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特許7531947化合物、エンドセリンA受容体拮抗剤及び医薬組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】化合物、エンドセリンA受容体拮抗剤及び医薬組成物
(51)【国際特許分類】
   C07D 405/14 20060101AFI20240805BHJP
   C07D 413/14 20060101ALI20240805BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20240805BHJP
   A61K 31/497 20060101ALI20240805BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240805BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20240805BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20240805BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20240805BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20240805BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240805BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20240805BHJP
   A61P 25/02 20060101ALI20240805BHJP
   A61P 27/16 20060101ALI20240805BHJP
   A61P 9/04 20060101ALI20240805BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
C07D405/14 CSP
C07D413/14
A61K31/4439
A61K31/497
A61P43/00 111
A61P9/12
A61P11/00
A61P13/12
A61P1/16
A61P35/00
A61P37/06
A61P25/02
A61P27/16
A61P9/04
A61P9/00
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2023530474
(86)(22)【出願日】2022-06-21
(86)【国際出願番号】 JP2022024638
(87)【国際公開番号】W WO2022270487
(87)【国際公開日】2022-12-29
【審査請求日】2023-08-01
(31)【優先権主張番号】P 2021103047
(32)【優先日】2021-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】519305627
【氏名又は名称】株式会社アークメディスン
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100152331
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100168893
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 正路
(72)【発明者】
【氏名】田中 圭悟
(72)【発明者】
【氏名】二宮 智尚
(72)【発明者】
【氏名】遠又 慶英
【審査官】三木 寛
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/115162(WO,A1)
【文献】特表2015-512879(JP,A)
【文献】特表2006-510605(JP,A)
【文献】特表2003-519230(JP,A)
【文献】特表2002-513397(JP,A)
【文献】特表2001-520643(JP,A)
【文献】特表平11-509175(JP,A)
【文献】特表平08-510744(JP,A)
【文献】特開平08-183786(JP,A)
【文献】特開平06-049046(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 405/14
C07D 413/14
A61K 31/4439
A61P 43/00
A61P 9/12
A61P 11/00
A61P 13/12
A61P 1/16
A61P 35/00
A61P 37/06
A61P 25/02
A61P 27/16
A61P 9/04
A61P 9/00
A61K 31/497
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1):
【化1】
[式中、
1及びR2は、それぞれ独立して、水素若しくはアルキルであり、
3及びR4は、それぞれ独立して、水素若しくはアルキルであるか、又は
3及びR4は、一緒になって、オキソであり、
5~R7は、それぞれ独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、ハロゲン、アルコキシ又はハロアルコキシであり、
8は、それぞれ独立して、アルキル、ハロアルキル又はハロゲンであり、
nは、0~3の整数であり、
Arは、下記式(Ar1)又は(Ar2):
【化2】
(式中、
X及びYは、それぞれ、窒素及び酸素、又は酸素及び窒素であり、
9及びR10は、それぞれ独立して、水素、アルキル、ハロアルキル又はハロゲンであり、
11は、それぞれ独立して、アルキル、ハロアルキル、ハロゲン、アルコキシ又はハロアルコキシであり、
mは、0~3の整数である)
である]
で表される化合物又はその医薬上許容可能な塩。
【請求項2】
1及びR2が、水素である、請求項1に記載の化合物又はその医薬上許容可能な塩。
【請求項3】
5及びR7が、水素であり、R6が、アルキルである、請求項1に記載の化合物又はその医薬上許容可能な塩。
【請求項4】
nが、0である、請求項1に記載の化合物又はその医薬上許容可能な塩。
【請求項5】
Arが、式(Ar1)である、請求項1に記載の化合物又はその医薬上許容可能な塩。
【請求項6】
9及びR10が、アルキルである、請求項1に記載の化合物又はその医薬上許容可能な塩。
【請求項7】
X及びYが、それぞれ、窒素及び酸素である、請求項1に記載の化合物又はその医薬上許容可能な塩。
【請求項8】
X及びYが、それぞれ、酸素及び窒素である、請求項1に記載の化合物又はその医薬上許容可能な塩。
【請求項9】
Arが、式(Ar2)である、請求項1に記載の化合物又はその医薬上許容可能な塩。
【請求項10】
11が、それぞれ独立して、アルキル又はアルコキシである、請求項1に記載の化合物又はその医薬上許容可能な塩。
【請求項11】
mが、2である、請求項1に記載の化合物又はその医薬上許容可能な塩。
【請求項12】
下記化合物:
【化3-1】
【化3-2】
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物又はその医薬上許容可能な塩。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物又はその医薬上許容可能な塩を含む、エンドセリンA受容体拮抗剤。
【請求項14】
エンドセリンB受容体を対照として、エンドセリンA受容体を選択的に阻害する、請求項13に記載のエンドセリンA受容体拮抗剤。
【請求項15】
請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物又はその医薬上許容可能な塩を含む、医薬組成物。
【請求項16】
肺高血圧症、腎症、高血圧、肝炎、がん、疼痛、自己免疫疾患に伴う合併症、心不全、及び血管攣縮からなる群から選択される疾患を予防又は治療するための、請求項15に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化合物、エンドセリンA受容体拮抗剤及び医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
エンドセリン(ET)は、血管内皮細胞に由来するペプチドであり、血管収縮作用を有する。エンドセリンの受容体としては、エンドセリンA(ETA)受容体及びエンドセリンB(ETB)受容体が知られている。ETA受容体は、血管収縮、中枢交感神経活性化、アルドステロン分泌促進等に関与している。ETB受容体は、血管拡張、エンドセリンのクリアランス等に関与している。
【0003】
ETA受容体は、様々な疾患に関連していると報告されている。例えば、肺高血圧症(例えば、非特許文献1及び2)、巣状分節性糸球体硬化症(例えば、非特許文献3)、IgA腎症(例えば非特許文献4)、慢性腎臓病(糖尿病性腎症を含む。)(例えば、非特許文献5及び6)、鎌状赤血症に伴う腎障害(例えば、非特許文献7)、急性腎障害(例えば非特許文献8)、高血圧(例えば、非特許文献9)、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)(例えば、非特許文献10~12)、がん(例えば、非特許文献13)、子宮内膜症に伴う疼痛(例えば、非特許文献14及び15)、強皮症に伴う合併症(例えば、非特許文献16及び17)、脳血管攣縮(例えば、非特許文献18)、及び肥大型心筋症(例えば、非特許文献19)と、ETA受容体との関連が報告されている。
【0004】
ETA受容体拮抗作用を有する様々な化合物が報告されている(例えば、特許文献1~11)。特に、ETA受容体拮抗作用を有するシタキセンタンは、ETB受容体を対照として、ETA受容体を選択的に阻害することが知られており、膠原病に伴う肺高血圧症の臨床試験において有意な薬効を示したこと(非特許文献20)、血中のエンドセリン濃度を増加させないこと(非特許文献21)、及び抹消性浮腫を生じさせないこと(非特許文献22)が報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第5514696号公報
【文献】米国特許第5612359号公報
【文献】国際公開第1996/40681号公報
【文献】国際公開第1996/31492号公報
【文献】国際公開第1998/49162号公報
【文献】国際公開第1998/13366号公報
【文献】国際公開第1998/33780号公報
【文献】国際公開第1998/33781号公報
【文献】国際公開第2001/49685号公報
【文献】国際公開第2004/35057号公報
【文献】国際公開第2013/115162号公報
【0006】
【文献】The New England Journal of Medicine, 2002, 346, pp 896-903.
【文献】International Heart Journal, 2020, 61, pp 799-805.
【文献】Journal of the American society of Nephrology, 2018, 29, pp 2745-2754.
【文献】Nephron, 1996, 72, pp 454-460.
【文献】The Lancet, 2019, 393, pp 1937-1947.
【文献】Hypertension, 2011, 57, pp 772-779.
【文献】Journal of the American society of Nephrology, 2017, 28, pp 2443-2458.
【文献】Transplantation, 2001, 71, pp 211-216.
【文献】Hypertension, 2008, 52, pp 452-459.
【文献】Drug Research, 2015, 65, pp 272-280.
【文献】World Journal of Hepatology, 2016, 8, pp 933-941.
【文献】Digestive Diseases and Sciences, 2007, 52, pp 2622-2628.
【文献】Nature reviews cancer, 2013, 13, pp 637-651.
【文献】European Journal of Pain, 2018, 22, pp 501-510.
【文献】Fertility and Sterility, 1994, 61, pp 1083- 1087.
【文献】Inflammation & Allergy - Drug Targets, 2011, 10, pp 19-26.
【文献】Annals of the Rheumatic Diseases, 2011, 70, pp 32-38.
【文献】Molecular medicine reports, 2018, 18, pp 5229-5236.
【文献】Journal of the American Heart Association, 2014, 3, e001263.
【文献】European Heart Journal, 2008, 29, pp 1936-1948.
【文献】Pharmacological Reviews, 2016, 68, pp. 357-418.
【文献】Annual Review of Pharmacology and Toxicology, 2007, 47, pp 731-759.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、ETA受容体拮抗作用を有する化合物、又は前記化合物を含むETA受容体拮抗剤若しくは医薬組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等が鋭意検討した結果、所定の構造を有する化合物がETA受容体拮抗作用を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
本発明は以下の実施形態を含む。
[1]
下記式(1):
【化1】

[式中、
及びRは、それぞれ独立して、水素若しくはアルキルであり、
及びRは、それぞれ独立して、水素若しくはアルキルであるか、又は
及びRは、一緒になって、オキソであり、
~Rは、それぞれ独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、ハロゲン、アルコキシ又はハロアルコキシであり、
は、それぞれ独立して、アルキル、ハロアルキル又はハロゲンであり、
nは、0~3の整数であり、
Arは、下記式(Ar1)又は(Ar2):
【化2】

(式中、
X及びYは、それぞれ、窒素及び酸素、又は酸素及び窒素であり、
及びR10は、それぞれ独立して、水素、アルキル、ハロアルキル又はハロゲンであり、
11は、それぞれ独立して、アルキル、ハロアルキル、ハロゲン、アルコキシ又はハロアルコキシであり、
mは、0~3の整数である)
である]
で表される化合物又はその医薬上許容可能な塩。
[2]
及びRが、水素である、[1]に記載の化合物又はその医薬上許容可能な塩。
[3]
及びRが、水素であり、Rが、アルキルである、[1]又は[2]に記載の化合物又はその医薬上許容可能な塩。
[4]
nが、0である、[1]~[3]のいずれかに記載の化合物又はその医薬上許容可能な塩。
[5]
Arが、式(Ar1)である、[1]~[4]のいずれかに記載の化合物又はその医薬上許容可能な塩。
[6]
及びR10が、アルキルである、[1]~[5]のいずれかに記載の化合物又はその医薬上許容可能な塩。
[7]
X及びYが、それぞれ、窒素及び酸素である、[1]~[6]のいずれかに記載の化合物又はその医薬上許容可能な塩。
[8]
X及びYが、それぞれ、酸素及び窒素である、[1]~[6]のいずれかに記載の化合物又はその医薬上許容可能な塩。
[9]
Arが、式(Ar2)である、[1]~[4]のいずれかに記載の化合物又はその医薬上許容可能な塩。
[10]
11が、それぞれ独立して、アルキル又はアルコキシである、[1]~[4]及び[9]のいずれかに記載の化合物又はその医薬上許容可能な塩。
[11]
mが、2である、[1]~[4]、[9]及び[10]のいずれかに記載の化合物又はその医薬上許容可能な塩。
[12]
下記化合物:
【化3-1】

【化3-2】

からなる群から選択される、[1]に記載の化合物又はその医薬上許容可能な塩。
[13]
[1]~[12]のいずれかに記載の化合物又はその医薬上許容可能な塩を含む、エンドセリンA受容体拮抗剤。
[14]
エンドセリンB受容体を対照として、エンドセリンA受容体を選択的に阻害する、[13]に記載のエンドセリンA受容体拮抗剤。
[15]
[1]~[12]のいずれかに記載の化合物又はその医薬上許容可能な塩を含む、医薬組成物。
[16]
肺高血圧症、腎症、高血圧、肝炎、がん、疼痛、自己免疫疾患に伴う合併症、心不全、及び血管攣縮からなる群から選択される疾患を予防又は治療するための、[15]に記載の医薬組成物。
【0010】
また、本発明は以下の実施形態も含む。
[A1]
エンドセリンA受容体を阻害する方法であって、その必要のある患者に有効量の[1]~[12]のいずれかに記載の化合物又はその医薬上許容可能な塩を投与することを含む方法。
[A2]
エンドセリンB受容体を対照として、エンドセリンA受容体を選択的に阻害する、[A1]に記載の方法。
[A3]
疾患を予防又は治療する方法であって、その必要のある患者に有効量の[1]~[12]のいずれかに記載の化合物又はその医薬上許容可能な塩を投与することを含む方法。
[A4]
前記疾患が、肺高血圧症、腎症、高血圧、肝炎、がん、疼痛、自己免疫疾患に伴う合併症、心不全、及び血管攣縮からなる群から選択される、[A3]に記載の方法。
【0011】
[B1]
エンドセリンA受容体の阻害に使用するための、[1]~[12]のいずれかに記載の化合物又はその医薬上許容可能な塩。
[B2]
エンドセリンB受容体を対照として、エンドセリンA受容体を選択的に阻害する、[B1]に記載の化合物又はその医薬上許容可能な塩。
[B3]
疾患の予防又は治療に使用するための、[1]~[12]のいずれかに記載の化合物又はその医薬上許容可能な塩。
[B4]
前記疾患が、肺高血圧症、腎症、高血圧、肝炎、がん、疼痛、自己免疫疾患に伴う合併症、心不全、及び血管攣縮からなる群から選択される、[B3]に記載の記載の化合物又はその医薬上許容可能な塩。
【0012】
[C1]
エンドセリンA受容体を阻害するための、[1]~[12]のいずれかに記載の化合物又はその医薬上許容可能な塩の使用。
[C2]
エンドセリンB受容体を対照として、エンドセリンA受容体を選択的に阻害する、[C1]に記載の使用。
[C3]
疾患を予防又は治療するための、[1]~[12]のいずれかに記載の化合物又はその医薬上許容可能な塩の使用。
[C4]
前記疾患が、肺高血圧症、腎症、高血圧、肝炎、がん、疼痛、自己免疫疾患に伴う合併症、心不全、及び血管攣縮からなる群から選択される、[C3]に記載の使用。
【0013】
[D1]
エンドセリンA受容体拮抗剤の製造における、[1]~[12]のいずれかに記載の化合物又はその医薬上許容可能な塩の使用。
[D2]
前記エンドセリンA受容体拮抗剤が、エンドセリンB受容体を対照として、エンドセリンA受容体を選択的に阻害する、[D1]に記載の使用。
[D3]
疾患を予防又は治療するための医薬組成物の製造における、[1]~[12]のいずれかに記載の化合物又はその医薬上許容可能な塩の使用。
[D4]
前記疾患が、肺高血圧症、腎症、高血圧、肝炎、がん、疼痛、自己免疫疾患に伴う合併症、心不全、及び血管攣縮からなる群から選択される、[D3]に記載の使用。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ETA受容体拮抗作用を有する化合物、又は前記化合物を含むETA受容体拮抗剤若しくは医薬組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0016】
<化合物>
本発明の一実施形態は、下記式(1):
【化4】

[式中、
及びRは、それぞれ独立して、水素若しくはアルキルであり、
及びRは、それぞれ独立して、水素若しくはアルキルであるか、又は
及びRは、一緒になって、オキソであり、
~Rは、それぞれ独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、ハロゲン、アルコキシ又はハロアルコキシであり、
は、それぞれ独立して、アルキル、ハロアルキル又はハロゲンであり、
nは、0~3の整数であり、
Arは、下記式(Ar1)又は(Ar2):
【化5】

(式中、
X及びYは、それぞれ、窒素及び酸素、又は酸素及び窒素であり、
及びR10は、それぞれ独立して、水素、アルキル、ハロアルキル又はハロゲンであり、
11は、それぞれ独立して、アルキル、ハロアルキル、ハロゲン、アルコキシ又はハロアルコキシであり、
mは、0~3の整数である)
である]
で表される化合物又はその医薬上許容可能な塩に関する。
【0017】
本明細書において、アルキル(ハロアルキルにおけるアルキルを含む。以下同じ。)は、直鎖状であってもよいし、分岐状であってもよく、環状であってもよい。
本明細書において、アルコキシ(ハロアルコキシにおけるアルコキシを含む。以下同じ。)におけるアルキル部分は、直鎖状であってもよいし、分岐状であってもよく、環状であってもよい。
本明細書において、アルキル及びアルコキシは、置換基で置換されていてもよいし、非置換であってもよい。置換基としては、ハロゲンに加えて、例えば、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、カルボキシル、及びカルボニルが挙げられる。
【0018】
式(1)において、R及びRは、それぞれ独立して、水素若しくはアルキルであり、好ましくは水素である。
及びRのアルキルは、好ましくは炭素数1~6のアルキルであり、より好ましくは炭素数1~3のアルキルであり、更に好ましくはメチルである。
【0019】
式(1)において、R及びRは、それぞれ独立して、水素若しくはアルキルであるか、又はR及びRは、一緒になって、オキソ(=O)であり、好ましくはR及びRは、それぞれ独立して、水素又はアルキルである。
及びRのアルキルは、好ましくは炭素数1~6のアルキルであり、より好ましくは炭素数1~3のアルキルであり、更に好ましくはメチルである。
【0020】
式(1)において、Rは、水素、アルキル、ハロアルキル、ハロゲン、アルコキシ又はハロアルコキシであり、好ましくは水素である。
のアルキルは、好ましくは炭素数1~6のアルキルであり、より好ましくは炭素数1~3のアルキルであり、更に好ましくはメチルである。
のアルコキシは、好ましくは炭素数1~6のアルコキシであり、より好ましくは炭素数1~3のアルコキシであり、更に好ましくはメトキシである。
のハロゲン、並びにハロアルキル及びハロアルコキシにおけるハロは、好ましくはフッ素、塩素、臭素又はヨウ素であり、より好ましくはフッ素又は塩素である。
【0021】
式(1)において、Rは、水素、アルキル、ハロアルキル、ハロゲン、アルコキシ又はハロアルコキシであり、好ましくはアルキルである。
のアルキルは、好ましくは炭素数1~6のアルキルであり、より好ましくは炭素数1~3のアルキルであり、更に好ましくはメチルである。
のアルコキシは、好ましくは炭素数1~6のアルコキシであり、より好ましくは炭素数1~3のアルコキシであり、更に好ましくはメトキシである。
のハロゲン、並びにハロアルキル及びハロアルコキシにおけるハロは、好ましくはフッ素、塩素、臭素又はヨウ素であり、より好ましくはフッ素又は塩素である。
【0022】
式(1)において、Rは、水素、アルキル、ハロアルキル、ハロゲン、アルコキシ又はハロアルコキシであり、好ましくは水素である。
のアルキルは、好ましくは炭素数1~6のアルキルであり、より好ましくは炭素数1~3のアルキルであり、更に好ましくはメチルである。
のアルコキシは、好ましくは炭素数1~6のアルコキシであり、より好ましくは炭素数1~3のアルコキシであり、更に好ましくはメトキシである。
のハロゲン、並びにハロアルキル及びハロアルコキシにおけるハロは、好ましくはフッ素、塩素、臭素又はヨウ素であり、より好ましくはフッ素又は塩素である。
【0023】
式(1)において、Rは、それぞれ独立して、アルキル、ハロアルキル又はハロゲンであり、好ましくはアルキル又はハロゲンである。
のアルキルは、好ましくは炭素数1~6のアルキルであり、より好ましくは炭素数1~3のアルキルであり、更に好ましくはメチルである。
のハロゲン、及びハロアルキルにおけるハロは、好ましくはフッ素、塩素、臭素又はヨウ素であり、より好ましくはフッ素又は塩素である。
【0024】
式(1)において、nは、0~3の整数であり、好ましくは0又は1であり、より好ましくは0である。
【0025】
式(1)において、Arは、上記式(Ar1)又は(Ar2)である。
【0026】
式(Ar1)において、X及びYは、それぞれ、窒素及び酸素、又は酸素及び窒素である。
【0027】
式(Ar1)において、Rは、水素、アルキル、ハロアルキル又はハロゲンであり、好ましくはアルキルである。
のアルキルは、好ましくは炭素数1~6のアルキルであり、より好ましくは炭素数1~3のアルキルであり、更に好ましくはメチルである。
のハロゲン、及びハロアルキルにおけるハロは、好ましくはフッ素、塩素、臭素又はヨウ素であり、より好ましくはフッ素又は塩素である。
【0028】
式(Ar1)において、R10は、水素、アルキル、ハロアルキル又はハロゲンであり、好ましくはアルキルである。
10のアルキルは、好ましくは炭素数1~6のアルキルであり、より好ましくは炭素数1~3のアルキルであり、更に好ましくはメチルである。
10のハロゲン、及びハロアルキルにおけるハロは、好ましくはフッ素、塩素、臭素又はヨウ素であり、より好ましくはフッ素又は塩素である。
【0029】
式(Ar2)において、R11は、それぞれ独立して、アルキル、ハロアルキル、ハロゲン、アルコキシ又はハロアルコキシであり、好ましくはアルキル又はアルコキシであり、より好ましくはアルキル及びアルコキシである。
11のアルキルは、好ましくは炭素数1~6のアルキルであり、より好ましくは炭素数1~3のアルキルであり、更に好ましくはメチルである。
11のアルコキシは、好ましくは炭素数1~6のアルコキシであり、より好ましくは炭素数1~3のアルコキシであり、更に好ましくはメトキシである。
11のハロゲン、並びにハロアルキル及びハロアルコキシにおけるハロは、好ましくはフッ素、塩素、臭素又はヨウ素であり、より好ましくはフッ素又は塩素である。
【0030】
式(Ar2)において、mは、0~3の整数であり、好ましくは2である。
【0031】
式(1)で表される化合物は、特に限定するものではないが、下記の化合物であることが好ましい。
【化6-1】

【化6-2】
【0032】
式(1)で表される化合物の医薬上許容可能な塩は、医薬として使用可能なものであれば特に限定されないが、例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、臭化水素酸塩等の無機酸塩;フマル酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、パルミチン酸塩等の有機酸塩;アルカリ金属塩;及びアルカリ土類金属塩を挙げることができる。
【0033】
式(1)で表される化合物又はその医薬上許容可能な塩は、水和物等の溶媒和物を形成していてもよい。本明細書において、溶媒和物は、式(1)で表される化合物又はその医薬上許容可能な塩に包含されるものとする。
【0034】
式(1)で表される化合物又はその医薬上許容可能な塩に立体異性体(例えば、エナンチオマー及びジアステレオマー)が存在する場合、個々の立体異性体及びこれらの混合物(例えば、ラセミ体)は、式(1)で表される化合物又はその医薬上許容可能な塩に包含されるものとする。
【0035】
式(1)で表される化合物又はその医薬上許容可能な塩の形態は特に限定されない。式(1)で表される化合物又はその医薬上許容可能な塩は、結晶の形態でもよいし、非晶質の形態でもよい。式(1)で表される化合物又はその医薬上許容可能な塩に結晶多形が存在する場合、式(1)で表される化合物又はその医薬上許容可能な塩はいずれの結晶形でもよい。
【0036】
<エンドセリンA受容体拮抗剤>
本発明の一実施形態は、式(1)で表される化合物又はその医薬上許容可能な塩を含む、ETA受容体拮抗剤に関する。エンドセリン受容体には、ETA受容体及びETB受容体が知られているが、ETB受容体を阻害すると血中エンドセリンの上昇、末梢性浮腫の発生等の問題が生じることがある。本実施形態のETA受容体拮抗剤は、好ましくは、エンドセリンB受容体を対照として、エンドセリンA受容体を選択的に阻害することができる。
【0037】
具体的には、ETB受容体阻害濃度(IC50)/ETA受容体阻害濃度(IC50)が、2,000以上であることが好ましく、4,000以上であることがより好ましく、6,000以上であることが更に好ましく、8,000以上であることがより更に好ましく、10,000以上であることが特に好ましい。ETB受容体阻害濃度(IC50)/ETA受容体阻害濃度(IC50)の上限は特に限定されないが、例えば、100,000、80,000、60,000、40,000等としてもよい。ETB受容体阻害濃度、及びETA受容体阻害濃度は、実施例に記載の方法により測定することができる。
【0038】
本実施形態のETA受容体拮抗剤のETA受容体阻害濃度(IC50)は、10nM以下であることが好ましく、8.0nM以下であることがより好ましく、6.0nM以下であることが更に好ましく、4.0nM以下であることがより更に好ましく、2.0nM以下であることが特に好ましい。ETA受容体阻害濃度(IC50)の下限は特に限定されないが、例えば、0.005nM、0.01nM、0.05nM等としてもよい。
【0039】
本実施形態のETA受容体拮抗剤のETB受容体阻害濃度(IC50)は、1,000nM以上であることが好ましく、2,000nM以上であることがより好ましく、3,000nM以上であることが更に好ましく、4,000nM以上であることがより更に好ましく、5,000nM以上であることが特に好ましい。ETB受容体阻害濃度(IC50)の上限は特に限定されないが、例えば、10,000nM、15,000nM、20,000nM等としてもよい。
【0040】
本実施形態のETA受容体拮抗剤を使用することにより、ETA受容体が関連(介在)する疾患を治療及び/又は予防することができる。
【0041】
<医薬組成物>
本発明の一実施形態は、式(1)で表される化合物又はその医薬上許容可能な塩を含む、医薬組成物に関する。
【0042】
本実施形態の医薬組成物が対象とする疾患としては、例えば、肺高血圧症、腎症、高血圧、肝炎、がん、疼痛、自己免疫疾患に伴う合併症、心不全、及び血管攣縮を挙げることができる。
腎症としては、例えば、巣状分節性糸球体硬化症、IgA腎症、慢性腎臓病(糖尿病性腎症を含む。)、及び鎌状赤血症に伴う腎障害を挙げることができる。
肝炎としては、例えば、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)、及びアルコール性肝炎を挙げることができる。
がんとしては、例えば、前立腺がん、扁平上皮がん、非小細胞肺がん、及びメラノーマを挙げることができる。
疼痛としては、例えば、子宮内膜症に伴う疼痛、慢性疼痛、神経因性疼痛、がん性疼痛、及び炎症性疼痛を挙げることができる。
自己免疫疾患に伴う合併症としては、例えば、強皮症に伴う合併症、及び血管炎に伴う合併症を挙げることができる。
心不全としては、例えば、右心不全、左心不全、肥大型心筋症に伴う心不全、拡張型心筋症に伴う心不全、拡張障害型心不全、及び収縮不全型心不全を挙げることができる。
血管攣縮としては、例えば、脳血管攣縮、及び血管攣縮性狭心症を挙げることができる。
【0043】
本実施形態の医薬組成物は、経口的又は非経口的に投与することができる。経口投与用の剤形としては、例えば、錠剤、丸剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、シロップ剤、乳剤、及び懸濁剤が挙げられる。非経口投与用の剤形としては、例えば、注射剤、注入剤、点滴剤、点眼剤及び坐剤が挙げられる。
【0044】
本実施形態の医薬組成物は、必要に応じて、賦形剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、甘味剤、界面活性剤、懸濁化剤、乳化剤、着色剤、保存剤、芳香剤、矯味剤、安定剤、粘稠剤等を含んでいてもよい。
【0045】
本実施形態の医薬組成物の投与量は、患者の状態や体重、化合物の種類、疾患の種類、投与経路等によって異なり、適切な量を医師が決定することができる。
【0046】
<化合物の製造方法>
式(1)で表される化合物又はその医薬上許容可能な塩は、公知の方法を適宜利用して合成することができる。合成方法の一例として、下記のスキームA~Cを挙げることができる。
【化7】

【化8】

【化9】
【0047】
スキームA~Cにおいて、R~R、n及びArは上記のとおりであり、Z及びZはハロゲンであり、Proは保護基である。
【0048】
スキームAにおいて、化合物(1)を、例えば水素化ナトリウムと反応させて化合物(2)を得る(工程1)。化合物(2)を、ハロゲン(例えば、ヨウ素)と反応させて化合物(3)を得る(工程2)。
【0049】
スキームBにおいて、化合物(4)を、アミノ基の保護基(例えば、メトキシメチル基)で保護して化合物(5)を得る(工程3)。化合物(5)を、トリイソプロピルシリルアセチレンと反応させて化合物(6)を得る(工程4)。化合物(6)を、例えばテトラブチルアンモニウムフルオリドと反応させて化合物(7)を得る(工程5)。
【0050】
スキームCにおいて、化合物(3)と化合物(7)とを反応させて化合物(8)を得る(工程6)。化合物(8)を脱保護して、化合物(9)を得る(工程7)。
【0051】
式(1)で表される化合物又はその医薬上許容可能な塩に立体異性体が存在する場合、各異性体を公知の方法で分割することができる。公知の方法としては、例えば、クロマトグラフィー法、酵素法、及び結晶化法を挙げることができる。
【実施例
【0052】
以下、実施例及び比較例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれに限定されるものではない。
【0053】
[製造例1-1]
6-ブロモ-5-メチルイソベンゾフラン-1(3H)-オン
【化10】

3-ブロモ-4-メチル安息香酸(1.5g、7.01mmol)及び1,1-ジブロモメタン(20mL)の混合物にりん酸水素二カリウム(3.6g、21.0mmol)及び酢酸パラジウム(II)(157mg、0.70mmol)を室温で加え、反応混合物を140℃で48時間攪拌した。反応混合物を室温とし、セライトを用いて酢酸エチルで洗浄しながら濾過した。濾液を減圧下溶媒留去し、残渣をエタノールで粉砕洗浄し、標記化合物(1.3g)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 8.09 (s, 1H), 7.37 (s, 1H), 5.23 (s, 2H), 2.53 (s, 3H).
【0054】
[製造例1-2]
6-ブロモ-1,1,5-トリメチル-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン
【化11】

6-ブロモ-5-メチルイソベンゾフラン-1(3H)-オン(1.00g、4.41mmol)及びテトラヒドロフラン(10mL)の混合物にメチルマグネシウムヨージド(3.0Mジエチルエーテル溶液、4.5mL、13.5mmol)を-15℃で加え、同温で2時間攪拌した。反応混合物に氷冷水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下溶媒留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、標記化合物(615mg)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.45 (d, J =5.2 Hz, 1H), 7.20 (d, J =5.2 Hz, 1H), 4.77 (d, J =5.2 Hz, 2H), 2.37 (d, J =5.2 Hz, 3H), 1.68 (d, J =5.2 Hz, 6H).
【0055】
[製造例1-3]
2-クロロ-N-(4,5-ジメチルイソオキサゾール-3-イル)ピリジン-3-スルホンアミド
【化12】

4,5-ジメチルイソオキサゾール-3-アミン(1.0g、8.92mmol)及びピリジン(20.0mL)の混合物に、4-ジメチルアミノピリジン(109mg、0.892mmol)及び2-クロロピリジン-3-スルホニルクロリド(2.84g、13.4mmol)を0℃でゆっくり加え、反応混合物を50℃で16時間攪拌した。反応混合物に氷冷水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。減圧下で溶媒を留去し、標記化合物(1.50g)を粗体として得た。これ以上の精製をすることなく、次の反応に用いた。
ESI-MS: m/z 288.0 [M+1]+
【0056】
[製造例1-4]
2-クロロ-N-(4,5-ジメチルイソオキサゾール-3-イル)-N-(メトキシメチル)ピリジン-3-スルホンアミド
【化13】

2-クロロ-N-(4,5-ジメチルイソオキサゾール-3-イル)ピリジン-3-スルホンアミド(1.80g、6.26mmol)及びDMF(30.0mL)の混合物に、60%水素化ナトリウム(695mg、17.4mmol)を0℃でゆっくり加え、同温で30分間攪拌した。反応混合物にクロロメチルメチルエーテル(1.06mL、13.9mmol)をゆっくり加え、室温で3時間攪拌した。反応混合物に氷冷水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、標記化合物(1.20g)を得た。
ESI-MS: m/z 332.07 [M+1]+
【0057】
[製造例1-5]
N-(4,5-ジメチルイソオキサゾール-3-イル)-N-(メトキシメチル)-2-((トリイソプロピルシリル)エチニル)ピリジン-3-スルホンアミド
【化14】

アルゴン雰囲気下、2-クロロ-N-(4,5-ジメチルイソオキサゾール-3-イル)-N-(メトキシメチル)ピリジン-3-スルホンアミド(400mg、1.21mmol)、トリエチルアミン(0.50mL、3.62mmol)、トリイソプロピルシリルアセチレン(440mg、2.41mmol)及びTHF(5.00mL)の混合物に、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(84.6mg、0.121mmol)及びヨウ化銅(I)(11.5mg、0.0362mmol)を加え、反応混合物を55℃で6時間攪拌した。反応混合物に氷冷水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、標記化合物(0.150g)を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.82 (d, 1H, J = 4.8 Hz), 8.21 (d, 1H, J = 8 Hz), 7.63-7.60 (m, 1H), 5.16 (s, 2H), 3.34 (s, 3H), 2.32 (s, 3H), 1.85 (s, 3H), 1.14 (bs, 21 H).
【0058】
[製造例1-6]
N-(4,5-ジメチルイソオキサゾール-3-イル)-2-エチニル-N-(メトキシメチル)ピリジン-3-スルホンアミド
【化15】

N-(4,5-ジメチルイソオキサゾール-3-イル)-N-(メトキシメチル)-2-((トリイソプロピルシリル)エチニル)ピリジン-3-スルホンアミド(150mg、4.3mmol)及びTHF(3.00mL)の混合物に、テトラブチルアンモニウムフルオリド(1mol/Lテトラヒドロフラン溶液、0.942mL、12.9mmol)を0℃でゆっくり加え、反応混合物を室温で2時間攪拌した。反応混合物に氷冷水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、標記化合物(0.060g)を得た。
ESI-MS: m/z 322.19 [M+1]+
【0059】
[製造例1-7]
N-(4,5-ジメチルイソオキサゾール-3-イル)-N-(メトキシメチル)-2-((3,3,6-トリメチル-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-5-イル)エチニル)ピリジン-3-スルホンアミド
【化16】

アルゴン雰囲気下、N-(4,5-ジメチルイソオキサゾール-3-イル)-2-エチニル-N-(メトキシメチル)ピリジン-3-スルホンアミド(0.4g、1.25mmol)及びN,N-ジメチルホルムアミド(5mL)の混合物に6-ブロモ-1,1,5-トリメチル-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン(0.36g、1.49mmol)、硫酸銅(II)(7.8mg、0.04mmol)、トリエチルアミン(1.04mL、7.48mmol)、アスコルビン酸ナトリウム(24mg、0.12mmol)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(28mg、0.02mmol)を加え、反応混合物を80℃で4時間攪拌した。反応混合物を室温とし、氷冷水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下溶媒留去した。残渣を高速液体クロマトグラフィー(Kinetex F5、(250x50mm)5μm、0.1%トリフルオロ酢酸水溶液/アセトニトリルーメタノール(1:1)混合液)により精製し、標記化合物(615mg)を得た。
ESI-MS: m/z 482.29 [M+1]+
【0060】
[実施例1]
N-(4,5-ジメチルイソオキサゾール-3-イル)-2-((3,3,6-トリメチル-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-5-イル)エチニル)ピリジン-3-スルホンアミド
【化17】

N-(4,5-ジメチルイソオキサゾール-3-イル)-N-(メトキシメチル)-2-((3,3,6-トリメチル-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-5-イル)エチニル)ピリジン-3-スルホンアミド(90mg、0.18mmol)及びメタノール(5mL)の混合物に6mol/L塩酸(1mL)を0℃で加え、反応混合物を50℃で4時間攪拌した。反応混合物を室温とし、氷冷水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下溶媒留去した。残渣を高速液体クロマトグラフィー(Omega Ps C18(250x21.2mm)5μm、0.1%トリフルオロ酢酸水溶液/アセトニトリルーメタノール(1:1)混合液)により精製し、標記化合物(30mg)を得た。
ESI-MS: m/z 438.24 [M+1]+
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 11.06 (s, 1H), 8.83 (d, J =4.8 Hz, 2H), 8.35 (d, J =8 Hz, 1H), 7.66-7.63 (m, 1H), 7.48 (s, 1H), 7.24 (s, 1H), 4.96 (s, 2H), 2.46 (s, 3H), 2.07 (s, 3H), 1.81 (s, 3H), 1.43 (s, 6H).
【0061】
[製造例2-1]
(E)-N’-(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジリデン)アセトヒドラジド
【化18】

2-ヒドロキシ-5-メチルベンズアルデヒド(10g、73.5mmol)及びエタノール(50mL)の混合物にアセトヒドラジド(5.44g、73.5mmol)を室温でゆっくり加え、反応混合物を90℃で16時間攪拌した。反応混合物を減圧下溶媒留去し、残渣をヘキサンで洗浄し、標記化合物(10g)を粗体として得た。これ以上の精製をすることなく、次の反応に用いた。
【0062】
[製造例2-2]
2-アセチル-5-メチルベンズアルデヒド
【化19】

(E)-N’-(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジリデン)アセトヒドラジド(6g、31.3mmol)及びテトラヒドロフラン(90mL)の混合物に酢酸鉛(IV)(15.1g、34.4mmol)を0℃で加え、反応混合物を室温で16時間攪拌した。セライトを用いて酢酸エチルで洗浄しながら濾過し、濾液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下溶媒留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、標記化合物(1.3g)を得た。
ESI-MS: m/z 163.1 [M+1]+
【0063】
[製造例2-3]
1-(2-(ヒドロキシメチル)-4-メチルフェニル)エタン-1-オール
【化20】

2-アセチルー5-メチルベンズアルデヒド(2.5g、15.4mmol)、テトラヒドロフラン(10mL)及びエタノール(30mL)の混合物に水素化ほう素ナトリウム(2.9g、77.2mmol)を0℃で加え、反応混合物を70℃で2時間攪拌した。反応混合物を室温とし、反応混合物に氷冷水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下溶媒留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、標記化合物(1.8g)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.38-7.35 (m, 1H), 7.16 (d, J =2.4 Hz, 2H), 5.19-5.14 (m, 1H), 4.81 (t, J =8 Hz, 1H), 4.63 (d, J =12 Hz, 2H), 2.68 (s, 2H), 2.35 (d, J =4.8 Hz, 3H), 2.45 (d, J =5.2 Hz, 2H).
【0064】
[製造例2-4]
1,5-ジメチル-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン
【化21】

1-(2-(ヒドロキシメチル)-4-メチルフェニル)エタン-1-オール(1.6g、9.64mmol)及びテトラヒドロフラン(16mL)の混合物に、60%水素化ナトリウム(1.07g、11.2mmol)を0℃でゆっくり加え、同温で30分間攪拌した。反応混合物にりん酸トリメチル(3.5g、24.1mmol)を室温で加え、同温で16時間攪拌した。反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下溶媒留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、標記化合物(1.0g)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.12-7.06 (m, 3H), 5.31 (d, J =6.4 Hz, 1H), 5.14-5.01 (m, 2H), 2.39 (s, 3H), 1.50 (d, J =6.4 Hz, 3H).
【0065】
[製造例2-5]
6-ブロモ-1,5-ジメチル-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン
【化22】

1,5-ジメチル-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン(700mg、4.73mmol)及びジクロロメタン(7mL)の混合物に、N-ブロモスクシンイミド(842mg、4.73mmol)及びトリフルオロメタンスルホン酸(700mg、4.73mmol)を0℃で加え、室温で2時間攪拌した。反応混合物に氷冷水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下溶媒留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、標記化合物(0.7g)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.32 (dd, J =8.4 Hz, J =9.2 Hz, 1H), 7.09 (d, J =8 Hz, 1H), 5.29-5.24 (m, 1H), 5.07-5.02 (m, 1H), 4.95 (t, J =7.6 Hz, 1H), 2.41 (d, J =8.4 Hz, 3H), 1.49-1.46 (m, 3H).
【0066】
[製造例2-6]
2-((3,6-ジメチル-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-5-イル)エチニル)-N-(4,5-ジメチルイソオキサゾール-3-イル)-N-(メトキシメチル)ピリジン-3-スルホンアミド
【化23】

アルゴン雰囲気下、N-(4,5-ジメチルイソオキサゾール-3-イル)-2-エチニル-N-(メトキシメチル)ピリジン-3-スルホンアミド(0.7g、2.18mmol)及びN,N-ジメチルホルムアミド(5mL)の混合物に6-ブロモ-1,5-ジメチル-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン(0.54g、2.40mmol)、よう化銅(I)(83mg、0.436mmol)、トリエチルアミン(0.6mL、4.36mmol)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(250mg、0.218mmol)を加え、反応混合物を80℃で4時間攪拌した。反応混合物を室温とし、氷冷水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下溶媒留去した。残渣を高速液体クロマトグラフィー(Luna C8(250x50mm)10μm、0.1%ギ酸水溶液/アセトニトリル)により精製し、標記化合物(50mg)を得た。
ESI-MS: m/z 468.27 [M+1]+
【0067】
[実施例2]
2-((3,6-ジメチル-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-5-イル)エチニル)-N-(4,5-ジメチルイソオキサゾール-3-イル)ピリジン-3-スルホンアミド
【化24】

2-((3,6-ジメチル-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-5-イル)エチニル)-N-(4,5-ジメチルイソオキサゾール-3-イル)-N-(メトキシメチル)ピリジン-3-スルホンアミド(50mg、0.107mmol)及びメタノール(5mL)の混合物に6mol/L塩酸(1mL)を0℃で加え、反応混合物を50℃で4時間攪拌した。反応混合物を室温とし、氷冷水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下溶媒留去した。残渣を高速液体クロマトグラフィー(Luna C8(250x50mm)10μm、0.1%ギ酸水溶液/アセトニトリル)により精製し、標記化合物(22mg)を得た。
ESI-MS: m/z 424.31 [M+1]+
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 11.06 (s, 1H), 8.82 (d, J =4 Hz, 1H), 8.34 (t, J =6.8 Hz, 1H), 7.66-7.62 (m, 1H), 7.47 (d, J =5.2 Hz, 1H), 7.27 (d, J =5.2 Hz, 1H), 5.22 (d, J =9.6 Hz, 1H), 5.05-5.00 (m,1H), 4.95-4.90 (m, 1H), 2.47 (s, 3H), 2.09 (d, J =4.8 Hz, 3H), 1.81 (d, J =4.8 Hz, 3H), 1.42 (t, J =5.2 Hz, 3H).
【0068】
[製造例3-1]
(4-メチル-1,2-フェニレン)ジメタノール
【化25】

5-メチルイソベンゾフラン-1,3-ジオン(100g、617mmol)及びTHF(1000mL)の混合物にジメチルスルフィドボラン(156mL、1.85mol)を0℃でゆっくり加え、反応混合物を80℃で16時間攪拌した。反応混合物を室温とし、反応混合物にメタノールを加え、減圧下で溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、標記化合物(40.0g)を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.23 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 7.18 (br s, 1H), 7.02 (d, 1H, J = 7.6 Hz), 5.02 (t, 1H, J = 5.6 Hz), 4.98 (t, 1H, J = 5.2 Hz), 4.49 (dd, 4H, J = 8.4, 14 Hz), 2.27 (s, 3H).
【0069】
[製造例3-2]
5-メチル-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン
【化26】

(4-メチル-1,2-フェニレン)ジメタノール(40.0g、263mmol)及びDMF(200mL)の混合物に、50%水素化ナトリウム(15.8g、657mmol)を0℃でゆっくり加え、同温で30分間攪拌した。反応混合物にトリメチルホスファート(92.0g、657mmol)をゆっくり加え、室温で3時間攪拌した。反応混合物に氷冷水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、標記化合物(20.50g)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.12 (d, 1H, J = 7.6 Hz), 7.08 (br s, 1H), 7.06 (d, 1H, J = 4.8 Hz), 5.08 (s, 4H), 2.37 (s, 3H).
【0070】
[製造例3-3]
5-ヨード-6-メチル-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン
【化27】

5-メチル-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン(1.00g、7.45mmol)、メタノール(5.00mL)及びエタノール(5.00mL)の混合物に硫酸銀(4.65g、14.9mmol)及びヨウ素(1.89g、14.9mmol)を0℃でゆっくり加え、同温で1時間攪拌した。反応混合物に氷冷水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、標記化合物(0.60g)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.68 (s, 1H), 7.11 (s, 1H), 5.03 (d, 4H, J = 5.2 Hz), 2.44 (s, 3H).
【0071】
[製造例3-4]
N-(4,5-ジメチルイソオキサゾール-3-イル)-N-(メトキシメチル)-2-((6-メチル-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-5-イル)エチニル)ピリジン-3-スルホンアミド
【化28】

アルゴン雰囲気下、N-(4,5-ジメチルイソオキサゾール-3-イル)-2-エチニル-N-(メトキシメチル)ピリジン-3-スルホンアミド(2.50g、7.78mmol)、5-ヨード-6-メチル-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン(2.23g、8.56mmol)、トリエチルアミン(2.19mL、15.6mmol)及びトルエン(30.0mL)の混合物に、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(899mg、0.778mmol)及びヨウ化銅(I)(148mg、0.778mmol)を加え、反応混合物を65℃で6時間攪拌した。反応混合物に氷冷水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、標記化合物(1.60g)を得た。
ESI-MS: m/z 454.27 [M+1]+
【0072】
[実施例3]
N-(4,5-ジメチルイソオキサゾール-3-イル)-2-((6-メチル-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-5-イル)エチニル)ピリジン-3-スルホンアミド
【化29】

N-(4,5-ジメチルイソオキサゾール-3-イル)-N-(メトキシメチル)-2-((6-メチル-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-5-イル)エチニル)ピリジン-3-スルホンアミド(1.00g、2.21mmol)及びメタノール(10.0mL)の混合物に6mol/L塩酸(5.0mL)を室温で加え、反応混合物を60℃で16時間攪拌した。反応混合物を室温とし、減圧下で溶媒を留去した。残渣に酢酸エチルを加え、水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、標記化合物(0.110g)を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 11.03 (s, 1H), 8.82 (dd, 1H, J = 4.8, 1.6 Hz), 8.33 (dd, 1H, J = 8.4, 1.6 Hz), 7.63-7.60 (m, 1H), 7.50 (bs, 1H), 7.29 (bs, 1H), 5.00 (s, 4H), 2.50 (s, 3H), 2.10 (s, 3H), 1.80 (s, 3H).
【0073】
[製造例4-1]
N-(4,5-ジメチルイソオキサゾール-3-イル)-N-(メトキシメチル)-2-((6-メチル-3-オキソ-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-5-イル)エチニル)ピリジン-3-スルホンアミド
【化30】

アルゴン雰囲気下、N-(4,5-ジメチルイソオキサゾール-3-イル)-2-エチニル-N-(メトキシメチル)ピリジン-3-スルホンアミド(0.4g、1.24mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド(5mL)の混合物に6-ブロモ-5-メチルイソベンゾフラン-1(3H)-オン(0.366g、1.61mmol)、よう化銅(I)(47mg、0.24mmol)、トリエチルアミン(0.35mL、2.48mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(143mg、0.12mmol)を加え、反応混合物を80℃で4時間攪拌した。反応混合物を室温とし、氷冷水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下溶媒留去した。残渣を高速液体クロマトグラフィー(Luna C8(250x50mm)10μm、0.1%ギ酸水溶液/アセトニトリル)により精製し、標記化合物(50mg)を得た。
ESI-MS: m/z 468.24 [M+1]+
【0074】
[実施例4]
N-(4,5-ジメチルイソオキサゾール-3-イル)-2-((6-メチル-3-オキソ-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-5-イル)エチニル)ピリジン-3-スルホンアミド
【化31】

N-(4,5-ジメチルイソオキサゾール-3-イル)-N-(メトキシメチル)-2-((6-メチル-3-オキソ-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-5-イル)エチニル)ピリジン-3-スルホンアミド(50mg、0.10mmol)、メタノール(5mL)の混合物に6mol/L塩酸(1mL)を0℃で加え、反応混合物を50℃で4時間攪拌した。反応混合物を室温とし、氷冷水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下溶媒留去した。残渣を高速液体クロマトグラフィー(Luna C18(250x50mm)10μm、0.1%ギ酸水溶液/アセトニトリル)により精製し、標記化合物(12mg)を得た。
ESI-MS: m/z 424.18 [M+1]+
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ11.21 (s, 1H), 8.86 (t, J =5.2 Hz, 1H), 8.37 (t, J =5.2 Hz, 1H), 8.08 (d, J =4.8 Hz, 1H), 7.67 (t, J =4.8 Hz, 2H), 5.45 (d, J =5.2 Hz, 2H), 2.61 (d, J =5.2 Hz, 3H), 2.11 (d, J =5.2 Hz, 3H), 1.81 (d, J =5.2 Hz, 3H).
【0075】
[製造例5-1]
2-((1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-5-イル)エチニル)-N-(4,5-ジメチルイソオキサゾール-3-イル)-N-(メトキシメチル)ピリジン-3-スルホンアミド
【化32】

アルゴン雰囲気下、N-(4,5-ジメチルイソオキサゾール-3-イル)-2-エチニル-N-(メトキシメチル)ピリジン-3-スルホンアミド(250mg、0.778mmol)、トルエン(10mL)の混合物に5-ブロモ-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン(170mg、0.856mmol)、よう化銅(I)(15mg、0.077mmol)、トリエチルアミン(0.22mL、1.56mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(90mg、0.077mmol)を加え、反応混合物を80℃で4時間攪拌した。反応混合物を室温とし、氷冷水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下溶媒留去した。残渣を高速液体クロマトグラフィー(Luna C18(250x50mm)10μm、0.1%ギ酸水溶液/アセトニトリル)により精製し、標記化合物(50mg)を得た。
ESI-MS: m/z 440.27 [M+1]+
【0076】
[実施例5]
2-((1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-5-イル)エチニル)-N-(4,5-ジメチルイソオキサゾール-3-イル)ピリジン-3-スルホンアミド
【化33】

2-((1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-5-イル)エチニル)-N-(4,5-ジメチルイソオキサゾール-3-イル)-N-(メトキシメチル)ピリジン-3-スルホンアミド(100mg、0.227mmol)、メタノール(5mL)の混合物に6mol/L塩酸(1mL)を0℃で加え、反応混合物を50℃で8時間攪拌した。反応混合物を室温とし、氷冷水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、および飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下溶媒留去した。残渣を高速液体クロマトグラフィー(Luna C18(250x50mm)10μm、0.1%ギ酸水溶液/アセトニトリル)により精製し、標記化合物(16mg)を得た。
ESI-MS: m/z 396.23 [M+1]+
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ11.10 (s, 1H), 8.80 (s, 1H), 8.34 (t, J =6.4 Hz, 1H), 7.63 (t, J =13.2 Hz, 1H), 7.57-7.53 (m, 2H), 7.44 (t, J =6.4 Hz, 1H), 5.05 (d, J =8 Hz, 1H), 3.33 (s, 3H), 2.09 (s, 3H), 1.80 (s, 3H).
【0077】
[製造例6-1]
5-クロロ-6-ヨードイソベンゾフラン-1(3H)-オン
【化34】

アルゴン雰囲気下、4-クロロ-3-ヨード安息香酸(1.0g、3.5mmol)、1,1-ジブロモメタン(15mL)、りん酸水素二カリウム(2.25g、10.6mmol)の混合物に酢酸パラジウム(II)(80mg、0.35mmol)を加え、反応混合物を140℃で16時間攪拌した。反応混合物を室温とし、セライトを用いて酢酸エチルで洗浄しながら濾過した。濾液を水、および飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下溶媒留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、標記化合物(0.4g)を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 8.35 (s, 1H), 7.97 (s, 1H), 5.34 (s, 2H).
【0078】
[製造例6-2]
5-クロロ-6-ヨード-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-1-オール
【化35】

5-クロロ-6-ヨードイソベンゾフラン-1(3H)-オン(200mg、0.680mmol)、ジクロロメタン(30mL)の混合物にジイソブチルアルミニウムヒドリド(20%トルエン溶液、1.7mL、2.0mmol)を-78℃で加え、同温で2時間攪拌した。反応混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、セライトを用いて酢酸エチルで洗浄しながら濾過した。濾液を水、および飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下溶媒留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、標記化合物(70mg)を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 7.89 (s, 1H), 7.61 (s,1H) ,6.89 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 6.75 (dd, J = 7.6, 8.0 Hz, 1H) ,4.99 (d, J = 13.6 Hz, 1H), 4.84 (d, J = 12.8 Hz, 1H), 4.83 (d, J = 13.6 Hz, 1H).
【0079】
[製造例6-3]
5-クロロ-6-ヨード-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン
【化36】

5-クロロ-6-ヨード-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-1-オール(300mg、1.01mmol)、ジクロロメタン(26mL)の混合物にトリフルオロ酢酸(0.11mL、1.5mmol)、およびトリエチルシラン(0.4mL、2.6mmol)を室温で加え、同温で4時間攪拌した。反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、ジクロロメタンで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下溶媒留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、標記化合物(200mg)を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 7.90 (s, 1H), 7.56 (s, 1H), 4.94 (s, 4H).
【0080】
[製造例6-4]
2-((6-クロロ-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-5-イル)エチニル)-N-(4,5-ジメチルイソオキサゾール-3-イル)-N-(メトキシメチル)ピリジン-3-スルホンアミド
【化37】

アルゴン雰囲気下、N-(4,5-ジメチルイソオキサゾール-3-イル)-2-エチニル-N-(メトキシメチル)ピリジン-3-スルホンアミド(120mg、0.373mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド(5mL)の混合物に5-クロロ-6-ヨード-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン(126mg、0.448mmol)、よう化銅(I)(7.08mg、0.037mmol)、トリエチルアミン(0.16mL、1.12mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(43mg、0.037mmol)を加え、反応混合物を60℃で2時間攪拌した。反応混合物を室温とし、氷冷水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下溶媒留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、標記化合物(95mg)を得た。
ESI-MS: m/z 473.9 [M+1]+
【0081】
[実施例6]
2-((6-クロロ-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-5-イル)エチニル)-N-(4,5-ジメチルイソオキサゾール-3-イル)ピリジン-3-スルホンアミド
【化38】

2-((6-クロロ-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-5-イル)エチニル)-N-(4,5-ジメチルイソオキサゾール-3-イル)-N-(メトキシメチル)ピリジン-3-スルホンアミド(120mg、0.253mmol)、メタノール(5mL)、アセトニトリル(1mL)の混合物に50%硫酸(1.2mL)を0℃で加え、反応混合物を60℃で2時間攪拌した。反応混合物を室温とし、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下溶媒留去した。残渣を高速液体クロマトグラフィー(Kinetex penta C18(250x50mm)5μm、0.1%トリフルオロ酢酸水溶液/アセトニトリル)により精製し、標記化合物(40mg)を得た。
ESI-MS: m/z 430.01 [M+1]+
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 11.08 (s, 1H), 8.84 (d, J = 4.0 Hz, 1H), 8.34 (d, J= 8.4 Hz, 1H), 7.69-7.65 (m, 1H), 7.64 (s,1H) ,7.61 (s,1H), 4.14 (s, 4H), 2.11 (s, 3H), 1.79 (s,3H).
【0082】
[製造例7-1]
2-(2-(ヒドロキシメチル)-4-メチルフェニル)プロパン-2-オール
【化39】

5-メチルイソベンゾフラン-1(3H)-オン(2.40g、16.2mmol)、テトラヒドロフラン(30mL)の混合物にメチルマグネシウムブロミド(3.0Mエーテル溶液、16.2mL、48.6mmol)を0℃で加え、室温で3時間攪拌した。反応混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下溶媒留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、標記化合物(1.30g)を得た。
1H NMR (400Hz, DMSO-d6) δ 7.30 (s, 1H), 7.19 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 6.95 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 5.09 (s, 1H), 4.98 (t, J = 5.6 Hz, 1H), 4.75 (d, J = 5.6 Hz, 2H), 2.25 (s, 3H), 1.46 (s, 6H).
【0083】
[製造例7-2]
1,1,5-トリメチル-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン
【化40】

2-(2-(ヒドロキシメチル)-4-メチルフェニル)プロパン-2-オール(1.30g、7.22mmol)とテトラヒドロフラン(20mL)の混合物に、50%水素化ナトリウム(0.69g、14.4mmol)を0℃でゆっくり加え、室温で1時間攪拌した。反応混合物にりん酸トリメチル(2.01g、14.4mmol)を室温でゆっくり加え、同温で4時間攪拌した。反応混合物に氷冷水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下溶媒留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、標記化合物(0.60g)を得た。
1H NMR (400Hz, DMSO-d6) δ 7.11 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.04 (t, J = 4.8 Hz, 2H), 4.89 (s, 2H), 2.29 (s, 3H), 1.37 (s, 6H).
【0084】
[製造例7-3]
6-ヨード-1,1,5-トリメチル-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン
【化41】

1,1,5-トリメチル-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン(0.60g、3.7mmol)とジクロロメタン(10mL)の混合物に、N-ヨードスクシンイミド(1.60g、7.40mmol)、トリフルオロメタンスルホン酸(1.10g、7.40mmol)を0℃でゆっくり加え、同温で2時間攪拌した。反応混合物に10%チオ硫酸ナトリウム水溶液を加え、ジクロロメタンで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下溶媒留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、標記化合物(0.30g)を得た。
1H NMR (400Hz, DMSO-d6) δ 7.71 (s, 1H), 7.22 (s, 1H), 4.86 (s, 2H), 2.35 (s, 3H), 1.38 (s, 6H).
【0085】
[製造例7-4]
2-クロロ-N-(4-クロロ-5-メチルイソオキサゾール-3-イル)ピリジン-3-スルホンアミド
【化42】

4-クロロ-5-メチルイソオキサゾール-3-アミン(2.98g、22.6mmol)とピリジン(50mL)との混合物に、4-ジメチルアミノピリジン(0.69g、5.66mmol)、2-クロロピリジン-3-スルホニル クロリド(4.0g、18.8mmol)を0℃でゆっくり加え、反応混合物を55℃で16時間攪拌した。反応混合物に氷冷水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を2N塩酸、および飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。減圧下溶媒留去し、標記化合物(1.90g)を粗体として得た。これ以上の精製をすることなく、次の反応に用いた。
ESI-MS: m/z 307.98 [M+1]+
【0086】
[製造例7-5]
2-クロロ-N-(4-クロロ-5-メチルイソオキサゾール-3-イル)-N-(メトキシメチル)ピリジン-3-スルホンアミド
【化43】

2-クロロ-N-(4-クロロ-5-メチルイソオキサゾール-3-イル)ピリジン-3-スルホンアミド(1.90g、6.98mmol)とN,N-ジメチルホルムアミド(20.0mL)の混合物に、50%水素化ナトリウム(594mg、12.3mmol)を0℃でゆっくり加え、同温で30分間攪拌した。反応混合物にクロロメチルメチルエーテル(0.69mL、9.28mmol)をゆっくり加え、室温で3時間攪拌した。反応混合物に氷冷水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下溶媒留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、標記化合物(1.0g)を得た。
1H NMR (400Hz, DMSO-d6) δ 8.71 (d, J = 4.4 Hz, 1H), 8.39 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.66 (dd, J = 7.6 Hz, 4.8 Hz, 1H), 5.20 (s, 2H), 3.39 (s, 3H), 2.43 (s, 3H).
【0087】
[製造例7-6]
N-(4-クロロ-5-メチルイソオキサゾール-3-イル)-N-(メトキシメチル)-2-((トリイソプロピルシリル)エチニル)ピリジン-3-スルホンアミド
【化44】

アルゴン雰囲気下、2-クロロ-N-(4-クロロ-5-メチルイソオキサゾール-3-イル)-N-(メトキシメチル)ピリジン-3-スルホンアミド(1.20g、3.41mmol)、トリエチルアミン(1.44mL、10.2mmol)、トリイソプロピルシリルアセチレン(1.24g、6.83mmol)、テトラヒドロフラン(15mL)の混合物に、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(239mg、0.34mmol)、ヨウ化銅(I)(20mg、0.10mmol)を加え、反応混合物を55℃で6時間攪拌した。反応混合物を室温とし、氷冷水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下溶媒留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、標記化合物(0.70g)を得た。
1H NMR (400Hz, DMSO-d6) δ 8.83 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 8.28 (t, J =7.2 Hz, 1H), 7.62-7.66 (m, 1H), 5.19 (s, 2H), 3.33 (d, J = 6.0 Hz, 3H), 2.43 (s, 3H), 1.10 (d, J = 3.6 Hz, 21H).
【0088】
[製造例7-7]
N-(4-クロロ-5-メチルイソオキサゾール-3-イル)-2-エチニル-N-(メトキシメチル)ピリジン-3-スルホンアミド
【化45】

N-(4-クロロ-5-メチルイソオキサゾール-3-イル)-N-(メトキシメチル)-2-((トリイソプロピルシリル)エチニル)ピリジン-3-スルホンアミド(0.70g、1.4mmol)、テトラヒドロフラン(10mL)の混合物に、テトラブチルアンモニウムフルオリド (1mol/Lテトラヒドロフラン溶液、2.81mL、2.81mmol)を0℃でゆっくり加え、反応混合物を室温で2時間攪拌した。反応混合物に氷冷水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下溶媒留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、標記化合物(0.38g)を得た。
ESI-MS: m/z 342.15 [M+1]+
【0089】
[製造例7-8]
N-(4-クロロ-5-メチルイソオキサゾール-3-イル)-N-(メトキシメチル)-2-((3,3,6-トリメチル-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-5-イル)エチニル)ピリジン-3-スルホンアミド
【化46】

アルゴン雰囲気下、N-(4-クロロ-5-メチルイソオキサゾール-3-イル)-2-エチニル-N-(メトキシメチル)ピリジン-3-スルホンアミド(0.38g、1.11mmol)、トルエン(5mL)の混合物に6-ヨード-1,1,5-トリメチル-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン(0.32g、1.11mmol)、よう化銅(I)(6.35mg、0.03mmol)、トリエチルアミン(0.46mL、3.34mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(128mg、0.11mmol)を加え、反応混合物を65℃で6時間攪拌した。反応混合物を室温とし、水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下溶媒留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、標記化合物(0.25g)を得た。
ESI-MS: m/z 502.10 [M+1]+
【0090】
[実施例7]
N-(4-クロロ-5-メチルイソオキサゾール-3-イル)-2-((3,3,6-トリメチル-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-5-イル)エチニル)ピリジン-3-スルホンアミド
【化47】

N-(4-クロロ-5-メチルイソオキサゾール-3-イル)-N-(メトキシメチル)-2-((3,3,6-トリメチル-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-5-イル)エチニル)ピリジン-3-スルホンアミド(0.25g、0.49mmol)、メタノール(3mL)の混合物に6mol/L塩酸(3mL)を0℃で加え、反応混合物を60℃で16時間攪拌した。反応混合物を減圧下溶媒留去し、残渣に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下溶媒留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、標記化合物(35mg)を得た。
ESI-MS: m/z 458.08 [M+1]+
1H-NMR (400Hz, DMSO-d6) δ 8.52 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 8.19 (d, J = 8.0, 1H), 7.46 (s, 1H), 7.39 (dd, J = 8.0, 4.8 Hz, 1H), 7.18 (s, 1H), 4.94 (s, 2H), 2.54 (s, 3H), 2.11 (s, 3H), 1.42 (s, 6H).
【0091】
[製造例8-1]
2-クロロ-N-(3,4-ジメチルイソオキサゾール-5-イル)ピリジン-3-スルホンアミド
【化48】

3,4-ジメチルイソオキサゾール-5-アミン(1.0g、8.9mmol)とピリジン(10mL)との混合物に、4-ジメチルアミノピリジン(108mg、0.89mmol)、2-クロロピリジン-3-スルホニル クロリド(2.8g、13.2mmol)を室温でゆっくり加え、反応混合物を50℃で16時間攪拌した。反応混合物に氷冷水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を2N塩酸で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下溶媒留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、標記化合物(2.0g)を得た。
ESI-MS: m/z 287.9 [M+1]+
【0092】
[製造例8-2]
2-クロロ-N-(3,4-ジメチルイソオキサゾール-5-イル)-N-(メトキシメチル)ピリジン-3-スルホンアミド
【化49】

2-クロロ-N-(3,4-ジメチルイソオキサゾール-5-イル)ピリジン-3-スルホンアミド(2.0g、7.0mmol)とN,N-ジメチルホルムアミド(10mL)の混合物に、60%水素化ナトリウム(334mg、13.9mmol)を0℃でゆっくり加え、同温で30分間攪拌した。反応混合物にクロロメチルメチルエーテル(0.83g、10.5mmol)をゆっくり加え、室温で2時間攪拌した。反応混合物に氷冷水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下溶媒留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、標記化合物(2.0g)を得た。
ESI-MS: m/z 332.18 [M+1]+
【0093】
[製造例8-3]
N-(3,4-ジメチルイソオキサゾール-5-イル)-N-(メトキシメチル)-2-((トリイソプロピルシリル)エチニル)ピリジン-3-スルホンアミド
【化50】

アルゴン雰囲気下、2-クロロ-N-(3,4-ジメチルイソオキサゾール-5-イル)-N-(メトキシメチル)ピリジン-3-スルホンアミド(2.0g、6.0mmol)、トリエチルアミン(1.8g、18mmol)、トリイソプロピルシリルアセチレン(1.65g、9.06mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド(10mL)の混合物に、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(150mg、0.604mmol)、ヨウ化銅(I)(114mg、0.604mmol)を加え、反応混合物を100℃で16時間攪拌した。反応混合物を室温とし、氷冷水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下溶媒留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、標記化合物(1.5g)を得た。
ESI-MS: m/z 478.1 [M+1]+
【0094】
[製造例8-4]
N-(3,4-ジメチルイソオキサゾール-5-イル)-2-エチニル-N-(メトキシメチル)ピリジン-3-スルホンアミド
【化51】

N-(3,4-ジメチルイソオキサゾール-5-イル)-N-(メトキシメチル)-2-((トリイソプロピルシリル)エチニル)ピリジン-3-スルホンアミド(1.0g、2.1mmol)、テトラヒドロフラン(10mL)の混合物に、テトラブチルアンモニウムフルオリド(1mol/Lテトラヒドロフラン溶液、3.1mL、3.1mmol)を0℃でゆっくり加え、反応混合物を室温で1時間攪拌した。反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下溶媒留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、標記化合物(350mg)を得た。
ESI-MS: m/z 322.0 [M+1]+
【0095】
[製造例8-5]
N-(3,4-ジメチルイソオキサゾール-5-イル)-N-(メトキシメチル)-2-((3,3,6-トリメチル-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-5-イル)エチニル)ピリジン-3-スルホンアミド
【化52】

アルゴン雰囲気下、N-(3,4-ジメチルイソオキサゾール-5-イル)-2-エチニル-N-(メトキシメチル)ピリジン-3-スルホンアミド(300mg、0.93mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド(3mL)の混合物に6-ヨード-1,1,5-トリメチル-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン(296mg、1.02mmol)、よう化銅(I)(17mg、0.09mmol)、トリエチルアミン(282mg、2.79mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(103mg、0.09mmol)を加え、反応混合物を室温で1時間攪拌した。反応混合物に、氷冷水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下溶媒留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、標記化合物(250mg)を得た。
ESI-MS: m/z 482.39 [M+1]+
【0096】
[実施例8]
N-(3,4-ジメチルイソオキサゾール-5-イル)-2-((3,3,6-トリメチル-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-5-イル)エチニル)ピリジン-3-スルホンアミド
【化53】

N-(3,4-ジメチルイソオキサゾール-5-イル)-N-(メトキシメチル)-2-((3,3,6-トリメチル-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-5-イル)エチニル)ピリジン-3-スルホンアミド(200mg、0.415mmol)、メタノール(4mL)の混合物に50%硫酸(4mL)を0℃で加え、反応混合物を50℃で1時間攪拌した。反応混合物を減圧下溶媒留去し、残渣に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下溶媒留去した。残渣を高速液体クロマトグラフィー(Luna C18(250x50mm)10μm、0.1%ギ酸水溶液/アセトニトリル)により精製し、標記化合物(60mg)を得た。
ESI-MS: m/z 438.31 [M+1]+
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 11.25 (s, 1H), 8.79 (s, 1H), 8.30 (d, J= 7.2 Hz, 1H), 7.609 (s, 1H), 7.390 (s, 1H), 7.224 (s, 1H), 4.95 (s, 2H), 2.46 (s, 3H),1.82 (s, 3H), 1.66 (s, 3H), 1.43 (s, 6H).
【0097】
[製造例9-1]
2-クロロ-N-(4-クロロ-3-メチルイソオキサゾール-5-イル)ピリジン-3-スルホンアミド
【化54】

4-クロロ-3-メチルイソオキサゾール-5-アミン(1.5g、11.4mmol)とテトラヒドロフラン(15mL)の混合物に、60%水素化ナトリウム(909mg、22.7mmol)、および2-クロロピリジン-3-スルホニル クロリド(2.89g、13.6mmol)を0℃でゆっくり加え、室温で1時間攪拌した。反応混合物に氷冷水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下溶媒留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、標記化合物(2.5g)を得た。
ESI-MS: m/z 307.9 [M+1]+
【0098】
[製造例9-2]
2-クロロ-N-(4-クロロ-3-メチルイソオキサゾール-5-イル)-N-(メトキシメチル)ピリジン-3-スルホンアミド
【化55】

2-クロロ-N-(4-クロロ-3-メチルイソオキサゾール-5-イル)ピリジン-3-スルホンアミド(1.8g、5.8mmol)とN,N-ジメチルホルムアミド(20mL)の混合物に、60%水素化ナトリウム(467mg、11.7mmol)を0℃でゆっくり加え、同温で30分間攪拌した。反応混合物にクロロメチルメチルエーテル(0.54mL、8.8mmol)をゆっくり加え、室温で2時間攪拌した。反応混合物に氷冷水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下溶媒留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、標記化合物(1.3g)を得た。
ESI-MS: m/z 352.27 [M+1]+
【0099】
[製造例9-3]
N-(4-クロロ-3-メチルイソオキサゾール-5-イル)-N-(メトキシメチル)-2-((トリイソプロピルシリル)エチニル)ピリジン-3-スルホンアミド
【化56】

アルゴン雰囲気下、2-クロロ-N-(4-クロロ-3-メチルイソオキサゾール-5-イル)-N-(メトキシメチル)ピリジン-3-スルホンアミド(1.3g、3.7mmol)、トリエチルアミン(1.46mL、11.1mmol)、トリイソプロピルシリルアセチレン(0.8g、4.4mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド(6.5mL)の混合物に、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(134mg、0.184mmol)、ヨウ化銅(I)(140mg、0.738mmol)を加え、反応混合物を100℃で4時間攪拌した。反応混合物を室温とし、セライトを用いて酢酸エチルで洗浄しながら濾過した。濾液を水、および飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下溶媒留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、標記化合物(600mg)を得た。
ESI-MS: m/z 498.51 [M+1]+
【0100】
[製造例9-4]
N-(4-クロロ-3-メチルイソオキサゾール-5-イル)-2-エチニル-N-(メトキシメチル)ピリジン-3-スルホンアミド
【化57】

N-(4-クロロ-3-メチルイソオキサゾール-5-イル)-N-(メトキシメチル)-2-((トリイソプロピルシリル)エチニル)ピリジン-3-スルホンアミド(600mg、1.20mmol)、テトラヒドロフラン(10mL)の混合物に、テトラブチルアンモニウムフルオリド(1mol/Lテトラヒドロフラン溶液、1.2mL、1.2mmol)を0℃でゆっくり加え、反応混合物を室温で2時間攪拌した。反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下溶媒留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、標記化合物(220mg)を得た。
ESI-MS: m/z 342.0 [M+1]+
【0101】
[製造例9-5]
N-(4-クロロ-3-メチルイソオキサゾール-5-イル)-N-(メトキシメチル)-2-((3,3,6-トリメチル-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-5-イル)エチニル)ピリジン-3-スルホンアミド
【化58】

アルゴン雰囲気下、N-(4-クロロ-3-メチルイソオキサゾール-5-イル)-2-エチニル-N-(メトキシメチル)ピリジン-3-スルホンアミド(250mg、0.73mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド(5mL)の混合物に6-ヨード-1,1,5-トリメチル-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン(232mg、0.81mmol)、よう化銅(I)(27mg、0.15mmol)、トリエチルアミン(0.48mL、3.66mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(84mg、0.073mmol)を加え、反応混合物を室温で30分間攪拌した。反応混合物に、氷冷水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下溶媒留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、標記化合物(200mg)を得た。
ESI-MS: m/z 502.56 [M+1]+
【0102】
[実施例9]
N-(4-クロロ-3-メチルイソオキサゾール-5-イル)-2-((3,3,6-トリメチル-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-5-イル)エチニル)ピリジン-3-スルホンアミド
【化59】

N-(4-クロロ-3-メチルイソオキサゾール-5-イル)-N-(メトキシメチル)-2-((3,3,6-トリメチル-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-5-イル)エチニル)ピリジン-3-スルホンアミド(200mg、0.39mmol)、メタノール(2mL)の混合物に50%硫酸(2mL)を0℃で加え、反応混合物を室温で16時間攪拌した。反応混合物を減圧下溶媒留去し、残渣に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下溶媒留去した。残渣をジエチルエーテルから再結晶し、標記化合物(35mg)を得た。
ESI-MS: m/z 458.36 [M+1]+
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 8.69 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 8.30 (dd, J = 8.0 Hz, 1.2 Hz, 1H), 7.55 - 7.52 (m, 1H), 7.49 (s, 1H), 7.07 (s, 1H), 4.94 (s, 2H), 2.49 (s, 3H), 1.89 (s, 3H), 1.42 (s, 6H).
【0103】
[製造例10-1]
2-クロロ-N-(3-メトキシ-5-メチルピラジン-2-イル)ピリジン-3-スルホンアミド
【化60】

3-メトキシ-5-メチルピラジン-2-アミン(0.2g、1.4mmol)とピリジン(5mL)との混合物に、4-ジメチルアミノピリジン(17.5mg、0.143mmol)、2-クロロピリジン-3-スルホニル クロリド(366mg、1.73mmol)を室温でゆっくり加え、反応混合物を70℃で16時間攪拌した。反応混合物を室温とし、氷冷水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を6N塩酸で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下溶媒留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、標記化合物(0.16g)を得た。
ESI-MS: m/z 315.0 [M+1]+
【0104】
[製造例10-2]
2-クロロ-N-(3-メトキシ-5-メチルピラジン-2-イル)-N-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)ピリジン-3-スルホンアミド
【化61】

2-クロロ-N-(3-メトキシ-5-メチルピラジン-2-イル)ピリジン-3-スルホンアミド(50mg、0.16mmol)とN,N-ジメチルホルムアミド(2mL)の混合物に、炭酸カリウム(44mg、0.32mmol)を0℃でゆっくり加え、同温で30分間攪拌した。反応混合物に2-(トリメチルシリル)エトキシメチルクロリド(0.1mL、0.24mmol)をゆっくり加え、室温で30分間攪拌した。反応混合物に氷冷水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下溶媒留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、標記化合物(40mg)を得た。
ESI-MS: m/z 445.0 [M+1]+
【0105】
[製造例10-3]
N-(3-メトキシ-5-メチルピラジン-2-イル)-2-((トリイソプロピルシリル)エチニル)-N-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)ピリジン-3-スルホンアミド
【化62】

アルゴン雰囲気下、2-クロロ-N-(3-メトキシ-5-メチルピラジン-2-イル)-N-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)ピリジン-3-スルホンアミド(0.4g、0.9mmol)、トリエチルアミン(0.4mL、2.7mmol)、トリイソプロピルシリルアセチレン(0.3mL、1.3mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド(5mL)の混合物に、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(63mg、0.089mmol)、ヨウ化銅(I)(34.2mg、0.179mmol)を加え、反応混合物を100℃で5時間攪拌した。反応混合物を室温とし、セライトを用いて酢酸エチルで洗浄しながら濾過した。濾液を水、および飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下溶媒留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、標記化合物(160mg)を得た。
ESI-MS: m/z 591.55 [M+1]+
【0106】
[製造例10-4]
2-エチニル-N-(3-メトキシ-5-メチルピラジン-2-イル)-N-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)ピリジン-3-スルホンアミド
【化63】

N-(3-メトキシ-5-メチルピラジン-2-イル)-2-((トリイソプロピルシリル)エチニル)-N-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)ピリジン-3-スルホンアミド(0.16g、0.27mmol)、テトラヒドロフラン(5mL)の混合物に、テトラブチルアンモニウムフルオリド(1mol/Lテトラヒドロフラン溶液、0.27mL、0.27mmol)を0℃でゆっくり加え、反応混合物を室温で2時間攪拌した。反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下溶媒留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、標記化合物(80mg)を得た。
ESI-MS: m/z 435.2 [M+1]+
【0107】
[製造例10-5]
N-(3-メトキシ-5-メチルピラジン-2-イル)-2-((3,3,6-トリメチル-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-5-イル)エチニル)-N-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)ピリジン-3-スルホンアミド
【化64】

アルゴン雰囲気下、2-エチニル-N-(3-メトキシ-5-メチルピラジン-2-イル)-N-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)ピリジン-3-スルホンアミド(200mg、0.460mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド(5mL)の混合物に6-ヨード-1,1,5-トリメチル-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン(146mg、0.506mmol)、よう化銅(I)(9mg、0.046mmol)、トリエチルアミン(0.2mL、1.38mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(53mg、0.046mmol)を加え、反応混合物を室温で1時間攪拌した。反応混合物に、氷冷水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下溶媒留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、標記化合物(170mg)を得た。
ESI-MS: m/z 595.4 [M+1]+
【0108】
[実施例10]
N-(3-メトキシ-5-メチルピラジン-2-イル)-2-((3,3,6-トリメチル-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-5-イル)エチニル)ピリジン-3-スルホンアミド
【化65】

N-(3-メトキシ-5-メチルピラジン-2-イル)-2-((3,3,6-トリメチル-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-5-イル)エチニル)-N-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)ピリジン-3-スルホンアミド(200mg、0.336mmol)、メタノール(5mL)の混合物に50%硫酸(3mL)を0℃で加え、反応混合物を60℃で1時間攪拌した。反応混合物を減圧下溶媒留去し、残渣に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下溶媒留去した。残渣を高速液体クロマトグラフィー(Luna C18(250x50mm)10μm、0.1%ギ酸水溶液/アセトニトリル)により精製し、標記化合物(35mg)を得た。
ESI-MS: m/z 465.35 [M+1]+
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 10.98 (s, 1H), 8.79 (d, J = 4.0 Hz, 1H), 8.36 (dd, J = 1.6, 8.0 Hz, 1H), 7.62 (dd, J = 4.8,8.4 Hz, 1H) 7.51 (s, 1H), 7.22 (s,1H), 4.95 (s, 2H), 3.80 (s, 3H), 2.44 (s, 3H), 2.22 (s, 3H), 1.44 (s, 6H).
【0109】
[製造例11-1]
(E)-N’-(2-ヒドロキシ-4-メチルベンジリデン)アセトヒドラジド
【化66】

2-ヒドロキシ-4-メチルベンズアルデヒド(3.0g、22mmol)とエタノール(40mL)との混合物に、アセトヒドラジド(1.64g、22.1mmol)を室温で加え、反応混合物を90℃で16時間攪拌した。反応混合物を減圧下溶媒留去し、残渣をヘキサンで洗浄し、標記化合物(3.0g)を粗体として得た。これ以上の精製をすることなく、次の反応に用いた。
【0110】
[製造例11-2]
2-アセチル-4-メチルベンズアルデヒド
【化67】

(E)-N’-(2-ヒドロキシ-4-メチルベンジリデン)アセトヒドラジド(4.6g、24mmol)、テトラヒドロフラン(50mL)の混合物に酢酸鉛(IV)(11.7g、26.3mmol)を0℃で加え、反応混合物を室温で16時間攪拌した。セライトを用いて酢酸エチルで洗浄しながら濾過し、濾液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下溶媒留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、標記化合物(2.0g)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ10.19 (d, J =4 Hz, 1H), 7.84-7.81 (m, 1H), 7.46 (t, J =6.8 Hz, 2H), 2.65 (d, J =4 Hz, 3H), 2.50 (d, J =3.6 Hz, 3H).
【0111】
[製造例11-3]
1-(2-(ヒドロキシメチル)-5-メチルフェニル)エタン-1-オール
【化68】

2-アセチル-4-メチルベンズアルデヒド(1.4g、8.0mmol)、テトラヒドロフラン(3.8mL)、エタノール(11.2mL)の混合物に水素化ほう素ナトリウム(1.5g、40mmol)を0℃で加え、反応混合物を70℃で2時間攪拌した。反応混合物を室温とし、反応混合物に氷冷水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下溶媒留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、標記化合物(0.85g)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ7.27 (s, 1H), 7.20 (d, J =7.6 Hz, 1H), 6.83(d, J =7.2 Hz, 1H), 5.01-4.91 (m, 3H), 4.53-4.46 (m, 2H), 2.27 (s, 3H), 1.28 (d, J =6.4 Hz, 3H).
【0112】
[製造例11-4]
1,6-ジメチル-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン
【化69】

1-(2-(ヒドロキシメチル)-5-メチルフェニル)エタン-1-オール(0.90g、5.4mmol)とテトラヒドロフラン(10mL)の混合物に、60%水素化ナトリウム(0.52g、13.6mmol)を0℃でゆっくり加え、同温で30分間攪拌した。反応混合物にりん酸トリメチル(1.5mL、13.6mmol)を室温で加え、同温で16時間攪拌した。反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下溶媒留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、標記化合物(0.6g)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ7.12-7.07 (m, 2H), 6.98 (d, J =5.2 Hz, 1H), 5.31-5.28 (m, 1H), 5.13-5.00 (m, 2H), 2.39 (d, J =5.2 Hz, 3H), 1.52-1.48 (m, 3H).
【0113】
[製造例11-5]
5-ブロモ-1,6-ジメチル-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン
【化70】

1,6-ジメチル-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン(600mg、4.05mmol)とジクロロメタン(10mL)の混合物に、N-ブロモスクシンイミド(721mg、4.05mmol)、トリフルオロメタンスルホン酸(1.8g、12.2mmol)を0℃で加え、室温で2時間攪拌した。反応混合物に氷冷水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下溶媒留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、標記化合物(0.3g)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ7.51 (d, J =5.2Hz, 1H), 7.26 (d, J =5.2 Hz, 1H), 5.17-5.12 (m, 1H), 4.96 (d, J =12.8 Hz, 1H), 4.88-4.84 (m, 1H), 2.35 (d, J =5.2 Hz, 3H), 1.37 (t, J =6 Hz, 3H).
【0114】
[製造例11-6]
2-((1,6-ジメチル-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-5-イル)エチニル)-N-(4,5-ジメチルイソオキサゾール-3-イル)-N-(メトキシメチル)ピリジン-3-スルホンアミド
【化71】

アルゴン雰囲気下、N-(4,5-ジメチルイソオキサゾール-3-イル)-2-エチニル-N-(メトキシメチル)ピリジン-3-スルホンアミド(0.40g、1.24mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド(5mL)の混合物に5-ブロモ-1,6-ジメチル-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン(0.337g、1.49mmol)、よう化銅(I)(47mg、0.249mmol)、トリエチルアミン(0.36mL、2.49mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(143mg、0.124mmol)を加え、反応混合物を80℃で4時間攪拌した。反応混合物を室温とし、水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下溶媒留去した。残渣を高速液体クロマトグラフィー(Luna C18(250x50mm)10μm、0.1%ギ酸水溶液/アセトニトリル)により精製し、標記化合物(25mg)を得た。
ESI-MS: m/z 468.23 [M+1]+
【0115】
[実施例11]
2-((1,6-ジメチル-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-5-イル)エチニル)-N-(4,5-ジメチルイソオキサゾール-3-イル)ピリジン-3-スルホンアミド
【化72】

2-((1,6-ジメチル-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-5-イル)エチニル)-N-(4,5-ジメチルイソオキサゾール-3-イル)-N-(メトキシメチル)ピリジン-3-スルホンアミド(30mg、0.064mmol)、メタノール(5mL)の混合物に6mol/L塩酸(0.5mL)を0℃で加え、反応混合物を50℃で4時間攪拌した。反応混合物を室温とし、氷冷水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、および飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下溶媒留去した。残渣を高速液体クロマトグラフィー(Luna C18(250x50mm)10μm、0.1%ギ酸水溶液/アセトニトリル)により精製し、標記化合物(5mg)を得た。
ESI-MS: m/z 424.0 [M+1]+
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ11.02 (s, 1H), 8.81 (d, J =5.2 Hz, 1H), 8.34 (t, J =8 Hz, 1H), 7.63 (t, J =4.4 Hz, 1H), 7.48 (d, J =5.6 Hz, 1H), 7.26 (d, J =5.6 Hz, 1H), 5.22(d, J =5.6 Hz, 1H), 5.05-5.00 (m,1H), 4.92 (t, J =6.4 Hz, 1H), 2.48 (d, J =8.8 Hz, 3H), 2.09 (d, J =6.4 Hz, 3H), 1.81 (d, J =6.4 Hz, 3H), 1.41 (t, J =6 Hz, 3H).
【0116】
[比較例1]
比較例1として、下記式で表されるシタキセンタンを使用した。
【化73】
【0117】
[比較例2]
比較例2として、下記式で表される化合物を使用した。本化合物は、国際公開第2013/115162号公報の実施例1に記載の化合物である。
【化74】
【0118】
[試験例1-1:エンドセリンA受容体阻害作用]
エンドセリンA受容体の阻害作用を以下の方法で検討した。
ヒトEndothelin A受容体(Accession Number NP_001948.1)を強制発現させたCHO-K1-mt aequorin細胞を抗生剤無添加の培地で18時間培養した後、PBS-EDTA(5mM EDTA)で処理し、遠心分離後(2分、405×g、室温)アッセイバッファー(DMEM/HAM‘s F12 with HEPES+0.1% BSA protease free)に懸濁させた。
【0119】
1×10個/mLの細胞を終濃度5μMのCoelenterazine h(Molecular Probes)存在下4時間室温でインキュベートし、Endothelinによるアゴニスト反応を確認し、EC80に相当するEndothelin濃度を求めた。
【0120】
続いて96穴プレートに10000個/wellのCoelenterazine h処置した細胞懸濁液を50μLと被験物質(終濃度0.5%DMSO)を含むアッセイバッファー50μL添加し、15分後に終濃度がEC80濃度になるようにEndothelinを添加し、FDSS6000(浜松ホトニクス)にて受容体活性を発光量で測定した。IC50値はXLfit(IDBS)を用いて算出した。
【0121】
IC50値が1.0nM以下、又は1.0nMで50%以上の阻害作用を示した場合「A」、IC50値が10nMより大きい、又は10nMで50%より小さい阻害作用を示した場合「C」、「A」と「C」の間のものを「B」とした。結果を表1-1に示す。
【表1-1】
【0122】
[試験例1-2:エンドセリンB受容体阻害作用]
エンドセリンB受容体の阻害作用を以下の方法で検討した。
ヒトEndothelin B受容体(Accession Number NP_000106.1)を強制発現させたCHO-K1-mt aequorin細胞を抗生剤無添加の培地で18時間培養した後、PBS-EDTA(5mM EDTA)で処理し、遠心分離後(2分、405×g、室温)アッセイバッファー(DMEM/HAM‘s F12 with HEPES+0.1% BSA protease free)に懸濁させた。
【0123】
1×10個/mLの細胞を終濃度5μMのCoelenterazine h(Molecular Probes)存在下4時間室温でインキュベートし、Endothelinによるアゴニスト反応を確認し、EC80に相当するEndothelin濃度を求めた。
【0124】
続いて96穴プレートに10000個/wellのCoelenterazine h処置した細胞懸濁液を50μLと被験物質(終濃度0.5%DMSO)を含むアッセイバッファー50μL添加し、15分後に終濃度がEC80濃度になるようにEndothelinを添加し、FDSS6000(浜松ホトニクス)にて受容体活性を発光量で測定した。
【0125】
IC50値が1000nM以下、又は1000nMで50%以上の阻害作用を示した場合「A」、IC50値が5000nMより大きい、又は5000nMで50%より小さい阻害作用を示した場合「C」、「A」と「C」の間のものを「B」とした。結果を表1-2に示す。
【表1-2】
【0126】
ETA選択性に関して、以下のどちらかを満たす場合「++」とした。
1.ETBのIC50値/ETAのIC50値が5000より大きい。
2.1.0nMで50%以上のETA阻害作用を示し、かつ5000nMで50%より小さいETB阻害作用を示す。
ETBのIC50値/ETAのIC50値が1000より大きく、5000以下の場合「+」とした。
結果を表1-3に示す。
【表1-3】
【0127】
[試験例2:CYP2C9阻害作用]
CYP2C9に対する阻害作用を以下の方法により評価した。
(1)凍結しておいた肝ミクロソーム画分を氷上で溶解し、終濃度が0.5mg/mLになるようにPotassium phosphate buffer(PPB)で希釈した。
(2)評価用基質(Diclofenac:Sigma Aldrich社D6899)を終濃度2.5μMとなるように添加した。
(3)ゆっくりと混和し、37±1℃で5分間インキュベートし、反応液とした。
(4)反応液を801μLずつチューブに分取し、0.9μLのDMSOで段階希釈した評価化合物を終濃度9.1~20000nM(1/3希釈8濃度)になるように添加した。このとき、陰性コントロール群には0.9μLのDMSOを添加し、陽性コントロール群には終濃度1μMになるようにDMSOで調整したSulfaphenazole(Sigma Aldrich社S0758)を0.9μL添加した。
(5)混和後、270μLずつ別のチューブ2本に移し、37±1℃で5分間振盪水浴でインキュベートした。
(6)30μLの10mM NADPHを添加し、反応を開始し、37℃±1℃で10分間インキュベートした。
(7)振盪水浴からチューブを取り出し、300μLの反応停止液を加えて反応を停止し、混和後1021×gで20分間4℃で遠心分離した。
(8)評価用基質の代謝量をLC-MS/MSにて求めることで、評価化合物の各濃度の阻害率を算出した。
(9)IC50値をGraphPad Prism5を用いて算出した。IC50値が1μM以下であれば「++」、1μMより大きく、かつ10μM以下の範囲であれば「+」、10μMよりも大きければ「-」とした。結果を表2に示す。
【0128】
【表2】
【0129】
[試験例3:ヒト及びマウス肝ミクロソームを用いた代謝安定性]
ヒト肝ミクロソームにおける代謝安定性を以下の方法により評価した。
1.材料
(1)ヒト肝ミクロソーム:20mg/mL
(2)試験化合物:1.1mM DMSO溶液
(3)リン酸カリウム緩衝液:66.7mM(pH7.4)
(4)NADPH溶液:10mM in リン酸カリウム緩衝液
(5)クエンチング溶液:内部標準物質としてワルファリン入りの0.5%ギ酸-アセトニトリル溶液
【0130】
2.方法
プロピレンチューブ中に、971.5μLのリン酸カリウム緩衝液と27.5μLのヒト肝ミクロソームを入れ、懸濁させた。ここに、1μLの試験化合物を加え、この混合物のうち180μLを別のチューブに移した。混合物を37℃で5分間プレインキュベーションし、その後、20μLのNADPH溶液(インキュベーション時間30分の場合)又は20μLのリン酸カリウム緩衝液(インキュベーション時間0分の場合)を加えた。インキュベーション後に、200μLのクエンチング溶液を加え、反応を停止させた。続いて、3220×gで20分間遠心分離し、200μLの上清中の試験化合物の未変化体濃度をLC-MS/MSで測定した。得られた未変化体のピーク面積に基づき、インキュベーション時間0分を100%として未変化体の残存率(%)を算出した。
【0131】
マウス肝ミクロソームにおける代謝安定性は、ヒト肝ミクロソームの代わりにマウス肝ミクロソームを用いて、上記と同様の方法により評価した。30分後の未変化体の残存率(%)を表3に示す。
【表3】
【0132】
[試験例4:PAMPA膜透過性試験]
PAMPAを用いた膜透過性試験を検討した。具体的な方法は以下のとおりである。
(1)ドデカン液中にレシチンを2%(w/v)となるように加え、完全に溶解させた。(2)5μLのレシチン/ドデカン液をドナープレートに添加した。この時ピペットチップが膜に触れないようにした。
(3)すぐに150μLの評価化合物(10μM)を含むドナー溶液(5%DMSO-PBS)をドナープレートの各ウェルに添加し、300μLの水性バッファーをPTFEアクセプタープレートの各ウェルに添加した。
(4)評価化合物を含むドナー溶液で満たしたドナープレートをアクセプタープレートの上にゆっくりと設置し、膜の下面が全てのウェルでバッファーと接していることを確認した。
(5)蓋をして、装置を16時間室温でインキュベートした。
(6)インキュベート後、アクセプタープレートの膜の上面と下面から100μLずつ溶液を回収し、等量の内部標準を含むアセトニトリルを添加した。
(7)評価化合物の濃度を測定し、透過速度を算出した。
結果を表4に示す。膜透過速度の値が1x10-8cm/sec以下であれば「C」、1x10-8cm/secより大きく,かつ10x10-8cm/sec以下の範囲であれば「B」、10x10-8cm/secよりも大きければ「A」とした。
【0133】
【表4】
【0134】
[試験例5:BigET-1誘発血圧評価試験]
8~20週齢の雄性Wistarラットに、鎮痛剤処置とウレタン麻酔下にて、気管へ気道確保用カテーテル処置、頸動脈へ血圧測定用カテーテル処置、大腿静脈へBigET-1投与用カテーテル処置、十二指腸へ被験物質投与用カテーテル処置を行った。血圧および心拍数が安定したことを確認後、溶媒(0.5%メチルセルロース400溶液)または溶媒で調整した被験物質30mg/kg(5mL/kg)を十二指腸内に投与し、その1時間後にBigET-1(20μg/kg)を投与し、BigET-1投与60分後まで血圧をモニタリングした。各群n=6で実施し、解析はBigET-1投与5分前から60分後まで、5分毎に20秒間の収縮期血圧、拡張期血圧を求め、BigET-1投与5分前からの差分(デルタ値)を用いてBigET-1投与後60分間のAUC0-60min(mmHg*min)を算出した。溶媒投与群と被験物質投与群のAUCの比較にはStudentのt検定を用いた。
【表5】