(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】手袋
(51)【国際特許分類】
A61N 1/20 20060101AFI20240805BHJP
A41D 19/015 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
A61N1/20
A41D19/015 130A
(21)【出願番号】P 2023222558
(22)【出願日】2023-12-28
【審査請求日】2023-12-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520006735
【氏名又は名称】株式会社三鷹ホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100125265
【氏名又は名称】貝塚 亮平
(72)【発明者】
【氏名】羽澤 学
【審査官】段 吉享
(56)【参考文献】
【文献】特許第5816386(JP,B1)
【文献】韓国公開実用新案第20-2012-0001299(KR,U)
【文献】中国実用新案第219896790(CN,U)
【文献】特開2005-009035(JP,A)
【文献】登録実用新案第3064864(JP,U)
【文献】特開2006-291400(JP,A)
【文献】登録実用新案第3181290(JP,U)
【文献】特開2004-149935(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/18-1/24
A61N 1/32-1/36
A41D 19/00-19/015
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の掌及び手の甲を収容する袋状の本体部と、前記本体部から延設されて着用者の各指をそれぞれ収容する鞘状の指収容部と、前記本体部の入口に設けられ着用者の手首を覆う筒状の手首収容部と、を有する手袋であって、前記手首収容部に装着されたダイオード素子と、当該ダイオード素子の2つのリード線にそれぞれ接続され、前記手首に接触する2つの電極を有
し、
前記ダイオード素子は、前記手首収容部の外側又は内側に積層された二層の絶縁性ラバーシートに挟まれ、前記電極が、前記絶縁性ラバーシートから露出して前記手首に接触するように構成されている、
ことを特徴とする手袋。
【請求項2】
前記指収容部は、側面視で少なくとも掌側が、長手方向に向かって波形状を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の手袋。
【請求項3】
前記波形状は、前記指収容部の、指の第1関節対応部分及び第2関節対応部分、並びに、前記本体部への付け根部分で手の甲側との距離が狭まる形状である、
ことを特徴とする請求項
2に記載の手袋。
【請求項4】
前記指収容部は、平面視で幅方向両側が、長手方向に向かって波形状を有する、
ことを特徴とする請求項3に記載の手袋。
【請求項5】
前記本体部の掌側と前記指収容部の掌側の、少なくとも一部に、半球状の凸部がマトリックス状にエンボス加工されたエンボス加工シートが貼り付けられた、
ことを特徴とする請求項
1に記載の手袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手袋に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な作業に使用される作業用の手袋(あるいは軍手)や手の保温のために日常的に使用される手袋がある。このような手袋として、例えば、編み物からなる手袋本体の外面に滑止用のゴム又は樹脂層が設けられた手袋が多く使用されている。このような手袋では、単に手や指を覆って保護や保温することに加えて、様々な機能が付加されている物がある。例えば、指や手のひらへのフィット感を向上させるため、アジャスターを設けた手袋や(特許文献1)、着脱を容易にするため、着脱の際に他方の手で掴む部分を設けた手袋(特許文献2)や、使い捨てカイロの収納ポケットを設けた手袋(特許文献3)も考案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2022-150283号公報
【文献】特開2022-173317号公報
【文献】実用新案登録第3239222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、簡単な構造でさらにフィット感を満足でき、手の保温効果を高めることができ、又は、グリップが実感できることが望ましい。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされ、簡単な構造でフィット感を満足でき、手の保温効果を高めることができ、又は、グリップが実感できる手袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の手袋(2)は、着用者の掌及び手の甲を収容する袋状の本体部(11)と、前記本体部(11)から延設されて着用者の各指をそれぞれ収容する鞘状の指収容部(12a~12e)と、前記本体部(11)の入口に設けられ着用者の手首を覆う筒状の手首収容部(14)と、を有する手袋であって、前記手首収容部(14)に装着されたダイオード素子(31)と、当該ダイオード素子(31)の2つのリード線(32a,32b)にそれぞれ接続され、前記手首に接触する2つの電極(33a,33b)を有するものであってもよい。
【0007】
この構成によれば、2つの電極が接触する手首の2箇所の間で、ダイオード素子を通って電流が流れるため、血行が改善できる。
【0008】
前記ダイオード素子(31)は、前記手首収容部(14)の外側又は内側に積層された二層の絶縁性ラバーシート(21,22)に挟まれ、前記電極(33a,33b)が、前記絶縁性ラバーシート(21,22)から露出して前記手首に接触するように構成されていることが好ましい。
【0009】
この構成により、ダイオード素子が2層のラバーシートで保護されるとともに、ダイオード装着部分も柔軟に手首にフィットでき、血行改善効果が得られる。
【0010】
また、本発明の手袋(1)は、着用者の掌及び手の甲を収容する袋状の本体部(11)と、前記本体部(11)から延設されて着用者の各指をそれぞれ収容する鞘状の指収容部(12a~12e)と、を有する手袋であって、前記各指収容部(12a~12e)は、側面視で少なくとも掌側が、長手方向に向かって波形状を有していてもよい。
【0011】
この構成によれば、各指に対する手袋のフィット感が向上し、手袋を嵌めた状態での作業がスムーズにできる。
【0012】
前記波形状は、前記指収容部(12a~12e)の、指の第1関節対応部分(13a)及び第2関節対応部分(13b)、並びに、前記本体部(11)への付け根部分(13c)で手の甲側との距離が狭まる形状であることが望ましい。
【0013】
この構成によれば、指収納部が、指の第1関節対応部分及び第2関節対応部分、並びに本体部への付け根部分で着用者の指にフィットしつつ、指の第1関節、第2関節及び第3関節を自由に曲げることができる。
【0014】
前記各指収容部(12a~12e)は、平面視で幅方向両側が、長手方向に向かって波形状を有する、ものであってもよい。
【0015】
この構成によれば、指収納部が、指の第1関節対応部分及び第2関節対応部分、並びに本体部への付け根部分で指収納部が着用者の指にさらにフィットしつつ、指の第1関節及び第2関節を自由に曲げることができる。
【0016】
また、本発明の手袋(3)は、着用者の掌及び手の甲を収容する袋状の本体部(11)と、前記本体部(11)から延設されて着用者の各指をそれぞれ収容する鞘状の指収容部(12a~12e)と、を有する手袋であって、前記本体部(11)の掌側と前記指収容部(12a~12e)の掌側の、少なくとも一部に、半球状の凸部(41)がマトリックス状にエンボス加工されたエンボス加工シート(40)が貼り付けられた、ものであってもよい。
【0017】
この構成によれば、指を動かすと、半球状の凸部が凹部になったり凸部に戻ったりして音を生じるので、グリップした時の感触を向上できる。また、手袋を玩具としても使用できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、簡単な構造でフィット感を満足でき、手の保温効果を高めることができ、かつ、グリップが実感できる手袋を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る手袋の模式的平面図で、(a)は手の甲側を示す図で、(b)は掌側を示す図である。
【
図2】
図1の手袋のA-A断面図で、(a)は掌側のみを波形状とした例、(b)は掌側及び手の甲側を波形状とした例である。
【
図3】本発明の第2の実施形態に係る手袋の模式的平面図で、(a)は手の甲側を示す図で、(b)は掌側を示す図である。
【
図4】
図3の手袋のB-B断面図で、(a)は全体図、(b)はその要部拡大図である。
【
図5】
図3の手袋の変形例を示すB-B断面図で、(a)は全体図、(b)はその要部拡大図である。
【
図6】本発明の第3の実施形態に係る手袋の模式的平面図で、(a)は手の甲側を示す図で、(b)は掌側を示す図である。
【
図7】
図6の手袋のエンボス加工シートの部分拡大図で、(a)は平面図、(b)は(a)のC-C断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
〔第1の実施形態〕
図1は、本発明の第1の実施形態に係る手袋の模式的平面図で、(a)は手の甲側を示す図で、(b)は掌側を示す図である。
【0021】
図1に示す手袋1は、手袋本体10と、滑り止め層20とを備える。
手袋本体10は、ポリエステル等の繊維の編み物で構成され、着用者の掌及び手の甲を覆う袋状の本体部11と、本体部11から延設されて着用者の各指をそれぞれ覆う鞘状の指収容部12a~12eと、を有する。
滑り止め層20は、手袋本体10の本体部11における掌部分及び各指収容部12a~12eの掌側のそれぞれ表面に積層されたゴム又は樹脂製の層である。但し、本実施形態の手袋1は、滑り止め層20は必須ではなく、手袋本体10のみからなるものでもよい。
【0022】
ここで、本実施形態では、各指収容部12a~12eは、側面視で少なくとも掌側が、長手方向に向かって波形状を有することを特徴とする。
図2は、手袋1のA-A断面を示す。
図2では、中指の指収容部12cを例示するが、他の指収容部(12a,12b,12d,12e)も同様である。この波形状は、指収容部12a~12eの第1関節対応部分13a及び第2関節対応部分13b並びに、本体部11への付け根部分13cで手の甲側との距離が狭まる形状であることが望ましい。
【0023】
図2(a)の例は、各指収容部12a~12eの掌側のみが長手方向に向かって波形状を有し、手の甲側がフラットであり、その結果、指収容部12a~12eの第1関節対応部分13a、第2関節対応部分13b及び、付け根部分13cでくびれた形態である。
一方、
図2(b)の例は、掌側及び手の甲側の両方が長手方向に向かって波形状を有し、その結果、指収容部12a~12eの第1関節対応部分13a、第2関節対応部分13b及び、付け根部分13cでくびれた形態である。
【0024】
これらの構成によれば、指収容部12a~12eの第1関節対応部分13a、第2関節対応部分13b及び付け根部分13cで着用者の指にフィットしつつ、指の第1関節、第2関節及び第3関節を自由に曲げることができる。
【0025】
なお、本実施形態では、各指収容部12a~12eは、
図1に示すように平面視で幅方向両側が、長手方向に向かって直線的であるが、平面視で幅方向両側も長手方向に向かって波形状を有していてもよい。特に、平面視でも側面視と同様に、指収容部12a~12eの第1関節対応部分13a、第2関節対応部分13b及び、付け根部分13cでくびれた形態とするのか好ましい。
【0026】
本実施形態の手袋における掌側及び手の甲側の長手方向に向かう波形状は、例えば、手袋本体(編み物層)10作成の際、公知の方法で作成できる。
【0027】
〔第2の実施形態〕
図3は、本発明の第2の実施形態に係る手袋の模式的平面図で、(a)は手の甲側を示す図で、(b)は掌側を示す図である。
図3に示す手袋2は、第1の実施形態の手袋1と同様に、手袋本体10と、滑り止め層20とを備える。手袋本体10は、第1の実施形態と同様に本体部11と、各指収容部12a~12eを有するほか、本体部11の入口に設けられ着用者の手首を覆う筒状の手首収容部14、を有する。滑り止め層20は、第1の実施形態と同様なので、詳しい説明は省略する。但し、本実施形態の手袋2も、滑り止め層20は必須ではなく、手袋本体10のみからなるものでもよい。
【0028】
ここで、本実施形態の手袋2は、手首収容部14に装着されたダイオード素子31と、当該ダイオード素子31の2つのリード線32a,32bにそれぞれ接続され、前記手首に接触する2つの電極33a,33bを有することを特徴とする(これらの、ダイオード素子31と、リード線32a,32bと電極33a,33bを総称して「ダイオードユニット30」ともいう)。
【0029】
図4は、
図3の手袋2のダイオードユニット30部分の拡大図で、(a)はB-B断面図、(b)はその要部拡大図である。
ダイオード素子31は、手首収容部14の外側に積層された二層の絶縁性ラバーシート21,22に挟まれ、ダイオード素子31の2つのリード線32a,32bは、それぞれ2つの電極33a,33bに半田付け等で接続されている。各電極33a,33bは、
図4(b)に示すように、断面視で略コの字形を有し、その上下の水平部の一方(
図4(b)では下側)にリード線32a,32bが接続され、中央の垂直部が絶縁性ラバーシート21及び編み物層(10)を貫通し、上下の水平部の他方(
図4(b)では上側)は、絶縁性ラバーシート21及び編み物層(10)から露出して前記手首に接触するように構成されている。
【0030】
この絶縁性ラバーシート21,22は、例えばシリコーンゴムからなるものが好ましい。 絶縁性ラバーシート21,22のうち、手袋本体(編み物層)10側の絶縁性ラバーシート21として、滑り止め層20の一部を用いてもよい。
【0031】
図5は、変形例で、ダイオードユニット30を、手首収容部14の外側の代わりに内側に設けた形態を示す。
図5も、
図3の手袋2のダイオードユニット30部分の拡大図で、(a)はB-B断面図、(b)はその要部拡大図である。手袋本体(編み物層)10の手首収容部14の内側に設けられた二層の絶縁性ラバーシート21,22の間にダイオード素子31が配置され、2つのリード線32a,32bは、それぞれ2つの電極33a,33bに半田付け等で接続されている。各電極33a,33bは、
図5(b)に示すように、断面視で略コの字形を有し、絶縁性ラバーシート22を貫通して手首に接触するように構成されている。
【0032】
これらの構成によれば、2つの電極33a,33bが接触する手首の2箇所の間で、ダイオード素子31を通って電流が流れるため、血行が改善できる。このダイオード素子31の効果については、身体の血行促進を促す効果があり、特に東洋医学による人体の経穴(いわゆるツボ)を結ぶ経絡の循環(流れ) を正しい方向や速度に整えることにより、効果が高まるとされている(例えば、特許第5816386号参照)。また、ダイオード素子31が2層の絶縁性ラバーシート21,22で保護されるとともに、ダイオードユニット30装着部分も柔軟に手首にフィットでき、血行改善効果が得られる。
【0033】
〔第3の実施形態〕
図6は、本発明の第3の実施形態に係る手袋の模式的平面図で、(a)は手の甲側を示す図で、(b)は掌側を示す図である。
図6に示す手袋3は、第1の実施形態の手袋1と同様に、手袋本体10と、滑り止め層20とを備える。手袋本体10と滑り止め層20は、第1の実施形態と同様なので、詳しい説明は省略する。なお、本実施形態の手袋3も、滑り止め層20は必須ではなく、手袋本体10のみからなるものでもよい。
【0034】
ここで、本実施形態では、手袋3の本体部11の掌側と指収容部12a~12eの掌側において、滑り止め層20の上に、半球状の凸部41がマトリックス状にエンボス加工された(いわゆる「プチプチ形状」の)シリコーン樹脂性のエンボス加工シート40が貼り付けられている。
【0035】
図7は、手袋3のエンボス加工シート40の部分拡大図で、(a)は平面図、(b)はC-C断面図である。
図7のエンボス加工シート40では、半球状の凸部41に加えて円周状凸部42や格子状凸部43も設けられている。円周状凸部42は必須ではないが、半球状の凸部41を変形し易くするので好ましい。格子状凸部43も必須ではなく、代わりにライン状凸部(図示省略)を用いてもよく、デザインに応じて適宜変更できる。
【0036】
この構成によれば、指を動かすと、手袋3の屈曲する部分に貼付されたエンボス加工シート40の半球状の凸部41が凹部になったり凸部に戻ったりして音を生じるので、グリップした時の感触を向上できる。また、手袋を玩具としても使用できる。
【0037】
尚、
図6及び
図7に示す本実施形態では、エンボス加工シート40は、滑り止め層20の上に接着したが、本実施形態ではこれに限られず、手袋本体(編み物層)10に直接接着してもよい。また、エンボス加工シート40は、手袋3の本体部11及び指収容部12a~12eの掌側前面に設けられているが、これに限られず、本体部11及び指収容部12a~12eの一方、または、これらの一部のみに設けてもよい。
【0038】
また、本実施形態のエンボス加工シート40は、シリコーン樹脂性としたが、これに限られず、例えば薄い金属製であってもよい。変形の際に生ずる音が異なるので、違った感触を楽しむことができる。但しその場合、滑り防止のため、滑り止め層20をエンボス加工シート40の上に設けることが好ましい。
【0039】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0040】
1,2,3 手袋
10 手袋本体(編み物層)
11 本体部
12a~12e 指収容部
13a 第1関節対応部分
13b 第2関節対応部分
13c 付け根部分
14 手首収容部
20 滑り止め層
21,22 絶縁性ラバーシート
30 ダイオードユニット
31 ダイオード素子
32a,32b リード線
33a,33b 電極
40 エンボス加工シート
41 半球状の凸部
42 円周状凸部
43 格子状凸部
【要約】
【課題】簡単な構造でフィット感を満足でき、手の保温効果を高めることができ、かつ、グリップが実感できる手袋を提供する。
【解決手段】着用者の掌及び手の甲を収容する袋状の本体部10と、本体部10から延設されて着用者の各指をそれぞれ収容する鞘状の指収容部20a~20eと、を有する手袋であって、各指収容部20a~20eを、側面視で少なくとも掌側が、長手方向に向かって波形状を有する形状にし、或いは、手袋に装着したダイオード素子31の2つのリード線32a,32bに接続した電極33a,33bを手首に接触させる構造にし、或いは、指を動かすと音を生ずるエンボス加工シートを40貼り付けた。これにより、手袋に、フィット感の向上、血行の改善による手の保温効果の向上、グリップした時の感触の向上という様々な機能を付加できる。
【選択図】
図1