されるスプレー水のスラブ1の表面の幅方向における重なり幅を示す。本実施例では、第1
ノズル6はスラブ1の幅方向における噴射角θ
1が60~120°であり、第2
ノズル7はスラブ1の幅方向における噴射角θ
1が60~120°である。
【0036】
さらに、第1ノズル6及び第2ノズル7は扇形又は矩形の純水又はエアロゾルノズルであってもよい。本実施例では、第1ノズル6は0.6MPaの水圧での流量が12~25L/minを満たすことを考慮して選択され、第1ノズル6はスラブ1の幅方向における噴射角θ1が60~120°とされる。第2ノズル7は0.6MPaの水圧での流量が25~60L/minを満たすことを考慮して選択され、第2ノズル7はスラブ1の幅方向における噴射角θ1の範囲も60~120°とされる。噴射角θ1は、隣接する2つの第1ノズル6から噴射されるスプレー水のスラブ1の表面の幅方向における重なり幅L4が0~70mmであり、隣接する2つの第2ノズル7から噴射されるスプレー水のスラブ1の表面の幅方向における重なり幅L4が0~70mmであるように決定される。
【0037】
図2に示すように、焼入れ湾曲帯は第1鋳造ロール17と第2鋳造ロールをさらに含み、第1鋳造ロール17及び第2鋳造ロールはそれぞれ複数設けられ、複数の第1鋳造ロール17はスラブ1の一方側に設けられ、複数の第1鋳造ロール17はスラブ1の引き抜き方向に順に配置され、複数の第2鋳造ロールはスラブ1の他方側に設けられ、複数の第2鋳造ロールはスラブ1の引き抜き方向に順に配置され、第1鋳造ロール17と第2鋳造ロールは1対1で対応して設けられる。第1
ノズル6は隣接する2つの第1鋳造ロール17の間に設けられ、第1
ノズル6のスラブ1の引き抜き方向における噴射角の境界線が、隣接する第1鋳造ロール17の外壁面と相接し、第2
ノズル7は隣接する2つの第2鋳造ロールの間に設けられ、第2
ノズル7のスラブ1の引き抜き方向における噴射角の境界線が、隣接する第2鋳造ロールの外壁面と相接する。
【0038】
さらに、
図2には第2鋳造ロールが示されていないが、第1鋳造ロール17はスラブ1の上部に設けられ、スラブ1の上面に当接し、第2鋳造ロールはスラブ1の下部に設けられ、スラブ1の下面に当接することが理解される。
【0039】
さらに、
図2に示すように、本実施例では、第1ノズル6は隣接する2つの第1鋳造ロール17の間に設けられ、第1
ノズル6の配置形態を参照して、第2
ノズル7は隣接する2つの第2鋳造ロールの間に設けられる。
図2においては、θ
2は
ノズルのスラブ1の引き抜き方向における噴射角を示す。本実施例では、
図2に示すように、噴射角θ
2は2本の境界線を有し、噴射角θ
2の2本の境界線とスラブ1の表面とがなす2つの交差点の間の距離L
6は、
ノズルから噴射されるスプレー水がスラブ1の表面の引き抜き方向においてカバーする幅である。
図2から分かるように、第1鋳造ロール17及び第2鋳造ロール(図示せず)はいずれも円筒体であり、第1鋳造ロール17及び第2鋳造ロールの軸線の延伸方向が、スラブ1の幅方向に平行する。第1
ノズル6の噴射角θ
2の2本の境界線が、隣接する2つの第1鋳造ロール17の外壁面と相接し、第2
ノズル7の噴射角θ
2の2本の境界線が、隣接する2つの第2鋳造ロールの外壁面と相接する。
【0040】
さらに、第1ノズル6又は第2ノズル7が矩形ノズルである場合、噴射角θ2は、第1ノズル6又は第2ノズル7から噴射されるスプレー水が第1鋳造ロール17又は第2鋳造ロールにスプレーしないことを確保しながら、スプレー水がスラブ1の引き抜き方向に沿ってスラブ1の表面をできるだけ広範にカバーするように決定される。
【0041】
図1及び
図2に示すように、第1
ノズル6の末端とスラブ1の第1
ノズル6に近い側の表面との間の垂直方向距離は90~200mmであり、第2
ノズル7の末端とスラブ1の第2
ノズル7に近い側の表面との間の垂直方向距離は90~200mmである。
【0042】
さらに、
図2及び
図1においては、L
5は
ノズルの末端とスラブ1の表面との垂直方向距離を示す。本実施例では、第1
ノズル6の末端とスラブ1の上面との間の垂直方向距離L
5は90~200mmであり、第2
ノズル7の末端とスラブ1の下面との間の垂直方向距離L
5は90~200mmである。
【0043】
図1に示すように、隣接する2列の第1スプレーフレーム2における第1
ノズル6は千鳥状に配置され、隣接する2列の第1スプレーフレーム2における第1
ノズル6のスラブ1の幅方向での間隔が50mm以上であり、隣接する2列の第1スプレーフレーム2における第1
ノズル6のスラブ1の幅方向での間隔が、各列の第1スプレーフレーム2における隣接する2つの第1
ノズル6の間隔の半分以下である。隣接する2列の第2スプレーフレーム4における第2
ノズル7は千鳥状に配置され、隣接する2列の第2スプレーフレーム4における第2
ノズル7のスラブ1の幅方向での間隔が50mm以上であり、隣接する2列の第2スプレーフレーム4における第2
ノズル7のスラブ1の幅方向での間隔が、各列の第2スプレーフレーム4における隣接する2つの第2
ノズル7の間隔の半分以下である。
【0044】
さらに、
図1に示すように、複数列の第1スプレーフレーム2における第1
ノズル6の数が同じであり、隣接する2列の第1スプレーフレーム2における第1
ノズル6は互いに千鳥状に配置される。複数列の第2スプレーフレーム4における第2
ノズル7の数が同じであり、隣接する2列の第2スプレーフレーム4における第2
ノズル7は互いに千鳥状に配置される。
【0045】
さらに、
図1においては、L
3は各列のスプレーフレームの隣接する2つの
ノズルの間隔を示し、L
2は隣接する2列のスプレーフレームにおける
ノズルのスラブ1の幅方向での間隔を示す。本実施例では、隣接する2列の第1スプレーフレーム2における第1
ノズル6のスラブ1の幅方向での距離L
2の範囲は50mm以上、各列の第1スプレーフレーム2における隣接する2つの第1
ノズル6の間隔L
3の半分以下である。隣接する2列の第2スプレーフレーム4における第2
ノズル7の、スラブ1の幅方向での距離L
2の範囲は50mm以上、各列の第2スプレーフレーム4における隣接する2つの第2
ノズル7の間隔L
3の半分以下である。
【0046】
図3に示すように、連続鋳造機水平帯に基づくスラブ表面焼入れシステムは第1給水管Bと第2給水管Cを含み、第1給水管Bは複数列の第1スプレーフレーム2に接続され、複数列の第1スプレーフレーム2は並列に設けられ、第2給水管Cは複数列の第2スプレーフレーム4に接続され、複数列の第2スプレーフレーム4は並列に設けられる。連続鋳造機水平帯に基づくスラブ表面焼入れシステムは、第1遮断弁9、第2遮断弁10、第1調整弁11、第2調整弁12、第1流量計13、第2流量計14、第1圧力計15及び第2圧力計16をさらに含み、第1遮断弁9、第1調整弁11、第1流量計13及び第1圧力計15は複数列の第1スプレーフレーム2に接続される前の第1給水管Bに設けられ、第2遮断弁10、第2調整弁12、第2流量計14及び第2圧力計16は複数列の第2スプレーフレーム4に接続される前の第2給水管Cに設けられる。
【0047】
さらに、本実施例では、連続鋳造機水平帯に基づくスラブ表面焼入れシステムは主給水管Aをさらに含み、主給水管Aに主遮断弁8が設けられ、第1給水管B及び第2給水管Cはいずれも主給水管Aから分岐するものである。第1給水管Bには、第1遮断弁9、第1流量計13、第1調整弁11及び第1圧力計15が順次設けられており、第1流量計13と第1調整弁11は電気的に接続され、第1調整弁11は空気圧調整弁であり、第1調整弁11は第1流量計13のフィードバック情報に基づいてそれ自体の開度を調整する。第2給水管Cには、第2遮断弁10、第2流量計14、第2調整弁12及び第2圧力計16が順次設けられており、第2流量計14と第2調整弁12は電気的に接続され、第2調整弁12は空気圧調整弁であり、第2調整弁12は第2流量計14のフィードバック情報に基づいてそれ自体の開度を調整する。
【0048】
本実施例は、また、圧下湾曲帯を経て上記の連続鋳造機水平帯に基づくスラブ表面焼入れシステムに入るスラブ1を焼入れする連続鋳造機水平帯に基づくスラブ表面焼入れプロセスを開示し、連続鋳造機水平帯に基づくスラブ表面焼入れシステムは、スラブ1の表面を焼入れする焼入れ湾曲帯を含み、焼入れ湾曲帯において焼入れを行うときに、スラブ1の表面の皮下0~10mm範囲内の温度が930℃以上から600℃以下に低下する。
【0049】
さらに、スラブ1の上面及び下面に対する焼入れ媒体は冷却水であり、エアロゾル又は純水スプレーノズルはスラブ1の表面を強冷却して焼入れする。
【0050】
さらに、連続鋳造機水平帯に基づくスラブ表面焼入れプロセスは以下の主要な技術的特徴を満たさなければならない。(1)スラブ1の表面の焼入れ時間は60s以上である。(2)スラブ1の表面の焼入れ層の深さは10mm以上である。(3)スラブ1の表面の皮下0~10mm深さ範囲内の温度平均低下速度は5℃/sよりも大きい。(4)スラブ1の上面及び下面の焼入れ終了温度は350~500℃である。(5)第1給水管Bの流量と第2給水管Cの流量との比は0.5以下である。
【0051】
スラブ1の種類及びスラブ1の搬送速度に応じて、スラブ1の上面及び下面へのスプレー水量は、上記の(1)~(5)の要件を満たすとともに、スラブ1の焼入れ中に「膨らみ」や「反り」変形を回避するように決定される。
【0052】
さらに、焼入れ湾曲帯は第1スプレーフレーム2と第2スプレーフレーム4を含み、第1スプレーフレーム2は複数列設けられ、複数列の第1スプレーフレーム2はスラブ1の一方側に並列に設けられ、第2スプレーフレーム4は複数列設けられ、複数列の第2スプレーフレーム4はスラブ1の他方側に並列に設けられ、複数列の第1スプレーフレーム2と複数列の第2スプレーフレーム4は対向して設けられる。連続鋳造機水平帯に基づくスラブ表面焼入れシステムは第1給水管Bと、第2給水管Cとを含み、第1給水管Bは複数列の第1スプレーフレーム2に接続され、第2給水管Cは複数列の第2スプレーフレーム4に接続される。
【0053】
さらに、連続鋳造機水平帯に基づくスラブ表面焼入れシステムはスラブ1の鋼種及びスラブ1の鋳造速度に基づいて第1給水管Bの流量及び第2給水管Cの流量を決定し、複数列の第1スプレーフレーム2及び複数列の第2スプレーフレーム4から噴射されるスプレー水流量を調整する。連続鋳造機水平帯に基づくスラブ表面焼入れシステムは、第1給水管Bの流量と第2給水管Cの流量との比を0.5以下に制御する。
【0054】
さらに、本実施例では、主給水管Aは、ステンレス鋼又は亜鉛メッキ鋼管を用いて給水源から連続鋳造機の二次冷却水弁室又は連続鋳造機の付近まで敷設したものであり、給水圧力が1.0MPa以上であり、手動遮断弁8が配置されている。主給水管Aの給水能力は、該スラブ連続鋳造機マイクロアロイ鋼の連続鋳造の最高鋳造速度でのスラブの表面焼入れが、上記のプロセス(2)~(5)の要件を満たすのに十分でなければならない。具体的には、連続鋳造の鋳造速度が1.3m/min以下の主流の従来の広厚スラブ連続鋳造機では、主給水管Aの給水能力は250m3/h/流れ以上であり、連続鋳造の鋳造速度が2.0m/min以下の通常のスラブ連続鋳造機では、主給水管Aの給水能力は350m3/h/流れ以上であるべきである。
【0055】
さらに、本実施例では、連続鋳造機水平帯に基づくスラブ表面焼入れシステムは焼入れ水量動的制御システムをさらに含み、スラブ1の上面及び下面に対する焼入れ水量の制御論理は以下のとおりである。焼入れ水量動的制御システムは連続鋳造機による生産中の鋼種及び鋳造速度に基づいて、鋼種に合わせる焼入れ水量計(表1参照)を呼び出して、連続鋳造機の現在の鋳造速度に応じて、適切な焼入れ水量計により予め設定されたスラブ1の上面焼入れ水量及びスラブ1の下面焼入れ水量に従って、第1給水管Bの第1調整弁11の開度と第2給水管Cの第2調整弁12の開度をリアルタイムで独立して動的に制御することにより、スラブ1の上面及び下面の焼入れ水量を動的に制御する。
【0056】
表1 某製鉄所のNb含有マイクロアロイ鋼スラブの上下面の焼入れ水量
【0057】
本実施例に係る連続鋳造機水平帯に基づくスラブ表面焼入れシステム及びプロセスによれば、鋳片の長さに関わらず、スラブのオンライン連続焼入れが可能になる。本実施例では、スラブ1の焼入れ温度が高いため、スラブ1の表層の炭窒化物の分散析出及び組織構造転移を実現し、鋳片表層組織の可塑性を根本的に向上させ、マイクロアロイ鋼スラブのホットデリバリーによる割れの発生を確実に回避し、鋳片のホットデリバリーによる割れ効果を安定的に維持する。本実施例では、スラブの上面及び下面の焼入れ水量を調整することにより、鋳片表層の焼入れ層の深さを必要に応じて制御することを確保する。本実施例では、従来、切断された定寸スラブの焼入れ中の過剰な変形が生産に悪影響を与えるという課題を解決する。本実施例では、焼入れ湾曲帯が水平湾曲帯にあることによって、高温スラブの焼入れ中の蒸気排出及び排水の課題を解決する。本実施例では、スラブ1の上面及び下面の皮下約10mm深さの組織を焼入れすることによって、スラブ1のほとんどの熱が保留され、スラブ切断機付近で温度が約830℃に回復し、スラブ切断などの正常な生産に影響を及ぼさない。本実施例では、スラブを生産しながら焼入れするため、工程やローラにおけるスラブの滞在時間が増加することはない。
【実施例2】
【0058】
本実施例では、某製鉄所を具体例として連続鋳造機水平帯に基づくスラブ表面焼入れシステム及びプロセスを説明する。
【0059】
本実施例では、スラブ1は連続鋳造断面が2100mm×250mm、L1が2100mmのものである。このような断面では、主流の連続鋳造の鋳造速度は0.9~1.1m/min、最大鋳造速度は1.2m/minである。当該製鉄所の該連続鋳造機では、14個の湾曲帯が設けられており、最大鋳造速度1.2m/min条件でスラブ1の凝固終点が13番目の湾曲帯にあり、本実施例では、焼入れ湾曲帯は14番目の湾曲帯であり、焼入れ湾曲帯は従来の14番目の湾曲帯を改良したものである。14番目の湾曲帯は引き抜き方向における水平方向の長さが2.1mであり、第1鋳造ロール17と第2鋳造ロールは7対設けられている。
【0060】
当該製鉄所では、連続鋳造の鋳造速度0.8~1.2m/min条件で横断面2100mm×250mmのマイクロアロイ鋼スラブ1を生産する場合、14番目の湾曲帯の入口(すなわち13番目の湾曲帯の出口)におけるスラブ1の表面の実測温度は935~980℃の範囲である。このスラブ1の表面の実際温度分布に基づいて、14番目の湾曲帯を改良して焼入れ湾曲帯にし、純水をスラブ1の上面及び下面の焼入れ用の冷却媒体とする。
【0061】
焼入れ湾曲帯において表1に示されるスラブ1の上面及び下面の焼入れ水量を施したところ、鋳造速度0.8~1.2m/min条件(連続鋳造においてタンディッシュを交換することや鋼漏れ予報があるなどの特殊な条件で、14番目の帯でのスラブ1の鋳造速度がこの鋳造速度範囲から僅かにずれており、特殊な条件では、スラブを生産するときにこの焼入れプロセスが実施されない)では、スラブ1の上面及び下面の焼入れ持続時間は105~158sに達し、焼入れ後の連続鋳造スラブ1の上面及び下面の温度は360~400℃であり、また、明らかな変形が認められなかった。また、スラブ1の3次元凝固伝熱モデルにより計算した結果、表1に記載の焼入れ水量及び105~158sの焼入れ持続時間では、スラブ1の上面及び下面の焼入れ層の深さは12~15mmに達し、また、上面及び下面の皮下0~10mm深さ範囲内の焼入れ冷却速度は>5℃/sの要件を満たす。
【0062】
実際に利用した結果、焼入れを受けたNb、Alを含むマイクロアロイ鋼スラブの表面の皮下10mmでの結晶粒が明らかに微細化され(
図4参照)、マイクロアロイ炭窒化物が分散して析出し(
図5参照)、スラブ1はローラから加熱用に加熱炉に直接搬送され、すべてホットデリバリーによる割れが発生していない。
【0063】
本実施例では、連続鋳造機水平帯に基づくスラブ表面焼入れシステムは、主給水配管A、第1給水管B、第2給水配管C、焼入れ湾曲帯、及び焼入れ水量動的制御システムからなる。
【0064】
図3に示すように、主給水管Aは、DN250亜鉛メッキ鋼管を二次冷却主配管から分岐したものであり、連続鋳造機二次冷却水弁室まで敷設されており、主給水管Aの水圧は1.08MPaであり、二次冷却主配管から出た後に、手動遮断弁8に接続され、次に、二次冷却水弁室に連通して、第1給水管B及び第2給水管Cに接続される。主給水管Aの給水能力は約250m
3/hである。
【0065】
図3に示すように、第1給水管B及び第2給水管CはそれぞれDN125及びDN200ステンレス鋼材質の鋼管であり、第1給水管Bの一端及び第2給水管Cの一端はいずれも主給水管Aに接続され、第1給水管Bは第1遮断弁9、第1流量計13、第1調整弁11及び第1圧力計15に接続され、第2給水管Cは第2遮断弁10、第2流量計14、第2調整弁12及び第2圧力計16に接続され、第1給水管B及び第2給水管Cは焼入れ湾曲帯(すなわち、既存の14番目の湾曲帯)のストランドの付近まで敷設され、複数列の第1スプレーフレーム2及び複数列の第2スプレーフレーム4にそれぞれ給水する。第1給水管B及び第2給水管Cの給水能力はそれぞれ70m
3/h及び180m
3/hであり、第1給水管Bと第2給水管Cの給水能力の比は1:2.57である。
【0066】
本実施例では、従来の連続鋳造機の水平帯構造を基にして、その既存の内側アーチスプレーフレーム及び外側アーチスプレーフレームをそれぞれ第1スプレーフレーム2及び第2スプレーフレーム4に変更し、既存の
ノズルを大流量の第1
ノズル6及び第2
ノズル7に変更する。第1スプレーフレーム2及び第2スプレーフレーム4はいずれも引き抜き方向に7列設けられ、7列の第1スプレーフレーム2は焼入れ湾曲帯(既存の14番目の湾曲帯)の内側アーチフレーム構造に固定され、7列の第2スプレーフレーム4は焼入れ湾曲帯(既存の14番目の湾曲帯)の外側アーチフレーム構造に固定される。
図1及び
図2に示すように、本実施例では、第1
ノズル6の末端とスラブ1の上面との垂直方向距離L
5は150mmであり、第2
ノズル7の末端とスラブ1の下面との垂直方向距離L
5は150mmである。スラブ1の最大幅L
1が2100mmであることから、第1スプレーフレーム2には7個の第1
ノズル6が設けられており、7個の第1
ノズル6は等間隔で配置され、隣接する2つの第1
ノズル6の間隔L
3は307.5mmである。第2スプレーフレーム4には7個の第2
ノズル7が設けられており、7個の第2
ノズル7は等間隔で配置され、隣接する2つの第2
ノズル7の間隔L
3は307.5mmである。隣接する2列の第1スプレーフレーム2における第1
ノズル6はスラブ1の幅方向に千鳥状に配列され、隣接する2列の第1スプレーフレーム2における第1
ノズル6のスラブ1の幅方向での間隔L
2は90mmであり、隣接する2列の第2スプレーフレーム4における第2
ノズル7はスラブ1の幅方向に千鳥状に配列され、隣接する2列の第2スプレーフレーム4における第2
ノズル7のスラブ1の幅方向での間隔L
2は90mmである。
【0067】
図1に示すように、本実施例では、複数列の第1スプレーフレーム2は第1給水管Bに並列に設けられ、複数列の第2スプレーフレーム4は第2給水管Cに並列に設けられる。第1スプレーフレーム2及び第2スプレーフレーム4はいずれもスプレーフレーム給水管と複数のスプレー管を含み、第1スプレーフレーム2のスプレーフレーム給水管21は第1給水管Bに接続され、複数のスプレー管22はスラブ1の幅方向に沿ってスプレーフレーム給水管21に均等に分布しており、スプレー管22は第1
ノズル6に同軸に設けられ、大流量の第1
ノズル6は第1スプレーフレーム2のスプレー管22の末端に螺着され、複数の第1
ノズル6はスラブ1の幅方向に均等に配置される。第2スプレーフレーム4のスプレーフレーム給水管41は第2給水管Cに接続され、複数のスプレー管42はスラブ1の幅方向に沿ってスプレーフレーム給水管41に均等に分布しており、スプレー管42は第2
ノズル7に同軸に設けられ、大流量の第2
ノズル7は第2スプレーフレーム4のスプレー管42の末端に螺着され、複数の第2
ノズル7はスラブ1の幅方向に均等に配置される。
【0068】
図1及び
図2に示すように、第1
ノズル6は矩形の純水
ノズルを用い、0.6MPa水圧での流量が23L/minに達し、第1
ノズル6はスラブ1の幅方向における噴射角θ
1が100°であり、引き抜き方向における噴射角θ
2が50°である。第2
ノズル7も同様に矩形の純水
ノズルを用い、0.6MPa水圧での流量が60L/minに達し、第2
ノズル7はスラブ1の幅方向における噴射角θ
1が100°であり、引き抜き方向における噴射角θ
2も50°である。第1
ノズル6からスラブ1の上面に噴射されるスプレー水は第1鋳造ロール17の外壁面と相接し、スラブ1の上面の引き抜き方向におけるカバー幅L
6が140mmである(
図2参照)。第2
ノズル7からスラブ1の下面に噴射されるスプレー水は第2鋳造ロールの外壁面と相接し、スラブ1の下面の引き抜き方向におけるカバー幅L
6が140mmである。各列の第1スプレーフレーム2において隣接する2つの第1
ノズル6から噴射されるスプレー水のスラブ1の上面の幅方向における重なり幅L
4が50mmであり、各列の第2スプレーフレーム4において隣接する2つの第2
ノズル7から噴射されるスプレー水のスラブ1の下面の幅方向における重なり幅L
4が50mmである。
【0069】
本実施例では、焼入れ水量動的制御システムによるスラブ1の上面及び下面の焼入れ水量の制御論理は以下のとおりである。焼入れ水量動的制御システムは連続鋳造機による生産中の鋼種及び鋳造速度に基づいて、鋼種に合わせる焼入れ水量計(表1参照)を呼び出して、連続鋳造機の現在の鋳造速度に応じて、焼入れ水量計により予め設定されたスラブ1の上面焼入れ水量及びスラブ1の下面焼入れ水量に従って、第1給水管B及び第2給水管の第1調整弁11及び第2調整弁12の開度をリアルタイムで独立して動的に制御することにより、スラブ1の上面及び下面の焼入れ水量を動的に調整する。
【0070】
本発明では、「第1」及び「第2」という用語は説明のために過ぎず、相対重要性を指示又は示唆するものではない。特に明確な限定がない限り、「複数」という用語は2つ以上を意味する。
【0071】
当業者であれば、明細書及びここで開示された本発明を実施することにより、本発明の他の実施形態を容易に想到し得る。本発明は、本発明のすべての変形、使用又は適応的な変化をカバーすることを意図しており、これらの変形、使用又は適応的な変化は本発明の一般的な原理に従い、本発明で開示されていない本技術分野の公知常識又は慣用の技術的手段を含む。明細書及び実施例は例示的なものとみなすべきである。
【0072】
以上は本発明の好適な実施例に過ぎず、本発明を制限するものではなく、本発明の精神及び原則を逸脱することなく行われるすべての修正、等同置換、改良などはすべて本発明の特許範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0073】
1 スラブ
2 第1スプレーフレーム
4 第2スプレーフレーム
21、41 スプレーフレーム給水管
22、42 スプレー管
6 第1ノズル
7 第2ノズル
8 主遮断弁
9 第1遮断弁
10 第2遮断弁
11 第1調整弁
12 第2調整弁
13 第1流量計
14 第2流量計
15 第1圧力計
16 第2圧力計
17 第1鋳造ロール
L1 スラブ幅
L2 隣接する2列のスプレーフレームにおけるノズルのスラブの間隔
L4 各列のスプレーフレームにおいて隣接する2つのノズルから噴射されるスプレー水のスラブの表面の幅方向における重なり幅
L5 ノズルの末端からスラブの表面までの垂直方向距離
L6 ノズルから噴射されるスプレー水がスラブの表面のスラブ引き抜き方向においてカバーする幅
θ1 ノズルのスラブの幅方向における噴射角
θ2 ノズルのスラブの引き抜き方向における噴射角
A 主給水管
B 第1給水管
C 第2給水管上記の図面によって、本発明の具体的な実施例が示されているが、以下、より詳細に説明される。これらの図面及び文字の説明は本発明の構想の範囲を何ら制限するものではなく、特定実施例を参照して当業者に対して本発明の概念を説明するものである。