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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】口座状況表示装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/04 20120101AFI20240805BHJP
【FI】
G06Q40/04
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023198985
(22)【出願日】2023-11-24
【審査請求日】2023-11-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】317010521
【氏名又は名称】株式会社マネースクエアHD
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100119194
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 明夫
(72)【発明者】
【氏名】相葉 斉
【審査官】牧 裕子
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-279811(JP,A)
【文献】特許第5840332(JP,B1)
【文献】特開2007-272522(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第113778588(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金融商品の損益、及び/又は、取引に関する口座状況の少なくとも一部を、取引者の扱う取引者端末の表示手段において、前記取引者に対して表形式で視覚的に表示させる口座状況表示装置であって、
任意の取引者が取引を行う複数の金融商品のそれぞれの前記口座状況の情報を取得する口座状況情報取得手段と、
該口座状況情報取得手段が取得した前記口座状況の情報を、前記取引者端末の前記表示手段に表示させる口座状況表示手段とを備え、
該口座状況表示手段は、
前記口座状況を所定の確認単位ごとに表示させる個別表示欄が所定の配列で複数配置された状態で設けられた第一の口座状況表示欄と、
前記第一の口座状況表示欄に対応づけられた、前記所定の確認単位における前記金融商品の種類ごとの取引の情報、及び/又は、前記所定の確認単位における前記金融商品の全ての取引の情報、が表示される第二の口座状況表示欄とを、前記表示手段に表示させる
ように構成され、
前記第二の口座状況表示欄は、
前記第一の口座状況表示欄に設けられた全ての前記個別表示欄に表示された所定の取引の情報を表示する総量表示欄と、
前記第一の口座状況表示欄に設けられた前記個別表示欄のうち、前記取引者の所定の操作によって指定された任意の一の個別表示欄に表示された前記口座状況を、前記金融商品の種類ごとに表示させる個別注文量表示欄とを備えた
ことを特徴とする口座状況表示装置。
【請求項2】
前記個別注文量表示欄において、複数の前記口座状況を、前記口座状況の所定の利益の単位に基づいて、一方側から他方側に向けて昇順または降順に配列して表示させることを特徴とする請求項1に記載の口座状況表示装置。
【請求項3】
前記所定の確認単位は、所定の時間を単位として設定されたことを特徴とする請求項1に記載の口座状況表示装置。
【請求項4】
前記所定の確認単位は、前記金融商品の取引が行われる所定のイベントが発生するタイミングとしての所定のイベント発生タイミングを単位として設定されたことを特徴とする請求項1に記載の口座状況表示装置。
【請求項5】
前記口座状況表示手段は、前記所定の確認単位としての前記所定の時間の単位を日にちの単位とした前記第一の口座状況表示欄をカレンダー形式に配置して画像表示させることを特徴とする請求項に記載の口座状況表示装置。
【請求項6】
前記口座状況表示手段は、前記所定のイベントを、イフダン注文の新規注文の発注、前記イフダン注文の前記新規注文の成立、前記イフダン注文の決済注文の発注、前記イフダン注文の前記決済注文の成立、を含むものとし、前記第一の口座状況表示欄を、前記所定のイベントごとに配列として配置して画像表示させることを特徴とする請求項4に記載の口座状況表示装置。
【請求項7】
前記利益の単位は、前記金融商品の取引の成立の回数であることを特徴とする請求項2に記載の口座状況表示装置。
【請求項8】
前記第一の口座状況表示欄における複数の前記金融商品の配置の順序の規則を予め設定された一の前記規則から予め設定された他の前記規則に変更させて前記配置の順序を変更させる配置変更手段を備えたことを特徴とする請求項5又は6に記載の口座状況表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外国為替等、金融商品の取引による口座状況を取引者に対して視覚的に表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
株式、債券、投資信託、不動産投資信託、コモディティ(商品)、外国為替、株価指数、暗号資産、仮想通貨、等、相場価格が変動する各種の金融商品を、ネットワークに接続されたコンピュータシステムを用いて取引を行わせる技術が普及している。この技術においては、取引を行う者(以下「取引者」と称する。)が、クライアント端末を用いてサーバコンピュータシステムにアクセスし、金融商品の取引を行う。
【0003】
このような技術としては、異なる複数の価格に金融商品の注文を発注させる処理と、発注した注文の注文価格と相場価格とが一致したら発注した注文を約定させる構成を備えたシステムの発明が知られている(例えば、特許文献1参照)。このシステムにおいて、注文の発注や注文の約定などの取引の過程や結果は、取引者が使用する端末の表示手段に文字や図形等の視覚的な手段で表示される。取引者は、表示された確認結果に基づいて任意の相場価格に任意の注文の発注を行ったり、すでに発注された注文の約定やキャンセルを行う等、各種の取引を行う。すなわち、このシステムは、取引の過程や結果を表示することで取引者に利益確保の機会提供や、確保した利益の提示を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-9562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、取引者は、コンピュータシステムを用いて複数種類の金融商品の取引を行う場合がある。この場合、取引者は、複数種類の金融商品の取引結果を、日にちなどの時間帯ごとや、取引発注や取引成立などのイベント発生ごとに集計し、金融商品の種類ごとに画面表示させて比較検討を行うことが多い。しかし、上記特許文献1に記載の発明は、1種類の金融商品の取引を行うためのものであり、複数種類の金融商品の取引に適用する構成を備えていない。仮に複数種類の金融商品の取引に用いたとしても、取引者に対し、取引結果を容易に比較検討できる状態で表示することは難しい。そのため、特許文献1に記載の発明は、複数種類の金融商品の利益確保の機会提供や確保した利益の提示を行うことは難しいという問題がある。
【0006】
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、複数種類の金融商品の取引の取引結果を、取引者の利益確保や確保した利益の結果確認の便宜に供する態様で表示でき、取引者の取引の利便性を向上させる口座状況表示手段を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、金融商品の損益、及び/又は、取引に関する口座状況の少なくとも一部を取引者の扱う取引者端末の表示手段において、前記取引者に対して表形式で視覚的に表示させる口座状況表示装置であって、任意の取引者が取引を行う複数の金融商品のそれぞれの前記口座状況の情報を取得する口座状況情報取得手段と、該口座状況情報取得手段が取得した前記口座状況の情報を、前記取引者端末の前記表示手段に表示させる口座状況表示手段とを備え、該口座状況表示手段は、
前記口座状況所定の確認単位ごとに表示させる個別表示欄が所定の配列で複数配置された状態で設けられた第一の口座状況表示欄と、前記第一の口座状況表示欄に対応づけられた、前記所定の確認単位における前記金融商品の種類ごとの取引の情報、及び/又は、前記所定の確認単位における前記金融商品の全ての取引の情報、が表示される第二の口座状況表示欄とを、前記表示手段に表示させるように構成され、前記第二の口座状況表示欄は、前記第一の口座状況表示欄に設けられた全ての前記個別表示欄に表示された所定の取引の情報を表示する総量表示欄と、前記第一の口座状況表示欄に設けられた前記個別表示欄のうち、前記取引者の所定の操作によって指定された任意の一の個別表示欄に表示された前記口座状況を、前記金融商品の種類ごとに表示させる個別注文量表示欄とを備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、前記個別注文量表示欄において、複数の前記口座状況を、前記口座状況の所定の利益の単位に基づいて、一方側から他方側に向けて昇順または降順に配列して表示させることを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、前記所定の確認単位は、所定の時間を単位として設定されたことを特徴とする。
【0009】
請求項に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、前記所定の確認単位は、前記金融商品の取引が行われる所定のイベントが発生するタイミングとしての所定のイベント発生タイミングを単位として設定されたことを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項に記載の構成に加え、前記口座状況表示手段は、前記所定の確認単位としての前記所定の時間の単位を日にちの単位とした前記第一の口座状況表示欄をカレンダー形式に配置して画像表示させることを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項に記載の構成に加え、前記口座状況表示手段は、前記所定のイベントを、イフダン注文の新規注文の発注、前記イフダン注文の前記新規注文の成立、前記イフダン注文の決済注文の発注、前記イフダン注文の前記決済注文の成立、を含むものとし、前記第一の口座状況表示欄を、前記所定のイベントごとに配列として配置して画像表示させることを特徴とする。
【0012】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の構成に加え、前記利益の単位は、前記金融商品の取引の成立の回数であることを特徴とする。
【0013】
請求項に記載の発明は、請求項5又は6に記載の構成に加え、前記第一の口座状況表示欄における複数の前記金融商品の配置の順序の規則を予め設定された一の前記規則から予め設定された他の前記規則に変更させて前記配置の順序を変更させる配置変更手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、任意の取引者が取引を行う複数の金融商品のそれぞれの口座状況の情報を取得し、取得した口座状況の情報を、口座状況の所定の確認単位ごとに設けられた口座状況表示欄に、金融商品の種類ごとに視認可能な状態で表示させる。そして、複数の金融商品の取引を行う取引者に対し、取引の過程や結果を示す口座状況を、取引の過程や結果を確認したり検討したりするのに適した所定の確認単位ごとに、表示手段を介して視覚的に表示できる。そのため、取引者は、表示に基づいて、複数の金融商品の取引における過去の取引結果を確認したり将来の利益機会獲得の検討や予測を行ったりできる。これにより、複数種類の金融商品の取引の取引結果を、取引者の利益確保や確保した利益の結果確認の便宜に供する態様で表示でき、取引者の取引の利便性を向上させることができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、口座状況表示欄に所定の時間を単位とした口座状況の情報を表示させることにより、取引者に対し、複数の金融商品の口座状況を所定の時間ごとに定期的に確認させることができる。これにより、取引者の取引の利便性を向上させることができる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、口座状況表示欄に所定のイベント発生タイミングを単位とした口座状況の情報を表示させることにより、取引者に対し、複数の金融商品の口座状況をイベントが発生するごとにリアルタイムで確認させることができる。これにより、取引者の取引の利便性を向上させることができる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、日にちを単位とした口座状況表示欄をカレンダー形式に配置して、口座状況の情報を画像表示させる。そして、取引者に対し、所定の時間の単位ごとに、カレンダーと同様の規則的な配列の表示で口座状況の情報を表示させることで、取引者に対し、口座状況の情報を見やすく直感的な概況把握を行いやすい表示態様で表示させることができる。これにより、取引者の取引の利便性を向上させることができる。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、口座状況表示欄に、利益の単位に依存した順序で配置して複数の金融商品を表示させる。そのため、取引者に対し、取引を行っている複数の金融商品の利益獲得状況の良し悪しを、配置の順序で容易に直感的に把握させることが可能になる。これにより、取引者の取引の利便性を向上させることができる。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、口座状況表示欄に、金融商品の取引の成立の回数を利益の単位とした順序で配置して複数の金融商品を表示させる。そのため、取引者に対し、取引の成立の回数が多く、利益獲得機会の多い金融商品を、配置の順序で容易に直感的に把握させることが可能になる。これにより、取引者の取引の利便性を向上させることができる。
【0020】
請求項7に記載の発明によれば、金融商品の配置の順序の規則を一の規則から他の規則に変更させて配置の順序を変更させることにより、口座状況表示欄に、複数の金融商品を、配置の順序の規則を変更させて表示させることができる。そのため、取引者は、複数の金融商品の口座状況の情報を、複数の表示態様を選択的に用いたり表示態様を変更させたりしながら、複数の金融商品の口座状況の直感的な把握を多面的に行うことができる。これにより、取引者の取引の利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】この発明の実施の形態の口座状況表示装置を含む、金融商品取引管理システム及び金融商品取引管理装置の、システム構成図及び機能ブロック図である。
図2】同上口座状況表示装置によってクライアント端末に表示された、カレンダー形式の表示画面を模式的に示す図である。
図3】同上口座状況表示装置によってクライアント端末に表示された、イベントを基準とする表示画面を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[システム構成]
図1乃至図3に、この発明の実施の形態を示す。
【0023】
図1は、この実施の形態の口座状況表示装置を含む、金融商品取引管理システム及び金融商品取引管理装置の、システム構成図及び機能ブロック図である。
【0024】
同図に示すとおり、金融商品取引管理システム1Aは、金融商品取引管理装置1と、n個(n≧1)のクライアント端末2~2とを備えており、金融商品取引管理装置1とクライアント端末2~2は、WAN(Wide Area Network)としてのネットワーク3を介して相互に交信可能である。
【0025】
この実施の形態の金融商品取引管理装置1は、金融商品の取扱業者が管理し運用するサーバコンピュータであり、Webサーバ機能、大容量のデータを保存するデータベース機能を備えている。
【0026】
金融商品取引管理装置1は、複数種類の金融商品の取引を行う。この実施の形態における「金融商品」とは、相場価格が変動し、売買取引が可能な金融に関する商品である。この「金融商品」とは、例えば、株式、債券、投資信託、不動産投資信託、貴金属や農産物や原油等のコモディティ(商品)の先物取引、外国為替、株価指数、暗号資産、仮想通貨、等である。
【0027】
複数種類の「金融商品」とは、種類の異なる金融商品、例えば、株式、債券、外国為替、等が考えられる。また、ここでの複数種類の「金融商品」には、1の金融商品の複数の銘柄も含まれる。例えば、「金融商品」が外国為替の場合、米国ドル/日本円、欧州ユーロ/日本円、豪州ドル/ニュージーランドドル、等の異なる複数の通貨ペアが考えられる。また、複数種類の「金融商品」は、種類の異なる金融商品のうちの一又は複数が複数銘柄であるものであってもよい。
【0028】
なお、この実施の形態における「金融商品」は、上記以外のどのようなものでもよい。
【0029】
クライアント端末2,・・・,2は、金融商品の売買を行う「取引者」としての個人又は法人が所持し使用する、データ通信機能を有する通信端末であって、例えば、パーソナルコンピュータ、携帯電話端末等が該当する。なお、この実施の形態の「取引者」とは、主として金融商品取引管理装置1の所持や管理を行う金融商品取扱業者との間で、金融商品の売買取引を行う個人又は法人のことである。
【0030】
図1に示すとおり、クライアント端末2には、マウスやキーボード等各種指示を入力するために用いられる操作部21、LCD(Liquid Crystal Display)等からなり操作部21から入力された各種指示等や各種画像を表示する表示部22を有している。クライアント端末2の操作部21と表示部22は、指やタッチペン等のポインティングデバイスの接触位置の座標情報等に基づいて各種入力を行う、タッチパネル式のディスプレイとして構成されていてもよい。図示しないが、クライアント端末2,・・・2も同様の操作部と表示部とを備える。なお、クライアント端末2,2,・・・2は同じ構成を持つので、以下、区別する必要がある場合を除き、クライアント端末2と記載する。
【0031】
図示しないが、金融商品取引管理装置1は、ネットワーク3を介し、銀行等の金融機関が取り扱う銀行システムとデータや信号を送受信し、カバー取引等の処理を行う。
【0032】
[金融商品取引管理装置の詳細]
図1に示す通り、金融商品取引管理装置1は、機能手段として、相場価格情報取得部11、注文情報生成部12、約定情報生成部13を備えると共に、この実施の形態の口座状況表示装置10を備える。
【0033】
そして、この実施の形態の口座状況表示装置10は、機能手段として、「口座状況情報取得手段」としての口座状況情報取得部14、「口座状況情報表示手段」としての口座状況情報表示部15、「配置変更手段」としての配置変更部16、口座状況情報記録部17を備える。口座状況情報表示部15は、機能手段として、時間単位表示部151、イベント単位表示部152を備える。
【0034】
相場価格情報取得部11は、金融商品取引管理装置1にて扱う金融商品の相場価格の情報を取得し、金融商品取引管理装置1で用いるために必要な処理と管理を行う。相場価格情報取得部11は、ネットワーク3を介した継続的な相場情報の取得等により、金融商品の相場価格の情報を継続的かつ定期的に取得し、取得した相場価格の情報を記録し管理する。
【0035】
注文情報生成部12は、クライアント端末2から入力された各種の注文に関するデータを受け付け、金融商品の注文を成立させるために必要な各種処理を行う。また、金融商品の取引に必要な証拠金の額を算出する。
【0036】
約定情報生成部13は、注文情報に基づいて注文を約定させる処理を行う。具体的には、約定情報生成部13は、注文情報生成部12が生成した注文情報に基づく注文を約定させる処理、及び、約定させた注文の情報を取引者のクライアント端末2に送るための処理を行う。なお、ここでの「約定」とは、取引者の注文に基づいて金融商品の売買を成立されるための各種の手続並びに処理のことをいう。この実施の形態において約定が成立すると、外国為替の売買が行われる。また、約定情報生成部13は、約定が成立すると、クライアント端末2の表示部22に約定が成立した旨の文字情報等を表示させ、また、売買価格に基づいてクライアント端末の銀行口座の出入金処理を行う。
【0037】
口座状況情報取得部14は、任意の取引者が取引を行う複数の金融商品のそれぞれの口座状況の情報を取得する。
【0038】
口座状況情報表示部15は、クライアント端末2の表示部22に、口座状況情報取得部14が取得した口座状況の情報を表示させる。口座状況情報表示部15は、後述する口座状況表示欄に視認可能な状態で表示させる。口座状況情報表示部15は、口座状況の情報を、金融商品の種類ごとに表示させる。口座状況情報表示部15は、クライアント端末2の表示部22に表示される、口座状況表示欄を形成し、この口座状況表示欄に口座状況の情報を表示させる。口座状況表示欄は、口座状況の所定の確認単位ごとに設けられる。これについては後述する。
【0039】
時間単位表示部151は、口座状況の情報を、所定の時間を所定の確認単位として設定して表示させる。
【0040】
イベント単位表示部152は、口座状況の情報を、所定のイベントが発生するタイミングとしての所定のイベント発生タイミングを所定の確認単位として設定して表示させる。
【0041】
配置変更部16は、口座状況表示欄における複数の金融商品の配置の順序の規則を予め設定された一の規則から予め設定された他の規則に変更させて配置の順序を変更させる。
【0042】
口座状況情報記録部17は、データベースであり、金融商品取引管理装置1にて用いられるデータを記録する。この実施の形態における口座状況情報記録部17はリレーショナルデータベースによって形成するが、例えばオブジェクトデータベース等、大量のデータの記録や書換えに適したものであればどのような形式を用いてもよい。口座状況情報記録部17には、注文テーブル、取引者の口座が存在する金融機関、口座名、残高等の情報を定義する口座情報テーブル、取引される通貨の組合せ等に関する情報を定義する通貨ペア注文条件テーブル、シーケンス番号テーブルが記録されている(各テーブルは図示せず)。
【0043】
口座状況情報記録部17には、m個(m≧1)の金融商品情報18,18,・・・,18が記録されている。金融商品情報18,18,・・・,18は、金融商品取引管理装置1で取引を行う金融商品の取引を行うための情報である。具体的には、金融商品情報18,18,・・・,18のそれぞれは、それぞれの取引者がクライアント端末2から行った注文に基づいて、金融商品の発注や約定などの取引を行うための情報として生成され、記録される。
【0044】
[口座状況表示画面]
図2図3は、この実施の形態においてクライアント端末に表示される口座状況表示画面を模式的に示す図である。
【0045】
図2に示す口座状況表示画面30、図3に示す口座状況表示画面40は、口座状況情報表示部15によって画像形成されてクライアント端末2に送信され、クライアント端末2の表示部22に表示される。口座状況表示画面30,40は、クライアント端末2の表示部22に、取引者が取引を行う損益、及び/又は、取引に関する口座状況を表示させる。ここでの「損益」とは、金融商品の任意の取引期間における利益や損失の状態のことである。また、ここでの「取引」とは、金融商品の発注や約定の状態のことであり、約定済のものも、発注済で未約定のものも、将来的に発注が行われる予定や見込みのものも含まれる。
【0046】
口座状況表示画面30,40には、「口座状況表示欄」としての第一の口座状況表示欄31,41と、「口座状況表示欄」としての第二の口座状況表示欄32とが設けられている。
【0047】
図2に示す口座状況表示画面30の第一の口座状況表示欄31、図3に示す口座状況表示画面40の第一の口座状況表示欄41は、表形式の表示欄である。第一の第一の口座状況表示欄31,41には、取引者の「所定の確認単位」ごとの口座状況の複数の概要の情報が表形式で視認可能な状態で表示される。
【0048】
図2に示す口座状況表示画面30の第二の口座状況表示欄32、図3に示す口座状況表示画面40の第二の口座状況表示欄42は、詳細な情報を表示する欄である。具体的には、第二の口座状況表示欄32,42には、第一の口座状況表示欄31,41に表示された概要の情報に対する詳細な情報が表示される。この実施の形態では、第二の口座状況表示欄32,42には、情報が文字で列記された態様となっているが、第一の口座状況表示欄31,41と同様に表形式で情報を表示してもよい。
【0049】
また、口座状況表示画面30,40には、m個(m≧1)の金融商品選択ボタン33,33,・・・33が表示されている。金融商品選択ボタン33,33,・・・33は、金融商品取引管理装置1で取引が可能なm種類(m≧1)の金融商品を取引者が選択するためのボタンである。
【0050】
個々の金融商品選択ボタン33,33,・・・33の表面には、対応付けられた金融商品の種類が画像表示されている。取引者がクライアント端末2の操作部21を用いて金融商品選択ボタン33,33,・・・33の何れかを選択すると、選択されたボタンに表示された金融商品を取引対象として選択できる。
【0051】
なお、取引者が選択した金融商品の取引の情報(注文数量や注文価格、成行注文や指値注文等の種類、発注・未発注や未約定・約定済などの注文の状態の情報など)は、図1に示す、口座状況情報記録部17に記録される。この実施の形態では、口座状況情報記録部17には、全ての取引者が金融商品選択ボタン33,33,・・・33によって選択した、取引を行う金融商品の情報が、金融商品の種類ごとに、金融商品情報18,18,・・・18として記録される。
【0052】
[口座状況表示画面の表示(1:所定の確認単位)]
図2に示す口座状況表示画面30の第一の口座状況表示欄31、図3に示す第一の口座状況表示欄41は、口座状況の所定の確認単位ごとに設けられている。
【0053】
具体的には、時間の時系列の変化に伴って変化する金融商品の取引の状態(例えば注文の発注や約定、注文の修正や取消など)を、所定の時間の区切りや所定の取引等の区切りを基準として、視認可能な状態で表示部22に表示させる。
【0054】
なお、後述するとおり、この実施の形態では、口座状況表示画面30,40の第二の口座状況表示欄32には、第一の口座状況表示欄31,41のうちの一部の口座状況の情報が表示される。従って、この実施の形態の第二の口座状況表示欄32も、口座状況の所定の確認単位ごとに設けられていることとなる。
【0055】
以下、この「所定の確認単位」を、カレンダー形式とした場合と、所定のイベント発生タイミングとした場合とについて説明する。なお、「所定の確認単位」は、この2つの場合のみには限られず、取引者が口座状況の情報を確認できる態様であれば、どのようなものでもよい。
【0056】
[口座状況表示画面の表示(2:カレンダー形式)]
図2に示す口座状況表示画面30の、第一の口座状況表示欄31は、カレンダー形式の表示欄である。この口座状況表示画面30は、口座状況情報表示部15の時間単位表示部151の処理によってクライアント端末2の表示部22に表示される。
【0057】
口座状況表示画面30の第一の口座状況表示欄31には、日にちを単位としてk個(k≧1)の個別表示欄34,34,・・・34が形成される。それぞれの個別表示欄34,34,・・・34は、「所定の確認単位」としての「所定の時間の単位」を、日にちの単位として口座状況の情報を表示させる。
【0058】
第一の口座状況表示欄31の個別表示欄34,34,・・・34には、特定の取引者の日にち毎の金融商品の口座状況の情報が表示される。図2には、一例として、第一の口座状況表示欄31には特定の月、例えば2023年9月の特定の取引者の金融商品の口座状況の情報が表示された状態が示されている。1番目の個別表示欄34には9月1日の口座状況の情報、2番目の1番目の個別表示欄34には9月2日の口座状況の情報・・・という具合に表示が行われる。
【0059】
図2においては、26番目の個別表示欄3426には、対応する日である2023年9月26日(火)の特定の取引者の口座状況の情報として、取引を行っている金融商品の同日の取引数量の総量である「-12円」が表示されている。
【0060】
なお、個別表示欄34,34,・・・34に表示される口座状況の情報は、取引者に金融商品の口座状況を視覚的にわかりやすく示すものであればどのようなものでもよい。例えば、個別表示欄34,34,・・・34には、取引者が取引を行っている金融商品の種類ごとの口座状況の情報が表示されてもよいし、発注や約定の回数が表示されてもよい。また、個別表示欄34,34,・・・34に表示される金融商品の単位は日本円以外(例えば米国ドル、欧州ユーロなど)であってもよいし、通貨単位以外(例えば重量を示す「キログラム」「トン」など、取引回数を示す「回」など)であってもよい。
【0061】
第二の口座状況表示欄32には、特定の日にちにおける口座状況の情報の詳細と、特定の日にちを含む他の「所定の時間の単位(ここでは1か月)」の口座状況の情報が表示される。
【0062】
第二の口座状況表示欄32には総量表示欄43が表示される。この総量表示欄43には、他の「所定の時間の単位」における、確定損益の総量が示される確定損益表示欄35、取引者が取引を行う複数の金融商品の取引の成立の総回数(新規・決済)が表示される総注文量表示欄36,36が表示される。図2においては、総量表示欄43には、2023年9月の1か月間の確定損益の総量と取引の成立(新規・決済)の総回数が表示されている。
【0063】
第二の口座状況表示欄32には、特定の日にちにおける、個々の金融商品の取引の成立の総回数が表示されるj個(j≧1)の個別注文量表示欄37,・・・37が表示される。この実施の形態では、一例として、特定の取引者が、外国為替(FX)と先物取引(NYダウ平均株価、米国D30)という2種類の金融商品の取引を行う場合を示している。この場合、個別注文量表示欄37,・・・37は2個(j=2)である。
【0064】
図2において、第二の口座状況表示欄32には、特定の個別表示欄34,34,・・・34に表示された口座状況の情報の詳細が表示される。図2では、26番目の個別表示欄3426に表示された、特定の取引者の2023年9月26日の口座状況の情報の詳細が、第二の口座状況表示欄32に表示されている。
【0065】
この実施の形態においては、特定の取引者が、クライアント端末2の操作部21の操作により、第一の口座状況表示欄31に表示された個別表示欄34,34,・・・34のうちの任意の一つ、例えば個別表示欄34を選択する。すると、口座状況情報表示部15が、選択された個別表示欄34に対応する日にち(図2においては2023年9月1日)の特定の取引者の口座状況の情報を抽出し、抽出された口座状況の情報の詳細を第二の口座状況表示欄32に表示させる。
【0066】
図2においては、特定の取引者が26番目の個別表示欄3426をクリックし、この個別表示欄3426の「26」の日付が強調表示された状態を示している。このとき、時間単位表示部151は、第二の口座状況表示欄32に、クリックされた個別表示欄3426に対応する日にちである、2023年9月26日の特定の取引者の金融商品の口座状況の情報の詳細とそれに関連する情報を表示させる。
【0067】
この実施の形態においては、第二の口座状況表示欄32には、取引量の大きい金融商品の順に個別注文量表示欄37,・・・37が表示される。この実施の形態においては、取引量は、「所定の時間の単位」である日にちの単位毎の取引の回数であり、個別注文量表示欄37,・・・37には、種類別の金融商品が、日にち毎の取引回数の降順に表示される。
【0068】
図2の第二の口座状況表示欄32には、「新規成立4回 決済成立4回」の先物取引(米国D30)の取引結果が上側の個別注文量表示欄37に表示されている。また、図2の第二の口座状況表示欄32には、「新規成立2回 決済成立2回」の外国為替の取引結果が下側の個別注文量表示欄37に表示されている。即ち、第二の口座状況表示欄32には、特定の取引者の2023年9月26日の口座状況の情報が降順に表示されている。
【0069】
なお、第二の口座状況表示欄32の個別注文量表示欄37,・・・37には、取引量の小さい金融商品の順(例えば日にち毎の取引回数の昇順)に個々の金融商品が表示されてもよい。また、個別注文量表示欄37,・・・37には、取引回数以外の基準、例えば金融商品ごとの日にち毎の取引額や利益額を基準に、それぞれの金融商品の口座状況の情報が表示されていてもよい。また、第二の口座状況表示欄32の個別注文量表示欄37,・・・37には、特定の基準額(例えば日にち毎の金融商品の取引額の平均値など)に近いものから順に、個々の金融商品が表示されてもよい。また、個別注文量表示欄37,・・・37には、注文の種類(例えば、指値注文、逆指値注文、成行注文、トリガー成行注文など)ごとに、個々の金融商品が表示されてもよい。
【0070】
[変形例]
なお、上記実施の形態においては、特定の取引者によるクライアント端末2の操作部21の手動操作によって第二の口座状況表示欄32に表示する情報を選択したが、これを口座状況情報表示部15の自動操作によって行ってもよい。
【0071】
例えば、口座状況情報表示部15は、所定時間単位(たとえば5秒ごと)に、日にち順(9月1日、9月2日・・・)に口座状況の情報を切り替えて表示してもよいし、口座状況の情報に変化があった日の口座状況の情報を所定時間単位で切り替えて表示してもよい。また、口座状況情報表示部15は、所定時間単位に、口座状況の情報の変化量(例えば取引の回数)の順(降順でも昇順でもよい)に切り替えて表示してもよい。また、口座状況情報表示部15は、クライアント端末2の操作部21の手動操作(例えば第一の口座状況表示欄31の一の固定箇所のクリックなど)が行われた際に、上述の基準に基づく画面の切り替えを行うようにしてもよい。
【0072】
また、第一の口座状況表示欄31は、「所定の確認単位」としての「所定の時間の単位」を、日にち以外の単位として、口座状況の情報を表示させてもよい。例えば、第一の口座状況表示欄31には、個別表示欄34,34,・・・34に替えて、週単位、月単位、年単位など、日にちよりも長い時間を単位で口座状況の情報を表示させてもよい。また、例えば、第一の口座状況表示欄31には、午前・午後単位、1時間単位、30分単位、1分単位など、日にちよりも長い時間を単位で口座状況の情報を表示させてもよい。
【0073】
さらに、図2に表示された、日にちごとの個別表示欄34,34,・・・34を、取引者のクライアント端末2の操作部21からの操作によって、週単位、月単位、1時間単位・・・等、複数の表示態様の中から任意のものに変更できるように構成してもよい。このような表示態様の変更は、図1に示す配置変更部16の処理によって行われることが考えられる。
【0074】
[口座状況表示画面の表示(3:イベント単位の表示形式)]
図3に、この実施の形態の口座状況表示画面の変形例を示す。この口座状況表示画面40は、取引者が、クライアント端末2の操作部21の操作により、図2に示す口座状況表示画面30の表示変更ボタン38をクリックした際に、表示部22に表示される。
【0075】
なお、表示変更ボタン38は口座状況表示画面40にも表示され、取引者がこの表示変更ボタン38をクリックすると、口座状況表示画面40は図2に示す口座状況表示画面30に変更される。
【0076】
口座状況表示画面30,40の相互の変更は、配置変更部16が行う。つまり、この実施の形態の口座状況表示装置10において、配置変更部16は、取引者の操作部21の操作による表示変更ボタン38のクリックを受けて、図2に示す口座状況表示画面30、図3に示す口座状況表示画面40を相互に変更できる。
【0077】
この実施の形態において、配置変更部16は、表示変更ボタン38のクリックを受けて、イベント単位表示部152に処理を行わせてカレンダー形式からイベント単位の口座状況表示画面40に変更させる。また、配置変更部16は、表示変更ボタン38のクリックを受けて、時間単位表示部151に処理を行わせてイベント単位からカレンダー形式の口座状況表示画面30に変更させる。なお、配置変更部16自身が、表示変更ボタン38のクリックを受けて、カレンダー形式の口座状況表示画面30を表示部22に表示させる処理や、イベント単位の口座状況表示画面30を表示部22に表示させる処理を行ってもよい。
【0078】
なお、この実施の形態において、配置変更部16は、特定の状況で自動的に口座状況表示画面30,40を相互に変更する構成とすることもできる。また、この実施の形態において、口座状況表示画面30,40のどちらがデフォルトで表示部22に表示されてもよい。
【0079】
図3に示す口座状況表示画面40は、口座状況情報表示部15のイベント単位表示部152の処理によってクライアント端末2の表示部22に表示される。口座状況表示画面40には、第一の口座状況表示欄41が表示される。
第一の口座状況表示欄41には、「所定の確認単位」を、所定のイベントが発生するタイミングとしての所定のイベント発生タイミングを単位として口座状況の情報が表示される。
【0080】
具体的には、図3の第一の口座状況表示欄41には、h個(h≧1)の個別表示欄39,39,・・・39が表示されている。この個別表示欄39,39,・・・39には、イベントが発生するごとの金融商品の口座状況が表示される。ここでのイベントとは、例えば、特定の取引者が取引を行う個々の金融商品が約定されたタイミングである。ただし、このイベントは、特定の取引者が取引を行う個々の金融商品の約定以外のタイミング、例えば発注のタイミングや、注文数量や注文価格の設定や変更のタイミングや、取引のキャンセルのタイミング等、どのようなものでもよい。また、イベントは時系列に沿って順次発生するものである必要はなく、複数のイベントが時系列と無関係に発生するものや、同時に複数発生するものであってもよい。ただし複数のイベントが時系列に沿って順次発生してもよい。
【0081】
図3に示す口座状況表示画面40の個別表示欄39,39,・・・39には、イベント群1~イベント群5が表示されるように構成されている。なお、これらの「イベント群」のうち何れか2つ以上が1つの「イベント」を構成してもよいし、個々の個別表示欄39,・・・39に表示された「イベント」も、1行又は複数行ごとに表示されたものもそれぞれ「イベント」として扱うものとしてもよい。
【0082】
図3の口座状況表示画面40の第一の口座状況表示欄41は、一例として、個別表示欄39,39,・・・39に複数たとえば5つのイベントが表示される状態を示している。ここでは、それぞれの行ごとに1つのイベントが表示される。1行目の個別表示欄39,・・・39には、第1のイベントとして、新規注文の発注が表示される。2行目の個別表示欄39,・・・3910には、第2のイベントとして、新規注文の成立が表示される。3行目の個別表示欄3911,・・・3915には、第3のイベントとして、決済注文の発注が表示される。4行目の個別表示欄3916,・・・3920には、第4のイベントとして、決済注文の成立が表示される。5行目の個別表示欄3921,・・・39には、第5のイベントとして、注文の変更・取消(発注後の注文価格の変更(トレール注文等も含む)や注文数量の変更、注文のキャンセル等)が表示される。なお、OCO注文等、3つ以上の注文に基づいて特定の形態の取引を行う場合には、1行目~5行目に上記以外の「イベント」が表示されるようにしたり、6行目以降に上記以外の「イベント」が表示されるようにしてもよい。
【0083】
各行、例えば1行目の個別表示欄39,・・・39には、新規注文の発注が左から右の個別表示欄39,39,・・・39に、発注の時系列順に表示される。2行目~5行目の個別表示欄3911,・・・39も同様の基準で表示される。ただし、1行目~5行目の個別表示欄39,・・・39のうちの少なくとも何れか1行、あるいは個別表示欄39,・・・39のうち少なくとも何れか一つが、左から右への時系列順とは異なる基準で表示されていてもよい。
【0084】
また、個別表示欄39,・・・39へのイベントの表示は、各列ごとに、同一のイベントが左から右へ時系列順に表示される態様とは異なる態様で表示されてもよい。例えば、各列例えば1列目の個別表示欄39,39,3911,3916,3921に、特定の金融商品の特定のイフダン注文の新規注文の発注、成立、決済注文の発注、成立、変更・取消、が表示されるようにしてもよい。2列目~5列目も1列目と同様に特定のイフダン注文の発注や成立や変更・取消が表示されるようにしてもよい。さらに、各列ごとに、イフダン注文以外の注文、例えば単独の買い注文や単独の売り注文やОCO注文の取引状態等が表示されるようにしてもよい。
【0085】
また、各行ごとに同一のイベントを表示する場合、上の行から順に、得られた利益の単位(例えば注文の成立回数や成立した注文の注文数量)が多い(あるいは少ない)金融商品や金融商品のイベントを表示するようにしてもよい。また、各列ごとに同一のイベントを表示する場合、左の列から順に、得られた利益の単位(例えば注文の成立回数や成立した注文の注文数量)が多い(あるいは少ない)金融商品や金融商品のイベントを表示するようにしてもよい。この場合、個別表示欄39,・・・39のうちの少なくとも何れか1行、1列、あるいは個別表示欄39,・・・39のうち少なくとも何れか一つが、得られた利益の単位とは異なる基準で表示されていてもよい。
【0086】
図3に示す個別表示欄39,39,・・・39において、特定の取引者が特定の個別表示欄例えば22番目の個別表示欄3922を指定すると、口座状況情報表示部15のイベント単位表示部152は、この個別表示欄3922に対応するイベントの詳細情報、及び、このイベントに関連する情報を第二の口座状況表示欄42に表示させる。
【0087】
ここで、図3の口座状況表示画面40には、図2の場合と同様に、特定の顧客が取引を行う複数の金融商品(例えば外国為替(米国ドル/日本円)と先物取引(米国D30))が表示される場合を表示態様の一例として示している。図3の4行2列目の個別表示欄3922には、2023年9月の2回目の決済注文の成立というイベントが示されている。なお、個別表示欄3922に、2023年9月の2つ目のイベント(2列目に表示されている)における2回目のイフダン注文の決済注文の成立の情報が示されていてもよい。
【0088】
図3には、特定の取引者が操作部21の操作で4行2列目の個別表示欄3922をクリックし、この個別表示欄3922の枠が強調表示された状態を示している。このとき、イベント単位表示部152は、第二の口座状況表示欄42に、クリックされた個別表示欄3922に概要が示された、2029年9月に2回目に発注された金融商品である外国為替の決済注文の成立の情報の詳細と、それに関連する情報を表示させる。
【0089】
第二の口座状況表示欄42には、総量表示欄43と、個別注文量表示欄37が表示される。総量表示欄43の構成は、図2に示す第二の口座状況表示欄32の総量表示欄43と同様である。即ち、総量表示欄43には、個別注文量表示欄37に表示された情報を含む特定のイベントの集合である、2023年9月に行われた、特定の顧客の取引の詳細が示されている。図3に図示しないが、第二の口座状況表示欄42には、個別注文量表示欄37が複数(つまり複数のイベントが並列された状態で)表示されてもよい。
【0090】
なお、図3に図示しないが、第二の口座状況表示欄42には、個別注文量表示欄37に表示された金融商品の約定日時、約定価格、約定数量の情報などが表示されてもよい。なお、第二の口座状況表示欄42に表示されるイベントの情報は、上記以外のどのようなものであってもよい。
【0091】
[変形例]
第一の口座状況表示欄41には、「所定の確認単位」としての「所定のイベント発生タイミング」を、個々のイベント以外の単位として、口座状況の情報を表示させてもよい。例えば、第一の口座状況表示欄41には、個々の金融商品の発注から約定までを単位としたり、複数の金融商品の発注や約定を単位として口座状況の情報を表示させてもよい。
【0092】
さらに、図3に表示された、個々のイベントごとの個別表示欄39,39,・・・39を、他のイベント発生タイミングを基準とした表示態様に変更可能に構成してもよい。たとえば、取引者のクライアント端末2の操作部21からの操作によって、個々のイベントごとの表示を、個々の金融商品の発注から約定までや、複数の金融商品の発注や約定を単位とする表示に変更可能としてもよい。このような表示態様の変更は、図1に示す配置変更部16の処理によって行われることが考えられる。
【0093】
[作用効果]
以上、この実施の形態においては、任意の取引者が取引を行う複数の金融商品のそれぞれの口座状況の情報を取得し、取得した口座状況の情報を、口座状況の所定の確認単位ごとに設けられた第一の口座状況表示欄31、第二の口座状況表示欄32に、金融商品の種類ごとに視認可能な状態で表示させる。そして、複数の金融商品の取引を行う取引者に対し、取引の過程や結果を示す口座状況を、取引の過程や結果を確認したり検討したりするのに適した所定の確認単位ごとに、表示手段を介して視覚的に表示できる。そのため、取引者は、表示に基づいて、複数の金融商品の取引における過去の取引結果を確認したり将来の利益機会獲得の検討や予測を行ったりできる。これにより、複数種類の金融商品の取引の取引結果を、取引者の利益確保や確保した利益の結果確認の便宜に供する態様で表示でき、取引者の取引の利便性を向上させることができる。
【0094】
この実施の形態においては、第一の口座状況表示欄31の個別表示欄34,34,・・・34、第二の口座状況表示欄32に、所定の時間を単位とした口座状況の情報を表示させる。そして、取引者に対し、複数の金融商品の口座状況を所定の時間ごとに定期的に確認させることができる。これにより、取引者の取引の利便性を向上させることができる。
【0095】
この実施の形態においては、第一の口座状況表示欄41の個別表示欄39,39,・・・39、第二の口座状況表示欄42に、所定のイベント発生タイミングを単位とした口座状況の情報を表示させる。取引者に対し、複数の金融商品の口座状況をイベントが発生するごとにリアルタイムで確認させることができる。これにより、取引者の取引の利便性を向上させることができる。
【0096】
この実施の形態においては、日にちを単位とした第一の口座状況表示欄31の個別表示欄34,34,・・・34をカレンダー形式に配置して、口座状況の情報を画像表示させる。そして、取引者に対し、所定の時間の単位ごとに、カレンダーと同様の規則的な配列の表示で口座状況の情報を表示させることで、取引者に対し、口座状況の情報を見やすく直感的な概況把握を行いやすい表示態様で表示させることができる。これにより、取引者の取引の利便性を向上させることができる。
【0097】
この実施の形態においては、第二の口座状況表示欄32の個別注文量表示欄37,・・・37に、利益の単位に依存した順序で配置して複数の金融商品を表示させる。そのため、取引者に対し、取引を行っている複数の金融商品の利益獲得状況の良し悪しを、配置の順序で容易に直感的に把握させることが可能になる。これにより、取引者の取引の利便性を向上させることができる。
【0098】
この実施の形態においては、第二の口座状況表示欄32の個別注文量表示欄37,・・・37に、金融商品の取引の成立の回数を利益の単位とした順序で配置して複数の金融商品を表示させる。そのため、取引者に対し、取引の成立の回数が多く、利益獲得機会の多い金融商品を、配置の順序で容易に直感的に把握させることが可能になる。これにより、取引者の取引の利便性を向上させることができる。
【0099】
この実施の形態においては、配置変更部16により、金融商品の配置の順序の規則を一の規則から他の規則に変更させて配置の順序を変更させる。第一の口座状況表示欄31や、第二の口座状況表示欄32に、複数の金融商品を、配置の順序の規則を変更させて表示させることができる。そのため、取引者は、複数の金融商品の口座状況の情報を、複数の表示態様を選択的に用いたり表示態様を変更させたりしながら、複数の金融商品の口座状況の直感的な把握を多面的に行うことができる。これにより、取引者の取引の利便性を向上させることができる。
【0100】
上記実施の形態は本発明の例示であり、本発明が上記実施の形態のみに限定されることを意味するものではないことは、いうまでもない。
【符号の説明】
【0101】
10・・・口座状況表示装置
14・・・口座状況情報取得部(口座状況情報取得手段)
15・・・口座状況情報表示部(口座状況情報表示手段)
16・・・配置変更部(配置変更手段)
31・・・第一の口座状況表示欄(口座状況表示欄)
32・・・第二の口座状況表示欄(口座状況表示欄)
34,34,・・・34・・・個別表示欄(口座状況表示欄)
37,・・・37・・・個別注文量表示欄(口座状況表示欄)
39,39,・・・39・・・個別表示欄(口座状況表示欄)
【要約】
【課題】複数種類の金融商品の取引の取引結果を、取引者の利益確保や確保した利益の結果確認の便宜に供する態様で表示でき、取引者の取引の利便性を向上させる。
【解決手段】口座状況の少なくとも一部を取引者に対して表形式で視覚的に表示させる口座状況表示装置10は、任意の取引者が取引を行う複数の金融商品のそれぞれの口座状況の情報を取得する口座状況情報取得部14と、口座状況情報取得部14が取得した口座状況の情報を、口座状況の所定の確認単位ごとに設けられた口座状況表示欄に、金融商品の種類ごとに視認可能な状態で表示させる口座状況情報表示部15とを備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3