(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】腰痛リハビリテーションの進行をリアルタイムに監視するシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/397 20210101AFI20240805BHJP
A61B 5/11 20060101ALI20240805BHJP
A61B 5/257 20210101ALN20240805BHJP
A61B 5/296 20210101ALN20240805BHJP
【FI】
A61B5/397
A61B5/11 220
A61B5/257
A61B5/296
(21)【出願番号】P 2023500314
(86)(22)【出願日】2020-10-19
(86)【国際出願番号】 MY2020050111
(87)【国際公開番号】W WO2022005271
(87)【国際公開日】2022-01-06
【審査請求日】2023-03-03
(31)【優先権主張番号】PI2020003417
(32)【優先日】2020-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】MY
(73)【特許権者】
【識別番号】523004268
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ マラヤ
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イブラヒム、ファーティマ
(72)【発明者】
【氏名】ティーハ、アウン
(72)【発明者】
【氏名】ジョーセフ、カルナン
(72)【発明者】
【氏名】モハド ノー、ノー アミラー
(72)【発明者】
【氏名】チョ、ジョンマン
【審査官】▲高▼原 悠佑
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-038521(JP,A)
【文献】特開2018-180648(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0106994(US,A1)
【文献】米国特許第06002957(US,A)
【文献】ROSE-DULCINA, K., et al,Flexion-Relaxation Ratio Asymmetry and Its Relation With Trunk Lateral ROM in Individuals With and Without Chronic Nonspecific Low Back Pain,Spine,2020年01月01日,Vol.45, No.1,<DOI:10.1097/BRS.0000000000003196>,<author manuscript, URL:https://archive-ouverte.unige.ch//unige:127126>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/24-5/398
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の腰痛リハビリテーションの進行をリアルタイムで監視するシステムであって、
椎骨L4およびL5の腰椎領域において脊柱起立筋上に配置可能な複数の検出電極(101a、101b)と、信号検出モジュール(102)と、取得および送信モジュール(103)と、慣性測定モジュール(104)と、を含む、ウェアラブル筋電図(EMG)アセンブリ(100)であって、
前記信号検出モジュール(102)は、前記複数の検出電極(101a、101b)によって検出されたEMG信号を調整するように構成された計装アンプ(102a)と、ハイパスフィルタ(102b)と、ローパスフィルタ(102c)と、プレアンプ(102d)と、を含み、
前記取得および送信モジュール(103)は、前記EMG信号をデジタルEMG信号に変換するように構成されたアナログ-デジタル変換器を有するマイクロコントローラ(103a)を含み、
前記取得および送信モジュール(103)は、前記デジタルEMG信号の無線送信を可能にするように構成された通信モジュール(103b)を含み、
前記慣性測定モジュール(104)は、加速度計と、磁力計と、完全屈曲位置への屈曲時に前記脊柱起立筋に関連する角度変位を決定するための慣性信号を提供するように構成されたジャイロスコープと、を含み、前記慣性信号は運動および配向に関するデータを含む、
筋電図(EMG)アセンブリ(100)と、
前記被験者の腰部リハビリテーションの進行に関連する改善または悪化の比率を含む進行報告を生成するように構成されたコンピューティングデバイス上に配置された監視および報告ユニット(200)であって、
前記監視および報告ユニット(200)は、前記デジタルEMG信
号に基づいて、前記脊柱起立筋に関連する屈曲弛緩比(FRR)、伸展弛緩比(ERR)を決定し、履歴データと比較して、前記改善または悪化の比率を決定し、
前記FRRは、前記脊柱起立筋の完全屈曲中の
前記デジタルEMG信号の平均二乗平均平方根に対する前記脊柱起立筋の屈曲中の
前記デジタルEMG信号の最大二乗平均平方根の比であり、
前記ERRは前記脊柱起立筋の完全屈曲中の
前記デジタルEMG信号の平均二乗平均平方根に対する前記脊柱起立筋の伸展中の
前記デジタルEMG信号の最大二乗平均平方根の比であり、
前記監視および報告ユニット(200)は、前記EMG信号、前記慣性信号、前記FRR、前記ERR、および改善または悪化の前記比率を表示するように構成されたクライアントデバイス上で実行可能なIoTプラットフォームを含み、
前記IoTプラットフォームは、サードパーティプラットフォームとの接続のために、無線通信ネットワークを介してクラウドサーバに接続される、
監視および報告ユニット(200)と、
を含むことを特徴とする、システム。
【請求項2】
前記慣性測定モジュール(104)は、前記慣性信号を同等のデジタル慣性信号に変換するために前記マイクロコントローラ(103a)に接続されている、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記慣性測定モジュール(104)は、複数の検出電極(101a、101b)と一体的に組み込まれている、
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記ウェアラブル筋電図(EMG)アセンブリ(100)は、腰部の身体部分に取り付け可能なウェアラブルパッチを含む,
請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記加速度計は、3つの直交軸に沿った、屈曲中の前記脊柱起立筋に関連する加速度を測定する3軸加速度計センサである、
請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記磁力計は、前記脊柱起立筋に関連する現在の磁場の強度を測定する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記ジャイロスコープは、3つの直交軸に沿った、屈曲中の前記脊柱起立筋の回転運動を検出する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
被験者の腰痛リハビリテーションの進行をリアルタイムで監視する方法であって、
ウェアラブル筋電図(EMG)アセンブリ(100)の複数の検出電極(101a、101b)を椎骨L4およびL5の腰部の脊柱起立筋に配置し、
信号検出モジュール(102)が、前記複数の検出電極(101a、101b)によって検出されるEMG信号を調整し、
前記信号検出モジュール(102)は、計装アンプ(102a)と、ハイパスフィルタ(102b)と、ローパスフィルタ(102c)と、プレアンプ(102d)と、を含み、
取得および送信モジュール(103)が、前記EMG信号をデジタルEMG信号に変換し、
前記取得および送信モジュール(103)は、アナログ-デジタル変換器を有するマイクロコントローラ(103a)を含み、
前記取得および送信モジュール(103)が、前記デジタルEMG信号のワイヤレス送信を可能とし、
前記取得および送信モジュール(103)は、通信モジュール(103b)を含み、
慣性測定モジュール(104)が、慣性信号を検出して、完全屈曲位置への屈曲時に前記脊柱起立筋に関連する角度変位を決定し、
前記慣性信号は運動及び配向に関するデータを含み、
前記慣性測定モジュール(104)は、加速度計と、磁力計と、ジャイロスコープと、を含み、
コンピューティングデバイス上に配置された監視および報告ユニット(200)が、前記被験者の腰部リハビリテーションの進行に関連する改善または悪化の比率を含む進行報告を生成し、
前記デジタルEMG信
号に基づいて、前記脊柱起立筋に関連する屈曲弛緩比(FRR)および伸展弛緩比(ERR)を決定し、
前記FRRおよびERRを履歴データと比較して、前記改善または悪化の比率を決定し、
前記FRRは前記脊柱起立筋の完全屈曲中の
前記デジタルEMG信号の平均二乗平均平方根に対する前記脊柱起立筋の屈曲中の
前記デジタルEMG信号の最大二乗平均平方根の比であり、
前記ERRは前記脊柱起立筋の完全屈曲中の
前記デジタルEMG信号の平均二乗平均平方根に対する脊柱起立筋の伸展中の
前記デジタルEMG信号の最大二乗平均平方根の比であり、
前記監視および報告ユニット(200)は、前記EMG信号、前記慣性信号、前記FRR、前記ERR、および改善または悪化の比率を表示するように構成されたクライアントデバイス上で実行可能なIoTプラットフォームを含み、
前記IoTプラットフォームは、サードパーティプラットフォームとの接続のために、無線通信ネットワークを介してクラウドサーバに接続されている、
ことを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、腰痛リハビリテーションに関する。より詳細には、本発明がリアルタイムで腰痛リハビリテーションの進行を監視する改善されたシステム、およびその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
腰痛は多くの場合、苦しめられている解剖学的構造の領域における様々な持続時間の痛みを指し、それは、外部および内部刺激に対する応答のパラダイムになっている。このような痛みは、障害の原因として、また、就業不能の原因として、生活の質への干渉として、また、医学的相談の理由として知られている。大部分の腰痛は、重い物体を持ち上げている間の突然の動きまたは不十分な身体機構に起因する筋捻挫または緊張などの損傷の結果、または脊髄の癌、椎間板の破裂またはヘルニア、坐骨神経痛、関節炎、腎臓感染症、および脊椎の感染症などの特定の疾患の結果である。腰痛のためのいくつかの医学的処置があり、薬物療法、医学的器具、および理学療法、ならびに手術が挙げられる。これらの治療の目標は、背部痛を減少させ、機能を増加させ、将来の背部の問題を防止するための維持プログラムを患者に教えることである。患者の腰痛リハビリテーションの進行は適切な治療が処方され得るように、正確かつ継続的に観察され、評価されなければならない。腰痛の既存の評価および評価は、患者の疼痛および不快感のレベルに関するアンケートに基づく。しかしながら、そのような定性的評価は、非常に主観的であり得、リハビリテーションの進行にアクセスする際に限定された精度を有する。さらに、アンケートの欠点は返答がないこと(例えば、回答がない質問)、誤解釈、および妥当性(例えば、回答の健全性をチェックできないこと)である。
【0003】
背景として、特許文献1は、筋肉群の近くに配置された非侵襲性身体表面電極アレイから導出された筋電図(EMG)信号の感知および分析によって、筋肉群内の筋肉の状態を監視および表示するための方法および装置を開示する。特許文献1によれば、電子装置はEMG信号を調整し、電極アレイを同時に調査して、その時点における筋肉群の個々の筋肉の活動の説明を提供するようにプログラムされる。記述は、ビデオモニタなどに表示され、正常な筋肉の解剖学的構造のディスプレイ上に並置され、色の強調によって差異が強調される。特許文献1では、電極パッドが下背筋群に特に適しており、人間の脊椎の輪郭に成形されたパッドを有する腰部支持ベルトによって適所に保持され得る。
【0004】
したがって、リアルタイムで腰痛リハビリテーションの進行を監視するための改善されたシステムおよび方法を提供することによって、従来技術の欠点を克服する解決策を提供することが有利である。従来技術にはシステムおよび方法があるが、多くの実用的な目的のために、依然としてかなりの改善の余地がある。
【0005】
以下では、本発明の一部の態様の基本を理解できるように、発明の概要を説明する。この要約は、本発明の広い概観ではない。その唯一の目的は、後に提示されるより詳細な説明の前置きとして、簡略化された形で本発明のいくつかの概念を提示することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明は、被験者の腰痛リハビリテーションの進行をリアルタイムで監視するシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のシステムは、椎骨L4およびL5の腰椎領域において脊柱起立筋上に配置可能な複数の検出電極(101a、101b)、信号検出モジュール(102)、取得および送信モジュール(103)、ならびに慣性測定モジュール(104)を含む、ウェアラブルな筋電図(EMG)アセンブリ(100)であって、前記信号検出モジュール(102)は、前記複数の検出電極(101a、101b)によって検出されたEMG信号を調整するように構成された計装アンプ(102a)、ハイパスフィルタ(102b)、ローパスフィルタ(102c)およびプレアンプ(102d)を含み、前記取得および送信モジュール(103)は、前記EMG信号をデジタルEMG信号に変換するように構成されたアナログ-デジタル変換器を有するマイクロコントローラ(103a)を備え、前記取得および送信モジュール(103)は、前記デジタルEMG信号の無線送信を可能にするように構成された通信モジュール(103b)を含み、前記慣性測定モジュール(104)は、加速度計と、磁力計と、完全屈曲位置への屈曲時に前記脊柱起立筋に関連する角度変位を決定するための慣性信号を提供するように構成されたジャイロスコープと、を含み、前記慣性信号は運動および配向に関するデータを含む、筋電図(EMG)アセンブリ(100)と、前記被験者の腰部リハビリテーションの進行に関連する改善または悪化の比率を含む進行報告を生成するように構成されたコンピューティングデバイス上に配置された監視および報告ユニット(200)であって、前記監視および報告ユニット(200)は、前記デジタルEMG信号と、受信した慣性信号とに基づいて、前記脊柱起立筋に関連する屈曲弛緩比(FRR)、伸展弛緩比(ERR)を決定し、履歴データと比較して、前記改善または悪化の比率を決定し、前記FRRは、前記脊柱起立筋の完全屈曲中の平均二乗平均平方根に対する前記脊柱起立筋の屈曲中の最大二乗平均平方根の比であり、前記ERRは前記脊柱起立筋の完全屈曲中の平均二乗平均平方根に対する前記脊柱起立筋の伸展中の最大二乗平均平方根の比であり、前記監視および報告ユニット(200)は、前記EMG信号、前記慣性信号、前記FRR、前記ERR、および改善または悪化の前記比率を表示するように構成されたクライアントデバイス上で実行可能なIoTプラットフォームを含み、前記IoTプラットフォームは、サードパーティプラットフォームとの接続のために、無線通信ネットワークを介してクラウドサーバに接続される、監視および報告ユニット(200)と、を特徴とする。
【0009】
好ましくは、慣性測定モジュールが慣性信号を同等のデジタル慣性信号に変換するためにマイクロコントローラに接続される。
【0010】
好ましくは、慣性測定モジュールがその複数の検出電極と一体的に組み込まれる。
【0011】
好ましくは、ウェアラブルEMGアセンブリがその腰部領域の身体部分に取り付け可能なウェアラブルパッチを含む。
【0012】
好ましくは、加速度計は、3つの直交軸に沿った、屈曲中に脊柱起立筋に関連する加速度を測定する3軸加速度計センサである。
【0013】
好ましくは、磁力計が脊柱起立筋に関連する現在の磁場の強度を測定する。
【0014】
好ましくは、ジャイロスコープが3つの直交軸に沿った、屈曲中に脊柱起立筋の回転運動を検出する。
【0015】
本発明の別の態様によれば、被験者の腰痛リハビリテーションの進行をリアルタイムで監視する方法が提供される。
【0016】
本発明の方法は、ウェアラブル筋電図(EMG)アセンブリ(100)の複数の検出電極(101a、101b)を椎骨L4およびL5の腰部の脊柱起立筋に配置し、信号検出モジュール(102)が、前記複数の検出電極(101a、101b)によって検出されるEMG信号を調整し、前記信号検出モジュール(102)は、計装アンプ(102a)、ハイパスフィルタ(102b)、ローパスフィルタ(102c)およびプレアンプ(102d)を含み、取得および送信モジュール(103)が、前記EMG信号をデジタルEMG信号に変換し、前記取得および送信モジュール(103)は、アナログ-デジタル変換器を有するマイクロコントローラ(103a)を含み、前記取得および送信モジュール(103)が、前記デジタルEMG信号のワイヤレス送信を可能とし、前記取得および送信モジュール(103)は、通信モジュール(103b)を含み、慣性測定モジュール(104)が、慣性信号を検出して、完全屈曲位置への屈曲時に前記脊柱起立筋に関連する角度変位を決定し、前記慣性信号は運動及び配向に関するデータを含み、前記慣性測定モジュール(104)は、加速度計と、磁力計と、ジャイロスコープとを含み、コンピューティングデバイス上に配置された監視および報告ユニット(200)が、前記被験者の腰部リハビリテーションの進行に関連する改善または悪化の比率を含む進行報告を生成し、前記デジタルEMG信号および受信された慣性信号に基づいて、前記脊柱起立筋に関連する屈曲弛緩比(FRR)および伸展弛緩比(ERR)を決定し、前記FRRおよびERRを履歴データと比較して、前記改善または悪化の比率を決定し、前記FRRは前記脊柱起立筋の完全屈曲中の平均二乗平均平方根に対する前記脊柱起立筋の屈曲中の最大二乗平均平方根の比であり、前記ERRは前記脊柱起立筋の完全屈曲中の平均二乗平均平方根に対する脊柱起立筋の伸展中の最大二乗平均平方根の比であり、前記監視および報告ユニット(200)は、前記EMG信号、前記慣性信号、前記FRR、前記ERR、および改善または悪化の比率を表示するように構成されたクライアントデバイス上で実行可能なIoTプラットフォームを含み、前記IoTプラットフォームは、サードパーティプラットフォームとの接続のために、無線通信ネットワークを介してクラウドサーバに接続されている、ことを特徴とする。
【0017】
本発明の前述および他の目的、特徴、態様、および利点は添付の図面を適切に参照しながら、本明細書において以下に提供される詳細な説明を注意深く読むことによって、よりよく理解されるのであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態による、被験者の腰痛リハビリテーションの進行をリアルタイムで監視するためのシステムの概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態に従って被験者に適用された
図1のシステムを示す。
【
図3】本発明の一実施形態による、被験者の腰痛リハビリテーションの進行をリアルタイムで監視するための方法のフロー図である。
【
図4】本発明の一実施形態による、コンピューティングデバイス上の
図1のシステムのグラフィカルユーザインターフェースのセットの例示である。
【
図5】本発明の一実施形態による、そのデジタルEMG信号から導出される、予備分析およびプロットのセットのために準備された別のグラフィカルユーザインターフェースを示す。
【
図5A】本発明の一実施形態による、そのデジタルEMG信号から導出される、予備分析およびプロットのセットのために準備された別のグラフィカルユーザインターフェースを示す。
【
図6】本発明の一実施形態による、ユーザ/患者をクラウドサーバおよび病院/クリニックポータルに接続するIoTプラットフォームの図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明のより完全な理解およびその付随する利点の多くは、添付の図面に関連して考慮されるとき、以下の詳細な説明を参照することによってよりよく理解されるように、容易に理解されるのであろう。
【0020】
図面は、縮尺通りではない場合があることに留意されたい。図面は本発明の典型的な態様のみを示すことを意図しており、したがって、本発明の範囲を限定するものと見なされるべきではない。図面では、同様の番号が図面間で同様の要素を表す。
発明を実施するための形態
【0021】
1つの好ましい実施形態によれば、本発明は被験者の腰痛リハビリテーションの進行をリアルタイムで監視するためのシステムおよび方法を開示し、それは、複雑で洗練された構成要素または部品を使用することなく、非常に特異的でコンパクトで、費用効果が高く、迅速で、簡単な方法で使用および維持することができる。有利には、本発明のシステムが非侵襲的であり、ユーザフレンドリであり、堅牢であり、効率的であり、かつ経済的である。これは、被験者または患者、理学療法士、および低い技術的専門知識を有する臨床医によって使用され得る。
【0022】
本発明のシステムは、好ましくは、
図1に概略的に示されるように、ウェアラブル筋電図検査(EMG)アセンブリ100と、監視および報告ユニット200とを備える。本質的に、被験者はウェアラブルEMGアセンブリ100を着用し、監視および報告ユニット200上に配置された、自身の腰痛リハビリテーションの進行を得るための画面指示のセットに従う。
図2は、被験者に適用されたときのシステムの図解を提供する。
【0023】
好ましくは、ウェアラブルEMGアセンブリ100が複数の検出または表面電極101a、101b、基準電極、信号検出モジュール102、取得および送信モジュール103、ならびに慣性測定モジュール104を備える。複数の検出電極101a、101bは、好ましくは被験者の椎骨L4およびL5の腰部において脊柱起立筋上または脊柱起立筋の周囲に配置または配置される。腰部領域は、好ましくは胸郭の下から始まる下背部によって画定される。下にある脊柱起立筋に対する前記複数の検出電極101a、101bの適切な位置決めは、EMG信号のスペクトルに対する電極位置の影響のために重要である。これらの検出電極101a、101bを脊柱起立筋の表面の上の皮膚上に配置することによって、ウェアラブルEMGアセンブリ100は、EMG信号の形成で、その結果として生じる生体電気活動を得ることができる。検出または表面電極は、Ag-AgCl、Au、金属ナノ材料、および炭素系ナノ材料を含む群から選択される電極材料から製造されてもよい。
【0024】
ウェアラブルEMGアセンブリ100の基準電極はEMG信号に対する基準信号を取得するために、被験者の別の位置、すなわち右脚に配置される。基準電極は、前記検出電極101a、101bと同じ材料からなることが好ましい。
【0025】
一実施形態では、発泡体テープまたは導電性ゲルなどの接着層が検出電極101a、101bおよび基準電極の接着表面に配置されてもよい。接着層またはパッチは、好ましくは検出電極101a、101bおよび基準電極を被験者の皮膚表面に対してしっかりと保持する。それは、センサ能力の実用的なレベルを保証するために、被験者の皮膚の接着特性および信号取得性能を補完するために使用され得る。信号検出モジュール102は、好ましくは複数の検出電極101a、101bによって検出されたEMG信号を調整するように構成される。
【0026】
信号検出モジュール102は、好ましくは計装アンプ102aと、ハイパスフィルタ102bと、ローパスフィルタ102cと、プレアンプ102dと、信号発生器102eとを備える。計装アンプ102aは、保護回路を介して複数の検出電極101a、101bに接続されている。基準電極は、右脚駆動回路を介して計装アンプ102aに接続される。ハイパスフィルタ102bは、計装アンプ102aをローパスフィルタ102cに接続する。ローパスフィルタ102cは、信号発生器102eに接続されたプリアンプ102dに接続されている。
【0027】
一実施形態では、保護回路が緊急停止機構またはリセット機能を提供するEMG保護制御ユニットを備える。保護回路は、EMG信号またはその検出電極101a、101bによって検出される入力が低くなったときに起動されることが好ましい。
【0028】
計装アンプ102aは、その基準電極に応答して、感知された生体電位EMG信号を生成するように構成される。計装アンプは、検出電極101a、101bと基準電極との間の差動アナログEMG信号を感知することが好ましい。
【0029】
ハイパスフィルタ102bは、感知された生体電位EMG信号を受信すると、EMG信号を、前記計装アンプ102aによって増幅された他の増幅信号から分離する。ハイパスフィルタ102bは、所定のカットオフ周波数を含むことが好ましい。それは、前記カットオフ周波数を超える周波数を有する信号のみを受け入れる。例えば、ハイパスフィルタ102bはEMG信号を、より低い周波数を有する他の信号から区別し、分離する。
【0030】
ローパスフィルタ102cは、EMG信号の変動を平滑化するように構成され得る。ローパスフィルタ102cは好ましくは増幅された(そのハイパスフィルタ102bから受信された)EMG信号を、計装アンプ102aによって増幅された他の信号から分離し、EMG信号のみをプレアンプ102dに渡す。ローパスフィルタ102cは所定のカットオフ周波数を有し、前記カットオフ周波数未満の周波数を有する信号のみを受け入れる。例えば、ローパスフィルタ102cはEMG信号を、より高い周波数を有する他の信号から区別し、分離する。
【0031】
プレアンプ102dは前記ローパスフィルタ102cからEMG信号を受信し、それを前置増幅する。プレアンプ102dは好ましくはEMG信号を信号発生器102eにかける前に、EMG信号の情報を強化する。信号発生器102eはアナログデジタル変換のための取得および送信モジュール103への送信のために、アナログEMG信号であるEMG信号を準備するように構成される。
【0032】
取得および送信モジュール103は、好ましくはアナログ-デジタル変換器を有するマイクロコントローラ103aと、通信モジュール103bとを備える。マイクロコントローラ103は、信号検出モジュール102の信号発生器102eから受信したEMG信号を、アナログ-デジタル変換器によって支援されるデジタルEMG信号に変換するように構成される。アナログ-デジタル変換器は、マイクロコントローラ103aと内部で一体化されることが好ましい。
【0033】
通信モジュール103bは、そのマイクロコントローラ103aによって処理されたデジタルEMG信号を監視および報告ユニット200に無線送信することを可能にするように構成される。通信モジュール103bは、電源投入時に発見可能かつ接続可能にされることが好ましい。それは、信号を送信すると共に信号を受信するように構成されたトランシーバモジュールであってもよい。通信モジュール103bは、Bluetooth(登録商標)通信モジュール、無線モジュール、またはケーブル通信モジュールであることが好ましい。
【0034】
慣性測定モジュール104は、好ましくは加速度計、磁力計、およびジャイロスコープを備える。慣性測定モジュール104は、完全屈曲位置への屈曲時に前記脊柱起立筋に関連する角度変位を決定するために慣性信号を提供するように構成されることが好ましい。慣性信号は、好ましくはその運動および配向に関するデータを含む。一実施形態では、慣性測定モジュール104が慣性信号を等価デジタル慣性信号に変換するためにマイクロコントローラ103aに接続される。
【0035】
加速度計は、好ましくは3つの直交軸に沿った屈曲中に脊柱起立筋に関連する加速度を測定する3軸加速度計センサである。それは、質量の動き、すなわち脊柱起立筋を電圧信号に変換するために使用され得る。本発明では、2つ以上の加速度計を使用することが可能である。例えば、慣性測定モジュール104は、2つの指定された腰部領域L4およびL5に配置される2つの加速度計を採用してもよい。1つの加速度計が使用される場合、加速度計は、脊椎の中央に位置するように取り付けられるべきである。磁力計は、好ましくは脊柱起立筋に関連する現在の磁場の強度を測定する。ジャイロスコープは、好ましくは3つの直交軸に沿った屈曲中に脊柱起立筋の回転運動を検出する。
【0036】
別の実施形態によれば、慣性測定モジュール104は、その複数の検出電極101a、101bと一体的に組み込まれる。適切と考えられる場合はいつでも、慣性測定モジュール104は、検出電極101a、101bと一体的なまたは一片の部材として製造することができる。これは、被験者の腰部の身体部分(例えば、皮膚)に適切な方法で取り付け可能なウェアラブルパッチに組み込むことによって達成することができる。
【0037】
監視および報告ユニット200は、好ましくはコンピューティングデバイス上に配置される。それは、被験者の腰部リハビリテーションの進行に関連する改善または悪化の比率を含む進行報告を生成するように構成され得る。監視および報告ユニット200は、評価アルゴリズムを有する処理エンジン201と、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)を有するディスプレイ202とを備える。
【0038】
監視および報告ユニット200は、EMG信号、慣性信号、FRR、ERR、およびそれらの改善または悪化の比率を表示するように構成されたクライアントデバイス上で実行可能なIoT(Internet-of-Things)プラットフォームを備えることが好ましい。IoTプラットフォームはサードパーティプラットフォームとの接続のために、無線通信ネットワークを介してクラウドサーバに接続されることが好ましい。
【0039】
本発明の一実施形態では、監視および報告ユニット200がコンピューティングデバイス上のソフトウェアアプリケーションとして配置され、インストールされる。コンピューティングデバイスは限定はしないが、ハンドヘルドコンピュータ、インターネット対応電話、携帯情報端末(PDA)、およびラップトップなどのモバイルデバイス、ならびに中央コンピュータシステムからのデスクトップコンピュータを含み、そのようなデバイスおよびコンピュータはプラットフォーム非依存フレームワーク上でオフラインで監視および報告ユニット200を実行し、標準的なインターネット接続または他のネットワーク接続を介して、データをコンピュータシステムと同期させることができる。
【0040】
通信モジュール103bからデジタルEMG信号を受信すると、監視および報告ユニット200は前記脊柱起立筋に関連する屈曲弛緩比(FRR)および伸展弛緩比(ERR)を計算し、決定する。FRR及びその計算されたERRは腰痛リハビリテーションに関連する改善又は悪化の比率を決定するために、履歴データのものと比較される。
【0041】
FRRは、好ましくは脊柱起立筋の完全屈曲中の平均二乗平均平方根に対する脊柱起立筋の屈曲中の最大二乗平均平方根の比である。
【0042】
ERRは、好ましくは脊柱起立筋の完全屈曲中の平均二乗平均平方根に対する脊柱起立筋の伸長中の最大二乗平均平方根の比である。
【0043】
屈曲弛緩現象(FRP)は、脊柱起立筋における電気的活動が体幹全体の屈曲の間に存在せず、健康な個体において観察される現象である。腰痛患者におけるFRPの存在の違いは、腰痛患者の診断および治療を補助するための貴重な客観的臨床ツールであるため、臨床評価において有用である。
【0044】
本質的に、本発明のシステムはL4およびL5腰部の脊柱起立筋からEMG信号を取得し、変換されたEMG信号(すなわち、デジタルEMG信号)をコンピューティングデバイスにワイヤレスに送信する。FRPを利用する監視および報告ユニット200の評価アルゴリズムは、腰痛リハビリテーションの進行を監視するために実装される。
図3は、被験者の腰痛リハビリテーションの進行をリアルタイムで監視するための方法のフロー図を提供する。
【0045】
例えば、携帯電話に設置された監視および報告ユニット200はリアルタイムEMG信号をモバイルデバイスのディスプレイ202上に表示し、リハビリテーションの進行を決定する際の分析のためにFRRおよびERRを計算することができる。
図4は、ディスプレイ202のGUIを例示的に示す。
【0046】
脊柱起立筋の送信されたデジタルEMG信号は監視および報告ユニット200(例えば、ソフトウェアアプリケーション)に記憶され、FRRおよびERR計算を実行するために使用される。FRRおよびERR値は、筋肉能力を分析するために介入の前後で比較される。これらの値は、リハビリテーション後の腰痛の改善とともに増加することが示されている。本発明のシステムは、有利には、臨床医、理学療法士、および患者が、リハビリテーションの進行を容易かつ正確に監視することを可能にする。
【0047】
FRRおよびERRは、腰痛リハビリテーションの進行を定量化するために使用される2つの重要なパラメータである。FRRは、屈曲(MF)中の最大二乗平均平方根(RMS)を、完全屈曲(AFF)中の平均二乗平均平方根(RMS)で割ることによって計算することができる。ERRは、伸展(ME)中の最大二乗平均平方根(RMS)を、完全屈曲(AFF)中の平均二乗平均平方根(RMS)で割ることによって計算することができる。FRRおよびERRの式は、表1において簡略化することができる。
【表1】
【0048】
本発明の例示的な一実施形態によれば、EMG評価は、正確な結果を得るために指定されたプロトコルに従う。EMG評価の持続時間は約11秒である。プロトコルにおいて、被験者または患者は、最初の5秒間静止することが要求される。次いで、患者は、5~7秒(2秒)最大屈曲(90°)まで前方に屈曲することを要求される。患者は、2秒間(7~9秒)、完全な体幹屈曲姿勢を維持することを要求される。最後に、身体伸展が行われ、患者は、9~11秒(2秒)、初期立位に戻ることを要求される。11秒間のEMG評価のためのプロトコルを表2に要約することができる。
【0049】
検出電極101a、101bの位置または配置は、EMGデータ取得の前に決定される必要がある。3チャネル電極は腰筋における電気信号が抽出され得るように、ウェアラブルEMGアセンブリ100に接続される。2つの電極101a、101bは、L4およびL5椎骨腰部領域の片側脊柱起立筋の両端に取り付けられる。基準電極は、胸椎領域上に配置される。添付の
図2は2つの検出電極101a、101bがウェアラブルEMGアセンブリ100の主入力であり、他の1つの電極が基準点、すなわち基準電極として作用する、被験者上の電極配置を示す。
【0050】
特定の一実施形態では、スマートフォンのモバイルオペレーティングシステム、例えば、Android(登録商標)オペレーティングシステム内のBluetoothモジュールは監視および報告ユニット200(すなわち、ソフトウェアアプリケーション)のウェアラブルEMGアセンブリ100への接続を可能にするために起動される。Bluetooth 通信が有効または無効になっていない場合、Android アプリケーションは動作を停止する。Bluetoothモジュールがイネーブルにされると、スマートフォンは周囲のデバイスを探し、ウェアラブルEMGアセンブリ100とペアリングする。リアルタイムEMG信号は、ウェアラブルEMGアセンブリ100から監視および報告ユニット200に無線で送信され、Androidスマートフォンのユーザ画面に表示される。送信されたデータは、前記スマートフォンの専用記憶装置または外部記憶装置に記憶される。
【0051】
評価アルゴリズムは、好ましくはFRRおよびERR評価を実行するために開発される。脊柱起立筋のFRPの任意の変化は、介入の前後でFRRおよびERRを比較することによって決定することができる。介入前後のFRRとERRの比率を算出し、腰痛進行の改善率または悪化率を可視化し、スマートフォン画面に表示する。異なるコメントまたはコンサルテーションは、異なる筋肉性能に関して表示される。理学療法士または臨床医はこの臨床用途を使用して腰痛の回復評価を定量化することができ、したがって、リハビリテーションの進行を容易かつ正確に監視することができる。
【表2】
【0052】
本発明の方法は前段落に記載されるように、好ましくは、以下のステップを含む:
a.椎骨L4およびL5の腰部領域における脊柱起立筋上のウェアラブルEMGアセンブリ100の複数の検出電極101a、101bの配置し;
b.信号検出モジュール102によって、複数の検出電極101a、101bによって検出されるEMG信号を調整し;
c.取得および送信モジュール103によって、EMG信号をデジタルEMG信号に変換し;
d.取得および送信モジュール103によって、デジタルEMG信号のワイヤレス送信を可能にし;
e.慣性測定モジュール104によって、完全屈曲位置への屈曲時に脊柱起立筋に関連する角度変位を決定するためにその慣性信号を検出することを提供し、慣性信号は、その運動および配向に関するデータを含み;
f.コンピューティングデバイス上に配置された監視および報告ユニット200によって、被験者の腰部リハビリテーションの進行に関連する改善または悪化の比率を含む進行報告を生成することは、以下を含む:
i.デジタルEMG信号およびその受信された慣性信号に基づいて、前記脊柱起立筋に関連するFRRおよびERRを決定することと、
ii.FRRおよびERRを履歴データと比較して、当該改善または悪化の比率を決定すること、
g.監視および報告ユニット200は、クライアント装置上で実行可能なIoTプラットフォームを介して、EMG信号、慣性信号、FRR、ERR、およびそれらの改善または悪化比率を表示し;
h.データを、IoTプラットフォームを介して、無線通信ネットワークを介してクラウドサーバに送信し、サードパーティプラットフォームと接続する。
【0053】
本発明の例示的な一実施形態によれば、
図4は、それにインストールされた監視および報告ユニット200を有するソフトウェアアプリケーション(または「アプリ」)が無線通信を介して本発明のウェアラブルEMGアセンブリ100と協働することを示す。ソフトウェアアプリケーションは、好ましくは、限定されないが、以下をユーザに提供する:
●START測定機能
●STOP測定機能
●リアルタイムの姿勢/動きおよび未処理EMG測定値
●腰痛(LBP)分析
●改善または悪化率の進行報告による進行監視
【0054】
アプリが起動されると、選択されたロゴ(すなわち、選択された名前であるMyEMG)を有するスプラッシュ画面(画面1を参照)が表示される。スプラッシュ画面は、画面2に進むのに約1~3秒かかる。アプリを起動する前に、バックグラウンドユーザークエリに1~3秒が必要である。画面1の後、測定画面が表示される(画面2参照)。電話機に接続されたMyEMGデバイスがないため(画面中央上部に接続表示)、測定画面のすべての機能が無効になる。使用可能なMyEMGデバイスに接続するには、画面2のAで示されているメニューオプション(右上隅の3つのドット)をクリックする必要がある。
【0055】
メニューオプションをクリックすると、小さなダイアログボックスが表示され、接続するデバイスのリストが表示される(画面3を参照)。右側のMyEMGデバイスが選択されたら、「CONNECT(接続)」をクリックしてデバイスに接続する。右側のMyEMGデバイスに正常に接続すると、測定画面がアクティブになり、接続ステータスインジケータが緑になる(画面4を参照)。ユーザの背中(すなわち、腰部の身体部分)上のMyEMG装置の配置および測定を開始するユーザの準備ができていることを確認した後、「START(開始)」(Cで示される)をクリックして、測定を開始する。
【0056】
ユーザによる完全な測定(完全な前屈および後屈)の後、ユーザは、画面5に示されるように「STOP(終了)」ボタンをクリックすることによってデータ記録を終了しなければならない。これにより、最新のデータを解析する解析画面である画面6が表示される。ユーザは、下の「SAVE(保存)」ボタンをクリックすることによって、データを保存することを選択することができる(Eで示される)。これは、日常的な監視下にある患者が経時的な改善傾向を観察するために重要である。結果はまた、ヘルスケアプロバイダの参照のためにクラウドサーバを介してヘルスケアプロバイダのポータル(登録されたサードパーティプラットフォームである)にプッシュされる。「医療提供者」という用語は、医学又は骨症の医師、足病専門医、カイロプラクター、ナース、ナースプラクティショナー、助産師、医師助手、パラメディック、コンバットメディック、理学療法士、作業療法士、薬剤師又は臨床ソーシャルワーカーであって、法律で定義されるそれらの業務の範囲内で実施する権限を有するもの又は科学の専門家であってよい。進行状況画面が画面7に表示される。
【0057】
本発明の別の実施例では、監視および報告ユニット200が(その進行報告の生成に関する前段落で説明したように)主分析モジュールに接続された予備分析モジュールを備えることが望ましい。予備分析モジュールはユーザ又は患者におけるFRPの任意の発生を検出するために、デジタルEMG信号(そのプロット)に対して予備分析を行うように構成される。予備分析は、ある期間にわたってデジタルEMG信号を基準信号(またはデータセット)と比較することによって行われることが好ましい。例えば、デジタルEMG信号は、健康なユーザのものと比較される。比較は、EMG振幅および/またはそのプロットされた角度値に基づいて行うことができる。有利には、予備分析がLBPのタイプを決定するための予備診断として使用することができる。
【0058】
図5および
図5Aは、その予備分析に関する例示的な実施形態を提供する。したがって、
図5は、その予備分析モジュールによって行われる予備分析を示す画面のGUIである。図示のように、画面は、予備分析結果およびFRPの存在の指標を表示する。
【0059】
予め定義された基準信号またはデータセットと比較すると、予備分析モジュールは、デジタルEMG信号を予め定義された基準信号またはデータセットと比較して、ユーザに関連するFRPの存在を決定する。比較は、得られたデジタルEMG信号と基準信号またはデータセットとの間のEMG振幅(
図5AではsEMG振幅として示される)のプロットに対して実行されることが好ましい。
【0060】
予備分析が完了すると、主分析モジュールによって行われる完全な分析はその改善または悪化の比率を含む進行報告を取得し、観察することを、熱心なユーザによって追跡され得る。完全な分析は、
図4の画面7に例示的に示されている。
【0061】
本発明で使用されるIoTプラットフォームと同様に、
図6は、ユーザ保持装置、クラウドサーバ、および医師の監視ポータルの間の通信アーキテクチャを示す。本発明は、IoTの利点を採用して、システムのユーザビリティおよびスケーラビリティを向上させる。これにより、クラウドサーバでの計算とデータの保存が高速化される。BluetoothまたはWiFiを介した接続部が成功すると、ユーザは「START」をタップして、MyEMG装置(すなわち、ウェアラブルEMGアセンブリ100)を起動し、測定を開始する(「1」を参照)。接続されたアプリからスタートコードが受信されると、未処理EMG、およびその検出された動きおよび向きのデータがアプリに送信される(「2」を参照)。角運動変位に基づいて、完了した測定が認識され、「END(完了)」要求がMyEMG装置に送信される(「3」参照)。完了した測定データはフォーマットされ、LBP分析を実行するためにクラウドサーバにホストされる分析計算ユニット(すなわち、クラウドマイクロサービス機能)に送信される(「4」を参照)。分析結果は、ユーザの参照用に表示される(「5」を参照)。ローカル履歴が削除された場合、ユーザの分析結果へのアクセスが提供される(「6」を参照)。
【0062】
分析計算ユニットにおける分析計算機能がユーザのアプリによって呼び出されると、完了した結果がユーザのアプリに送信され、クラウドサーバ内の暗号化されたデータベースに保存される(「A」を参照)。計算が成功し、データベースが保存されると、プッシュ通知が監視ポータルに送信され、その新しいデータについて医師に警告する(「B」を参照)。監視ポータルは、医師にアクセスして、進行レポート、および彼または彼女の監督のために登録されたユーザなどのデータの検索を可能にする。これは、ユーザまたは患者の進行監視および評価にとって重要である(「C」を参照)。
【0063】
本明細書全体を通して、複数のインスタンスは、単一のインスタンスとして説明される構成要素、動作、または構造を実装し得る。1つまたは複数の方法の個々の動作が別個の動作として図示および説明されているが、個々の動作のうちの1つまたは複数は同時に実行され得、動作が図示の順序で実行されることを必要としない。例示的な構成において別個の構成要素として提示される構造および機能は、組み合わせられた構造または構成要素として実装され得る。同様に、単一の構成要素として提示される構造および機能は、別個の構成要素として実装され得る。これらおよび他の変形、修正、追加、および改善は、本明細書の主題の範囲内に入る。
【0064】
本発明の主題の概要を特定の例示的な実施形態を参照して説明してきたが、本開示の実施形態のより広い範囲から逸脱することなく、これらの実施形態に対して様々な修正および変更を行うことができる。本発明の主題のそのような実施形態は本明細書において、単に便宜上、単独で、または集合的に、「発明」という用語によって言及され得、2つ以上が実際に開示される場合、本出願の範囲を任意の単一の開示または発明概念に自発的に限定することを意図するものではない。
【0065】
本明細書に例示される実施形態は、当業者が開示される教示を実施することを可能にするために十分に詳細に説明される。本開示の範囲から逸脱することなく、構造的および論理的な置換および変更が行われ得るように、他の実施形態が使用され、それらから導出され得る。したがって、詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきではなく、様々な実施形態の範囲はそのような特許請求の範囲が権利を与えられる等価物の全範囲とともに、添付の特許請求の範囲によってのみ定義される。
【0066】
本明細書で使用される場合、用語「または」は、包括的または排他的な意味のいずれかで解釈され得る。さらに、複数のインスタンスが、単一のインスタンスとして本明細書で説明されるリソース、動作、または構造のために提供され得る。さらに、様々なリソース、動作、モジュール、エンジン、およびデータストア間の境界はいくぶん任意であり、特定の動作は、特定の例示的な構成の文脈で示される。機能性の他の割り当てが想定され、本開示の様々な実施形態の範囲内に含まれ得る。一般に、例示的な構成において別個のリソースとして提示される構造および機能は、組み合わされた構造またはリソースとして実装され得る。同様に、単一のリソースとして提示される構造および機能は、別個のリソースとして実装され得る。これらおよび他の変形、修正、追加、および改良は、添付の特許請求の範囲によって表される本開示の実施形態の範囲内に入る。したがって、本明細書および図面は、制限的な意味ではなく例示的な意味に考えられるべきである。
【0067】
前述の説明は、説明の目的で、特定の例示的な実施形態を参照して説明されている。しかしながら、上記の例示的な議論は、網羅的であること、または可能な例示的な実施形態を開示された正確な形態に限定することを意図するものではない。上記の教示を考慮して、多くの修正および変形が可能である。例示的な実施形態は、関与する原理およびそれらの実際的な適用を最も良く説明するために選択され、説明され、それによって、他の当業者が企図される特定の使用に適した様々な修正を伴う様々な例示的な実施形態を最も良く利用することを可能にした。
【0068】
本明細書では様々な要素を説明するために「第1」、「第2」などの用語が使用され得るが、これらの要素はこれらの用語によって限定されるべきではないことも理解されよう。これらの用語は、1つの要素を別の要素から区別するためにのみ使用される。例えば、本実施形態の範囲から逸脱することなく、第1接点を第2接点と呼ぶことができ、同様に、第2接点を第1接点と呼ぶことができる。第1接点および第2接点は両方とも接点であるが、それらは同じ接点ではない。
【0069】
本明細書の例示的な実施形態の説明で使用される用語は特定の例示的な実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図していない。例示的な実施形態および添付の実施例の説明で使用されるように、単数形「1つの」などは文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数形も含むことが意図される。本明細書で使用される「および/または」という用語は関連する列挙された項目のうちの1つまたは複数の任意のおよびすべての可能な組合せを指し、それらを包含することも理解されよう。用語「含む」などは本明細書で使用される場合、述べられた特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を指定するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループの存在または追加を排除しないことがさらに理解されよう。
【0070】
本明細書において使用される場合、用語「~ならば」は、文脈に応じて、「~する時」または「~すると」、または「決定に応答して」または「検出に応答して」を意味すると解釈され得る。同様に、「決定された場合」または「[記載された条件または事象]が検出された場合」という語句は、文脈に応じて、「決定すると」または「決定に応じて」または「[記載された条件または事象]を検出すると」または「[記載された条件または事象]の検出に応じて」を意味すると解釈され得る。